JP2016009553A - 電気絶縁油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも、電気絶縁特性及び酸化安定性がともに優れた電気絶縁油組成物を提供すること。【解決手段】本発明に係る電気絶縁油組成物は、開放式引火点試験方法による引火点が150℃以上、かつ紫外可視吸光度測定法による波長190〜350nmの紫外線吸収スペクトルのピークの最大値が5以下の精製鉱油と、電気絶縁油組成物全量基準で0.06質量%以上0.5質量%以下の酸化防止剤と、を含有し、40℃における動粘度が12mm2/s以下、かつ流動点が−30℃以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、電気絶縁油組成物に関し、電気絶縁特性を維持しつつ、酸化安定性にも優れた電気絶縁油組成物に関する。
電気絶縁油は、油入変圧器、ケーブル、コンデンサ等の種々の絶縁機器において使用される。電気絶縁油は、十年以上の長期間に亘って使用される。特に、大型変圧器の場合、トラブルの発生は、大規模な停電を引き起こし、社会的影響は計り知れない。これに対して、本出願人は、酸化防止剤の添加効果が向上し、耐候性に優れるとともに、長期間使用してもスラッジの発生がない電気絶縁油組成物を提案している(特許文献1参照)。
しかし、近年では、電気絶縁油組成物には、従来規格よりも一層厳しい条件の規格を満足することが求められている。一例として、IEC60296規格がある。IEC60296では、電気絶縁油組成物への酸化防止剤の添加量に応じて、「無添加油」、「微量添加油」、「添加油」の区分に分けられている。なかでも、添加油の区分は、最も厳しく、IEC61125 C法に基づく500時間の酸化安定性試験後の性能を十分に満足することが求められる。
特開2009−004159号公報
そこで、本発明は、電気絶縁特性及び酸化安定性において、ともにIEC61125 C法に基づく500時間の酸化安定性試験後の性能を十分に満足できる電気絶縁油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、精製鉱油の精製度をより厳密に測定することにより、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の電気絶縁油組成物を提供するものである。
[1]開放式引火点試験方法による引火点が150℃以上、かつ紫外可視吸光度測定法による波長190〜350nmの紫外線吸収スペクトルのピークの最大値が5以下の精製鉱油と、電気絶縁油組成物全量基準で0.06質量%以上0.5質量%以下の酸化防止剤と、を含有し、40℃における動粘度が12mm2/s以下、かつ流動点が−30℃以下である電気絶縁油組成物。
[2]前記酸化防止剤が電気絶縁油組成物全量基準で0.08質量%以上0.4質量%以下含まれる[1]に記載の電気絶縁油組成物。
[3]前記電気絶縁油組成物の90℃における誘電正接の値が0.04%以下であることを特徴とする[1]に記載の電気絶縁油組成物。
[4]IEC62115規格C法に基づく500時間の酸化試験後の90℃における誘電正接の値が50%以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の電気絶縁油組成物。
[5]変圧器に用いられる[1]〜[4]のいずれかに記載の電気絶縁油組成物。
本発明によれば、電気絶縁特性及び酸化安定性において、ともにIEC61125 C法に基づく500時間の酸化安定性試験後の性能を十分に満足できる電気絶縁油組成物を提供することができる。
[電気絶縁油組成物]
本発明の実施形態に係る電気絶縁油組成物は、開放式引火点試験方法による引火点が150℃以上、かつ紫外可視吸光度測定法による波長190〜350nmの紫外線吸収スペクトルのピークの最大値が5以下の精製鉱油と、電気絶縁油組成物全量基準で0.06質量%以上0.5質量%以下の酸化防止剤と、を含有し、40℃における動粘度が12mm2/s以下、かつ流動点が−30℃以下であることを特徴とする。
一般に、酸化防止剤が添加された電気絶縁油組成物の酸化安定性は、基油の精製度が高いほど、すなわち、芳香族分、硫黄分、窒素分等が少ないほど、酸化防止剤による酸化防止効果が大きく、より酸化安定性の高い電気絶縁油組成物が得られることが知られている。
