JP2016005828A - インクジェット装置、および、インクジェット装置を用いて電子デバイスを製造する方法 - Google Patents

インクジェット装置、および、インクジェット装置を用いて電子デバイスを製造する方法 Download PDF

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Tomohisa Mikami
智久 三上
小澤 哲郎
Tetsuo Ozawa
哲郎 小澤
裕隆 南野
Hirotaka Minamino
裕隆 南野
洋 岩本
Hiroshi Iwamoto
洋 岩本
村井 隆一
Ryuichi Murai
隆一 村井
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Abstract

【課題】インクジェット装置のノズルから吐出されるインクの液滴の体積を少量化する。【解決手段】制御部は、予備振動動作および本振動動作をアクチュエータに実行させる。予備振動動作は、ノズル内のインクを外部に向けて押圧する押圧動作を含む。本振動動作は、ノズル内のインクをインク室に向けて吸引する吸引動作と、吸引されたインクを外部に向けて押圧する押圧動作とを含む。本振動動作の押圧動作は、ノズル内のインクが振動により外部に向けて変位している期間内に実行される。予備振動動作の押圧動作から本振動動作の吸引動作までの期間の長さは、ノズル内のインクの固有振動の半周期の1倍の長さに調整された場合に比べてノズルから吐出されるインクの液滴の体積が小さくなる、固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整されている。【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェット装置、および、インクジェット装置を用いて電子デバイスを製造する方法に関する。
近年、例えば、有機EL(Electro Luminescence)素子や薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などの電子デバイスの製造に塗布法を利用することが提案されている。一般に、有機EL素子は、陽極と、陰極と、有機発光層とを備え、さらに、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層を備える。TFTは、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、半導体層と、ソース電極と、ドレイン電極とを備える。有機発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、半導体層は、それぞれ固有の機能(発光、正孔注入、正孔輸送、電子注入、電子輸送、チャネル形成)を発揮するので、それぞれ機能層と称される。機能層を塗布法で形成する場合、機能層を構成する機能性材料とこれを溶解または分散させるための溶媒を含むインクを準備し、準備されたインクを下地基板上に塗布し、塗布されたインクの溶媒を蒸発させることとすればよい。このインクの塗布にインクジェット装置を利用することができる(例えば、特許文献1参照)。
インクジェット装置は、下地基板を載置するためのステージと、ステージ上を相対移動するインクジェットヘッドを備える。インクジェットヘッドがステージ上を相対移動中に、インクジェットヘッドからインクを適切なタイミングで吐出することで、下地基板の目的の位置にインクの液滴を着弾させることができる。インクジェットヘッドは、インクを収容するためのインク室と、インク室に連通したノズルと、ノズル内のインクを振動させてノズルからインクの液滴を吐出させるためのアクチュエータとを含む。アクチュエータとしては、例えば、圧電素子が利用されている。
国際公開 WO2014/006877
近年、電子デバイスの高精細化が進み、ノズルから吐出されるインクの液滴の体積を少量化(以下、「小液滴化」という)することが要請されている。インクの小液滴化を実現するには、ノズルの小径化などのノズルの構造面での工夫が容易に想定される。しかしながら、加工精度に限界があるのでノズルを小型化するほどノズル径のばらつきが大きくなり、ひいては、インクの液滴の体積のばらつきが大きくなる。
本発明は、ノズルの構造面ではなく、別途の工夫により、インクの小液滴化を実現することを目的とする。
本発明の一態様に係るインクジェット装置は、インクジェットヘッドと制御部とを備える。インクジェットヘッドは、インクを収容するためのインク室、インク室に連通するノズル、および、ノズル内のインクを振動させるためのアクチュエータを含む。制御部は、ノズルからインクが吐出されない範囲でノズル内のインクを振動させるための予備振動動作、および、ノズルからインクが吐出される範囲でノズル内のインクを振動させるための本振動動作を、アクチュエータに実行させる。予備振動動作は、ノズル内のインクを外部に向けて押圧する押圧動作を含む。本振動動作は、ノズル内のインクをインク室に向けて吸引する吸引動作と、吸引されたインクを外部に向けて押圧する押圧動作とを含む。本振動動作の押圧動作が、ノズル内のインクが振動により外部に向けて変位している期間内に実行される。予備振動動作の押圧動作から本振動動作の吸引動作までの期間の長さが、ノズル内のインクの固有振動の半周期の1倍の長さに調整された場合に比べてノズルから吐出されるインクの液滴の体積が小さくなる、固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整されている。
発明者らの実験により、予備振動動作の押圧動作から本振動動作の吸引動作までの期間(以下、「待機期間」という)の長さを調整することで、ノズルから吐出されるインクの液滴の体積を調整できることが判明した。特に、待機期間の長さをインクの固有振動の半周期の奇数倍に調整した場合は、偶数倍に調整した場合に比べてインクが小液滴化される傾向が見られた。また、固有振動の半周期の奇数倍の中でも、1倍に調整した場合に比べてインクを小液滴化できる倍数が存在することが判明した。上記構成によれば、ノズルの構造面ではなく、アクチュエータの振動動作の工夫により、インクの小液滴化を実現することができる。
