JP2016022228A - コンピュータ、コンピュータで実行される方法、及びコンピュータプログラム、並びにフェイスボウ - Google Patents

コンピュータ、コンピュータで実行される方法、及びコンピュータプログラム、並びにフェイスボウ Download PDF

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Abstract

【課題】コンピュータ上に仮想咬合器のデータを作成するための、咬合器の作成不要な、安価で普及させやすい技術を提供する。【解決手段】診断装置は、位置データ生成部224と結合部226を備える。位置データ生成部224は、アッパーボウとバイトフォークとの相対的な位置を示す相対位置画像と、バイトフォークと患者の上顎歯列の位置関係を示す上部画像と、患者の上顎歯列と下顎歯列の位置関係を示す咬合画像とを用いて、第1位置データと第2位置データを生成する。結合部226は、モデル生成部223が生成した患者の上顎歯列と下顎歯列の3次元モデルを、第1位置データと第2位置データを用いて位置合せして、仮想咬合器を生成する。【選択図】図6

Description

本発明は、歯科の医療分野で用いるコンピュータに関し、特にはフェイスボウと組合せて用いられるコンピュータに関する。
歯科の分野でフェイスボウが用いられている。例えば、歯科補綴治療、顎関節症咬合治療、咬合診断を行う場合に、フェイスボウが用いられる。最も一般的なフェイスボウは、例えば、頭蓋の解剖学的基準面(例えば、頭蓋右側の眼窩下面と左右外耳道上縁とを結んだフランクフルト平面、以下単に「基準面」という場合がある。)と、上顎歯列或は上顎骨との相対的な角度を含めた位置関係を測定し記録するためのものである。
フェイスボウは、おおまかに、患者の頭蓋の中に想定される解剖学的基準面との関係を一意に決定して患者の顔に固定できるようになっているアッパーボウと、患者の上顎歯列に対してその固定の状態を記録しつつ固定できるようになっているバイトフォークと、アッパーボウと、バイトフォークとを、相対的な位置と角度を任意に位置決めして、その位置と角度を記録しつつ固定することができる接続手段と、を備えて構成される。
フェイスボウには幾つかの種類がある。
ある種のフェイスボウのアッパーボウは、例えば、メガネ形状をしている。アッパーボウは、使用時に顔の前に位置するメガネであればフレームに相当する本体部と、本体部の両側に取付けられたメガネであればテンプルに当たるテンプル部とを備えている。テンプル部の先端は、内側に曲折されるなどしており、患者の外耳道に挿入できるようになっている。本体部のアッパーボウの使用時における顔に近い側には患者の任意の鼻根凹部に固定することのできる維持装置が取付けられている。テンプル部の先端の位置は、基準面に対して、例えば前後左右に移動できるようになっている。また、上述の鼻根凹部に固定する維持装置も、上述の基準面に対して例えば前後、上下に移動できるようになっている。
フェイスボウの使用時においては、テンプル部の両先端が患者の両外耳道に、維持装置を鼻根凹部に固定する。この状態で、アッパーボウの本体部が予め定められた姿勢(例えば、頭蓋の基準面に対して平行)になるように調節する。アッパーボウはテンプル部の両先端と棒の先端という3つの部位により、頭蓋に対して、もっと言えば解剖学的基準面に対して一意に位置決めされる。
バイトフォークは、歯列咬合面に相当するU字型をした板状体であり、その上面に、モデリングコンパウンドやバイトワックスなどの例えば硬化性の物質である印記用ペーストを塗布するなどして、上顎歯列の下面に固定される。印記用ペーストに印記された上顎歯列の下面の形状により、バイトフォークと上顎歯列の関係を記録できる。
接続手段は、例えば複数の球体関節により接続された棒状体によって構成されており、アッパーボウと、バイトフォークとを、相対的な位置と角度を任意に位置決めして固定することができるようになっている。球体関節と棒状体には所定の目盛を付すなどされており、ある姿勢を取った接続手段の姿勢(例えば、ある球体関節とそれに接続された棒状体の位置や角度)を記録することができるようになっている。
フェイスボウのアッパーボウは上述のように、基準面に対して一意に位置決めすることができる。接続手段の一端に接続されたバイトフォークは、その他端にアッパーボウが接続された接続手段が、その姿勢を記録することができるようになっているので、間接的に、アッパーボウとの相対的な位置関係を記録できるようにされており、結果的に、基準面との相対的な位置関係を記録できるようにされている。そして、患者の上顎歯列の下面のバイトフォークに対する相対的な位置と角度は、印記用ペーストを介して記録できるようになっており、且つバイトフォークと基準面との相対的な位置関係は上述の如く記録できるようになっているので、結果として、基準面と患者の上顎歯列の位置と角度は、記録できることになる。
フェイスボウは、このようにして、個々の患者にユニークな、基準面と上顎歯列の相対的な位置関係を、角度を含めて記録する。
フェイスボウで測定された基準面と上顎歯列との相対的な位置関係についての記録は、一般に、咬合器にて利用される。咬合器では後述のように、患者の上顎歯列の模型と、下顎歯列の模型を組合せられるが、そこに患者の生体における上顎歯列と、下顎歯列の噛合わせを再現させるために、上述の記録が使われるのである。このように、生体の患者の噛合わせを咬合器に移す作業を一般に、フェイスボウトランスファーと称する。
咬合器は、頭蓋における上顎に相当する部材と下顎に相当する部材を備えている。頭蓋における上顎に相当する部材と下顎に相当する部材は、生体における上顎と下顎と同様に開閉できるように構成されており、且つ上顎に相当する部材に、例えば患者の歯の型取りにより正確に再現された患者の上顎歯列の模型を、下顎に相当する部材に、患者の下顎歯列の模型を取付けられるようになっている。
この状態で、フェイスボウで計測された上述の基準面と上顎歯列の下面の位置関係を咬合器上で再現することにより、咬合器に、患者の生体における基準面と上顎歯列の相対的な位置関係を再現することができるようになっている。
なお、患者の上顎歯列の下面と下顎歯列の上面の相対的な位置関係は、例えばマウスピースやコンパウンドを用いる周知の方法で患者の噛合わせの記録を行うことにより再現できる。咬合器の上顎に相当する部材に取付けた患者の上顎歯列の模型の下面に対して、上述の記録を用いて、咬合器の下顎に相当する部材に取付けた患者の下顎歯列の模型の上面の位置決めを行えば、咬合器に取付けられた上顎歯列の模型と下顎歯列の模型と基準面の相対的な位置関係は、生体の患者における上顎歯列の下面と、下顎歯列の上面と基準面の相対的な位置関係を反映させたものとなる。
上述の如く、咬合器を用いれば、患者の上顎歯列と、下顎歯列の基準面に対する相対的な位置関係を、正確に、咬合器上に再現できる。歯科医は、咬合器に取付けられた上顎歯列の模型と、下顎歯列の模型を用いて、咬合診断を行い、或いは歯科補綴治療、顎関節症咬合治療を行うに先立って必要なシミュレーション(義歯の噛合わせのテスト等)を行う等することができるようになる。
以上に説明したように、フェイスボウで測定された上顎歯列の下面と、基準面との相対的な関係は一般に、咬合器に取付けられる上顎歯列と基準面との関係が、生体の患者における基準面と上顎歯列との関係を正確に再現できるようにするために用いられていた。言い換えれば、フェイスボウは、もっぱら咬合器を正確に使いこなすための咬合器に従属的な装置という位置づけであり、治療や診断のために咬合器は不可欠であるというのが古くからの歯科業界における常識であった。
しかしながら近年のコンピュータ技術、特には画像処理技術の進化により、コンピュータ上に仮想咬合器(言い換えれば、それは、噛合わせも含めた患者の上顎歯列と下顎歯列の3次元画像である。)を再現する試みがなされている。仮想咬合器を用いれば、患者の歯列の模型を作らなくても良いので、診断と治療のスピードを増すことができるし、また、ある患者の診断や治療に用いられた仮想咬合器のデータ(電子データ)を例えば歯科医同士で持ち合うこともできるので、便利である。
しかしながら、コンピュータ上で仮想咬合器を用いる技術はそれほど普及していない。その理由は仮想咬合器のデータをコンピュータ上に作成する適当な技術が存在しないという点にある。
仮想咬合器のデータを作成するための方法として、例えば、以下の2つの方法が知られている。
まず第1の方法であるが、第1の方法では、従来と同様、一旦咬合器を作成し、咬合器から測定された数値を、コンピュータに入力することによって、仮想咬合器のデータが作られる。上述の数値は、例えば、上顎歯列の模型が取付けられる咬合器の上顎に相当する部材が、所定の基準となる点よりどれだけ前後、或いは上下に移動しているか、或いは上顎歯列の咬合面がどれだけ傾いているか、ということを示す数値である。
次に第2の方法であるが、この場合には咬合器を用いない。その代わりに、例えば、CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)撮像装置などで撮影した患者の頭部の3次元画像に、それとは別に3次元撮影した患者の上顎歯列と、下顎歯列の画像を合成することにより、仮想咬合器のデータを作るというものである。
しかしながら、上述の2つの方法をもってしても仮想咬合器のデータを用いての診断、治療が普及しない理由がある。
まず、第1の方法では、上顎歯列と下顎歯列のそれぞれの模型を作ることが必要であり、またそれらを用いて実際の咬合器を作ることが必要であるから、診断、治療のスピードを増すことができない。それどころか実際に咬合器を作るのであれば、仮想咬合器のデータを作ることは単に手間を増やすだけであるとの印象を歯科医に与えやすいから、歯科医に仮想咬合器のデータを利用することに対するモチベーションを与えにくい。
第2の方法では実際に咬合器を作ることはしないが、その代わりにCT撮像装置の如き患者の頭部の3次元撮影を行える装置が必要となる。そのような3次元撮影を行える装置は一般に非常に高価であり、歯科医院での普及率が高くない。したがって、そのような3次元撮影を行える装置の存在を前提とする第2の方法は、その普及が難しい。また、患者の頭部の3次元撮影は患者に放射線の被曝を強いることが殆どなので、患者のためにも好ましくない。
本願発明は、コンピュータ上に生体と仮想咬合器のデータを作成するための、実際に咬合器を作成することが不要な、安価で普及させやすい技術を提供することを、その課題とする。
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウであり、患者に正確に取付けられたものの画像を用いて、仮想の咬合器のデータである仮想咬合器データを生成することができる、仮想咬合器データ生成装置である。
本願発明の仮想咬合器データ生成装置は、上顎歯列の画像である上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データ、下顎歯列の画像である下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データ、前記バイトフォークと上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である上部画像のデータである上部画像データ、前記アッパーボウと前記バイトフォークとがまとめて映り込んだものであり、前記アッパーボウと前記バイトフォークとの角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である相対位置画像のデータである相対位置画像データ、及び上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である咬合画像のデータである咬合画像データを受付けるための、受付手段と、前記受付手段から受付けた上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するとともに、前記受付手段から受付けた下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成する、モデル生成手段と、前記受付手段から受付けた上部画像データ、及び相対位置画像データから、生体の患者における前記基準面に対する角度を含めた上顎歯列の相対的な位置を求めて、仮想の基準面である仮想基準面に対する前記上顎歯列モデルの位置についてのデータである第1位置データを生成するとともに、前記受付手段から受付けた咬合画像データから、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を求めて、前記上顎歯列モデルに対する前記下顎歯列モデルの位置についてのデータである第2位置データを生成する、位置データ生成手段と、前記モデル生成手段から、前記上顎歯列モデルデータと、前記下顎歯列モデルデータとを受取るとともに、前記位置データ生成手段から、前記第1位置データと、前記第2位置データとを受取り、生体における基準面に対する上顎歯列と下顎歯列の相対的な位置関係を、前記第1位置データと、前記第2位置データを用いて、仮想基準面に対する上顎歯列モデルと下顎歯列モデルの位置関係に再現するようにして、前記仮想咬合器データを生成する、連結手段と、を備えている。
この仮想咬合器データ生成装置は、受付手段から入力された上顎歯列の画像である上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データと、下顎歯列の画像である下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データとを用いて、仮想咬合器のデータである仮想咬合器データを生成する。具体的には、本願発明の仮想咬合器データ生成装置は、受付手段から受付けた上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するとともに、受付手段から受付けた下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成する、モデル生成手段を備えている。この仮想咬合器データ生成装置では、モデル生成手段が生成した上顎歯列モデルデータに基づく上顎歯列モデルと、下顎歯列モデルデータに基づく下顎歯列モデルとを、仮想咬合器における、一般的な咬合器における上顎歯列の模型と下顎歯列の模型の代わりになるものとして用いる。それにより、この仮想咬合器データ生成装置を用いれば、上顎歯列の模型も、下顎歯列の模型も必要ない。
ここで、上顎歯列モデルと下顎歯列モデルとを用いて仮想咬合器データを生成するには、上顎歯列モデルと下顎歯列モデルとが角度を含めてどのような位置関係となるかを、患者の生体における上顎歯列と下顎歯列の角度を含む位置関係を正確に再現するようにして決定しなければならず、言い換えれば、上顎歯列モデルと下顎歯列モデルとを患者の上顎歯列と下顎歯列に対応するようにして、位置合わせしなければならない。
この仮想咬合器データ生成装置では、上顎歯列モデルと下顎歯列モデルの上述の位置合わせを、前記バイトフォークと上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である上部画像のデータである上部画像データと、前記アッパーボウと前記バイトフォークとがまとめて映り込んだものであり、前記アッパーボウと前記バイトフォークとの角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である相対位置画像のデータである相対位置画像データと、上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である咬合画像のデータである咬合画像データとを用いて行う。それを可能とするために、この仮想咬合器データ生成装置の受付手段は、上顎歯列画像データと下顎歯列画像データとの入力に加え、それらの位置合わせに用いられる上述の3種類のデータをも受付けられるものとされている。なお、本願発明の仮想咬合器データ生成装置で実行される処理は、概ねアッパーボウから現実の咬合器にフェイスボウトランスファーを行うときの手順に倣っているが、相対位置画像データに基づく画像処理によって、アッパーボウとバイトフォークの相対的な位置関係を特定してしまうという点は、従来のフェイスボウトランスファーの考え方にはまったくない。しかも、上述の如き相対位置画像を用いてアッパーボウとバイトフォークの相対的な位置関係を特定することにより、従来は必要であったアッパーボウとバイトフォークとを接続する接続手段がいらなくなる。かかる手法により、本願発明は、CT撮像装置のような高価な装置がなくとも、歯科医師に過大な労力を使わせることなく、簡単に仮想咬合器データを生成できるものとなる。
