JP2016041825A - 止血フォームインプラントのインサイチュ形成 - Google Patents

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Abstract

【課題】止血フォームインプラントのインサイチュ形成の提供。
【解決手段】ポリマーフォームに関連するシステムおよび方法を一般的に記載する。一部の実施形態は、ポリマーフォームの調製のための組成物および方法、ならびに該ポリマーフォームの使用方法に関する。該ポリマーフォームは体腔に適用され得、例えば、組織、損傷組織、内部器官などと接触させられ得る。一部の実施形態では、ポリマーフォームを体腔内で形成させてもよい(すなわち、インサイチュフォーム形成)。また、該発泡ポリマーは、体腔の内側表面に圧力を与え、体液(例えば、血液など)の移動を抑制または制限し得るものである。
【選択図】図1

Description

発明の分野
ポリマーフォームに関連するシステムおよび方法が一般的に記載される。
関連出願への相互参照
本出願は、2010年8月24日に出願された米国出願第12/862,362号(名称「Systems and Methods Relating to Polymer Foams」)の一部継続出願であり、該米国出願第12/862,362号は、2009年8月24日に出願された米国仮特許出願第61/236,314号(名称「Systems and Methods Relating to Polymer Foams」)、および2010年7月27日に出願された米国仮特許出願第61/368,095号(名称「Fiber Composite Structure」)への優先権を主張し、これらは、全ての目的のために、参考として本明細書に援用される。
背景
体液喪失の早期安定化は創傷の処置において重要であり得る。例えば、多くの損傷は、有効な出血のコントロールおよび手術による外科的介入が速やかに行なわれれば、処置可能である。しかしながら、多くの状況では、外科的ケアへの即時のアクセスができない。内部の創傷は、従来の処置手法(例えば、出血阻止するための加圧など)をかかる創傷に行なうことが困難であるため、かかる状況において処置することが特に困難であり得る。
創傷の処置におけるポリマーの使用は当該技術分野でよく知られている。しかしながら、ポリマーで創傷を処置するためのこれまでの材料および方法は、さまざまな欠点をもつものであった。例えば、多くのポリマーは、皮膚および/または内部組織を刺激するものであるか、あるいは体腔内部での使用に適するのに十分に生分解性ではない。さらに、多くのポリマーは、体内において有用であるのに好適な機械的特性も欠如している;硬質すぎるポリマーでは不快症状またはさらなる損傷がもたらされることがあり得、一方、軟質すぎるポリマーでは内部組織に対する十分な支持がもたらされないことがある。
最後に、ポリマーを体腔内に置くことが困難な場合がある。
発明の概要
ポリマーフォームに関するシステムおよび方法を提供する。本発明の主題は、一部の場合では、相互関連製品、具体的なある問題に対する別の解決策、ならびに/または1つ以上のシステムおよび/もしくは物品の複数の異なる使用に関するものである。
一態様において、本発明は、流動性ポリマー処方物を体腔内に導入すること、該ポリマー処方物を体腔内で発泡させてエラストマーのポリマーフォームを生成させること、および体腔内での出血を、該エラストマーのポリマーフォームがない場合に本質的に同一の条件下で起こる出血の量と比べて、抑制または制限することを含む方法を含む。
一部の特定の実施形態において、該方法は、ポリオールとポリ酸の縮合ポリマーを体腔内で架橋させること、縮合ポリマーを体腔内で発泡させてエラストマーのポリマーフォームを生成させること、および体腔内での体液移動を、該エラストマーのポリマーフォームがない場合に本質的に同一の条件下で起こる体液移動の量と比べて、抑制または制限することを含む方法を含む。
一部の特定の実施形態において、本発明は、流動性ポリオールおよびポリイソシアネートの混合物を体腔内に注入すること、該ポリマー処方物を体腔内で発泡させてエラストマーのポリマーフォームを生成させること、および体腔内での出血を、該エラストマーのポリマーフォームがない場合に本質的に同一の条件下で起こる出血の量と比べて、抑制または制限することを含む方法を含む。
別の態様において、本発明は、2成分処方物(two part formulation)を体腔内に導入し、該処方物を発泡させ、該処方物を架橋させ、体腔内での体液移動を、該フォームがない場合に本質的に同一の条件下で起こる体液移動の量と比べて、抑制または制限することにより、フォームを体腔内で形成する方法を含む。一部の特定の実施形態において、該処方物および/または該フォームは、体液移動の抑制または制限に好都合な物理的特性、例えば、親水性、疎水性、吸湿性または水との混和性、フォームの膨張度、フォームの密度、フォームの軟質性、処方物の粘度、および処方物からのフォーム形成の動態を有するものであり得る。
別の態様において、本発明は、組織の接着を抑制するためにポリマーフォームを2つの組織の間に置くことを含む方法を含む。
他の態様において、本発明は、上記の方法を行なうのに有用なフォーム、組成物、処方物、生成物、キットおよびシステムを含む。
本発明により、当該技術分野でこれまでに知られていない利点が提供される。例えば、本発明のポリマーは、閉鎖体腔内に、損傷部位(1つまたは複数)の特定の知識を必要とすることなく配置することができ、それでも、該腔において存在している活動性出血損傷部との形状適応性(conformal)の接触がもたらされる。本発明の他の利点および新規な特徴は、本発明の種々の非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から、添付の図面とともに考慮すると自明となろう。本明細書および参考として組み込まれる文献に、対立および/または矛盾する開示内容が含まれる場合は、本明細書が優先するものとする。参考として組み込まれる2つ以上の文献に、互いに関して対立および/または矛盾する開示内容が含まれる場合は、発効日が遅い方の文献が優先するものとする。
したがって本発明は以下の項目を提供する:
(項目1) 体液移動を制限するための医療用インプラントを形成するためのシステムであって、
ポリオールを含む第1の組成物を内包する第1のチャンバ;
多官能性イソシアネートを含む第2の組成物を内包する第2のチャンバ;および
該第1の組成物を該第2の組成物と接触させて、ポリウレタンフォームを形成する機構を備える、システム。
(項目2) 上記第1の組成物が50重量パーセントまでのポリエチレンオキシドを含む、項目1に記載のシステム。
(項目3) 上記第1の組成物が25重量パーセントまでのポリエチレンオキシドを含む、項目2に記載のシステム。
(項目4) 上記第1の組成物が20pphpまでの水を含む、項目1に記載のシステム。
(項目5) 上記第1の組成物が10pphpまでの量のアミン触媒を含む、項目1に記載のシステム。
(項目6) 上記ポリオールが、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリエステルならびにそのコポリマーおよびブレンドからなる群より選択される、項目1に記載のシステム。
(項目7) 上記イソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、およびMDI異性体の混合物のうちの1つである、項目1に記載のシステム。
(項目8) 上記第1の組成物が、界面活性剤、鎖延長剤、細孔開放剤、充填剤、および可塑剤のうちの1つを含む、項目1に記載のシステム。
(項目9) 上記イソシアネートが準プレポリマーおよび真プレポリマーからなる群より選択される、項目1に記載のシステム。
(項目10) 上記第1の組成物および上記第2の組成物が1センチポイズ〜3,000センチポイズの粘度を有する、項目1に記載のシステム。
(項目11) 上記第1の組成物および上記第2の組成物のうち一方が発泡剤を含む、項目1に記載のシステム。
(項目12) 上記機構が、静的混合ノズル、動的混合ノズル、シリンジプランジャーおよびインペラーのうちの1つである、項目1に記載のシステム。
(項目13) 上記フォームが240秒までの立ち上がり時間を特徴とするものである、項目1に記載のシステム。
(項目14) 体液移動を制限するための医療用インプラントを形成するためのシステムであって、
50重量パーセントまでのポリエチレンオキシドを含むポリオール、10pphpまでのアミン触媒、および20pphpまでの水を含む第1の組成物を内包する第1のチャンバ;
多官能性イソシアネートを含む第2の組成物を内包する第2のチャンバ;ならびに
該第1の組成物を該第2の組成物と接触させて、ポリウレタンフォームを形成する機構を備えており;
該フォームは、身体組織と接触させられたときに、出血または体液の流れを抑制、制限またはコントロールするように構成される、
システム。
(項目15) 上記第1の組成物が25重量パーセントまでのポリエチレンオキシドを含む、項目14に記載のシステム。
(項目16) 上記第1の組成物が20pphpまでの水を含む、項目14に記載のシステム。
(項目17) 上記ポリオールが、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリエステルならびにそのコポリマーおよびブレンドからなる群より選択される、項目14に記載のシステム。
(項目18) 上記イソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、ポリマーMDI、およびMDI異性体の混合物のうちの1つである、項目14に記載のシステム。
(項目19) 上記イソシアネートが準プレポリマーおよび真プレポリマーからなる群より選択される、項目14に記載のシステム。
(項目20) 上記第1の組成物および上記第2の組成物が1センチポイズ〜3,000センチポイズの粘度を有する、項目14に記載のシステム。
(項目21) 体液移動を制限するための医療用インプラントを形成するためのシステムであって、
ポリオールを含む第1の組成物を内包する第1のチャンバ;
多官能性イソシアネートを含む第2の組成物を内包する第2のチャンバ;
該第1の組成物を該第2の組成物と接触させて、ポリウレタンフォームを形成する機構;および
該フォームを身体組織と接触させて、出血または体液の流れを抑制、制限またはコントロールするための使用説明書
を備える、システム。
図面の簡単な説明
本発明の非限定的な実施形態を、添付の図面を参照しながら一例として説明する。添付の図面は模式的であり、一定の縮尺での図示を意図していない。図において、図示した同一またはほぼ同一の各要素は、典型的には1つの数字で示している。明瞭性重視のため、当業者が本発明を理解するのに図示が必要でない場合は、図ごとにすべての要素に符号を示しているとは限らず、本発明の各実施形態のすべての要素を図示しているとも限らない。図において:
図1A〜1Cは、一組の実施形態によるポリマーフォームの形成の模式図を含む。 図2A〜2Bは、ポリマーの架橋の例示的な模式図を含む。 図3は、一組の実施形態による架橋およびガス発生の模式図を含む。 図4A〜4Cは、ポリマーフォームの形成の例示的な模式図を含む。 図5は、本発明の一部の特定のフォームの体積膨張を含む。 図6は、本発明の一部の特定のフォームの水分取込みの値を含む。 図7は、本発明の一部の特定の処方物の立ち上がり時間およびクリーム時間の値を含む。 図8は、本発明の処方物およびフォームを評価するために使用されるインサイチュ付着アッセイの例示的な模式図を含む。 図9は、インサイチュ付着アッセイでの試験後のフォームの例示的な写真を含む。 図10は、インビボ付着アッセイでの試験後の本発明のフォームの例示的な写真を含む。 図11は、本発明の一部の特定のフォームの50%圧縮時の圧縮力の値を含む。 図12A〜Cは、インビボ付着アッセイで評価した本発明の一部の特定のフォームの50%圧縮時の圧縮力、腹内圧、およびピーク気道内圧の値を含む。 図13は、本発明の一部の特定のフォームの流体抵抗の測定値を含む。 図14は、本発明の一部の特定のフォームの流体取込みおよび孔径の値を含む。 図15は、インビボ付着アッセイで評価した本発明の一部の特定のフォームの失血の測定値を含む。 図16は、インビボ付着アッセイで評価した本発明の一部の特定のフォームの正味付着スコアに対してプロットした失血の測定値を含む。 図17は、突出部を有するインビボ付着アッセイで評価した本発明のフォームの写真を含む。 図18は、種々のフォーム機能による本発明のフォームの可能性の表示を含む。 図19は、インビボ試験のための半定量的輸送スコアリングシステムを示す。 図20は、材料のインビボ輸送スコアのまとめ含む。悪性度Vの脾臓損傷で4つの脾臓片および6つの切断表面を作り出す。各々を半定量的輸送スコアリングシステムを用いてスコアリングした。累積スコアおよび2より大きいスコアを有する縁部の数を右側にまとめている。 図21は、高い正味付着スコアを有する材料の特徴のまとめを含む。 図22は、低い正味付着スコアを有する材料の特徴のまとめを含む。 図23は、低度失血の材料の特徴のまとめを含む。 図24は、高度失血の材料の特徴のまとめを含む。 図25は、ポリオールをイソシアネートで架橋させることにより形成される例示的なポリウレタンフォーム組成物に含まれる材料のリストを含む。
詳細説明
ポリマーフォームに関連するシステムおよび方法を一般的に記載する。一部の実施形態は、ポリマーフォームの調製のための組成物および方法、ならびに該ポリマーフォームの使用方法に関する。該ポリマーフォームは体腔(例えば、限定されないが、腹腔、骨盤腔、および心胸郭腔)に適用され得、例えば、組織、損傷組織、内部器官などと接触させられ得る。一部の実施形態では、ポリマーフォームを体腔内で形成させてもよい(すなわち、インサイチュフォーム形成)。また、該発泡ポリマーは、体腔の内側表面に圧力を加え、体液(例えば、血液など)の移動を抑制または制限し得るものである。本発明のフォームは、場合によっては蛇行性の体腔内の、未知のまたは可視化することができない創傷部位からの圧迫できない出血を処置するために使用され得る。本発明の一部の特定の組成物は、体腔内に堆積させて反応させると創傷部位内またはその近位でポリマーフォームを形成するものであり得、このフォームにより創傷部位に圧力が加わるか、または創傷部位からの流体の流れが制限され得る。あるいはまた、本発明の組成物は、創傷部位の遠位に堆積させると、体腔を満たす体積に膨張するフォームが作り出されるものであり得、創傷との緊密な付着が達成され、それにより創傷に圧力が加わるか、または創傷からの流体の流れが制限される。
