JP2016047974A - 光機能性ナノファイバー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光機能性分子の機能効率と耐水性に優れる光機能化ナノファイバーを提供する。【解決手段】ナノファイバーと、ナノファイバーの表面上に偏在化している光機能性分子とを含む光機能性ナノファイバーであり、光機能性分子が、ナノファイバーの表面上に物理的に吸着している光機能性ナノファイバー。光機能性分子は光照射により活性酸素を生成する光機能性分子である、ポルフィリン化合物及びフタロシアニン化合物から選択される少なくとも1種である光機能性ナノファイバー。【選択図】なし

Description

本発明は、光機能性ナノファイバー及びその製造方法に関する。
基材層とナノ繊維から形成される濾過層とを備えるフィルターが知られており、ウイルス等も除去可能な高い濾過精度を有するとされている(例えば、特許文献1参照)。また、通気性を有する基材と吸着物質を含む複合ナノ繊維層とを備えるフィルターが知られており、微小粒子のみならず特殊な物質を高い効率で分離・捕集可能とされている(例えば、特許文献2参照)。
一方、ナノ繊維層に光機能性分子を複合化させる方法が種々検討されており、光機能性分子を含むナノ繊維原料を用いて、ナノ繊維層を作製する方法(例えば、非特許文献1〜3参照)、イオン交換可能な官能基を有するナノ繊維からナノ繊維層を作製した後にイオン状態の光機能性分子をイオン交換によりナノ繊維層に複合化させる方法(例えば、非特許文献4、5参照)等が知られている。
特開2005−270965号公報 特開2012−223674号公報
J. Fluoresc., 2009, 19, 705. Polym. Int., 2012, 61, 1519. ACS Appl. Mater. Interfaces, 2013, 5, 10191. ACS Appl. Mater. Interfaces, 2013, 5, 3776. J. Appl. Polym. Sci., 2014, 131, 40486.
特許文献1、2に記載のフィルターでは捕捉した物質を分解等することは困難であった。また非特許文献1〜3に記載の方法では、光機能性分子の複合化量に制限があり、また光機能性分子がナノ繊維内部にも取り込まれるため、その機能を効率的に発揮させることが困難な場合があった。また、非特許文献4及び5に記載の方法では、ナノ繊維材料の選択が制限される場合があった。またイオン交換により光機能性分子が結合しているため耐水性が充分とは言い難かった。
本発明は、光機能性分子の機能効率と耐水性に優れる光機能性ナノファイバー及びその効率的な製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ナノファイバーと、ナノファイバーの表面上に偏在している光機能性分子とを含む光機能性ナノファイバーである。
<2> 光機能性分子が、ナノファイバーの表面上に物理的に吸着している、<1>に記載の光機能性ナノファイバーである。
<3> 光機能性分子が光照射により活性酸素を生成する、<1>又は<2>に記載の光機能性ナノファイバーである。
<4> 光機能性分子が、ポルフィリン化合物及びフタロシアニン化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の光機能性ナノファイバーである。
<5> 光機能性分子における会合体の含有率が50モル%未満である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の光機能性ナノファイバーである。
<6> ナノファイバーが、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン6,6、セルロース及びセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の有機高分子を含む、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の光機能性ナノファイバーである。
<7> ナノファイバーと、光機能性分子及び液媒体を含む溶液とを接触させることを含む光機能性ナノファイバーの製造方法である。
<8> ナノファイバーが有機高分子を含み、有機高分子と液媒体とのSP値の差が0.1以上である、<7>に記載の製造方法である。
本発明によれば、光機能性分子の機能効率と耐水性に優れる光機能性ナノファイバー及びその効率的な製造方法を提供することができる。
光機能性ナノファイバーの拡散反射スペクトルの一例である。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。さらに組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
また、「ハロゲン原子」とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、「Ca−b(a、bは1以上の整数を表す)」との表記、例えば、「C1−18」とは炭素原子数が1〜18個のいずれかであることを意味する。
<光機能性ナノファイバー>
本実施形態の光機能性ナノファイバーは、ナノファイバーと、ナノファイバーの表面上に偏在している光機能性分子とを含む。表面に光機能性分子が偏在していることで、光機能性分子が優れた機能効率でその機能を発揮することができる。また、耐水性、耐擦過性に優れ、水との接触等による光機能の低下が抑制される。これは例えば以下のように考えることができる。