本願発明の仮想咬合器データ生成装置において、上述の位置合わせに用いられるデータを生成するのが、位置データ生成手段である。位置データ生成手段は、上部画像データ、及び相対位置画像データから、生体の患者における前記基準面に対する角度を含めた上顎歯列の相対的な位置を求めて、仮想の基準面である仮想基準面に対する前記上顎歯列モデルの位置についてのデータである第1位置データを生成する。第1位置データは、実際の咬合器では、基準面に対して上顎歯列の模型の位置を決定するための情報に相当する。位置データ生成手段は、また、咬合画像データから、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を求めて、前記上顎歯列モデルに対する前記下顎歯列モデルの位置についてのデータである第2位置データを生成する。第2位置データは、実際の咬合器では、上顎歯列の下面に対して下顎歯列の上面の位置を決定するための情報に相当する。
そして、本願発明の仮想咬合器データ生成装置では、連結手段が、第1位置データと第2位置データを用いて、上顎歯列モデルと、下顎歯列モデルの位置合わせを行うことにより、仮想咬合器データを生成する。
本願発明の仮想咬合器データ生成装置は以上のようなものなので、手軽に、安価に、仮想咬合器データを生成することができるという効果を得ることができる。つまり、本願の仮想咬合器データ生成装置によれば、仮想咬合器データを生成するに当たり、既に述べたように上顎歯列の模型と下顎歯列の模型の作成の必要がなく、また、頭部の3次元撮影を行うための高価な装置の導入を歯科医に強いることもないし、頭部の3次元撮影による被曝を患者に強いることもない。
なお、本願における上顎歯列画像、下顎歯列画像、上部画像、咬合画像、相対位置画像はすべて、2次元画像であっても、3次元画像であっても構わない。以下に説明する下部画像も同様に、2次元画像であっても、3次元画像であっても構わない。
本願の仮想咬合器データ生成装置で用いられる前記咬合画像は、上述したように、患者の上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像であるが、それは例えば、患者の上顎歯列と下顎歯列の噛合わせ部分を撮像した画像であっても構わないし、患者の上顎歯列と下顎歯列との間で咬合された、上顎歯列と下顎歯列の形状を印記できる印記用ペーストの画像であっても構わない。
いずれの画像を用いても、患者の上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を再現可能に記録することができる。
例えば、上顎歯列と下顎歯列の形状を印記できる印記用ペーストの画像を口腔外で撮像する場合は、汎用されている歯科技工用の3次元画像撮像装置を用いて、3次元画像である咬合画像を撮像することができる。
相対位置画像は上述のように、アッパーボウとバイトフォークとがまとめて映り込んだものであり、アッパーボウとバイトフォークとの角度を含めた相対的な位置関係を示す画像であれば、その詳細を問わない。
前記相対位置画像は、前記アッパーボウとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにして前記アッパーボウに取付けられた第1参照体と、前記バイトフォークとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにして前記バイトフォークに取付けられた第2参照体とが、前記アッパーボウ及び前記バイトフォークとともに映り込んだ画像であってもよい。第1参照体とアッパーボウの関係が固定であり、第2参照体とバイトフォークの関係が固定であれば、第1参照体と第2参照体の相対的な位置を特定するだけで、簡単に、アッパーボウとバイトフォークの相対的な位置関係を特定できる。そして、第1参照体と第2参照体が存在すれば、アッパーボウとバイトフォークの相対的な位置関係の特定は、簡単な画像処理によってこれを行うことができる。
この場合、前記位置データ生成手段は、前記第1参照体と前記アッパーボウとの予め定められた前記位置関係と、前記第2参照体と前記バイトフォークとの予め定められた前記位置関係とについてのデータを用いて、前記相対位置画像に対して画像処理を行うことにより、前記アッパーボウと、前記バイトフォークとの角度を含めた位置関係を検出するようになっていても良い。
前記相対位置画像は、複数の方向から撮像された前記第1参照体及び前記第2参照体が映り込んだ少なくとも2つの2次元画像であり、前記相対位置画像データは少なくとも2つの前記相対位置画像についてのデータであってもよい。これによれば、普通のカメラで撮像できる2次元画像によって相対位置画像を撮像することができる。
前記相対位置画像は、前記第1参照体及び前記第2参照体が映り込んだ少なくとも1つの3次元画像であり、前記相対位置画像データは少なくとも1つの前記相対位置画像についてのデータであってもよい。これによれば、3次元画像を撮像するためのカメラが必要ではあるものの、画像の枚数を減らすことができる。
本願発明者は、以上の仮想咬合器データ生成装置と同様の効果を得られる以下の方法をも提供する。
その方法は、患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウであり、患者に正確に取付けられたものの画像を用いて、仮想の咬合器のデータである仮想咬合器データを生成することができる、コンピュータを有する仮想咬合器データ生成装置で実行される仮想咬合器データ生成方法である。
そしてこの方法は、前記コンピュータが実行する、上顎歯列の画像である上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データ、下顎歯列の画像である下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データ、前記バイトフォークと上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である上部画像のデータである上部画像データ、前記アッパーボウと前記バイトフォークとがまとめて映り込んだものであり、前記アッパーボウと前記バイトフォークとの角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である相対位置画像のデータである相対位置画像データ、及び上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である咬合画像のデータである咬合画像データを受付ける、受付過程と、前記受付過程で受付けた上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するとともに、前記受付過程で受付けた下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成する、モデル生成過程と、前記受付過程で受付けた上部画像データ、及び相対位置画像データから、生体の患者における前記基準面に対する角度を含めた上顎歯列の相対的な位置を求めて、仮想の基準面である仮想基準面に対する前記上顎歯列モデルの位置についてのデータである第1位置データを生成するとともに、前記受付過程で受付けた咬合画像データから、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を求めて、前記上顎歯列モデルに対する前記下顎歯列モデルの位置についてのデータである第2位置データを生成する、位置データ生成過程と、前記モデル生成過程で生成された前記上顎歯列モデルデータ、及び前記下顎歯列モデルデータと、前記位置データ生成過程で生成された前記第1位置データ、及び前記第2位置データとにより、生体における基準面に対する上顎歯列と下顎歯列の相対的な位置関係を、仮想基準面に対する上顎歯列モデルと下顎歯列モデルの位置関係に再現するようにして、前記仮想咬合器データを生成する、連結過程と、を含む。
本願発明者は、以上の仮想咬合器データ生成装置と同様の効果を得られる以下のコンピュータプログラムをも提供する。
そのコンピュータプログラムは、患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウであり、患者に正確に取付けられたものの画像を用いて、仮想の咬合器のデータである仮想咬合器データを生成することができる、仮想咬合器データ生成装置として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
そしてこのコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、上顎歯列の画像である上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データ、下顎歯列の画像である下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データ、前記バイトフォークと上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である上部画像のデータである上部画像データ、前記アッパーボウと前記バイトフォークとがまとめて映り込んだものであり、前記アッパーボウと前記バイトフォークとの角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である相対位置画像のデータである相対位置画像データ、及び上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である咬合画像のデータである咬合画像データを受付けるための、受付手段と、前記受付手段から受付けた上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するとともに、前記受付手段から受付けた下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成する、モデル生成手段と、前記受付手段から受付けた上部画像データ、及び相対位置画像データから、生体の患者における前記基準面に対する角度を含めた上顎歯列の相対的な位置を求めて、仮想の基準面である仮想基準面に対する前記上顎歯列モデルの位置についてのデータである第1位置データを生成するとともに、前記受付手段から受付けた咬合画像データから、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を求めて、前記上顎歯列モデルに対する前記下顎歯列モデルの位置についてのデータである第2位置データを生成する、位置データ生成手段と、前記モデル生成手段から、前記上顎歯列モデルデータと、前記下顎歯列モデルデータとを受取るとともに、前記位置データ生成手段から、前記第1位置データと、前記第2位置データとを受取り、生体における基準面に対する上顎歯列と下顎歯列の相対的な位置関係を、前記第1位置データと、前記第2位置データを用いて、仮想基準面に対する上顎歯列モデルと下顎歯列モデルの位置関係に再現するようにして、前記仮想咬合器データを生成する、連結手段と、して機能させるためのものである。
本願発明者は、以上で説明した仮想咬合器データ生成装置と組合せて用いることのできる以下のフェイスボウをも本願発明の一態様として提案する。
その一例は、患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウである。そしてこのフェイスボウの前記アッパーボウには、前記アッパーボウとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにされた第1参照体が取付けられているとともに、前記バイトフォークには、前記バイトフォークとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにされた第2参照体が取付けられており、前記第1参照体と前記第2参照体がともに映り込むようにして撮影された前記アッパーボウ及び前記バイトフォークの画像に基き、前記第1参照体と前記アッパーボウの相対的な位置関係と、前記第2参照体と前記バイトフォークの相対的な位置関係と、前記第1参照体と前記第2参照体の相対的な位置関係とを用いて、前記アッパーボウの前記バイトフォークに対する角度を含めた相対的な位置関係を求められるようになっている。
前記第1参照体と前記第2参照体の少なくとも一方は、前記アッパーボウ又は前記バイトフォークのいずれかと接続された透明体に設けられた文字、記号、又は図形であっても良い。第1参照体と第2参照体とが設けられる物を透明体とすべきなのは、当該物が不透明なときに比べ、当該物が透明体であるのであれば、当該物に隠れて、アッパーボウとバイトフォークが相対位置画像に映り込まなくなるという事態を発生し難いからである。透明体は例えば板状であっても良い。この場合、板状の透明体はすべての部分で厚さが同じであっても良い。厚さが異なる透明体であれば、レンズとして機能することもあり得るので、相対位置画像中の透明体の後ろ側に位置するアッパーボウやバイトフォークの像が歪む可能性があるからである。そのような歪みは、画像処理によってアッパーボウとバイトフォークの相対的な位置を特定することの障害となるため、透明体がレンズとして機能しないようにすることには利益がある。
前記第1参照体と前記第2参照体の少なくとも一方は、前記アッパーボウ又は前記バイトフォークのいずれかと接続された球体であってもよい。これによっても、アッパーボウとバイトフォークの相対的な位置関係を画像処理によって特定することができる。第1参照体とアッパーボウの接続と、第2参照体とバイトフォークの接続は、例えば、所定の長さの棒状体によって行うことができる。
本願発明者はまた、既存のフェイスボウを、仮想咬合器データ生成装置と組合せて用いることのできる上記フェイスボウとして機能させるために好適な以下のアタッチメントも、本願発明の一態様として提案する。
そのアタッチメントは、患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウに取付けられるものであり、前記アッパーボウに、前記アッパーボウとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにして取付け可能とされた第1参照体と、前記バイトフォークに、前記バイトフォークとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにして取付可能とされた第2参照体と、を含んでおり、前記第1参照体と前記第2参照体がともに映り込むようにして撮影された前記アッパーボウ及び前記バイトフォークの画像に基き、前記第1参照体と前記アッパーボウの相対的な位置関係と、前記第2参照体と前記バイトフォークの相対的な位置関係と、前記第1参照体と前記第2参照体の相対的な位置関係とを用いて、前記アッパーボウの前記バイトフォークに対する角度を含めた相対的な位置関係を求められるようにするための、フェイスボウ用アタッチメントである。
本願発明者はまた、以下のような下顎運動記録装置をも提案する。
その一例は、患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、下顎運動記録装置である。
そしてこの下顎運動記録装置は、ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録した記録手段と、前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付手段と、リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段と、前記第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定手段と、前記第2受付手段で受付けた運動データと、前記記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像上に、前記リファレンスポジション特定手段で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いた、患者の下顎運動を示すマークを書込む描画手段と、を備えている。
