JP2016022256A - 画像解析装置 - Google Patents

画像解析装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2016022256A
JP2016022256A JP2014149805A JP2014149805A JP2016022256A JP 2016022256 A JP2016022256 A JP 2016022256A JP 2014149805 A JP2014149805 A JP 2014149805A JP 2014149805 A JP2014149805 A JP 2014149805A JP 2016022256 A JP2016022256 A JP 2016022256A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
image
subject
gradation
texture analysis
body thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014149805A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6299504B2 (ja
Inventor
淳也 山本
Junya Yamamoto
淳也 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2014149805A priority Critical patent/JP6299504B2/ja
Publication of JP2016022256A publication Critical patent/JP2016022256A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6299504B2 publication Critical patent/JP6299504B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)

Abstract

【課題】被検体の体厚に影響されずに適切なテクスチャ解析指標を算出するテクスチャ解析を実現できる画像解析装置を提供する。【解決手段】本発明の構成によれば、被検体の体厚の違いが解析結果に影響しないテクスチャ解析の手法を具体的に示したものとなっている。すなわち、被検体の体厚が増えるに応じて広くなるように階調幅Wを設定しておく。この階調幅Wは、GLCM生成時において同一視する階調の幅を表している。つまり、本発明によれば被検体の体厚が増えるとGLCMを構成する要素が少なくなるように工夫がされている。このようにすると、ノイズ成分に由来する画素値のバラつきの影響が解析途中で吸収され、より信頼性の高いテクスチャ解析指標を算出することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、被検体が写り込んでいる画像をテクスチャ解析してテクスチャ解析指標を算出する画像解析装置に関する。
医療機関には、被検体に放射線撮影をして得られた被検体像に対して画像解析を行って、被検体の状態を評価する評価値を算出する画像解析装置が備えられている。
画像解析を行う際に問題となるのが画像に写り込む被検体の体厚である。放射線には、体厚が厚いほど被検体を透過しにくくなる性質がある。したがって、被検体の体厚が厚いほど撮影が露光不足となり、得られる断層画像のS/N比が悪くなる。断層画像のS/N比が悪くなると、それだけ画像にノイズ成分が多く現れる。従って、画像解析を行うには、被検体の体厚についての補正を行う必要がある(例えば特許文献1参照)。
画像解析の手法の一つとしてテクスチャ解析がある。このテクスチャ解析は、画像を同時生起行列に変換して、同時生起行列を演算することにより評価値の一種であるテクスチャ解析指標を算出するというものである。同時生起行列は、画像を構成する画素値がどのようにバラついているかの統計を表しており、画像上の被検体像の状態によって変化する行列となっている(例えば、非特許文献1,非特許文献2参照)。
特開2001−86409号公報 Haralick RM. Statistical and structural approaches to texture. Proc IEEE 1979;67(5):786−804. Haralick RM. et al. Textural Features for Image Classification. IEEE Transactions on Systems Man and Cybernetics 1973;6:610−621.
しかしながら、従来構成に係る画像解析装置には次のような問題点がある。
すなわち、従来構成に係る画像解析装置によれば、テクスチャ解析を用いた画像解析において被検体の体厚の影響を十分に配慮していない。
従来構成の画像解析装置を説明するのに、ここでは、骨梁解析を例にとることにする。骨梁とは、骨の内部の海綿質を構成する細長状の構造である。従来構成の骨梁解析の対象となるのは、被検体に放射線撮影を行うことで得られた被検体の断層画像である。
テクスチャ解析を用いた骨梁解析では、骨梁についての情報のみを表したテクスチャ解析指標を算出するのが理想である。すなわち、骨梁解析のテクスチャ解析指標は、本来は骨梁の状態に応じて変動するのであり、他の条件によっては変動しないはずなのである。
しかし、実際の断層画像に骨梁解析を行ってみると、被検体の体厚が厚くなるのに応じて算出されるテクスチャ解析指標が変動してしまう。このような現象が起こる理由は、被検体の体厚が応じて断層画像のノイズ成分の量が変動することにある。ノイズ成分は、被検体の骨梁の状態を表すものではない。にもかかわらず、テクスチャ解析では、ノイズ成分が断層画像を構成する画素値のバラつきの一種であるとしてしまいテクスチャ解析指標の算出に加味する。テクスチャ解析は、断層画像におけるノイズ成分の含有量の変化を捉えてテクスチャ解析指標に反映させてしまう。
この体厚の影響をテクスチャ解析指標に及ぼさないようなテクスチャ解析の方法があれば、より正確なテクスチャ解析指標が算出できる。しかしながら、従来の画像解析装置によれば、体厚の違う被検体に対して同じテクスチャ解析を実行するようになっており、この様な配慮はなされていない。果たしてテクスチャ解析をどのように改変すれば体厚の影響を防げるのであろうか。なお、従来より知られている体厚の補正は、テクスチャ解析についてのものではない。
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、被検体の体厚に影響されずに適切なテクスチャ解析指標を算出するテクスチャ解析を実現できる画像解析装置を提供することにある。
本発明は上述の課題を解決するために次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る画像解析装置は、被検体に対する放射線撮影により得られる放射線画像を解析する画像解析装置であって、放射線画像に含まれる画素値の階調を複数の階調区間に区分けするときの各々の階調幅を設定する階調幅設定手段と、画素値が互いに所定の階調区間に属している2つの画素のペアであって画素同士が所定の距離だけ離間しているものが放射線画像の一部に設けられた解析範囲に何回現れるかを階調区間の組み合わせごとに数えて同時生起行列を生成する同時生起行列生成手段と、同時生起行列に基づいてテクスチャ解析指標を算出する指標算出手段とを備え、階調幅設定手段は、放射線画像に含まれるノイズ成分の増加に応じて広くなるように階調幅を設定することを特徴とするものである。
