JP2016042942A - 加熱調理器具及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】調理面の平滑性及び非粘着性に優れた加熱調理器具及びその製造方法を提供する。【解決手段】フッ素樹脂被膜20によって形成されている調理面は、JIS B 0601−2001に準拠して測定された算術平均高さ(Ra)が0.5μm以下、最大高さ(Rz)が4.0μm以下の表面粗さを有しており、金属製のパン本体10の内面にフッ素樹脂加工を施すことによって、被調理物が接触する調理面となるフッ素樹脂被膜20を形成した後、そのフッ素樹脂被膜20の表面をバフ研磨することによって製造されている。【選択図】 図2
Description
この発明は、被調理物が接触する調理面がフッ素樹脂被膜によって形成されている、例えば、フライパン、ホットプレート、鍋、炊飯器の内釜等の加熱調理器具及びその製造方法に関する。
従来から、フライパン等の加熱調理器具においては、アルミニウム等によって形成されている器具本体の内面にフッ素樹脂加工を施すことによって、被調理物が接触する調理面を非粘着性の高いフッ素樹脂被膜によって形成し、調理面に対するこびりつきや焦げ付きを抑制している。
上述したフッ素樹脂加工は、脱脂、粗面化等の下地処理及びプライマー塗装を行った基材の内面に、スプレーガン等を用いてフッ素樹脂塗料をコーティングした後、焼成炉内で高温焼成することによってフッ素樹脂を定着させるのが一般的であり、最終の焼成工程では、フッ素樹脂の融点以上の温度(400℃前後)で所定時間焼成することで、フッ素樹脂が溶融し、レベリングすることによってフッ素樹脂被膜表面の平滑性及び非粘着性を確保している。
ところで、高温で使用されるフライパン等の加熱調理器具については、フッ素樹脂塗料として耐熱性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が使用されるが、PTFEは溶融粘度が高いため、融点以上の温度で焼成してもレベリングしにくく、優れた平滑性及び非粘着性を確保することができなかった。
そこで、この発明の課題は、調理面の平滑性及び非粘着性に優れた加熱調理器具及びその製造方法を提供するものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、被調理物が接触する調理面がフッ素樹脂被膜によって形成されている加熱調理器具において、前記調理面は、JIS B 0601−2001に準拠して測定された算術平均高さ(Ra)が0.5μm以下、最大高さ(Rz)が4.0μm以下の表面粗さを有していることを特徴とする加熱調理器具を提供するものである。なお、フッ素樹脂被膜によって形成された調理面の算術平均高さ(Ra)は、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.2μm以下であり、最大高さ(Rz)は、好ましくは、3.0μm以下、より好ましくは2.0μm以下である。
以上のように構成された加熱調理器具は、金属製の器具本体の内面にフッ素樹脂加工を施すことによって、被調理物が接触する調理面となるフッ素樹脂被膜を形成した後、そのフッ素樹脂被膜の表面をバフ研磨する、請求項2に係る発明の製造方法によって製造することができる。
以上のように、請求項1に係る発明の加熱調理器具では、フッ素樹脂被膜によって形成されている調理面が、JIS B 0601−2001に準拠して測定された算術平均高さ(Ra)が0.5μm以下、最大高さ(Rz)が4.0μm以下の表面粗さを有しているので、優れた平滑性及び非粘着性を有している。
加熱調理器具には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の耐熱性が高いフッ素樹脂を使用してフッ素樹脂加工を施すのが一般的であるが、PTFE等の耐熱性が高いフッ素樹脂は溶融粘度が高いため、融点以上の温度で焼成してもレベリングしにくく、単にフッ素樹脂加工を施しただけでは、調理面となるフッ素樹脂被膜の表面は凹凸に富んだ表面性状を有している。しかしながら、請求項2に係る発明の製造方法のように、調理面となるフッ素樹脂被膜の表面をバフ研磨すると、凹凸に富んだフッ素樹脂被膜の表面の凸部が削り取られ、調理面に優れた平滑性及び非粘着性を付与することができる。
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。図1〜図3は、この発明に係る加熱調理器具の一実施例であるフライパン1を示している。なお、本発明の加熱調理器具はこの実施例に限定されないことはいうまでもない。
