JP2016019504A - 害虫測定装置 - Google Patents

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【課題】コロニーを形成するワクモなどの害虫の発生状況を把握できる害虫測定装置を提供する。【解決手段】ダニ類やノミ類などの害虫等を測定する装置であって、害虫等を誘引する集積部を備えた集積手段10と、集積手段10の集積部11の表面を撮影する撮像手段20と、撮像手段20によって撮影された画像に基づいて、害虫等の数を推定する計数手段30と、を備えており、集積部11は、害虫等を識別しやすい色であって、害虫等が出入り可能な構造に形成されている。画像に基づいて害虫等の数を解析する精度を高くすることができ、装置が設置されている場所にいる害虫の総数を的確に把握することもできる。【選択図】図1

Description

本発明は、害虫測定装置に関する。
近年の養鶏産業は、日本、ヨーロッパ、東南アジア、アメリカ、北米、南米を含む世界各国において盛んに行われている。各国において、鳥インフルエンザ等の伝染性病気は法定伝染病として、国がウィルスの伝播を管理している。一方、家畜の飼育環境の管理は、ウィルスの鶏舎内への進入を制限する為に、閉鎖型鶏舎(例えば、ウインドレス鶏舎)などを導入することにより、ほぼ完全に隔離された環境を作り出すことができる。しかし、かかる環境形成は、事業主の企業努力により委ねられているのが現況である。
更に近年では、動物愛護管理法の改正に伴い、飼育環境や技術の改善、保全に努める事が義務付けられ、企業努力の負担が増えつつある。一方、飼育環境の悪化に伴い増加する害虫のうち、とくにワクモは家禽生産に直接的な被害をもたらし、その影響は全世界的に顕在化しつつある。例えば、ワクモは鶏に寄生して鶏の血を吸引するが、ワクモによって吸血された鶏は、採卵率が低下したり採卵した卵の品質が低下したりするという問題が生じている。したがって、家禽生産においては、ワクモの発生を抑制することが求められており、かかるワクモの大量発生を防止しその駆除を効果的に行うためには、ワクモの発生状況、つまり、ワクモの発生数を把握することは重要である。
特許文献1には、一対の平板を、両者間に0.5〜3mm程度の隙間が形成されるように配置し、この隙間にダニを捕獲する装置が開示されている。この装置を鶏舎内に設置してダニを捕獲し、捕獲したダニの数を数えれば、その数から鶏舎内のワクモの発生数を推測できる可能性はある。
しかし、鶏舎は非常に大きいため、鶏舎内でのワクモの発生状況を把握するには、多数の装置を設置しなければならない。しかも、全ての装置のダニを数えなければならないが、ダニの数は人手によって数えなければならず、その作業が膨大となるため、現実的には不可能である。
ところで、農場などにおける害虫の発生状況を把握する技術として、特許文献2〜4などが開示されている。かかる技術では、フェロモン等を利用して害虫を誘引したり害虫を直接吸引したりして、粘着シートなどに害虫を捕捉し、その粘着シートを撮影し、撮影した画像を処理することによって害虫の種類や数を把握している。したがって、かかる技術を適用すれば、鶏舎内に多数の装置を設置しても、人による作業を抑えつつ、鶏舎内のワクモの数を把握できる可能性はある。
特開2006−67810号公報 特開2003−169584号公報 特開2003−304788号公報 特開2005−21074号公報
しかるに、一般的な害虫は単独で活動しているので、捕捉した害虫の量は捕捉していない害虫の数とある程度比例する関係にあると考えられる。このため、特許文献2〜4の技術によって害虫を捕獲すれば、害虫の数を推定することも可能である。
一方、ワクモは、物体間の隙間等の狭い場所(例えば、鶏のケージを形成する金属部材のヒンジ部)をとくに好み、かかる場所に巣(コロニー)を形成するという性質を有している。そして、吸血するときには、かかる隙間等から這い出し、ケージ内にいる鶏に寄生して鶏の血を吸引し、吸血が終わるとコロニーに戻るという性質を有している。つまり、ワクモはコロニーと鶏との間を行き来して生息しているので、ワクモの数を把握する上では、コロニーに存在するワクモの数を把握することも必要となる。
本発明は上記事情に鑑み、コロニーを形成するワクモなどの害虫の発生状況を把握できる害虫測定装置を提供することを目的とする。