光機能性分子がナノファイバーの内部ではなくその表面に配置されていることで、外部から照射された光エネルギーを効率的に吸収することができ、光機能性分子が有する機能を充分に発揮することができる。また光機能性分子と他の分子間の相互作用も容易に起こると考えられる。光機能性分子が例えば、吸収した光エネルギーを他の分子(例えば、酸素分子等)に移動させる機能を有する場合、ナノファイバーの表面に配置された光機能性分子に他の分子が容易に接近することが可能となり、エネルギー移動効率に優れると考えられる。光機能性分子が例えば、光照射によって他の分子との間で電子の授受を行う機能を有する場合、ナノファイバーの表面に配置された光機能性分子に他の分子が容易に接近することが可能となり、効率良く電子授受を行うことが可能であると考えられる。
(光機能性分子)
光機能性分子は、光エネルギーによって何らかの機能を発現する分子であれば、特に制限されず、その機能を目的等に応じて適宜選択することができる。光機能性分子の機能としては例えば、光照射により一重項酸素等の活性酸素を生成する機能、光照射により励起した状態と他の分子との間の電子移動機能、特定分子の存在下で発光または色が変化する機能、光照射により特定の分子又はイオンを捕捉又は離脱する機能等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、光照射により活性酸素を生成する機能であることがより好ましい。
また光機能性分子は疎水性であることが好ましい。これにより光機能性ナノファイバーの耐水性がより向上する。疎水性の光機能性分子とは例えば、25℃における水への溶解度が10−4mol/l以下であることを意味する。
一重項酸素は、π 2p軌道上の電子が一重項状態で占有されている状態(Δ)の酸素分子であり、酸素分子の基底三重項状態(Σ)より95kJmol−1だけエネルギーが高い。Δ状態から基底状態Σへの遷移がスピン禁制であることから、基底状態の酸素分子を直接励起して一重項酸素を生成することは困難である。そのため、光増感剤を用いて一重項酸素を発生させる方法が広く用いられている。すなわち、光増感剤への光照射により、励起三重項状態の光増感剤を形成し、基底三重項状態の酸素分子へエネルギー移動することにより、一重項酸素が生成される。
一重項酸素は求電子性であり、強い酸化力を有するため酸化剤として応用されている。例えば、がんの光線力学的治療では、がん細胞に局在したポルフィリン類縁体などの光増感剤を光励起することにより一重項酸素を局所的に発生させてがん細胞を殺す。一重項酸素のこのような性質は殺菌などにも応用されている。また、排水中のフェノール等の有機物、硫化物塩などの有害物質を一重項酸素で酸化して、排水中から容易に除去可能な物質へ変換することを目的とする研究もおこなわれている。
一重項酸素を生成可能な光増感剤は、任意の波長の光を照射することにより励起状態となりうる光増感剤、好ましくは機能性色素であれば特に限定はない。そのような機能性色素の例としては、フルオレセイン、ジブロモフルオレセイン(例えば、エオシンY、エオシンB)、エリスロシンB、ローダミンB、ローダミン6G、ローズベンガル等のキサンテン系色素;クリスタルバイオレッド、マラカイトグリーン等のトリフェニルメタン系色素;オーラミンO等のジフェニルメタン系色素;アクリジンオレンジ等のアクリジン系色素;ブリリアントクレシルブルー等のフェノキサジン系色素;ニュートラルレッド等のフェナジン系色素;チオニン、メチレンブルー等のフェノチアジン系色素;オレンジII等のアゾ系色素;インジゴ等のインジゴイド系色素;アリザリン、パープリン等のアントラキノン系色素;ピナシアノール、チアゾールオレンジ等のキノリン系色素;ベルベリン等のイソキノリン系色素;ピリリウム、チオピリリウム、セレノピリリウム等のピリリウム塩系色素;シアニン系色素;オキソノール系色素;メロシアニン系色素;トリアリルカルボニウム系色素;金属錯体色素;ポルフィリン化合物若しくはフタロシアニン化合物等を挙げることができる。具体的に、金属錯体色素としては、cis−ビス(イソチオシアナート)ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシラート)ルテニウム(II)、トリス(2,2’−ビピリジル)ジクロロルテニウム(II)六水和物等のルテニウム−ビピリジン錯体;白金−ビピリジン錯体;ビピリジン錯体等を挙げることができる。また、ポルフィリン化合物若しくはフタロシアニン化合物としては、フォトフリン、レザフィリン、ベルテポルフィン、ヘマトポルフィリン、フタロシアニンテトラカルボン酸、フタロシアニンジスルホン酸、フタロシアニンテトラスルホン酸及びそれらのマグネシウム、パラジウム、白金、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム、錫等の錯体を挙げることができる。これらの光増感剤は、公知の方法に従い合成することにより、又は試薬供給業者より入手することができる。
より具体的に、ポルフィリン化合物若しくはフタロシアニン化合物(Pc)としては、下記式Iで表される化合物を挙げることができる。
