JP2015536681A - 人乳の殺菌装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、人乳製品に渦流を与えて人乳製品を紫外線に曝露させて、人乳製品中の生物学的汚染物質を不活化するための方法及び装置に関する。曝露により、人乳製品中の汚染物質の量が減少され又は不活化され、人乳製品中に存在する生理活性成分の活性は実質的に減少しない。汚染物質は、大腸菌、ブドウ球菌属、ストレプトコッカス属、バシラス属、エンテロコッカス属及びエンテロバクター属を含む群から選択されるか、サイトメガロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、又はヒトTリンパ球向性ウイルスであってよい。生理活性成分は、炭水化物、脂質、蛋白質、脂肪酸、酵素、抗体、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、抗菌化合物、又は代謝産物でもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、人乳製品(human milk product)中の生物学的汚染物質を不活化するための方法および装置に関する。
殺菌(pasteurization)とは、食品、一般的に液体中に含まれる微生物を死滅又は不活化させて、食品中の微生物の成長による食品の腐敗を防止する処理のことを指す。殺菌は、食品中の生存微生物数を減少させるために、特定の時間、特定の温度へ食品を加熱することにより起こる。このプロセスを熱殺菌と呼ぶ。
牛乳の熱殺菌は100年以上前から使用されてきた。熱殺菌の2つの一般的な方法では、ミルクを高温に短時間曝し、その後急激に冷却する。第一の熱殺菌の方法は、高温短時間殺菌法(HTST)と呼ばれ、ミルクを約72℃の温度に15〜20秒間さらす。第二の熱殺菌の方法は、低温長時間殺菌法(LTLT)又は「ホルダー」殺菌と呼ばれ、ミルクを62.5℃に加熱して30分間保つ。これらが唯一広く認められている技術である。
現在、熱殺菌は人乳に用いられているただ1つの殺菌法であり、母乳バンク用に現在採用されており、そこでは乳が供与され、スクリーニングされ、自身の母親から乳が得られない乳幼児に提供される。人乳が無菌であることは非常にまれである。現在、さまざまな母乳バンクで収集された母乳の約15%は、黄色ブドウ球菌(S. aureus)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、腸球菌(Enterococci)などの細菌を含んでいるため、廃棄しなければならない。約6%は、細菌の総数が100,000コロニー形成単位(CFU/ml)を超えるため、廃棄しなければならない。さらに、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)及びその他のウイルスは人乳によって伝染され、感染して疾患を引き起こすおそれがある。また、疾患の伝染は、熱殺菌に耐える耐熱性芽胞を介して媒介されることもある。
人乳は、HTST法又はLTLT法で殺菌することができる。ホルダー殺菌は、人乳中の大腸菌(Escherichia coli)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)、セレウス菌(Bacillus cereus)及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を含むさまざまな菌種を5−log10減少させることが可能である(Czank C, et al, Pediatric Research 2009;66:374-379)。従って、熱殺菌によって人乳を介した病気の伝染のリスクが最小限に抑えられる。
しかし、人乳中に存在する重要な非耐熱性の生理活性成分は、熱殺菌を施すと変化したり、人乳から喪失されることがある。従って、重要な生理活性成分を変化又は不活化することなく生物学的汚染物質を十分不活化する、人乳を殺菌するための改善された方法を提供する必要がある。
紫外線(UV)処理は、飲料水、ビール、ワイン、果汁、及びカット果物や全果の殺菌と除菌に採用されており、また、空気浄化や生鮮食品の包装にも採用されてきた。物質の紫外線への曝露、又はUV処理は、非加熱殺菌法に分類される。これは「UV殺菌」又は「低温殺菌」と当業者に呼ばれている。
紫外線は、可視光よりも短く、X線よりも長い波長を有する電磁波と定義される。液体を殺菌するために効果的なUV処理には、十分な被ばく量、即ち、生物学的汚染物質の紫外線への十分な曝露が必要である。紫外線が液体を透過する度合は、その液体の溶解性、密度、濁度によって異なる。
これまでの研究では、UV処理は、不透明な液体の微生物負荷を低減するために使用され得ることが実証されている。しかし、254nmの波長で、飲料水とビールの吸収係数はそれぞれ0.1cm−1と20cm−1であるのに対して、ミルクの吸収係数は300cm−1と高いので、紫外線で処理するのが困難である。
実際に、大量の液体を処理する場合や、処理をする液体が濁っていて光の透過が制限される場合に、十分なUV曝露が達成されることを確実にするために、様々なフロースルー反応器が開発されてきた。このようなフロースルー反応器は、薄層又は膜に液体を広げるよう設計され、或いは、乱流を液体に与えて、液体がUV光源の周りを流れるようにし、それにより、不透明液と光子源との界面で生物学的汚染物質を光子に曝露させる。このような装置は特許文献1〜5に記載されている。
しかし、牛乳や果汁を殺菌するための現行の方法や装置と関連して多数の不利な点が存在し、人乳の殺菌へのそれらの応用を実行不可能とする。
第一に、現在の方法は、大量の乳の処理を対象とし、大量の乳を源からUV反応器へポンプで送り、その後、複数の反応器を再循環又は通過させる必要がある。人乳は少量でしか収集することができず、このような少量では、これらの大規模反応器の中で失われてしまう。
第二に、反応器にミルクを送り出す必要性に関連するその他の問題として以下が挙げられる:装置の一定部分にミルクが停滞し、生物学的汚染物質の堆積と成長を許してしまう;反応器の表面上に乳固形分が沈殿し、UV透過の障害と装置の洗浄困難を引き起こす;ミルクに乱流が加えられた結果、乳脂肪球の合一からバターが形成されるなどの望ましくない特性がミルクに与えられる。
これらの装置は維持が困難なことがある。少量の人乳製品を殺菌する方法と、そのための装置があれば望ましく、母乳バンク、病院及びその他の臨床の場で、母乳を授乳する母親が便利に使用することができる。搾乳した母乳を便利に殺菌することができるような方法と装置があれば、安心だろう。
人乳を殺菌する現在の方法が直面している別の問題は、人乳中に存在する様々な重要な生理活性成分の活性の低下及び/又は喪失である。ホルダー殺菌等の人乳を殺菌するための現行の方法は、人乳中の重要な生理活性成分の有効レベルを維持することを考慮せずに、人乳の細菌負荷を低減することを目的としている。人乳の殺菌は、乳業界によって開発された技術に基づいている。乳業界の目的は、牛乳の酵素活性を低減して、それ自体の寿命を長くすることである。人乳においては、人乳の全恩恵を乳幼児に伝達するために酵素活性が必要である。
人乳は、大腸菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダ・エスピー(Candida sp.)の増殖を抑制することが分かっている。人乳のこの静菌性は、ラクトフェリン、リゾチームおよび分泌型IgAを含む免疫蛋白質に主に起因すると考えられている。ラクトフェリンは、大腸菌などの鉄依存性の病原菌に必要な遊離鉄の有効性を低下させ、それによって、それらの増殖を抑制する鉄結合蛋白質であり、また、細菌細胞表面のリポ多糖体のリピド−A部に結合することにより細菌細胞膜を破壊する。リゾチームは、N−アセチルグルコサミンとN−アセチルムラミン酸との特異的結合の加水分解を触媒することにより、黄色ブドウ球菌などのほとんどのグラム陽性細菌の細胞壁を溶解させる。リゾチームは単独では静菌性であるが、試験管内(in vitro)研究では、ラクトフェリンの存在下では殺菌性でもあり、ある程度のグラム陰性細菌を殺菌することができることが分かった。分泌型IgA(sIgA)は抗体であり、母親と乳幼児が曝される病原菌に反応して特異的に分泌されるので、乳幼児の免疫防御システムを強化する。sIgAは、蛋白質分解酵素に対する抵抗性のために、他の免疫グロブリンよりも腸管内で生き残ることができる。sIgAは人乳中での抗菌活性については知られていないが、ラクトフェリンやリゾチームの抗菌活性を高め、消化時乳幼児の免疫防御において重要な役割を果たす。このような生理活性成分の活性および保持は、熱殺菌を使用すると悪影響を受ける可能性がある。
従って、現在採用されている方法が直面している問題を克服する、生理活性成分を維持しながら人乳製品を殺菌する改善された方法を提供する必要がある。
文献、行為、資料、装置、論文等の議論は、本発明の背景を提供するためだけに本明細書に含まれる。これらの事項の一部又は全てが、先行技術基準の一部を形成したか、或いは、本出願の各請求項の優先日より前に存在していたために本発明の関連分野では共通の技術常識であったかは、示唆も提示もされない。
