JP2016025073A - 電池モジュールおよびその電池モジュールを備える電池パック - Google Patents

電池モジュールおよびその電池モジュールを備える電池パック Download PDF

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Abstract

【課題】電流遮断機構が作動すれば、電流遮断機構の作動を確実に検出することができる電池モジュールおよびその電池モジュールを備えた電池パックの提供にある。【解決手段】複数の電池セル30と、電池セル30の内部に設けられる通電回路と、電池セル30に設けられ、電池セルの内圧が設定値以上の時に通電回路を遮断する電流遮断機構と、を有する電池モジュール20において、音を検出する音センサ70と、音センサ70が出力する検出信号のうち、予め設定した設定周波数未満の周波数成分を減衰するとともに前記設定周波数以上の周波数成分を減衰せず出力するハイパスフィルタ手段と、ハイパスフィルタ手段の出力後の検出信号に基づき電流遮断手段の作動を検出する作動検出手段と、を備えた。【選択図】 図1

Description

この発明は電池モジュールおよびその電池モジュールを備える電池パックに関する。
充電可能な二次電池は、様々な分野において広く用いられている。単一の二次電池において得られる電圧は小さいため、高い電圧を必要とする場合には、最小単位である電池セルを複数用意し、これらの複数の電池セルを直列に接続して電池モジュール化すればよい。しかしながら、電池セル毎の電池容量のばらつきは、電池全体の電池容量の低下を招く。このため、電池セルを直列に接続した電池モジュールでは監視ECUを設け、監視ECUにより電池セル毎に電圧監視を行う場合がある。監視ECUによる監視結果に基づいて放電および充電の各制御を行い、過放電又は過充電による電池特性の劣化の抑制が図られている。しかしながら、監視ECUにより電圧監視を行っても、何らかの理由によって監視結果に基づく制御が適切に行われない可能性が考えられる。このため、電池セルには、電流遮断機構(CID:Current Interrupt Device)が搭載されることが多い。
監視ECUの電圧監視による充電制御は、通常、電流遮断機構が作動しないように行われる。充電制御時に電流遮断機構が作動する場合には、何らかの理由により充電制御が適切に行えない状態となっている可能性がある。電流遮断機構が作動した場合、電池モジュールからの放電および電池モジュールへの充電に用いられる通電経路の接続が切断される。電流遮断機構の作動後、例えば、電池セルの内圧の下降等により、電流遮断機構による通電経路の切断が自動的に解除される場合がある。この場合、電池セルでは電流が流れることが可能な状態(再導通状態)に復帰する。このため、監視結果に基づく制御が適切に行われない状態であるにも関わらず、充電あるいは放電の制御が再び行われることになる。このような再導通状態に至らないようにするためにも、電流遮断機構が作動されたことを確実に検出することが重要である。
電池モジュールに関連する従来の技術としては、例えば、特許文献1に開示された電池モジュールが知られている。特許文献1に開示された電池モジュールは、複数の電池から構成されたセル群と、ECUとを含んでいる。電池の安全弁は、対向部材と対向している。対向部材とセル群との間には、音センサが配置されており、音センサは、ECUの弁作動検知部と接続されている。弁作動検知部は、音センサの出力信号に基づいて、セル群の少なくとも1つの電池の安全弁が作動したことを検知する。その結果、複数の電池に対して、1つ、もしくは少数の音センサを設けるだけで、複数の電池の安全弁の作動を検知する。
国際公開第2011/101942号
しかしながら、従来の電池モジュールでは、電流遮断機構が作動しても、電流遮断機構が作動されたことを確実に検出することができないという問題がある。また、特許文献1に開示された電池モジュールは、音センサにより安全弁の作動音を検知する技術であり、電流遮断機構の作動を検出することはできないという問題がある。また、この種の電池モジュールを車両に搭載する場合、走行中に発生する様々な雑音と安全弁の作動音との区別が困難である。さらに言うと、安全弁の作動パターンが様々であり、安全弁の作動パターンに応じて作動音にばらつきが生じる。このため、安全弁の作動を確実に検出することができない可能性が考えられる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、電流遮断機構が作動すれば、電流遮断機構の作動を確実に検出することができる電池モジュールおよびその電池モジュールを備えた電池パックの提供にある。