該ポリマーフォームは、体内での使用に特に適したものとなる特質を有するものであり得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載のフォームを形成するために使用されるポリマーは生体適合性のものであり得る。また、該ポリマーは一部の場合では生分解性であってもよい。一部の場合では、該ポリマーは十分に弾性であり、体内移動は可能であるが身体組織を支持するのに十分に硬質であり得る。一部の実施形態では、該ポリマーの組成は、組織を有効に湿潤させるように調整され得る。さらに、組織または損傷組織への該ポリマーの標的化接着を可能にするペンダント基を結合してもよい。また、該フォームを形成するために使用される該ポリマーの官能化によって、体腔内部表面に対する該フォームの共有結合をもたらしてもよく、これにより、例えば、該腔内での該フォームの転置の抑制が補助され得る。
本明細書に記載の材料および方法では、従来の創傷処置方法と比べていくつかの利点が示される。例えば、本明細書に記載の一部の実施形態では、直接的な体腔へのポリマーの送達、および体腔全体へ行き渡ることが可能である。該ポリマーの粘度および湿潤特性は、該ポリマーが創傷腔内に容易に注入され、一部の場合では、体腔を満たし、1つ以上の組織表面をコーティングし、および/または体腔内で架橋する急速膨張性のエラストマーのフォームが形成されるように調整することができる。また、該ポリマーは、外部刺激(例えば、UV照射、熱など)による該ポリマーフォームの分解を可能にする実体を含むものであってもよい。また、該ポリマーおよび/または該ポリマーから形成されるフォームは、造影剤と相互作用し、体腔の可視化を可能にし得るものであってもよい。
本明細書に記載のポリマーフォームのさらなる利点を、以下にさらに詳細に記載する。
該ポリマーフォームはさまざまな適用に使用され得る。一部の実施形態では、該ポリマーフォームは、器官(例えば、肝臓、脾臓など)からの体液喪失に対する支持をもたらすため、および/または体液喪失を安定化させるために使用され得る。かかる使用は、ダメージを受けた器官または組織の処置において、例えば、鈍的外傷による損傷において好都合であり得る。また、該ポリマーフォームを、身体組織の喪失によって作り出された体腔を満たすために使用してもよい。本明細書で用いる場合、「体腔」は、体内に存在する任意の空間(例えば、皮膚の外表面における空間)をいう。体腔は、一部の場合では、身体周囲の外部環境に露出している場合があり得ることに注意されたい(例えば、開放創または外科的切開部の場合など)。一部の実施形態では、ポリマーフォームを閉じられた体腔内で形成または存在させてもよく、これは、例えば、該ポリマーを体腔内に置き、該ポリマーまたはポリマーフォームが外部環境に露出しないように切開部を閉じることによる。本明細書に記載の実施形態では、体腔内において特に好都合な用途が見出され得るが、該ポリマーフォームの用途は体腔に限定されず、例えば、火傷および他の外傷を処置するためにも使用され得る。
以下に、ポリマーフォームおよびポリマーフォームに関連する方法の例を示す。特に、ポリマーを発泡させてポリマーフォームを形成するためのシステムおよび方法を、以下に、一組の実施形態とともに記載する。図1A〜1Cは、体腔内でのポリマーフォームの形成の模式図を含む。本明細書で用いる場合、「ポリマーフォーム」は、少なくとも一部がポリマーを含む材料で囲まれた複数の気泡(すなわち、容積)を含む物品をいう。フォーム内の気泡は連続型であっても独立型であってもよい。フォーム内の気泡は任意の適当な大きさであり得る。一部の実施形態では、ポリマーフォームは少なくとも10個の気泡、少なくとも100個の気泡、少なくとも1000個の気泡、少なくとも10,000個の気泡またはそれ以上を含むものであり得る。
図1Aは、ポリマーフォームが形成され得る体腔10を含む。図1Bでは、ポリマー材料12が腔10に供給源14から供給されている。ポリマー材料は、ポリマーフォームの形成プロセスにおいて、例えば互いに架橋し得る複数種のポリマーを含むものであってもよい。一部の実施形態では、ポリマー材料は、キャリアの流体が実質的に存在しない流体ポリマーを含む。他の場合では、ポリマー材料において該複数のポリマーをキャリアの流体(例えば、液状懸濁媒質など)に懸濁させる。用語「ポリマー」は、当該技術分野におけるその通常の意味を示し、複数のモノマーを含む分子を示すために用いている。一部の実施形態では、ポリマーは、約100個未満、約50個未満、約25個未満または約10個未満のモノマー単位を含むものであり得る。一部の実施形態では、ポリマーは、約2〜約100個、約2〜約50個、約2〜約25個、約5〜約50個、または約5〜約25個のモノマー単位を含むものであり得る。ポリマー材料中のポリマーは、数ある機能の中でも、該ポリマーが、例えば、互いに架橋すること、体腔内の組織または他の物質に結合すること、被験体の血流中の薬剤(例えば、イメージング剤、架橋剤など)と相互作用することを可能にするさまざまな官能基を含むものであり得る。
供給源14は、当業者に知られた任意の適当な供給源を含み得る。一部の実施形態では、供給源14は、内部をポリマー材料12が通過し得る任意の適当な容器を含む。例えば、一部の実施形態では、供給源は、内部をポリマー材料が流動する1つ以上のバレルを有するシリンジを含むものであり得る。一部の実施形態では、供給源は、ポリマー材料が圧力下にある容器を含むものであり得、該容器が減圧されると容器からポリマー材料が放出される(例えば、エーロゾル缶の場合のように)。かかる実施形態において、ポリマー材料は例えばスプレーとして適用され得る。該容器は、当業者に知られたいくつかの加圧手段を含むものであってもよい。例えば、製造環境内で充填プロセス中に容器を加圧してもよく、使用直前に圧力を発生させてもよい。一実施形態では、容器内で1つ以上の圧力発生化学反応が行なわれ得、ユーザーが反応を開始させ、圧力が増大するのを待ち、該材料が放出される。別の実施形態では、圧力を、手動でハンドポンプ、クランクまたは回転式デバイスによって発生させ得る。また、該容器は、体内に導入され、該材料が該腔内において流動することを可能にするアタッチメント(ベレスニードルもしくはノズルなど、または当業者に知られた他の手段)を有するものであってもよい。該導入体の先端の開口部は、該ポリマーを該腔内であらゆる方向に分布させるために多方向性にしてもよい。該アタッチメントまたは導入体は、剛性、軟質性、直線状、柔軟性または蛇行路に形状適応可能なものであり得る。導入体は、丈夫な腹壁および筋肉を貫通して腹腔に容易に進入するための種々の先端を有するものであり得る。また、これは、器官、腸、腸管を穿孔から保護する柔軟性または格納式の先端を有するものであってもよい。これは、ノンコアリングおよび無外傷性である形状のものであってもよい。表面仕上げまたはコーティング(PTFEまたはシリコーンなど)を導入体の一部または全部に適用してこれを潤滑性にし、体内への導入を容易にしてもよい。さらに、表面仕上げまたはコーティングを導入体の一部または全部に適用し、導入されたら適所に保持されるようにしてもよい。表面仕上げまたはコーティングは指向性であり得、挿入は容易だが外れにくくすることが可能である。
一部の実施形態では、該ポリマー材料中のポリマーは体腔内で架橋し得るものである。用語「架橋する」は、第1のポリマー鎖上のペンダント基が第2のポリマー鎖(例えば、第2のポリマー上のペンダント基)または他の分子(1種類もしくは複数種)と反応して該2つのポリマーを連接する共有結合またはイオン結合が形成され得るプロセスをいうために用いている。架橋が行なわれ得るポリマーは、直鎖、1つまたはそれより多いアーム(すなわち、マルチアーム型の鎖)を有する分枝鎖、またはこれらの混合物を含み得る。一部の場合では、該ポリマー(分枝および/または非分枝)は、反応性の側鎖および/または反応性の末端基(すなわち、ポリマー鎖の終末部の基)を含むものであってもよく、架橋は、側鎖間、末端基間および/または側鎖と末端基との間の反応を伴うものであり得る。例えば、図2Aにおいて、ポリマー20および22は、モノマー26とモノマー28との間の結合24(これは、共有結合性の1つの結合、または多数の原子間の共有結合性の複数の結合を含み得る)で架橋されている。また、結合30が非末端モノマー32と末端モノマー34との間に形成されている。図2Bでは、分枝ポリマー40および42がモノマー46と末端モノマー48との間の結合44で架橋されており、結合50がモノマー52と54との間にある。一部の場合では、ポリマー材料は、末端モノマーに反応性基を含むポリマーを実質的に含有していないものであり得る。他の場合では、ポリマー材料は、末端モノマーに反応性基を有するポリマーを相当な量で含むものであり得る。一部の実施形態(例えば、分枝ポリマーが使用される一部の場合)において、比較的多くの割合の架橋反応(例えば、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または実質的にすべての架橋反応)が末端の反応性基間で起こり得る。
架橋はさまざまな機構によって開始され得る。一部の実施形態では、ポリマーは、例えば、体腔内で湿気(例えば、水、血液、水性溶液など)と接触すると架橋し得るものである。架橋は、一部の実施形態では、アクリレート基、メタクリレート基、ビニル基、桂皮酸基またはアクリルアミド基によって行なわれ得る。かかる基は、紫外線照射の適用によって架橋され得、外的発泡剤とともに使用され得る。一部の場合では、架橋開始剤を体腔が存在する被験体に導入し(例えば、血流によって、該開始剤と該ポリマーが送達前に混合されないような送達系の別個の容器によって、など)、ポリマーの架橋を開始させてもよい。例えば、フリーラジカル開始剤(エオシンまたは2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなど)が、アクリレート基、メタクリレート基またはビニル基を有するポリマーの架橋の開始に使用され得る。架橋をもたらすために対にされ得るポリマー鎖上の反応性基の他の例としては、限定されないが、ヒドロキシルとイソシアネート、アミンとNHS−エステル、チオールとマレイミド、アジドとアルキン(すなわち、「クリックケミストリー」)、酸塩化物とアルコール、および好ましい実施形態ではイソシアネートとポリオールが挙げられる。一部の実施形態では、体腔外での不要な架橋を抑制するために、このような対の化学物質を、体腔内に導入するまで離して維持することが望ましい場合があり得る。例えば、該ポリマーはアジド官能基を含むものであり得、アルキンは体腔に、該ポリマーを導入するために使用される容器とは別の容器から導入され得る。また、一部の実施形態では、このような化学反応を外的発泡剤とともに使用してもよい。ポリマー材料が架橋するにつれて、その粘度は増大し得る。一部の場合では、架橋は、実質的に固形の物質(例えば、固形のエラストマーのフォーム)が形成されるまで進行する。
再度、図1の例を参照されたい。ポリマー材料12(および/または該ポリマー材料の架橋もしくは部分架橋生成物)を発泡させると、図1Cに示すようにポリマーフォーム16が形成される。該フォームは、例えば、ガスをポリマー材料中に導入することにより形成され得る。ガスが該ポリマーに供給されると、ガスが該ポリマー中に分散し(例えば、泡として)、フォームの気泡が形成され得る。該ポリマー中へのガスの分散によって、図1Cに示すように、実質的に体腔を満たすような該ポリマーの膨張がもたらされ得る。一部の場合では、発泡工程は、例えば、加水分解反応によって、または異なるポリマー鎖上の官能基間の反応の副生成物としてガスが発生する、ポリマーの自己膨張を伴うものであり得る。したがって、一部の実施形態では架橋と発泡が実質的に同時に起こり得る。フォームの自己膨張により、該ポリマーが、その他の場合では到達が困難であり得る体腔の間隙領域へと推進され得る。また、自己膨張性のフォームにより、体腔の壁面に対する内部圧迫がもたらされ得る。
一部の実施形態では、発泡工程は、架橋工程に依存せずに、発泡ガスを形成する。例えば、発泡工程は、ポリマー材料とは別のガスの導入によって行なわれ得る。一部の場合では、空気、COまたは他の物質を含むガスが体腔内に、外部供給源(例えば、シリンジまたは任意の他の適当な容器)から導入され得る。次いで、このガスはポリマー材料(または架橋生成物)に行き渡り、該材料中に泡が形成され得、これにより、その周囲でポリマー材料が架橋するにつれてフォーム内にボイドが形成され得る。ガスが外部供給源から供給される場合において、ガスの供給源は、ポリマー材料の供給源と同じであっても異なっていてもよい(例えば、図1の14)。
一部の実施形態では、ガスは、ポリマーまたは架橋生成物の一部分の化学反応の生成物として供給され得る。例えば、一部の実施形態では、発泡工程は、ポリマーまたは架橋生成物上の1つ以上のペンダント基を反応させてガス状生成物を形成させることを含む。ガス生成ペンダント基は、体腔内の別の物質と接触すると反応し得るものである。例えば、一部の場合では、ガス生成基は、体腔内の湿気と接触すると反応し得るものである。一部の場合では、ガス生成ペンダント基は、ポリマー材料とは別に(例えば、血流によって、ポリマー材料の供給源とは別の外部供給源から、など)体腔に供給された化学物質と反応し得るものである。一部の実施形態では、ポリマー鎖上のガス生成ペンダント基は、体腔に供給される別の成分と反応し得るものである。一部の実施形態では、ポリマーまたは架橋生成物はCO生成基を含むものであり得る。CO生成基の例としては、限定されないが、イソシアネート基、カーボネート、ビカーボネート、およびカルバメートが挙げられる。かかる基は、例えば酸と反応させるとCOガスを生成し得るものである。一部の場合では、CO生成基としては、以下に示すN−ヒドロキシスクシンイミドカーボネート:
が挙げられ得る。一部の場合では、CO生成基としては、以下に示すイミダゾールカルバメート:
が挙げられ得る。
上記のように、一部の実施形態では、発泡工程と架橋工程は実質的に同時に行なわれる。一部の場合では、発泡工程と架橋工程は、実質的に同時に行なわれ得るが、互いに独立状態に維持され得る。例えば、ポリマー材料は、体腔内で水と反応させることにより架橋され得、実質的に同時に、ガスがポリマー材料に外部容器から導入され得る。別の実施形態では、ガス発生基を含む第1の物質の、第2の薬剤(例えば、体内の水分、別個に供給した水、または化学物質添加剤)との接触によりガスが生成され得る一方、第3の物質との接触または相互作用により架橋をもたらす。例えば、送達時に、イソシアネート基を有するポリマーAが、水およびポリマーBと混合され得、このとき、前者によって二酸化炭素の発生が引き起こされて該材料が発泡し、ポリマーBはポリマーAのイソシアネートと反応してポリマーAとBとの間に架橋網目を形成するヒドロキシル基を含むものであり得る。