式中、Xは、N又はCR’(ここで、R’は、水素原子、置換基を有していてもよいC1−18−アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基である)であり;Mは、Hであるか、あるいは周期表第2〜5族、又は第8〜15族の元素から選択される原子であり;Mが周期表第2〜5族、又は第8〜15族の元素から選択される原子である場合、1又は2個の軸配位子Lが存在していてもよく、ここでLは、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はトリ(C1−18−アルキル)シリルオキシ基であり;R、R、R、R、R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子、置換基を有していてもよいC1−18−アルキル基、置換基を有していてもよいC1−18−アルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有していてもよいフェノキシ基であるか、あるいは
及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、芳香環若しくは含窒素ヘテロ環を形成し、該芳香環若しくは含窒素ヘテロ環は、非置換であるか、又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、C1−18−アルキル基、C1−18−アルコキシ基、−S(O)0−2−C1−18−アルキル、−(OCHCH1−8O−C1−6−アルキル及びフェニル基から選択される1つ以上の置換基により置換されており、
及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、芳香環若しくは含窒素ヘテロ環を形成し、該芳香環若しくは含窒素ヘテロ環は、非置換であるか、又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、C1−18−アルキル基、C1−18−アルコキシ基、−S(O)0−2−C1−18−アルキル、−(OCHCH1−8O−C1−6−アルキル及びフェニル基から選択される1つ以上の置換基により置換されており、
及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、芳香環若しくは含窒素ヘテロ環を形成し、該芳香環若しくは含窒素ヘテロ環は、非置換であるか、又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、C1−18−アルキル基、C1−18−アルコキシ基、−S(O)0−2−C1−18−アルキル、−(OCHCH1−8O−C1−6−アルキル及びフェニル基から選択される1つ以上の置換基により置換されており、又は
及びRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、芳香環若しくは含窒素ヘテロ環を形成し、該芳香環若しくは含窒素ヘテロ環は、非置換であるか、又はハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、C1−18−アルキル基、C1−18−アルコキシ基、−S(O)0−2−C1−18−アルキル、−(OCHCH1−8O−C1−6−アルキル及びフェニル基から選択される1つ以上の置換基により置換されている。
ここで、R’、R〜Rにおける置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、C1−18−アルキル基、C1−18−アルコキシ基、−S(O)0−2−C1−18−アルキル、−(OCHCH1−8O−C1−6−アルキル、フェニル基等が挙げられる。R’、R〜Rにおける置換基の総数は例えば、1〜12である。
特に具体的に、ポルフィリン化合物若しくはフタロシアニン化合物としては、下記式IIで表される化合物を挙げることができる。
式中、Xは、N又はCR’(ここで、R’は、水素原子、C1−18−アルキル基又はフェニル基である)であり;Mは、Hであるか、あるいは周期表第2〜5族、又は第8〜15族の元素、例えばマグネシウム、パラジウム、白金、銅、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、ケイ素、ゲルマニウム又は錫から選択される原子であり;Mが周期表第2〜4族、又は第8〜15族の元素から選択される原子である場合、1又は2個の軸配位子Lが存在していてもよく、ここでLは、独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基又はトリ(C1−18−アルキル)シリルオキシ基であり;nは、互いに独立して、0、1、2、3又は4であり;Ra、Rb、Rc及びRdは、互いに独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、カルボキシル基、C1−18−アルキル基、C1−18−アルコキシ基、−S(O)0−2−C1−18−アルキル、−(OCHCH1−8O−C1−6−アルキル又はフェニル基である。
式I又はIIで表されるポルフィリン化合物若しくはフタロシアニン化合物は、公知の方法に従い合成することにより、又は試薬供給業者より入手することができる。
特定分子の存在下で発光または色が変化する機能を利用したものとしては、いわゆる分子センサーが挙げられる。分子センサーとしては例えば、ルテニウム(II)錯体と酸素分子の存在下で錯体の発光が消光する現象を利用した酸素センサー(例えば、Anal. Chem. 1995, 67, 3160.参照);フルオレセインにキレート部位として、N,N−ビス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミンを連結させた一連のセンサー分子が亜鉛(II)イオンを選択的に補足して発光する現象を利用した亜鉛イオンセンサー(例えば、J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 10197.参照)等が挙げられる。
