JP2016005226A - Icタグ共振周波数の調整方法およびicタグ - Google Patents
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Abstract
【課題】ICタグ製造後あるいは物品貼付時に必要な共振周波数の調整ができる技術の提供である【解決手段】少なくとも、ループアンテナ2と、ループアンテナ2とともに共振回路を構成するコンデンサー7と、共振回路を介して電波を送受信するICチップ3と、を備えるICタグ1において、前記ループアンテナ2を部分的に被覆するように金属膜6を近接させることを特徴とするICタグ共振周波数の調整方法であって、金属膜の大きさが、ループアンテナサイズの1/4〜1/2であることを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、ICタグに係り、特には物品に貼付することで共振周波数が変化したICタグの共振周波数のリカバリー技術に関する。
無線によりICチップに蓄積された情報を読みだせるRFIDタグ(以下、ICタグと記す。)は、入出退管理用の非接触IDカードや定期券に内蔵されて用いられる一方、市場に流通する種々の物品にラベルとして貼付され、万引き防止用、真贋判定用、履歴管理、流通管理、在庫管理、等の用途で利用されている。これらのキーパーツであるICタグ自体は、図1(a)、図7に示すように電磁波を送受信するループ状のアンテナ2とループアンテナ2につながるICチップ3を薄い基材4上に並べて、当該基材4の表裏を図示しないフィルム基材、プラスチック基材あるいは紙基材等で被覆しただけの非常に簡単な構造である。
ICチップ駆動用のエネルギーは、一般にICタグに近接して置かれたリーダライタから放射される電磁波から受け取り、エネルギー源として電池を内蔵する必要がないため小型軽量化でき、破壊されない限り半永久的に使用できる。通信周波数は、アンテナのコイル径を小さくできる13.56MHzや900MHz帯あるいは2.45GHz帯が使用され、通信可能な距離は、数十cmから1m程度である。
特に封緘シール用のラベルとして段ボール、封印用袋、電子機器類の筺体などの折り目や、玩具などに貼り付けられたICタグラベルは、貼付された物品が買い手に渡った後では、封緘シールとしての機能を果たし終えてしまうが、ICタグの機能がそのまま維持されている。すると、ICチップの内容が読み取られたりするおそれや、中身が改竄されて悪用されるおそれがある。そのため、ICタグラベルを取り外して、開封する時に、外力によりICタグ自体が自壊して、ICタグとしての機能が失われることが好ましい。それもできるだけ弱い外力で破壊されるような脆性機能が付与されることもある。
ところで、ICタグにおける電磁誘導方式の通信方式においては、リーダライタ側のアンテナによって生じる磁界がICタグに内蔵されたループアンテナの閉ループを貫くことによって誘起起電力が発生し、ICチップに電力が供給されて、ICチップをアクティベートし、リーダライタとの通信が可能となる。したがって、リーダライタからの放射磁界をループアンテナで受けてICタグと通信できる距離内であればICタグ側にバッテリーを内蔵しなくとも半永久的に通信可能である。
そこで、リーダライタ側のアンテナで生じる磁束を通信媒体側のループアンテナでより多く補足することが、安定した通信のために不可欠である。このためには送信側のアンテナ面と受信側のアンテナ面が平行になるようにして磁束がアンテナ面をより多く貫通するように配置する必要があり、その配置で電波の授受の効率が最大になる必要がある。
一般に電波の受信効率は、送信された電波と受信側のシステムが共振(同調)した時に最も効率が高くなる。共振系は、図6に示すようにコイル(インダクタンスL)26bとコンデンサー(容量C)27から構成され、共振周波数fは1/(2π√(LC))で決まる。受信側の共振周波数f1と送信側の電波の周波数f2が一致する必要がある。大きくずれると十分なレベルの信号が得られず通信の安定性が損なわれる。
リーダライタ側のアンテナ系の共振周波数f1の設定と維持は,携帯されたり物品に貼
