以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明に係るワイパモータを備えたワイパ装置を示す車両搭載図を、図2はワイパモータをモータ部側から見た斜視図を、図3はワイパモータの内部構造を説明する断面図を、図4はロータユニットを示す斜視図を、図5(a)はストッパスプリングの斜視図,(b)はストッパスプリングの断面図を、図6はギヤケースの詳細構造を説明する斜視図を、図7はウォームホイールユニットを示す斜視図を、図8はギヤカバーの詳細構造を説明する斜視図をそれぞれ示している。
図1に示すように、自動車等の車両10にはフロントウィンドシールド11が設けられている。車両10におけるフロントウィンドシールド11の前端部分には、ワイパ装置12が搭載されている。このワイパ装置12は、車室内に設けられたワイパスイッチ(図示せず)をオン操作することで駆動され、これによりフロントウィンドシールド11に付着した雨水や埃等の付着物(図示せず)が払拭される。
ワイパ装置12は、ワイパモータ20と、当該ワイパモータ20の揺動運動を各ピボット軸13a,13bに伝達する動力伝達機構14と、基端側が各ピボット軸13a,13bにそれぞれ固定され、先端側が各ピボット軸13a,13bの揺動運動によりフロントウィンドシールド11上で往復払拭動作する一対のワイパ部材15a,15bとを備えている。
各ワイパ部材15a,15bは、それぞれ運転席側および助手席側に対応して設けられている。各ワイパ部材15a,15bは、それぞれワイパアーム16a,16bと、各ワイパアーム16a,16bに装着されたワイパブレード17a,17bとから構成されている。
そして、ワイパモータ20を回転駆動することで、ワイパモータ20の揺動運動が動力伝達機構14を介して各ピボット軸13a,13bに伝達される。これにより、各ピボット軸13a,13bが揺動駆動される。このようにしてワイパモータ20の駆動力が各ワイパ部材15a,15bに伝達され、各ワイパブレード17a,17bによりフロントウィンドシールド11の各払拭範囲11a,11b内に付着した付着物が払拭される。
図2および図3に示すように、ワイパモータ20は、モータ部30およびギヤ部40を備えている。モータ部30およびギヤ部40は、一対の固定ねじ21によって互いに連結されている。ここで、モータ部30とギヤ部40との間にはOリング等のシール部材(図示せず)が設けられ、これによりワイパモータ20の内部への雨水等の進入が防止される。
モータ部30は、鋼板を深絞り加工(プレス加工)等することで有底筒状に形成されたモータケース31を備えている。モータケース31は、筒状本体部31aと、筒状本体部31aの軸方向一端側の底部31bと、筒状本体部31aの軸方向他端側の鍔部31cとを有している。
底部31bは、略円板状に形成され、筒状本体部31aの軸方向一端側を閉塞している。鍔部31cは、筒状本体部31aの軸方向他端側の一部を径方向外側に折り曲げて形成され、鍔部31cの径方向内側には開口部31dが形成されている。そして、鍔部31cは、ギヤケース41の鍔部43fに突き合わされており、鍔部31cには、モータ部30とギヤ部40とを連結する一対の固定ねじ21が貫通するようになっている。
モータケース31を形成する筒状本体部31aの径方向内側には、固定子としてのステータ32が固定されている。ステータ32は、磁性体よりなる複数の鋼板(図示せず)を積層することで略円筒形に形成され、当該ステータ32の外周部分は筒状本体部31aに対して、接着剤等(図示せず)により強固に固定されている。
ステータ32の軸方向両側には、絶縁体である樹脂製のコイルボビン32aが設けられている。このコイルボビン32aには、U相,V相,W相(3相)のコイル32bが所定の巻き数で巻装されている。これらのU相,V相,W相のコイル32bにおける端部(図示せず)は、スター結線(Y結線)の巻き方となるよう電気的に接続されている。ただし、各コイル32bの結線方法としては、スター結線に限らず、例えばデルタ結線(三角結線)等、他の結線方法であっても構わない。
そして、各コイル32bのそれぞれには、ギヤカバー60の内側に装着された制御基板70のスイッチング素子よりなる電子部品EPから、所定のタイミングで駆動電流が供給される。これにより、ステータ32に電磁力が発生し、当該ステータ32の内側にあるロータ33が、所定の回転方向に所定の駆動トルクで回転駆動される。
ステータ32の内側には、所定の隙間(エアギャップ)を介して回転子としてのロータ33が回転自在に設けられている。ロータ33は、磁性体である複数の鋼板(図示せず)を積層することで略円柱形状に形成されている。ロータ33の径方向外側の表面には、図4に示すように、横断面形状が略円弧形状に形成された複数(4つ)の永久磁石33aが装着されている。
複数の永久磁石33aは、ロータ33の周方向に沿って極性が交互に並ぶよう等間隔(90度間隔)で配置されている。このように、ワイパモータ20は、ロータ33の表面に複数の永久磁石33aが装着されたSPM(Surface Permanent Magnet)構造のブラシレスモータとなっている。ただし、SPM構造のブラシレスモータに限らず、ロータ33に複数の永久磁石を埋め込んだIPM(Interior Permanent Magnet)構造のブラシレスモータであっても良い。