本発明の実施の形態に係るインクジェット装置の機構部を示す図 インクジェット装置の機能ブロック図 (a)はインクジェットヘッドの概略構成を示す一部切欠き斜視図、(b)はインクジェットヘッドの一部を拡大した断面図 圧電素子に供給される駆動信号の波形、圧電素子の振動の影響を受けて振動するノズル内のインクの液面の変位、および、インクジェットヘッドを外部から観察したときのインクの挙動を示す図 インクの液滴の体積の測定結果の一例を示す図 待機期間の長さを変化させたときのインクの液滴の体積の変化を示す図 待機期間の長さを変化させたときの各駆動信号を示す図 本発明の実施の形態に係る有機EL表示パネルの部分断面図 隔壁層の構造を示す平面図 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための部分断面図 有機EL表示パネルの製造方法を説明するための部分断面図 隔壁層の開口部とヘッド部の位置関係を示す図 予備振動動作の変形例を説明するための図 本振動動作の変形例を説明するための図 パルス成分の変形例を説明するための図
<1> 本発明の一態様
本発明の一態様に係るインクジェット装置は、インクジェットヘッドと制御部とを備える。インクジェットヘッドは、インクを収容するためのインク室、インク室に連通するノズル、および、ノズル内のインクを振動させるためのアクチュエータを含む。制御部は、ノズルからインクが吐出されない範囲でノズル内のインクを振動させるための予備振動動作、および、ノズルからインクが吐出される範囲でノズル内のインクを振動させるための本振動動作を、アクチュエータに実行させる。予備振動動作は、ノズル内のインクを外部に向けて押圧する押圧動作を含む。本振動動作は、ノズル内のインクをインク室に向けて吸引する吸引動作と、吸引されたインクを外部に向けて押圧する押圧動作とを含む。本振動動作の押圧動作が、ノズル内のインクが振動により外部に向けて変位している期間内に実行される。予備振動動作の押圧動作から本振動動作の吸引動作までの期間の長さが、ノズル内のインクの固有振動の半周期の1倍の長さに調整された場合に比べてノズルから吐出されるインクの液滴の体積が小さくなる、固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整されている。上記構成によれば、アクチュエータの振動動作の工夫により、インクの小液滴化を実現することができる。
なお、固有振動の半周期の長さを測定した場合、不可避の測定誤差が存在する。また、予備振動動作が完了した時点から時間経過とともにインクの固有振動の振幅が減衰し、それに伴い固有振動の半周期も変化する場合も考えられる。従って、「固有振動の半周期」自体は多少の誤差を含んでいる。これらを考慮して、本明細書では、「固有振動の半周期の奇数倍の長さ」は、理論値だけでなく、理論値に対して±10%程度の誤差を含むものとする。
上記インクジェット装置において、予備振動動作の押圧動作から本振動動作の吸引動作までの期間の長さが、ノズル内のインクの固有振動の半周期の3倍以上7倍以下の奇数倍の長さに調整されていることとしてもよい。待機期間の長さをノズル内のインクの固有振動の半周期の3倍以上とすることで、固有振動の半周期の1倍の場合よりもインクを小液滴化することができる。また、インクジェット装置では、予備振動動作および本振動動作を一組とするインク吐出動作が所定時間間隔で複数回繰り返される。各インク吐出動作を同じ条件で実行するには、本振動動作に起因するノズル内のインクの振動が次回の予備振動動作を実行する時点で十分に減衰していることが望ましい。その一方で、本振動動作に起因するノズル内のインクの振動が減衰するまである程度の時間が必要である。待機期間の長さをノズル内のインクの固有振動の半周期の7倍以下とすることで、本振動動作から次回の予備振動動作までの時間をある程度確保することができ、次回の予備振動動作を実行する時点でノズル内のインクの振動を十分に減衰させておくことができる。
上記インクジェット装置において、予備振動動作の押圧動作から本振動動作の吸引動作までの期間の長さが、ノズル内のインクの固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整され、奇数倍の倍数がノズルから吐出されるインクの液滴の体積が最小となる倍数であることとしてもよい。これにより、インクの液滴の体積を最も少量化することができる。
上記インクジェット装置において、本振動動作の吸引動作から本振動動作の押圧動作までの期間の長さが、ノズル内のインクの固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整されていることとしてもよい。これにより、ノズル内のインクが外部に向けて最も速い速度で変位しているときに、インクを外部に向けて押圧することになる。従って、効率よくインクを外部に向けて押圧することができる。
上記インクジェット装置において、制御部は、さらに、予備振動動作から本振動動作までの期間とは異なる期間に、ノズルからインクが吐出されない範囲でノズル内のインクを振動させてインクの固着を防止するための振動動作を前記アクチュエータに実行させることとしてもよい。このとき、インクの固着を防止するための振動動作の振幅が、予備振動動作の振幅と同じであることとしてもよい。
本発明の一態様に係る機能層を有する電子デバイスの製造方法は、機能層を構成する機能性材料と機能性材料を溶解または分散するための溶媒とを含むインクを塗布し、溶媒を蒸発させることにより機能層を形成する。インクの塗布は、上記の何れかのインクジェット装置を用いて行う。
<2> 実施の形態1
<2−1> インクジェット装置の構成
図1は、本発明の実施の形態に係るインクジェット装置の機構部を示す図である。図2は、インクジェット装置の機能ブロック図である。
図1、2に示すように、インクジェット装置1000は、インクジェットテーブル20、ヘッド部30、制御装置15で構成される。インクジェット装置1000は、1つのヘッド部30にインクジェットヘッド301が1つ備えられた形態として図示されているが、これに限定されない。例えば、1つのヘッド部30に複数のインクジェットヘッド301を装備する形態や、各々が1又は複数のインクジェットヘッド301を備えた複数のヘッド部30を装備する形態など、複数のインクジェットヘッド301を備える形態としてもよい。
