JP2016033222A - 冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油 - Google Patents

冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化水素冷媒共存下の厳しい潤滑条件であっても、優れた耐摩耗性を得ることができると共に十分に低い摩擦係数を維持することができ、省電力化及び長期信頼性に優れた冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油を提供すること。
【解決手段】鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油並びに炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン化合物を含有し、該リン化合物の含有量が冷凍機油全量を基準として0.01〜5質量%である冷凍機油と、炭素数2〜4の炭化水素冷媒と、を含有する冷凍機用作動流体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油に関し、より詳しくは、摩擦係数を低く維持でき耐摩耗性が高く、信頼性向上と省電力に寄与できる冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油に関する。
従来、冷蔵庫、カーエアコン、ルームエアコン、産業用冷凍機などの冷媒として、ハイドロフルオロカーボン(HFC)である1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134a)や、ジフルオロエタン(R32)とペンタフルオロエタン(R125)の質量比で1/1の混合冷媒であるR410Aなどが広く使用されている。
しかし、これらのHFC冷媒は地球温暖化係数(GWP)が1000以上と高いことから、いわゆるF−ガス規制により使用が制限されつつある。HFC冷媒の代替候補としては低GWPであることが必須であり、その一つとして既に冷蔵庫用で実用化されているイソブタン(R600a)のような炭化水素冷媒がある。炭化水素冷媒はGWPが20以下と極めて低く物性値が好適であることから、幅広い検討がなされている。
炭化水素冷媒共存下では炭化水素分子内に潤滑性を高める塩素、フッ素がないことからHFC冷媒等とは異なり、冷媒による潤滑性向上が期待できず、また、炭化水素の冷凍機油への溶解度が高く、油の粘度を下げることから潤滑条件が厳しくなり、冷凍機油には従来以上に高い耐摩耗性が求められる。さらには省電力の観点から、摩擦係数を低く維持できる性能も求められる。
広く潤滑油分野においては、耐摩耗添加剤として、一般的にアルコール、エステル、長鎖脂肪酸などの油性剤や、リン酸エステル、金属ジチオホスフェートなどの耐摩耗剤、有機硫黄化合物、有機ハロゲン化合物などの極圧剤が知られている。一方、冷凍機油の場合は、冷媒と共存しても析出せず、かつ安定性に悪影響しない添加剤でないと使用できない。そのため、従来の冷凍機油においては、アルコール系、エステル系の油性剤やリン酸エステルのうちトリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェートが使用されている。
また、特許文献1にはリン系添加剤と特定のエポキシ化合物を併用添加する冷凍機用を含む潤滑油が、特許文献2にはHFC冷媒用としてトリフェニルフォスフェートとトリ(アルキルフェニル)フォスフェートを併用添加する圧縮機用潤滑油が、特許文献3にはHFC冷媒用としてトリクレジルフォスフェートと、グリシジルエーテルからなるエポキシあるいはカルボジイミドを添加した冷凍機油が、それぞれ開示されている。
特開平5−171174号公報 特開平8−157847号公報 特開平9−189453号公報
しかし、本発明者の検討によれば、上記の添加剤を用いた冷凍機油は、炭化水素冷媒用冷凍機油としては以下の点で未だ改善の余地がある。
すなわち、まず、上記添加剤のうち油性剤は、吸着により潤滑皮膜を形成するものである。そのため、混合潤滑領域のような比較的負荷条件がマイルドな場合は摩擦係数を低く維持できるが、炭化水素冷媒共存下で負荷条件が厳しくなると耐摩耗の効果が失われる。
一方、トリフェニルフォスフェートやトリクレジルフォスフェートは耐摩耗の効果はあるものの、しゅう動部表面に硬い皮膜を形成することから摩擦係数が高くなり、省電力化が進められている冷凍機には適さず、特に地球環境に優しい炭化水素冷媒共存下では前述したように潤滑条件が厳しくなることから、高い耐摩耗性とともに低い摩擦係数が維持される添加剤が求められている。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、炭化水素冷媒共存下の厳しい潤滑条件であっても、優れた耐摩耗性を得ることができると共に十分に低い摩擦係数を維持することができ、省電力化及び長期信頼性に優れた冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油を提供することを目的とする。
