JP2016023501A - 展開構造物、及び、展開構造物作製キット - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、内部空間をより有効に利用可能な展開構造物を提供することである。【解決手段】本発明の一側面に係る展開構造物は、矩形構造を有する複数の単位構造部を備える。複数の単位構造部の辺同士は連結されており、複数の単位構造部の各々は、各々の単位構造部の4つの辺を構成し、互いに可動するように端部同士が接合された4本の棒材と、各々の単位構造部に配置される複数の紐状の弾性部材と、複数の弾性部材から矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生させるように複数の弾性部材を連結する剛性部材と、を備える。各々の単位構造部は、複数の弾性部材から発生する矩形構造の2つの対角線方向の張力のつり合いに起因して各々の単位構造部の展開した状態が維持されることで、複数の単位構造部によって内部空間が形成されるように構成され、複数の弾性部材の張力に抗して隣接する棒材間の角度を変化させることで折り畳み可能に構成される。【選択図】図1
Description
本発明は、展開構造物の技術に関する。
展開構造物は、展開することで広い空間を覆うことができ、小さく折り畳むことで可搬性を高めることができる構造(以下、このような構造を「展開構造」と称する)を有する。また、展開構造物は、一般的に、その展開及び折り畳みが容易にできるように設計されている。そのため、従来から、簡易のシェルタ、パビリオン用のテント、一時的なシェード屋根、宇宙空間で利用する構造物等に、展開構造物が利用されてきた。展開構造物の一例として、特許文献1〜8及び非特許文献1に開示される構造物がある。
Richard Liew、 "Novel Deployable Systems For Space Structures"、[online]、2004年4月、National University of Singapore、[2012年12月12日検索]、インターネット<http://www.eng.nus.edu.sg/civil/newsletter/apr2004/article11.html>
展開構造物を展開した状態(以下、このような状態を「展開状態」と称する)で維持する方法として、非特許文献1に開示される方法がある。非特許文献1では、隣接する中間ジョイント同士がケーブルで繋がれ、上部ジョイントと下部ジョイントとがケーブル又は棒材で繋がれることで、その展開状態を維持する展開構造物が記載されている。ここで、上部ジョイントと下部ジョイントとをケーブルで繋いだ展開構造物を想定すると、当該展開構造物の展開状態は、展開構造を形成する棒材が張力部材としての各ケーブルから張力を受けることで、維持される。
しかしながら、非特許文献1に記載される方法では、上部ジョイントと下部ジョイントとを繋ぎ、展開構造物の内部空間を通るケーブルの張力により、展開構造物における上下方向の展開状態が維持されている。そのため、展開構造物の展開状態を維持するための部材(ケーブル)が、展開構造物の内部空間の中央に存在してしまうことになり、当該部材が存在する分、展開構造物の内部空間が有効に利用できなくなるという問題点があった。
本発明は、一側面では、このような点を考慮してなされたものであり、その目的は、内部空間をより有効に利用可能な展開構造物を提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
すなわち、本発明の一側面に係る展開構造物は、矩形構造を有する複数の単位構造部を備える。また、前記複数の単位構造部の辺同士は連結されており、前記複数の単位構造部の各々は、当該各々の単位構造部の4つの辺を構成し、互いに可動するように端部同士が接合された4本の棒材と、前記矩形構造内に交差する地点を形成可能に、当該各々の単位構造部に配置される複数の紐状の弾性部材と、前記複数の弾性部材の交差する地点に配置され、前記複数の弾性部材から前記矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生させるように、前記複数の弾性部材を連結する剛性部材と、を備える。そして、前記各々の単位構造部は、前記複数の弾性部材から発生する前記矩形構造の2つの対角線方向の張力のつり合いに起因して前記各々の単位構造部の展開した状態が維持されることで、前記複数の単位構造部によって内部空間が形成されるように構成され、前記複数の弾性部材の張力に抗して隣接する前記棒材間の角度を変化させることで、前記各々の単位構造部が折り畳み可能に構成される。
上記構成によれば、本発明の一側面に係る展開構造物は、矩形構造を有し、その辺同士が連結されている複数の単位構造部により形成される。当該複数の単位構造部の各々の4つの辺は、互いに可動するように端部同士が接合された4本の棒材により形成され、当該複数の単位構造部の各々には、矩形構造内に交差する地点を形成可能に複数の紐状の弾性部材が配置される。そして、当該複数の弾性部材の交差する地点に剛性部材が配置され、この剛性付部材は、当該複数の弾性部材から矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生させるように、当該複数の弾性部材を連結する。これにより、当該展開構造物は、当該複数の弾性部材から発生する張力のつり合いによって展開した状態を維持することができ、当該張力に抗して隣接する棒材間の角度を変化させることで折り畳むことができる。
したがって、本発明の一側面に係る展開構造物では、内部空間の中央を上下方向に通る部材の張力ではなく、内部空間を形成する単位構造部に取り付けられる弾性部材から発生する張力によって、その展開した状態が維持される。そのため、上記構成によれば、内部空間をより有効に利用可能な展開構造物を提供することができる。
また、上記展開構造物は、隣接する上記単位構造部において連結されている上記辺が、共通の上記棒材によって構成されてよい。当該構成によれば、展開構造物に用いる棒材の本数を少なくすることができるため、軽量化を図ることが可能になる。
また、上記展開構造物の隣接する前記単位構造部において連結されている前記辺それぞれは別個の前記棒材によって構成されてもよい。そして、上記展開構造物は、前記隣接する前記単位構造部の前記辺を構成する前記棒材を連結する連結部材を更に備えてもよい。当該構成によれば、別個の棒材で形成される単位構造物を連結して展開構造物を形成することが可能になる。
また、上記展開構造物の隣接する前記単位構造部において連結されている前記辺それぞれは別個の前記棒材によって構成されてもよい。そして、上記展開構造物は、隣接する前記単位構造部の前記辺を構成する前記棒材が、互いに連結可能な形状に形成されてもよい。当該構成によれば、別個の棒材で形成される単位構造物を連結して展開構造物を形成することが可能になる。
また、上記展開構造物の2つの上記棒材は、その端部同士を互いに可動するように接合されることで、屈折フレームを形成してもよい。また、3つ以上の当該屈折フレームは、その両端部をそれぞれ共有するように接合されることで、上記展開構造物の基本単位を形成してもよい。そして、上記展開構造物は、1つ以上の当該基本単位が空間を充填するように配置された形状に構成されてもよく、上記各々の単位構造部は、隣接する2つの当該屈折フレームにより構成されてもよい。当該構成によれば、基本単位を基準として展開構造物を形成できるようになるため、展開構造物を容易に拡大及び縮小することができるようになる。
また、上記展開構造物の上記複数の紐状の弾性部材は、上記棒材の接合である4つの頂点に接続されることで、上記矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生させてもよい。当該構成によれば、矩形構造の2つの対角線方向に張力が発生するように弾性部材を単位構造部に取り付ける場合に、弾性部材を容易に取り付けることができる。
また、上記展開構造物の上記剛性部材は、上記複数の紐状の弾性部材を巻き取る又は繰り出すことで、上記各弾性部材から発生する張力の大きさを変更可能に構成されてもよい。当該構成によれば、弾性部材に取り付けられる剛性部材によって、展開構造物の展開した状態を維持する張力の大きさを変化させて、展開構造物の展開及び折り畳みを操作することができる。
また、上記展開構造物の上記棒材は軸方向に貫通する貫通孔を有してもよい。そして、上記展開構造物は、当該棒材が互いに可動するように、当該棒材それぞれの貫通孔に挿通して、当該棒材の端部同士を接合する、伸縮性を有する紐状の接合部材、を更に備えてもよい。当該構成によれば、伸縮性を有する接合部材で棒材同士が接合されるため、展開構造物を折り畳む際に、この展開構造物に含まれる棒材の間の長さを変化させることができる。これによって、展開構造物をよりコンパクトに折り畳むことができる。
上記展開構造物の上記複数の単位構造部は、偶数個の三角形で覆われた閉曲面を構成してもよい。そして、上記展開構造物の上記複数の単位構造部のそれぞれは、隣接する2つの三角形で構成される面に対応してもよい。当該構成によれば、様々な形状の展開構造物を形成することができる。
