JP2016034670A - レジンボンド砥石 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な切削・研磨能率を有するとともに、成形が容易で、リサイクル可能なレジンボンド砥石を提供すること。
【解決手段】砥粒3と、これら砥粒3を互いに結合する結合材5とを含み、この結合材5が実質的に熱可塑性樹脂のみから構成されている、レジンボンド砥石1とする。
【選択図】図1

Description

本発明はレジンボンド砥石に関する。詳しくは、砥粒が樹脂材料により固定されているレジンボンド砥石に関する。
従来より、金属や半金属、非金属、その酸化物やガラス等の材料表面や断面に対し、凹凸や傷を取り除き滑らかな表面を生み出す目的で、砥石を用いた切削および/または研磨が施されている。研磨に用いる砥石としては、砥粒を固定する結合材の種類により、レジンボンド砥石,メタルボンド砥石,ビトリファイドボンド砥石,電着砥石等が知られている。これらの砥石のうち、特許文献1〜5には、砥粒が樹脂からなる結合材により固定されたレジンボンド砥石に関する技術が開示されている。
特開2007−105817号公報 特開2004−074332号公報 特開2003−311630号公報 特開2000−301459号公報 特開2000−301460号公報
かかるレジンボンド砥石は、結合材として熱硬化性樹脂(典型的には、フェノール樹脂,ウレタン樹脂,エポキシ樹脂等)を使用するのが一般的である。これは研磨・切削時に発生する摩擦等による熱によって、その特性変化を生じさせないためである。また、レジンボンド砥石においては、結合材が程よい弾性を有していることから砥粒の緩衝材として作用し、他の種類の砥石に比べて加工物に対する切れ味に優れ、加工物の表面の研磨および切削精度がよいという利点がある。
しかしながら、熱硬化性樹脂は加熱による変形性を有さないため、一旦硬化した後は複雑な形状に成形することが困難であり、かかるレジンボンド砥石は形状が単純なものに制限されるか、複雑な形状のものは切削加工等の煩雑な工程を経る必要があった。
ところで、近年の電気機器等のデザインの多様化から、各種の電気機器等の筐体には、その面内に大小様々な形態の孔部が設けられ、筐体の形状が複雑化されている。例えば、携帯電話の外装用筐体には、液晶画面やカメラレンズ、操作用ボタン、受話器部等の各種の機能部材を嵌め込みまたは構築する目的で、比較的寸法の小さい孔部が設けられている。また、電気機器の筐体内に収められる各種電気素子等においても、比較的寸法の小さい孔部が多数設けられることがある。さらには、比較的寸法の小さい切欠き等設けられることもある。
これらの孔部や切欠きは、筐体を射出成形する際に形成したり、筐体にドリルやレーザ等による加工を施して形成している。そして形成された孔部の側壁(内壁)にも、研磨(内面研磨)加工が必要となり得る。したがって、かかる孔部や切欠きを研磨する目的で、比較的多様な形状を有する砥石が求められている。また、これまで砥石は、ある程度消耗すると使い捨てられていたが、かかる使用済みの砥石および熱硬化性樹脂は不燃性の廃棄物となり、環境の観点からその処理方法について検討の余地があった。
本発明は、上述の事情を鑑みて創出されたものであり、十分な切削・研磨能率を有するとともに、成形が容易で、リサイクル可能なレジンボンド砥石を提供することを目的とする。
ここに開示される技術は、レジンボンド砥石を提供する。かかるレジンボンド砥石は、砥粒と、上記砥粒を互いに結合する結合材とを含み、上記結合材が実質的に熱可塑性樹脂のみから構成されていることを特徴としている。
このように結合材を熱可塑性樹脂のみにより構成することで、比較的複雑な形状への成形を容易に実施することができる。また、一旦成形した砥石についても、適切な温度への再加熱により自由な形状への変形が可能とされる。また、消耗したレジンボンド砥石は、溶融させることで砥石と樹脂とを別々に回収し、各材料をリサイクルでき、比較的低コストで環境負荷を低減することができる。
ここに開示されるレジンボンド砥石の好ましい一態様において、上記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタアクリル樹脂からなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴としている。
かかる樹脂は、熱可塑性を示すとともに、結合材として用いた場合に加工物に特に滑らかな表面を形成するために好ましい。