[作用・効果]本発明の構成によれば、被検体の体厚の違いが解析結果に影響しないテクスチャ解析の手法を具体的に示したものとなっている。すなわち、放射線画像に含まれるノイズ成分が増えるに応じて広くなるように階調幅を設定しておく。この階調幅は、同時生起行列生成時において同一視する階調の幅を表している。つまり、本発明によれば放射線画像に含まれるノイズ成分が増えると同時生起行列を構成する要素が少なくなるように工夫がされている。放射線画像のノイズ成分が増えると、それだけ放射線画像における画素値のバラつきが大きくなる。このような画像をテクスチャ解析するに当たり、従来構成のように同時生起行列の要素を多くしたままだと、ノイズ成分に由来する画素値のバラつきも同時生起行列に表現されるので、テクスチャ解析指標はノイズ成分を加味した値となってしまう。
本発明の構成のように、画像のノイズ成分が多くなるほど同時生起行列を構成する要素を少なくするようにすると、ノイズ成分に由来する画素値のバラつきの影響が解析途中の同時生起行列生成時に吸収されて、テクスチャ解析指標には現れない。したがって、本発明の画像解析装置によれば、より信頼性の高いテクスチャ解析指標を算出することができるのである。
また、上述の画像解析装置において、階調幅設定手段が被検体の体厚に基づいてノイズ成分を推定すればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、本発明の画像解析装置をより具体的に示したものとなっている。放射線画像に含まれるノイズ成分の量は、被検体の体厚に相関して変動する。被検体の体厚によってノイズ成分の量を推定することができるのである。
また、上述の画像解析装置において、術者に体厚を入力させる入力手段を備えればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、本発明の画像解析装置をより具体的に示したものとなっている。ノイズ成分の量を推定するのに用いる被検体の体厚を術者に入力させるような構成とすれば、より確実に体厚を取得することができるようになる。
また、上述の画像解析装置において、放射線画像に写り込んだ被検体像を構成する画素値のバラツキの大きさに基づいて、体厚を推定すればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、本発明の画像解析装置をより具体的に示したものとなっている。被検体像を構成する画素の間で見られる画素値のバラツキの強度により体厚を推定すれば、より確実にノイズ成分の量を算出することができる。
また、上述の画像解析装置において、階調幅設定手段が参照する階調幅とノイズ成分との関連性を記憶する記憶手段を備え、記憶手段が記憶する関連性は、ある体厚の被検体を写し込んだ放射線画像をテクスチャ解析すると得られるテクスチャ解析指標が基準となる放射線画像についてのテクスチャ解析指標と同じとなるように定められていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、本発明の画像解析装置をより具体的に示したものとなっている。ある体厚の被検体を写し込んだ放射線画像をテクスチャ解析すると、得られるテクスチャ解析指標が基準となる放射線画像についてのテクスチャ解析指標と同じとなるように定められた階調幅とノイズ成分との関連性により階調幅設定手段が動作すれば、階調幅設定手段は、実測結果に基づいて動作することになるので、より信頼性の高いテクスチャ解析指標が取得できる。
また、上述の画像解析装置によって算出されたテクスチャ解析指標に基づいて、被検体の骨梁の指標を算出すればより望ましい。
[作用・効果]上述のように、本発明の構成は具体的には骨梁解析に適用することができる。
また、上述の骨梁解析装置において、指標算出手段が算出するテクスチャ解析指標として、コリレーション、ディシミラレィティ、コントラスト、ホモジェネイティ、エントロピー、アングラーセカンドモーメント、バリアンス、インバースディファレンシャルモーメントのうちの1つまたは複数が選択されていればより望ましい。
[作用・効果]上述の構成は、本発明の画像解析装置をより具体的に示したものとなっている。本発明の構成は多様なテクスチャ解析指標について適用することができる。
本発明の構成によれば、被検体の体厚の違いが解析結果に影響しないテクスチャ解析の手法を具体的に示したものとなっている。すなわち、被検体の体厚が増えるに応じて広くなるように階調幅を設定しておく。この階調幅は、同時生起行列生成時において同一視する階調の幅を表している。つまり、本発明によれば被検体の体厚が増えると同時生起行列を構成する要素が少なくなるように工夫がされている。このようにすると、ノイズ成分に由来する画素値のバラつきの影響が解析途中の同時生起行列生成時に吸収され、より信頼性の高いテクスチャ解析指標を算出することができる。
実施例1に係る画像解析装置の全体構成を説明する機能ブロック図である。 実施例1に係る背景処理を説明する模式図である。 実施例1に係る体厚値取得処理を説明する模式図である。 実施例1に係るテーブルを説明する模式図である。 実施例1に係る同時生起行列の生成処理を説明する模式図である。 実施例1に係る同時生起行列の生成処理を説明する模式図である。 実施例1に係る同時生起行列の生成処理を説明する模式図である。 実施例1に係る同時生起行列の生成処理を説明する模式図である。 実施例1に係る階調幅と体厚値の関係を示す模式図である。 実施例1に係る構成の効果が生じる原理を説明する模式図である。 実施例1に係る構成の効果の実証方法を説明する模式図である。 実施例1に係る構成の効果の実証方法を説明する模式図である。 実施例1に係る構成の効果の実証方法を説明する模式図である。 実施例1に係る構成の効果の実証方法を説明する模式図である。 実施例1に係る構成の効果を説明する模式図である。
次に、本発明に係る画像解析装置の実施例について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の画像解析処理装置の処理対象となる画像の例としてフィルタバックプロジェクション法により取得される被検体Mの断層画像を取り上げるものとする。断層画像は、本発明の放射線画像に相当する。実施例の画像解析装置は、入力された断層画像に対して画像処理を施して骨梁解析に係るテクスチャ解析の指標値を算出する。
図1は、本発明に係る画像解析装置の全体構成を示した機能ブロック図である。以下、図1に示された各部の動作の詳細について順を追って説明する。
<背景処理部11の動作>
断層画像Dは、まず背景処理部11に送出される。背景処理部11は、断層画像Dにアンシャープネスマスキング処理などの背景処理を施し、背景処理がされた断層画像Daを生成する。このような背景処理により異なる断層画像D同士で見られる撮影条件の相違による被検体像の写り込みの違いを消去することができる。背景処理部11が行う背景処理は、アンシャープネスマスキング処理に限られず他の処理としてもよい。
図2は、アンシャープネスマスキング処理を簡単に説明している。アンシャープネスマスキング処理とは、断層画像Dから断層画像Dを平滑化して得られた平滑化画像を差し引く画像処理である。この様な画像処理により、断層画像Dは、よりくっきりした断層画像Daに変換される。
<バラツキ算出部12の動作>
断層画像Daは、バラツキ算出部12に送出される。バラツキ算出部12は、断層画像Daを解析して断層画像Daに写り込む被検体Mの体厚を示す標準偏差SDを算出する。図3は、バラツキ算出部12が断層画像Daの解析を行っている様子を示している。バラツキ算出部12は、まず、術者が入力部13を通じて設定した解析領域Rを認識する。解析領域Rは、画像における被検体像のうち骨が写り込んでいない部分(被検体像の軟組織が写り込んでいる部分)が解析領域Rの全域となるように選択される。したがって、解析領域Rには、被検体像の軟組織が写り込んでいる。入力部13は、術者に入力値を入力させる構成であり、本発明の入力手段に相当する。