また、本発明の一側面に係る展開構造物を作成するための展開構造物作成キットは、棒材と、紐状の弾性部材と、剛性部材と、を備える。そして、前記棒材、前記弾性部材及び前記剛性部材によって作製される前記展開構造物は、矩形構造を有する複数の単位構造部を備え、互いに可動するように端部同士が接合された4つの前記棒材により、前記複数の単位構造部の各々の4つの辺が構成され、前記矩形構造内に交差する地点を形成可能に、前記複数の単位構造部の各々に複数の前記弾性部材が配置され、前記剛性部材が、前記複数の弾性部材の交差する地点に配置され、前記複数の弾性部材から前記矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生させるように前記複数の弾性部材を連結することで、前記複数の単位構造部の各々は、前記複数の弾性部材から発生する前記矩形構造の2つの対角線方向の張力のつり合いに起因して前記各々の単位構造部の展開した状態を維持することで、前記複数の単位構造部によって内部空間を形成するように構成され、前記複数の弾性部材の張力に抗して隣接する前記棒材間の角度を変化させることで、前記複数の単位構造部の各々が折り畳み可能に構成される。当該構成によれば、内部空間をより有効に利用可能な展開構造物を提供することができる。
本発明によれば、内部空間をより有効に利用可能な展開構造物を提供することができる。
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形が行われてもよい。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
§1 構成例
[構成例]
まず、図1を用いて、本実施形態に係る展開構造物1の構成例を説明する。図1は、本実施形態に係る展開構造物1を例示する。図1では、展開した状態の展開構造物1が例示されている。図1に示されるように、当該展開構造物1は、展開することで、全体の大きさを拡大させて、広い内部空間を形成することができる。また、当該展開構造物1は、後述するように、折り畳むことで、全体の大きさを縮小させて、コンパクトに収納可能な状態にすることができる。
[構成例]
まず、図1を用いて、本実施形態に係る展開構造物1の構成例を説明する。図1は、本実施形態に係る展開構造物1を例示する。図1では、展開した状態の展開構造物1が例示されている。図1に示されるように、当該展開構造物1は、展開することで、全体の大きさを拡大させて、広い内部空間を形成することができる。また、当該展開構造物1は、後述するように、折り畳むことで、全体の大きさを縮小させて、コンパクトに収納可能な状態にすることができる。
図1に例示される本実施形態に係る展開構造物1は、6本の棒材11によって双三角錐状に組み立てられている。ただし、展開構造物1の骨組みの形状は、双三角錐状に限定されず、実施の形態に応じて適宜選択可能である。なお、以下の説明では、説明の便宜のため、図のx軸方向を「左右方向」、図のy軸方向を「前後方向」、図のz軸方向を「上下方向」とも称する。
この展開構造物1は、矩形構造を有する単位構造部2を3つ備えている。図1で例示される展開構造物1では、双三角錐における上下方向(図のz軸方向)の2つの面で形成される矩形部分が1つの単位構造部2に対応する。ただし、展開構造物1が備える単位構造部2の数は、3つに限定される訳ではなく、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。
図1で例示されるように、各単位構造部2は、4本の棒材11、4本の紐状の弾性部材12及び1つの剛性部材13で構成されている。各単位構造部2は4本の棒材11で構成される4つの辺を有しており、隣接する単位構造部2の辺同士は互いに連結されている。具体的には、隣接する単位構造部2の辺同士は、共通の棒材11によって構成されることで、互いに連結されている。これにより、展開構造物1に用いる棒材11の本数を少なくし、軽量化を図ることができる。本実施形態では、上述のとおり、展開構造物1を6本の棒材11によって組み立てることができる。
また、各単位構造部2には、矩形構造内に交差する地点を形成可能に、4本の弾性部材12が配置されている。具体的には、各弾性部材12の一端部は各接合部10に接続しており、各弾性部材12は矩形構造の各対角線方向に沿って延びている。これにより、4本の弾性部材12は、矩形構造の中央付近で交差する地点を形成可能に構成されている。
更に、この4本の弾性部材12の交差する地点には、剛性部材13が配置されている。この剛性部材13には、各弾性部材12の他端部が接続している。これによって、剛性部材13は、矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生するように、4本の弾性部材12を連結している。
そして、展開構造物1は、この4本の弾性部材12から発生する対角線方向の張力のつり合いに起因して各単位構造部2の展開した状態が維持されることで、3つの単位構造部2により内部空間が形成されるように構成される。また、展開構造物1は、4本の弾性部材12の張力に抗して隣接する棒材11間の角度を変化させることで、各単位構造部2を折り畳むことができるように構成される。
これにより、本実施形態に係る展開構造物1の展開状態は、内部空間の中央を上下方向に通る部材の張力ではなく、内部空間を形成する単位構造部2に取り付けられる4本の弾性部材12の張力によって維持される。そのため、本実施形態によれば、内部空間をより有効に利用可能な展開構造物を提供することができる。
なお、棒材11の材料は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、棒材11には、金属パイプ、樹脂パイプ等が用いられてもよい。ただし、展開構造物1の展開状態は、弾性部材12の張力により維持される。そのため、棒材11は比較的に軽量であることが好ましい。また、各棒材11の長さは、同じであってもよいし、展開構造物1の展開及び折り畳みが可能な程度の互いに異なっていてもよい。各棒材11の長さは、実施の形態に応じて適宜設定可能である。
また、弾性部材12には、伸縮性を有し、展開構造物1の展開状態を維持可能な程度に張力を発生させることのできる材料であれば、いかなる材料が用いられてもよい。例えば、弾性部材12は、ゴム、バネ等であってもよい。また、弾性部材12の材料として、シリコン、樹脂等が用いられてもよい。更に、ゴム、ビニール等で作製された、空気を密封可能な風船状の部材又はそれを複数連結したものを弾性部材12として利用してもよい。
また、剛性部材13には、伸縮性を持たない又は伸縮性が比較的に弱い材料であれば、いかなる材料が用いられてもよい。例えば、剛性部材13には、プラスチック、硬化ゴム、木片、石、コンクリート片、ガラス、布片、軽金属材料、樹脂材料等が用いられてもよい。また、剛性部材13の形状は、適宜選択可能であり、例えば、球状、平板状等であってもよい。なお、剛性部材13は、各弾性部材12の張力によって支持されるため、比較的に軽量であることが好ましい。
[組立方法]
次に、図2〜図6Eを用いて、本実施形態に係る展開構造物1の組立方法の一例を説明する。本実施形態に係る展開構造物1の構造は、以下で説明する屈折フレーム3を用いることで容易に理解することができる。そこで、以下では、屈折フレーム3を一単位として用いて、展開構造物1を組み立てる方法を説明する。ただし、以下の説明は、展開構造物1が屈折フレーム3によって構成可能であることを示すに留まり、展開構造物1が必ず屈折フレーム3から構成されなければならないということを示すものではない。
次に、図2〜図6Eを用いて、本実施形態に係る展開構造物1の組立方法の一例を説明する。本実施形態に係る展開構造物1の構造は、以下で説明する屈折フレーム3を用いることで容易に理解することができる。そこで、以下では、屈折フレーム3を一単位として用いて、展開構造物1を組み立てる方法を説明する。ただし、以下の説明は、展開構造物1が屈折フレーム3によって構成可能であることを示すに留まり、展開構造物1が必ず屈折フレーム3から構成されなければならないということを示すものではない。
図2は、本実施形態に係る展開構造物1の一部である屈折フレーム3を例示する。屈折フレーム3は、2つの棒材11と1つの接合部10とで構成されている。具体的には、2つの棒材11の端部同士を互いに稼動するように接合部10で接合することにより、屈折フレーム3は形成される。接合部10は、展開構造物1の展開及び折り畳みの際に、接合される2つの棒材11がそれぞれ可動できるジョイントであればよい。接合部10の例として、例えば、カルダンジョイント等の自在継手、及び、可動ジョイントを挙げることができる。本実施形態に係る接合部10には、例えば、図3で例示する構造が用いられてもよい。
図3は、本実施形態に係る接合部10を例示する。図3に示されるように、本実施形態に係る接合部10は、ボルト100、ばね座金101、平座金102、棒材11の端部に設けられた開口部103、及び、ナット104を含んでいる。本実施形態では、2つの棒材11の端部にはそれぞれ開口部103が設けられている。そして、この2つの開口部103それぞれにボルト100を通し、当該2つの棒材11が可動できる程度にボルト100とナット104とを締結することで、当該2つの棒材11を接合することができる。なお、ボルト100と開口部103との間及びナット104と開口部103との間にはそれぞれ、開口部103に近い順に、ボルト100及びナット104の緩みを防止するための平座金102及びばね座金101が嵌め込まれている。
