以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1) 本明細書が開示する蓄電装置では、金属部材の上端部は、柱状部を一巡すると共に、ケース上壁と基底部の間に配置されていてもよい。絶縁部材は、金属部材の上端部とケース上壁の間に配置されていてもよい。この構成によると、金属部材の上端部とケース上壁の間に絶縁部材を配置することにより、金属部材の上端部とケース上壁の間の空間において金属部材の上端部とケース上壁とが接触することを抑制できる。このため、ケース上壁及び金属部材(特に、金属部材の上端部)の腐食を抑制することができる。
(特徴2) 本明細書が開示する蓄電装置では、特徴1に加えて、金属部材の上端部が、基底部の径方向において、基底部の外周端と同じ位置から柱状部側に向かって延びており、金属部材の内周部側の端面と柱状部との間には間隔が形成されていてもよい。絶縁部材は、金属部材の内周部側の端面を覆っていてもよい。この構成によると、ケース上壁の変形などにより、ケース上壁と金属部材の内周部側の端面とが接触することを抑制できる。このため、ケース上壁及び金属部材(特に、金属部材の上端部)の腐食をより抑制することができる。
(特徴3) 本明細書が開示する蓄電装置では、絶縁部材が、金属部材の上端部とケース上壁の間に配置される第1部分と、基底部とケース上壁の間に配置される第2部分と、金属部材と基底部の外周面との間と、金属部材と変形板との間と、金属部材と通電板との間に配置される第3部分と、を有していてもよい。絶縁部材は、金属部材を、基底部、変形板及び通電板から絶縁していてもよい。この構成によると、金属部材の上端部とケース上壁の間に配置される絶縁部材が、金属部材を基底部、変形板及び通電板から絶縁する役割も果たしている。このため、金属部材を基底部、変形板及び通電板から絶縁する絶縁部材を別に設ける必要はなく、部品点数を低減できる。
(特徴4) 本明細書が開示する蓄電装置では、特徴3に加えて、絶縁部材と金属部材が、インサート成形により一体的に形成されていてもよい。この構成によると、部品点数をさらに低減でき、製造効率がより上昇すると共に製造コストをより低減することができる。
(特徴5) また、本明細書は、上記の蓄電装置を複数備え、それら複数の蓄電装置が直列接続されている蓄電装置モジュールを開示する。この蓄電装置モジュールでは、蓄電装置モジュールを構成する複数の蓄電装置のそれぞれにおいて、ケース上壁と金属部材とが対向する対向空間に絶縁部材が配置されている。このため、各蓄電装置においてケース上壁及び金属部材の腐食を抑制することができ、蓄電装置モジュールの機能が低下することを抑制することができる。
実施例1の蓄電装置100について図1〜3を参照して説明する。蓄電装置100は、二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池である。図1に示すように、蓄電装置100は、ケース1と、電極組立体3と、かしめ端子5、7と、電流遮断装置30を備えている。ケース1は、アルミニウムにより形成されており、略直方体形状である。ケース1の内部には、電極組立体3と電流遮断装置30が収容されている。電極組立体3は、負極電極と正極電極を備えている。負極集電タブ43が負極電極に固定されており、正極集電タブ45が正極電極に固定されている。ケース1の内部には、電解液が収容されている。なお、ケース1を形成するアルミニウムが「第1金属」の一例に相当する。
ケース1には、開口11、13が形成されている。以下では、ケース1において、開口11、13が形成されている壁を特にケース上壁9と称する。即ち、電極組立体3に対してケース上壁9が位置している側が上側であり、電極組立体3に対してケース上壁9が位置している側と反対側が下側である。かしめ端子5は、開口11を介してケース1の内外に通じており、かしめ端子7は、開口13を介してケース1の内外に通じている。かしめ端子5の下端はケース1の内部に位置しており、電流遮断装置30(後述)に接続されている。電流遮断装置30は、接続端子23及び負極リード25を介して、負極集電タブ43に接続されている。負極リード25は、絶縁シート27によってケース上壁9から絶縁されている。一方、かしめ端子7の下端はケース1の内部に位置しており、正極リード41を介して正極集電タブ45に接続されている。正極リード41は、絶縁シート29によってケース上壁9から絶縁されている。