上記の課題を解決するために、本発明は、複数の電池セルと、前記電池セルの内部に設けられる通電経路と、前記電池セルに設けられ、前記電池セルの内圧が設定値以上の時に前記通電経路を遮断する電流遮断機構と、を有する電池モジュールにおいて、音を検出する音センサと、前記音センサが出力する検出信号のうち、予め設定した設定周波数未満の周波数成分を減衰するとともに前記設定周波数以上の周波数成分を減衰せず出力するハイパスフィルタ手段と、前記ハイパスフィルタ手段の出力後の検出信号に基づき前記電流遮断機構の作動を検出する作動検出手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、音センサは検出した音の検出信号を出力し、ハイパスフィルタ回路は音センサから出力された検出信号のうち、予め設定した設定周波数未満の周波数成分を減衰するとともに前記設定周波数以上の周波数成分を減衰せず出力する。ハイパスフィルタ手段の出力後の検出信号が設定周波数以上の周波数成分を含む場合、作動検出手段は電流遮断機構が作動されたこと検出する。つまり、電流遮断機構が作動すれば、電流遮断機構の作動を確実に検出することができる。
また、上記の電池モジュールにおいて、前記作動検出手段は、前記音センサが検出する音の持続時間と予め設定された設定持続時間との比較に基づき、前記電流遮断機構の作動を検出する構成としてもよい。
この場合、電流遮断機構の作動時の音(作動音)の持続時間は予め設定された設定持続時間と一致する。このため、ハイパスフィルタ手段の出力後の検出信号が設定周波数以上の周波数成分を含む場合であっても、音の持続時間が設定持続時間より長い場合には、作動検出手段は電流遮断機構が作動されたことと検出しない。つまり、電流遮断機構の作動音と同じ周波数成分を含む音によって電流遮断機構が作動していると誤検出されることはない。
また、上記の電池モジュールにおいて、前記電流遮断機構は、前記電池セルの設定値以上の内圧により瞬間的に変形され、変形により前記通電経路を遮断する変形板を備え、前記変形板は、変形時に前記設定周波数以上の成分を含む作動音を発する構成としてもよい。
この場合、電池セルの内圧が設定値以上に達すると、変形板は瞬間的に変形し、その変形により設定周波数以上の成分を含む作動音を発する。このため、電流遮断機構の作動音以外の音と区別し易くなり、電流遮断機構が作動されたことをより確実に検出することができる。
また、上記の電池モジュールにおいて、前記変形板は、前記設定持続時間と一致する持続時間を有する作動音を変形時に発する構成であってもよい。
この場合、変形板の変形時における作動音は、設定周波数以上の成分を含むとともに、作動音の持続時間は設定持続時間と一致する。このため、電流遮断機構の作動音以外の音とより確実に区別し易くなる。
また、上記の電池モジュールと、その電池モジュールが収容されるケースとを有する電池パックとしてもよい。
この場合、ケースに電池モジュールが収容されることから、ケースによって電流遮断機構の作動音以外の音を遮断しやすくなる。
本発明によれば、電流遮断機構が作動すれば、電流遮断機構の作動を確実に検出することができる電池モジュールおよびその電池モジュールを備えた電池パックを提供することができる。
本発明の実施形態に係る電池モジュールを備える電池パックの概要を示す縦断面図である。 本発明の実施形態に係る電池モジュールの斜視図である。 図2におけるA−A線矢視図である。 本発明の実施形態に係る電池セルの斜視図および分解斜視図である。 本発明の実施形態に係る電池セルの縦断面図である。 (A)は非作動状態の電流遮断機構の縦断面図であり、(B)は作動状態の電流遮断機構の縦断面図である。 本発明の実施形態に係る電池モジュールの概略構成を示すブロック図である。 変形例に係る電池パックの概要を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る電池パックについて図面を参照して説明する。本実施形態は車両搭載用の電池パックに適用した例を説明している。図1に示す電池パック10は、ケース11と、ケース11に収容される複数の電池モジュール20を備えている。図1に示すように、ケース11は、開口部18を有するケース本体17と、開口部18を覆ってケース本体17に固定される蓋部材19とを備える。ケース本体17は、矩形板状の底部12と、底部12の三辺から立設する矩形板状の側壁部13〜15および天板部16とを有する。側壁部15は、底部12の開口部18側と反対の長辺から立設されている。側壁部13は底部12の一方の短辺から立設され、側壁部14は底部12の他方の短辺から立設され、側壁部13と側壁部14は互いに平行である。天板部16は側壁部13〜15の上辺に接続されており、底部12と平行である。開口部18は、ケース本体17における底部12、天板部16および側壁部13、14により囲まれることにより形成されている。
