以下、本発明の実施形態を説明する。
(実施形態1)
図1に、本実施形態の空調管理システム1の構成を示す。空調管理システム1では、空調管理サーバ100が、建物の中に設置される室内機120と、建物の外に設置される室外機140とを制御し、建物内の空気の温度、湿度、送風量等を調整することにより、ユーザが快適に過ごすことができる環境を実現する。
空調管理サーバ100は、N個(Nは1以上の整数)の室内機120と、M個(Mは1以上の整数)の室外機140とを制御し、建物内の空気の温度等を調整する。
建物の外には、M個の室外機140がある。室外機140は、例えば、建物の屋上、窓の外等の各所に、固定して設置される。
室外機140は、圧縮機により圧縮した冷媒の還流方向を切り替えて暖房運転のサイクルと冷房運転のサイクルとのいずれかを行い、冷媒を蒸発又は凝縮させて空気と熱交換することにより、暖房又は冷房を行う。
また、建物の中には、N個の室内機120がある。室内機120は、例えば、建物の部屋の天井部分に、固定して設置される。
室内機120は、パイプの中を冷媒が通過することで、周囲の空気と熱交換し、冷媒を冷却又は加熱する。例えば、冷房時においては、室内機120は、冷媒を蒸発させ、熱交換器の周囲の空気から熱を吸収することにより、空気を冷却する。また、暖房時においては、室内機120は、冷媒を凝縮させ、熱交換器の周囲の空気に熱を放出することにより、空気を加熱する。
また、室内機120は、周囲の空気の温度と湿度を繰り返し測定し、最新の測定結果を空調管理サーバ100へ送信する。温度と湿度を測定するタイミング、及び、測定結果を送信するタイミングは、任意である。本実施形態では、室内機120は、空調管理サーバ100から測定結果の送信を要求されると、測定結果を空調管理サーバ100へ送信する。ただし、室内機120は、予め決められた時間間隔で(例えば5分ごとに)温度と湿度を測定し、逐次測定結果を空調管理サーバ100へ送信してもよい。
なお、室内機120とは別に、室内の温度と湿度を計測する計測装置を設け、この計測装置が温度と湿度を計測した後、計測結果を空調管理サーバ100へ送信するようにしてもよい。
室内機120と室外機140の設置場所は、本発明によって限定されず、例えば、一戸建ての家、住宅やオフィスが入居する建築物、あるいは地下建築物等に設置されてもよい。
本実施形態の空調管理サーバ100は、通常モードと省エネルギーモードのいずれかで空気調和を行う。省エネルギーモードでは、空調管理サーバ100は、室内機120と室外機140の能力を制限し、消費される電力量を少なく抑える。通常モードでは、特段に能力の制限を設けずに、予め決められた運転計画に基づいて、もしくは、ユーザ操作に基づいて、目標温度等を設定して運転する。
通常モードを第1動作モード、省エネルギーモードを第2動作モードともいう。第2動作モードによる消費電力量は、第1動作モードによる消費電力量よりも少ない。
省エネルギーモードでは、空調管理サーバ100は、すべての室内機120と室外機140のうち、予め決められたグループに属する室内機120と室外機140の能力を制限する。能力の制限が開始されてから予め決められた時間が経過すると、空調管理サーバ100は、他のグループに属する室内機120と室外機140の能力を制限する。つまり、空調管理サーバ100は、能力を制限する室内機120と室外機140をローテーションさせる。
例えば、空調管理サーバ100は、すべての室内機120と室外機140を、予め六つのグループに分類する。そして、空調管理サーバ100は、六つのグループのうち、第1グループに属する室内機120と室外機140を省エネルギーモードで運転させ、残りの第2グループから第6グループまでに属する室内機120と室外機140を通常モードで運転させる。
第1グループに属する室内機120と室外機140を省エネルギーモードに設定してから予め決められた時間が経過すると、空調管理サーバ100は、第1グループに属する室内機120と室外機140を省エネルギーモードから通常モードに変更し、且つ、第2グループに属する室内機120と室外機140を通常モードから省エネルギーモードに変更する。
第2グループに属する室内機120と室外機140を省エネルギーモードに設定してから予め決められた時間が経過すると、空調管理サーバ100は、第2グループに属する室内機120と室外機140を省エネルギーモードから通常モードに変更し、且つ、第3グループに属する室内機120と室外機140を通常モードから省エネルギーモードに変更する。
第2グループに属する室内機120と室外機140を省エネルギーモードに設定する時間の長さは、第1グループに属する室内機120と室外機140を省エネルギーモードに設定する時間の長さと異なる場合がある。本実施形態の空調管理サーバ100は、グループごとに異なる時間の長さを設定することができる。
同様にして、空調管理サーバ100は、省エネルギーモードに設定するグループを順々に変更していく。例えば、省エネルギーモードに設定されるグループは、第1グループ、第2グループ、第3グループ、第4グループ、第5グループ、第6グループと変更されていき、第6グループからまた第1グループに戻る。つまり、省エネルギーモードに設定される室内機120及び室外機140がローテーションされる。
グループの数は任意である。また、一つのグループに属する室内機120の数、及び、一つのグループに属する室外機140の数は、任意である。
グループに室外機140を含めず、室内機120のみグループに含めるようにしてもよい。
すべての室内機120と室外機140が全く同一の条件の下で運転されると仮定すれば、省エネルギーモードに設定する時間の長さは、グループにかかわらず、同じにしてもよいかもしれない。しかし、一般には、室内機120が設置される部屋の大きさ、室内機120が設置される場所(例えば窓際か廊下の近くか)、室内機120の性能、室内機120周辺の環境(例えば常時稼働するコンピュータがいくつあるか)等に違いがあるため、すべてのグループを均等に制御しただけでは、室内の温度分布に好ましくないムラが出来たり、省エネルギーの効果が小さくなったりするおそれがある。そこで、本実施形態の空調管理システム1では、室内機120と室外機140の動作環境の違いを考慮し、省エネルギーモードに設定する時間の長さを最適化したり、省エネルギーモードに設定するグループの順番を最適化したりする。詳しくは後述する。
次に、空調管理サーバ100の構成について、図2を用いて説明する。
通信部201は、NIC(Network Interface Card)を備え、各室内機120及び各室外機140と通信する。
画像処理部202は、ディスプレイ251に表示する画面を生成し、表示する。例えば、画像処理部202は、室内機120が設置された部屋の中の現在の温度や、省エネルギーモードの実施状況等を、ユーザに分かりやすくディスプレイ251に表示する。
音声処理部203は、記憶部206から音声データを取得し、再生し、音声をスピーカ252から出力する。
I/O部204は、USB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを備え、メモリカード、外付けハードディスク等を空調管理サーバ100に接続する。
入力部205は、ボタンやタッチパネル等、ユーザ(本実施形態では、主に空調管理システム1の管理者)から指示を受け付ける入力デバイスを備える。本実施形態では、ディスプレイ251の表示領域に重畳してタッチパネルが配置される、いわゆるタッチスクリーンが用いられる。
記憶部206は、ハードディスク等の記憶装置を備え、空調管理サーバ100を制御する各種のプログラム、室内機120によって測定された温度と湿度を表す環境データ、オペレーティングシステム(OS)、画像データ、音声データ、テキストデータ等を記憶する。
制御部207は、CPU、ROM、RAMを備え、空調管理サーバ100全体を制御する。また、制御部207は、室内機120又は計測装置(図示せず)によって計測された室温等の計測結果を表すデータを取得する。
空調管理サーバ100として、一般的なコンピュータ、メインフレーム、クラウド型サーバなどを用いることができる。
次に、空調管理サーバ100が行う処理の詳細について説明する。
(省エネルギーモードのローテーション)
空調管理サーバ100は、消費電力量を抑えつつ、部屋の中の温度をなるべく均一に保つために、すべての室内機120について消費電力量を抑える省エネルギーモードに同時に設定するのではなく、一部の室内機120を省エネルギーモードに設定し、残りの室内機120を通常モードに設定し、決められた順序に従って、省エネルギーモードに設定する室内機120を順次交代させる。この省エネルギーモードのローテーションにより、快適さと省コストとを両立させる。