ここに開示されるレジンボンド砥石の好ましい一態様において、上記熱可塑性樹脂は、曲げ強度が90MPa以上であることを特徴としている。かかる構成によると、例えば、適度な柔軟性を備えながらも耐久性の高いレジンボンド砥石が提供される。
なお、曲げ強度とは、曲げ試験において試験片が破壊するときの曲げ破壊応力であり、JIS K 7171:2008に準拠して測定される値とすることができる。
ここに開示されるレジンボンド砥石の好ましい一態様において、上記熱可塑性樹脂は、アイゾット衝撃値が20J/m以上であることを特徴としている。アイゾット衝撃値が上記範囲にあることで、特に、高速で移動する当該砥石の表面に負荷が加わった場合であっても、砥粒を支える結合材に破壊が生じ難い。このため、より一層耐久性の高いレジンボンド砥石が提供される。
なお、アイゾット衝撃値とは、衝撃に対する強さ(靭性)を評価する指標であり、JIS K 7110:1999に準拠して測定される値とすることができる。
ここに開示されるレジンボンド砥石の好ましい一態様において、当該レジンボンド砥石は、上記砥粒と上記結合材との混合物を射出成形することにより成形されていることを特徴としている。かかる構成によると、複雑な形状を有する砥石を、簡便かつ大量に製造することができる。例えば、従来の円盤型、平板型、円柱型の砥石に限定されることなく、加工物の加工面に最適な寸法および形状の砥石が実現される。
ここに開示されるレジンボンド砥石の好ましい一態様において、当該レジンボンド砥石は、断面直径が1cm以下の円筒形状であることを特徴としている。例えば、かかる小寸法の砥石、さらには切削加工等では形成し難い複雑な形状の砥石が簡便かつ低コストに実現され得る。
ここに開示されるレジンボンド砥石の好ましい一態様において、金属板またはガラス板の断面の研磨に用いられることを特徴している。かかるレジンボンド砥石は、例えば、金属材料やガラス材料からなる加工物の切削および研磨に特に好適に用いることができる。特に好ましい適用対象として、精密機器基板や、小型電気機器等における微細孔の内面研磨が例示される。
図1は、本発明の一実施形態に係るレジンボンド砥石を示した図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、図は模式的に描かれており、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
ここに開示されるレジンボンド砥石1は、砥粒3と、この砥粒3を互いに結合する結合材5とを含んでいる、いわゆる固定砥石である。そしてこの結合材5が実質的に熱可塑性樹脂のみから構成されていることにより特徴づけられる。
[砥粒]
ここに開示されるレジンボンド砥石は、被加工物を直接的に切削および研磨する要素として、砥粒を含有している。砥粒の材質や性状等は特に制限されず、切削加工または研磨加工の目的や使用態様等に応じて、一般砥粒および超砥粒の中から適宜選択して用いることができる。例えば、砥粒は、被加工物の硬度等の物理的特性を考慮して決定することができる。砥粒の例としては、無機材料、有機材料および有機無機複合材料からなる粒子が挙げられる。かかる砥粒を構成する無機材料の具体例としては、シリカ、アルミナ、セリア、酸化クロム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、二酸化マンガン、酸化亜鉛、ベンガラ等の酸化物;窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の窒化物;炭化ケイ素、炭化ホウ素等の炭化物;炭窒化ホウ素;ダイヤモンド;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩;スピネル、アルミン酸マグネシウム、アルミン酸ベリリウム等のアルミン酸塩等が挙げられる。有機材料の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。このような砥粒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
かかる砥粒としては、無機材料からなる粒子を用いるのが好ましく、なかでも鉱物、並びに金属または半金属の酸化物や炭化物,窒化物等からなる粒子を用いるのがより好ましい。例えば、ダイヤモンド(ヌープ硬度:7000〜8000程度)、炭窒化ホウ素(ヌープ硬度:4700程度)、シリカ(ヌープ硬度:800〜900程度)、炭化ケイ素(ヌープ硬度:2500〜3200程度)の粒子が挙げられる。このような砥粒としては、極めて高硬度であるダイヤモンドを用いることが特に好ましい。ダイヤモンドは天然のものであっても人工のものであっても良く、例えば、人工ダイヤモンドについては高純度のものが得られやすく、砥粒としても各種のものが安定して入手可能である点で好ましい。
