JP2016013138A - 樹液の調製方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、現在、燃料用エタノールの多くはトウモロコシ澱粉やサトウキビ汁等の食用農産物から製造されており、将来の人口増に伴う食用農産物需要の増大などにより、食用途とエネルギー用途間での競合が生じることが予想されている。そのため農作物の未利用部分、即ち、農産廃棄物から燃料用エタノールなどへの変換技術の開発が切望されているが、未だ技術開発は困難を極めている状況である。伐採されるオイルパーム幹は、産出される量、持続的なオイルパーム産業の発展及び環境負荷低減の観点からも非常に有望なバイオマス資源である。
一方で、本発明者らは、オイルパーム幹より得られた樹液を原料とした培地で細菌類等の微生物を使用した発酵をするにあたり、生産不良や発酵機能低下が起こるという課題に直面した。
本発明の第二の態様は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液のpHを調整し、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有することを特徴とする樹液の調製方法である。
本発明の第三の態様は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液を活性炭で濾過、または活性炭を添加することを特徴とする樹液の調製方法である。
本発明の第四の態様は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液に凝集剤を添加し、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有する樹液の調製方法である。
本発明の第五の態様は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液から高分子化合物を除去することを特徴とする樹液の調製方法である。
本発明の第六の態様は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液を加熱し、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有することを特徴とする樹液の調製方法である。
本発明の第七の態様は、前記第一〜第六の態様の調製方法で調製された樹液を用いて、微生物を培養することを特徴とする微生物の培養方法である。
本発明の第八の態様は、前記第一〜第六の態様の調製方法で調製された樹液を用いて、微生物を培養して前記微生物により有用物質を生産させることを特徴とする有用物質の生産方法である。
本発明の第八の態様は、前記第一〜第六の態様の調製方法により不活化及び/又は除去された発酵阻害物質を回収し、肥料及び/又は燃料として加工利用することを特徴とする樹液成分の活用方法である。
本発明の第九の態様は、前記第七の態様の微生物の培養方法により培養された微生物を含む発酵阻害物質を回収し、燃料及び燃料補助成分、飲食料品素材及び補助剤、樹脂加工原料及び材料、土壌改良素材及び肥料成分として利用することを特徴とする樹液成分の活用方法である。
また本発明によれば、従来廃棄物としてしか扱われなかった伐採オイルパーム幹の樹皮以外の組成物を原材料とし、微生物培養に適した培地を提供できるばかりでなく、伐採オイルパーム幹に対する資源価値を高め、持続的なオイルパーム産業の確立と環境負荷の低減化が可能となる。
以下、本発明の樹液の調製方法を実施するための好ましい形態について説明する。
[第一実施形態]
本実施形態の樹液の調製方法は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液に含まれる微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有することを特徴とする樹液の調製方法である。
また、本実施形態においては、樹液中の総フェノール以外にも、有用物質の生産性を阻害すると思われる他の物質を除去してもよい。
本実施形態において、樹液中の総フェノール濃度は上記に記載したような処理方法を行う前後で40〜100質量%低下させることが好ましく、45〜95質量%低下させることがより好ましい。
本実施形態の樹液の調製方法は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液のpHを調整し、沈殿物を生成させ、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有する樹液の調製方法である。