図3および図4に示すように、ロータ33の軸心には、回転軸34の軸方向一端側(図3中左側)が固定されている。回転軸34の軸方向他端側(図3中右側)には、転造加工等によって螺旋状の歯部35aを備えたウォーム35が一体に設けられている。ここで、回転軸34のウォーム35よりも軸方向一端側は、直径寸法d1の大径部34aとなり、回転軸34のウォーム35よりも軸方向他端側は、直径寸法d2の小径部34bとなっている(d1>d2)。
大径部34aのウォーム35寄りの部位には、軸受としての第1玉軸受(ボールベアリング)36が設けられている。第1玉軸受36は、鋼材よりなる外輪36aおよび内輪36bと、外輪36aと内輪36bとの間の複数の鋼球36cとから形成されている。そして、内輪36bは大径部34aに止め輪や圧入,カシメ等の固定手段(図示せず)により固定され、外輪36aはギヤケース41の第1軸受装着部43d内に設けられている。つまり、第1玉軸受36は、回転軸34に軸方向に移動不能に設けられている。
ここで、第1玉軸受36は、第1軸受装着部43dに対して、環状のストッパスプリング38(図5参照)により押圧されて固定されている。また、ストッパスプリング38は、ギヤケース41のスプリング収容部43hに、圧入により固定される。
このように、第1玉軸受36を第1軸受装着部43dに固定することで、回転軸34は、ギヤケース41に対して軸方向へ移動不能となる。したがって、モータケース31およびギヤケース41の内側において、回転軸34は軸方向にがたつくことが無く、ひいてはスムーズに回転することができる。
小径部34bには、第2玉軸受(ボールベアリング)37が設けられている。第2玉軸受37は、第1玉軸受36と同様に、鋼材よりなる外輪37aおよび内輪37bと、外輪37aと内輪37bとの間の複数の鋼球37cとから形成されている。そして、内輪37bは小径部34bに圧入等により固定され、外輪37aはギヤケース41の第2軸受装着部43b内に、所定のクリアランス(隙間)CLを介して設けられている。
ここで、第2玉軸受37は第1玉軸受36よりも小型の玉軸受とされ、第2玉軸受37の外径寸法d3は、第1軸受装着部43dの貫通孔43eの内径寸法d4よりも小径となっている(d3<d4)。これにより、ワイパモータ20の組立時において、小径部34bに固定された第2玉軸受37が、回転軸34の軸方向一端側(図3中左側)から、第1軸受装着部43dの貫通孔43eを通過して、第2軸受装着部43b内に第2玉軸受37を容易に配置できるようになっている。
また、第2玉軸受37と第2軸受装着部43bとの間にクリアランスCLを設けている。これにより、ワイパモータ20に大きな負荷が掛かった状態での作動時(降雪時等における作動時)に、ウォームホイール45とウォーム35との噛合反力により回転軸34の軸方向他端側が撓んで、第2玉軸受37と第2軸受装着部43bとが接触される。このようにクリアランスCLを設けることで、回転軸34の径方向への若干の移動が許容される。なお、このクリアランスCLは、構成部品の寸法誤差を吸収する機能も備えている。
そして、ワイパモータ20への負荷が小さい通常動作時においては、回転軸34は第1玉軸受36により回転自在に支持される。つまり、ワイパモータ20の通常作動時においては、回転軸34の支持部分が、第1玉軸受36の部位の1箇所となり、回転軸34のよりスムーズな回転を可能とする。一方、第2玉軸受37は、ワイパモータ20への負荷が大きい時に回転軸34を径方向から支持する。そのため、第2玉軸受37は、第1玉軸受36よりも小型の玉軸受で十分に機能を果たすことができる。
ここで、大径部34aの軸方向に沿うウォーム35と第1玉軸受36との間には、回転軸34の回転状態(回転方向や回転数等)を検出するのに用いられる第1センサマグネットMG1が設けられている。この第1センサマグネットMG1は環状に形成され、回転軸34と一緒に回転するようになっている。第1センサマグネットMG1は、その周方向に交互に極性(図示せず)が現れるようになっている。
ギヤケース41のスプリング収容部43hに圧入により固定されるストッパスプリング(固定部材)38は、図5に示すように、ばね性を有する鋼板をプレス加工等することにより略円板形状に形成されている。ここで、ストッパスプリング38は、ぜんまい等に用いられる炭素工具鋼鋼材(SK材)により形成されている。
ストッパスプリング38の中心部分には、回転軸34の大径部34aが貫通する貫通孔38aが設けられている。ここで、ストッパスプリング38は、図4に示すロータユニットRUの組立時において、ロータ33と第1玉軸受36との間に組み込まれる。また、ストッパスプリング38の外径寸法d5は、各永久磁石33aを含むロータ33の外径寸法d6(図3参照)よりも大きい外径寸法に設定されている(d5>d6)。これにより、ストッパスプリング38に、後述する組付治具80が突き当てられるようになっている。