上記の砥粒は、例えば、その表面が金属材料等で表面処理された形態であっても良い。具体的には、砥粒の表面をニッケル(Ni)や銅(Cu)、チタン(Ti)などの金属で表面処理(典型的には、コーティング)することで、砥粒と結合材との密着性を向上させることができ、また、研削・研磨時に発生する摩擦熱を効果的に放出することができて好ましい。さらには、砥粒自体の靱性を高め、切削および研磨効率を向上することができる。
さらに、上記の砥粒の幾何学的な形状(外形)については特に限定されず、例えば、球形のものから不定形のものまで、各種の形状であってよい。なお、切削および研磨の効率を高め、砥粒の結合材中による固定を強固にし得るとの観点からは、例えば、尖部を有する形状であるのが好ましい。例えば、典型的な一例として、かかる鉱物ないしは金属酸化物を構成する結晶系が反映された外形であることが好ましい。かかる結晶系が反映された外形は、例えば、鉱物ないしは金属酸化物を、特に球状化処理を施すことなく製造することや、十分な結晶成長過程を経て製造すること、さらには、破砕して製造すること等で実現することができる。砥粒に結晶面(劈開面を含む)や稜、隅角、角部等が存在することにより、砥粒と結合材とが良好に噛み合って、強固な嵌まり合いを簡便に実現することができる。
また、砥粒の大きさや形状等についても、このレジンボンド砥石の使用目的や使用態様等に応じて適宜決定することができる。例えば、砥粒は、平均粒径が0.1μm〜40μm、アスペクト比が1.2〜1.6のものを好適に用いることができる。そして、例えば、切削が目的の場合には、平均粒径が5μm〜30μm程度(典型的には10μm〜20μm程度、例えば10μm〜15μm程度)のものを用いることができる。また、例えば、研磨が目的の場合には、平均粒径が1μm〜20μm程度(典型的には3μm〜10μm程度、例えば5μm〜10μm程度)のものを用いることができる。さらに、例えば、精密研磨が目的の場合には、平均粒径が0.1μm〜10μm程度(典型的には0.5μm〜3μm程度、例えば1μm〜2μm程度)のものを用いることができる。
なお、かかる砥粒の平均粒子径は、例えば、電子顕微鏡観察により把握することができる。例えば、具体的には、ここに開示されるレジンボンド砥石の任意の断面を電子顕微鏡等の適切な観察手段を用いて得られる観察像において、所定個数(例えば100個)以上の砥粒について円相当径を求め、算術平均値を算出することで、平均粒子径を得ることができる。
[熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂としては、加熱により成形できる程度の熱可塑性が得られる合成樹脂を広く制限なく包含し得る。本明細書において、「熱可塑性」とは、加熱すると軟化して塑性変形が可能となり、冷却すると可逆的に硬化する性質である。一般に、線状あるいは分枝状の高分子からなる化学構造を有する樹脂がこれに属する。具体的には、ポリ塩化ビニル(PVC),ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),ポリスチレン(PS),アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS),アクリロニトリル・スチレン(AS),ポリメチルメタアクリル(PMMA),ポリビニルアルコール(PVA),ポリ塩化ビニリデン(PVDC),ポリエチレンテレフタレート(PET)等の汎用樹脂、ポリアミド(PA),ポリアセタール(POM),ポリカーボネート(PC),ポリフェニレンエーテル(PPE),変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE;m−PPOともいう。),ポリブチレンテレフタレート(PBT),超高分子量ポリエチレン(UHPE),ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のエンジニアリング・プラスチック、ポリスルフォン(PSF),ポリエーテルスルフォン(PES),ポリフェニレンスルフィド(PPS),ポリアリレート(PAR),ポリアミドイミド(PAI),ポリエーテルイミド(PEI),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリイミド(PI),液晶ポリマー(LCP),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のスーパーエンジニアリング・プラスチック等が例示される。なかでも、PVC、PC、PET,PBT等に代表されるポリアルキレンテレフタレート、ポリメチルメタアクリル等の樹脂であるのが好ましい。これらはいずれか1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いるようにしても良い。