採取後の樹液のpHは約5.0〜6.5付近であるが、樹液のpHを調整することにより、凝集作用が起こり、樹液中の微生物発酵阻害物質を沈降分離して沈殿物を生成させることができる。
樹液中の微生物発酵阻害物質を沈殿させることにより、微生物発酵性阻害物質を不溶化させることができる。これにより、微生物発酵性阻害物質を分離し、又は反応性を大きく失わせることができると考えられる。つまり、該微生物発酵性阻害物質を隔離及び/又は不活性化することができると考えられる。
また、本実施形態においては、生じた沈殿物を除去することにより、樹液中の微生物発酵阻害物質を除去することができる。
沈殿物に含まれる物質としては上述したフェノール等が挙げられるが、これに限定されず、タンパク質、重金属類、金属イオン類、微粒子等や、フェノール性物質を介した複合体成分も考慮できる。一例として、本実施形態の樹液の調製方法により調製された樹液を用いて微生物を培養する場合の生育阻害物質又は有用物質を生産する場合の発酵阻害物質が挙げられる。
本実施形態においては、上記に示したようなアルカリ溶液を樹液に添加することにより、樹液のpHを8.0〜12.0、好ましくは9.0〜11.0に調整することにより、凝集物を沈殿させることができる。
本実施形態においては、遠心分離により行うことが好ましい。
本実施形態の樹液の調製方法は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液を活性炭で濾過、または前記樹液に活性炭を添加混合する調製方法である。
樹液を活性炭で濾過、または樹液に活性炭を添加混合すると、一例として活性炭にフェノールが吸着する。
活性炭に吸着する物質としては、フェノール等に限定されず、一例として、本実施形態の樹液の調製方法により調製された樹液を用いて微生物を培養する場合の生育阻害物質又は有用物質を生産する場合の発酵阻害物質が挙げられる。
微生物発酵阻害物質の分離除去にオイルパーム搾汁残渣から得られた繊維質を原料とし調製された活性炭を用いることにより、従来廃棄物としてしか扱われなかったオイルパーム残渣を有効に活用することができる。オイルパーム残渣を常法により炭化させることにより、オイルパーム残渣から得られた繊維質を原料とし調製された活性炭を得ることができる。
本実施形態の樹液の調製方法は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液に凝集剤を添加し、凝集物を生成させ、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有する調製方法である。
オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液に凝集剤を添加することにより、凝集作用が起こり、樹液中の微生物発酵阻害物質を沈降分離して沈殿物を生成させることができる。
樹液中の微生物発酵阻害物質を沈殿させることにより、微生物発酵性阻害物質を不溶化させることができる。これにより、微生物発酵性阻害物質を隔離し、又は反応性を大きく失わせることができると考えられる。つまり、該微生物発酵性阻害物質を隔離及び/又は不活性化することができると考えられる。
また、本実施形態においては、生じた沈殿物を除去することにより、樹液中の微生物発酵阻害物質を除去することができる。
本実施形態に用いる凝集剤は特に限定されないが、無機凝集剤であることが好ましい。
無機凝集剤としては、例えばPAC(ポリ塩化アルミニウム)、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)等のアルミニウム系凝集剤や塩化第二鉄等の鉄系凝集剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本実施形態においては、遠心分離により行うことが好ましい。
本実施形態の樹液の調製方法は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液から高分子化合物を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有する調製方法である。本実施形態において、高分子化合物を除去する方法としては、例えば限界濾過、透析膜等の使用等が挙げられる。また、高分子化合物がタンパク質類である場合には、後述する加熱により、不活性化させることができる。