図2に示すように、制御装置15は、CPU150、記憶手段151(HDD等の大容量記憶手段を含む)、表示手段(ディスプレイ)153、入力手段152で構成される。制御装置15は、具体的にはコンピューターを用いることができる。記憶手段151には、制御装置15に接続されたインクジェットテーブル20およびヘッド部30を駆動するための制御プログラム等が格納されている。インクジェット装置1000の駆動時には、CPU150が、入力手段152を通じてオペレータにより入力された指示と記憶手段151に格納された各制御プログラムに基づいて所定の制御を行う。
<2−2> インクジェットテーブル
図1に示すように、インクジェットテーブル20はいわゆるガントリー式の作業テーブルである。具体的構成として、板状の基台200には、その上面の四隅に柱状のスタンド201A,201B,202A,202Bが配設されている。これらのスタンド201A,201B,202A,202Bに囲まれた内側領域には、塗布対象となる下地基板を載置するための固定ステージSTが配設されている。
ガイドシャフト203A,203Bは、スタンド201A,201B,202A,202Bにより、Y方向に沿って平行に支持されている。リニアモータ204,205は、それぞれガイドシャフト203A,203Bに挿通されており、ガイドシャフト203A,203Bに沿って移動可能である。
ガントリー部210は、ガイドシャフト203A,203Bを架け渡すように、リニアモータ204,205上に搭載されている。ガントリー部210は、X方向に沿って形成されたガイド溝211を有する。移動体220は、L字型の台座からなり、ガイド溝211に沿ってスライド自在にガントリー部210に支持されている。移動体220のスライドは、サーボモータ221により実施される。
ヘッド部30は、移動体220に取り付けられている。ガントリー部210をガイドシャフト203A,203Bに沿って移動させることにより、ヘッド部30をY方向に走査することができる。また、移動体220をガントリー部210のガイド溝211に沿って移動させることにより、ヘッド部30をX方向に走査することができる。これらの走査は、図2に示された制御装置15および走査制御部213により制御される。CPU150が制御プログラムに従って走査制御部213に指令を出力し、走査制御部213が指令に応じてリニアモータ204,205およびサーボモータ221の駆動を制御する。
<2−3> ヘッド部
ヘッド部30は、インクジェットヘッド301及び支持部302で構成されている。インクジェットヘッド301は支持部302を介して移動体220に固定されている。
図3(a)は、インクジェットヘッド301の概略構成を示す一部切欠き斜視図であり、図3(b)は、インクジェットヘッド301の一部を拡大した断面図であって、図3(a)におけるB−B’矢視断面図である。インクジェットヘッド301は、ノズル板301iと、振動板301hと、外周壁301cと、隔壁301dと、圧電素子3010とを備える。ノズル板301iと振動板301hは隙間を空けて対向配置されている。外周壁301cは、ノズル板301iと振動板301hの隙間に配された枠状の部材である。隔壁301dは、ノズル板301iと振動板301hと外周壁301cで形成される内部空間に配され、内部空間を複数のインク室301eおよび一つのリザーバ301gに区画する。各インク室301eは、流路301fを通じてリザーバ301gに連通している。ノズル板301iは、複数のノズル3031を有する。各ノズル3031は、各インク室301eと一対一で対応し、対応するインク室301eに連通している。各圧電素子3010は、各インク室301eと一対一で対応し、振動板301h上におけるインク室301eに対応する位置に配されている。図3(b)に示すように、圧電素子3010は、電極3011,3012と、電極3011,3012の間にある圧電体層3013とを備える。圧電素子3010は、駆動信号に応じて振動するアクチュエータとしての役割を果たす。リザーバ301gは、インク供給孔301h1を通じて供給されたインクを一時的に貯留する。リザーバ301gに貯留されたインクは、各流路301fを通じて各インク室301eに供給される。各インク室301eに供給されたインク40は、各圧電素子3010の振動の影響を受けて各ノズル3031から吐出される。
インクの吐出は、図2に示された制御装置15および吐出制御部300により制御される。CPU150が制御プログラムに従って吐出制御部300に指令を出力する。吐出制御部300が指令に応じて圧電素子3010を駆動するための駆動信号を生成し、生成された駆動信号を圧電素子3010に供給する。
<2−4> 駆動信号
図4は、圧電素子に供給される駆動信号の波形、圧電素子の振動の影響を受けて振動するノズル内のインクの液面(インクと空気との界面)の変位、および、インクジェットヘッドを外部から観察したときのインクの挙動を示す図である。
駆動信号は、直流バイアス電圧を有する直流バイアス成分とパルス電圧を有するパルス成分とを含む。本実施の形態では、駆動信号は、パルス成分として、予備振動パルス成分、本振動パルス成分および制振動パルス成分を含む。圧電素子3010は、予備振動パルス成分に起因して予備振動動作を実行し、本振動パルス成分に起因して本振動動作を実行し、制振動パルス成分に起因して制振動動作を実行する。また、本実施の形態では、パルス成分の電圧が下降する場合に、インク室301eの体積が膨張してノズル3031内のインクがインク室301eに向けて吸引され、逆に、パルス成分の電圧が上昇する場合に、インク室301eの体積が収縮してノズル3031内のインクが外部に向けて押圧されることとする。すなわち、パルス成分の電圧下降が、ノズル3031内のインクをインク室301eに向けて吸引する吸引動作に相当し、パルス成分の電圧上昇が、ノズル3031内のインクを外部に向けて押圧する押圧動作に相当する。
駆動信号の予備振動パルス成分は、電圧下降と電圧上昇を含む。すなわち、圧電素子3010により実行される予備振動動作は、吸引動作と押圧動作とを含む。ノズル3031内のインクは、吸引動作を引き金として固有振動を開始する。インクの固有振動の半周期Tは、インクジェットヘッド301の構造およびインクの物性により定まる。ノズル3031内のインクの液面は、インクの固有振動に起因して周期的に変位する。予備振動動作の吸引動作から押圧動作までの期間(予備振動期間)の長さは、ノズル3031内のインクの固有振動の半周期Tの1倍の長さ(1T)に調整されている。すなわち、予備振動動作の押圧動作は、ノズル3031内のインクの液面が外部に向けて変位している期間内に実行される。これにより、ノズル3031内のインクに効率よく押圧力を付与することができ、効率よくインクを振動させることができる。予備振動動作は、ノズル3031からインクが吐出されない範囲でノズル3031内のインクを振動させる目的で実行される。従って、予備振動パルス成分の振幅は、ノズル3031内のインクが吐出されない大きさに調整されている。
