JP2016034658A - 溶接装置および溶接方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非消耗電極と消耗電極とを組み合わせた溶接において、スパッタの発生を抑制するとともに、ビードの外観を向上させることが可能な溶接装置を提供する。
【解決手段】溶接装置100は、非消耗電極12と、消耗電極15と、消耗電極15を送給する送給部29と、消耗電極15と母材2との間の短絡を検知して短絡の情報を含む短絡信号62を出力する短絡検知部52と、短絡信号62に基づいて短絡の周波数である短絡周波数を計測し、短絡周波数の情報を含む短絡周波数信号63を出力する計測部53と、短絡周波数信号63に基づいて短絡周波数と目標値との誤差を算出し、誤差の情報を含む誤差信号64を出力する誤差検出部54と、誤差信号64に基づいて誤差を減ずるように消耗電極15の送給速度を調整するための送給速度調整信号65を送給部29に出力して送給速度を調整する送給速度調整部55とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】溶接装置100は、非消耗電極12と、消耗電極15と、消耗電極15を送給する送給部29と、消耗電極15と母材2との間の短絡を検知して短絡の情報を含む短絡信号62を出力する短絡検知部52と、短絡信号62に基づいて短絡の周波数である短絡周波数を計測し、短絡周波数の情報を含む短絡周波数信号63を出力する計測部53と、短絡周波数信号63に基づいて短絡周波数と目標値との誤差を算出し、誤差の情報を含む誤差信号64を出力する誤差検出部54と、誤差信号64に基づいて誤差を減ずるように消耗電極15の送給速度を調整するための送給速度調整信号65を送給部29に出力して送給速度を調整する送給速度調整部55とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、溶接装置および溶接方法に関するものである。
溶接方法の一つとして非消耗電極を用いるプラズマ溶接が知られている。このプラズマ溶接では、タングステン電極と母材との間にアークを発生させるとともに、プラズマノズルの働きにより当該アークを収束させる。そして、このアークを熱源として母材を溶融し、その周辺に不活性ガスを流して溶接部を周囲の空気からシールドしつつ溶接を実施する。また、他の溶接方法として消耗電極を用いるGMA(Gas metal arc)溶接がある。このGMA溶接では、消耗性の電極ワイヤと母材との間にアークを発生させ、これを熱源として電極ワイヤおよび母材を溶融し、その周辺にガスを流して溶接部を周囲の空気からシールドしつつ溶接を実施する。また、消耗電極としてワイヤを送給しながら消耗電極アークを発生させることと、この消耗電極アークを取り囲む非消耗電極アークを発生させることとを同時に行う2電極アーク溶接が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
溶接においては、スパッタの発生の抑制およびビードの外観の向上が重要な課題の一つである。本発明はこのような課題に対応するためになされたものであって、その目的は、非消耗電極と消耗電極とを組み合わせた溶接において、スパッタの発生を抑制するとともに、ビードの外観を向上させることが可能な溶接装置および溶接方法を提供することである。
本発明に従った溶接装置は、アークの熱によって金属からなる母材の一部を溶融させて上記母材を溶接するための溶接装置である。この溶接装置は、非消耗電極と、消耗電極と、送給部と、短絡検知部と、計測部と、誤差検出部と、送給速度調整部とを備える。非消耗電極は、上記母材との間にアークを形成するための電極である。消耗電極は、非消耗電極との間に間隔をおいて配置され、上記母材との間にアークを形成するための電極である。送給部は、上記消耗電極を送給する。短絡検知部は、上記消耗電極と上記母材との間の短絡を検知して上記短絡の情報を含む信号である短絡信号を出力する。