下顎は、ヒンジ様の顎関節を中心とした頭蓋に対する回転運動だけでなく、頭蓋に対して、前後、左右に動くため、患者の噛合わせをより精度よく再現するには、下顎運動を記録することが好ましい。そのような点から、患者の下顎運動を記録する試みがなされている。そしてそのために、患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、下顎運動記録装置が用いられている。もっとも汎用的な下顎運動記録装置は、患者の頭蓋に想定される基準面に対して一意に固定されるフラッグと、患者の下顎歯列に対して固定されるアンダーボウに設けられたスタイラスとを用いて、下顎の動きに従って動くスタイラスとフラッグの相対的な位置関係から、下顎の頭蓋に対する運動を検出するようになっている。
しかしながら、下顎の頭蓋に対する運動である下顎運動を、例えば、フラッグとスタイラスとを用いて検出し、そのデータを記録したとしても、それを実際の咬合器上で再現することは大変難しい。下顎運動を再現するための道具として、一般的には、左右顎関節による下顎運動の軌跡を、左右それぞれの下顎頭中心位から約12ミリ前方位までの角度と、その軌跡の曲線を任意の複数種類のバリエーションで設定した半調節性咬合器が用いられているが、上述の曲線は多数の人間から算出した平均値でしかないので、それにより再現される下顎運動は各患者にユニークなそれを、正確に写しとったものとは言い難い。また同様にコンピュータ上の仮想咬合器であっても、生体の下顎運動を再現するための適当な手法も存在しない。
本願の下顎運動記録装置は、第2受付手段で受付けた運動データと、記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像上に、患者の下顎運動を示すマークを書込む描画手段を備えている。かかる描画手段が描画を行った仮想咬合器の3次元画像を、例えば下顎運動記録装置に接続されたディスプレイに表示させることによって、それを見た歯科医師は、下顎運動検出装置が検出した患者の下顎運動を、直感的に、正確に把握できるようになる。もっとも、上述のマークの位置が正確でないと、歯科医師の把握した患者の下顎運動が正確であることが保証されない。それを、この下顎運動記録装置では、リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段と、第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、運動データから特定するリファレンスポジション特定手段と、により担保している。ある瞬間におけるリファレンス画像により特定される下顎の位置を、仮想咬合器における下顎歯列のリファレンスポジション(初期位置、或いは基準位置)として用いることで、時間的に連続して入力される運動データにより仮想咬合器の画像に順次付されていくマークの位置の調整を行うことができる。リファレンス画像は、例えば、患者の頭部或いは基準面に対する下顎(或いは下顎歯列)の相対的な位置を把握できる画像であれば良く、例えば、アッパーボウとローワーボウの相対的な位置関係を特定できるような画像、がその一例となる。
この下顎運動記録装置と同様の効果を、例えば以下の方法によって得ることもできる。
その方法は、患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、コンピュータを含む下顎運動記録装置で実行される下顎運動記録方法である。
そしてこの方法は、前記コンピュータが実行する、ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録する記録処理と、前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付処理と、リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付処理と、前記第3受付処理で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定処理と、前記第2受付処理で受付けた運動データと、前記記録処理で記録された後に読み出された仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像上に、前記リファレンスポジション特定処理で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いた、患者の下顎運動を示すマークを書込む描画処理と、を含む。
上述の下顎運動記録装置と同様の効果を、例えば以下のコンピュータプログラムによって得ることもできる。
そのコンピュータプログラムは、患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、下顎運動記録装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
そしてそのコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録した記録手段、前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付手段、リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段、前記第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定手段、前記第2受付手段で受付けた運動データと、前記記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像上に、前記リファレンスポジション特定手段で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いた、患者の下顎運動を示すマークを書込む描画手段、として機能させる。
下顎運動記録装置の他の例として、本願発明者は、以下のような発明を提案する。
この下顎運動記録装置は、患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、下顎運動記録装置である。
そしてこの下顎運動記録装置は、ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録した記録手段と、前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付手段と、リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段と、前記第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定手段と、前記第2受付手段で受付けた運動データと、前記記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像における下顎を、前記リファレンスポジション特定手段で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いて、患者の下顎運動を再現するようにアニメーションにより下顎運動させる動画処理手段と、を備えている。
この下顎運動記録装置は、上述の下顎運動記録装置が仮想咬合器の画像上にマークを書込む描画手段を備えていたのに対し、描画手段に代えて、仮想咬合器の画像において下顎を、アニメーションにより下顎運動させる動画処理手段を備えている。動画処理手段が生成したデータに基づく仮想咬合器のアニメーションによる動画を、例えば下顎運動記録装置と接続されたディスプレイ上に表示させ、歯科医師にそれを見せることにより、歯科医師は、下顎運動検出装置が検出した患者の下顎運動を、直感的に、正確に把握できるようになる。もっとも、アニメーションにより動く仮想咬合器の画像上の下顎の位置が正確でないと、歯科医師の把握した患者の下顎運動が正確であることが保証されない。それを、この下顎運動記録装置では、上述の下顎運動記録装置の場合と同様の方法で、リファレンス画像を用いて保証している。
この下顎運動記録装置と同様の効果を、例えば以下の方法によって得ることもできる。
その方法は、患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、コンピュータを含む下顎運動記録装置で実行される下顎運動記録方法である。
そしてその方法は、前記コンピュータが実行する、ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録する記録処理と、前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付処理と、リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付処理と、前記第3受付処理で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定処理と、前記第2受付処理で受付けた運動データと、前記記録処理で記録された後に読み出された仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像における下顎を、前記リファレンスポジション特定処理で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いて、患者の下顎運動を再現するようにアニメーションにより下顎運動させる動画処理と、を含む。
上述の下顎運動記録装置と同様の効果を、例えば以下のコンピュータプログラムによって得ることもできる。
そのコンピュータプログラムは、患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる下顎運動記録装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムである。
そして、そのコンピュータプログラムは、前記コンピュータを、ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録した記録手段と、前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付手段と、リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段と、前記第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定手段と、前記第2受付手段で受付けた運動データと、前記記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像における下顎を、前記リファレンスポジション特定手段で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いて、患者の下顎運動を再現するようにアニメーションにより下顎運動させる動画処理手段、として機能させる。
一実施形態によるフェイスボウの全体構成を示す斜視図。 図1に示したフェイスボウに含まれるアンダーボウの構成を示す斜視図。 図1に示したフェイスボウのアッパーボウとアンダーボウを組み合わせた状態を示す斜視図。 一実施形態における診断装置の外観を示す斜視図。 図4に示した診断装置の本体のハードウエア構成図。 図4に示した診断装置の本体の内部に生成される機能ブロックを示すブロック図。 リファレンスポジション決定部が行うアッパーボウと下バイトフォークとの位置の特定のための処理の一部を概念的に説明する図。 リファレンスポジション決定部が行うアッパーボウと下バイトフォークとの位置の特定のための処理の一部を概念的に説明する図。
以下、本発明の好ましい一実施形態を説明する。
まず、この実施形態において使用されるフェイスボウ100について説明する。
フェイスボウ100は、仮想咬合器のデータである仮想咬合器データを作成するときに使われる。また、フェイスボウ100は、仮想咬合器データを利用して患者の下顎運動を記録するときにも使われる。フェイスボウ100は、これら2つの場合に使われるが、それぞれの場合でその態様が異なる。
まず、仮想咬合器データの作成に用いられる場合におけるフェイスボウ100について説明を行う。その場合のフェイスボウ100は、図1の斜視図に示したように構成されている。
この場合のフェイスボウ100は、フェイスボウトランスファーに用いられる公知のフェイスボウと同様に、アッパーボウ110、バイトフォーク120を備えている。通常のフェイスボウ100はアッパーボウ110とバイトフォーク120とを接続する接続部材を備えているが、この実施形態のフェイスボウ100は接続部材を備えない。接続部材を備えないという点を除けば、この実施形態のフェイスボウ100は、基本的には、公知の一般的なもので良いが、後述するようにアッパーボウ110には第1参照体が、バイトフォーク120には第2参照体がそれぞれ付属される点で、公知のフェイスボウとは異なる。
アッパーボウ110は、患者の頭部に対する角度も含めた位置調整が可能となっており、患者の頭部に、患者の頭部に想定される所定の基準面との位置関係を一意に決定した状態で固定可能とされている。
これには限られないが、この実施形態で説明するアッパーボウ110は、全体として、メガネ様の構成をしている。アッパーボウ110は、メガネのフレーム様の形状をした本体部111を備えている。本体部111は、レンズは入ってはいないが、メガネのフレームに相当するこれには限らないが円環状とされた左右2つのフレーム部111Aと、両フレーム部111Aを繋ぐブリッジ部111Bと、両フレーム部111Aの外側から水平に伸びる智111Cと、を備えて構成されている。
ブリッジ部111Bには、その内周面にネジ切りのされた図示せぬ孔が穿たれており、その孔には、ネジ111B1を螺合させられるようになっている。
智111Cには、その長さ方向の略全長にわたる孔である長孔111C1が設けられている。
この実施形態のアッパーボウ110では、フレーム部111Aの一方、これには限られないが、左側のフレーム部111Aの下部には、取付部111Dが取付けられている。取付部111Dにはそれを上下に貫通するネジ111Eが取付けられており、ネジ111Eの下端には、支持ブロック112が取付けられている。支持ブロック112は、ネジ111Eを回転させることで、ネジ111Eを軸として回転できるようになっている。もっともこの回転はある程度大きな力を加えない限り生じないようにされている。
支持ブロック112は、位置決め棒113を固定するためのものである。支持ブロック112には前後方向にわたる孔(図示を省略。)が穿たれている。支持ブロック112には、また、それを前後方向に貫く上述の孔に対して垂直なその内周面にネジ切りのされた孔(図示を省略。)が穿たれており、その孔にはネジ112Aが螺合されている。位置決め棒113は、フェイスボウ100の使用時に概ね水平を保つ水平部113Aと、フェイスボウ100の使用時に概ね垂直を保つ垂直部113Bとからなる。垂直部113Bの上端はフェイスボウ100の使用時において、患者の鼻に対して押し当てられる位置決め用の球体113B1がその上端に取付けられている。位置決め棒113は、その水平部113Aを支持ブロック112を前後に貫く上述の孔に挿入されている。位置決め棒113の水平部113Aは、孔の中を前後に移動できるように、且つその中心を軸として軸周りに回転できるようにされている。水平部113Aは、回転させることにより締められたネジ112Aの先端と当接するようにされている。回転させることによりネジ112Aを締めると、水平部113Aは、支持ブロック112を前後方向に貫く上述の孔の内面とネジ112Aとの間で挟持され、任意の前後方向の位置、及び任意のその軸周りの角度を保ったまま、支持ブロック112に対して固定できるようになっている。ネジ112Aを緩めれば、当然その固定は解除される。
支持ブロック112が取付部111Dに対して略水平方向で回転可能であることも考慮すれば、位置決め棒113の垂直部113Bは、支持ブロック112を中心に水平方向で回転することができ、また支持ブロック112に対して前後動することができ、またその軸周りに回転できることになる。
