JP2016001581A - 発光素子及び発光素子の製造方法並びに画像形成装置及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】湾曲している発光層を有する微細な発光素子の形成を従来技術と比べて容易にする。【解決手段】発光層11と発光層11に対応して形成された複数の電極層7,13を有する発光素子17の製造方法において、基板3上の平坦面3aに第一の電極層7を形成する第一の電極層形成ステップと、第一の電極層7上に発光層11を形成する発光層形成ステップと、が含まれる。上記第一の電極層形成ステップでは、第一の電極層7と発光層11との間の面が、基板3側に凸形状又は凹形状となるように第一の電極層7を形成する。【選択図】図1
Description
本発明は、発光素子及び発光素子の製造方法並びに画像形成装置及び画像形成装置の製造方法に関するものである。
近年、発光素子を有したデバイスは多岐に存在する。それらは例えばディスプレイや照明、電子写真印刷向けの発光体などがある。
電子写真印刷と呼ばれる印刷方法は、帯電した感光体上に印刷像に対応した光パターンを照射して画像を形成する。その上にトナーを現像し、感光体から用紙にトナーを転写させて熱によって用紙に定着させるプロセスを有する。この中で感光体に光パターンを照射する光源としては、例えばレーザやLED(Light Emitting Diode)などが挙げられるが、この他に有機EL(Organic Electro-Luminescence)素子を光源とした方式が検討されている(例えば特許文献1を参照。)。
印刷装置に用いる発光ユニットは、印刷解像度のピッチに合わせて配置された発光セルを有し、印刷像に対応した発光セルを発光させることで感光体に画像を形成する。
有機ELを用いた発光ユニットの場合、発光素子は面発光であるために発光した光のうちレンズにより集光される光はごく一部しか利用されない。
電子写真印刷などで高速印刷するには感光体を露光するためのエネルギーを極力短時間で照射したいところである。しかし、有機ELを用いた発光ユニットは発光した光量の集光効率が低いために単位時間当たりの照射光量が制限されているという問題があった。
また、照明やディスプレイでは発光体からの光をできる限り広角に射出する必要があった。
また、照明やディスプレイでは発光体からの光をできる限り広角に射出する必要があった。
特許文献1に開示されている有機EL光源は、支持層の凹凸構造に起因する凹凸構造をもつ反射層と、その反射層の凹凸構造に起因する凹凸構造をもつ有機EL光源層とを備えている。当該有機EL光源は、この構造により、有機EL光源層が平坦な場合に比べて単位面積当たりの発光面積を増大させている。
特許文献1には、支持層の表面に凹凸形状を形成しておき、その凹凸形状になじむように下層側電極層(反射層)、有機EL光源層、上部電極層を順に成膜する製造工程が開示されている。しかし、支持層の表面を凹凸形状にしているため、それ以降の成膜において半導体プロセスを用いた微細パターンの形成は困難であると考えられる。
また、昨今、例えばディスプレイを含む発光素子では発光部の微細分離化が進んでいる。
また、昨今、例えばディスプレイを含む発光素子では発光部の微細分離化が進んでいる。
本発明は、湾曲している下層電極層を有する微細な発光素子の形成を従来技術と比べて容易にすることを目的とする。
本発明に係る発光素子の製造方法は、発光層と上記発光層に対応して形成された複数の電極層を有する発光素子の製造方法であって、基板上の平坦面に第一の電極層を形成する第一の電極層形成ステップと、上記第一の電極層上に発光層を形成する発光層形成ステップと、を含み、上記第一の電極層形成ステップでは、上記第一の電極層と上記発光層との間の面が、上記基板側に凸形状又は凹形状となるように上記第一の電極層を形成する。
本発明の発光素子の製造方法は、湾曲している下層電極層を有する微細な発光素子の形成を従来技術と比べて容易にすることができる。