計測部は、上記短絡検知部に接続され、上記短絡信号に基づいて上記短絡の周波数である短絡周波数を計測し、上記短絡周波数の情報を含む信号である短絡周波数信号を出力する。誤差検出部は、上記計測部に接続され、上記短絡周波数信号に基づいて上記短絡周波数と目標値との誤差を算出し、当該誤差の情報を含む信号である誤差信号を出力する。送給速度調整部は、上記誤差検出部に接続され、上記誤差信号に基づいて上記誤差を減ずるように上記消耗電極の送給速度を調整するための送給速度調整信号を上記送給部に出力して上記送給速度を調整する。
上記溶接装置において、上記送給速度調整部は、計測された上記短絡周波数が上記目標値よりも低い場合に上記送給速度を増加させ、計測された上記短絡周波数が上記目標値よりも高い場合に上記送給速度を減少させるように上記送給速度を調整してもよい。
上記溶接装置においては、上記非消耗電極と上記母材との間に形成されるべきアークを取り囲むように配置され、上記非消耗電極と上記母材との間に形成されるべきアークを収束させるプラズマノズルをさらに備えてもよい。
本発明に従った溶接方法は、金属からなる母材を準備する工程と、上記母材と非消耗電極との間にアークを形成して上記母材の一部を溶融させる第1溶接工程と、溶融した上記母材の上記一部と消耗電極との間にアークを形成して上記消耗電極の一部を溶融させ、溶融した上記消耗電極の上記一部を、溶融した上記母材の上記一部に供給する第2溶接工程とを備える。上記第2溶接工程は、上記消耗電極と上記母材との間の短絡を検知して上記短絡の情報を含む信号である短絡信号を出力する工程と、上記短絡信号に基づいて上記短絡の周波数である短絡周波数を計測し、上記短絡周波数の情報を含む信号である短絡周波数信号を出力する工程と、上記短絡周波数信号に基づいて上記短絡周波数と目標値との誤差を算出し、当該誤差の情報を含む信号である誤差信号を出力する工程と、上記誤差信号に基づいて上記誤差を減ずるように、上記消耗電極の送給速度を調整する工程とを含む。
上記溶接方法において、上記送給速度を調整する工程は、計測された上記短絡周波数が上記目標値よりも低い場合に上記送給速度を増加させ、計測された上記短絡周波数が上記目標値よりも高い場合に上記送給速度を減少させるように上記送給速度を調整してもよい。
上記溶接方法において、上記第1溶接工程では、上記非消耗電極と上記母材との間に形成されたアークが該アークを取り囲むように配置されるプラズマノズルによって収束されてもよい。
本発明者の検討によれば、非消耗電極と消耗電極とを組み合わせた溶接においては、非消耗電極側のアークと消耗電極側のアークとの間で発生する干渉や非消耗電極側で発生する熱の影響により、消耗電極側の溶滴移行が不安定となる場合がある。その結果、スパッタの発生やビードの形成不良が生じる。これに対して、消耗電極側の短絡周波数の情報に基づいて消耗電極の送給速度を調整することによって、消耗電極側の溶滴移行の安定化を図ることが可能となる。本発明に従った溶接装置および溶接方法においては、測定された消耗電極側の短絡周波数と目標値との誤差に基づいて、消耗電極の送給速度が調整され、消耗電極側の溶滴移行の安定化が図られる。その結果、本発明に従った溶接装置および溶接方法によれば、非消耗電極と消耗電極とを組み合わせた溶接において、スパッタの発生を抑制するとともに、ビードの外観を向上させることが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
<実施の形態1>
1.本実施の形態の溶接装置の構成
図1は、実施の形態1の溶接装置100の構成を示す概略図である。また、図2は、溶接装置100の概略的な電気的構成を示すブロック図である。図1および図2を参照して溶接装置100は、金属からなる母材2の一部をアークの熱によって溶融させて、母材2を溶接するための溶接装置である。溶接装置100は、プラズマ溶接トーチ10およびGMA溶接トーチ19の2つの溶接トーチを備える。