付されるICタグのそれに比べると容易であるが、ICタグの共振周波数f2は、f1に一致するように設計製造しても,ICタグが装着される環境が異なると共振周波数f2がずれる可能性がある。ずれを考慮して予め共振周波数を変えたICチップを製造すればよいがコスト的に難しい。また、ICタグ用途が不明な場合には、どれだけ変えればいいのか皆目見当がつかないし、製品化された後では共振周波数の調整はむずかしいという問題がある。
付されるICタグのそれに比べると容易であるが、ICタグの共振周波数f2は、f1に一致するように設計製造しても,ICタグが装着される環境が異なると共振周波数f2がずれる可能性がある。ずれを考慮して予め共振周波数を変えたICチップを製造すればよいがコスト的に難しい。また、ICタグ用途が不明な場合には、どれだけ変えればいいのか皆目見当がつかないし、製品化された後では共振周波数の調整はむずかしいという問題がある。
ICタグ側の共振周波数を調整する技術の一例が特許文献1に開示されている。コンデンサーの容量Cは、図7に示すようにループアンテナ2が形成された基材4の表裏の一方にくし型電極を形成し、反対側の表面にくし型電極と直交する電極を形成し、対抗する電極部分をコンデンサー7とし、タグ製造時に、一方の電極を切断して対抗する電極面積を調整できるようにしている。
コイルのインダクタンスLについては、ループアンテナの一部に閉ループを敷設し、この回路を切断可能にして閉ループの数あるいは囲う面積を変えて、インダクタンスの調整を可能にしている。いずれもLとCが減少する方向にしか調整できないという問題と、ICタグ製造時にしか調整ができないという問題がある。
別の一例は、ループアンテナ部分に磁性体シートを貼り付けるものである(特許文献2参照)。アンテナループを貫通する磁束の量が増大することで相互インダクタンスも増大し、共振周波数を低いほうに調整することが可能である。高いほうに共振点をシフトさせることは難しい。
以上説明したように、ICタグの共振周波数の調整は、基本的には製品化以前に行うことを前提とする技術であって、完成品となってしまったICタグについては、共振周波数の調整ができない。したがって、ICタグを貼り付ける対象が不特定なもの、使用環境に応じて変化する可能性のあるICタグについては、共振点の調整はできない。
さらに、製造工程におけるICタグが、アンテナロール状になっている場合は、通信検査工程で隣のICタグと通信してしまうことがある。この誤通信を防止する対策として、ICタグ全体を金属面で覆う必要があり、検査工程が煩雑になるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ICタグ製造後あるいは物品貼付後に共振周波数の調整が必要になる場合に適用できるICタグの共振周波数の調整技術の提供である。
上記課題を達成するための請求項1に記載の発明は、少なくとも、ループアンテナと、ループアンテナとともに共振回路を構成するコンデンサーと、共振回路を介して電波を送受信するICチップと、を備えるICタグにおいて、
前記ループアンテナを部分的に被覆するように金属膜を近接させることを特徴とするICタグ共振周波数の調整方法としたものである。
前記ループアンテナを部分的に被覆するように金属膜を近接させることを特徴とするICタグ共振周波数の調整方法としたものである。
上記課題を達成するための請求項2に記載の発明は、前記金属膜の大きさが、ループアンテナサイズの1/4または1/2であることを特徴とする請求項1に記載のICタグ共振周波数の調整方法としたものである。
上記課題を達成するための請求項3に記載の発明は、少なくとも、ループアンテナと、ループアンテナとともに共振回路を構成するコンデンサーと、共振回路を介して電波を送受信するICチップと、を備えるICタグに、ICタグが物品に装着されることで生じる共振周波数の変化を補償するための共振点調整用金属膜を、前記ループアンテナの所定の部位に後付した、ことを特徴とするICタグとしたものである。
上記課題を達成するための請求項4に記載の発明は、前記共振点調整用金属膜の大きさが、ループアンテナサイズの1/4または1/2であることを特徴とする請求項3に記載のICタグとしたものである。
上記課題を達成するための請求項5に記載の発明は、前記共振点調整用金属膜が支持体の一方の面に形成され、他方の面上に意匠性のある図柄を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のICタグとしたものである。
