JP2016021218A - 思考支援辞書、思考支援辞書システム、思考支援システム、思考支援方法、思考支援プログラム、思考支援プログラム記憶媒体、および思考支援データ記憶媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】思考対象文(句)と関連し、「ものの見方・考え方」を変えることを支援するための関連文(句)を、既知の文書の枠組みを超えて提供することにより、使用者のスキルや知識に対する依存度が高くない思考支援技術を提供する。【解決手段】思考対象文(句)を語句単位に分割した語句列を生成し、統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストとを記憶しているデータ記憶手段より、前記語句列に含まれる各語句を含む前記3つ組の語句リスト、もしくは該3つ組の語句リストに含まれる1つ以上の語句を共有する繋がりを有する3つ組の語句リストに関する情報を選択提示する。【選択図】図1

Description

本発明は、自然言語処理技術に関し、特に取得された思考対象となる句もしくは文との関連を有する句もしくは文の候補を提示する思考支援技術に関する。
ある課題を解決する際、その解決の糸口が見つからず、解決策を容易に想起できない場合がある。このような場合の代表的なケースの1つとして、「ものの見方・考え方」が固定されてしまっているために解決策を見出すことが困難になっているケースがある。このような場合、「ものの見方・考え方が固定されていること」が課題解決の障害となっていることに当事者が無自覚である場合も多く、そのため「ものの見方・考え方」を変えるという方法を取ろうとするケースは多いとは言えない。
以下に、「ある対象のシルエットからその対象を推理する」という課題を、非常に単純化した喩えとして用い、図2を参照してこのようなケースを説明する。
図2は、ある対象としてマグカップを選び、3つの方向よりその対象を見たときのそれぞれのシルエットS1、S2、S3を示したものである。S1は対象を正面から見たシルエットで、S2は対象を上面から見たシルエットで、S3は対象を側面から見たシルエットである。シルエットS1から得られる情報では、そのシルエットS1を詳細に調べても、対象であるマグカップを推理出来る可能性は高いとは言えない。また、シルエットS2から得られる情報によっても、シルエットS1よりは対象であるマグカップを推理できる可能性は高くはなるが、十分に高いとは言い難い。しかし、シルエットS3においては対象であるマグカップを非常に高い確率で推理することが可能となる。
「ものの見方・考え方」が固定化されているために解決策の想起が困難になっている場合には、シルエットS1のように「ものの見方・考え方」が固定化された状態となっていると捉えることができる。そして、このような場合「ものの見方・考え方」が固定化されていることに当事者が無自覚、すなわちシルエットS2やシルエットS3のような「ものの見方・考え方」が存在すること自体に気づいていない場合も多い。このような場合には、シルエットS2、更にはシルエットS3のような「ものの見方・考え方」に変えることが出来れば、解決策想起の支援に効果的であるということが出来る。
「ものの見方・考え方」を変えるための思考支援方法としては、いろいろな方法が存在している。これらの方法は、思考・発想するための汎用的な方法論を提供する第1の思考支援方法と、個別の課題に対する個別のヒントを提供する第2の思考支援方法と、両者の中間的な位置付けとなる、課題を類型化したグループに対して効果的な方法論を提供する第3の思考支援方法とに、大別することが出来る。
第1の思考支援方法の代表例の1つとして、「SCAMPER」発想法(オズボーンのチェックリストを覚え易くしたもの)がある。この思考支援方法は、商品やサービスについて、以下のような問い掛けをすることによって、新たな思考・発想を得ようとする方法である。具体的な問い掛けは、「SCAMPER」の「S」は「Substitute」で「代用品はないか?」という問い掛けで、「C」は「Combine」で「結びつけられないか?」という問い掛けで、「A」は「Adapt」で「応用することは出来るか?」という問い掛けなどである。この思考支援方法をうまく使えば、商品・サービスについて新しい「ものの見方・考え方」、すなわち新たな思考・発想を得られる可能性がある。
第2の思考支援方法の例としては、以下のような思考支援方法がある。
第2の思考支援方法の第1の例としては、課題を記述した文との関わりの強い文を既存文書データベースの中から文節間係り受け構造によるマッチング判定を用いて探し出すという方法がある(特許文献1など参照)。また、第2の思考支援方法の第2の例としては、課題を1つのキーワードに集約した後に、キーワードに関するアナロジー(類比)によって課題解決のヒントを得ようとするNM法がある。また、第2の思考支援方法の第3の例としては、課題を1つのキーワードに集約した後に、3つ組の単語の概念の差異部分に着目して関連語を提示し、課題解決のヒントを得ようとする方法がある(特許文献2参照)。
第3の思考支援方法の代表例の1つとして、TRIZがある。この思考支援方法は、あるシステムにおいてあるパラメータを改善しようとすると、他のパラメータが悪化するという技術的矛盾を、39×39の技術的矛盾マトリックスを用いて分類し、40の発明原理の中よりその課題に適したものを提示するという方法である。
このような第1および第3の思考支援方法によれば、広範囲な課題に対する課題解決のヒントを得られる可能性がある。また、第2の思考支援方法において、第1の例を除く第2の思考支援方法よれば、個別の課題に対して、個別の解決策のヒントを得られる可能性がある。しかしながら、これらの思考支援方法は、その使用者のスキルや知識に対する依存度が高いという問題があった。その一方で、第2の思考支援方法の第1の例によれば、課題に対するヒントが具体的な文で提示されるので、要求される思考の抽象度は、他の方法に比べ低くなり、使用者のスキルや知識に対する依存度をより低くすることが出来る。
特許第3373868号公報 特開2013-125454号公報
乾健太郎、藤田篤、「言い換え技術に関する研究動向」、自然言語処理、第11巻5号:151-198、2004
しかしながら、このような従来技術では、文節間係り受け構造による既存文書とのマッチング判定を用いて既存文書の中よりヒントを抽出しているため、既存文書の中にヒントとなり得る文がない時には、ヒントを提示出来ないという問題があった。また、このような従来技術の課題解決の基本方針は、大まかに捉えれば、課題に関する「ものの見方・考え方」は変えずに、その解決策を既存文書の中よりアナロジーによって探そうというものである。そのため、図2のシルエットS1からシルエットS2やシルエットS3へのような「ものの見方・考え方」の移行を支援する効果は大きいとは言えず、課題解決が「ものの見方・考え方」の変換を必要とするようなタイプの課題である場合には、支援効果が十分とはならない可能性が高いという問題があった。
以上のように、思考支援方法の使用者のスキルや知識に対する依存度をより低くすることができ、既存の文書の枠組みによる制約を受けることがなく、「ものの見方・考え方」を変えることを支援することができる思考支援方法が存在しない、という問題があった。
本発明は、課題を記述した思考対象となる句もしくは文と関連し、「ものの見方・考え方」を変えることを支援するための関連する句もしくは文を、既知の文書の枠組みを超えて提供することにより、その使用者のスキルや知識に対する依存度が高くない思考支援技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかる思考支援辞書は、統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む1組以上の第1の3つ組の語句リストと、該第1の3つ組の語句リストより対応付けによって直接的もしくは間接的に対応付けられている3つ組の語句リストをそれぞれ含む第2の3つ組の語句リストと、を包含する複数の第3の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、該第3の3つ組の語句リスト間の前記対応付けもしくは該第3の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第3の3つ組の語句リストを備え、3次交代群の恒等置換を除く少なくとも1つの置換によって定められる前記第3の3つ組の語句リスト内における語句から語句リストへの置き換えによるモノイド準同型と同一視できる語句の置き換えにより、思考の対象となる句もしくは文を構成している語句を置き換え、当該思考対象の句もしくは文に関連する句もしくは文の候補を得られるように構成されている。
また、本発明にかかる思考支援辞書は、前記思考支援辞書において、前記複数の第3の3つ組の語句リストに代えて、統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、該第4の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リストを備え、3次交代群の恒等置換を除く少なくとも1つの置換によって定められる前記第4の3つ組の語句リスト内における語句から語句リストへの置き換えによるモノイド準同型と同一視できる語句の置き換えにより、思考の対象となる句もしくは文を構成している語句を置き換え、当該思考対象の句もしくは文に関連する句もしくは文の候補を得られるように構成されている。
また、本発明にかかる思考支援辞書は、前記第3もしくは第4の3つ組の語句リストいずれか1つの3つ組の語句リストの掲載欄と、前記3つ組の語句リストを用いた思考支援に関する情報の掲示欄とを備えている。
また、本発明にかかる思考支援辞書システムは、入力された語句を検索対象となる対象語句として取得する入力処理手段と、請求項1または2のいずれか1つに記載の前記第3もしくは第4のいずれか1つの3つ組の語句リストに関する情報を記憶するデータ記憶手段と、前記対象語句を含む前記3つ組の語句リストに関する情報を前記データ記憶手段より選択して画面表示する関連語句選択手段とを備え、3次交代群の恒等置換を除く少なくとも1つの置換によって定められる前記3つ組の語句リスト内における語句から語句リストへの置き換えによるモノイド準同型と同一視できる語句の置き換えにより、思考の対象となる句もしくは文を構成している語句を置き換え、当該思考対象の句もしくは文に関連する句もしくは文の候補を得るために用いられる
また、本発明にかかる思考支援システムは、入力された思考の対象となる句もしくは文を処理対象となる対象句もしくは対象文として取得する入力処理手段と、取得された当該対象句もしくは対象文を語句単位に分割することによって、分割された語句列を取得する分割処理手段と、統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、該第4の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リストに関する情報を記憶するデータ記憶手段と、前記語句列に含まれる各語句を含む前記3つ組の語句リスト、もしくは該3つ組の語句リストに含まれる1つ以上の語句を共有する繋がりを有する前記3つ組の語句リストに関する情報を、前記データ記憶手段より選択し、該情報の全てもしくは一部を画面表示する関連語句選択手段とを備えている。