ケース上壁9の上面には、樹脂製のガスケット62、63が配置されている。ガスケット62は、ケース上壁9より上方に突出した突出部66と、ケース上壁9に沿って伸びる平板部68を有する。突出部66はケース上壁9の中央側に配置され、平板部68はケース上壁9の開口11側に配置される。ガスケット62の上面には、外部端子60が、ガスケット62の上面の形状に沿って配置されている。突出部66には、更に平板部68と平行に延びる部分を有し、この部分には、有底穴62aが形成されている。ボルト64の頭部は、この有底穴62aに配置されている。ボルト64の軸部は、外部端子60の開口を通って上方に突出している。かしめ端子5、外部端子60及びボルト64は、互いに電気的に接続されており、負極端子を構成している。ガスケット63、外部端子61及びボルト65の構成は上述したガスケット62、外部端子60及びボルト64の構成と同様である。かしめ端子7、外部端子61及びボルト65は、互いに電気的に接続されており、正極端子を構成している。
ここで、図2を参照してかしめ端子5について説明する。図2は、図1の二点鎖線部200aの拡大図を示す。かしめ端子5は、円筒部14、基底部15及び固定部16を有する。円筒部14は円筒形状をしており、開口11を挿通している。円筒部14には軸方向(上下方向)に貫通孔14aが形成されている。このため、貫通孔14a内は大気圧に保たれる。基底部15は環状に形成されており、円筒部14の下端に配置されている。即ち、基底部15はケース1の内部に位置している。基底部15の上面は円筒部14の軸方向と略直交している。基底部15の外径は、開口11の径より大きい。円筒部14と基底部15は同心円状に配置されている。基底部15の下面中央には、凹所15aが形成されている。凹所15aの中心と貫通孔14aは連通しており、凹所15a内は大気圧に保たれる。固定部16は環状に形成されており、円筒部14の上端に配置されている。即ち、固定部16はケース1の外部に位置している。かしめ端子5は、固定部16によりケース上壁9に固定されている。かしめ端子5がケース上壁9に固定される前は、固定部16は円筒部14の軸方向に延びている。即ち、円筒部14と固定部16は、軸方向に延びる1つの円筒状の部分を構成している(以下、当該部分を円筒部分という)。なお、円筒部14は、「柱状部」の一例に相当する。
かしめ端子5をケース上壁9に固定する際には、円筒部分をケース1の内部から開口11、ガスケット62の開口及び外部端子60の開口に挿通させる。その後、円筒部分の上部(ケース1の外部に突出している部分)を軸直方向外側に屈曲させて押し広げる。これにより、当該円筒部分は外部端子60の上面に当接し、かしめ端子5がケース上壁9にかしめ固定される。当該円筒部分(即ち、円筒部分のうち屈曲された部分)が固定部16に相当する。かしめ端子5をケース上壁9に固定することで、シール部材19(後述)、絶縁部材36(後述)、ガスケット62及び外部端子60がかしめ端子5とケース上壁9との間に挟持される。このとき、ケース上壁9と基底部15と固定部16は互いに略平行となっている。ガスケット62により、外部端子60とケース上壁9との絶縁性が確保される。
次に、図2を参照して、かしめ端子5とケース上壁9との間に配置されている部材について説明する。かしめ端子5とケース上壁9との間には、環状の絶縁性のシール部材19が配置されている。シール部材19は、円筒部14の周囲を一巡している。シール部材19にはエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのエチレン−プロピレン系ゴム(EPM)が用いられる。シール部材19は、図2に太線で示すシール部分S1において、ケース上壁9と、基底部15及び円筒部14に当接している。これにより、シール部材19は、ケース上壁9と基底部15との間、及びケース上壁9と円筒部14との間をシールしている。シール部材19の端部のうちケース上壁9と基底部15との間に位置している端部には、上下方向の厚みが薄い肉薄部19aが形成されている。肉薄部19aは、その上面がケース上壁9と当接しており、その下面が後述する絶縁部材36と当接している。シール部材19は絶縁材料によって形成されているため、かしめ端子5とケース上壁9との絶縁性は維持される。なお、シール部材19の材料は上記に限られず、シール性、絶縁性及び耐電解液性を有する材料であればよい。