光照射により励起した状態と他の分子との間の電子移動機能を利用したものとしては、光触媒反応が挙げられる。光触媒反応としては例えば、二酸化炭素還元反応、水素発生反応等が挙げられる。二酸化炭素還元反応としては例えば、光増感剤として金属錯体色素であるルテニウム(II)トリス(ビピリジン)錯体[Ru(bpy)2+、触媒としてルテニウム(II)ビス(ビピリジン)誘導体[Ru(bpy)(CO)2+、光励起された[Ru(bpy)2+を還元的消光するための犠牲試薬としてトリエタノールアミン(TEOA)を用い、二酸化炭素飽和N,N−ジメチルホルムアミド溶液での光照射による還元反応が挙げられる。この反応系では光増感過程で生成する[Ru(bpy)を電子リレーとし、二酸化炭素がギ酸へと選択的に還元される(例えば、Coord. Chem. Rev. 1999, 185, 373.参照)。水素発生反応としては例えば、光増感剤としてアンチモン(V)テトラフェニルポルフィリン[Sb(TPP)]5+、電子ドナーとしてメチルビオローゲン、プロトン還元触媒として白金コロイドを用い、水を電子源として進行する反応が挙げられる。この反応系では水を電子源として可視光照射により水素が発生する(例えば、佐々木陽一,石谷治 編著,『金属錯体の光化学』,三共出版(2007).参照)。
光照射により特定の分子またはイオンを捕捉または離脱する機能としては例えば、テトラヒドロフラン中の鉄(II)トリス(o−フェニレンジアミン)錯体への光照射による水素発生反応が挙げられる(例えば、J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 8646.参照)。
光機能性分子は、光照射により一重項酸素を生成可能な光増感剤であることが好ましく、ポルフィリン化合物及びフタロシアニン化合物からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
光機能性分子は、1種単独で、又は複数を組み合わせて使用してもよい。
光機能性ナノファイバーに含まれる光機能性分子の含有量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。光機能性分子の含有量は、0.1g/mLのナノファイバーを用いた場合、光機能性ナノファイバー中に例えば10−9mol/g以上であり、光機能性の観点から、10−9〜5×10−4mol/gであることが好ましい。
光機能性分子は、ナノファイバーの表面上に偏在している。すなわち、ナノファイバーの表面上に存在する光機能性分子に対するナノファイバーの内部に存在する光機能性分子の存在比は、質量基準で1未満であり、0.5以下であることが好ましく、ナノファイバーの内部に実質的に含まれないことがより好ましい。
光機能性分子が、ナノファイバーの表面上に偏在していることは例えば、SEM−EDX分析により、ナノファイバー断面における光機能性分子の分布を分析することで確認することができる。具体的には例えば、光機能性分子が金属原子を含み、ナノファイバーが有機高分子を含み金属原子を実質的に含まない場合、金属原子の分布を分析することで確認することができる。
光機能性分子のナノファイバー表面への結合は、イオン結合、共有結合等の化学的な結合によるものであっても、ファンデルワールス力等の物理的な吸着によるものであってもよい。光機能性分子のナノファイバー表面への結合は、光機能性ナノファイバーシートの生産性の観点から、物理的な吸着によるものであることが好ましい。
光機能性分子が会合体を形成可能である場合、光機能性ナノファイバーに含まれる光機能性分子の会合体の含有率は、光機能性の観点から、モル基準で50%未満であり、30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。すなわち、光機能性分子は、その少なくとも一部が単量体としてナノファイバー表面へ付着していることが好ましく、光機能性分子が実質的に単量体としてナノファイバー表面に付着していることがより好ましい。光機能性分子の単量体がナノファイバー表面に付着していることで、光機能性をより効率的に発現することができる。
光機能性分子の会合体の含有率は、光機能性ナノファイバーについて、光機能性分子に由来する拡散反射スペクトルを測定することで算出することができる。具体的には例えば、光機能性分子の単量体に由来するスペクトルと会合体に由来するスペクトルとの比較から、光機能性ナノファイバーに含まれる光機能性分子の会合体の含有率を算出することができる。
(ナノファイバー)
光機能性ナノファイバーは、ナノファイバーの少なくとも1種を含む。ナノファイバーとは、平均径が1000nm以下で、アスペクト比が100以上の繊維を意味する。ナノファイバーは例えば、電界紡糸法(エレクトロスピニング法)で製造することができる。
ナノファイバーの平均径は、1〜1000nmが好ましく、10〜1000nmがより好ましく、50〜500nmが更に好ましい。ナノファイバーの平均径は、ナノファイバーの走査型電子顕微鏡(SEM)による画像観察において100本のナノファイバーの直径の算術平均値として算出される。