そしてまた、IEC62115規格C法に基づく500時間の酸化安定性試験のような過酷な条件下では、基油に含まる芳香族分が微量であっても、酸化安定性能に大きく影響することが明らかになってきた。しかし、微量な芳香族分は、従来のndM環分析法では測定困難であったため、酸化防止剤による酸化防止効果が十分に発揮できるような基油の選択が困難であった。
これに対して、本発明では、酸化防止剤を含む電気絶縁油組成物において、基油の紫外可視吸光度測定法によって求められる紫外線吸収スペクトルのピークの最大値を指標とすることにより、IEC62115規格C法に基づく500時間の酸化安定性試験を達成できる基油を選択できることを見出した。
以下に、本発明の実施形態に係る電気絶縁油組成物について、詳細に説明する。
[精製鉱油]
本発明の実施形態に係る電気絶縁油組成物に用いることのできる精製鉱油の、開放式引火点試験方法による引火点は、150℃以上であり、より好ましくは、160℃以上である。
また、本発明の実施形態に係る電気絶縁油組成物に用いることのできる精製鉱油の、紫外可視吸光度測定法による波長190〜350nmの紫外線吸収スペクトルのピークの最大値が5以下のものである。紫外可視吸光度測定法による波長190〜350nmの紫外線吸収スペクトルのピークの最大値が5以下であることは、芳香族分、硫黄分、窒素分等が、従来のndM環分析法では測定困難な量以下になっていることを意味する。
すなわち、紫外可視吸光度測定法による波長190〜350nmの紫外線吸収スペクトルのピークの最大値が5以下であることは、芳香族分、硫黄分、窒素分等が微量であり、精製鉱油の精製度が十分に高いことを表す。このため、このような精製鉱油を基油として用いれば、酸化防止剤による酸化防止効果が十分に得られ、酸化安定性の高い電気絶縁油組成物が得られる。なお、紫外線吸収スペクトルは、紫外可視分光光度計により測定されるものである。
精製鉱油のほかの性状としては、以下に示すものが挙げられる。
精製鉱油は、電気絶縁油組成物の密度を0.895g/cm3以下にする観点から、以下に示す性状を有することが好ましい。
精製鉱油の40℃における動粘度は、5mm2/s以上12mm2/s以下が好ましい。5mm2/s以上であることで揮発性が高くなりすぎず、安全上問題が生じる可能性が軽減される。また、12mm2/s以下であることで、発熱時の冷却性に優れる。
精製鉱油の流動点は、−30℃以下が好ましく、−35℃以下がより好ましい。
本発明の実施形態に係る電気絶縁油組成物に用いることのできる精製鉱油は、水素化精製鉱油、溶剤精製鉱油及び合成炭化水素油から選ばれる1以上のものである。
精製鉱油として用いられる水素化精製鉱油としては、以下に挙げる原油を精製して得られるものが使用可能である。水素化精製鉱油を製造するための原油としては、例えば、パラフィン系原油、ナフテン系原油等が挙げられる。水素化精製鉱油としては、上述した原油の常圧蒸留後の残油を減圧蒸留し、得られた減圧留出油を水素化精製処理したものが挙げられる。また、水素化精製鉱油は、水素化精製処理のほかに、脱ろう処理、脱れき処理等の従来公知の精製プロセスを適宜組み合わせて製造されたものであってもよい。
ここで、水素化精製処理とは、(1)水素化分解による多環化合物の開環及び側鎖の脱アルキル化、(2)異性化、(3)ヘテロ原子を含む炭化水素からの該へテロ原子の除去等が起きるような比較的過酷な条件での水素化処理をいう。
溶剤精製鉱油としては、例えば、ナフテン系原油の溶剤精製で得られるナフテン系溶剤精製鉱油が挙げられる。ナフテン系溶剤精製鉱油は、例えば、ナフテン系原油の常圧蒸留後の残油を減圧蒸留し、得られた減圧留出油を溶剤抽出処理したものが挙げられる。
た、溶剤抽出処理のほかに、脱ろう処理、脱れき処理、水素化仕上げ等の従来公知の精製プロセスを適宜組み合わせて製造されたものであってもよい。
ここで、水素化仕上げとは、通常、比較的低圧で水添処理が行われ、色相改善等を目的に行われるものであり、上述した水素化精製処理とは異なるものである。