シール部分S1よりも径方向外側の空間には、環状の絶縁部材36が配置されている。絶縁部材36には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が用いられる。絶縁部材36は、円筒部14の周囲を一巡している。絶縁部材36の径方向内側の端部には、上下方向の厚みが薄い肉薄部36aが形成されている。肉薄部36aと肉薄部19aとは、ケース上壁9を平面視したときに径方向に所定の長さだけ重なっている。絶縁部材36のうち肉薄部36aより径方向外側には、上下方向の厚みが厚い肉厚部36bが形成されている。肉厚部36bはケース上壁9と基底部15の両者に当接している。肉厚部36bにより、ケース上壁9と基底部15との間の間隔が決定される。即ち、肉厚部36bはスペーサの役割を果たす。絶縁部材36のうち肉厚部36bよりさらに径方向外側には、上下方向の厚みが薄い肉薄部36cが形成されている。肉薄部36cは、基底部15の上面を径方向外側に向かって延びてから下方に屈曲して、基底部15の外周面を覆うと共に、破断板34(後述)と略同一の高さまで延びている。肉薄部36cの上面とケース上壁9の下面との間には空間が形成されている。なお、絶縁部材36の材料は上記に限られず、絶縁性と耐電解液性を有し、荷重支持に必要な強度特性に優れた材料(例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK))が用いられてもよい。
絶縁部材36(厳密には肉薄部36c)の下端面は、絶縁部材39と当接している。絶縁部材39は、PPSにより形成されている。絶縁部材39は破断板34の下面の外周部を全周に亘って覆っている。絶縁部材36、39の外側には、円筒部14の周囲を一巡する金属部材40が配置されている。金属部材40は電流遮断装置30を構成する部材の1つであり、ステンレス鋼(SUS)により形成されている。金属部材40は、上端部40a、中間部40b及び下端部40cを有する。金属部材40の上端部40aは、絶縁部材36の肉薄部36cの上面の外周端から径方向内側に向かって延びており(別言すれば、上端部40aは、肉薄部36cを介して基底部15の上面の外周端から円筒部14側に向かって延びており)、肉薄部36cの上面の外周部を全周に亘って覆っている。即ち、上端部40aは、肉薄部36cの上面とケース上壁9の下面との間の空間に配置されている。上端部40aの径方向内側の端面と絶縁部材36の肉厚部36bとの間には、径方向に間隔が形成されている。また、上端部40aの上面とケース上壁9の下面は、互いに略平行に対向しており、両者の間には、対向空間50が形成されている。一方、金属部材40の中間部40bは、上下方向に延びており、絶縁部材36、39の外周面を全周に亘って覆っている。金属部材40の下端部40cは、絶縁部材39の下面の外周端から径方向内側に向かって延びており、絶縁部材39の下面を全周に亘って覆っている。金属部材40の上端部40aと下端部40cが絶縁部材36、39を上下方向にかしめることにより、基底部15、変形板32(後述)及び破断板34が上下方向に挟持固定される。絶縁部材36、39により、金属部材40と、基底部15、変形板32及び破断板34との絶縁性が維持される。なお、破断板34が「通電板」の一例に相当し、金属部材40を形成するステンレス鋼(SUS)が「第2金属」の一例に相当する。
金属部材40の上端部40aの上面には、当該上面を全周に亘って覆う環状の絶縁部材52が配置されている。絶縁部材52は、PPSにより形成されている。絶縁部材52は径方向に延びる略平板状の部材であり、その内周部側の端部には軸方向下側に屈曲された屈曲部52aが形成されている。絶縁部材52を平面視すると屈曲部52aは環状となっており、屈曲部52aの外径は、金属部材40の上端部40aの端面により形成される円の径と略同一となっている。このため、屈曲部52aは、上端部40aの端面を全周に亘って覆っている。図1に示すように、絶縁部材52の外周端は、ケース上壁9の中央側では、絶縁シート27と当接しており、かしめ端子5に対してケース上壁9の中央側と反対側では、ケース1の側壁に当接している。絶縁部材52の厚みは、金属部材40の上端部40aの上面とケース上壁9の下面との間の間隔と略同一である。このため、絶縁部材52の上面は、ケース上壁9の下面と当接している。従って、かしめ端子5がケース上壁9に固定されると、絶縁部材52は、絶縁部材36(厳密には肉薄部36c)と金属部材40と共に基底部15とケース上壁9の間に挟持される。即ち、絶縁部材52は、対向空間50の全体(即ち、対向空間50の平面方向(即ち、円筒部14の軸方向に略直交する平面方向)及び上下方向の全体)に配置されている。