第1発明の害虫測定装置は、ダニ類やノミ類などの害虫等を測定する装置であって、害虫等を誘引する集積部を備えた集積手段と、該集積手段の集積部の表面を撮影する撮像手段と、前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて、害虫等の数を推定する計数手段と、を備えており、前記集積部は、害虫等を識別しやすい色であって、害虫等が出入り可能な構造に形成されていることを特徴とする。
第2発明の害虫測定装置は、第1発明において、前記集積手段の集積部は、表面から内部まで連続する多数の孔を有する多孔質構造に形成されていることを特徴とする。
第3発明の害虫測定装置は、第1または第2発明において、前記集積手段は、前記集積部の表面に設けられる保温部材を備えており、該保温部材は、該保温部材を通して前記集積部の表面を前記撮像手段によって撮影しうる素材によって形成されていることを特徴とする。
第4発明の害虫測定装置は、第1、第2または第3発明において、害虫等がコロニーを形成する性質を有するものであり、前記計数手段は、撮影された画像の差分に基づいて害虫等を検出する機能を有しており、撮影された画像に基づいてコロニーを判断し、該コロニーに存在するワクモの数を推定する機能を有していることを特徴とする。
第5発明の害虫測定装置は、第1、第2、第3または第4発明において、家禽を飼育する鶏舎に設置されることを特徴とする。
第1発明によれば、集積部に害虫等を誘引して撮像手段によって撮影すれば、撮影された画像を解析することによって、集積されている害虫等の数を把握することができる。しかも、集積部は、害虫等を識別しやすい色に形成されているので、画像に基づいて害虫等の数を解析する精度を高くすることができる。そして、集積部は、害虫等が出入り可能に形成されているので、害虫等が生息している自然な環境で害虫等の数を把握できる。したがって、装置が設置されている場所にいる害虫の総数を的確に把握することも可能となる。
第2発明によれば、集積部は表面から内部まで連続する多数の孔を有しているので、その孔が害虫等が侵入し得る大きさに形成されていれば、孔は害虫等の隠れ場所となる。したがって、隙間などに隠れている害虫等を集積部に集積させることも可能となるので、害虫等の数を推定しやすくなる。
第3発明によれば、保温部材があっても集積部の表面を撮像手段によって撮影できる。しかも、保温部材によって集積部を周囲よりも安定した温度に保つことができるから、ワクモなどのようにコロニーを形成する害虫等がコロニーを形成しやすい環境を集積部に形成することができる。
第4発明によれば、撮影された画像に基づいてコロニーを判断し、このコロニーに存在する害虫の数を計数する。したがって、コロニーにいる害虫等であっても、装置が設置されている場所にいる害虫の総数を推定することができる。
第5発明によれば、鶏舎の所定の場所に配置すれば、鶏に寄生しているワクモや、鶏舎や鶏のケージなどの隙間に侵入していた害虫等の一部を、集積部に集めることができる。したがって、鶏舎に生息している害虫等の数を推定することができる。
本実施形態の害虫測定装置1の設置状況の概略説明図であり、(A)は平面図であり、(B)は要部拡大側面図である。 (A)はワクモの概略説明図であり、(B)は集積部11の部分拡大図である。 本実施形態の害虫測定装置1の使用状況の概略説明図である。 計数手段30がワクモを判断する方法の概略説明図である。
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の害虫測定装置は、ワクモやトリサシダニ等のダニ類やノミ類などの害虫等を集積して集積された害虫等の数を測定する装置であって、害虫測定装置が設置された環境に存在する害虫等の数の推定に利用できるものである。
本発明の害虫測定装置は、ワクモやトリサシダニ等のダニ類やノミ類などを集積して測定する用途に適しているが、数を測定する対象となる害虫等はとくに限定されない。
以下では、集積して数を測定する害虫等の一例として、ワクモを捕捉する場合を説明する。
なお、本明細書において、集積とは、個々のワクモ等の害虫が多数集まっている状態やワクモ等の害虫の各個体が積み重なった状態、また、ワクモ等のようにコロニー(巣)を形成する害虫の場合にはこのコロニー(巣)が形成された状態の全てを含む概念である。