智111Cには、一般的なメガネのテンプルと同様に、フェイスボウ100の使用時には患者の両耳にかけられるテンプル114が取付けられている。テンプル114は、智111C寄りの前テンプル部114Aと、前テンプル部114Aに取付けられた後テンプル部114Bとからなる。
前テンプル部114Aの前面には、図示を省略のその内周面にネジ切りのされた穴がテンプル114の長さ方向に向けて穿たれている。智111Cに設けられた長孔111C1は、ネジ114A1に貫かれており、且つネジ114A1の先端は前テンプル部114Aの前面に穿たれた上述の孔に螺合されている。ネジ114A1が緩められた状態では、ネジ114A1と前テンプル部114Aは(要するに、テンプル114は)、長孔111C1に沿って略水平方向に移動できるようになっている。ネジ114A1を回転させて締めると、智111Cは、ネジ114A1の前側に設けられた頭部の後面と前テンプル部114Aの前面との間で挟持された状態となる。つまり、テンプル114は、智111Cの長さ方向に沿って移動可能であり、任意の位置で智111Cに固定することができる。
後テンプル部114Bは、前テンプル部114Aに対して前後動することができるようになっており、それによりテンプル114の全長が変化させられるようになっている。後テンプル部114Bを前テンプル部114Aに対して前後させられるようにするための機構としてはどのようなものを採用しても構わないが、この実施形態ではいわゆるラック・アンド・ピニオン構造を採用している。図示を省略するが、前テンプル部114Aには前テンプル部114Aの長さ方向に沿うラックが内蔵されており、また、後テンプル部114Bに取付けられたネジ114B1にはこれも図示を省略するがピニオンが取付けられている。ネジ114B1を回転させることにより、ラックと噛み合ったネジ114B1がラックに対して前後動するので、後テンプル部114Bが前テンプル部114Aに対して前後動する。
後テンプル部114Bには、フラッグ115が着脱自在として取付けられている。フラッグ115は、後述するスタイラスとの協働により、下顎運動を記録する際に用いられる後述のフェイスボウを、本願発明における下顎運動検出装置として機能させるという機能をその主な機能とする。したがって、フラッグ115は、フェイスボウ100が仮想咬合器データの作成に用いられるときには後テンプル部114Bから外されていてもよい。
フラッグ115は面状のセンサ部115Aとそれを囲む枠115Bとから構成されている。フラッグ115は、ネジ115Cを介して後テンプル部114Bに対してネジ止めすることにより、後テンプル部114Bに対して着脱自在に固定できるようになっている。センサ部115Aは、後述するスタイラスの針状部に接触された部位を検出し、その部位についての運動データを略実時間で連続的に出力できるようになっている。フラッグ115は、ケーブル115Dと接続されており、その先端は後述するコンピュータと接続されるようになっている。運動データは、ケーブル115Dを介してコンピュータに送られるようになっている。
フラッグ115は、また、複数の、この実施形態ではこれには限られないが、4つの第3参照部材115Eが設けられている。4つの第3参照部材115Eのセンサ部115Aに対する角度を含めた相対的な位置関係は、予め定められたものとなっている。各第3参照部材115Eは、球状の第3参照体115E1と、その第3参照体115E1を枠115Bの四隅のいずれかと接続する、これには限られないがこの実施形態では棒状とされた棒状体115E2とを有している。
以上説明したアッパーボウ110は一般的なアッパーボウであるが、この実施形態のアッパーボウ110には、本願におけるアタッチメントの一部をなす第1参照部材116が取付けられている。
第1参照部材116は、透明体によって構成された第1本体部材116Aを備えている。第1本体部材116Aは、透明な樹脂又は透明なガラスによって構成されている。第1本体部材116Aは、これには限られないが板状であり、これには限られないがその厚さはそのすべての部分で等しくされている。第1本体部材116Aは、これには限られないが全体としては矩形であり、その下方には、これには限られないがこの実施形態では二等辺三角形状とされた切欠き部116A1が形成されている。切欠き部116A1は、バイトフォーク120を患者が咥えた場合に、バイトフォーク120と後述する第2参照部材とを接続する後述する接続部と第1本体部材116Aとが干渉しないようにするためのものである。
第1参照部材116には、複数の第1参照体116Bが設けられている。第1参照体116Bの数は、この限りではないが、この実施形態では4つである。これには限られないが、第1参照体116Bは、第1本体部材116Aの四隅に設けられている。第1参照体116Bは、例えば、文字、記号、図案などとすることができる。この実施形態では、第1参照体116Bは、円形の図案となっている。
第1参照部材116は、もっと言えば、第1参照体116Bは、アッパーボウ110との角度を含めた位置関係が予め定められた特定の関係となるようになっている。この実施形態では、第1本体部材116Aの切欠き部116A1の上側には、図示せぬ孔が穿たれており、その孔をアッパーボウ110のブリッジ部111Bに取付けられたネジ111B1に貫通させることにより、アッパーボウ110に固定的に取付けられるようになっている。ネジ111B1を締めることにより、ブリッジ部111Bに近づくネジ111B1の頭部と、ブリッジ部111Bとの間で、第1本体部材116Aが挟持されることにより、第1参照部材116は、アッパーボウ110に取付けられるのである。なお、アッパーボウ110に対して固定を行うときにおける第1参照部材116のネジ111B1に貫かれた上記孔に対する角度を予め定めた角度としておけば(例えば、第1本体部材116Aの上辺と智111Cの上辺とを平行に保つようにしておけば)、第1参照部材116乃至第1参照体116Bのアッパーボウ110に対する角度を含めた位置関係は、常に同じ特定の関係となることになる。
なお、上述のようにして第1参照部材116はアッパーボウ110に対して取付けられるが、取付けられた第1参照部材116の第1本体部材116Aとアッパーボウ110の何らかの部品(例えばネジ114A1)が干渉するのであれば、その干渉を避けるために、第1本体部材116Aに、切欠き部116A1の如き適当な切欠きを追加するなど適宜行えば良い。
バイトフォーク120は、フェイスボウ100の使用時において、患者の上顎歯列の下面に固定されるものである。バイトフォーク120は、患者の上顎歯列の下面に固定されるバイトフォーク本体121を備えている。バイトフォーク本体121は、通常のフェイスボウであれば、アッパーボウ110とバイトフォーク120との接続をなすための部材である接続部材の下端との固定をなすための、接続部122を備えている。
バイトフォーク本体121と、接続部122とを備えるバイトフォーク120はごく一般的なものであるが、この実施形態のバイトフォーク120の接続部122のバイトフォーク121本体と接続された一端側の他端側には、本願におけるアタッチメントの一部をなす第2参照部材123が取付けられている。
第2参照部材123は、第1参照部材116と概ね同様に構成されている。第2参照部材123は、透明体によって構成された第2本体部材123Aを備えている。第2本体部材123Aは、透明な樹脂又は透明なガラスによって構成されている。第2本体部材123Aは、これには限られないが板状であり、これには限られないがその厚さはそのすべての部分で等しくされている。第2本体部材123Aは、これには限られないが、全体として矩形である。
第2参照部材123には、複数の第2参照体123Bが設けられている。第2参照体123Bの数は、この限りではないが、この実施形態では4つである。これには限られないが、第2参照体123Bは、第2本体部材123Aの四隅に設けられている。
第2参照部材123は、もっと言えば、第2参照体123Bは、バイトフォーク120との角度を含めた位置関係が予め定められた特定の関係となるようになっている。接続部122のバイトフォーク本体121と第2参照部材123との固定後の相互の位置関係が常に一定なのであれば、それは達成可能であり、この実施形態ではこれには限られないがそうされている。
バイトフォーク本体121と上顎歯列の下面との固定は、公知の方法で、例えば、モデリングコンパウンドをバイトフォーク本体121の上面に塗布し、バイトフォーク本体121を上顎歯列の下面に押し付けることによって行う。
次いで、下顎運動の記録の際に用いられる場合におけるフェイスボウについて説明を行う。この場合のフェイスボウとしては、例えば、白水貿易株式会社が輸入販売を行っている下顎運動検出装置である「キャディアックス(商標)2(医療機器認証番号 221AGBZX00099000)」を用いることができる。
この場合のフェイスボウは、仮想咬合器データを生成するときに用いられる上述のフェイスボウ100のアッパーボウ110と、以下に説明するアンダーボウ140とを用いる(図2)。両者は互いに接続されていない。上述のフェイスボウ100におけるバイトフォーク120は、このフェイスボウには用いられない。
アンダーボウ140は、前棒141を有する。前棒141は棒状体である。
連結部材143は、前棒141を貫通させる図示を省略の孔を備えている。連結部材143にはその内周面にネジ切りのされた孔が穿たれており、その孔にはネジ143Aが螺合されている。ネジ143Aを緩めた状態では連結部材143は前棒141の長さ方向に沿って移動でき、且つ前棒141を軸として回転することができる。他方、ネジ143Aを締めると、ネジ143Aの先端が前棒141に固定され、前棒141の長さ方向における位置と、前棒141に対する角度が固定された状態で維持される。
連結部材143は、また、横棒142を貫通させるための管143Bを備えている。横棒142は、管143Bを貫通した状態で、連結部材143に取付けられている。連結部材143にはまた、その内周面にネジ切りのされた図示せぬ孔が穿たれており、その孔にはネジ143Cが螺合している。ネジ143Cを緩めると横棒142は管143Bの長さ方向に移動できるようになるとともに、その軸周りに回転できるようになり、ネジ143Cを締めると横棒142は管143Bに固定される。
上述のように、連結部材143は、前棒141の長さ方向における位置と、前棒141に対する角度が可変であるので、連結部材143から横棒142の後端までの長さが可変であることも合わせると、後述する下バイトフォークから見た場合における、横棒142の後端の位置は、縦横高さの全てにおいて、自由に位置決めできることになる。
横棒142の後端には、スタイラス144が取付けられている。
スタイラス144は、アッパーボウ110に取付けられる上述のフラッグ115と接触して、上述した運動データを生成するものである。上述のように、下バイトフォーク145から見た場合における、横棒142の後端の位置は、縦横高さの全てにおいて、自由に位置決めできる。横棒142後端の位置を適当に位置決めすることで、患者が咬合を普通に行っているときに、スタイラス144がフラッグ115のセンサ部115Aの適当な位置(例えばフラッグ115の中心)に位置するように位置決めを行う。
スタイラス144には、スタイラス本体144Aと、針状部144Bとが含まれる。スタイラス本体144Aには、ケーブル144A1が接続されている。また、針状部144Bは、スタイラス本体144Aに内蔵された図示を省略の弾性体から、その先端に向けて適度な弾性力を与えられている。それにより、スタイラス本体144Aから、フラッグ115のセンサ部115Aまでの距離が多少変化したとしても、針状部144Bは一定範囲の適当な圧力でその先端がセンサ部115Aに押し付けられた状態となる。また、スタイラス本体144Aの内部には、スタイラス本体144Aに対する針状部144Bの相対的な位置を測定することのできる図示を省略のセンサが内蔵されている。このセンサにより、事実上、スタイラス本体144Aから、フラッグ115のセンサ部115Aまでの距離が測定される。センサで測定されたその距離に関するデータは、上述のケーブル144A1を介して、スタイラス本体144Aから出力されるようになっている。
このデータは、フラッグ115からケーブル115Dを介して出力されるデータと同期されている。この実施形態では、これら2つのデータを合わせたものが、患者の下顎運動を表す本願発明における運動データとなる。フラッグ115から出力されるデータが、フラッグ115のセンサ部115A上の縦横に相当するXY軸に沿う下顎の位置を示し、スタイラス144から出力されるデータは、フラッグ115のセンサ部115Aに垂直なZ軸に沿う下顎の位置を示すものとなる。
スタイラス144は、また、第4参照部材144Cを備えている。第4参照部材144Cとスタイラス本体144Aとは、角度を含めた相対的な位置関係が予め定めた特定の関係となるようになっている。第4参照部材144Cは、球状である2つの第4参照体144C1と、第4参照体144C1をスタイラス本体144Aに接続する、この限りではないがこの実施形態では棒状とされた、棒状体144C2とを含んでいる。この限りではないが、この実施形態における棒状体144C2は、スタイラス本体144Aと一直線上に位置するようになっており、且つその直線状に2つの第4参照体144C1の中心が乗るようにして、2つの第4参照体144C1を固定的に接続している。
なお、この実施形態では、第1参照部材116の第1参照体116Bと、第2参照部材123の第2参照体123Bは、文字、記号、又は図案であり、第3参照部材115Eの第3参照体115E1と、第4参照部材144Cの第4参照体144C1とは、球体であるものとして説明したが、この関係は逆でも構わない。
アンダーボウ140は、下バイトフォーク145を備えている。下バイトフォーク145は、前棒141に固定された固定板145Aにその基端を固定された固定棒145Bの先端に固定されている。下バイトフォーク145は、その下面を患者の下顎歯列の上面に固定される。その固定は例えば、下バイトフォーク145に即時重合レジン等を配してから下顎歯列歯牙頬側に面圧接することによって下顎歯列に適合した状態で重合し、歯牙頬側軸面に適合させた、下バイトフォーク145を下顎運動を干渉する事が無い下顎歯列の頬側面に瞬間接着剤等で固定する等の一般的な方法で行う。
下バイトフォーク145を患者の下顎歯列に取付けた状態の概略を、図3に示す。スタイラス144と、フラッグ115は、図3に示したように、対向したものとなる。
下バイトフォーク145には、また、バイトフォーク120が備えていたのと同様に構成されている第2参照部材123が取付けられている。この第2参照部材123は、第2本体部材123Aと、第2参照体123Bとを備えている。第2参照体123Bは、それとアンダーボウ140との角度を含めた位置関係が一定の関係になるようにして、下バイトフォーク145に取付けられている。
次に、この実施形態における、診断装置について説明する。この診断装置は治療にも用いるものであるが、簡単のため以下、単に診断装置と称するものとする。
この診断装置は、本願発明における仮想咬合器データ生成装置と、下顎運動記録装置の機能を併せ持つ。もっともそれら機能を別の装置として実現可能なことは当然であろう。
診断装置200は、図4に示したようなものであり、事実上コンピュータ、例えば、一般的なパーソナルコンピュータによって構成される。
診断装置200は、コンピュータである本体210と、入力装置220と、ディスプレイ230とを含んでいる。
入力装置220は、ユーザである歯科医師等が本体210に対して入力を行うための機器である。これには限られないが、この実施形態における入力装置220は、例えば、汎用のキーボード、マウスなどを含んでいる。
ディスプレイ230は、汎用のものでよく、例えば液晶ディスプレイであり、或いはCRTディスプレイである。
次に、本体210の構成について説明する。
本体210は、その内部に、図5に示したようなハードウエアを備えている。本体210は、この実施形態では、CPU(Central Processing Unit)211、ROM(Read Only Memory)212、RAM(Random Access Memory)213、HDD(Hard disc drive)214、インタフェイス215、及びこれらを接続するバス216を備えている。