「含む」又は「備える」(“comprise”、“comprises”、“comprised”又は“comprising”)という用語は、本明細書(請求項を含む)で使用される場合、記載された特徴、整数、工程、又は構成要素の存在を明記していると解釈されるべきであり、1以上のその他の特徴、整数、工程、構成要素、又はそれらの群の存在を排除すると解釈されるべきではない。
米国特許5,675,153 米国特許5,567,616 米国特許6,540,967 米国特許6,576,201 WO01/37675
人乳の殺菌は、人乳からその受容者への病気の伝染のリスクを低減するために必要である。また、人乳中に存在する重要な生理活性成分の活性を保護または保持しながら、人乳中の生物学的汚染物質を十分不活化する能力が必要とされている。
従って、本発明の一態様では、人乳製品中に存在する生物学的汚染物質の量を減少させる又は不活化する方法であって、この方法は、人乳製品を紫外線光(UV)に曝露させる、及び、乳製品中の汚染物質のUV光への曝露を促進するために乳製品に渦流を与えることを含み、汚染物質のUV光への曝露が、乳製品中の汚染物質の量を減少させ又は不活化し、乳製品中に存在する生理活性成分の活性を実質的に減少させない、方法を提供する。
本発明のさらなる態様によると、人乳製品中の生物学的汚染物質の量を減少させる又は不活化する装置であって、ある体積の人乳製品を収容するための容器であり、人乳製品がUV光に曝露されるようにUV光源が連結される容器と、汚染物質のUV光源への曝露を促進するために、この容器内に保持された人乳製品に渦流を与える手段と、を備える装置を提供する。
本発明のさらなる態様によると、紫外線光(UV)に乳製品を曝露させる、及び、乳製品中の汚染物質のUV光への曝露を促進するために人乳製品に渦流に与える、ことを含む方法であって、汚染物質のUV光への曝露が、乳製品中の汚染物質の量を減少させ又は不活化し、乳製品中に存在する生理活性成分の活性を実質的に減少させない、方法によって調製される人乳製品を提供する。
図1は、本発明の一態様による装置の一実施形態を示す。 図2は、人乳サンプル中の全固形分と相関するデシマル減少量を示す。 図3は、長時間紫外線照射した後の人乳サンプル中のアルカリホスファターゼの保持率を示す。 図4は、未処理の人乳サンプル(白色)と、4863J/lの紫外線量のUV−Cで処理したサンプル(灰色)の脂肪酸プロフィールの濃度を示す。 図5は、紫外線に曝した乳と培地に存在するCMVの不活性化を示す。結果をTCID50/mlとして表す。 図6は、未処理、UV−C照射した、及びホルダー殺菌した人乳、及びニュートリエントブロス(NB)の細菌の増殖を示す。 図7は、UV−C照射した人乳中の全固形分濃度とリゾチーム保持率の関係を示す。 図8は、未処理、UV−C照射した、及びホルダー殺菌した人乳の免疫蛋白質濃度を示す。 図9は、1時間あたりの細菌増殖速度と、分泌型IgA、ラクトフェリン、リゾチームの濃度の関係を示す。 図10は、人乳中の免疫蛋白質の濃度の関係を示す。 図11は、本発明の一実施形態による装置の構造配置の概略図である。 図12は、本発明の別の一実施形態による装置の構造配置の概略図である。 図13は、UV−Cの配置(層処理)を示す。 図14は、UV−C照射前及びUV−C照射後の人乳の蛍光測定値を示す。 図15は、さらに何も添加しない、さらにカタラーゼ又はHを添加した、未処理、UV−C照射した、及びホルダー殺菌した人乳の蛍光測定値を示す。
本発明の態様及び利点のさらなる理解のために、以下の詳細な説明は、添付の図と併せて参照されるべきである。
人乳は、調合乳では乳幼児に与えることができない栄養成分と生理活性成分を含んでいる。従って、母親が自分の母乳を利用できない場合、特に早期産児にとって、ドナーの人乳は最も良い代替物とみなされる(Wight, NE. Donor human milk for preterm infants. J Perinatol 2001;21:249-254)。ドナーのミルクは、正期産児や免疫不全の大人にも役立てられることが実証されている。ドナーの母親から早期産児へ病気が伝染するリスクを最小限にするために、ドナーの人乳は殺菌される。人乳を熱殺菌する現行の方法では、人乳中に存在するさまざまな重要な生理活性成分を減少及び/又は活性喪失させてしまう。このような減少及び/又は喪失の結果、ミルクの品質を低下させる可能性がある。研究により、未殺菌の人乳を飲んだ乳幼児と比較して、熱殺菌された人乳を飲んだ乳幼児の脂肪吸収と成長速度が低下していることが実証されている。
人乳中の重要な生理活性物質と全体的な組成を損なうことなく人乳を殺菌する能力は、乳幼児の新生児医療や母乳バンク等の分野では非常に重要な能力である。
ここで使用する用語「人乳製品」は、人乳、又は、人乳由来若しくは人乳を含む製品を指す。これは、全乳、物質が添加された乳、又は、分離、抽出濃縮、遠心分離、又はウルトラ濾過若しくはナノ濾過などの濾過を含む処理技術や分離技術によって得られる一部の人乳のことを指すこともある。このような乳製品には、搾りたての乳、又は、室温、冷蔵又は冷凍(例えば、0℃以下、−20℃以下、又は−80℃以下)で貯蔵されていた乳、初乳、強化された母乳、低脂肪乳製品、砂糖/ラクトースを含まない乳製品、カゼイン、クリーム、ホエイ又は乳固形分が含まれてよい。
以下の説明では人乳の使用を例示するが、これに限定されない。しかし、上述のような人乳製品も同様に本発明の方法に適用できる。
本発明の方法によれば、人乳中の生物学的汚染物質の不活化により、人乳中に存在する重要な生理活性物質の生物活性の保持が可能になり、また、人乳の全体的な組成を維持することも可能になる。このように、この方法は、ホルダー殺菌を使用して得られた製品よりも優れた品質の人乳製品を提供することを可能にする。
ここで使用する用語「生物学的汚染物質」は、ウイルス、細菌、原虫、酵母菌、胞子、カビや藻類などの微生物のことを示すが、これらに限定されない。かかる生物学的汚染物質として、限定はされないが、B−型(レトロウイルス様粒子)、コクサッキーウイルスB3、サイトメガロウイルス(CMV)、エボラウイルス、エコーウイルス18、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、単純ヘルペスウイルス1型、ヒトヘルペスウイルス6、ヒトヘルペスウイルス7、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1型(及び2型)、ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV)、ヒトパピローマウイルス16、ロタウイルス、風疹ウイルス、シンノンブル(名なし)ハンタウイルスRNA、輸血伝達ウイルス(TTV)、水痘・帯状疱疹ウイルス、ウエストナイルウイルスから選択されるウイルス(ウイルス核酸を含む);限定はされないが、ブドウ球菌属(Staphylococcus spp.)、ストレプトコッカス属(Streptoccoccus spp.)、バシラス属(Bascillus spp.)、カンピロバクター属(Campylobacter spp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)及びエンテロバクター属(Enterobacter spp.)、大腸菌、セレウス菌、ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、マルタ熱菌(Brucella melitensis)、類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、シトロバクター・フロインディ(Citrobacter freundii)、コクシエラ・バーネッティ(Coxiella burnetti)、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterbacter aerogenes)、エンテロバクター・クロアカ(E.cloaca)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumonia)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、レプトスピラ・オーストラリス(Leptospira australis)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、パラ結核菌(Mycobacterium paratuberculosis)、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、緑膿菌(Pseudomonas Aeruginosa)、サルモネラ・コトブス(Salmonella Kottbus)、サルモネラ・パナマ(Salmonella panama)、サルモネラ・ゼンフテンベルク(Salmonella senftenberg)、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)、霊菌(Serratia marcescens)、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌及びストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)を含む細菌及び真菌;限定はされないが、アメリカ鉤虫(Necator americanus)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、ストロンギロイデス・フレボルニ(Strongyloides fulleborni)、トキソプラスマ原虫(Toxoplasma gondii)、旋毛虫(Trichinella spiralis)及びクルーズ・トリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)を含む寄生虫、が挙げられる。