また、本発明の害虫測定装置を使用する場所はとくに限定されない。害虫等を計測したい空間(室内や屋外)に設置して使用することができる。例えば、図3に示すように、窓がなく、内部の温度や湿度等を調整する機能を有する温湿度調整装置などが設けられた鶏舎CHなどにおいて使用することができる。本発明の害虫測定装置をかかる鶏舎CHの所定の場所に配置すれば、後述するように、鶏に寄生しているワクモや、鶏舎CHや鶏用のケージKGなどの隙間に侵入していたワクモの一部を、集積部11に集めることができる。すると、通常では捕捉したり目視などで確認できないワクモでも集積部11に集めてその数を計測できる。したがって、鶏舎CHに生息しているワクモの数を精度よく推定することができる。
以下では、鶏舎CHに生息しているワクモの数を推定するために、本発明の害虫測定装置を使用する場合を説明する。
(本実施形態の害虫測定装置1)
本実施形態の害虫測定装置1について、図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の害虫測定装置1は、集積手段10と、集積手段10の集積部11の表面を撮影する撮像手段20と、計数手段30と、を備えている。
集積手段10は、計数するワクモを集積させる集積部11を備えている。この集積部11は、ワクモが生息する鶏舎CHのケージKGに設置されるものである。例えば、図1(B)や図3(B)に示すように、ケージKGの上面に載せて設置することができる。このように設置すれば、ケージKGに生息するワクモが集積部11に移動しやすくなる。もちろん、集積部11をケージKGの側面や底面、給餌する装置等に取り付けたりしてもよい。この集積部11は、ワクモを誘引して集積させる機能を有しているが、詳細は後述する。
撮像手段20は、集積手段10の集積部11の表面を撮影する撮影部21と、集積部11の表面を照明する照明部22と、を備えている。
撮影部21は、集積手段10の集積部11の表面を撮影して画像のデータ(以下、画像データいう)を得ることができるものである。例えば、撮像手段20としては、イメージセンサを搭載したカメラ等を挙げることができる。
また、照明部22は、集積手段10の集積部11の表面を撮影部21の撮影に適した明るさにすることができるものであればよく、とくに限定されない。例えば、一般的な蛍光灯やLED照明などを使用することができる。
図1および図3に示すように、撮像手段20の撮影部21および照明部22は、鶏舎CHなどにおいて、ケージKGと接触しないように設置されたフレーム2に取り付けられている。例えば、フレーム2は、ケージKGを跨ぐように設置すれば、ケージKGに接触しないように配設することができる。撮像手段20はケージKGなどに設置してもよいが、上記のようにフレーム2を配置することによって、撮影部21や照明部22にワクモが入ったり付着したりすることを抑制することができる。
計数手段30は、画像データを解析して、集積部11に集積されているワクモの数を計測する機能を有している。具体的には、計数手段30は、撮像手段20の撮影部21から送信させる画像を記憶する記憶機能と、この記憶部に記憶されている画像データを画像処理する画像処理機能と、画像処理部が処理した画像データを利用してワクモの数をカウントする計数機能と、を備えている。この計数手段30は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)に、画像データを解析するソフトをインストールしたものを使用することができる。この計数手段30は、撮像手段20と無線または有線で情報を伝達できるように構成されている。この計数手段30を設置する場所はとくに限定されず、撮像手段20の近傍や鶏舎CH内に設置してもよいし、鶏舎CHから離間した場所に設置してもよい。
なお、計数手段30がワクモの数を計数する方法は、後述する。
以上のごとき構成であるので、集積手段10および撮像手段20を鶏舎CH内に設置しておけば、集積手段10の集積部11にワクモを集積させることができ、ワクモの集積状態を撮影手段20によって撮影することができる。そして、撮影手段20が撮影した画像データを計数手段30によって解析すれば、集積部11に集積しているワクモの数を把握することができる。そして、集積部11に集積しているワクモの数から、鶏舎CHに存在しているワクモの総数を推定することができるのである。
