JP2016017139A - コークス乾式消火設備 - Google Patents

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Abstract


【課題】サイクロンとボイラーを繋ぐダクトの壁面にクリンカが付着するのを抑制することのできるコークス乾式消火設備を提供すること。
【解決手段】赤熱コークスが供給されて循環冷却ガスが吹き込まれるチャンバー10、循環冷却ガスが第1のダクト70を介して導入されてコークス粉を回収するサイクロン20、循環冷却ガスが第2のダクト80を介して導入されてその熱を回収するボイラー30、ボイラー30とチャンバー10を繋ぐ第3のダクト90を備えたコークス乾式消火設備100において、第2のダクト80にはガス導入路42と空気導入路41が繋がっており、ガス導入路42を流通する不活性ガス(循環冷却ガス)と空気導入路41を流通する空気が第2のダクト80に提供されるようになっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、コークス乾式消火設備に関するものである。
製鉄プロセスは、石炭を蒸し焼きにして固めたコークスで鉄鉱石(酸化鉄)から鉄を還元する製銑工程からスタートする。コークス乾式消火設備(CDQ: Coke Dry Quenching)は、コークス炉で蒸し焼きにした赤熱コークスを冷却し、回収した熱で高温・高圧の蒸気を発生する設備である。ここで、生成された蒸気は、鉄鋼生産用の電力やプロセス蒸気として一般に利用されている。
このCDQに関し、本出願人は特許文献1において、従来構造の一次ダストキャッチャーに代えてサイクロンを適用しながら、サイクロンに1000℃程度の循環冷却ガスが提供されないような対策を講じ、しかも、ボイラーに入る前に循環冷却ガスの温度は1000℃程度にまで高めることで循環冷却ガスの流量を増加させることなく、ボイラーによる熱回収量を低下させることのないコークス乾式消火設備を開示している。
その具体的な構成は、チャンバーと、第1のダクトを介して導入される900℃以下の温度に制御された循環冷却ガス中のコークス粉を回収するサイクロンからなる集塵機と、集塵機から流出した循環冷却ガスが第2のダクトを介して導入されるとともに循環冷却ガスの熱を回収するボイラーと、ボイラーから流出した循環冷却ガスをボイラーとチャンバーを繋ぐ第3のダクトを介して再度チャンバーに戻して赤熱コークスを冷却するコークス乾式消火設備において、第2のダクトが立ち上り部と水平部から構成され、循環冷却ガスに空気を導入して循環冷却ガス中の未燃ガスの燃焼を実行するための空気導入路が立ち上り部にのみ存在しているものである。
ところで、上記する第2のダクトに空気を導入し、循環冷却ガス中の未燃ガスを燃焼させる過程においては、あらたに種々の課題が浮上している。
その一つは、大気中の空気のみを導入した場合、未燃ガスとの燃焼において局部的に高温領域(1200℃以上)が発生してしまい、第2のダクトの壁面にクリンカ付着が起こる可能性があるという課題である。
また、他の一つは、CDQの操業において投入コークスが持ち込む未燃ガスを燃焼させる目的で空気の吹込みを行っているが、操業が低負荷(コークス処理量低下)の際に、投入コークスの持ち込む未燃ガス量が低下することである。このことにより、未燃ガスの燃焼に必要な空気量が減少して空気の吹込み速度が低下することで、第2のダクトのサイクロン出口付近での燃焼位置がダクト壁面に近づき、第2のダクトの壁面におけるクリンカ付着が助長される可能性がある。
特許第5202751号明細書
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、未燃ガスの燃焼温度を制御することで、サイクロンとボイラーを繋ぐダクトの壁面にクリンカが付着するのを抑制することのできるコークス乾式消火設備を提供することを目的としている。
発明を解決するための手段