人乳中の生物学的汚染物質の検出は、当業者に公知の標準的方法を使用して行うことができる。これらの方法には、培養ベースアッセイ法や核酸ベース検出法が含まれるが、これらに限定されない。例えば、血液寒天培地、マッコンキー寒天培地などの適切な培地を用いて、48時間などの適切な時間、37℃で、人乳製品のサンプルを培養することにより、細菌汚染物質の存在を得ることができる。細菌汚染物質はグラム染色でさらに特定できる。或いは、PCR検出法等の核酸ベース検出法を利用してもよい。同様に、培養又は核酸ベース法はウイルス又は寄生虫汚染物質の検出にも採用できる。乳のサンプル中の汚染物質の陽性検出は、採用した検出方法によって異なる。サンプルの汚染は、そのサンプル中に汚染物質が存在することを検出したことを意味する。
人乳の細菌汚染は、非殺菌の搾乳器や容器を使用することにより起こり得る。乳バンク等、いくつかの状況においては、殺菌前の、細菌培養により検出された細菌汚染全体の上限は100,000CFU/mlである。さらに、オーストラリアでは、殺菌前サンプルに、熱安定エンテロトキシン(例えば、黄色ブドウ球菌、腸内細菌科、腸球菌など)を作り出す病原性細菌は存在してはならない。人乳を汚染することが分かっている最も一般的な細菌として、大腸菌、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、セレウス菌及びエンテロバクター・クロアカエが挙げられる。人乳を汚染することが分かっている最も一般的なウイルスとしてはCMV、HIV、HTLVが挙げられる。
好ましい実施形態では、本発明は人乳中に存在する生物学的汚染物質の量を減少させる又は不活化する方法を提供し、汚染物質は大腸菌、ブドウ球菌属、ストレプトコッカス属、バシラス属、エンテロコッカス属及びエンテロバクター属から選択される。
さらに好ましい実施形態では、本発明は人乳中に存在する生物学的汚染物質の量を減少させる又は不活化する方法を提供し、汚染物質はCMV、HIV及びHTLVから選択される。
いかなる理論にも拘束されるものではないが、生物学的汚染物質を十分な量のUV光に曝すことにより、核酸のらせん構造に切断や二量体などの損傷が導入される。このような損傷は、汚染物質の遺伝物質を複製する能力を損ない、又は抑止し、汚染物質の死滅又は破壊につながる。
ここで使用する用語「不活化する」(及びその形態)とは、汚染物質の実際の破壊、撲滅、又は、複製する能力又は生きている受容者に悪影響を与える能力を実質的に抑止する、汚染物質への直接的又は間接的効果を意味する。
別の実施形態によると、本発明の方法は、人乳中に存在する生物学的汚染物質の量を減少させる。ここで使用する用語「減少させる」(及びその変形)とは、生物学的汚染物質に適用される場合、生物学的汚染物質の量の低下、又はアクティブな及び/又は複製する能力及び/又は人に感染させる能力がある汚染物質の数の低減を指す。
人乳中の生物学的汚染物質の不活化又は生物学的汚染物質の量の減少は、当業者に公知の検出方法を使用して測定することができる。生物学的汚染物質の不活化は、生物学的汚染物質の生物活性のアッセイを使用して判定することもできる。不活化又は減少は、紫外線への曝露前と曝露後のサンプルの分析から作成されたデータの比較によって確認できる。紫外線への曝露前と曝露後の細胞に感染するウイルスの能力の判定は、汚染物質の生物活性のアッセイの一例である。このようなアッセイでは、紫外線に曝露させた後の細胞に感染するウイルスの能力の低下が、不活化を示すことになる。このような生物学的汚染物質の不活化は、サンプルから検出された汚染物質の総量が減少していないにもかかわらず起こることがある。例えば、サンプル中のウイルスのDNA又はRNAの量は、ウイルスに感染した細胞の数が減少しているにもかかわらず、紫外線曝露の後でも変化しないことがある。
ここで使用するデシマル減少量(decimal reduction dose)という用語は、生き残っている汚染物質の集団が1ログサイクル減少するのに必要な紫外線量、即ち、汚染物質の集団の90%を破壊又は不活化するのに必要な量を指す。好ましい実施形態では、本発明の方法は、汚染物質レベルを少なくとも1Log10単位減少させる。さらに好ましい実施形態では、本発明の方法は、汚染物質を少なくとも2、3、4又は5Log10単位減少させる。さらにより好ましい実施形態では、本発明の方法は、汚染物質を少なくとも5Log10単位減少させる。
好ましくは、本発明の方法は、人乳製品中の汚染物質レベルを、その乳製品が安全に使用できるように不活化する又は減少させる。好ましくは、汚染物質レベルは、20000CFU/mlのレベルまで不活化又は減少される。より好ましくは、汚染物質は、10000、9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000、900、800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5CFU/mlを含む群から選択されるレベルよりも低いレベルに減少される。
好ましい実施形態では、生物学的汚染物質を不活化するために使用される紫外線の種類はUV−Cである。UV−Cは200から280nmの範囲の波長を有する紫外線と定義される。従って、さらに好ましい実施形態では、本方法は、255nm、260nm、265nmの波長を含む250nm〜270nmの範囲のUV−Cに人乳を曝すことを含む。よりさらに好ましい実施形態では、本方法は約254nmの波長のUV−Cに人乳を曝すことを含む。
UV−Cの侵入深さは、液体の溶解性、密度及び濁度に依存する。不透明又は混濁した液体の紫外線処理は、紫外線の吸光又は反射という結果になることがある。飲料水、ビールの吸光係数はそれぞれ0.1cm−1と20cm−1であり、このような液体の吸光係数と比べて、乳は254nmの波長で300cm−1の高い吸光係数を有する(Shama G.Ultraviolet light. In:Encyclopaedia of food microbiology. Academic Press(Elsevier)1999)。従って、乳のUV−Cでの処理は、その吸光係数が高いので困難である。
ここで示すように、デシマル減少量と人乳の全固形分との間には強い正の相関関係があり、R=0.82(P<0.01)である。従って、本発明の一態様において、本方法は、ある体積の人乳中の全固形分の測定と、人乳中に存在する生物学的汚染物質を不活化するために必要なUV、好ましくはUV−Cの量の調節を含む。
紫外線曝露量又は紫外線照射量は、本発明の方法を実行する際に使用した紫外線源の出力と曝露時間によって計算される。従って、紫外線照射量は、与えられた紫外線源の出力、使用する紫外線源の数、又は曝露時間によって変えてもよい。紫外線照射量はさまざまな方法で表され、一般には、処理される表面積当たりの到達エネルギーの量と定義される(例えば、ミリジュール・パー・平方センチメートル、mJ/cm)。ここに記載の紫外線曝露量又は紫外線照射量は、ジュール・パー・リットル(J/l)として表される。好ましい実施形態では、本発明の方法は、100〜10,000J/lの範囲の量のUV光に人乳を曝すことを含む。より好ましくは、人乳製品は、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600、5700、5800、5900、6000、6100、6200、6300、6400、6500、6600、6700、6800、6900、7000、7100、7200、7300、7400、7500、7600、7700、7800、7900、8000、8100、8200、8300、8400、8500、8600、8700、8800、8900、9000、9100、9200、9300、9400、9500、9600、9700、9800、9900及び10,000J/lを含む群から選択される量でUV光源にさらされる。最も好ましくは、紫外線量は500J/l以上である。
本発明によれば、乳中に存在する生理活性成分の活性は、紫外線曝露後に実質的に減少しない。ここで使用する用語「生理活性成分」とは、生物学的効果を有する物質を指す。例として、限定はされないが、炭水化物、脂質、ペプチド、脂肪酸、酵素、抗体、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、抗菌性化合物、代謝産物、ビタミン、及び、幹細胞や白血球などの免疫細胞を含むがこれらに限定されない細胞が挙げられる。