1.本実施の形態の溶接装置の構成
図1は、実施の形態1の溶接装置100の構成を示す概略図である。また、図2は、溶接装置100の概略的な電気的構成を示すブロック図である。図1および図2を参照して溶接装置100は、金属からなる母材2の一部をアークの熱によって溶融させて、母材2を溶接するための溶接装置である。溶接装置100は、プラズマ溶接トーチ10およびGMA溶接トーチ19の2つの溶接トーチを備える。
まず、プラズマ溶接トーチ10について説明する。プラズマ溶接トーチ10は、非消耗電極であるプラズマ電極12と、プラズマ電極12を取り囲むように配置され、プラズマ電極12との間にプラズマガスを流す流路を形成するプラズマノズル16と、さらにその外側に位置してプラズマノズル16との間にシールドガスを流す流路を形成するシールドノズル14とを備える。
プラズマ電極12は、たとえばタングステンなどの金属からなる。プラズマ電極12は、プラズマ溶接トーチ10の中央軸を含むように配置される。プラズマ電極12は、母材2との間にプラズマアーク3を形成するための電極である。
プラズマノズル16は、プラズマ電極12を取り囲む筒状の形状を有する。プラズマノズル16は、たとえば銅、銅合金などの金属からなる。本実施形態において、プラズマノズル16は、図示しない水冷機構によって水冷される。また、プラズマノズル16により取り囲まれた空間に、プラズマ電極12の先端が位置する。すなわち、プラズマ電極12の先端は、プラズマノズル16の内壁に面する。別の観点から説明すると、プラズマノズル16の中空部内にプラズマ電極12の先端が位置する。その結果、プラズマ電極12と母材2との間にプラズマアーク3が形成された場合、プラズマアーク3の一部(プラズマ電極12に近い領域)は、プラズマノズル16に取り囲まれる。また、プラズマノズル16とプラズマ電極12との間隙部は、Ar等のプラズマガスの流路となっている。そのため、プラズマアーク3の一部(プラズマ電極12に近い領域)は、プラズマガスに取り囲まれる。このプラズマノズル16およびプラズマガスにより、プラズマアーク3は収束される。プラズマノズル16およびシールドノズル14の先端部は、プラズマ溶接トーチ10の中央軸に近づくように屈曲している。
さらに、溶接装置100は、プラズマ電極12に接続され、プラズマ電極12と母材2との間にアークを形成して電流を流すためのプラズマ溶接電源20を備える。プラズマ溶接電源20は、プラス側端子21と、プラス側端子22と、マイナス側端子23とを有する。プラズマ溶接電源20のプラス側端子21は配線28を介して母材2に電気的に接続される。プラス側端子22は配線26を介してプラズマノズル16に電気的に接続される。マイナス側端子23は配線24を介してプラズマ電極12に電気的に接続される。
次に、GMA溶接トーチ19について説明する。GMA溶接トーチ19は、消耗電極である溶接ワイヤ15と、溶接ワイヤ15を保持するコンタクトチップ17と、コンタクトチップ17を取り囲むように配置され、コンタクトチップ17との間にシールドガスを流す流路を形成するシールドノズル18とを備える。溶接ワイヤ15は、GMA溶接トーチ19の中央軸を含むように配置される。
溶接ワイヤ15としては、たとえば、ステンレス鋼からなるGMA溶接用のソリッド溶接ワイヤを採用することができる。溶接ワイヤ15は、母材2との間にアーク4を形成するための電極である。シールドノズル18の先端部は、GMA溶接トーチ19の中央軸に近づくように屈曲している。溶接ワイヤ15の先端部は、シールドノズル18により取り囲まれる空間の内部から外部にまで延在するようにシールドノズル18から突出して配置される。
また、溶接装置100は、消耗電極である溶接ワイヤ15を送給する送給部29を備える。送給部29は、図示しない溶接ワイヤ送給モータに接続される一対の送給部ローラを備える。そして、溶接ワイヤ15は、一対の送給ローラの回転によって、シールドノズル18内を通って一定の送給速度で送給される。