発泡工程と架橋工程は、一部の場合では、同じ反応プロセスの一部であり得る。例えば、1つ以上の反応によりガス状副生成物が生成され得、これが、ポリマーフォームを形成するためのガスを供給する機能を果たすが、並行して、架橋を可能にする新たな官能基が生じる。ガス状の副生成物はポリマー内にトラップされて合体し、泡が形成され得る。反応が進行するにつれて、ガスの泡の形成、成長および膨張によってポリマー体積が拡大し、体腔の間隙領域内に押し込まれ得る。ポリマーが架橋するにつれて、3次元のフォームが体腔内に形成され得る。体積拡大および架橋によって体腔表面をコーティングしてシールする機能が果たされ得、状況によっては内部圧迫がもたらされ、これは、例えば出血阻止に有用であり得る。また、ポリマーまたはポリマーの架橋生成物中に含有されるガスの量を増大させるために、かかる反応スキームをガスの外部供給(例えば、外部容器内のCO)と組み合わせてもよい。
図3は、架橋とガス発生が同時に起こるシステムの例示的な模式図を含む。ポリマー310および312は生分解性の主鎖314を含む。また、該ポリマーは、ペンダント基を結合するためのリンカー領域316を含むものであってもよい。また、該ポリマーは、該ポリマーを所望の部位(例えば、ダメージを受けた組織)に結合するために使用され得る標的化リガンド318を含むものであってもよい。また、図3のポリマーは、該材料を同時に固化および発泡させ得る架橋部位320を含む。該ポリマーが体腔内の化合物322(例えば、水)に曝露されると、架橋部位からガス324が放出され、これにより官能基326が生じ、この官能基が別のポリマーと反応して架橋構造328が生成され得る。
本明細書に記載した発泡機構はすべて、任意の実質的な架橋が起こる前、またはポリマー材料もしくはポリマー材料の架橋生成物の架橋中に起こり得るものである。例えば、一部の場合では、外的ガスが、実質的に架橋されていないポリマー材料中に導入され、分散され得る。次いで、ポリマー材料が泡の周囲で架橋し、フォームが形成され得る。かかる場合では、ポリマー材料の粘度は、該材料が架橋を必要とすることなくその体積内に泡を保持できるように選択され得る。一部の実施形態では、ガスをポリマー材料に導入する前に少なくとも一部の架橋が行なわれ得、完全に固化していない部分架橋ポリマー材料中にガスを分散させ、フォームを形成する。
架橋および/または発泡は、一部の場合では、イソシアネート化学を用いて行なわれ得る。イソシアネート基は、水および湿気に曝露されたとき比較的不安定である。イソシアネート基が水または湿気(または他の化合物)に曝露されると、モデルのリシンイソシアネートで以下に示すように、該基の分解、結合しているポリマーの架橋、および二酸化炭素の放出がもたらされ得る。
上記の機構において、イソシアネートは部分加水分解されてアミンが生成され、これが、未反応の非加水分解イソシアネートと反応し得る(上記に示したとおり)。なんら理論に拘束されることを望まないが、架橋構造は、アミン−イソシアネート反応速度がイソシアネート加水分解速度と同程度であるかそれよりも速い場合があるために生成され得、これらの官能基間で鎖間反応が起こり、最終的に架橋構造が形成される。また、ポリマー上のイソシアネートは、組織のアミン基(例えば、タンパク質中のリシン)とも反応することができ、これにより組織との共有結合が形成され、流体が喪失する部位(例えば、出血部位)のシールがさらに強化され得る。また、イソシアネートの加水分解反応によりCOが生成され、単一の反応スキームにおいて同時の架橋とガス生成が可能になる。
一部の特定の実施形態において、ポリウレタンフォームは、ポリオールを多官能性イソシアネートで架橋させることにより作製され得る。かかる実施形態における使用に適したポリオールとしては、ポリエーテル系およびポリブタジエン系のポリオールが挙げられる。特に重要なポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(PPG)およびポリエチレングリコール(PEG)、ならびにそのランダムおよびブロックコポリマーが挙げられる。また、ポリカーボネート、ポリブタジエン、およびポリエステルも使用に好適である。ジオール、トリオールおよびテトラオールが最も好ましいが、任意の適当な数のアームを有する多官能性のポリオールも使用され得る。100〜10,000Daの分子量が好ましく、6,000Daまでの分子量が最も好ましく、異なる分子量、分枝度および組成を有するポリマーのブレンドが多くの場合で使用される。特に重要な市販のポリマーとしては、ポリプロピレングリコール(425,1200Da)、ポリエチレングリコール(200,400,600,1000,2000,3000Da)、Pluracol製品(355,1135i,726,816)、Arch Poly−G 30−240、Poly−G 76−120、Poly−G 85−29、トリメチロールプロパンエトキシレート(450,1014Da)、ペンタエリスリトールエトキシレート(797Da)、UCON 75−H−1400、UCON 75−H−9500、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、およびテトラエチレングリコールが挙げられる。好ましい実施形態では、本発明において使用されるポリオールは、0〜50wt%、より好ましくは0〜40wt%、より好ましくは0〜30wt%、より好ましくは0〜25wt%、最も好ましくは0〜16.5wt%のポリエチレンオキシド含量を有するものである。また、本発明において使用されるポリオールが10pphpまでの量のアミン触媒、20pphpまでの含水量、10pphpまでの量の界面活性剤、および300pphpまで(好ましくは250pphpまで、最も好ましくは15pphpまで)の希釈剤を含むものであることも好ましい。ポリオールを多官能性イソシアネートで架橋させることによって作製される本発明によるポリウレタンフォームの例を表7に示す。
かかる実施形態における使用に適したイソシアネートとしては、2.0より大きい官能度を有する任意のポリマーイソシアネートが挙げられ、最も有用な範囲は2.0〜2.7である。好ましいポリマーイソシアネートは、メチレンジフェニルイソシアネート(isocuanate)(MDI)を主体とするものである。また、イソシアネートの真プレポリマー(true−prepolymer)および準プレポリマー(quasi−prepolymer)も使用され得る。この場合、「準」プレポリマー、または半プレポリマーは、イソシアネート−対−アルコール比が化学量論の2対1の比より大きい多官能性イソシアネートとポリオールとの間の反応によって形成されるポリマーである。「真」プレポリマーまたは厳密プレポリマーは、イソシアネート−対−アルコール比が化学量論の2対1の比に等しい多官能性イソシアネートとポリオールとの間の反応によって形成されるポリマーである。
一部の場合では、イソシアネート基をポリマー中に、組織(例えば、ダメージを受けた血管)への結合を阻害することなく加水分解および架橋に利用され得るように位置させることが好都合な場合があり得る。一組の実施形態では、標的化ペプチド内のリシン基が、ジホスゲンとの反応によってイソシアネートに変換され得る。一部の場合では、イソシアネートの化学反応とペプチドの化学反応は、一部の側鎖をペプチドで修飾するとともに残りをイソシアネートで修飾することにより、完全に切り離すことができる。
本明細書に記載のポリマーフォームを形成するために発泡させるポリマーは、さまざまな化学反応を用いて形成され得る。一部の実施形態では、該ポリマーは合成ポリマーを含むものである。本明細書で用いる場合、「合成ポリマー」は、ヒトによる相互作用によって指向される反応の生成物であるポリマーをいう。例えば、合成ポリマーとしては、ヒトによる相互作用によって指向される天然または合成のモノマーまたはその組合せの反応によって合成されるポリマーが挙げられ得る。また、合成ポリマーの形成には、天然または合成ポリマーの鎖伸長が包含され得る。一部の実施形態では、合成ポリマーは自然界に見られないものである。他の場合では、合成ポリマーは、自然界に見られ得るが、ヒトによる相互作用によって(例えば、研究室の現場で)合成されたものである。一部の実施形態では、該ポリマーはポリα−ヒドロキシ酸を含むものであり得る。一部の場合では、該ポリマーはポリエステルを含むものであり得る。一部の場合では、該ポリマーはポリエーテル−ポリエステルブロックコポリマーを含むものであり得る。一部の場合では、該ポリマーはポリ(炭酸トリメチレン)を含むものであり得る。一部の実施形態では、該ポリマーの主鎖には、ポリヌクレオチド、タンパク質および多糖類のうちの少なくとも1種類が除外され得る。
一部の実施形態では、ポリマーフォームは、ポリオールとポリ酸の縮合ポリマーを架橋させることにより形成される。用語「ポリオール」および「ポリ酸」は、当該技術分野におけるその標準的な意味を示し、それぞれ、少なくとも2つのアルコール基および少なくとも2つの酸性基を含む化合物をいうために用いている。本明細書に記載のポリマーフォームを形成するために使用される縮合ポリマーの形成における使用に適したポリオールの例としては、限定されないが、グリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリカプロラクトン、ビタミンB6、エリトリトール、トレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、アルトリトール、ガラクトリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ラクチトール、イソマルト、およびマルチトールが挙げられ、ここで、ポリオール上に存在する官能基は任意選択的に置換されている。本明細書に記載のポリマーフォームを形成するために使用される縮合ポリマーの形成における使用に適したポリ酸の例としては、限定されないが、コハク酸、フマル酸、a−ケトグルタル酸、オキサロ酢酸、リンゴ酸、オキサロコハク酸、イソクエン酸、シス−アコニット酸、クエン酸、2−ヒドロキシ−マロン酸、酒石酸、リバル酸、アラバナル(arabanaric)酸、キシラル酸、アラル酸、アルトラル酸、ガラクテル(galacteric)酸、グルカル酸、マンナル酸、ジメルカプトコハク酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、リンゴ酸、またはビタミンB5が挙げられ、ここで、ポリ酸上に存在する官能基は任意選択的に置換されている。
一部の実施形態では、縮合ポリマーは、ポリ(グリセロール−セバケート)(PGS)を含むものであり得る。グリセロールとセバシン酸を用いてPGSを形成する例示的な合成経路を以下に示す。
一部の実施形態では、該ポリマーフォームは、下記式(I):
を含むポリマーを架橋させることにより形成され、式中、R1とZは同じであっても異なっていてもよく、各々、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アシルまたはカルボニル基(いずれも、任意選択的に置換されていてもよい)であり、nは1より大きい整数である。一部の実施形態では、R1および/またはZはガス生成基で置換されたものである。例えば、R1および/またはZは、CO生成基(例えば、イソシアネート)で置換されたものであり得る。
一部の実施形態では、該方法は、式(II):
を含むポリマーを架橋させることを含むものであり得、式中、RとRは同じであっても異なっていてもよく、各々、アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、ヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、複素環、アシルまたはカルボニル基(いずれも、任意選択的に置換されていてもよい)であり;xおよびyは負でない整数であり;Rは、水素、ガス発生官能基または組織結合ドメインであり得る。
一部の実施形態では、該ポリマーは、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)およびポリカプロラクトン(PCL)のクラスのポリマー、ならびにそのコポリマー、例えば、ポリ(乳酸−コ−カプロラクトン)またはポリ(グリコール酸−カプロラクトン)を含むものであり得る。ラクチド、グリコリドおよびカプロラクトンモノマーの種々の比率での共重合により、広範な機械的特性、熱特性および分解時間を有する物質が得られ得る。PLA/PGA/PCLコポリマーの構造(および関連する特性、例えば分子量など)は、一部の場合では、使用する開始剤の型およびモノマー(1種類または複数種)とのモル比を調整することにより調整することができる。
一部の実施形態では、該ポリマーはポリ(グリコール酸カプロラクトン)を含むものである。一部の場合では、PGCL組成物は、約50:50であるグリコリド対カプロラクトンの比を含むものである。PGCLの例示的な合成経路を以下に示す。ここでは、4アーム型分枝構造を形成するための開始剤として、ペンタエリスリトールを使用している。
ポリマーフォームを形成するために使用されるポリマーの特性は、所望の結果が得られるように調整し得る。例えば、一部の実施形態では、ポリマーの粘度を、該ポリマーが体腔に行き渡り、形状適応性の接触がもたらされ得るように調整する。過度に粘性のポリマーには、体腔内に配置されるのに過剰な圧力が必要とされ得る。また、過度に粘性のポリマーでは、該ポリマーが間隙空間に到達することが阻害され得る。過度に低粘度のポリマーでは、該材料が損傷部位に含有されることが困難となり得るか、または体液の流れによって押し退けられることがあり得る。当業者は、例えばポリマーの分子量を調整することにより、所与のポリマー型に対して所望の粘度を得ることができよう。一部の実施形態では、粘度および分子量はべき乗則と関連している。ポリマーの分子量は、例えば、該ポリマーを作製するために使用される重合反応の時間を制御することにより調整され得る。一部の実施形態では、ポリマーの分子量は約1000〜約10,000g/mol、または約1200〜6000g/molである。ポリマーの粘度は、例えば、任意の適当な低分子量で低粘度の化合物などの希釈剤を添加することにより調整され得、該化合物の例としては、トリアセチン、プロピレンカーボネート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、二酸のジメチルエステル(例えば、マロン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル)、ジメチルスルホキシド、および油類(植物、オリーブ、ヒマシなど)が挙げられる。ポリオールを含む実施形態では、ポリマー粘度を制御するために約300pphpまでの希釈剤を添加することが好ましい。
一部の実施形態では、ポリマーは、非晶質または半結晶性であり、室温より低いガラス転移温度(T)を有するものである。かかる特性により、一部の場合では、外部容器から圧力駆動式の流れによって分注され得る十分に低い粘度を有するポリマーが得られる。