本発明の発光素子の製造方法は、上記第一の電極層形成ステップと、上記発光層形成ステップとの間に、他の層を形成するステップが行われる局面を含む。ここで、他の層は、例えば、キャビティ構造を形成するための透明電極層や、正孔輸送層、正孔注入層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層などである。
本発明の発光素子の製造方法において、上記第一の電極層は上記複数の電極層のうち反射率が最も高い電極層である例を挙げることができる。ただし、本発明において上記第一の電極層は上記複数の電極層のうち反射率が最も高い電極層ではなくてもよい。
また、本発明の発光素子の製造方法は、上記第一の電極層形成ステップの前に、上記基板上に素子形成領域を画定するための絶縁部を形成する絶縁部形成ステップをさらに含み、上記第一の電極層形成ステップでは、上記絶縁部と上記第一の電極層の材料となる金属を含む液体との親液性に基づき上記第一の電極層と上記発光層との間の面の凹凸を制御するようにする例を挙げることができる。ただし、本発明の発光素子の製造方法は、この局面に限定されない。
本発明の発光素子の製造方法において、上記第一の電極層と上記発光層との間の面は曲面である例を挙げることができる。
また、本発明の発光素子の製造方法において、上記第一の電極層と上記発光層との間の面は平面を含む例を挙げることができる。
また、本発明の発光素子の製造方法において、上記発光素子は有機EL素子である例を挙げることができる。ただし、本発明の発光素子の製造方法において、上記発光素子は有機EL素子に限定されない。
本発明に係る画像形成装置の製造方法は、本発明の発光素子の製造方法を含んでいる。
本発明に係る発光素子は、発光層と上記発光層に対応して形成された複数の電極層を有する発光素子であって、上記複数の電極層のうち第一の電極層は平坦な基板上に形成され、上記第一の電極層と上記発光層との間の面が、上記第一の電極層側に凸形状又は凹形状になっているものである。
本発明の発光素子において、上記第一の電極層は上記複数の電極層のうち反射率が最も高い電極層である例を挙げることができる。ただし、上記第一の電極層は上記複数の電極層のうち反射率が最も高い電極層ではなくてもよい。
本発明に係る画像形成装置は、本発明の発光素子を備えた固体走査書き込みヘッドを備えた画像形成装置である。
本発明において、上記第一の電極層が形成される上記基板の上記平坦面は、完全に平坦な面の他、一部分に凹部や凸部などの段差が形成されている面も含む。
本発明の実施の形態を説明する。本発明の実施形態の一例を説明するにあたり、まず、電子写真印刷における固体走査型書き込みヘッドの概略について説明する。
固体走査型書き込みヘッドは、印刷解像度に相当するピッチの複数発光素子を有する発光ユニットと、トナーを供給及び現像する現像部と、感光体を帯電及び現像する感光ドラムと、紙面上にトナーを定着させる定着ユニットを備えている。発光ユニットは発光源と駆動ドライバIC、集光レンズなどを備えている。発光ユニットは集光レンズの焦点深度に合わせて感光ドラムに密接して配置される。
このうち発光ユニットの光源としてはレーザやLEDが用いられているが、近年では有機ELを用いた発光素子の開発が進められている。
有機EL素子は、発光層とそれを挟み込むように陽極及び陰極とを備え、発光層にキャリア注入を行うことで発光させている。有機EL素子は他方式に比べて小型化や低消費電流などの利点が見込まれる。しかし、有機EL素子は面発光であり、発光した光は発光層から全方位に指向性なく照射され、指向性を持たないため、LEDなどに比べ光利用効率が高くない。
有機EL素子において、発光層に対して光取り出し面とは反対側に配置されている電極層は、一般的に反射率の高い金属であることが多い。また、その電極層の上層に多層誘電膜からなるキャビティ構造を形成し、発光に指向性を持たせ、レンズへの集光性を高めるなどの工夫が行われている。
例えば、電子写真印刷などでは、発光素子の発光部上面にマイクロレンズアレイ等のレンズが配置され、発光素子から射出した光をレンズで集光して感光体に露光するのが一般的である。しかし、有機EL素子の場合、発光層からの光がレンズによって集光される光利用効率はごくわずかである。そのため、一般的には下層側電極層部と発光層との間に多層誘電膜からなるキャビティが形成され、指向性を高めてレンズへの集光効率が高められている。しかし、それでもレンズへの集光が十分でない場合がある。