図3に、空気調和の対象となる部屋を真上から見たレイアウトを示す。このレイアウト図は、例えばオフィスビルディングの一つのフロア全体を、簡略化して表したものである。
室内機120(図3では、室内機120−1から室内機120−24まで、合計24個ある。)は、予め六つのグループに分けられる。一つの室内機120は、一つのグループに属する。一つの室内機120が同時に複数のグループに属することはない。
本実施形態では、空気調和の対象となる部屋には、第1グループ301に属する四つの室内機120−1,120−2,120−3,120−4と、第2グループ302に属する四つの室内機120−5,120−6,120−7,120−8と、第3グループ303に属する四つの室内機120−9,120−10,120−11,120−12と、第4グループ304に属する四つの室内機120−13,120−14,120−15,120−16と、第5グループ305に属する四つの室内機120−17,120−18,120−19,120−20と、第6グループ306に属する四つの室内機120−21,120−22,120−23,120−24と、が設置される。
制御部207は、室内機120をグループ分けし、グループとそのグループに属する室内機120とを対応付けたグループ情報を記憶部206に記憶する。
制御部207は、グループ情報を作成、更新、削除する指示入力をユーザから受け付け、入力された内容に基づいてグループ情報を記憶部206に記憶してもよい。
なお、制御部207は、室内機120をグループ分けせず、室内機120の一つ一つを個別に制御することとしてもよい。この場合、一つのグループに一つの室内機120のみが属するとみなせばよい。
部屋には、日光が透過可能なガラスの窓370がある。例えば、夏の冷房時において、窓370から日光が部屋に入ると、窓370の近くの空気が暖められ、冷房による温度低下の効果が減る可能性がある。あるいは、窓370が開かれたり隙間があったりすると、外の暖かい空気が部屋に入り、冷房による温度低下の効果が減る可能性がある。また、冬の暖房時において、窓370が開かれたり隙間があったりすると、窓370の近くの空気が冷やされ、暖房による温度上昇の効果が減る可能性がある。窓370の位置、数、大きさ等は、部屋の空調の効果に影響を与える因子(以下「影響因子」という。)の一つとなり得る。
また、この部屋には、廊下へと繋がる開閉可能な扉380がある。例えば、夏の冷房時において、扉380が開かれたり隙間があったりすると、外の暖かい空気が部屋に入り、冷房による温度低下の効果が減る可能性がある。また、冬の暖房時において、扉380が開かれたり隙間があったりすると、外の冷たい空気が部屋に入り、暖房による温度上昇の効果が減る可能性がある。扉380の位置、数、大きさ等は、影響因子の一つとなり得る。
更に、この部屋の中には、発熱源となり得る電子機器390がある。具体的には、電子機器390は、サーバ、パーソナルコンピュータ、プリンタ、コピー機、等である。電子機器390が動作することにより発せられる熱によって、周囲の空気が暖められ、冷房による温度低下の効果が減る可能性がある。電子機器390の種類、位置、数、大きさ等は、影響因子の一つとなり得る。
以上のほか、図3には記載されていないが、照明機器や人間も発熱源となり得る。窓370と扉380と電子機器390の代わりに、あるいは、窓370と扉380と電子機器390に加えて、照明機器の位置や数、人の配置や数、人の流れを影響因子として扱ってもよい。
空調管理サーバ100の制御部207は、窓370、扉380、電子機器390といった、空調の効果に影響を与える様々な影響因子を考慮して、すべての室内機120のうち省エネルギーモードに設定する室内機120を決定する。そして、制御部207は、決定した室内機120を省エネルギーモードで動作させ、他の室内機120を通常モードで動作させる。本実施形態では、制御部207は、グループ単位で、省エネルギーモードと通常モードとを切り替える。
具体的には、制御部207は、それぞれの影響因子について、空調に与える影響度を数値化して表す。
まず、制御部207は、窓370による空調への影響を数値化する。例えば、制御部207は、窓370に隣接するグループに重みGW=1を設定し、窓370と直接的には接していないが他の一つのグループを挟んで接しているグループに重みGW=3を設定し、窓370に直接的にも接しておらず窓370との間に二つ以上の他のグループを挟むグループに重みGW=5を設定する。重みGWは、空調の効率の良さを表すと言える。重みGWが大きいほど、空調の効率が良い。
ただし、重みGWに設定される値は任意である。制御部207は、窓370に隣接するグループの重みGWに第1の値を、窓370に隣接していないグループの重みGWに第1の値より大きい第2の値を、それぞれ設定することにより、二段階で評価してもよい。三段階以上でもよい。
制御部207は、窓370の大きさ、材質、構造等を考慮して更に細分化した値を重みGWに設定してもよい。
制御部207は、重みGWに設定する値の入力をユーザから受け付け、ユーザからの入力に基づいて、重みGWを設定してもよい。
また、制御部207は、扉380による空調への影響を数値化する。例えば、制御部207は、扉380に隣接するグループに重みGD=1を設定し、窓370と隣接していないグループに重みGD=2を設定する。重みGDは、空調の効率の良さを表すと言える。重みGDが大きいほど、空調の効率が良い。
ただし、重みGDに設定される値は任意である。制御部207は、扉380に隣接するグループの重みGDに第1の値を設定し、扉380に隣接していないが他の一つのグループを挟んで接しているグループの重みGDに第1の値より大きい第2の値を設定し、扉380に直接的にも接しておらず扉380との間に二つ以上の他のグループを挟むグループの重みGDに第2の値より大きい第3の値を設定することにより、三段階で評価してもよい。四段階以上でもよい。
制御部207は、扉380の大きさ、材質、構造等を考慮して更に細分化した値を重みGDに設定してもよい。
制御部207は、重みGDに設定する値の入力をユーザから受け付け、ユーザからの入力に基づいて、重みGDを決定してもよい。
また、制御部207は、電子機器390による空調への影響を数値化する。例えば、制御部207は、電子機器390に隣接するグループに重みGE=0を設定し、電子機器390と隣接していないグループに重みGE=3を設定する。重みGEは、空調の効率の良さを表すと言える。重みGEが大きいほど、空調の効率が良い。
ただし、重みGEに設定される値は任意である。制御部207は、電子機器390に隣接するグループの重みGEに第1の値を設定し、電子機器390に隣接していないが他の一つのグループを挟んで接しているグループの重みGEに第1の値より大きい第2の値を設定し、電子機器390に直接的にも接しておらず電子機器390との間に二つ以上の他のグループを挟むグループの重みGEに第2の値より大きい第3の値を設定することにより、三段階で評価してもよい。四段階以上でもよい。
制御部207は、電子機器390の種類、数、大きさ等を考慮して更に細分化した値を重みGEに設定してもよい。
図4に、重みGW,GD,GEに設定される値の具体例を示す。窓370と扉380と電子機器390のほかに、例えば照明機器等の他の影響因子を考慮する場合、制御部207は、その他の影響因子に基づく重みを同様に設定する。制御部207は、影響因子と重みとを対応付けた重み情報を記憶部206に記憶する。
制御部207は、グループごとに、重みGW,GD,GEの合計値GALLを計算する。そして、制御部207は、第1グループ301の重みの合計値GALLを基準として、各グループの重みの合計値GALLを規格化する。
ただし、制御部207は、第1グループ301の代わりに他の任意のグループの重みの合計値を基準として規格化してもよい。
規格化された重みの合計値の比Rは、省エネルギーモードに設定する時間の長さの比となる。
つまり、図4に示すケースでは、第2グループ302を省エネルギーモードに設定する時間の長さは、第1グループ301を省エネルギーモードに設定する時間の長さの0.67倍となる。第1グループ301を省エネルギーモードに設定する時間の長さを100分とするならば、第2グループ302を省エネルギーモードに設定する時間の長さを67分にする、ということを意味する。
同様に、第3グループ303を省エネルギーモードに設定する時間の長さは第1グループ301の1.34倍、第4グループ304を省エネルギーモードに設定する時間の長さは第1グループ301の1.17倍、第5グループ305を省エネルギーモードに設定する時間の長さは第1グループ301の1.17倍、第6グループ306を省エネルギーモードに設定する時間の長さは第1グループ301の1.50倍となる。