精製鉱油として用いられる合成炭化水素油としては、ポリα−オレフィン、(ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等)、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルアルカン(アルキルジフェニルエタン、アルキルフェニルキシリルエタン、ベンジルトルエン等)、アルキルビフェニル等の炭化水素系合成油;ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ2−エチルヘキシルセパケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンベラルゴネート、ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、メンタエリスリトールベラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル等の含酸素合成油;シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、上述した水素化精製鉱油のなかから一種又は二種以上を選択して用いてもよい。また、上述した溶剤精製鉱油のなかから一種又は二種以上を選択して用いてもよい。また、上述した合成炭化水素油のなかから一種又は二種以上を選択して用いてもよい。さらには、水素化精製鉱油を一種以上、溶剤精製鉱油を一種以上、及び合成炭化水素油を一種以上組み合わせて用いることもできる。
なお、上述した精製鉱油の性状は、上述した水素化精製鉱油、溶剤精製鉱油又は合成炭化水素油をそれぞれ単独で使用する場合には、水素化精製鉱油、溶剤精製鉱油又は合成炭化水素油の性状であり、上述した水素化精製鉱油、溶剤精製鉱油及び合成炭化水素油を組み合わせて使用する場合には、混合して得られる混合油の性状である。
[酸化防止剤]
本発明の実施形態に係る電気絶縁油組成物は、酸化防止剤を含有する。酸化防止剤は、電気絶縁油組成物全量基準で、0.06質量%以上0.5質量%以下含まれる。酸化防止剤の含有量が0.06質量%未満であると、電気絶縁油組成物の十分な酸化防止効果が得られず、0.5質量%を超えると、絶縁特性が低下する可能性がある。
この観点から、酸化防止剤は、電気絶縁油組成物全量基準で0.07質量%以上0.5質量%以下含まれることが好ましく、0.08 質量%以上 0.4質量%以下であることがより好ましい。
本発明の実施形態に係る電気絶縁油組成物に使用可能な酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、モノ−t−ブチルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミン及びモノノニルジフェニルアミンなど、炭素数が3〜10程度のアルキル基を有するモノアルキルジフェニルアミン類;4,4'−ジブチルジフェニルアミン、4,4'−ジペンチルジフェニルアミン、4,4'−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4'−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4'−ジオクチルジフェニルアミン、4,4'−ジノニルジフェニルアミン、4−ブチル−4'−オクチルジフェニルアミンなど、各アルキル基の炭素数が3〜10程度のジアルキルジフェニルアミン類が挙げられる。また、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミン、ジ(2,4−ジエチルフェニル)アミン、ジ(2−エチル−4−ノニルフェニル)アミンなど、アルキル基を3つ以上有し、各アルキル基の炭素数が1〜10程度のポリアルキルジフェニルアミン類が挙げられる。また、メチルフェニル−α−ナフチルアミン、エチルフェニル−α−ナフチルアミン、ブチルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−α−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−α−ナフチルアミン、オクチルフェニル−α−ナフチルアミン、ノニルフェニル−α−ナフチルアミン、t−ドデシルフェニル−α−ナフチルアミンなど、炭素数1〜12程度のアルキル基を少なくとも1つ有するアルキル置換フェニル−α−ナフチルアミン、又はフェニル−α−ナフチルアミン等で例示されるフェニル−α−ナフチルアミン類などが挙げられる。
アミン系酸化防止剤としては、これらのうち、フェニル−α−ナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミンの一種単独で又は二種を組み合わせて使用するのが好ましく、フェニル−α−ナフチルアミン類(特に、フェニル−α−ナフチルアミン)とジアルキルジフェニルアミンの両方を組み合わせて使用することがより好ましい。