なお、ここに開示される技術において、上記結合材を構成する熱可塑性樹脂は、必ずしもこれに限定されるものではないが、曲げ強度が90MPa以上(典型的には、90MPa以上300MPa以下)であることも好ましい態様であり得る。曲げ強度がかかる範囲にあることで、砥石の使用に際し、砥粒を支え保持する結合材に亀裂や破損、破断等が起こるのを抑制し、耐久性の高い砥石を実現することができる。曲げ強度は、典型的には、100MPa以上であってよく、120MPa以上であるのが好ましく、140MPa以上であるのがさらに好ましく、例えば、150MPa以上であり得る。
なお、ここに開示される技術において、上記結合材を構成する熱可塑性樹脂は、必ずしもこれに限定されるものではないが、アイゾット衝撃値が20J/m以上(例えば、20J/m以上200J/m以下)であることも好ましい態様であり得る。アイゾット衝撃値がかかる範囲にあることで靱性が増し、砥石の使用に際して砥粒に衝撃的なせん断応力が加わった場合でも、結合材に亀裂や破損、破断等が起こるのが抑制される。これによっても、耐久性の高い砥石を実現することができる。アイゾット衝撃値は、典型的には、30J/m以上であってよく、50J/m以上であるのがより好ましく、70J/m以上であるのがさらに好ましく、例えば、80J/m以上であり得る。アイゾット衝撃値の上限については特に制限されず、200J/m以下(例えば100J/m以下)程度を目安としても良い。
エンジニアリング・プラスチックは、優れた力学的性質(例えば強度)と、耐熱性,耐久性等の特定の機能が強化されているプラスチックの一群を指す分類上の名称である。厳密な規定はないものの、当業者には、例えば、一般的な概念として、100℃以上の環境に曝されても、49MPa以上の引っ張り強度と2.5GPa以上の曲げ弾性率を有する(いわゆる耐熱温度が100℃以上の)プラスチックとして認識され得る。なお、本明細書におけるプラスチックとは、熱や圧力により塑性変形させて成形することができる高分子化合物(すなわち、樹脂)の総称である。本明細書においては、上記のとおり、特に熱可塑性を有するプラスチック(樹脂)を対象としている。なお、以上の熱可塑性樹脂は、例えば分子量のばらつき等の、構造や諸特性を高いレベルで制御するとの観点から、典型的には重合法によって調製されている合成樹脂(合成高分子)であることが好ましい。
以上のレジンボンド砥石において、砥石全体(すなわち、砥粒と結合材との合計)に占める砥粒の割合は、かかる砥石の用途や砥粒の形状等にも因るため一概には言えないものの、おおよそ5体積%以上70体積%以下となる範囲とすることが適切である。砥粒の割合が80体積%を超えると、砥粒を固着する結合材の割合が少なくなりすぎ、砥粒の脱落や、結合材の割れや亀裂の発生等による耐久性の低下を引き起こす可能性が高くなるために好ましくない。逆に、砥粒の割合が5体積%未満となると、切削および研磨の効率が著しく低下し得るために好ましくない。砥粒の割合は、好ましくは10体積%以上40体積%以下、例えば、15体積%以上30体積%以下であり得る。また特に、後述の射出成形性をも考慮した場合、砥粒と結合材との合計に占める砥粒の割合は、30±5体積%程度とするのが好適であり得る。
ここに開示されるレジンボンド砥石は、本発明の目的を損ねない範囲において、分散剤や発泡剤等の添加剤やその分解物等をさらに含有していてもよい。
[成形]
以上のレジンボンド砥石は、その形状および形態に特に制限されず、様々な形態のものとして提供され得る。例えば、砥粒と結合材とが高密度に成形されているものや、結合材中に空隙が設けられて低密度に(例えば、スポンジ状に)形成されているものであっても良い。