生理活性成分は、ペプチド、蛋白質、酵素、抗体、成長因子、ホルモン及びステロイドであることが好ましい。
ここで使用する用語「実質的に減少」とは、人乳製品の生理活性成分の活性若しくは濃度、又は静菌性の、50%を超える減少のことを言う。即ち、本発明によると、紫外線曝露によって生物学的汚染物質を不活化させた後、人乳製品に存在する生理活性成分の活性若しくは濃度、又は人乳製品の静菌性は、紫外線曝露の前の人乳製品の生理活性成分の活性若しくは濃度、又は静菌性の50%以上である。好ましい実施形態では、人乳製品の生理活性成分の活性若しくは濃度、又は静菌性の減少は40%以下、30%以下、又は20%以下である。さらに好ましい実施形態では、人乳製品の生理活性成分の活性若しくは濃度、又は静菌性は10%を超えて減少しない。
ここで使用される用語「静菌性」とは、細菌の成長、分裂、増殖又は複製の停止、停滞又は抑制のことを言う。
熱殺菌方法では、免疫蛋白質の保持率が実質的に減少し、ホルダー殺菌の使用により胆汁酸塩刺激リパーゼ(BSSL)の活性が完全に喪失されることがある。BSSLは、トリアシルグリセロールをモノアシルグリセリドと遊離脂肪酸に分解するので、乳幼児の脂肪の消化を助ける。BSSLは非常に熱に不安定な酵素であり、曝露時間によって、45℃で不活化が始まることがある。早期産児は内因性リパーゼ活性が低いため、人乳からBSSLを供給することは早期産児にとって特に重要である。研究によれば、熱殺菌した人乳を与えた早期産児は、未殺菌の乳を与えた早期産児に比べて、脂肪吸収と成長速度が低いことが分かっている。これらのより低い成長速度は、熱殺菌処理によるBSSLの不活化に原因があると考えられる。
ホルダー殺菌で完全に失われる別の酵素は、アルカリホスファターゼ(ALP)である。乳のアルカリホスファターゼは、乳中の対象とする微生物を破壊するのに必要な殺菌条件をわずかに上回る条件で不活化することから、ALPは乳の不十分な殺菌を検知するバイオマーカーとして乳業界で使用されている。
従って、好ましい実施形態では、乳中に存在する生理活性蛋白質の活性は実質的に減少しない。さらに好ましい実施形態では、蛋白質は酵素である。さらにより好ましい実施形態では、生理活性蛋白質は、胆汁酸塩刺激リパーゼ、アルカリホスファターゼ、ラクトフェリン、リゾチーム、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ、スーパーオキシド・ジスムターゼ、又はラクトフェリンを含む群から選択される。
さらにより好ましい実施形態では、生理活性蛋白質は抗体、成長因子、サイトカイン、又はケモカインである。
熱殺菌の方法では、人乳の静菌性はホルダー殺菌を使用することにより完全に失われることがある。
従って、好ましい実施形態では、人乳製品の静菌性が実質的に減少しない。
別の好ましい実施形態では、乳中に存在する生理活性蛋白質の濃度が実質的に減少しない。さらに好ましい実施形態では、乳中に存在する酵素の濃度が実質的に減少しない。
さらにより好ましい実施形態では、胆汁酸塩刺激リパーゼ、アルカリホスファターゼ、分泌型IgA(sIgA)、ラクトフェリン、及びリゾチームを含む群から選択される生理活性蛋白質の濃度が実質的に減少しない。さらにより好ましい実施形態では、胆汁酸塩刺激リパーゼ、アルカリホスファターゼ及び/又はラクトフェリンの濃度が実質的に減少しない。
さらに別の好ましい実施形態では、限定されないが、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ、スーパーオキシド・ジスムターゼ、ラクトフェリン、ビタミンC、及びビタミンEを含む群などの抗酸化成分の活性が実質的に減少しない。従って、さらに別の好ましい実施形態では、乳の抗酸化活性が実質的に減少しない。
述べてきたように、乳などの混濁液が含まれる場合では、紫外線の吸光度又は反射が増加するために、紫外線への曝露の有効性は低下する。さまざまなフロースルー型UV反応器が設計されており、パイプや導管に液体を流し、その液体を紫外線にさらす。このような反応器は大量の液体の処理用に設計されている。
層流を使用してフロースルー反応器で不透明の液体を処理することは、反応器を通る流れの中央にある層が紫外線に曝されないために問題がある。
個人の人乳は少量でしか収集できない。例えば、個人が任意の時に搾り出した母乳の体積は個人間のばらつきが大きい。研究によれば、搾り出せる母乳の平均重量は、約30グラムから約150グラム(即ち、約30〜150ml)に及ぶことがある。従って、このような少量は大規模反応器やフロースルー反応器では失われてしまうだろう。また、上記で明らかにしたように、乳をフロースルー反応器にポンプ送りする必要がある場合、その他の問題が生じる。さらにまた、強い乱流を乳に加えると、乳脂肪球の合一からバターが形成されるなどの望ましくない特性がミルクに与えられることがある。
本発明によると、渦流のような流れを乳に与えると、乳中の汚染物質を紫外線に曝露させ易くする。ここで使用する「渦流」とは、液体が仮想軸の周りを回転運動又はスピン運動して、層状に流れる液体の流れのことである。軸は真っ直ぐでも曲がっていてもよい。層間で流れに分裂又は混合、及び乱流が発生することがあり、これは容器内で液体の流れのさまざまなポイントで発生するが、液体のほとんどは渦形状に流れる。
本発明の方法によると、人乳を収容するための容器の中に人乳を保持し、渦流を乳に与える。速度を十分減少させた渦流を乳に与えることにより、乳の粘度を維持しながら、汚染物質の紫外線への曝露を促進する。即ち、十分減速した渦流を乳に与えることにより、乳に適用した結果生じる乳脂肪球の合一からバターが形成されるなどの乳の粘度に望ましくない変化を防止することができる。ここで使用する速度とは、回転速度、又は回転強度のことを言う。従って、十分減少した速度を有する渦流は、乳に望ましくない変化を与えないように低減した回転速度又は回転強度を有する渦流である。流れもまた十分速度を落とすようにしなければならないが、流れは連続しているので、乳は移動し続けて、望ましくない物理的ダメージを乳に与えることなく、確実に乳中の汚染物質の紫外線への曝露を促進する。
流れには分裂又は混合、及び乱流が起こる場合があり、これらは容器内の液体の流れのさまざまなポイントで発生するが、液体のほとんどは渦形状で流れる。発生し得る崩壊又は混合及び乱流は、乳中の汚染物質の紫外線への曝露を促進する。
渦流は、当業者に公知の任意の手段で乳に与えることができる。これにより、乳を穏やかな形で流すことが可能となり、乳表面のバターオイル層の形成や、バターの形成などの乳に望ましくない物理的ダメージを与えることなく、乳中の汚染物質の紫外線への曝露を促進する。好ましい実施形態では、渦流は、磁気バー及び磁気バーを回転させる装置を使用して作り出される渦によって与えられる。さらにより好ましい実施形態では、磁気バーを回転させる装置はマグネチックスターラーである。
実際には、この例に限定されないが、磁気バーは、乳を収容する容器内に置かれる。乳中の低速の渦、従って渦流は、磁気バーをマグネチックスターラーで回転させることにより得られる。磁気バーの大きさは、処理される乳の体積又は容器の大きさに応じて変えることができる。例えば、乳を収容するために大きな容器を使用する場合、大きな磁気バーを採用することができる。或いは、少量の乳を処理する予定の場合、小さな磁気バーを使用することができる。同様に、磁気バーが回転する速度もまた変えることができる。例えば、大量の乳の場合、又は乳を収容する容器が小さい場合、渦流を維持し、乳製品中の生物学的汚染物質の紫外線への曝露を促進する速度へ、磁気バーの回転速度をそれぞれ上げたり、下げたりすることができる。
従って、UV−C光子への最適な微生物曝露のために十分な速さの流れを作り出し、人乳にダメージを与えるリスクを最小にするように、バランスを取ることができる。これは、回転速度及び/又は撹拌方法を調節することによって達成できる。さらに、撹拌手段の大きさと形状を、せん断力を低減するように調節することができる。回転する容器を使用することも可能である。
ここに例示するように、十分速度を減少した渦流を、500rpm又はそれに等しい速度で回転させる8x40mmの磁気バーを使用して、400mlの液体を収容するための容器に入れた380mlの人乳に加えてもよい。
図1を参照すると、そこに例示した装置の好ましい実施形態は、UV光源(3)を導入した、ある体積の乳製品(2)を収容する容器(1)を備える。UV光源を乳製品へ導入することにより、乳製品中に存在する汚染物質のUV光への曝露を可能にし、十分な量が曝露されると、汚染物質は順に不活化される。汚染物質の紫外線への曝露を促進するために、乳に渦流を与える。この好ましい実施形態では、渦流は磁気バー(4)を使用して作り出され、渦を作り出し、維持するのに十分な速度で磁気バー(4)を回転させる。磁気バーはマグネチックスターラー(5)を使用することで回転させる。マグネチックスターラーは、低速の渦流が乳に与えられ、維持されるように、磁気バーの回転速度を指定して制御できる。