続いて、図3を参照してかしめ端子7と、かしめ端子7とケース上壁9との間に配置される部材について説明する。図3は、図1の二点鎖線部200bの拡大図を示す。図2と同様の構成については説明を省略する。かしめ端子7は円柱部94、基底部95及び固定部96を有する。かしめ端子7は中実であり、貫通孔及び凹所が形成されていない。固定部96を軸直方向外側に屈曲させることにより、かしめ端子7がケース上壁9にかしめ固定される。これにより、シール部材19、絶縁部材116、ガスケット63及び外部端子61がかしめ端子7とケース上壁9との間に挟持される。基底部95は、正極リード41に接続されている。
図2に戻って電流遮断装置30について説明する。電流遮断装置30は、金属製の変形板32と、金属製の破断板34を備えている。変形板32の外周部は、基底部15の下面の外周部と接続されており、基底部15の凹所15aの下端は変形板32により覆われている。凹所15a内は大気圧に保たれているため、変形板32の上面には大気圧が作用する。上述したように、基底部15、変形板32及び破断板34は、環状の絶縁部材36、39を介して、金属部材40により挟持固定されている。変形板32は、円形の導電性のダイアフラムであり、下方に凸となっている。変形板32の中央部は破断板34と接続されている。破断板34は円形の板材であり、変形板32の下方に位置している。破断板34には接続端子23が接続されている。破断板34の下面の中央部には溝部34aが形成されている。溝部34aの内側で破断板34と変形板32の中央部とが接続されている。溝部34aが形成された位置における破断板34の機械的強度は、溝部34a以外の位置における破断板34の機械的強度よりも低い。破断板34には通気孔34bが形成されており、変形板32と破断板34との間の空間46がケース1内の空間と連通している。また、変形板32の外周部と破断板34の外周部との間には環状の絶縁部材38が配置されている。
電流遮断装置30は、接続端子23と、破断板34と、変形板32と、かしめ端子5とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3とかしめ端子5は、電流遮断装置30の通電経路を介して電気的に接続されている。上述したように、金属部材40は破断板34、変形板32及び基底部15から絶縁されており、上記の通電経路を構成していない。即ち、金属部材40は電極組立体3及びかしめ端子5から絶縁されている。
ここで、電流遮断装置30の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置100においては、かしめ端子5とかしめ端子7の間が通電可能な状態となっている。ケース1内の圧力が上昇すると、通気孔34bを介して変形板32の下面に作用する圧力が上昇する。一方、変形板32の上面には大気圧が作用する。このため、ケース1の内圧が上昇して所定値に達すると、変形板32が反転して、上方に凸の状態に変化する。すると、変形板32の中央部に接続されていた破断板34が、機械的に脆弱な溝部34aを起点に破断する。これによって、破断板34と変形板32とを接続する通電経路が遮断され、電極組立体3とかしめ端子5との間の通電が遮断される。このとき、変形板32は接続端子23から絶縁されると共に、破断板34はかしめ端子5から絶縁される。
実施例1の蓄電装置100の作用効果について説明する。上記の蓄電装置100では、アルミニウム製のケース上壁9とステンレス鋼製の金属部材40の上端部40aが、対向空間50において互いに近接して対向している。対向空間50には、絶縁部材52が配置されている。これにより、仮にケース上壁9に外部から衝撃が加えられても、ケース上壁9が変形し難くなる。このため、ケース上壁9が変形するなどして対向空間50においてケース上壁9と金属部材40が直接的に接触することを抑制できる。また、対向空間50に絶縁部材52を配置することにより、外部などから混入した導電性異物が対向空間50に進入し難くなり、導電性異物を介してケース上壁9と金属部材40とが間接的に接触することを抑制できる。このため、例えば蓄電装置100が傾くなどして、ケース1内に収容されている電解液が対向空間50を満たす場合であっても、ケース上壁9と金属部材40は接触していないため、ケース上壁9と金属部材40との間で異種金属接触腐食が発生することを抑制することができる。従って、金属部材40よりも標準電極電位が低いケース上壁9の腐食を抑制でき、蓄電装置100の機能低下を抑制できる。
特に、本実施例では、対向空間50の全体に絶縁部材52が配置されている。このため、ケース上壁9と金属部材40が対向空間50において接触することを防止でき、ケース上壁9と金属部材40との間で異種金属接触腐食が発生することをより抑制することができる。