本実施形態では、ケース11に収容される電池モジュール20は5個である。5個の電池モジュール20は、3個の電池モジュール20が積層される第1電池群G1と、2個の電池モジュール20が積層される第2電池群G2に分けてケース11の内部に収容されている。第1電池群G1の最下段の電池モジュール20および第2電池群G2の下段の電池モジュール20はケース11の底部12に配置されている。
ケース11における第2電池群G2の上方には、電池モジュール20の1個分に相当する空間が存在する。この空間には制御ECU21およびジャンクションボックス22が配置されている。制御ECU21は、第2電池群G2の上段の電池モジュール20の上方に配置されており、制御ECU21は各電池モジュール20を制御する。図1に示すように、制御ECU21は側壁部15に固定されている。制御ECU21は、ジャンクションボックス22へ向けて設けたハーネス(図示せず)や電池モジュール20と接続されるハーネス(図示せず)を有する。ジャンクションボックス22には、図示はされないがリレー、各種配線、バスバー等が備えられている。
図2および図3に示すように、電池モジュール20は、複数並設された電池セル30と、複数並設された電池セル30を保持する電池ホルダ23を有する。電池モジュール20における電池セル30の並設方向の両端には、エンドプレート24が設けられている。エンドプレート24には、ブラケット25が取り付けられている。ブラケット25がボルト(図示せず)を介してケース11の側壁部15に取り付けられることにより、電池モジュール20はケース11の側壁部15に固定される。電池ホルダ23は、電池セル30と対向して配置される載置板26を支持している。載置板26には、各電池セル30の制御を行う監視ECU27が設けられている。
監視ECU27は、図示しないが中央演算処理部(CPU)、RAMやROM等のメモリ部と、入力部や出力部と、を備え、ハーネスにより制御ECU21と電気的に接続されている。監視ECU27は、例えば、電池セル30の温度や、電池セル30間の電圧といった電池モジュール20の状態を監視する。監視ECU27によって検出された電池モジュール20の状態に関する監視情報は制御ECU21に送信される。制御ECU21は、監視ECU27の電池モジュール20の状態に関する監視情報に基づき、電池モジュール20を制御する。
本実施形態の電池セル30は、例えば、リチウムイオン二次電池や、ニッケル水素二次電池等の二次電池であり、角型の二次電池である。図4に示すように、電池セル30の電池ケース31には電極組立体40が収容されている。電池ケース31は、有底筒状のケース本体32と、ケース本体32の開口を閉塞する矩形平板状の蓋体33を有している。ケース本体32および蓋体33は金属材料(例えば、アルミニウム)により形成されている。図5に示すように、ケース本体32の内面には、電池ケース31に収容された電極組立体40との絶縁を図るための絶縁部材としての絶縁シート34が貼着されている。また、蓋体33の内側面には、電池ケース31に収容された電極組立体40との絶縁を図るための絶縁部材としての絶縁シート35が貼着されている。
図4に示すように、蓋体33には一対の通孔36が形成されている。蓋体33の長手方向の中心付近には、安全弁37が設けられている。安全弁37は、電池ケース31内におけるガスの発生により電池ケース31内の圧力が所定圧力に達したときに開弁して、電池ケース31内のガスを外部に放出する機能を有している。また、蓋体33には電解液を電池ケース31内へ注入するための注液口38が設けられており、注液口38は封止部材39により封止されている。
電極組立体40は、電池機能(充電・放電など)を生じさせる発電要素である。図4に示すように、電極組立体40は、シート状の正極41およびシート状の負極42と、正極41と負極42の間に介在されるシート状のセパレータ43を有している。セパレータ43は、電解液の流通を可能とする絶縁材料により形成されている。電極組立体40では、正極41と負極42とはセパレータ43を介して交互に積層されている。電極組立体40は、複数の正極41と電気的に接続される正極集電部44と、複数の負極42と電気的に接続される負極集電部45とを備えている。正極集電部44は正極端子46と電気的に接続されている。負極集電部45は電流遮断機構50を介して負極端子47と電気的に接続されている。