一部の実施形態では、ポリマーの特性または組成は、所望の親水性または疎水性が得られるように選択され得る。ポリマーの親水性は、一部の場合では、体腔内の表面(例えば、組織表面)が適切に湿潤されるように選択され得る。一般に、物質の親水性が増大すると、軟質組織表面を湿潤させる傾向が大きくなる。しかしながら、ポリマーおよび得られるポリマーフォームは、一部の場合では、いくぶん疎水性であり得、そのため生体液中に溶解しない。適切に親水性であるポリマーは、体腔の内側表面を形状適応的に湿潤させるとともに該腔内に内包されて維持され得るものである。一部の実施形態では、ポリマーの組成は所望の親水性が得られるように選択され得る。例えば、一部の実施形態では、ポリマーを合成するために使用されるモノマーの鎖長は、親水性を変更するために変化させてもよい。具体的な一例として、二酸モノマーのカルボニル基間の炭素鎖長は、2個の脂肪族炭素〜8個の脂肪族炭素の間で変化させることができ、得られるポリマーにおいてある範囲の親水性がもたらされる。
一部の実施形態では、本明細書に記載のポリマーフォームは有利な機械的特性を有するものであり得る。一部の実施形態では、ポリマーフォームはエラストマーである。用語「エラストマー」は、本明細書で用いる場合、適用された応力によって相当に変形したところから近似形状に戻ることができるポリマーをいう。一部の場合では、本明細書に記載のエラストマーのポリマーフォームは、約0.05MPa〜約10MPa;0.05MPa〜約100MPa;および0.05MPa〜約500MPaの体積弾性率を有するポリマーを含むものであり得る。エラストマーのポリマーは、永久的に変形することなく応力に耐えることができるとともに、身体の器官および組織に対する十分な支持をもたらすことができるため、ポリマーフォームの作製における使用に特に好適であり得る。
体腔に曝露された後にポリマーフォームが形成されるのに必要とされる時間ならびにポリマーフォームの最終の機械的および物理化学的特性は、ポリマーの組成、ペンダント基(例えば、架橋基)の密度、およびペンダント基(例えば、架橋基)の相対位置などの要素に依存し得る。当業者は、望ましい物性を有するポリマーフォームを作製するためにペンダント基の濃度と位置を調整することができよう。
一部の実施形態では、ポリマーまたはポリマーフォームは生分解性のものであり得る。本明細書で用いる場合、「生分解性の」とは、物質が生理学的条件またはエンドソーム条件下でオリゴマー種またはモノマー種に分解され得るものであることを示す。語句「生理学的条件」は、本明細書で用いる場合、組織の細胞内液および細胞外液において直面する可能性が高い化学的(例えば、pH、イオン強度)および生化学的(例えば、酵素濃度)条件の範囲に関連している。一部の実施形態では、生理学的pHは約7.0〜7.4の範囲である。一部の実施形態では、生分解性物質は、加水分解によって分解されないが、十分に分解させる酵素作用によって十分に分解され得るものである。一部の場合では、生分解性物質は、加水分解によって、もしくは酵素によって分解可能なもの、またはその組合せである。一部の実施形態では、ポリマーまたはポリマーフォームは生分解性であるが、体腔内に存在している時間的尺度では生分解されないものである。かかる場合では、ポリマーフォームは、体腔内に挿入されている間は構造的に安定なまま維持され得るが、除去後に体腔内に残留しているポリマーフォームの残物(あれば)は生分解され得ることが確保される。例えば、一部の実施形態では、生分解性ポリマーフォームは、外科的介入によって該フォームを除去する前では体腔内で有意に生分解されないものである。
ポリマーまたはポリマーフォームは、一部の場合では生体適合性のものであり得る。当業者は、ISO−10993基準に基づいて生体適合性を判定することができよう。例えば、PGSは、生体適合性のISO−10993基準を満たしていることが知られている。一部の実施形態では、PGS主鎖に対する化学修飾(例えば、ペンダント基の結合など)は、その生体適合性を改変しないものである。一部の実施形態では、既知で許容され得るレベルの炎症がもたらされるポリマーを使用することがあり得る。かかるポリマーの例としては、ポリ−α−ヒドロキシ酸(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、およびポリカプロラクトン)ならびにポリ(炭酸トリメチレン)が挙げられる。
本明細書に記載のポリマーフォームは、一部の実施形態では、体腔内での体液移動を、該ポリマーフォームがない場合に本質的に同一の条件下で起こるであろう体液移動の量と比べて、抑制または制限するために使用され得る。「本質的に同一の条件」は、本文中において、ポリマーフォームの存在以外は同様または同一である条件を意味する。例えば、それ以外は同一の条件とは、体腔が同一であり、該腔内の条件が同一であるが、体腔内にポリマーフォームが存在していないことを意味し得る。一部の実施形態では、ポリマーフォームは、体腔内での出血の量を低減させるために使用され得る。また、ポリマーフォームを、胆汁または他の消化液、間質液または任意の他の適当な流体の移動を抑制または制限するために使用してもよい。一部の実施形態では、体液移動の抑制または制限は、血餅の固定化および/または安定化を含む。体液移動の抑制または制限は、一部の場合では、ポリマーフォームの気泡内への体液移動を含むことがあり得る。かかる気泡内への流体移動により、フォーム内での例えば、血餅または他の安定化構造の形成が補助され得る。
体液移動は、比較的長期間にわたって抑制または制限され得る。例えば、一部の実施形態では、ポリマーフォームは、体腔内での体液移動を少なくとも約3時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約3日間、または少なくとも約1週間抑制または制限し得るものである。
一部の場合では、体液移動は加圧によって抑制または制限され得る。例えば、ポリマーフォームの形成は、ポリマーの体積膨張を伴うものであり得る。一部の実施形態では、ポリマーの膨張により体腔内の表面に対する加圧がもたらされ得る。
一部の実施形態では、ポリマーフォームは、創傷腔内での出血の量を比較的迅速に低減させるために使用され得る。これは、例えば線溶亢進の回避において重要であり得る。一部の場合では、該ポリマーは、例えば、該ポリマーが迅速に架橋する官能基を有するように調整すること、触媒を添加すること、または他の既知の手段によって、迅速に架橋するように設計され得る。本発明の実施形態における使用のための好適な触媒としては、アミン系化合物、好ましくは第3級アミン、トリエチレンジアミン(TEDA、DABCO、DABCO 33−LV)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(Niax A1)、トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、1,2−ジメチルイミダゾールが挙げられる。また、フォームの細孔には血液がトラップされ得、鬱血領域内で凝固することが可能となり得る。また、出血の量が低減される速度は、反応性のペンダント基の量を調整することにより制御され得る。
また、ガス形成ペンダント基に加えて、他の活性因子をペンダント基として該ポリマーに含めてもよい。例えば、ポリマーフォームは、望ましい細胞応答(線維増殖、血管新生および上皮形成など)を刺激するために使用される基を含むものであってもよい。一部の実施形態では、ポリマーまたはポリマーフォームは体腔内の表面に、例えばペンダント基によって共有結合され得る。
一部の実施形態では、ポリマーまたは架橋生成物は、体腔内の組織または損傷組織(例えば、炎症組織、出血組織、創傷部位など)に結合し得る少なくとも1つのペンダント基(例えば、少なくとも1つのペンダント基)を含むものであり得る。組織または損傷組織に対するペンダント基の結合は、共有結合性であっても非共有結合性であってもよい。組織または損傷組織は、例えば、内皮下表面が露出している場合のように、非損傷組織内またはその近傍には存在しない1つ以上の分子を含むものであり得る。かかるペンダント基を含めることにより、ポリマーまたは架橋生成物は、非損傷組織と比べて組織または損傷組織に選択的に結合するものとなり得る。かかる結合により、一部の実施形態では体腔内での体液移動が制限または抑制され得る。ポリマーまたはポリマーフォーム上のペンダント基によって標的化され得る化学物質の例としては、とりわけ、例えば、フォン・ビルブラント因子、コラーゲン(例えば、コラーゲンI型およびIV型)、線維芽細胞増殖因子、ラミニン、エラスチン、活性化形態の局在凝固因子(例えば、フィブリン、トロンビン、第Xa因子など)が挙げられる。かかる使用のためにポリマーまたはポリマーフォームに結合され得るペンダント基の型の例としては、例えば、ペプチド、糖質(例えば、オリゴ糖配列)、アプタマーが挙げられる。
当業者は、組織または損傷組織内の他の化合物を同定し、該化合物と結合させるために使用され得る好適なペンダント基を決定するために、スクリーニング試験を行なうことができよう。例えば、考えられ得るペンダント基の大型ライブラリー(例えば、ファージ表面タンパク質に融合させたペプチド配列のパーミュテーション(permutation)、糖質分子の集合体など)のインビボスクリーニング(例えばファージディスプレイ技術による)を行ない(例えば、齧歯類において)、創傷を受けた器官に特異的に結合するペンダント基が同定され得る。次いで、各器官からペンダント基が同定され得る(例えば、ペプチドの配列決定により)。例えば、すべての器官または損傷器官に見られる配列が同定され得る。その後に、該ペンダント基が損傷のない組織には結合しないことを確認するための試験(例えば、非損傷動物でのインビボ試験)が行なわれ得る。
一部の場合では、損傷部位に選択的に結合するペンダント基を見出すために、ヒトタンパク質標的が使用され得る。例えば、血管に対する損傷が生じた場合に一般的に存在するヒトフィブリンがスクリーニングに使用され、場合によっては、動物標的とヒト標的との間に配列およびコンホメーションの違いがあることがあり得るインビボアプローチに存在するリスクが軽減され得る。フィブリンに対する結合レベルは、例えば蛍光タグ化分子を用いて評価され、例えば、血漿中に遍在するフィブリンの前駆物質であるフィブリノゲンと比較され得る。フィブリノゲンよりもフィブリンに対して非常に高い選択性を示すペンダント基が、該ポリマー組成物における使用のために選択され得る。
組織または損傷組織の標的化に加えて、ペンダント基は、組織または損傷組織を安定化させるためにも使用され得る。例えば、ペンダント基(例えば、CO形成基)は組織に共有結合し得るものであり、一部の場合では、これにより体腔内の1つ以上の開口部のシーリングがもたらされ得る。かかる結合により、一部の場合では体腔内での体液移動の制限または抑制が補助され得る。一部の実施形態では、ポリマーまたは架橋生成物中のイソシアネートの濃度が、該ポリマーと組織との間に生じる結合の程度に影響を及ぼすことがあり得る。具体的には、イソシアネートレベルの増大は、ポリマー−組織間の接触面積を増大および拡大させる機能を果たし、場合によっては、より強力で長期持続性のシール部がもたらされ得る。また、ポリマー中のイソシアネートレベルを増大させると架橋密度が増大し、場合によっては、ポリマー−組織界面でより容易に破断し得る(例えば、身体を動かしたとき)、より硬質の物質がもたらされ得る。したがって、イソシアネートの濃度は、一部の場合では、このような2つの効果が均衡するように選択され得る。
別の実施形態では、ポリマーの特性は、観察される組織に対するフォームの共有結合が最小限となるように選択される。しかしながら、フォームは組織に、種々の非共有結合力(静電気的、ファンデルワールス、または毛管力など)によって結合され得る。組織に対するフォームの共有結合が最小限であることにより、容易なフォーム除去が助長され、治癒過程における接着(腹部接着など)が抑制され得る。
一部の場合では、非イソシアネートペンダント基を用いてポリマー−組織界面が安定化され得る。例えば、該ポリマーはアルデヒド反応性基を含むものであり得、該基は、例えば、組織のタンパク質に結合するために使用され得る。アルデヒド基は、例えば、エタノールアミンをポリマーに結合させた後、ペンダントヒドロキシル基を酸化してアルデヒド基を形成させることにより結合され得る。一部の場合では、フィブリンに選択的に結合するペンダント基を用いて血塊−ポリマー界面が安定化され得る。また、フィブリン結合部位でプラスミノゲンおよびその活性化因子と競合し、線維素溶解カスケードの活性化をブロックするペンダント基を選択してもよい。
一部の実施形態では、ポリマー(または該ポリマーを作製するために使用される化合物)は、1つ以上のペンダントヒドロキシル基を含むように選択される。ヒドロキシル基は、例えば、ペンダント基をポリマーに結合させる部位としての機能を果たし得る。例えば、グリセロールおよびセバシン酸はともにヒドロキシル基を含んでおり、該基は、PGSに官能性を付与するために使用され得る。具体的な一例として、ペンダントペプチドはポリマーに2工程反応スキームを用いて導入され得、該反応スキームでは、以下に示すように、まず、ポリマーヒドロキシル基をカルボニルジイミダゾール(CDI)で活性化させ、次いでペプチドのアミン末端にカップリングさせる。この化学反応により高いカップリング効率がもたらされ得る。
一部の場合では、薬物が体腔に該ポリマーとともに送達され得る。一部の実施形態では、該ポリマーは薬物を含むものであり得る。例えば、薬物(または1種類以上の薬物を含む複数の粒子)が該ポリマー中に分散され得る。かかる薬物の例としては、限定されないが、抗線維素溶解化合物(例えば、アミノカプロン酸、トラネキサム酸など)、抗線維化化合物、抗菌化合物(例えば、抗生物質)、抗炎症化合物、鎮痛薬、プロコアグラント化合物、増殖因子、および血管収縮薬が挙げられる。アミン基を含む薬物は、一部の場合では、例えば、架橋工程中に不要な反応を抑制するために該ポリマー中のイソシアネートから隔離することがあり得る。隔離は、薬物を二次粒子中に被包し、これを体腔への送達時に該ポリマーにロードすることにより行なわれ得る。また、被包は、薬物を制御された速度で放出させるために使用され得る。一部の実施形態では、薬物は繊維内に組み込まれ得、これを該ポリマーに内包させ得る。繊維からの薬物放出速度は、繊維の組成と構造(例えば、厚さまたは他の寸法、鞘の存在)を変えることにより制御され得る。例えば、繊維は、該ポリマーの配置直後は初期バースト放出量が送達されるが、その後は持続的送達(例えば、ポリマーフォームが体腔内に放置されている期間中)となるように設計され得る。