前記目的を達成すべく、本発明によるコークス乾式消火設備は、赤熱コークスが供給されるとともに循環冷却ガスが吹き込まれるチャンバーと、前記チャンバー内で赤熱コークスによって昇温された循環冷却ガスが第1のダクトを介して導入され、該循環冷却ガス中のコークス粉を回収するサイクロンからなる集塵機と、前記集塵機から流出した循環冷却ガスが第2のダクトを介して導入されるとともに循環冷却ガスの熱を回収するボイラーと、を備え、前記ボイラーから流出した循環冷却ガスを該ボイラーと前記チャンバーを繋ぐ第3のダクトを介して再度チャンバーに戻して赤熱コークスを冷却するコークス乾式消火設備において、前記第2のダクトには、ガス導入路と空気導入路が繋がっており、前記ガス導入路を流通する不活性ガスと前記空気導入路を流通する空気が前記第2のダクトに提供されるようになっているものである。
本発明のコークス乾式消火設備(CDQ)は、不活性ガスが流通するガス導入路と空気が流通する空気導入路が第2のダクトに繋がっている構成を適用したことにより、温度が大気温度で酸素濃度が約21%である未燃ガス燃焼用の空気と、温度が例えば100℃〜200℃で酸素濃度が約0%である循環冷却ガスを個別かつ同時に、もしくはそれらを予混合した混合ガスを第2のダクトに吹込むことができる。このことにより、第2のダクトに提供される空気やガスの温度や酸素濃度、吹込み流量・流速を所望に制御することが可能になる。
そして、このように第2のダクトに提供される空気や不活性ガスの温度や酸素濃度、吹込み流量・流速を制御できることにより、以下の効果を奏することができる。
その一つは、燃焼用空気の酸素濃度を下げることができ、このことによって燃焼抑制効果を齎し、燃焼温度を低下させることで、第2のダクトの壁面におけるクリンカ付着を抑制することができるという効果である。
また、他の一つは、操業低負荷時に燃焼用空気量が低下し、吹込み流速が低下した際に、混合する不活性ガス流量を増加させて吹込み流速を維持することにより、第2のダクトの壁面における燃焼に起因したクリンカの付着を抑制することができるという効果である。
ここで、「ガス導入路」や「不活性ガス」の実施の形態として、以下で示す複数の形態を挙げることができる。
第一の実施の形態は、前記ガス導入路が前記第3のダクトから分岐した分岐ダクトであり、前記不活性ガスが該分岐ダクトを流通する循環冷却ガスである実施の形態である。
「ガス導入路」として第3のダクトから分岐した分岐ダクトを適用し、「不活性ガス」として系内を流れる循環冷却ガスを再利用し、分岐ダクトを介して第2のダクトへ提供するものである。
なお、第3のダクトから分岐する分岐ダクトは、単数であっても複数であってもよい。より具体的には、第3のダクトの途中位置にガスブロアが設けてあり、第3のダクトのうち、ガスブロア設置位置よりも下流側の一つもしくは複数の位置から一本もしくは複数本の分岐ダクトが分岐している形態を挙げることができる。
また、第二の実施の形態は、前記ガス導入路が前記コークス乾式消火設備の系外に通じている系外ダクトであり、前記不活性ガスが該系外ダクトを流通する窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種である実施の形態である。
「ガス導入路」として、コークス乾式消火設備(CDQ)の系外にある各種設備から当該コークス乾式消火設備に繋がる系外ダクトを適用し、「不活性ガス」として系外の設備にて発生等した窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種を再利用し、系外ダクトを介して第2のダクトへ提供するものである。
また、第三の実施の形態は、上記第一の実施の形態と第二の実施の形態を組み合わせた形態であり、すなわち、前記ガス導入路が前記第3のダクトから分岐した分岐ダクトとコークス乾式消火設備の系外に通じている系外ダクトからなり、前記不活性ガスが前記分岐ダクトを流通する循環冷却ガス、および、前記系外ダクトを流通する窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種である実施の形態である。
このように、系内の循環冷却ガスや系外の窒素や二酸化炭素、蒸気を再利用し、空気とともにこれらの不活性ガスを第二のダクトへ提供することにより、既述するように第2のダクトの壁面におけるクリンカ付着抑制効果が奏される。
また、ガス導入路と空気導入路の第2のダクトへの接続形態として、以下で示す複数の形態を挙げることができる。
第一の実施の形態は、前記ガス導入路と前記空気導入路が予混合路に繋がり、該予混合路が前記第2のダクトに繋がっており、前記ガス導入路を流通する不活性ガスと前記空気導入路を流通する空気が前記予混合路にて混合されて混合ガスを形成し、該予混合路を介して混合ガスが第2のダクトに提供される実施の形態である。