ストッパスプリング38の径方向外側の部位には、弾性変形部38bが一体に設けられている。この弾性変形部38bは、ストッパスプリング38の全周に亘って設けられ、図5(b)に示すように断面が略S字形状に形成されている。弾性変形部38bの外径寸法、つまりストッパスプリング38の外径寸法d5は、スプリング収容部43hの内径寸法d7(図6参照)よりも、若干大きい寸法となっている(d5>d7)。これにより、ストッパスプリング38は、回転軸34の軸方向一端側からスプリング収容部43h内に圧入により固定される。
ストッパスプリング38の貫通孔38aと弾性変形部38bとの間には、環状の外輪押さえ突起38cが形成されている。この外輪押さえ突起38cの突出方向は、弾性変形部38bの突出方向とは逆の方向となっている。具体的には、外輪押さえ突起38cの突出方向は第1玉軸受36がある方向で、弾性変形部38bの突出方向はロータ33がある方向となっている。
図3に示すように、外輪押さえ突起38cは、第1玉軸受36の外輪36aに当接して、第1玉軸受36を支持するようになっている。これにより、ストッパスプリング38をスプリング収容部43h内に圧入することで、第1玉軸受36が第1軸受装着部43dに位置決めされ、かつ強固に固定される。よって、第1玉軸受36の第1軸受装着部43dからの脱落が防止される。
ストッパスプリング38の外輪押さえ突起38cと弾性変形部38bとの間には、環状の被押圧部38dが形成されている。この被押圧部38dには、ロータユニットRU(図4参照)のギヤケース41への組付時において、組付治具80の押圧部81b(図10参照)の先端部分が当接されるようになっている。なお、被押圧部38dは、弾性変形部38bの突出方向に面している。
ギヤ部40は、アルミ材料を鋳造加工等することで有底の略バスタブ形状に形成されたギヤケース(ケーシング)41を備えている。ギヤケース41は、図6に示すように、底部42,側壁部43および開口部44を有している。底部42には、ギヤケース41の外部(図中下側)に向けて突出されたボス部42aが一体に設けられている。
側壁部43には、ボス部42a側に突出された3つの取付脚43a(図示では2つのみ示す)が一体に設けられている。これらの取付脚43aにはゴムブッシュRBがそれぞれ装着されている。これにより、ワイパモータ20を車両10(図1参照)に取り付けた際に、ワイパモータ20の振動が車両10に伝達され難くなる。また、これとは逆に、車両10の振動もワイパモータ20に伝達され難くなる。
側壁部43におけるギヤケース41の内部側には、略円筒形に形成された第2軸受装着部43bが一体に設けられている。この第2軸受装着部43b内には、上述のように第2玉軸受37が所定のクリアランスCL(図3参照)を介して配置されるようになっている。
側壁部43におけるギヤケース41の外部側で、かつ第2軸受装着部43bと対向する部位には、モータ部30(図3参照)が固定されるモータ固定部43cが一体に設けられている。モータ固定部43cは略有底筒状に形成され、当該モータ固定部43cの底部側(図6の紙面奥側)には、回転軸34の軸方向一端側に向けて開口した第1軸受装着部(軸受装着部)43dが一体に設けられている。また、第1軸受装着部43dの軸心には、回転軸34が貫通する貫通孔43eが設けられている。
モータ固定部43cの軸方向に沿う第1軸受装着部43d側とは反対側の開口部側(図6の紙面手前側)には、モータケース31の鍔部31c(図2参照)が突き合わされる鍔部43fが一体に設けられている。そして、鍔部43fには、モータ部30とギヤ部40とを連結する一対の固定ねじ21(図2参照)がねじ結合される雌ねじ部43gが設けられている。
側壁部43におけるギヤケース41の外部側で、かつモータ固定部43cの軸方向に沿う第1軸受装着部43dと鍔部43fとの間には、比較的大きなデッドスペースDSが形成されている。このデッドスペースDSには、略円筒形状に形成されたスプリング収容部(固定部材収容部)43hが設けられている。スプリング収容部43hは、第1軸受装着部43dと同様に、回転軸34の軸方向一端側に向けて開口している。
スプリング収容部43hの内径寸法d7は、第1軸受装着部43dの内径寸法よりも大径とされ、その内部には、上述のストッパスプリング38(図5参照)が、回転軸34の軸方向一端側から圧入により固定される。このように、ギヤケース41の内部ではなく、ギヤケース41の外部のデッドスペースDSにストッパスプリング38を配置することで、ギヤケース41の小型化を実現している。
図3および図7に示すように、ギヤケース41内には、ウォーム35とともに、ウォームホイール45が回転自在に収容されている。ウォームホイール45は、例えばPOM(ポリアセタール)プラスチック等により略円板状に形成され、外周部分にはギヤ歯45aが形成されている。そして、ウォームホイール45のギヤ歯45aには、ウォーム35の歯部35a(図4参照)が噛み合わされている。ウォームホイール45およびウォーム35は、減速機構SDを形成している。
ウォームホイール45の軸心には、出力軸46の基端側が固定されており、当該出力軸46は、ギヤケース41のボス部42aにより回転自在に支持されている。出力軸46の先端側は、ギヤケース41の外部に延在され、出力軸46の先端部分には、動力伝達機構14(図1参照)が固定される。これにより、回転軸34の回転速度が減速機構SDによって減速され、減速されて高トルク化された出力が、出力軸46から動力伝達機構14に伝達される。よって、各ワイパ部材15a,15b(図1参照)が揺動される。このように、減速機構SDは、ロータ33の回転を、動力伝達機構14を介して各ワイパ部材15a,15bに伝達する。