そして、バラツキ算出部12は、認識した解析領域Rを構成する画素に対して統計的な解析を行って標準偏差SDを算出しこれを被検体Mの体厚を示す体厚値とする。このときのバラツキ算出部12は、断層画像Daに写り込んだ被検体像を構成する画素値のバラつきの大きさ(標準偏差SD)に基づいて、体厚を推定しているともいえる。
体厚値(標準偏差SD)は、解析領域Rに属する画素における画素値のバラつきを示しており、被検体Mの軟組織像を構成する画素の間で見られる画素値のバラツキを示してもいる。標準偏差SDが大きいほど、画素値のバラつきは大きいと評価できる。この標準偏差SDにより、断層画像Daに含まれるノイズ成分の量(ノイズ量)を知ることができる。断層画像Daには、被検体像にノイズ成分が重畳している。このノイズ成分は具体的には砂嵐状のパターンとなる。画像に重畳するノイズ量が多くなると、画像には、砂嵐状のパターンがより強く表れる。つまり、ノイズ量が多いと、それだけ、画素の画素値のバラつきが大きくなるわけである。
つまり、体厚値(標準偏差SD)は、画像におけるノイズ量を示す指標ともなっている。すなわち、標準偏差SDが大きいほどノイズ量は多いと評価ができるのである。一方、解析領域Rに写り込む被検体Mの軟組織像は、標準偏差SDにさほど寄与しない。軟組織像は、互いに似通った画素値から構成されるからである。
解析領域Rを被検体Mの軟組織に設定したのには、次のような理由がある。すなわち、バラツキ算出部12算出する標準偏差SDは、被検体Mの体厚によって変化するパラメータである。すなわち、標準偏差SDが大きいと、それだけ断層画像Dは露光不足で撮影されたことになる。この露光不足は、被検体Mの体厚が厚いことによって引き起こされるから、標準偏差SDは、間接的に被検体Mの体厚を表していることになるわけでる。
ところで、被検体Mの骨部は、もともとX線を透過させにくいので多くのノイズ成分を含んでいる。したがって、被検体Mの骨部における画素値の標準偏差SDは、被検体Mの体厚によらず大きな値をとる。したがって、体厚値を調べるには、被検体Mの軟組織についての標準偏差を算出したほうがよいのである。
<階調幅設定部14の動作>
バラツキ算出部12は、断層画像Daにおける体厚値(標準偏差SD)を階調幅設定部14に送出する。階調幅設定部14は、送出された標準偏差SDに対応する幅値Waを図4に示すようなテーブルに基づいて取得し、取得した幅値Waを階調幅Wに設定する。テーブルにおける各幅値Waは、標準偏差SDが増えると例えば線形的に増加するように規定されている。したがって、階調幅設定部14は、断層画像Daに含まれる画素値の階調を複数の階調区間の各々に区分けするときの各々の階調幅Wをノイズ成分の増加に応じて広くなるように設定することになる。この際、階調幅設定部14は、体厚値(標準偏差SD)に基づいて放射線画像に含まれるノイズ成分の量の推定をしている。
階調幅設定部14は、送出された標準偏差SDがテーブルにない場合は、テーブルに補完処理を加えて新たな幅値Waを取得するように構成される。また、階調幅設定部14は、標準偏差SDと幅値Waとが関連した方程式に基づいて階調幅Wの設定を実行するようにしてもよい。上述のテーブルおよび方程式は、記憶部20に記憶されている。階調幅設定部14が設定した階調幅Wは、行列生成部15に送出される。テーブルがどのように生成されるのかについては後述のものとする。階調幅設定部14は、本発明の階調幅設定手段に相当し、行列生成部15は、本発明の同時生起行列生成手段に相当する。
<行列生成部15の動作>
テクスチャ解析を行う際に必要となる行列として同時生起行列(GLCM)がある。この行列は行列生成部15により生成される。背景処理部11が生成した断層画像Daは、行列生成部15に送出され、そこでGLCMに変換される。図5は、行列生成部15が断層画像Daに基づいてGLCMを生成する動作を説明している。図5の左側は、断層画像Daを画素値の2次元配列として表している。説明の簡単のため、断層画像Daを構成する各画素の画素値は、0から9までの10通りの値をとるものとする。
図5の右側に示すように、断層画像Daより生成されるGLCMの行数と列数は、いずれも画素の画素値がとりえる画素値の数と一致する。断層画像Daを構成する各画素は、10通りのうちのいずれかの画素値を有しているのであるから、断層画像Daより生成されるGLCMは10行10列の2次元行列となる。行列生成部15は、10×10行列となっているGLCMを構成する100個の要素に数値を代入してGLCMを完成させる。各要素にどのような数値を入れるかは、断層画像Daの画素値に基づいて判断される。
図5は、GLCMの各行のうち0を意味する行、各列のうち1を意味する列に位置する要素p(0,1)の数値を行列生成部15が決めようとしているところを示している。行列生成部15は、画素値0と画素値1とが隣り合って配列されている画素のペアが断層画像Daに何組あるかを数えて、そのカウント数をGLCMの要素p(0,1)とする。図5においては、画素値0と画素値1とが隣り合って配列されている画素のペアは2組あるので、要素p(0,1)の値は、2となる。このGLCMにおける任意の要素p(a,b)は要素p(b,a)に等しいので、GLCMの要素p(1,0)の値も2となる。
行列生成部15は、同様な動作をGLCMの全域に亘って行い、行列が有する要素の全てを断層画像Daに基づいて決定する。こうして行列生成部15は、断層画像Daに基づいてGLCMを完成させる。
図6は、行列生成部15が断層画像Daに基づいてGLCMを生成する様子を示している。生成されるGLCMは、断層画像Daの画素が取り得る画素値の数が多くなるほど大きくなる。GLCMは、対称性を有する行列であり、図6の点線で示す対角線で2つ折りにすると、重なり合う要素同士の値が同じとなっているような行列である。
<階調幅Wに基づいた動作の変更>
続いて、本発明の最も特徴的な構成である階調幅設定部14が設定した階調幅Wに基づいて行列生成部15の動作が変更される様子について説明する。すなわち、行列生成部15は、設定された階調幅Wに基づいて、生成するGLCMを変化させる。本発明に係るGLCMを構成する行列の要素は、階調幅Wに基づいて増減するように構成されている。
図7は、行列生成部15が生成するGLCMの一種を示している。図5におけるGLCMは、0から9までの階調をすべて区別して生成されているが、図7のGLCMは、0と1を区別せずに生成されたものである。同様に、図7のGLCMは、2と3,4と5,6と7,8と9のそれぞれを区別してはいない。このGLCMは5行5列の2次元行列となる。行列生成部15は、5×5行列となっているGLCMを構成する25個の要素に数値を代入してGLCMを完成させる。
図7は、GLCMの各行のうち0から1までの階調の区間(階調区間)を意味する行、各列のうち0から1までの階調区間を意味する列に位置する要素p(0〜1,0〜1)の数値を行列生成部15が決めようとしているところを示している。行列生成部15は、一方が階調区間(0〜1)に属する画素値を有し、もう一方も階調区間(0〜1)に属する画素値を有する画素のペアが断層画像Daに何組あるかを数えて、そのカウント数をGLCMの要素p(0〜1,0〜1)とする。図7においては、画素値0と画素値1とが隣り合って配列されている画素のペアが2組、画素値1と画素値1とが隣り合って配列されている画素のペアが1組あるので、要素p(0〜1,0〜1)の値は、3となる。
図8は、行列生成部15が断層画像Daに基づいてGLCMを生成する様子を示している。生成されるGLCMは、図6で説明したGLCMと比べて構成要素が少ない。