電子写真印刷などでは感光体への露光時間が印刷速度に直結する。しがたって、感光体への露光時間は、できうる限り短時間であることが望まれる。そのためには、感光体への照射光強度を高めることが必要である。発光素子として有機EL素子が用いられる場合、光利用効率を高めることが課題となっている。
以下に説明される本発明の実施形態は、トップエミッション方式の有機EL素子の形成方法において、金属を含有している液体を吐出しながらパターンを描画するエレクトロプリンティングと呼ばれる技術を用いて下層側電極層を形成する。エレクトロプリンティングとは、形成したい金属を含有している液体を所望のパターン上にのみ吐出した後、液体中の溶媒を乾燥させることによって、その部位に金属材料のパターン層を形成する方法である。
さらに、この実施形態は、下層側電極層を形成するための金属含有液体を塗布する前に、形成したい領域を分離する隔壁(素子形成領域を画定するための絶縁部)を事前に形成しておく。例えば複数の発光素子が形成される場合、各発光素子部に、互いに隣り合う発光素子同士を隔離する隔壁を形成しておく。その隔壁の表面の材料には、下層側電極層を形成するための金属含有液体の溶媒と親液性を有する材料が選択される。
こうすることにより、隔壁の内側に塗布された金属含有液体は、表面張力により断面プロファイルとして表面形状が凹形状になる。そして金属含有液体の溶媒を乾燥させることにより、下層側電極層の表面を同様の凹形状に形成することができる。
この下層側電極層の上にキャビティ構造及び有機EL発光層などを形成すれば、発光した光は湾曲した下層側電極層表面で反射する。下層側電極層表面は凹面ミラーの役割を果たす。これにより、発光層で発光した光は集光されるので、光利用効率を高めることが可能となる。例えば、発光素子の上部に配置されたマイクロレンズへの集光性を高めることができる。
また、隔壁の表面と上記金属含有液体の溶媒とが撥液性(疎液性)となるように材料選択をしておくことにより、隔壁内に塗布された金属含有液体は表面張力によって断面プロファイルとして表面形状が凸形状となる。そして金属含有液体の溶媒を乾燥させることにより、下層側電極層の表面を同様の凸形状とすることができる。この上に有機EL発光層などを形成すれば、表面が凸形状の下層側電極層は凸面ミラーとして機能し、発光層からの光を発散させることが可能となる。この構造は、例えば照明などのデバイスに適用することで広角射出することが可能となる。
図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図1は、発光素子の一実施例を説明するための概略的な断面図である。図2は、画像形成装置の一実施例を説明するための概略的な断面図である。まず、図2を参照して、電子写真印刷における固体走査型書き込みヘッドの概略について説明する。図2では画像形成装置の転写部近傍のみが図示されている。
図1は、発光素子の一実施例を説明するための概略的な断面図である。図2は、画像形成装置の一実施例を説明するための概略的な断面図である。まず、図2を参照して、電子写真印刷における固体走査型書き込みヘッドの概略について説明する。図2では画像形成装置の転写部近傍のみが図示されている。
画像形成装置200は、固体走査型書き込みヘッドを構成する発光ユニット100と、感光ドラム201と、帯電装置202と、現像装置203と、転写装置204を備えている。
発光ユニット100は発光素子パッケージ101と駆動ドライバIC(図示は省略)、集光レンズ102、筐体103などを備えている。発光素子パッケージ101は、印刷解像度に相当するピッチの複数の発光素子を備えている。発光ユニット100は集光レンズ102の焦点深度に合わせて感光ドラム201に密接して配置される。
一般的な電子写真印刷プロセスは、一定速度にて回転している感光ドラム201の表層に帯電装置202にて一様に電荷が形成される。その後、発光ユニット100から印刷像に応じたドットパターンの光照射が行われ、感光ドラム201上の電荷の一部が放電されて静電潜像が形成される。