ここで、ウォームホイール45の軸方向に沿う出力軸46側とは反対側(図7中上側)には、出力軸46の位置情報、つまり各ワイパ部材15a,15bの位置情報を検出するのに用いられる第2センサマグネットMG2が設けられている。第2センサマグネットMG2は、ウォームホイール45の回転中心に固定され、ウォームホイール45と一緒に回転するようになっている。第2センサマグネットMG2においても、その周方向に交互に極性(図示せず)が現れるようになっている。
なお、図7に示すウォームホイールユニットWU、つまりウォームホイール45,出力軸46および第2センサマグネットMG2よりなる組立体は、ワイパモータ20の組立時において、図4に示すロータユニットRUとともに、別の組立工程において予め組み立てられるものである。
ギヤケース41の開口部44(図6参照)は、図3および図8に示すように、プラスチック等よりなるギヤカバー60によって密閉されている。ギヤカバー60は、3つの固定ねじ61(図2参照)によってギヤケース41に固定されている。ギヤカバー60の内側には、ロータ33(回転軸34)の回転を制御する制御基板70が固定されている。制御基板70には、ギヤカバー60に設けたコネクタ接続部62に接続される車両10側の外部コネクタ(図示せず)を介して、車載バッテリ(図示せず)およびワイパスイッチが電気的に接続されている。
制御基板70には、回転軸34の回転状態(回転方向や回転数等)を検出するのに用いられる第1回転検出センサ71が実装されている。ここで、第1回転検出センサ71としては、磁界を検出するホールセンサ(ホールIC)等が用いられる。第1回転検出センサ71は、回転軸34に固定された第1センサマグネットMG1と対向している。これにより、第1センサマグネットMG1の回転に伴って、第1回転検出センサ71からは、パルス信号が出力される。
そして、制御基板70に実装されたCPU(図示せず)が、第1回転検出センサ71からのパルス信号を監視する。これにより、CPUは回転軸34の作動状態(回転方向や回転数等)を把握して、ワイパモータ20を回転駆動する。
また、制御基板70には、出力軸46の位置情報を検出するのに用いられる第2回転検出センサ72が実装されている。ここで、第2回転検出センサ72としては、磁気抵抗効果素子(MR素子)を用いたMRセンサ等が用いられる。第2回転検出センサ72は、ウォームホイール45に固定された第2センサマグネットMG2(図7参照)と対向している。これにより、第2センサマグネットMG2の回転に伴って、第2回転検出センサ72からは、連続的に(リニアに)変化する電圧信号が出力される。
そして、制御基板70に実装されたCPUが、第2回転検出センサ72からの電圧信号を監視する。これにより、CPUは各ワイパブレード17a,17b(図1参照)の位置情報を把握して、ワイパモータ20を回転駆動する。
ここで、図3に示すように、制御基板70と減速機構SDとの間には、プラスチック製の仕切板73が設けられている。この仕切板73は、減速機構SDに塗布されたグリースが制御基板70に飛散するのを防止するものである。
次に、以上のように形成したワイパモータ20の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図9はロータユニットの組付工程(第1工程)を説明する斜視図を、図10はストッパスプリングを押圧する治具を説明する斜視図を、図11はウォームホイールユニットの組付工程(第2工程)およびギヤカバーの組付工程(第3工程)を説明する斜視図をそれぞれ示している。
ここで、ギヤケース41にロータユニットRUを組み付ける際に、図10に示すような組付治具80を用いる。以下、ワイパモータ20の組付工程の説明に先立ち、組付治具80の構造について詳細に説明する。
組付治具80は、ロータユニットRUのストッパスプリング38を、ギヤケース41のスプリング収容部43h(図6参照)に圧入する際に用いる。組付治具80は、ロータ33を形成する4つの永久磁石33aの周囲を覆う3つの被覆部材81を備えている。また、これらの被覆部材81を1つに纏めた状態で保持する保持筒82を備えている。
被覆部材81は、横断面が略円弧状に形成され、永久磁石33aの周囲を覆う被覆本体81aを備えている。また、被覆本体81aの長手方向一端側(図10中右側)には、横断面が略円弧状に形成され、被覆本体81aの曲率半径よりも小さい曲率半径の押圧部81bが設けられている。ここで、被覆本体81aの内径寸法は、永久磁石33aの外径寸法に略等しい。一方、押圧部81bの直径寸法は、ストッパスプリング38の被押圧部38d(図5参照)の直径寸法に略等しい。これにより、押圧部81bの先端部分は被押圧部38dに面接触される。
[第1工程]
