JP2016040034A - モリブデン含有廃水のモリブデン除去方法 - Google Patents

モリブデン含有廃水のモリブデン除去方法 Download PDF

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辰郎 成瀬
俊治 村樫
Toshiharu Murakashi
俊治 村樫
俊孝 田村
Toshitaka Tamura
俊孝 田村
川島 健
Takeshi Kawashima
健 川島
和巳 河野
Kazumi Kono
和巳 河野
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Abstract

【課題】高濃度のモリブデンを含有する廃水であっても、一度の処理で大幅にモリブデン濃度を低下させることができるモリブデン含有廃水中のモリブデンを除去する方法を提供する。【解決手段】モリブデン含有廃水に、水溶性鉄塩を添加し、その後、水酸化ドロマイトを添加することで生じた懸濁物質を固液分離することにより、モリブデン含有廃水中のモリブデンを除去する。【選択図】なし

Description

本発明はモリブデン含有廃水中におけるモリブデンを除去する方法に関する。
モリブデンは合金、触媒、電子材料、フィラメントなどの製造分野で幅広く使用されている金属であり、これらの工場で生ずる廃液や廃水などはモリブデン化合物を含有している。モリブデンは生態への毒性が懸念されるものであり、平成5年3月に改訂された水質環境基準で要監視項目に付け加えられたことから、処理廃水中のモリブデン濃度をできる限り低減化する方法の確立が望まれている。
ほとんどの重金属の処理には、廃水中に苛性ソーダや消石灰などのアルカリ剤を添加して水不溶性の水酸化物を生成させて沈殿除去する凝集沈殿法が使用される。
しかし、モリブデンは、水中で酸素酸のアニオンとして存在するので、水酸化物を生成せず、一般的な凝集沈殿法は適用できない。
そのようなモリブデンをモリブデン含有廃水から除去する方法として、例えば次のような提案がされている。
特許文献1には、モリブデン含有廃水に第二鉄イオンを添加し、次いで酸又はアルカリ剤で排水のpHを4〜8として水酸化第二鉄を生成せしめ、生成した懸濁物質を固液分離すると共に、得られる汚泥の一部を反応槽へ返送して汚泥循環することによって、モリブデンを除去するモリブデン含有排水の処理方法が開示されている。しかしながら、その実施例によれば、廃水のモリブデン濃度は、20mg/L程度の低濃度であり、また、処理水中のモリブデン濃度を十分に低減するには、濃縮汚泥の一部を反応槽へ返送する操作を数回繰り返すことが必要であり、長時間の処理操作を要する。
特許文献2には、アンチモン化合物及び/又はモリブデン化合物を含有する廃水に、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸バンド等の無機系凝集剤を添加し、廃水のpHを中性乃至アルカリ性として、フロックを生成せしめた状態で水中のアンチモン化合物及び/又はモリブデン化合物を吸着させる。その後、ゼオライトと接触させることにより、水中のフロックに吸着されていないアンチモン化合物及び/又はモリブデン化合物とフロックに吸着されているこれら化合物をともに、ゼオライトに吸着させて廃水中から分離除去する廃水処理方法が開示されている。しかしながら、廃水のモリブデン濃度は、10ppmと低濃度であり、処理後の廃水におけるモリブデンの除去率も最高値で75.3%であり、高いとはいえない。
また、特許文献3には、水酸化第2鉄粉を300〜700℃で焼成して得た酸化鉄系吸着剤をカラム内に充填し、廃水を通液する、モリブデンの酸素酸イオンを含有する廃水の処理方法が開示されている。しかしながら、処理対象とする廃水は、pH2以下の強酸性のモリブデン含有廃水であり、モリブデン含有量も10mg/Lと低濃度の廃水である。
特開2000−117265号公報 特開平11−347568号公報 特開2010−29760号公報