溶接装置100は、溶接ワイヤ15と母材2との間にアークを形成して電流を流すためのGMA溶接電源30を備える。GMA溶接電源30は、プラス側端子31と、マイナス側端子32とを有する。GMA溶接電源30のプラス側端子31は配線34を介してコンタクトチップ17に電気的に接続される。その結果、溶接ワイヤ15はコンタクトチップ17を介してプラス側端子31に電気的に接続される。マイナス側端子32は配線36を介して母材2に電気的に接続される。
また、図2を参照して、溶接装置100は、短絡検知部52と、計測部53と、誤差検出部54と、送給速度調整部55とを備える。
短絡検知部52は、配線34と配線36とを接続する接地端子50に接続されている。短絡検知部52には、配線34と配線36との間の電圧変動を含む電圧信号51が入力される。そして、短絡検知部52は、該電圧変動に基づいて溶接ワイヤ15と母材2との間の短絡を検知して短絡の情報を含む信号である短絡信号62を出力する。計測部53は、短絡検知部52に接続され、短絡信号62に基づいて短絡の周波数である短絡周波数を計測し、短絡周波数の情報を含む信号である短絡周波数信号63を出力する。誤差検出部54は、計測部53に接続され、短絡周波数信号63に基づいて短絡周波数と目標値との誤差を算出し、誤差の情報を含む信号である誤差信号64を出力する。
送給速度調整部55は、誤差検出部54および送給部29と電気的に接続されている。送給速度調整部55は、予め消耗電極である溶接ワイヤ15の送給速度の設定値が入力されており、該設定値に基づいて溶接ワイヤ送給モータを制御する。また、送給速度調整部55は、誤差信号64に基づいて誤差を減ずるように溶接ワイヤ15の送給速度を調整するための送給速度調整信号65を送給部29に出力して送給速度を調整する。
溶接装置100は、各種演算処理を行うとともに、溶接装置100全体の動作を制御する図示しないCPUを備え、所定のソフトウエアプログラムがCPUを用いて実行されることによって、溶接装置100における上述の機能が実現される。
2.本実施の形態の溶接方法
次に、図3〜図4の溶接の手順の一例を示すフローチャートを参照して、本発明の実施の形態1における溶接方法について突合せ溶接を例として説明する。図3は、本実施の形態の溶接方法の全体の工程を示すフローチャートである。図4は、消耗電極である溶接ワイヤ15側において実施される制御の手順を示すフローチャートである。
次に、図3〜図4の溶接の手順の一例を示すフローチャートを参照して、本発明の実施の形態1における溶接方法について突合せ溶接を例として説明する。図3は、本実施の形態の溶接方法の全体の工程を示すフローチャートである。図4は、消耗電極である溶接ワイヤ15側において実施される制御の手順を示すフローチャートである。
(1)本実施の形態の溶接方法の全体の工程
図3を参照して、実施の形態1における溶接方法は、母材準備工程(S10)と、第1溶接工程である母材溶融工程(S20)と、第2溶接工程である消耗電極供給工程(S30)とを備える。
図3を参照して、実施の形態1における溶接方法は、母材準備工程(S10)と、第1溶接工程である母材溶融工程(S20)と、第2溶接工程である消耗電極供給工程(S30)とを備える。
図3を参照して、本実施の形態における溶接方法では、初めに、母材準備工程(S10)が実施される。本工程(S10)では、突合せ溶接の対象となる軟鋼、高張力鋼、ステンレス鋼などの金属製の母材を溶接面が接触して向い合うように配置する。
次に、非消耗電極による母材溶融工程(S20)が実施される。本工程(S20)では、母材2とプラズマ電極12の間にプラズマアーク3を形成して母材2の一部を溶融させて溶融池8を形成する。
図1を参照して、まず、プラズマ電極12とプラズマノズル16との間に電圧を印加することにより、パイロットアークを発生させる。次に、プラズマ電極12と母材2との間にアーク電圧が印加されることにより、プラズマ電極12とプラズマノズル16との間から吐出されるプラズマ気流を媒体としてプラズマアーク3が発生する。プラズマアーク3が発生している間、プラズマ電極12と母材2との間に直流のアーク電流が流れている。