このように、部屋の中の温度をなるべく均一に保ちつつ、省エネルギー効果を高めるために、空調管理サーバ100は、各グループ内の室内機120を省エネルギーモードに設定する時間の長さを、計算した比Rに基づいて決定する。
次に、制御部207は、各室内機120を省エネルギーモードに設定する順番、言い換えればローテーションを決定する。
なお、以下の説明において、第1グループ301を省エネルギーモードに設定する順番を一番目に設定しているが、一番目のグループは第1グループ301でなくてもよい。例えば、制御部207は、図4に示すように計算した重みの合計値GALLが最も小さいグループを、一番目のグループに選択してもよい。あるいは、制御部207は、一番目のグループとして、計算した重みの合計値GALLが最も大きいグループを選択したり、ランダムに選択したりしてもよい。
制御部207は、グループのそれぞれについて、ある一つのグループに属する室内機120を通常モードから省エネルギーモードに変更した場合に他のグループに及ぼす影響の大きさを計算する。
例えば図5に示すように、制御部207は、第1グループ301から第6グループ306までのすべてに含まれる室内機120を通常モード且つ同一条件に設定して十分な時間が経過した均衡状態から、第1グループ301に属する室内機120のみを通常モードから省エネルギーモードに変更して十分な時間が経過した均衡状態までの、温度変化の実測値を取得する。
この温度変化の実測値は、典型的には、予め行われる測定テストによって得られる。測定テストの期間中、窓370の開閉、扉380の開閉、電子機器390による発熱量の変化が無い、もしくは、変化量が予め決められた範囲内であってほとんど無いものとする。
図5は、冷房時の室内温度の変化を表す。冷房時において、省エネルギーモードに設定されると、室内機120の目標温度は、通常モード時における目標温度よりも高めに設定される。例えば、通常モードの目標温度が摂氏26度であれば、省エネルギーモードの目標温度は2度高い摂氏28度に変更される。目標温度の具体的な値は任意である。
本実施形態では、制御部207は、目標温度を変更することにより通常モードと省エネルギーモードとを切り替えている。しかし、通常モードから省エネルギーモードへの変更は、目標温度の変更によるものに限られない。例えば、室内機120による消費電力量を通常モードでの第1の消費電力量よりも少ない第2の消費電力量に変更すること、風量を抑えること等により行われてもよい。
あるいは、制御部207は、室内機120を省エネルギーモードに設定する代わりに、室内機120の運転を停止してもよい。
以下の説明において、第1グループ301の温度とは、第1グループ301に属するすべての室内機120−1,120−2,120−3,120−4によって測定された室温の平均値である。第2グループ302の温度とは、第2グループ302に属するすべての室内機120−5,120−6,120−7,120−8によって測定された室温の平均値である。第3グループ303の温度とは、第3グループ303に属するすべての室内機120−9,120−10,120−11,120−12によって測定された室温の平均値である。第4グループ304の温度とは、第4グループ304に属するすべての室内機120−13,120−14,120−15,120−16によって測定された室温の平均値である。第5グループ305の温度とは、第5グループ305に属するすべての室内機120−17,120−18,120−19,120−20によって測定された室温の平均値である。第6グループ306の温度とは、第6グループ306に属するすべての室内機120−21,120−22,120−23,120−24によって測定された室温の平均値である。
平均値の代わりに、最大値、最小値、最頻値、中央値などを、グループの温度として扱ってもよい。
すべてのグループに含まれるすべての室内機120が通常モードに設定されているときに、時刻TAに第1グループ301に含まれる室内機120のみが省エネルギーモードに変更されると、図5に示すように、第1グループ301の温度(つまり第1グループ301に属する室内機120−1,120−2,120−3,120−4によって測定された室温の平均値)は徐々に上昇し、十分に時間が経過した均衡状態の時刻TBにおいて一定となる。
すべての室内機120は空調の対象となる同じ部屋の中に設置されており、空気は部屋の中で対流するので、あるグループが省エネルギーモードに変更された影響は、その大小を問わず、他のグループにまで及ぶ。
例えば、第1グループ301に含まれる室内機120が省エネルギーモードに設定され、第1グループ301の温度がX1からX2に徐々に変化していくと、第1グループ301に隣接する第2グループ302の温度も徐々に上昇し、十分に時間が経過した均衡状態において、温度X3(X1<X3<X2)へと収束する。
また、第3グループ303の温度も徐々に上昇し、十分に時間が経過した均衡状態において、温度X4(X1<X4<X2)へと収束する。
同様に、第4グループ304と第5グループ305と第6グループ306の温度も、大きさに差はあるものの、徐々に上昇し、十分に時間が経過した均衡状態において、それぞれ温度X5,X6,X7へと収束する。
一般に、グループ間の距離が短いほど影響は大きい傾向にあると推測されるが、実際には、部屋の構造、発熱源の有無、人の配置、人の移動等によって、必ずしも距離のみに依存するわけではない。したがって、本実施形態のように、実測値をもとに影響度を計ることが望ましい。
制御部207は、動作モードの変更前後における室内の温度の変化量を予測し、室温の変化量が大きいほど、動作モードの変更による影響が大きいと予測する。
より詳細には、制御部207は、
・第1グループ301の温度の変化量ΔV1 = ABS(X2−X1)
・第2グループ302の温度の変化量ΔV2 = ABS(X3−X1)
・第3グループ303の温度の変化量ΔV3 = ABS(X4−X1)
・第4グループ304の温度の変化量ΔV4 = ABS(X5−X1)
・第5グループ305の温度の変化量ΔV5 = ABS(X6−X1)
・第6グループ306の温度の変化量ΔV6 = ABS(X7−X1)
をそれぞれ計算する。関数ABS(x)は、パラメータ“x”の絶対値を表す。
そして、制御部207は、第1グループ301を除く、ΔV2,ΔV3,ΔV4,ΔV5,ΔV6のうちの最小値に対応するグループを、次に省エネルギーモードに設定するグループに決定する。つまり、一番目のグループが省エネルギーモードに設定されることによる影響が最も小さいと推定されるグループが、二番目に省エネルギーモードに設定されるグループとなる。
同様にして、三番目以降に省エネルギーモードに設定されるグループが決まる。
例えば、三番目に省エネルギーモードに設定されるグループが第6グループ306であったとすると、制御部207は、図6に示すように、第1グループ301から第6グループ306までのすべてに含まれる室内機120を通常モード且つ同一条件に設定して十分な時間が経過した均衡状態から、第6グループ306のみに属する室内機120を通常モードから省エネルギーモードに変更して十分な時間が経過した均衡状態までの、温度変化の実測値を取得する。この温度変化の実測値は、典型的には、予め行われた測定テストによって得られる。
第6グループ306の温度がX11からX12に徐々に変化していくと、第6グループ306に隣接する第5グループ305の温度は徐々に上昇し、十分に時間が経過した均衡状態において、温度X17(X11<X17<X12)へと収束する。
同様に、第1グループ301と第2グループ302と第3グループ303と第4グループ304の温度も、大きさに差はあるものの、徐々に上昇し、十分に時間が経過した均衡状態において、それぞれ温度X13,X14,X15,X16へと収束する。
制御部207は、動作モードの変更前後における室内の温度の変化量を予測し、室温の変化量が大きいほど、動作モードの変更による影響が大きいと予測する。
制御部207は、
・第1グループ301の温度の変化量ΔV1 = ABS(X13−X11)
・第2グループ302の温度の変化量ΔV2 = ABS(X14−X11)
・第3グループ303の温度の変化量ΔV3 = ABS(X15−X11)
・第4グループ304の温度の変化量ΔV4 = ABS(X16−X11)
・第5グループ305の温度の変化量ΔV5 = ABS(X17−X11)
・第6グループ306の温度の変化量ΔV6 = ABS(X12−X11)
をそれぞれ計算する。
そして、制御部207は、まだ省エネルギーモードに設定されたことが無く、且つ、温度の変化量が最も小さいグループを、次に省エネルギーモードに設定するグループに決定する。