また、本発明にかかる思考支援システムは、入力された思考の対象となる句もしくは文を処理対象となる対象句もしくは対象文として取得する入力処理手段と、取得された当該対象句もしくは対象文を語句単位に分割することによって、分割された語句列を取得する分割処理手段と、統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、該第4の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リストに関する情報を記憶するデータ記憶手段と、前記語句列に含まれる各語句を含む前記3つ組の語句リスト、もしくは該3つ組の語句リストに含まれる1つ以上の語句を共有する繋がりを1段、もしくは連結的に複数段有する前記3つ組の語句リストに関する情報を、前記データ記憶手段より選択し、該情報の全てもしくは一部を画面表示する関連語句選択手段とを備えている。
また、本発明にかかる思考支援方法は、取得された思考の対象となる句もしくは文を処理対象となる対象句もしくは対象文として取得する入力処理ステップと、取得された当該対象句もしくは対象文を語句単位に分割することによって、分割された語句列を取得する分割処理ステップと、統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、該第4の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リストに関する情報を記憶するデータ記憶手段より、前記語句列に含まれる各語句を含む前記3つ組の語句リスト、もしくは該3つ組の語句リストに含まれる1つ以上の語句を共有する繋がりを有する前記3つ組の語句リストに関する情報を選択し、該情報の全てもしくは一部を提示する関連語句選択ステップとを備えている。
また、本発明にかかる思考支援システムは、入力された思考の対象とする句もしくは文を処理対象となる対象句もしくは対象文として取得する入力処理手段と、取得された当該対象句もしくは対象文を語句単位に分割することによって、分割された語句列を取得する分割処理手段と、統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句集合を、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句集合をそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句集合を包含する複数の第4の3つ組の語句集合を無向グラフの点とし、該第4の3つ組の語句集合間の語句集合同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句集合すべてにおいて、その対応する第1成分、第2成分、および第3成分の語句集合の和集合をそれぞれ第1の和集合Wr、第2の和集合Wb、および第3の和集合Wgとし、該3つ和集合の直和Wwを対応の始域および終域とする第1の対応fにおいて、該対応fを3回合成した対応fがその始域の全ての要素を不動点として持つことを特徴とする第1の対応fに関して、該第1の対応fおよびその逆対応である第2の対応f-1および第1の対応fおよび第2の対応f-1を任意に合成した第3の対応のいずれかの対応によって、前記分割処理手段により分割取得された語句列に含まれる語句を置き換える語句候補を選択し、該置き換え語句候補の全てもしくは一部を選択し画面表示する関連語句選択手段とを備えている。
また、本発明にかかる思考支援辞書は、統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、該第4の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リストを備え、前記第4の3つ組の語句リスト内における一の語句を、所定の巡回規則により同一3つ組の語句リスト内の別の組に属する語句に置き換える語句の置き換えにより、思考の対象となる句もしくは文を構成している語句を置き換え、当該思考対象の句もしくは文に関連する句もしくは文の候補を得られるように構成されている。
また、本発明にかかる思考支援プログラムは、コンピュータを、前述した思考支援辞書システムもしくは思考支援システムを構成する各手段として機能させるためのプログラムである。
また、本発明にかかる思考支援プログラム記憶媒体は、前記思考支援プログラムを記憶した、コンピュータ読み込み可能なプログラム記憶媒体である。
また、本発明にかかる思考支援データ記憶媒体は、前記データ記憶手段に記憶されているデータ、もしくは前記関連語句選択手段において用いられる前記第1の対応fもしくは第2の対応f-1の少なくとも1つの対応に関するデータのいずれか1つを記憶したコンピュータ読み込み可能なデータ記憶媒体である。
本発明によれば、思考対象となる句もしくは文と関連を有する句もしくは文を、既存文書からの抽出という制約なしに、かつ思考対象となる句もしくは文と異なる「ものの見方・考え方」により表現された関連する句もしくは文の候補を提供することによって、思考、特に「ものの見方・考え方」を変える必要のある思考を、その使用者のスキルや知識の依存度が高いという問題を軽減し、効果的に支援することが出来る。
思考支援システムの構成を示すブロック図である。 対象のシルエットから対象を推理する課題の喩えにおける対象のシルエットの説明図である。 1次〜3次対称群および3次交代群の要素の説明図である。 第1の3つ組の語句リスト(集合)、第2の3つ組の語句リスト(集合)、および第3の3つ組の語句リスト(集合)における対応関係の説明図である。 無向グラフを用いた第1の3つ組の語句リスト(集合)、第2の3つ組の語句リスト(集合)、および第3の3つ組の語句リスト(集合)における対応関係の説明図である。 第1の対応fの性質とモノイド準同型fとの関係の説明図である。 第1の対応fの性質とモノイド準同型fとの関係の説明図である。 思考支援辞書の索引部の構成例である。 思考支援辞書の3つ組の語句リスト情報掲載部の構成例である。 思考支援方法における処理を示すフローチャートである。 「利益を生む」という思考対象文の構成語句を思考支援辞書で検索した結果の一例である。 「商品(サービス)の特徴を生かす」という思考対象文の構成語句を思考支援辞書で検索した結果の一例である。 思考支援辞書システムの表示部の表示例である。 思考支援辞書システムの表示部の表示例である。 思考支援辞書システムの内部構成を示すブロック図である。 語句基本情報テーブルの構成例である。 3つ組の語句リスト基本情報テーブルの構成例である。 語句ID―3つ組の語句リストID対応テーブルの構成例である。 3つ組の語句リスト間対応テーブルの構成例である。 思考支援辞書システムの構成を示すブロック図である。 思考支援辞書サーバの内部構成を示すブロック図である。 語句関連データベースの構成例である。 思考支援システムの入力画面表示例である。 思考支援システムの出力画面表示例である。 思考支援シート(1枚目)の構成例である。 思考支援シート(2枚目)の構成例である。 思考支援シート(3枚目)の構成例である。 第1の3つ組の語句リスト(集合)および第4の3つ組の語句リスト(集合)における対応関係の説明図である。 無向グラフを用いた第1の3つ組の語句リスト(集合)および第4の3つ組の語句リスト(集合)における対応関係の説明図である。
[発明の原理]
まず、本発明の原理について説明する。
本発明は、思考対象となる句もしくは文と関連し、「ものの見方・考え方」を変えることを支援するための関連する句もしくは文を、既知の文書の枠組みを超えて提供することにより、思考、特に「ものの見方・考え方」を変えることの必要な思考を支援することを目的としている。本発明は、広義には、句もしくは文から句もしくは文への置き換え技術に関するものである。
句もしくは文から句もしくは文への置き換え方法の1つとして、句もしくは文から句もしくは文への置き換えに関する対応付けを、データとして保有するという方法を考えることができる。しかしながら、このような方法が用いられるのは、置き換え対象となる句もしくは文の総数が少ない場合に限られる。なぜならば、置き換え対象となる句もしくは文の総数が多い場合には、句もしくは文の対応付けデータの作成において、データの作成量および作成効率の面から、このような方法を用いることは現実的ではないためである。
このような課題を解決するためには、句もしくは文をそのままの多様な対象として扱うのではなく、より基本的な要素によって構成されている構造体として捉えるとともに、句もしくは文の置き換えにおけるシンプルな置き換え規則の採用が求められる。本発明は、句もしくは文を語句集合Σより生成される自由モノイドΣ*という構造体として捉え、モノイド準同型というシンプルな置き換え規則のうち「ものの見方・考え方」を変えることに寄与できる置き換え規則を採用することにより、前記課題の解決を図るものである。
一般に、句もしくは文は語句集合Σ上の有限語句列として考えることができ、その有限語句列全体は、語句の連接を二項演算・とし、単位元を空語句列[]としてモノイドとなる。このモノイドをΣ*で表すと、これは語句集合Σを生成系に持つ自由モノイドとなる。この自由モノイドΣ*の要素全てが「意味を持つ有限語句列」すなわち「句もしくは文」となるとは限らないため、「句もしくは文」の集合はこの自由モノイドΣ*の台集合|Σ*|の部分集合となる。
モノイド準同型のよる句もしくは文の置き換えの一例として、「同義語・類義語」による句もしくは文の置き換えを挙げることができる。この方法は、「言い換え」と呼ばれる自然言語処理技術の中で最もシンプルな句もしくは文の置き換えであるということができる(非特許文献1など参照)。ここで、例として“利益を生む”という文について考えることとする。この文を、語句集合Σを生成系とし空語句列[]を単位元、二項演算・を語句の連接とする自由モノイドΣの要素sとして表現すると、
s=“利益”・“を”・“生む”
と表すことができる。この要素sに対して、各語句の同義語・類義語による置き換えを考えると、例えば、
“利益”→{“プロフィット”,“儲け”,“利潤”,…}、
“を”→{“を”}、
“生む”→{“生み出す”,“創り出す”,“創造する”,…}
というような対応付けを考えることが出来る。
この対応付けを対応fとすれば、
:“利益”→{“プロフィット”,“儲け”,“利潤”,…}
というように、語句毎の対応付けを表現することが出来る。このように考えると、この対応fは、その始域が語句集合Σであり、終域は語句集合Σの冪集合P(Σ)の部分集合となっているということが出来る。また、置き換えられた文は
(“利益”)={“プロフィット”,“儲け”,“利潤”,…}

(“を”)={“を”}

(“生む”)={“生み出す”,“創り出す”,“創造する”,…}
の3つの集合の直積の各要素に対応していると考えることが出来る。すなわち、直積×を用いて表すと、
(“利益”・“を”・“生む”)
={“プロフィット”,“儲け”,“利潤”,…}
×{“を”}
×{“生み出す”,“創り出す”,“創造する”,…}