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、高濃度のモリブデンを含有する廃水であっても、一度の処理で大幅にモリブデン濃度を低下させることができるモリブデン含有廃水中のモリブデンを除去する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、該除去方法による工場廃水において、産業廃棄物となるスラッジ量ができるだけ少なくなる処理方法の提供をも目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、モリブデン含有廃水に、水溶性鉄塩を添加し、その後、水酸化ドロマイトを添加することで生じた懸濁物質を固液分離することにより、モリブデン含有廃水中のモリブデンが効率的に除去できることを見出した。とりわけ、水溶性鉄塩の添加後に、水酸化ドロマイトを加えることで、あるいは、必要に応じてさらにpH調節剤を添加することで、廃水のpHを3.0〜8.5、好ましくは3.0〜7.0、特に好ましくは3.5〜6.5とすることにより、廃水中のモリブデン除去効率が著しく高くなることを見出した。
また、水溶性鉄塩として塩化第二鉄とポリ硫酸第二鉄を併用すると水酸化ドロマイトの量を減らすことができる。
そして、水酸化ドロマイトの添加による懸濁物質の生成後、更に高分子凝集剤を添加して懸濁物質をフロック化することで固液分離が容易になる。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(6)に関するものである。
(1)モリブデン含有廃水に、水溶性鉄塩を添加し、その後、水酸化ドロマイトを添加することで生じた懸濁物質を固液分離することによるモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
(2)水溶性鉄塩が塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第一鉄及びポリ硫酸第二鉄からなる群から選択されるいずれか一種以上である(1)に記載のモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
(3)水溶性鉄塩として塩化第二鉄とポリ硫酸第二鉄を併用する(1)に記載のモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
(4)水溶性鉄塩の添加後に、水酸化ドロマイトを加えることで、あるいは、必要に応じてさらにpH調節剤を添加することで、廃水のpHを3.0〜7.0とする(1)〜(3)のいずれかに記載のモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
(5)水酸化ドロマイトの添加後、更に高分子凝集剤を添加する(1)〜(4)のいずれかに記載のモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
本発明によれば、モリブデン含有廃水に、水溶性鉄塩を添加し、その後、水酸化ドロマイトを添加することで、高濃度のモリブデンを含有する廃水でも一度の処理でモリブデンを低濃度まで除去することができる。
水酸化ドロマイトは、水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混晶であり、水酸化第二鉄を析出させるためのアルカリ剤であると共に、モリブデンの吸着剤もしくは共沈剤の働きがあるものと考えられる。
また、水溶性鉄塩としてポリ硫酸第二鉄と塩化第二鉄を併用すると、良好なモリブデン除去率を確保しつつ水酸化ドロマイトの添加量を減らすことができ、産業廃棄物となるスラッジ量を削減することができる。
本発明方法が適用できるモリブデン含有廃水は、各種鉱工業におけるいずれの由来の廃水であってもよく、通常、廃水中にモリブデンを10〜3,000mg/L程度含む廃水において好適に適用できる。
本発明に用いられる水溶性鉄塩としては、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄等の水溶性鉄塩の1種以上が好ましく用いられ、なかでも、塩化第二鉄は、単独で用いても水酸化ドロマイトを添加することで高いモリブデン除去率が達成されるので特に好ましい。また、塩化第二鉄とポリ硫酸第二鉄を併用すると、良好なモリブデン除去率を確保しつつ水酸化ドロマイトの添加量を減らすことができ、好ましい。
水溶性鉄塩に加えて、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等の水溶性アルミニウム塩を添加してもよい。
本発明に用いられる水酸化ドロマイトは、ドロマイト(Dolomite)を加熱して得た軽焼ドロマイトに水を反応させて得られる物質である(例えば、特許第5306524号公報を参照)。
