JP2016020409A - コーティング組成物及び光学部材 - Google Patents

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公彦 金野
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勝博 岸上
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Abstract

【課題】透明電極にクラックを生じさせない光散乱性の光学部材をを形成可能なコーティング組成物を提供する。
【解決手段】本発明のコーティング組成物は、金属酸化物粒子、グリシジル基含有化合物、シリコン系樹脂、キレート化合物及び有機溶剤を含み、前記金属酸化物粒子は、チタン酸化合物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛及び五酸化二ニオブよりなる群から選ばれる少なくとも一種の粒子からなり、かつ、前記金属酸化物粒子の平均粒子径が60〜300nmであり、前記グリシジル基含有化合物の含有量は、前記シリコン系樹脂及び前記グリシジル基含有化合物の総重量に対して5〜50重量%であり、前記有機溶剤が、相対蒸発速度80以下の有機溶剤を35重量%以上含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング組成物及び光学部材に関する。
いわゆる有機エレクトロルミネッセンス(EL)装置は、透明電極と金属電極との間に有機発光層を形成した発光装置である。透明電極には通常、スズ含有酸化インジウム(ITO)が用いられ、有機発光層はガラス等の透明基材で封止されている。ここで、透明基材上に透明電極を形成して用いる場合、透明基材と透明電極の屈折率の差が小さいと、有機発光層から出射された光は、効率よく透明基材の表面から外部へ放出されるため、光取り出し効率は良好である。しかし、上記屈折率の差が大きくなると、光取り出し効率は低下する。これは、透明基材に通常用いられるガラスの屈折率は約1.5であり、透明電極に通常用いられるITOの屈折率は約2であるため、有機発光層から出射された光が、透明電極と透明基材との界面で反射し、金属電極側に戻ってしまうためである。
光取り出し効率を向上させる方法として、透明電極と透明基材との間に光散乱作用を有する光学部材を設けることが提案されている。例えば、特許文献1では、アルコキシシラン類を含むマトリクス中に粒子径20〜400nmの光散乱粒子を含有させてなる光学部材が提案されている。
このようなマトリクス中に粒子を含有させてなる光学部材を発光装置に利用することは、いわゆる発光ダイオード(LED)においても検討されている。例えば、特許文献2では、アリール基、アリールオキシ基、アルキル基又はオレフィン鎖を含むシロキサン化合物と親和性を示す官能基を有し、分子量が1000以下の有機化合物あるいはシラン化合物で被覆した無機ナノ粒子を、マトリクスであるシロキサン架橋生成物中に含有させてなる光学部材を、発光素子の充填材料、封止材料に用いることが提案されている。
特許4140541号公報 特開2007−302799号公報
しかし、特許文献2に記載されているシロキサン架橋生成物を用いたマトリクス中に粒子を含有させてなる光学部材を有機EL装置の光学部材として用いた場合、光の取り出しが困難となる場合があることが分かった。この原因について検討したところ、光学部材の上に形成したITOからなる透明電極にクラックが生じるためであることが分かった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、透明電極にクラックが生じない光学部材を形成可能なコーティング組成物、及び、そのコーティング組成物を用いた光学部材を提供する。
本発明のコーティング組成物は、金属酸化物粒子、グリシジル基含有化合物、シリコン系樹脂、キレート化合物及び有機溶剤を含むコーティング組成物であって、前記金属酸化物粒子は、チタン酸化合物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛及び五酸化二ニオブよりなる群から選ばれる少なくとも一種の粒子からなり、かつ、前記金属酸化物粒子の平均粒子径が60〜300nmであり、前記グリシジル基含有化合物の含有量は、前記シリコン系樹脂及び前記グリシジル基含有化合物の総重量に対して5〜50重量%であり、前記有機溶剤が、相対蒸発速度80以下の有機溶剤を35重量%以上含むことを特徴とする。
本発明の光学部材は、上記本発明のコーティング組成物から形成された光学部材であって、ヘイズが2%以上であり、表面粗度Raが5.0nm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、透明電極にクラックを生じさせない光散乱性の光学部材を形成可能なコーティング組成物、及び、透明電極にクラックを生じさせない光学部材を提供できる。
図1は、波長と光損失率との関係を示す図である。 図2は、波長と光損失率との関係を示す図である。
(本発明のコーティング組成物)