という直積の各要素である順序組を文と同一視したものと考えることができる。また、自由モノイドΣにおける単位元である空語句列[]は対応fによって空語句列集合{[]}に対応付けられるとすれば、これらのことより、対応fは、語句集合Σを生成系とし、単位元を空語句列[]、二項演算・を語句の連接とする自由モノイドΣから、語句集合Σの冪集合P(Σ)の部分集合を生成系とし、単位元を空語句列集合{[]}、二項演算×を語句集合の直積とし、その直積の要素の順序組を文と同一視する自由モノイドf)へのモノイド準同型であるということが出来る。
以上のように、「同義語・類義語」による句もしくは文の置き換えを表す対応fはモノイド準同型fとして捉えることができる。しかしながら、この句もしくは文の置き換えは、図2のシルエットの喩えを用いれば、シルエットS1の「ものの見方・考え方」を保持するように働くので、本発明の課題である「ものの見方・考え方」を変えるための支援とはならない。
「同義語・類義語」による句もしくは文の置き換えから類推できる句もしくは文の置き換えとして、「対義語・対照語」による句もしくは文の置き換えを挙げることが出来る。モノイド準同型fの場合と同様に、自由モノイドΣ*
要素s=“利益”・“を”・“生む”=“利益を生む”
という文に関して、「対義語・対照語」による対応付けを考えることとする。1つの例として、
“利益”→{“損失”,“ロス”,…}、
“を”→{“を”}、
“生む”→{“無くす”,“取り除く”,…}
というような対応付けを考えることが出来る。
この対応付けを文のレベルで捉えると、
要素s=“利益”・“を”・“生む”
→{(“損失”,“を”,“無くす”),(“損失”,“を”,“取り除く”),…}
というような対応付けとなっている。この対応付けを対応fとすれば、「同義語・類義語」による文の置き換えと同様に、この対応fもモノイド準同型fと考えることが出来る。但し、「対義語・対照語」が存在する語句は、「同義語・類義語」が存在する語句よりも限定されるので、「対義語・対照語」による置き換えでは対象となる句もしくは文も限定的となる。
この「対義語・対照語」による句もしくは文の置き換えでは、前述のように、意味的には要素sの意味をある意味裏側から表現しており、要素sと類似のことに言及していることがわかる。図2のシルエットの喩えを用いれば、シルエットS1の状態において、ちょうど逆方向から対象に光を当てているような状態へ置き換えているということも出来る。しかしながら、逆方向から対象に光を当てても得られるシルエットに変化は生じないということができる。したがって、この「対義語・対照語」による句もしくは文の置き換えによっても「ものの見方・考え方」を変えることを支援することは出来ていないに等しいということができる。
以上の2つの「句もしくは文の置き換え」の事例は、「同義語・類義語」による文の置き換えについては、「ある語句の属する語句集合内」における語句の置き換えを対応fとしたモノイド準同型fと考えることができ、「対義語・対照語」による句もしくは文の置き換えについては「ある語句の属する語句集合と、対をなす語句集合とからなる語句集合順序対間」における語句の置き換えを対応fとしたモノイド準同型fとみることができる。しかし、これら2つの「句もしくは文の置き換え」は、モノイド準同型fでは、同じ方向からの「ものの見方・考え方」を保持し、モノイド準同型fでは、逆側からの「ものの見方・考え方」となっているものの、得られるシルエットは図2のシルエットS1とほぼ同様のものとなっており、いずれの「句もしくは文の置き換え」においても、「ものの見方・考え方」を変えることを支援することが十分にはできていないということができる。
この状況において課題の見方を変えると、「同じ方向」、「逆方向」以外に、図2のシルエットS1と同じように見える「ものの見方・考え方」は存在せず、これらのモノイド準同型以外による語句置き換えは、少なからず「ものの見方・考え方」を変えることとなると考えることもできる。すなわち、前記2つの「句もしくは文の置き換え」以外のモノイド準同型fなるものを見い出すことができれば、それによる文の置き換えは、「ものの見方・考え方」を変える支援に寄与することが可能であるということができる。
語句集合としては、「同義語・類義語」や「対義語・対照語」という括りは一般によく知られている括りであるが、それ以外の括りは一般に見い出し難い。しかし、上記の2つの句もしくは文の置き換えについて、それぞれ、モノイド準同型fが「1つの語句集合内」における語句の置き換え、モノイド準同型fが「語句集合の順序対間」における語句の置き換え、であると「ものの見方・考え方」を変えて捉えることにより、この延長線上でモノイド準同型fは「語句集合の3つ組間」における語句の置き換えとして考えることが出来る。したがって、この「語句集合の3つ組間」における語句の置き換えを創り出すことができれば、「ものの見方・考え方」を変えるための支援が可能であるということが出来る。本発明は、この「語句集合の3つ組間」における語句の置き換えによるモノイド準同型fを用いた句もしくは文の置き換え技術であるということができる。
この「語句集合の3つ組間」における語句の置き換えによるモノイド準同型fを用いる場合には、語句の置き換えの際に選ばれ得る語句集合が、置き換えられる語句が含まれる語句集合以外の2つの語句集合のうちの一方となる。したがって、モノイド準同型fの場合と異なり選ばれる語句集合は一意的に決まらないこととなる。「ものの見方・考え方」を変えるための支援に効果的な意味のある語句の置き換えとするためには、句もしくは文を構成する語句全体を統一的な対応付けによって置き換えることが必要となる。したがって、前記モノイド準同型fを本発明に適する統一的な対応とするための限定条件を該モノイド準同型fに課すことが必要となる。
前述のように、前記モノイド準同型fは「1つの語句集合間」の置き換え、前記モノイド準同型fは「2つの語句集合間」の置き換え、そして前記モノイド準同型fは「3つの語句集合間」の置き換えと、考えることができる。これら3つの置き換えは、それぞれ対象(=語句集合)の数が「1つ」、「2つ」、「3つ」の場合の置換として捉えることができる。そして該置換全体はそれぞれ、1次対称群S、2次対称群S、3次対称群Sとして捉えることができる。図3は該3つの対称群S、S、Sおよび3次交代群Aのそれぞれの要素を示したものである。2次対称群S(SG2)には恒等置換eを除く置換としては置換σが唯1つしか存在しないので、モノイド準同型fによる置き換えは該置換σによるものとして一意的に定まる。
一方、3次対称群S(SG3)には恒等置換eを除き5つの置換が存在する。しかしながら、置換τ1〜τ3は、すべての対象を置き換えず、置き換えられない対象が1つ存在するため、句もしくは文全体における語句の統一的な置き換えを行うことはできず、本発明の目的とする置き換えとしては不適となる。したがって、本発明に用いることのできる置換としては置換σ1および置換σ2の2つの置換となる。該2つの置換σ1、σ2のいずれを選択しても、句もしくは文を構成する語句全体に対して統一的な置き換えを実施することは可能であり、本発明の目的を達成することができる。前記所定の巡回規則として、これら2つの置換σ1、σ2を用いることができる。
また、該2つの置換σ1、σ2と恒等置換eの3つの置換よりなる置換群を3次交代群A(AG3)もしくは3次巡回群Cという。したがって、本発明は3次交代群Aのうち恒等置換を除く2つの置換に対応する語句の置き換えに関するものであるということができる。しかしながら、このように捉えることができるためには、さらに必要条件として「語句集合の3つ組」の3つの成分の順序が、すべての語句集合の3つ組において整合的であることが求められることとなる。
ここで、本発明に適する語句集合(リスト)の置換の1つとして、3次交代群Aの置換σ1を考えることとする。この置換σ1が句もしくは文全体において統一的な置き換えを行うためには、その必要条件として、全ての語句集合(リスト)の3つ組において、それらの3つの成分が何らかの方法で1対1に対応付けられていることが必要となる。
そして、前記第1の3つ組の語句リストと、該第1の3つ組の語句リスト(集合)より対応付けによって直接的もしくは間接的に対応付けられている3つ組の語句リスト(集合)をそれぞれ含む前記第2の3つ組の語句リスト(集合)とを包含する前記複数の第3の3つ組の語句リスト(集合)を無向グラフの点とし、該第3の3つ組の語句リスト(集合)間の前記対応付けもしくは該第3の3つ組の語句リスト(集合)間の語句リスト(集合)同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第3の3つ組の語句リスト(集合)が、この要件をみたしていることとなる。
また、前記第1の3つ組の語句リスト(集合)を包含する複数の第4の3つ組の語句リスト(集合)を無向グラフの点とし、該第4の3つ組の語句リスト(集合)間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リスト(集合)も、前記3つ組の3つの成分が満たすべき要件を満たしていることとなる。
図4は第1の3つ組の語句リスト(集合)、第2の3つ組の語句リスト(集合)、および第3の3つ組の語句リスト(集合)における対応関係の説明図である。W11、W12、…は前記第1の3つ組の語句リスト(集合)を模式的に表している。W21、W22、W23、W24、W25、W26、…は前記第2の3つ組の語句リスト(集合)を模式的に表している。W31、W32、W33、…は前記第3の3つ組の語句リスト(集合)のうち第1および第2の3つ組の語句リストに含まれていないものを模式的に表している。
また、2組の3つ組語句リスト(集合)の間にある3つ組の矢印は、前記3つの成分の間の1対1の対応付けを表している。前記第1の3つ組語句リスト(集合)より直接的な対応付けを有しているのは、W21、W22、W23、…の3つ組語句リスト(集合)であり、W24、W25、W26、…の3つ組語句リスト(集合)は直接的に前記第1の語句リストとの対応付けは有していないが、W21、W22、W23、…を経由して間接的に前記第1の語句リストとの対応付けがされているということができる。また、2組の3つ組語句リスト(集合)の間にある3つ組の線分は、前記3つの成分の間の1対1対応を表している。この場合は、対応付けではなく、単なる3つの成分の間の1対1対応なので、方向性を有していないため、単なる線分で表している。
また、前述の複数の第3の3つ組の語句リスト(集合)間の対応付けもしくは1対1対応について、別の表現として無向グラフを用いて表わすと、前記第3の3つ組の語句リスト(集合)を点とし、該第3の3つ組の語句リスト(集合)の間の対応付けもしくは1対1対応を辺とする無向グラフを考えたとき、該無向グラフは連結グラフであると表現することもできる。図5は無向グラフを用いた第1の3つ組の語句リスト(集合)、第2の3つ組の語句リスト(集合)、および第3の3つ組の語句リストにおける対応関係の説明図である。該第1および第2の3つ組の語句リスト(集合)を含む前記第3の3つ組の語句リスト(集合)は、それぞれW11、W12、…、W21、W22、W23、W24、W25、W26、…、W31、W32、W33、…という無向グラフの点であり、これらの間の対応付けもしくは1対1対応を辺として、この無向グラフは、全ての点が連結されている連結グラフを為しているということができる。