ナノファイバーは、有機高分子を含むことが好ましい。ナノファイバーが有機高分子を含む場合、有機高分子の種類は特に限定されず、目的等に応じて、通常用いられる有機高分子から適宜選択することができる。ナノファイバーを構成する有機高分子の具体例としては、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリビニルアルコール(PVA)等のポリビニル;ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸グリコール酸(PLGA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカプロラクトン(PCL)等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、シルク等のポリアミド(PA);ポリアクリロニトリル(PAN);ポリウレタン(PUR);ポリエーテルイミド(PEI);ポリフッ化ビニリデン(PVDF);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリスチレン(PS);セルロース、セルロース誘導体、キチン、キトサン等の多糖類などを挙げることができる。有機高分子は、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、多糖類からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
ナノファイバーに含まれる有機高分子は1種単独でも、2種以上の組み合わせであってもよい。
ナノファイバーを構成する有機高分子は、取り扱い易さ及び耐久性の観点から、親油性かつ耐油性であることがより好ましい。ここで親油性とはその物質と油脂類との濡れ性のことであり、耐油性とはその物質が油脂類に長時間接触しても性状の変化が抑制され、使用に問題がない事を意味する。親油性かつ耐油性の有機高分子としては、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン6,6、セルロース、セルロース誘導体等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ナノファイバーを構成する有機高分子は、光機能性ナノファイバーの製造効率の観点から、その溶解度パラメータ(SP)値が5〜20であることが好ましく、7〜15であることがより好ましい。
ナノファイバーを構成する有機高分子の分子量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。有機高分子の分子量は例えば、重量平均分子量が1万〜100万であり、5万〜50万であることが好ましい。
<光機能性ナノファイバー成形体>
光機能性ナノファイバーは、取扱い性の観点から、不織布、糸、編物、織物等の成形体を構成することが好ましい。すなわち、本実施形態は、光機能性ナノファイバーを含む成形体を包含する。光機能性ナノファイバーを含む成形体の形態は、目的等に応じて適宜選択され、不織布、糸、編物及び織物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、不織布又は糸であることがより好ましい。
成形体が不織布である場合、その厚みは特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。不織布の厚みを選択することにより例えば、不織布の物質に対する透過性を制御することができる。不織布の厚みは例えば、目付量として0.01〜100g/mとすることができる。特に不織布をフィルター用途に適用する場合、目付量は0.05〜1g/mが好ましく、0.1〜0.5g/mがより好ましい。
成形体である不織布は光機能性ナノファイバーに加え、必要に応じて、その他の繊維を更に含んでいてもよい。その他の繊維としては特に制限されず、目的等に応じて通常用いられる繊維から適宜選択することができる。その他の繊維の素材としては例えば、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、多糖類、カーボン、セラミック、ガラス等が挙げられる。またその他の繊維は例えば、平均径が1nm以上1000nm未満のナノファイバーであってもよく、平均径が1〜100μmの繊維であってもよい。その他の繊維は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
不織布がその他の繊維を含む場合、その含有量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。
成形体である不織布は光機能性ナノファイバーに加え、必要に応じて、粒子状物質を更に含んでいてもよい。粒子状物質としては特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。粒子状物質の素材としては例えば、多孔質シリカ、ゼオライト、プルシアンブルー、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、活性炭、金属ナノ粒子、無機ナノ粒子等が挙げられる。また粒子状物質の平均径としては例えば、1nm〜10μmとすることができる。粒子状物質は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
不織布が粒子状物質を含む場合、その含有量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。