本発明によれば、ICタグ完成品を物品に貼付した後でも共振周波数の調整が可能である。例えば、誘電率の高い樹脂にICタグを貼り付けたことで、共振周波数が低周波側にシフトした場合に通信する上でのゲインが低下することがあるが、ICタグの表面に金属膜シールを貼り付けることで共振周波数を元に値に戻して所望のゲインを得ることができて安定した書き込み読み込みが可能となる。
金属膜だけをICタグ表面に貼り付けると、意匠性が低下して見た目が好ましくなくなるが、金属膜を支持基材上に設けて支持基材の表面に文字、図形等を印刷して意匠性のあるラベルにしておいて、ICタグのループアンテナ面を覆うように後付すれば外観を悪化させずに済むという効果が見込める。
ICタグのロールツーロール製造工程における通信性能の検査において、アンテナがロール状になってICタグが隣接していると、検査対象以外のICタグをシールドすることが必要であるが、本発明になる金属膜シールを使用すればアンテナの半分もしくは1/4をシールドすることで共振周波数をシフトすることができる。そのためあえてICタグ全体をシールドする必要がないという効果が見込める。
本発明は、リーダライタシステムと電波を送受信するICタグ(RFIDタグ)の通信性能の向上に関する。そこで先ず、リーダライタとICタグ間の送受信システムの概要を説明する。図6は、送受信システムの概要を説明するブロック図である。
送受信システムは、アンテナを介してICタグ側のメモリー31の情報を読み書きする通信制御部と第一のループアンテナ26aからなるリーダライタ21、および第二のループアンテナ26bとICチップ3からなるICタグ20側を基本構成とする。
送受信システムは、アンテナを介してICタグ側のメモリー31の情報を読み書きする通信制御部と第一のループアンテナ26aからなるリーダライタ21、および第二のループアンテナ26bとICチップ3からなるICタグ20側を基本構成とする。
図1(a)、図7に示すように、ICタグ1は、硬質のリジッド基板または軟質なFPC(Flexible Print Circuit Board)基板等の支持基板4上にループアンテナ2と、ループアンテナ2と対になって共振回路を構成するコンデンサー7、及びICチップ3を備えている。また、通常はループアンテナやICチップ等を保護するために意匠性を備える保護層で被覆されている。リーダライタ側の通信用のループアンテナも硬質のリジッド基板または軟質なFPC基板等の支持基板上に形成搭載されている。
ループアンテナ2は、支持基材4の表面に、外形が概ね40mm×20mm程度の大きさで枠(ループ)状に敷設されている。線幅が10μm程度以上の導電性パターンを複数回ループ状に引き回し、一端を、スルーホールを用いて裏面側に一度退避させてから再度表面に引き出してアンテナ両端を接続用アイランドにつなげている。電子部品(固体素子)やICチップは、これらの端子が、接続用アイランドにはんだ接続もしくは異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)あるいは異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)を介して接続・固定される。
リジッド基板には、FR4などのガラス繊維を含むガラスエポキシ基板、テフロン基板(登録商標)、セラミック基板等がある。フレキシブル基板には、PET(ポリエチレンテレフタレート),PEN(ポリエチレンナフタレート)、PS(ポリスチレン)、PI(ポリイミド)等の樹脂フィルムが使用できる。コンデンサー等の電子部材の形成やパッケージ類の搭載および端子接続工程が伴うことを考慮すると基板には150℃以上の耐熱性があることが好ましい。
支持基板上に形成するアンテナパターンを含む導電パターンは、厚みが20μm程度の銅箔あるいはアルミ箔の打ち抜き加工や所定温度の塩化第二鉄溶液を用いるエッチング加工、あるいは銀、カーボン、金等からなる導電性インクを用いてパターン印刷してから、焼結乾燥により形成する。導電層の厚みは、使用した材料の抵抗によるが、概ね10〜150μmの範囲である。
導体パターンの形成を、導電性インキを用いて印刷で行う場合には、紙基材も使用できる。紙基材は、上質紙、アート紙、コート紙、マット紙、合成紙等の紙基材のいずれかから選択して用いられる。あるいは、これらフィルム、紙にカオリン、炭酸カルシウムの可塑剤を分散して脆性を付与した基材も使用できる。合成紙は、合成樹脂中に空孔を細かく分散させ多孔質状に成型されたもので固体と気体の不均一分散系である。