また、撮影手段20が撮影した画像データを計数手段30に提供する方法は、上述したように、無線や有線によってリアルタイムで提供するようにしてもよいし、撮影手段20に記憶させてから一定期間(例えば数日〜1週間程度)に撮影された画像をまとめて提供するようにしてもよい。画像データをまとめて提供する場合には、USBメモリーなどの着脱可能な記憶手段に画像データを記憶させておき、一定期間ごとに記憶手段を取り外して計数手段30に画像データを提供するようにしてもよい。この場合には、計数手段30を撮影手段20から完全に切り離して設置できるので、害虫測定装置1の構成の自由度を高めることができる。また、通信回線を通して撮影手段20から計数手段30に画像データを提供する場合であれば、クラウドコンピューティング(例えば、クラウドストレージ)を使用して画像データを共有できるようにすれば、複数人や複数の機関が自由に画像データを使用することが可能となる。すると、計数手段30による計数処理以外の処理も同時並行して行うことが可能となるので、画像データをより有効に利用することができる。
さらに、図1では、撮像手段20は、4台の撮影部21によって4方向から集積部11を撮影する構成を採用している。この場合、集積部11の表面のほぼ全体を撮影できるので、集積部11に集積されているワクモの数を精度よく計数することができる。しかし、撮影部21の数はとくに限定されず、4台より多くてもよいし、2台や3台でもよいし、1台でもよい。また、撮影部21を配置する位置、つまり、集積部11との相対的な位置はとくに限定されず、集積部11を設置する場所や集積させる害虫等に応じて、適宜設定すればよい。
(解析方法)
つぎに、計数手段30が画像データを解析して、ワクモの数を計数する方法を説明する。
計数手段30は、画像に撮影したワクモの数を数えるものである。具体的には、以下のような方法によってワクモを数えている。
まず、背景に対して、ワクモと認識できる領域の面積によって、ワクモの数を把握する。例えば、撮影された画像の1画素の長さがワクモの体長(例えば、成長したワクモ(成虫)の体長)とほぼ同じ大きさになるように、撮影部20を設定する。この場合、画像中においてワクモを撮影したと考えられる部分の面積を求めれば、ワクモの数を把握することができる。具体的には、ワクモは茶色から黒色をしており吸血したワクモの場合には赤色になっている。このため、集積部11が白色であれば、撮影された画像を適切な閾値を境にして二値化すれば、ワクモが撮影されている部分が黒色になり、それ以外の部分は白色になる。すると黒色になっている部分の面積、つまり、黒色になっている部分の画素数を求めれば、その画素数がワクモの数になる。したがって、集積部11を撮影することによって、ワクモの数を求めることができる。
なお、集積部11は照明部22からの光によって照らされているが、周辺の状況によって集積部11に照射される光の状態は変化する。照射される光が変化すれば、撮影された画像中における背景とワクモの色の差が変化するので、二値化した際に、ワクモを誤認する可能性がある。例えば、通常よりも集積部11が明るくなりすぎた場合には、色が薄いワクモを背景と誤認する可能性があるし、通常よりも集積部11が暗くなった場合には、背景の一部(汚れやほこり等)をワクモと誤認する可能性がある。したがって、基準となる明るさにおいて集積部11を撮影したときの画像と同じ状態となるように、撮影した画像について濃淡補正を行ってから、二値化する前にことが望ましい。
(コロニー中のワクモの計数)
また、捕捉する害虫等が、ワクモ等のようにコロニーWCを形成するものである場合には、集積部11にワクモ等がコロニーWCを形成すれば、コロニーWCの形成状況を含めてワクモの数を推定できるので、好ましい。
コロニーWC中のワクモの数は以下のようにして求めることができる。