不織布は、基材上に形成されていてもよい。すなわち、成形体である不織布は、基材と、基材上に配置される光機能性ナノファイバーを含む不織布層とを含む積層体を包含する。不織布層が積層される基材は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。基材は物質に対する透過性を有することが好ましく、少なくとも通気性を有することがより好ましい。
基材の形態としては例えば、不織布、織物、編物、紙、多孔質膜等を挙げることができる。基材の素材としては例えば、ナノファイバーの項で例示した有機高分子、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、多糖類等を挙げることができる。基材を構成する素材は1種単独でも、2種以上の組合せであってもよい。基材の厚みとしては例えば、1μm〜5mmとすることができる。
基材の形態が不織布である場合、不織布を構成する繊維の平均径としては例えば、10〜100μmとすることができる。また基材である不織布の坪量としては例えば、10〜100g/mとすることができる。
積層体は、基材と不織布層とに加えて必要に応じてその他の層を更に有していてもよい。その他の層としては例えば、基材と不織布層との間に配置される接着層、不織布層上に配置される保護層等を挙げることができる。接着層は例えば、熱可塑性樹脂等の接着材料を含むことができる。
成形体が糸である場合、糸の平均径は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。糸の平均径は例えば、10μm〜1mmとすることができる。
成形体である糸は光機能性ナノファイバーに加え、必要に応じて、その他の繊維を更に含んでいてもよい。その他の繊維としては特に制限されず、目的等に応じて通常用いられる繊維から適宜選択することができる。その他の繊維の素材としては例えば、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリエーテルイミド、多糖類、カーボン、セラミック、ガラス等が挙げられる。またその他の繊維の平均径としては例えば、10μm〜1mmとすることができる。
糸がその他の繊維を含む場合、その含有量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。
成形体が織物又は編物である場合、織物又は編物は既述の成形体である糸を用いて構成することができる。織物又は編物の編織方法は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。編織方法としては例えば、平織、綾織、朱子織、平編み、ゴム編み、パール編み、デンビー編み、アトラス編み、コード編み等を挙げることができる。
光機能性ナノファイバー成形体の用途は、光機能性分子の機能に応じて適宜選択することができる。例えば、光機能性分子が活性酸素を発生する機能を有する場合、ナノファイバー成形体の優れた濾過特性と、活性酸素発生機能とにより、PM2.5等の微小粒子状物質の遮断機能に加えて、殺菌機能、有害物質の分解機能を有する有用なマスク・フィルターに適用することができる。
<光機能性ナノファイバーの製造方法>
本実施形態の光機能性ナノファイバーの製造方法は、ナノファイバーと、光機能性分子及び液媒体を含む溶液(以下、「光機能性分子溶液」ともいう)とを接触させること(以下、「接触工程」ともいう)を含む。ナノファイバーと、光機能性分子溶液とを接触させることで光機能性分子溶液中に溶解している光機能性分子がナノファイバーの表面に付着し、ナノファイバーの表面に光機能性分子が偏在している光機能性ナノファイバーを簡便に、優れた製造効率で製造することができる。また、従来の方法で製造されたナノファイバーを直接処理して、光機能性ナノファイバーを得ることができるため、適用可能なナノファイバー材料の範囲が格段に拡張される。更に、製造される光機能性ナノファイバーは、耐水性、耐擦過性に優れ、光機能性分子の機能を充分に発現することができる。これは例えば、光機能性分子が分子状態で、ナノファイバーの表面に付着しているためと考えることができる。
また、本実施形態の製造方法によると、従来の製造方法に比べて、容易に光機能性分子の担持量を増加させることができる。これは例えば、光機能性分子が光機能性分子溶液中からナノファイバーの表面に直接移行して付着するためと考えることができる。さらに本実施形態の製造方法で得られる光機能性ナノファイバーにおいては、光機能性分子が会合性を有する場合であっても、会合体の形成が抑制され、単量体の状態でナノファイバーの表面に付着しやすくなることも可能となる。
ナノファイバーと光機能性分子溶液との接触方法は特に制限されず、ナノファイバーの形態等に応じて適宜選択することができる。接触方法は例えば、取扱い性と製造効率の観点から、ナノファイバーの成形体と光機能性分子溶液とを接触させることを含むことが好ましい。ナノファイバーの成形体と光機能性分子溶液とを接触させる方法としては、ナノファイバーの成形体に光機能性分子溶液を塗布、スプレーして接触させる方法、ナノファイバーの成形体を光機能性分子溶液に浸漬して接触させる方法などを挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種の方法であることが好ましく、ナノファイバーの成形体を光機能性分子溶液に浸漬する方法を含むことがより好ましい。
なお、ナノファイバー及びナノファイバーの成形体の詳細については既述のとおりであり、光機能性分子溶液の詳細については後述する。