電極組立体40が電池ケース31に収容された状態では、正極端子46と負極端子47は、蓋体33の一対の通孔36から電池ケース31の外部に露出される。正極端子46および負極端子47には、正極端子46および負極端子47を蓋体33から絶縁するための樹脂製の筒状の絶縁リング48がそれぞれ取り付けられている(図5、図6(A)、図6(B)を参照)。ケース11内には電解液が充填されているが、電解液は電極組立体40を電池ケース31内に収容した後に注液口38を介して満たされる。電解液は、例えば、リチウム二次電池やニッケル水素二次電池といった二次電池の種類に応じた電解液である。
複数の電池セル30が電池ホルダ23により保持された状態では、蓋体33が上側となる。本実施形態における電池モジュール20は、それぞれ奇数個の電池セル30を並設しており、各電池セル30は、正極端子46と負極端子47が互いに隣り合うように接続されている。このため、電池セル30の並設方向の一端に設けられた電池セル30と、並設方向の他端に設けられた電池セル30は、ケース11の側壁部15側に同一極性の端子が配置されるようにそれぞれ設けられている。図2に示す電池モジュール20の場合、並設方向の両端に設けられた電池セル30において、正極端子46はケース11の側壁部15側にそれぞれ配置され、負極端子47はケース11の蓋部材19側にそれぞれ配置される。並設された電池セル30はバスバー49により電気的に接続されている(図2、図3を参照)。本実施形態では複数の電池セル30が直列に接続されている。
ここで、電池セル30が備える電流遮断機構50について説明する。図6(A)および図6(B)に示す電流遮断機構50は、電池セル30の過充電時等に電極組立体40から発生するガスによって電池ケース31内の圧力が上昇した場合に、負極端子47と負極集電部45との間にて通電を遮断するために備えられている。電流遮断機構50は、電極組立体40と負極端子47との間を電気的に接続する通電経路の一部を構成する。電流遮断機構50は、電極組立体40が収容されている電池ケース31の内部と電池ケース31の外部とのガスの流通を阻止する。電流遮断機構50は、電池ケース31内の内圧が予め設定した設定圧力を超えたときに、電極組立体40と負極端子47との通電経路を遮断する。設定圧力とは、電池セル30が過充電(過電圧)状態のときや、電池モジュール20が過昇温状態(活物質の熱暴走温度)の電池ケース31内の内圧を意味する。設定圧力は、電池セル30の容量、出力電圧等の条件により設定される。
電流遮断機構50は、電池ケース31内に配置されており、負極端子47の下方に配置されている。電流遮断機構50は、負極端子47の電極組立体40側の端部に一体形成されたフランジ部51を備えている。フランジ部51と蓋体33との間には環状の第1シール部材52が介在され、第1シール部材52は電池ケース31の内部と電池ケース31の外部との連通を遮断する。フランジ部51の外周部の電極組立体40側には、周方向にわたってリブ53が環状に形成されている。リブ53は電極組立体40側へ向けて突出する。リブ53に対して円盤状の接点板54が取り付けられている。接点板54は導電性材料により形成され、中心へ向かうにつれて電極組立体40側に近づくように緩やかな凸状に形成されている。従って、フランジ部51と接点板54とにより区画された空間部S1が形成される。接点板54の電極組立体40側の外周縁には、絶縁材料により形成された環状の第2シール部材55が備えられている。
第2シール部材55の電極組立体40側には、導電性材料により形成された円盤状の通電板56が設置されている。通電板56の外周部は、負極集電部45と接続されている。通電板56の負極端子47側の面(上面)は平坦であり、通電板56の中心部と接点板54との中心部は互いに接触して接点部57を形成している。従って、負極集電部45、通電板56、接点部57、接点板54、負極端子47へ通じる通電経路が電池セル30において形成されている。通電板56における電極組立体40側の面(下面)は、中央が凹状に形成されている。このため、通電板56の中央部の板厚は、通電板56の外周部の板厚さよりも小さい。通電板56おける中央部の下面には、環状溝58が形成されている。環状溝58は通電板56の中心を中心として形成された環状の溝である。接点板54と通電板56との接点部57は環状溝58の内側に位置する。環状溝58が通電板56に形成されていることにより、通電板56における環状溝58の内側の円形の部位は、下方から一定以上の外力が加えられたとき、環状溝58に沿って破断され易い。通電板56の外周部の電極組立体40側には、絶縁材料により形成された環状の第3シール部材59が備えられている。