例えば、温度の変化量が最も小さいグループが第1グループ301であっても、第1グループ301は、最初に省エネルギーモードに設定されているので除外され、その代わりに、二番目に温度の変化量が小さいグループ(例えば第2グループ302)が選択される。こうして、三番目に省エネルギーモードに設定されるグループが決まる。
同様にして、四番目、五番目、六番目のグループが決まる。以上の結果、省エネルギーモードに設定される順番が決まる。
省エネルギーモードに設定される時間の長さと、省エネルギーモードに設定される順番が決まれば、省エネルギーモードのローテーションが決定される。
図7に、決定されたローテーションを含むローテーション情報の例を示す。ローテーション情報は、制御部207によって生成され、記憶部206に記憶される。第1グループ301が100分間、省エネルギーモードに設定された後、第1グループ301が通常モードになる代わりに、第6グループ306が150分間、省エネルギーモードに設定される。以下、順に、第2グループ302が67分間、第5グループ305が117分間、第3グループ303が134分間、第4グループ304が117分間、省エネルギーモードに設定される。一巡すると、再び一番目に戻り、第1グループ301が100分間、省エネルギーモードに設定される。以降、同じことが繰り返される。
(省エネルギー制御の見える化)
次に、空調管理システム1によって表示される画面について説明する。空調管理サーバ100は、各室内機120と各室外機140の現在の動作状態等を、ユーザが直感的に把握し易い形態で表示する。
図8に、ディスプレイ251に表示される管理画面の構成例を示す。制御部207は、グループのそれぞれについて、グループを表す枠801〜806の中に、現在の稼働状態(稼働中か停止中か)と、測定された現在の温度とを表示する。
制御部207は、省エネルギーモードに設定されていることを示す画像810を、省エネルギーモードに設定されているグループに対応付けて表示する。
制御部207は、省エネルギーモードに設定した時刻と現在時刻とから、既に省エネルギーモードで運転した時間の長さを計算する。更に、制御部207は、上記のように計算された省エネルギーモードに設定される時間の長さから、既に省エネルギーモードで運転した時間の長さを差し引いて、省エネルギーモードに設定される残り時間を計算する。そして、制御部207は、計算した残り時間を表示する。制御部207は、残り時間を、画像810の中に表示してもよいし、画像810とは独立して、省エネルギーモードに設定されているグループに対応付けて表示してもよい。
制御部207は、決定した省エネルギーモードに設定される順番に基づいて、次に省エネルギーモードに設定するグループを判別し、判別したグループに対応付けて、次に省エネルギーモードに設定することを表す画像820を表示する。
また、制御部207は、グループのそれぞれについて、予め決められた直近の対象期間(例えば、10分前から現在までの10分間等)における温度変化の傾向を表すマーク830,840,850,860を表示する。
例えば、対象期間における温度変化量が第1のしきい値未満であれば、制御部207は、第1のマーク830を表示する。対象期間における温度変化量が第1のしきい値以上第2のしきい値未満で且つ上昇傾向であれば、制御部207は、第2のマーク840を表示する。対象期間における温度変化量が第2のしきい値以上第3のしきい値未満で且つ上昇傾向であれば、制御部207は、第3のマーク850を表示する。対象期間における温度変化量が第3のしきい値以上で且つ上昇中であれば、制御部207は、第4のマーク860を表示する。これにより、同じく温度が上昇傾向であっても、ユーザは、その上昇の度合いの違いを一目で把握できる。
温度が下降傾向にある場合も同様に、制御部207は、複数段階に分けて、ユーザにとって変化量の違いが識別可能なマーク(図示せず)を表示する。
なお、制御部207は、第1の時刻に測定された温度が、第1の時刻より予め決められた時間だけ前(例えば5分前)の第2の時刻に測定された温度よりも高ければ、温度が上昇傾向にあると判別する。制御部207は、第1の時刻に測定された温度が、第2の時刻に測定された温度よりも低ければ、温度が下降傾向にあると判別する。
マーク830,840,850,860の大きさ、形状、色、デザイン等は本発明によって限定されない。また、マーク830,840,850,860は、静止画像でもよいし、動画像(アニメーション)でもよい。
制御部207は、温度変化の傾向を表す各マーク830,840,850,860の代わりに、もしくは各マーク830,840,850,860に加えて、部屋の目標温度と測定された温度との差を計算し、その差の大きさを表す画像を表示してもよい。
枠801〜806が表示される領域のいずれかがユーザによって選択されると、制御部207は、図9に示すように、選択された枠に対応するグループを強調表示しつつ、それぞれのグループの温度変化を表すグラフを表示する。図9では、第1グループ301が選択され、強調表示されている。
本実施形態では、タッチスクリーンの全表示領域のうち、枠801〜806が表示される領域のいずれかがユーザによってタッチされると、制御部207は、タッチされた領域に対応するグループを選択する。
選択されたグループの強調表示の仕方は任意であるが、典型的には、選択されたグループを、四角形等の図形で囲む、相対的に目立つ色にする、太字にする、点滅させる、等の手法がある。
本実施形態では、制御部207は、グループが選択された時点から遡って予め決められた期間内における温度変化を表す折れ線グラフを表示する。例えば、グループが選択された時刻が午前10時00分であって、予め決められた期間が「直近の一時間」であるならば、制御部207は、午前9時00分から午前10時00分までの過去一時間における温度変化が表示される。
なお、制御部207は、温度変化を表すグラフをリアルタイムで随時更新しながら表示してもよい。
制御部207は、温度変化のグラフのうち、省エネルギーモードに設定された期間に対応する部分をユーザが識別可能に表示することが望ましい。
また、制御部207は、グラフによる表示の代わりに、もしくはグラフによる表示に加えて、測定された温度をプロットしたり、測定された温度の一覧表を表示したりしてもよい。あるいは、制御部207は、測定された温度の経時変化を、最小自乗法等により近似した曲線によって表示してもよい。
(ユーザによる設定変更)
空調管理システム1は、部屋の中の温度をなるべく均一になるように制御するほか、ユーザによる目標温度等の変更指示を受け付け、変更指示に従って空調を制御することができる。部屋の中の温度を均一に制御している間、ユーザから変更指示を受け付けると、空調管理システム1は、ユーザからの変更指示を優先して空調を制御する。
図10に、ユーザから目標温度を変更する指示を受け付けるボタン1020(図10では1020A,1020B,1020C,1020D,1020E,1020Fの六つ)を有する管理画面の例を示す。ユーザは、ボタン1020を操作することにより、目標温度を上げたり下げたりすることができる。あるグループに対応するボタン1020が操作されて目標温度を変更する指示が入力されると、制御部207は、操作されたボタン1020に対応するグループに属する室内機120の目標温度を、入力された目標温度に変更して、室内機120を運転させる。
制御部207は、ボタン1020のほかに、運転モード(本実施形態では、暖房モード、冷房モード、除湿モード、送風モードの四種類)を変更する指示を受け付けるボタン、運転の停止又は運転の開始の指示を受け付けるボタン等を表示し、ユーザからこれらの指示を受け付け、受け付けた指示に基づいて室内機120を制御してもよい。
制御部207は、上述のように決定した、省エネルギーモードに設定する順番、及び/又は、省エネルギーモードに設定する時間の長さを、ユーザからの指示に基づいて変更することができる。
制御部207は、省エネルギーモードに設定する順番、及び/又は、省エネルギーモードに設定する時間の長さを変更する画面に遷移させるボタン1040を表示する。ボタン1040が操作されると、制御部207は、図11に示す管理画面に遷移させる。
制御部207は、グループのそれぞれについて、決定した省エネルギーモードに設定する順番を表す画像1120(図11では1120A,1120B,1120C,1120D,1120E,1120Fの六つ)を、グループと対応付けて表示する。画像1120の大きさ、色、形状、デザイン等は任意であり、省エネルギーモードに設定する順番をユーザが視認できるものであればよい。
画像1120がユーザによって操作される(典型的には、画像1120がタッチされる)と、制御部207は、省エネルギーモードに設定する順番を変更する。
例えば、制御部207は、画像1120が一回タッチされると、制御部207は、図12に示すように、順番の入力を受け付ける画面に遷移させ、順番の入力をユーザから受け付ける。