まず、図9に示すように、別の製造工程で鋳造成形されたギヤケース41を準備するとともに、別の組立工程で組み立てられたロータユニットRUを準備する。そして、ロータユニットRUの第2玉軸受37側を、回転軸34の軸方向一端側からギヤケース41のモータ固定部43cの開口部側に臨ませる。次いで、図9の矢印(1)に示すように、ロータユニットRUをモータ固定部43cに近接するよう移動させる。これにより、第2玉軸受37が第1軸受装着部43dの貫通孔43eを通過する。その後、さらにロータユニットRUを貫通孔43eに差し込んでいくと、貫通孔43eをウォーム35が通過しつつ、第1玉軸受36が第1軸受装着部43dに徐々に装着される。
次いで、図10の矢印(2)に示すように、3つの被覆部材81をロータ33の各永久磁石33aの周囲に配置する。これにより、各被覆部材81によりロータ33の各永久磁石33aが被覆される。その後、各被覆部材81で各永久磁石33aを被覆した状態のもとで、図10の矢印(3)に示すように、保持筒82を各被覆部材81の外周部分に装着する。これにより、各被覆部材81が1つに纏められるとともに、押圧部81bの先端部分がストッパスプリング38の被押圧部38d(図5参照)と対向する。
そして、組付治具80を、図9の矢印(1)に示すように、回転軸34の軸方向一端側から所定圧で押圧することで、ストッパスプリング38の弾性変形部38b(図5参照)が径方向内側に弾性変形しつつ、ギヤケース41のスプリング収容部43hに圧入される。このとき、第2玉軸受37は、図3に示すように、ギヤケース41の第2軸受装着部43b内に所定のクリアランスCLを介して配置される。ここで、第2玉軸受37と第2軸受装着部43bとの間にはクリアランスCLがあるので、ギヤケース41に対するロータユニットRUの調芯作業、つまりセンタリング作業を容易に行うことができる。
ストッパスプリング38のスプリング収容部43hへの圧入後は、組付治具80を分解し、組付治具80をロータユニットRUから取り外す。具体的には、各被覆部材81から保持筒82を取り外し、その後、分離可能となった各被覆部材81をロータユニットRUから取り外す。
このようにして、ギヤケース41に対する回転軸34の装着方向と、回転軸34に固定された第1玉軸受36をギヤケース41に固定するためのストッパスプリング38の圧入方向とが、それぞれ回転軸34の軸方向に統一される。
[第2工程]
次に、図11に示すように、別の組立工程で組み立てられたウォームホイールユニットWUを準備する。そして、ウォームホイールユニットWUの出力軸46の先端側を、図11の矢印(4)に示すように、ギヤケース41の開口部44からボス部42aに差し込む。これにより、ウォームホイールユニットWUがギヤケース41内に収容される。このとき、ウォームホイールユニットWUを、出力軸46を中心に正逆方向に揺動させ、これにより、ウォームホイール45のギヤ歯45aとウォーム35の歯部35aとを噛み合わせる。
[第3工程]
次に、別の組立工程で制御基板70(図8参照)および仕切板73を組み付けたギヤカバー60を準備する。そして、図11の矢印(5)に示すように、ギヤカバー60の仕切板73側をギヤケース41の開口部44に臨ませて、ギヤカバー60をギヤケース41に近接するよう移動させる。このとき、ギヤカバー60のコネクタ接続部62が、ロータユニットRUのロータ33側を向くようにする。その後、ねじ回し等の締結工具(図示せず)により各固定ねじ61(図2参照)をねじ込み、ギヤカバー60をギヤケース41に固定する。これにより、ギヤカバー60がギヤケース41に固定されて、ワイパモータ20の組み立てが完了する。
以上詳述したように、本実施の形態に係るワイパモータ20によれば、第1軸受装着部43dおよびスプリング収容部43hを、回転軸34の軸方向一端側に向けて開口させたので、ギヤケース41に対する回転軸34の装着方向と、回転軸34に固定された第1玉軸受36をギヤケース41に固定するためのストッパスプリング38の圧入方向とを、それぞれ回転軸34の軸方向に統一することができる。
これにより、回転軸34をギヤケース41に固定するのに、1つの方向のみから構成部品を臨ませるだけで済み、ひいてはワイパモータ20の組立工程を簡素化することができる。
また、ストッパスプリング38を回転軸34の軸方向一端側からスプリング収容部43hに圧入するので、当該スプリング収容部43hをギヤケース41の外側に配置することができ、ひいてはギヤケース41の小型軽量化を図ることが可能となる。
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12(a),(b)は実施の形態2に係るストッパスプリングを示す斜視図を示している。
実施の形態2においては、図12に示すように、ストッパスプリング(固定部材)90の構造のみが異なっている。具体的には、ストッパスプリング90は、ばね性を有する鋼板をプレス加工等することにより略円板形状に形成され、その中心部分には、回転軸34の大径部34a(図3参照)が貫通する貫通孔91が設けられている。貫通孔91の周囲には、ストッパスプリング90の径方向外側に延びるようにして、3つの切欠部92が形成されている。これらの切欠部92は、貫通孔91の周囲に120度間隔(等間隔)で設けられ、ストッパスプリング90に柔軟性を持たせる役割を果たしている。