支持基板4の厚みは特に制限されるものではないが、コストや重さを考慮すると50〜500μmの範囲が好ましい。本発明では、200μm厚のFR4シートを用いている。
ループアンテナ2と共振回路を構成するコンデンサーについては、支持基材4上にループアンテナ3を形成するのと同時に基材4の表裏に対抗する導体パターンを形成してコンデンサー7とすることができる。リーダライタ側の共振回路については導体パターンからなるコンデンサーでも構わないし、通常の固体素子タイプのコンデンサーでも構わない。
次に、ループアンテナを用いたICタグの送受信システムの機能面の概要について説明する。図6は、送受信システムの一構成例をブロック図で表わしたものである。これは、電源供給用のバッテリーを有しないバッテリーレス型のICタグが用いられている。ICタグ側のコンデンサー27とループアンテナ26bは共振回路を構成し、リーダライタ21側のアンテナ26aから放射された電磁波を受信し、受信した電磁波を電気信号に変換した後、ICチップ3側で処理する。
リーダライタ21は、ホストコンピュータ22、DPU(Digital Processing Unit23)、変調・復調回路24、25、ループアンテナ26aから構成されている。ホストコンピュータ22は、DPU23を制御して、ICタグ側のメモリ31に所定のデータを書き込むか、または、所定のデータを読み出して、リーダライタ側のディスプレイ上に表示する等の機能がある。
DPU23は、ホストコンピュータ22からの指令に基づいて、各種制御用のコントロール信号と送信データを生成し変復調回路に供給する。逆に、変復調回路を介してICチップ7からデータを取得して再生データを生成し、ホストコンピュータ22に出力する。変復調回路24,25は、送信データを送信波に重畳して変調し、または、ICチップ側からの変調波を復調し、DPU23に入力する。ループアンテナ26aは、変調信号に対応する電磁波を放射する。
ICチップ側は、図6の右側に示すように、ループアンテナ26bとコンデンサー27よりなる共振回路とICチップ3から構成されている。共振回路の共振周波数は、一般にリーダライタ側の発振器の発振周波数と同じ値に設定されている。
ICチップ3には、整流回路32、変調回路24、復調回路25、レギュレータ29、シーケンサ30、ハイパスフィルター28、メモリ31等が組み込まれている。整流回路32は、ループアンテナ26bより供給された信号を整流平滑化し、正のレベルの電圧を、レギュレータ29に供給している。レギュレータ29は、前記電圧を、安定化させ、所定のレベルの直流電圧に変換し、シーケンサ30、その他の電子回路に電力を供給する。
整流回路32につながる変調回路24は、図示はしないがインピーダンス素子とFET(Field Effect Transistor)の直列回路により構成されており、共振回路のコイルを構成するループアンテナ26bと並列に接続されている。FETは、シーケンサ30からの信号に対応してインピーダンス素子がループアンテナ26bに対して並列に挿入された状態、または挿入されない状態にスイッチングする機能がある。これにより、リーダライタ21側のループアンテナ26aに対するRFID20側の負荷が変化される。
ハイパスフィルター28は、コンデンサーと抵抗から構成されるが、整流回路32により整流平滑された信号に重畳されている高周波成分を抽出して、復調回路25に供給する機能を有する。復調回路25は、入力された高周波成分の信号を復調し、シーケンサ30に出力する。シーケンサ30は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)を内部に有しており、復調回路25より入力された信号(コマンド)をRAMに記憶させ、ROMに内蔵されているプログラムに従ってこれを解析し、解析された結果に基づいて、必要に応じてメモリに格納されているデータを読み出す。シーケンサ30はさらに、コマンドに対応するレスポンスを返すためにレスポンス信号を生成し、変調回路24に供給する機能を有している。
また、シーケンサ30は、復調回路25より供給されたコマンドが読み出しコマンドである場合、そのコマンドに対応するデータをメモリから読み出す。シーケンサ30は、