現像装置203は帯電したトナーを感光ドラム201表層に付着させる。感光ドラム201は放電された静電潜像を除いて帯電している。またトナーは帯電している。したがって、トナーは感光ドラム201に形成された静電潜像上にのみに吸着する。
感光ドラム201に付着したトナーは転写装置204によって印刷物である用紙205に転写及び定着される。
発光ユニット100の発光素子パッケージ101としては、例えばレーザやLEDが用いられ、それぞれレーザプリンタ,LEDプリンタとして知られている。また、近年では有機EL素子(OLED)を用いた発光素子の開発が進められている。
図1を参照して発光素子の一実施例について説明する。この発光素子は、例えば画像形成装置の発光ユニット100の発光素子パッケージ101として用いられる。
発光素子パッケージ1は、基板3、隔壁5、下層側電極層7(第一の電極層)、透明電極層9、発光層11、上層側電極層13、封止用基板15を備えている。下層側電極層7、透明電極層9、発光層11及び上層側電極層13が重なっている部分は有機EL素子からなる発光素子17を構成している。
基板3は例えばシリコン基板やガラス基板である。基板3がシリコン基板などの半導体基板の場合には、基板3に発光素子の発光のオン/オフを制御するためのドライバICなどが形成されていてもよい。
隔壁5、下層側電極層7、透明電極層9、発光層11、上層側電極層13及び封止用基板15は、基板3の平坦面3a側に配置されている。
基板3が半導体基板である場合、基板3の平坦面3aは、例えば、トランジスタ等の半導体素子や金属配線などの上層に形成された保護膜等の絶縁膜の上面である。この場合、平坦面3aには、基板3に形成された素子と下層側電極層7との電気的接続を形成するためのコンタクトホールが形成されていることがある。
隔壁5は基板3の平坦面3aの上に形成されている。隔壁5は発光素子17の形成領域(下層側電極層7の形成領域)を画定するためのものである。隔壁5は絶縁材料で形成されている。隔壁5の材料は、例えばポリイミドや二酸化ケイ素である。発光素子17の形成領域の平面形状は、例えは四角形や六角形などの多角形、円形、楕円形など、特に限定されない。
下層側電極層7は基板3の平坦面3aの上に形成されている。下層側電極層7は隔壁5で囲まれた領域に形成されている。下層側電極層7の表面は凹形状になっている。下層側電極層7の材料は、例えばAl、Agもしくはそれらを含む合金である。
下層側電極層7は隔壁5で囲まれた領域に金属を含有する金属含有液体が塗布された後、溶媒が揮発されて形成されたものである。その金属含有液体の溶媒は隔壁5の側面の表面に対して親液性を有するものであり、隔壁5で囲まれた領域に塗布された金属含有液体は凹型メニスカス(表面が基板3側に凸型の形状)を形成する。その状態で金属含有液体の溶媒が揮発されて、下層側電極層7の表面は凹形状になっている。
なお、上述のように、下層側電極層7の形成領域の平坦面3aにコンタクトホール等の段差が形成されていることがある。例えば、平面サイズが18μm×18μmの下層側電極層7の形成領域(発光素子17の形成領域)に対して、平坦面3aに平面サイズが1μm×1μmのコンタクトホールが形成されているようにしてもよい。
透明電極層9は下層側電極層7の上に形成されている。透明電極層9は例えば発光素子17ごとに設けられている。透明電極層9は上述のキャビティ構造を形成するためのものである。透明電極層9は例えばITO膜である。透明電極層9のITO膜は発光素子17における仕事関数を合わせるためにも用いられる。ただし、透明電極層9はITO膜に限定されず、光透過性を有する他の透明導電膜であってもよい。
発光層11は、例えば下層側電極層7上から隔壁5上を介して基板3の平坦面3a上にわたって形成されている。発光層11は隣り合う発光素子17間で連続して形成されている。発光層11は有機材料で形成されている。なお、発光層11は発光素子17ごとに形成されていてもよい。