一番目を指定する入力を受け付けると、次に、制御部207は、二番目に指定する入力を受け付ける画面(図示せず)に遷移し、入力を受け付ける。同様にして、すべての順番を指定する入力を受け付ける。制御部207は、ユーザから指定された順番を、省エネルギーモードに設定する順番とする。
また、制御部207は、グループのそれぞれについて、決定した省エネルギーモードに設定する時間の長さを表す画像1130(図11では1130A,1130B,1130C,1130D,1130E,1130Fの六つ)を、グループと対応付けて表示する。画像1130の大きさ、色、形状、デザイン等は任意であり、省エネルギーモードに設定する時間の長さをユーザが視認できるものであればよい。
また、制御部207は、グループのそれぞれについて、決定した省エネルギーモードに設定する時間の長さを変更する指示を受け付けるボタン1140(図11では1140A,1140B,1140C,1140D,1140E,1140Fの六つ)を、グループと対応付けて表示する。
ボタン1140がユーザによって操作されると、制御部207は、省エネルギーモードに設定する時間の長さを増加又は減少させる。
(空調のシミュレーション、その1)
目標温度、省エネルギーモードに設定する時間の長さ、省エネルギーモードに設定する順番を変更する指示がユーザから入力されると、制御部207は、変更により予想される影響を試算する。
まず、目標温度が変更された場合における空調のシミュレーションについて説明する。
あるグループの目標温度(より正確には、あるグループに属する室内機120の目標温度)が変更されると、制御部207は、そのグループの現在の温度と、指定された目標温度との差を計算する。
制御部207は、記憶部206に記憶されている変動値データの中から、そのグループの目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を取得する。
例えば、図13に示すように、記憶部206には、第1グループ301の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を格納する変動値データテーブル1300が予め記憶される。この変動値は、すべての室内機120に同じ目標温度が設定されてから十分な時間が経過した均衡状態において、第1グループ301の目標温度が変更された場合に変動する温度の実測値である。例えば、冷房時に第1グループ301の目標温度が2度高められた場合(+2)、第1グループ301の温度が1.5度上昇し、第2グループ302の温度が1.1度上昇し、第3グループ303の温度が1.0度上昇し、第4グループ304の温度が0.7度上昇し、第5グループ305の温度が0.6度上昇し、第6グループ306の温度が0.3度上昇することを示している。
同様に、記憶部206には、第2グループ302の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた変動値データテーブルと、第3グループ303の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた変動値データテーブルと、第4グループ304の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた変動値データテーブルと、第5グループ305の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた変動値データテーブルと、第6グループ306の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた変動値データテーブルが、予め記憶される。
変動値データテーブル1300は、すべてのグループについて、記憶部206に予め記憶される。室内機120がL個(Lは2以上の整数)のグループに分かれる場合、それぞれのグループに対応したL個の変動値データテーブルが記憶部206に予め記憶される。
なお、図13に示す変動値データテーブル1300には、現在の室内温度と目標温度との差に対応付けて変動値が記憶されているが、差の代わりに、グループの温度に対応付けて変動値を記憶する複数の変動値データテーブル1300が記憶部206に記憶されてもよい。例えば、測定された温度が摂氏25度であって、且つ、第1グループ301の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた第1の変動値データテーブル、測定された温度が摂氏26度であって、且つ、第1グループ301の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた第2の変動値データテーブル、といったように、測定された温度に対応する複数の変動値データテーブル1300を記憶部206が予め記憶してもよい。制御部207は、測定された現在の室内温度に対応する変動値データテーブル1300の中から、変動値を取得してもよい。
また、グループの現在の室内温度と目標温度との差ごとに異なる変動値を記憶する複数の変動値データテーブル1300が記憶部206に記憶されてもよい。例えば、測定された温度と目標温度との差が「1度」であって、且つ、第1グループ301の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた第1の変動値データテーブル、測定された温度と目標温度との差が「2度」であって、且つ、第1グループ301の目標温度が変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた第2の変動値データテーブル、といったように、温度の差の大きさに対応する複数の変動値データテーブル1300を記憶部206が予め記憶し、制御部207は、測定された現在の温度と目標温度との差に対応する変動値データテーブル1300の中から、温度の予測値を取得してもよい。
ところで、複数のグループの目標温度が一緒に変更される可能性がある。制御部207は、第1グループ301の目標温度の変更による第1グループ301の温度の変動値と、他のグループ302〜306の目標温度の変更による第1グループ301の温度の変動値とを加算する。
すなわち、制御部207は、第1グループ301の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の変動値ΔX11と、第2グループ302の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の変動値ΔX21と、第3グループ303の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の変動値ΔX31と、第4グループ301の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の変動値ΔX41と、第5グループ305の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の変動値ΔX51と、第6グループ306の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の変動値ΔX61と、を取得し、それらの和(=ΔX11+ΔX21+ΔX31+ΔX41+ΔX51+ΔX61)を計算する。そして、制御部207は、得られた和を現在の温度に加算した値を、第1グループ301の予測温度値とする。
同様に、制御部207は、第2グループ302の予測温度値、第3グループ303の予測温度値、第4グループ304の予測温度値、第5グループ305の予測温度値、第6グループ306の予測温度値をそれぞれ計算する。
そして、制御部207は、図14に示すように、計算された予測温度値をディスプレイ251に表示する。
目標温度の変更を適用する旨の指示をユーザから受け付けるボタン1410が操作されると、制御部207は、室内機120の目標温度を変更して運転させる。目標温度の変更を適用しない旨の指示をユーザから受け付けるボタン1420が操作されると、制御部207は、室内機120の目標温度を変更せずに、図10に示す管理画面に戻り、元の目標温度を維持したまま運転を続けさせる。
(空調のシミュレーション、その2)
次に、省エネルギーモードに設定する時間の長さが変更された場合における空調のシミュレーションについて説明する。
あるグループの省エネルギーモードに設定される時間の長さ(以下、継続時間長という。)が変更されると、制御部207は、記憶部206に記憶されている変動値データテーブル1500の中から、各グループの温度変化を示すデータを取得する。