ナノファイバーと光機能性分子溶液との接触における温度、時間、雰囲気等は特に制限されず、光機能性分子溶液の構成等に応じて適宜選択すればよい。接触温度は例えば、0〜100℃とすることができ、5〜40℃であることが好ましい。接触時間は例えば、1秒〜72時間とすることができ、1秒〜24時間であることが好ましい。接触雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気、大気雰囲気等のいずれであってもよい。また圧力も特に制限されず、減圧下、常圧下及び加圧下のいずれであってもよい。
また、ナノファイバーと光機能性分子溶液との接触を、ナノファイバーの成形体を光機能性分子溶液に浸漬して行う場合、必要に応じて光機能性分子溶液を撹拌してもよく、静置してもよい。
ナノファイバーと光機能性分子溶液との接触方法は1種のみで行ってもよく、2種以上を組合せて行ってもよい。
光機能性分子溶液は、少なくとも1種の光機能性分子と、液媒体とを含む。光機能性分子の詳細については既述のとおりである。液媒体は、光機能性分子の少なくとも一部を溶解可能で、接触工程において液体状態であれば特に制限されず、通常用いられる有機溶剤、水等から適宜選択することができる。
液媒体は、光機能性分子を溶解可能で、ナノファイバーに対する溶解性が低い溶媒であることが好ましく、溶解度パラメータ(SP)値が14〜23であることがより好ましく、SP値が14.5〜20であることが更に好ましい。ここでSP値とは、Hildebrand、Scottにより提唱され、正則溶液論で定義されたパラメータであり、物質の溶解性の指標となり得る。本実施形態におけるSP値は、Fedorsの推算法によって計算される。Fedorsの推算法については例えば、Polym. Eng. Sci., 1974, 14, 147.の記載を参照することができる。
液媒体を構成可能な溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶剤;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶剤;ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド溶剤;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫溶剤;アセトニトリル、プロパンニトリル等のニトリル溶剤;クロロホルム等のハロゲン化炭化水素溶剤;などの有機溶剤、水などを挙げることができる。
液媒体は、有機溶剤、水等を1種単独で含んでいてもよく、2種以上を組合せて含んでいてもよい。
ナノファイバーが有機高分子を含む場合、有機高分子と液媒体とのSP値の差は0.1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。有機高分子と液媒体とのSP値の差の上限は特に制限されず例えば、15以下である。有機高分子と液媒体とのSP値の差が上記範囲であると、接触工程におけるナノファイバーの劣化を効果的に抑制することができる傾向がある。また光機能性分子をナノファイバーの表面により効率的に付着させることができる傾向がある。
本実施形態において液媒体は、光機能性分子に対する溶解性が高い溶媒と、溶解性が低い溶剤(貧溶媒)との混合物であることもまた好ましい。液媒体が2種以上の溶媒の混合物であることで、より効率的に光機能性分子をナノファイバーの表面上に付着させることができる。更に液媒体が2種以上の溶媒の混合物であると所望のSP値を有する液媒体を容易に得ることができる。
ここで、光機能性分子に対する溶解性が高い溶媒は、光機能性分子に応じて適宜選択され、例えば、アルコール溶剤、ケトン溶剤等を挙げることができる。光機能性分子に対する溶解性が低い溶媒(貧溶媒)は、光機能性分子に応じて適宜選択され、例えば、水等を挙げることができる。
光機能性分子溶液に含まれる光機能性分子の含有量は特に制限されず、目的等に応じて適宜選択することができる。光機能性分子のモル濃度は例えば、1.0×10−9mol/l〜1.0mol/lであり、4.5×10−5mol/l〜4.5×10−4mol/lとすることができる。
光機能性分子溶液は、光機能性分子及び液媒体に加え、必要に応じてその他の添加剤を更に含んでいてもよい。その他の添加剤としては例えば、増感剤、着色剤、界面活性剤、粘度調整剤、触媒等を挙げることができる。
その他の添加剤は1種単独でも、2種以上を組合せて用いてもよい。
光機能性分子溶液の調製方法は、所望の構成の溶液が得られる限り特に制限されない。例えば、光機能性分子に対する溶解性が高い溶媒を用いて光機能性分子を溶解した後に、貧溶媒を添加して所望の構成を有する光機能性分子溶液を得てもよい。
光機能性ナノファイバーの製造方法は、接触工程の後に、液媒体の少なくとも一部を除去する乾燥工程を含んでいてもよい。乾燥工程は、光機能性ナノファイバー又はその成形体に含まれる液媒体の99質量%以上を除去することが好ましく、99.9質量%以上を除去することがより好ましい。
乾燥工程における液媒体の除去方法は特に制限されず、液媒体の種類等に応じて、通常用いられる方法から適宜選択することができる。液媒体の除去方法としては例えば、濾過処理、加熱処理、風乾処理、熱風処理、減圧処理等を挙げることができる。液媒体の除去方法は、1種単独の方法でも、2種以上の方法を組合せて行ってもよい。