本実施形態に係る展開構造物1を組み立てるためには、このような屈折フレーム3を3つ作製する。そして、3つの屈折フレーム3を、その両端部をそれぞれ共有するように接合する。これによって、図4A〜図4Fに例示されるように、展開構造物1の骨組みを形成することができる。
図4A〜図4Fは、3つの屈折フレーム3を接合した状態を模式的に例示する。図4Aは、3つの屈折フレーム3を連結した状態を例示する斜視図である。図4Bは、3つの屈折フレーム3を連結した状態を例示する正面図である。図4Cは、3つの屈折フレーム3を連結した状態を例示する背面図である。図4Dは、3つの屈折フレーム3を連結した状態を例示する平面図である。図4Eは、3つの屈折フレーム3を連結した状態を例示する右側面図である。また、図4Fは、3つの屈折フレーム3を連結した状態を例示する左側面図である。
図4A〜図4Fでは、3つの屈折フレーム3が共有する2つの接合部10(両端部)を通る軸がz軸として描かれている。そして、図4A〜図4Fでは、3つの屈折フレーム3のうちの1つの屈折フレーム3(図4Dの上側の屈折フレーム3)を通る軸がy軸として描かれている。そのため、展開構造物1の骨組みは、図4A〜図4Fにおいて、y軸に関して対称な図形として描かれている。
更に、このように形成した展開構造物1の骨組みにおいて、各屈折フレーム3の間に4本の弾性部材12及び1つ剛性部材13を取り付けることで、3つの単位構造部2を形成することができ、これにより、本実施形態に係る展開構造物1の組み立てが完了する。これについて、図5A〜図5Cを用いて説明する。
図5Aは、図4A〜図4Fで例示した展開構造物1の骨組みに弾性部材12及び剛性部材13を取り付ける様子を例示する。図5Aに例示されるように、隣接する2つの屈折フレーム3により形成される矩形構造は、単位構造部2の骨組みとして取り扱うことができる。すなわち、図5Aで例示される展開構造物1では、3つの屈折フレーム3によって3つの単位構造部2の骨組みが形成される。この3つの単位構造部2の骨組みそれぞれに、4本の弾性部材12の一端部を剛性部材13により連結することで形成されるユニットを取り付けることで、単位構造部2を形成することができる。
図5Bは、これにより形成される単位構造部2の状態を例示する。各弾性部材12の一端部は各接合部10に連結されており、各弾性部材12の他端部は剛性部材13に連結されている。そして、各弾性部材12は、伸縮性を有しており、張力を発揮する状態で取り付けられている。これによって、単位構造部2の矩形構造の対角線方向に沿う張力が各弾性部材12から発生する。具体的には、後述する図7で例示されるように、各対角線方向では、互いに対向する向きに各張力が発生する。なお、各弾性部材12の連結方法は、実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、各弾性部材12は、図5Cで例示される方法で、各接合部10又は剛性部材13と連結してもよい。
図5Cは、本実施形態に係る剛性部材13の構造を例示する。本実施形態に係る剛性部材は、2つの半球片(131、132)を組み合わせることで、球状に形成されるようになっている。2つの半球片(131、132)には、上下に貫通する貫通孔138が設けられている。この貫通孔138の一方の開口からネジ135を通し、反対側の開口側でワッシャー136及びナット137でネジ留めすることで、2つの半球片(131、132)は固定される。
各半球片(131、132)の対向する面には、各弾性部材12の端部を固定するための固定溝134が設けられている。この固定溝134を利用して各弾性部材12は剛性部材13連結される。具体的には、各弾性部材12の端部には、円筒状のインサート部材133が取り付けられている。インサート部材133は、周方向に2つに分割可能となっている。すなわち、インサート部材133は、断面円弧状の2つのインサート片(133a、133b)を組み合わせることで形成される。
各インサート片(133a、133b)には、両インサート片(133a、133b)を組み合わせた際に弾性部材12の軸方向に貫通する貫通孔が形成されるように円弧状の溝が設けられている。その溝には弾性部材12の表面に係合する凹凸が設けられており、これにより、弾性部材12は、インサート部材133の貫通孔から抜けないようになっている。
このようなインサート部材133は、弾性部材12の軸方向に外径が大きくなるように形成されており、固定溝134は、このインサート部材133とほぼ同様の形状となるように形成されている。そのため、弾性部材12の端部にインサート部材133を取り付けて、固定溝134にインサート部材133を嵌め込むことで、各弾性部材12を剛性部材13に固定し、連結することができる。なお、各接合部10では、剛性部材13と同様の方法で各弾性部材12を連結してもよい。
図1で例示される展開構造物1は、このようにして組み立てることができる。なお、図6A〜図6Eは、これにより組み立てられる展開構造物1の構造を模式的に例示する。具体的には、図6Aは、展開構造物1の構造を例示する正面図である。図6Bは、展開構造物1の構造を例示する背面図である。図6Cは、展開構造物1の構造を例示する平面図である。図6Dは、展開構造物1の構造を例示する右側面図である。図6Eは、展開構造物1の構造を例示する左側面図である。図6A〜図6Eで示される展開構造物1はそれぞれ、図4B〜図4Fで示される骨組みに対応する。
§2 動作例
[展開状態]
次に、図7〜図9Bを用いて、この展開構造物1の展開状態について説明する。本実施形態に係る展開構造物1は、各弾性部材12から発生する張力のつり合いによって、その展開状態が維持される。以下、この点について説明する。
[展開状態]
次に、図7〜図9Bを用いて、この展開構造物1の展開状態について説明する。本実施形態に係る展開構造物1は、各弾性部材12から発生する張力のつり合いによって、その展開状態が維持される。以下、この点について説明する。
図7は、展開構造物1が展開した状態で、n番目の単位構造部2において各弾性部材12から発生する張力Tz1(n)、Tz2(n)、Txy1(n)、及び、Txy2(n)の状態を例示する。ここで、本実施形態では、3つの単位構造部2が存在する。そのため、本実施形態では、nには、1〜3のいずれかの値が入る。
なお、図7から後述する図11Eでは、説明の便宜のため、z軸の上側、中間及び下側に存在する接合部10をそれぞれ、接合部10A、10B及び10Cと表記する。また、z軸の上側及び下側に存在する棒材11をそれぞれ、棒材11A及び11Bと表記する。更に、単位構造部2を正面から見た場合に、上側、右側、下側及び左側に存在する弾性部材12をそれぞれ、弾性部材12A、12B、12C及び12Dと表記する。
図7で示されるTz1(n)及びTz2(n)は、単位構造部2の有する矩形構造の2つの対角線方向のうち、互いに対向する接合部10Aと接合部10Bとの間を結ぶ対角線の方向に発生する張力を示す。具体的には、Tz1(n)は、弾性部材12Aから発生する張力であって、上方に存在する接合部10Aに対してz軸の負方向(下向き)に作用する張力を示す。また、Tz2(n)は、弾性部材12Cから発生する張力であって、下方に存在する接合部10Bに対してz軸の正方向(上向き)に作用する張力を示す。
図8A及び8Bは、接合部10Aに作用する張力Tz1(n)の詳細な状態を例示する。図8Aに示されるように、接合部10Aに作用する張力Tz1(n)は、水平方向(xy軸の方向)の分力Tz1H(n)と鉛直方向(z軸方向)の分力Tz1V(n)とに分けることができる。
ここで、展開した状態を維持するため、展開構造物1は、各弾性部材12Aから発生する張力Tz1(n)に係る水平方向の分力Tz1H(n)がそれぞれつり合うように構成される。これにより、各弾性部材12Aから発生する張力Tz1(n)に係る水平方向の分力Tz1H(n)の合力は0になり、接合部10Aでは、水平方向に作用する力がつり合った状態になる。一方、各弾性部材12Aから発生する張力Tz1(n)に係る鉛直方向の分力Tz1V(n)の合力ΣnTz1V(n)は、図8Bに示されるように、各棒材11Aの軸力として分力され、それぞれPum(n)の圧縮力として各棒材11Aに伝達される。
なお、接合部10Bに作用するTz2(n)についても、Tz1(n)と同様に説明可能である。すなわち、接合部10Bに作用するTz2(n)は、水平方向の分力Tz2H(n)と鉛直方向の分力Tz2V(n)とに分けることができる。そして、展開した状態を維持するために、展開構造物1は、各弾性部材12Cから発生する張力Tz2(n)に係る水平方向の分力Tz2H(n)がそれぞれつり合うように構成される。すなわち、各弾性部材12Cから発生する張力Tz2(n)に係る水平方向の分力Tz2H(n)の合力は0となり、接合部10Bでは、水平方向に作用する力がつり合った状態になる。一方、各弾性部材12Cから発生する張力Tz2(n)に係る鉛直方向の分力Tz2V(n)の合力ΣnTz2V(n)は、各棒材11Bの軸力として分力され、それぞれPlm(n)の圧縮力として各棒材11Bに伝達される。