また、本実施例では、絶縁部材52は、対向空間50に配置されるだけではなく、金属部材40の上端部40aの内周部側の端面も覆っている。上端部40aの端面はケース上壁9と比較的に近接しているため、当該端面を絶縁部材52(厳密には絶縁部材52の屈曲部52a)で覆うことにより、ケース上壁9と金属部材40との間で異種金属接触腐食が発生することをより抑制することができる。また、屈曲部52aが上端部40aの端面に当接するように絶縁部材52を配置することにより、絶縁部材52の位置決めが容易になる。
また、一般に、ケース上壁9が比較的に大きく変形する場合は、ケース上壁9と、金属部材40の中間部40b或いは下端部40cとが接触する場合がある。本実施例では、絶縁部材52は、対向空間50に配置されるだけではなく、対向空間50よりも径方向外側の空間にも配置されている。このため、ケース上壁9が大きく変形しても、ケース上壁9と中間部40b或いは下端部40cとは絶縁部材52を介して接触する可能性が高くなり、両者が直接的に接触する可能性が低減される。従って、ケース上壁9と金属部材40との間で異種金属接触腐食が発生することをさらに抑制することができる。
なお、複数の蓄電装置100を備えた蓄電装置モジュールでは、各蓄電装置100が直列に接続され、所望の電圧が得られるまで直列に接続される。これにより、高出力で大容量の蓄電装置モジュールを構成することができる。
(変形例1) 次に、図4を参照して変形例1について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。その他の実施例でも同様である。図4の二点鎖線部300aは、図1の二点鎖線部200aに相当する。本変形例では、対向空間50には、絶縁部材52の代わりに、絶縁部材152が配置されている。絶縁部材152は円筒部14の周囲を一巡する環状の部材であり、PPSにより形成されている。絶縁部材152の内周部側の端部には、軸方向上側に屈曲された屈曲部152aが形成されている。屈曲部152aをケース上壁9の下面に形成された切欠9aに係合することにより、絶縁部材152がケース上壁9に対して位置決めされる。この構成によっても、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。また、ケース上壁9に予め形成された切欠9aを利用して絶縁部材152を位置決めすることにより、絶縁部材152の位置がずれることを抑制でき、対向空間50に絶縁部材152を確実に配置することができる。
次に、図5を参照して実施例2について説明する。図5の二点鎖線部400aは、図1の二点鎖線部200aに相当する。本実施例では、次の2点で実施例1と異なっている。即ち、本実施例では、実施例1の絶縁部材36と絶縁部材52が一体化して絶縁部材252が構成されている。また、絶縁部材252と金属部材40はインサート成形により一体的に形成されている。絶縁部材252は、円筒部14の周囲を一巡する環状の部材であり、PPSにより形成されている。絶縁部材252は、部分252aと、部分252bと、部分252cを有する。部分252aは、平板状であり、径方向に延びている。部分252aの上面はケース上壁9の下面に当接している。部分252aの径方向内側には、部分252bが配置されている。部分252bは、ケース上壁9と基底部15との間の空間に配置されている。部分252bは、肉薄部252b1と肉厚部252b2を有する。肉薄部252b1は、肉厚部252b2よりも径方向内側に配置されている。ケース上壁9を平面視すると、肉薄部252b1は、シール部材19の肉薄部19aと径方向に所定の長さだけ重なっている。肉厚部252b2は、ケース上壁9と基底部15の両者に当接している。肉厚部252b2により、ケース上壁9と基底部15との間の間隔が決定される。部分252bの径方向外側であって、部分252aの下方には、部分252cが配置されている。部分252cは、基底部15の上面の外周部を径方向外側に向かって延びており、基底部15の外周面、変形板32の端面、及び破断板34の端面を覆い、破断板34と略同一の高さまで延びている。なお、絶縁部材252の部分252aが「第1部分」の一例に相当し、部分252bが「第2部分」の一例に相当し、部分252cが「第3部分」の一例に相当する。
金属部材40は、その上端部40aが、部分252aと部分252cの間に位置しており、その中間部40bが、部分252cの外周面を覆っており、その下端部40cが、絶縁部材39の下面を覆っている。このため、金属部材40の上端部40aとケース上壁9との間に形成される対向空間50には、その全体(即ち、平面方向及び上下方向の全体)に部分252aが配置されている。また、金属部材40は、部分252cにより基底部15、変形板32及び破断板34から絶縁されている。