本発明者らは、鋭意検討の結果、透明電極にクラックを生じる原因として、光学部材の塗膜の硬化度の低下にあることを見出した。例えば、透明電極としてITO膜を光学部材の上に形成する場合、ITO膜の特性を向上させるため基材を200℃程度に加熱することが行われる。この加熱時に光学部材の塗膜の硬化度が変化し、ITO膜にクラックが生じることがある。また、ITO膜の作製後、洗浄して使用する場合、洗浄後の乾燥にIPA(イソプロピルアルコール)蒸気乾燥を用いると光学部材の塗膜の未硬化成分が流出して塗膜が収縮し、その塗膜の上に形成したITO膜にクラックが発生することがある。このような原因で発生するクラックを防止するには、光学部材の塗膜の硬化度の変化を抑制することが重要であり、このため硬化度の向上が必要と考えた。そこで、光学部材の塗膜の硬化度の向上の検討を行い、本発明に至った。
本発明者らは、種々検討の結果、金属酸化物粒子、グリシジル基含有化合物、シリコン系樹脂、キレート化合物及び有機溶剤を含む特定のコーティング組成物を用いて、光学部材の塗膜を形成すると、その塗膜の硬化度が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明のコーティング組成物について具体的に説明する。本発明のコーティング組成物は、金属酸化物粒子、グリシジル基含有化合物、シリコン系樹脂、キレート化合物及び有機溶剤を含み、上記金属酸化物粒子は、チタン酸化合物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛及び五酸化二ニオブよりなる群から選ばれる少なくとも一種の粒子からなり、かつ、上記金属酸化物粒子の平均粒子径が60〜300nmであり、上記グリシジル基含有化合物の含有量は、上記シリコン系樹脂及び上記グリシジル基含有化合物の総重量に対して5〜50重量%であり、上記有機溶剤が、相対蒸発速度80以下の有機溶剤を35重量%以上含むことを特徴とする。
本発明の第1の特徴が、上記コーティング組成物にグリシジル基含有化合物とシリコン系樹脂を含有させることである。上記シリコン系樹脂と上記グリシジル基含有化合物とを用いると塗膜の硬化度が向上するのは、シリコン系化合物のシラノール基とグリシジル基含有化合物のグリシジル基との反応により、金属酸化物粒子の周囲のマトリクス部分の硬化度が上昇すると考えられるからである。特に、グリシジル基含有化合物としてグリシジル基を有するアルコキシシラン化合物を用いると、金属酸化物粒子の表面に上記アルコキシシラン化合物が吸着し、上記アルコキシシラン化合物を介して金属酸化物粒子とシリコン系樹脂との一体化が図られるためか、塗膜の硬化度が向上すると考えられる。
また、本発明の第2の特徴が、上記コーティング組成物にキレート化合物を含有させることである。これにより、キレート化合物によるシリコン系樹脂に対する触媒作用により、塗膜の硬化度が向上するためか、光学部材の上に形成する透明導電膜にクラックが生じなくなる。
また、本発明の第3の特徴が、上記コーティング組成物に相対蒸発速度80以下の有機溶剤を含有させることである。これにより、塗膜の乾燥速度が遅くなり、塗膜の表面にマトリクス樹脂が偏在するためか、光学部材の上に形成される金属酸化物からなる透明導電膜との密着性が良好になり、透明導電膜のクラックの発生が抑制される。
以下、本発明のコーティング組成物の各成分について詳細に説明する。
<金属酸化物粒子>
本発明のコーティング組成物に含まれる金属酸化物粒子には、チタン酸化合物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛及び五酸化二ニオブよりなる群から選ばれる少なくとも一種の粒子を用いる。これらの金属酸化物の屈折率は約2であり、高屈折率の光学部材を作製可能となる。これにより、本発明のコーティング組成物で作製した光学部材(光散乱層)と、その上に形成した透明電極との屈折率の差を小さくでき、光取り出し効率を高めることができる。上記金属酸化物粒子としては、吸収端が可視光領域から離れていることから、特にチタン酸化合物粒子及び酸化ジルコニウム粒子の少なくとも一種であることが好ましい。また、上記金属酸化物粒子には、触媒活性の抑制あるいは分散性の向上のため、他の金属酸化物粒子、例えば、酸化アルミニウム粒子、酸化ケイ素粒子等を含有させてもよい。
上記チタン酸化合物としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。チタン酸化合物の具体例としては、戸田工業社製のチタン酸バリウム“T−BTO−20RF”、“T−BTO−30RF”、“T−BTO−50RF”、“T−BTO−100RF”、“T−BTO−120RK”、“T−BTO−155RK”(商品名)、共立マテリアル社製のチタン酸バリウム“BT−HP200”、“BT−HP150”、“BT−HP100”、“BT−HP50”(商品名)、日本化学工業社製のストロンチウム含有チタン酸バリウム“パルセラムAKBST(9:1)”(商品名)等が挙げられる。
上記酸化ジルコニウムとしては、例えば、共立マテリアル社製の“KZ−0Y”、“KZ−0YL”、“KZ−0YLSF”(商品名)等があげられる。また、イットリウム等を添加し部分安定化した酸化ジルコニウムを用いてもよく、例えば、共立マテリアル社製の“KZ−3YF typeC”、“KZ−3YFtypeNFS”(商品名)、東ソー社製の“TZ−3Y-E”(商品名)等が挙げられる。