ドロマイトは、カルサイト(Calcite)と呼ばれる炭酸カルシウム(CaCO)と、マグネサイト(Magnesite)と呼ばれる炭酸マグネシウム(MgCO)との約1:1の複塩であり、ドロマイトを比較的温和な条件で加熱すれば、脱炭酸反応が起こって、軽焼ドロマイトと呼ばれる酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)との混合物が得られる。軽焼ドロマイトに水を加えて消化すれば、水酸化カルシウム(Ca(OH))と水酸化マグネシウム(Mg(OH))との混合物である、水酸化ドロマイトが得られる。水酸化ドロマイトには、これら主成分のほかに、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄等の他の成分を本発明の効果を妨げない範囲で含有していてもよい。
本発明に用いられる水酸化ドロマイトに含まれる水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとの質量比[Ca(OH)/(Mg(OH)+MgO)質量比]は、通常10/90〜90/10程度であり、好ましくは50/50〜80/20程度である。この質量比の範囲であれば、本発明の廃水中のモリブデン除去時にカルシウム成分、マグネシウム成分両者の特性を十分に生かすことができる。
本発明に用いられる水酸化ドロマイトは、JIS R9001に規定する特号及び1号の水酸化ドロマイトが好適である。
また、本発明では水酸化ドロマイトの原料として軽焼ドロマイトを用いることができ、JIS R9001に規定する特号及び1号の軽焼ドロマイトが好適である。更には、軽焼ドロマイトは、処理対象物である廃水中の水と反応して消化により水和され、水酸化ドロマイトに変化するので、水酸化ドロマイトを調製する工程を省略して軽焼ドロマイトをそのまま用いても水酸化ドロマイトによる本発明の効果が発揮される。
本発明のモリブデン含有廃水の処理方法においては、対象廃水に、まず、水溶性鉄塩を廃水に対して0.1〜6.0w/v%(以下、%とも表記する。)程度の割合、好ましくは0.15〜5.0w/v%程度の割合で添加する。水溶性鉄塩の添加が0.1w/v%より少ないと目標のモリブデン除去効率が達成されないことがあり、また6.0w/v%よりも多いと水酸化ドロマイトの添加量も多くなってスラッジ量が増加するので産業廃棄物処理上から好ましくはない。
水溶性鉄塩を添加、撹拌後に、水酸化ドロマイトを加えることで、あるいは、必要に応じてさらにpH調節剤を添加することで、廃水系のpHを3.0〜8.5、好ましくは3.0〜7.0、特に好ましくは3.5〜6.5として、撹拌することで、廃水に含有するモリブデンを効率よく沈殿除去できる。
水溶性鉄塩、水酸化ドロマイト添加後のこれらpH範囲が好ましいことは、水溶性鉄塩、水酸化ドロマイト添加後の試料廃水に、酸の添加でそのpHを2程度まで下げ、その後、アルカリを少しずつ添加することで試料廃水のpHを上げながら、都度サンプリングして、モリブデン沈殿物の懸濁状態を観察することで確認した。すなわち、pH3〜7の範囲内で懸濁物質(モリブデン共沈物)が形成されていることを確認し、その範囲外では懸濁物が少なくなる、あるいは認められなくなった。
水酸化ドロマイトの量は、通常は廃水に対する量比で表せば、0.1〜3.0w/v%程度、好ましくは0.3〜1.6w/v%程度が用いられる。
また、本発明において、モリブデン含有廃水に添加して用いる、水溶性鉄塩と水酸化ドロマイトの量比は、通常1/1〜10/1程度、好ましくは2/1〜4/1の範囲である。
なお、pH調節剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ性物質、もしくは塩酸、硫酸、硝酸等の酸性物質が用いられる。
本発明におけるモリブデン含有廃水からのモリブデン除去の詳細なメカニズムは明らかではないが、例えば、次のように考えられる。