階調幅Wは、行列生成部15がGLCMを生成するときに、同一視される階調区間の幅を示している。例えば、図5における行列生成部15は、階調のすべてを区別していたので、このGLCM生成動作における階調幅Wは1となる。また、図7における行列生成部15は、2つの階調を同一視していたので、このGLCM生成動作における階調幅Wは2となる。階調幅Wは、行列生成部15がGLCMを生成する前に階調幅設定部14が設定している。
行列生成部15がGLCMを生成するときの階調幅Wは、断層画像Daの体厚値(標準偏差SD)が増加すると大きくなるように設定されている。したがって、行列生成部15が生成するGLCMは、図9に示すように断層画像Daの標準偏差SDに応じて変化する。断層画像Daの標準偏差SDが小さい場合は、図9の上段に示すように、階調幅Wが小さいので階調区間が多く設定され、生成されるGLCMは要素が多い行列となる。断層画像Daの標準偏差SDが大きくなってくると、階調幅Wは次第に広くなっていき、設定される階調区間の数が減少し、図9の中段、下段に示すように、生成されるGLCMは要素が次第に少ない行列となる。したがって、行列生成部15は、断層画像Daの標準偏差SDの増加に応じてGLCMの規模が小さくなるように動作する。
行列生成部15は、階調幅設定部14から階調幅Wを受信して、断層画像Daの階調を階調幅W単位で区切り、複数の階調区間を設定する。これにより、行列生成部15は、画素値が互いに所定の階調区間に属している2つの画素のペアであって画素同士が所定の距離だけ離間しているものが断層画像Dの一部に設けられた解析範囲に何回現れるかを階調区間の組み合わせごとに数えてGLCM(同時生起行列)を生成するわけである。解析範囲としては、骨の海綿骨の部分が選択される。
<断層画像Daの体厚値に応じてGLCMの規模を変化させる効果>
図10は、行列生成部15が生成するGLCMの規模を可変にしたことによる効果について説明している。図10の上段は、断層画像Daの一部について階調幅Wを1としてGLCMを生成するとどうなるかを示している。階調幅Wは1だから、階調はすべて区別されてGLCMが生成される。断層画像Daのうち図10の上段に示す縦3×横3の領域は、GLCMの生成時にどのような扱いを受けるかを考える。この領域には、縦方向に隣接する2つの画素のペアが6つあり、横方向に隣接する2つの画素のペアが6つある。そして、右斜め方向に隣接する2つの画素のペアが4つあり、左斜め方向に隣接する2つの画素のペアが4つある。これら20組のペアは、すべて画素値が500の画素の組み合わせだから、GLCMを生成するときにすべて同じ扱いを受けることになる。すなわち、20組のペアはすべてGLCMの要素p(500,500)のカウント数に加味される。
図10の中段は、図10の上段に示す断層画像の一部にノイズ成分が重畳している状態を表している。ノイズ成分の重畳によりすべて500だった画素値は、ノイズ成分によりバラつき、494となったり506となったりする。このようなノイズ成分が重畳した断層画像の一部について階調幅Wを1としてGLCMを生成するとどうなるか。領域上の20組のペアにおける画素値の組み合わせは1つとして同じものがないから、20組のペアはGLCMを生成するときにすべて別の扱いを受けることになる。たとえば、画素値が506,494の組み合わせとなっている画素のペアはGLCMの要素p(506,494)のカウント数に加味され、残り19組のペアは、この要素p(506,494)のカウント数に加味されない。
以上のことから、ノイズ成分が断層画像に重畳することにより、生成されるGLCMの要素に影響が表れてしまうことがわかる。ノイズ成分により断層画像が乱れると、行列生成部15のカウント動作に変化が現れ、GLCMも乱されてしまうのである。
図10の下段も中断と同様、図10の上段に示す断層画像の一部にノイズ成分が重畳している状態を表している。このようなノイズ成分が重畳した断層画像の一部について階調幅Wを20としてGLCMを生成するとどうなるか。領域上の20組のペアにおける画素値の組み合わせは確かに1つとして同じものがない。しかし、階調幅Wは20なので、行列生成部15は、例えば490〜510までの画素値を同一視してGLCMを生成する。したがって、これら20組のペアは、GLCMを生成するときにすべて同じ扱いを受けることになる。すなわち、この例では、20組のペアはすべてGLCMの要素p(490〜510,490〜510)のカウント数に加味される。
以上のことから、階調幅Wを調整することで、生成されるGLCMの要素にノイズ成分の影響が表れてしまうことが防止できることが分かる。本来同じ扱いを受けるはずの図10の下段に示す20組のペアは、階調幅Wが調整されたことにより、別の扱いを受けることなくすべて同じ扱いを受けてGLCMの生成に加味されたからである。
断層画像Daのノイズ成分が多いほどGLCMは大きく乱される。このようなGLCMの大きな乱れを防止するには、階調幅Wを広げる必要がある。断層画像Daの体厚値(標準偏差SD)が大きくなると、画素値の乱れは、さらに大きくなる。すなわち、図10の中段、下段の説明では、画素値のバラつきは、20の階調幅Wに収まるものであったが、標準偏差SDが大きくなると、画素値のこの幅に収まりきれなくなる。そこで、本発明によれば、標準偏差SDの増加に伴ってGLCM生成時の階調幅Wを広くするようにしている。このようにすれば、画素値が大きくばらついても、GLCM生成時において画素値の同一視される範囲が広がって、バラつきの影響が吸収される。結果として、GLCMには断層画像Daのノイズ成分の影響が現れない。
<テクスチャ解析指標算出部16の動作>
GLCMは、テクスチャ解析指標算出部16に送出される。テクスチャ解析指標算出部16は、GLCMに種々の演算を実行することでテクスチャ解析指標を算出することが可能である。テクスチャ解析指標算出部16が算出できるテクスチャ解析指標は、例えば次のようなものがある。式中のp(i,j)とは、GLCMにおけるi行j列目の要素の値、Σ,Σは、それぞれi行、j列についての要素の合計、Nは、断層画像Daの画素が取り得る画素値の数、μは平均値、μ,μは、それぞれ行方向、列方向の平均値、σ,σは、それぞれ行方向、列方向の標準偏差を表している。なお、これらテクスチャ解析指標ASM(Angular Second Moment:アングラーセカンドモーメント),CNT(Contrast:コントラスト),COR(Correlation:コリレーション),VAR(Variance:バリアンス),IDM(Inverse Difference Moment,インバースディファレンシャルモーメント),ENT(Entropy,エントロピー)の各々は、1973年にHarlickらが上述の非特許文献2で提唱した14種類のパラメータのうちの一部である。また、DISは非類似度またはディシミラレィティと呼ばれるテクスチャ解析指標で、HOMは、一様性またはホモジェネイティと呼ばれるテクスチャ解析指標である。テクスチャ解析指標算出部16は、本発明の指標算出手段に相当する。
Figure 2016022256
テクスチャ解析指標算出部16は、GLCMに上述の種々の演算を行ってテクスチャ解析指標を算出する。テクスチャ解析指標算出部16が算出するテクスチャ解析指標の種類と数は、適宜変更することができる。以上のように、テクスチャ解析指標算出部16は、GLCM(同時生起行列)に基づいてテクスチャ解析を行いテクスチャ解析指標の算出を実行する。テクスチャ解析指標は、例えば、骨梁の状態変化を推測するのに用いられる。この場合、テクスチャ解析指標は、撮影時期の異なる同じ被検体Mの断層画像Dの各々について算出されることになる。
本発明を構成する各部11,12,14,15,16は、CPUが各種のプログラムを実行することで実現される。なお、各部は、各部の機能を個別に実行する演算装置によって実現するようにしてもよい。