上記酸化チタンとしては、例えば、石原産業社製の超微粒子酸化チタン“TTO−55A”、“TTO−55B”、“TTO−55C”、“TTO−55D”、“TTO−51A”、“TTO−51C”(商品名)、日本アエロジル社製の二酸化チタン“アエロキサイドP25”、“アエロキサイドT805”(商品名)、酸化チタン“STX501”(商品名)等が挙げられる。
上記金属酸化物粒子の平均粒子径は、60〜300nmの範囲に設定される。上記平均粒子径を60nm以上とすることにより、光散乱性を有する光学部材の作製が可能となる。より具体的には、上記平均粒子径を60nm以上とすることにより、ヘイズが2%以上の光散乱部材を提供できる。また、上記平均粒子径を300nm以下とすることにより、塗膜の平滑性を確保でき、例えば、有機EL装置用の光学部材として好適なものを提供できる。
本明細書において、平均粒子径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡を用いて、金属酸化物粒子100個の粒子径を測定し、その算術平均値で示したものである。
上記金属酸化物粒子の含有量は、コーティング組成物の固形分中、即ち溶剤以外の成分中、10〜80重量%が好ましい。上記金属酸化物粒子の配合量が多いほど、光散乱効果が大きくなり、10重量%以上で光取り出し効率を好適に調整可能となる。一方、上記金属酸化物粒子の配合量が80重量%を超えると、樹脂成分が少なくなり塗膜の硬化度が低下する傾向がある。
また、本発明者らは、種々検討を行った結果、塗膜の透過光の色味の角度依存に差を確認した。透過光の色味が角度依存する塗膜を光取り出し膜(光学部材)として用いた照明では、その照明光の色味が角度依存することになり、好ましくないと考えられる。このような透過光の色味について検討したところ、「光損失率」により、色味の差を確認できることが分かった。ここで、「光損失率」は、「100−(透過率+散乱率)」と定義されるものであり、各波長での光損失率を計算し損失スペクトルを作成した場合、長波長側から短波長側にかけて光損失率は漸次増加し、400nmあたりで急激に増加することが分かった。即ち、図1に示すように光損失率が414nmから急激に増加する塗膜はその色味の角度依存が大きく、図2に示すように394nmから急激に増加するものは角度依存が少ないことが分かった。ここで、図1の塗膜に含まれる金属酸化物粒子は酸化チタン粒子であり、図2の塗膜に含まれる金属酸化物粒子はチタン酸バリウム粒子である。また、金属酸化物粒子として、酸化ジルコニウム粒子を用いても、図2と同様の結果を得た。この結果から、透過光の色味の角度依存が少ない光学部材を得るには、光損失率の最大ピークの開始波長が、410nm以下の領域に存在することが必要であり、405nm以下の領域に存在することが好ましく、また、400nm以下の領域に存在することがより好ましいことが分かった。
このように、本発明者らは、金属酸化物粒子として、チタン酸化合物粒子、酸化ジルコニウム粒子の少なくとも一種を用いることにより、透過光の色味の角度依存が少ない光学部材を作製できることを見出した。即ち、上記金属酸化物粒子として、チタン酸化合物粒子又は酸化ジルコニウム粒子を含む本発明のコーティング組成物を用いることにより、透過光の色味の角度依存の少ない光学部材を作製することができる。
<グリシジル基含有化合物>
本発明のコーティング組成物に含まれるグリシジル基含有化合物は、グリシジル基を有するアルコキシシラン化合物であることが好ましい。具体的には、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランの少なくとも一種を用いることが好ましい。また、グリシジル基含有化合物は、グリシジル基を有するアルコキシシラン化合物以外のグリシジルエーテル化合物を用いてもよい。上記グリシジルエーテル化合物は、グリシジル基を有するアルコキシシラン化合物と併用してもよい。
上記グリシジル基含有化合物の含有量は、上記シリコン系樹脂及び上記グリシジル基含有化合物の総重量に対して5〜50重量%に設定され、より好ましくは10〜40重量%に設定する。上記グリシジル基含有化合物の含有量が5重量%を下回ると、塗膜の硬化度が十分に向上しない。また、上記含有量が50重量%を超えると、塗膜の硬化度は向上するが、上記グリシジル基含有化合物は分子量が小さいため、シリコン系樹脂と反応して硬化しても、塗膜中の樹脂が十分に高分子量化しないため、塗膜がもろくなる傾向がある。
<シリコン系樹脂>
本発明のコーティング組成物に含まれるシリコン系樹脂には、架橋性官能基を含むものを用いることが好ましい。上記架橋性官能基としては、例えばシラノール基、アルコキシシラノール基等の熱架橋するものが好ましい。また、上記シリコン系樹脂は一般的に、メチル基のみを含むメチルシリコン系樹脂と、メチル基とフェニル基とを含むメチルフェニルシリコン系樹脂に大別される。この中でも、本発明では、メチルフェニルシリコン系樹脂を用いることが好ましい。フェニル基を含めることで、塗膜の屈折率の向上が図れるためである。特に、メチルフェニルシリコン系樹脂中に含まれるフェニル基のモル含有率は、20〜60モル%が好ましい。