水溶性鉄塩の添加で廃水系が酸性であるところへ水酸化ドロマイトを加えると廃水系のpHは中性もしくは塩基性側へふれて水酸化第二鉄など水不溶性水酸化物が析出する。ここで、水酸化ドロマイトは、水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムの混晶であり、水酸化ドロマイト中の水酸化マグネシウム分は、当初、酸性で一旦溶解し、水酸化カルシウム分とともにアルカリ剤として働き、系のpHが上昇して中性になると不溶化する。したがって、水溶性鉄塩と、次いで水酸化ドロマイトとを添加する本発明のモリブデン含有廃水の処理方法では、水酸化第二鉄および水酸化マグネシウムの析出時に廃水中のモリブデンもしくはモリブデン酸などのモリブデン化合物がそれらに吸着又は共沈すると考えられる。また、水酸化ドロマイト中の水酸化カルシウムはかなりの水溶性があってアルカリ剤の働きが強いが、水酸化マグネシウムと混晶を形成しているために、その水不溶分が共沈現象にも関与するものと推測される。
このようにしてできた、水酸化第二鉄、水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムにモリブデンもしくはモリブデン化合物を吸着した共沈物は、廃水中で懸濁物質となり、静置下に60分程度で沈降分離することができる。
本発明において、凝集沈殿法で懸濁物質をフロック化して固液分離を容易にするために、アニオン性、ノニオン性及びカチオン性の高分子凝集剤を用いることができる。
アニオン性高分子凝集剤としては、ポリアクリル酸ソーダ系、ポリアクリルアミド系が挙げられ、ノニオン性高分子凝集剤としては、ポリアクリルアミド系が挙げられる。
アニオン性、ノニオン性の高分子凝集剤は、通常、高分子量であり、水溶性鉄塩、水酸化ドロマイトの添加で生じた懸濁物質をフロック化して固液分離しやすくする。
カチオン性の高分子凝集剤としては、ポリアミジン系、ポリアクリル酸エステル系、ポリジシアンアミド系、ポリジアリルアミン系、ポリアミン系が挙げられる。
カチオン性の高分子凝集剤は、アニオン性、ノニオン性の高分子凝集剤のように高分子量ではないが、そのカチオン性が、モリブデン酸アニオンなどモリブデン化合物との結合性があることも考えられる。
高分子凝集剤の添加量は、通常、0.5〜10mg/L、好ましくは1〜7mg/L程度である。
固液分離方法は、凝集沈殿したモリブデン含有フロックを固液分離機で固液分離する。
通常はフィルタープレス、ベルトプレス、遠心分離等の一般的な固液分離方法を用いることができる。
(試験廃水)
1)原廃水:触媒製造工場の廃水を使用した。
2)消石灰処理廃水:原廃水に消石灰を添加してモリブデン以外の重金属を除去した廃水である(廃水中に溶解消石灰あり)。
3)模擬廃水:純水にモリブデン化合物を添加してつくった廃水である。
(使用薬剤)
1)水溶性鉄塩等:市販の塩化第二鉄溶液(ラサ工業社製、「塩化第二鉄液 ボーメ度40」)、ポリ硫酸第二鉄溶液(日鉄鉱業社製、「ポリテツ」)、およびポリ塩化アルミニウム溶液(10%水溶液)を使用した。
2)水酸化ドロマイト:葛生産ドロマイトを加熱して得た軽焼ドロマイトに水を反応させて消化させることにより得た。得られた水酸化ドロマイトは、水酸化カルシウム56.6質量%、炭酸カルシウム5.8質量%、水酸化マグネシウム33.2質量%、酸化マグネシウム2.5質量%を含有し、JIS R9001に規定する特号の基準を満たす。
3)消石灰:工業用特号消石灰(水酸化カルシウム)を使用した。
4)高分子凝集剤:ポリアクリル酸ソーダ(ハイモ社製、A−210H)、ポリジシアンジアミド系凝集剤(ハイモ社製、Q−105)又はポリアクリル酸エステル系カチオン高分子凝集剤(ハイモ社製、MP−584)を使用した。
(試験方法)
実施例においては、ビーカー中に試験廃水100mLを入れ、所定量の水溶性鉄塩を加えて撹拌し、その後、水酸化ドロマイトを所定量添加して60分間撹拌した。
そして、生成した懸濁物質を固液分離し、上澄廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。
なお、実施例6においては、水溶性鉄塩、水酸化ドロマイトおよびジシアンアミド系凝集剤を添加して60分間撹拌後、懸濁系のpHを測定した。そして、25%NaOHにてpHを塩基性とした後、ポリアクリル酸ソーダを添加して、懸濁物質をフロック化して凝集沈殿させて固液分離した上澄廃水のモリブデン含量を測定した。
(廃水中のモリブデン含量の測定)
バリアン社製ICP-OES Varian720−ES(実施例1〜5、比較例1〜6)及びHACH社製携帯用多項目迅速水質分析計(実施例6〜7、比較例7〜8)を用いて測定した。
比較例1、2