<本発明の効果の実証>
続いて、本発明の効果の実証を実際に行ったので、その結果について説明する。本発明の効果を理解するには、まずは断層画像Dの撮影方法を簡単に知っておく必要があるのでこれについて説明する。
図11は、断層画像Dの生成に係るフィルタバックプロジェクション法の原理を説明している。例えば、天板2に平行な(鉛直方向に対して水平な)仮想平面(基準裁断面MA)について説明すると、図2に示すように、基準裁断面MAに位置する点P,Qが、常にFPD4のX線検出面の不動点p,qのそれぞれに投影されるように、X線管3によるコーン状のX線ビームBの照射方向に合わせてFPD4をX線管3の反対方向に同期移動させながら一連のX線画像が生成される。
一連のX線画像には、被検体Mの投影像が位置を変えながら写り込んでいる。そして、この一連のX線画像を再構成すれば、基準裁断面MAに位置する像(たとえば、不動点p,q)が集積され、X線断層画像としてイメージングされることになる。
一方、基準裁断面MAに位置しない点Iは、FPD4における投影位置を変化させながら一連の被検体M画像に点iとして写り込んでいる。この様な点iは、不動点p,qとは異なり、X線投影画像を重ね合わせる段階で像を結ばずにボケる。このように、一連の投影画像の重ね合わせを行うことにより、被検体Mの基準裁断面MAに位置する像のみが写り込んだX線断層画像が得られる。このように、投影画像を単純に重ね合わせると、基準裁断面MAにおける断層画像が得られる。
さらに、フィルタバックプロジェクション法によれば、基準裁断面MAに水平な任意の裁断面においても、同様な断層画像を得ることができる。撮影中、FPD4において上記点iの投影位置は移動するが、投影前の点Iと基準裁断面MAとの離間距離が大きくなるにしたがって、この移動速度は増加する。これを利用して、取得された一連の被検体M画像を所定のピッチで体軸方向Aにずらしながら再構成を行うようにすれば、基準裁断面MAに平行な裁断面における断層画像が得られるわけである。
つまり、断層画像Dは、撮影方向が異なるX線画像を重ね合わせた画像となっており、X線画像の各々が露光不足であると、断層画像Dも露光不足となる。このようなX線画像の各々が露光不足となる原因は、被検体Mの体厚が撮影時の想定よりも厚いことにある。撮影対象の被検体Mの体厚が厚いとそれだけX線が通過しにくくなるので被検体Mを通過してFPD4に検出されるX線の線量は少なくなる。これが、X線画像の各々が露光不足になる理由であり、断層画像Dが露光不足になる理由ともなっている。このような露光不足の断層画像には露光が適切な場合の断層画像と比べてより多くのノイズ成分を含んでしまっている。
<テーブルの生成>
本発明の効果を確認するには、図4で説明したテーブルを生成する必要がある。このテーブルは、断層画像に含まれる体厚値(標準偏差SD)と階調幅Wとが関連したものである。したがって、テーブルを生成するには被検体Mの体厚の条件が異なる複数の断層画像を用意する必要がある。この断層画像は、次のような方法で用意することができる。まず図12の左側に示すように、天板2に被検体Mに見立てたファントムPhを載置し、図11で説明した原理に基づいて断層画像D0を撮影する。
続いて、図12の右側に示すように、ファントムPhの上側にアクリル板Acを載置し、この状態で再び断層画像D1を撮影する。このアクリル板Acは、透過しようとするX線の一部を透過させないので、被検体Mの体厚が厚くなったのと同じような効果を生み出すことができる。以降、図13左側に示すように、ファントムPhの上側に置かれるアクリル板Acの枚数を増やしながら断層画像D2,D3,D4を撮影していけば、体厚が異なる被検体Mをそれぞれ撮影したかのような断層画像を得ることができる。こうして得られた断層画像D0,D1,D2,D3,D4は、同じファントムPhを写し込んではいるものの、体厚値(標準偏差SD)が異なる。
アクリル板AcをファントムPhの上に置かない状態で撮影した断層画像D0を用いて従来通りのテクスチャ解析を行うと、何らかのテクスチャ解析指標が算出される。一方、アクリル板AcをファントムPhの上に置いた状態で撮影した断層画像D1を用いて従来通りのテクスチャ解析を行ってもテクスチャ解析指標は算出できる。ただし、断層画像D0で得られたテクスチャ解析指標と、断層画像D1で得られたテクスチャ解析指標とは一致しない。断層画像D0,D1により算出される体厚値(標準偏差SD)が異なり、この影響によりテクスチャ解析指標の値に食い違いが生じてしまうからである。従来通りのテクスチャ解析とは、一定の階調幅Wに基づいて同時生起行列を生成する解析をいう。
ここで、断層画像D1についてテクスチャ解析を施す時に同時生起行列を生成するときの階調幅Wを広くしてもう一度テクスチャ解析指標を生成してみる。すると、テクスチャ解析指標は、階調幅Wを広くしたことにより断層画像D0についてのテクスチャ解析指標の値に近づく。階調幅Wが広いとテクスチャ解析指標値が断層画像D1のノイズ成分の影響を受けなくなるからである。
階調幅Wを次第に広くしながら同じアクリル板Acありの断層画像D1についてテクスチャ解析を繰り返していくと、テクスチャ解析指標がアクリル板Acなしの断層画像D0についてのテクスチャ解析指標と同じになるときがくる。この時の階調幅Wは、当該断層画像D1のテクスチャ解析に適切な階調幅Wとなる。なお、階調幅Wをこれ以上広くすると、テクスチャ解析の手法が断層画像D0のものと不必要にかけ離れてしまう。このような事態は、テクスチャ解析指標の比較を行う上で問題を生じる可能性がある。テクスチャ解析指標の値同士が同じとは、断層画像D1に係るテクスチャ解析指標から断層画像D0に係るテクスチャ解析指標を除算して得られる数値が十分に1に近い状態をいう。
写り込むアクリル板Acの枚数が異なる断層画像D2,D3,D4の各々について、上述した階調幅Wの調整を行えば、断層画像D2,D3,D4の各々について適切な階調幅Wが算出される。
ところで、断層画像D0,D1,D2,D3,D4について標準偏差SDを個別に算出することができる。そこで、図13の右側に示すように一方の軸に標準偏差、もう一方の軸に適切な階調幅Wをとった座標系に各断層画像D0,D1,D2,D3,D4をプロットすることができるはずである。これらプロットは、直線をなす近似式上に整列していると考えることができる。図4におけるテーブルが示す幅値Waと標準偏差SDの関連性は、実は、このような算出方法により得られたものである。
このように、テーブルが示す標準偏差SDと階調幅Wとの関連性は、ある体厚の被検体を写し込み所定の標準偏差SDを有する断層画像Dをテクスチャ解析すると、得られるテクスチャ解析指標が基準となる断層画像D0についてのテクスチャ解析指標と同じとなるように定められている。
今回の実証では、各断層画像のプロットに基づき、W=0.0777SD−2.5915(R=0.9983)という近似式を得ることができた。テクスチャ解析指標のうち算出の対象となったのは、エントロピーである。なお、近似式を取得する際に算出された標準偏差SDおよび適切な階調幅Wは、断層画像全体から算出された。
<実際のテクスチャ解析への利用>
このようにして得られた幅値Waと標準偏差SDの関連性に基づいて、実際にテクスチャ解析を行ったのでこの結果について説明する。テクスチャ解析は、図14に示す大腿骨の異なる3つの部位について行われた。3つの部位とは、具体的には、主抗圧骨梁の分布域、主抗張骨梁の分布域、およびward三角である。主抗圧骨梁とは圧力が強くかかる骨梁のことであり、主抗張骨梁とは張力が強くかかる骨梁のことである。ward三角とは、大腿骨において骨梁が空いている特定の部位のことである。