駆動信号の本振動パルス成分は、電圧下降と電圧上昇を含む。すなわち、圧電素子3010により実行される本振動動作は、吸引動作と押圧動作とを含む。本振動動作の押圧動作は、ノズル3031内のインクの液面が外部に向けて変位している期間内に実行されることが望ましい。これにより、ノズル3031内のインクに効率よく押圧力を付与することができ、効率よくインクを吐出させることができる。本実施の形態では、さらに、本振動動作の押圧動作は、インクの液面が外部に向けて変位している期間の中でもインク液面の変位がゼロとなるタイミングで実行されている。インク液面の変位がゼロとなるタイミングでは、インクの液面の変位の速度が最大となる。そのため、ノズル3031内のインクに押圧力を付与する効率が最大となる。具体的には、本振動動作の吸引動作から押圧動作までの期間の長さは、ノズル3031内のインクの固有振動の半周期Tの1倍の長さ(1T)に調整されている。本振動動作は、ノズル3031からインクが吐出される範囲でノズル3031内のインクを振動させる目的で実行される。従って、本振動パルス成分の振幅は、ノズル3031内のインクが吐出される大きさに調整されている。
駆動信号の制振動パルス成分は、電圧降下を含む。すなわち、圧電素子3010の制振動動作は、吸引動作を含む。制振動動作の吸引動作は、ノズル3031内のインクの振動によりインクの液面が外部に向けて変位している期間内に実行されることが望ましい。これにより、ノズル3031内のインクに効率よく吸引力を付与することができ、効率よくインクを制振させることができる。
なお、発明者らの実験により、予備振動動作の押圧動作から本振動動作の吸引動作までの期間(待機期間)の長さを調整することで、ノズル3031から吐出されるインクの液滴の体積を調整できることが判明した。特に、待機期間の長さをインクの固有振動の半周期Tの奇数倍に調整した場合は、偶数倍に調整した場合に比べてインクが小液滴化される傾向が見られた。また、固有振動の半周期Tの奇数倍の中でも、1倍に調整した場合に比べてインクを小液滴化できる倍数が存在することが判明した。これを踏まえて、本実施の形態では、待機期間の長さを、ノズル3031内のインクの固有振動の半周期Tの1倍の長さに調整された場合に比べてノズル3031から吐出されるインクの液滴の体積が小さくなる、固有振動の半周期Tの奇数倍の長さに調整することとする。図4の例では、待機期間の長さは、ノズル3031内のインクの固有振動の半周期の5倍の長さに調整されている。以下、実験について詳細に説明する。
なお、図4に示す通り、駆動信号の波形は、信号の伝達特性に応じて鈍る場合がある。本明細書では、期間の長さは、電圧降下および電圧上昇の開始時点に基づいて測定するものとする。
<2−5> 実験
発明者らは、待機期間の長さを変化させたときのインクの液滴の体積の変化を観察した。
実験では、待機期間の長さが変化しても、インクの液滴の飛翔速度は変化しないように調整されている。インクの液滴の飛翔速度を一定に維持するのは、インクの液滴の着弾精度の観点から、インクの液滴の飛翔速度に適正な範囲が存在するためである。インクの飛翔速度が遅い場合、インクの液滴が気流の影響を受けやすくなり、着弾精度が低下してしまう。逆に、インクの飛翔速度が速い場合、インク液滴後端部に連結する尾の長さが速度に応じて長くかつ細くなり、ノズル内のインクとの切断時の衝撃により小型軽量の複数の液滴に空中分解しやすくなる。小型軽量の液滴は気流の影響を受けやすいので、この場合も、着弾精度が低下してしまう。このような事情により、インクの液滴の飛翔速度は適正な範囲に維持されることが望ましい。本実験では、インクの液滴の飛翔速度の調整は、本振動動作の振幅を調整することにより実現している。インクの液滴の飛翔速度は、具体的には、5m/sとした。なお、図4のインクの挙動の写真に示される通り、インクが吐出された直後は、吐出されたインクは、ノズル内のインクと尾で連結している。その後、尾が切れて、吐出されたインクが液滴と化す。本明細書では、「飛翔速度」とは、インクが液滴となり空中を飛翔している最中のインクの液滴の速度をいうものとする。
図5は、インクの液滴の体積の測定結果の一例である。図5に示される通り、インクの液滴の体積にはノズルごとに多少のばらつきが存在する。実験では、150個のインクの液滴の体積をそれぞれ測定し、これらの平均値を算出し、これをインクの液滴の体積とみなした。
図6は、待機期間の長さを変化させたときのインクの液滴の体積の変化を示す図である。本実験では、予備振動パルス成分の振幅を本振動パルス成分の振幅の20%とした。インクの粘度は、12mPa・sである。インクの液滴の飛翔速度は5m/sに調整されている。なお、同図には、参考までに、予備振動パルス成分の振幅が本振動パルス成分の振幅の40%の場合の測定結果も1点だけ例示されている。
図6の横軸は、待機期間の長さを、ノズル3031内のインクの固有振動の半周期Tの倍数で表している。同図によると、待機期間の長さを固有振動の半周期Tの奇数倍に調整した場合は、偶数倍に調整した場合に比べてインクが小液滴化される傾向が見られる。例えば、3倍の場合は、その近辺の2倍および4倍の場合よりもインクが小液滴化される。また、5倍の場合は、その近辺の4倍および6倍の場合よりもインクが小液滴化される。従って、インクの小液滴化を図るには、待機期間の長さを固有振動の半周期Tの奇数倍に調整することが望ましいと言える。
また、同図によると、待機期間の長さが固有振動の半周期Tの奇数倍の中でも、倍数を変化させるとインクの液滴の体積が変化することが分かる。例えば、1倍の場合を基準とすると、3倍の場合はインクを小液滴化することができ、5倍の場合はインクをさらに小液滴化することができる。ただし、倍数が大きいほどインクが小液滴化するわけではない。例えば、7倍の場合は5倍の場合よりもインクの液滴の体積は大きくなる。このように、待機期間の長さを固有振動の半周期Tの奇数倍で長くしたとき、インクの液滴の体積が減少するが、ある倍数を境に体積が増加に転じるという傾向が見られる。
以下、上記の結果が得られる理由について図7を用いて考察する。
