以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
なお、以下の説明では、植物栽培施設内の人を作業者として説明する。また、特に言及しない限り、ON(オン:点灯)は、出力100%にて点灯させることを意味する。
〔実施形態1〕
本発明の実施の一形態について、図1の(a)〜(c)乃至図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
<技術理念>
まず、本実施形態の技術理念について、図2〜図4を参照して以下に説明する。
本実施形態にかかる照明方法および照明装置は、受粉用昆虫による花粉媒介(つまり、受粉)により虫媒植物を栽培する虫媒植物の栽培施設において使用される。
本実施形態にかかる虫媒植物の栽培施設は、少なくとも300〜500nmの波長域内の自然光が遮断された栽培施設である。また、本実施形態にかかる照明装置は、上記栽培施設内に配された複数の虫媒植物に、光として人工光を照射する装置である。本実施形態にかかる虫媒植物の栽培施設は、上記照明装置を含む、後述する植物栽培システムを備えている。
虫媒植物とは、花粉媒介を行う昆虫類(受粉用昆虫)による受粉を必要とする植物(受粉結実性植物)である。
花粉媒介を行う受粉用昆虫としては、例えば、ミツバチ、マルハナバチ、セイヨウミツバチ等が挙げられる。これらの受粉用昆虫は、光のある方向に近づく、いわゆる正の走光性を示し、暗くなると、帰巣もしくは明るい場所へと移動する。
本実施形態にかかる照明方法および照明装置は、このような受粉用昆虫の走光性、より具体的には、受粉用昆虫と人との視感度(明るさの感じ方)の違いを利用して、受粉用昆虫と人との作業領域とを分けるものである。
図2は、ミツバチの行動実験における、波長に対するミツバチの相対的な誘引効果(走行性の感度)を示すグラフであり、図3は、人間の明所視での標準比視感度曲線を示すグラフである。また、図4は、植物の波長吸収スペクトルを示すグラフである。
図2に示すように、ミツバチは350nmの波長の光に対する誘引効果が最も高い。つまり、ミツバチが走光性を示す波長のピークは350nmである。ミツバチは、光のある方向に近づく、いわゆる正の走光性を示す。したがって、図2から判るように、ミツバチは、350nmの波長に明るさの感度のピークを有し、500nmよりも長波長側の波長、特に600nm以上の波長では、明るさを感じていない。
なお、ここでは、一例としてミツバチを例に挙げてその走行性の感度について説明したが、他の受粉用昆虫が走光性を示す(つまり、飛翔する)有効波長範囲は、ミツバチが走光性を示す有効波長範囲と基本的には同じである。
一方、図3に示すように、人間の明所視における標準比視感度V(λ)における最大視感度を示す波長は555nmであり、人間の眼は、555nmの波長をピークとして、400〜700nmの波長の光を明るさとして認識する。
つまり、500nmを超えて700nm以下、より好ましくは600〜700nmの波長域内の光が照射されている場所は、人間には明るく見えるが、受粉用昆虫には暗闇と感じる。
また、一般的に、植物の吸収スペクトルは、図4に示すように、400〜450nmの波長および650〜700nmの波長にピークを有している。そして、図4から判るように、植物の光合成には、400〜700nmの波長の光が必要であり、特に、400〜500nmの波長の光(青色光)および600〜700nmの波長の光(赤色光)による光合成の効率が高い。
従来、受粉用昆虫を用いた虫媒植物の栽培においては、受粉用昆虫による受粉を行わせるために紫外光を照射するという技術思想はあっても、人の作業領域(植物成育管理区)と受粉用昆虫の受粉領域(受粉区)とを分けるという技術思想がない。また、青色光を光合成に用いるという技術思想はあっても、青色光を人の作業領域と受粉用昆虫の受粉領域とを分けるために人の作業領域と受粉用昆虫の受粉領域とで使い分けるという技術思想もない。
そこで、これらの事実を勘案した結果、本願発明者らは、以下の結論を導くに至った。
(1)400〜700nmの波長域、特に、400〜500nmの波長域および600〜700nmの波長域のうち少なくとも一方の波長域内の光を含む光が照射されるように栽培施設内の照明を制御することで、栽培する虫媒植物の光合成を促進させることができる。
(2)受粉用昆虫は、300nm〜500nmの波長域内の光に対し、走行性を示す。このため、300nm〜500nmの波長域内の光が照射されている領域と照射されていない領域とを設けることで、受粉用昆虫が存在する領域と存在しない領域とを設けることができる。言い換えれば、人の作業領域には300nm〜500nmの波長域内の光を照射せず、受粉用昆虫の活動領域(例えば受粉領域)にのみ300nm〜500nmの波長域内の光を照射することで、人の作業領域と受粉用昆虫の活動領域とを任意に設定することができるとともに、同一空間内(つまり、同一の栽培施設内)での人と受粉用昆虫との棲み分けが可能となる。
(3)300nm〜500nmの波長域内の光を含まず、500nmを超えて700nm以下、より好ましくは600〜700nmの波長域内の光が照射されている領域は、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光により、人が、明るさを認識し、作業を行うことが可能となる一方で、受粉用昆虫には暗闇と感じる。したがって、上記領域では、受粉用昆虫の走光性あるいは帰巣本能により、受粉用昆虫を、該領域から退避させることができる。このため、上記領域では、受粉用昆虫がいない状態で人が作業を行うことができる。
(4)受粉用昆虫に活発な受粉活動を行わせるためには、受粉用昆虫の受粉領域(受粉区)では、受粉用昆虫の走行性の感度が高い300nm〜400nmの波長域の光を照射して受粉用昆虫を飛翔させることが望ましい。
このため、受粉用昆虫の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜700nmの波長域内の光、望ましくは400〜500nmの波長域および600〜700nmの波長域のうち少なくとも一方の波長域内の光とを含む光を照射し、人の作業領域に、300〜500nmの波長域内の光を含まず、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光を含む光を照射することで、植物栽培領域全域に渡って植物の光合成を促進させることができるとともに、人の作業領域と受粉用昆虫の作業領域とを分けることができる。
また、このとき、受粉用昆虫の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜500nmの波長域内の光とを少なくとも含む光を照射すれば、受粉用昆虫の受粉領域において、400〜500nmの波長域内の光により虫媒植物の光合成を行いながら、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜500nmの波長域内の光とにより、受粉用昆虫の受粉領域に受粉用昆虫を誘引することができる。また、400〜500nmの波長域内の光により、受粉用昆虫の受粉領域を、人間の目から見て人の作業領域とは異なる色に着色させることが可能となる。このため、人が、互いの領域を目で見て識別することが可能となる。
また、このとき、受粉用昆虫の受粉領域に、600〜700nmの波長域内の光をさらに照射すれば、受粉用昆虫の受粉領域において、400〜500nmの波長域内の光と600〜700nmの波長域内の光とにより、さらに光合成を促進させることができる。
なお、一般的に受粉用昆虫として利用される昆虫類の飛翔波長範囲(走光性を示す有効波長範囲)は、上述したように300〜500nmであり、本実施形態においても、受粉用昆虫としては、飛翔波長範囲が300〜500nmの範囲内の受粉用昆虫を使用する。本実施形態で使用される受粉用昆虫は、受粉媒介を行う、飛翔波長範囲が300〜500nmの範囲内の昆虫類であればよく、先に例示した昆虫に限定されるものではない。
また、上記虫媒植物としては、上記受粉用昆虫による花粉媒介により栽培される植物であれば特に限定されるものではない。上記虫媒植物の一例としては、例えば、イチゴ、トマト、キュウリ、メロン、スイカ、ナス等が挙げられる。
なお、上述したように、上記照明方法においては、300〜500nmの波長域内の光を照射仕分ける必要がある。このため、上記虫媒植物の栽培施設としては、少なくとも300〜500nmの外光(自然光)が遮断された植物栽培施設が用いられる。つまり、本実施形態にかかる植物栽培システムおよび照明装置は、少なくとも300〜500nmの自然光が遮断された植物栽培施設の内部に設置して使用される。
但し、上記植物栽培施設は、300〜500nmの外光が常に遮断されている必要はない。上記植物栽培施設は、人が該植物栽培施設内に立ち入るときに300〜500nmの外光が遮断されていればよく、少なくとも300〜500nmの外光の遮断が可能に設けられていればよい。
上記植物栽培施設の一例としては、例えば、外光が遮断された閉鎖環境で、自然光を使用せず、人工光を利用して植物を栽培する、完全制御型(閉鎖型あるいは完全人工光型とも言う)の植物工場が挙げられる。上記植物栽培システムおよび照明装置は、このような完全制御型の植物栽培施設において、特に効果を発揮する。
但し、本実施形態は、これに限定されるものではなく、自然光(主に太陽光)を利用して植物を栽培する、半閉鎖型(半制御型)の植物工場あるいは農業ハウス等の植物栽培施設であってもよい。
例えば、上記植物栽培施設は、300〜500nmの波長域内の自然光が遮断され、500nmを超えて700nmの波長域の自然光を透過する栽培施設であってもよい。すなわち、上記植物栽培施設は、例えば、300〜500nmの波長域内の自然光が選択的に遮断された栽培施設であってもよい。300〜500nmの波長域内の自然光を遮断する方法としては、特に限定されるものではない。一例として、例えば、紫外光カットフィルムや紫外光カットガラスと、青色光カットフィルムや青色光カットガラスとを組み合わせて使用する方法等が挙げられる。
この場合、人の作業領域には、自然光を利用(つまり、自然光を照射)し、受粉用昆虫の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光を含む人工光を選択的に照射することで、受粉用昆虫の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜700nmの波長域内の光(望ましくは400〜500nmの波長域および600〜700nmの波長域のうち少なくとも一方の波長域内の光)と、を含む人工光または人工光と自然光との混合光を照射しても構わない。
但し、計画的な農作物生産が望まれる中、そのような半閉鎖型の植物栽培施設であっても、受粉用昆虫の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜700nmの波長域内の光(望ましくは400〜500nmの波長域および600〜700nmの波長域のうち少なくとも一方の波長域内の光)と、を含む人工光を照射し、人の作業領域に、300〜500nmの波長域内の光を含まず、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光を含む人工光を照射することが、天候等の影響を受けずに、人工的に光合成を促進させることができることから望ましい。
以下に、上記植物栽培施設として植物工場を例に挙げて、本実施形態について、より詳細に説明する。
<植物工場100の構成>
図1の(a)は、本実施形態にかかる植物工場100の概略構成を示す平面図であり、図1の(b)は、図1の(a)に示す照明装置3における栽培光源31の概略構成を示す側面図であり、図1の(c)は、図1の(a)に示す照明装置3における光源スイッチ32の概略構成を示す正面図である。
図1の(a)に示す植物工場100は、外光(自然光)が遮断された閉鎖環境で、自然光を使用せず、人工光を利用して虫媒植物を栽培する、完全制御型の植物工場である。
なお、以下では、植物工場100が全体として1つの栽培室を構成しているものとして説明を行うが、植物工場100内に、外光が遮断された複数の栽培室が設けられ、各栽培室が、以下に示す構成を有していても構わない。
本実施形態にかかる植物工場100は、複数の照明領域を備えている。植物工場100における植物栽培領域102は、複数の照明領域に対応して、複数の栽培領域(栽培区画)に区画されている。本実施形態では、照明領域毎、すなわち、それぞれの栽培領域毎に、栽培光源31から出射される光を選択することができるようになっている。
なお、各栽培領域は、各栽培領域に設けられた光源によってそれぞれ照射されるという意味で、仮想的に区画されており、各栽培領域の境界部には、境界の目印となるものがあってもなくてもよい。
なお、図1の(a)では、説明の便宜上、植物工場100内の植物栽培領域102を、一点鎖線で示すように、領域A〜領域Dの4区画に分けている場合を例に挙げて示している。但し、この領域分け(区画分け)は説明のためのものであり、領域分けは、4区画よりも、細かく分けられていてもよいし、4区画よりも大きく分けられていてもよい。例えば、上記栽培領域を、領域Aと領域Cとを併せた領域(領域α)と、領域Bと領域Dとを併せた領域(領域β)との2区画としてもよい。以下では、植物栽培領域102が、領域A〜領域Dの4つの栽培領域を備えている場合を例に挙げて説明する。
また、植物工場100には、虫媒植物の成育管理を行う作業者201が出入りする扉101が少なくとも1つ設けられている。
植物工場100では、本実施形態にかかる、後述する照明装置3を備えた植物栽培システム1を用いて、虫媒植物の栽培が行われる。
<植物栽培システム1の構成>
以下に、本実施形態にかかる、後述する照明装置3を備えた植物栽培システム1について説明する。
図1の(a)に示すように、植物工場100は、上記虫媒植物を栽培する植物栽培システム1を備えている。
本実施形態にかかる植物栽培システム1は、虫媒植物(図示せず)を栽培する複数の栽培容器2、虫媒植物に光を照射する照明装置3、および、花粉媒介により虫媒植物の受粉を行う受粉用昆虫4の巣である巣箱5を備えている。
なお、上記植物栽培システム1は、空調装置や給水装置等、植物栽培に必要な他の機器をさらに備えているが、これらは本実施形態の特徴点とは直接関係がないため、その図示並びに説明を省略する。
栽培容器2は、虫媒植物を植えるための容器であり、例えば、栽培プランター等が挙げられる。栽培容器2は、植物工場100内に、所定の間隔をおいて、略等間隔に、複数配置されている。
なお、本実施形態で栽培する虫媒植物並びにその受粉に使用する受粉用昆虫4の種類は、既に説明した通りであり、ここでは、その説明を省略する。巣箱5は、受粉用昆虫4の種類に適したものであれば、特に限定されるものではない。
また、植物工場100内の虫媒植物の数と受粉用昆虫4の数とは、十分な受粉を行うために、植物工場100内の虫媒植物の株数/受粉用昆虫4≦一匹の受粉用昆虫4で一回当たりに受粉可能な株数、という関係を満足していることが望ましい。
照明装置3は、例えば、上記複数の栽培容器2の上方に配置され、各栽培容器2に植えられた虫媒触媒に人工光を照射する。
<照明装置3の構成>
次に、照明装置3の概略構成について説明する。
照明装置3は、照明部である複数の栽培光源31と、各栽培光源31から出射する光を制御する照明制御部(制御部)としての光源スイッチ32と、を備えている。
栽培光源31および光源スイッチ32は、各栽培領域(領域A〜D)を、それぞれ1つの照明領域として、各栽培領域(領域A〜D)に対応して設けられている。
各領域A〜Dには、それぞれ、複数の栽培光源31が、各領域A〜Dに配された栽培容器2に対応して設けられている。
図1の(b)に示すように、各栽培光源31は、それぞれ、制御基板である基板314(LED基板)上に、光源部(光源)として、600〜700nmの波長域の光を発する赤色LED311と、400〜500nmの波長域の光を発する青色LED312と、300〜400nmの波長域の光を発する紫外LED313と、が搭載された構成を有している。
各栽培光源31には、これら赤色LED311と、青色LED312と、紫外LED313とがそれぞれ複数搭載されており、これら各色のLEDは、例えばそれぞれ交互に設けられている。
また、これら各色のLEDは、独立した電気系統を有し、個別に制御することができるようになっている。このため、これら各色のLEDは、単色での点灯が可能となっている。
図1の(c)に示すように、光源スイッチ32は、各栽培領域(領域A〜D)に対応して、各栽培領域における各光源(赤色LED311、青色LED312、紫外LED313)を選択的にON(オン:点灯)またはOFF(オフ:消灯)するスイッチ321を備えている。
本実施形態では、4つの各領域A〜Dに対し、それぞれ、3種類のLEDをそれぞれONまたはOFFさせる、3つのスイッチ321が設けられている。このため、本実施形態では、光源スイッチ32には、12個のスイッチ321が設けられている。