図15の左側は、本発明に依らない従来の方式で断層画像Dにテクスチャ解析を行った結果を示している。従来の方式とは、同時生起行列の生成時における階調の幅を一定に定める方式のことである。図15の左側は、主抗圧骨梁、主抗張骨梁、ward三角についてのテクスチャ解析指標を6枚の異なる断層画像Dの間で比較をしている。テクスチャ解析指標のうち算出の対象となったのは、エントロピーである。この算出の対象は、上述のテーブルの作成で用いられたものと同じテクスチャ解析指標とするのが望ましい。6枚の断層画像Dには、アクリル板Acを設けない状態で撮影されたものが1枚、ファントムPhの上側に載置するアクリル板Acの厚さが1cm,2cm,3cm,4cm,5cmのそれぞれで撮影されたものが5枚ある。
撮影時のアクリル板Acの条件が異なる6枚の断層画像Dに写り込んでいるファントムPhはすべて同じものであるから、テクスチャ解析指標は、どの断層画像Dにおいても同じ値となるのが理想である。この点、図15の左側における主抗圧骨梁については、ほぼ理想通りとなっている。したがって、主抗圧骨梁について、従来の解析方法で得られるテクスチャ解析指標の信用性は高いとは言える。
しかし、主抗張骨梁、ward三角については、断層画像に写り込むアクリル板Acの枚数に依存してテクスチャ解析指標が変動してしまっている。したがって、主抗張骨梁、ward三角について、従来の解析方法で得られるテクスチャ解析指標の信用性は高いとは言えない。被検体Mの体厚の違いによりテクスチャ解析指標が変動してしまっているからである。テクスチャ解析指標の変動は、6枚の断層画像Dの間で体厚値(標準偏差SD)が異なることで生じていると考えられる。
図15の右側は、本発明の方式に従って断層画像Dにテクスチャ解析を行った結果を示している。本発明の方式とは、断層画像Dの体厚値(標準偏差SD)に応じて階調の幅を変える方式のことである。解析に使用した断層画像Dは、図15の左側に係る解析と同じ6枚の画像であり、テクスチャ解析指標のうち算出の対象となったのは、エントロピーである。なお、図15の左側における実証では、断層画像Dの被検体Mの軟組織像を解析して得られる標準偏差SDとが線形的な関係となるように階調の幅を決定している。
図15の右側によれば、本発明の方式の適用により主抗張骨梁、ward三角について、撮影時のアクリルの条件に依存したテクスチャ解析指標の変動が抑制されていることがわかる。したがって、主抗張骨梁、ward三角について、本発明に係る解析方法で得られるテクスチャ解析指標の信用性は高いとは言える。被検体Mの体厚の違いによりテクスチャ解析指標が変動しないからである。
一方、主抗圧骨梁については、上述の通り従来の解析方法で十分に信頼性の高いテクスチャ解析指標は得られている。この点、本発明の方式に従って主抗圧骨梁についてのテクスチャ解析を行ってみたところ、得られたテクスチャ解析指標が断層画像Dの間で大きく変動することはなかった。つまり、従来の解析方法に代えて本発明の解析方法を用いて主抗圧骨梁に対するテクスチャ解析を行ったとしても、テクスチャ解析指標の信頼性は低下しないというわけである。
これらのことからすると、従来の解析方法よりも本発明に係る解析方法を用いたほうが高い信頼性のテクスチャ解析指標が算出できるということが言える。
以上のように、本発明の構成によれば、被検体Mの体厚の違いが解析結果に影響しないテクスチャ解析の手法を具体的に示したものとなっている。すなわち、被検体Mの体厚が増えてノイズ成分が増えるに応じて広くなるように階調幅Wを設定しておく。この階調幅Wは、GLCM生成時において同一視する階調の幅を表している。つまり、本発明によれば被検体Mの体厚が増え、断層画像Daに含まれるノイズ成分が増えるとGLCMを構成する要素が少なくなるように工夫がされている。断層画像Dのノイズ成分が増えると、それだけ断層画像Dにおける画素値のバラつきが大きくなる。このような画像をテクスチャ解析するに当たり、従来構成のようにGLCMの要素を多くしたままだと、ノイズ成分に由来する画素値のバラつきもGLCMに表現されるので、テクスチャ解析指標はノイズ成分を加味した値となってしまう。
本発明の構成のように、画像のノイズ成分が多くなるほどGLCMを構成する要素を少なくするようにすると、ノイズ成分に由来する画素値のバラつきの影響が解析途中のGLCM生成時に吸収されて、テクスチャ解析指標には現れない。したがって、本発明の画像解析装置によれば、より信頼性の高いテクスチャ解析指標を算出することができるのである。
上述のようにバラツキ算出部12は、被検体Mの軟組織像を構成する画素の間で見られる画素値のバラツキの強度により標準偏差SDを算出すれば、より確実に標準偏差SDを算出することができる。被検体Mの軟組織像ではない骨像は、元来X線を透過しにくい骨の像であることから、体厚に関係なく多くのノイズ成分を含んでしまう。
上述したように、ある体厚の被検体を写し込み所定の標準偏差SDを有する断層画像Dをテクスチャ解析すると、得られるテクスチャ解析指標が基準となる断層画像Dについてのテクスチャ解析指標と同じとなるように定められた階調幅Wと標準偏差SDとの関連性により階調幅設定部14が動作すれば、階調幅設定部14は、実測結果に基づいて動作することになるので、より信頼性の高いテクスチャ解析指標が取得できる。
本発明の構成は、上述のものに限られず、下記のように変形実施が可能である。
(1)実施例1の構成では、標準偏差SDを基準として画像の体厚値を認識していたが、本発明はこの構成に限られない。標準偏差SDの代わりにコントラスト値を用いるようにしてもよい。その他、バラツキ算出部12は、画素値のバラつきの指標として、標準偏差SD以外の指標を算出するように構成を変更することができる。
(2)実施例1の構成では、断層画像Dを解析することにより画像の体厚値(標準偏差SD)を認識していたが、本発明はこの構成に限られない。入力部13を通じて術者より入力された情報または断層画像Dを構成する画像ファイルに埋め込まれた情報に基づいて実際の被検体Mの体厚または標準偏差SDを認識するようにしてもよい。このときの参照される情報としては、例えば、被検体Mの体厚の計測結果を示すものであってもよいし、術者の目分量を示すものであってもよい。また、例えば、被検体MのBMI値であってもよいし、撮影時におけるホトタイマの駆動状況を示すものであってもよい。本変形例によれば、バラツキ算出部12に代わり、体厚算出部が設けられている。体厚算出部は、上述の各種情報に基づいて被検体Mの体厚を算出する。本変形例によれば、体厚算出部は、術者の入力値に基づいて被検体Mの体厚を算出する。そして、階調幅設定部14は、被検体Mの体厚と階調幅Wとが関連したテーブルを参照しながら動作することになる。
(3)本発明の画像解析装置は、骨梁解析専用というわけではない。肺の気管支像についての解析、肺の構造解析、腫瘍の形状解析などの他の解析についても適用が可能である。
(4)本発明の画像解析装置は、常に同じテーブルを使用していたが、本発明はこの構成に限られない。解析の目的や目的の部位によって固有のテーブルを使用するようにしてもよい。本変形例によれば、例えばward三角の骨梁解析を行う時に、それ専用のテーブルが規定する体厚値(標準偏差SD)と幅値Waとの関連性に基づいてテクスチャ解析指標の算出がなされることになる。
(5)上述の説明では断層画像全域を解析することで図4のテーブルを算出していたが、本発明はこの構成に限られない。断層画像の軟組織やファントムが写り込んでいない背景領域などについて画像解析を行うことでテーブルを算出するようにしてもよい。
(6)本発明の画像処理装置は、解析対象の画像に対して単一のテクスチャ解析指標を算出するように構成してもよいし、複数のテクスチャ解析指標を同時に算出するように構成してもよい。
SD 標準偏差(体厚値)
13 入力部(入力手段)
14 階調幅設定部(階調幅設定手段)
15 行列生成部(同時生起行列生成手段)
16 テクスチャ解析指標算出部(指標算出手段)