かかるレジンボンド砥石は、結合材として熱可塑性樹脂を用いていることから、例えば、砥粒と結合材との混合物を加熱した後、所望の形状に成形した状態で冷却し、固化させることで、製造することができる。ここで、結合材は、目的の熱可塑性樹脂を構成し得るポリマー原料(典型的には、モノマー,オリゴマー,プレポリマー等)を、重合開始剤や硬化剤等と共に用いるようにしてもよいし、既に合成された熱可塑性樹脂を用いるようにしても良い。なお、結合材をスポンジ状に形成する際には、さらに、発泡剤を用いることができる。このときの加熱は、採用する成形法に応じて、結合材である熱可塑性樹脂が適切な状態に軟化または溶融するように調整することができる。また発泡剤が発泡可能な温度とすることができる。
成形(一次成形)には、例えば、砥粒と結合材との混合物を結合材の軟化点、ガラス転移点または融点以上の温度に加熱して軟化または液状化させた後、かかる液状の混合物(すなわち、未硬化の熱可塑性樹脂)を所望の砥石形状に対応する型枠内に導入して、冷却することで、所望の形態のレジンボンド砥石を製造することが例示される。このとき、液状混合物の型枠内への導入は、かかる液状混合物を型枠内に流しいれること(すなわち、鋳込み)で行っても良いし、十分な流動性を備えた液状混合物を型枠内に射出すること(すなわち、射出成形)で行っても良い。また或いは、粒状の砥粒と結合材とを所望の砥石形状に対応する型枠内に流しいれた後、かかる型枠ごと加熱して結合材を軟化または溶融させ、次いで冷却するようにしても良い。必要であれば、加圧などの操作を行うようにしても良い。これにより、所望の形状のレジンボンド砥石を簡便に得ることができる。なお、かかるレジンボンド砥石は、熱可塑性樹脂の物性を選択することで強度や靱性に優れたものとなり得る。したがって、例えば、断面直径が1cm以下等といった小寸法部分を有するレジンボンド砥石等を好適に実現することができる。
また、上記の成形に引き続き、さらに付加的に成形(二次成形)を行うようにしても良い。例えば、塊状に成形したレジンボンド砥石を、薄いシート状あるいは所定のブロック状に切断しても良い。あるいは、一旦硬化したレジンボンド砥石に対し、再度加熱を施し結合材を軟化させて、所望の形状となるよう成形を施した後、硬化させても良い。
以上のことから明らかなように、結合材としての熱可塑性樹脂は、所望の特性を有するポリマーまたはプレポリマーを用意して用いてもよいし、目的の熱可塑性樹脂を構成し得るモノマーやオリゴマーを重合させることで用意して用いてもよい。かかる熱可塑性樹脂の用意については、常法に従って行い得るためにここでは詳細な説明は省略する。
なお、熱可塑性樹脂は、本発明の目的を損ねない範囲において、公知の他の添加剤、助剤等を含むことができる。かかる添加剤および助剤は、例えば、重合開始剤、重合禁止剤、硬化剤、発泡剤、消泡剤、着色剤等であり得る。
これにより、簡便に、任意の形状のレジンボンド砥石を得ることができる。なお、成形法として射出成型法を採用することで、複雑かつ微細な形状を有するレジンボンド砥石を簡便かつ大量に製造することができる。例えば、外形の最小寸法は5cm以下(典型的には、4cm以下、特徴的には3cm以下、更に特徴的には2cm以下、例えば1cm以下)の形状のものとして作成することができる。
例えば、図1は、一実施形態に係るレジンボンド砥石1である。このレジンボンド砥石1は、砥粒3と、この砥粒3を互いに結合する結合材5を含んでいる。そして更に特徴的には、このレジンボンド砥石1は、例えば、図1に例示したように、外径が5cm以下(典型的には、4cm以下、特徴的には3cm以下、更に特徴的には2cm以下、例えば1cm以下)で、内径が3cm以下(典型的には、2cm以下、特徴的には1.5cm以下、更に特徴的には1cm以下、例えば5mm以下)円筒形状等といった、微細で肉薄な円筒形状等に作成することができる。かかる形状を有する砥石1は、例えば、円筒形状の中空部分に当該レジンボンド砥石1を固定するための金具等を装着できる点で好ましい。
なお、この中空部分の形態については、幾何学的な円筒形状(の中空)に限定されることなく、角柱形状や任意の形状(の中空)とすることができる。このようにすることで、このレジンボンド砥石1を金具を中心に回転させて使用する場合等にレジンボンド砥石1と金具との間で滑りが生じ難くなるために好ましい。これにより、例えば、外形の少なくとも一部にかかる小寸法部分がある砥石、さらにはより微小な寸法部分のある砥石、さらには中空部分などの複雑形状を有する砥石、などが簡便かつ低コストに実現される。そしてまた、かかるレジンボンド砥石が微小な寸法部分を有することにより、被加工物に設けられた微小な寸法部の切削または研磨を好適に行うことができる。