本実施形態によれば、光源スイッチ32は、スイッチ321により各光源(赤色LED311、青色LED312、紫外LED313)を選択的にONまたはOFFすることで、各栽培光源31から出射される光の光質(波長)を切り替える。なお、本実施形態において、ONとは、出力100%にて点灯させることを意味する。
光源スイッチ32は、上述したように、各栽培領域(領域A〜D)に対応して設けられているとともに、植物工場100への作業者201の出入口である扉101の外側にも設けられている。
具体的には、図1の(a)に示すように、光源スイッチ32は、扉101の外側、および、植物工場100内の各栽培領域(領域A〜領域D)のそれぞれの境界部に設置されている。
このため、本実施形態では、光源スイッチ32は、植物工場100の外側における扉101の近傍に1個、植物工場100の内側(各領域A〜領域Dの境界部)に4個の、計5個が設置されている。
各光源スイッチ32と各栽培光源31とは、例えば図示しない配線(通信回線)により接続されている。但し、本実施形態は、これに限定されるものではない。各光源スイッチ32と各栽培光源31とは、有線または無線で通信できるようになっていればよく、通信方法は特に限定されない。
<照明方法>
次に、上記照明装置3による照明方法として、光源スイッチ32による照明制御に関する処理の概要について説明する。
今、作業者201が扉101より植物工場100に入室し、領域Cで生育管理を実施すると仮定する。この場合、作業者201は、まず、扉101の横にある光源スイッチ32にて、図1の(c)に示すように、領域Cの赤色LED311をON(点灯)し、青色LED312および紫外LED313をOFF(消灯)する。また、作業者201は、このとき、併せて、領域A・B・Dの青色LED312および紫外LED313をONし、赤色LED311をOFFする。その後、作業者201は、扉101より入室し、領域Cの生育管理を実施する。
このとき、植物成育管理区である領域Cでは、青色LED312および紫外LED313をOFFし、赤色LED311のみを点灯しているので、受粉用昆虫4は、領域Cから、青色LED312および紫外LED313をONした領域A・B・Dに退避している。このため、領域Cでは、受粉用昆虫4に邪魔されることなく、赤色LED311による赤色光により作業者201が作業しながら、虫媒植物の光合成を促進させることができる。
また、領域A・B・Dでは、青色LED312および紫外LED313をONしていることで、青色光および紫外光により受粉用昆虫4の受粉活動が行われるとともに、青色光により、虫媒植物の光合成が促進される。また、領域A・B・Dには人がいないことで、受粉用昆虫4は、人に邪魔されることなく受粉活動を行うことができる。
次いで、作業者201は、領域Cでの作業(生育管理)完了後、例えば領域Aでの生育管理を実施する場合には、領域Aと領域Cとの境界部に設置された光源スイッチ32を操作して、領域Aの青色LED312および紫外LED313をOFFし、赤色LED31をONする。また、作業者201は、このとき、併せて、領域Cの赤色LED311をOFFし、青色LED312および紫外LED313をONする。
これにより、領域B〜Dに照射されている紫外光および青色光により、領域Aから、領域B〜Dに、受粉用昆虫4を誘引する。これにより、作業者201は、領域Aでの作業(生育管理)が可能となる。
<効果>
以上のように、本実施形態によれば、人工光環境下で受粉用昆虫4が飛翔できる環境を提供できるので、例えば筆を使用した、人手による受粉と比較して、人件費を抑えることができる。
また、作業者201の作業領域(植物成育管理区)と受粉用昆虫4の作業領域(受粉区)とを分けることができるため、作業者201にとって安全で快適な作業空間を提供できるとともに、受粉用昆虫4にとっても、例えば握り潰されるという危険がなくなる。
また、上述したように、植物成育管理区では赤色LED31のみをONし、受粉区では青色LED312および紫外LED313のみをONすることで、照射光が、植物成育管理区では赤色、受粉区では青色となり、作業者201にとって、作業領域によって光質が明確に異なって見える。このため、作業者201が、受粉用昆虫4が飛翔している受粉区に誤って侵入してしまうという事故を防止することができる。
<変形例1>
上記照明方法では、図1の(c)に示すように、植物成育管理区(生育管理実施区)以外の領域を受粉用昆虫4による受粉区とし、植物成育管理区と受粉区とで、点灯するLEDを完全に切り替える場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではない。
すなわち、上記説明では、受粉区では、青色LED312および紫外LED313のみをONしたが、受粉区では、青色LED312および紫外LED313に加えて、赤色LED311も同時にONしてもよい。このように受粉区において、例えば赤色光をさらに照射することで、青色光および赤色光により、受粉区において、さらに光合成を促進させることができる。
なお、この場合、受粉区は、人の目で見てマゼンタ色(赤色+青色)に見える。このため、人の目から見た場合の植物成育管理区と受粉区とのコントラストは図1の(c)に示すパターンと比較して悪くなるが、識別は可能である。また、受粉区において赤色光をさらに照射することで、栽培する虫媒植物の光合成効率が向上するので、収穫量の増加や栽培日数の短縮といった栽培効率の向上が期待できる。
<変形例2>
図1の(c)および変形例1では、受粉区で、青色光および紫外光を照射する場合を例に挙げて説明したが、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、受粉区では、紫外光のみで受粉用昆虫4に受粉活動を行わせる一方、赤色光により光合成を行うことも可能である。この場合、栽培光源31は、青色LED312を備えている必要は必ずしもない。また、光源スイッチ32は、青色LED312に対応したスイッチ321(つまり、青色LED312をONまたはOFFするスイッチ321)を備えている必要は必ずしもない。
<変形例3>
また、図1の(c)および変形例1・2では、完全制御型の植物工場100を例に挙げて、光源スイッチ32により、全ての植物栽培領域102で、全ての栽培光源31において何れかのLEDが必ずONされており、全ての栽培光源31から常に光が照射されている場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではない。前述したように、本実施形態にかかる植物栽培施設は、太陽光等の自然光を利用した半制御型の植物栽培施設であってもよい。
上記植物栽培施設が、300〜500nmの波長域内の自然光を遮断し、400〜700nmの波長域内(望ましくは400〜500nmの波長域および600〜700nmの波長域のうち少なくとも一方の波長域内)の自然光を透過する場合、上述した例において、赤色LED311を使用せず、赤色光としては、自然光を利用することもできる。この場合、栽培する虫媒植物の種類等にもよるが、赤色LED311および赤色LED311に対応したスイッチ321を省くことも可能である。
また、特許文献1〜5に示すように、従来、半透過型の植物栽培施において虫媒植物を栽培する場合、紫外線を遮断し可視光線を透過する被覆フィルムにより紫外線がカットされた農業用ハウスにおいて、受粉用昆虫による受粉活動期間に、農業用ハウス内に、紫外線を含む光を照射することで、受粉用昆虫による受粉活動を行わせていた。
このため、従来は、受粉用昆虫と作業者とは、同一の領域内で作業を行っていたが、上述した従来型の農業ハウス等においても、紫外光に加えて青色光の外光の透過を遮断し、本実施形態にかかる照明装置3、例えば本例にかかる照明装置3を設けることで、受粉用昆虫による受粉活動期間に、人の作業領域と受粉用昆虫の作業領域とを分けることができる。
〔実施形態2〕
本発明の実施の他の形態について、図5〜図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態では、実施形態1との相違点について説明するものとし、実施形態1で説明した図面と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態1と同様の技術理念に基づいて、実施形態1と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<実施形態1の問題点>
実施形態1では、作業者201が、照明領域に対応した栽培領域(領域A〜D)毎に手動で光源スイッチ32を切り替えることで、機械的な制御により、栽培光源31の光質(出射波長)を切り替えていた。
しかしながら、実施形態1では、栽培領域を移動するとき等、光質の切り替えの度に、作業者201の近の光源スイッチ32の設置場所に足を運ぶ必要がある。
また、栽培領域間の境界、特に、複数の栽培領域が隣接する位置における境界(例えば、複数の境界が交差する部分)およびその近傍での生育管理作業時には、上記境界を挟んで隣り合う領域を、生産管理区として、赤色LED311のみを点灯することになる。このため、照明領域の設定の仕方や栽培容器2の配置の仕方によっては、上記境界およびその近傍での生育管理作業時には、植物工場100内の植物栽培領域102の殆どの領域が、赤色LED311のみが点灯された領域となり、この結果、受粉用昆虫4による受粉作業が殆どできないという問題が生じるおそれがある。
<本実施形態の概要>
そこで、本実施形態では、作業者201の位置を検出することで、電気的な制御により、人の位置に応じて、自動的に、栽培光源31の光質(出射波長)を切り替える。
以下に、図5を参照して具体的に説明する。
図5は、本実施形態にかかる植物工場100の概略構成を示す平面図である。
本実施形態にかかる植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3は、以下の点を除けば、実施形態1にかかる植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3と同じである。
本実施形態では、実施形態1において、植物工場100内における植物栽培領域102が、複数の照明領域に対応して、複数の栽培領域に区画されており、照明装置3が、上記複数の栽培領域にそれぞれ設けられた栽培光源31の光質を切り替える光源スイッチ32を備えている代わりに、照明装置3が、作業者201の位置を検出する手段を備え、検出した作業者201の位置に応じて、自動的に、栽培光源31の光質(出射波長)を切り替える。
より具体的には、本実施形態では、人(作業者201)の位置を検出し、図5に示すように、検出した人の位置から一定の範囲内の領域、つまり、人の位置を中心として半径Xm(mは単位、Xは第1閾値)以内の領域を、人が作業を行う領域103(人の作業領域)とする。これにより、領域103内では、例えば栽培光源31における各LEDのうち赤色LED311のみをON(点灯)することにより、400〜700nmの波長域内の光を含み、300nm〜500nmの波長域内の光を含まない光を照射する。
一方、植物栽培領域102内における、領域103以外の領域104、つまり、人の位置からXmを超える領域は、受粉用昆虫4の受粉が必要でない場合を除いて、受粉用昆虫4の作業領域(人が存在せず、受粉用昆虫4が作業を行うことができる領域)とする。これにより、領域104内では、例えば栽培光源31における各LEDのうち少なくとも青色LED312をON(点灯)することにより、300〜500nmの波長域内の光を含む光を出射する。
本実施形態では、このように、人の位置を検出し、人の移動に同期して、栽培光源31の光質(出射波長)を自動的に切り替える。
なお、本実施形態において、第1閾値Xmは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができる。本実施形態では、安全性の観点から、第1閾値Xmを、例えば5mとした。
以下に、図5および図6を参照して、本実施形態にかかる照明装置3について、より詳細に説明する。
<照明装置3の構成>
図6は、本実施形態にかかる照明装置3の概略構成を示すブロック図である。
図5および図6に示すように、本実施形態にかかる照明装置3は、照明制御部として、光源スイッチ32に代えて制御PC(Personal Computer:パーソナルコンピュータ)33を備えるとともに、作業者201の位置情報を取得する位置情報取得部34を備えている点で、実施形態1の照明装置3と異なっている。
すなわち、本実施形態にかかる照明装置3は、栽培光源31と、制御PC33と、位置情報取得部34と、を備えている。
以下に、制御PC33および位置情報取得部34について、より詳細に説明する。なお、栽培光源31は、実施形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
<位置情報取得部34の概略構成>
本実施形態にかかる位置情報取得部34は、電波を介して無線通信を行う、RFID(Radio Frequency-Identification)35(発信部)と、受信アンテナ36(受信部、RFIDリーダ)とを備えている。
RFID35は、電波を用いた近距離の無線通信によるID(identification:識別)情報のやりとりに使用する無線通信機である。本実施形態では、RFID35を作業者201に携帯させることで、RFID35を、電波を発信する送信用の携帯端末(送信端末)として利用する。これにより、RFID35が発信する電波からRFID35の位置を検出することで、RFID35を携帯する作業者201の位置を検出する。
RFID35は、RFIDカードと称される、RFID回路を内蔵した非接触IC(Integrated Circuits:集積回路)カードであってもよく、RFIDタグと称される、ID情報が埋め込まれたIDタグであってもよい。また、RFID35は、これらRFIDカードもしくはRFIDタグを備えた端末機(電子機器)等であってもよい。
受信アンテナ36は、送信端末であるRFID35から発信される電波を受信し、受信した電波を、制御PC33に送信する。
受信アンテナ36は、例えば、植物工場100における植物栽培領域102を囲むように、植物工場100の四方(栽培室内の四方)に設けられている。
なお、受信アンテナ36と制御PC33とは、有線または無線で通信できるようになっていればよく、通信方法は特に限定されない。
RFID35および受信アンテナ36としては、例えば、公知のRFIDおよび受信アンテナを使用することができる。
本実施形態において、RFID35が発信する電波の周波数は、受信アンテナ36の数や位置に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。しかしながら、例えば、433MHz帯、800MHz〜960MHz前後のいわゆるUHF帯、2.45GHz帯の電波を利用する電波方式は、125k〜135kHz帯や13.56MHz帯の電磁誘導を利用する電磁誘導方式に比べて、通信距離を拡大することができる。例えば、電磁誘導方式の場合、RFIDリーダからの電波をエネルギー源として動作するパッシブタグの通信可能距離は最大でも1m程度である。これに対し、RFIDが内蔵するアンテナとRFIDリーダのアンテナと電波をやりとりする電波方式を用いた、例えば433MHz帯、UHF帯、2.45GHz帯の通信可能距離は、パッシブタグで例えば3〜5mであり、電池を内蔵し、通信時に自らの電力で電波を発するアクティブタグは、例えば1〜100mもしくはそれ以上であり、出力電力さえ許せば数km程度であっても通信可能である。また、UHF帯の電波は、例えば2.4GHz帯の電波に比べて、物陰に回り込み易いという利点がある。
<制御PC33>
制御PC33は、上述したように、RFID35から発信される電波を、受信アンテナ36経由で受信する。
制御PC33は、図6に示すように、制御部331と、記憶部332と、計測部333(時間計測部)とを有している。
また、制御部331は、位置検出部3311と、距離算出部3312と、点灯制御部3313とを備えている。記憶部332は、第1記憶部3321と、第2記憶部3322と、第3記憶部3323と、を備えている。
第1記憶部3321には、植物工場100内に配置された各栽培光源31の位置が、例えば座標位置として記憶されている。
第2記憶部3322には、栽培光源31による照射パターンが記憶されている。第2記憶部3322には、例えば、栽培光源31と人との間の距離や受粉の要否に応じた照射パターンが記憶されている。
一例として、第2記憶部3322には、栽培光源31が下記(a)〜(c)の何れの条件(状態)の栽培領域における虫媒植物に光を照射するかによって、例えば下記表1に示すパターン1〜5の何れかの照射パターンが記憶されている。
(a)栽培光源31と検出した人との距離Dが第1閾値Xm以内(D≦Xm)である(つまり、人の作業領域であり、人の位置を中心とした半径Xm以内の領域103内である)。