ここで、「予混合路」とは、大掛かりなチャンバーなどを必要とせず、分岐ダクトと空気導入路が合流する管路(流路)であってもよい。
また、第二の実施の形態は、前記ガス導入路が前記分岐ダクトもしくは前記系外ダクトのいずれかである場合に、前記ガス導入路と前記空気導入路がそれぞれ、二重管の内管、外管のいずれか一方に繋がり、該二重管が前記第2のダクトに繋がっており、前記二重管を流通する不活性ガスと空気が前記第2のダクトに提供される実施の形態である。
また、第三の実施の形態は、前記ガス導入路が前記分岐ダクトと前記系外ダクトからなる場合に、前記分岐ダクトと前記系外ダクトと前記空気導入路がそれぞれ、三重管の内管、中管、外管のいずれか一方に繋がり、該三重管が前記第2のダクトに繋がっており、前記三重管を流通する、循環冷却ガスと、空気と、窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種と、が前記第2のダクトに提供される実施の形態である。
さらに、本発明によるコークス乾式消火設備の好ましい実施の形態において、第2のダクトは、サイクロンの頂部から上方に立ち上がる立ち上り部と、この立ち上り部から屈曲して水平方向もしくは略水平方向に延びる水平部とから構成されており、ガス導入路と空気導入路が立ち上り部に繋がっているものである。
ここで、「略水平方向」とは、水平に対して±20度程度以下の範囲で傾斜していることを意味している。
サイクロンでは循環冷却ガスの旋回流が生成され、この旋回する循環冷却ガスに第2のダクトから提供された空気や循環冷却ガスが混合され、立ち上り部と、水平方向もしくは略水平方向に延びる水平部からなる第2のダクトの全区間に亘って、これら混合された気体の旋回流が流通することになる。
空気導入路やガス導入路、もしくは予混合路や二重管、三重管(以上をまとめて導入管と称す)の接続形態としては、1基の導入管が立ち上がり部の所定レベル位置に配設された形態や、立ち上がり部の同一レベル(同一平面内)に2〜4基の導入管が設けられた形態(2基の場合は対角線位置、3基の場合は120度間隔、4基の場合は90度間隔)など、多様な形態が挙げられる。
以上の説明から理解できるように、本発明のコークス乾式消火設備によれば、第2のダクトにガス導入路と空気導入路を繋ぎ、ガス導入路を流通する不活性ガスと空気導入路を流通する空気を第2のダクトに提供することにより、未燃ガス燃焼用の空気と不活性ガスを個別かつ同時に、もしくはそれらを予混合した混合ガスを第2のダクトに吹込むことができ、このことによって第2のダクトに提供される空気や不活性ガスの温度や酸素濃度、吹込み流量・流速を所望に制御することが可能になる。このことにより、燃焼用空気の酸素濃度を下げることで燃焼の抑制効果を齎し、燃焼温度を低下させることで第2のダクトの壁面にクリンカが付着するのを抑制することができる。また、操業低負荷時に燃焼用空気量が低下し、吹込み流速が低下した際に、混合する不活性ガス流量を増加させて吹込み流速を維持することにより、第2のダクトの壁面における燃焼に起因したクリンカの付着を抑制することができる。
本発明のコークス乾式消火設備の実施の形態1の模式図である。 (a),(b),(c)ともに、空気導入路および分岐ダクトと第2のダクトの接続形態を示した縦断面図である。 サイクロンと第2のダクトを拡大した斜視図である。 図3のIV−IV矢視図である。 本発明のコークス乾式消火設備の実施の形態2の模式図である。 本発明のコークス乾式消火設備の実施の形態3の模式図である。 (a),(b),(c)ともに、コークス乾式消火設備の実施の形態3における空気導入路、分岐ダクトおよび系外ダクトと第2のダクトの接続形態を示した縦断面図である。 燃焼解析で適用した解析モデルの模式図である。 図8のIX部の拡大図である。 (a)は解析におけるcase1の概略図であり、(b)は解析におけるcase2の概略図である。 燃焼解析結果のうち、第2のダクトにおける循環冷却ガスの流速コンタ図である。 燃焼解析結果のうち、第2のダクトにおける循環冷却ガスの温度コンタ図である。 燃焼解析結果のうち、第2のダクトにおける循環冷却ガスの温度1100℃の温度等値図である。 燃焼解析結果のうち、第2のダクトにおける循環冷却ガスの温度1000℃の温度等値図である。 燃焼解析結果のうち、第2のダクトにおける循環冷却ガスの温度900℃の温度等値図である。