図11は、本発明の一実施形態による装置の構造配置を概略的に示している。この装置の配置は、ベース(6)を有するスタンド(8)を含み、そのベース(6)内に(磁気バー(4)を駆動するための)マグネチックスターラー(5)が組み込まれている。ベース(6)は、好ましくは、容器(1)がその上に置かれるときに容器(1)を適切に位置決めして保持するように構成される。容器(1)は開口部(12)を有するカバー(10)を含み、カバー(10)は、容器内の乳製品の流出と汚染が最小限になるように容器(1)に相対的に取付け可能である。スタンド(8)は頭上構造(18)を含み、この頭上構造(18)は電気ソケット(20)を含み、その中にランプであるUV光源(3)が差し込まれる。容器(1)がベース(6)上に位置するとき、頭上構造(18)は容器(1)の上に延び、その結果、カバー(10)の開口部(12)を貫通するUVランプ(3)が適切な深さで容器(1)内に支持され、位置決めされる。スターラー(5)を駆動するための電気接続とUVランプ(3)用のソケット(20)は、電気ケーブル(14)とプラグ(16)を介して通常の/家庭用のGPOに接続される。この装置の分離した部品、即ち、スタンド(8)(マグネチックスターラー(5)を有するベース(6)、頭上構造(18)、ソケット(20)、及び電気ケーブルとプラグ(14/16)を含む)、UVランプ(3)、容器(1)とカバー(10)、及び磁気バー(4)は、装置の取扱説明書とともに、個別に、又は、1つのユニット/単一のパッケージとして一緒に、包装され、販売されることが予想される。
好ましい実施形態では、装置は容器を備え、その容器に、ある体積の人乳を直接搾り出せ、収集され、又は貯蔵できる。個人によって任意の時に搾り出される母乳の体積は個人間で大きなばらつきがある。研究によれば、搾り出される母乳の平均重量は、約30グラムから約150グラム(即ち、約30〜150ml)に及ぶことがある。好ましい実施形態では、容器は、約30ml〜約10000mlの範囲の体積の人乳ための容器である。好ましい実施形態では、容器は、50ml、100ml、200ml、300ml、400ml、500ml、600ml、700ml、800ml、900ml、1000ml、1100ml、1200ml、1300ml、1400ml、1500ml、1600ml、1700ml、1800ml、1900ml、2000ml、2500ml、3000ml、3500ml、4000ml、4500ml、5000ml、5500ml、6000ml、6500ml、6500ml、700ml、7500ml、8000ml、8500ml、9000ml、9500ml及び10000mlから選択される体積の人乳製品のための容器である。
容器は開閉でき、ガラス、ステンレス鋼、又はポリエチレンテレフタレート(PET)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリプロピレン(PP)を含む群から選択されるプラスチックを含む食品用材料を含む、任意の適切な材料から構成され得る。
好ましい実施形態では、装置は容器と係合するよう構成されたカバーをさらに備える。或いは、容器はカバーを受けるように構成される。蓋などのカバーは、容器からの漏れ又は流出を防ぐことができる。カバーはまた、容器内に保持された乳製品をUV光に曝露させる間、又は曝露後、例えば乳製品の貯蔵時に、容器に汚染物質が入ることを防止する役目も果たせる。さらに好ましい実施形態では、カバーはUV光源及び/又は前記容器内で乳に渦流を与える手段を受け入れるよう構成される。
例えば、カバーは、UV光源及び/又は前記容器内で乳に渦流を与える手段を、開閉できる開口などによって受け入れるよう構成されてもよい。
UV光源は1以上のUVランプを備えてもよい。UVランプは特定の形状又は大きさのものであってもよい。好ましい実施形態では、UV光源は、好ましくは250nm〜270nmの範囲で、最も好ましくは254nmでUV−Cを発光する。UV光源は、容器の内側又は外側になるように配置されてもよく、容器内の人乳製品をUV光、好ましくはUV−Cに曝露させるのに十分な任意の特定の方法で配向されていてもよい。UV光源が容器の外側に位置する場合、1以上のUVランプを容器の周囲のさまざまなポイントに位置させてもよい。好ましい実施形態では、UV光源は容器内に導入されて、容器内の人乳製品と接している。UV光源が容器の外側に配置される一定の実施形態では、容器は、容器の表面を通してUV光を十分透過させることが可能な材料から形成され、容器によるUV光の吸収が最少の材料から形成されることが好ましい。
図12は、本発明の一実施形態による装置の構造配置を概略的に示しており、UV光源は容器の外側に位置している。この装置の配置は、ベース(6)を有するスタンド(8)を含み、そのベース(6)内に(磁気バー(4)を駆動するための)マグネチックスターラー(5)が組み込まれている。ベース(6)は、好ましくは、容器(1)がその上に置かれるときに容器(1)を適切に位置決めして保持するように構成される。容器(1)はカバー(10)を含み、カバー(10)は、容器内の乳製品の流出と汚染が最小限になるように容器(1)に相対的に取付け可能である。スタンド(8)は電気ソケット(20)を含み、その中にランプであるUV光源(3)が差し込まれる。容器(1)がベース(6)上に位置するとき、スタンド(8)は容器(1)に隣り合って延び、その結果、UVランプ(3)が容器(1)に適切に近接して支持され、位置決めされる。スターラー(5)を駆動するための電気接続とUVランプ(3)用のソケット(20)は、電気ケーブル(14)とプラグ(16)を介して、通常の/家庭用のGPOに接続される。この装置の分離した部品、即ち、スタンド(8)(マグネチックスターラー(5)を有するベース(6)、ソケット(20)、電気ケーブルとプラグ(14/16)を含む)、UVランプ(3)、容器(1)とカバー(10)、及び磁気バー(4)は、装置の取扱説明書とともに、個別に、又は、1つのユニット/単一のパッケージとして一緒に、包装され、販売されることが予想される。
乳に渦巻状の流れを与える手段は、オーバーヘッドスターラーやマグネチックスターラーなどの撹拌装置を含んでもよい。オーバーヘッドスターラーは、一端にブレードが配置されたシャフトを備え、このブレードを液体内に導入して、渦流を作り出すように乳の中で回転させる。或いは、磁気撹拌装置を使用してもよい。或いは、乳を収容する容器を、渦流を与えるように動かし、又は回転させてもよい。好ましい実施形態では、乳に渦流を与えるように構成された手段は、マグネットとマグネチックスターラーである。作動中、マグネチックスターラーはマグネットに磁力を印加し、乳製品に渦を発生させるようにマグネットを回転させ、それにより乳に渦流を与える。或いは、乳に渦を、従って渦流を作り出すように、容器をUV源に対して動かしてもよい。
マグネットは任意の適切な形状又は大きさのものでよい。好ましくは、マグネットは磁気撹拌バーである。磁気バーの大きさは、処理される乳の体積、又は容器の大きさに応じて変えることができる。例えば、乳を収容するために大きな容器を使用する場合は大きな磁気バーを採用することができる。或いは、少量の乳を処理する予定の場合は小さな磁気バーを使用することができる。好ましい実施形態では、容器は400mlの人乳製品を収容するよう構成され、磁気バーは8x40mmである。8x40mmの磁気バーを500rpmで回転させると、400mlを収容するよう構成された容器で380mlの人乳に実質的に渦流を与えるように、渦を作り出すことができる。
さらなる実施形態によると、UV光源を、渦を乳に加える手段として操作することができる。例えば、UVランプを容器内に保持された乳に導入して、乳の中に渦を、従って渦流を作り出すようにUVランプを動かしてもよい。例えば、UVランプを容器内に保持されたある体積の乳に挿入して、撹拌するように回転させて、渦を、従って渦流を作り出してもよい。
別の態様によると、本発明は、本明細書に記載の方法によって調製された人乳製品を提供する。乳製品中に存在する生物学的汚染物質を不活化及び/又は減少させた、本発明の方法によって調製された人乳製品は、未殺菌の人乳製品と比較して、より長時間保管することができる。また、本発明による乳製品は、熱的方法を使用して殺菌された人乳製品と比較して優れた生物活性を有する。
本発明を以下の実施例を参照して、より詳細に説明するが、これらに限定されない。
実施例−1 乳の紫外線曝露
10個の人乳の冷凍サンプルが、過剰母乳が出る母親から供与された。乳は実験前に−20℃の冷凍庫で保管された。人乳サンプル中の全固形分を、中赤外分析装置(HMA-Human Milk Analyser, Miris AB, Uppsala, Sweden)を使用して測定した。その後、サンプルを遠心分離し(Allegra X-12R, Beckman Coulter Inc., Brea, CA, USA)、除去又は同一の人乳サンプルのクリームを添加して全固形分含有量を調節した。サンプルの最終の全固形分含有量は、10個のサンプルで107〜146g/lの範囲であった。概要を表1に示す。