本発明者らは、潤滑油基油に特定のリン化合物を配合することにより、炭化水素冷媒共存下で他の特性への悪影響がなく、冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油の耐摩耗性を向上でき、かつ摩擦係数を低く維持できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油並びに炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン化合物を含有し、該リン化合物の含有量が冷凍機油全量を基準として0.01〜5質量%である冷凍機油と、炭素数2〜4の炭化水素冷媒と、を含有する冷凍機用作動流体組成物を提供する。
上記リン化合物は、炭素数4のアルキル基を1つ有するモノ(ブチルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数4のアルキル基を2つ有するジ(ブチルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記潤滑油基油は、鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、エステル及びエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、該潤滑油基油の40℃における動粘度は3〜500mm/sであることが好ましい。
さらに、上記潤滑油基油は、鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール化合物及びポリビニルエーテルから選ばれる少なくとも1種以上であり、該潤滑油基油の40℃における動粘度は3〜300mm/sであることが好ましい。
上記炭化水素冷媒は、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、ノルマルブタン(R600)及びイソブタン(R600a)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明は、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油と、炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン化合物と、を含有し、該リン化合物の含有量が冷凍機油全量を基準として0.01〜5質量%であり、炭素数2〜4の炭化水素冷媒と共に用いられる、冷凍機油を提供する。
本発明によれば、炭化水素冷媒共存下の厳しい潤滑条件でも耐摩耗の効果とともに低い摩擦係数を維持でき、省電力化が図れ、かつ、長期にわたり安定して使用できるという格別な効果を発揮することが可能な冷凍機用作動流体組成物及び冷凍機油が提供される。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態:冷凍機油]
本発明の第1実施形態に係る冷凍機油は、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油と、炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン化合物と、を含有し、該リン化合物の含有量が冷凍機油全量を基準として0.01〜5質量%のものである。かかる冷凍機油は、炭素数2〜4の炭化水素冷媒と共に用いられる。
本実施形態に係る冷凍機油は、潤滑油基油として、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種を含有する。
鉱油としては、パラフィン系、ナフテン系、混合基系のいずれであってもよい。また、これらの鉱油のそれぞれ又は2種以上の混合物を常圧蒸留し、さらには減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化精製、水素化分解、溶剤脱蝋、水素化脱蝋、白土処理等の潤滑油精製手段を適宜組み合わせて処理して得られた精製潤滑油留分を好適に用いることができる。各種の原料と各種の精製手段の組み合わせから得られた性状の異なる精製潤滑油留分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、合成油系の潤滑油基油としては、エステル、エーテルのような含酸素化合物や、ポリ−α−オレフィン(PAO)、エチレン−α−オレフィンオリゴマー、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンのような炭化水素油が挙げられる。
含酸素化合物基油のうち、エステルは様々な分子構造の化合物が市販されており、それぞれ特有の粘度特性、低温特性を有し、同一粘度である炭化水素系基油と比べると引火点が高い特徴がある基油である。エステルは、アルコールと脂肪酸を脱水縮合反応して得ることができるが、本発明においては、化学的な安定性の面で、二塩基酸と1価アルコールとのジエステル、ポリオール(特にはネオペンチルポリオール)と1価脂肪酸とのポリオールエステル、またはポリオールと多価塩基酸と1価アルコール(又は1価脂肪酸)とのコンプレックスエステルを好適な基油成分として挙げることができる。なかでも安定性に優れるポリオールエステルが好ましい。
エーテルとしてはポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテルなどがあげられる。ポリアルキレングリコールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの共重合体などがある。末端構造は、吸湿性の点からは少なくとも一方がアルキル基であることが好ましく、メチル基であることが特に好ましい。また、製造容易性およびコストの点から、いずれか一方の末端がアルキル基であり、他方が水素原子であることが好ましく、とりわけ一方がメチル基、他方が水素原子であることが好ましい。主骨格については、潤滑性の点からはオキシエチレン基(EO)とオキシプロピレン基(PO)とを含む共重合体が好ましく、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との総和に占めるオキシエチレン基の割合(EO/PO+EO)が0.1〜0.8の範囲にあることが好ましく、0.3〜0.6の範囲にあることがより好ましい。また、吸湿性や熱・化学安定性の点ではEO/(PO+EO)の値が0〜0.5の範囲にあることが好ましく、0〜0.2の範囲にあることがより好ましく、0(すなわちプロピレンオキサイド単独重合体)であることが最も好ましい。
ポリビニルエーテルは、下記一般式(1)で表される構造単位を有する。本実施形態におけるポリビニルエーテルは、その構造単位が同一である単独重合体であっても、2種以上の構造単位で構成される共重合体であってもよいが、共重合体にすることにより特性をバランスよく調整できることから、好ましい。
Figure 2016033222

[式中、R,RおよびRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子または炭素数1〜8の炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜10の二価の炭化水素基または炭素数2〜20の二価のエーテル結合酸素含有炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜20の炭化水素基を示し、mは前記ポリビニルエーテルについてのmの平均値が0〜10となるような数を示し、R〜Rは構造単位毎に同一であっても異なっていてもよく、一の構造単位においてmが2以上である場合には、複数のROは同一でも異なっていてもよい。]
合成系炭化水素油のうちポリ−α−オレフィン(PAO)は、α−オレフィンの重合体であることから、その重合度によって特性を適宜選定することができる。
また、アルキルベンゼンは、アルキル基の構造により直鎖タイプと分岐タイプがあり、特性が異なることから目的に応じて使い分けられている。
本実施形態においては、上記の鉱油及び合成油のうち1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
潤滑油基油の40℃における動粘度は、好ましくは3〜500mm/s、より好ましくは3〜300mm/s、さらに好ましくは5〜150mm/sである。また、潤滑油基油の粘度指数は、好ましくは10以上である。なお、本発明でいう40℃における動粘度及び粘度指数とは、それぞれJIS K2283に準拠して測定した値をいう。
また、潤滑油基油の流動点は、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下である。なお、本発明でいう流動点とは、JIS K2269に準拠して測定した値をいう。
また、潤滑油基油の引火点は、好ましくは120℃以上、より好ましくは200℃以上である。なお、本発明でいう引火点とは、JIS K2265に準拠して測定した値をいう。
また、本実施形態に係る冷凍機油は、炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン化合物を含有する。
本実施形態における上記のリン化合物は下記一般式(2)で示すことができる。
(R−Ph)−P(=O)−(Ph)3−n (2)
[式中、Rは炭素数3〜5のアルキル基を示し、Phはフェニル基を示し、nは1又は2の整数を示す。]
nが1のとき、上記一般式(2)で示されるリン化合物は炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェートである。当該モノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェートとしては、具体的には、イソプロピルフェニルジフェニルフォスフェート、tert.−ブチルフェニルジフェニルフォスフェート、n−ブチルフェニルジフェニルフォスフェートなどが挙げられる。
nが2のとき、上記一般式(2)で示されるリン化合物は炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートである。当該ジ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェートとしては、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルフォスフェート、ジ(tert.−ブチルフェニル)フェニルフォスフェート、ジ(n−ブチルフェニル)フェニルフォスフェートなどが挙げられる。
一般式(2)中のRは、冷凍機油の潤滑性の点から、ブチル基が好ましい。ブチル基としては、直鎖アルキル基であるノルマルブチル基、分岐アルキル基であるtert.−ブチル基などが挙げられる。なお、Rの炭素数が2以下であると、摩擦係数が高くなり省電力化が達成されにくくなる。この理由は、しゅう動部に形成されるリン化合物の皮膜が硬くなるためであると本発明者は推察する。一方、Rの炭素数が5を超えると、耐摩耗の効果が小さくなる。この理由は、リン化合物の潤滑油基油に対する親和力が大きくなり、しゅう動部でのリン化合物の濃度が極端に減少するためであると本発明者は推察する。