図7中、駆動信号aは、パルス成分として予備振動パルス成分を含み、本振動パルス成分を含まない。駆動信号aによりインクの液面が振動する。
駆動信号bは、待機期間の長さが固有振動の半周期Tの1倍の長さの場合である。本振動動作の押圧動作は、ノズル内のインクの液面が外部に向けて変位している期間内に実行される(時刻t3)。すなわち、押圧動作による押圧力の向きとノズル内のインクの液面の変位の向きが同じである。従って、ノズル内のインクは押圧動作によりアシストされて、スムーズに外部に吐出される。駆動信号cは、待機期間の長さが固有振動の半周期Tの2倍の長さの場合である。本振動の押圧動作は、ノズル内のインクの液面がインク室に向けて変位している期間内に実行される(時刻t4)。すなわち、押圧動作による押圧力の向きとノズル内のインクの液面の変位の向きが逆である。従って、ノズル内のインクは当初は押圧動作に抗うことになる。しかし、その後、ノズル内のインクは押圧動作に抗いきれずに変位の向きを反転して外部に吐出される。待機期間の長さが固有振動の半周期Tの偶数倍の長さの場合、ノズル内のインクの変位の向きを反転させる必要があるので、大きな押圧力が必要となる(振幅A2)。このような大きな押圧力が付与されるので、ノズルから外部に押し出されるインクの量が多くなり、インクの液滴の大型化を招くと考えられる。これに対して、待機期間の長さが固有振動の半周期Tの奇数倍の長さの場合、ノズル内のインクがスムーズに外部に吐出されるので、インクの液滴の体積が小さくなると考えられる。
また、待機期間の長さが固有振動の半周期Tの奇数倍の場合でも、倍数によりインクの液滴の体積が変化する。駆動信号bの倍数は1倍である。駆動信号dの倍数は5倍である。駆動信号eの倍数は7倍である。ノズル内のインクの振動は、予備振動動作により開始され、時間の経過に伴い次第に減衰する。駆動信号bの押圧動作の時点(時刻t3)では、インクの振動の振幅は比較的大きい状態に維持されている。そのため、本振動動作の押圧動作によりノズル内のインクに押圧力を付与すると、ノズル内のインクが過度に押し出される傾向となる。また、駆動信号eの押圧動作の時点(時刻t9)では、インクの振動の振幅は減衰している。そのため、本振動動作の押圧動作の振幅A7を比較的大きくする必要がある。この場合、ノズル内のインクに大きな押圧力が付与されるため、ノズル内のインクが過度に押し出される傾向となる。これらに対して、駆動信号dの押圧動作の時点(時刻t7)では、インクの振動の振幅は、駆動信号bの押圧動作の時点(時刻t3)よりは減衰しているが、駆動信号eの押圧動作の時点(時刻t9)ほどは減衰していない。そのため、本振動動作の押圧動作の振幅A5は、振幅A1より小さく振幅A7より大きくなり、このとき、ノズル内のインクが適度に押し出される。このような理由で、待機期間の長さを固有振動の半周期Tの奇数倍で長くしたとき、インクの液滴の体積が減少し、ある倍数を境に体積が増加に転じる傾向が現れると考えられる。
なお、インクの粘度が3.4mPa・s、および、8.5mPa・sの場合でも同様の傾向が確認された。上記の原理によれば、インクジェットヘッドの構造やインクの物性を変更しても同様の傾向が現れると考えられる。従って、3.4mP・s、8.5mPa・sおよび12mPa・sに限らず、任意の粘度でも同様の効果が得られると考えられる。少なくとも3mPa・s〜13mPa・sの範囲で有効である。
<2−6> まとめ
上述の通り、待機期間の長さを固有振動の半周期Tの奇数倍で長くしたとき、インクの液滴の体積が減少し、ある倍数を境に体積が増加に転じる傾向が現れる。図6では、7倍よりも大きな倍数の実験結果は現れていないが、倍数を大きくするといずれはインクの液滴の体積が1倍の場合のインクの液滴の体積を超えると考えられる。つまり、奇数倍の中でも1倍の場合よりも小液滴化できる倍数とできない倍数とがある。本実施の形態では、待機期間の長さをノズル内のインクの固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整している。その上で、奇数倍の倍数を、1倍の場合に比べて小液滴化できる倍数とする。これにより、アクチュエータの振動動作の工夫によりインクの小液滴化を実現することができる。
また、固有振動の半周期の奇数倍の倍数は、3倍以上7倍以下であることとしてもよい。この範囲であれば、固有振動の半周期の奇数倍の倍数が1倍の場合よりもインクの小液滴化を図ることができる。また、インクジェット装置では、予備振動動作および本振動動作を一組とするインク吐出動作が所定時間間隔で複数回繰り返される。各インク吐出動作を同じ条件で実行するには、本振動動作に起因するノズル内のインクの振動が次回の予備振動動作を実行する時点で十分に減衰していることが望ましい。その一方で、本振動動作に起因するノズル内のインクの振動が減衰するまである程度の時間が必要である。待機期間の長さをノズル内のインクの固有振動の半周期の7倍以下とすることで、本振動動作から次回の予備振動動作までの時間をある程度確保することができ、次回の予備振動動作を実行する時点でノズル内のインクの振動を十分に減衰させることができる。
また、固有振動の半周期の奇数倍の倍数は、ノズルから吐出されるインクの液滴の体積が最小となる倍数であることとしてもよい。これにより、インクの液滴の体積を最も少量化することができる。
<3> 実施の形態2
実施の形態1に係るインクジェット装置は、有機EL素子やTFTなどの電子デバイスの製造に利用することが可能である。実施の形態2では、電子デバイスの一例である有機EL表示パネルの製造にインクジェット装置を利用する場合について説明する。
<3−1> 有機EL表示パネルの構造
図8は、本発明の実施の形態に係る有機EL表示パネルの部分断面図である。有機EL表示パネル100は、基板101、TFT層102、給電電極103、絶縁膜104、陽極106、隔壁層107、正孔注入層109、正孔輸送層110、有機発光層111、電子輸送層112、電子注入層113、陰極114を備える。
陽極106、正孔注入層109、正孔輸送層110、有機発光層111、電子輸送層112、電子注入層113、陰極114の積層構造が、有機EL素子115に該当する。また、正孔注入層109、正孔輸送層110、有機発光層111、電子輸送層112、電子注入層113がそれぞれ機能層に該当する。
