JP2015522527A - 血友病a及び/又はヴォン・ヴィレブランド病を処置するための糖組成物 - Google Patents

血友病a及び/又はヴォン・ヴィレブランド病を処置するための糖組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、単離された糖を含む、ヴォン・ヴィレブランド病及び/又は血友病Aの処置における使用のための組成物に関し、ここで糖は、ABO(H)血液型抗原由来の接近可能な糖残基である。

Description

ヴォン・ヴィレブランド(Von Willebrand)因子(VWF)は、止血において2つの主要な役割を有する大きな多量体血漿糖タンパク質である。第一に、これは内皮下基質との相互作用と、それに続く血小板活性化及び凝集により血管損傷部位における血小板血栓形成を媒介する。第二に、これはプロコアグラント(pro-coagulant)第VIII因子(FVIII)についての担体分子として作用する。VWF発現は巨核球及び内皮細胞に限られるが、血漿VWFは主に内皮に由来する。その特定の特徴のうちの1つは、500kDから20,000kDを超えるサイズに及ぶポリマー構造であり、それにより最大の形態は止血的に最も有効である。合成の間、VWFは、二量体化、プロペプチドを除去するタンパク質分解切断及び多量体化を含む広範囲の翻訳後修飾を受ける(非特許文献1)。分泌経路に沿って、各2050アミノ酸成熟モノマーに、12個のN−連結及び10個のO−連結グリカンが付加され、これがその総分子量のうちの約20%を占める(非特許文献2)。興味深いことに、VWF N−グリカンさらにはO−グリカンは、ABO(H)血液型抗原を保有することが示された(非特許文献3)。それらの重要性は、血液型O(H)の個体が非O(H)血液型よりも20〜30%低いVWF血漿レベルを有するという観察により強調される(非特許文献4)。VWFのクリアランスを調べる目的でいくつかの研究が行われてきたが、詳細なプロセスは今まで完全には理解されていない。約95%の血漿FVIII分子はVWFに非共有結合し、従って、VWF結合FVIIIはそのクリアランス経路において密接にVWFの結果として起こるということが示唆される(非特許文献5)。
De Meyer, Deckmyn, and Vanhoorelbeke, Blood (2009) 113: 5049-57 Millar and Brown Blood Rev (2006) 20.2: 83-92 Canis et al. J Thromb Haemost (2010) 8.1: 137-45 Jenkins and O'Donnell Transfusion (2006) 46.10: 1836-44 Lenting, VAN Schooten, and Denis J Thromb Haemost (2007) 5.7: 1353-60
VWFの欠損はヴォン・ヴィレブランド病(VWD)と呼ばれる出血性障害の原因であり、一方でVWFの上昇した血漿レベルは重大な血栓の危険因子を表す。VWFの様々な血漿由来濃縮物(FVIIIを含むか又は含まない)はVWDを処置するために利用可能である。VWF濃縮物を用いる現在の処置は、しばしば繰り返される頻繁な注入を必要とする。クリアランスの減少、及びそれによるVWFの半減期の延長は、注入の必要な頻度を減少させ、従ってVWD患者の生活の質を改善するだろう。さらに、これはまた、FVIII半減期とvWF半減期との強い相関に起因して、血友病A処置に有益な影響を及ぼし得る(Fijnvandraat, Peters and Ten Cate, British Journal of Haematology (1995): 474-476)。
発明の要旨
本発明者らは、驚くべきことに、ABO(H)血液型抗原の構成要素である接近可能な糖、好ましくは末端の糖が、VWFのクリアランスに対して重要な影響を有するということを見出した。従って、本発明の一局面は、VWD及び/又は血友病Aの処置における使用のための、単離された糖を含む組成物であって、ここで糖は、ABO(H)血液型抗原由来の接近可能な糖残基である。好ましくは、本組成物はVWFのクリアランスの減少及びインビボ半減期の増加をもたらし、より好ましくはこれはFVIII半減期の同時増加をもたらす。
VWFは内因的に産生されたものであっても、外因的であってもよい。これは血漿由来でも組換え的に産生されてもよい。
単離された糖は、単糖でも、ガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミンのいずれか2つ又は全ての組み合わせでもよい。単離された糖は、接近可能な糖残基として、例えば末端当残基として、オリゴ糖又は糖ペプチドの一部であり得、又は単糖であり得るが、赤血球上の天然のABO(H)血液型抗原ではない。さらに、ガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミン由来の化学修飾された糖は、同じ効果をもたらし得、従ってまた本発明に含まれる。
外因性VWFを与えられた被験体の場合、組成物は、それを必要とする被験体に、VWFの投与の前、又はVWFと同時に、又はVWFの投与の後でさえ投与され得る。好ましくは、本発明の組成物は、VWFの投与前に投与される。
本発明のさらなる局面は、VWD又は血友病Aの処置における同時、別々又は連続的な使用のための組み合わせ製剤として、上記の組成物及びVWFを含む組成物を含む医薬品である。