同図に示すように、直径26cmのフライパン1のアルミニウム合金製のパン本体10の内面に、以下に示す工程(図5参照)に従って、フッ素樹脂皮膜20を形成した。なお、このフライパン1は、IHヒータによって加熱できるように、パン本体10の底外面には、円形状の多数の小孔31を有する、フェライト系ステンレスやマルテンサイト系ステンレス等の磁性体金属によって形成された厚さ0.2〜0.8mmの発熱板30がプレス接合されている。
まず、パン本体10の内面に付着している油脂等を取り除くために高温で空焼きした後(脱脂工程)、付着物や空焼きによる酸化皮膜等を除去するためにブラスト処理を行った(下地処理工程)。
続いて、パン本体10の内面にプライマーを塗布し、100℃で15分間加熱して焼成することによって、厚さ15μmの下塗り層21を積層した後、この下塗り層21の上にフッ素樹脂塗料を塗布し、100℃で15分間加熱して焼成することによって、厚さ10μmのミドルコート層22を積層し、さらに、このミドルコート層22の上にフッ素樹脂塗料を塗布し、380℃で30分間加熱して焼成することによって、厚さ10μmのトップコート層23を積層した(コーティング・焼成工程)。
図4に示すように、これら下塗り層21、ミドルコート層22及びトップコート層23によってフッ素樹脂被膜20が構成され、このフッ素樹脂被膜20(トップコート層23)の表面が被調理物が接触する調理面となる。
最後に、調理面となるフッ素樹脂被膜20(トップコート層23)の表面を、2分間バフ研磨し、本発明のフライパンを得た。なお、バフ研磨は、布製のバフを使用し、研磨圧力588kPa前後、回転速度2800回/分で行った。
以上のようにして製造されたフライパン1(実施例)と、バフ研磨を行わなかった点を除いて、実施例と同一方法によって製造されたフライパン(比較例)とについて、それぞれの表面粗さを、JIS B 0601−2001(製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ)に準拠して測定された算術平均高さ(Ra)及び最大高さ(Rz)で評価した。測定した粗さ曲線を図6(a)〜(c)及び図7(a)〜(c)に、算術平均高さ(Ra)及び最大高さ(Rz)を表1に示す。なお、表面粗さの測定は、フライパン1(実施例)及びフライパン(比較例)のそれぞれの任意の3カ所について、表面粗さ・輪郭形状測定機(SV−C3200S4 株式会社ミツトヨ)を用いて測定した。
表1から分かるように、3カ所の測定ポイントにおける算術平均高さ(Ra)の平均値は、フライパン1(実施例)が0.176μmであったのに対して、フライパン(比較例)は1.196μmであり、フライパン1(実施例)の算術平均高さ(Ra)は、フライパン(比較例)の約15%程度に低減されている。また、3カ所の測定ポイントにおける最大高さ(Rz)の平均値は、フライパン1(実施例)が1.818μmであったのに対して、フライパン(比較例)は9.439μmであり、フライパン1(実施例)の最大高さ(Rz)は、フライパン(比較例)の約19%程度に低減されている。
また、バフ研磨を行ったフライパン1(実施例)と、バフ研磨を行わなかったフライパン(比較例)とについて、非粘着性の試験を行った。
(非粘着性試験)
フライパン1(実施例)と、フライパン(比較例)の双方について、IHヒータで170℃まで加熱した状態で、調理面に油を引くことなく、15秒経過後によく掻き混ぜた生卵1個をフライパンに投入して60秒間加熱し、箸でフライパンから取り出す。この作業を繰り返し行い、フライパンにこびりつくことなく、投入した卵を全て取り出せた回数が多いほうが、高い非粘着性を有していると評価した。
フライパン1(実施例)と、フライパン(比較例)の双方について、IHヒータで170℃まで加熱した状態で、調理面に油を引くことなく、15秒経過後によく掻き混ぜた生卵1個をフライパンに投入して60秒間加熱し、箸でフライパンから取り出す。この作業を繰り返し行い、フライパンにこびりつくことなく、投入した卵を全て取り出せた回数が多いほうが、高い非粘着性を有していると評価した。
(試験結果)
フライパン1(実施例)については、7回目までは、こびりつくことなく、投入した卵を全て取り出すことができたが、8回目でこびりつきが発生した。一方、フライパン(比較例)については、1回目で少しこびりつきが発生し、6回目でこびりつきがひどくなった。従って、投入した卵を全て取り出せた回数は、フライパン1(実施例)が7回、フライパン(比較例)が0回となり、フライパン1(実施例)の非粘着性は、フライパン(比較例)に比べて向上していることが分かる。