金属部材40の下端部40cは、基底部15、変形板32及び破断板34を挟持固定する前は、上下方向(即ち、中間部40bが延びる方向)に延びている。基底部15、変形板32及び破断板34は、これらを部分252cにより径方向に固定した後で、金属部材40の下端部40cを絶縁部材39を介して軸直方向内側に折り込んでかしめることにより、上下方向に挟持固定される。
上記の構成によっても、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。また、本実施例では、シール部材19のシール部分S1より径方向外側に配置される絶縁部材及び金属部材を、インサート成形により一体的に形成している。このため、部品点数を低減でき、製造効率を向上させると共に製造コストを低減することができる。
次に、図6を参照して実施例3について説明する。図6の二点鎖線部500aは、図1の二点鎖線部200aに相当する。この蓄電装置では、電流遮断装置の構成が実施例1と異なっており、それ以外の構成は実施例1と同様である。
電流遮断装置70は、金属製の第1変形板75と、金属製の破断板73と、金属製の第2変形板71を備えている。基底部15、第1変形板75、破断板73及び第2変形板71は、絶縁性の絶縁部材36、78により支持されている。絶縁部材36、78の外周面には、ステンレス鋼(SUS)により形成された金属部材40がかしめられている。金属部材40により、基底部15、第1変形板75、破断板73及び第2変形板71が上下方向に挟持固定される。
第2変形板71は、破断板73の下方に配置されており、その中央部が下方に突出している。第2変形板71の上面の外周部には絶縁部材81が配置されている。また、第2変形板71の上面中央には、上方に突出する突出部83が設けられている。突出部83の上方には破断板73の中央部73b(溝部73aに囲まれた部分)が位置している。第2変形板71の下面にはケース1内の空間の圧力が作用する。第2変形板71の上面には、第2変形板71と破断板73の間の空間86の圧力が作用する(後述)。空間86はケース1内の空間からシールされている。
破断板73は、第2変形板71と第1変形板75の間に配置されている。破断板73は、溝部73aによって、溝部73aに囲まれた中央部73bと、溝部73aの外周側に位置する外周部73cに区分されている。中央部73bの板厚は薄く、外周部73cの板厚は厚くされている。破断板73には通気孔73dが形成されている。空間86は、通気孔73dを介して第1変形板75と破断板73との間の空間88と連通している。
第1変形板75は、破断板73の上方に配置されている。第1変形板75は、実施例1の変形板32と略同一の構成を有する。第1変形板75と破断板73の間には、絶縁部材85が配置されている。第1変形板75の上面と基底部15の下面との間には空間87が形成されている。空間87は、大気圧に保たれている。破断板73と基底部15の外周部との間にはシール部材89が配置されており、基底部15と破断板73との隙間をシールしている。
電流遮断装置70は、接続端子23と、破断板73と、第1変形板75と、かしめ端子5とを直列につなぐ通電経路を有している。このため、電極組立体3とかしめ端子5は、電流遮断装置70の通電経路を介して電気的に接続されている。一方、金属部材40は、破断板73、第1変形板75及び基底部15から絶縁されており、上記の通電経路を構成していない。即ち、金属部材40は電極組立体3及びかしめ端子5から絶縁されている。
ここで、電流遮断装置70の遮断動作について説明する。上述した蓄電装置ではかしめ端子5とかしめ端子7の間が通電可能な状態となっている。ケース1の内圧が上昇すると、第2変形板71の下面に作用する圧力が上昇する。一方、第2変形板71の上面には、ケース1内の空間からシールされた空間86の圧力が作用する。このため、ケース1内の圧力が所定値を超えると、第2変形板71が反転して、下方に凸の状態から上方に凸の状態に変化する。このとき、空間86内の空気は通気孔73dを通って空間88に移動し、空間88内の圧力が上昇する。また、第2変形板71が反転すると、第2変形板71の突出部83が破断板73の中央部73bに衝突し、破断板73が溝部73aで破断する。これにより、第1変形板75が反転し、第1変形板75及び破断板73の中央部73bが上方に変位する。このため、破断板73と第1変形板75を接続する通電経路が遮断され、電極組立体3とかしめ端子5との間の導通が遮断される。このとき、第1変形板75は接続端子23から絶縁されると共に、破断板73はかしめ端子5から絶縁されている。この構成によっても、実施例1の蓄電装置100と同様の作用効果を奏することができる。なお、上記の電流遮断装置70は、その他の実施例及び変形例の蓄電装置に取付けられてもよい。