本実施形態の樹液の調製方法は、オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液を加熱し、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有する方法である。
加熱処理を行うことにより、発酵阻害物質を不活化ことができる。
加熱により樹液中の主にフェノール性化合物又はフェノール性化合物と複合体を形成している高分子化合物が変性し沈殿凝集する。
加熱の方法は特に限定されないが、例えば100〜140℃、好ましくは110℃〜130℃で、5〜30分間、好ましくは10〜20分間、特に好ましくは5〜10分間一気圧の条件で加熱するとよい。
加熱の際にはオートクレーブ等を用いることが好ましい。また、発酵阻害物質が不活化する条件であれば、適宜加熱温度や加熱時間を調整しても構わない。例えば、50℃〜80℃の低温で長時間加熱することによっても効果がある。処理時間は短時間が好ましいが、場合によっては長時間処理でも構わない。
加熱処理に伴い、圧力が生じるが圧力上昇により滅菌効果も加わることから、処理においては全く問題が無い。これらの加熱処理により樹液中の発酵阻害物質が沈殿もしくは粒子として不活化すれば目的を達する。一方、加熱処理により樹液中の栄養成分、例えばビタミン類など熱に弱い成分があり、微生物の生育阻害が起こる場合がある。この場合は酵母エキスやポリペプトン、肉エキス、魚肉エキス、コーンスチープリカー等ビタミンが豊富に含まれる栄養素を適量加えることで改善できる。
パーム樹液は酵母を利用したエタノール発酵などには阻害がなく、理論収率でエタノール生産が可能である。それ故に発酵阻害がない天然優良培地として認識されている。葉柄からの樹液においても幹からの樹液と同様な成分が含まれていることが知られており、発酵阻害が全く認められないことが非特許論文3にて示されている。
一方、本発明者らは、乳酸、PHBといった特に細菌類を利用した微生物発酵の場合、生育不良や発酵能低下が生じるという問題を見出した。この原因は樹液中のビタミン類など微量成分等の不足に起因した現象と考察されていた。
これに対して、本発明者らは、一例としてフェノール性物質が微生物の生育や発酵を阻害することを見出した。更に、上述したアルカリ凝集沈殿法や活性炭を用いたろ過方法により、樹液に含まれるフェノール等の生育阻害物質又は発酵阻害物質の総量を低下できることを見出した。また、本発明の樹液の調製方法は、樹液中の糖量を減少させることなく、フェノール等の微生物発酵阻害物質の総量を低下できる。従って、本発明の樹液の調製方法は、樹液中の発酵可能な遊離糖の損失を抑制しながら、微生物発酵阻害物質量を低下させることができる。
第一〜第六の実施形態の樹液の調製方法は、細菌類の生育や発酵阻害の原因と考えられる物質を低下又は除去したものであるため、微生物の培養に適した培地に好適に用いることができると推察される。
本発明の微生物の培養方法は、上記の調製方法により調製されたいずれかの樹液を用いて、微生物を培養する微生物の培養方法である。
[培地]
本発明の培養方法において使用する培地は、上記の調製方法により調製されたいずれかの樹液を含み、微生物の増殖に用いられるものであれば、合成培地、半合成培地、天然培地などいずれの培地も使用することができる。好ましくは、炭素源、窒素源を含む培地である。炭素源としてはグルコース、フラクトース、マルトース、スクロースが好ましい。窒素源としてはアミノ酸、アンモニウム塩が好ましい。また、微生物の増殖速度が高くなる為、富栄養培地がより好ましい。富栄養培地としては、酵母抽出物(イーストエクストラスト)、トリプトン、ペプトン、ポリペプトンなどのタンパク質分解物、麦芽汁等の天然成分由来のものを含むものが好ましい。富栄養培地の具体例としては、YPD培地、YEL培地、LB培地等が挙げられる。また、培地は、上記栄養分の他、ビタミン類、核酸類、金属塩類等、リン、微量元素など、微生物の生育を促進するための物質を含んでいてもよい。さらに、炭素源が代謝されて生成したエタノール、酢酸等を炭素源として微生物が消費する場合もある。
本発明の微生物の培養方法におけるpHの範囲は、後述する微生物が生育可能である範囲内にある限り制限されないが、例えば4〜7.5、好ましくは5〜7.0に調整する。このpHの調整には、pH調整剤として通常使用されている塩酸、硫酸、酢酸、クエン酸などの酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニアなどのアルカリ、又は、トリス塩酸塩、リン酸水素塩、リン酸水素カリウムなどの塩類の何れかを用いることができる。