比較例1では、モリブデンと他の重金属(Co、Ni等)を含む原廃水(モリブデン含量95mg/L、初期pH2.7)100mLに、水酸化ドロマイトを1.0w/v%(1.0g)添加して120分撹拌し、その後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。表1に示すように、水酸化ドロマイト単独の添加ではモリブデンの除去率は10.5%と非常に低かった。
Figure 2016040034
比較例2では、消石灰でモリブデン以外の重金属除去を行った廃水(モリブデン含量530mg/L、初期pH6.2)100mLに、水酸化ドロマイトを1.0w/v%(1.0g)添加して120分撹拌し、その後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。表2に示すように、水酸化ドロマイト単独の添加ではモリブデンの除去率は22.6%と非常に低かった。
Figure 2016040034
実施例1-1〜1-4、比較例3
実施例1−1〜1−4では、消石灰でモリブデン以外の重金属除去を行った廃水(モリブデン含量530mg/L、初期pH6.2)100mLに、塩化第二鉄溶液を表3に記載の量(w/v%)加え、次いで水酸化ドロマイトを表3に記載の量(w/v%)加えて、60分間撹拌後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。
また、比較例3として、該消石灰処理廃水100mLに、塩化第二鉄溶液を1.0w/v%加え、次いで消石灰を0.5w/v%(5.0g)加えて、60分間撹拌後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。
表3に示すごとく、水酸化ドロマイトを用いた実施例1-1〜1-4は、水酸化カルシウム(消石灰)を用いた比較例3よりもモリブデン除去率が良好であった。また、水酸化ドロマイト0.5%(実施例1−1)と消石灰0.5%(比較例3)の同量添加では、モリブデン除去率はそれぞれ52.8%、35.8%であり、水酸化ドロマイトの方が除去率は高かった。また塩化第二鉄の添加量が増えることによりモリブデン除去率が向上した。
Figure 2016040034
実施例2−1〜2−2、比較例4〜5
実施例2−1〜2−2では、原廃水(モリブデン含量320mg/L、初期pH3.1)100mLに、塩化第二鉄溶液、次いで水酸化ドロマイトを表4に記載の量(w/v%)加えて、60分間撹拌後、廃水のpH、モリブデン含量を測定した。
また、比較例4,5として、該原廃水100mLに、塩化第二鉄溶液、次いで消石灰を表4に記載の量(w/v%)加えて、60分間撹拌後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。
表4に示す通り、塩化第二鉄溶液添加量を3w/v%に統一し、水酸化ドロマイトと消石灰を添加し、60分間撹拌後のpHを8.5程度と9.2程度に調整したものであるが、どちらのpHでも水酸化ドロマイトの方がモリブデン除去率は高く、pHは8.5程度の方がpH9.2程度よりもモリブデン除去率が高かった。
Figure 2016040034
実施例3-1〜3-3
実施例3−1〜3−3では、原廃水(モリブデン含量320mg/L、初期pH3.1)100mLに、塩化第二鉄溶液、次いで水酸化ドロマイトを表6に記載の量(w/v%)加えて、60分間撹拌後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。
表5に示す通り、塩化第二鉄溶液の添加量を上げるとモリブデン除去率は90%以上と向上し、その時のpHは8前後であった。
Figure 2016040034
実施例4-1〜4-3、比較例6
実施例4−1〜4−3では、高濃度モリブデン含有模擬廃水(モリブデン含量2,100mg/L、初期pH4.9)100mLに、塩化第二鉄溶液、次いで水酸化ドロマイトを表7に記載の量(w/v%)加えて、60分間撹拌後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。
また、比較例6として、該高濃度モリブデン含有模擬廃水100mLに塩化第二鉄溶液、次いで消石灰を表7に記載の量(w/v%)加えて、60分間撹拌後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。
表6に示す通り、実施例4−3(塩化第二鉄溶液4.5%、pH7.5)はモリブデン除去率が99.1%と高かった。