プラズマアーク3は、プラズマノズル16の孔を通過して母材2へと到達する。プラズマ電極12から発生したプラズマアーク3はプラズマノズル16によってウォール効果およびサーマルピンチ効果を受けて収束され、エネルギー密度の高いアークとなる。そして、プラズマアーク3は、さらにシールドガスによりサーマルピンチ効果を受けることによって、さらに絞られて母材に到達する。このようにエネルギー密度の高いプラズマアーク3を作り出し、これを熱源として母材2を溶融する。そして、プラズマ気流11が溶融池8の溶融金属を押しのけて、母材2を貫通してキーホール9を形成する。プラズマアーク3が溶接方向Fへ進行していくにしたがって、キーホール9およびキーホール9周辺の溶融池8も溶接方向Fに向けて移動することになる。
次に、消耗電極供給工程(S30)が実施される。本工程(S30)では、溶融した母材2の一部と消耗電極である溶接ワイヤ15との間にアーク4を形成して、溶接ワイヤ15の一部を溶融させる。ここで、プラズマ溶接トーチ10とGMA溶接トーチ19とは互いの相対的な位置関係を維持しつつ溶接方向F移動する。その結果、母材2の溶接されるべき領域においては、工程(S20)と工程(S30)が順次実施されることになる。
具体的には、工程(S30)では、たとえばアルゴン等のシールドガスがシールドノズル18内に供給されて、コンタクトチップ86の外周面とシールドノズル18の内周面との間の空間を流れる。そして、シールドノズル18の出口から矢印Gに沿って吐出され、アーク4と外気とが遮断される。電極である溶接ワイヤ15はアーク4の熱によって溶融し、形成された溶滴は母材2へと供給される。一方、アーク4の熱により母材2の一部が溶融する。そして、プラズマ溶接トーチ10により形成された母材2を貫通するキーホール9の周辺の溶融した母材2と、その後方でGMA溶接トーチ19により形成された溶加材としての溶接ワイヤ15を含む溶融した母材2とがつながり、溶融池8が形成される。その結果、母材2の厚み方向全域にわたって溶加材としての溶接ワイヤ15が補給され、溶接の欠陥が抑制されつつ母材2の厚み方向全体が溶接される。
上述のように、溶接装置100においては、深い溶け込みが得られるプラズマアーク3を発生させる非消耗電極のプラズマ電極12と、溶加材としての溶接ワイヤ15が補給されることにより溶接の欠陥を抑制することが可能な消耗電極の溶接ワイヤ15とを、間隔をおいて配置する。これにより、プラズマアーク3によって母材2を深く溶融した後に、アーク4によって溶加材が供給される。したがって、溶接の欠陥を抑制しつつキーホール溶接を行うことが可能となる。
(2)消耗電極である溶接ワイヤ15側において実施される制御
次に図2〜図4を参照して、上記(1)の母材溶融工程(S20)および消耗電極供給工程(S30)において説明した溶接の実施中に、消耗電極である溶接ワイヤ15側に関連して行われる制御の手順を説明する。上記消耗電極供給工程(S30)においては、溶接ワイヤ15の先端に生成した溶滴が母材2の溶融池8に接触すること、すなわち溶接ワイヤ15と溶融池8とが短絡することによって溶滴が移行する短絡移行が一定の周期で発生する。上記消耗電極供給工程(S30)において、短絡検知部52は、溶接ワイヤ15と母材2との間の短絡を検知して短絡の情報を含む信号である短絡信号62を出力する(T10)。
次に図2〜図4を参照して、上記(1)の母材溶融工程(S20)および消耗電極供給工程(S30)において説明した溶接の実施中に、消耗電極である溶接ワイヤ15側に関連して行われる制御の手順を説明する。上記消耗電極供給工程(S30)においては、溶接ワイヤ15の先端に生成した溶滴が母材2の溶融池8に接触すること、すなわち溶接ワイヤ15と溶融池8とが短絡することによって溶滴が移行する短絡移行が一定の周期で発生する。上記消耗電極供給工程(S30)において、短絡検知部52は、溶接ワイヤ15と母材2との間の短絡を検知して短絡の情報を含む信号である短絡信号62を出力する(T10)。