CPU211は、本体210全体の制御を行う。CPU211は、プログラムを実行することで、以下に説明するような種々の処理を実行する。
ROM212は、CPU211を動作させるためのプログラム、本体210を制御する際に必要なデータなどを記憶している。
RAM213は、CPU211がデータ処理を行うためのワーク領域を提供する。
HDD214もまた、CPU211を動作させるためのプログラム、データを記録している。例えば、CPU211を動作させるためのOSがHDD214に記録されている。本発明のプログラムは、ROM212か、或いはHDD214に記録されている。なお、本発明のプログラムは、本体210の出荷時から本体210にインストールされていてもよく、本体210の出荷後に、例えばユーザにより本体210にインストールされたものであっても構わない。本体210の出荷後にインストールされる場合、本発明のプログラムは、CD−ROM等の記録媒体から本体210に記録されてもよく、また、インターネット等の所定のネットワークからのダウンロードを経て本体210に記録されたものであってもよい。本発明のプログラムは、それ単独で後述する処理をCPU211に実行させるものとなっていてもよく、OSその他の他のプログラムとの協働により後述の処理をCPU211に実行させるものとなっていても構わない。
インタフェイス215は、CPU211、ROM212、RAM213、HDD214と外部とを繋ぐ窓口となるものであり、CPU211、ROM212、RAM213、HDD214は、必要に応じて、インタフェイス215を介して外部とデータ交換を行えるようになっている。本体210は後述のように、相対位置画像データその他の画像データを外部機器(例えば、3次元画像撮像カメラ又は2次元画像撮像カメラ)、或いは画像データを記録した記録媒体から受付けられるようになっている必要がある。画像データは、有線、或いは無線のネットワークを介して外部機器等からインタフェイス215が受付けるようになっていても構わない。それを可能とするように、インタフェイス215は、例えば、本体210に設けられた図示を省略のUSB端子と接続されており、USBケーブルとその一端が接続された外部機器から、USBケーブルと、USBケーブルとその他端を接続されたUSB端子を介して、画像データを受付けられるようになっている。或いは、インタフェイス215は、DVD、メモリカード等の所定の記録媒体からデータを読み込むことができるリーダを備えており、そのリーダに入れられた画像データを記録した記録媒体から、画像データを受付けるようになっている。
プログラムをCPU211が実行することにより、本体210の内部には、図6に示した如き機能ブロックが生成される。なお、上述したように、この診断装置は、本願発明でいう仮想咬合器データ生成装置と、下顎運動記録装置とを兼ねている。したがって、この実施形態におけるプログラムは、例えば汎用のコンピュータを、仮想咬合器データ生成装置と、下顎運動記録装置の双方として機能させるものとなっている。もっとも、あるコンピュータを仮想咬合器データ生成装置としてのみ機能させ、またそれとは別のコンピュータを下顎運動記録装置としてのみ機能させる場合には、それぞれのコンピュータにインストールされるべきプログラムは、それに必要な機能をコンピュータに与えるものであれば足りるのは、当業者には当然理解できることであろう。
この実施形態では本体210の中には、受付部221、制御部222、モデル生成部223、位置データ生成部224、フェイスボウデータ記録部225、結合部226、仮想咬合器データ記録部227、表示制御部228、リファレンスポジション決定部229、及び下顎運動画像データ生成部230が生成される。
あるコンピュータを仮想咬合器データ生成装置としてのみ機能させる場合には、そのコンピュータの本体210の中には、受付部221、制御部222、モデル生成部223、位置データ生成部224、フェイスボウデータ記録部225、結合部226、仮想咬合器データ記録部227、及び表示制御部228があれば足りる。
また、あるコンピュータを下顎運動記録装置としてのみ機能させる場合には、そのコンピュータの本体210の中には、受付部221、制御部222、仮想咬合器データ記録部227、表示制御部228、リファレンスポジション決定部229、及び下顎運動画像データ生成部230があれば足りる。
受付部221は、外部から入力されるデータをインタフェイス215を介して受付けるものである。受付部221は、本願でいう受付手段、第2受付手段、及び第3受付手段を兼ねる。
受付部221が受付けるデータとしては、例えば、入力装置220から受付ける後述するデータ、或いは外部機器又は記録媒体から受付ける画像データがある。受付部221が受付ける画像データとしては、患者の上顎歯列の画像である上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データ、患者の下顎歯列の画像である下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データ、患者の上顎歯列にバイトフォーク120が固定された状態で撮像された、バイトフォーク120と上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である上部画像のデータである上部画像データ、アッパーボウ110とバイトフォーク120とがまとめて映り込んだものであり、アッパーボウ110とバイトフォーク120との角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である相対位置画像のデータである相対位置画像データ、上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である咬合画像のデータである咬合画像データ、及びリファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータであるリファレンス画像データがある。リファレンス画像データは、診断装置200が下顎運動記録装置として機能するときに用いられるものであり、それ以外の画像データは診断装置200が仮想咬合器データ生成装置として機能するときに用いられる。
受付部221は、また、フラッグ115と、スタイラス144から、インタフェイス215を介して運動データを受付ける。運動データは、診断装置200が下顎運動記録装置として機能するときに用いられる。
受付部221は、受付けたデータがどのデータかを判別して、適切な送り先にそれを送るようになっている。
受付部221は、入力装置220から受付けたデータを主に制御部222に送り、上顎歯列画像データと、下顎歯列画像データは、モデル生成部223に送り、上部画像データと、相対位置画像データと、咬合画像データは位置データ生成部224に送るようになっている。
受付部221はまた、リファレンス画像データを、リファレンスポジション決定部229に送り、運動データを、下顎運動画像データ生成部230に送るようになっている。ただし、受付部221は、リファレンスポジション決定部230がリファレンスポジションを決定するときだけ、運動データを、リファレンスポジション決定部229に送るようになっている。
制御部222は、本体210全体の制御を行う。
モデル生成部223は、上述のように受付部221から上顎歯列画像データと、下顎歯列画像データを受付けるようになっている。モデル生成部223は、受付けた上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するようになっている。これは、現実の咬合器であれば、上顎歯列の模型に相当するものである。モデル生成部223は、受付けた下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成するようになっている。これは、現実の咬合器であれば、下顎歯列の模型に相当するものである。モデル生成部223は、上顎歯列モデルデータと、下顎歯列モデルデータを、例えばポリゴンを用いた既知の画像処理技術を応用することにより生成する。
モデル生成部223が上顎歯列モデルと下顎歯列モデルを正確に生成できるようにするには、必ずしもこの限りではないが、上顎歯列画像と下顎歯列画像がいずれも3次元画像であることが好ましい。そのような撮像を行うことのできる口腔内撮像用の3次元撮像用カメラも実用されている。
モデル生成部223は、生成した上顎歯列モデルデータと、下顎歯列モデルデータとを、結合部226に送るようになっている。
位置データ生成部224は上述のように、受付部221から上部画像データと、相対位置画像データと、咬合画像データとを受付けるようになっている。
位置データ生成部224は、受付けた上部画像データ、及び相対位置画像データから、生体の患者における基準面に対する角度を含めた上顎歯列の相対的な位置を求めて、仮想の基準面である仮想基準面に対する上顎歯列の位置についてのデータである第1位置データを生成するようになっている。位置データ生成部224は、また、受付けた咬合画像データから、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を求めて、上顎歯列に対する下顎歯列の位置についてのデータである第2位置データを生成するようになっている。
これら第1位置データと、第2位置データは、コンピュータ上で作られる仮想咬合器における上顎歯列モデルと、下顎歯列モデルの位置合わせを後に行うときに用いられる。第1位置データを用いれば、基準面と、上顎歯列モデルの位置合わせを、生体の患者における基準面と上顎歯列に一致させるようにして行うことができる。第2位置データを用いれば、上顎歯列モデルと下顎歯列モデルの位置合わせを、生体の患者における上顎歯列と下顎歯列に一致させるようにして行うことができる。
この実施形態における位置データ生成部224は、以下のようにして第1位置データを生成するようになっている。なお、画像からある対象物の位置(座標)を特定するには、公知或いは周知のいわゆるカメラキャリブレーションの処理を用いれば良い。
上述したように、第1位置データは、上部画像データ、及び相対位置画像データから生成される。上部画像データは、上述のように、バイトフォーク120と上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である。複数であることもあるが、上部画像には、バイトフォーク120と上顎歯列とが写っているので、上部画像データに対して、公知の画像処理を適用することにより、それら相互の位置関係を示すデータを生成するのは容易である。例えば、上顎歯列のみが写った上顎歯列画像と、上顎歯列とバイトフォーク120とが写った上部画像の重ね合わせにより、上顎歯列とバイトフォーク120の位置関係は容易に求められる。かかる位置関係をより正確に決定するには、上部画像が3次元画像であるのが好ましい。
第1位置データを求めるには、また、相対位置画像データから、アッパーボウ110とバイトフォーク120との角度を含めた相対的な位置関係を求める必要がある。この実施形態の相対位置画像には、上述のように、アッパーボウ110と、バイトフォーク120とが写っている。アッパーボウ110と、バイトフォーク120との相対的な位置関係を、それらの少なくとも一部が写り込んでいる相対位置画像に対する画像処理から求めることは可能である。この実施形態の診断装置200は、フェイスボウデータ記録部225に、例えば、アッパーボウ110と、バイトフォーク120の大きさ、形状についての情報を持っている。その情報を用いれば、相対位置画像に映り込んだアッパーボウ110と、バイトフォーク120の画像に対して公知の画像処理を行うことにより、アッパーボウ110と、バイトフォーク120の相対的な位置関係を求めることができる。
もっともこの実施形態では、相対位置画像には、アッパーボウ110と、バイトフォーク120の少なくとも一部に加えて、アッパーボウ110との角度を含めた位置関係が予め定めた特定の関係となっている第1参照体116Bと、バイトフォーク120との角度を含めた位置関係が予め定めた特定の関係となっている第2参照体123Bとが写り込んでいる。そして、この実施形態の診断装置200のフェイスボウデータ記録部225は、複数の第1参照体116Bの大きさ、形状についての情報と、それら相互の位置関係についての情報を有しているとともに、複数の第2参照体123Bの大きさ、形状についての情報と、それら相互の位置関係についての情報を有している。この情報を用いて相対位置画像に対して画像処理を行うことによって、位置データ生成部224は、複数の第1参照体116Bと、複数の第2参照体123Bの角度を含めた相対的な位置関係を求めることができる。また、この実施形態の診断装置200のフェイスボウデータ記録部225は、アッパーボウ110と第1参照体116Bとの位置関係についての情報と、バイトフォーク120と第2参照体123Bとの位置関係についての情報とを、予め持っている。この実施形態の位置データ生成部224は、その情報を用いることによって、第1参照体116Bと特定の関係となっているアッパーボウ110と、第2参照体123Bと特定の関係となっているバイトフォーク120との角度を含めた相対的な位置関係を、正確に且つ簡単に求めることができる。
相対位置画像は、相対位置画像が2次元画像である場合には、異なる方向から撮像された2枚以上の画像であっても良い。相対位置画像が異なる方向から撮像された2枚以上の2次元画像である場合には、それら画像は同時に撮像されるか、或いは2枚以上の画像を撮像する間に患者に動きがないようにして撮像されるかすることが好ましい。また、相対位置画像は、相対位置画像が3次元画像である場合には、1枚以上の画像であっても良い。相対位置画像がそのようなものであれば、公知の方法によって、相対位置画像から、アッパーボウ110と、バイトフォーク120の相対的な位置関係を求めるのは容易である。
フェイスボウデータ記録部225には、上述の如き情報ないしそのデータが記録されている。ところで、この実施形態の診断装置200は、それと組合せられるフェイスボウ100が複数種類ある場合もある。その場合には、フェイスボウデータ記録部225には、この診断装置200と組合せて用いられる複数のフェイスボウ100についてのそれぞれのデータであるフェイスボウデータがフェイスボウ100の種類の数と同数だけ記録されていてもよい。診断装置200と組合せて用いられるフェイスボウ100が複数ある場合には、診断装置200を操作する者は、例えば入力装置220を操作して、複数のフェイスボウデータの中から、使用されるフェイスボウ100についてのフェイスボウデータを選択できるようになっている。そのようにして選択されたフェイスボウデータを用いることによって、位置データ生成部224は、アッパーボウ110と、バイトフォーク120の相対的な位置関係を確実に求めることができるようになっている。なお、以上の事情は、第1参照体116Bと、第2参照体123Bが複数種類ある場合にも同様である。第1参照体116Bと、第2参照体123Bが複数種類用いられる場合には、それらに関連する既に述べた情報は、複数組準備されることになる。
以上のようにして、バイトフォーク120と上顎歯列の相対的な位置関係と、アッパーボウ110と、バイトフォーク120の相対的な位置関係が求められる。そして、アッパーボウ110は、患者の頭部に想定される基準面に対して一意に固定されているから、アッパーボウ110とバイトフォーク120の相対的な位置関係が把握できるというのは事実上、基準面とバイトフォーク120の相対的な位置関係が把握できることを意味する。そして、上述の如く、バイトフォーク120と上顎歯列の相対的な位置関係も把握されているのであるから、それと基準面に対するバイトフォーク120の相対的な位置関係を組合せることにより、基準面に対する上顎歯列の位置関係が把握できる。
このようにして求められる患者の基準面と上顎歯列の位置関係が、コンピュータ上に形成される仮想咬合器における仮想の基準面である仮想基準面と、上顎歯列モデルの位置関係として再現するための、仮想基準面と、上顎歯列モデルの相互の位置についてのデータである第1位置データとして用いられることになる。
この実施形態における位置データ生成部224は、以下のようにして第2位置データを生成するようになっている。