まず、図4(A)に示すように、画像において、ワクモよりも一定以上大きい領域(背景ではないと判断される領域、図4では黒色の部分)を検出し、その領域をワクモのコロニーWC1,2と判断する。そして、コロニーWC1,2の部分の面積を算出し、ワクモの数を推定する。例えば、コロニーWC1の面積がA1であり、ワクモの大きさがaであるとすれば、コロニーWC1中のワクモの数はA1/aであると推定される。また、図4(A)から一定期間経過後の画像(図4(B))において、図4(A)でコロニーWC1,2と判断された部分と重なる領域を検出する。そして、その領域がワクモよりも一定以上大きい場合には、図4(A)のコロニーWC1,2と同じコロニーであると判断する。そして、図4(B)においてコロニーWC1の面積がA2であり、ワクモの大きさがaであるとすれば、図4(B)の状態におけるコロニーWC1中のワクモの数はA2/aであると推定される。そして、図4(A)の状態におけるコロニーWC1中のワクモの数と図4(B)の状態におけるコロニーWC1中のワクモの数の差を、コロニーWC1を構成するワクモ数の増加または減少として判断することができる。つまり、コロニーWCの大きさが変化する場合には、その大きさの変化に基づいて、コロニーWCに存在するワクモの数の変化も把握することができる。
そして、集積部11の面積(または体積)と鶏舎の面積(または容積)を比較すれば、集積部に形成されたコロニーWCから、鶏舎全体に形成されているコロニーWCの数を推定することも可能となる。すると、鶏舎全体に形成されているコロニーWCの数と、集積部11のコロニーWCに存在するワクモ等の数から、鶏舎全体のコロニーWCに集積しているワクモ等の数を推定することができる。つまり、本実施形態の害虫測定装置1の場合には、コロニーWCに存在しているワクモ等の数を利用して、鶏舎全体のワクモ等の数を推定することができるという利点が得られる。
なお、ワクモは、通常、昼間はコロニーWCでじっとしており、夜間に鶏等の吸血を行うためにコロニーWCから離れて活動する性質を有している。このため、昼間に撮影されたコロニーWCから得られるワクモの数と、夜間に撮影されたコロニーWCから得られるワクモの数とを比較すれば、鶏等の吸血を行っているワクモの数を推定することも可能となる。
また、ワクモは、平面的にコロニーWCを形成する場合もあれば、互いに積み重なって3次元的にコロニーWCを形成する場合もある。コロニーWCがそれほど大きくない場合や、後述するように集積部11と保温部15の隙間にコロニーWCを形成するような場合には、略2次元的にコロニーが形成される。この場合には、上述したように、面積でコロニー中のワクモ数を把握することができる。
一方、コロニーWCが大きくなった場合や、開放した空間(集積部11の露出した表面等)でコロニーWCを形成したような場合には、コロニーWCが3次元的に形成される。このような3次元的に形成されたコロニーWCの場合、3Dカメラを利用することによって、コロニーWC中のワクモの数を把握することが可能となる。つまり、3Dカメラの撮影データで得られるコロニーWCの体積を、ワクモの体積(例えば、成長したワクモ(成虫)の平均的な体長)によって除することで、3次元的に形成されたコロニーWCに存在するワクモの数を把握することができる。
(集積手段10)
つぎに、集積手段10を詳細に説明する。
集積手段10は、ワクモを誘引する集積部11を備えている。この集積部11は、ワクモを識別しやすい色であって、ワクモが出入り可能な構造に形成されているものである。
具体的には、集積部11は、半透明の白色やワクモ等と補色関係にある色等になっており、内部に網目状の空隙を有するように形成された部材である。言い換えれば、集積部11は、内部に多数の連続した孔11hを有する部材である。この孔11h(空隙)は、集積部11の表面に形成されている多数の開口と連通されており、この孔11hを通して、ワクモはある程度自由に集積部11内に出入りできるようになっている。なお、ある程度自由に出入りできるとは、完全にワクモが自由に出入りできる状態と、一部のワクモが孔11h内で移動できなくなる可能性がある状態の両方を含んでいる。
以上のように、集積部11は、その内部の孔11hにワクモがある程度自由に出入りすることができるようになっているので、集積部11は、ワクモにとって絶好の隠れ場所となっている。つまり、集積部11は、ワクモの好む空間や環境を有しているので、ワクモを集積させることができ、ワクモにコロニーを形成させることができる。言い換えれば、鶏のケージKGなどにワクモが集積したりコロニーを形成したりしている状況を集積部11に再現させることができる。