次に、計測部53が、短絡検知部52によって出力された短絡信号62に基づいて短絡の周波数である短絡周波数を計測する。そして、短絡周波数の情報を含む信号である短絡周波数信号63を出力する(T20)。
次に、誤差検出部54が、計測部53によって出力された短絡周波数信号63に基づいて計測された短絡周波数と目標値との誤差を算出する(T30)。短絡周波数の目標値は、予め溶接条件を考慮して決定した値であってもよいし、プラズマアークの熱の影響が少ない溶接開始後数秒以内の平均短絡回数を計測した結果に基づいて決定した値であってもよい。平均短絡回数を計測する場合、計測結果に基づいて、自動的に適切な値が誤差検出部54に入力されるような制御が採用されてもよい。そして、誤差検出部54が、誤差の情報を含む信号である誤差信号64を送給速度調整部55に向けて出力する(T40)。
次に、送給速度調整部55が溶接ワイヤ15の送給速度の設定値の変更が必要か否かを判断する(T50)。送給速度の設定値の変更が必要な場合、すなわち、短絡周波数と目標値との間に誤差が生じている場合には、送給速度調整部55が、送給速度の設定値を調整する(T60)。送給速度調整部55は、誤差信号64に基づいて誤差を減ずるように、送給速度の設定値を変更する。すなわち、短絡周波数と目標値とが一致していない場合は、短絡周波数が目標値に近づくように(短絡周波数と目標値とが一致するように)、送給速度調整部55内の送給速度の設定値が調整される。そして、送給速度の設定値が変更された場合は、送給速度調整部55が送給速度設定信号65を送給部29に向けて出力する。送給部29は、送給速度調整部55から出力された送給速度設定信号65に基づいて、設定された送給速度で溶接ワイヤ15を送給する。
より詳細には、送給速度調整部55は、短絡周波数の実測値が目標値よりも低い場合に、送給速度の設定値を増加させ、短絡周波数の実測値が目標値よりも高い場合に、送給速度の設定値を減少させて送給速度の設定値を調整する。送給速度の設定値の調整方法としては、例えば、送給速度の設定値を10cm/min.ずつ段階的に上下させていく。送給速度の設定値の具体例として、GMA溶接電源30における電流値を180A、プラズマ溶接電源20における電流値を50Aに設定する場合は、送給速度の設定値を4.5m/min.とすることができる。短絡周波数の目標値を130Hzとした場合において、短絡周波数の実測値が100Hzであった場合には、短絡周波数の実測値が目標値よりも低いので、溶接ワイヤ15の送給速度を段階的に10cm/min.ずつ増加させることによって調整する。
送給速度調整部55が送給速度の設定値の調整を終了すれば、本処理を終了する。一方、送給速度の設定値の変更が必要でない場合、すなわち短絡周波数の実測値と目標値とが一致している場合は、T60が省略され、本処理を終了する。
本実施形態の溶接装置100および溶接方法によれば、送給速度調整部55が、適切な溶接ワイヤ15の送給速度の値の情報を含む信号である送給速度設定信号65を送給部29に出力する。これにより、溶接ワイヤ15の送給速度が調整されることによって、GMA溶接における溶滴移行の安定化を図ることが可能となる。その結果、非消耗電極と消耗電極とを組み合わせた溶接において、スパッタの発生を抑制するとともに、ビードの外観の向上させることが可能となる。
<実施の形態2>
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図5は、実施の形態2の溶接装置200の主要な構成を示す概略図である。実施の形態2の溶接装置200は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様に制御される。しかし、溶接装置200は単一の溶接トーチ40を備える点において、実施の形態1と異なっている。