同様に、図28は第1の3つ組の語句リスト(集合)および第4の3つ組の語句リスト(集合)における対応関係の説明図である。W1a、W1b、W1c、…は前記第1の3つ組の語句リスト(集合)を模式的に表している。W41、W42、W43、W44、W45、W46、W47、W48、…は前記第4の3つ組の語句リスト(集合)のうち第1の3つ組の語句リストに含まれていないものを模式的に表している。そして、2組の3つ組語句リスト(集合)の間にある3つ組の線分は、前記3つの成分の間の1対1対応を表している。
また、前述の複数の第4の3つ組の語句リスト(集合)間の1対1対応について、別の表現として無向グラフを用いて表わすと、前記第4の3つ組の語句リスト(集合)を点とし、該第4の3つ組の語句リスト(集合)の間の1対1対応を辺とする無向グラフを考えたとき、該無向グラフは連結グラフであると表現することもできる。図29は無向グラフを用いた第1の3つ組の語句リスト(集合)および第4の3つ組の語句リスト(集合)における対応関係の説明図である。該第1の3つ組の語句リスト(集合)を含む前記第4の3つ組の語句リスト(集合)は、それぞれW1a、W1b、W1c、…、W41、W42、W43、W44、W45、W46、W47、W48、…という無向グラフの点であり、これらの間の1対1対応を辺として、この無向グラフは、全ての点が連結されている連結グラフを為しているということができる。
次に、該置換σ1によって語句の置き換えを行った関連する句もしくは文のうちの1つに、再度該置換σ1による語句の置き換えを行った関連する句もしくは文を考えることとする。このようにして得られた関連する句もしくは文も当該思考対象となる句もしくは文の「ものの見方・考え方」を変える支援を行う効果を有すると考えることができる。したがって、該置換σ1による語句の置き換えを複数回続けて行うことも、本発明の課題を解決できる可能性を有するということが出来る。
このような複数回の置き換えの効果を明らかにするためには、語句の対応付けを合成可能な対応として捉え直すことにより、見通しを良くすることが出来る。対応が任意に合成可能であるためには、該対応の始域および終域が一致していることが求められる。しかしながら、本発明に対応する置き換え規則である前記モノイド準同型fは、始域が語句集合Σであり、終域が語句集合Σの冪集合P(Σ)の部分集合であり、始域と終域が一致していない。そこで該モノイド準同型fと同一視できる対応付けであり、かつ始域と終域がともに語句集合Σとして一致している対応fを考えることとする。すなわち、任意の語句xに対するモノイド準同型fによる置き換えられる語句集合f(x)と該対応fによって対応付けられる語句集合f(x)とが一致する、すなわち
Figure 2016021218
という条件を満たすように定めることとする。
しかしながら、前記第4の3つ組の語句集合(リスト)におけるある3つ組の語句集合(リスト)の第i成分(i={1,2,3})に含まれるある語句xが、前記第4の3つ組の語句集合(リスト)いずれかの要素の第i成分以外の成分に含まれる場合には、これら2つの語句xを別の語句として扱う必要が生じる。もし、別の語句として扱わない場合には、句もしくは文全体における統一的な置き換えが維持できなくなる可能性が生じることとなる。したがって、対応fの始域と終域を語句集合Σとしただけでは問題が生じる場合があるため、対応fの始域と終域は、前記第4の3つ組の語句集合(リスト)全ての3つ組の語句集合(リスト)の第1成分の和集合Wrと、全ての3つ組語句集合(リスト)の第2成分の和集合Wbと、全ての3つ組語句集合(リスト)の第3成分の和集合Wgとの直和
Figure 2016021218
とする必要がある。このように対応fの始域および終域を該直和Wwとして定めることにより、異なる順序の成分における同一語句は全て異なる語句として扱われることとなる。
モノイド準同型fは3次交代群Aの置換σ1に対応しているとすると、置換σ1を3回行うと恒等置換eとなるため、該対応fについても3回合成した対応
Figure 2016021218
については、任意の語句xに対して、
Figure 2016021218
が要素として語句xを必ず含む、すなわち
Figure 2016021218
という関係が成り立つということができる。したがって、[数5]は語句の置き換えが前記モノイド準同型fであるための必要条件であるということができる。しかしながら、この条件は、語句の置き換えがモノイド準同型fであるための十分条件ではない。したがって、[数5]という条件を満たしても、語句の置き換えが前記モノイド準同型fに対応しない場合も存在する。
このような場合のシンプルな事例について、図6および図7を参照して説明する。W1およびW2はそれぞれ3つ組の語句集合(リスト)を表しており、W1r、W1b、W1gはそれぞれ語句集合を表し、3つ組の語句集合(リスト)W1の3つ成分に対応している。W2についても同様である。図6の矢印は、語句の置き換えに対応する語句集合間の対応付けを表している。図6の対応においては任意の語句集合に含まれる任意の語句xに対して、[数5]が成り立っているが、前記モノイド準同型fに対応する語句の置き換えとはなっていない。
しかしながら、図7に示すように、組み込まれていない語句集合として語句集合W3bと、それに関連する
対応:W1r→W3b
および
対応:W3b→W2g
を想定することにより、モノイド準同型fによる語句の置き換えであるとみなすことが可能となる。すなわち、図6の状態は語句集合W3bという語句集合がまだ見出されていない、もしくは言葉の語彙として用意されていない概念であるために、語句集合W3bを設けることができていなかったと考えることができる。そのため、[数5]という条件を満たす該対応fに対応する語句の置き換えは、本発明のモノイド準同型fによる語句の置き換えと同一視することが可能となる。従って、本発明における語句の置き換えは、対応の始域と終域として直和[数2]を持ち、[数5]という条件を満たす対応fによるものであるということができる。
該対応fが定まると、その逆対応f-1は、対応の定義より一意的に定まる。該対応fを前記3次交代群Aの前記置換σ1に対応するものとみれば、その逆対応f-1は置換σ2に対応するものと考えることが出来る。そして、これらの対応を任意に合成した対応も、本発明の課題である「ものの見方・考え方」を変える支援のために関連文を提供することが可能であるということが出来る。
任意に合成された対応は3次交代群Aの要素である{e,σ1,σ2}に対応する3つのグループに分類することができる。説明を分かり易くするために、{e,σ1,σ2}の代わりに、3を法とする加法を二項演算とし、単位元を0とする
モノイドM3={0,1,2}
を対応する要素として考えることとする。3次交代群Aの恒等置換eに対応する対応として恒等対応1Σを、置換σ1に対応する対応として対応fを、置換σ2に対応する対応として逆対応f-1を、それぞれ考えることとする。すると、任意の対応の合成は、生成系を
Σ={1Σ,f,f-1
とし、二項演算を対応の合成
Figure 2016021218
とし、単位元を恒等対応1Σとする自由モノイドΣ と考えることができる。ここで、自由モノイドΣ からモノイドM3への、
g(f)=1、
g(f-1)=2
を満たすモノイド準同型gを考えることとすると、任意の対応の合成は、モノイド準同型gにより対応付けられるM3の要素{0,1,2}によって、3つに分類することができる。M3の要素0に対応する対応の合成は対応の生成系Σのうち要素1Σに対応し、M3の要素1に対応する対応の合成は対応の生成系Σのうち要素fに対応し、M3の要素2に対応する対応の合成は生成系Σのうち要素f-1に対応していると考えることが出来る。
ここで、M3の要素1に対応付けられる対応の合成を対応f31とすると、対応f31は、ある語句xが対応fによって置き換えられる語句の集合f(x)を、該語句xが対応f31によって置き換えられる語句の集合f31(x)の部分集合として持つ、という特徴を有している。すなわち、対応f31
Figure 2016021218
という特徴を有している。同様にM3の要素2に対応付けられる対応の合成f32
Figure 2016021218
という特徴を有し、M3の要素0に対応付けられる対応の合成f30
Figure 2016021218
という特徴を有している。
このような特徴は、次のように解釈することができる。
まず、対応f31および対応f32について説明する。
対応fおよびその逆対応f-1は「ものの見方・考え方」を変えることを支援するための語句の置き換えを提供するものであり、それらを任意に合成した対応f31および対応f32は、それぞれ対応fおよびその逆対応f-1に対応するものであり、また、[数7]および[数8]という特徴を有している。すなわち、対応f31および対応f32は、それぞれ対応fとその逆対応f-1を含み、且つ、さらに高次の語句の繋がりによる語句の置き換えをも包んでいると考えることができる。したがって、対応f31および対応f32に相当する対応fとその逆対応f-1の任意の合成も本発明の課題を解決する効果を有しているということが出来る。
次に対応f30について説明する。
対応f30は恒等対応1Σに対応しているので、「同義語・類義語」による置き換えであるモノイド準同型fと類似しているということができる。しかしながら、対応f30も対応fおよびその逆対応f-1の合成によるものなので、前述の対応f31および対応f32と同様に高次の語句の繋がりによる語句の置き換えをも含むことが出来る。そのため、「同義語・類義語」による語句の置き換えを超えた高次の語句の繋がりによる語句の置き換えを含むことが可能となっている。図2のシルエットの喩えを用いれば、対応f30による語句の置き換えは、シルエットS1と類似の方向から見ているものの、高次の語句の繋がりにより、シルエットS1の方向から少し外れた方向から見ることも含むことが出来、すなわち「ものの見方・考え方」を変えることを支援できる方向より対象を見ているシルエットを提供することが出来る。従って、対応f30も本発明の課題を解決する効果を有しているということが出来る。
以上のように、前記第4の3つ組の語句集合(リスト)より導かれる直和[数2]を始域および終域として持つ前記対応fおよびその逆対応f-1とそれらの任意の合成は、「ものの見方・考え方」を変える支援を行うことのできる語句の置き換えを提供できるということが出来る。このように前記第4の3つ組の語句集合(リスト)は、モノイド準同型fの語句の置き換えのベースとなるものである。そのため、ある語句xを置き換える語句yが、その句もしくは文において、少なくとも文法的に正しい語句であることが要請される。その要請を満たすためには、該3つ組の語句集合(リスト)における3つの成分の各語句集合の要素が統語的な共通属性を有していることが少なくとも必要となる。例えば、語句xが名詞類であるとすれば、同じ3つ組語句集合(リスト)に属する他の要素も名詞類という統語的な共通属性を有していることが求められることになる。