Claims (7)

  1. 被検体に対する放射線撮影により得られる放射線画像を解析する画像解析装置であって、
    前記放射線画像に含まれる画素値の階調を複数の階調区間に区分けするときの各々の階調幅を設定する階調幅設定手段と、
    画素値が互いに所定の階調区間に属している2つの画素のペアであって画素同士が所定の距離だけ離間しているものが前記放射線画像の一部に設けられた解析範囲に何回現れるかを階調区間の組み合わせごとに数えて同時生起行列を生成する同時生起行列生成手段と、
    前記同時生起行列に基づいてテクスチャ解析指標を算出する指標算出手段とを備え、
    前記階調幅設定手段は、前記放射線画像に含まれるノイズ成分の増加に応じて広くなるように前記階調幅を設定することを特徴とする画像解析装置。
  2. 請求項1に記載の画像解析装置において、
    前記階調幅設定手段が前記被検体の体厚に基づいて前記ノイズ成分を推定することを特徴とする画像解析装置。
  3. 請求項2に記載の画像解析装置において、
    術者に前記体厚を入力させる入力手段を備えることを特徴とする画像解析装置。
  4. 請求項2に記載の画像解析装置において、
    前記放射線画像に写り込む被検体像を構成する画素値のバラツキの大きさに基づいて前記体厚を推定することを特徴とする画像解析装置。
  5. 請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像解析装置において、
    前記階調幅設定手段が参照する前記階調幅と前記ノイズ成分との関連性を記憶する記憶手段を備え、
    前記記憶手段が記憶する関連性は、ある体厚の被検体を写し込んだ放射線画像をテクスチャ解析すると得られるテクスチャ解析指標が基準となる放射線画像についてのテクスチャ解析指標と同じとなるように定められていることを特徴とする画像解析装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像解析装置によって算出された前記テクスチャ解析指標に基づいて、前記被検体の骨梁の指標を算出することを特徴とする骨梁解析装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像解析装置において、
    前記指標算出手段が算出する前記テクスチャ解析指標として、コリレーション、ディシミラレィティ、コントラスト、ホモジェネイティ、エントロピー、アングラーセカンドモーメント、バリアンス、インバースディファレンシャルモーメントのうちの1つまたは複数が選択されていることを特徴とする画像解析装置。
JP2014149805A 2014-07-23 2014-07-23 画像解析装置 Active JP6299504B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014149805A JP6299504B2 (ja) 2014-07-23 2014-07-23 画像解析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014149805A JP6299504B2 (ja) 2014-07-23 2014-07-23 画像解析装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016022256A true JP2016022256A (ja) 2016-02-08
JP6299504B2 JP6299504B2 (ja) 2018-03-28