上記シリコン系樹脂の具体例としては、信越化学工業社製の“KR−255”、“KR−271”、“KR−282”、“KR−300”、“KR−311”、“KR−212”、“KR−213”、“KR−9218”、“KR−312”(商品名)等が挙げられる。また、上記シリコン系樹脂を他の有機樹脂と組み合わせた変性シリコン系樹脂も好適に用いることができ、具体例としては、信越化学工業社製の“KR−9706”、“KR−5230”、“KR−5235”、“ES−1001N”、“ES−1002T”、“ES−1023”(商品名)等が挙げられる。
上記シリコン系樹脂の含有量は、コーティング組成物の固形分中、10〜50重量%が好ましい。上記シリコン系樹脂の配合量が10重量%以上であれば、コーティング組成物中に架橋が発達するためか、耐薬品性は良好となる。一方、シリコン系樹脂の配合量が多くなりすぎると、屈折率が低くなるため、50重量%以下が好ましい。
<キレート化合物>
本発明のコーティング組成物に含まれるキレート化合物には、上記シリコン系樹脂の硬化性をより改善するため、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一種と、アセチルアセトナート又はエチルアセトナートとを含むものが好ましい。
アルミニウム含有キレート化合物としては、例えば、ジエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム等が挙げられる。また、チタン含有キレート化合物としては、例えば、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−イソプロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン等が挙げられる。
上記キレート化合物の含有量は、コーティング組成物の固形分中、0.01重量%以上5重量%以下が好ましい。上記キレート化合物の含有量が5重量%を超えると、コーティング組成物を塗布して作製した光学部材が黄色味を帯びることがある。
<有機溶剤>
本発明のコーティング組成物に含まれる有機溶剤には、従来公知のものを用いることができる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、イソホロン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル系溶剤;等が挙げられる。
但し、本発明のコーティング組成物に含まれる有機溶剤には、相対蒸発速度80以下の有機溶剤を35重量%以上含むことが必要である。ここで、相対蒸発速度とは、いわいる酢酸nブチルとの相対的な蒸発時間を実験的に求めたものである(例えば、石橋弘毅編、溶剤便覧、槇書店、昭和42年5月参照。)。
上記相対蒸発速度80以下の有機溶剤が35重量%を下回ると、塗膜の平滑性が低下し、塗膜の表面粗度が5.0nmを下回る傾向がある。
上記相対蒸発速度80以下の有機溶剤としては、例えば、キシレン、酢酸ペンチル、メチルセロソルブ、ジイソプロピルケトン、nブタノール、酢酸メチルセロソルブ、セロソルブ、シクロヘキサノン、酢酸セロソルブ、乳酸エチル、ジアセトンアルコール、ブチルセロソルブ、シクロヘキサノール、イソホロン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルエチルセロソルブ、エチレングリコールtブチルエーテル、ブチルセロソルブ、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチルアミルケトン、メチルシクロヘキサノン、ジイソブチルケトン等が挙げられる。
本発明のコーティング組成物は、上記金属酸化物粒子、上記グリシジル基含有化合物、上記シリコン系樹脂、上記キレート化合物及び上記有機溶剤を、公知の手法により適宜混合することにより得られる。例えば、上記金属酸化物粒子、上記グリシジル基含有化合物、上記シリコン系樹脂及び上記有機溶剤を含む混合物を分散処理した後、上記キレート化合物を配合することで、本発明のコーティング組成物が得られる。
上記分散処理は、従来公知の方法で行うことができ、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、ピコミル、ペイントコンディショナー等の分散メディアを介在させた機械的処理、及び超音波分散機、3本ロールミル、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、ディスパー、ジェットミル等の分散機を使用した分散処理が挙げられる。また、上記の分散機を組み合わせて分散処理を行ってもよい。
(本発明の光学部材)
次に、本発明の光学部材について説明する。本発明の光学部材は、上記本発明のコーティング組成物から形成されており、そのヘイズが2%以上であり、その表面粗度Raが5.0nm以下であることを特徴とする。