また、モノイド準同型fが意味的に対照的な2つの語句集合の対の間における語句の置き換えであるように、モノイド準同型fも意味的に3つに分けられた3つ組の語句集合間の置き換えであることが求められる。そのため、前記第4の3つ組の語句集合(リスト)も、意味的に3つに分けられている3つ組語句集合であることが求められる。その3つ組の語句集合(リスト)が意味的に分られているためには、その3つ組の語句集合(リスト)の3つ成分の要素が意味的な共通部分を持っていることが求められるということが出来る。
例えば、({“過去”,“以前”,…},{“現在”,“今”,…},{“未来”,“以後”,…})という3つに分けられた語句集合の3つ組を考えると、これらの要素である各語句は、時間を表現する語句であるという意味的な共通部分を持っているとともに、「現在」、「今」という時刻との意味的な関係(時間的先後関係)によって3つに分けられているという特徴を有しているということが出来る。すなわち、前記第4の3つ組の語句集合(リスト)は、意味的な共通部分を有する複数の語句よりなる3つ組語句集合(リスト)であり、且つ、意味的な関係によって3つに分けられている3つ組語句集合(リスト)であることが求められる。
しかしながら、前述のように、対応f31、対応f32、および対応f30による語句の置き換えは、前述の統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リスト(集合)を該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リスト(集合)をそれぞれ含む前記複数の第1の3つ組の語句リスト(集合)には含まれないような語句の置き換えも含んでいる可能性がある。したがって、本発明は、このような限定に縛られず、前記第1の3つ組の語句リスト(集合)を包含する複数の第4の3つ組の語句リスト(集合)を無向グラフの点とし、該第4の3つ組の語句リスト(集合)間の語句リスト(集合)同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リスト(集合)にまで3つ組の語句リストの範囲を拡大することが可能となる。
以上、前記第4の3つ組の語句リスト(集合)について述べてきたが、これらのことは前記第3の3つ組の語句リスト(集合)に対しても同様のことを言うことができる。
次に、該第2の3つ組の語句集合(リスト)を創り出すための方法について説明する。
該第2の3つ組の語句集合(リスト)は、前記第1および第2の3つ組の語句集合(リスト)を点、該3つ組の語句集合(リスト)間の対応付けを辺とする無向グラフを考えれば、前述のように連結グラフをなしている。言い換えれば、1組もしくは複数の3つ組の語句集合(リスト)があれば、その3つ組の語句集合(リスト)を置き換える何らかの対応付けによって、他の3つ組の語句集合(リスト)を創り出すことができるとみることもできる。
例えば、({“多い”,“少ない”,…},{“高い”,“低い”,…}、{“広い”,“狭い”,…})という3つ組の(形容詞)語句集合が定められていたとすれば、これらを他動詞に置き換えるような対応付けも考えることができる。このような対応付けにより、({“多い”,“少ない”,…},{“高い”,“低い”,…}、{“広い”,“狭い”,…})は、({“増やす”,“減らす”,…},{“高める”,“低くする”,…}、{“広げる”,“狭める”,…})という語句集合の3つ組に置き換えることができる。このようなシンプルな対応付け以外にも様々な対応付けを考えることができ、3つ組の語句集合(リスト)を様々に創り出すことが可能となる。
このような対応付けは、前述の例のように、「形容詞xを類似の意味を有する他動詞に置き換える」というように、場合分けを用いずに統一的に記述が可能である。このような場合分けを用いない統一的な記述が可能な場合においては、場合分けを用いる記述も可能となる。例えば、「語句xが、多・少に関わる形容詞である場合には、増・減に関する他動詞にxを置き換える。…」というように記述することもできる。そして、これは場合分けを用いない対応付けと機能的に等しいということができる。しかしながら、場合分けを用いずに記述することができる対応付けは、可能な限り、場合分けを用いない対応付けを用いる方が、語句集合の3つ組の分類と各成分の対応付けをより明確に保つことが出来るということは言うまでもない。
このようにして、本発明によれば、取得された思考対象となる句もしくは文を構成している各語句を、3つ組の語句集合(リスト)間における語句の置き換えに対応する前記モノイド準同型fおよびそれにより派生する置き換え規則を用いて置き換えることにより、当該思考対象となる句もしくは文と関連を持ち、且つ「ものの見方・考え方」を変えることに効果のある関連する句もしくは文を提供することを可能としている。この前記モノイド準同型fは、統語的な共通属性を有し、且つ意味的な共通部分を有する語句を含むような語句集合(リスト)を、その要素の意味的な関係より3つに分類された3つ組の語句集合(リスト)を包含するような複数の3つ組に対する3次交代群Aの1つの置換に対応する対応付けとして導き出すことができる。(ただし、3次交代群Aの恒等置換を除く。)そして、この前記モノイド準同型fと同一視できる前記対応fとその逆対応f-1とそれらの任意の合成を分類した前記対応f31、対応f32、および対応f30と同一視できる語句の置き換えにより、本発明の課題である「ものの見方・考え方」を変えるための関連する句もしくは文、すなわち異なる方向からの「ものの見方・考え方」に関するヒントを提供することが出来る。
次に、本発明の複数の実施形態について図面を参照して説明する。
[思考支援辞書]
まず、図8〜12を参照して、本実施にかかる思考支援辞書について説明する。
図8は、思考支援辞書の索引部の構成例であり、図9は、思考支援辞書の3つ組の語句リスト情報の掲載部の構成例である。
この思考支援辞書は、当該思考対象となる句もしくは文を構成する語句を含む3つ組の語句リストに関する情報を取得するための辞書であり、該語句を図8に示すような索引部を用いて検索し、該語句を含む3つ組の語句リストに関する情報を図9に示すような3つ組の語句リスト情報の掲載部により提供するという機能を有している。
本実施の形態にかかる前記思考支援辞書は、主な構成部として、索引部(図8)、3つ組の語句リスト情報の掲載部(図9)、および思考支援に関する情報の掲示欄(図示せず)を有している。
索引部(図8)には、主要構成要素として、索引用50音見出しD1、語句の読み(英語などの表音文字で書かれた語句の場合は語句のスペリング)D2、語句の表記D3、対象語句を含む3つ組の語句リストID番号D4、対象語句を含む3つ組の語句リスト掲載ページD5が設けられている。
3つ組の語句リスト情報の掲載部(図9)には、主要構成要素として、3つ組の語句リストID番号D4、3つ組の語句リストの統語的な共通属性D6、3つ組の語句リストの3分類カテゴリ名D7、3つ組の語句リストに含まれる各語句の表記D3、3つ組の語句リスト間の対応付けに関する情報D8が設けられている。
また、思考支援に関する情報の掲示欄(図示せず)には、本発明にかかる思考支援方法に関する情報が掲示されている。
このように、思考対象となる句もしくは文を構成する語句の読み、もしくはスペリングが分かれば、本思考支援辞書の索引部(図8)を用いて、該語句を含む3つ組の語句リストに関する情報掲載ページを得、該3つ組の語句リストの情報を得ることが可能となり、「ものの見方・考え方」を変えるヒントとしての前述の関連する句もしくは文の候補を得ることができる。
前述の本実施形態は、紙に印刷された辞書を想定して説明をしているが、例えば、PDFファイルや電子書籍などの電子的な形式においても同様の機能を持たせることができる。さらに、PDFファイルや電子書籍などの場合には、紙の辞書ではできない、文書内の相互リンク機能を使うことにより、索引部の該当する語句にタッチ、もしくはクリックすることにより、その語句を含む3つ組の語句リスト情報を掲載しているページにジャンプすることが可能となる。更に、容量的な問題がなければ、該語句が複数の3つ組の語句リストに含まれる場合が少なくないので、それらの複数の3つ組の語句リストを語句毎に連ねて記載したページを別途設け、そのページにジャンプすることも可能となる。その場合、3つ組の語句リスト情報に含まれる、各語句にこれらの語句毎のページへのリンクを埋め込むことも可能となり、該当語句を含む複数の3つ組の語句リストを検索することが更に容易となる。
前述の本実施形態においては、前記第1の3つ組の語句リスト(集合)として、「対称性による二項関係の分類」についての3つ組の語句リスト(集合)である({“反対称関係”、“反対称的関係”}、{“どちらでもない二項関係”}、{“対称関係”、“対称的関係”})を用いており、この第1の3つ組の語句リスト(集合)より、直接的および間接的な対応付けにより第2の3つ組の語句リスト(集合)が生成されることとなる。(※“反対称”・“対称”の双方に含まれる“等号”などがあり、厳密な意味で3分類とはなっていないが、本目的においては問題とはならないため、本分類を採用している。)該本実施形態においては、第1の3つ組の語句リスト(集合)として、({“反対称関係”、“反対称的関係”}、{“どちらでもない二項関係”}、{“対称関係”、“対称的関係”})を用いているが、第2の3つ組の語句リスト(集合)の中より任意の3つ組の語句リスト(集合)を第1の3つ組の語句リスト(集合)として採用することも可能であり、本実施形態に限定されるものではない。
これら第2の3つ組の語句リスト(集合)は、既知の3つ組の語句リスト(集合)を有効活用することにより、効率的に生成していくことが可能である。
例えば、({“動詞”}、{“形容詞”}、{“名詞”})という既知の3つ組の語句リスト(集合)をひとつの目標として、前記第1の3つ組の語句リスト(集合)({“反対称関係”、“反対称的関係”}、{“どちらでもない二項関係”}、{“対称関係”、“対称的関係”})より導かれる複数の第2の3つ組語句リスト(集合)を連ねていくことにより、目標とする3つ組の語句リスト(集合)({“動詞”}、{“形容詞”}、{“名詞”})への対応付けのルートを見出していくという方法を用いることができる。
具体例として、以下のその一例を示す。
第1の3つ組語句リスト(集合):({“反対称関係”、“反対称的関係”}、{“どちらでもない二項関係”}、{“対称関係”、“対称的関係”})
→({“半順序”}、{“どちらでもない前順序”}、{“同値関係”})
→({“整列”、“序列化”、“配列”、“順序付け”}、{“関係付け”、“関連付け”}、{“分類”、“類別”、“類型化”、“同一視”})
→({“列”、“並び”、“連なり”、“序列”、“配列”、“順序”}、{“関係”、“関連”}、{“分類”、“カテゴリ”、“グループ”、“種類”、“区分”、“類別”、“類型”})
→({“動詞”}、{“形容詞”}、{“名詞”})
というように第1の3つ組の語句リスト(集合)より、目標とする既知の第2の3つ組の語句リスト(集合)への対応付けを連結的に行うことが可能である。本発明では、実施形態の一例として、前記の3つ組の語句リストの例を示しているが、同義語・類義語をどこまで含めるかという点や、対応付けの内容およびそのルートなどについては、目的などに応じて自由に変更していくことは可能であり、本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態では、前記第3の3つ組の語句リストを想定して説明しているが、この第3の語句リストに含まれる第2の3つ組の語句リストをすべて前記第1の3つ組の語句リストとして扱えば、この第3の3つ組の語句リストは、前記第4の3つ組の語句リストと同一視することができることとなる。