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図5は、実施の形態2の溶接装置200の主要な構成を示す概略図である。実施の形態2の溶接装置200は、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様に制御される。しかし、溶接装置200は単一の溶接トーチ40を備える点において、実施の形態1と異なっている。
図5を参照して、溶接トーチ40は、非消耗電極であるプラズマ電極42と、プラズマ電極42を取り囲むように配置され、プラズマ電極42との間にプラズマガスを流す流路を形成するプラズマノズル46と、消耗電極である溶接ワイヤ15と、溶接ワイヤ15を保持するコンタクトチップ47とを備える。また、溶接トーチ40は、プラズマノズル46およびコンタクトチップ47の外側に位置して、プラズマノズル16およびコンタクトチップ47との間にシールドガスを流す流路を形成するシールドノズル48を備える。別の観点から説明すると、シールドノズル48の中空部内にプラズマノズル46およびコンタクトチップ47が位置する。
実施の形態2においては、実施の形態1と同様の効果が得られるだけでなく、プラズマ溶接トーチとGMA溶接トーチとを組み合わせて1つの溶接トーチとすることによって、マニピュレータ等の溶接トーチの操作手段の構成の簡略化を図ることが可能となる。
<変形例>
上記実施の形態においては、非消耗電極と母材との間に形成されるプラズマアークを取り囲むプラズマノズル16,46が採用され、プラズマアーク溶接と消耗電極を用いた溶接とが組み合わされる場合について説明したが、非消耗電極を用いるアーク溶接方法として、プラズマノズル16,46が採用されないTIG(Tungsten Inert Gas)溶接を採用し、これと消耗電極を用いた溶接とを組み合わせてもよい。また、上記実施の形態においては、消耗電極を用いた溶接であるGMA溶接と非消耗電極を用いた溶接とが組み合わされる場合について説明したが、GMA溶接方法としては、シールドガスに不活性ガスと炭酸ガスとを混合して使用するMAG(metal active gas)溶接、シールドガスに不活性ガスのみを使用するMIG(metal inert gas)溶接などを採用することができる。
上記実施の形態においては、非消耗電極と母材との間に形成されるプラズマアークを取り囲むプラズマノズル16,46が採用され、プラズマアーク溶接と消耗電極を用いた溶接とが組み合わされる場合について説明したが、非消耗電極を用いるアーク溶接方法として、プラズマノズル16,46が採用されないTIG(Tungsten Inert Gas)溶接を採用し、これと消耗電極を用いた溶接とを組み合わせてもよい。また、上記実施の形態においては、消耗電極を用いた溶接であるGMA溶接と非消耗電極を用いた溶接とが組み合わされる場合について説明したが、GMA溶接方法としては、シールドガスに不活性ガスと炭酸ガスとを混合して使用するMAG(metal active gas)溶接、シールドガスに不活性ガスのみを使用するMIG(metal inert gas)溶接などを採用することができる。
また、上記実施の形態においては、短絡周波数と目標値との間に誤差が生じている場合、溶接ワイヤの送給速度を段階的に増減させる方法を例示していたが、溶接ワイヤの送給速度の設定値を連続的に増減させてもよい。