(b)上記Dが上記第1閾値Xmよりも大きく(D>Xm)、受粉を必要とする(つまり、受粉用昆虫4の受粉作業領域である)。
(c)上記Dが上記第1閾値Xmよりも大きく(D>Xm)、受粉を必要としない(つまり、人も受粉用昆虫4も作業がない)。
ここで、受粉が必要か否かは、例えば、各栽培光源31に対応した栽培領域(虫媒植物)に、受粉用昆虫4が走行性を示す波長の光が、受粉用昆虫4の受粉に必要な1日当たりの時間(閾値時間)以上の時間、照射されているか否かによって決定される。
具体的には、受粉が必要か否かは、例えば、以下に示すように決定される。
例えば、受粉用昆虫4がマルハナバチであり、下記条件(1)〜(5)の関係を有する場合を例に挙げて説明する。
(1)一匹の受粉用昆虫4で一回あたり受粉可能な虫媒植物の株数:400株
(2)400株受粉するのに必要な時間:30分
(3)一匹の受粉用昆虫4で一日当たりに受粉作業を実施する回数:10回
(4)受粉用昆虫4(働きバチ)の数:100匹
(5)植物工場100内の虫媒植物の株数:40,000株
ここで、植物工場100内の虫媒植物の数と受粉用昆虫4の数とは、植物工場100内の虫媒植物の株数/受粉用昆虫4≦一匹の受粉用昆虫4で一回当たりに受粉可能な株数、という関係を満足していることが望ましい。上記のケースでは、上記条件(5)/上記条件(4)=上記条件(1)、つまり、(植物工場100内の虫媒植物の株数:40,000株)/(受粉用昆虫4(働きバチ)の数:100匹)=(一匹の受粉用昆虫4で一回あたり受粉可能な虫媒植物の株数:400株)となるため、受粉用昆虫4の数は適正と考えられる。
したがって、上記条件(2)×上記条件(3)=300分(つまり、5時間)となることから、上記植物工場100内の虫媒植物の受粉に必要な1日当たりの時間は5時間/日となる。なお、もしも上記条件(4)における受粉用昆虫4の数が200匹の場合には、受粉用昆虫4の数が適正値の2倍となるため、上記条件(2)×上記条件(3)/(適性値の倍数)から、300分×10回/2=150分(つまり、2.5時間)となる。
そこで、 例えば朝7時から、前述した条件(b)での照射時間が累積で5時間/日未満の場合には受粉が必要であり、5時間/日以上の場合には、受粉が足りていると判断されることから、受粉不要と判断する。
第3記憶部3323には、計測部333で計測された、各栽培光源31から、受粉用昆虫4が走行性を示す波長の光が照射された時間の1日当たりの累積の時間が記憶されるようになっている。本実施形態では、第3記憶部3323に、各栽培光源31における、前述した条件(b)での照射時間の累積時間が記憶される。
計測部333は、例えば、時間を計測するためのタイマ部である。本実施形態では、計測部333は、例えば、各栽培光源31から受粉用昆虫4が走行性を示す波長の光を照射開始してから停止するまでの経過時間を計測し、該経過時間を、第3記憶部3323に出力する。計測部333による計測開始および停止は、例えば、点灯制御部3313から各栽培光源31に対する、条件(b)での照射開始信号および停止信号をトリガとして行われる。
なお、計測部333は、タイマで構成されていてもよく、プログラムによって実現されていてもよい。
位置検出部3311は、受信アンテナ36から受信した電波(つまり、RFID35から発信された電波)から、RFID35を携帯する作業者201の位置情報として、RFID35の位置情報を分析する。これにより、位置検出部3311は、RFID35の位置を、RFID35を携帯する作業者201の位置として検出し、検出した作業者201の位置(RFID35の位置)を、距離算出部3312に送る。このとき、位置検出部3311は、例えば、各受信アンテナ36で受信した電波の強度から、各受信アンテナ36からRFID35までの距離を計算により求めることで、RFID35の位置を検出する。
但し、位置検出部3311による位置検出方法は、これに限定されるものではない。例えば、各受信アンテナ36で受信する電波の強度と、特定の座標位置との関係を予め図示しない記憶部に記憶しておき、必要に応じて補完法等を用いる等して、各受信アンテナ36で受信した電波の強度から、作業者201の位置を座標位置として検出してもよいことは、言うまでもない。
距離算出部3312は、第1記憶部3321に記憶された各栽培光源31の位置と、位置検出部3311で検出した作業者201の位置とを比較演算することで、各栽培光源31と作業者201(RFID35)との距離を算出し、算出結果を、点灯制御部3313に送る。
点灯制御部3313は、距離算出部3312から受信した、各栽培光源31と作業者201との距離に応じて、第2記憶部3322に記憶された照射パターンおよび第3記憶部3323に記憶された各栽培光源31における、前述した条件(b)での照射時間の累積時間に基づいて、各栽培光源31に、第2記憶部3322に記憶された照射パターンに応じた、制御信号(出力制御信号)を出力する。
栽培光源31は、点灯制御部3313からの制御信号に基づいて、各LEDをONまたはOFFする。
なお、制御PC33と各栽培光源31とは、有線または無線で通信できるようになっていればよく、通信方法は特に限定されない。
<照明方法>
次に、上記照明装置3による照明方法として、照明制御部である制御PC33による照明制御に関する処理の概要について、照射パターンとして、表1に示すパターン1を用いる場合を例に挙げて以下に説明する。
(処理例1)
図7は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示すフローチャートである。
受信アンテナ36で受信した、RFID35から発信された電波は、位置検出部3311に送信される。位置検出部3311は、受信アンテナ36から受信した電波から、RFID35を携帯する人の位置を検出する(ステップS1)。
次いで、距離算出部3312は、第1記憶部3321に記憶された各栽培光源31の位置と、位置検出部3311で検出した、人の位置とから、各栽培光源31に対し、該栽培光源31と人との距離Dを算出する(ステップS2)。
次に、点灯制御部3313は、各栽培光源31に対し、距離算出部3312によって算出された栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
ここで、点灯制御部3313は、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶された照射パターンとして、パターン1における条件(a)で駆動するための信号を送る(ステップS4)。
すなわち、点灯制御部3313は、ある栽培光源31に対し、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定すると、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン1における条件(a)に基づいて点灯させる。
本例の場合、図7および表1のパターン1に示すように、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下である場合、UV光、つまり、UV光を出射する紫外LED313と、青色光、つまり、青色光を出射する青色LED312とを、ともにOFF(消灯)し、赤色光、つまり、赤色光を出射する赤色LED311のみをON(点灯)する。そして、ステップS1に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS3で、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、例えば、第3記憶部3323に記憶された時間、すなわち、条件(b)での照射時間の累積時間から、該栽培光源31に対応する虫媒植物の受粉が必要か否かを判定する(ステップS5)。
すなわち、本実施形態では、ステップS5において、受粉が必要か否かは、上記照射時間の累積時間が閾値時間経過したか否か(閾値時間以上であるか否か)と、言い換えることができる。
そして、点灯制御部3313は、受粉が必要と判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要な虫媒植物に対応する栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン1における条件(b)で駆動するための信号を送る(ステップS6)。
本例の場合、図7および表1のパターン1に示すように、受粉が必要と判定した栽培光源31のUV光(紫外LED313)および青色光(青色LED312)を、ともにONし、赤色光(赤色LED311)をOFFする。そして、ステップS1に戻る。
一方、ステップS5で、点灯制御部3313は、受粉が必要でないと判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要でない虫媒植物に対応する栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン1における条件(c)で駆動するための信号を送る(ステップS7)。
本例の場合、図7および表1のパターン1に示すように、受粉が必要でないと判定した栽培光源31のUV光(紫外LED313)をOFFし、青色光(青色LED312)と赤色光(赤色LED311)とをONする。そして、ステップS1に戻る。
なお、ここでは、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン1が記憶されており、該パターン1に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン1に代えてパターン2〜5の何れかを使用することができる。
すなわち、図7に示すステップS4で示す(a)、ステップS6で示す(b)、およびステップS7で示す(c)は、表1に示すパターン2〜5における(a)〜(c)に置き替えることができる。
(処理例2)
但し、パターン4・5では、受粉が必要か否かによって、栽培光源31の照射条件を変更していない。そこで、以下に、照射パターンとして、パターン4を用いる場合を例に挙げて、該パターン4に基づいて照明制御を行う場合の処理について説明する。
図8は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示す他のフローチャートである。
なお、ここで、ステップS11〜ステップS13については、図7に示すステップS1〜ステップS3と同じである。すなわち、図7に示すステップS1〜ステップS3は、ステップS11〜ステップS13と読み替えることができる。したがって、ここでは、その説明を省略する。
本例では、点灯制御部3313は、ステップS13で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶された照射パターンにおける条件(a)として、パターン4における条件(a)で駆動するための信号を送る(ステップS14)。
すなわち、本例の場合、図8および表1のパターン4に示すように、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下である場合、表1のパターン1と同じく、UV光(紫外LED313)と、青色光(青色LED312)とを、ともにOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONする。そして、ステップS11に戻る。
なお、本例では、条件(b)における栽培光源31の照射条件は、条件(c)における栽培光源31の照射条件と同じである。すなわち、本例では、領域104における栽培光源31を、受粉が必要であるか否かに拘らず、一律の条件で駆動する。したがって、受粉が必要か否かの判定を行う必要はない。
そこで、本例では、点灯制御部3313は、ステップS13で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン4における条件(b)(=条件(c))で駆動するための信号を送る(ステップS15)。
すなわち、本例の場合、図8および表1のパターン1に示すように、人の作業領域である領域103以外の領域104を、受粉用昆虫4の作業領域として、例えば、該領域104における全ての栽培光源31において、UV光(紫外LED313)、青色光(青色LED312)、および赤色光(赤色LED311)を全てONする。そして、ステップS1に戻る。
なお、本例では、上述したように、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン4が記憶されており、該パターン4に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン4に代えてパターン5を使用してもよい。
すなわち、図8に示すステップS14で示す(a)、ステップS15で示す(b)・(c)は、表1に示すパターン5における(a)〜(c)に置き替えることができる。
<効果>
上述したように、本実施形態によれば、作業者201の移動に同期して、自動的に、作業者201の周囲(作業者201を中心として半径Xm以内の領域)の栽培光源31の発光色が赤色に変化する。
このため、本実施形態によれば、作業者201の作業性が向上するとともに、受粉領域を拡大することができ、受粉用昆虫4の作業性の向上も期待できる。
また、上述したパターン1・3・5のように、条件(a)による照射区(つまり、植物成育管理区)と条件(b)による照射区(つまり、受粉区)とで、照射光が、赤色のみの光質と青色のみの光質とに分かれている場合、人の目から見て、植物成育管理区と受粉区とで照射光のコントラストが明確となる。このため、例えば通信エラーや光源(光源部)の故障等で人の作業領域が赤色光のみの光質に切り替わらなかった場合でも、容易に領域の見分けがつき、危険性が少ない。
また、パターン2・4に示すように、条件(b)による照射区で、受粉用昆虫4の誘引光(紫外光、青色光)に加えて赤色光もONにした場合、栽培する虫媒植物の光合成効率が向上し、収穫量の増加や栽培日数の短縮等の栽培効率の向上が期待できる。但し、人の目から見た上記コントラストは、パターン1・3・5のように条件(a)による照射区と条件(b)による照射区とで、照射光が、赤色のみの光質と青色のみの光質とに分かれている場合と比較して悪くなる。
なお、植物の中には、UV光を照射することにより人間にとって機能性のある成分を増加させる種がある。このような成分としては、例えば、トマトのリコピンや、カロテノイド類等が挙げられる。
そこで、栽培する虫媒植物に、機能性成分の増加が必要な場合には、例えばパターン3〜5のように、条件(c)による照射区でUV光を点灯させることが有効である。
逆に、虫媒植物の種類によって、UV光が、栽培する虫媒植物に良い影響を与えない場合(例えば、一般的に苦味の成分であるカロテノイド類を抑えたい場合)には、上述したパターン1・2のように、条件(c)による照射区(つまり、人も受粉用昆虫4も作業しない領域)でUV光をOFFにすればよい。
また、上述したパターン1・2のように、条件(c)による照射区でUV光をOFFにすることで、ランニングコスト(光熱動力費)を抑えることができる。したがって、ランニングコストを抑えることを目的として、条件(c)による照射区でUV光をOFFにしてもよい。
このように、受粉不要時のUV光は、OFFに限定されるわけではなく、栽培する虫媒植物の特性や期待する有用成分等によって、適宜ONにしても構わない。
照射するパターンは、上述した各種効果に鑑み、必要な効果が得られるように、適宜組み合わせることができる。
また、本実施形態によれば、複数の作業者201が、実施形態1における異なる栽培領域で作業をする場合においても、受粉領域、つまり、受粉用昆虫4が走行性を示す、300〜500nmの波長域内の波長の光を照射する領域を、確保することができる。
図9は、図5に示す植物工場100において、作業者201が2名存在している例を示す平面図である。
なお、図9における領域A〜Dは、図1に示す領域A〜Dに対応する仮想領域である。図9に示すように各領域A〜Dの境界部で作業者201が例えば2名作業している場合、実施形態1では、全てのエリアで赤色光のみを点灯する必要がある。この場合、受粉用昆虫4による受粉作業ができないことから、実施形態1では、作業者201が2名とも上記境界部で作業している間は、受粉作業が滞ることになる。
しかしながら、本実施形態によれば、赤色光でのみ照射される領域は、作業者201の周囲のみであり、また、赤色光でのみ照射される領域は、作業者201の移動に伴って自動的に変更される。このため、本実施形態では、図9に示すように、実施形態1における各領域A〜Dの境界部に対応する領域で作業者201が複数で作業している場合であっても、できるだけ多くの受粉領域を残すことができる。
<照射パターンの変形例>
なお、本実施形態では、上述したように、受粉区で青色光および紫外光を含む光を照射する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態でも、実施形態1と同様の変形が可能である。すなわち、本実施形態でも、受粉区、つまり、条件(b)による照射区では、紫外光および赤色光を含む光(例えば紫外光および赤色光のみ)を照射する構成としてもよい。