フライパン1(実施例)については、7回目までは、こびりつくことなく、投入した卵を全て取り出すことができたが、8回目でこびりつきが発生した。一方、フライパン(比較例)については、1回目で少しこびりつきが発生し、6回目でこびりつきがひどくなった。従って、投入した卵を全て取り出せた回数は、フライパン1(実施例)が7回、フライパン(比較例)が0回となり、フライパン1(実施例)の非粘着性は、フライパン(比較例)に比べて向上していることが分かる。
以上のように、フッ素樹脂加工を施すことによって形成された調理面となるフッ素樹脂被膜20の表面に対してバフ研磨を行ったフライパン1(実施例)は、バフ研磨を行わなかったフライパン(比較例)に比べて、平滑性及び非粘着性が著しく優れていた。
なお、上述した実施例では、下塗り層21、ミドルコート層22及びトップコート層23の3層構造のフッ素樹脂被膜20を形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、下塗り層及びトップコート層の2層構造のフッ素樹脂被膜を形成したものであってもよいことはいうまでもない。
また、上述した実施例では、布製のバフを使用し、研磨圧力588kPa前後、回転速度2800回/分で2分間バフ研磨を行っているが、これに限定されるものではなく、研磨圧力、回転速度及び研磨時間は、形成されたフッ素樹脂被膜の表面性状に応じて適宜設定すればよく、研磨圧力は294〜981kPa、回転速度は2000〜3000回/分、研磨時間は1〜5分の範囲内で設定することが望ましい。
また、上述した実施例では、IHヒータ対応のフライパンについて説明したが、これに限定されるものではなく、本発明は、IHヒータに対応していないフライパンや、ホットプレート、鍋、炊飯器の内釜等の種々の加熱調理器具に適用することができる。
本発明は、例えば、フライパン、鍋等の種々の加熱調理器具に利用することができる。
1 フライパン
10 パン本体
20 フッ素樹脂皮膜
21 下塗り層
22 ミドルコート層
23 トップコート層
30 発熱板
31 小孔
10 パン本体
20 フッ素樹脂皮膜
21 下塗り層
22 ミドルコート層
23 トップコート層
30 発熱板
31 小孔
Claims (2)
- 被調理物が接触する調理面がフッ素樹脂被膜によって形成されている加熱調理器具において、
前記調理面は、JIS B 0601−2001に準拠して測定された算術平均高さ(Ra)が0.5μm以下、最大高さ(Rz)が4.0μm以下の表面粗さを有していることを特徴とする加熱調理器具。 - 請求項1に記載の加熱調理器具の製造方法であって、
金属製の器具本体の内面にフッ素樹脂加工を施すことによって、被調理物が接触する調理面となるフッ素樹脂被膜を形成した後、そのフッ素樹脂被膜の表面をバフ研磨することを特徴とする加熱調理器具の製造方法。
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JP2014168125A JP2016042942A (ja) | 2014-08-21 | 2014-08-21 | 加熱調理器具及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2016042942A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN108324081A (zh) * | 2017-01-17 | 2018-07-27 | 佛山市顺德区美的电热电器制造有限公司 | 锅具的制备方法、锅具及烹饪器具 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS537741A (en) * | 1976-07-12 | 1978-01-24 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | Resin coating of cooking pot etc. |
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2014
- 2014-08-21 JP JP2014168125A patent/JP2016042942A/ja active Pending
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