また、図7で示されるTxy1(n)及びTxy2(n)は、単位構造部2の有する矩形構造の2つの対角線方向のうち、互いに対向する2つの接合部10Cの間を結ぶ対角線の方向に発生する張力を示す。具体的には、Txy1(n)は、弾性部材12Bから発生する張力であって、単位構造部2を正面から見た場合(図7で示される状態)に右側に存在する接合部10Cに対して左方向に作用する張力を示す。また、Txy2(n)は、弾性部材12Dから発生する張力であって、左側に存在する接合部10Cに対して右方向に作用する張力を示す。Txy1(n)及びTxy2(n)は、共に、xy平面に対して水平に働く張力である。
図9A及び図9Bは、接合部10Cに作用する張力の詳細な状態を例示する。図9Aに示されるように、接合部10Cに作用する張力Txy1(n)は、xy平面上において接合部10Cから接合部10A(又は接合部10B)に向いた方向の分力Txy1R(n)と、当該方向に垂直な方向の分力Txy1T(n)と、に分けることができる。なお、xy平面上において接合部10Cから接合部10A(又は接合部10B)に向いた方向を、以下では、「中心方向」と称する。
ここで、当該n番目の単位構造部2の弾性部材12Bから発生する張力Txy1(n)が作用する接合部10Cには、当該接合部10Cを共有する、隣接するn+1番目の単位構造部2の弾性部材12Dから発生する張力Txy2(n+1)が作用する。そして、このTxy2(n+1)も、Txy1(n)と同様に、中心方向の分力Txy2R(n+1)と、当該中心方向に垂直な方向の分力Txy2T(n+1)と、に分けることができる。なお、便宜上、隣接する単位構造部2の番号として「n+1」の表記を用いるが、n=3の場合、「n+1」は「1」を示す。
上記接合部10A及び10Bと同様に、展開した状態を維持するためには、展開構造物1は、中心方向に垂直な方向の分力Txy1T(n)とTxy2T(n+1)とがつり合うように構成される。これによって、中心方向に垂直な方向の分力Txy1T(n)及びTxy2T(n+1)の合力は0となり、接合部10Cでは、中心方向に垂直な方向に作用する力がつり合った状態になる。一方、中心方向の分力Txy1R(n)とTxy2R(n+1)との合力は、当該隣接する単位構造部2で共有する棒材11A及び棒材11Bそれぞれの軸力として分力され、それぞれPmu(n)の圧縮力として当該棒材11Aに、Pml(n)の圧縮力として当該棒材11Bに伝達される。
このように、各棒材11Aには、接合部10Aから伝達されるPum(n)と接合部10Cから伝達されるPmu(n)とが作用する。また、各棒材11Bには、接合部10Bから伝達されるPlm(n)と接合部10Cから伝達されるPml(n)とが作用する。
そして、本実施形態に係る展開構造物1は、各棒材11Aに伝達されるPum(n)とPmu(n)とがつり合い、各棒材11Bに伝達されるPlm(n)とPml(n)とがつり合うように構成される。これによって、展開構造物1に作用する力はつり合った状態になり、当該展開構造物1の展開状態を維持することができる。なお、本実施形態では、棒材11、弾性部材12及び剛性部材13には、当該力のつり合いに影響を与えず、展開構造物1が展開した状態を維持できる程度の重さの材料が利用される。
[折り畳み状態]
次に、図10A〜図10E及び図11A〜図11Eを用いて、展開した状態の展開構造物1を折り畳む方法について説明する。本実施形態では、各弾性部材12の張力に抗して隣接する棒材11間の角度を変化させ、上記のような各棒材(11A、11B)に伝達される力のつり合いを崩すことで、展開構造物1を折り畳むことができる。なお、本実施形態では、例えば、以下の2つの方法で、展開構造物1を折り畳むことができる。
次に、図10A〜図10E及び図11A〜図11Eを用いて、展開した状態の展開構造物1を折り畳む方法について説明する。本実施形態では、各弾性部材12の張力に抗して隣接する棒材11間の角度を変化させ、上記のような各棒材(11A、11B)に伝達される力のつり合いを崩すことで、展開構造物1を折り畳むことができる。なお、本実施形態では、例えば、以下の2つの方法で、展開構造物1を折り畳むことができる。
<第1の折り畳み方法>
図10A〜図10Eは、第1の折り畳み方法によって展開構造物1を折り畳む過程を例示する。第1の折り畳み方法では、展開構造物1の上側に存在する接合部10Aを内側に押し込むことによって、展開構造物1を折り畳んでいる。なお、第1の折り畳み方法によって展開構造物1が折り畳まれる方向を、以下では、展開構造物1の折り畳み方向とも称する。図10Aでは、この展開構造物1の折り畳み方向はz軸方向に沿う方向として例示されている。
図10A〜図10Eは、第1の折り畳み方法によって展開構造物1を折り畳む過程を例示する。第1の折り畳み方法では、展開構造物1の上側に存在する接合部10Aを内側に押し込むことによって、展開構造物1を折り畳んでいる。なお、第1の折り畳み方法によって展開構造物1が折り畳まれる方向を、以下では、展開構造物1の折り畳み方向とも称する。図10Aでは、この展開構造物1の折り畳み方向はz軸方向に沿う方向として例示されている。
図10A〜図10Eは、接合部10Aを内側に押し込む過程を段階的に例示している。この方法では、例えば、接合部10Aに対してz軸の負の方向に力を加えることで、展開構造物1を図10Aの状態から図10Cの状態にすることができる。このとき、図10Aの状態から図10Cの状態になるにつれて、各弾性部材12B及び12Dは水平方向に引き伸ばされるため、各接合部10Cに作用する張力Txy1(n)及びTxy2(n)は大きくなる。ただし、接合部10A及び10Bにはそれぞれ、鉛直方向内側に合力ΣnTz1V(n)及び合力ΣnTz2V(n)が作用している。そのため、ユーザは、それほど大きな力を接合部10Aに加えなくても、展開構造物1を図10Aの状態から図10Cの状態にすることができる。
一方、図10Cの状態から図10Eの状態になるにつれて、各弾性部材12B及び12Dの長さは元の状態に戻るため、各弾性部材12B及び12Dに加えられた力は解放されていく。そのため、ユーザは、特に力を加えなくても、展開構造物1を図10Cの状態から図10Eの状態にすることができる。
なお、この第1の折り畳み方法で展開構造物1を折り畳む場合、弾性部材12B及び12Dは、図10Cの状態になれる程度に伸びるように構成される。各弾性部材12は、例えば、2倍程度の長さまで弾性変形可能な材料で構成されてもよい。
<第2の折り畳み方法>
図11A〜図11Eは、第2の折り畳み方法によって展開構造物1を折り畳む過程を例示する。第2の折り畳み方法では、第1の折り畳み方法における折り畳み方向とは垂直な方向に各接合部10Cを移動させる。そして、各接合部10Cを1箇所にまとめることで、展開構造物1を折り畳むことができる。
図11A〜図11Eは、第2の折り畳み方法によって展開構造物1を折り畳む過程を例示する。第2の折り畳み方法では、第1の折り畳み方法における折り畳み方向とは垂直な方向に各接合部10Cを移動させる。そして、各接合部10Cを1箇所にまとめることで、展開構造物1を折り畳むことができる。
図11Aから図11Cまでの間では、紙面上の左側に存在する接合部10Cが、手前側に存在する接合部10C付近の位置まで移動させられている。また、図11Cから図11Eまでの間では、紙面上の奥側に存在する接合部10Cが、手前側に存在する接合部10C付近の位置まで移動させられている。これら接合部10Cを移動する順序は特に限定される訳ではなく、いずれの接合部10Cを先に移動させるかは実施の形態に応じて適宜選択可能である。また、2つ以上の接合部10Cを同時に移動させてもよい。ユーザは、このように各接合部10Cを一箇所にまとめるように水平方向に移動させることで、図11Eに例示されるような状態に展開構造物1を折り畳むことができる。
ここで、第2の折り畳み方法では、図11Aの状態から図11Cの状態になるにつれて、接合部10A及び接合部10Bそれぞれに働く水平方向の力のつり合いが崩れていく。そのため、図11Eの状態では、接合部10A及び接合部10Bはそれぞれ、元の位置から移動し、互いに近づいた状態になる。
なお、上記第1の折り畳み方法及び第2の折り畳み方法では、それぞれ図10E及び図11Eの状態が、展開構造物1の折り畳みが完了した状態として取り扱われている。しかしながら、第1の折り畳み方法では、折り畳みの途中である図10C及び図10Dの状態において、展開構造物1の鉛直方向の長さが短くなっている。そのため、図10C及び図10Dの状態を折り畳みが完了した状態として取り扱ってもよい。同様に、第2の折り畳み方法では、折り畳みの途中である図11C及び図11Dの状態において、展開構造物1の水平方向の長さが短くなっている。そのため、図11C及び図11Dの状態を折り畳みが完了した状態として取り扱ってもよい。
<まとめ>
本実施形態に係る展開構造物1では、このように構成されることで、内部空間の中央を上下方向に通過する部材の張力ではなく、内部空間を形成する単位構造部2に取り付けられる各弾性部材12から発生する張力により、その展開状態が維持される。そのため、本実施形態によれば、内部空間をより有効に利用可能な展開構造物を提供することができる。
本実施形態に係る展開構造物1では、このように構成されることで、内部空間の中央を上下方向に通過する部材の張力ではなく、内部空間を形成する単位構造部2に取り付けられる各弾性部材12から発生する張力により、その展開状態が維持される。そのため、本実施形態によれば、内部空間をより有効に利用可能な展開構造物を提供することができる。