例えば、条件(a)による照射区では、赤色光のみをONとし、条件(b)による照射区では紫外光および赤色光のみをONとし、条件(c)による照射区では、赤色光のみ、もしくは、紫外光および赤色光のみをONにしても構わない。本実施形態でも、この場合、青色LED312を省略することもできる。
<位置情報取得部の変形例>
また、本実施形態では、電波を発信する発信部としてRFID35を用いた場合を例に挙げて説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。上述したように電波の強度から発信部の位置を検出する場合、発信部としては、受信部で識別可能な電波を発信さえすればよい。したがって、上記発信部および受信部としては、電波を発信する発信手段と該発信手段から発信する波長の電波を受信することができる受信手段との組み合わせであれば、特に限定されるものではない。したがって、上記発信部および受信部としては、例えばBluetooth(登録商標)等のような短距離〜中距離通信を行う通信手段であってもよい。
また、電波の受信強度によって位置を特定する代わりに、例えば一定の範囲毎に受信部を設け、短距離通信を行うことで、受信の有無によって位置検出を行っても構わない。
さらに、上記位置情報取得部は、人感センサ等のセンサを用いた位置情報取得手段であってもよく、電波等を感知して撮像を行う等、イメージセンサを用いて位置を特定する位置情報取得手段等であってもよい。
したがって、受信部の数も、位置情報を取得することができるように適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。言い換えれば、受信部は、少なくとも1つ設けられていればよい。
〔実施形態3〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図10および図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態では、主に、実施形態2との相違点について説明するものとし、実施形態2で説明した図面と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態2と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<本実施形態の概要>
図10は、本実施形態にかかる植物工場100の概略構成を示す平面図である。
なお、本実施形態でも、植物工場100内の人を作業者201とし、人が存在する領域を、作業者201の作業領域として説明する。
実施形態2に対する本実施形態の相違点は、植物栽培領域102において、作業者201の作業領域である領域103と、それ以外の領域104における、受粉用昆虫4の受粉領域との間に、受粉用昆虫4を受粉領域に誘導するための誘導領域を設けた点である。
このために、本実施形態では、領域104において、領域103の周囲の領域105で、少なくともUV光および青色光の光量(出力)を、領域104内の他の領域よりも低下させている。
なお、ここで、領域103の周囲の領域105とは、作業者201の位置を中心とする半径がXm(mは単位、Xは第1閾値)を超えてYm(mは単位、Yは第2閾値であり、Y>X)以内の領域を示す。
本実施形態では、このように栽培光源31と作業者201との距離が、Xmより離れているがYm以内の場合、UV光および青色光の出力を、上記距離がYmよりも離れている場合のそれぞれV%、W%とした。
なお、本実施形態でも、第1閾値Xm、第2閾値Ymは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができる。本実施形態では、安全性の観点から、第1閾値Xmを、例えば5mとするとともに、受粉領域への受粉用昆虫4の退避に例えば2m(つまり、Y−X=2m)の余裕を持たせ、第2閾値Ymを、例えば7mとした。
また、上記V、Wの値は、受粉区における紫外光および青色光の出力(つまり、100%)よりも小さければよく、また、紫外光および青色光のうち少なくとも一方が点灯されていればよい。すなわち、0≦V<100および0≦W<100(但し、V=W≠0)であればよい。
したがって、上記VおよびWの値は、上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、例えば40以上、60以下であることが好ましい。
但し、本実施形態は、これに限定されるものではなく、VおよびWをそれぞれ50としてもよいし、受粉用昆虫4の比視感度係数が350nm〜400nmの間に最大値を持つことより、例えばVを20、Wを70としてもよい。また、上記誘引領域では受粉用昆虫4が飛翔すればよく、受粉用昆虫4を、受粉用昆虫4にできるだけストレスを与えることなく速やかに受粉区に誘引することが望ましいことから、上述した条件を満たしていれば、紫外光をOFFし(つまり、V=0とし)、青色光のみ出力を下げてON(つまり、0<W<100)してもよい。
本実施形態では、このように、作業者201の周囲(例えば作業者201を中心として半径5m以上、7m以内)の領域の栽培光源31に対し、受粉区(例えば作業者201から7m以上離れた領域)に対して、受粉作業用および光合成用の光量(例えば紫外光および青色光)を下げて(例えば1/2にして)、受粉用昆虫4を作業者201から遠ざける。
なお、このように、栽培光源31と作業者201との距離が、Xmより離れているがYm以内の場合、つまり、上記誘導領域内では、赤色光は、OFFにしてもよいが、ONにしてもよい。受粉用昆虫4は赤色光を認識せず、光合成のためには、赤色光がONであることが好ましい。
このため、上記誘導領域内では、赤色光の出力をM%とすると、0≦M≦100とすればよい。
以下に、より詳細に説明する。
<植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3の構成>
本実施形態にかかる植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3の構成は、図5に示すように、基本的には、実施形態2にかかる植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3と同じである。
また、照明装置3の構成も、実施形態2において、図6に示した通りである。但し、本実施形態では、図6に示す第2記憶部3322に記憶されている、栽培光源31の照射パターンが、実施形態2とは異なっている。このため、本実施形態では、点灯制御部3313による処理が、実施形態2とは異なっている。
本実施形態でも、第2記憶部3322には、例えば、栽培光源31と人との間の距離や受粉の要否に応じた照射パターンが記憶されている。
なお、本実施形態では、領域104内に領域105を設けたことから、領域104内における、領域105以外の領域、つまり、人の位置からYmを超える領域を、受粉用昆虫4の受粉が必要でない場合を除いて、受粉用昆虫4の作業領域(人が存在せず、受粉用昆虫4が作業を行うことができる領域)とする。
このため、一例として、第2記憶部3322には、栽培光源31が下記(a)〜(c)の何れの条件の栽培領域における虫媒植物に光を照射するかによって、例えば下記表2に示すパターン11〜17の何れかの照射パターンが記憶されている。
(a)栽培光源31と検出した人との距離Dが第1閾値Xm以内(D≦Xm)である(つまり、人の作業領域であり、人の位置を中心とした半径Xm以内の領域103内である)。
(b1)上記Dが上記第1閾値Xmよりも大きく(D>Xm)、第2閾値Ym以内(Xm<D≦Ym)である(つまり、受粉用昆虫4の誘導領域105内である)。
(b2)上記Dが上記第2閾値Ymよりも大きく(D>Ym)、受粉を必要とする(つまり、受粉用昆虫4の受粉作業領域である)。
(c)上記Dが上記第2閾値Ymよりも大きく(D>Ym)、受粉を必要としない(つまり、人も受粉用昆虫4も作業がない)。
したがって、本実施形態では、点灯制御部3313は、距離算出部3312から受信した、各栽培光源31と作業者201との距離に応じて、第2記憶部3322に記憶された照射パターンおよび第3記憶部3323に記憶された各栽培光源31における、上記条件(b2)での照射時間の累積時間に基づいて、各栽培光源31に、第2記憶部3322に記憶された照射パターンに応じた、制御信号を出力する。
<照明方法>
以下に、本実施形態にかかる照明装置3による照明方法として、制御PC33による照明制御に関する処理の概要を、表3に示すパターン11を用いる場合を例に挙げて以下に説明する。
(処理例1)
図11は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示すフローチャートである。
図11において、ステップS21〜ステップS23は、図7に示すステップS1〜ステップS3と同じである。したがって、ここでは、その説明を省略する。
本例では、点灯制御部3313は、ステップS13で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン11における条件(a)として、パターン11における条件(a)で駆動するための信号を送る(ステップS24)。
すなわち、本例の場合、図11および表2のパターン11に示すように、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下である場合、UV光(紫外LED313)と、青色光(青色LED312)とを、ともにOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONする。そして、ステップS21に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS23で、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、該栽培光源31、つまり、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超える栽培光源31に対し、距離算出部3312によって算出された栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ym以下であるか否かを判定する(ステップS25)。
そして、点灯制御部3313は、ステップS25で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ym以下である(つまり、Xm<D≦Ymである)と判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン11における条件(b1)で駆動するための信号を送る(ステップS26)。
すなわち、本例の場合、図11および表2のパターン11に示すように、栽培光源31と人との距離DがXm<D≦Ymである場合、UV光(紫外LED313)を出力V%でONし、青色光(青色LED312)を出力W%でONし、赤色光(赤色LED311)をOFFする。そして、ステップS21に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS25で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超える(つまり、D>Ym)と判定した場合、例えば、第3記憶部3323に記憶された時間、すなわち、条件(b)での照射時間の累積時間から、該栽培光源31に対応する虫媒植物の受粉が必要か否かを判定する(ステップS27)。
なお、本実施形態でも、ステップS27において、受粉が必要か否かは、上記照射時間の累積時間が閾値時間経過したか否か(閾値時間以上であるか否か)と、言い換えることができる。
そして、点灯制御部3313は、受粉が必要と判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要な虫媒植物に対応する栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン11における条件(b2)で駆動するための信号を送る(ステップS28)。
本例の場合、図11および表2のパターン11に示すように、受粉が必要と判定した栽培光源31のUV光(紫外LED313)および青色光(青色LED312)を、ともに出力100%でONし、赤色光(赤色LED311)をOFFする。そして、ステップS21に戻る。
一方、ステップS27で、点灯制御部3313は、受粉が必要でないと判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要でない虫媒植物に対応する栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン11における条件(c)で駆動するための信号を送る(ステップS29)。
本例の場合、図11および表2のパターン11に示すように、受粉が必要でないと判定した栽培光源31のUV光(紫外LED313)をOFFし、青色光(青色LED312)と赤色光(赤色LED311)とをONする。そして、ステップS21に戻る。
なお、ここでは、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン1が記憶されており、該パターン1に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン11に代えてパターン12〜14の何れかを使用することができる。
(処理例2)
但し、本実施形態は、これに限定されるものではなく、実施形態2のパターン4・5と同様に、パターン15〜17では、受粉が必要か否かによって、栽培光源31の照射条件を変更していない。
そこで、以下に、照射パターンとして、パターン15を用いる場合を例に挙げて、該パターン15に基づいて照明制御を行う場合の処理について説明する。
図12は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示す他のフローチャートである。
なお、本例でも、ステップS31〜ステップS33については、図7に示すステップS1〜ステップS3と同じである。したがって、ここでは、その説明を省略する。
本例では、点灯制御部3313は、ステップS13で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶された照射パターンにおける条件(a)として、パターン15における条件(a)で駆動するための信号を送る(ステップS34)。
すなわち、本例の場合、図11および表2のパターン15に示すように、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下である場合、パターン11と同様に、UV光(紫外LED313)と、青色光(青色LED312)とを、ともにOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONする。そして、ステップS31に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS33で、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、ステップS35に進む。
本例において、ステップS35は、図11におけるステップS25と同じである。したがって、図11に示すステップS23、ステップS25は、それぞれ、ステップS33、ステップS35と読み替えることができる。
点灯制御部3313は、ステップS35で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ym以下である(つまり、Xm<D≦Ymである)と判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン15における条件(b1)で駆動するための信号を送る(ステップS36)。
すなわち、本例の場合、図12および表2のパターン15に示すように、栽培光源31と人との距離DがXm<D≦Ymである場合、UV光(紫外LED313)を出力V%でONし、青色光(青色LED312)を出力W%でONし、赤色光(赤色LED311)を出力M%でONする。そして、ステップS31に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS25で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した場合、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン15における条件(b2)(=条件(c))で駆動するための信号を送る(ステップS37)。