以下、図面を参照して本発明のコークス乾式消火設備の実施の形態を説明する。なお、図示例では、第2のダクトを構成する立ち上がり部に4基の空気導入路及びガス導入路が90度間隔で配設された形態を示しているが、図示例以外の基数の空気導入路及びガス導入路が立ち上がり部に設けられた形態や、水平部に空気導入路及びガス導入路が設けられた形態などであってもよいことは勿論のことである。
(コークス乾式消火設備の実施の形態1)
図1は本発明のコークス乾式消火設備の実施の形態1の模式図であり、図2(a),(b),(c)はともに空気導入路および分岐ダクトと第2のダクトの接続形態を示した縦断面図である。また、図3はサイクロンと第2のダクトを拡大した斜視図であり、図4は図3のIV−IV矢視図である。
図示するコークス乾式消火設備100(CDQ)は、チャンバー10とボイラー30の2つの熱交換機、さらには集塵機であるサイクロン20が、不活性ガス(窒素が主成分であって、CO2、H2O、微量のCO、H2が含まれたガスなど)からなる循環冷却ガスの流通系統を構成する、第1のダクト70、第2のダクト80および第3のダクト90で相互に流体連通されてその全体が大略構成されている。
より具体的には、チャンバー10とサイクロン20は第1のダクト70を介して繋がり、サイクロン20とボイラー30は第2のダクト80を介して繋がり、ボイラー30とチャンバー10は、その途中に配設されたガスブロア50を介して第3のダクト90を介して繋がっている。
不活性ガスからなる循環冷却ガスは、図示する流通系統を循環しながら高温の赤熱コークスCoを冷却し、赤熱コークスCoから受けた熱で昇温された循環冷却ガスはボイラー30内を流通する水を蒸発させて蒸気を生成する。
不図示のコークス炉から押し出された不図示のバケットに収容された赤熱コークスCoは、チャンバー10の頂部から搬入される(X1方向)。チャンバー10内では、上部のプレチャンバー11にて高温の赤熱コークスCoを溜め、一定の時間間隔で下方のクーリングチャンバー12に降下させる。この操作によって赤熱コークスCoは当初の約1000℃の温度が200℃以下に冷却され(冷却された赤熱コークスCo’の生成)、チャンバー10底部に配設された排出路14を介して排出されてコンベア15で不図示の高炉に運ばれるようになっている。
循環冷却ガスにはCO等の未燃ガスが含まれており、これらの未燃ガスを循環冷却ガスがボイラー30の入口に至るまでに完全に燃焼させるべく、図示するコークス乾式消火設備100では、未燃ガス燃焼用の空気導入路41と、第3のダクト90の途中位置90aから分岐した分岐ダクト42(ガス導入路)とが、サイクロン20の下流側に位置する第2のダクト80の途中位置に繋がっており、分岐ダクト42を流通する循環冷却ガスと空気導入路41を流通する空気が第2のダクト80に提供されるようになっている(空気の流れがQ1、循環冷却ガスの流れがQ2)。なお、図示例は分岐ダクト42が一基の形態を示しているが、第3のダクト90のガスブロア50よりも下流側において2以上の分岐ダクトが設けられ、それぞれの分岐ダクトが第2のダクト80に接続される形態であってもよい。
ここで、分岐ダクト42および空気導入路41と第2のダクト80の接続形態には様々な形態があり、ここでは図2を参照して3種類の実施の形態を説明する。
図2aで示す接続形態は、分岐ダクト42と空気導入路41が個別に第2のダクト80の立ち上がり部81に接続される形態である。なお、分岐ダクト42と空気導入路41は近接させるのが望ましい。
一方、図2bで示す接続形態は、分岐ダクト42と空気導入路41が予混合路43に繋がり、予混合路43が第2のダクト80の立ち上がり部81に接続される形態である。
この接続形態では、予混合路43に流入してきた循環冷却ガスと空気が予混合路43内で混合され、生成された混合ガスが第2のダクト80に提供されることになる。
さらに、図2cで示す接続形態は、分岐ダクト42と空気導入路41がそれぞれ、二重管44の外管、内管に繋がり、二重管44が第2のダクト80の立ち上がり部81に接続される形態である。