上記リン化合物の含有量は、冷凍機油全量を基準として、0.01〜5質量%であり、好ましくは0.1〜3質量%である。含有量が前記下限値未満であると、潤滑性向上の効果が発揮できない。また、含有量が前記上限値を超えると、冷凍機油の安定性やシステム内の有機材料の膨潤などへの影響が大きくなってしまう。
本実施形態に係る冷凍機油は、上記の潤滑油基油及びリン化合物のみからなるものであってもよいが、本発明の目的が損なわれない範囲で、酸化防止剤、摩擦調整剤、防錆剤、金属不活性化剤、消泡剤などの添加剤を、より性能を向上させるために更に含有することができる。
酸化防止剤としては、ジ−tert.ブチル−p−クレゾールのようなフェノール系化合物、アルキルジフェニルアミンのようなアミン系化合物など、摩擦調整剤としては脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族イミド、アルコール、エステル、リン酸エステルアミン塩、亜リン酸エステルアミン塩など、防錆剤としてはアルケニルコハク酸エステルまたは部分エステルなど、金属不活性化剤としてはベンゾトリアゾールなど、消泡剤としてはシリコーン化合物、エステル系消泡剤などがそれぞれ挙げられる。
本実施形態に係る冷凍機油は、炭素数2〜4の炭化水素冷媒が用いられる冷凍機用の潤滑油として好ましく用いることができる。ここで、本実施形態に係る冷凍機油を、冷媒としてイソブタンが用いられる冷蔵庫に適用する場合には、モーター内蔵型(密閉タイプ)のコンプレッサに適した冷凍機油の特性、つまり高い電気絶縁性を有することも必要である。そこで、本実施形態に係る冷凍機油は添加剤配合の後で、体積抵抗率が10Ω・m以上であることが好ましい。なお、本発明における体積抵抗率とは、JIS C2101に準拠して測定した値を意味する。また、当該体積抵抗率は、添加剤を用いる場合には添加剤を配合した後の冷凍機油の体積抵抗率を意味する。
[第2実施形態:冷凍機用作動流体組成物]
本発明の第2実施形態に係る冷凍機用作動流体組成物は、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油並びに炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン化合物を含有し、該リン化合物の含有量が冷凍機油全量を基準として0.01〜5質量%である冷凍機油と、炭素数2〜4の炭化水素冷媒と、を含有する。なお、本実施形態に係る冷凍機用作動流体組成物に含まれる冷凍機油は上記の第1実施形態に係る冷凍機油と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
本実施形態における炭素数2〜4の炭化水素冷媒としては、具体的には、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタンなどが挙げられる。なかでもイソブタン(R600a)は冷蔵庫用とし使用されており、プロパン(R290)はルームエアコンディショナー用として実用化検討がなされているが、本実施形態においてはこれらの炭化水素冷媒を好適に用いることができる。特に、本実施形態に係る冷凍機用作動流体組成物は、冷凍機油の低粘度化により省電力を達成することができるため、その効果の大きなレシプロタイプコンプレッサーが主に使用されている冷蔵庫用として適しており、特にはイソブタン冷媒用として好適であるといえる。
本実施形態に係る冷凍機用作動流体組成物において、冷媒と冷凍機油との含有割合は特に制限されないが、冷媒/冷凍機油が10/90〜90/10であると好ましく、30/70〜70/30であるとより好ましい。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜8、比較例1〜6]
実施例1〜8及び比較例1〜6においては、それぞれ以下に示す潤滑油基油及び添加剤を用いて、表1〜4に示す組成を有する冷凍機油を調製した。
(A)潤滑油基油
A1:ペンタエリスリトールと、2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸の混合酸(質量比1:1)とのエステル(40℃における動粘度68.0mm/s、粘度指数90、流動点−40℃、引火点260℃)
A2:ジオクチルセバケート(40℃における動粘度11.6mm/s、粘度指数150、流動点−50℃、引火点220℃)
A3:両末端がメチル基でエーテル封鎖されたポリオキシプロピレン(平均分子量1000、40℃における動粘度46.0mm/s、粘度指数190、流動点−45℃、引火点218℃)
A4:パラフィン系精製鉱油、(40℃における動粘度22.0mm/s、粘度指数95、流動点−15℃、引火点210℃)
A5:直鎖型アルキルベンゼン、(40℃における動粘度8.1mm/s、粘度指数45、流動点−50℃、引火点154℃)
(B)一般式(2)で示されるリン化合物
B1:モノ(n−ブチルフェニル)ジフェニルフォスフェート
B2:ジ(イソプロピルフェニル)フェニルフォスフェート
B3:モノ(tert.−ブチルフェニル)ジフェニルフォスフェート/ジ(tert.−ブチルフェニル)フェニルフォスフェート=65/35(質量比)の混合物
(C)その他の添加剤
C1:油性剤:グリセロールモノオレエート(GMO)
C2:耐摩耗剤;トリフェニルフォスフェート(TPP)
C3:耐摩耗剤:トリクレジルフォスフェート(TCP)
次に、実施例1〜8及び比較例1〜6の冷凍機油を用いて、以下の潤滑性試験及び熱安定性試験を行った。
(潤滑性試験)