本発明の光学部材は、上記本発明のコーティング組成物を用いて形成されているため、塗膜の硬化度が向上し、光学部材の上に形成する透明導電膜にクラックが生じなくなる。また、本発明の光学部材は、そのヘイズが2%以上であるため、適度の光散乱作用を有し、光散乱部材として好適である。更に、本発明の光学部材は、その表面粗度Raが5.0nm以下であるため、その表面が平滑である。従って例えば、本発明の光学部材を有機EL装置の光散乱部材として用いても、その光学部材の表面の凹凸が発光層等に影響しないため、発光層の短絡を防止できる。
本発明の光学部材は、上記本発明のコーティング組成物を、例えばガラス基板等の基材に塗布、乾燥後、硬化処理を行うことにより得られる。但し、乾燥と硬化処理とは必ずしも独立して行う必要はない。
上記塗布方法としては、スピンコート、スプレーコート、スリットコート、ダイコート、グラビアロールコート、リバースロールコート等の種々の方法を用いることができる。また、上記塗布方法に応じて、コーティング組成物の固形分濃度及び溶剤組成を適宜調整することが好ましい。
上記乾燥は、室温以上で行うことが好ましく、溶剤が蒸発すれば問題はない。但し、温度が高すぎると、基材として用いるガラス基板等が変形することがあるため、450℃以下で行うことが好ましい。
上記硬化処理は、150〜450℃の温度範囲で、少なくとも5分間行うことが好ましい。温度が150℃未満では、コーティング組成物の硬化反応が進まず、450℃を超えると、基材として用いるガラス基板等が変形することがある。
また、前述のとおり、上記本発明のコーティング組成物に含まれる金属酸化物粒子として、チタン酸化合物粒子又は酸化ジルコニウム粒子を用いて光学部材を作製すると、光損失率の最大ピークの開始波長が410nm以下の領域に存在する光学部材を作製することができる。上記光損失率の最大ピークの開始波長は、400nm以下の領域に存在することがより好ましい。
上記光損失率の最大ピークの開始波長が410nm以下の領域に存在する光学部材を用いることにより、出射光の色味の角度依存の少ない照明装置、ディスプレイ装置等を作製することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。実施例中の「部」は「重量部」を示す。下記実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
[分散混合液1の作製]
下記成分を含む混合物を分散容器に入れ、更に直径0.1mmのジルコニアビーズを加えて、ペイントコンディショナーを用いて分散処理を行って分散混合液1を作製した。
(1)金属酸化物粒子:チタン酸バリウム(戸田工業社製、商品名“T−BTO−100RF”、粒子径:71nm):90部
(2)グリシジル基含有化合物(信越化学工業社製、シリコンカップリング剤、商品名“KBM403”):11.9部
(3)シリコン系樹脂(信越化学工業社製、商品名“KR300”、固形分50重量%、溶剤(相対蒸発速度80以下):キシレン):53.3部
(4)溶剤:メチルエチルケトン:40.5部
(5)溶剤:トルエン:14.6部
(6)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):55.0部
[触媒液1の作製]
下記成分を混合して触媒液1を作製した。
(7)アルミニウムキレート化合物(信越化学工業社製、商品名“cat−AC”、固形分50重量%、溶剤:トルエン):10部
(8)溶剤:トルエン:45部
(9)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):45部
[コーティング液1の作製]
上記分散混合液1に、25.7部の上記触媒液1を添加して混合し、フィルターに通してジルコニアビーズを取り除き、コーティング液1を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液1をガラス基板(コーニング社製の“イーグルXG”、75×75mm、厚み:0.7mm)の一主面上にフィルターを通して滴下し、スピンコーターを用いて塗布し、塗膜を形成した。スピンコーターは、回転速度を1000rpm、回転時間を25秒の条件に設定した。そして、塗膜を120℃で2分間乾燥した後、250℃で30分間硬化処理を行い、実施例1の光学部材を作製した。
(実施例2)
[分散混合液2の作製]
下記の成分を含む混合物を用いたこと以外、実施例1と同様にして分散混合液2を作製した。
(1)金属酸化物粒子:チタン酸バリウム(共立マテリアル社製、商品名“BT−HP150”、粒子径:126nm):90部
(2)グリシジル基含有化合物(信越化学工業社製、シリコンカップリング剤、商品名“KBM403”):26.5部
(3)シリコン系樹脂(信越化学工業社製、商品名“KR300”、固形分50重量%、溶剤(相対蒸発速度80以下):キシレン):367.0部
(4)溶剤:メチルエチルケトン:41.4部
(5)溶剤:トルエン:193.7部
(6)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):124.3部
[触媒液2の作製]
下記成分を混合して触媒液2を作製した。
(7)アルミニウムキレート化合物(信越化学工業社製、商品名“cat−AC”、固形分50重量%、溶剤:トルエン):10部
(8)溶剤:トルエン:63部
(9)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):27部