例えば、図15(a)に示すように、記憶部206には、通常モードにおける目標温度と省エネルギーモードにおける目標温度との差が「2度」の場合における、各グループの温度の変動値の時間変化を格納する変動値データテーブル1500Aが予め記憶される。この変動値は、すべての室内機120に同じ目標温度が設定されてから十分な時間が経過した均衡状態において、第1グループ301の目標温度が変更された場合に変動する温度の時間変化の実測値である。例えば、冷房時に第1グループ301の目標温度が2度高められた場合、第1グループ301の温度が、1分後には0.1度上昇し、2分後には0.2度上昇し、3分後には0.3度上昇し、4分後には0.4度上昇し、5分後には0.5度上昇し、6分後には0.6度上昇することを示している。
また、記憶部206には、図15(b)に示すように、第1グループ301の目標温度が「3度」上げられた場合における、各グループの温度の変動値の時間変化を格納する変動値データテーブル1500Bが予め記憶される。同様に、記憶部206には、第1グループ301の目標温度が「1度」上げられた場合における、各グループの温度の変動値の時間変化を格納する変動値データテーブル(図示せず)、第1グループ301の目標温度が「X度」(Xは実数)変更された場合における、各グループの温度の変動値の時間変化を格納する変動値データテーブル(図示せず)等が予め記憶される。
記憶部206には、図16に示すように、第1グループ301の目標温度が2度上げられた場合の変動値データテーブル1500Aと、第1グループ301の目標温度が3度上げられた場合の変動値データテーブル1500Bだけでなく、4度以上上げられた場合、もしくは、変化しない場合、もしくは、温度が下げられた場合の変動値データテーブルが記憶される。
本実施形態では、目標温度の変更が1度単位で行われることを前提にしているが、指定可能な温度は、0.5度単位等、任意である。
また、記憶部206には、第1グループ301以外の他のグループに対応する変動値データテーブル1500も予め記憶される。記憶部206には、第2グループ302の目標温度がX度変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた複数の変動値データテーブルと、第3グループ303の目標温度がX度変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた複数の変動値データテーブルと、第4グループ304の目標温度がX度変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた複数の変動値データテーブルと、第5グループ305の目標温度がX度変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた複数の変動値データテーブルと、第6グループ306の目標温度がX度変更された場合における、各グループの温度の変動値を対応付けた複数の変動値データテーブルとが、予め記憶される。
制御部207は、第1グループ301の継続時間長が変更されると、第1グループ301の目標温度の変更量(つまり省エネルギーモードに設定されることにより増加又は減少される温度の大きさ)に対応する各グループの温度の変動値を取得する。
第1グループ301だけでなく、複数のグループの継続時間長が変更される可能性がある。制御部207は、各グループの継続時間長の変更による変動値を加算する。
すなわち、制御部207は、第1グループ301の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY11と、第2グループ302の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY21と、第3グループ303の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY31と、第4グループ304の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY41と、第5グループ305の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY51と、第6グループ306の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY61とを取得し、それらの和(=ΔY11+ΔY21+ΔY31+ΔY41+ΔY51+ΔY61)を計算する。そして、制御部207は、得られた和に現在の温度を加算した値を、第1グループ301の1分後の予測温度値とする。
同様にして、制御部207は、第1グループ301の2分後の予測温度値、3分後の予測温度値、Y分後(Yは1以上の実数)の予測温度値を計算する。こうして制御部207は、第1グループ301の温度の経時変化を予測する。
また、同様にして、制御部207は、第2グループ302の温度の経時変化と、第3グループ303の温度の経時変化と、第4グループ304の温度の経時変化と、第5グループ305の温度の経時変化と、第6グループ306の温度の経時変化とを予測する。
そして、制御部207は、図17に示すように、計算された経時変化を表すグラフをディスプレイ251に表示する。
制御部207は、どのグループがいつ省エネルギーモードに設定されているかを表す文字列あるいは画像を表示することが望ましい。
制御部207は、省エネルギーモードに設定される時間が変更された期間を表す文字列あるいは画像を表示することが望ましい。
継続時間長の変更を適用する旨の指示をユーザから受け付けるボタン1710が操作されると、制御部207は、室内機120を省エネルギーモードに設定する時間の長さを変更して運転させる。継続時間長の変更を適用しない旨の指示をユーザから受け付けるボタン1720が操作されると、制御部207は、室内機120を省エネルギーモードに設定する時間の長さを変更せずに、図10に示す管理画面に戻り、元の設定を維持したまま運転を続けさせる。
ここでは、制御部207は、冷房モードにおける温度変化を予測したが、暖房、除湿、送風の各モードの場合も同様に温度変化を予測することができる。記憶部206は、冷房モードだけでなく、暖房、除湿、送風の各モードにおける変動値データテーブル1500を予め記憶し、制御部207は、運転モードに対応する変動値データテーブル1500に基づいて、温度変化を予測する。
(空調のシミュレーション、その3)
次に、省エネルギーモードに設定する順番を変更した場合における空調のシミュレーションについて説明する。基本的には、省エネルギーモードに設定する時間の長さを変更した場合と同じ手順でシミュレーションを行うことができる。
省エネルギーモードに設定される順番が変更されると、制御部207は、記憶部206に記憶されている変動値データテーブル1500の中から、各グループの温度変化を示すデータを取得する。記憶部206には、図15(a),図15(b),図16に示したように、グループ毎、目標温度の変更量毎、運転モード毎に、複数の変動値データテーブル1500が予め記憶されている。
制御部207は、第1グループ301を省エネルギーモードに設定する順番(以下、設定順という。)が変更されると、第1グループ301の目標温度の変更量(つまり省エネルギーモードに設定されることにより増加又は減少される温度の大きさ)に対応する各グループの温度の変動値を取得する。
制御部207は、第1グループ301の温度変化を予測するために、各グループの継続時間長の変更による変動値を加算する。
すなわち、制御部207は、第1グループ301の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY11と、第2グループ302の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY21と、第3グループ303の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY31と、第4グループ304の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY41と、第5グループ305の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY51と、第6グループ306の目標温度の変更量に対応する第1グループ301の温度の1分後における変動値ΔY61とを取得し、それらの和(=ΔY11+ΔY21+ΔY31+ΔY41+ΔY51+ΔY61)を計算する。そして、制御部207は、得られた和に現在の温度を加算した値を、第1グループ301の1分後の予測温度値とする。
同様にして、制御部207は、第1グループ301の2分後の予測温度値、3分後の予測温度値、Y分後(Yは1以上の実数)の予測温度値を計算する。こうして、制御部207は、第1グループ301の温度の経時変化を予測する。