すなわち、本例の場合、図12および表2のパターン15に示すように、植物栽培領域102における、領域103および領域105以外の領域(つまり、領域104における、領域105以外の領域)を、受粉用昆虫4の作業領域として、例えば、該領域における全ての栽培光源31において、UV光(紫外LED313)、青色光(青色LED312)、および赤色光(赤色LED311)を全てONする。そして、ステップS31に戻る。
なお、本例では、上述したように、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン15が記憶されており、該パターン15に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン15に代えてパターン16を使用してもよい。
すなわち、図12に示すステップS34で示す(a)、ステップS36で示す(b1)、ステップS37で示す(b2)・(c)は、表2に示すパターン16における(a)〜(c)に置き替えることができる。
<効果>
本実施形態は、実施形態2にさらにXm<D≦Ymの領域を設けるものである。このため、本実施形態によれば、実施形態2と同様の効果を得ることができる。
このため、本実施形態でも、人の作業領域と受粉用昆虫4の作業領域とを分けることができるとともに、上述した各パターンにおいて、条件(a)による照射区と条件(b1)・(b2)による照射区とで、照射光が、赤色のみの光質と青色のみの光質とに分かれている場合、人の目から見て、植物成育管理区と受粉区とで照射光のコントラストが明確となる。このため、例えば通信エラーや光源(光源部)の故障等で人の作業領域が赤色光のみの光質に切り替わらなかった場合でも、容易に領域の見分けがつき、危険性が少ない。
また、本実施形態でも、上述した各パターンにおいて、条件(c)による照射区でUV光をOFFにすることで、ランニングコスト(光熱動力費)を抑えることができる。
また、本実施形態でも、上述した各パターンにおいて、条件(b1)・(b2)による照射区で、受粉用昆虫4の誘引光(紫外光、青色光)に加えて赤色光もONにした場合、栽培する虫媒植物の光合成効率が向上し、収穫量の増加や栽培日数の短縮等の栽培効率の向上が期待できる。
また、本実施形態でも、上述した各パターンにおいて、条件(c)による照射区でUV光を点灯させることで、栽培する虫媒植物の種類によって、機能性成分を増加させることができる。
本実施形態でも、上述したように、照射するパターンは、必要な効果が得られるように、適宜組み合わせることができる。
また、本実施形態では、実施形態2の構成において、栽培光源31と人との距離DがXm<D≦Ymである場合、UV光と青色光の出力を、D>Ymの場合のそれぞれV%、W%とした。
これにより、本実施形態によれば、実施形態2の効果に加えて、それまで受粉区であった領域を成育管理区に変更するときに、受粉用昆虫4が走行性(誘引効果)を示すUV光および青色光の出力を、段階的に下げることができるという効果を奏する。このため、本実施形態によれば、それまで受粉区であった領域を成育管理区に変更するときに、受粉用昆虫4が、余裕を持って受粉区に退避できる。
また、Xm<D≦Ymの領域では、D>Ymの領域よりもUV光および青色光の出力が小さいことで、受粉用昆虫4は、正の走行性により、UV光および青色光の出力が高いD>Ymの領域に誘引される。このため、Xm<D≦Ymの領域を設けない実施形態2と比較して受粉用昆虫4を作業者201からより遠ざけることができる。
<変形例>
なお、本実施形態でも、受粉区で青色光および紫外光を含む光を照射する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態でも、実施形態1、2と同様の変形が可能である。すなわち、本実施形態でも、受粉区、つまり、条件(b2)による照射区では、紫外光および赤色光を含む光(例えば紫外光および赤色光のみ)を照射する構成としてもよい。
例えば、条件(a)による照射区では、赤色光のみをONとし、条件(b1)による照射区では紫外光のみをV%(0<V<100)の出力でONするか、もしくは、紫外光をV%(0<V<100)の出力でONするととともに、赤色光をM%(0<M≦100)の出力でONし、条件(b2)による照射区では紫外光および赤色光のみをON(100%の出力でON)し、条件(c)による照射区では、赤色光のみ、もしくは、紫外光および赤色光のみをON(100%の出力でON)にしても構わない。本実施形態でも、この場合、青色LED312を省略することもできる。
〔実施形態4〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図13〜図17に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態では、主に、実施形態1〜3との相違点について説明するものとし、実施形態1〜3で説明した図面と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。また、本実施形態でも、実施形態1〜3と同様の変形が可能であることは、言うまでもない。
<本実施形態の概要>
図13は、本実施形態にかかる栽培光源31の概略構成を示す側面図である。
実施例1〜3では、栽培光源31が、光源部として赤色LED311、青色LED312、および紫外LED313を備えている場合を例に挙げて説明した。本実施形態では、図13に示すように、栽培光源31が、光源部として、赤色LED311と、350〜500nmの波長域の光を含む光を出射する蛍光灯315とを備えている点で、実施形態1〜3と異なっている。
すなわち、本実施形態では、紫外波長領域から青色波長領域の光を含む光として、蛍光灯315の光を、虫媒植物に照射する。
LED光源は、消費電力を抑えることができるが、現時点では未だ価格が高く、多額の設備投資費用が必要となる。このため、初期投資費用を抑えたい場合、蛍光灯315を、青色LED312および紫外LED313の代替光源として用いることが可能である。
<栽培光源31の構成>
本実施形態にかかる栽培光源31は、図13に示すように、制御基板である基板314上に、光源部(光源)として、赤色LED311と、蛍光灯ホルダ316で覆われた蛍光灯315と、が搭載された構成を有している。本実施形態にかかる栽培光源31は、例えば複数の赤色LED311と、それぞれ蛍光灯ホルダ316で覆われた複数の蛍光灯315とを備え、これら赤色LED311と、蛍光灯315とは、例えばそれぞれ交互に設けられている。
なお、本実施形態でも、これら赤色LED311および蛍光灯315は、独立した電気系統を有し、個別に制御することができるようになっている。
なお、上記蛍光灯315は、350〜400nmの波長域の光を含む光を出射するものであれば、特に限定されるものではない。上記蛍光灯315は、350〜400nmの波長域の光を含む光を出射するものであれば、青色蛍光灯等の着色灯であってもよい。
また、上記蛍光灯ホルダ316は、例えば青色等、赤色光との識別が可能な色に着色されていてもよく、蛍光灯ホルダ316の表面に、図示しない着色フィルム等を備えていても構わない。
<植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3の構成>
本実施形態にかかる植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3は、実施形態1〜3において、照明部として、図1の(b)に示す栽培光源31に代えて図13に示す栽培光源31を用いたことを除けば、実施形態1〜3にかかる植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3と同じ構成を有している。
但し、栽培光源31の構成が実施形態1〜3と異なることで、実施形態1〜3とは、栽培光源31の照射パターンが異なる。
すなわち、本実施形態では、青色LED312および紫外LED313のうち少なくとも一方を点灯する代わりに、蛍光灯315を点灯させる。
したがって、本実施形態では、例えば、図6に示す第2記憶部3322に、例えば、以下に示す表3に示す照射パターン21〜29および表4に示すパターン30〜34の何れかの照射パターンが記憶されている。
<照明方法>
そこで、以下に、本実施形態にかかる照明装置3による照明方法として、例えば、図6に示す制御PC33を用いた照明制御に関する処理を例に挙げて以下に説明する。
(処理例1)
図14は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
なお、図14は、表3に示すパターン21を用いる場合を例に挙げて示している。
図14において、ステップS41〜ステップS43は、図7に示すステップS1〜ステップS3と同じである。したがって、ここでは、その説明を省略する。
本例では、点灯制御部3313は、ステップS43で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶された照射パターンにおける条件(a)として、パターン21における条件(a)で駆動するための信号を送る(ステップS44)。
本例の場合、図14および表3のパターン21に示すように、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下である場合、蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONする。そして、ステップS41に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS23で、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン21における条件(b)(=条件(c))で駆動するための信号を送る(ステップS45)。
本例の場合、図14および表3のパターン21に示すように、人の作業領域である領域103以外の領域104を、受粉用昆虫4の作業領域として、例えば、該領域104における全ての栽培光源31において、蛍光灯315および赤色光(赤色LED311)をともにONする。そして、ステップS41に戻る。
なお、本例では、上述したように、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン21が記憶されており、該パターン21に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン21に代えてパターン22を使用してもよい。
なお、本実施形態でも、制御PC33による照明制御は、上記方法に限定されるものではない。以下に、他の例について説明する。
(処理例2)
図15は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示す他のフローチャートである。
以下では、表3に示すパターン23を用いる場合を例に挙げて説明する。
図15でも、ステップS51〜ステップS53は、図7に示すステップS1〜ステップS3と同じである。したがって、ここでは、その説明を省略する。
本例では、点灯制御部3313は、ステップS53で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶された照射パターンにおける条件(a)として、パターン23における条件(a)で駆動するための信号を送る(ステップS54)。
本例の場合、図15および表3のパターン23に示すように、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下である場合、蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONする。そして、ステップS51に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS53で、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、ステップS55に進む。
本例において、ステップS55は、図7におけるステップS5と同じである。したがって、図7に示すステップS3、ステップS5は、それぞれ、ステップS53、ステップS55と読み替えることができる。
点灯制御部3313は、ステップS55で受粉が必要と判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要な虫媒植物に対応する栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン23における条件(b)で駆動するための信号を送る(ステップS56)。
本例の場合、図15および表3のパターン23に示すように、受粉が必要と判定した蛍光灯315をONし、赤色光(赤色LED311)をOFFする。そして、ステップS51に戻る。
一方、ステップS55で、点灯制御部3313は、受粉が必要でないと判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要でない虫媒植物に対応する栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン23における条件(c)で駆動するための信号を送る(ステップS57)。
本例の場合、図15および表3のパターン23に示すように、受粉が必要でないと判定した栽培光源31の蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)をONする。そして、ステップS51に戻る。
なお、本例では、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン23が記憶されており、該パターン23に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン23に代えてパターン24またはパターン25を使用してもよい。
(処理例3)
図16は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示すさらに他のフローチャートである。
以下では、表3に示すパターン26を用いる場合を例に挙げて説明する。
図16のステップS61〜ステップS63は、図7に示すステップS1〜ステップS3と同じである。したがって、ここでは、その説明を省略する。
本例では、点灯制御部3313は、ステップS63で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31に対し、表3のパターン26における条件(a)で駆動するための信号を送る(ステップS64)。
本例の場合、図16および表3のパターン26に示すように、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下である場合、蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONする。そして、ステップS61に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS63で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した場合、ステップS65に進む。
本例において、ステップS65は、図11におけるステップS27と同じである。したがって、図11に示すステップS25、ステップS27は、それぞれ、ステップS63、ステップS65と読み替えることができる。
点灯制御部3313は、ステップS65で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ym以下である(つまり、Xm<D≦Ymである)と判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン26における条件(b1)で駆動するための信号を送る(ステップS66)。
本例の場合、図16および表3のパターン26に示すように、栽培光源31と人との距離DがXm<D≦Ymである場合、蛍光灯315を出力N%でONし、赤色光(赤色LED311)を出力M%でONする。そして、ステップS61に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS65で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した場合、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン26における条件(b2)(=条件(c))で駆動するための信号を送る(ステップS67)。
本例の場合、図16および表3のパターン26に示すように、植物栽培領域102における、領域103および領域105以外の領域(つまり、領域104における、領域105以外の領域)を、受粉用昆虫4の作業領域として、例えば、該領域における全ての栽培光源31において、蛍光灯315および赤色光(赤色LED311)をともにONする。そして、ステップS61に戻る。