また、上記実施の形態においては、一対の母材の端面同士を突き合わせて接触させ、接触面に沿って延びるアークにより接触面同士を接合する突合せ溶接が実施される場合について説明したが、本発明の溶接装置および溶接方法は、例えば一対の母材と重ね合わせ、接触面に垂直な方向に延びるアークにより接触面同士を接合する溶接など、種々の形態の溶接に適用することができる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 母材、3 プラズマアーク、4 アーク、5 ビード、8 溶融池、9 キーホール、10 プラズマ溶接トーチ、19 GMA溶接トーチ、11 プラズマ気流、12,42 プラズマ電極、14,18,48 シールドノズル、15 溶接ワイヤ、16,46 プラズマノズル、17,47,86 コンタクトチップ、29 送給部、20 プラズマ溶接電源、21,31 プラス側端子、22,23,32 マイナス側端子、24,26,28,34,36 配線、30 GMA溶接電源、40 溶接トーチ、50 接地端子、51 電圧信号、52 短絡検知部、53 計測部、54 誤差検出部、55 送給速度調整部、62 短絡信号、63 短絡周波数信号、64 誤差信号、65 送給速度設定信号、100,200 溶接装置
Claims (6)
- アークの熱によって金属からなる母材の一部を溶融させて前記母材を溶接するための溶接装置であって、
前記母材との間にアークを形成すべき非消耗電極と、
前記非消耗電極との間に間隔をおいて配置され、前記母材との間にアークを形成すべき消耗電極と、
前記消耗電極を送給する送給部と、
前記消耗電極と前記母材との間の短絡を検知して前記短絡の情報を含む信号である短絡信号を出力する短絡検知部と、
前記短絡検知部に接続され、前記短絡信号に基づいて前記短絡の周波数である短絡周波数を計測し、前記短絡周波数の情報を含む信号である短絡周波数信号を出力する計測部と、
前記計測部に接続され、前記短絡周波数信号に基づいて前記短絡周波数と目標値との誤差を算出し、前記誤差の情報を含む信号である誤差信号を出力する誤差検出部と、
前記誤差検出部に接続され、前記誤差信号に基づいて前記誤差を減ずるように前記消耗電極の送給速度を調整するための送給速度調整信号を前記送給部に出力して前記送給速度を調整する送給速度調整部と、を備える、溶接装置。 - 前記送給速度調整部は、計測された前記短絡周波数が前記目標値よりも低い場合に前記送給速度を増加させ、計測された前記短絡周波数が前記目標値よりも高い場合に前記送給速度を減少させるように前記送給速度を調整する、
請求項1に記載の溶接装置。 - 前記非消耗電極と前記母材との間に形成されるべき前記アークを取り囲むように配置され、前記非消耗電極と前記母材との間に形成されるべき前記アークを収束させるプラズマノズルをさらに備える、
請求項1または請求項2に記載の溶接装置。 - 金属からなる母材を準備する工程と、
前記母材と非消耗電極との間にアークを形成して前記母材の一部を溶融させる第1溶接工程と、
溶融した前記母材の前記一部と消耗電極との間にアークを形成して前記消耗電極の一部を溶融させ、溶融した前記消耗電極の前記一部を、溶融した前記母材の前記一部に供給する第2溶接工程と、を備え、
前記第2溶接工程は、
前記消耗電極と前記母材との間の短絡を検知して前記短絡の情報を含む信号である短絡信号を出力する工程と、
前記短絡信号に基づいて前記短絡の周波数である短絡周波数を計測し、前記短絡周波数の情報を含む信号である短絡周波数信号を出力する工程と、
前記短絡周波数信号に基づいて前記短絡周波数と目標値との誤差を算出し、前記誤差の情報を含む信号である誤差信号を出力する工程と、
前記誤差信号に基づいて前記誤差を減ずるように、前記消耗電極の送給速度を調整する工程と、
を含む、溶接方法。 - 前記送給速度を調整する工程では、計測された前記短絡周波数が前記目標値よりも低い場合に前記送給速度を増加させ、計測された前記短絡周波数が前記目標値よりも高い場合に前記送給速度を減少させるように前記送給速度が調整される、
請求項4に記載の溶接方法。 - 前記第1溶接工程では、前記非消耗電極と前記母材との間に形成されたアークが該アークを取り囲むように配置されるプラズマノズルによって収束される、
請求項4または請求項5に記載の溶接方法。
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