次に、発酵の際に用いる微生物について説明する。
アルコール発酵の際に用いる微生物として、サッカロミセス属酵母、ピケア属酵母、クルイベロミセス属酵母、ザイモモナス属細菌、ザイモバクター属細菌、クロストリジウム属細菌などが挙げられる。クロストリジウム属細菌としては、Clostridium acetobutylicum、Clostridium beijerinckii、Clostridium saccharobutylicumが挙げられる。
乳酸発酵の際に用いる微生物としては、バチルス属細菌、ラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス属細菌、クルイベロミセス属酵母などが挙げられる。バチルス属細菌としては、Bacillus coagulansが挙げられる。
PHB発酵の際に用いられる微生物としては、コマモナス属細菌、ラストニア属細菌、バリオボラックス細菌、バチルス属細菌等が挙げられる。バチルス属細菌としては、Bacillus megateriumが挙げられる。
これらの微生物に限らず、本発明により得られる樹液で生育可能な微生物であればよい。例えば、遺伝子組み換えを行った酵母、大腸菌、乳酸菌、放線菌、カビ、キノコ等などの微生物や真菌類でもよく、これらの微生物を用いることでアルコール類や乳酸等の有用物質を効率的に生産させることができる。また、セルラーゼやアミラーゼなどの加水分解酵素を生産する微生物、例えば、カビ、バチルス属細菌又はクロストリジウム属細菌などを併用しても構わない。
本発明の培養方法において、微生物を培養する為の培養槽は特に制限はない。培養装置は、培養液の温度を一定に保ち、培養液を攪拌する機能を有していてもよい。最適な培養温度は、微生物の種類、培養目的等によって異なるため、培養温度は適宜決定することができるが、25℃〜45℃付近の培養温度が好ましく、この温度範囲で効果的に発酵を行なうことができる。しかし、微生物の種類に応じて、25℃以下の低温域又は40℃以上の高温域で培養、発酵させても構わない。その他の培養条件としては、用いる微生物に応じて、例えば上述したpHの範囲、あるいは嫌気条件又は好気的な条件下で微生物を培養することが好ましい。
本発明の有用物質の生産方法は、上記の調製方法により調製されたいずれかの樹液を用いて、微生物を培養して前記微生物により有用物質を生産させる方法である。
本発明において、「有用物質」とは、微生物がグルコースなどの栄養源を発酵することにより得る生産物である。有用物質としては特に限定されないが、微生物がグルコースを利用して生産可能なものが挙げられ、例えば、エタノール、ブタノール等のC3〜C5の低級アルコール;乳酸、PHB等のバイオプラスチックプラスチック原料等、バイオリファイナリー技術が対象とする材料が挙げられる。
有用物質としてバイオポリマーを生産させる場合は、上述したコマモナス属細菌、ラストニア属細菌、バリオボラックス細菌、バチルス属細菌等のバイオポリマー生産菌が挙げられる。
また、有用物質としてブタノールを主体とするアルコール類を生産させる場合には、上述したクロストリジウム属細菌等のブタノール生産菌が挙げられる。
また、D−アミノ酸としては、D−アラニン、D−システイン、D−アスパラギン酸、D−グルタミン酸、D−フェニルアラニン、D−ヒスチジン、D−イソロイシン、D−リシン、D−ロイシン、D−メチオニン、D−アスパラギン、D−プロリン、D−グルタミン、D−アルギニン、D−セリン、D−トレオニン、D−バリン、D−トリプトファン、D−アスパラギン、及びD−チロシン等が挙げられる。
またこれらの天然植物由来のフェノール性化合物は、抗酸化活性を有することから動物や人間における有用なサプリメント素材になり得ることを非特許文献6,7において開示している。また最近、これらのフェノール性化合物を肥料成分として含ませることにより土壌改善が行われることが非特許文献8において報告があった。またフェノール性化合物として有望な用途として特許文献9に開示されているように、樹脂原料素材としても加工利用できる。実際、全芳香族ポリエステルとして現在市販されているものは4−ヒドロキシ安息香酸が主成分とされており、実施例で示すが樹液を処理し、分離分画した沈殿物においても4−ヒドロキシ安息香酸が含まれていることが分析結果で明らかとなっている。しかし、そのフェノール性化合物が上記のような有用性を示すことは公知であるが、オイルパーム樹液中にこれらの有用なフェノール性化合物の存在や分離方法、及び/又は利活用方法に関する情報は一切開示されておらず、本明細書の中ではじめて開示される情報である。