上層側電極層13は発光層11上から基板3の平坦面3a上にわたって形成されている。上層側電極層13は隣り合う発光素子17間で連続して形成されている。上層側電極層13は光透過性の導電材料、例えばMgAg合金で形成されている。なお、上層側電極層13は発光素子17ごとに形成されていてもよい。
封止用基板15は、発光素子17の形成領域を覆うようにして、基板3の平坦面3a側に接合されている。封止用基板15は、基板3に対向する面にザグリ(凹部)を備えており、発光素子17の形成領域の周囲で基板3の平坦面3aに接合されている。封止用基板15は発光素子17の形成領域を気密封止するためのものである。封止用基板15は例えばガラス材によって形成されている。
発光素子17において、下層側電極層7は、発光素子17の一部分を構成する複数の電極層のうち反射率が最も高い電極層である。
有機EL素子である発光素子17は、下層側電極層7、透明電極層9、発光層11及び上層側電極層13を備えているが、本発明における発光素子としての有機EL素子の構成はこれに限定されない。発光素子17は、正孔輸送層や正孔注入層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層、電子ブロック層などをさらに備えていてもよい。また、発光素子17は透明電極層9を備えていなくてもよい。
下層側電極層7と上層側電極層13の間にキャリア注入することで、発光素子17の発光層11で光が生じる。発光層11で発生した光は上層側電極層13及び封止用基板15を透過して図面上方に照射される。
発光素子パッケージ1では、発光層11側の下層側電極層7の表面が凹形状になっているので、発光層11で発光した光のうち下層側電極層7側へ向かう光は下層側電極層7の表面で反射されて集光される。したがって、発光素子パッケージ1は、発光素子17の光利用効率を高めることができる。
例えば、発光素子パッケージ1は図2に示された画像形成装置200の発光素子パッケージ101に適用される。これにより、発光素子パッケージ101が発光した光の集光レンズ102への集光性を高めることができ、感光ドラム201への照射光強度を高めることができる。
図3は、発光素子の製造方法の一実施例の製造工程を説明するための概略的な断面図である。図3におけるかっこ数字(1)−(6)は以下に説明する工程(1)−(6)に対応している。図3において、図1と同じ部分には同じ符号が付されている。
工程(1):基板3の平坦面3aの上に、発光素子の形成領域を囲む隔壁5を形成する。基板3は、例えばシリコン基板などの半導体基板やガラス基板である。特に基板3が半導体基板の場合には、発光素子の発光のオン/オフを制御するようなドライバICなどが基板3に形成されていてもよい。
隣り合う発光素子間の絶縁性を確保するための隔壁5のパターン形成は、例えば感光性材料、ここでは感光性ポリイミドを用いて形成できる。感光性ポリイミドを塗布した後、写真製版技術による露光現像プロセスによって隔壁5を形成する。また、隔壁5の材料としてSiO2系材料を用いる場合は、CVD(chemical vapor deposition)等による成膜後、写真製版技術及びエッチング技術によって隔壁5のパターン形成を行う。なお、隔壁5の形成方法はこれらに限定されない。
なお、隔壁5の断面形状は、図3に示された矩形に限定されず、例えば三角形や、上底が下底よりも短い台形、上端側が丸みを帯びている形状、上端側に庇が形成されている形状など、特に限定されない。
工程(2):例えばエレクトロプリンティング技術を用いて、金属含有液体を隔壁5で囲まれた発光素子形成領域に塗布する。ここで、金属含有液体としては、その溶媒が隔壁5の側面に対して親液性を物質が用いられる。これにより、発光素子形成領域に塗布された金属含有液体は凹型メニスカスを形成する。その後、金属含有液体の溶媒を揮発させる。これにより、上面に凹形状をもつ下層側電極層7が形成される。
下層側電極層7の材料、つまり塗布される金属含有液体に含有される金属としては、光を図面上方に取り出す場合には、反射率の高い材料、例えばAg、Alもしくはそれらの合金材料が用いられる。また、金属含有液体の溶媒としては、例えば、隔壁5がポリイミドである場合には事前にプラズマ処理などを行っておくことで親水化できるため、水系溶媒やアルコールなどが用いられる。また、隔壁5がSiO2系材料である場合には同様に水系溶媒やアルコールなどが用いられる。