ASTM D−2714−88のファレックス ブロック・オン・リング摩擦摩耗試験機を用い、テストピースは ブロック:合金工具鋼SKS3(JIS G4404)、リング:ニッケルクロムモリブデン鋼SNCM220(JIS G4103) で、試験条件を 荷重:300N 周速:0.1m/s 温度:50℃ 試験時間:30分 とし、摩擦摩耗試験を行った。なお、試料油量は100mlであるが、炭化水素冷媒で希釈されることを模擬し、ガス化しない炭化水素であるノルマルデカンを20ml加えて希釈し、トータルのサンプル量を120mlとした。
試験結果として、摩擦係数は試験後半(おおよそ25分)で安定した時の値を、摩耗については試験終了後のブロック上の摩耗痕径(mm)を目盛り付き顕微鏡で計測し、示した。得られた結果を表1〜4に示す。
(熱安定性試験)
含有水分量を100ppm以下に調整した試料油90gをオートクレーブに秤取し、触媒(鉄、銅、アルミの線、いずれも外径1.6mm×50mm)とイソブタン冷媒10gを封入した後、175℃に加熱し、100時間後の試料油の外観と酸価(JIS C2101)を測定した。得られた結果を表1〜4に示す。なお、熱安定性試験前の試料油(新油)の酸価はすべて0.01mgKOH/gであった。
Figure 2016033222
Figure 2016033222
Figure 2016033222
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表1、2に示したとおり、実施例1〜8の冷凍機油は、比較例1の冷凍機油と比較すると、摩擦係数が低く、摩耗痕径が小さい結果を示した。
次に、実施例1〜8と比較例2、4とを比較すると、摩耗の指標である摩耗痕径は比較例2、4の場合にはるかに大きい値を示した。この結果は、吸着タイプである油性剤は摩擦係数を一定レベルにはするが、耐摩耗性は劣ることを支持するものである。
また、実施例1〜8と比較例3、5、6とを比較すると、比較例3、5、6の摩擦係数は実施例1〜8より約20%高い値を示した。これは、冷凍機コンプレッサの省電力の観点からは大きな差であるといえる。
これらの結果から、実施例1〜8の冷凍機油は、安定性が良好で、潤滑性については炭化水素で希釈された場合でも耐摩耗が高く、摩擦係数を低く維持できる冷凍機油であることが分かる。
本発明の冷凍機油は、冷凍機用冷媒が現行HFC冷媒の規制により、地球温暖化係数、つまりGWPのより低いものに替わる動きのなかで、その代替候補のひとつである炭化水素冷媒に使用されても、その高い耐摩耗性と摩擦係数を低く維持できる特性により、省電力化しつつ、長期信頼性の高い油として、既に一部実用化の進んでいる冷蔵庫やルームエアコン、一般産業用冷凍機等に好適に使用できる。

Claims (6)

  1. 鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油並びに炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン化合物を含有し、該リン化合物の含有量が冷凍機油全量を基準として0.01〜5質量%である冷凍機油と、
    炭素数2〜4の炭化水素冷媒と、
    を含有する冷凍機用作動流体組成物。
  2. 前記リン化合物が、炭素数4のアルキル基を1つ有するモノ(ブチルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数4のアルキル基を2つ有するジ(ブチルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の冷凍機用作動流体組成物。
  3. 前記潤滑油基油が、鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、エステル及びエーテルから選ばれる少なくとも1種であり、該潤滑油基油の40℃における動粘度が3〜500mm/sである、請求項1又は2に記載の冷凍機用作動流体組成物。
  4. 前記潤滑油基油が、鉱油、アルキルベンゼン、ポリ−α−オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、コンプレックスエステル、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール化合物及びポリビニルエーテルから選ばれる少なくとも1種以上であり、該潤滑油基油の40℃における動粘度が3〜300mm/sである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の冷凍機用作動流体組成物。
  5. 前記炭化水素冷媒が、プロパン、プロピレン、ノルマルブタン及びイソブタンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の冷凍機用作動流体組成物。
  6. 鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも1種の潤滑油基油と、
    炭素数3〜5のアルキル基を1つ有するモノ(アルキルフェニル)ジフェニルフォスフェート及び炭素数3〜5のアルキル基を2つ有するジ(アルキルフェニル)フェニルフォスフェートから選ばれる少なくとも1種のリン化合物と、
    を含有し、
    該リン化合物の含有量が冷凍機油全量を基準として0.01〜5質量%であり、
    炭素数2〜4の炭化水素冷媒と共に用いられる、冷凍機油。
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