このように両方を組み合わせて使用することで、電気絶縁油組成物の塩基価や粘度を長い期間にわたって良好に維持し、長寿命化しやすくなる。また、フェニル−α−ナフチルアミン類とジアルキルジフェニルアミンを併用する場合、質量基準でジアルキルジフェニルアミンの含有量を、フェニル−α−ナフチルアミン類の含有量より多くすることが好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2'−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のビスフェノール系酸化防止剤が挙げられる。また、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−p−クレゾール、n−オクチル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、6−メチルヘプチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネートなどのモノフェノール系酸化防止剤が挙げられる。これらの中では、エステル基含有フェノールを使用することが好ましい。
また、ビスフェノール系酸化防止剤とモノフェノール系酸化防止剤は、単独で使用してもよいし、これら両方を組み合わせて使用してもよい。
電気絶縁油組成物の塩基価や粘度を長い期間にわたって良好に維持してより長寿命化できる観点から、これら両方を組み合わせて使用することが好ましい。ビスフェノール系酸化防止剤とモノフェノール系酸化防止剤の両方を使用する場合、質量基準でモノフェノール系酸化防止剤の含有量をビスフェノール系酸化防止剤の含有量より多くしたほうがよい。
[その他の添加剤]
本実施形態に係る電気絶縁油組成物は、電気絶縁性を妨げない範囲で、上記成分以外の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、金属不活性化剤、流動点降下剤、流動帯電抑制剤等が挙げられる。
[電気絶縁油組成物の性状]
次に、本実施形態に係る電気絶縁油組成物の性状について、詳細に説明する。
本実施形態に係る電気絶縁油組成物の40℃における動粘度は、12mm2/s以下である。40℃における動粘度が12mm2/sを超えると、発熱時の冷却性が低下する可能性がある。上記観点から、本発明に係る電気絶縁油組成物の40℃における動粘度は、11mm2/s以下が好ましく、10mm2/s以下であることがより好ましい。
また、本発明に係る電気絶縁油組成物の流動点は、−30℃以下である。流動点が−30℃を超えると、低温条件下の性能を満足できない。この観点から、流動点は、−32℃以下であることが好ましく、−35℃以下であることがより好ましい。
また、本発明に係る電気絶縁油組成物のほかの性状としては、以下のものが挙げられる。安全性の観点から、電気絶縁油組成物の開放式引火点試験方法(COC)による引火点は150℃以上であり、好ましくは160℃以上である。
また、本実施形態に係る電気絶縁油組成物の90℃における誘電正接の値は、0.04%以下であることが好ましい。90℃における誘電正接の値が0.04%以下であると、良好な電気絶縁特性が得られる。この観点から、90℃における誘電正接の値は、0.03%以下であることがより好ましく、0.01%以下であることがさらに好ましい。
また、上記のような性状を有する電気絶縁油組成物は、IEC62115規格C法に基づく500時間の酸化試験後のスラッジ発生量を0.8%以下、酸価を1.2mgKOH/g以下、90℃における誘電正接を50%以下に適合することができる。
[用途]
本発明の実施形態に係る電気絶縁油組成物は、油入コンデンサ、油入ケーブル、油入変圧器、油遮断器等に用いられる絶縁油として使用することができる。なかでも、本実施形態に係る電気絶縁油組成物は、変圧器に用いられるIEC60296の絶縁油の品質規格に適合することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。後述する精製鉱油及び酸化防止剤を用いて電気絶縁油組成物の供試体を作製し、性能を評価した。
[電気絶縁油組成物供試体の作製]
電気絶縁油組成物を構成する精製鉱油として、第1表に性状を示す油A〜Cを用いた。
油A,B,C:水素化精製パラフィン系鉱油
Figure 2016009553
第1表に示す性状は、以下の測定法により得られたものである。
動粘度(40℃、100℃)及び粘度指数:JIS K 2283に準拠して測定した。
密度:JIS K 2249に準拠して測定した。