光機能性ナノファイバーの製造方法は、接触工程の前に、ナノファイバーの成形体を得るナノファイバー調製工程を更に含んでいてもよい。すなわち、本実施形態は、ナノファイバー成形体を得ることと、得られるナノファイバー成形体と、光機能性分子及び液媒体を含む溶液とを接触させることとを含む光機能性ナノファイバーの製造方法を包含する。ナノファイバー調製工程は、所望の成形体が得られる限り特に制限されず、成形体の形態に応じて、従来公知の方法から適宜選択して適用することができる。
成形体の形態が不織布の場合、基材と、基材上に配置されるナノファイバーを含む不織布層とを含む積層体は例えば、電界紡糸(エレクトロスピニング)法で製造することができる。具体的には、特開2005−270965号公報、特開2012−223674号公報等の記載を参照して製造することができる。
成形体の形態が糸の場合、ナノファイバーを含む糸は例えば、特許第5467397号公報、特許第4184917号公報、特許第5216970号公報等を参照して製造することができる。
本実施形態の光機能性ナノファイバーの製造方法は、従来公知のナノファイバーの製造方法で得られるナノファイバー又はその成形体に容易に適用することができ、従来の光機能性ナノファイバー成形体の製造方法に比べて、遥かに簡便であり、適用可能な範囲も広く、また生産性にも優れる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
ナノファイバー不織布を特許第5467397号公報に記載の方法に準じて、以下のようにして製造した。
基材として、ポリプロピレン製のスパンボンド不織布(坪量20g/m)を用いた。ナノファイバー材料として、ポリアクリロニトリル(シグマアルドリッチ社製、平均分子量150,000、SP値12.75)のジメチルホルムアミド溶液(10質量%)を用いた。特許第5467397号公報に記載の電界紡糸装置を用い、コレクターとノズルユニットとの間に13kVの電圧をかけて、基材の搬送速度0.5m/分で、基材上にポリアクリロニトリルからなるナノファイバーの不織布層を目付量5g/mで形成して、ナノファイバー不織布を得た。
(実施例1)
光機能性分子として一重項酸素発生能を有するtBu−ZnPc(2,9,16,23−テトラ−tert−ブチルフタロシアニン亜鉛錯体)を用いて、2.3×10−4Mのメタノール溶液を調製した。得られたtBu−ZnPc溶液6mlに純水1.2mlを滴下して撹拌し、光機能性分子溶液を調製した。ここでメタノールのSP値は14.8であり、純水のSP値が23.4であるから、液媒体のSP値は17.5となる。
得られた光機能性分子溶液に製造例1で得られたナノファイバー不織布(3cm×3cm)を浸漬し、室温、遮光下で24時間静置した。ナノファイバー不織布を溶液から取り出し、25℃で乾燥して、光機能性ナノファイバー不織布を製造した。
光機能性ナノファイバー不織布におけるtBu−ZnPcの担持量は、10−9mol/cm以上であった。
(評価)
1.反射スペクトルの測定
得られた光機能性ナノファイバー不織布の反射スペクトルを、JASCO社製V−570型分光光度計と積分球を用いて測定した。得られた拡散反射スペクトルを図1に示す。
図1の反射スペクトルには、tBu−ZnPcに固有のピーク(681nm)が観測され、tBu−ZnPcが単量体としてナノファイバー表面に付着していることが確認された。これにより優れた一重項酸素発生能を有することが分かる。
また図1の反射スペクトルには、会合体に由来するブロードな吸収(500〜800nm付近)が観測されたが、単量体に由来するピーク強度が充分に強く、会合体の存在量は光機能性分子中に50モル%未満と推測された。
更に、得られた光機能性ナノファイバー不織布を水に浸漬し、乾燥後に上記と同様にして反射スペクトルを測定したところ、同様の強度の反射スペクトルが得られた。

Claims (8)

  1. ナノファイバーと、ナノファイバーの表面上に偏在している光機能性分子とを含む光機能性ナノファイバー。
  2. 光機能性分子が、ナノファイバーの表面上に物理的に吸着している、請求項1に記載の光機能性ナノファイバー。
  3. 光機能性分子が光照射により活性酸素を生成する、請求項1又は2に記載の光機能性ナノファイバー。
  4. 光機能性分子が、フタロシアニン化合物及びポルフィリン化合物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光機能性ナノファーバー。
  5. 光機能性分子における会合体の含有率が50モル%未満である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光機能性ナノファイバー。
  6. ナノファイバーが、ポリアクリロニトリル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン6,6、セルロース及びセルロース誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の有機高分子を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光機能性ナノファイバー。
  7. ナノファイバーと、光機能性分子及び液媒体を含む溶液とを接触させることを含む光機能性ナノファイバーの製造方法。
  8. ナノファイバーが有機高分子を含み、有機高分子と液媒体とのSP値の差が0.1以上である、請求項7に記載の製造方法。
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