オイルパーム幹を伐採した後、直径約32〜35cmになるようにディスク状にチェーンソーによりスライスした。スライスした位置は、パーム幹上部、中部、下部のそれぞれについて行った。そのスライスしたパーム幹の厚さは、6.8〜7.0cmであった。スライスしたパーム幹を更に細かく破砕するために、スティック状に裁断し、パーム幹裁断物を生成した。
得られたパーム幹裁断物を3〜5g秤量し、80℃で24時間加熱して乾燥させた。そして、この乾燥破砕物の重量を測定し、乾燥前の破砕物の重量からこの測定値を差し引いて、破砕物の水分含有量を算出した結果、約76質量%であった。樹液は以下のように調整した。
パーム幹裁断物約70〜90gを用いて油圧式プレス機に供し70〜80kg/cm2の圧力により搾汁し、樹液を採取した。この操作により約50ml程度搾汁できた。得られた樹液を10,000回転/分の遠心機により、澱及び繊維等の固形残渣を分離した。これら遠心分離を行った樹液は−20℃に凍結保存した。
特許文献1及び非特許文献1及び2からオイルパーム樹液は天然の微生物培地成分として極めて優れていることが明らかとなっている。酵母においては、含まれる糖含量に対して高い効率でエタノールや乳酸へ変換することが可能である。そこで、他微生物、特に細菌類においても同様に高い発酵効率で物質変換可能かどうかを確認するため、いくつかの微生物による物質生産を試験した。使用した微生物として、好熱性乳酸発酵菌であるバチルス・コアグランス(Bacillus coaglans)、バイオプラスチックとしてポリヒドロキシ酪酸(PHB)生産菌であるバチルス・メガトリウム(Bacillus megaterium)アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)11561株、バイオブタノール生産菌であるクロストリジウム・サッカロブチリカム(Clostridium saccharobutylicum)製品評価技術基盤機構(Biological Resource Center(NBRC))109358、及びグルタミン酸生産菌であるコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)NBRC12168を用い、発酵試験を行った。
樹液(無処理)を用いた発酵試験の各生産量を表1に示す。対象として樹液を用いずに、前培養にて使用した前記合成培地に接種したものを比較試験とした。樹液(無処理)と前培養で使用した合成培地中の糖濃度が異なることから、グルコースを樹液の糖濃度12.0質量%になるように樹液(無処理)へ添加、溶解した物を使用した。その結果、樹液(無処理)を用いた場合、乳酸では約半分、ポリヒドロキシ酪酸の蓄積の指標となる菌体量はほぼ生育なし、またブタノール生産能もほとんど認められない結果となった。一方、栄養源の影響も考えられるため、前記各合成培地成分を樹液に溶解して、発酵試験を行ったが発酵生産量の改善及び菌体量の改善は認められなかった。これらの結果は明らかに樹液にこれらの発酵生産を阻害するような因子が含まれていることが確認出来た。
すべての活性炭は前記樹液(無処理)に対し乾燥重量で5質量%になるように添加した。活性炭として市販されるチャコール活性化(Charcoal activated)粉末(ナカライ)を使用した。活性炭添加後、4℃で約5時間放置した。ワットマンフィルターを用い、活性炭を含む樹液を濾過することにより活性炭と樹液を分離し、フィルターを通った樹液を活性炭処理済み樹液(活性炭処理−樹液)とした。またオイルパーム搾汁後の残渣である搾汁繊維を用いて、活性炭を調製した。室温乾燥した搾汁残渣10gを用いて直接マッフルにより600℃にて炭化させた。放冷後、前記と同様に活性炭として樹液に加え4℃で約5時間放置した。ワットマンフィルターを用い、搾汁繊維活性炭を含む樹液を濾過することにより樹液を分離し、繊維活性炭処理済み樹液(パーム繊維活性炭処理−樹液)とした。