該ポリマーは、一部の場合では第2の薬剤(および任意選択で第3の薬剤、第4の薬剤など)と、該ポリマーが体腔に輸送される前または後に合わされ得る。第2の薬剤は、例えば、架橋と発泡の少なくとも一方を、第2の薬剤がない場合に生じた架橋と発泡の少なくとも一方の速度と比べて、加速する化合物を含むものであり得る。例えば、一部の実施形態では、第2の薬剤はアミン(例えば、ポリアミン)を含むものであり得る。アミン化合物は、該ポリマーが架橋する速度を増大させる機能を果たし得、また、これにより、体腔内での流体(例えば、血液)の移動を低減または解消するのに必要とされる時間量が低減され得る。第2の薬剤は、一部の場合では、リシン、スペルミン、スペルミジン、ヘキサメチレンジアミン、ポリリシン、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンおよびキトサンのうちの少なくとも1種類を含むものであり得る。一部の場合では、該第2の試薬は、例えば、上記のようにインサイチュでCOガスを生成させるために使用され得るカーボネートまたはビカーボネートを含むものであり得る。一部の実施形態において、該第2の試薬は、例えば、CO生成反応の反応体として使用され得る酸を含むものであってもよい。酸官能部は、例えば、ポリマー鎖に結合しているか、またはポリマーとブレンドされて混合物を形成しているカルボン酸ペンダント基を含むものであり得る。一部の場合では、該第2の試薬は、体内に天然に存在するもの(例えば、血液中のビカーボネート)であり得る。他の場合では、第2の薬剤は体腔外に由来するものであり得る。例えば、第2の薬剤は、例えば、体腔に該ポリマーとともに供給され得る。
一部の実施形態では、第2の薬剤と該ポリマーの組合せにより、第2の薬剤がない場合に得られたものとは有意に異なる機械的特性(例えば、弾性率、降伏強さ、破壊強さなど)を有するポリマーフォームが得られる。例えば、第2の薬剤を添加すると、ポリマー分子間の架橋の増大がもたらされ、場合によっては、より硬質のフォームが得られ得る。
第2の薬剤と該ポリマーの組合せにより、一部の実施形態では、体腔内での出血が、第2の薬剤がない場合に本質的に同一の条件下で起こる出血の量と比べて、抑制または制限され得る。一部の実施形態では、出血は、上記の架橋または発泡の速度増大のために低減され得る。一部の場合では、第2の薬剤は、プロコアグラント化合物(例えば、トロンビン、フィブリノゲン、第X因子、第VII因子)を含むものであり得る。
第2の薬剤は、例えば、体腔外での該ポリマーと第2の薬剤との間の不要な反応を抑制するために、該ポリマーとは別の容器内に保存され得る。一部の実施形態では、保存中または輸送中は該ポリマーと第2の薬剤を別々に維持するが、内容物を排出するときは吹出ノズルまたは体腔内での混合が可能である容器が使用され得る。吹出ノズルは、複数の成分(>2種類)、例えばガスを静的または動的様式で混合することが可能なものである。静的ミキサーの例は、Low Pressure Drop(LPD)ミキサー、BayonetミキサーおよびInterfacial Surface Generator(ISG)ミキサーである。動的ミキサーの例は、インペラー、および回転式静的ミキサーである。ノズルは、分注時の低圧と高圧の差によって操作される。また、容器は、各成分間の隔壁を破壊して混合可能にすることにより、諸成分が分注の直前に混合されるように設計されたものであってもよい。混合は手作業(キャニスターを振ることなど)で行なってもよく、またはチャンバを減圧下に置き、隔壁が破壊されたらボルテックスが生じて成分が混合されるようにしてもよい。
別の実施形態では、架橋反応中に発生する熱を吸収する添加剤が該ポリマーに添加され得る。例えば、マイクロもしくはナノ粒子、球体または繊維の形態の物質は、相変化(例えば、溶融)またはガラス転移を受けることにより熱を吸収し、それにより、生体組織が吸収する熱を低減させることができる。例えば、ポリカプロラクトン製の生分解性繊維は約60℃で溶融され、発生した熱を吸収し、組織のダメージを低減させ得る。
一部の実施形態では、体腔が撮像され得る。体腔を撮像できることにより、損傷の効率的な位置特定および修復、ならびに創傷の安定化などが可能となり得る。一部の実施形態では、ポリマーまたはポリマーフォーム上のペンダント基が、体腔の撮像の補助に利用され得る。例えば、造影剤が、体腔が存在する被験体の血流中に導入され得、造影剤は、該ポリマーのペンダント基に選択的に結合し得るものである。造影剤の例としては、例えば、有色、蛍光または放射線不透過性撮像実体が挙げられる。一部の実施形態では、造影剤は、ポリマーフォームと相互作用すると近赤外範囲(例えば、約700〜約1000nm)の電磁放射線を放出するものである。具体的な一例として、量子ドット(QD)が造影剤として使用され得る。一部の場合では、蛍光有機タグ(例えば、フルオレセインイソシアネート)または放射線不透過性キレート基(例えば、Gd3+)が、適切な撮像機材とともに使用され得る。別の例では、上記の造影剤は、可視化を補助するために、該ポリマーにペンダント基として結合され得るか、または該ポリマー中に分散させられ得る。
体腔から、または組織上への配置から、ポリマーまたはポリマーフォームを除去するためには、さまざまな機構が使用され得る。一部の実施形態では、少なくとも一部分のポリマーフォームを外科的介入によって除去する。例えば、ポリマーフォームは、一部の場合では体腔から切り取られ得る。一部の場合では、外科的介入によって体腔からポリマーフォーム物質塊が十分に(例えば、少なくとも約80%、少なくとも約90%など)除去され得る。ポリマーまたは該ポリマーに結合させるペンダント基は、一部の場合では、得られるポリマーフォームが体腔から除去され得るように選択され得る。生分解性のポリマーまたはポリマーフォームが使用される一部の実施形態では、フォームまたは外科的除去後のフォーム残余物は、経時的に生分解され得るものである。
一部の実施形態では、該フォームは、これに外部刺激を加えることにより分解され得る。かかる方法は、例えば、一部のポリマーまたはポリマーフォーム物質が、例えば深部組織に入り込んだために外科的除去後に、物理的に到達不可能な状態で残留する場合に有用であり得る。ポリマーフォームを分解させるために加えられ得る外部刺激の例としては、限定されないが、UV照射、熱、または化学物質(例えば、体腔が形成されている被験体の血流中に導入される化学物質)が挙げられる。
ポリマーフォームの分解は、一部の場合では、ポリマーまたはポリマーフォーム内での可逆的架橋によって行なわれ得る。一部の場合では、架橋の型または外部刺激の型は、ポリマーフォームが選択的かつ制御可能に解重合されるように選択され得る。非架橋状態に戻ると、ポリマーまたはポリマーフォームは、一部の場合では、例えば食塩水を用いて該腔から除去され得る。
可逆的架橋は、例えば、該ポリマーのペンダント基を、ビス(2−イソシアナトエチル)ジスルフィドを含むように修飾することにより行なわれ得る。かかる化学反応は、例えば、イソシアネート化学反応(これは、選択された外部刺激を用いたときに可逆的でない場合があり得る)を用いて該ポリマーを発泡させる場合に、特に有用であり得る。ジスルフィド基は、例えばグルタチオンを用いて容易に切断され得る。この例では、イオウ−イオウ結合がジスルフィド交換反応によって破壊され、例えば、グルタチオン溶液を加えることによりジスルフィド結合の選択的切断が可能となり得る。別の例として、桂皮酸基が該ポリマーに、UV光を適用することによって架橋の逆転がなされ得るように結合され得る。
一部の実施形態では、ポリマーフォームを体腔内で形成させるのではなく、該フォームを体腔外で形成させ、後から体腔内に挿入する。例えば、図4A〜4Cは、成形型でのポリマーフォームの形成の模式図を含む。図4Aに、成形型400を示す。図4Bは、ポリマー412を成形型に供給源414から供給する工程を示す。図4Cは、該ポリマーにガスを供給すると該ポリマーの膨張によりポリマーフォームが形成されることを示す。該ポリマーは、一部の場合では、成形型の形状に形状適応するように膨張され得る。次いで、成形されたポリマーが体腔内に挿入され得る。なおさらなる実施形態では、該ポリマーは、成形型を使用せずに体腔外でポリマーフォームに形成され得る。次いで、ポリマーフォームは、適切な方法(例えば、カッティング、押しつぶしなど、または任意の他の適当な方法)を使用することにより、適切な形状に形成され得る。
本発明の別の態様では、ポリマーフォームは、組織の接着を抑制するために使用される。このようなものとしては、限定されないが、線維性瘢痕(損傷または外科的介入後に組織間に形成される)ならびに医療技術分野の当業者に知られた他の組織の接着が挙げられる。接着が報告されている身体領域の例としては:腹部、骨盤、脊柱、心胸郭空間および関節ならびに体内の他の位置が挙げられる。このような組織の接着は重篤な臨床的帰結を引き起こす。例えば、腹腔内での不可逆的な腸閉塞、骨盤の領域における不育、背部手術後の慢性的な痛み、および関節手術後の痛みや可動制限ならびに医療技術分野の当業者に知られた他の消耗性障害。
組織の接着を抑制するため、諸実施形態のポリマーフォームは、ダメージまたは手術後の組織またはその近傍に投与される。組織表面を該フォームと接触させ、その膨張を可能にすることにより、直接適用が可能でない場合に、ひだおよび到達不可能な表面もまたカバーされる。ポリマーの膨張比、伸展性、疎水性、粘度および硬化時間は、完全なカバーを助長するために各身体領域に対して最適化され得る。また、必要とされるポリマーフォームの体積は、解剖学的位置および組織ダメージ面積に応じて異なり得る。一部の実施形態では、投与されるフォームの量は少なくとも1ml、少なくとも10ml、少なくとも100ml、またはそれ以上であり得る。別の実施形態では、フォームの膨張は、投与される体積および他の送達要素によって完全なカバーがもたらされることが可能な最小限量である。
記載のポリマー処方物はすべて、組織の接着の抑制における使用が想定される。好ましい実施形態では、PGSが該フォームの一成分として使用される。より好ましい実施形態としてはイソシアネート官能化PGSが挙げられ、これは、体内水分の存在下で硬化する。この実施形態では、鎖間水素結合により弾性率の増大がもたらされる。別の実施形態では、硬化を助長するために、投与中に水がイソシアネート官能化PGSと混合され得る。別の実施形態では、イソシアネート官能化PGSを、投与時にポリアミン(例えば、リシン、PEG−アミン)と混合する。このポリアミンは硬化剤または架橋剤としての機能を果たす。使用するポリアミンの量および/またはポリアミンの型を変えることにより、硬化ポリマーの機械的特性を制御することが可能である。
別の実施形態では、PGSはポリオールとしての機能を果たし、イソシアネート含有化合物と混合すると架橋フォームが形成され得る。このような場合、ガスを処方物に混合して細孔核生成部位を作り出すこと、または形成中および膨張中にフォーム細孔が安定化される界面活性剤レベルに調整することにより、フォーム形成が得られ、促進される。
他の実施形態において、該ポリマーは発泡しないか、または発泡は組織表面全体への流動が可能な最小限量である。これにより、ゲルコーティングに硬化させることが可能である。このような場合、PGSは、処方物中へのガスを制限もしくは抑制すること、および/または細孔安定化をもたらす界面活性剤のレベルを低減させることにより、フォーム形成が最小限である条件下で架橋する。また、PGSは、PGSと反応したときガス状副生成物を生じない成分と混合することによりゲル化または架橋され得る。
また他の実施形態では、投与中に2種類以上の異なるPGSポリマーを合わせてもよい。次いで、これらのポリマーが反応および架橋してゲルまたはフォームになる。使用されるPGSポリマーの型および比率は、発泡、ゲル化、硬化および機械的特性に影響を及ぼす。
別の実施形態では、薬物ロード物体(drug−loaded object)がフォームまたはゲルに、投与時または投与前に組み込まれる。投与中のポリマーへの薬物ロード物体の組込みは、医療および医薬処方の技術分野の当業者に知られた方法によって行なわれる。薬物ロード物体の例としては:ミクロスフィア、マイクロファイバー、コア−鞘マイクロファイバー、コア−鞘ナノファイバー、ナノ粒子、ナノスフィア、ナノファイバーまたは純粋な薬物粒子が挙げられる。好ましくは、薬物は、このような物体から7日間にわたって放出される。より好ましくは、薬物は14日間まで放出される。薬物は、30日間まで、またはそれより長く放出されることもあり得る。好ましくは、薬物の放出動態的プロフィールは、所与の期間を通してほぼ同じ用量の薬物をもたらすものである。
一部の特定の実施形態において、本発明は、体腔に送達され、インサイチュでフォームインプラントを形成する液状処方物に関する。液状処方物(1種類または複数種)は、任意選択で混入(entrained)ガスまたは溶存ガスを含むものである。好ましい実施形態では、得られるフォームインプラントは、1箇所以上の出血部位の近傍に適用したとき止血をもたらすものである。本発明のフォームインプラントは、好ましくは生体適合性、生体吸収性であり、体内から標準的な外科的処置を用いて除去することができ、接着を誘導しないものである。
一部の特定の実施形態において、本発明は、インサイチュで2成分処方物から、先に記載のようにして形成されるポリウレタンフォームである。処方物の第1成分としては、イソシアネート化合物、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)もしくはMDI異性体の混合物、ポリマーMDI、イソシアネート官能化プレポリマー、または好ましくは2.0〜3.0の官能性を有するポリマーイソシアネートが挙げられる。処方物の第2成分としてはヒドロキシル官能化ポリマー(ポリオール)が挙げられる。処方物の第1成分および第2成分の好ましい粘度は、1〜3,000cP、好ましくは約2,400〜約2,600cPである。ポリオール相は、任意選択で、複数のポリオール種、触媒、界面活性剤、鎖延長剤、架橋剤、細孔開放剤(pore opener)、充填剤、可塑剤および水を有するものである。空気、二酸化炭素または他の補助発泡剤(blowing agent)が、イソシアネート相またはポリオール相のいずれかに、患者への送達前に任意選択で混入させられるか、あるいはまた、送達中に処方物の一成分として導入される。
本発明は、本発明のフォームおよび処方物によって示される一部の特定の好都合な特徴:(i)損傷部位への輸送;(ii)身体機能への干渉の欠如;(iii)止血の助長;および(iv)損傷部位においてシール部を作り出すこととの関連において、よりよく理解されよう。
損傷部位への輸送:
一部の特定の実施形態において、本発明のフォームは、解剖学的特徴部周囲の、または該特徴部にわたる蛇行性の体腔内に存在する損傷部位に、貯留した血液を介して、および/または血流に抗して到達するものである。このような実施形態では、該処方物を体腔内の部位に堆積させ得(該部位は、状況に応じて処置対象の損傷部位の近位または遠隔部のいずれかである);次いで、該フォームは、発泡および膨張を開始させると、例えば、最小抵抗路に沿って移動および拡大することにより堆積部位から遠くに進行する。該処方物およびフォームは、水と混和性および/または吸湿性であり得る。一部の特定の実施形態において、混和性および吸湿性は、例えば、フォーム内に連続細孔構造を作り出すこと(以下に、さらに十分に論考する)により、毛管作用が誘導されるようにフォームの細孔構造を調整することにより改善される。一部の特定の好ましい実施形態では、該処方物の可動性は、以下の特徴:高度の膨張(10〜40倍(より好ましくは25〜35倍)、または1.5〜6.3ポンド/立法フィート(pcf)のフォーム密度);低粘度(3,000cP未満);10μm〜10mmのフォーム孔径、および疎水性のうちの少なくとも1つによって助長される。
密度および膨張に関して、図5に示したような、10〜1,000kg/mの密度を有するか、または1〜95倍の膨張を有するフォームを開発した。一般に、処方物の含水量および/またはイソシアネート含量が増大すると、体積膨張が増大する傾向にある。理論に拘束されることを望まないが、これは、発泡およびCO発生の増大のためであると考えられる。例えば、処方物AM203の比較的低度の3倍膨張は、処方物の水分レベルを0.45から7.2部/ポリオール100部(parts per hundred polyol(pphp))に増大させることにより、処方物AM201では26倍まで増大する。あるいはまた、膨張の増大は、発泡触媒(例えば、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(DMAEE)およびペンタメチルジエチレントリアミン(PMDET))の使用によって、または発泡とゲル化の両方を増大させる触媒(例えば、トリエチレンジアミン(TEDA))の使用によって得られ得る(典型的には10pphpまで)。例えば、処方物AM237の比較的低度の12.5倍膨張は、TEDAレベルを0.4から3.2pphpまで増大させることにより、処方物AM244では57.5倍に増大する。触媒の使用によって膨張の増大がもたらされる場合は、該ポリマーの安定化を増大させることが好ましい場合があり得る。かかる安定化の増大は、例えば、界面活性剤、例えば、Tegostab製品(B8629、B9736 LF、4690、8871、8523)およびPluronic製品(F−68、F−127)を添加すること;より多くのゲル化触媒、例えば、重金属触媒(第一スズオクトアートおよび亜鉛オクトアートなど)添加すること;または他の添加剤(固体の重炭酸アンモニウムなど)によってなされ得る。例えば、処方物AM251は、95倍膨張を示し、高い水分レベルと触媒レベルが処方されており、高いイソシアネートインデックスを有する。
吸湿性および水との混和性に関して、フォームの水分吸収特性も同様に調整することができる。4分間の水中浸漬試験で試験したとき、高度の水分吸収と低度の水分吸収を有するフォームを開発した。本発明の一部の特定の処方物でのこの試験の結果を図6に示す。本発明のフォームの水分吸収は、フォーム1グラムあたり0〜22グラムの範囲の吸収水分量である。一部の特定の実施形態において、高度の水分取込みは、高度連続気泡または網状フォーム構造を作り出すことにより達成される。この構造は、処方物の粘度、発泡およびゲル化の速度、ならびに触媒および界面活性剤の型とレベルを均衡させることにより形成される。さらに、本発明の一部の特定の処方物では、含水量が好ましくは高度(5〜10pphp)であり、イソシアネートインデックスが好ましくは低度(10〜50pphp)であり、好ましくは高度官能性イソシアネートが使用されて、低濃度で十分な架橋および硬質性がもたらされ、フォームを安定化し、かつ崩壊を抑制する。例えば、処方物AM373は、19.8グラム/1gフォーム(g/g)の水分取込みを有する。該処方物は、細孔開放成分(Ortegol 501)、最適な粘度と架橋密度のための3種類のポリオール(Plurcol,トリメチロールプロパンエトキシレート、およびPoly−G)の混合物、および高度官能性イソシアネート(Lupranate M20)を含むものである。処方物中のOrtegol 501レベル、水分量(<0.8pphp)またはイソシアネートインデックス(25〜35)が少し変化すると、依然として網状フォーム構造は形成され得るが、フォームの水分取込み特性が劇的に減少し得る。例えば、6.4g/gの水分取込みを有するが網状構造は保持される処方物AM368と比較されたい。したがって、フォーム組成は、その細孔形態構造またはフォーム構造に対する効果とは別に、水分取込みに影響を及ぼすと考えられる。別の例として、処方物AM376は高度の水分取込みを示し、網状構造を有する。該処方物は、親水性ポリオールであるトリメチロールプロパンエトキシレート1014Da(46pphp)を含むものであり、高度の水分取込み(19.7g/g)を有する。
一般に、フォームの親水性は、処方物中に使用するポリエチレングリコール(PEG)系ポリオールの量を、疎水性ポリオール(ポリプロピレングリコール系のものなど)と比べて増大させることにより改善され得る。また、フォームの水分取込みは、PEG系ポリオール含量が増大すると増大し得るが、触媒、界面活性剤、イソシアネートおよび他の成分をある程度、再均衡化することが必要であり得る。微量成分を少し変化させると、水分取込みが有意に改善され得る。例えば、処方物122−009−7の界面活性剤レベルを2.5倍まで増大させることにより、水分取込みは6.7g/gから21.7g/gに増大する(フォーム122−009−10と比較されたい)。
また、損傷部位への輸送は、体腔中で分散し得る処方物を発泡および/または架橋前に供給することにより改善され得る。発泡および/または架橋の遅延により、本発明の低粘度処方物が体腔内の蛇行性空間内のより深部に行き渡ることが可能となる。該処方物が分散したら、発泡が中程度の速度(4分未満程度)で起こり、フォームが、十分に分配されて損傷部位(1つまたは複数)に到達し得る。クリーム時間、ゲル時間および立ち上がり時間によって測定したとき、図7に示したようなさまざまな反応動態を有する処方物を作製した。クリーム時間は、材料の混合開始から細かな泡が出現し始め、フォームが隆起し始める時点までの時間と定義する。ゲル時間は、フォーム表面を舌圧子または同様の器具の縁と接触させたとき、該表面から粘着性の物質の長い「糸」を引き伸ばすことができる時間と定義する。立ち上がり時間は、目視観察したときフォームが膨張し終わる時間である。
発泡動態は、処方物中に使用する触媒および抑制剤の型とレベルを調整することにより改変され得る。一般に、弱酸(酢酸またはクエン酸など)を添加すると発泡の開始が遅延されるが、発泡が開始したらその速度に対する効果は限定的となる。発泡速度は、発泡触媒とゲル化触媒の相対レベルを調整することにより制御され得る。例えば、発泡の開始は、処方物AM096では有意に遅延されている(クリーム時間は25秒、立ち上がり時間は105秒)が、発泡速度は処方物AM099と同程度のままである(クリーム時間は9秒、立ち上がり時間は95秒)。この2つは、酢酸レベルがAM099よりもAM096で0.5pphp高い点が異なるだけである。一般的に、本発明の好ましい実施形態は、クリーム時間が最大限であり、立ち上がり時間が最小限であり、15秒以上のクリーム時間および150秒までの立ち上がり時間が得られるものである。
また、本発明の処方物の粘度も制御することができ、なんら理論に拘束されることを望まないが、該イソシアネート相とポリオール相が低粘度であることにより、腹腔内での分散が改善されると考えられる。慣用的に、ポリウレタンフォーム形成に使用されるポリオールは、250〜5,000cPの粘度を有する多官能性のOH末端ポリマーである。当該技術分野では高い重量パーセンテージが典型的に使用されるため、フォーム処方物に使用されるポリオール相は類似した粘度を有する傾向になる。しかしながら、本発明の処方物では、いくつかの手段、例えば、(i)高粘度ポリオール成分を希釈するための多めの水の使用;(ii)低分子量(したがって低粘度)ポリオールの使用;および(iii)ポリオール相に対して非反応性の希釈剤の使用によって、かなり低い相粘度が得られ得る。水での高粘度ポリオール成分の希釈に関して、10〜20pphpの範囲の水分濃度が2成分発泡処方物に有用であり得るが、イソシアネートプレポリマーが使用される系では50〜100pphpの水分レベルが好ましい。低分子量ポリオールの使用に関して、好ましい化合物としては、プロピレングリコール、ジ−、トリ−およびテトラ−プロピレングリコール、エチレングリコール、ジ−、トリ−およびテトラ−エチレングリコール、ならびに低分子量の線状またはマルチアーム型のヒドロキシル末端ポリマー(好ましくは、1〜10個の反復単位を含むもの、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラヒドロフラン、ポリテトラメチレングリコール、およびポリジメチルシロキサン)が挙げられる。非反応性の希釈剤に関して、10〜200pphpの希釈剤がポリオール相に添加され得、一部の処方物では300pphpという高レベルを添加しても安定なフォームが得られ得ることがわかった(例えば、処方物AM1042;5.6倍膨張)。希釈剤の好ましい特性としては、低粘度(<50cP;より好ましくは0.5〜10cP)、処方物中のヒドロキシル、イソシアネートおよび他の成分に対する反応性の欠如、ならびに生体適合性が挙げられる。好ましい希釈剤としては、プロピレンカーボネート(PC)、マロン酸ジエチル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)、およびトリアセチンが挙げられる。
低分子量ポリオールおよび/または希釈剤を使用すると、ポリオール相が17cP(AM1045)〜2635cP(AM735)の範囲の粘度に操作された。例えば、処方物AM880(53cP)の疎水性ポリオール相は、低粘度ポリプロピレングリコール(1200Da)および希釈剤マロン酸ジエチル(15pphp)と他の成分との組合せである。処方物AM759のより親水性のポリオール相(50cP)は、トリメチロールプロパンエトキシレート(1014Da)と70pphpのTEGDMEおよび他の成分との組合せである。希釈剤が高レベルであっても、触媒、水分およびイソシアネートレベルを増大させることにより、依然として高度膨張を伴うフォームが作製され得る(AM1209;41cP;60pphp TEGDME;38倍膨張)。
さらに高い希釈剤レベル(100〜300pphp)を使用すると、さらなる粘度の低減が可能である(例えば、処方物AM1045;17cP;150pphp PC;12.1倍膨張)。高レベルの希釈剤を有する処方物では、大きな不揃いの気泡を有する不均一な気泡構造がフォーム基部に典型的に形成されることがみとめられる。重炭酸アンモニウム(0.5〜20pphp)の添加によってこの不均一性は解消され得る。重炭酸アンモニウムを高レベルの希釈剤と一緒に使用すると、>20倍膨張を有するフォームが生成され得る(AM1055;150pphp PC;21.8倍膨張)。さらに、添加された希釈剤は、可塑剤として好都合に機能を果たすことがあり得、50%撓み時の圧縮力(CFD)(以下に論考)の値が低いフォームがもたらされ得る(例えば、AM761;70pphp TEGDME;25.8倍膨張、0.3kPa CFD)。
本発明の処方物の分散および可動性を評価するためのインビトロ試験を開発し、図8に模式的に示す。この試験では、プラスチック袋である閉鎖容器内に管を置く。この管にポンプを接続し、該管に小孔をあけて流体の流出オリフィスを作り出す。管を既知容量の水のプール内に沈める。処方物は、これをプラスチック袋に送達システムを用いて送達し、選択した期間の経過後、処方物の挙動を、数ある中でも、管の小孔に対する付着、膨張体積、ならびに発泡、ゲル化および硬化プロセス中に吸収された水分量を評価することによって検査することにより試験される。一連の処方物をこのインビトロ輸送試験で検査し、一連の結果を観察した。一部の処方物は前進し、流出オリフィスと形状適応的に接触状態となった(例えば、AM096、AM593)。このような処方物では、該流体流の周囲の材料には、不十分な輸送を示す隙間、空洞または流路は全く含まれていなかった。例えば、処方物AM005は輸送試験で好成績であった;該材料は流出オリフィスと接触しており、十分に付着していた。付着は、図9に示したように、流出オリフィスからの材料にディンプルが作り出されるのに十分に閉鎖的であった。他の処方物は流管まで前進しなかったか、または流出オリフィスと形状適応的に接触状態にならなかった(例えば、AM289、AM374、AM244、AM735)。最後に、一部の特定の処方物では中間の結果が示され、この場合、流出オリフィスは一部覆われるか、または該材料中に流体漏れの空洞路を有する(例えば、AM113、AM315、AM746)。
一連の処方物は、この輸送試験において好成績または一部好成績であった。低粘度、遅延型反応動態および高度膨張はすべて、この試験での好成績と相関している。この試験で好成績であった(流出オリフィスと形状適応性的またはほぼ形状適応性的に接触した)処方物のほとんどは、1200cP未満の粘度、10秒間より長いクリーム時間、および12倍より大きい膨張を有するものであった。最後に、疎水性の処方物は、この試験において、親水性処方物よりも概ね成績がよかった。
また、悪性度Vの脾臓出血のブタモデルを使用し、処方物を閉鎖腹腔内に配置する本発明の処方物のインビボ試験も開発した。図10は、インビボで配置された本発明のフォームを示す。処方物の輸送を評価するアッセイための半定量的スコアリングシステムを開発し、表1に概略を示す。表2は、インビボ輸送アッセイでの一部の特定の処方物の成績をまとめたものであり、各々の「正味付着スコア」を含む。アッセイでの成績に基づいて、処方物を高スコアと低スコアの2つの群にクラスター化した。10より大きい正味付着スコアを有するフォームはすべて、疎水性であり(30pphp未満のPEG)、中程度から高度の膨張比(13〜33倍)、低度から中程度の水分取込みレベル(12〜46%)を有し、1つの処方物を除いて低速のクリーム時間(10〜57秒間)を有するものであった。高スコア処方物の特徴を表3に示す。対照的に、低スコア処方物(6未満の正味付着スコアを有するもの)は、表4に示したように、親水性であり(70pphpより多くのPEG)、低度膨張(8〜16倍)および高度の水分取込みレベル(80〜95%)を有するものであった。
身体機能への干渉の欠如:
本発明のフォームは、好ましくは、生理学的機能(呼吸または心拍出量など)に干渉をしないように軟質性であり、容易に圧縮される。例えば、好ましい実施形態では、該フォームは、インプラントを形成するために腹部に配置したとき、下大静脈を通って戻る静脈血に干渉しないように十分に軟質性である。好ましい実施形態では、該フォームは、25kPa未満のCFD値を特徴とし、65%圧縮されるのに必要とされるのは60mJ未満である。25kPAより大きいが60kPA未満のCFD値を有するフォームも同様に本発明において有用であり得る。