なお、本例では、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン26が記憶されており、該パターン26に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン26に代えてパターン27〜29の何れかを使用してもよい。
(処理例4)
図17は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示すさらに他のフローチャートである。
以下では、表4に示すパターン30を用いる場合を例に挙げて説明する。
図17のステップS71〜ステップS73は、図7に示すステップS1〜ステップS3と同じである。したがって、ここでは、その説明を省略する。
本例では、点灯制御部3313は、ステップS73で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31に対し、表4のパターン30における条件(a)で駆動するための信号を送る(ステップS74)。
本例の場合、図17および表4のパターン30に示すように、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下である場合、蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONする。そして、ステップS71に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS73で、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、ステップS75に進む。
本例において、ステップS75は、図11におけるステップS25と同じである。また、本例において、後述するステップS77は、図11におけるステップS27と同じである。したがって、図11に示すステップS23、ステップS25は、ステップS27は、それぞれ、ステップS73、ステップS75、ステップS77と読み替えることができる。
点灯制御部3313は、ステップS75で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ym以下である(つまり、Xm<D≦Ymである)と判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン30における条件(b1)で駆動するための信号を送る(ステップS76)。
すなわち、本例の場合、図17および表4のパターン30に示すように、栽培光源31と人との距離DがXm<D≦Ymである場合、蛍光灯315を出力N%でONし、赤色光(赤色LED311)を出力M%でONする。そして、ステップS71に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS75で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した場合、ステップS77に進む。
点灯制御部3313は、ステップS77で、受粉が必要と判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要な虫媒植物に対応する栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン30における条件(b2)で駆動するための信号を送る(ステップS78)。
本例の場合、図17および表4のパターン30に示すように、受粉が必要と判定した栽培光源31の蛍光灯315を出力100%でONし、赤色光(赤色LED311)をOFFする。そして、ステップS71に戻る。
一方、ステップS77で、点灯制御部3313は、受粉が必要でないと判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要でない虫媒植物に対応する栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン30における条件(c)で駆動するための信号を送る(ステップS79)。
本例の場合、図17および表4のパターン30に示すように、受粉が必要でないと判定した栽培光源31の蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)をONする。そして、ステップS71に戻る。
なお、本例では、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン30が記憶されており、該パターン30に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン30に代えてパターン31〜パターン34の何れかを使用してもよい。
<効果>
本実施形態は、実施形態2、3において、蛍光灯315を紫外LED313および青色LED312の代替光源として用いるものである。したがって、実施形態によれば、実施形態2、3と同様の効果を得ることができる。
このため、本実施形態でも、人の作業領域と受粉用昆虫4の作業領域とを分けることができるとともに、上述した各パターンにおいて、条件(b1)・(b2)・(c)の何れかによる照射区で、蛍光灯315だけでなく赤色LED311もONすることで、光合成効率の向上を図ることができる。
また、本実施形態でも、蛍光灯に含まれるUV光が植物に良い影響を与えない場合(例えばカロテノイド類を抑えたい場合)には、条件(c)による照射区で蛍光灯315光をOFFにすればよい。逆に、蛍光灯に含まれるUV光によって機能性成分を増加させることを目的として、条件(c)による照射区で蛍光灯315光をONしてもよい。
また、本実施形態によれば、上述した各パターンにおいて、条件(c)による照射区で蛍光灯315光をOFFにすることで、蛍光灯315の寿命を延ばすとともに、消費電力の削減を図ることができる。
本実施形態でも、照射パターンは、栽培する虫媒植物の特性(光合成能力や光質による含有成分の変化等)により選択すればよく、何れの場合においても、条件(a)による照射区、つまり、人の作業領域(人の作業時)には、受粉用昆虫4の好むUV光および青色光を含まない光で作業し、受粉用昆虫4を寄り付かせず、条件(b2)による照射区、つまり、受粉用昆虫4の受粉領域(受粉用昆虫4の受粉時)には、UV光および青色光のうち少なくともUV光により受粉用昆虫4を誘引し、受粉作業を促すという条件は満たされている。
さらには、本実施形態によれば、条件(a)・(b)・(b1)・(b2)・(c)の何れによる照射区でも、赤色光、および、青色光を含む蛍光灯315のうち少なくとも一方がONされていることで、何れの照射区でも、光合成が促進されている。
また、本実施形態によれば、蛍光灯315を紫外LED313および青色LED312の代替光源として用いることから、初期投資費用を抑えることができるという効果を奏する。
<変形例>
なお、本実施形態では、主に、図6に示す制御PC33を用いた照明制御に関する処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、実施形態1において、青色LED312および紫外LED313に代えて蛍光灯315を使用してもよい。
この場合、人の作業領域では蛍光灯315をOFFし、赤色LED311をONする一方、受粉用昆虫4の受粉領域では、蛍光灯315をONし、赤色LED311をOFFまたはONさせればよい。
この場合、上述したように例えば蛍光灯315に着色灯を用いたり、蛍光灯ホルダ316を着色したりすることで、人の目から見た、植物成育管理区と受粉区とにおける照射光のコントラストを明確にすることができる。この場合、例えば通信エラーや光源(光源部)の故障等で人の作業領域が赤色光のみの光質に切り替わらなかった場合でも、容易に領域の見分けがつき、危険性が少ない。
但し、本実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、植物栽培領域102を、隣り合わない栽培領域(照明領域)が存在するように区分し、人の作業領域に隣り合わない栽培領域(栽培区画)において、蛍光灯315と赤色LED311とをともにONし、人の作業領域に隣接する領域を、作業領域の区別および離間のために、人も受粉用昆虫4も作業しない領域として、例えば、蛍光灯315をOFFし、赤色LED311を、人の作業領域よりも出力を下げてONし、受粉用昆虫4の受粉領域では、赤色LED311および蛍光灯315をともに例えば出力100%でONしても構わない。
なお、この場合、植物栽培領域102を、隣り合わない栽培領域(照明領域)が存在するように区分する方法は特に限定されるものではない。例えば、植物栽培領域102を、格子状に、図1の(a)よりもさらに多区画(例えば6区画以上)に区分してもよく、植物栽培領域102を、デルタ状に、4区画以上に区分しても構わない。
なお、実施形態1においても、上記と同様の変形が可能である。すなわち、上述したように実施形態1において人の作業領域と受粉用昆虫4の受粉領域との間に人も受粉用昆虫4も作業しない領域を設ける場合、蛍光灯315に代えて青色LED312および紫外LED313を用いても同様の効果が得られることは、言うまでもない。
〔実施形態5〕
本発明の実施のさらに他の形態について、図18〜図23に基づいて説明すれば、以下の通りである。
なお、本実施の形態では、主に、実施形態1〜4との相違点について説明するものとし、実施形態1〜4で説明した図面と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<本実施形態の概要>
前述したように、受粉用昆虫4は、受粉用昆虫4が有する正の走光性あるいは帰巣本能により、受粉用昆虫4にとって暗くなると、本能的に、帰巣もしくは明るい場所へと移動する。
しかしながら、光質を変更し、受粉用昆虫4にとって暗闇にしただけでは受粉用昆虫4が飛翔しないケース(特に、植物体、つまり、虫媒植物や、栽培プランター等の栽培容器2に乗っている受粉用昆虫4)も考えられなくはない。
そこで、本実施形態では、そのような可能性を考慮し、ファン等の送風手段等を利用して、受粉用昆虫4を強制的に飛翔させて、受粉用昆虫4にとって明るい領域に誘引する。
植物工場のような閉鎖系空間で植物を栽培するためには、植物が空気中の成分を効率的に利用するための空気の流れや気流を作ることが好ましい。このため、植物工場等の植物栽培施設には、送風装置が設けられていることが好ましく、実際に、植物栽培施設内に送風装置を設置しているケースが多い。
このような場合、送風装置は、通常栽培時、植物にストレスにならないレベルの至軽風(0.3〜1.5m/s未満の風速)を送風し、空気を循環している。
そこで、本実施形態では、光質切り替え時に、栽培する直物体(虫媒植物)の葉や茎が動く程度の風(風速1.5〜7.9m/s)の風を所定時間(例えば15秒間)送風し、植物体を揺らすことで、受粉用昆虫4を飛翔させるとともに、光質の切り替えにより、受粉用昆虫4を、人の作業領域外の領域、具体的には受粉区に誘引する。
なお、以下では、光質切り替え時に、受粉用昆虫4が飛翔する風速(風速1.5〜7.9m/s)の風を例えば15秒間送風する場合を例に挙げて説明するが、送風時間は、これに限定されるものではなく、任意の時間に設定すればよい。但し、送風時間が長くなりすぎると、虫媒植物にとってストレスになるおそれがあることから、受粉用昆虫4の飛翔を促し、かつ、虫媒植物にストレスを与えない程度の時間に設定することが望ましい。
以下に、より詳細に説明する。
<植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3の構成>
図18は、本実施形態にかかる照明装置3における要部の概略構成を示す側面図である。
本実施形態にかかる植物工場100、植物栽培システム1、および照明装置3は、例えば照明装置3が複合装置であり、図18に示すように、栽培光源31毎に送風部37を備えている点で、実施形態1〜4と異なっている。
なお、送風部37は、栽培光源31と一体的に設けられていてもよく、別体で設けられていても構わない。
図18に示す例では、各栽培光源31を挟むように、1つの栽培光源に対し、複数(例えば2つ)の送風部37が設けられている場合を例に挙げて示している。しかしながら、各栽培光源に対する送風部37の数は、これに限定されるものではない。
送風部37は、該送風部37と対をなす栽培光源31が光を照射する虫媒植物21に風を送ることができればよく、該送風部37を構成する送風手段としては、特に限定されるものではない。上記送風部37としては、例えば、ファン、ブロワ等の公知の送風手段(送風機)を用いることができる。
また、図18では、虫媒植物21としてイチゴを例に挙げて図示しているが、実施形態1で説明した通り、虫媒植物21の種類はこれに限定されるものではない。
以下では、図6に示す第2記憶部3322に、例えば、照明パターンと送風パターンとを組み合わせパターンが記憶されており、制御PC33が、集中制御部として、栽培光源31の照明制御と併せて送風部37の送風制御を行う場合を例に挙げて説明する。
しかしながら、本実施形態はこれに限定されるものではなく、植物栽培システム1が、照明装置3とは別に送風装置を備え、照明装置3と送風装置とが別々に駆動される構成を有していても構わない。
以下では、制御PCにおける点灯制御部3313が、距離算出部3312から受信した、各栽培光源31と作業者201との距離、および、第3記憶部3323に記憶された、条件(b)または条件(b2)での照射時間の累積時間、並びに、各栽培光源31が設けられた栽培領域における直前の照明状態に基づいて、栽培光源31および送風部37に、それぞれ制御信号を出力する場合を例に挙げて説明する。
つまり、栽培光源31が(a)の条件(状態)の栽培領域における虫媒植物に光を照射する場合、該栽培領域の直前の状態、言い換えれば、上記栽培光源31の直前の照射パターンによって、該栽培領域に受粉用昆虫4が存在する場合と存在しない場合とがある。
そこで、本実施形態では、点灯制御部3313は、栽培光源31の駆動状態から、該栽培光源31に新たな制御信号を送る直前の駆動状態を判定し、その判定結果によって、条件(a)を、下記の条件(a1)と(a2)とで区別する。
(a1)栽培光源31と検出した人との距離Dが第1閾値Xm以内(D≦Xm)であり、かつ、直前に受粉用昆虫4が存在する。
(a2)栽培光源31と検出した人との距離Dが第1閾値Xm以内(D≦Xm)であり、かつ、直前に受粉用昆虫4が存在しない。
このため、本実施形態では、例えば、図6に示す第2記憶部3322に、照射・送風パターンとして、例えば、以下に示す表5に示すパターン41〜45、表6に示すパターン46〜52、表7に示すパターン53〜60、表8に示すパターン61〜66の何れかのパターンが記憶されている。
<照明方法>
以下では、本実施形態にかかる照明装置3による照明方法、言い換えれば、上記照明装置3による受粉用昆虫4の誘引方法として、上述したように制御PC33を用いた照明制御および送付制御に関する処理を例に挙げて以下に説明する。
(処理例1)
図19は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
なお、図19は、栽培光源31として、図1の(b)に示す栽培光源31を使用し、照射・送風パターンとして、表5に示すパターン41を用いる場合を例に挙げて示している。
図19において、ステップS81〜ステップS83は、図7に示すステップS1〜ステップS3と同じである。したがって、ここでは、その説明を省略する。
本例では、点灯制御部3313は、ステップS83で栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xm以下であると判定した栽培光源31および該栽培光源31と対をなす送風部37に対し、該栽培光源31の直前の駆動状態(照明条件)を判定する(ステップS84)。
そして、点灯制御部3313は、ステップS84で、上記栽培光源31の直前の状態が条件(b)または(c)による駆動状態であった場合、上記栽培光源31による照明領域に受粉用昆虫4が存在すると判定し、該栽培光源31に、第2記憶部3322に記憶されたパターン41における条件(a1)で駆動するための信号を送る(ステップS85)。
本例の場合、図19および表5のパターン41の条件(a1)に示すように、UV光(紫外LED313)と青色光(青色LED312)とをOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONするとともに、送風部37の風速をHIGH(1.5〜7.9m/s)に切り替える。
これにより、上記栽培光源31の照明領域に直前まで存在していた受粉用昆虫4を飛翔させ、作業者201の作業領域外に誘引する。なお、作業者201を中心とした半径Xm以内の領域は作業領域に設定されていることから、上記条件(a1)は、作業者201を中心とした半径Xmの領域103における、他の領域との境界部近傍の栽培光源31に適用される。