基板101は、有機EL表示パネル100における背面基板である。TFT層102は、有機EL素子115をアクティブマトリクス方式で駆動するための駆動回路と、駆動回路に外部から信号および電力を供給するための各種の配線とを有する。駆動回路は、TFTおよびキャパシタを含む。給電電極103は、駆動回路から有機EL素子115に電力を供給するための電極である。絶縁膜104は、TFT層102および給電電極103により生じる段差を平坦にするために設けられている。絶縁膜104は、陽極106の一部を埋設するためのコンタクトホール118を有する。陽極106の一部は、コンタクトホール118内で給電電極103に接続されている。
陽極106と陰極114との間に電圧が印加されると、陽極106から正孔注入層109および正孔輸送層110を介して有機発光層111に正孔が供給され、陰極114から電子注入層113および電子輸送層112を介して有機発光層111に電子が供給される。有機発光層111は、正孔と電子の再結合に伴い発光する。正孔輸送層110および有機発光層111は、隔壁層107に形成された開口部117内に配される。正孔注入層109、電子輸送層112、電子注入層113および陰極114は、隔壁層107を越えて隣り合うサブピクセル間で連なっている。
図9は、隔壁層107の構造を示す平面図である。図8の部分断面図は、図9のA−A’断面図に相当する。隔壁層107は、XY方向に配列された複数の開口部117を有する。各開口部117に有機EL素子115が配されている。有機EL素子115がそれぞれサブピクセルに相当する。有機EL素子115は、赤色光を出射する有機EL素子115R、緑色光を出射する有機EL素子115G、青色光を出射する有機EL素子115Bを含む。有機EL素子115R,115G、115Bの3つのサブピクセルが1ピクセルを構成する。
<3−2> 各層の具体的な材料
(TFT基板)
基板101の材料としては、例えば、ガラスやプラスチックを利用することができる。ガラスは、例えば、無アルカリガラス、ソーダガラス、無蛍光ガラス、燐酸系ガラス、硼酸系ガラス、石英等を含む。プラスチックは、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン系樹脂等を含む。
絶縁膜104の材料としては、例えば、樹脂材料や無機材料を利用することができる。樹脂材料としては、例えば、感光性材料を利用することができる。このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。無機材料としては、例えば、SiN(窒化シリコン)、SiON(酸窒化シリコン)、SiO(酸化シリコン)、AlO(酸化アルミニウム)が挙げられる。絶縁膜104は、樹脂材料のみから形成されても良いし、樹脂材料と無機材料の両方から形成されても良い。
(陽極)
トップエミッション型の有機EL表示パネルの場合、陽極106の材料としては、光反射性を有する導電材料を利用することができる。ボトムエミッション型の有機EL表示パネルの場合、陽極106の材料としては、光透過性を有する導電材料を利用することができる。光反射性を有する導電材料としては、例えば、Al(アルミニウム)、アルミニウム合金、AG(銀)、APC(銀、パラジウム、銅の合金)、ARA(銀、ルビジウム、金の合金)、MoCR(モリブデンとクロムの合金)、NiCR(ニッケルとクロムの合金)、Mo(モリブデン)、MoW(モリブデンとタングステンの合金)が挙げられる。光透過性の導電材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)が挙げられる。陽極2は、光反射性を有する導電材料の層と光透過性の導電材料の層が積層された多層構造であってもよい。
(隔壁層)
隔壁層107の材料としては、例えば、電気絶縁性の樹脂材料を利用することができる。樹脂材料としては、例えば、感光性材料を利用することができる。このような感光性材料として、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、シロキサン系樹脂、フェノール系樹脂が挙げられる。
(正孔注入層)
正孔注入層109の材料としては、公知の無機材料および有機材料を利用することができる。無機材料としては、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの金属の酸化物が挙げられる。有機材料としては、例えば、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料、あるいは、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、スチルベン誘導体、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物などの低分子有機化合物やポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物が挙げられる。
(正孔輸送層)
正孔輸送層110の材料としては、公知の有機材料を利用することができる。公知の有機材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ポリフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、ブタジエン化合物、ポリスチレン誘導体、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラフェニルベンジン誘導体が挙げられる。
(有機発光層)
有機発光層111の材料としては、公知の有機材料を利用することができる。公知の有機材料としては、例えば、オキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体等の蛍光物質が挙げられる。
(電子輸送層)
電子輸送層112の材料としては、公知の有機材料または無機材料を利用することができる。例えば、バリウム、フタロシアニン、フッ化リチウムを利用することができる。
(電子注入層)
電子注入層113の材料としては、公知の有機材料または無機材料を利用することができる。例えば、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体、ジフェキノン誘導体、ペリレンテトラカルボキシル誘導体、アントラキノジメタン誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリノン誘導体、キノリン錯体誘導体を利用することができる。
