JP2016008151A - 酸化マグネシウム系添加剤、及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】BET比表面積が10m2/g以上80m2/g未満であり、かつ乾式粒度分布の平均粒子径が5μm以上10μm以下である酸化マグネシウム粒子又はその表面処理物を含む酸化マグネシウム系添加剤、該酸化マグネシウム系添加剤を含有する樹脂組成物、および該樹脂組成物を用いた成形体。
【選択図】なし
Description
本発明の酸化マグネシウム系添加剤は、酸化マグネシウム粒子、又はその表面処理物を含むものである。本発明における酸化マグネシウム粒子は、酸化マグネシウムを主成分とする紛体からなるものであり、主成分となる酸化マグネシウムの割合は95%以上が好ましく、98%以上がより好ましく、99%以上が更に好ましい。なお、原料由来の不純物成分を含むことができる。また、熱硬化性樹脂に配合可能な成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることもできる。一般的には、酸化マグネシウムは、原料となる水酸化マグネシウムや炭酸マグネシウム等のマグネシウム原料を焼成等して製造することができる。本発明では、原料となる水酸化マグネシウムスラリーを焼成前に湿式粉砕する工程を経て得られる酸化マグネシウムの紛体を含むことが好ましい。一般に酸化マグネシウムは、安価で、化学的に安定であり、塩基性を示すとともに、無毒性を有するという特性を有することから、FRP用の増粘剤としての機能を有する。
本発明における酸化マグネシウム粒子は、水溶性マグネシウム塩、海水又は潅水と、アルカリ金属水酸化物水溶液、アルカリ土類金属水酸化物水溶液又はアンモニア水溶液とを反応させて分散液を調製する工程、前記分散液に対し、1℃以上100℃以下での種晶反応を1回以上行い焼成用原料を得る工程、及び前記焼成用原料を500℃以上1000℃以下で焼成する工程を経て得られることができる。本発明では、特に、焼成用原料として得られる水酸化マグネシウムのスラリーを更に湿式粉砕する工程を経て酸化マグネシウム系添加剤を製造することが好ましい。
本発明における樹脂組成物は、酸化マグネシウム系添加剤を所定の熱硬化性樹脂に配合した樹脂組成物である。
成形体は前記樹脂組成物を用いて得ることができる。このような成形体は、熱硬化性樹脂等に所定量の酸化マグネシウム系添加剤及び上記強化繊維を配合した後、公知の成形方法により得ることができる。このような成形方法としては、例えばハンドレーアップ法、スプレーアップ法、連続パネル成形法、引抜き成形法、フィラメントワインディング法、チョップ併用フープ巻法、遠心成形法、バッグ法、コールドプレス法、レジンインジェクション法、オートクレーブ法、プリフォームマッチドダイ法、プリミックス法、シートモールディングコンパウンド法、油中加圧モールド法、積層圧縮法、SMCプレス法、RTM法などである。
200L容量のポリエチレン製容器に、マグネシウム原料として硫酸でpH=3に調製した海水を16.7L秤量した。これにアルカリ原料として8.3NのNaOH水溶液180mLを攪拌下にゆっくりと添加し(Mg2+モル数:OH−モル数は1:1.8であった)、Mg(OH)2サスペンジョンを調製した。このMg(OH)2サスペンジョンを種とし、その上から海水16.7Lを加え、さらに8.3NのNaOH水溶液180mLを攪拌下にゆっくりと添加後、5分間攪拌して、第1回目の種晶反応を行った。このような種晶反応を合計8回繰り返した。得られた種晶スラリーを真空ろ過後、Mg(OH)2固形分に対し20倍容量以上の純水で十分洗浄し、純水を加えて乳化し、10g/dLのMg(OH)2濃度のスラリーを調製した。このスラリー1Lを分取し、直径3mmのアルミナボールが1kg投入された3L容量のアルミナ製ポットミルに流し込んだ。このポットミルを100rpmで30分間回転させ湿式粉砕した。この湿式粉砕後のスラリーを真空ろ過後、乾燥後、バンタムミルで粉砕して焼成用Mg(OH)2粉末の原料a−1を得た。
100L容量のポリエチレン製容器に、マグネシウム原料として硫酸でpH=3に調製した海水を16.7L秤量した。これにアルカリ原料として8.3NのNaOH水溶液180mLを攪拌下にゆっくりと添加し(Mg2+モル数:OH−モル数は1:1.8であった)、Mg(OH)2サスペンジョンを調製した。このMg(OH)2サスペンジョンを種とし、その上から海水16.7Lを加え、さらに8.3NのNaOH水溶液180mLを攪拌下にゆっくりと添加後、5分間攪拌して、第1回目の種晶反応を行った。このような種晶反応を合計3回繰り返した。これら一連の操作以外は、実施例1の原料a−1及び試料A−1の調製と同様な操作を行って、原料a−2及び試料A−2を得た。