また、同様にして、制御部207は、第2グループ302の温度の経時変化と、第3グループ303の温度の経時変化と、第4グループ304の温度の経時変化と、第5グループ305の温度の経時変化と、第6グループ306の温度の経時変化とを予測する。
そして、制御部207は、図18に示すように、計算された経時変化を表すグラフをディスプレイ251に表示する。
図18では、変更前の省エネルギーモードに設定する順番が、一番目に第1グループ301、二番目に第6グループ306、三番目に第2グループ302、四番目に第5グループ305、五番目に第3グループ303、六番目に第4グループ304であったものが、二番目と六番目が入れ替わった場合の例を示している。
制御部207は、どのグループがいつ省エネルギーモードに設定されているかを表す文字列あるいは画像を表示することが望ましい。
制御部207は、順番がどのように変わったのかを表す文字列あるいは画像を表示することが望ましい。
設定順の変更を適用する旨の指示をユーザから受け付けるボタン1810が操作されると、制御部207は、室内機120を省エネルギーモードに設定する順番を変更して運転させる。設定順の変更を適用しない旨の指示をユーザから受け付けるボタン1820が操作されると、制御部207は、室内機120を省エネルギーモードに設定する順番を変更せずに、図10に示す管理画面に戻り、元の設定を維持したまま運転を続けさせる。
ここでは、制御部207は、冷房モードにおける温度変化を予測したが、暖房、除湿、送風の各モードの場合も同様に温度変化を予測することができる。記憶部206は、冷房モードだけでなく、暖房、除湿、送風の各モードにおける変動値データテーブル1500を予め記憶し、制御部207は、運転モードに対応する変動値データテーブル1500に基づいて、温度変化を予測する。
次に、空調管理システム1の機能的な構成について、図19を用いて説明する。
取得部1901は、部屋の中に設置される複数の室内機120によって測定された室内温度と、複数の室内機120のそれぞれの目標温度とを取得する。制御部207と通信部201が協働して、取得部1901として機能する。
例えば、室内機120は、室内の温度を常に測定し、空調管理サーバ100から現在の温度を送信するように要求されると、最新の測定値を空調管理サーバ100へ送信する。空調管理サーバ100の制御部207は、要求に対する応答により、室内温度を取得する。
あるいは、室内機120は、室内の温度を常に測定し、空調管理サーバ100からの要求の有無にかかわらず、定期的なタイミングで、最新の測定値を空調管理サーバ100へ送信してもよい。空調管理サーバ100の制御部207は、室内機120から自動的に送られる室内温度を受信し、取得してもよい。
また、空調管理サーバ100の制御部207は、記憶部206に記憶されているローテーション情報から、もしくは、ユーザからの入力により、室内機120に設定される目標温度を取得する。
計算部1902は、変動値データテーブル1300,1500に基づいて、部屋の空調に影響を与える複数の影響因子のそれぞれの影響度を計算する。制御部207が計算部1902として機能する。
動作モード変更部1903は、計算された影響度に基づいて、部屋の中に設置される複数の室内機120から一の室内機120をローテーションで選択し、複数の室内機120のそれぞれを、通常モード(第1動作モード)から、通常モードより消費電力量が少ない省エネルギーモード(第2動作モード)へ、もしくは、省エネルギーモードから通常モードへ、変更する。
また、動作モード変更部1903は、計算された影響度に基づいて、複数の室内機120のそれぞれを省エネルギーモードに設定する時間の長さと、複数の室内機120のそれぞれを省エネルギーモードに設定する順番とを決定する。すなわち、動作モード変更部1903は、計算された影響度に基づいて、ローテーションと、複数の室内機のそれぞれの第2動作モードでの動作時間とを決定する。制御部207が、動作モード変更部1903として機能する。
入力受付部1904は、室内機120を省エネルギーモードに設定する時間の長さと、室内機120を省エネルギーモードに設定する順番(ローテーション)と、複数の室内機120のそれぞれの目標温度と、のうちの少なくともいずれか一つを変更する指示の入力を受け付ける。指示には、目標温度を変更する第1種の変更指示と、省エネルギーモードに設定する時間の長さを変更する第2種の変更指示と、省エネルギーモードに設定する順番を変更する第3種の変更指示とがある。制御部207と入力部205が協働して、入力受付部1904として機能する。
変動値記憶部1905は、複数の室内機120のうちの一の室内機120を通常モードから省エネルギーモードに変更した場合における、複数の室内機120のそれぞれによって測定される温度の変動値を格納する変動値データテーブル1300,1500を予め記憶する。記憶部206が、変動値記憶部1905として機能する。
予測部1906は、第1種の変更指示又は第2種の変更指示又は第3種の変更指示が受け付けられると、受け付けた変更指示による変更を適用した場合における部屋の中の温度の時間変化を予測(シミュレーション)する。制御部207が、予測部1906として機能する。
表示部1907は、予測された温度の時間変化をディスプレイ251に表示する。制御部207と画像処理部202が協働して、表示部1907として機能する。
次に、空調管理システム1によって実行される空調処理の流れについて説明する。本実施形態では、部屋の中に複数の室内機120が固定して設置されており、室内機120のそれぞれは、一つのグループに属している。一つの室内機120が同時に複数のグループに属することはない。
まず、空調管理サーバ100が室内機120のいずれかを省エネルギーモードに設定しつつ、室内の温度をなるべく均一に保つように制御する空調処理について、図20のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御部207は、各室内機120によって測定された現在の室内温度と、各室内機120の目標温度とを取得する(ステップS2001)。
例えば、制御部207は、測定された室内温度を送信することを各室内機120に要求し、各室内機120は、測定した室内温度を空調管理サーバ100へ送信する。制御部207は、測定された室内温度を各室内機120から受信し、記憶部206に記憶する。また、制御部207は、ユーザから目標温度の入力を受け付けて、各室内機120の目標温度を取得し、記憶部206に記憶する。
制御部207は、すべての室内機120の運転を通常モードにて開始する(ステップS2002)。
本実施形態では、制御部207は、移行条件が満たされる前は、すべての室内機120を通常モードで運転させ、移行条件が満たされた後、省エネルギーモードのローテーションを開始する。ただし、制御部207は、移行条件が満たされたか否かにかかわらず、最初から省エネルギーモードのローテーションを開始してもよい。
制御部207は、予め定められる移行条件が満たされたか否かを判別する(ステップS2003)。
移行条件とは、具体的には「空調処理の開始後、初めて、室内の温度が目標温度近傍に近づいたこと」である。制御部207は、室内の温度と目標温度との差が、空調処理の開始後初めて、予め定められるしきい値以内になると、移行条件が満たされたと判別する。例えば、冷房時の目標温度が摂氏25度であり、空調処理の開始時点での室内の温度が摂氏30度であって、しきい値を1度とすると、室内の温度が初めて摂氏26度以下に達したときに、移行条件が満たされる。
移行条件において判別対象となる室内の温度は、典型的には、各室内機120によって測定された温度の平均値である。
移行条件は、「空調処理の開始後、通常モードを継続した時間長が、予め決められた時間長に達したこと」でもよい。この場合、制御部207は、空調処理を開始してから予め決められた時間長(例えば30分)が経過すると、移行条件が満たされたと判別し、省エネルギーモードのローテーションを開始する。
移行条件は、「ユーザから省エネルギーモードのローテーションを開始する指示を受け付けたこと」でもよい。この場合、制御部207は、空調処理を開始してからユーザから省エネルギーモードのローテーションを開始する指示を受け付けると、移行条件が満たされたと判別し、省エネルギーモードのローテーションを開始する。
移行条件は上述したものに限定されない。例えば、「空調処理の開始後、初めて、室内の温度が目標温度近傍に近づき、且つ、空調処理の開始後、通常モードを継続した時間長が、予め決められた時間長になったこと」というように、複数の条件を組み合わせてもよい。
移行条件が満たされない間(ステップS2003;NO)、制御部207は、通常モードで室内機120を運転させる。