引火点:JIS K 2265(クリーブランド開放式)に準拠して測定した。
流動点:JIS K 2269に準拠して測定した。
紫外線吸収スペクトルピーク最大値:紫外可視分光光度計を用いて、紫外可視吸光度測定法による波長190〜350nmの紫外線吸収スペクトルのピークの最大値を測定した。
[評価]
上述した油A,B,Cを用いて、第2表の配合処方により実施例1〜4及び比較例1〜3の電気絶縁油組成物を調製した。調製した電気絶縁油組成物をIEC62115規格C法に基づく評価試験法により評価し、新油の性状がそれぞれ、密度0.895g/cm3以下、流動点−40℃以下、酸価0.01mgKOH/g以下、誘電正接(90℃)0.5以下を適合とした。
さらに、IEC62115 C法(500時間)に基づく、酸化試験後のスラッジ量0.8%以下、酸価1.2mgKOH/g以下、誘電正接(90℃)が50%以下を適合とした。評価結果を第2表に示す。
Figure 2016009553
なお、第2表に示す注釈は下記のとおりである。
*1:フェノール系酸化防止剤、(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、DBPC)
また、第2表に示す性状は、以下の測定法により得られたものである。
動粘度(40℃、100℃):JIS K 2283に準拠して測定した。
密度:JIS K 2249に準拠して測定した。
引火点:JIS K 2265(クリーブランド開放式、COC)に準拠して測定した。
流動点:JIS K 2269に準拠して測定した。
90℃における誘電正接(%):ISO60247に準拠して測定した。
80℃における体積抵抗率(TΩm):ISO60247に準拠して測定した。
酸価:JIS K 2501に準拠して測定した。
誘電正接:IEC60247に準拠して測定した。
体積抵抗率:IEC60247に準拠して測定した。
酸化安定性試験:IEC62115規格C法に基づく評価試験
[結果]
第2表に示すように、紫外吸光度の最大値が5以下である精製鉱油A,Bを用いた電気絶縁油組成物は、IEC62115規格C法に基づく評価試験法による評価結果が、IEC60296の電気絶縁油の「酸化防止剤添加油」の品質規格を満足することが判った。
一方、比較例1,2のように、精製鉱油の紫外吸光度の最大値が5以下を満たさない場合には、上述の品質規格を満たさなかった。また、比較例3の供試体のように、精製鉱油の紫外吸光度の最大値が5以下であっても、酸化防止剤の含有量が、IEC60296の電気絶縁油の「酸化防止剤添加油」規定から外れるものは、上述の品質規格を満たさなかった。
すなわち、評価結果から、酸化防止剤の含有量がIE60296の電気絶縁油の「酸化防止剤添加油」の品質規格を満足する電気絶縁油組成物を作製するには、電気絶縁油組成物に含まれる精製鉱油の紫外吸光度の最大値が5以下になる精製鉱油を選択すればよいことになり、基油として用いることのできる精製鉱油を従来方法よりも簡便に選択することができる。
このことから、本発明によれば、電気絶縁特性及び酸化安定性にともに優れた電気絶縁油組成物を簡便な方法により得ることができる。

Claims (5)

  1. 開放式引火点試験方法による引火点が150℃以上、かつ紫外可視吸光度測定法による波長190〜350nmの紫外線吸収スペクトルのピークの最大値が5以下の精製鉱油と、
    電気絶縁油組成物全量基準で0.06質量%以上0.5質量%以下の酸化防止剤と、を含有し、
    40℃における動粘度が12mm2/s以下、かつ流動点が−30℃以下である電気絶縁油組成物。
  2. 前記酸化防止剤が電気絶縁油組成物全量基準で0.08質量%以上0.4質量%以下含まれる請求項1に記載の電気絶縁油組成物。
  3. 前記電気絶縁油組成物の90℃における誘電正接の値が0.04%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電気絶縁油組成物。
  4. IEC62115規格C法に基づく500時間の酸化試験後の90℃における誘電正接の値が50%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電気絶縁油組成物。
  5. 変圧器に用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の電気絶縁油組成物。
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