該フォームは、好ましくは、長期使用中に加わる圧力は20mmHg未満であるが、イソシアネート−水間の反応によるCOガスの発生中、その後の溶解中では、身体機能に対する長期的なマイナスの帰結なく20mmHgを超える圧力が一過的に加わることがあり得る。
図11に示したような0.3〜100kPaのCFD値を有するフォームを開発した。低CFDを有する軟質フォームは、いくつかのストラテジー:(i)架橋密度が最小限となるような低官能性イソシアネート(2.0に近い)の使用、(ii)大過剰のポリオールが存在し、架橋が最小限となるようなイソシアネートのインデックス未満化(under−indexing)(10〜80)、(iii)架橋体間の分子量が最大限となるようなポリオール分子量の増大、(iv)対称性および分子スタッキングを破壊するためのいくつかのポリオールの使用、(v)水素結合および他の分子内相互作用を最小限にするためのポリオールの型の変更、(vi)上記に概要を示したような膨張の増大、ならびに(vii)可塑剤の添加を用いて作製され得る。開発した低CFDフォームの一例はAM376であり、これは、0.8kPaを得るために劇的なイソシアネートのインデックス未満化(25)を利用している。AM474は、別の重要な低CFDフォームであり(2.3kPa)、これは、中低度のインデックス未満(70)の低官能性イソシアネート(Mondur MRS−2)を、対称性を破壊するための4種類のポリオールと組み合わせて作製されている。また、AM761は、イソシアネート(31)をインデックス未満にし、希釈剤を添加してマトリックス(70pphp TEGDME)を可塑化させることにより作製される低CFDフォームの一例である(0.3kPa)。なんら理論に拘束されることを望まないが、触媒、界面活性剤、水および添加剤のレベルを加減することによっても、CFDの有意な低減がもたらされることがあり得ると考えられる。例えば、122−001−10のCFD(4.7kPa)を、界面活性剤の型とレベルを変更することにより1/3を超えて低減させることができ、AM479(1.3kPa)が得られる。
図12aに示したような一連のCFD値を有するフォームをインビボで試験し、腹内圧とピーク換気気道内圧を測定し、身体機能に対する干渉を評価した(図12b〜cに示したとおり)。試験した3つのフォームでは、腹内圧が一過的に20mm Hgを超え、2つのフォームでは、ピーク気道内圧がベースラインから10cm H2Oより大きく超えた。該フォームは中程度のCFD(5〜7.5kPa)を有していたが、膨張比は高かった(24〜33倍)。低CFD材料(AM374、AM094、およびAM113など)では、有意な圧力増大はもたらされなかった。
このインビボ試験中、実験的損傷単独によって引き起こされた、または悪化した心機能に対する影響は観察されなかった。
止血の助長:
本発明のフォームは、出血部位と接触すると止血を促進させる。好ましい実施形態では、本発明のフォームは、血液が該フォームに進入することは許容するが血流に対して抵抗をもたらす特性(例えば、大きさ、形態構造、および屈曲度)を有する気泡および細孔構造を有するものである。一般に、小さな創傷は凝血する傾向にあり、ホメオスタシスが迅速かつ確実になされるが、大きな創傷はそうでない。大きな創傷からの大量の流量によって、生成中の血塊が破壊され、活性化凝固因子が有効濃度未満に希釈されることにより凝血が阻害されると考えられ、大きな創傷では、血塊がより大きなサイズに達しなければならない。理論に拘束されることを望まないが、本発明のフォームは、「大きな創傷のダイナミクス」を、通常どおりに凝血し、したがって止血が誘導され得る多くの小さな創傷のものに変化させることにより、止血を誘導し得る。理論に拘束されることを望まないが、止血は、本発明のフォームによりいくつかの機構によって誘導されると考えられる。第1に、血流を低減させることにより、該フォームによって凝血が補助され、安定な血塊が形成されることが可能となり得る。流動抵抗に加え、該フォームによって、表面ファウリング(fouling)、血小板および細胞の結合および活性化、ならびに凝血カスケードの開始のための大きなポリマー表面積がもたらされ得る。止血を助長するための該フォームの好ましい特性としては、0.01〜1mmの孔径を有する連続気泡構造、高度膨張(10倍より大きい、または6.2pcf未満のフォーム密度)、および大きな表面積対体積比が挙げられる。最後に、その構造内にある程度の血流が許容されるフォームが得られることのさらなる利点は、圧力が低減されること、およびフォームと損傷部位との間に作り出され得る任意のシール部に加えられる力が、ある程度の血流が許容されないフォームと比べて小さいことである。
図13に示したように、一定の体積流量を維持するためにフォーム長さにわたって必要とされる圧力低下(ΔP/L)を測定することにより決定したとき、高い流動抵抗を有するフォームを開発した。多くのフォーム特性が水圧抵抗に寄与し得るが、孔径と細孔密度の組合せが、特に、抵抗に影響を及ぼすことがわかった。例えば、処方物AM219(ΔP/L=8.0mmHg/cm)とAM289(ΔP/L=13.6mmHg/cm)は、高い流動抵抗を示すが、低い細孔密度(11〜13個の細孔/mm)と小さい孔径(平均<130μm)を有する。対照的に、処方物AM374(ΔP/L=1.0mmHg/cm)とAM376(ΔP/L=1.1mmHg/cm)は低い流動抵抗を有するが、高い細孔密度(>20個の細孔/mm2)と大きな孔径(平均>240μm)を有する。しかしながら、小さい孔径および低い細孔密度は、単独および組合せにおいて、高い流動抵抗が得られるのに必ずしも十分でない。例えば、処方物AM474は低い細孔密度(8個の細孔/mm2)を有するが大きな孔径(平均約225μm)を有し、低い流動抵抗(ΔP/L=1.5mmHg/cm)を有する。同様に、処方物AM368は小さい孔径(平均約130μm)を有するが比較的高い細孔密度(19個の細孔/mm2)を有し、低い流動抵抗(ΔP/L=1.7mmHg/cm)を有する。
細孔密度(単位面積あたりの連続細孔の数と定義する)は、処方物中の成分の型とレベルを調整することにより制御され得る。一般に、細孔密度は、イソシアネートインデックス、界面活性剤レベル、触媒レベル(発泡速度とゲル化速度の両方が制御される)、およびポリオール粘度を均衡させることにより改変され得る。多くの場合、1つの成分のレベルが微妙に変化することによって、細孔密度が劇的に変化し得る。例えば、他の成分濃度を本質的に未変更のまま、イソシアネートインデックスを45(処方物126−52−4の場合、これは7個の細孔/mm2を有する)から35(処方物AM368、これは19個の細孔/mm2を有する)に減少させると、有意に高い細孔密度および構造に対する開口性がもたらされることがわかった。同様の様式で、処方物126−52−2の細孔密度(12個の細孔/mm2)は、0.37pphpの細孔開放剤Ortegol 501を該処方物に添加しただけで、19個の細孔/mm2(AM368)まで増大され得る。
細孔密度と同様、孔径も、いくつかの成分の型とレベルによって影響される。例えば、処方物AM375の孔径(平均孔径はおよそ120μm)は、他の濃度は本質的に未変更のまま、Pluracol 816対TMPEOの相対比を調整することにより(17.5:1〜1:1)、ほぼ3倍(AM376;平均孔径はおよそ350μm)に増大され得る。
また、止血の助長に対するフォームの親水性または疎水性の効果も調べ、以下に論考する。フォームの親水性または疎水性は、上記に論考したようにして制御される。
止血を評価した(図15に示したとおり)。図15の値は、体重1キログラムあたりの喪失血液のグラム数で示している。試験した9つのフォームのうち、7つは、対照の平均(17.9±5.3g/kg)より低い失血値を有していた。失血値の分布に基づき、フォームを、低い標準化失血(対照の平均失血より少ない)を有するものと、高い標準化失血(対照の平均失血より多い)を有するものに分類した。該材料の「低度」および「高度」失血カテゴリーでの特性評価を表5〜6に示す。理論に拘束されることを望まないが、インビボアッセイで高度「正味付着」が示されたフォームの組成(表2に示す)、および低度失血が示されたフォーム(表5[および図13]に示す)にいくらかの重なりがあること、また、低度「正味付着」および高度失血が示されたフォームの組成(表6に示す)にもいくらかの重なりがあることがみとめられた。例えば、処方物AM654とAM095はともに、「高度失血」および「低度正味付着」カテゴリーに含まれ、ともに親水性であり、インビボで低度から中程度の膨張および高度の水分取込みレベルを有する。対照的に、「低度失血」および「高度正味付着」スコアを有する処方物は、疎水性であり、高度膨張、低速のクリーム時間および低度の水分取込みを有する傾向にあった。失血度合と細孔形態構造との間に相関性は観察されなかった。
損傷部位においてシール部を作り出すこと:
また、本発明のフォームは、上記に論考したように、損傷部位に到達したときシール部を作り出し得るものである。一部の特定の実施形態において、シールは、処方物中のイソシアネートと組織の露出表面との非特異的で非選択的な結合によってもたらされる。他の実施形態において、シールは、標的化手段によって対象の特定の部位(露出された基底膜など)に標的化され得る。
一部の実施形態において、ポリマーフォームを作り出し、および/または配置するために使用され得る、1種類以上の先に論考した組成物を含むキット(例えば、インサイチュで発泡し得るポリマーを含むキット、ポリマーフォームを含むキット、ポリマーまたはポリマーフォームおよび任意の他の添加剤(例えば、外的ガス、第2の薬剤など)を含むデバイス、ポリマーまたはポリマーフォームおよび送達システムを含むキット、など)を記載する。「キット」は、本明細書で用いる場合、典型的には、1種類以上の本発明の組成物、および/または例えば、先に記載したような本発明と関連している他の組成物を含むパッケージまたはアセンブリと定義する。キットの組成物は各々、液状形態で(例えば、溶液中、液相ポリマーなどとして)提供してもよく、固形形態(例えば、可逆的架橋ポリマー)で提供してもよい。一部の特定の場合では、一部の組成物は、例えば、適当な溶媒、他の種、またはエネルギー供給源(例えば、UV照射)(これらは、キットに備えられていても、そうでなくてもよい)の添加によって構成可能あるいは加工処理可能なものであってもよい。本発明と関連している他の組成物または成分の例としては、限定されないが、例えば、組成物の成分を、具体的な使用のために(例えば、試料および/または被験体に対する)、使用、投与、修飾、組み立て、貯蔵、パッケージング、調製、混合、希釈および/または保存するための溶媒、界面活性剤、希釈剤、塩、バッファー、乳化剤、キレート剤、充填剤、酸化防止剤、結合剤、増量剤、保存料、乾燥剤、抗菌剤、針、シリンジ、パッケージング材料、試験管、ビン、フラスコ、ビーカー、皿、フリット、フィルター、リング、クランプ、ラップ、パッチ、容器、テープ、接着剤などが挙げられる。
本発明のキットは、一部の特定の場合において、生成物を形成するために混合され得る種々の組成物を含むものであり得る。一部の特定の実施形態において、キットは、組成物を保持する物理的に分離されたチャンバ、ならびに組成物を排出および/またはこれらを一緒に混合するためにユーザーまたは機械によって作動される機構を含むものであり得る。非限定的な一例として、キットは、第1と第2の組成物を内包する第1と第2のチャンバを有するデュアルバレルシリンジを含むものであり得、ここで、第1と第2のチャンバは、例えば壁部によって物理的に分離されている。この例では、ユーザーがデュアルバレルシリンジのプランジャーを押圧すると、第1および第2の組成物が第1および第2のチャンバから噴出され得る。また、一部の特定の実施形態では、キットは、諸成分が排出前または排出中に混合されることを可能にする静的混合ノズル、動的混合ノズル、インペラーまたは混合チャンバを含むものである。
本発明のキットには、一部の場合において、当業者によって本発明の組成物と関連していると認識され得るような様式で本発明の組成物とともに備えられる任意の形態の使用説明書が含まれ得る。例えば、使用説明書としては、キットに付属している組成物および/または他の組成物の使用、修飾、混合、希釈、保存、投与、組み立て、貯蔵、パッケージングおよび/または調製のための使用説明書が挙げられ得る。また、一部の場合では、使用説明書としては、例えば、具体的な使用のための(例えば、試料および/または被験体に対する)該組成物の送達および/または投与のため、あるいは本発明の組成物を送達して身体組織と接触させ、出血または他の体液の流れを抑制、制限またはコントロールするための使用説明書も挙げられ得る。使用説明書は、かかる使用説明書を含めるのに適当な媒体であると当業者が認識可能な任意の形態、例えば、任意の様式で提供される書面もしくは発行物、口頭、可聴(例えば、電話による)、デジタル、光学的、視覚的(例えば、ビデオテープ、DVDなど)または電子通信(例えば、インターネットもしくはウェブ基盤の通信)で備えられ得る。
本発明の組成物において、用語「アルキル」は、飽和脂肪族基、例えば、直鎖アルキル基、分枝鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基をいう。一部の実施形態では、直鎖または分枝鎖アルキルは、主鎖内に30個以下、一部の場合では20個以下の炭素原子を有するものであり得る。一部の実施形態では、直鎖または分枝鎖アルキルは、主鎖内に12個以下(例えば、直鎖ではC〜C12、分枝鎖ではC〜C12)、6個以下、または4個以下の炭素原子を有するものであり得る。同様に、シクロアルキルは、環構造内に3〜10個の炭素原子、または環構造内に5、6もしくは7個の炭素を有するものであり得る。アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、ヘキシル、シクロヘキシル(cyclochexyl)などが挙げられる。
用語「ヘテロアルキル」は、1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置き換えられた本明細書に記載のアルキル基をいう。好適なヘテロ原子としては、酸素、イオウ、窒素、リンなどが挙げられる。ヘテロアルキル基の例としては、限定されないが、アルコキシ、アミノ、チオエステルなどが挙げられる。
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、長さおよび起こり得る置換は上記のアルキルと同様であるが、それぞれ、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む不飽和の脂肪族基をいう。