第3シール部材59の電極組立体40側には、導電性材料により形成された円盤状の変形板60が設置されている。変形板60の外周部は支持部材61により支持されている。支持部材61は樹脂材料により形成されており、接点板54、第2シール部材55、通電板56、第3シール部材59および変形板60をフランジ部51に対して保持させる。支持部材61の外周面には金属製のかしめ部材62が設けられている。かしめ部材62は、支持部材61による接点板54、第2シール部材55、通電板56、第3シール部材59および変形板60の保持を確実にする。
変形板60は、中心へ向かうにつれて通電板56から遠ざかるように緩やかな凸状に形成されている。従って、変形板60と通電板56とにより区画された空間部S2が形成される。変形板60は、金属製の薄板で形成されており変形可能であり、変形により反転可能な反転部63を有する。反転部63は、電池セル30内の内圧が設定圧力を超えるとき、瞬間的に凸状から凹状に反転する。反転部63の中央部には、通電板56側へ向けて突出する絶縁性の突起体64が設けられている。本実施形態では、突起体64の形状は円柱状であるが、突起体64の形状は特に制限されない。変形板60において突起体64が設けられる面と反対側となる面は、電解液が存在する空間に露出されている。変形板60の設置により、変形板60と通電板56とにより区画された空間部S2と電池セル30内の電解液が存在する空間とは隔絶される。
本実施形態では、電池セル30内の内圧が設定圧力を超えるとき、図6(B)に示すように、変形板60の反転部63が瞬間的に凸状から凹状に反転し、変形板60は変形する。また、変形板60は変形時に一定の音量の音(以下「作動音」と表記する)を発生し、変形板60の作動音は所定の周波数以上の高周波成分を含む。変形板60の作動音の周数数の設定は、主に変形板60の寸法条件によって可能であり、具体的には、変形板60の寸法を小さくするほど、作動音の周波数は高くなる。変形板60は、予め設定圧力を超えたときに変形可能であるという条件を満たすとともに、他の音(安全弁37の作動音や電池パック10外の雑音等)と区別し易い高周波数の作動音が変形時に発する形状・寸法に設定されていることが好ましい。変形板60の好ましい作動音としては、例えば、「パチッ」といった瞬間的に発生する可聴音である。変形板60は変形時の作動音は、電流遮断機構50の作動音に相当する。
電流遮断機構50は、電池セル30内の内圧が設定圧力を超えないときは、図6(A)に示すように接点板54と通電板56との接触が接点部57により保たれる。電池セル30内の内圧が設定圧力を超えるとき、図6(B)に示すように、変形板60の反転部63が瞬間的に凸状から凹状に反転して変形し、所定の周波数以上の高周波成分を含む作動音が発生する。反転部63の反転により突起体64は通電板56と衝突して押圧する。通電板56は環状溝58に沿って破断されて円形状の破断部65が形成される。破断部65は突起体64により接点板54に押し付けられ、接点板54と通電板56との電気的な接触が解消される。接点板54と通電板56との接触が解消されることにより、負極集電部45と負極端子47との間を通じる通電経路が物理的に遮断される。つまり、電流遮断機構50が作動することにより、この通電経路が物理的に遮断され、電池セル30における通電が強制的に中断される。
ところで、本実施形態では、音を検出し、音の検出信号を発信する音センサ70が、電池モジュール20毎に設けられている。具体的には、載置板26の内側に音センサ70が取り付けられている。音センサ70は静電型(コンデンサ)マイクロフォンや動電型マイクロフォンを用いる。音センサ70は監視ECU27と接続されており、音センサの検出信号は監視ECUへ出力される。音センサ70は、様々な音を検出するが、変形板60の変形時(反転部63の反転時)の作動音を検出可能である。
本実施形態の監視ECU27は、電流遮断機構50の作動を検出する作動検出手段としての機能を有する。図7に示すように、監視ECU27はハイパスフィルタ手段としてのハイパスフィルタ回路部71を備えている。ハイパスフィルタ回路部71は、RC回路、LC回路あるいはRL回路を有している。ハイパスフィルタ回路部71は、音センサ70から出力された音の検出信号のうち、予め設定した設定周波数未満の周波数成分を減衰させるとともに、設定周波数以上の周波数成分を殆ど減衰せずに出力する機能を備える。また、監視ECU27には、変形板60の変形時における作動音の持続時間に基づく設定持続時間が記憶されている。従って、監視ECU27は、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号が設定周波数以上の周波数成分を含むか否かを判断するとともに、音センサ70により音の持続時間と設定持続時間との比較により、電流遮断機構50の作動を検出する。