なお、この展開構造物1の外周部を膜材で覆うことにより、閉空間を形成することができる。そして、各弾性部材12から発生する張力のつり合いによって、展開構造物1の展開した状態は維持されるため、当該展開構造物1を多少変形させても、当該展開構造物1は元の形状に戻ることができる。そのため、ゴムなどの耐衝撃性及び耐水性の高い素材の膜材でこの展開構造物1の外周部を覆うことによって、洪水、高波等の水害時に展開可能な浮遊式の緊急避難具として、本実施形態に係る展開構造物1を利用することができる。同様に、不燃性、撥水性、防水性等に優れた膜材でこの展開構造物1の外周部を覆うことによって、緊急用の浮き具、避難シェルタ等として、本実施形態に係る展開構造物1を利用することができる。
また、本実施形態に係る展開構造物1は多面体構造を有する。そのため、展開構造物1を結晶構造のように連結させることで、システムトラスを形成することが可能である。したがって、例えば、本実施形態に係る展開構造物1を用いて、建築物の日除け屋根、パビリオン等を構築することが可能である。
また、本実施形態に係る展開構造物1は、自重で展開する構造物とは異なるため、宇宙空間でも利用することが可能である。すなわち、宇宙空間における展開構造シェルタ、展開モジュールとして、展開構造物1を利用することが可能である。
更に、本実施形態に係る展開構造物1は、曲面又は凸凹形状の面に対して部分的に変形することで、これらの面に対してフィットすることができる。そのため、曲面又は凸凹形状の面に展開構造物1で形成されるモジュールを載置し、その上に平板を置くことで平らな床を得ることができる。これは、落橋した河川等に一時的な歩行者用橋を設置する際等に有用である。なお、上記展開構造物1の構造は棒材11で組み立てられているため、水の抵抗を受けにくく、上記のように河川で利用するのに適している。
§3 変形例
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、上記展開構造物1の各構成要素に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が行われてもよい。また、上記展開構造物1の各構成要素の形状及び大きさも、実施の形態に応じて、適宜設定されてもよい。例えば、以下の変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の内容に関しては適宜説明を省略した。
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、上記展開構造物1の各構成要素に関して、実施の形態に応じて、適宜、構成要素の省略、置換及び追加が行われてもよい。また、上記展開構造物1の各構成要素の形状及び大きさも、実施の形態に応じて、適宜設定されてもよい。例えば、以下の変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の内容に関しては適宜説明を省略した。
<弾性部材の本数及び配置>
例えば、上記実施形態では、各単位構造部2には、4本の弾性部材12が利用されている。しかしながら、各単位構造部2に利用する弾性部材12の本数は、4本に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、各対角線方向に延びる2本の弾性部材12は互いに連結していてもよい。すなわち、各単位構造部2に利用される弾性部材12の本数は2本であってもよい。なお、この場合、この2本の弾性部材12は、例えば、矩形構造の2つの対角線方向に沿って配置される。
例えば、上記実施形態では、各単位構造部2には、4本の弾性部材12が利用されている。しかしながら、各単位構造部2に利用する弾性部材12の本数は、4本に限定されなくてもよく、実施の形態に応じて適宜選択可能である。例えば、各対角線方向に延びる2本の弾性部材12は互いに連結していてもよい。すなわち、各単位構造部2に利用される弾性部材12の本数は2本であってもよい。なお、この場合、この2本の弾性部材12は、例えば、矩形構造の2つの対角線方向に沿って配置される。
また、上記実施形態では、各弾性部材12は、対角線方向に沿って配置され、各接合部10に接続している。しかしながら、各弾性部材12の配置は、各対角線方向に張力を作用させることが可能であれば、実施の形態に応じて適宜決定されてもよい。図12を用いて、この変形例を説明する。
図12は、弾性部材12を取り付ける方法の変形例を模式的に示す。図12で示される変形例では、1つの単位構造部2に、8本の弾性部材12が用いられている。具体的には、各弾性部材12の一端部は棒材11に接続しており、他端部は剛性部材13に接続している。そして、各対角線方向に垂直な方向に発生する張力を打ち消し合うように、各接合部10を挟んで2本の弾性部材12が配置されている。これにより、各弾性部材12を対角線に沿って配置し、各接合部10に接続しなくても、各対角線方向に各弾性部材12の張力を作用させるように、各弾性部材12を配置することができる。
<屈折フレームの本数>
図13A及び図13B並びに図14A及び図14Bは、展開構造物1の変形例を示す。本実施形態に係る展開構造物1は、屈折フレーム3を3本利用して形成されている。しかしながら、展開構造物1を形成するために利用する屈折フレーム3の本数は、特に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。
図13A及び図13B並びに図14A及び図14Bは、展開構造物1の変形例を示す。本実施形態に係る展開構造物1は、屈折フレーム3を3本利用して形成されている。しかしながら、展開構造物1を形成するために利用する屈折フレーム3の本数は、特に限定されなくてよく、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。
例えば、図13A及び図13Bで例示される展開構造物1Aは4本の屈折フレームによって形成されている。この展開構造物1Aは、その両端をそれぞれ共有するように4本の屈折フレームを接合することで、4つの単位構造部を有するように構成されている。なお、展開構造物1Aの骨組みは、4本の屈折フレームがそれぞれ90度又は凡そ90度間隔で配置されており、正八面体状又は正八面体に類似の形状に形成されている。
また、例えば、図14A及び14Bは、6本の屈折フレームを利用した展開構造物1Bを例示する。展開構造物1Bは、6本の屈折フレームがその両端をそれぞれ共有するように接合されることで、6つの単位構造部を有するように構成されている。なお、展開構造物1Bの骨組みは、6本の屈折フレームがそれぞれ60度又は凡そ60度間隔で配置されており、双六角錐状に形成されている。
<基本単位と展開構造物>
また、本実施形態で図4A〜図4Fを用いて例示した展開構造物1の骨組み、図13A及び図13Bで例示した展開構造物1Aの骨組み、並びに、図14A及び14Bで例示した展開構造物1Bの骨組みを、展開構造物の基本単位として捉えてもよい。そして、1つ以上の当該基本単位を空間に充填するように配置することで、展開構造物を様々な形状に形成してもよい。以下では、展開構造物1Aの骨組みを基本単位として用いた例を説明する。なお、図15〜図18では、折り畳み方向がx軸、y軸、及び、z軸を向いた展開構造物1Aの骨組みをそれぞれ基本単位Ux、Uy、及び、Uzと表記する。
また、本実施形態で図4A〜図4Fを用いて例示した展開構造物1の骨組み、図13A及び図13Bで例示した展開構造物1Aの骨組み、並びに、図14A及び14Bで例示した展開構造物1Bの骨組みを、展開構造物の基本単位として捉えてもよい。そして、1つ以上の当該基本単位を空間に充填するように配置することで、展開構造物を様々な形状に形成してもよい。以下では、展開構造物1Aの骨組みを基本単位として用いた例を説明する。なお、図15〜図18では、折り畳み方向がx軸、y軸、及び、z軸を向いた展開構造物1Aの骨組みをそれぞれ基本単位Ux、Uy、及び、Uzと表記する。
図15は、展開構造物1の変形例として、一方向(図中のx軸方向)に拡大可能な展開構造物1Cを例示する。展開構造物1Cの形状は、基本単位UyとUzとを交互に連結することで、形成される。連結させる基本単位Uy及びUzの数は、特に限定されず、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。図15に示されるように、当該展開構造物1Cは、連結する基本単位の数を増やすことで、一方向(y軸方向)に自在に拡大することができる。
ここで、隣接する2つの屈折フレーム3に囲まれる面は展開構造物1Cの外周部と内部とにそれぞれ存在する。例えば、展開構造物1Cでは、基本単位UyとUzとがx軸方向に交互に連結されていくため、基本単位UyとUzとの連結した部分の面であって、x軸に垂直になる当該面は、展開構造物1Cの内部に隠れてしまう。このような面を単位構造部2として取り扱うと、展開構造物1Cの内部空間が弾性部材12により区切られてしまうことになる。そのため、このような面を単位構造部2として取り扱わず、弾性部材12及び剛性部材13を取り付けなくてもよい。なお、この場合、展開構造物1Cの外周部に存在する面、例えば、y軸又はz軸に垂直になる面に取り付けられる弾性部材12の張力によって、展開構造物1Cは、その展開状態が維持されるように構成される。