次に、図10を参照して、前述の「利益を生む。」という思考対象文を、本思考支援辞書により語句を置き換え、該思考対象文と関連を有する関連文を構成する方法について説明する。図10は思考支援方法における処理を示すフローチャートであり、図11は「利益を生む。」という思考対象文の構成語句を思考支援辞書で検索した結果の一例である。
まず、「思考対象となる課題を明らかにし、思考対象となる句もしくは文を定める。」(図10のS10)という処理を行う。前述の「利益を生む。」という文がそれに当たる。
次に、「該思考対象となる句もしくは文を語句単位に分割する。」(S11)という処理を行う。
「利益を生む。」→“利益”・“を”・“生む”
というように語句単位に分割することができる。
そして、「各語句を関連語句に置き換える。」(S12)という処理を行う。このステップで、本思考支援辞書を用いて、置き換える関連語句を検索する。具体的には、“利益”を含む3つ組の語句リスト(集合)として、図11の[104](図11では「すみ付き括弧」で表示)に示される3つ組の語句リスト(集合)情報を得、“生む”を含む3つ組の語句リスト(集合)として、図11の[15]に示される3つ組の語句リスト(集合)情報を得る。
ここで、前記所定の巡回規則として、最もシンプルな置き換え方法の1つとして、3次交代群Aの置換σ1を用いることとする。具体的には、
(1、2、3)→(2、3、1)
という置き換えに相当し、(1、2、3)を3つ組の語句リストの3分類カテゴリ名として(赤、青、緑)を用い、これに対応させれば、
(赤、青、緑)→(青、緑、赤)
という置き換えに相当することとなる。これらの3分類のカテゴリ名はその大まかな性質より(赤、青、緑)と名付けており、また、(赤、青、緑)の順としているが、これに限定されるものではない。
語句“利益”は、カテゴリ“青”に属している。すなわち、置換σ1を1回作用させるということは、カテゴリ“緑”に属する語句リスト(集合){“売上”、“売上高”、“セールス”}に属する語句で置き換えることに相当する。また、同様に語句“生む”は、カテゴリ“赤”に属しているので、置換σ1により、カテゴリ“青”に属する語句リスト(集合){“深める”、“深くする”、“深化させる”、“浅くする”、“高める”、…}に属している語句で置き換えることに相当する。語句“を”は、句もしくは文の構造を表現している語句として捉え、本実施例においては、この語句“を”による文の構造を変化させる置き換えを対象としていないため、語句“を”は置き換えの対象から除外している。このように語句の性質上、置き換えが除外される場合の他、「ものの見方・考え方」のヒントを得る課題領域による制限により置き換え対象の語句が辞書に存在していても、置き換えを行わない方がよい場合もある。
このような置き換えを考えることにより、例えば、「利益を生む。」→「売上を高める。」という置き換えによる関連文を得ることとなる。
更に、置換σ1を再び作用させると、語句“利益”は、カテゴリ“赤”に属する語句リスト(集合){“原価”、“コスト”、“費用”、“経費”}に属する語句による置き換えに相当することとなり、語句“生む”は、カテゴリ“緑”に属する語句リスト(集合){“広める”、“広げる”、“広くする”、“拡げる”、“狭める”、“狭くする”、“絞る”、“拡大する”、“拡張する”、“縮小する”、“大きくする”、“小さくする”、“膨張させる”、“収縮させる”}に属する語句による置き換えに相当することとなる。
これにより、例えば、
「利益を生む。」→「原価を縮小する。」
という置き換えによる関連文を得ることとなる。
以上の例では、最もシンプルな巡回規則として、3次交代群Aの置換σ1を1回および2回作用させることによって得られる関連文について説明をした。しかし、手間が問題とならない場合には、更に置換σ1および置換σ2を任意に組み合わせて作用させることによって、更に高次な関係を有する句もしくは文を得るということも可能であり、本実施形態に限定されるものではない。
以上のように、「利益を生む。」という思考対象文より、「ものの見方・考え方」を変えるためのヒントとして「売上を高める。」や「原価を縮小する。」という関連文を得ることができたこととなる。この事例の場合には、思考対象となる句もしくは文が単純であり、関連する句もしくは文の内容も常識の範疇であるので、何か新たなことを発見することとはならないが、思考対象となる句もしくは文がより複雑で、置き換え対象語句の数が多くなり、また置き換え候補となる語句リスト(集合)の語句数が多ければ多いほど、関連文となり得る候補の句もしくは文の数は非常に多様な可能性を持つこととなる。最終的には、この中より、思考対象となる句もしくは文の文脈や思考を行う担当者の状態・状況に応じて、「ものの見方・考え方」を変えるためのヒントとしての効果が大きいと感じられる組み合わせが選択されることとなる。そのため、選択するという視点から見れば、思考対象となる句もしくは文の語句数は多すぎても選択が困難になるというデメリットがあるため、適度な語数で思考対象となる句もしくは文を表すことが求められることとなる。
次に、もう少し複雑な構造の思考対象となる句もしくは文の置き換えの一事例について説明する。思考対象文として「商品(サービス)の特徴を生かす。」という課題を考えることとする。図12は、「商品(サービス)の特徴を生かす。」という思考対象文の構成語句を思考支援辞書で検索した結果の一例である。
先の事例と同様に、語句単位に分割すると、
「商品(サービス)の特徴を生かす。」→“商品(サービス)”・“の”・“特徴”・“を”・“生かす”
となる。これらの語句を含む3つ組の語句リスト(集合)を思考支援辞書で検索すると、“商品(サービス)”は3つ組の語句リスト(集合)[102]のカテゴリ“緑”に属しており、“の”は3つ組の語句リスト(集合)[90]のカテゴリ“青”に属しており、“特徴”は3つ組の語句リスト(集合)[18]のカテゴリ“青”に属しており、“生かす”は3つ組の語句リスト(集合)[23]のカテゴリ“赤”に属している。
次に先の事例と同様に、3次交代群Aの置換σ1を1回作用させると、
“商品(サービス)”→{“ニーズ”、“ウォンツ”、“欲求”}、
“の”→{“〜という”、“〜としての”}、
“特徴”→{“分類”、“カテゴリ”、“グループ”、…}、
“生かす”→{“持つ”、“有する”、“備える”、…}
という置き換え候補の語句を得る。この候補の組み合わせにより、例えば、「ニーズという分類を持つ。」という関連文を得ることができる。
更に、置換σ1をもう1回作用させると、
“商品(サービス)”→{“企画”,“構想”,“デザイン”、“設計”,“マーケティング”}、
“の”→{“〜による”、“〜により”、“〜で”}、
“特徴”→{“行動”、“動作”、“作用”、“機能”、“働き”、“働き掛け”、“影響”}、
“生かす”→{“選ぶ”、“選択する”、“決める”、…}
という置き換え候補の語句を得る。この候補の組み合わせにより、例えば、「マーケティングにより働き掛けを決める。」という関連文を得ることができる。
以上のように、「商品(サービス)の特徴を生かす。」という思考対象文より、「ものの見方・考え方」を変えるヒントとして「ニーズという分類を持つ。」や「マーケティングにより働き掛けを決める。」という関連文を得ることができる。このことは、「商品(サービス)の特徴」という狭い視野により思考が行き詰っているような場合には、「顧客のニーズ」という視点や、「マーケティングという売れる仕組みづくり」の視点へと、思考を切り替えてくれる効果を有しているということができる。
[思考支援辞書システム(1)]
次に、図13〜19を参照して、本実施にかかる思考支援辞書システムD20について説明する。
図13および図14は、思考支援辞書システムの表示部の表示例であり、図15は、思考支援辞書システムの内部構成を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる思考支援辞書システムD20(図15)には、主な機能部として、CPU:D30、入力部D40、表示部D50、ROM:D60、RAM:D70、記憶媒体読み書き部D80、通信I/F部D90が設けられている。
この思考支援辞書システムD20は、当該思考対象となる句もしくは文を構成する語句を含む3つ組の語句リストに関する情報を取得するための辞書システムであり、CPU:D30の情報処理により、入力部D40より入力された検索対象語句(思考対象となる句もしくは文を構成する語句)の読みD10(英語などの表音文字で書かれた語句の場合は検索対象語句のスペリング)に該当する対象語句候補D11を表示部D50のメインディスプレイD51に表示し、入力部D40を用いてその中より該当する対象語句候補D11(白黒反転部の語句)を選択し、表示部D50のメインディスプレイD51にその対象語句を含む3つ組の語句リスト情報D12を表示するという機能を有している。
入力部D40は、アルファベットやひらがなを入力するキー群D41や、タッチパネルD42などの入力装置からなり、利用者の操作を検出してCPU:D30へ出力する機能を有している。
表示部D50は、LCDなどのメインディスプレイD51やサブディスプレイD52などの画面表示装置からなり、CPU:D30からの指示に応じて各種情報を画面表示する機能を有している。
ROM:D60はフラッシュROMなどからなり、CPU:D30のための情報表示プログラムD61や3つ組の語句リスト情報などを含む辞書DB:D62Aを記憶する機能を有している。辞書DB:D62Aには、前記第3もしくは第4の3つ組の語句リスト、該3つ組の語句リストにかかる前記対応付けに関する情報などを記憶している。また、RAM:D70は、表示部D50に表示するための情報などを記憶する機能を有している。
また、各種外部記憶媒体(図示せず)に記録された情報表示プログラムや辞書DBなどを記憶媒体読み書き部D80からROM:D60に読み込んだり、通信I/F部D90よりインターネット上のWebサーバより情報表示プログラムや辞書DBなどをROM:D60に読み込んだりすることにより、新たな表示プログラムを機能させたり、新たな3つ組の語句リスト情報などを表示させたりする機能を有している。
次に、辞書DB:D62Aの詳細構成の一例を図16〜19を参照して説明する。
図16は語句基本情報テーブルの構成例であり、該テーブルは語句ID、語句表記、語句の読み、および統語属性に関する情報を有している。図17は3つ組の語句リスト基本情報テーブルの構成例であり、該テーブルは3つ組の語句リストID、統語属性、3つ組の語句リスト分類情報、3つ組の語句リスト含有語句情報に関する情報を有している。図18は語句ID―3つ組の語句リストID対応テーブルの構成例であり、該テーブルは語句ID、3つ組の語句リストID、および3つ組の語句リストカテゴリに関する情報を有している。この語句IDと3つ組の語句リストIDの対応情報は、各語句が含まれる3つ組の語句リストの対応関係を表している。図17の3つ組の語句リスト含有語句情報は、図16および図18に含まれる情報より生成することも可能であり、データとして保有せずとも表示リクエスト毎に生成することも処理時間に問題がなければ可能となる。図19は3つ組の語句リスト間対応テーブルの構成例であり、対応元3つ組の語句リストID、対応先3つ組の語句リストID、3つ組の語句リスト間対応情報に関する情報を有している。