上述したように、第2位置データは、咬合画像データから生成される。咬合画像データは、上述のように、上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である。複数であることもあるが、咬合わせ画像には、噛合わせた上顎歯列と下顎歯列(それらの一部である場合もある)が写っているか、或いは患者の上顎歯列と下顎歯列との間で咬合された、上顎歯列と下顎歯列の形状を印記できる印記用ペーストが写っているので、咬合画像データに対して、公知の画像処理を適用することにより、上顎歯列と下顎歯列の相互の位置関係を示す第2位置データを生成するのは容易である。
位置データ生成部224は以上のように生成した第1位置データと第2位置データとを、結合部226へ送る。
結合部226は、モデル生成部223から、上顎歯列モデルデータと下顎歯列モデルデータとを受取る。結合部226はまた、位置データ生成部224から第1位置データと第2位置データとを受取る。
結合部226は、これらを用いて仮想咬合器についての仮想咬合器データを生成する。仮想咬合器は実際の咬合器を立体的に画像化したものである。仮想咬合器では、実際の咬合器における上顎歯列と下顎歯列の模型は、上顎歯列モデルと下顎歯列モデルに置き換えられる。
そして、咬合器における基準面に対する上顎歯列の位置合わせは、仮想咬合器においては、仮想基準面に対する上顎歯列モデルの位置合わせとして実行される。その位置合わせには、仮想基準面と、上顎歯列モデルの相互の位置についてのデータである第1位置データが用いられる。
また、咬合器における上顎歯列下面と下顎歯列上面の位置合わせは、仮想咬合器においては、上顎歯列モデルの下面と下顎歯列モデルの上面の位置合わせとして実行される。その位置合わせには、上顎歯列と下顎歯列の相互の位置関係を示す第2位置データが用いられる。
以上のようにして、仮想咬合器についての仮想咬合器データが生成される。仮想咬合器は、例えば、仮想の顎関節を軸として上顎歯列モデルと下顎歯列モデルを開閉させたりすることも可能なものとすることができる。そのような画像処理も、公知の技術を用いれば可能である。
結合部226は仮想咬合器データを、仮想咬合器データ記録部227と、表示制御部228とに送る。
仮想咬合器データ記録部227は、仮想咬合器データを記録するものである。仮想咬合器データは一般に、その仮想咬合器がどの患者のものであるかを特定するデータとともに仮想咬合器データ記録部227に記録される。
表示制御部228は、ディスプレイ230の制御を行う。表示制御部228は、仮想咬合器データを受取ると、それに基づいて仮想咬合器をディスプレイ230に表示するための例えば動画の画像データを作り、その画像データをインタフェイス215を介してディスプレイ230に送る。
それにより、ディスプレイ230には、仮想咬合器の画像が例えば動画により表示されることになる。
リファレンスポジション決定部229は、上述のように受付部221からリファレンス画像データを受付け、それに基づき、患者の下顎の、ひいては仮想咬合器における下顎(或いは下顎歯列)のリファレンスポジションを決定する。
それは以下のように行われる。リファレンスポジション決定部229は、リファレンスポジションをリファレンスポジション決定部229が決定するまで、患者の下顎の位置を示す運動データを受け取り続ける。ある瞬間、患者が写り込んだ、例えば3次元画像であるリファレンス画像が撮像される。リファレンスポジション決定部229は、その瞬間における運動データが示す下顎の位置が、リファレンス画像と一致するように調整を行い、フラッグ115に対するスタイラス144の相対的な移動量のデータでしかない運動データ(つまり、運動データのみによっても、所定の点からの移動の軌跡を追うことはできるが、運動データのみによっては、その所定の点がどこか定まらない。)を、基準面に対する相対的な位置のデータに変換する。それにより、仮想咬合器上で下顎を下顎運動させるための初期位置乃至基準位置であるリファレンスポジションが決定される。
リファレンス画像は、例えば、患者の頭部或いは基準面に対する下顎(或いは下顎歯列)の相対的な位置を把握できる画像であれば良い。
リファレンス画像は、例えば、患者の下顎歯列と上顎歯列とが写り込んだ画像と、患者の下顎歯列とアッパーボウ110を取付けた患者の頭部とが写り込んだ画像との組合せであっても良い。この実施形態の場合であれば、リファレンス画像は、患者の下顎歯列と上顎歯列とが写り込んだ画像と、アッパーボウ110とアンダーボウ140との角度を含めた相対的な位置関係を特定できるような画像との組合せであってもよい。これら画像は、相対位置画像の場合と同様に、2つ以上の異なる角度から撮像された2次元画像でも良いし、3次元画像でも構わない。これら画像が異なる方向から撮像された2枚以上の2次元画像である場合には、それら画像は同時に撮像されるか、或いは2枚以上の画像を撮像する間に患者に動きがないようにして撮像されるかすることが好ましい。
この実施形態におけるアッパーボウ110とアンダーボウ140との角度を含めた相対的な位置関係を特定できるような画像には、アッパーボウ110とアンダーボウ140とが写り込んでいる。アッパーボウ110とアンダーボウ140の相対的な位置関係は、位置データ生成部224が、相対位置画像からアッパーボウ110とバイトフォーク120との相対的な位置関係を決定したのと同様にして、リファレンスポジション決定部229がリファレンス画像から決定することができる。
この実施形態におけるアッパーボウ110とアンダーボウ140にはそれぞれ、上述したように第1参照部材116と第2参照部材123が設けられている。これを用いれば、相対位置画像からアッパーボウ110とバイトフォーク120との相対的な位置関係を決定したのと同様にして、フラッグ115とスタイラス144との相対的な位置関係を決定する。また、この実施形態におけるフラッグ115とスタイラス144とにはそれぞれ、上述したように、第3参照部材115Eと、第4参照部材144Cとが設けられている。第3参照部材115Eと、第4参照部材144Cとは、相対位置画像からアッパーボウ110と、バイトフォーク120との相対的な位置関係を決定するときに、第1参照体116Bと、第2参照体123Bを利用したのと同様の方法で、リファレンス画像からフラッグ115とスタイラス144との相対的な位置関係を決定するのに利用可能である。つまり、第3参照部材115Eの第3参照体115E1と、第4参照部材144Cの第4参照体144C1との相対的な位置関係を決定できれば、第3参照部材115Eと予め決められた位置関係にあるフラッグ115と、第4参照部材144Cと予め決められた位置関係にあるスタイラス144の相対的な位置関係も決定できることになる。そして、これが決定されれば、アッパーボウ110と下バイトフォーク145との角度を含めた位置関係も決定される。
フラッグ115とスタイラス144との相対的な位置関係を決定するために必要な、第1参照部材116とアッパーボウ110との、又は第3参照部材115Eとフラッグ115との、予め決められた位置関係についての情報と、第2参照部材123とアンダーボウ140との、又は第4参照部材144Cとスタイラス144との、予め決められた位置関係についての情報は、例えばフェイスボウデータ記録部225に記録されていても良いし、或いはリファレンスポジション決定部229が持っていても良い。この実施形態では、リファレンスポジション決定部229がそれらの情報を持っており、リファレンスポジション決定部229は、その情報を用いて、リファレンス画像から、アッパーボウ110と下バイトフォーク145との角度を含めた相対的な位置関係を決定できるようになっている。このように、この実施形態では、第1参照部材116と第2参照部材123との組合せで、或いは第3参照部材115Eと第4参照部材144Cとの組合せで、アッパーボウ110と下バイトフォーク145との相対的な位置関係を検出できるようにしているが、それら組合せの片方のみが存在すれば、アッパーボウ110と下バイトフォーク145との相対的な位置関係を検出することは可能である。
第3参照部材115Eと第4参照部材144Cとの組合せでアッパーボウ110と下バイトフォーク145との相対的な位置関係を検出するようになっている場合、リファレンスポジション決定部229は、例えば以下のようにして、アッパーボウ110と下バイトフォーク145の角度を含めた相対的な位置関係を決定するようになっていてもよい。まず、両スタイラス144の互いに重なりあう延長線を、仮想の3次元空間の、2つのフラッグ115の互いに対向する面の間に生成するとともに、その線とフラッグ115の互いに対向する面との接点を点P、点Qとして求め、また、点Pと、点Qの中点である点Rを求める。また、それと並行して、位置決め棒113の位置を点Sとして求める(図7)。なお、図7は、アッパーボウ110に設けられる第1参照部材116と、スタイラス144に設けられる第4参照部材144Cの他の例をも示すものとなっている。この例の第1参照部材116は小さく、位置決め棒113の最も前方に取付けられており、また、第2参照部材144Cは、第1参照部材116と同様に、透明な板144C3に第4参照体144C4を描いたものとなっている。
次いで、リファレンスポジション決定部229は、点Pと、点Qを通る線をY軸として決定する。また、リファレンスポジション決定部229は、点Pと、点Qと、点Sを結ぶ三角形を、仮想の3次元空間内に描写するとともに、点Pと、点Qと、点Sを結ぶ三角形を含む平面内を通るとともに、点Rを通り、且つY軸に直行する線を仮想の3次元空間内に描写し、それをX軸とする。次いで、上述のX軸とY軸の双方に直交する線を仮想の3次元空間内に描写し、それをZ軸とする。このようにして求められたX軸、Y軸、及びZ軸を用いてスタイラス144とフラッグ115との角度を含めた相対的な位置関係を求めれば、アッパーボウ110と下バイトフォーク145の角度を含めた相対的な位置関係を求めるのは容易である。なお、アッパーボウ110と下バイトフォーク120との角度を含めた相対的な位置関係を求める場合にも、同様の座標軸の求め方を採用することができる。
リファレンスポジション決定部229は以上のようにして決定されたリファレンスポジションについてのデータであるリファレンスポジションデータを、下顎運動画像データ生成部230に送るようになっている。
下顎運動画像データ生成部230は、上述のように受付部221から運動データを受付ける。運動データは、下顎運動の記録を行う際に用いられるアンダーボウ140を備えたフェイスボウ100のフラッグ115と、スタイラス144から送られるものであり、上述のように、下顎のXYZ軸方向の所定の点からの移動量を示すデータである。
フラッグ115は、患者の頭部に固定されるアッパーボウ110に固定されている。スタイラス144は患者の下顎の一部である下顎歯列に下バイトフォーク145によって固定されているアンダーボウ140に固定されている。そして、アッパーボウ110とアンダーボウ140は互いに接続されていない。患者が下顎運動を行うと、アンダーボウ140全体が下顎運動にしたがって移動し、その下顎運動にしたがって、スタイラス144の針状部144Bがフラッグ115のセンサ部115Aをなぞる。これにより、上述の運動データは、下顎運動を表すデータとなる。
下顎運動画像データ生成部230は、運動データを受取るとともに、リファレンスポジション決定部229からリファレンスポジションデータを受取り、また、仮想咬合器データ記録部227から仮想咬合器データを読み出す。そして、仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の画像上に、リファレンスポジションデータにより仮想咬合器における下顎のリファレンスポジションを決定した上で、患者の下顎の運動を示すマークを書込む処理を実行するか、或いは、仮想咬合器の画像上における下顎を、リファレンスポジションデータにより仮想咬合器における下顎のリファレンスポジションを決定した上で、患者の下顎運動を再現するようにアニメーションにより下顎運動させる処理を実行し、それら処理の結果生成されたデータである下顎運動画像データを生成する。
下顎運動データ生成部230は生成した下顎運動画像データを、仮想咬合器データ記録部227及び表示制御部228に送るようになっている。
この実施形態では、仮想咬合器データ記録部227には、仮想咬合器データに加えて、下顎運動画像データも記録されるようになっている。また、この実施形態では、表示制御部228は、上述した仮想咬合器の画像のみならず、下顎運動画像データに基づく、患者の下顎運動を示すマークを書き込まれた仮想咬合器の画像か、仮想咬合器の画像上における下顎を、患者の下顎運動を再現するように下顎運動させる動画の画像を、ディスプレイ230に表示するようになっている。
次に、以上説明した診断装置で診断を行う方法について説明する。
診断装置で行えるのは、仮想咬合器データの生成と、下顎運動の記録である。これらについて順に説明する。
仮想咬合器データを生成するにあたり、まず、患者の上顎歯列画像と、下顎歯列画像と、咬合画像とを撮像し、上顎歯列画像データと、下顎歯列画像データと、咬合画像データとを生成する。なお、この過程は、フェイスボウ100が患者に固定されていない状態であれば、いつ行っても構わない。
上述のように、上顎歯列画像は上顎歯列が映り込んでいる、例えば3次元の画像であって、上顎歯列モデルを後に生成するのに足りるものとされ、場合によっては複数の画像とされる。
下顎歯列画像は下顎歯列が映り込んでいる、例えば3次元の画像であって、下顎歯列モデルを後に生成するのに足りるものとされ、場合によっては複数の画像とされる。
咬合画像は、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を把握できるような画像であり、上顎歯列に対する下顎歯列の相対的な位置についての第2位置データを後に生成するのに足りるものとされ、場合によっては複数の画像とされる。咬合画像には、噛合わせた上顎歯列と下顎歯列(それらの一部である場合もある)か、或いは患者の上顎歯列と下顎歯列との間で咬合された、上顎歯列と下顎歯列の形状を印記できる印記用ペーストが写っている。
次に、患者の頭部にフェイスボウ100を取付ける。
フェイスボウ100の患者の頭部への取り付け方は、一般的なフェイスボウ100の場合と何ら変わらない。
この実施形態であれば、アッパーボウ110は、2つのテンプル114が患者の耳にかかり、ブリッジ部111Bが患者の鼻筋にかかり、本体部111のフレーム部111Aが正しく患者の眼前に位置し、位置決め棒113の垂直部113Bが、患者の鼻に正しく位置決めされた状態とする。そのために、本体部111に対するテンプル114と位置決め棒113の位置や、テンプル114の前テンプル部114Aに対する後テンプル部114Bの位置の調整を、患者の顔の寸法に応じて行うのも一般的なフェイスボウの場合と同様である。こうすることで、アッパーボウ110は、患者の頭部の基準面に対して、予定されていた位置関係に一意に位置決めされる。なお、このときフラッグ115は、テンプル114に取付けられていなくても良い。
他方、バイトフォーク120の上面に、例えばモデリングコンパウンドを塗布し、バイトフォーク120の上面を患者の上顎歯列の下面に固定する。
以上のようにして患者にフェイスボウ100を取付けたら、上部画像と、相対位置画像とを撮影し、上部画像データと、相対位置画像データとを生成する。
上部画像は、上顎歯列とバイトフォーク120の角度も含めた相対的な位置関係を把握できるようにするために、それら(の少なくとも一部)が映り込んでいる、例えば3次元の画像であり、後に相対位置画像と合わせて第1位置データを生成するのに足りるものとされ、場合によっては複数の画像とされる。
相対位置画像は、アッパーボウ110とバイトフォーク120の角度も含めた相対的な位置関係をその画像から把握できるものとする。相対位置画像は、例えば、2枚以上の異なる角度から撮像した画像であり、或いは、1枚以上の3次元の画像である。相対位置画像には、アッパーボウ110とバイトフォーク120との少なくとも一部が写り込んでいるが、この実施形態では、それに加えて、第1参照体116Bと、第2参照体123Bとが写り込んでいる。
次いで、診断装置200で仮想咬合器データを生成する処理が実行される。
まず、患者を特定するための患者の氏名等の情報を、入力装置220から入力する。入力装置220から入力されたその情報は、インタフェイス215から制御部222に送られる。