工程(3):下層側電極層7の上にキャビティ設計された透明電極層9を形成する。例えば透明電極層9としてITO膜を形成する。透明電極層9は、例えば、隔壁5で囲まれた発光素子形成領域のみに形成される。
工程(4):下層側電極層7上から隔壁5上を介して基板3の平坦面3a上にわたって発光層11を成膜する。発光層11の成膜は、メタルマスク等によって成膜する領域を制限して行われることが好ましい。
工程(5):発光層11の成膜に連続して、発光層11の上に上層側電極層13を成膜する。これにより、隔壁5によって分離された複数の発光素子17が形成される。上層側電極層13の成膜も、メタルマスク等によって成膜する領域を制限して行われることが好ましい。
工程(6):ザグリが形成された封止用基板15を基板3の平坦面3aに不活性ガス雰囲気下にて接合する。これにより、発光素子17が気密封止される。基板3と封止用基板15の接合は、接合材19、例えば耐透湿性の高い樹脂やガラスフリットなどを用いることによって行われる。また、基板3と封止用基板15の接合は、陽極接合やシリコン−シリコン接合などの直接接合によって実現されてもよい。なお、図1において接合材19の図示は省略されている。
以上により、下層側電極層7と発光層11との間の面が基板3側に凸形状となるように上面が凹形状に形成されている下層側電極層7を有する発光素子17を備えた発光素子パッケージ1の形成が完了する。
本発明の画像形成装置の製造方法の一実施例は、このようにして形成された発光素子パッケージ1を図2に示された発光ユニット100の発光素子パッケージ101として組み込んで、画像形成装置200を製造する。
図4は、発光素子の参考例を説明するための概略的な断面図である。図5は、発光素子の製造方法の参考例の製造工程を説明するための概略的な断面図である。図5におけるかっこ数字(11)−(16)は以下に説明する工程(11)−(16)に対応している。図5において、図1と同じ部分には同じ符号が付されている。
工程(11):基板3の平坦面3aの上に下層側電極層7aを形成する。下層側電極層7aは発光素子の形成領域に形成される。下層側電極層7aは、例えば、半導体プロセスによる成膜工程、写真製版工程、エッチング工程によってパターン形成される。下層側電極層7aの材料は例えば図1に示された下層側電極層7の材料と同じである。下層側電極層7aの上面は平坦である。
工程(12):下層側電極層7aの上にキャビティ設計された透明電極層9aを形成する。透明電極層9aの構成は例えば図1に示された透明電極層9の構成と同じである。透明電極層9aの上面は平坦である。
工程(13):図3を参照して説明した上記工程(1)と同様にして、基板3の平坦面3aの上に隔壁5を形成する。
工程(14):図3を参照して説明した上記工程(14)での発光層11の形成と同様にして、下層側電極層7a上から隔壁5上を介して基板3の平坦面3a上にわたって発光層11aを成膜する。発光層11aと透明電極層9aの界面は平坦である。
工程(15):図3を参照して説明した上記工程(15)での上層側電極層13の形成と同様にして、発光層11aの成膜に連続して、発光層11aの上に上層側電極層13aを成膜する。これにより、下層側電極層7a、透明電極層9a、発光層11a、上層側電極層17aが重なる位置に、隔壁5によって分離された複数の発光素子17aが形成される。
工程(16):図3を参照して説明した上記工程(6)と同様にして、基板3の平坦面3aに接合材19(図4での図示は省略。)を介して封止用基板15を接合する。これにより、発光素子パッケージ1aの形成が完了する(図4を参照。)。
発光素子パッケージ1aの発光素子17aにおいて、下層側電極層7aと発光層11aの間の面は平坦である。
図6は、発光素子の光射出方向を説明するための模式図である。図6において、(A)は参考例のキャビティ構造無しの発光素子を示し、(B)は参考例のキャビティ構造有りの発光素子、(C)は実施例の発光素子を示している。