ストッパスプリング90の径方向外側の部位には、弾性変形部93が一体に設けられている。この弾性変形部93は、ストッパスプリング90の径方向に切り込みを入れ、かつ折り曲げて形成された複数の弾性片93a,93bを備えている。ここで、ストッパスプリング90の各弾性片93aは、各弾性片93bよりも径方向外側に配置され、スプリング収容部43h(図6参照)内に圧入されるようになっている。つまり、ストッパスプリング90は、実施の形態1のストッパスプリング38に比して、スプリング収容部43h内へ容易に圧入可能となっている。
ストッパスプリング90の貫通孔91と弾性変形部93との間で、かつストッパスプリング90の周方向に沿う各切欠部92の間には、外輪押さえ突起94がそれぞれ設けられている。つまり、これらの外輪押さえ突起94は、各切欠部92と同様に、貫通孔91の周囲に120度間隔(等間隔)で設けられている。これらの外輪押さえ突起94の突出方向は、各弾性片93a,93bの折り曲げ方向とは逆の方向となっている。具体的には、各外輪押さえ突起94の突出方向は第1玉軸受36がある方向(図12(a)の右方)で、各弾性片93a,93bの折り曲げ方向はロータ33がある方向(図12(b)の右方)となっている。
そして、各外輪押さえ突起94は、第1玉軸受36の外輪36a(図3参照)にそれぞれ当接、つまり3点で当接して、第1玉軸受36を支持するようになっている。これにより、ストッパスプリング90をスプリング収容部43h内に圧入することで、第1玉軸受36が第1軸受装着部43d(図6参照)に位置決めされ、かつ強固に固定される。これにより、第1玉軸受36の第1軸受装着部43dからの脱落が防止される。
ストッパスプリング90の貫通孔91と弾性変形部93との間で、かつロータ33がある方向(図12(b)の右方)の面には、環状の被押圧部95が形成されている。この被押圧部95には、上述した組付治具80の押圧部81b(図10参照)の先端部分が当接される。
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2においては、ストッパスプリング90に柔軟性を持たせることができるので、スプリング収容部43hへの圧入作業を容易に行うことが可能となる。また、第1玉軸受36の外輪36aを、各外輪押さえ突起94により3点支持するので、ストッパスプリング90に対する第1玉軸受36のがたつきをより確実に防止することができる。
次に、本発明の実施の形態3,4について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図13(a)は実施の形態3に係るストッパスプリングの平面図,(b)は実施の形態4に係るストッパスプリングの平面図を示している。
実施の形態3,4においては、図13に示すように、ストッパスプリング(固定部材)100,110の形状のみが異なっている。
実施の形態3のストッパスプリング100においては、実施の形態1のストッパスプリング38(図5参照)に比して、周方向に3つの切欠部101を設けた点が異なっている。これにより、ストッパスプリング100には、120度間隔で3本の腕部102が設けられ、これらの各腕部102には、弾性変形部103と外輪押さえ突起104とがそれぞれ設けられる。なお、各腕部102の弾性変形部103と外輪押さえ突起104との間で、かつロータ33がある側(図13の紙面奥側)には、組付治具80の押圧部81b(図10参照)の先端部分が当接される被押圧部105が設けられている。
実施の形態4のストッパスプリング110においては、実施の形態1のストッパスプリング38に比して、周方向に4つの直線状切欠部111を設けた点が異なっている。これにより、ストッパスプリング110には、90度間隔で4つの弾性変形部112が設けられる。つまり、実施の形態4のストッパスプリング110においては、実施の形態1のストッパスプリング38に比して、スプリング収容部43h(図6参照)に圧入される部位が少なくなっている。
以上のように形成した実施の形態3,4においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3,4においては、実施の形態2と同様に、ストッパスプリング100,110のスプリング収容部43hへの圧入作業を容易に行うことが可能となる。
次に、本発明の実施の形態5について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図14は実施の形態5に係るワイパモータのケーシングおよびカバー部材を説明する斜視図を示している。
上述した実施の形態1においては、図3に示すように、モータ部30とギヤ部40とを別体とし、モータケース31とギヤケース41とをそれぞれ連結していた。これに対し、実施の形態5に係るワイパモータ120においては、図14に示すように、モータケース部122とギヤケース部123とが一体化されたケーシング121を採用している。
具体的には、ケーシング121はアルミ材料を鋳造加工等することで所定形状に形成され、ギヤケース部123は、実施の形態1のギヤケース41(図6参照)と略同様の形状に形成されている。よって、ギヤケース部123の詳細な説明は省略する。