樹液(無処理)の通常のpHは約5.0〜6.5付近にある。その樹液のpHを酸性側pHに調整する場合は、1N〜4N塩酸を用い少量ずつ加えて行き、pH2.0、pH3.0、pH4.0、pH5.0にそれぞれ調整した。またアルカリ側pHへ調整する場合、1N〜4N水酸化ナトリウム溶液を少量ずつ加えて行きpH6.0、pH7.0、pH8.0、pH9.0、pH10.0、pH11.0、pH12.0、pH13.0へそれぞれ調整した。どちらのpHにおいても樹液100mlあたりに約0.5ml以下の添加にてpH調整を行った。調整後、4℃にて3時間放置することで沈殿生成を促進させた。生成した沈殿物は遠心分離(10,000回転、5分間、4℃)することで沈殿物を取り除いた。得られた樹液はpHをpH5.0〜5.5の範囲に前記塩酸又は水酸化ナトリウム溶液を用いて再度調整した。これらの樹液をpH調整処理済み樹液とし、pH2.0−4.0の酸性pH(酸性pH処理−樹液)、pH5.0−7.0の中性pH(中性pH処理−樹液)、pH8.0−11.0弱アルカリpH(弱アルカリpH処理−樹液)、pH12.0−13.0の強アルカリpH(強アルカリpH処理−樹液)と分け傾向を検討した。
樹液の凝集剤による影響を検討するために、無機凝集剤で処理を行った。無機凝集剤として硫酸アルミニウム及びポリ塩化アルミニウムを用いた。樹液(無処理)1リッターに対してそれぞれ、0.2重量%(w/v)を加え、1時間4℃で放置することで沈殿を生成させた。その後、前記と同様に遠心分離を行い、沈殿を取り除いた。得られた樹液は凝集剤処理済み樹液として実験に使用した。
樹液中の高分子化合物による影響を確認するため、限外濾過膜を利用した樹液の処理を行った。限外濾過膜として遠心型限外濾過装置を用いて樹液を遠心濾過した。樹液(無処理)約30mlを用い、遠心型限外濾過膜装置(ミリポア アミコン 分子量10,000カット)により5,000回転、30分間の遠心により分子量10,000以下の化合物が含まれるとされる濾液を調製した。その濾液は限外濾過処理(低分子画分−樹液)として実験に使用した。
樹液中の発酵阻害物質の熱処理による影響を確認するため、オートクレーブによる熱処理を行った。樹液約50mlを用いてガラス製三角フラスコへ移し、トミー精工社製のオートクレーブにより120℃、10分間の条件において前処理を行った。調製した樹液はタンパク質等の不溶性沈殿物が生じたが、そのままの状態で使用した。
無処理の樹液を比較例1とした。
樹液中の総フェノール化合物の量を測定するために、樹液及び前記各処理を行った樹液(実施例1〜5、比較例1)を用いてフォーリン・チオカルト(Folin・Ciocalteu)法により測定した。フェノール化合物のスタンダードとしてガリック酸を用い濃度測定のための検量線を作成した。単に搾汁を行ったパーム幹中の樹液の総フェノール量は、約850mg〜約1,040mg含まれており、その平均942mg±86mgの範囲で存在していることが分かった(比較例1)。一方、前記処理を行った樹液中の総ポリフェノール含量を測定した結果、いずれの処理法でも総フェノールが低下することが明らかとなった(実施例1〜5)。その結果を表2に示す。
これらの処理により樹液中の糖含量へ影響を示すかどうかを確認するため、各処理後の樹液中の糖組成及び糖含量の測定を行った。各樹液に含まれる糖含量は各遊離糖の測定には、示差屈折検出器を用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。分析条件はCARBOSep CHO−682カラム(東京化成工業)を使用し、移動相は超純粋水(0.4ml/分、80℃)を用いた。樹液中の微生物発酵可能な糖としてはグルコース、スクロース、フラクトースが主に存在することが知られている(特許第4065960号)。従ってこれらの遊離糖をそれぞれ測定し、その総量として示した。その結果を表3に示す。樹液(無処理)においては11.9±9.6重量%(グルコース、スクロース、フラクトースの総量)であった。一方、各処理によって調製した樹液中の遊離糖量を測定した結果、糖量の減少は認められず、特に活性炭などの吸着物質を用いたとしても樹液中の糖量や、各遊離糖の含量の比率に変化は認められなかった。従ってこれらの方法は樹液中の発酵可能な遊離糖の損失を抑制しながら、発酵阻害物質と推察されるフェノール性物質を取り除く方法として優れていることが明らかとなった。
前記、各種前処理した樹液(実施例1〜5、比較例1)を用いて、前記の培養法に従い好熱性乳酸発酵菌であるバチルス・コアグランス、バイオプラスチックポリヒドロキシ酪酸生産菌であるバチルス・メガトリウム、ATCC11561株、及びバイオブタノール生産菌であるクロストリジウム・サッカロブチリカムNBRC109358を用いて発酵試験を行った。その結果を表3に示した。結果から無処理の樹液に比較し、各処理を行った樹液による発酵生産効率は約1.2倍〜2.6倍まで向上することが明らかとなった。一方、特にpH調整及び凝集剤を加えた沈殿物を除去しない処理液を用いても同様な結果が得られることから、凝集沈殿により発酵能に影響を及ぼす発酵阻害物質は不活化していることが考えられた。これらの結果からオイルパーム幹から樹液を前処理することで、樹液中の発酵阻害物質が効果的に除去され、微生物の成育や有用物質生産が促進され、発酵生産能力を向上させることが明らかとなった。下記表4中、括弧内は無処理の樹液を用いた際の生産量を1.0とした時の各前処理樹液を用いた生産量との相対値を示している。