15L容量のポリエチレン製容器に、マグネシウム原料として高純度MgCl2・6H2Oを480g秤量し、純水1Lを加えて攪拌し、MgCl2水溶液を調製した。これにアルカリ原料として8.3NのNaOH水溶液510mLを攪拌下にゆっくりと添加し(Mg2+モル数:OH−モル数は1:1.8であった)、Mg(OH)2サスペンジョンを調製した。このMg(OH)2サスペンジョンを種とし、その上から高純度MgCl2・6H2Oの480gを純水1Lで溶解したMgCl2水溶液を加え、さらに8.3NのNaOH水溶液510mLを攪拌下にゆっくりと添加後、5分間攪拌して、第1回目の種晶反応を行った。このような種晶反応を合計8回繰り返した。得られた種晶スラリーを真空ろ過後、Mg(OH)2固形分に対し20倍容量以上の純水で十分洗浄し、乾燥後、バンタムミルで粉砕して焼成用Mg(OH)2粉末の原料b−1を得た。これら一連の操作以外は、実施例1の試料A−1の調製と同様な操作を行って、試料B−1を得た。
200L容量のポリエチレン製容器に、マグネシウム原料として硫酸でpH=3に調製した海水を16.7L秤量した。これにアルカリ原料として8.3NのNaOH水溶液180mLを攪拌下にゆっくりと添加し(Mg2+モル数:OH−モル数は1:1.8であった)、Mg(OH)2サスペンジョンを調製した。このMg(OH)2サスペンジョンを種とし、その上から海水16.7Lを加え、さらに8.3NのNaOH水溶液180mLを攪拌下にゆっくりと添加後、5分間攪拌して、第1回目の種晶反応を行った。このような種晶反応を合計8回繰り返した。これら一連の操作以外は、比較例1の原料b−1及び試料B−1の調製と同様な操作を行って、原料b−2及び試料B−2を得た。
平均粒子径3μmの天然ブルーサイト粉砕品を原料b−3とした。300mL容量のアルミナ製るつぼに原料b−3を100g充填し、電気炉を用いて、850℃で2時間焼成し、その後、バンタムミルで粉砕してMgO粉末の試料B−3を得た。
実施例1において、原料a−1の焼成を1050℃で2時間行なうこと以外は、実施例1と全く同じ条件でMgO粉末の製造を行ない、試料B−4を得た。
実施例1において、原料a−1の焼成を450℃で1.5時間行なうこと以外は、実施例1と全く同じ条件でMgO粉末の製造を行ない、試料B−5を得た。
実施例及び比較例で得られた原料粉末及び試料粉末について、以下のような分析を行った。各分析結果を表1に示す。
BET比表面積:8連式プリヒートユニット(MOUNTECH社製)を用いて窒素ガス雰囲気下、約130℃、約30分間で前処理した測定試料(酸化マグネシウム)を、BET比表面積測定装置としてMacsorb HM Model−1208(MOUNTECH社製)等を用いて、窒素ガス吸着法で測定した。
沈降容積:栓付き100mL容量メスシリンダーに原料粉末5gと純水を加えて全量100mLに調製し、栓をした。原料粉末が十分に拡散するまでメスシリンダーを振った後、静置し、2時間後の白濁部と透明部の界面の値を読み取り、沈降容積を求めた。
[増粘性評価試験]
不飽和ポリエステル樹脂(日本ユビカ社製、7506)100重量部、炭酸カルシウム(日東粉化社製、NS−100)120重量部、酸化マグネシウム0.9重量部を混合して、十分に攪拌を行い、40℃に加温した。所定の時間を経過後、コンパウンドを25℃まで冷却して、粘度計(東京計器社製、BL)を用いて増粘性を評価した。
Claims (8)
- BET比表面積が10m2/g以上80m2/g未満であり、かつ乾式粒度分布の平均粒子径が5μm以上10μm以下である酸化マグネシウム粒子、又はその表面処理物を含む酸化マグネシウム系添加剤。
- 前記酸化マグネシウム粒子は、湿式粒度分布での平均粒子径に対する乾式粒度分布での平均粒子径の比率(乾式粒度分布での平均粒子径/湿式粒度分布での平均粒子径)が1.2以上3.0以下である請求項1に記載の酸化マグネシウム系添加剤。
- 前記酸化マグネシウム粒子は、BET比表面積が30m2/g以上70m2/g以下であり、かつ沈降容積が35mL以上95mL以下である水酸化マグネシウムを焼成する工程を経て得られる請求項1又は2に記載の酸化マグネシウム系添加剤。
- 高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ土類金属塩、カップリング剤、脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル類、及びリン酸と高級アルコールとからなるリン酸エステル類からなる群より選択される少なくとも1種の表面処理剤により表面処理されている請求項1〜3いずれか1項に記載の酸化マグネシウム系添加剤。
- 請求項1〜4いずれか1項に記載の酸化マグネシウム系添加剤と、熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド樹脂及びポリイミド樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含有する請求項5に記載の樹脂組成物。
- 強化繊維を含有する請求項5又は6に記載の樹脂組成物。
- 請求項5〜7いずれか1項に記載の樹脂組成物より得られる成形体。
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