この辞書DB:D62Aを用いた情報処理の流れを以下に説明する。
入力部D40より入力された検索対象語句の読みD10(英語などの表音文字で書かれた語句の場合は検索対象語句のスペリング)をCPU:D30が受け取り、辞書DB:D62Aのデータテーブルの一つである前記語句基本情報テーブル(図16)を検索し、該当する語句の語句IDを見出す。見出された語句IDより、その語句を含む3つ組の語句リストIDを、前記語句ID―3つ組の語句リストID対応テーブル(図18)を用いて検索し、該当する3つ組の語句リストID(複数該当の場合には複数の3つ組の語句リストID)を見出し、それらの3つ組の語句リストに関する情報を、前記3つ組の語句リスト基本情報テーブル(図17)より検索し、表示部D50のメインディスプレイD51に表示する。表示された3つ組の語句リストに関する情報より、該当する語句を選択し、選択された3つ組の語句リストに関する情報を、同様の流れで、表示部D50のメインディスプレイD51に表示する。
以上のようにして、前述の思考支援辞書を用いた場合と同様に、ある思考対象となる句もしくは文より「ものの見方・考え方」を変えるヒントとなる関連する句もしくは文を得ることができる。
[思考支援辞書システム(2)]
次に、思考支援辞書システムのもう一つの実施形態として、図20および図21を参照して、本実施にかかる思考支援辞書システムDS10について説明する。
図20は、思考支援辞書システムの構成を示すブロック図であり、図21は、思考支援辞書サーバの内部構成の一例を示すブロック図である。
本実施の形態にかかる思考支援辞書システムDS10(図20)には、主な機能部として、ユーザ端末:DS20、思考支援辞書サーバDS30、通信ネットワークDS40が設けられている。ユーザ端末DS20は、コンピュータやスマートフォンなどを用いることができ、該ユーザ端末DSには、主な機能部として、入力機能、通信機能、出力機能などが設けられている。思考支援辞書サーバDS30(図21)には、主な機能部として、操作入力部DS31、画面表示部DS32、通信I/F部DS33、記憶部DS34、演算処理部DS35、データベース部DS36が設けられている。
この思考支援辞書システムDS10は、当該思考対象となる句もしくは文を構成する語句を含む3つ組の語句リストに関する情報を取得するための辞書システムであり、ユーザ端末DS20より入力された検索対象語句(思考対象となる句もしくは文を構成する語句)に関する情報を、通信ネットワークDS40を介して思考支援辞書サーバDS30が取得し、該検索対象語句を含む3つ組の語句リスト情報を通信ネットワークDS40を介して検索リクエストのあったユーザ端末DS20に送信し、該ユーザ端末DS20はその情報を画面表示するという機能を有している。
思考支援辞書サーバDS30における検索対象語句を含む3つ組の語句リスト情報の辞書DB:DS36Aよりの取得は、思考支援辞書システムD20の辞書DB:D62Aよりの取得と同様に行われる。その結果を用いて、前記思考支援辞書および思考支援辞書システムD20を用いた場合と同様に、ある思考対象となる句もしくは文より「ものの見方・考え方」を変えるヒントとなる関連する句もしくは文を得ることができる。
[思考支援システム(1)]
次に、図1を参照して、本実施にかかる思考支援システム10について説明する。図1は、思考支援システムの構成を示すブロック図である。
この思考支援システム10は、全体としてコンピュータにより自然言語を用いた情報処理を行う情報処理システムであり、入力された思考対象となる句もしくは文と関連を持ち、思考対象となる句もしくは文を構成する各語句を、該各語句を含む3つ組の語句リスト(集合)に含まれる語句、もしくは該3つ組の語句リスト(集合)に含まれる1つ以上の語句を共有する繋がりを1段、もしくは連結的に複数段有する3つ組語句リスト(集合)に含まれる語句よりなる関連語句を選択し提示することにより、思考、特に「ものの見方・考え方」を変える必要のある思考を支援する機能を有している。
本実施の形態にかかる思考支援システム10には、主な機能部として、操作入力部11、画面表示部12、通信I/F部13、記憶部14、演算処理部15、データベース部16が設けられている。
操作入力部11は、キーボードやタッチパネルなどの操作入力装置からなり、ユーザの操作を検出して演算処理部15へ出力する機能を有している。
画面表示部12は、LCDなどの画面表示装置からなり、演算処理部15からの指示に応じて各種情報を画面表示する機能を有している。
通信I/F部13は、データ通信用の専用回路からなり、LAN回線や無線回線などを介してデータ通信を行う機能を有している。
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15での各種処理に用いる処理情報14Aやプログラム14Pを記憶する機能を有している。プログラム14Pは、演算処理部15で実行されることにより、演算処理部15と協働して各種の処理部を実現するプログラムであり、外部装置や記憶媒体(ともに図示せず)から予め読み込まれて記憶部14に格納される。
データベース部16は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15での各種処理に用いるデータベースを記憶する機能を有している。
データベース部16で記憶する主なデータベースとして、3つ組の語句リスト(集合)に関連する語句関連データベースがある。
語句関連データベースの構成方式としては、大きく分けて2つの方式がある。1つ目の方式は、3つ組の語句集合(リスト)の情報を直接的にデータベースとして構成する方式であり、2つ目の方法は、前記第1の対応fおよびその逆対応である第2の対応f-1、そして該第1の対応fおよび該第2の対応f-1を任意に合成した第3の対応などの対応を表すブール行列(もしくは非負行列)に関する情報をデータとして用いる方式である。
1つ目の語句関連データベース構成方式は、3つ組語句集(リスト)の情報を直接的にデータベースとして構成する方式であり、前記思考支援辞書システムの方式と同様であり、図16〜19に示されるデータベースとして構築することが可能である。但し、思考支援システムという実施形態の場合には、該思考支援システムは、当該思考対象となる句もしくは文を入力し、それに関連する句もしくは文候補を該思考支援システムが提示するため、思考対象となる句もしくは文を構成する各語句を含む3つ組の語句リスト(集合)と他の3つ組の語句リスト(集合)との間の対応関係に関する情報は、使用者にとって副次的な情報として捉えられる可能性が大きくなるので、データベースには、これらの3つ組の語句リスト(集合)間対応情報を含めない構成も可能となる。
このデータベース構成方法を用いても、前記対応fによって規定されている前記思考支援システムを実現することも可能である。具体的には、図7を用いて説明したように、W3bという語句集合がまだ見出されていない、もしくは言葉の語彙として用意されていない概念であると解釈して未定義の語句集合を用意することにより、前記データベース構成方法によって実現することが可能となる。
2つ目の語句関連データベース構成方式は、前記第1の対応fおよびその逆対応である第2の対応f-1、そして該第1の対応fおよび該第2の対応f-1を任意に合成した第3の対応などの対応を表すブール行列(もしくは非負行列)に関する情報をデータとして用いる方式である。図22を用いて2つ目の語句関連データベースの構成事例を説明する。
対応fは、その始域と終域として直和[数2](Wr:前記第1の和集合、Wb:前記第2の和集合、Wg:前記第3の和集合)をもつ。図22の縦軸および横軸に列記されている語句が、この対応fの始域および終域である直和Wwに相当し、0と1の行列が対応fのグラフ情報に対応している。具体的には、行列の成分の値が1である縦軸の語句と横軸の語句の順序対が、対応fのグラフの要素を表している。
この行列をブール行列Gとして考えれば、この行列G自身の積Gは対応fを2回合成した対応
Figure 2016021218
のグラフに対応している。したがって、対応[数3]のグラフは、行列Gを計算することにより求めることができる。また、対応fの逆対応f-1のグラフは、Gの転置行列Gに対応している。したがって、任意の対応の合成、例えば、対応
Figure 2016021218
のグラフは、行列の積Gを計算することにより求めることができる。以上のようにして、第1の対応fおよび第2の対応f-1を任意に合成した第3の対応のグラフを計算することができ、このグラフを用いて、各語句の置き換えを求めることができることとなる。この事例では、ブール行列Gとして説明したが、非負行列Gとして扱い行列の成分が正の値である順序対を対応のグラフ要素として扱っても同様の処理を行うことができる。
また、統語的な属性の異なる語句は、同一の3つ組の語句リスト(集合)の要素とはほとんどならないため、統語的な属性のグループ毎に、前記ブール行列Gを作成することも可能であり、その方がメモリ効率的にも、計算効率的にも有利となる。更に、同じ統語的な属性のグループにおけるブール行列であっても、この行列は多くの成分が0である疎行列であるので、行列の計算技術における様々な既存技術を行列の積の計算に利用することができる。
このような対応の合成は、目的などに応じていくつかの方法を採用することができる。
例えば、対応の合成を個別に指定する方式では、対応
Figure 2016021218
を利用したい場合には、その情報を予め本思考支援システムに入力し、その情報により対応[数12]のグラフを計算したり、事前に計算して情報を記憶しているデータベースより呼び出したりして、語句の置き換えに利用することができる。
対応の合成の回数を指定する方式では、例えば、3回以内の対応の合成を利用したい場合には、対応の合成の最高回数である3回を予め本思考支援システムに入力し、本思考支援システムは、その最高合成回数3回に対応する対応の合成、f、f-1
[数10]、[数12]、
Figure 2016021218

Figure 2016021218
、[数3]などの対応のグラフを全て求め、それらのグラフを前記対応の合成の3分類毎にブール行列の和を取ることにより、最大3種類の対応の合成の結果として、まとめて表示することが可能となる。また、このような回数別の対応の合成結果を予めデータベースに記憶させておくことも可能である。
以上にように、対応fより派生的に生成可能な各種対応のグラフのデータも含めて、予めデータベースに記憶させておく、そのような方式が2つ目の語句関連データベースの構成方式である。
図23は思考支援システムの入力画面表示例であり、図24は思考支援システムの出力画面表示例である。図23は、思考支援システム10の画面表示部12に表示された思考対象となる句もしくは文の入力ウィンドーを表している。この入力ウィンドーには、操作入力部11のキーボードなどにより入力された思考対象となる句もしくは文である「商品の特徴を生かす。」という文が表示されている。この画面の関連文(句)表示のボタンを操作入力部11のマウスなどを用いてクリック等を行うことにより選択すると、演算処理部15の入力処理部15Aにより「商品の特徴を生かす。」という思考対象文(句)を受け取り記憶部14に記憶する。