[コーティング液2の作製]
上記分散混合液2に、60.0部の上記触媒液2を添加して混合した以外は、実施例1と同様にしてコーティング液2を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液2を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例2の光学部材を作製した。
(実施例3)
[分散混合液3の作製]
下記の成分を含む混合物を用いたこと以外、実施例1と同様にして分散混合液3を得た。
(1)金属酸化物粒子:チタン酸バリウム(共立マテリアル社製、商品名“BT−HP150”、粒子径:126nm):90部
(2)グリシジル基含有化合物(信越化学工業社製、シリコンカップリング剤、商品名“KBM403”):104.5部
(3)シリコン系樹脂(信越化学工業社製、商品名“KR300”、固形分50重量%、溶剤(相対蒸発速度80以下):キシレン):211.0部
(4)溶剤:メチルエチルケトン:40.5部
(5)溶剤:トルエン:245.4部
(6)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):145.6部
[コーティング液3の作製]
上記分散混合液3に、実施例2で作製した60.0部の触媒液2を添加して混合した以外は、実施例1と同様にしてコーティング液3を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液3を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例3の光学部材を作製した。
(実施例4)
[分散混合液4の作製]
下記の成分を含む混合物を用いたこと以外、実施例1と同様にして分散混合液4を作製した。
(1)金属酸化物粒子:チタン酸バリウム(共立マテリアル社製、商品名“BT−HP200”、粒子径:273nm):90部
(2)グリシジル基含有化合物(信越化学工業社製、シリコンカップリング剤、商品名“KBM403”):5.4部
(3)シリコン系樹脂(信越化学工業社製、商品名“KR300”、固形分50重量%、溶剤(相対蒸発速度80以下):キシレン):34.2部
(4)溶剤:メチルエチルケトン:42.3部
(5)溶剤:トルエン:3.0部
(6)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):48.9部
[触媒液3の作製]
下記成分を混合して触媒液3を作製した。
(7)アルミニウムキレート化合物(信越化学工業社製、商品名“cat−AC”、固形分50重量%、溶剤:トルエン):10部
(8)溶剤:トルエン:27部
(9)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):63部
[コーティング液4の作製]
上記分散混合液4に、22.5部の上記触媒液3を添加して混合した以外は、実施例1と同様にしてコーティング液4を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液4を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例4の光学部材を作製した。
(比較例1)
[分散混合液5の作製]
下記の成分を含む混合物を用いたこと以外、実施例1と同様にして分散混合液5を作製した。
(1)金属酸化物粒子:チタン酸バリウム(戸田工業社製、商品名“T−BTO−50RF”、粒子径:51nm):90.0部
(2)グリシジル基含有化合物(信越化学工業社製、シリコンカップリング剤、商品名“KBM403”):11.3部
(3)シリコン系樹脂(信越化学工業社製、商品名“KR300”、固形分50重量%、溶剤(相対蒸発速度80以下):キシレン):54.6部
(4)溶剤:メチルエチルケトン:39.4部
(5)溶剤:トルエン:11.7部
(6)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):50.4部
[コーティング液5の作製]
上記分散混合液5に、実施例1で作製した25.7部の触媒液1を添加して混合した以外は、実施例1と同様にしてコーティング液5を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液5を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1の光学部材を作製した。
(比較例2)
[分散混合液6の作製]
下記の成分を含む混合物を用いたこと以外、実施例1と同様にして分散混合液6を作製した。
(1)金属酸化物粒子:チタン酸バリウム(戸田工業社製、商品名“T−BTO−100RF”、粒子径:71nm):90部
(2)グリシジル基含有化合物(信越化学工業社製、シリコンカップリング剤、商品名“KBM403”):11.9部
(3)シリコン系樹脂(信越化学工業社製、商品名“KR300”、固形分50重量%、溶剤(相対蒸発速度80以下):キシレン):53.3部
(4)溶剤:メチルエチルケトン:56.7部
(5)溶剤:トルエン:29.2部