一方、モータケース部122は、小径部124aおよび大径部124bを有する円筒本体部124を備えている。この円筒本体部124の内部には、図4に示すロータユニットRUが回転自在に収容され、円筒本体部124の回転軸34(図3参照)の軸方向に沿う寸法は、実施の形態1のモータケース31(図3参照)の回転軸34の軸方向に沿う寸法と略等しい寸法となっている。したがって、実施の形態5に係るワイパモータ120は、実施の形態1に比して大型化することは無い。
小径部124aは、円筒本体部124の軸方向に沿うスプリング収容部43h側に配置され、大径部124bは、円筒本体部124の軸方向に沿う開口部125側に配置されている。そして、円筒本体部124の径方向内側で、かつ小径部124aと大径部124bとの間には、段差部124cが設けられている。また、大径部124bの開口部125側には、円筒本体部124の径方向外側に膨出し、カバー部材126が装着されるカバー装着用鍔部124dが設けられている。
段差部124cには、ステータ32の軸方向他端側(図3中右側)が当接される。つまり、段差部124cは、円筒本体部124の軸方向に対するステータ32の位置決めを行う。また、カバー装着用鍔部124dの周囲には、当該カバー装着用鍔部124dの径方向外側に突出するようにして、3つの雌ねじ部124eが形成されている。これらの雌ねじ部124eは、カバー装着用鍔部124dの周方向に沿うよう等間隔(120度間隔)で配置され、固定ねじ127がそれぞれねじ結合される。
円筒本体部124の径方向外側には、凹凸形状の複数の冷却フィン128が一体に設けられている。複数の冷却フィン128は、円筒本体部124の外側の表面積を増やし、円筒本体部124の外側の多くの部位に外気を触れさせて、円筒本体部124の放熱性を向上させるものである。冷却フィン128は、円筒本体部124の軸方向に複数並べて配置され、かつ円筒本体部124の周方向に延びるよう設けられている。
ここで、複数の冷却フィン128は、円筒本体部124の周方向に沿う出力軸46側(図中下側)およびギヤカバー60側(図中上側)の2カ所に配置(図示では一方のみを示す)されている。つまり、複数の冷却フィン128は、円筒本体部124の全周に亘って設けていない。これにより、モータケース部122における十分な放熱性と十分な強度を確保している。ただし、ワイパモータの仕様(定格出力等)によっては、円筒本体部124の全周に亘って冷却フィンを設けても良い。冷却フィンを円筒本体部124の全周に設けることで、鋳造加工時の溶融したアルミ材料の流動性を向上させることができ、ひいては生産性の向上を図ることができる。また、冷却フィンを部分的に設けた場合と比べ、モータケース部122の冷却性を向上させることができ、さらには、円筒本体部124に雨水が付着した場合に、その雨水を流れ易くすることができる。
円筒本体部124の開口部125には、カバー部材126が装着される。当該カバー部材126は、プラスチック等によって略円板状に形成され、底壁部126aと環状装着部126bとを備えている。底壁部126aの中心部分には、円筒本体部124側に窪んだ凹部126cが設けられている。この凹部126cは、カバー部材126の剛性を高める機能、およびワイパモータ120の作動時において底壁部126aが共振するのを抑え、異音が発生するのを防止する機能を備えている。
環状装着部126bの径方向内側には、環状のステータ当接部(図示せず)が設けられ、このステータ当接部は、ステータ32の軸方向一端側(図3中左側)に当接する。つまり、カバー部材126は、ステータ32の円筒本体部124への組み付け時に、段差部124cとともに、円筒本体部124の軸方向に対するステータ32の位置決めを行う。なお、ワイパモータ120の作動時において、ステータ32には、軸方向に移動するような大きな負荷が掛からないため、円筒本体部124からカバー部材126が外れることは無い。
環状装着部126bの径方向外側には、当該環状装着部126bの径方向外側に突出するようにして、3つのねじ固定部126eが形成されている。これらのねじ固定部126eは、環状装着部126bの周方向に沿うよう等間隔(120度間隔)で配置され、固定ねじ127がそれぞれ挿通される。各固定ねじ127は、カバー部材126を円筒本体部124に固定するためのもので、各雌ねじ部124eにねじ結合される。
以上のように形成した実施の形態5に係るワイパモータ120においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態5においては、モータケース部122とギヤケース部123とを一体化して、ケーシング121をアルミ材としたので、ステータ32が発生する熱を効率良く外部に放散することができる。また、複数の冷却フィン128を設けたので、放熱性をより向上させることができる。よって、実施の形態1に比して、耐熱強度を高めたワイパモータ120を実現できる。
さらに、モータケース部122およびギヤケース部123を、鋳造加工等により一体成形したので、モータケース部122およびギヤケース部123を個別に製造する必要が無くなる。また、モータケース31(図3参照)を成形するためのプレス加工等が不要となり、ひいてはケーシング121の加工性を向上させることができる。
次に、本発明の実施の形態6について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図15は実施の形態6に係るワイパモータにおけるモータ部の主要部を拡大した部分断面図を示している。