その後、分割処理部15Bにより、該思考対象となる句もしくは文を形態素解析技術などの自然言語処理技術の利用により、関連語句DB16Aに記憶されている語句の単位に分割し、該思考対象となる句もしくは文を語句単位に分割した語句リストを生成する。
置換処理部15Cは、該語句リストに含まれる各語句を含む3つ組の語句リスト(集合)、もしくは該3つ組の語句リスト(集合)に含まれる1つ以上の語句を共有する繋がりを1段、もしくは連結的に複数段有する3つ組の語句リスト(集合)に関する情報を関連語句DB16Aより検索し、それらの情報をもとに関連する句もしくは文候補となる語句リスト(集合)の直積を生成する。ここでいう、1つ以上の語句の繋がりを1段有するとは、図7の3つ組の語句リスト(集合)W1と、(W1r、W3b、W2g)からなる3つ組の語句リスト(集合)との関係であり、また連結的に複数段とは、(W1r、W3b、W2g)からなる3つ組の語句リスト(集合)を介して、3つ組語句リスト(集合)W1とW2が繋がっている関係に相当する。
置換処理部15Cにより生成された前記語句リスト(集合)の直積に関する情報は、出力処理部15Dにより画面表示部12に画面表示される。図24は、該語句リスト(集合)の直積を関連する句もしくは文の候補をイメージできるような形式で出力した画面表示例である。
関連する句もしくは文の候補は図24の例では、対応の合成の3分類に対応する3つのグループの全てが表示されている。[f](図24では「すみ付き括弧」で表示)は対応fに対応付けられるグループであり、図23で選択されている「基本範囲」においては、例えば、対応fによる置き換え結果を表示することとできる。同様に、[f-1]は対応f-1に対応付けられるグループであり、図23で選択されている「基本範囲」においては、例えば、対応f-1による置き換え結果を表示するようにすることとできる。同様に、[1Σ]は、対応1Σに対応付けられるグループであり、図23で選択されている「基本範囲」においては、例えば、対応[数12]および対応[数13]に対応付けられる置き換え結果を表示するようにすることとできる。
図24の出力画面表示例は、前述のように各語句リスト(集合)の直積の各要素である順序を文と同一視して利用者がイメージすることができる。図24の[f]の関連する句もしくは文の候補の事例では、その直積の要素の数は3×2×8×1×6=288個となり、288通りの関連文候補の表示していることとなる。実際に288通りの関連文候補をひとつずつリストアップして表示したのでは、その膨大なリストの中よりヒントとなる可能性の高いものを選び出すことは難しくなってしまうが、この事例のような直積という演算結果を利用者にイメージしてもらうことで、すべての関連する句もしくは文の可能性を網羅的に把握することが可能となる。しかしながら、3つ組の語句リスト(集合)の中には、非常に要素数の多いものも存在するので、そのような場合には、全てを表示するのではなく、その一部分を表示するという形態をとっても構わない。その選択の方法としては、例えば、各語句の出現頻度をあるコーパスを用いて算出し、その出現頻度の高い順に予め決められた数だけ表示する、という方法も取ることができる。また、語句単体ではなく、文全体の表現としての自然さを指標として表示する語句を選択するということも、各種言語処理技術(非特許文献1など参照)によって実現することも可能である。
以上のようにして、思考支援辞書、および思考支援辞書システムの事例と同様に、ある思考対象となる句もしくは文より「ものの見方・考え方」を変えるヒントとなる関連する句もしくは文を得ることができる。
[思考支援システム(2)]
思考支援システムの別の実施形態は、図20の思考支援辞書サーバDS30のところに前記思考支援システムと類似の機能を持つ思考支援サーバがあるという形態をとる。動作的には、前記思考支援システムのそれと同様となり、ある思考対象となる句もしくは文より「ものの見方・考え方」を変えるヒントとなる関連する句もしくは文を得ることができる。
「思考支援方法」
以上、様々な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明にかかる思考支援方法は、思考支援システムや思考支援方法などのように、思考対象となる句もしくは文を入力することにより関連する句もしくは文の候補を出力するという方法のみに限定されるものではない。例えば、前述のように、思考支援辞書、もしくは思考支援辞書システムを用いて、利用者が関連する句もしくは文の候補を見出すことも可能である。更に、例えば、このような辞書を用いた思考支援方法を支援するために、その思考支援方法の各ステップで行う必要な事項を把握しやすく、またその結果をまとめやすいように、形式を工夫した思考支援シート(紙・電子媒体どちらでも構わない)のようなものを用意することにより、よりこの思考支援方法を支援していくことも可能である。思考支援シート(紙媒体)の構成事例を図25〜27に示す。このシートに記載されている指示に従って所定の記入欄に思考支援辞書等を用いて該当する語句などを記入することにより、ある思考対象となる句もしくは文より「ものの見方・考え方」を変えるヒントとなる関連する句もしくは文を得ることができる。
[実施の形態の拡張]
以上、様々な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
10…思考支援システム
11…操作入力部
12…画面表示部
13…通信I/F部
14…記憶部
15…演算処理部
16A…関連語句DB
D1…索引用50音見出し
D2…対象語句の読み
D3…対象語句の表記
D4…対象語句を含む3つ組の語句リストID番号
D5…対象語句を含む3つ組の語句リスト掲載ページ
D6…3つ組の語句リストの統語的共通属性
D7…3つ組の語句リストの3分類カテゴリ名
D8…3つ組の語句リスト間の対応付けに関する情報(対応元よりの対応付け)
D10…検索対象語句の読み
D11…検索対象語句の読みに該当する語句リスト
D12…該当語句リストの選択語句を含む3つ組の語句リスト情報(プレビュー)
D13…該当語句リストの選択語句を含む3つ組の語句リスト情報
D20…思考支援辞書システム
D30…CPU
D40…入力部
D50…表示部
D62A…辞書DB
DS10…思考支援辞書システム
DS20…ユーザ端末
DS30…思考支援辞書サーバ
DS31…操作入力部
DS32…画面表示部
DS33…通信I/F部
DS34…記憶部
DS35…演算処理部
DS36A…辞書DB
DS40…通信ネットワーク
[付記]
取得された思考の対象となる句もしくは文を処理対象となる対象句もしくは対象文として取得する入力処理ステップと、
取得された当該対象句もしくは対象文を語句単位に分割することによって、分割された語句列を取得する分割処理ステップと、
統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、
該第4の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、
該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リストに関する情報を記憶するデータ記憶手段より、前記語句列に含まれる各語句を含む前記3つ組の語句リスト、もしくは該3つ組の語句リストに含まれる1つ以上の語句を共有する繋がりを有する前記3つ組の語句リストに関する情報を選択し、該情報の全てもしくは一部を提示する関連語句選択ステップと、
を備えることを特徴とする思考支援方法。

Claims (3)

  1. 統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む1組以上の第1の3つ組の語句リストと、
    該第1の3つ組の語句リストより対応付けによって直接的もしくは間接的に対応付けられている3つ組の語句リストをそれぞれ含む第2の3つ組の語句リストと、
    を包含する複数の第3の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、
    該第3の3つ組の語句リスト間の前記対応付けもしくは該第3の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、
    該無向グラフが連結グラフである前記複数の第3の3つ組の語句リストの掲載部を備え、
    前記第3の3つ組の語句リストの掲載部が、思考の対象となる句もしくは文を構成している語句を選択する第1の語句リストの掲載部と、
    3次交代群の恒等置換を除く少なくとも1つの置換によって定められる前記第3の3つ組の語句リスト内における語句から語句リストへの置き換えによるモノイド準同型と同一視できる語句の置き換えにより、当該思考対象となる句もしくは文と関連する句もしくは文を構成する語句を選択する第2および第3の語句リストの掲載部と、
    を含むことを特徴とする思考支援辞書。
  2. 請求項1に記載の思考支援辞書において、
    前記複数の第3の3つ組の語句リストに代えて、
    統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、
    該第4の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、
    該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リストの掲載部を備え、
    前記第4の3つ組の語句リストの掲載部が、思考の対象となる句もしくは文を構成している語句を選択する第1の語句リストの掲載部と、
    3次交代群の恒等置換を除く少なくとも1つの置換によって定められる前記第4の3つ組の語句リスト内における語句から語句リストへの置き換えによるモノイド準同型と同一視できる語句の置き換えにより、当該思考対象となる句もしくは文と関連する句もしくは文を構成する語句を選択する第2および第3の語句リストの掲載部と、
    を含むことを特徴とする思考支援辞書。
  3. 統語的に共通な属性を有するとともに意味的な共通部分を有する複数の語句を含む語句リストを、該複数の語句の意味的な関係により3つに分割した3つ組の語句リストをそれぞれ含む複数の第1の3つ組の語句リストを包含する複数の第4の3つ組の語句リストを無向グラフの点とし、
    該第4の3つ組の語句リスト間の語句リスト同士の1対1対応を無向グラフの辺としたとき、
    該無向グラフが連結グラフである前記複数の第4の3つ組の語句リストを備え、
    前記第4の3つ組の語句リスト内における一の語句を、3次交代群による所定の巡回規則により同一3つ組の語句リスト内の別の組に属する語句に置き換える語句の置き換えにより、思考の対象となる句もしくは文を構成している語句を置き換え、当該思考対象の句もしくは文に関連する句もしくは文の候補を得られるように構成されていることを特徴とする思考支援辞書。
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