(陰極)
トップエミッション型の有機EL表示パネルの場合、陰極114の材料としては、光透過性を有する導電材料を利用することができる。ボトムエミッション型の有機EL表示パネルの場合、陰極114の材料としては、光反射性を有する導電材料を利用することができる。光反射性を有する導電材料および光透過性を有する導電材料としては、陽極106の材料の欄で列挙した材料を利用することができる。
<3−3> 有機EL表示パネルの製造方法
次に、図10、11を用いて、有機EL表示パネルの製造方法の概略を説明し、引き続き、図12を用いて、有機EL表示パネルの機能層を塗布法で形成する場合の塗布工程を説明する。
(概略)
基板101上にTFT層102および給電電極103を形成する(図10(a))。
次に、TFT層102および給電電極103上に絶縁膜104を形成する(図10(b))。絶縁膜104は、給電電極103を部分的に露出するためのコンタクトホール118を有する。これにより、TFT基板105が形成される。
次に、TFT基板105上に、陽極106を形成し、陽極106上に正孔注入層109を形成する(図10(c))。陽極106は、例えば、TFT基板105上に、真空蒸着法またはスパッタリング法を利用して導電材料を堆積し、エッチング法を利用して導電材料をパターニングすることにより形成される。正孔注入層109は、例えば、陽極106上に、真空蒸着法またはスパッタリング法を利用して正孔注入材料を堆積することにより形成される。
続いて、正孔注入層109上に隔壁層107を形成する(図10(d))。隔壁層107は、例えば、正孔注入層109上に感光性材料を塗布し、フォトリソグラフィ法を利用して感光性材料をパターン露光し、その後、感光性材料を現像することにより形成される。これにより、開口部117を有する隔壁層107を形成することができる。
次に、インクジェットヘッド301を利用して、正孔輸送層を形成するためのインクを隔壁層107の開口部117内に塗布する(図10(e))。このインクは、正孔輸送層110を構成するための正孔輸送材料と、正孔輸送材料を溶解または分散するための溶媒とを含む。
続いて、開口部117内のインク中の溶媒を蒸発させることで、正孔輸送層110を形成する(図11(a))。
次に、インクジェットヘッド301を利用して、有機発光層を形成するためのインクを隔壁層107の開口部117内に塗布する(図11(b))。このインクは、有機発光層111を構成するための有機発光材料と、有機発光材料を溶解または分散するための溶媒とを含む。
続いて、開口部117内のインク中の溶媒を蒸発させることで、有機発光層111を形成する(図11(c))。
さらに、有機発光層111および隔壁層107上に電子輸送層112を形成し、電子輸送層112上に電子注入層113を形成し、電子注入層113上に陰極114を形成する(図11(d))。電子輸送層112、電子注入層113および陰極114は、例えば、真空蒸着法またはスパッタリング法を利用して形成される。
(塗布工程)
上記の製造方法では、機能層の一例である正孔輸送層110および有機発光層111が、インクを塗布する塗布法で形成されている。以下、有機発光層111を形成する場合の塗布工程を説明する。塗布工程では、実施の形態1で説明したインクジェット装置を利用する。
図12は、隔壁層の開口部とヘッド部の位置関係を示す図である。
インクジェットヘッド301は、インクを吐出するノズル3031を一定のピッチで複数有する。本実施の形態では、インクジェットヘッド301は6個のノズル3031を有する。このうち5個のノズル3031がY方向に並ぶ1行の開口部117の上空を通過する。同図では、開口部117は、赤色の有機発光層を形成するための開口部117R、緑色の有機発光層を形成するための開口部117Gおよび青色の有機発光層を形成するための開口部117Bを含む。
まず、開口部117Rに赤色の有機発光層を形成するためのインクを塗布する。この塗布工程では、インクジェットヘッド301をY方向に走査させながら、開口部117Rの上空に位置した時点で赤色の有機発光層を形成するためのインクを吐出させる。インクを吐出させるための駆動信号については、実施の形態1で説明した通りである。次に、開口部117Gに緑色の有機発光層を形成するためのインクを塗布する。最後に、開口部117Bに青色の有機発光層を形成するためのインクを塗布する。なお、赤色、緑色および赤色の有機発光層を形成するための各インクの塗布の順番は、これに限定されない。
また、ヘッド部30が、赤色の有機発光層を形成するためのインクジェットヘッド、緑色の有機発光層を形成するためのインクジェットヘッドおよび青色の有機発光層を形成するためのインクジェットヘッドを備えていてもよい。この場合、一回の走査で、赤色、緑色および赤色の有機発光層を形成するための各インクの塗布が完了する。
<4> 変形例
上述の通り、本発明の実施の形態を具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、次のような変形例を採用してもよい。
図13は、予備振動動作の変形例を説明するための図である。本変形例では、予備振動動作は、押圧動作のみで構成される。このように、予備振動動作が押圧動作を含んでいれば、インクの振動を開始することができる。また、予備振動動作の押圧動作から本振動動作の吸引動作までの待機期間も存在する。
図14は、本振動動作の変形例を説明するための図である。本変形例では、本振動動作の吸引動作から本振動動作の押圧動作までの期間の長さが、ノズル内のインクの固有振動の半周期の3倍の長さである。この場合、本振動動作の押圧動作は、ノズル内のインクの液面が外部に向けて変位している期間内に実行される。これにより、ノズル内のインクに効率よく押圧力を付与することができ、効率よくインクを吐出させることができる。なお、本変形例では、3倍であるが、これに限らず、5倍、7倍のように奇数倍であればよい。また、本振動動作の押圧動作がノズル内のインクの液面が外部に向けて変位している期間内に実行されればよいので、ちょうど奇数倍である必要もない。例えば、吸引動作から押圧動作までの期間の長さをPとした場合、以下の条件を満たせば、本振動動作の押圧動作をノズル内のインクの液面が外部に向けて変位している期間内に実行させることができる。ただし、nは1以上の整数であり、Tはノズル内のインクの固有振動の半周期の長さである。
(2n−1.5)T≦P≦(2n−0.5)T