Figure 2015536681
各人乳サンプル(380ml;n=10)を400mlPYREX(登録商標)ガラスビーカーNo.1003に移した。部分的に覆った(弧長211mmのうち57mmを開放)UV−C殺菌ランプ(253.7nmで95%のUV出力)(GPH287T5L, Infralight Pty Ltd, Helensburgh, NSW, Australia)をガラスビーカーの中に入れた(図1)。
57mmを開放したランプのUV出力は1.1Wであった。UV−C処理の間、UV−C殺菌ランプ(253.7nmで95%のUV出力)(GPH287T5L, Infralight Pty Ltd, Helensburgh, NSW, Australia)を容器内に斜めに入れた(図1)。UV−C処理の間、8x40mmマグネチックスターラーバー(C-MAG HS7, IKA, Staufen, Germany)で、回転速度500rpmで乳を撹拌し、低速の渦を作り出した。人乳をUV−Cに曝し、1mlのサンプルを異なる時点で取り、別の分析のために管に分けた。酵素及び脂肪酸の分析(以下に記載)のための一定分量を、アッセイを行うまで−80℃で冷凍保存した。細菌の分析を直ちに行った。
実施例2−細菌の分析
表皮ブドウ球菌(ATCC 12228)、エンテロバクター・クロアカエ(ATCC 27508)、セレウス菌(ATCC 10702)(American Type Culture Collection Inc, Manassas, VA, USA)及び大腸菌K12(ATCC 1498, Southern Biological, Nunawading, Vic, Australia)を、ニュートリエントブロス(Nutrient Broth No.2, Oxoid Australia Pty Ltd, Adelaide, SA, Australia)中で33℃で一晩培養した。黄色ブドウ球菌(ATCC 6538)(American Type Culture Collection Inc, Manassas, VA, USA)をトリプチックソイブロス(BBL Trypticase Soy Broth, Becton Dickinson & Co, Franklin Lakes, NJ, USA)中で33℃で一晩培養した。その後、予め描かれた標準曲線を用いて、吸光度法を使用して細菌を数えた。培地を希釈して、全固形分を調節した人乳サンプルに植菌して、母乳バンクの最大許容濃度10CFU/ml(ミリットル当たりコロニー形成単位)にした。
実施例1と同様にして、UV光で照射したときの、大腸菌、表皮ブドウ球菌、エンテロバクター・クロアカエ、セレウス菌、及び黄色ブドウ球菌の指数関数的減少を観察した。細菌の5つの異なる種では、デシマル減少量はそれぞれ594±265、569±209、565±178、640+189及び635±268J/lであり、大きな違いはなかった。
デシマル減少量と人乳中で測定された全固形分には、高い正の相関関係(P<0.01)が見られた。サンプルの全固形分の濃度は、107.0、110.5、120.0、121.0、125.0、126.0、131.5、133.0、139.5、146g/l、相関するデシマル減少量はそれぞれ、289±17、396±52、470±51、454±36、380±39、437±72、774±98、805+74、721±64、945±164J/lであった(図2)。
実施例3−胆汁酸塩刺激リパーゼ活性
人乳中の胆汁酸塩刺激リパーゼ(BSSL)活性を、リパーゼアッセイキット(QuantiChrom Lipase Assay Kit, BioAssay Systems, Hayward, CA, USA)を使用して判定した。実施例1と同様の冷凍(−80°C)人乳サンプル(n=10)を解凍して37℃にし、DDI(1/100、v/v)で希釈し、キットの説明書に従い、アッセイを二重に(in duplicate)行った。吸光度を分光光度計(PowerWave, Biotek, Winooski, VT, USA)で測定し、キットの説明書の式に基づき、ミリリットル当たりBSSL活性(U/ml)に変換した。キットの直線検出範囲は、96ウェルプレートアッセイで40〜1600U/mlリパーゼ活性である。ユニットの定義:アッセイ条件下(pH8.5)で1分間に1.0μΜの基質の切断を触媒する酵素を1ユニットとする。グループ内の変動係数(CV)は7%未満であった。
未処理の人乳サンプルのBSSL活性は116.5±36.6U/mlであった。実施例1と同様に1389、2084、2779、3474、4863J/lのUV−C量で処理した後、BSSL活性は、それぞれ113.1±34.0、112.7±33.3、114.3±34.6、113.6±33.7、115.3±34.4U/ml(n=10)であり、大きく減少しなかった。
実施例4−アルカリホスファターゼアッセイ
アルカリホスファターゼ(ALP)はp−ニトロフェニルリン酸を加水分解させ、黄色の合成物を形成し、405nmで測定されたその強度は、サンプル中のALPの濃度と正比例する。ALP活性を、Walter and Schuett(23)に基づいて酵素アッセイを用いて分析した。実施例1と同様の冷凍(−80℃)人乳サンプルを解凍して37℃にし、DDI(1/4、v/v)で希釈して、サンプルを5μlずつ、96ウェルプレートに入れた135μlの基質(1M ジエタノールアミン、0.5mM MgCI、pH10.3)に添加した。その後、10μlの発色試薬(10mM p−ニトロフェニルリン酸)をウェルに添加して、プレートを37℃で30分間培養した。吸光度を405nmで分光光度計(PowerWave, Biotek, Winooski, VT, USA)を使用して測定し、標準曲線を用いて1ミリリットル当たりのアルカリホスファターゼ活性(U/ml)に変換した。ユニット定義:アッセイ条件下で1分間に1.0mMのp−ニトロフェニルリン酸を加水分解する酵素を1ユニットとする。リカバリアッセイは94±9%、イントラ−アッセイ変動は6%未満であった。
未処理の人乳サンプルのALP活性は0.200±0.050U/mlであった。実施例1と同様に2084,3474、4863J/lのUV−C量で処理した後、ALP活性はそれぞれ0.199±0.056,0.199±0.047、0.204±0.057U/ml(n=10)であり、大きく減少しなかった。
過剰曝露の実験において、微生物負荷を5−log10減少させるのに必要とされるよりもかなり長く人乳を処理した場合、10,400、62,526及び239,684J/lのUV−C量で、ALP活性保持率は、それぞれ79.8±7.1%、53.4±20.2%、40.6±15.0%の著しい減少が見られた(n=3)(図3)。
実施例5−脂肪酸の分析
脂肪酸(FA)を、Mitoulas et al.(24)に基づいて抽出及びエステル交換方法を用いて分析した。抗酸化剤としてブチル化ヒドロキシアニソールを使用し、クロロホルム/メタノール(2/1、v/v)を用いてFAを抽出した。1%HSOメタノール溶液を使用した酸トランスメチル化により、乳脂質抽出物からFAメチルエステルを調製した。その後、内径0.32mm、コーティング0.25μmのBPX−70(SGE Pty Ltd., Ringwood, VIC, Australia)の50mキャピラリーカラムを使用して、ガス・クロマトグラフィー(GC-2010、Shimadzu Co., Kyoto, Japan)により脂肪酸メチルエステルを分離、定量した。その後、各サンプル(3μl)を、オートインジェクタ(AOC-20i,Shimadzu Co., Kyoto, Japan)を使用して、分割比20:1でカラムに注入した。インジェクタ温度を250℃に、検出器(フレームイオン化)温度を300℃に設定した。初期オーブン温度は130℃であった。この温度は、5分以内で155℃に上昇し、その後1分以内で徐々に165℃に、その後5分以内で230℃に、そして最終的に10分以内で250℃に上昇して5分間維持されるよう最初にプログラムされた。ヘリウムを速度4ml/分でキャリアガスとして使用した。認証脂質基準(Sigma-Aldrich Co., St Louis, MO, USA)に対する保持時間に基づいて、脂肪酸を同定した。個々のFAピークをFAピーク下の総面積として定量化した。5つの別々の抽出に対してFAピーク下の面積の変動係数は、4.2%未満であった。
FA濃度は個々の未処理サンプル間では大きなばらつきがあったが、実施例1と同様のUV−C処理の間、著しい変化はなかった。実施例1と同様の10個の人乳サンプルを分析し、9個のサンプルで検出されたFA17:0、20:5n3、20:0、22:1n9と、8個のサンプルで検出されたFA18:2ttを除いて、全ての脂肪酸(FA)を10個全てのサンプルに検出した。FA8:0は最小の濃度、c−18:1n9は最大の濃度を有し、未処理のメジアン面積はそれぞれ11,270(範囲4233〜24,513)、6,819,353(1,157,398〜11,613,614)であった。4863J/lのUV−Cで処理されたこれら2つのFAのメジアン面積はそれぞれ13,304(3612〜30,132)、7,285,795(1,067,547〜13,459,439)であった(図4)。