読み出したデータに対応して、FETをオン、またはオフする。FETがオンされると、インピーダンス素子がループアンテナ26bに並列に接続され、FETがオフされると、その並列接続が解除される。その結果、ループアンテナ26bを介して電磁結合しているリーダライタ側のループアンテナ26aの負荷回路のインピーダンスが、読み出しデータに対応して変化される。
読み出したデータに対応して、FETをオン、またはオフする。FETがオンされると、インピーダンス素子がループアンテナ26bに並列に接続され、FETがオフされると、その並列接続が解除される。その結果、ループアンテナ26bを介して電磁結合しているリーダライタ側のループアンテナ26aの負荷回路のインピーダンスが、読み出しデータに対応して変化される。
リーダライタ側のループアンテナ26a端子電圧は、その負荷のインピーダンスの変化に応じて変化する。復調回路25は、この変化を読み取ることにより、読み出されたデータを復調し、DPU23に出力する。DPU23は、入力されたデータを適宜処理し、ホストコンピュータ22に出力する。ホストコンピュータ22は、DPU23より入力された読み出しデータを処理し、必要に応じて図示せぬディスプレイ上に表示するようになっている。
リーダライタ21とICタグ20間の通信性能の安定性は、リーダライタのアンテナ26aとICタグのアンテナ26bの性能に依存しており、これらの二つのアンテナの共振周波数は同じになるように設計・設定がされている。ICタグの共振回路は、図1(a)、図7に示すようにループアンテナ2とコンデンサー7から構成されるが、その等価回路は図6中に示してある。共振周波数fは、f=1/(2π√(LC))で与えられる。
ところが、この共振周波数は、コイルのインダクタンスLとコンデンサーの容量Cで決まるが、一般的にはループアンテナ2が形成されている基材4の厚み、配線パターンの線幅のばらつき等により前記設計値からΔfだけシフトすることがある。あるいは、ICタグを誘電率が高い物品に貼り付けたり、ボンベや缶などの金属に近接して貼付されたりすると共振点がシフトすることがある。こうなると、リーダライタから放射された電波の受信効率(通信レベル)が低下して通信の安定性が悪化する。
したがって、この共振点のシフトΔfは、同じICタグであってもそれがおかれる近接環境によって異なる場合がある。したがって、どのような環境に置かれるかが判明した時点で事後的にICタグの共振点のシフトΔfを補正できれば好ましい。増加すれば減らし減る場合には増加できるのが好ましい。
本発明は、シフトした共振周波数をあらかじめ設定されている値に事後的に補正する簡便な方法とICタグ構成を提供する。その具体的方法・構成とは、ICタグ側のループアンテナのアンテナ面に平行に金属膜を近接して配置することである。
ループアンテナでは、時間的に変動する磁場がアンテナ線間と閉ループを貫通するように分布している。金属膜がこの磁場内に置かれると金属板表面に渦電流が誘起されるが、この渦電流に付随する磁場は時間変動する磁場の変化を妨げるように誘起される。磁場変化が妨げられるということは、金属膜の存在によってループアンテナのインダクタンス(抵抗)Lが実質的に小さくなることを意味している。したがって、f−1∝√LCで決る共振周波数は高周波側にシフトすることになる。
したがって、もしICタグの共振周波数が何らかの外部環境的な要因で低周波側にシフトした場合には、金属膜でループアンテナを部分的に被覆すれば共振点を本来の値に戻すことができる。但し、金属膜でループアンテナを完全に被覆してしまうとシールドされて通信ができなくなる。アンテナ回路面と金属膜面の距離と被覆するアンテナ回路面の範囲を調整することで共振点の変化量を制御できる。被覆範囲を1/2〜1/4とすれば1MHz〜3MHzの範囲で共振点のシフトは可能である。
金属膜としては、10〜50μm程度の厚みで所定の大きさのアルミ箔あるいは銅箔が
好適である。これら単体箔を既製のICタグのアンテナ部分を覆うように接着層を介して直接貼り付けることができる。外観上の問題がある場合は、アルミ箔ならば箔に直接印刷しても構わないし、図8に示すようにフィルムや紙等の支持基材9上にいったん前記金属箔6を貼り付けてから支持基材9の箔と反対側の面に印刷層8を設け、ICタグに貼り付けても構わない。貼り付け用の粘着剤を予め着けておくことができる。