監視ECU27は、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号に設定周波数以上の周波数成分が含まれ、かつ、音の持続時間が設定持続時間と一致する場合、電流遮断機構50が作動したことを検出する。監視ECU27は、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号に設定周波数以上の周波数成分が含まれない場合には、電流遮断機構50が作動したことが検出されない。同様に、音センサ70により検出された音の持続時間が、例えば、設定作動時間より長い等、設定作動時間と異なるときには、監視ECU27は電流遮断機構50が作動したことを検出しない。
次に、本実施形態の電池パック10の作用について説明する。
電池パック10の各電池モジュール20を充電する場合では、監視ECU27が充電中の電池モジュール20の状態を監視する。制御ECU21は、監視ECU27の電池モジュール20の状態に関する監視情報に基づき、監視ECU27を通じて電池モジュール20を制御する。監視ECU27が電池モジュール20を適切に監視し、制御ECU21が適切な充電の制御を行う場合、電池セル30の内圧は設定圧力を超えることはなく、電流遮断機構50は作動しない。一方、何らかの理由により充電の制御が適切に行えない場合、例えば、特定の電池セル30に不具合が生じている場合や、電池セル30を監視する監視ECU27の監視機能が正常でない場合に、電池セル30に通常以上の電流が流れることがある。その場合、電池セル30は過充電状態となる可能性が高い。電池セル30に過充電状態等の異常が生じた場合、密閉された電池ケース31内でガスが発生する。ガスの発生により電池ケース31内の圧力が上昇し、ガスの圧力が設定圧力を超えると電流遮断機構50が作動する。
電流遮断機構50が作動するとき、図6(B)に示すように、変形板60の反転部63が瞬間的に凸状から凹状に反転し、反転時に所定の周波数以上の高周波成分を含む作動音が発生する。反転部63の反転により突起体64が通電板56に衝突することにより、通電板56は環状溝58に沿って破断されて破断部65が形成される。破断部65は突起体64により接点板54に押し付けられ、接点板54と通電板56との接触が解消される。接点板54と通電板56との接触の解消により、通電経路が遮断されるため、充電の制御が行われていても通電経路が物理的に遮断されており、電池セル30における通電は強制的に中断される。
電流遮断機構50の作動時には、所定の周波数以上の高周波成分を含む作動音を発生することから、音センサ70は作動音を検出し、音センサ70による作動音の検出信号を監視ECU27へ出力する。ハイパスフィルタ回路部71では、音センサ70から出力された作動音の検出信号のうち、予め設定した設定周波数以上の周波数成分が殆ど減衰されず出力される。作動音に含まれる設定周波数未満の周波数成分については減衰されて殆ど出力されない。音センサ70が変形板60の作動音を検出した場合、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号には、予め設定した設定周波数以上の周波数成分が含まれており、また、作動音の持続時間は設定持続時間と一致する。監視ECU27は、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号に予め設定した設定周波数以上の周波数成分が含まれ、かつ、音センサ70により検出された音の持続時間が設定持続時間と一致するとき、電流遮断機構50が作動されたことを検出する。監視ECU27による電流遮断機構50の作動の検出情報は制御ECU21に伝達され、制御ECU21では、充電の制御を停止するように監視ECU27を制御する。
音センサ70は、電流遮断機構50の作動音以外の音に対しても検出して検出信号を出力する。電流遮断機構50の作動音以外の音の検出信号の場合、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号に設定周波数が含まれなかったり、音の持続時間が設定持続時間と一致しなかったりする。監視ECU27は、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号に設定周波数が含まれなかったり、音の持続時間が設定持続時間と一致しなかったりすると、電流遮断機構50が作動されたことを検出しない。監視ECU27により電流遮断機構50が作動されていることを検出しない場合には、制御ECU21は充電の制御を継続する。なお、音センサ70は、電池パック10の充電時に限らず、電池パック10の放電時においても電流遮断機構50が作動する場合には、電流遮断機構50の作動音を検出する。そして、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号や作動音の持続時間と設定持続時間との比較により、監視ECU27は電流遮断機構50が作動されたことを検出する。