Figure 2016040034
実施例5−1〜5−2
実施例5−1〜5−2では、原廃水(モリブデン含量340mg/L、初期pH3.1)100mLに、塩化第二鉄溶液、次いで水酸化ドロマイトを表7に記載の量(w/v%)を加えて、60分間撹拌後、廃水のpHおよびモリブデン含量を測定した。
表7に示すように、実施例5−2(塩化第二鉄溶液4.5%、pH6.5)は、モリブデン含量は340mg/Lから0.42mg/L、モリブデン除去率は99.9%と著しい好結果を示した。
Figure 2016040034
実施例6-1〜6-4、比較例7〜8
実施例6−1〜6−4では、原廃水(モリブデン含量258mg/L、初期pH8.9)100mLに、ポリ硫酸第二鉄溶液、塩化第二鉄溶液、水酸化ドロマイドおよびジシアンアミド系凝集剤を添加して60分間撹拌後、懸濁系のpHを測定した。そして、ポリアクリル酸ソーダを添加して、懸濁物質をフロック化して凝集沈殿させ、固液分離して、廃水ろ液中のモリブデン含量を測定した。
また、比較例7〜8として、該原廃水100mLに、ポリ硫酸第二鉄溶液、塩化第二鉄溶液、ポリ塩化アルミニウム溶液を表8に記載の量(w/v%)それぞれ加え、60分間撹拌後、懸濁系のpHを測定した。そして、ポリアクリル酸ソーダを添加して、懸濁物質をフロック化して凝集沈殿させ、固液分離して、廃水ろ液中のモリブデン含量を測定した。
表8に示す通り、ポリ硫酸第二鉄溶液、塩化第二鉄溶液の単独ではそれほど除去率が向上しなかった。しかし、ポリ硫酸第二鉄溶液と塩化第二鉄溶液を併用し、水酸化ドロマイトを使用することにより99%以上のモリブデン除去率を確保できた。また、ポリ硫酸第二鉄溶液と併用することにより塩化第二鉄溶液及び水酸化ドロマイトの添加量も削減でき、スラッジによる産業廃棄物処理量が大幅に削減できる。
Figure 2016040034
実施例7
原廃水(モリブデン含量250mg/L、初期pH5.2)100mLに、ポリ硫酸第二鉄溶液、塩化第二鉄溶液および水酸化ドロマイトを表9に記載の量で添加して60分間撹拌後、懸濁系のpHを測定したところ、8.2であったので、35%塩酸でpHを4に下げた。そしてポリアクリル酸エステル系カチオン高分子凝集剤MP−584で凝集沈殿し、ろ紙でろ過後、Mo含量を測定した。
結果は表9に示したように、pH4でモリブデン含量は0.5mg/Lとなり、モリブデン除去率は99.8%であった。
Figure 2016040034

Claims (5)

  1. モリブデン含有廃水に、水溶性鉄塩を添加し、その後、水酸化ドロマイトを添加することで生じた懸濁物質を固液分離することによるモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
  2. 水溶性鉄塩が塩化第二鉄、硝酸第二鉄、硫酸第一鉄及びポリ硫酸第二鉄からなる群から選択されるいずれか一種以上である請求項1に記載のモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
  3. 水溶性鉄塩として塩化第二鉄とポリ硫酸第二鉄を併用する請求項1に記載のモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
  4. 水溶性鉄塩の添加後に、水酸化ドロマイトを加えることで、あるいは、必要に応じてさらにpH調節剤を添加することで、廃水のpHを3.0〜7.0とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
  5. 水酸化ドロマイトの添加後、更に高分子凝集剤を添加する請求項1〜4のいずれか一項に記載のモリブデン含有廃水中のモリブデンの除去方法。
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JP2020081951A (ja) * 2018-11-22 2020-06-04 オルガノ株式会社 水処理方法および水処理装置

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JP2020081951A (ja) * 2018-11-22 2020-06-04 オルガノ株式会社 水処理方法および水処理装置
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