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本明細書が開示する蓄電装置は、上記の実施例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記の実施例では、金属部材40がかしめ端子5と電流遮断装置30(70)とをかしめ固定するために用いられたが、このような構成及び用途に限られない。例えば、金属部材40は上部金属部材と下部金属部材を有しており、上部金属部材と下部金属部材とを係合することにより、かしめ端子5と電流遮断装置30(70)とを挟持固定してもよい。また、金属部材40は、かしめ端子5と電流遮断装置30(70)とを固定する用途以外の用途で用いられてもよい。
また、ケース1及び金属部材40に用いられる金属の種類は、上記の実施例に限られない。例えば、ケース1がステンレス鋼により形成され、金属部材40が銅により形成されてもよい。また、金属部材40に、ケース1よりも標準電極電位が低い金属が用いられてもよい。この場合、対向空間50に絶縁部材52を配置することにより、金属部材40が腐食することを抑制することができる。
また、上記の実施例では絶縁部材52(152、252)は、対向空間50よりも径方向外側の空間にも延びていたが、この構成に限られない。絶縁部材52(152、252)が対向空間50に配置されていれば、その径方向外側の空間には配置されなくてもよい。金属部材40とケース上壁9とは、対向空間50において最も近接しているため、両者は対向空間50において接触する可能性が比較的に高い。このため、対向空間50に絶縁部材52(152、252)を配置することにより、両者が接触する可能性を大幅に低減でき、結果として、両者の間における異種金属接触腐食を抑制できる。
また、絶縁部材52(152、252)の厚みは、金属部材40とケース上壁9との間隔より短くてもよい。即ち、絶縁部材52(152、252)は、対向空間50において上下方向全体に配置されなくてもよい。また、絶縁部材52(152、252)は、対向空間50において平面方向全体に配置されなくてもよい。絶縁部材52(152、252)を対向空間50の一部に配置することにより、ケース上壁9の変形が生じ難くなり、ケース上壁9と金属部材40が直接的に接触することを抑制できる。
また、上記の実施例では、ケース上壁9と基底部15との間でスペーサの役割を果たす絶縁部材36の肉厚部36bと、基底部15、変形板32及び破断板34を金属部材40から絶縁する役割を果たす絶縁部材36の肉薄部36cとが1つの部材として形成されているが、両者は異なる部材として形成されていてもよい。この場合、肉厚部36bと肉薄部36cは互いに当接していることが好ましい。また、絶縁部材36とシール部材19とが1つの部材として形成されていてもよい。
また、上記の実施例では、シール部材19は、シール部分S1において、ケース上壁9と基底部15との間、及びケース上壁9と円筒部14との間をシールしているが、この構成に限られず、シール部分S1のうちのいずれかの部分でケース上壁9とかしめ端子5との間をシールしていればよい。例えば、シール部材19は、ケース上壁9と基底部15との間を主にシールする構成であってもよい。
また、実施例1では、絶縁部材52の屈曲部52aの外径は、金属部材40の上端部40aの端面により形成される円の径と略同一であったが、このような構成に限られない。例えば、絶縁部材52の屈曲部52aと、金属部材40の上端部40aの端面との間に隙間が形成されていてもよい。
また、実施例1では、絶縁部材52の屈曲部52aと絶縁部材36の肉厚部36bとの間に隙間が形成されているが、この構成に限られず、屈曲部52aと肉厚部36bは当接していてもよい。
また、絶縁部材52(152、252)は、ケース上壁9の下面に接着されてもよい。
また、絶縁部材252と金属部材40は、インサート成形以外の方法で一体的に形成されてもよい。
また、実施例3において、絶縁部材81は配置されなくてもよい。また、第1変形板75に、空間87と空間88とを連通する連通孔を形成し、空間86、88を大気圧に維持してもよい。
また、上記の実施例ではケース上壁9にはかしめ端子5、7が取付けられたが、端子はかしめ端子に限られず、ケース外部からナットにより締結されるタイプの端子が用いられてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。