図1に戻り、系内を流通する循環冷却ガスは、循環設備を構成するガスブロア50からチャンバー下方のクーリングチャンバー12に吹き込まれ(Y1方向)、上方に上昇する過程(Y2方向)で降下してくる高温の赤熱コークスCo(X2方向)と接触する。そして、プレチャンバー11の外周にあるリングダクト13を通過し、第1のダクト70から集塵機であるサイクロン20に入り(Y2方向)、サイクロン20で旋回流Y3’となり、ボイラー30側に流れていく(Y3”方向)。なお、第3のダクト90を流通する循環冷却ガスの一部は、途中位置90aから分岐した分岐ダクト42を介して第2のダクト80に流通する。
ここで、クーリングチャンバー12からリングダクト13へと上昇する(Y1方向)循環冷却ガスは800℃程度にまで昇温しているが、従来構造のCDQと異なって燃焼用空気がチャンバー10にて循環冷却ガスに提供されないことから、循環冷却ガスがさらに昇温することはなく、この800℃程度(900℃以下の温度)でリングダクト13から第1のダクト70に流入することになる。
第1のダクト70を流通する循環冷却ガスは、800℃程度の温度を維持した状態でサイクロン20に進入し、ここで旋回流Y3’が生成される。
図3で示すように、サイクロン20は、下方に縮径した筒状を呈し、湾曲線形の循環冷却ガスの導入路21が筒内に流体連通しており、この頂部から第2のダクト80を構成する立ち上り部81が立ち上がり、さらに屈曲して第2のダクト80を構成する水平部82がボイラー30側に通じている。
立ち上り部81の途中位置には、図3,4で示すように4基の空気導入路41と分岐ダクト42が90度間隔で配設されている。
図1に戻り、サイクロン20では、循環冷却ガスの有する摩耗性の高いコークス粉が効果的に集塵される。そして、サイクロン20の上方の第2のダクト80の立ち上り部81では、循環冷却ガス中の未燃ガス燃焼用の空気と第3のダクト90から迂回してきた循環冷却ガスが提供されるが、サイクロン20の上方で循環冷却ガスが旋回していることから提供される空気と循環冷却ガスの混合が十分に図られ、未燃ガスの燃焼が促進される。
未燃ガスが完全に燃焼された段階で、水平部82を旋回流Y3”の態様でボイラー30側に流通する循環冷却ガスの温度は昇温し、サイクロン20に流入する際の800℃程度(900℃以下)から約1000℃の循環冷却ガスとなってボイラー30に流入することになる。
ボイラー30内には給水と蒸気排気をおこなう蒸気生成回収路35が内装されており、蒸気生成回収路35を介して給水され(Z1方向)、水がボイラー30内を流通する過程(Z2方向)でボイラー30内を流通する(Y4方向)循環冷却ガスの熱で蒸気となり、この蒸気を蒸気生成回収路35を介して排出して熱回収される(Z3方向)。
蒸気の生成で熱を奪われた循環冷却ガスは200℃以下に降温し、第3のダクト90を介してチャンバー10側に流通し(Y5方向)、ガスブロア50を介し、給水予熱器60を介してさらに降温され、130℃程度の循環冷却ガスがクーリングチャンバー12に吹き込まれることとなり(Y1方向)、このようにしてCDQ内における循環冷却ガスの循環が図られることとなる。また、200℃以下に降温した循環冷却ガスは、分岐ダクト42を介して第2のダクト80にも提供される。
このように、集塵性能に優れたサイクロン20の適用に加えて、循環冷却ガス中の未燃ガスの燃焼を実行するための空気導入路41と循環冷却ガスを提供する分岐ダクト42を第2のダクト80の途中位置に流体連通させたことにより、900℃以下の比較的低温域の循環冷却ガスをサイクロン20内で集塵することができ、サイクロン20の形成素材としてインコネル(登録商標)等の高価な耐熱材を使用することなく、ステンレス鋼等の一般的な耐熱鋼を使用することができる。特に、旋回流Y3’を生じるサイクロン20の下流側の第2のダクト80において未燃ガスに空気と第3のダクト90から迂回する循環冷却ガスが提供されることから、未燃ガスを含む循環冷却ガスの旋回流Y3’を利用して未燃ガスの燃焼を促進することができ、サイクロン20とボイラー30までの距離、すなわち第2のダクト80の長さが長くない場合でも循環冷却ガスがボイラー30に到達するまでの未燃ガスの燃焼完了を保証することができる。