このように、UV−C照射により、求められる増殖性細菌汚染の低減が促進され、FAを変化させないでBSSLやALPなどの熱に弱い酵素の活性が保護されるので、ドナーの人乳の品質が向上する。
実施例6−紫外線曝露によるウイルスの不活化
マウス又は人のCMVを細胞培地又は殺菌した母乳に植菌し、容器に注入して0.5mmの層を設けた。その後、サンプルをUV光源に10、20、30又は60秒間、UV光源から1、2、3、4cmの距離で曝した。UV光源の距離の違いにより、サンプルに異なる量の紫外線を届けることが容易になる。続いて、プラークアッセイ又は組織培養感染値量(TCID)50アッセイを用いて、サンプル中に存在するウイルスの不活化を評価した。
プラークアッセイについて、マウスのCMV(MCMV)ウイルスストック又はMCMVを加えた母乳を連続希釈法を使用して、マウス胚性線維芽細胞(MEFs)を植菌した。37℃、5%COで1時間培養した後、植種液を吸引して取り出し、全てのウェルを洗浄した。洗浄液を吸引して、0.5%メチルセルロース/MEM+2%NCSを細胞の上に重ねた。プレートを4〜5日間37℃、5%COで培養し、ウェル毎に1mLのメチレンブループラークアッセイ染色剤で染色した。室温で2〜3日後、染色剤を洗い落とし、プラークのカウントの前にプレートを空気乾燥した。ウイルスの力価を以下の式により計算した:プラーク形成ユニット(pfu)/mL=ウェル毎のプラークの数×希釈ファクタ×5。このアッセイの結果を以下の表2に表す。
Figure 2015536681
これらのデータは、人乳中に存在するウイルスを不活化するUV光の曝露の能力を実証している。
TCID50アッセイについて、ヒトCMV(HCMV)を加えた培地又は母乳を準備した。異なる距離で紫外線に曝した又は未処理のいずれかの、培地又は乳の2つの複製を順次希釈して、培養したヒト包皮線維芽細胞(HFFs)を添加して、3週間培養した。その後、処理済又は未処理のサンプル中に存在するウイルスの細胞変性効果を毎日評価した。結果をReed and Muench(Reed LJ, Muench HA. The American Journal of Hygiene. 1938;27:493-497)のプロトコールに基づき、Brett D. Lindenbach(Yale University)が作成したカルキュレータを使用して分析した。値はTCID50/mlとして与えられる。
この研究の結果は、ウイルスを含む人乳のUV光の曝露により、ウイルスの不活化が可能であり、それにより、ウイルスの、細胞に感染する能力を低下させることを実証している。実際に、1、2及び3cmの距離で曝露させた乳サンプルのTCID50/mL値は検出基準を下回っていた(図5)。
本実施例の実験計画は、人乳を容器に収容して渦流を与えた条件では行われていないが、アッセイの結果から当業者は、このような条件下で、同等かそれ以上のレベルのウイルスの不活化が起こるであろうということを予測できる。データの裏づけのない実施例(prophetic example)に従って、人乳の複製サンプルに規定量のウイルスを加える。その後、この乳サンプルを実施例1に記載のようにUV光に曝す。その後、異なるUV曝露量で紫外線に曝された乳のウイルスの不活化度を、ウイルスを加えて紫外線に曝さなかったサンプルと比較して、プラーク形成アッセイ又はTCID50アッセイを使用して評価することができる。実施例6で得られたデータに基づき、当業者は、UV曝露の増加がウイルスの不活化の向上と相関することを予測するだろう。
実施例7−UV処理した乳とホルダー殺菌された乳の静菌性
ホルダー殺菌:
母親から供与された(実施例1)10個の人乳冷凍サンプルそれぞれの一部(1.6ml;n=10)を、2mlポリプロピレンマイクロチューブに移した。その後、サンプルを予熱した水槽(CC−1,Huber GmbH. Offenburg, Germany)内に置き、30分間で62.5℃にし、その直後に氷槽で冷却した。実験室分析を行うまで、サンプルを−80℃で冷凍保存した。
静菌性分析:
大腸菌K12(ATCC1498, Southern Biological, Nunawading, Vic, Australia)と黄色ブドウ球菌(ATCC6538, American Type Culture Collection Inc, Manassas, VA, USA)をニュートリエントブロス(Nutrient Broth No.2, Oxoid Australia Pty Ltd, Adelaide, SA, Australia)で37℃で一晩培養した。予め描かれた標準曲線を用いて吸光度法を使用して数えた後、培地を希釈して、未処理のサンプル、UV−C照射したサンプル及びホルダー殺菌したサンプルに植種して、大腸菌及び黄色ぶどう球菌の細菌負荷を2000CFU/ml(ミリットル当たりコロニー形成単位)にした。植菌直後と37℃で2時間培養した後に、全てのサンプルを、複数、エオシンメチレンブルー寒天培地とマンニット食塩寒天培地(Oxoid Australia Pty Ltd, Adelaide, SA, Australia/Plain agar, Southern Biological, Nunawading, Vic, Australia)の上に蒔いた。その後、プレートを37℃で一晩培養して、コロニーの数を数えて、ミリットル当たりコロニー形成単位(CFU/ml)に基づいて細菌数を判定した。
37℃で2時間の培養時間が終わったところで、大腸菌と黄色ぶどう球菌の成長速度に差はなかった(p=0.69)。従って、2つの種を残りの統計的分析用に1つのグループにした。
未処理の人乳の細菌成長速度は毎時2.7±1.1倍であった。
UV−C照射した人乳(4683J/l)の細菌成長速度は毎時3.1±0.9倍であった。この成長速度は未処理の人乳と大きく違わなかった(p=0.75)。
ホルダー殺菌した人乳の細菌成長速度は毎時5.1±1.4倍であった。ホルダー殺菌した人乳の細菌成長速度は、未処理の人乳とUV−C照射した人乳のどちらと比べても著しく高かった(p<0.001)。
ニュートリエントブロスの細菌成長速度は毎時5.9±1.5倍であり、ホルダー殺菌した人乳と大きく違わなかった(p=0.13)が、未処理の人乳とUV−C照射した人乳のどちらと比べても著しく高かった(p<0.001)(図6)。
実施例8−UV処理及びホルダー殺菌後の人乳の免疫蛋白質濃度
10個の人乳のサンプルに、実施例1及び7にそれぞれ記載したように、UV処理又はホルダー殺菌を行った。
人乳サンプル中の分泌型IgAとラクトフェリンの含有量を、前に記載したスタンダードサンドイッチELISA法を使用して定量化した(Czank C, et al Pediatr Res 2009;66:374-379)。全ての抗体とスタンダードはMP Biomedicals Australasia(New South Wales, Australia)から購入した。分泌型IgAのリカバリアッセイは85±4%(n=6)であり、ラクトフェリンのリカバリアッセイは82±9%(n=6)であった。人乳サンプルのリゾチーム含有量は、ヒトリゾチーム酵素免疫抗体法(EIA)キット(Biomedical Technologies, Inc., MA)を使用してメーカーの説明書に従って定量化した。
これらのアッセイの結果を以下で表3に表す。
Figure 2015536681
3474J/lのUV−C照射量で照射したサンプルの分泌型IgAの濃度(p=0.036)とリゾチーム(p=0.032)の濃度は、未処理のサンプルと比べて著しく低かった。4683J/lで処理すると、どちらの蛋白質も有意性がp<0.001に増加した。使用した量では、ラクトフェリン(p=0.28)の濃度は大きく減少しなかった。
全固形分の濃度が高くなると、リゾチーム保持率が多くなることが分かった(p<0.001)(図7)。人乳中の全固形分が1g/l増えるごとに、リゾチームの保持率は0.55%パーセンテージポイント増加した。UV−C照射後の、全固形分濃度と分泌型IgA(p=0.45)又はラクトフェリン(p=0.23)保持率の間には有意な相関は見られなかった。
ホルダー殺菌後、分泌型IgA、ラクトフェリン及びリゾチームの著しい減少が観察された(p<0.001)(表2)(図8)。ホルダー殺菌の際の、全固形分の濃度と免疫蛋白質保持率の間に相関は見られなかった(p=0.76)。
実施例9−人乳の免疫蛋白質濃度と静菌性
さまざまな処理(未処理、UV−C照射、ホルダー殺菌)が与え得る影響を考慮しても、分泌型IgA(p<0.001)、ラクトフェリン(p<0.001)及びリゾチーム(p<0.019)の濃度が個別に高くなれば、また、これら3つの合計(p<0.001)の濃度が高くなっても、1時間あたりの細菌成長速度は低下した(図9)。人乳のサンプルは、分泌型IgAとラクトフェリン(p<0.001)の濃度の間に高い相関を示したが、分泌型IgAとリゾチーム(p=0.35)及びラクトフェリンとリゾチーム(p=0.25)の間に有意な相関は見られなかった(図10)。