好適である。これら単体箔を既製のICタグのアンテナ部分を覆うように接着層を介して直接貼り付けることができる。外観上の問題がある場合は、アルミ箔ならば箔に直接印刷しても構わないし、図8に示すようにフィルムや紙等の支持基材9上にいったん前記金属箔6を貼り付けてから支持基材9の箔と反対側の面に印刷層8を設け、ICタグに貼り付けても構わない。貼り付け用の粘着剤を予め着けておくことができる。
ICタグの通信規格としては、HF帯(13.56MHz)に、人が持つ近接型としてISO14443TypeA,TypeB,TypeCがあり、物品管理としてISO15693がある。さらにNFCの統合規格として、ISO14443TypeAとTypeCを統合したNFC IP1(ISO18092)がある。これら全ての規格を統合したNFC IP2(ISO21481)がある。本発明はいずれの規格のICラグにも適用できる。
ICタグは,厚さが18μmの銅箔を貼り付けた厚みが50μmのPET基材上に定法のウエットエッチング法を適用して、図1(a)に示すようなコイル状のアンテナパターン2、接続用端子及びコンデンサー用の電極パターンを敷設した。アンテナサイズは、外形サイズで37mm×21mmである。アンテナ末端に接続するICチップは、概ね0.4〜1.0mm角程度の大きさである。通信周波数は、13.56MHz(HF)、900MHz、2.45GHz(UHF)のいずれかが好ましいが、特にこの周波数に制限されず用途に応じて選択できる。ICチップと接続部を保護するためにICチップを封止樹脂で被覆することもできる。
本実施例では、ICチップはHF帯(ISO14443)準拠品を使用し、具体的には、NXP社製I/CODE SLIXを使用した。ICチップを、アンテナ末端の接続用アイランドにACPを介して接続し、その後、表裏をPETで被覆して保護した。
このICタグの共振スペクトルの実部と虚部を図1(b)に示した。共振周波数は15MHzであった。この基準の共振周波数を、図2以下では縦の破線で示す。
このICタグの共振スペクトルの実部と虚部を図1(b)に示した。共振周波数は15MHzであった。この基準の共振周波数を、図2以下では縦の破線で示す。
次に、厚さが100μmの剛性のある銅箔を準備した。金属膜のサイズは、図2(a)に示すように外形が37mm×21mmのアンテナの長辺もしくは短辺を覆えるようないくつかのサイズのものを準備した。
先ず、図2(a)に示すようにY軸方向に伸在する左右のアンテナ面の一方を金属膜が被覆するように装荷させて共振点のシフトを調べた。アンテナ面と金属膜面は平行で離間距離は、1μm程度とした。結果を図2(b)に示した。共振周波数は16.8MHzとなって高周波側にシフトするのが観察された。
次に、図3(a)に示すように、アンテナ面の1/2を被覆するようにX,Y軸方向に金属膜を装荷させて共振点を測定した。結果は図3(b)に示したが、共振周波数は18.5MHzであった。
次に、図4(a)に示すようにX軸方向に伸在する上下のアンテナ面の半分(概ね1/4)を金属膜が被覆するように装荷させて共振点のシフトを調べた。結果を、図4(b)に示したが、共振周波数は14.5MHzで、金属膜がある場合に比べて低周波シフトが観察された。
次に、図5(a)に示すようにX、Y軸方向に伸在するアンテナ面の1/2を金属膜が被覆するように装荷させて共振点のシフトを調べた。結果を、図5(b)に示したが、共振周波数は、概ね16.3MHzであって、この場合には共振周波数は高周波側にシフト
していた。
していた。
金属膜を装荷させない場合に比較して、金属膜を、アンテナ面を覆うように装荷させると共振周波数を3.5MHz以下の範囲でシフトさせることができた。このことは、あらかじめ決った共振周波数を有するICタグに、金属膜を近接させて後付貼付することで共振周波数をシフトできることを意味しており、物品に貼付することで共振点が変動する場合にもとの共振周波数に補正する場合に有効である。
金属は貼り方(被覆する面積とアンテナ面からの距離等)を工夫することで、低周波側にも高周波側にも補正することが可能である。