次いで、点灯制御部3313は、送風部37の送風開始からの経過時間(送風時間)が所定時間経過したか否かを判定する(ステップS86)。
なお、上記経過時間の測定には、計測部333を利用することができる。但し、これに限定されるものではなく、送風部37の送風開始からの経過時間を測定する計測部が、計測部333とは別に設けられていてもよい。この場合にも、上記計測部は、タイマで構成されていてもよく、プログラムによって実現されていてもよい。なお、ここでは、計測部333を利用する場合を例に挙げて説明する。
点灯制御部3313は、計測部333による計測時間が、所定時間(予め設定した閾値時間、例えば15秒)を経過すると、送風部37に、風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)に切り替えるための制御信号を送風部37に送る。これにより、作業者201の作業領域である領域103における栽培光源31および送風部37を、図19および表5のパターン41の条件(a2)に基づいて駆動する。
本例では、図19および表5のパターン41の条件(a2)に示すように、UV光(紫外LED313)と青色光(青色LED312)とをOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONするとともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)に切り替える(ステップS87)。そして、ステップS81に戻る。
なお、点灯制御部3313は、ステップS86で、計測部333による計測時間が、所定時間経過していないと判定した場合には、ステップS87に移行せず、ステップS86で所定時間経過したと判定するまで、ステップS86による経過時間の判定を繰り返し行う。
また、点灯制御部3313は、ステップS84で、上記栽培光源31の直前の状態が条件(a2)による駆動状態であった場合、上記栽培光源31による照明領域に受粉用昆虫4は存在しないと判定し、ステップS87に移行して、該栽培光源31に、第2記憶部3322に記憶されたパターン41における条件(a2)で駆動するための信号を送る。
また、点灯制御部3313は、ステップS83で、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、ステップS88に進む。
本例において、ステップS88は、図7におけるステップS5と同じである。したがって、図7に示すステップS3、ステップS5は、それぞれ、ステップS83、ステップS88と読み替えることができる。
点灯制御部3313は、ステップS88で受粉が必要と判定した栽培光源31(つまり、受粉が必要な虫媒植物に対応する栽培光源31)および該栽培光源31と対をなす送風部37に対し、該栽培光源31および送風部37を、第2記憶部3322に記憶されたパターン41における条件(b)で駆動するための信号を送る(ステップS89)。
本例の場合、図19および表5のパターン41に示すように、UV光(紫外LED313)と青色光(青色LED312)とをONし、赤色光(赤色LED311)をOFFするとともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする(ステップS89)。そして、ステップS81に戻る。
一方、ステップS88で、点灯制御部3313は、受粉が必要でないと判定した栽培光源31(つまり、受粉が必要でない虫媒植物に対応する栽培光源31)および該栽培光源31と対をなす送風部37に対し、該栽培光源31および送風部37を、第2記憶部3322に記憶されたパターン41における条件(c)で駆動するための信号を送る(ステップS90)。
本例の場合、図19および表5のパターン41に示すように、UV光(紫外LED313)をOFFし、青色光(青色LED312)と赤色光(赤色LED311)とをONするとともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする(ステップS89)。そして、ステップS81に戻る。
なお、本例では、第2記憶部3322に、照射・送風パターンとしてパターン41が記憶されており、該パターン41に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン41に代えてパターン42、43、57の何れかを使用してもよい。
なお、本実施形態でも、制御PC33による照明制御は、上記方法に限定されるものではない。以下に、他の例について説明する。
(処理例2)
図20は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示す他のフローチャートである。
以下では、栽培光源31として、図13に示す栽培光源31を使用し、照射・送風パターンとして、表7に示すパターン55を用いる場合を例に挙げて示している。
図20に示すステップS91〜ステップS100は、順に、図19に示すステップS81〜ステップS89に対応している。したがって、ここでは、図19との相違点についてのみ説明する。
本例では、点灯制御部3313は、表7に示すパターン55に示す条件(a1)〜(c)に基づいて各栽培光源31および各栽培光源31と対をなす送風部37に、これら栽培光源31および送風部37を駆動するための信号を送る。
このため、本例の場合、ステップS95では、図20および表7のパターン55の条件(a1)に示すように、蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONするとともに、送風部37の風速をHIGH(1.5〜7.9m/s)に切り替える。
また、ステップS97では、図20および表7のパターン55の条件(a2)に示すように、蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)のみをONした状態で、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)に切り替える。
ステップS99では、図20および表7のパターン55の条件(b)に示すように、蛍光灯315をONし、赤色光(赤色LED311)をOFFし、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする。
ステップS100では、図20および表7のパターン55の条件(c)に示すように、蛍光灯315をOFFし、赤色光(赤色LED311)をONし、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする。
このように、本例では、条件(c)において、300〜500nmの波長域の光を照射しない。したがって、本例の場合、ステップS94で、上記栽培光源31の直前の状態が条件(a2)または(c)による駆動状態であった場合、上記栽培光源31による照明領域に受粉用昆虫4は存在しないと判定し、ステップS87に移行する。一方、ステップS94で、上記栽培光源31の直前の状態が条件(b)による駆動状態であった場合、上記栽培光源31による照明領域に受粉用昆虫4が存在すると判定し、ステップS85に移行する。
なお、本例では、第2記憶部3322に、照射・送風パターンとしてパターン55が記憶されており、該パターン55に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン55に代えてパターン56を使用してもよい。
(処理例3)
図21は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示すさらに他のフローチャートである。
なお、図21は、栽培光源31として、図1の(b)に示す栽培光源31を使用し、照射・送風パターンとして、表5に示すパターン44を用いる場合を例に挙げて示している。
図21に示すステップS101〜ステップS107は、順に、図19に示すステップS81〜ステップS87に対応している。また、表4に示すパターン41における条件(a1)・(a2)と、パターン44における条件(a1)・(a2)とは同じである。
したがって、ここでは、図19との相違点として、ステップS83に対応するステップS103において、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した後のフローについてのみ説明する。
本例では、ステップS103において、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した栽培光源31および該栽培光源31と対をなす送風部37に対し、該栽培光源31および送風部37を、第2記憶部3322に記憶されたパターン44における条件(b)(=条件(c))で駆動するための信号を送る(ステップS108)。
本例の場合、図21および表5のパターン44に示すように、人の作業領域である領域103以外の領域104を、受粉用昆虫4の作業領域として、例えば、該領域104における全ての栽培光源31において、UV光(紫外LED313)、青色光(青色LED312)、および赤色光(赤色LED311)を全てONするとともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする。そして、ステップS101に戻る。
なお、本例では、第2記憶部3322に、照射・送風パターンとしてパターン44が記憶されており、該パターン44に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン44に代えてパターン45、53、54の何れかを使用してもよい。
(処理例4)
図22は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示すさらに他のフローチャートである。
なお、図22は、栽培光源31として、図1の(b)に示す栽培光源31を使用し、照射・送風パターンとして、表6に示すパターン50を用いる場合を例に挙げて示している。
図22に示すステップS111〜ステップS117は、順に、図19に示すステップS81〜ステップS87に対応している。また、表4に示すパターン41における条件(a1)・(a2)と、パターン50における条件(a1)・(a2)とは同じである。
したがって、本例でも、図19との相違点として、ステップS83に対応するステップS113において、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した後のフローについてのみ説明する。
本例では、ステップS113において、栽培光源31と人との距離Dが第1閾値Xmを超えると判定した場合、ステップS118に移行する。なお、図22に示すステップS118は、図11に示すステップS27と同じである。したがって、図11に示すステップS23、ステップS25は、それぞれ、ステップS113、ステップS118と読み替えることができる。
点灯制御部3313は、ステップS118で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ym以下である(つまり、Xm<D≦Ymである)と判定した栽培光源31および該栽培光源31と対をなす送風部37に対し、該栽培光源31および送風部37を、第2記憶部3322に記憶されたパターン50における条件(b1)で駆動するための信号を送る(ステップS119)。
本例の場合、図22および表6のパターン50に示すように、栽培光源31と人との距離DがXm<D≦Ymである場合、UV光(紫外LED313)を出力V%でONし、青色光(青色LED312)を出力W%でONし、赤色光(赤色LED311)を出力M%でONするとともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする。そして、ステップS111に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS118で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した場合、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した栽培光源31に対し、該栽培光源31を、第2記憶部3322に記憶されたパターン50における条件(b2)(=条件(c))で駆動するための信号を送る(ステップS120)。
本例の場合、図22および表6のパターン50に示すように、人の作業領域である領域103以外の領域104を、受粉用昆虫4の作業領域として、例えば、該領域104における全ての栽培光源31において、UV光(紫外LED313)、青色光(青色LED312)、および赤色光(赤色LED311)を全てONするとともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする。そして、ステップS111に戻る。
なお、本例では、第2記憶部3322に、照射・送風パターンとしてパターン50が記憶されており、該パターン50に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン50に代えてパターン51、52、61の何れかを使用してもよい。
また、図22で、図21同様、条件(c)による照射区で蛍光灯315がOFFの場合、条件(c)による照射区には受粉用昆虫4は存在しないと判定し、ステップS114で、上記栽培光源31の直前の状態が条件(a2)または条件(c)による駆動状態であった場合にステップS117に移行し、上記栽培光源31の直前の状態が条件(b1)または条件(b2)による駆動状態であった場合にのみステップS115に移行してもよい。この場合、パターン50に代えてパターン59または60を使用してもよい。
(処理例5)
図23は、本実施形態にかかる照明装置3の動作の流れを示すさらに他のフローチャートである。
なお、図23は、栽培光源31として、図1の(b)に示す栽培光源31を使用し、照射・送風パターンとして、表6に示すパターン46を用いる場合を例に挙げて示している。
図23に示すステップS121〜ステップS128は、順に、図22に示すステップS111〜ステップS128に対応している。また、表4に示すパターン41における条件(a1)・(a2)と、パターン46における条件(a1)・(a2)とは同じである。
したがって、本例では、図22との相違点について説明する。
本例では、ステップS118に対応するステップS128において、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ym以下である(つまり、Xm<D≦Ymである)と判定した栽培光源31および該栽培光源31と対をなす送風部37に対し、該栽培光源31および送風部37を、第2記憶部3322に記憶されたパターン46における条件(b1)で駆動するための信号を送る(ステップS119)。
本例の場合、図23および表6のパターン46に示すように、栽培光源31と人との距離DがXm<D≦Ymである場合、UV光(紫外LED313)を出力V%でONし、青色光(青色LED312)を出力W%でONし、赤色光(赤色LED311)をOFFする(つまり、出力M=0%とする)とともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする。そして、ステップS121に戻る。
一方、点灯制御部3313は、ステップS128で、栽培光源31と人との距離Dが第2閾値Ymを超えると判定した場合、ステップS130に移行する。なお、図23に示すステップS130は、図11に示すステップS27と同じである。したがって、図11に示すステップS23、ステップS25は、それぞれ、ステップS128、ステップS130と読み替えることができる。
点灯制御部3313は、ステップS130で、受粉が必要と判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要な虫媒植物に対応する栽培光源31、および該栽培光源31と対をなす送風部37に対し、該栽培光源31および送風部37を、第2記憶部3322に記憶されたパターン46における条件(b2)で駆動するための信号を送る(ステップS131)。
本例の場合、図23および表6のパターン46に示すように、受粉が必要と判定した栽培光源31のUV光(紫外LED313)および青色光(青色LED312)を出力100%でONし、赤色光(赤色LED311)をOFFするとともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする。そして、ステップS121に戻る。
一方、ステップS130で、点灯制御部3313は、受粉が必要でないと判定した栽培光源31、つまり、受粉が必要でない虫媒植物に対応する栽培光源31、および該栽培光源31と対をなす送風部37に対し、該栽培光源31および送風部37を、第2記憶部3322に記憶されたパターン46における条件(c)で駆動するための信号を送る(ステップS132)。