図15は、パルス成分の変形例を説明するための図である。実施の形態では、圧電素子は、予備振動動作、本振動動作および制振動動作を実行している。これに加えて、圧電素子が、固着防止用振動動作を実行することとしてもよい。例えば、ある下地基板にインクを塗布してから、別の下地基板にインクを塗布するまでの間など、長期間にわたりインクが塗布されない場合がある。この場合にノズル内のインクの液面が静止していると、液面付近の溶媒の蒸発により液面付近の機能性材料の濃度が高まり、機能性材料が固化してノズルの内周面に付着してしまうことがある。そこで、ノズル内のインクが吐出しない範囲でノズル内のインクを振動させることで、インクの固着を防止することができる。具体的には、図15に示す通り、駆動信号は、予備振動パルス成分、本振動パルス成分および制振動パルス成分に加えて、固着防止用振動パルス成分を含む。これにより、固着防止用振動動作を実現することができる。また、固着防止用振動動作の振幅が予備振動動作の振幅と同じとしてもよい。これにより、ノズル内のインクが吐出しない範囲での振動を保証することができる。
上記実施の形態では、有機EL表示デバイスの製造にインクジェット装置を適用する場合を例示しているが、本発明は、これに限られない。塗布法で形成可能な機能層を有する電子デバイスであれば、実施の形態1のインクジェット装置を適用することが可能である。例えば、TFTは、ゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層、ソース電極およびドレイン電極を備える。近年、半導体層を塗布法で形成することが提案されている。半導体層を塗布法で形成する場合、半導体層を構成する半導体材料と半導体材料を溶解または分散するための溶媒とを含むインクを準備し、準備されたインクを下地基板上に塗布し、塗布されたインクの溶媒を蒸発させることとすればよい。このインクの塗布に、実施の形態1のインクジェット装置を適用することができる。
本発明は、産業用および家庭用のインクジェット装置に適用可能である。
15 制御装置15
20 インクジェットテーブル
30 ヘッド部
40 インク
100 有機EL表示パネル
101 基板
102 TFT層
103 給電電極
104 絶縁膜
105 TFT基板
106 陽極
107 隔壁層
109 正孔注入層
110 正孔輸送層
111 有機発光層
112 電子輸送層
113 電子注入層
114 陰極
115,115B,115G,115R 有機EL素子
117,117B,117G,117R 開口部
118 コンタクトホール
150 CPU
151 記憶手段
152 入力手段
200 基台
201A,201B,202A,202B スタンド
203A,203B ガイドシャフト
204,205 リニアモータ
210 ガントリー部
211 ガイド溝
213 走査制御部
220 移動体
221 サーボモータ
300 吐出制御部
301 インクジェットヘッド
301e インク室
301i ノズル板
301g リザーバ
301f 流路
301c 外周壁
301h 振動板
301d 隔壁
302 支持部
1000 インクジェット装置
3010 圧電素子
3011,3012 電極
3013 圧電体層
3031 ノズル

Claims (6)

  1. インクを収容するためのインク室、前記インク室に連通するノズル、および、前記ノズル内のインクを振動させるためのアクチュエータを含むインクジェットヘッドと、
    前記ノズルからインクが吐出されない範囲で前記ノズル内のインクを振動させるための予備振動動作、および、前記ノズルからインクが吐出される範囲で前記ノズル内のインクを振動させるための本振動動作を、前記アクチュエータに実行させる制御部と、を備え、
    前記予備振動動作は、前記ノズル内のインクを外部に向けて押圧する押圧動作を含み、
    前記本振動動作は、前記ノズル内のインクを前記インク室に向けて吸引する吸引動作と、前記吸引されたインクを外部に向けて押圧する押圧動作とを含み、
    前記本振動動作の前記押圧動作が、前記ノズル内のインクが振動により外部に向けて変位している期間内に実行され、
    前記予備振動動作の前記押圧動作から前記本振動動作の前記吸引動作までの期間の長さが、前記ノズル内のインクの固有振動の半周期の1倍の長さに調整された場合に比べて前記ノズルから吐出されるインクの液滴の体積が小さくなる、前記固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整されている、
    インクジェット装置。
  2. 前記予備振動動作の前記押圧動作から前記本振動動作の前記吸引動作までの期間の長さが、前記ノズル内のインクの固有振動の半周期の3倍以上7倍以下の奇数倍の長さに調整されている、
    請求項1に記載のインクジェット装置。
  3. 前記予備振動動作の前記押圧動作から前記本振動動作の前記吸引動作までの期間の長さが、前記ノズル内のインクの固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整され、前記奇数倍の倍数がノズルから吐出されるインクの液滴の体積が最小となる倍数である、
    請求項1または2に記載のインクジェット装置。
  4. 前記本振動動作の前記吸引動作から前記本振動動作の前記押圧動作までの期間の長さが、前記ノズル内のインクの固有振動の半周期の奇数倍の長さに調整されている、
    請求項1から3の何れかに記載のインクジェット装置。
  5. 前記制御部は、さらに、前記予備振動動作から前記本振動動作までの期間とは異なる期間に、前記ノズルからインクが吐出されない範囲で前記ノズル内のインクを振動させてインクの固着を防止するための振動動作を前記アクチュエータに実行させ、
    前記インクの固着を防止するための振動動作の振幅が、前記予備振動動作の振幅と同じである、
    請求項1から4の何れかに記載のインクジェット装置。
  6. 機能層を有する電子デバイスの製造方法であって、
    前記機能層を構成する機能性材料と前記機能性材料を溶解または分散するための溶媒とを含むインクを塗布し、前記溶媒を蒸発させることにより前記機能層を形成し、
    前記インクの塗布は、請求項1から5の何れかに記載のインクジェット装置を用いて行う、
    電子デバイスの製造方法。
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