また、サイクロン20に提供される循環冷却ガスの温度が900℃以下と低くなることでその熱膨張が抑制される結果、提供される循環冷却ガスのボリュームが低減されることから、サイクロン20の小型化を図ることもできる。また、サイクロン20を適用することで、従来構造の一次ダストキャッチャーに比して循環冷却ガス中のダスト濃度を大きく低減できる。そして、このことによってボイラー30内における循環冷却ガスによる摩耗の影響が極めて少なくなり、溶射やプロテクター設置といった耐摩耗被膜形成に要するコストが不要となる。また、循環冷却ガスの流速を高めることが可能となり、このことによって伝熱性能が向上するため、一定量の蒸気回収を前提とした場合にはボイラー30の小型化を図ることが可能となる。さらに、サイクロン20による集塵効率が高まることで従来のようにボイラー下流における二次ダストキャッチャーやそれに付随するコンベア等が一切不要となり、CDQシステム全体の設備コスト低減にも繋がる。
ここで、第2のダクト80に提供される未燃ガス燃焼用の空気は、その温度が大気温度であり、その酸素濃度が約21%である。一方、第3のダクト90から分岐ダクト42を介して第2のダクト80に提供される循環冷却ガスは、その温度が例えば100℃〜200℃であり、その酸素濃度が約0%である。これらの空気および循環冷却ガスを図2a、cのごとく個別かつ同時に、もしくは図2bのごとく予混合した混合ガスとして第2のダクト80に吹込むことにより、第2のダクト80に提供される空気やガスの温度や酸素濃度、吹込み流量・流速を所望に制御することが可能になる。
そして、このような制御により、混合ガスの酸素濃度を下げることができ、このことによって燃焼抑制効果を齎し、燃焼温度を低下させることで、第2のダクト80の壁面にクリンカが付着するのを効果的に抑制することができる。
また、操業低負荷時に燃焼用空気量が低下し、吹込み流速が低下した際に、混合する循環冷却ガス流量を増加させて吹込み流速を維持することにより、第2のダクト80の壁面における燃焼に起因したクリンカの付着を抑制することができる。
(コークス乾式消火設備の実施の形態2)
図5は本発明のコークス乾式消火設備の実施の形態2の模式図である。
図示するコークス乾式消火設備100Aは、未燃ガス燃焼用の空気導入路41と系外ダクト45が第2のダクト80の途中位置に繋がっており、空気導入路41を流通する空気、および系外ダクト45を流通する不活性ガスが第2のダクト80に提供されるようになっている(空気の流れがQ1、不活性ガスの流れがQ3)。
系外ダクト45は、コークス乾式消火設備100Aの系外にある不図示の各種設備からコークス乾式消火設備100Aの第2のダクト80に繋がっており、系外の各種設備にて発生等した窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種を不活性ガスとして再利用し、第2のダクト80へ提供するものである。循環冷却ガスと同様に、これら窒素、二酸化炭素、蒸気内においても酸素は存在しておらず、したがって循環冷却ガスを適用した場合と同様の効果が期待できる。なお、図示を省略するが、系外ダクト45および空気導入路41と第2のダクト80の接続形態も、図2で示す分岐ダクト42および空気導入路41と第2のダクト80の3種類の接続形態を適用できる。
(コークス乾式消火設備の実施の形態3)
図6は本発明のコークス乾式消火設備の実施の形態3の模式図であり、図7(a),(b),(c)はともに、空気導入路、分岐ダクトおよび系外ダクトと第2のダクトの接続形態を示した縦断面図である。
図示するコークス乾式消火設備100Bは、未燃ガス燃焼用の空気導入路41と、第3のダクト90の途中位置90aから分岐した分岐ダクト42と、系外ダクト45が第2のダクト80の途中位置に繋がっており、分岐ダクト42を流通する循環冷却ガス、空気導入路41を流通する空気、および系外ダクト45を流通する窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種が第2のダクト80に提供されるようになっている(空気の流れがQ1、循環冷却ガスの流れがQ2、窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種の流れがQ3)。
ここで、分岐ダクト42、空気導入路41および系外ダクト45と第2のダクト80の接続形態においても様々な形態があり、ここでは図7を参照して3種類の実施の形態を説明する。
図7aで示す接続形態は、空気導入路41、分岐ダクト42および系外ダクト45が個別に第2のダクト80の立ち上がり部81に接続される形態である。