図6(C)に示されるように、実施例の発光素子17は、上面が凹形状の下層側電極層7、キャビティ構造を形成するための透明電極層9、発光層11、上層側電極層13を備えている。下層側電極層7の上面の凹形状に起因して、透明電極層9、発光層11及び上層側電極層13は湾曲している。
図6(B)に示されるように、参考例のキャビティ構造有りの発光素子17aは、上面が平坦な下層側電極層7a、キャビティ構造を形成するための透明電極層9a、発光層11a、上層側電極層13aを備えている。下層側電極層7a、透明電極層9a、発光層11a及び上層側電極層13aの厚みはそれぞれ均一である。
図6(A)に示されるように、参考例のキャビティ構造無しの発光素子17bは、図6(B)に示された発光素子17aと比較して透明電極層9aを備えていない構造を有している。
図6(A),(B),(C)において、矢印21は各発光素子17,17a,17bから射出する光強度ベクトルを示している。また、一点鎖線は、一定の発光強度が得られる射出範囲23を模式的に示している。
キャビティ構造を有していない発光素子17b(図6(A))の場合、発光素子17bから光は全方位に同等に発光することを示している。
キャビティ構造を有している発光素子17a(図6(B))の場合、素子表面から法線方向に射出されるが完全に法線方向のみでなく、一定の角度までを有する光が射出されている。発光素子17aの射出範囲23は素子面積よりも広がっている。
実施例の発光素子17(図6(C))の場合、発光素子17a(b)と同様に発光素子表面の法線方向から一定角度を有して光は射出される。さらに、下層側電極層7表面が凹形状に湾曲しているので、素子から広がる光が抑えられる。これにより、実施例の発光素子17は、下層側電極層7aの表面が平坦な発光素子17aと比較して集光性が高まっていることがわかる。
図7は、発光素子の光利用効率を説明するための模式図である。図7において、(A)は参考例の発光素子を示し、(B)は実施例の発光素子を示している。また、図7(A),(B)におけるグラフは各素子のある点から射出する光が法線方向に対して角度をもった場合の光強度の分布を示している。これらのグラフにおいて、横軸は主光束と同方向からの角度、縦軸は光強度を表している。
参考例の発光素子17a(図7(A)を参照。)では、素子の中央部分及び周縁近傍でそれぞれ発光した光は、中央付近の付近は法線方向に対してプラスマイナスの一定角度の領域が対向するマイクロレンズ25(照射対象)に集光される。これに対して、例えば図7(A)中の左側の点ではθ角−方向の光はマイクロレンズ25の領域外となるため集光されないことがわかる。
実施例の発光素子17(図7(A)を参照。)は、素子のどの点においても表面からの法線はマイクロレンズ25の中心に集まるような設計がされている。これにより、素子中どの箇所からの射出光であっても、光強度の強いθ角の範囲をマイクロレンズ25に集光させることができ、もっとも利用効率のよいことがわかる。
発光素子17とマイクロレンズ25の間の距離に応じて、利用可能な光広がり角は変化する。また、キャビティ構造に応じて発光素子17の光射出角度と光強度の分布は変化する。光利用効率の高い光射出角度が小さい場合には、本発明のような光強度が最も強く得られるような光射出角に制御できることは効率的といえる。
図8は、発光素子が発光した光の照射例を説明するための模式図である。
発光素子17から射出された光は、例えば、照射対象例としてのマイクロレンズ25の中央に集まるようにされていてもよいし(図8(A)参照。)、マイクロレンズ25の所望の範囲に照射されるようにしてもよい(図8(B)参照。)。下層側電極層7の曲率が設計されることにより、発光素子17の光照射範囲を制御できる。
発光素子17から射出された光は、例えば、照射対象例としてのマイクロレンズ25の中央に集まるようにされていてもよいし(図8(A)参照。)、マイクロレンズ25の所望の範囲に照射されるようにしてもよい(図8(B)参照。)。下層側電極層7の曲率が設計されることにより、発光素子17の光照射範囲を制御できる。
図8(B)に示されるように、発光素子17表面からの法線が一点で集光せず一定の広がりをもっていることにより、例えばマイクロレンズ25への集光強度の面内分布を一定にするなどの効果が得られることが期待できる。