図16は、展開構造物1の変形例として、平面上で(2方向に)拡大可能な展開構造物1Dを例示する。展開構造物1Dの形状は、同じ折り畳み方向に向けた複数の基本単位を平面上で連結することで、形成される。連結させる基本単位の数は、特に限定されず、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。図16に示されるように、当該展開構造物1Dは、連結する基本単位の数を増やすことで、平面上で(2方向に)自在に拡大することができる。
図17A及び図17Bは、展開構造物1の他の例として、3次元空間上で(3方向に)拡大可能な展開構造物1Eを例示する。図17Aに例示されるように、xy平面に基本単位Uzを配置する。そして、y軸方向において基本単位Uzに隣接するように基本単位Uxを配置して、x軸方向において基本単位Uzに隣接するように基本単位Uyを配置する。これによって形成される平面構造(展開構造物1E)は、z軸方向に単位構造の半個分ずらして重ねていくことができる。x軸方向、y軸方向及びz軸方向に連結させる基本単位(Ux、Uy、Uz)の数は、特に限定されず、実施の形態に応じて適宜選択可能である。そのため、図17Bに例示される当該展開構造物1Eは、連結する基本単位の数を増やすことで、3次元空間上で(3方向に)自在に拡大することができる。
図18は、展開構造物1の他の例として、3次元空間上で(3方向に)拡大可能な展開構造物1Fを例示する。展開構造物1Fの形状は、折り畳み方向の軸を水平方向に120度ずつずらした3つの基本単位を連結することで、形成される。この3つの基本単位で形成される展開構造物1Fは、水平な方向に連結することで、平面構造を形成することができる。また、このように形成される平面構造は、展開構造物1F半個分ずらして、各基本単位の折り畳み方向の軸とは垂直な方向に、複数個連結することができる。従って、図18で示される当該展開構造物1Fを用いれば、3次元空間上で(3方向に)自在に拡大することができる構造物を形成することができる。
展開構造物1C〜1Fで例示した連結方法を利用すれば、任意の形状の展開構造物1を形成することが可能である。すなわち、空間を充填するように上記基本単位を任意の形状に配置することで、当該任意の形状の展開構造物1を形成することが可能である。これにより、様々な用途に合わせて、展開構造物1の形状を形成することができる。例えば、被災地、戦地、紛争地域等での簡易シェルタとして用いることができるように、本実施形態に係る展開構造物1の形状を形成することができる。
なお、これら展開構造物1A〜1Fは、第1の折り畳み方法及び第2の折り畳み方法のいずれかを部分毎に適宜適用されることで、折り畳まれる。例えば、y軸方向に第2の折り畳み方法を適用することで、展開構造物1Cを折り畳むことが可能である。
<展開構造物の形状>
上記では、空間を充填するように1つ以上の基本単位を配置することで、展開構造物1が形成可能であることを説明した。しかしながら、展開構造物1を形成する方法は、このような方法に限らず、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、展開構造物1は、複数の単位構造部2によって偶数個の三角形で覆われた閉曲面に形成されてもよい。この場合、隣接する2つの三角形で形成される四角形の面が各単位構造部2に対応する。このような方法でも上記展開構造物1A〜1Fを形成することができる。また、この方法によって、図19で例示されるような展開構造物1Gが形成されてもよい。
上記では、空間を充填するように1つ以上の基本単位を配置することで、展開構造物1が形成可能であることを説明した。しかしながら、展開構造物1を形成する方法は、このような方法に限らず、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。例えば、展開構造物1は、複数の単位構造部2によって偶数個の三角形で覆われた閉曲面に形成されてもよい。この場合、隣接する2つの三角形で形成される四角形の面が各単位構造部2に対応する。このような方法でも上記展開構造物1A〜1Fを形成することができる。また、この方法によって、図19で例示されるような展開構造物1Gが形成されてもよい。
図19は、展開構造物1の変形例として、正20面体に形成された展開構造物1Gを例示する。図19で例示されるように、展開構造物1Gは20個の三角形で覆われた閉曲面(正20面体)に形成されており、各単位構造部2は隣接する三角形で形成された四角形の面に対応している。すなわち、この展開構造物1Gは、10個の単位構造部2によって構成されている。このように、偶数個の三角形で覆われる閉曲面を構成し、構成した閉曲面に含まれる隣接する三角形を個々の単位構造部2に対応させることで、展開構造物1は形成されてもよい。これによって、さまざまな形状の展開構造物1を形成することが可能である。
<隣接する単位構造部の連結>
上記実施形態では、隣接する単位構造部2の辺同士は、共通する棒材11によって高背されることで、互いに連結されている。しかしながら、各単位構造部2の辺同士を連結する方法はこのような例に限定されなくてもよく、隣接する単位構造部2の各辺は別個の棒材11によって形成されてもよい。この場合に、図20A・図20Bで例示される方法及び図21A・図21Bで例示される方法の少なくとも一方を利用することで、隣接する単位構造部2の辺同士を連結することができる。
上記実施形態では、隣接する単位構造部2の辺同士は、共通する棒材11によって高背されることで、互いに連結されている。しかしながら、各単位構造部2の辺同士を連結する方法はこのような例に限定されなくてもよく、隣接する単位構造部2の各辺は別個の棒材11によって形成されてもよい。この場合に、図20A・図20Bで例示される方法及び図21A・図21Bで例示される方法の少なくとも一方を利用することで、隣接する単位構造部2の辺同士を連結することができる。
図20A及び図20Bは、隣接する単位構造部2の棒材11を連結する方法の一例を示す。図20Aは連結前の棒材11の状態を例示し、図20Bは連結後の棒材11の状態を例示する。図20A及び図20Bに例示されるように、展開構造物1は、隣接する単位構造部2の辺(棒材11)を連結する連結部材20を備えてもよい。
図20A及び図20Bで例示される連結部材20は、一対の支持部材(21、22)を備えている。説明の便宜のため、この一対の支持部材(21、22)をそれぞれ第1支持部材21及び第2支持部材22と称する。図20A及び図20Bで例示されるように、第1支持部材21及び第2支持部材22それぞれの対向する面は、2つの棒材11に対応する形状に形成されている。そして、第1支持部材21及び第2支持部材22は、隣接する単位構造部2の2つの棒材11を挟持することで、これら2つの棒材11を連結する。
更に、第1支持部材21及び第2支持部材22はそれぞれ、対向する方向に貫通する開口(210、220)を備えている。この開口(210、220)にネジ23を挿通させてナット24でネジ留めする。これにより、図20Bで例示されるように、第1支持部材21及び第2支持部材22によって挟持された状態で、隣接する単位構造部2の2つの棒材11は連結される。このように、隣接する単位構造部2の棒材11は連結部材20によって連結されてもよい。なお、上記第1支持部材21及び第2支持部材22は、ネジ23ではなく、磁石等によって連結されてもよい。連結部材20の構成は、2つの棒材11を連結可能であれば、このような例に限定されなくてもよい。連結部材20の構成は、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。
また、隣接する単位構造部2の棒材11は、図21A及び図21Bで例示されるような方法で連結されてもよい。図21A及び図21Bは、隣接する単位構造部2の棒材11を連結する他の方法を例示する。図21Aは連結前の棒材11の状態を例示し、図21Aは連結後の棒材11の状態を例示する。図21A及び図21Bで例示されるように、隣接する単位構造部2の辺を構成する棒材11は互いに連結可能な形状で形成されてもよい。
なお、互いに連結可能な形状の一例として、図21A及び図21Bでは、一方の棒材11が軸方向に沿って凸形状になっており、他方の棒材11が軸方向に沿って凹形状になっている。これにより、凸形状の棒材11を凹形状の棒材11に嵌合させることで、隣接する2つの棒材11を互いに連結することができる。互いに連結可能な形状はこのような形状に限らず、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。棒材11は、例えば、図22A〜図22Eで例示されるような形状であってもよい。
図22A〜図22Eは、隣接する単位構造部2の棒材11を連結する他の方法を例示する。なお、説明の便宜のため、図22A〜図22Eで例示される、連結される2つの棒材11をそれぞれ第1棒材11C及び第2棒材11Dと称する。図22A〜図22Eで例示される2つの棒材(11C、11D)はそれぞれ軸方向に中空となっている。
第1棒材11Cには、図22Aで例示されるように、中空部から径方向に貫通する鍵穴状の凹部25が設けられている。凹部25は、円形の挿入穴25Aと、挿入穴25Aよりも軸回りの長さが短い矩形状の挿通部25Bと、を含んでいる。これに対して、第2棒材11Dには、図22Bで例示されるように、径方向に伸びる凸部26が設けられている。凸部26は、第2棒材11Dの外周壁から径方向に伸びる円柱状の軸部26Aと、軸部26Aよりも径の長い円形板26Bと、を含んでいる。