本例の場合、図23および表6のパターン46に示すように、受粉が必要でないと判定した栽培光源31のUV光(紫外LED313)をOFFし、青色光(青色LED312)および赤色光(赤色LED311)をONするとともに、送風部37の風速をLOW(0.3以上、1.5m/s未満)にする。そして、ステップS121に戻る。
なお、本例では、第2記憶部3322に、照射パターンとしてパターン46が記憶されており、該パターン46に基づいて照明制御を行う場合の処理を例に挙げて説明した。しかしながら、本例はこれに限定されるものではなく、パターン46に代えてパターン47〜49、66の何れかを使用してもよい。
また、この場合にも、図23で、図21同様、条件(c)による照射区で蛍光灯315がOFFの場合、条件(c)による照射区には受粉用昆虫4は存在しないと判定し、ステップS124で、上記栽培光源31の直前の状態が条件(a2)または条件(c)による駆動状態であった場合にステップS127に移行し、上記栽培光源31の直前の状態が条件(b1)または条件(b2)による駆動状態であった場合にのみステップS125に移行してもよい。この場合、パターン46に代えてパターン62〜65の何れかを使用してもよい。
<効果>
以上のように、本実施形態は、実施形態1〜4において、光質切り替え時に、受粉用昆虫4の飛翔を促すための送風を行うものである。このため、本実施形態でも実施形態1〜4と同様の効果を得ることができるとともに、光質切り替え時に、受粉用昆虫4を強制的に飛翔させて受粉用昆虫4を人の作業領域外に誘引することができる。
したがって、本実施形態によれば、受粉用昆虫4を確実に飛翔させることが可能であるとともに、植物工場等の植物栽培施設に必要な送風手段を、空気循環用および受粉用昆虫4の飛翔用に活用することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかる照明方法は、受粉用昆虫4を用いて受粉させる虫媒植物21の栽培施設(植物工場100)内の複数の虫媒植物21に光を照射する照明方法であって、受粉用昆虫4の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜700nmの波長域内の光とを含む光を照射し、人(作業者201)の作業領域に、300〜500nmの波長域内の光を含まず、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光を含む光を照射する方法である。
受粉用昆虫4は、300nm〜500nmの波長域内の光に対し、走行性を示す。300nm〜500nmの波長域内の光を含まず、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光が照射されている領域は、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光により、人が、明るさを認識し、作業を行うことが可能となる一方で、受粉用昆虫4には暗闇と感じる。
したがって、上記の方法によれば、300nm〜500nmの波長域内の光が照射されている領域と照射されていない領域とを設けることで、受粉用昆虫4が存在する領域と存在しない領域とを設けることができる。
また、受粉用昆虫4の受粉領域に、400〜700nmの波長域内の光を含む光を照射し、人の作業領域に、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光を含む光を照射することで、何れの領域においても虫媒植物21の光合成を行うことができる。
本発明の態様2にかかる照明方法は、上記態様1において、上記受粉用昆虫4の受粉領域に照射する光が、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜500nmの波長域および600〜700nmの波長域のうち少なくとも一方の波長域内の光とを含む光であり、人の作業域に照射する光が、600〜700nmの波長域内の光を含む光であってもよい。
上記虫媒植物21の光合成の効率を向上させるには、400〜500nmの波長域および600〜700nmの波長域のうち少なくとも一方の波長域内の光を照射することが特に有効である。したがって、上記の方法によれば、光合成効率を向上させることができる。
本発明の態様3にかかる照明方法は、上記態様2において、上記受粉用昆虫4の受粉領域に照射する光が、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜500nmの波長域内の光とを含む光であってもよい。
上記の方法によれば、受粉用昆虫4の受粉領域において、400〜500nmの波長域内の光により虫媒植物21の光合成を行いながら、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜500nmの波長域内の光とにより、受粉用昆虫4を、受粉用昆虫4の受粉領域に誘引することができる。また、受粉用昆虫4の受粉領域に400〜500nmの波長域内の光を照射することで、上記受粉領域を、人間の目から見て人の作業領域とは異なる色に着色させることが可能となる。このため、人が、互いの領域を目で見て識別することが可能となる。
本発明の態様4にかかる照明方法は、上記態様3において、上記受粉用昆虫4の受粉領域に、さらに600〜700nmの波長域の光を含む光を照射する方法であってもよい。
上記の構成によれば、受粉用昆虫4の受粉領域において、400〜500nmの波長域内の光と600〜700nmの波長域内の光とにより、さらに光合成を促進させることができる。
本発明の態様5にかかる照明装置3は、少なくとも300〜500nmの波長域内の自然光が遮断された、受粉用昆虫4を用いて受粉させる虫媒植物21の栽培施設(植物工場100)内の複数の虫媒植物21に光を照射する照明装置であって、複数の照明部(栽培光源31)と、上記複数の照明部から出射する光を制御する少なくとも1つの制御部(光源スイッチ32、あるいは制御PC33)と、を備え、上記制御部は、受粉用昆虫の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜700nmの波長域内の光とを含む光と、を含む光を照射し、人(作業者201)の作業領域に、300〜500nmの波長域内の光を含まず、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光を含む光を照射するように、上記複数の照明部から出射する光を制御する。
受粉用昆虫4は、300nm〜500nmの波長域内の光に対し、走行性を示す。300nm〜500nmの波長域内の光を含まず、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光が照射されている領域は、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光により、人が、明るさを認識し、作業を行うことが可能となる一方で、受粉用昆虫4には暗闇と感じる。
したがって、上記の構成によれば、300nm〜500nmの波長域内の光が照射されている領域と照射されていない領域とを設けることで、受粉用昆虫4が存在する領域と存在しない領域とを設けることができる。
また、受粉用昆虫4の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜700nmの波長域内の光とを含む光と、を照射し、人の作業領域に、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光を含む光を照射することで、何れの領域においても、虫媒植物21の光合成を促進させることができる。
本発明の態様6にかかる照明装置3は、300〜500nmの波長域内の自然光が遮断され、500nmを超えて700nm以下の波長域内の自然光を透過する、受粉用昆虫4を用いて受粉させる虫媒植物21の栽培施設内(植物向上1)の複数の虫媒植物21に光を照射する照明装置3であって、複数の照明部(栽培光源31)と、上記複数の照明部から出射する光を制御する少なくとも1つの制御部(光源スイッチ32、あるいは制御PC33)と、を備え、上記制御部は、300nm〜400nmの波長域内の光を含む光を、受粉用昆虫4の受粉領域に選択的に照射する。
300〜500nmの波長域内の自然光が遮断され、500nmを超えて700nm以下の波長域内の自然光を透過する栽培施設においては、300〜500nmの波長域内の自然光が遮断されている一方で、少なくとも500nmを超えて700nm以下の波長域内の自然光が栽培施設内に照射される。
受粉用昆虫4は、300nm〜500nmの波長域内の光に対し、走行性を示す。300nm〜500nmの波長域内の光を含まず、少なくとも500nmを超えて700nm以下の波長域内の光が照射されている領域は、少なくとも500nmを超えて700nm以下の波長域内の光により、人が、明るさを認識し、作業を行うことが可能となる一方で、受粉用昆虫4には暗闇と感じる。
したがって、上記の構成によれば、300nm〜500nmの波長域内の光が照射されている領域と照射されていない領域とを設けることで、受粉用昆虫4が存在する領域と存在しない領域とを設けることができる。
また、受粉用昆虫4の受粉領域に、300nm〜400nmの波長域内の光と、400〜700nmの波長域内の光とを含む光と、を照射し、人の作業領域に、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光を含む光を照射することで、何れの領域においても、虫媒植物21の光合成を促進させることができる。
本発明の態様7にかかる照明装置3は、上記態様6において、上記制御部は、人(作業者201)の作業領域に、300〜500nmの波長域内の光を含まず、500nmを超えて700nm以下の波長域内の光を含む光を照射するように上記複数の照明部から出射する光を制御してもよい。
計画的な農作物生産が望まれる中、天候等の影響を考慮すれば、自然光を利用する半閉鎖型(半制御型)の植物栽培施設であっても、人工光を用いて人工的に光合成を促進させることが望ましい。そこで、上記構成とすることで、上記領域において人工的に光合成を促進させることができる。
本発明の態様8にかかる照明装置3は、上記態様5〜7の何れかにおいて、上記複数の照明部は、光源として、それぞれ、300〜400nmの波長域の光を出射する紫外発光ダイオード(紫外LED313)と、400〜500nmの波長域の光を出射する青色発光ダイオード(青色LED312)と、600〜700nmの波長域の光を出射する赤色発光ダイオード(赤色LED311)とを備えていてもよい。
上記の構成によれば、上記照明部が、光源としてそれぞれ紫外発光ダイオード、青色発光ダイオード、および赤色発光ダイオードを備えることで、上記制御部は、これら光源を選択に点灯または消灯させることにより、各照明部から上記波長域の光を出射させることができる。また、光源として発光ダイオードを使用することで、消費電力を抑えることができる。
本発明の態様9にかかる照明装置3は、上記態様5〜7の何れかにおいて、上記複数の照明部は、光源として、それぞれ、350〜500nmの波長域の光を射する蛍光灯と、600〜700nmの波長域の光を出射する赤色発光ダイオードとを備えていてもよい。
上記の構成によれば、上記照明部が、光源としてそれぞれ上記蛍光灯および赤色発光ダイオードを備えることで、上記制御部は、これら光源を選択に点灯または消灯させることにより、各照明部から上記波長域の光を出射させることができる。また、光源として蛍光灯を使用することで、初期投資費用を抑えることができる。
本発明の態様10にかかる照明装置3は、上記態様6において、記複数の照明部は、光源として、それぞれ、300〜400nmの波長域の光を出射する紫外発光ダイオードを少なくとも備えていてもよい。
上記の構成によれば、上記照明部が、光源としてそれぞれ紫外発光ダイオードを少なくとも備えることで、上記制御部は、各照明部の紫外発光ダイオードを選択に点灯または消灯させることにより、各照明部から上記波長域の光を出射させることができる。また、光源として発光ダイオードを使用することで、消費電力を抑えることができる。
本発明の態様11にかかる照明装置3は、上記態様6において、上記複数の照明部は、光源として、それぞれ、350〜500nmの波長域の光を射する蛍光灯を少なくとも備えていてもよい。
上記の構成によれば、上記照明部が、光源としてそれぞれ上記蛍光灯を備えることで、上記制御部は、各照明部の蛍光灯を選択に点灯または消灯させることにより、各照明部から上記波長域の光を出射させることができる。また、光源として蛍光灯を使用することで、初期投資費用を抑えることができる。
本発明の態様12にかかる照明装置3は、上記態様5〜11において、上記複数の照明部は、複数の栽培区画(例えば領域A〜D)に対応して設けられており、上記制御部は、各栽培区画の照明部にそれぞれ対応して設けられた複数の光源スイッチ32を含んでいてもよい。
上記の構成によれば、上記光源スイッチを切り替えることで、上記複数の照明部から出射する光を、機械的な制御により、各作業領域に応じた波長域の光に切り替えることができる。
本発明の態様13にかかる照明装置3は、上記態様5〜10の何れかにおいて、上記栽培施設内における人の位置情報を取得する位置情報取得部34をさらに備え、上記制御部は、上記位置情報取得部で取得した位置情報から人の位置を検出し、上記栽培施設内における、上記検出した位置を中心とした半径が第1閾値以下の範囲内の領域を人の作業領域とし、それ以外の領域のうち少なくとも一部の領域を受粉用昆虫の受粉領域として、各領域における照明部から出射する光の波長を制御してもよい。
上記の構成によれば、上記位置情報取得部で取得した位置情報から人の位置を検出することで、電気的な制御により、人の位置に同期して、自動的に、上記各照明部から出射する光の波長を切り替えることができる。
したがって、上記の構成によれば、人(つまり、作業者201)の作業性が向上するとともに、上記受粉用昆虫4の受粉作業領域を拡大することができ、受粉用昆虫4の作業性の向上を図ることができる。
本発明の態様14にかかる照明装置3は、上記態様13において、上記位置情報取得部34は、電波を発信する少なくとも1つの発信部(RFID35)と、上記発信部から発信される電波を受信する少なくとも1つの受信部(受信アンテナ36)と、を備え、上記制御部は、上記受信部が受信した電波から、上記発信部の位置を、該発信部を所持する人の位置として検出してもよい。
上記の構成によれば、上記発信部から発信される電波から、人の位置を検出することができる。
本発明の態様15にかかる照明装置3は、上記態様14において、上記発信部はRFID35であり、上記受信部は複数設けられており、上記制御部は、各受信部が受信した電波の強度から、上記RFID35の位置を検出してもよい。
上記の構成によれば、上記RFID35から発信される電波の強度から、RFID35の位置を人の位置として検出することができる。
本発明の態様16にかかる照明装置3は、上記態様13〜15の何れかにおいて、上記制御部は、上記栽培施設内における、上記検出した位置を中心とした半径が、上記第1閾値を超えて第2閾値以下の範囲内の領域から出射する光の波長を、300〜500nmの波長域内の光を含み、かつ、300〜500nmの波長域内の光の出力が、上記第2閾値を超える領域の照明部から出射する300〜500nmの波長域内の光の出力よりも小さくなるように制御してもよい。
上記の構成によれば、それまで受粉領域であった領域を人の作業領域に変更するときに、受粉用昆虫4が走行性(誘引効果)を示す波長域の光の出力を、段階的に下げることができる。このため、上記の構成によれば、それまで受粉領域であった領域を人の作業領域に変更するときに、受粉用昆虫4を、余裕を持って受粉区に退避させることができる。
本発明の態様17にかかる照明装置3は、上記態様5〜16の何れかにおいて、送風部37をさらに備え、上記送風部37は、上記制御部が上記照明部から出射される光の波長を切り替えるときに、人の作業領域において、上記波長の切り替え直前に、上記照明部が300〜500nmの波長域内の光を出射していた場合、人の作業領域において、上記受粉用昆虫4を飛翔させるための風を一定時間送風してもよい。
上記の構成によれば、それまで受粉領域であった領域を人の作業領域に変更するときに、受粉用昆虫4を強制的に飛翔させて受粉用昆虫4を人の作業領域外に誘引することができる。したがって、上記の構成によれば、受粉用昆虫4を確実に飛翔させることが可能であるとともに、上記送風部37を、植物栽培施設に必要とされる空気循環用の送風手段と、受粉用昆虫4の飛翔用の送風手段とに活用することができる。
本発明の態様18にかかる虫媒植物21の栽培施設(植物工場100)は、上記態様5〜17の何れかの照明装置3を備えている。
したがって、上記の構成によれば、虫媒植物21を栽培するに際し、人の作業領域と受粉用昆虫の受粉領域とを分けることができる、虫媒植物21の栽培施設を提供することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。