用語「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、長さおよび起こり得る置換は上記のヘテロアルキルと同様であるが、それぞれ、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む不飽和の脂肪族基をいう。
本明細書で用いる場合、用語「ハロゲン」または「ハライド」は−F、−Cl、−Br、または−Iを示す。
用語「カルボキシル基」、「カルボニル基」および「アシル基」は、当該技術分野で認知されたものであり、一般式:
で表され得る部分などが挙げられ得、式中、Wは、H、OH、O−アルキル、O−アルケニルまたはその塩である。WがO−アルキルである場合、該式は「エステル」を表す。WがOHである場合、該式は「カルボン酸」を表す。用語「カルボキシレート」は、アニオン性のカルボキシル基をいう。一般に、上記の式の酸素原子がイオウで置き換えられている場合、該式は「チオールカルボニル」基を表す。WがS−アルキルである場合、該式は「チオールエステル」を表す。WがSHである場合、該式は「チオールカルボン酸」を表す。他方において、Wがアルキルである場合、上記の式は「ケトン」基を表す。Wが水素である場合、上記の式は「アルデヒド」基を表す。
用語「アリール」は、任意選択的に置換されており、単一の環(例えば、フェニル)、複数の環(例えば、ビフェニル)、または少なくとも1つが芳香族である複数の縮合環(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル、アントリル、もしくはフェナントリル)を有する芳香族炭素環式基をいう。すなわち、少なくとも1つの環は共役π電子系を有するものであり得るが、他の隣接している環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る。アリール基は、本明細書に記載のとおりに任意選択的に置換されていてもよい。「炭素環式アリール基」は、芳香族環の環原子が炭素原子であるアリール基をいう。炭素環式アリール基としては、単環式炭素環式アリール基および多環式または縮合化合物(例えば、2個以上の隣接環原子が2つの隣接している環に共通している)(ナフチル基など)が挙げられる。一部の場合では、
用語「アルコキシ」は基−O−アルキルをいう。
用語「アリールオキシ」は基−O−アリールをいう。
用語「アシルオキシ」は基−O−アシルをいう。
用語「アラルキル」または「アリールアルキル」は、本明細書で用いる場合、アリール基で置換されているアルキル基をいう。
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個のヘテロ原子を環原子として含むアリール基をいう。
用語「複素環」は、少なくとも1個のヘテロ原子を環原子として、一部の場合では、1〜3個のヘテロ原子を環原子として含み、残りの環原子が炭素原子である環式基をいう。好適なヘテロ原子としては、酸素、イオウ、窒素、リンなどが挙げられる。一部の場合では、複素環は3〜10員環構造または3〜7員環であり得、その環構造には1〜4個のヘテロ原子が含有されている。用語「複素環」には、ヘテロアリール基、飽和複素環(例えば、シクロヘテロアルキル)基、またはその組合せも包含され得る。複素環は飽和分子であってもよく、1つ以上の二重結合を含むものであってもよい。一部の場合では、複素環は、少なくとも1つの環が少なくとも1個の窒素環原子を含むものである窒素複素環である。複素環は、他の環に縮合して多環式複素環を形成しているものであってもよい。また、複素環はスピロ環式基に縮合していてもよい。一部の場合では、複素環は化合物に、環内の窒素または炭素原子を介して結合され得る。
複素環としては、例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン、チアントレン、フラン、テトラヒドロフラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、ジヒドロピロール、ピロリジン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、オキサジン、ピペリジン、ホモピペリジン(ヘキサメチレンイミン)、ピペラジン(例えば、N−メチルピペラジン)、モルホリン、ラクトン、ラクタム、例えば、アゼチジノンおよびピロリジノン、スルタム、スルトン、他のその飽和および/または不飽和誘導体などが挙げられる。複素環式の環は、1つ以上の位置が本明細書に記載した置換基などで任意選択的に置換されていてもよい。一部の場合では、複素環は化合物に、ヘテロ原子である環原子(例えば、窒素)を介して結合され得る。一部の場合では、複素環は化合物に炭素環原子を介して結合され得る。一部の場合では、複素環は、ピリジン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アクリジン、アクリジン−9−アミン、ビピリジン、ナフチリジン、キノリン、ベンゾキノリン、ベンゾイソキノリン、フェナントリジン−1,9−ジアミンなどである。
用語「アミン」および「アミノ」は、当該技術分野で認知されたものであり、非置換および置換のどちらのアミンも示し、例えば、30一般式:N(R’)(R”)(R’’’)(式中、R’、R”およびR’’’は各々、独立して、原子価則によって許容される基を表す)で表され得る部分をいう。置換アミンの一例はベンジルアミンである。
上記の基はいずれも任意選択的に置換されていてもよい。本明細書で用いる場合、用語「置換されている」は、有機化合物の許容されるすべての置換基を包含することが想定され、「許容される」は、当業者に知られた化学物質の原子価則と関連している。また、「置換されている」とは、該置換によって、例えば、転位、環化、脱離などによる変換を自然発生的に受けない安定な化合物がもたらされることが包含されることは理解されよう。一部の場合では、「置換されている」とは、一般的に、本明細書に記載の置換基(例えば、薬物またはペプチド)での水素の置き換えをいうものであり得る。しかしながら、「置換されている」は、本明細書で用いる場合、例えば、「置換されている」官能基が置換によって異なる官能基になるような、分子が同定される重要な官能基の置き換えおよび/または改変を包含しない。例えば、「置換フェニル基」は、依然としてフェニル部分を含むものでなければならず、この定義において、置換によって例えばピリジン環になるようには修飾されないだろう。より広い態様において、許容される置換基としては、有機化合物の非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が挙げられる。実例としての置換基としては、例えば、本明細書に記載のものが挙げられる。許容される置換基は、適切な有機化合物に対して1つ以上であってもよく、同じであっても異なっていてもよい。本発明の解釈上、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/または該ヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有するものであってもよい。
置換基の例としては、限定されないが、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN、アリール、アリールオキシ、ペルハロアルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アミノ、ハライド、アルキルチオ、オキソ、アシルアルキル、カルボキシエステル、−カルボキサミド、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスルホニル、−カルボキサミドアルキルアリール、−カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ−、アミノカルボキサミドアルキル−、シアノ、アルコキシアルキル、ペルハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキルなどが挙げられる。本明細書に記載のペプチドは、アミド結合によって接続された少なくとも2つのアミノ酸を含むものである。
本発明のいくつかの実施形態を、本明細書において説明し、実例を示したが、当業者には、本明細書に記載の機能を発揮させるため、ならびに/または結果および/もしくは1つ以上の利点を得るための、さまざまな他の手段および/または構造が容易に想到されよう。かかる変形例および/または修正例は各々、本発明の範囲に含まれるものとする。より一般的には、当業者には、本明細書に記載のパラメータ、寸法、材料および立体配置はすべて例示であることを意図していること、ならびに実際のパラメータ、寸法、材料および/または立体配置は、本発明の教示が使用される具体的な適用(1つまたは複数)に依存することが容易に認識されよう。当業者には、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物が認識され、または常套的な範囲内の実験手法を用いて該均等物を確認することができよう。したがって、前述の実施形態は、一例として提示したものにすぎないこと、ならびに添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲において、本発明は、具体的に記載したものおよび特許請求の範囲に示したもの以外の方法で実施され得ることが理解されよう。本発明は、本明細書に記載の個々の各特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法に関するものである。また、2つ以上のかかる特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せは、かかる特徴、系、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに矛盾しなければ、本発明の範囲に含まれる。
不定冠詞「a」および「an」は、ここで本明細書および特許請求の範囲において用いる場合、そうでないことを明示していない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されたい。
語句「および/または」は、ここで本明細書および特許請求の範囲において用いる場合、その等位要素の「いずれか、両方」、すなわち、一部の場合では接続的に存在する要素、他の場合では離接的に存在する要素を意味すると理解されたい。そうでないことを明示していない限り、「および/または」節で具体的に特定された要素以外の他の要素(具体的に特定された該要素に関係するものであれ、無関係のものであれ)が任意選択的に存在してもよい。したがって、非限定的な一例として、「Aおよび/またはB」に対する言及は、「comprising(〜を含む)」などのオープンエンドの文言とともに用いている場合、一実施形態では、Bを含まないA(任意選択で、B以外の要素を含む);別の実施形態では、Aを含まないB(任意選択で、A以外の要素を含む);また別の実施形態では、AとBの両方(任意選択で、他の要素を含む)などに対する言及であり得る。
ここで本明細書および特許請求の範囲において用いる場合、「または」は、上記に規定した「および/または」と同じ意味を有すると理解されたい。例えば、列挙されたアイテム間に記載されている場合、「または」あるいは「および/または」は包含的であると解釈されたい。すなわち、いくつかの列挙された要素の少なくとも1つを含むだけでなく、1つより多くも含み、任意選択で、列挙していないさらなるアイテムも含む。そうでないことを明示する用語(「〜のうちの一方のみ」もしくは「〜のうちの厳密に一方」、または特許請求の範囲で使用している場合の「〜からなる」など)のみ、いくつかの列挙された要素のうちの厳密に1つの要素を含むことを示す。一般に、用語「または」は、本明細書で用いる場合、「いずれか」、「〜のうちの一方」、「〜のうちの一方のみ」または「〜のうちの厳密に一方」などの排他性を示す用語の前にある場合だけ、排他的選択肢(すなわち、「一方または他方であり、両方ではない」)を示していると解釈されたい。「本質的に〜からなる」は、特許請求の範囲で用いる場合、特許法の分野で使用されている通常の意味を有するものとする。
ここで本明細書および特許請求の範囲において用いる場合、列挙された1つ以上の要素に関する語句「少なくとも1つ」は、要素の列挙内の要素の任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、必ずしも要素の列挙において具体的に列挙された1つ1つの要素の少なくとも1つを含むものでなくてよく、要素の列挙内の要素の任意の組合せを排除しないと理解されたい。また、この規定は、語句「少なくとも1つ」によって言及される要素の列挙において具体的に特定された要素以外の要素(具体的に特定された該要素に関係するものであれ、無関係のものであれ)が任意選択で存在してもよいことを許容する。したがって、非限定的な一例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(あるいは、同等の「AまたはBの少なくとも1つ」あるいは同等の「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、Bが存在しない少なくとも1つ(任意選択で、1つより多くを含む)のA(および任意選択で、B以外の要素を含む);別の実施形態では、Aが存在しない少なくとも1つ(任意選択で、1つより多くを含む)のB(および任意選択で、A以外の要素を含む);また別の実施形態では、少なくとも1つ(任意選択で、1つより多くを含む)のA、および少なくとも1つ(任意選択で、1つより多くを含む)のB(および任意選択で、他の要素を含む)などに対する言及であり得る。
特許請求の範囲ならびに上記の本明細書において、例えば、「〜を含む(comprising)」、「〜を含む(including)」、「〜を担持する(carrying)」、「〜を有する」、「〜を含む(containing)」、「〜を伴う」、「〜を保有する」などの移行句はすべてオープンエンドである。すなわち、限定されないが、〜を含むを意味すると理解されたい。移行句「〜からなる」および「本質的に〜からなる」のみが、それぞれ、米国特許庁の特許審査手続便覧,セクション2111.03に示されたクローズドまたはセミクローズドの移行句であるものとする。

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  1. 明細書に記載された発明。
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