移行条件が満たされると(ステップS2003;YES)、制御部207は、例えば窓370の配置、扉380の配置、電子機器390の配置等、影響因子のそれぞれについて、空調に与える影響度を計算する(ステップS2004)。
具体的には、制御部207は、上述したように、室内機120が属するグループごとに、窓370の開閉等による空調への影響度を示す重みGWと、扉380の開閉等による空調への影響度を示す重みGDと、電子機器390が稼働することによる発熱による空調への影響度を示す重みGEとを計算する。
制御部207は、計算した空調に与える影響度に基づいて、それぞれのグループを省エネルギーモードに設定する時間の長さを決定する(ステップS2005)。
次に、制御部207は、すべてのグループについて、グループを省エネルギーモードに設定した際に周囲に与える影響度を計算する(ステップS2006)。
具体的には、制御部207は、上述したように、図5に示す予め行われた測定テストによって得られる温度変化の実測値に基づいて、動作モードの変更前後における室温の変化量を予測し、室温の変化量が大きいほど、動作モードの変更による影響が大きいと予測する。
制御部207は、計算した影響度に基づいて、省エネルギーモードに設定する順番を決定する(ステップS2007)。
具体的には、制御部207は、一番目に省エネルギーモードに設定するグループを決定した後、まだ省エネルギーモードに設定されたことが無く、且つ、一番目の省エネルギーモードでの運転による温度の変化量が最も小さいと予想されるグループを、二番目に省エネルギーモードに設定するグループに決定する。同様にして、制御部207は、三番目以降の順番を決定する。
制御部207は、ステップS2005で決定した時間の長さと、ステップS2007で決定した順番とに従って、室内機120を省エネルギーモードに設定する(ステップS2008)。制御部207は、省エネルギーモードへの変更をローテーションして、空調を制御する。
制御部207は、順番が一番目のグループを省エネルギーモードに設定した時刻から、ステップS2005で決定した時間が経過すると、順番が一番目のグループを通常モードに戻し、順番が二番目のグループを省エネルギーモードに設定する。以降、同様にして、制御部207は、省エネルギーモードに設定する室内機120を交代する。順番が最後のグループが省エネルギーモードに設定された後は、元に戻って、再び、順番が一番目のグループが省エネルギーモードに設定される。
そして、制御部207は、予め定められる停止条件が満たされたか否かを判別する(ステップS2009)。
例えば、制御部207は、空調を停止する指示をユーザから受け付けた場合に、停止条件が満たされたと判別し、それ以外の場合に、停止条件が満たされないと判別する。
停止条件が満たされないと判別した場合(ステップS2009;NO)、制御部207は、ステップS2005で決定した時間の長さとステップS2007で決定した順番とに従って室内機120を省エネルギーモードに設定しながら空調を制御する。停止条件が満たされたと判別した場合(ステップS2009;YES)、制御部207は、空調処理を終了する。
次に、目標温度、及び/又は、省エネルギーモードに設定する時間の長さ、及び/又は、省エネルギーモードに設定する順番をユーザからの指示に基づいて変更し、変更後の空調の状態をシミュレーションする空調処理について、図21のフローチャートを用いて説明する。
制御部207は、図10、図11、図12に示す管理画面を表示し、ユーザから、目標温度を変更する第1種の変更指示と、省エネルギーモードに設定する時間の長さを変更する第2種の変更指示と、省エネルギーモードに設定する順番を変更する第3種の変更指示とを受け付ける。
本実施形態では、上述した省エネルギーモードに設定しつつ室内の温度をなるべく均一に保つように制御する空調処理を実行中であっても、ユーザからの変更指示があった場合には、ユーザからの変更指示を優先する。制御部207は、室内の温度が均一に保たれるか否かにかかわらず、ユーザからの変更指示に従って空調を制御する。
制御部207は、ユーザから、第1種の変更指示、又は、第2種の変更指示、又は、第3種の変更指示のいずれかがあったか否かを判別する(ステップS2101)。
いずれの変更指示もない場合(ステップS2101;NO)、制御部207は、後述するステップS2105の処理に移る。いずれかの変更指示があった場合(ステップS2101;YES)、制御部207は、変更後の室温の変化をシミュレーションする(ステップS2102)。
具体的には、制御部207は、第1種の変更指示を受け付けた場合には上述の「空調のシミュレーション、その1」を、第2種の変更指示を受け付けた場合には上述の「空調のシミュレーション、その2」を、第3種の変更指示を受け付けた場合には上述の「空調のシミュレーション、その3」を、実行する。
制御部207は、例えば図14,図17,図18に示すシミュレーションの結果をディスプレイ251に表示する。
制御部207は、変更指示による変更内容を適用するか否かを判別する(ステップS2103)。
ユーザは、表示されたシミュレーション結果を見て、変更内容を適用するか否かを決める。制御部207は、ボタン1410,1420,1710,1720,1810,1820が操作されたか否かに基づいて、変更内容を適用するか否かを判別する。
変更内容を適用しないと判別した場合(ステップS2103;NO)、制御部207は、後述するステップS2105の処理に移る。一方、変更内容を適用すると判別した場合(ステップS2103;YES)、制御部207は、空調の設定を変更する(ステップS2104)。すなわち、制御部207は、ユーザから受け付けた第1種の変更指示又は第2種の変更指示又は第3種の変更指示に基づいて、目標温度、又は、省エネルギーモードに設定する時間の長さ、又は、省エネルギーモードに設定する順番を変更する。
制御部207は、停止条件が満たされたか否かを判別する(ステップS2105)。例えば、制御部207は、空調を停止する指示をユーザから受け付けた場合に、停止条件が満たされたと判別し、それ以外の場合に、停止条件が満たされないと判別する。
停止条件が満たされないと判別した場合(ステップS2105;NO)、制御部207は、ステップS2101の処理に戻る。停止条件が満たされたと判別した場合(ステップS2105;YES)、制御部207は、空調処理を終了する。
本実施形態によれば、ユーザは、通常モードと省エネルギーモードによる制御の内容を一目で簡単に把握することができる。また、ユーザは、空調の設定を変更した場合に予想される室内の温度変化の見込みを、事前にシミュレーションにより知ることができる。ユーザは、シミュレーション結果を見て、所望の設定を簡単に探すことができ、空調設備の運転計画を容易に作成することができ、所望の設定を簡単に実現することができる。本実施形態によれば、空調管理システム1は、制御内容をユーザに分かりやすく提示しつつ、ユーザにとって快適な環境を実現することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施形態の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
上記実施形態では、制御部207は、室内機120の動作モードを変更しているが、室内機120だけでなく、室外機140の動作モードも変更してもよい。
上記実施形態では、室内機120をグループ分けし、室内機120をグループ単位で制御しているが、室内機120だけでなく、室外機140もグループ分けし、室内機120と室外機140をグループ単位で制御してもよい。
上記実施形態では、すべての室内機120は一つの同じ部屋の中に設置されているが、二つ以上の部屋の中に分散して設置されてもよい。空調管理システム1は、部屋ごとに、室内機120を省エネルギーモードに設定する時間の長さと、室内機120を省エネルギーモードに設定する順番とを決定し、部屋ごとに、空調を制御することができる。
例えば、空調管理システム1は、複数のフロアがあるビルディングにおいて、フロアごとに、室内機120を省エネルギーモードに設定する時間の長さと、室内機120を省エネルギーモードに設定する順番とを決定し、フロアごとに、空調を制御することができる。
制御部207は、流体力学等に基づくより精密な計算式を用いて、温度分布や室内の空気の流れをシミュレーションしてもよい。
上記の空調管理システム1の全部又は一部としてコンピュータを動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
以上のように、上記各実施形態によれば、制御内容をユーザに分かりやすく提示しつつ、ユーザにとって快適な環境を実現することができる。