この2つの棒材(11C、11D)を連結するためには、利用者は、図22C及び図22Dで例示されるように、第2棒材11Dの円形板26Bを、第1棒材11Cの挿入穴25Aに通して、第1棒材11Cの中空部に挿入する。円形板26Bの径は、円形板26Bが挿入穴25Aを通過できるように、挿入穴25Aの径よりも短くなっている。
そして、利用者は、図22Eで例示されるように、第2棒材11Dの軸部26Aが第1棒材11Cの挿通部25Bを挿通するように、第2棒材11Dを第1棒材11Cに対して相対的に移動させる。軸部26Aの径は、軸部26Aが挿通部25Bを軸方向に通過できるように、挿通部25Bの軸周りの長さよりも短くなっている。また、円形板26Bの径は、挿通部25Bを通って中空部から外側に抜け出さないように、挿通部25Bの軸周りの長さよりも長くなっている。そのため、この円形板26Bを抜け止めとして機能させて、第1棒材11Cと第2棒材11Dとを連結することができる。隣接する単位構造部2の棒材11を連結するために、各棒材11は、これらのような形状であってもよい。
更に、棒材11が磁石等の互いに接合可能な材料で形成されることで、隣接する棒材11が連結されてもよい。このように、隣接する棒材11を連結する方法は、実施の形態に応じて適宜選択されてもよい。また、上記で例示される連結方法を複数採用されて、隣接する棒材11が連結されてもよい。
以上のように、棒材11を連結する方法を利用すれば、隣接する単位構造部2が別個の棒材11で形成される場合であっても、展開構造物1を形成することが可能である。そのため、展開構造物1を形成する態様の自由度を高めることができる。なお、隣接する単位構造部2において連結する辺が別個の棒材11で形成されるのは、例えば、複数の展開構造物を連結することで1つの展開構造物を形成する場合、個々の単位構造部2が個別に作成される場合、等である。
<接合部>
上記実施形態では、ボルト100とナット104とによって構成される接合部10を例示した。しかしながら、接合部10は、このような例に限らなくてもよく、実施の形態に応じて適宜設計されてもよい。接合部10は、例えば、図23A〜図23Cで例示されるように構成されてもよい。
上記実施形態では、ボルト100とナット104とによって構成される接合部10を例示した。しかしながら、接合部10は、このような例に限らなくてもよく、実施の形態に応じて適宜設計されてもよい。接合部10は、例えば、図23A〜図23Cで例示されるように構成されてもよい。
図23A〜図23Cは、展開構造物1の接合部10の他の例を示す。この例では、展開構造物1の棒材11は、軸方向に貫通する貫通孔110を有するパイプ状の部材で構成される。この場合、棒材11は、例えば、アルミ等の金属製パイプ、樹脂製パイプ等であってよい。そして、図23A〜図23Cの例では、この棒材11の貫通孔110は、紐状の接合部材30が挿通している。
接合部材30は、伸縮性のある紐状の部材であればよく、例えば、ゴム、バネ等である。接合部材30は、図23A及び図23Bで例示されるように棒材11の貫通孔110に挿通して、棒材11が互いに可動するように、当該棒材11の端部同士を接合する。なお、上記の展開構造物1の上下方向の頂点となる接合部10のように、3つ以上の棒材11の端部を接合する場合がある。このような場合は、例えば、図23Cで例示されるように、隣接する棒材11の貫通孔110に接合部材30を挿通させることで、3つ以上の棒材11の端部を接合することができる。
このように、接合部材30によって接合部10を形成した場合、各棒材11の端部は、一点で固定されず、接合した状態を維持したまま、接合部材30が伸びる分だけ離間することができる。すなわち、図23Bで例示されるように接合部材30の弾性力によって接合されている各棒材11の端部を、棒材11を引っ張ることによって、図23Aで例示されるように各棒材11の端部を離間させることができる。そのため、展開構造物1を折り畳む際に、この展開構造物1に含まれる棒材11の間の長さを調節することができるようになる。これによって、展開構造物1を折り畳む際における棒材11の移動の自由度が高まるため、展開構造物1をよりコンパクトに折り畳むことが可能になる。
<剛性部材>
また、剛性部材13は、各弾性部材12を巻き取る又は繰り出すことで、各弾性部材12から発生する張力の大きさを変更可能に構成されてもよい。これについて、図24A〜図24Dを用いて説明する。図24Aは、本変形例に係る剛性部材13Aを例示する分解斜視図である。図24Bは、本変形例に係る剛性部材13Aを例示する斜視図である。図24Cは、本変形例に係る剛性部材13Aの操作部分を例示する斜視図である。また、図24Dは、本変形例に係る剛性部材13Aが各弾性部材12を巻き取る場面を例示する
また、剛性部材13は、各弾性部材12を巻き取る又は繰り出すことで、各弾性部材12から発生する張力の大きさを変更可能に構成されてもよい。これについて、図24A〜図24Dを用いて説明する。図24Aは、本変形例に係る剛性部材13Aを例示する分解斜視図である。図24Bは、本変形例に係る剛性部材13Aを例示する斜視図である。図24Cは、本変形例に係る剛性部材13Aの操作部分を例示する斜視図である。また、図24Dは、本変形例に係る剛性部材13Aが各弾性部材12を巻き取る場面を例示する
図24A及び図24Bに例示されるように、本変形例に係る剛性部材13Aは4つの円板部材(51、53、55、56)を備えており、第1円板部材51と第2円板部材53との間には操作部材52が配置されている。この操作部材52は、上から順に、操作部521、歯車部522、及び内筒部523を備えている。
操作部521は、円柱状の本体部とその本体部の上端に配置される角柱状のつまみ部とによって構成されており、第1円板部材51の貫通孔511に挿通して、剛性部材13Aの外部に露出している。これにより、操作部521は、図24Bに例示されるように、剛性部材13Aの外部から操作可能に構成されている。
歯車部522は円盤状に形成されており、歯車部522の側壁にはラチェット状の凹凸が形成されている。この歯車部522の凹凸には、第2円板部材53に取り付けられる歯止め部531の先端部が係合している。図24Cに例示されるように、この歯止め部531は、軸部534で軸支されており、矢印D方向に回動可能かつ矢印C方向には回動不能に構成されている。そのため、操作部材52は、矢印A方向には回転操作ができず、矢印B方向には回転操作ができるように構成されている。
なお、第1〜第4円板部材(51、53、55、56)の外径はほぼ同一になっており、歯止め部531の基端部は、第2円板部材53から面方向外方に突出している。そのため、図24Bに例示されるように、この歯止め部531の基端部は、剛性部材13Aの外部から操作可能に構成されている。また、図24Cに例示されるように、歯止め部531の矢印D方向側の側面には板ばね535が取り付けられており、これによって、歯止め部531は、矢印D方向に回動した後に、元の位置に戻るようになっている。
また、内筒部523は、円筒状に形成されており、各弾性部材12を配置する方向に溝部524が設けられている。この内筒部523は、第2円板部材53の貫通孔532に挿通して、第3円板部材55の方に突出する。そして、この第3円板部材55の方に突出する部分は、第2円板部材53と第3円板部材55との間に配置される外筒部材54の中空部に挿通する。
第2円板部材53と第3円板部材55との間に配置される外筒部材54は、内筒部523が挿通可能なように、内筒部523よりも大径に形成されている。また、外筒部材54は、第3円板部材55の貫通孔552に挿通し、外筒部材54の下端面が第4円板部材56に当接するように構成されている。
この外筒部材54には、内筒部523と同様に、各弾性部材12を配置する方向に溝部541が設けられている。これに対応して、各弾性部材12の端部には、外周面に雄ネジ部の形成された締結具62が内周面に雌ネジ部の形成されたナット61によって固定されている。締結具62は周方向に2つの締結片(62a、62b)に分割可能になっており、この締結片(62a、62b)を弾性部材12の外周に合わせて配置してナット61を取り付けることで、締結具62は、各弾性部材12の端部に固定される。
締結具62の頭部及びナット61の外径は、内筒部523の溝部524及び外筒部材54の溝部541の幅よりも大きくなっている。一方、締結具62の雄ネジ部の外径は、内筒部523の溝部524及び外筒部材54の溝部541の幅よりも小さくなっている。そして、内筒部523の溝部524は下方に開放されており、外筒部材54の溝部541は上方に開放されている。そのため、内筒部523の溝部524は上方から、外筒部材54の溝部541は下方から弾性部材12の端部を受け入れる。そして、締結具62の頭部が外筒部材54の外周面に当接し、ナット61が内筒部523の内周面に当接するまで、ナット61を締めることで、各弾性部材12の端部を外筒部材54及び内筒部523(操作部材52)に固定することができる。
また、第2円板部材53の円周付近において、各弾性部材12を配置する方向には、各弾性部材12を挟むように一対の円筒部(533a、533b)が設けられている。各円筒部(533a、533b)の上端部は、操作部材52の歯車部522の幅(図の上下方向の長さ)に合わせて第1円板部材51側に若干突出している。