一方、図7bで示す接続形態は、空気導入路41、分岐ダクト42および系外ダクト45が予混合路43に繋がり、予混合路43が第2のダクト80の立ち上がり部81に接続される形態である。
さらに、図7cで示す接続形態は、空気導入路41、分岐ダクト42および系外ダクト45がそれぞれ、三重管46の内管、中管、外管に繋がり、三重管46が第2のダクト80の立ち上がり部81に接続される形態である。
この実施の形態においても、サイクロン20の上方の第2のダクト80の立ち上り部81では、循環冷却ガス中の未燃ガス燃焼用の空気と第3のダクト90から迂回してきた循環冷却ガス、さらには窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種が提供されることで、既述する実施の形態1と実施の形態2を適用した場合と同様の効果が期待できる。
[燃焼解析とその結果]
本発明者等は、第2のダクトに空気のみを導入し、循環冷却ガスを第2のダクトよりも上流に導入するcase1と、第2のダクトに空気および循環冷却ガスを導入するcase2の場合における、第2のダクト内の循環冷却ガスの流速、循環冷却ガスの温度、さらには、循環冷却ガスの900℃、1000℃、1100℃の温度等値面を求める解析をおこなった。解析モデルを図8,9に示すとともに、図10aにcase1の概略図を、図10bにcase2の概略図をそれぞれ示す。なお、図8,9では第2のダクトに空気導入路のみが繋がっているモデルが図示されているが、case2では、この空気導入路を介して空気と循環冷却ガスの双方が導入されることとした。また、以下の表1に解析条件を示す。
Figure 2016017139
Figure 2016017139
解析結果を図11〜図15に示す。具体的には、図11は燃焼解析結果のうち、第2のダクトにおける循環冷却ガスの流速コンタ図であり、図12は燃焼解析結果のうち、第2のダクトにおける循環冷却ガスの温度コンタ図である。また、図13,14,15はそれぞれ、燃焼解析結果のうち、第2のダクトにおける循環冷却ガスの温度1100℃、1000℃、900℃の温度等値図である。
図11より、case1に比して、空気に加えて循環冷却ガスを導入するcase2では第2のダクト内に導入する混合ガスの吹込み流速が速くなることが実証されている。
また、図12より、case1に比して、case2では、第2のダクトの立ち上がり部内を流通する循環冷却ガスの温度が低くなることが実証されている。
さらに、表1よりcase1とcase2では、第2のダクト通過ガス(合流後)のガス流量、温度、成分は同じであるが、図13〜15より、case2では第2のダクト内に1100℃の循環冷却ガスは存在せず、1000℃の循環冷却ガスの流量もcase1に比して少なく、900℃の循環冷却ガスの流量は立ち上がり部でcase1と同程度であることが実証されている。また、ボイラーに通じる水平部では、900℃未満の循環冷却ガスの流量がcase1に比して多くなっていることが推定される。
加えて、本解析結果にて、第2のダクトへ導入した循環冷却ガスは、不活性ガスもしくは低酸素含有ガスであっても同様の冷却効果が得られる。
本解析結果より、第2のダクトに空気に加えて低温の循環冷却ガスを導入することにより、空気のみを導入する場合に比して、第2のダクトの立ち上がり部、とくにサイクロン出口部近傍における循環冷却ガス中の未燃ガスの燃焼温度を低下させることができ、この燃焼温度の低下によって第2のダクトの壁面においてクリンカが付着するのを抑制できると考えられる。
なお、第2のダクトに第3のダクトから分岐した分岐ダクトが繋がっておらず、系外の各種設備に通じている系外ダクトと空気導入路が繋がっていて、空気導入路を流通する空気と系外ダクトを流通する窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種が第2のダクトに提供されるようになっているコークス乾式消火設備とした場合でも、燃焼温度を効果的に低下させることができ、第2のダクトの壁面におけるクリンカ付着を抑制することができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