[用途]
ここに開示されるレジンボンド砥石は、種々の材質および形状を有する被加工物の切削または研磨に適用することができる。被加工物の材質は、例えば、シリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン、ステンレス鋼等の金属もしくは半金属材料、またはこれらの合金;石英ガラス、アルミノシリケートガラス、ガラス状カーボン等のガラス材料;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料;炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料;ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等であり得る。これらのうち複数の材質により構成された被加工物であってもよい。なかでも、表面が比較的硬質となる金属材料や、硬質かつ脆いガラス材料からなる表面を備えた被研磨物の研磨に好適である。ここに開示される技術は、例えば、被加工物が金属プレートやガラスプレートに設けられた細孔の側壁の研磨に対して特に好ましく適用され得る。
[リサイクル]
以上の構成のレジンボンド砥石は、本質的に、砥粒と熱可塑性樹脂からなる結合材とから構成される。したがって、使用後のレジンボンド砥石は、例えば、結合剤として用いた熱可塑性樹脂の融点以上の温度にまで加熱して結合剤を液状化させることで、砥粒との分離を図ることができる。分離された砥粒と熱可塑性樹脂(未硬化であり得る)とは、別個に回収することで、かかるレジンボンド砥石または他の物品の構成材料として再利用することができる。再利用に際しては、必要に応じて、洗浄,精製等を行い、不純物を除去するようにしてもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[レジンボンド砥石の用意]
砥粒としては、平均粒子径が約10μmのアルミナ砥粒を用い、結合材としては、下記の表1に示される特性を備える(1)PC,(2)PET,(3)PEEKおよび(4)エポキシ樹脂を用意した。これらのうち、結合材(1)〜(3)が熱可塑性樹脂であり、結合材(4)が熱硬化性樹脂である。また、発泡剤として、スチレンビーズを用いた。そして、砥粒,結合材および発泡剤の配合割合を、質量比で30:65:5として混合し、金型に注型した後、所定の温度に加熱して発泡および硬化させた。硬化後の硬化物を金型より離型し、一定の厚さ(ここでは15mm)にスライスした後、使用する研磨機に適した形状に切断することで、パッドタイプのレジンボンド砥石を得た。
Figure 2016034670
[研磨]
被加工物(ワーク)として、寸法が30mm×30mm×15mmの無酸素銅片,ステンレス片(SUS304),鉄片(S45C)を用意し、各例に係るレジンボンド砥石を使用してその表面を研磨した。具体的には、研磨機として、定盤径300mmの片面精密ラッピング装置を用いた。上記3つのワークは、直径90mmのワークホルダの中心から半径35mmの位置に等間隔で貼付けにより固定した。なお、ワークの表面は、前処理として♯1200のGC砥粒を用いたラッピングにより表面粗さRaが約0.4μmとなるよう予備研磨した。
上記で用意したパッド状レジンボンド砥石(研磨パッド)は、適切なフェイシング処理を施した後、ワークの研磨に供した。研磨条件は以下の通りとした。
[研磨条件]
研磨装置:Engis社製、EJ−380
研磨荷重:100g/cm
プレート速度:60rpm
研磨時間:10分間
温度:25℃
[評価]
上記で用意した(1)〜(4)の研磨パッドを用いた研磨において、研磨パッドの破損等の異常は見られず、良好な研磨を行うことができた。
上記研磨条件で研磨したときの研磨能率を測定した。なお、研磨能率は加工前後のワークの厚みを測定することで算出した。また、研磨後のワークの表面粗さ(Ra)を測定した。測定には、表面粗さ測定器(株式会社東京精密、surfcom120A)を用い、JIS B 0601:2001に準拠して測定した。これらの結果を表2に示した。なお、ステンレス片については、かかるパッドによる研磨では鏡面に仕上がりにくい素材であることから、表面粗さの測定は行わなかった。
Figure 2016034670