この各円筒部(533a、533b)には、第1〜第4円板部材(51、53、55、56)を上下方向にネジ留めするネジ部材(57a、57b)がそれぞれ挿通する。そのため、この各円筒部(533a、533b)に合わせて、第1円板部材51には、各ネジ部材(57a、57b)のための挿入孔(512a、512b)が設けられている。同様に、第3円板部材55には、各ネジ部材(57a、57b)のための挿入孔(551a、551b)が設けられている。第4円板部材56には、各ネジ部材(57a、57b)のための挿入孔(561a、561b)が設けられている。よって、各挿入孔(512a、551a、561a、512b、551b、561b)及び各円筒部(533a、533b)に第1円板部材51側から各ネジ部材(57a、57b)を挿通する。そして、第4円板部材56側で各ワッシャー(58a、58b)及び各ナット(59a、59b)で各ネジ部材(57a、57b)をネジ留めすることで、第1〜第4円板部材(51、53、55、56)を固定することができる。
なお、操作部材52は、操作部521が第1円板部材51の貫通孔511に挿通し、かつ、内筒部523が第2円板部材53の貫通孔532に挿通していることによって、第1円板部材51及び第2円板部材53の間に周方向に回転可能に固定される。また、外筒部材54は、締結具62とナット61との締結によって操作部材52の内筒部523に固定され、第3円板部材55の貫通孔552に挿通することで、第2円板部材53及び第3円板部材55の間に周方向に回転可能に固定される。
このような剛性部材13Aにおいて各弾性部材12を巻き取る場合には、ユーザは、操作部521を把持して、矢印B方向に操作部材52を回転させる。これにより、図24Dに例示されるように、各弾性部材12は、外筒部材54及び内筒部523によって剛性部材13Aの内部に引き込まれて、外筒部材54の外周面に巻き取られていく。
一方、巻き取った各弾性部材12を繰り出す場合には、ユーザは、剛性部材13Aの外部に突出した歯止め部531の基端部を操作して、歯止め部531を矢印D方向に回動させる。これにより、歯止め部531と歯車部522との係合が外れると、各弾性部材12の張力によって操作部材52は矢印A方向に回転して、巻き取られていた各弾性部材12は繰り出される。
このように、本変形例に係る剛性部材13Aによれば、各弾性部材12を巻き取る又は繰り出すことができる。各弾性部材12の長さが変化すると、それに応じて、各弾性部材12の張力の大きさも変化する。そのため、本変形例によれば、展開構造物の展開状態を維持する各弾性部材12の張力の大きさを変化させることができ、これによって、展開構造物の展開及び折り畳みを操作することが可能である。なお、本変形例では、4つの弾性部材12が一度に剛性部材13Aに巻き取られ又は繰り出される。しかしながら、弾性部材に設けられる機構は、このような例に限定されなくてもよく、各弾性部材12を個別に巻き取り又は繰り出し可能な機構であってもよい。
1(1A〜1G)…展開構造物、2(2A)…単位構造部、3…屈折フレーム、
10(10A〜10C)…接合部、11(11A〜11D)…棒材、
12(12A〜12D)…弾性部材、13…剛性部材、
20…連結部材、
21…第1支持部材、22…第2支持部材、23…ネジ、24…ナット、
30…接合部材、110…貫通孔
10(10A〜10C)…接合部、11(11A〜11D)…棒材、
12(12A〜12D)…弾性部材、13…剛性部材、
20…連結部材、
21…第1支持部材、22…第2支持部材、23…ネジ、24…ナット、
30…接合部材、110…貫通孔
Claims (10)
- 矩形構造を有する複数の単位構造部を備え、
前記複数の単位構造部の辺同士は連結されており、
前記複数の単位構造部の各々は、
当該各々の単位構造部の4つの辺を構成し、互いに可動するように端部同士が接合された4本の棒材と、
前記矩形構造内に交差する地点を形成可能に、当該各々の単位構造部に配置される複数の紐状の弾性部材と、
前記複数の弾性部材の交差する地点に配置され、前記複数の弾性部材から前記矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生させるように、前記複数の弾性部材を連結する剛性部材と、を備え、
前記各々の単位構造部は、前記複数の弾性部材から発生する前記矩形構造の2つの対角線方向の張力のつり合いに起因して前記各々の単位構造部の展開した状態が維持されることで、前記複数の単位構造部によって内部空間が形成されるように構成され、
前記複数の弾性部材の張力に抗して隣接する前記棒材間の角度を変化させることで、前記各々の単位構造部が折り畳み可能に構成される、
展開構造物。 - 隣接する前記単位構造部において連結されている前記辺は、共通の前記棒材によって構成されている、
請求項1に記載の展開構造物。 - 隣接する前記単位構造部において連結されている前記辺それぞれは別個の前記棒材によって構成され、
前記隣接する前記単位構造部の前記辺を構成する前記棒材を連結する連結部材を更に備える、
請求項1に記載の展開構造物。 - 隣接する前記単位構造部において連結されている前記辺それぞれは別個の前記棒材によって構成され、
隣接する前記単位構造部の前記辺を構成する前記棒材は、互いに連結可能な形状に形成されている、
請求項1に記載の展開構造物。 - 2つの前記棒材は、その端部同士を互いに可動するように接合されることで、屈折フレームを形成し、
3つ以上の前記屈折フレームは、その両端部をそれぞれ共有するように接合されることで、前記展開構造物の基本単位を形成し、
前記展開構造物は、1つ以上の前記基本単位が空間を充填するように配置される形状に構成され、
前記各々の単位構造部は、隣接する2つの屈折フレームにより構成される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の展開構造物。 - 前記複数の紐状の弾性部材は、前記棒材の接合である4つの頂点に接続されることで、前記矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の展開構造物。 - 前記剛性部材は、前記複数の紐状の弾性部材を巻き取る又は繰り出すことで、前記各弾性部材から発生する張力の大きさを変更可能に構成される、
請求項1から6のいずれか1項に記載の展開構造物。 - 前記棒材は、軸方向に貫通する貫通孔を有し、
前記棒材が互いに可動するように、前記棒材それぞれの貫通孔に挿通して、前記棒材の端部同士を接合する、伸縮性を有する紐状の接合部材、を更に備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の展開構造物。 - 前記複数の単位構造部は、偶数個の三角形で覆われた閉曲面を構成し、
前記複数の単位構造部のそれぞれは、隣接する2つの三角形で構成される面に対応する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の展開構造物。 - 棒材と、
紐状の弾性部材と、
剛性部材と、を備える、
展開構造物を作製するための展開構造物作製キットであって、
前記棒材、前記弾性部材及び前記剛性部材によって作製される前記展開構造物は、
矩形構造を有する複数の単位構造部を備え、
互いに可動するように端部同士が接合された4つの前記棒材により、前記複数の単位構造部の各々の4つの辺が構成され、
前記矩形構造内に交差する地点を形成可能に、前記複数の単位構造部の各々に複数の前記弾性部材が配置され、
前記剛性部材が、前記複数の弾性部材の交差する地点に配置され、前記複数の弾性部材から前記矩形構造の2つの対角線方向に張力を発生させるように前記複数の弾性部材を連結することで、
前記複数の単位構造部の各々は、前記複数の弾性部材から発生する前記矩形構造の2つの対角線方向の張力のつり合いに起因して前記各々の単位構造部の展開した状態を維持することで、前記複数の単位構造部によって内部空間を形成するように構成され、
前記複数の弾性部材の張力に抗して隣接する前記棒材間の角度を変化させることで、前記複数の単位構造部の各々が折り畳み可能に構成される、
展開構造物作製キット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2014149789A JP2016023501A (ja) | 2014-07-23 | 2014-07-23 | 展開構造物、及び、展開構造物作製キット |
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Publications (1)
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112550762A (zh) * | 2019-09-25 | 2021-03-26 | 华东交通大学 | 一种由三对称Bricard机构组成的新型单自由度平面可展开机构网络 |
-
2014
- 2014-07-23 JP JP2014149789A patent/JP2016023501A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN112550762A (zh) * | 2019-09-25 | 2021-03-26 | 华东交通大学 | 一种由三对称Bricard机构组成的新型单自由度平面可展开机构网络 |
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