また、リールツーリール工法でICタグを製造して通信性能の検査を行う場合、隣接するICタグの距離は、20〜70mm程度となる。この距離であると隣接したICタグを読んでしまうおそれがあるので、金属箔からなるマスキングテープを貼り付けた台座を工程内に設置している。金属膜シールを使用すればアンテナの半分もしくは1/4をシールドすることで共振周波数をシフトすることができる。そのためあえてICタグ全体をマスキングする必要がなくなる。
1、ICタグ(RFIDタグ)
2、ループアンテナ(回路)
3、ICチップ
4、基材
5、保護膜
6、金属膜
7、コンデンサー
8、印刷層
9、基材
10、接続用アイランド
20、ICタグ
21、リーダライタ(RW)
22、ホストコンピュータ
23、DPU
24、変調回路
25、復調回路
26、ループアンテナ
26a、リーダライタ側
26b、RFID側
27、コンデンサー
28、ハイパスフィルター
29、レギュレータ
30、シーケンサ
31、メモリ
32、整流回路
2、ループアンテナ(回路)
3、ICチップ
4、基材
5、保護膜
6、金属膜
7、コンデンサー
8、印刷層
9、基材
10、接続用アイランド
20、ICタグ
21、リーダライタ(RW)
22、ホストコンピュータ
23、DPU
24、変調回路
25、復調回路
26、ループアンテナ
26a、リーダライタ側
26b、RFID側
27、コンデンサー
28、ハイパスフィルター
29、レギュレータ
30、シーケンサ
31、メモリ
32、整流回路
Claims (5)
- 少なくとも、ループアンテナと、
ループアンテナとともに共振回路を構成するコンデンサーと、
共振回路を介して電波を送受信するICチップと、
を備えるICタグにおいて、
前記ループアンテナを部分的に被覆するように金属膜を近接させることを特徴とするICタグ共振周波数の調整方法。 - 前記金属膜の大きさが、ループアンテナサイズの1/4または1/2であることを特徴とする請求項1に記載のICタグ共振周波数の調整方法。
- 少なくとも、ループアンテナと、
ループアンテナとともに共振回路を構成するコンデンサーと、
共振回路を介して電波を送受信するICチップと、を備えるICタグに、
ICタグが物品に装着されることで生じる共振周波数の変化を補償するための共振点調整用金属膜を、
前記ループアンテナの所定の部位に後付した、ことを特徴とするICタグ。 - 前記共振点調整用金属膜の大きさが、ループアンテナサイズの1/4または1/2であることを特徴とする請求項3に記載のICタグ。
- 前記共振点調整用金属膜が支持体の一方の面に形成され、他方の面上に意匠性のある図柄を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のICタグ。
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JP2014126134A JP2016005226A (ja) | 2014-06-19 | 2014-06-19 | Icタグ共振周波数の調整方法およびicタグ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018180807A (ja) * | 2017-04-10 | 2018-11-15 | 凸版印刷株式会社 | コイン形状のicタグとその製造方法 |
JPWO2019225297A1 (ja) * | 2018-05-25 | 2021-05-27 | 川崎重工業株式会社 | 輪軸用rfidタグユニット |
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2014
- 2014-06-19 JP JP2014126134A patent/JP2016005226A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018180807A (ja) * | 2017-04-10 | 2018-11-15 | 凸版印刷株式会社 | コイン形状のicタグとその製造方法 |
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JP7161527B2 (ja) | 2018-05-25 | 2022-10-26 | 川崎車両株式会社 | 輪軸用rfidタグユニット |
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