制御部222は、その情報を、今から仮想咬合器データが作られる患者を特定するための情報として仮想咬合器データ記録部227に記録する。
次いで、診断装置200に、種々の画像のデータが入力される。
具体的には、上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データと、下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データと、咬合画像のデータである咬合画像データと、上部画像のデータである上部画像データと、相対位置画像のデータである相対位置画像データが入力される。これらは、外部機器から、或いは所定の記録媒体を介して入力されるが、いずれにせよ、インタフェイス215を介して受付部221に受付けられる。
なお、これら画像のデータの入力は、必ずしも一度に、或いは連続して行うことは要しない。例えば、それらのデータが生成された都度、受付部221に入力されても良い。
受付部221は、上顎歯列画像データと、下顎歯列画像データを、モデル生成部223に送り、上部画像データと、相対位置画像データと、咬合画像データとを位置データ生成部224に送る。
受付部221から上顎歯列画像データと、下顎歯列画像データを受付けたモデル生成部223は、上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するとともに、下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成する。
モデル生成部223は、生成した上顎歯列モデルデータと、下顎歯列モデルデータとを、結合部226に送る。
受付部221から上部画像データと、姿勢画像データと、咬合画像データとを受付けた位置データ生成部224は上部画像データ、及び相対位置画像データから、第1位置データを生成するとともに、咬合画像データから第2位置データを生成するようになっている。
上述のように、この実施形態では、第1位置データを作る場合にフェイスボウデータ記録部225に記録されたデータを用いる。フェイスボウデータ記録部225に記録されたフェイスボウについてのデータが複数ある場合には、その複数のデータの中からその患者が使用したフェイスボウについてのデータが選択された上で、位置データ生成部224に読み出される。その選択に必要な、患者に使用されたフェイスボウを特定するための情報は、例えば、歯科医師が操作した入力装置220からインタフェイス215を介して制御部222に送られ、制御部222から位置データ生成部224に伝えられる。位置データ生成部224はその情報に基づいて読み出すべきフェイスボウについてのデータを、複数のデータの中から選択できるようになっている。
位置データ生成部224は、既に述べた方法で生成した第1位置データと第2位置データとを、結合部226へ送る。
モデル生成部223から、上顎歯列モデルデータと下顎歯列モデルデータとを受取るとともに、位置データ生成部224から第1位置データと第2位置データとを受取った結合部226は、それらに基づいて仮想咬合器についての仮想咬合器データを生成する。もっともこれにより作られる仮想咬合器は、咬合器で言うところの、半調節性咬合器と同様のものであり、一般的な人間の関節位置を基準として下顎運動を行うようなものとなる。
結合部226は仮想咬合器データを、仮想咬合器データ記録部227と、表示制御部228とに送る。
仮想咬合器データ記録部227は、結合部226から送られて来た仮想咬合器データを記録する。基本的には、仮想咬合器データは、先に仮想咬合器データ記録部227に記録されたその仮想咬合器データの作成の対象となった患者を特定する情報とともに、仮想咬合器データ記録部227に記録される。
表示制御部228は、結合部226から仮想咬合器データを受取ると、それに基づいて仮想咬合器をディスプレイ230に表示するための例えば動画の画像データを作り、その画像データをインタフェイス215を介してディスプレイ230に送る。
それにより、ディスプレイ230には、仮想咬合器の画像が例えば動画により表示される。
次いで、下顎運動の記録について説明する。
下顎運動を記録する場合には、アンダーボウ140を、より詳細にはアンダーボウ140の下バイトフォーク145を患者の下顎歯列に固定する。
そして、スタイラス144のフラッグ115に対する相対的な位置関係がある程度の幅のある適当な関係になるように、連結部材143、横棒142等の調整を行う。例えば、患者が上顎歯列と下顎歯列とを自然に噛合わせたときに、フラッグ115のセンサ部115Aのおよそ中心にスタイラス144の針状部144Bが適当な圧力で接するように、上述の調整を行う。
次に、リファレンス画像の撮像を行い、リファレンス画像についてのリファレンス画像データを生成する。上述したように、リファレンス画像は、基準面に対する上顎歯列と下顎歯列の位置関係を把握できるようにするための画像であり、上述のように、この実施形態では、アッパーボウ110とアンダーボウ140とが写し込まれた画像である。
次いで、リファレンス画像データを、診断装置200に送る。リファレンス画像データは、受付部221で受付けられ、リファレンスポジション決定部229に送られる。
リファレンスポジション決定部229は、仮想咬合器の画像上での下顎のリファレンスポジションを、リファレンス画像データと、運動データから決定する。リファレンスポジションを示すリファレンスポジションデータは、リファレンスポジション決定部229から、下顎運動画像データ生成部230に送られる。
下顎運動画像データ生成部230は、上述のように受付部221から運動データを受付け、また、リファレンスポジション決定部229からリファレンスポジションデータを受付ける。
下顎運動画像データ生成部230は、リファレンスポジションデータにより、仮想咬合器の画像上における下顎のリファレンスポジションを決定した上で、仮想咬合器データ記録部227から読出した仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の画像上に、患者の下顎運動を示すマークを書込む処理を実行するか、或いは、仮想咬合器の画像上における下顎を、アニメーションにより患者の下顎運動を再現するように下顎運動させる処理を実行し、それら処理の結果生成されたデータである下顎運動画像データを生成する。
これら下顎運動画像データにより再現される下顎運動画像は、各患者にユニークな関節の位置や動きを再現したものとなり、それにより表現される仮想咬合器上の上顎歯列と下顎歯列の相対的な動きは、その仮想咬合器があたかも全調節咬合器であるかのようなものとなる。
下顎運動画像データ生成部230は生成した下顎運動画像データを、仮想咬合器データ記録部227及び表示制御部228に送る。
仮想咬合器データ記録部227には、仮想咬合器データに加えて、下顎運動画像データが記録される。好ましくは、同じ患者の仮想咬合器データと下顎運動画像データは対応させて仮想咬合器データ記録部227に記録される。
また、表示制御部228は、下顎運動画像データに基づき、患者の下顎運動を示すマークを書き込まれた仮想咬合器の画像か、仮想咬合器の画像上における下顎を、患者の下顎運動を再現するように下顎運動させる動画の画像を、ディスプレイ230に表示する。これにより、歯科医師は、直感的に、且つ正確に、患者の下顎運動を把握することができる。
<変形例>
この変形例は、下顎運動の記録の仕方が上述した実施形態の場合と異なる。具体的には、下顎運動の記録のために用いるフェイスボウの構成の一部と、診断装置200の構成、動作の一部とが、上述の実施形態の場合と異なっている。
上述の実施形態では、フラッグ115と、スタイラス144は、患者の下顎運動を反映したものであり、それらの相対的な位置関係に関するデータである運動データを出力することができるようになっていた。
しかしながら、フラッグ115と、スタイラス144は、運動データを出力するものでなくても構わない。例えば、フラッグ115は、データの出力が可能なセンサ部115Aを備えていなくても構わない。
そのような運動データを出力するものではないフラッグ115と、スタイラス144とを備えたフェイスボウを用いて下顎運動を記録する場合には、上述の実施形態ではフラッグ115とスタイラス144とから出力されていた運動データに相当するものを、どうにかして生成しなければならない。
この変形例では、画像処理によってそれを行うこととしている。3次元画像を撮像することができるカメラ、或いは2つ以上の二次元画像を撮像することができるカメラを用いて、電気的な運動データを出力することができない、例えば単なる板と棒の組合せである、フラッグ115とスタイラス144とを、患者が下顎運動を行っている間に動画で、撮像する。その動画について、既に述べたような画像処理を行えば、フラッグ115とスタイラス144の相対的な位置関係を検出することができ、そしてフラッグ115とスタイラス144の相対的な位置関を係示すそのデータは、上述した実施形態における運動データに相当するものとなる。かかる運動データに相当するデータを生成するために必要な動画の画像をここでは運動動画と称することにするが、運動動画に上述した第3参照部材115Eと、第4参照部材114Cとが写り込んでいるのであれば、運動動画から、フラッグ115とスタイラス144の相対的な位置関係を求めるのは容易である。そして、そのように生成された運動データに相当するデータは、上述した実施形態の場合と同様に用いられる。
なお、上述の実施形態では、受付部221は運動データを受取るようになっていたが、この変形例における受付部221は、運動データを受付けず、上述の運動動画の動画データをカメラから受付ける。そして、この変形例では、例えば、リファレンスポジション決定部229が(もちろん、運動データに相当する上述のデータを生成する機能を持つ新たな機能ブロックが存在していても構わない)、リファレンスポジションを決定する上述の機能に加えて、運動データに相当する上述のデータを生成するようになっている。
変形例による下顎運動の記録方法によれば、複雑な機能を有するフラッグ115と、スタイラス144とが不要になる。
100 フェイスボウ
110 アッパーボウ
111 本体部
111A フレーム部
111B ブリッジ部
111B1 ネジ
111C 智
111C1 長孔
111D 取付部
111E ネジ
112 支持ブロック
112A ネジ
113 位置決め棒
113A 水平部
113B 垂直部
114 テンプル
114A 前テンプル部
114B 後テンプル部
114A1 ネジ
115 フラッグ
115A センサ部
115B 枠
115C ネジ
115D ケーブル
115E 第3参照部材
115E1 第3参照体
116 第1参照部材
116B 第1参照体
120 バイトフォーク
121 バイトフォーク本体
122 接続部
123 第2参照部材
123B 第2参照体
140 アンダーボウ
141 前棒
142 横棒
143 連結部材
143A ネジ
143B 管
143C ネジ
144 スタイラス
144A スタイラス本体
144B 針状部
144C 第4参照部材
144C1 第4参照体
145 下バイトフォーク
145A 固定板
200 診断装置
220 入力装置
230 ディスプレイ
211 CPU
212 ROM
213 RAM
214 HDD
215 インタフェイス
216 バス
221 受付部
222 制御部
223 モデル生成部
224 位置データ生成部
225 フェイスボウデータ記録部
226 結合部
227 仮想咬合器データ記録部
228 表示制御部
229 リファレンスポジション決定部
230 下顎運動画像データ生成部

Claims (19)

  1. 患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウであり、患者に正確に取付けられたものの画像を用いて、仮想の咬合器のデータである仮想咬合器データを生成することができる、仮想咬合器データ生成装置であって、
    上顎歯列の画像である上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データ、下顎歯列の画像である下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データ、前記バイトフォークと上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である上部画像のデータである上部画像データ、前記アッパーボウと前記バイトフォークとがまとめて映り込んだものであり、前記アッパーボウと前記バイトフォークとの角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である相対位置画像のデータである相対位置画像データ、及び上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である咬合画像のデータである咬合画像データを受付けるための、受付手段と、
    前記受付手段から受付けた上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するとともに、前記受付手段から受付けた下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成する、モデル生成手段と、
    前記受付手段から受付けた上部画像データ、及び相対位置画像データから、生体の患者における前記基準面に対する角度を含めた上顎歯列の相対的な位置を求めて、仮想の基準面である仮想基準面に対する前記上顎歯列モデルの位置についてのデータである第1位置データを生成するとともに、前記受付手段から受付けた咬合画像データから、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を求めて、前記上顎歯列モデルに対する前記下顎歯列モデルの位置についてのデータである第2位置データを生成する、位置データ生成手段と、
    前記モデル生成手段から、前記上顎歯列モデルデータと、前記下顎歯列モデルデータとを受取るとともに、前記位置データ生成手段から、前記第1位置データと、前記第2位置データとを受取り、生体における基準面に対する上顎歯列と下顎歯列の相対的な位置関係を、前記第1位置データと、前記第2位置データを用いて、仮想基準面に対する上顎歯列モデルと下顎歯列モデルの位置関係に再現するようにして、前記仮想咬合器データを生成する、連結手段と、
    を備えている仮想咬合器データ生成装置。
  2. 前記咬合画像は、患者の上顎歯列と下顎歯列の噛合わせ部分を撮像した画像である、
    請求項1記載の仮想咬合器データ生成装置。
  3. 前記咬合画像は、患者の上顎歯列と下顎歯列との間で咬合された、上顎歯列と下顎歯列の形状を印記できる印記用ペーストの画像である、
    請求項1記載の仮想咬合器データ生成装置。
  4. 前記相対位置画像は、前記アッパーボウとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにして前記アッパーボウに取付けられた第1参照体と、前記バイトフォークとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにして前記バイトフォークに取付けられた第2参照体とが、前記アッパーボウ及び前記バイトフォークとともに映り込んだ画像であり、
    前記位置データ生成手段は、前記第1参照体と前記アッパーボウとの予め定められた前記位置関係と、前記第2参照体と前記バイトフォークとの予め定められた前記位置関係とについてのデータを用いて、前記相対位置画像に対して画像処理を行うことにより、前記アッパーボウと、前記バイトフォークとの角度を含めた位置関係を検出するようになっている、
    請求項1記載の仮想咬合器データ生成装置。
  5. 前記相対位置画像は、複数の方向から撮像された前記第1参照体及び前記第2参照体が映り込んだ少なくとも2つの2次元画像であり、前記相対位置画像データは少なくとも2つの前記相対位置画像についてのデータである、
    請求項4記載の仮想咬合器データ生成装置。
  6. 前記相対位置画像は、前記第1参照体及び前記第2参照体が映り込んだ少なくとも1つの3次元画像であり、前記相対位置画像データは少なくとも1つの前記相対位置画像についてのデータである、
    請求項1又は4記載の仮想咬合器データ生成装置。