図9は、発光素子の下層側電極層の断面形状の例を説明するための断面図である。
図9(A)において、下層側電極層7は、上面が湾曲した凹形状で且つ連続的に円弧状になっている形状を備えている。
図9(B)において、下層側電極層7は、上面の中央部に平坦な部分をもち、上面の周縁部が湾曲している凹形状を備えている。
図9(C)において、下層側電極層7は、上面に凸形状を備えている。
図9(A)において、下層側電極層7は、上面が湾曲した凹形状で且つ連続的に円弧状になっている形状を備えている。
図9(B)において、下層側電極層7は、上面の中央部に平坦な部分をもち、上面の周縁部が湾曲している凹形状を備えている。
図9(C)において、下層側電極層7は、上面に凸形状を備えている。
図9に示された下層側電極層7の形状は、下層側電極層7を形成するために下層側電極層7の形成領域に塗布される金属含有液体の溶媒の組成や塗布量などを調整することによって形成可能である。
以上、本発明の実施例を説明したが、上記実施例での数値、材料、配置、個数等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
3 基板
5 隔壁(絶縁部)
7 下層側電極層
11 発光層
13 上層側電極層
17 発光素子
200 画像形成装置
5 隔壁(絶縁部)
7 下層側電極層
11 発光層
13 上層側電極層
17 発光素子
200 画像形成装置
Claims (10)
- 発光層と前記発光層に対応して形成された複数の電極層を有する発光素子の製造方法において、
基板上の平坦面に第一の電極層を形成する第一の電極層形成ステップと、
前記第一の電極層上に発光層を形成する発光層形成ステップと、を含み、
前記第一の電極層形成ステップでは、前記第一の電極層と前記発光層との間の面が、前記基板側に凸形状又は凹形状となるように前記第一の電極層を形成することを特徴とする発光素子の製造方法。 - 前記第一の電極層は前記複数の電極層のうち反射率が最も高い電極層であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第一の電極層形成ステップの前に、前記基板上に素子形成領域を画定するための絶縁部を形成する絶縁部形成ステップをさらに含み、
前記第一の電極層形成ステップでは、前記絶縁部と前記第一の電極層の材料となる金属を含む液体との親液性に基づき前記第一の電極層と前記発光層との間の面の凹凸を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子の製造方法。 - 前記第一の電極層と前記発光層との間の面は曲面であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
- 前記第一の電極層と前記発光層との間の面は平面を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
- 前記発光素子は有機EL素子である請求項1から5のいずれか一項に記載の発光素子の製造方法。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載された発光素子の製造方法を含むことを特徴とする画像形成装置の製造方法。
- 発光層と前記発光層に対応して形成された複数の電極層を有する発光素子において、
前記複数の電極層のうち第一の電極層は平坦な基板上に形成され、
前記第一の電極層と前記発光層との間の面が、前記第一の電極層側に凸形状又は凹形状になっていることを特徴とする発光素子。 - 前記第一の電極層は前記複数の電極層のうち反射率が最も高い電極層であることを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
- 請求項8又は9に記載の発光素子を備えた固体走査書き込みヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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