Family

ID=55269580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014149805A Active JP6299504B2 (ja) 2014-07-23 2014-07-23 画像解析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6299504B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007524438A (ja) * 2003-03-25 2007-08-30 イメージング セラピューティクス,インコーポレーテッド 放射線画像処理技術における補償の方法
JP2013137627A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Olympus Corp 細胞輪郭線形成装置及びその方法、細胞輪郭線形成プログラム
WO2014097124A2 (en) * 2012-12-20 2014-06-26 Koninklijke Philips N.V. Quantitative imaging

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007524438A (ja) * 2003-03-25 2007-08-30 イメージング セラピューティクス,インコーポレーテッド 放射線画像処理技術における補償の方法
JP2013137627A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Olympus Corp 細胞輪郭線形成装置及びその方法、細胞輪郭線形成プログラム
WO2014097124A2 (en) * 2012-12-20 2014-06-26 Koninklijke Philips N.V. Quantitative imaging

Also Published As

Publication number Publication date
JP6299504B2 (ja) 2018-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6071144B2 (ja) 放射線画像解析装置および方法並びにプログラム
US9947101B2 (en) Radiographic image analysis device and method, and recording medium having program recorded therein
JP6515936B2 (ja) 骨解析装置
US10617378B2 (en) Radiation image processing device, method, and program configured to eliminate scattered radiation based on a virtual grid characteristic
CN105574828B (zh) 图像散射校正方法、装置及设备
CN106793983B (zh) X射线摄影装置
JP2015043959A5 (ja)
JP6670398B2 (ja) 暗視野又は位相コントラストx線撮像における特徴抑制
JP2008520315A (ja) X線システムでの散乱補償
US9980682B2 (en) Curved movable beam stop array and CBCT comprising thereof
US20210398254A1 (en) Image generation device, image generation method, and learned model generation method
JP5924232B2 (ja) 散乱線補正方法、画像処理装置および断層撮影装置
WO2013128891A1 (ja) 画像処理装置および方法
US11096645B2 (en) Bone mineral information acquisition apparatus, bone mineral information acquisition method, and bone mineral information acquisition program
JP2015126864A (ja) 放射線画像解析装置および方法並びにプログラム
JP2017051871A (ja) 放射線画像解析装置および方法並びにプログラム
JP6373952B2 (ja) 放射線画像解析装置および方法並びにプログラム
JP2019162359A5 (ja)
JP6299504B2 (ja) 画像解析装置
WO2016047711A1 (ja) 医療用x線測定装置及び方法
US20220287663A1 (en) Estimation device, estimation method, and estimation program
KR101676304B1 (ko) 산란선 대 일차선비를 이용한 영상 보정 방법 및 컴퓨터 판독가능한 기록 매체
JP6252750B2 (ja) 骨梁解析装置
JP6107627B2 (ja) 骨梁解析装置
WO2021153592A1 (ja) 画像処理装置、放射線撮影装置、画像処理方法及びプログラム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161005

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170724

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171006

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180130

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180212

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6299504

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151