  7. 患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウであり、患者に正確に取付けられたものの画像を用いて、仮想の咬合器のデータである仮想咬合器データを生成することができる、コンピュータを有する仮想咬合器データ生成装置で実行される仮想咬合器データ生成方法であって、
    前記コンピュータが実行する、
    上顎歯列の画像である上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データ、下顎歯列の画像である下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データ、前記バイトフォークと上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である上部画像のデータである上部画像データ、前記アッパーボウと前記バイトフォークとがまとめて映り込んだものであり、前記アッパーボウと前記バイトフォークとの角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である相対位置画像のデータである相対位置画像データ、及び上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である咬合画像のデータである咬合画像データを受付ける、受付過程と、
    前記受付過程で受付けた上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するとともに、前記受付過程で受付けた下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成する、モデル生成過程と、
    前記受付過程で受付けた上部画像データ、及び相対位置画像データから、生体の患者における前記基準面に対する角度を含めた上顎歯列の相対的な位置を求めて、仮想の基準面である仮想基準面に対する前記上顎歯列モデルの位置についてのデータである第1位置データを生成するとともに、前記受付過程で受付けた咬合画像データから、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を求めて、前記上顎歯列モデルに対する前記下顎歯列モデルの位置についてのデータである第2位置データを生成する、位置データ生成過程と、
    前記モデル生成過程で生成された前記上顎歯列モデルデータ、及び前記下顎歯列モデルデータと、前記位置データ生成過程で生成された前記第1位置データ、及び前記第2位置データとにより、生体における基準面に対する上顎歯列と下顎歯列の相対的な位置関係を、仮想基準面に対する上顎歯列モデルと下顎歯列モデルの位置関係に再現するようにして、前記仮想咬合器データを生成する、連結過程と、
    を含む、仮想咬合器データ生成方法。
  8. 患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウであり、患者に正確に取付けられたものの画像を用いて、仮想の咬合器のデータである仮想咬合器データを生成することができる、仮想咬合器データ生成装置として、コンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    上顎歯列の画像である上顎歯列画像のデータである上顎歯列画像データ、下顎歯列の画像である下顎歯列画像のデータである下顎歯列画像データ、前記バイトフォークと上顎歯列下面の角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である上部画像のデータである上部画像データ、前記アッパーボウと前記バイトフォークとがまとめて映り込んだものであり、前記アッパーボウと前記バイトフォークとの角度を含めた相対的な位置関係を示す画像である相対位置画像のデータである相対位置画像データ、及び上顎歯列と下顎歯列の噛合わせの状態を示す画像である咬合画像のデータである咬合画像データを受付けるための、受付手段と、
    前記受付手段から受付けた上顎歯列画像データから上顎歯列の3次元モデルである上顎歯列モデルのデータである上顎歯列モデルデータを生成するとともに、前記受付手段から受付けた下顎歯列画像データから下顎歯列の3次元モデルである下顎歯列モデルのデータである下顎歯列モデルデータを生成する、モデル生成手段と、
    前記受付手段から受付けた上部画像データ、及び相対位置画像データから、生体の患者における前記基準面に対する角度を含めた上顎歯列の相対的な位置を求めて、仮想の基準面である仮想基準面に対する前記上顎歯列モデルの位置についてのデータである第1位置データを生成するとともに、前記受付手段から受付けた咬合画像データから、上顎歯列に対する角度を含めた下顎歯列の相対的な位置を求めて、前記上顎歯列モデルに対する前記下顎歯列モデルの位置についてのデータである第2位置データを生成する、位置データ生成手段と、
    前記モデル生成手段から、前記上顎歯列モデルデータと、前記下顎歯列モデルデータとを受取るとともに、前記位置データ生成手段から、前記第1位置データと、前記第2位置データとを受取り、生体における基準面に対する上顎歯列と下顎歯列の相対的な位置関係を、前記第1位置データと、前記第2位置データを用いて、仮想基準面に対する上顎歯列モデルと下顎歯列モデルの位置関係に再現するようにして、前記仮想咬合器データを生成する、連結手段と、
    して機能させるためのコンピュータプログラム。
  9. 患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウであって、
    前記アッパーボウには、前記アッパーボウとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにされた第1参照体が取付けられているとともに、
    前記バイトフォークには、前記バイトフォークとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにされた第2参照体が取付けられており、
    前記第1参照体と前記第2参照体がともに映り込むようにして撮影された前記アッパーボウ及び前記バイトフォークの画像に基き、前記第1参照体と前記アッパーボウの相対的な位置関係と、前記第2参照体と前記バイトフォークの相対的な位置関係と、前記第1参照体と前記第2参照体の相対的な位置関係とを用いて、前記アッパーボウの前記バイトフォークに対する角度を含めた相対的な位置関係を求められるようになっている、
    フェイスボウ。
  10. 前記第1参照体と前記第2参照体の少なくとも一方は、前記アッパーボウ又は前記バイトフォークのいずれかと接続された透明体に設けられた文字、記号、又は図形である、
    請求項9記載のフェイスボウ。
  11. 前記透明体は板状である、
    請求項10記載のフェイスボウ。
  12. 前記第1参照体と前記第2参照体の少なくとも一方は、前記アッパーボウ又は前記バイトフォークのいずれかと接続された球体である、
    請求項9記載のフェイスボウ。
  13. 患者の頭蓋における所定の基準面との相対的な角度を含めた位置関係を一意に定めた状態で患者の頭蓋に固定することができるアッパーボウと、硬化性の物質を塗布して患者の上顎歯列の下面に対して固定することができるバイトフォークと、を備えたフェイスボウに取付けられるものであり、
    前記アッパーボウに、前記アッパーボウとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにして取付け可能とされた第1参照体と、
    前記バイトフォークに、前記バイトフォークとの角度を含めた位置関係が予め定められた関係となるようにして取付可能とされた第2参照体と、
    を含んでおり、
    前記第1参照体と前記第2参照体がともに映り込むようにして撮影された前記アッパーボウ及び前記バイトフォークの画像に基き、前記第1参照体と前記アッパーボウの相対的な位置関係と、前記第2参照体と前記バイトフォークの相対的な位置関係と、前記第1参照体と前記第2参照体の相対的な位置関係とを用いて、前記アッパーボウの前記バイトフォークに対する角度を含めた相対的な位置関係を求められるようにするための、
    フェイスボウ用アタッチメント。
  14. 患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、下顎運動記録装置であって、
    ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録した記録手段と、
    前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付手段と、
    リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段と、
    前記第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定手段と、
    前記第2受付手段で受付けた運動データと、前記記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像上に、前記リファレンスポジション特定手段で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いた、患者の下顎運動を示すマークを書込む描画手段と、
    を備えている下顎運動記録装置。
  15. 患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、コンピュータを含む下顎運動記録装置で実行される下顎運動記録方法であって、
    前記コンピュータが実行する、
    ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録する記録処理と、
    前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付処理と、
    リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付処理と、
    前記第3受付処理で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定処理と、
    前記第2受付処理で受付けた運動データと、前記記録処理で記録された後に読み出された仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像上に、前記リファレンスポジション特定処理で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いた、患者の下顎運動を示すマークを書込む描画処理と、
    を含む下顎運動記録方法。
  16. 患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、下顎運動記録装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録した記録手段、
    前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付手段、
    リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段、
    前記第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定手段、
    前記第2受付手段で受付けた運動データと、前記記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像上に、前記リファレンスポジション特定手段で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いた、患者の下顎運動を示すマークを書込む描画手段、
    として機能させるためのコンピュータプログラム。
  17. 患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、下顎運動記録装置であって、
    ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録した記録手段と、
    前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付手段と、
    リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段と、
    前記第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定手段と、
    前記第2受付手段で受付けた運動データと、前記記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像における下顎を、前記リファレンスポジション特定手段で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いて、患者の下顎運動を再現するようにアニメーションにより下顎運動させる動画処理手段と、
    を備えている下顎運動記録装置。
  18. 患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、コンピュータを含む下顎運動記録装置で実行される下顎運動記録方法であって、
    前記コンピュータが実行する、
    ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録する記録処理と、
    前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付処理と、
    リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付処理と、
    前記第3受付処理で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定処理と、
    前記第2受付処理で受付けた運動データと、前記記録処理で記録された後に読み出された仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像における下顎を、前記リファレンスポジション特定処理で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いて、患者の下顎運動を再現するようにアニメーションにより下顎運動させる動画処理と、
    を含む下顎運動記録方法。
  19. 患者の下顎の運動である下顎運動によって変化する、患者の下顎の頭蓋に対する位置を測定するとともに、患者の下顎の頭蓋に対する位置についてのデータである運動データを出力する出力手段を有する下顎運動検出装置と組合せて用いられる、下顎運動記録装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
    前記コンピュータを、
    ある患者の仮想咬合器についてのデータである仮想咬合器データを記録した記録手段と、
    前記出力手段から、前記運動データを受付ける第2受付手段と、
    リファレンスポジションにおける患者の下顎の位置を特定できる画像であるリファレンス画像のデータを受付ける第3受付手段と、
    前記第3受付手段で受付けたリファレンス画像データに基づくリファレンス画像が撮像された時点における患者の下顎の位置を、前記運動データから特定するリファレンスポジション特定手段と、
    前記第2受付手段で受付けた運動データと、前記記録手段から読出した仮想咬合器データとに基づいて、前記仮想咬合器データにより特定される仮想咬合器の3次元画像における下顎を、前記リファレンスポジション特定手段で特定された下顎の位置をリファレンスポジションとして用いて、患者の下顎運動を再現するようにアニメーションにより下顎運動させる動画処理手段、
    として機能させるためのコンピュータプログラム。
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