しかも、集積部11を、上述したような色にしておけば、集積部11を撮影した画像を処理してワクモを数えるときに、その精度を高めることができる。
なお、集積部11の素材はとくに限定されないが、集積部11は、多孔質かつ柔軟性および/または伸縮性を有するもの(例えばウレタンなど)が好ましい。柔軟性があれば、集積部11の内部を周囲よりも安定した温度に保ちやすくなるので、ワクモを集積しやすくなる。さらに、集積部11の素材が保湿性を有するものであると、集積部11の内部の環境をワクモ等が好む環境にしやすくなるので、より一層ワクモを集積しやすくなる。
(保温部15)
また、図1に示すように、集積部11は、保温部15を備えていてもよい。保温部15は、集積部11の表面に設けられており、保温性を有する素材、言い換えれば、熱伝導性が低い素材によって形成されている。かかる保温部15を設けた場合には、上述したように集積部11が多孔質であるので、集積部11と保温部15の境界には、ワクモが潜り込むことができる程度の隙間を形成することができる。すると、この隙間にワクモを集積させることも可能となる。
とくに、保温部15は、透明な素材、つまり、保温部15を通して撮影手段20による集積部11表面の撮影が可能な素材によって形成すれば、保温部15に集積しているワクモを撮影するとこも可能となる。例えば、図1(B)であれば、集積手段10の上面から集積部11表面も撮影することが可能となる。かかる保温部15の素材はとくに限定されないが、例えば、透明のアクリル板などを使用すれば、上記機能を満たす保温部15を形成することができる。
なお、図1(B)では、集積部11は、保温部15がケージKGの表面と接するように配置されているが、保温部15が、ケージKGの上面に立設するように配置してもよい。つまり、保温部15が撮影部21と対面した状態をなるように、集積部11をケージKGに配置してもよい。この場合には、図1に示すように撮影部21を配置しても、集積部11と保温部15の隙間に形成されるコロニーWCを撮影しやすくなるという利点が得られる。
本発明の害虫測定装置は、ワクモやトリサシダニ、ワクモやトリサシダニと同様の性質を有するダニ類やノミ類、ハエなどの節足動物などの害虫を数を推定する装置に適している。
1 害虫測定装置
2 フレーム
10 集積手段
11 集積部
11h 孔
15 保温部
20 撮影手段
30 計数手段
CH 鶏舎
KG ケージ
WC ワクモのコロニー

Claims (5)

  1. ダニ類やノミ類などの害虫等を測定する装置であって、
    害虫等を誘引する集積部を備えた集積手段と、
    該集積手段の集積部の表面を撮影する撮像手段と、
    前記撮像手段によって撮影された画像に基づいて、害虫等の数を推定する計数手段と、を備えており、
    前記集積部は、
    害虫等を識別しやすい色であって、害虫等が出入り可能な構造に形成されている
    ことを特徴とする害虫測定装置。
  2. 前記集積手段の集積部は、
    表面から内部まで連続する多数の孔を有する多孔質構造に形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の害虫測定装置。
  3. 前記集積手段は、
    前記集積部の表面に設けられる保温部材を備えており、
    該保温部材は、
    該保温部材を通して前記集積部の表面を前記撮像手段によって撮影しうる素材によって形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の害虫測定装置。
  4. 害虫等がコロニーを形成する性質を有するものであり、
    前記計数手段は、
    撮影された画像に基づいてコロニーを判断し、該コロニーに存在するワクモの数を推定する機能を有している
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の害虫測定装置。
  5. 家禽を飼育する鶏舎に設置される
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の害虫測定装置。
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