結合材として(4)エポキシ樹脂を使用した研磨パッドは、例えばウレタンパッドと並び、最も汎用されている研磨パッドの一つである。表1に示されるように、ここに開示される、結合材として熱可塑性樹脂を用いた(1)〜(3)の研磨パッドは、従来の(4)エポキシ樹脂パッドと比較して、いずれも高い研磨能率が得られることが確認できた。とくに、(1)PCおよび(2)PETは、(4)エポキシ樹脂よりもD型ゴム硬度がほぼ同程度か若干低いにも関わらず、研磨能率が(4)エポキシ樹脂よりも良好になるという結果であった。一般に、研磨パッドの硬度が高くなるとワークへの当たりが悪くなり、研磨能率が低下すると考えられている。ここに開示されるレジンボンド砥石による研磨パッドにおいては、結合材の硬度に依らず、研磨能率の高い砥石を実現できることが示された。
[射出成形]
次に、ここに開示されるレジンボンド砥石を、射出成形法を利用して作製した。具体的には、まず、砥粒として、上記で用いたのと同じ平均粒子径が約10μmのアルミナ砥粒を用意した。また、結合材としては、上記の表1に示される特性を備える(5)PPS,(6)PBTおよび(7)MCナイロンの3種の熱可塑性樹脂を用意した。そして、この砥粒と結合材とを、体積比で30:70の割合となるように配合し、約300℃程度に加熱して混合した後、寸法が5mm〜10mm程度の粒状体状に押出形成することで、ペレットを得た。そしてかかるペレットを射出成形用原料として公知の射出成形機に供給し、該射出成形用原料を例えば300℃〜500℃の温度に加熱して流動性を具備させるとともに、所望の形状(例えば、外径10mm,内径3mmの円筒形状)のキャビティを備える金型内に射出した。これにより、例えば、上記金型に対応する長尺の円筒形状のレジンボンド砥石を作製した。
このように形成された円筒形状のレジンボンド砥石を、長さ10mm〜20mm程度に切断し、直径が3mmの金属棒に装着して、ガラスに設けられた孔の内表面(例えば削孔断面)の研磨を行った。これにより、ガラスの削孔断面の表面粗さRaを概ね0.1μm以下程度のレベルにまで平坦化できることが確認された。すなわち、ここに開示されるレジンボンド砥石は、射出成形によっても好適に製造できること、また射出成形によって複雑な形状に形成されたレジンボンド砥石は、微細加工部分の研磨に好適に利用できることが確認できた。
なお、射出成形により作製されたレジンボンド砥石の研磨能は、使用した砥粒の物性や研磨対象であるガラスの組成等にも因るため、ここに開示されるレジンボンド砥石の研磨能は上記の例示に限定されるものではない。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 レジンボンド砥石
3 砥粒
5 結合材

Claims (7)

  1. 砥粒と、
    前記砥粒を互いに結合する結合材とを含み、
    前記結合材が実質的に熱可塑性樹脂のみから構成されている、レジンボンド砥石。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリメチルメタアクリル樹脂からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載のレジンボンド砥石。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、曲げ強度が90MPa以上である、請求項1または2に記載のレジンボンド砥石。
  4. 前記熱可塑性樹脂は、アイゾット衝撃値が20J/m以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレジンボンド砥石。
  5. 当該レジンボンド砥石は、前記砥粒と前記結合材との混合物を射出成形することにより成形されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレジンボンド砥石。
  6. 当該レジンボンド砥石は、断面直径が1cm以下の円筒形状である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のレジンボンド砥石。
  7. 金属板またはガラス板の断面の研磨に用いられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載のレジンボンド砥石。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019171520A (ja) * 2018-03-28 2019-10-10 株式会社ノリタケカンパニーリミテド レジノイド研削砥石

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