本実施形態の電池パック10によれば以下の作用効果を奏する。
(1)音センサ70は検出した音の検出信号を出力し、ハイパスフィルタ回路部71は、音センサ70から出力された検出信号のうち、予め設定した設定周波数以上の周波数成分を出力する。ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号が設定周波数以上の周波数成分を含み、かつ、音センサ70により検出された音の持続時間が設定持続時間と一致するとき、監視ECU27は電流遮断機構50が作動されたことを検出する。つまり、電流遮断機構50が作動すれば、電流遮断機構50の作動を確実に検出することができる。これにより、電流遮断機構50の作動後による通電経路の切断が自動的に解除される再導通状態を回避することができる。
(2)電流遮断機構50の作動音には、予め設定した設定周波数以上の周波数成分が含まれることから、電池パック10を車両に搭載しても、車両の走行中に発生する様々な雑音と電流遮断機構50の作動音との区別が容易となる。従って、車両の走行時に電流遮断機構50が作動しても、電流遮断機構50の作動音が様々な雑音と区別されて検出され、電流遮断機構50が作動されたことを検出することができるから、車両搭載用の電池パック10として好適である。
(3)電流遮断機構50の作動音の持続時間は予め設定された設定持続時間と一致する。このため、ハイパスフィルタ回路部71の出力後の検出信号が設定周波数以上の周波数成分を含む場合であっても、例えば、検出された音の持続時間が設定持続時間より長い場合には、監視ECU27は、電流遮断機構50が作動されたことを検出しない。つまり、電流遮断機構50の作動音と同じ周波数成分を含む音であっても、電流遮断機構50が作動していると誤検出されることはない。
(4)電池セル30の内圧が設定値以上に達すると、変形板60の反転部63は瞬間的に反転して設定周波数以上の成分を含む作動音を発する。このため、電流遮断機構50の作動音以外の音と区別し易くなり、電流遮断機構50が作動されたことをより確実に検出することができる。特に、変形板60には、電池セル30の内圧が設定値以上に達するときに瞬間的に反転する反転部63が設けられているため、持続時間の短い作動音を設定することができる。
(5)変形板60の寸法設定によって、予め設定圧力を超えたときに変形可能であるという条件を満たすとともに、他の音(安全弁37の作動音や電池パック10外の雑音等)と区別し易い高周波数の作動音を設定することができる。
(6)ケース11に電池モジュール20が収容されることから、ケース11によって電流遮断機構50の作動音以外の音を遮断し易くすることができる。このため、作動音以外の音とより区別し易くなり、電流遮断機構50が作動されたことをより確実に検出することができる。
(7)電池モジュール20毎に、音センサ70と監視ECU27が設けられていることから、電池モジュール20単位にて、電流遮断機構50が作動されたことを検出することができる。このため、特定の電池モジュール20における電流遮断機構50が作動されたことが検出されても、電流遮断機構50の作動を検出した電池モジュール20を除くその他の電池モジュール20の充電や放電の制御を行うことも可能である。
なお、本実施形態の変形例として、例えば、図8に示す電池パック10としてもよい。図8に示す電池パック10では、電池モジュール20毎に音センサ70を設けず、電池ケース31内の2箇所に音センサ70を設けるようにしている。具体的には、第1電池群G1の底部12側の電池モジュール20と側壁部14との間に位置するように、音センサ70が側壁部15に取り付けられている。もう一つの音センサ70は、制御ECU21と側壁部13との間に位置するように側壁部15に取り付けられている。2個の音センサ70は特定の監視ECU27と接続してもよく、あるいは、制御ECU21と接続してもよい。本変形例では2個の音センサ70により全ての電池セル30における電流遮断機構50の作動音を検出できるように構成されている。電流遮断機構50が作動されたことを検出した場合には、制御ECU21は全ての電池モジュール20に対する充電または放電の制御を中止する制御を行う。本変形例の場合、音センサ70の数を削減することができ、製作コストの低減を図ることができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 上記の実施形態では、ハイパスフィルタ回路部の出力後の検出信号が設定周波数以上の周波数成分を含み、かつ、音の持続時間が設定持続時間と一致するとき、監視ECUは電流遮断機構が作動されたことを検出したがこの限りではない。