(6)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):24.3部
[触媒液4の作製]
下記成分を混合して触媒液4を作製した。
(7)アルミニウムキレート化合物(信越化学工業社製、商品名“cat−AC”、固形分50重量%、溶剤:トルエン):10部
(8)溶剤:トルエン:90部
[コーティング液6の作製]
上記分散混合液6に、25.7部の上記触媒液4を添加して混合した以外は、実施例1と同様にしてコーティング液6を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液6を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例2の光学部材を作製した。
(比較例3)
[コーティング液7の作製]
実施例2で作製した分散混合液2のみを用いてコーティング液7を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液7を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例3の光学部材を作製した。
(比較例4)
[分散混合液7の作製]
下記の成分を含む混合物を用いたこと以外、実施例1と同様にして分散混合液7を作製した。
(1)金属酸化物粒子:チタン酸バリウム(共立マテリアル社製、商品名“BT−HP150”、粒子径:126nm):90部
(2)グリシジル基含有化合物(信越化学工業社製、シリコンカップリング剤、商品名“KBM403”):122.9部
(3)シリコン系樹脂(信越化学工業社製、商品名“KR300”、固形分50重量%、溶剤(相対蒸発速度80以下):キシレン):174.2部
(4)溶剤:メチルエチルケトン:41.4部
(5)溶剤:トルエン:186.7部
(6)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):227.8部
[コーティング液8の作製]
上記分散混合液7に、実施例1で作製した60.0部の触媒液1を添加して混合した以外は、実施例1と同様にしてコーティング液8を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液8を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例4の光学部材を作製した。
(比較例5)
[分散混合液8の作製]
下記の成分を含む混合物を用いたこと以外、実施例1と同様にして分散混合液8を作製した。
(1)金属酸化物粒子:チタン酸バリウム(共立マテリアル社製、商品名“BT−HP150”、粒子径:126nm):90部
(2)グリシジル基含有化合物(信越化学工業社製、シリコンカップリング剤、商品名“KBM403”):7.2部
(3)シリコン系樹脂(信越化学工業社製、商品名“KR300”、固形分50重量%、溶剤(相対蒸発速度80以下):キシレン):405.6部
(4)溶剤:メチルエチルケトン:41.4部
(5)溶剤:トルエン:128.8部
(6)溶剤:シクロヘキサノン(相対蒸発速度80以下):169.9部
[コーティング液9の作製]
上記分散混合液8に、実施例1で作製した60.0部の触媒液1を添加して混合した以外は、実施例1と同様にしてコーティング液9を作製した。
[光学部材の作製]
上記コーティング液9を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例5の光学部材を作製した。
続いて、上記実施例1〜4及び上記比較例1〜5で作製した光学部材について、ヘイズ、表面粗度及び光損失率を測定した。また、上記光学部材の上にITO膜を形成してITO膜のクラックの有無を観察した。
(ヘイズ)
日本電色工業社製のヘイズメーター“NDH2000”(商品名)を用い、JIS K7361−1に準拠してヘイズを測定した。
(表面粗度)
ZYGO社製の非接触粗さ計“New View5030”(商品名)を用い、対物レンズの倍率を50倍、視野を2倍とする条件で、光学部材の塗膜側の表面粗度を測定した。測定時に用いるフィルターにはF1を用い、5点測定してその算術平均値を表面粗度Raとした。
(光損失率)
日本分光社製の分光光度計“Ubest V570型”(商品名)を用い、日本分光社製の大型積分球“ILN-472型”(商品名)を組み合わせて測定した吸光スペクトル及び反射スペクトルを基に、光学部材の光損失率を計算により求めた。スペクトルの測定は、分光光度計用ソフトウエアを用い、測光モード“%”、レスポンス“Fast"、バンド幅“2.0nm”、走査速度“400nm/min”、データ取り込み間隔“1.0nm”で380〜780nmの範囲を測定した。光学部材の測定にあたって、測定位置を合わせ、干渉パターンの影響をできるだけ排除するようにした。その結果、光損失率の最大ピークの開始波長が410nm以下の領域に存在するものを良好(A)と評価し、光損失率の最大ピークの開始波長が410nmより大きい領域に存在するものを不良(B)と評価した。
(クラック)