実施例10−UV−C処理とホルダー殺菌後の抗酸化活性
搾り出した人乳を、搾乳中及び貯蔵中に酸素、光、電離放射線、及び温度変化に曝す。殺菌等の環境ストレスは人乳中の活性酸素種(ROS)の生成の原因となり得る。温度上昇により細胞ROSの生成が高くなり、細胞の抗酸化能力を超え、次いで、その結果、ROS濃度が増加し得る。
人乳は、ラクトペルオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ、スーパーオキシド・ジスムターゼ、ラクトフェリン、ビタミンC及びビタミンE等の抗酸化成分を含む。この実施例では、人乳の過酸化水素(H)状況と、ホルダー殺菌又はUV−C照射がHレベルを変えるかどうか、従って、人乳中の抗酸化成分の活性を調査する。
実験の前に人乳のサンプルが供与され、−20℃の冷凍庫に保管された。サンプルを紫外線又はホルダー殺菌で処理した。
(a)紫外線処理
図13の配置のように、各人乳サンプルの一部(150μl)を、UV−Cランプ(4W 波長254nm、40mW/cm2@1メーター、GPH287T5L、Infralight Technology, Helensburgh, NSW, Australia)の下に8mmの距離で0.4mm層に置き、3分間照射した。これらの条件下で、人乳中のサイトメガロウイルスを減少するのに10秒の処理時間が必要である(Marchant, 2011)。
(b)ホルダー殺菌
各人乳サンプルの一部(1.6ml)を2mlポリプロピレンマイクロチューブに移した。サンプルを予熱した水槽(CC-1, Huber GmbH. Offenburg, Germany)内に置き、62.5℃にして、30分間維持し、その後すぐに氷槽で4℃に冷却し、分析又はさらなる処理のいずれかを施した。
(c)カタラーゼとH処理
未処理、UV−C照射した、及びホルダー殺菌した人乳サンプルのそれぞれ一定分量を10U/mlのカタラーゼ(Sigma-Aldrich Co., St Louis, MO, USA)で処理し、室温で15分間培養した。未処理、UV−C照射した、及びホルダー殺菌した人乳サンプルのそれぞれの別の一部を、10μΜのHで処理し、室温で15分間培養した。
(d)過酸化水素の測定
アンプレックスレッドアッセイ(Amplex red assay)(Life Technologies, Carlsbad, CA, USA)を使用して過酸化水素活性を検出し、544nmで励起を、590nmで発光と10のフラッシュを示した。
UV−C処理の前に(図14、時間=−1分)、人乳は803±134の蛍光測定値を有していた。UV−C照射(0分)の直後に、蛍光測定値は11,519±8250に著しく高くなった。UV−C処理の3分後、蛍光測定値は1,238±905であり、6分後は628±187であり、これは45分まで一定であった(図14)。
未処理の人乳(UHM)の蛍光測定値は、UHM、10U/mlのカタラーゼを含むUHM、10μΜのHを含むUHMで、それぞれ937±112、958±117、935±129であった(n=6)。UV−C照射した人乳(UVHM)の蛍光測定値は、UVHM、10U/mlのカタラーゼを含むUVHM、10μΜのHを含むUVHMで、それぞれ1,014±112、1,025±137、1,143±109であった(n=6)。ホルダー殺菌した人乳(HPHM)の蛍光測定値は、HPHM、10U/mlのカタラーゼを含むHPHM、及び10μΜのHを含むHPHMで、それぞれ1,155±1049、363±125、4,381±2657であった(n=6)(図15)。
結論として、未処理の人乳とUV−C照射した人乳はHのベースラインを有し、調節作用を有し、これによりベースラインを一定に保つ。UV−C照射は人乳中にHを作り出すが、処理後3分以内に減少し、処理前のレベルに戻る。ホルダー殺菌した人乳はその調節作用を喪失して、Hレベルが環境ストレスによって変わり得る。この発見は、UV−C照射は、人乳中の抗酸化成分に対して重大なダメージの原因とはならないことを示唆している。
本発明の前述の説明は、そのベストモードであると現在考えられていることを当業者が製造、使用することを可能にするが、当業者は、本明細書中の具体的な実施形態、方法、及び実施例の変形、組み合わせ、及び等価物が存在することを理解し、評価するべきである。従って、本発明は上述の実施形態、方法及び実施例に限定されるべきではなく、本明細書に広く記載される本発明の範囲及び趣旨に入る全ての実施形態と方法によって限定されるべきである。

Claims (15)

  1. 人乳製品中の生物学的汚染物質の量を減少させる又は不活化する方法であって、該方法は、200nm〜280nmの波長を有する紫外線(UV)光に前記人乳を曝露させる、及び、前記汚染物質の前記UV光への曝露を促進するために前記乳製品に渦流を与える、ことを含み、
    前記曝露が、前記乳製品中の前記汚染物質の量を減少させ又は不活化し、前記乳製品中に存在する生理活性成分の活性を実質的に減少させない方法。
  2. 前記渦流が渦によって前記人乳に与えられる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記UV光が250nm〜270nm、好ましくは254nmの波長を有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記渦流が撹拌手段を使用して与えられる、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記渦流が、前記生理活性成分の活性を実質的に減少させずに、前記生物学的汚染物質を前記UV光に曝露させるのに十分な速度で与えられる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記生物学的汚染物質の量が、少なくとも1−Log10オーダーで、好ましくは5−Log10オーダーで、減少される又は不活化される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記人乳に加えられる紫外線量が100〜10000J/lの範囲である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記汚染物質が、大腸菌(E. coli)、ブドウ球菌属(Staphylococcus spp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus spp.)、バシラス属(Bacillus spp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)及びエンテロバクター属(Enterobacter spp.)を含む群から選択されるか、サイトメガロウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、又はヒトTリンパ球向性ウイルスである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記生理活性成分が、炭水化物、脂質、蛋白質、脂肪酸、酵素、抗体、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、抗菌化合物、又は代謝産物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記生理活性成分が、胆汁酸塩刺激リパーゼ、アルカリホスファターゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、リゾチーム及び分泌型IgAを含む群から選択される蛋白質、ミエロペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ、スーパーオキシド・ジスムターゼ、又はラクトフェリンであり、好ましくは胆汁酸塩刺激リパーゼ、アルカリホスファターゼ、ラクトフェリン、リゾチーム、分泌型IgA、より好ましくは胆汁酸塩刺激リパーゼ、アルカリホスファターゼ、ラクトフェリンである、請求項9の記載の方法。
  11. 前記人乳製品の静菌性、又は、生理活性成分若しくは抗酸化活性の濃度が、実質的に減少しない、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記人乳製品が人乳である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 人乳製品中の生物学的汚染物質の量を減少させる又は不活化する装置において、
    ある体積の人乳製品を収容するための容器であって、UV光源が前記人乳製品をUV光に曝露させるように連結される容器と、
    前記汚染物質の前記UV光源への曝露を促進するために、前記容器内に保持された前記人乳製品に渦流を与える手段と、を備えた装置。
  14. 前記渦流を与える手段が撹拌手段である、請求項13に記載の装置。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項の方法によって調製される人乳製品。
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