例えば、ハイパスフィルタ回路部の出力後の検出信号が設定周波数以上の周波数成分を含むという条件を満たすことで、電流遮断機構が作動されたことを検出してもよい。つまり、作動音の持続時間が設定持続時間と一致する条件を満たさなくても、電流遮断機構が作動されたことを検出するようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、作動検出手段としての監視ECUにハイパスフィルタ手段としてのハイパスフィルタ回路部が監視ECUに設けられるとしたが、ハイパスフィルタ手段を監視ECUに設けることに限定されない。例えば、音センサと作動検出手段を電気的に接続し、音センサと作動検出手段との間にハイパスフィルタ回路を介在させてもよい。
○ 上記の実施形態では、ハイパスフィルタ手段は、RC回路、LC回路又はRL回路を備えるハイパスフィルタ回路としたが回路に限らない。ハイパスフィルタ手段は、例えば、コンピュータおよびプログラムとしてもよい。プログラムの実行により、コンピュータが、音センサから出力された音の検出信号のうち、予め設定した設定周波数未満の周波数成分を減衰させ、設定周波数以上の周波数成分を殆ど減衰せずに出力する周波数フィルタ機能を果せばよい。
○ 上記の実施形態では、電池パックはケースを備えているとしたが、例えば、防音性を向上させるようにケースを防音材により形成したり、ケースに防音材を設けたりしてもよい。この場合、ケースを防音材により形成したり、ケースに防音材を設けたりすることにより、ケースの外部における雑音等を遮断することができる。このため、音センサの電流遮断機構の作動音以外の音の検出を困難にすることができ、電流遮断機構の作動音と電流遮断機構の作動音以外の音との区別をよりし易くすることができる。
○ 上記の実施形態では、電流遮断機構の変形板に設けた突起体が通電板を破断させて、接点板と通電板との接点部を解消し、接点板と通電板の接触を解消したが、電流遮断機構の構成はこれに限定されない。電流遮断機構は、電池セル内の設定圧力以上の圧力により瞬間的に変形する変形板に相当する部材を備える構造であれば、特に、その構成は自由である。
○ 上記の実施形態では、5個の電池モジュールを備えた電池パックを例示したが、電池モジュールの数は特に限定されない。電池モジュールは1個以上であればよい。例えば、電池モジュールが1個の場合でもよく、この場合、電池モジュールを収容するケースが設けられることが好ましく、音センサは電池モジュールに設けてもよいし、あるいはケースに設けてもよい。
10 電池パック
11 ケース
20 電池モジュール
21 制御ECU
27 監視ECU
30 電池セル
31 電池ケース
37 安全弁
40 電極組立体
46 正極端子
47 負極端子
50 電流遮断機構
54 接点板
56 通電板
57 接点部
60 変形板
63 反転部
64 突起体
70 音センサ
71 ハイパスフィルタ回路部
G1 第1電池群
G2 第2電池群
S1、S2 空間部

Claims (5)

  1. 複数の電池セルと、
    前記電池セルの内部に設けられる通電経路と、
    前記電池セルに設けられ、前記電池セルの内圧が設定値以上の時に前記通電経路を遮断する電流遮断機構と、を有する電池モジュールにおいて、
    音を検出する音センサと、
    前記音センサが出力する検出信号のうち、予め設定した設定周波数未満の周波数成分を減衰するとともに前記設定周波数以上の周波数成分を減衰せず出力するハイパスフィルタ手段と、
    前記ハイパスフィルタ手段の出力後の検出信号に基づき前記電流遮断機構の作動を検出する作動検出手段と、を備えることを特徴とする電池モジュール。
  2. 前記作動検出手段は、前記音センサが検出する音の持続時間と予め設定された設定持続時間との比較に基づき、前記電流遮断機構の作動を検出することを特徴とする請求項1記載の電池モジュール。
  3. 前記電流遮断機構は、前記電池セルの設定値以上の内圧により瞬間的に変形され、変形により前記通電経路を遮断する変形板を備え、
    前記変形板は、変形時に前記設定周波数以上の成分を含む作動音を発することを特徴とする請求項1又は2記載の電池モジュール。
  4. 前記電流遮断機構は、前記設定持続時間と一致する持続時間を有する作動音を発することを特徴とする請求項2又は3に記載の電池モジュール。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載された電池モジュールと、前記電池モジュールが収容されるケースとを備えることを特徴とする電池パック。
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