光学部材の表面にスパッタリング法でITO膜を製膜した。具体的には、製膜温度を200℃とし、その製膜後に更に200℃で30分アニール処理を行い、光学部材の表面に厚さ100nmのITO膜を形成した。上記ITO膜の表面抵抗値は約17Ω/スクエアであった。上記のように形成したITO膜を目視により観察して、ITO膜にクラックが発生していない場合を良好(A)と評価し、ITO膜にクラックが発生している場合を不良(B)と評価した。
続いて、ITO膜にクラックが発生していないものについて、更にそのITO膜をイソプリピルアルコール(IPA)蒸気に10分間曝し、再度クラック発生の有無を観察し、上記と同様に評価した。IPA蒸気は、ビーカー中にIPAを適量入れ、ウオターバスで加熱してビーカー中に発生させて用いた。
上記結果を表1に示す。また、表1では、実施例1〜4及び比較例1〜4で用いたコーティング液について、金属酸化物粒子の平均粒子径、シリコン系樹脂とグリシジル基含有化合物の総重量に対するグリシジル基含有化合物の含有量(表1ではグリシジル量と表示)及び相対蒸発速度80以下の有機溶剤の割合(表1では特定有機溶剤の割合と表示)も合せて示した。
Figure 2016020409
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜4の光学部材は、ヘイズが2%以上で、表面粗度Raが5.0μm以下であり、光損失率及びクラックの有無においても満足いく結果となった。
一方、用いたコーティング液の金属酸化物粒子の平均粒子径が60μmを下回った比較例1の光学部材は、ヘイズが1%を下回り、光散乱部材としては適さないことが分かる。また、用いたコーティング液の有機溶剤中の相対蒸発速度80以下の有機溶剤の割合が35重量%を下回った比較例2の光学部材は、表面粗度Raが5.0μmを超え、表面の平滑性が劣っていることが分かる。また、キレート化合物を含まないコーティング液を用いた比較例3の光学部材は、表面粗度Raが5.0μmを超えるとともに、塗膜の硬化性が劣ったため、ITO膜にクラックが発生した。また、グリシジル基含有化合物の含有量が50重量%を超えた比較例4の光学部材は、表面粗度Raが5.0μmを超えるとともに、塗膜がもろくなったためか、ITO膜にクラックが発生した。また、グリシジル基含有化合物の含有量が5重量%を下回った比較例5の光学部材は、塗膜の硬化性が劣ったため、ITO膜にクラックが発生した。
本発明は、透明電極にクラックを生じさせない光散乱性の光学部材を提供でき、有機EL照明等の発光素子の充填組み立てに適した光学部材として利用可能である。

Claims (9)

  1. 金属酸化物粒子、グリシジル基含有化合物、シリコン系樹脂、キレート化合物及び有機溶剤を含むコーティング組成物であって、
    前記金属酸化物粒子は、チタン酸化合物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛及び五酸化二ニオブよりなる群から選ばれる少なくとも一種の粒子からなり、かつ、前記金属酸化物粒子の平均粒子径が60〜300nmであり、
    前記グリシジル基含有化合物の含有量は、前記シリコン系樹脂及び前記グリシジル基含有化合物の総重量に対して5〜50重量%であり、
    前記有機溶剤が、相対蒸発速度80以下の有機溶剤を35重量%以上含むことを特徴とするコーティング組成物。
  2. 前記金属酸化物粒子の含有量は、前記コーティング組成物に含まれる固形分中、10〜80重量%である請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 前記グリシジル基含有化合物が、グリシジル基を有するアルコキシシラン化合物である請求項1又は2に記載のコーティング組成物。
  4. 前記キレート化合物が、チタン、ジルコニウム及びアルミニウムから選ばれる少なくとも一種と、アセチルアセトナート又はエチルアセトナートとを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  5. 前記シリコン系樹脂は、メチル基とフェニル基とを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  6. 前記金属酸化物粒子が、チタン酸化合物粒子又は酸化ジルコニウム粒子である請求項1〜5のいずれか1項に記載のコーティング組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のコーティング組成物から形成された光学部材であって、
    ヘイズが2%以上であり、
    表面粗度Raが5.0nm以下であることを特徴とする光学部材。
  8. 請求項6に記載のコーティング組成物から形成された光学部材であって、
    光損失率の最大ピークの開始波長が、410nm以下の領域に存在することを特徴とする光学部材。
  9. 前記光損失率の最大ピークの開始波長が、400nm以下の領域に存在する請求項8に記載の光学部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024067203A1 (zh) * 2022-09-29 2024-04-04 Tcl科技集团股份有限公司 复合材料、光电器件及其制备方法

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