実施の形態6に係るワイパモータ130は、回転軸34を3点支持した点が異なっている。具体的には、回転軸34の軸方向に沿う略中央部分を第1玉軸受36(図3参照)で支持し、回転軸34の軸方向他端側を第2玉軸受37(図3参照)で支持し、回転軸34の軸方向一端側をメタル軸受(すべり軸受)131で支持している。ここで、メタル軸受131は、回転軸34の大径部34aが挿通される挿通孔131aを有し、その外郭形状は略樽型形状に形成されている。そして、挿通孔131aの径方向内側にはグリース(図示せず)が塗布され、これにより回転軸34の軸方向一端側がスムーズに回転自在に支持される。
モータケース132の底部132aにおける略中央部分には、軸受装着部132bが形成されている。この軸受装着部132bは、モータケース132を深絞り加工する際に形成される。軸受装着部132bは、メタル軸受131を支持する軸受支持部132cと、ストッパ部材132dが圧入される圧入筒部132eとを備えている。これにより、メタル軸受131は軸受装着部132bの内部で強固に固定される。ここで、実施の形態6のワイパモータ130においては、回転軸34の軸方向一端側をメタル軸受131により回転自在に支持するため、実施の形態1よりも、回転軸34の軸方向一端側がロータ33から大きく突出されている。
以上のように形成した実施の形態6に係るワイパモータ130においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態6においては、回転軸34を、第1玉軸受36,第2玉軸受37およびメタル軸受131の3点で回転自在に支持するようにしたので、回転軸34の回転ブレをより確実に防止することができる。よって、さらに静粛性を向上させることが可能となる。
本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。上述の各実施の形態においては、第2玉軸受37と第2軸受装着部43bとの間に、回転軸34の径方向への移動を許容するクリアランスCLを設けたものを示した。本発明はこれに限らず、第2玉軸受37と回転軸34との間に、回転軸34の径方向への移動を許容するクリアランスCLを設けても良い。この場合、ロータユニットRUをギヤケース41に組み付ける前に、第2玉軸受37を第2軸受装着部43bに予め組み込んでおく。さらにまた、上述の各実施の形態においては、第2玉軸受37と第2軸受装着部43bとの間、および第2玉軸受37と回転軸34との間のいずれか一方に、クリアランスCLを設け得るものを示したが、本発明はこれに限らず、クリアランスCLを明確に設けなくても良い。つまり、第1玉軸受36と第1軸受装着部43dとの間と同様な設定としても良い。
また、上述の各実施の形態においては、第2軸受として第2玉軸受37を採用したものを示したが、本発明はこれに限らず、第2軸受として外輪,内輪および鋼球を備えない所謂メタル軸受を採用することもできる。この場合、部品コストを抑えることができ、かつワイパモータ全体を軽量化することができる。
さらに、上記各実施の形態においては、ワイパモータ20,120,130を、ブラシレスのワイパモータとしたものを示したが、本発明はこれに限らず、ブラシ付きのワイパモータにも適用することができる。
また、上記各実施の形態においては、動力伝達機構14を備えるワイパ装置12を示したが、本発明はこれに限らず、ワイパモータ20,120,130の揺動運動を各ピボット軸13a,13bに伝達する過程で、動力伝達機構14を備えていなくても良い。この場合、各ピボット軸13a,13bに動力を伝達するために、各ピボット軸13a,13bに対応したワイパモータをそれぞれ備えることとなる。
さらに、上記実施の形態5においては、カバー部材126がプラスチック等によって形成されるものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば鉄やアルミ,合成樹脂等、他の素材でカバー部材を形成して良く、その材質は限定されない。また、カバー部材126を円筒本体部124に固定する構成として3つのねじ固定部126eを示したが、本発明はこれに限らず、ねじ固定部126eの個数は限定されない。さらに、カバー部材126を円筒本体部124に固定する構成として3つのねじ固定部126eを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、カバー部材126を円筒本体部124に対して係合爪の係合によりワンタッチで固定する構造や、カバー部材そのものを開口部にねじ結合させることで固定する構造、軽圧入により固定する構造等、ねじにより固定する構造に限定されない。また、カバー部材と円筒本体部との間の気密性が保持されていれば良い。
また、上述の各実施の形態においては、ワイパモータ20,120,130を、車両10のフロントウィンドシールド11を払拭するワイパ装置12の駆動源に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、車両のリヤワイパ装置の駆動源や、鉄道車両,船舶あるいは建設機械等のワイパ装置の駆動源にも適用することができる。