アミノ酸発酵の中でもグルタミン酸は代表的なアミノ酸発酵生産として知られている。樹液中の発酵阻害物の影響を受けるかどうか確認するため、前記、樹液前処理として、活性炭処理、弱アルカリpH処理(pH11.0)、凝集剤(ポリ塩化アルミニウム)で処理を行った樹液(実施例1〜3、比較例1)を用いてグルタミン酸発酵試験を行った。その結果を表5に示す。結果、いずれも無処理樹液よりもグルタミン酸の生産能は向上することから、アミノ酸発酵においても樹液前処理の影響は確認出来た。
上記実施例2に記載された、弱アルカリpH処理−樹液により得られたフェノール性物質を含む発酵阻害物質の凝集沈殿物を遠心分離(10,000回転、4℃、10分間)により回収した。また活性炭処理樹液に利用した活性炭をワットマンフィルターにより分離回収した。これらの沈殿物や活性炭は恒温機内で70℃にて一晩乾燥させた。その様相を図1、図2にそれぞれ示す。上記表2に示すようにこれらの沈殿物又は活性炭はフェノール性化合物や繊維由来の微粒子を含んでいると考えられた。一般に炭素が多く含まれるフェノール性物質は、燃料成分(非特許文献4,5)、有用なサプリメント素材(非特許文献6,7)、肥料成分(非特許文献8:茶ポリフェノール含有有機肥料製造技術日食 1995/11/15 日付 07959 号 02面 A、)、又は樹脂素材(特許文献9)に加工利用することが可能であることが知られている。
本明細書に示した凝集沈殿や活性炭処理により、通常樹液成分として可溶であったフェノール性物質を、糖質等、微生物生育に必要とされる有用成分を樹液中に残したまま、分離回収できる。図1及び図2に示した沈殿残渣は、非特許文献4〜8,特許文献9に開示される原料として利用加工することができる。本発明による樹液利用及び樹液から得られた微生物発酵阻害物質利用のフローを図3に示す。
Claims (8)
- オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液に含まれる微生物発酵阻害物質を、不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有することを特徴とする樹液の調製方法。
- 前記微生物発酵阻害物質がフェノール性物質又はフェノール性物質を含む物質である請求項1に記載の樹液の調製方法。
- オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液のpHを調整し、沈殿物を生成させ、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹液の調製方法。
- オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液を活性炭で濾過、または活性炭を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹液の調製方法。
- 前記活性炭は、オイルパーム残渣から得られた繊維質を原料とし調製された活性炭である請求項4に記載の樹液の調製方法。
- オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液に凝集剤を添加し、凝集物を生成させ、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹液の調製方法。
- オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液から高分子化合物を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹液の調製方法。
- オイルパーム幹及び/又は葉柄から得られる樹液を加熱し、前記微生物発酵阻害物質を不活化する工程、分離する工程、及び除去する工程からなる群から選択された1種又は2種以上の工程を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹液の調製方法。
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