10…チャンバー、11…プレチャンバー、12…クーリングチャンバー、13…リングダクト、14…排出路、15…コンベア、20…サイクロン(集塵機)、21…導入路、21a…導入孔、30…ボイラー、35…蒸気生成回収路、41…空気導入路、42…分岐ダクト(ガス導入路)、43…予混合路、44…二重管、45…系外ダクト(ガス導入路)、46…三重管、50…ガスブロア、60…給水予熱器、70…第1のダクト、80…第2のダクト、81…立ち上り部、82…水平部、90…第3のダクト、100,100A,100B…コークス乾式消火設備(CDQ)、Co…赤熱コークス、Co’… 冷却された赤熱コークス

Claims (9)

  1. 赤熱コークスが供給されるとともに循環冷却ガスが吹き込まれるチャンバーと、
    前記チャンバー内で赤熱コークスによって昇温された循環冷却ガスが第1のダクトを介して導入され、該循環冷却ガス中のコークス粉を回収するサイクロンからなる集塵機と、
    前記集塵機から流出した循環冷却ガスが第2のダクトを介して導入されるとともに循環冷却ガスの熱を回収するボイラーと、を備え、
    前記ボイラーから流出した循環冷却ガスを該ボイラーと前記チャンバーを繋ぐ第3のダクトを介して再度チャンバーに戻して赤熱コークスを冷却するコークス乾式消火設備において、
    前記第2のダクトには、ガス導入路と空気導入路が繋がっており、
    前記ガス導入路を流通する不活性ガスと前記空気導入路を流通する空気が前記第2のダクトに提供されるようになっているコークス乾式消火設備。
  2. 前記ガス導入路は前記第3のダクトから分岐した分岐ダクトであり、前記不活性ガスは該分岐ダクトを流通する循環冷却ガスである請求項1に記載のコークス乾式消火設備。
  3. 前記ガス導入路は前記コークス乾式消火設備の系外に通じている系外ダクトであり、前記不活性ガスは該系外ダクトを流通する窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種である請求項1に記載のコークス乾式消火設備。
  4. 前記ガス導入路は、前記第3のダクトから分岐した分岐ダクトとコークス乾式消火設備の系外に通じている系外ダクトからなり、
    前記不活性ガスは、前記分岐ダクトを流通する循環冷却ガス、および、前記系外ダクトを流通する窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種である請求項1に記載のコークス乾式消火設備。
  5. 前記ガス導入路と前記空気導入路が予混合路に繋がり、該予混合路が前記第2のダクトに繋がっており、
    前記ガス導入路を流通する不活性ガスと前記空気導入路を流通する空気が前記予混合路にて混合されて混合ガスを形成し、該予混合路を介して混合ガスが第2のダクトに提供される請求項1〜4のいずれかに記載のコークス乾式消火設備。
  6. 前記ガス導入路が前記分岐ダクトもしくは前記系外ダクトのいずれかである場合、
    前記ガス導入路と前記空気導入路がそれぞれ、二重管の内管、外管のいずれか一方に繋がり、該二重管が前記第2のダクトに繋がっており、
    前記二重管を流通する不活性ガスと空気が前記第2のダクトに提供される請求項1〜3のいずれかに記載のコークス乾式消火設備。
  7. 前記ガス導入路が前記分岐ダクトと前記系外ダクトからなる場合、
    前記分岐ダクトと前記系外ダクトと前記空気導入路がそれぞれ、三重管の内管、中管、外管のいずれか一方に繋がり、該三重管が前記第2のダクトに繋がっており、
    前記三重管を流通する、循環冷却ガスと、空気と、窒素、二酸化炭素、蒸気のいずれか一種もしくは複数種と、が前記第2のダクトに提供される請求項4に記載のコークス乾式消火設備。
  8. 前記第3のダクトの途中位置にガスブロアが設けてあり、
    前記第3のダクトのうち、ガスブロア設置位置よりも下流側の一つもしくは複数の位置から一本もしくは複数本の前記分岐ダクトが分岐している請求項2または4に記載のコークス乾式消火設備。
  9. 前記第2のダクトは、サイクロンの頂部から上方に立ち上がる立ち上り部と、この立ち上り部から屈曲して水平方向もしくは略水平方向に延びる水平部とから構成されており、
    前記ガス導入路と前記空気導入路が前記立ち上り部に繋がっている請求項1〜8のいずれかに記載のコークス乾式消火設備。
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