本発明の別の局面は、VWF、及び単糖又は1つ若しくはそれ以上のオリゴ糖若しくは糖ペプチドの接近可能な、例えば末端の残基として、ガラクトース、フコース、若しくはN−アセチルガラクトサミン又はそれらの化学修飾された形態の1つ又はそれ以上を含む、VWD又は血友病Aの処置における使用のための組成物である。
本発明のなおさらなる局面は、2つ又はそれ以上の単離された糖を含む組成物であり、ここで糖は、ガラクトース、フコース、及びN−アセチルガラクトサミン又はそれらの化学修飾された形態から選択される。2つ又はそれ以上の単離された糖は、単糖として、又は糖ペプチド構造若しくはオリゴ糖構造の接近可能な、例えば末端の糖として存在し得るが、天然ABO(H)血液型抗原ではない。
本発明の別の局面は、医学的用途のため、特にVWD又は血友病Aの処置における使用のための上記の組成物である。
好ましくは、上に詳述される組成物のいずれかに含まれる糖は、VWFとクリアランス受容体との相互作用を阻害することにより、哺乳動物の血液におけるVWFの残存を増加させる。
好ましくは、クリアランス受容体はC型レクチン様受容体であり、より好ましくは、これはZalensky & Gready (2005) FEBS-Journal 272, 6179-6217に示される定義に従って、部分群のC型レクチン受容体アシアロ糖タンパク質及びDC受容体及びコレクチンから選択される。より好ましくは、C型レクチン様受容体は、ASGR、CLEC4M、CLEC10A、CLEC4F、コレクチン−12から選択される。
別の好ましい実施態様において、クリアランス受容体は、スカベンジャー受容体A5(SCARA5)のようなクラスAスカベンジャー受容体である。
発明の詳細な説明
本発明者らは、驚くべきことに、好ましくはガラクトース受容体(例えば、肝臓におけるアシアロ糖タンパク質受容体、ASGPR)に結合する、ウシアシアロフェツインさらにはアシアロ−アルファ−1−酸−糖タンパク質がVWFのクリアランスを遮断することを見出し、これはこのような受容体がインビボでのVWFについての有望なクリアランス受容体であるということを示唆した。上述のように、本発明者らはまた、驚くべきことに、ABO(H)血液型抗原の接近可能な、例えば末端の糖残基が、それらだけで、VWFのクリアランスに対して重大な影響を有しているということを見出した。従って、本発明の一局面は、単離された、未修飾又は化学的に修飾された糖を含む、血友病A及び/又はVWDの処置における使用のための組成物であり、ここで糖は、その天然の状況においてABO(H)血液型抗原由来の接近可能な糖残基であるが、単離された形態、すなわちABO(H)血液型抗原の一部ではない形態で使用される。
好ましくは、本組成物はVWFのインビボクリアランスを減少させて、FVIII濃度の同時増加をもたらす。好ましくは、VWFのインビボクリアランスは、少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍、2.5倍又は3倍減少し、なおより好ましくは、クリアランスは少なくとも3.5倍、4倍又は4.5倍減少し、最も好ましくはクリアランスは少なくとも5倍又は6倍さえも減少する。
VWFは内因的に産生されても、外因的な起源のものでもよい。これは血漿由来でも組換え的に産生されたものでもよい。組換え的に産生される場合、VWFと半減期延長部分との融合タンパク質、例えばアルブミン融合物又はFc融合物であり得る。あるいは、又はさらに、VWF自体が、例えば、糖構造(glycostructure)を改変することにより、又は結合(例えばPEG化(PEGylation)、ポリシアル酸)により、その半減期を増加させるように改変されていてもよい。
単離された糖は、未修飾ガラクトース、好ましくはD−ガラクトース、より好ましくはβ−D−ガラクトース、フコース、好ましくはL−フコース、より好ましくはα−L−フコース、及びN−アセチルガラクトサミン、好ましくはα−N−アセチルガラクトサミン並びに/又はクリアランス受容体、例えばASGPRにより高い親和性で結合することができるガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミンの化学修飾された形態のうちの1つ又はそれ以上であり得る。単離された、場合により化学修飾された糖は、オリゴ糖又は糖ペプチド中に、接近可能な、例えば末端の糖残基として含まれ得るが、赤血球上の天然のABO(H)血液型抗原ではなく、又は単糖であってもよい。オリゴ糖又は糖ペプチド中に含まれる場合、好ましくは血液型抗原中に存在する連結と同じ種類の連結により分子に結合される。
外因性VWFを投与されている被験体の場合、組成物は、それを必要とする被験体に、VWFの投与の前に、又はVWFと同時に、又はVWFの投与の後でも投与され得る。好ましくは、本発明の組成物はVWFの投与の前に、例えばVWFの投与の5分前に投与される。
本発明のさらなる局面は、上記の組成物及びVWFを含む組成物を、VWD又は血友病Aの処置における同時、別々又は連続的な使用のための組み合わせ製剤として含む医薬品である。糖組成物は、未修飾のガラクトース、フコース若しくはN−アセチルガラクトサミン又はそれらの化学修飾された形態のいずれか1つ又はそれ以上を、単糖として、又は1つ若しくはそれ以上のオリゴ糖若しくは糖ペプチドの接近可能な、好ましくは末端の残基として含み得るが、これらの糖は赤血球上の天然の血液型抗原ではない。好ましくは、糖組成物は、上記糖又は化学修飾された形態のいずれか2つの混合物、より好ましくは全ての3つの混合物を含む。VWFは血漿由来でも組み換え体でもよい。これは半減期延長部分を含み得る。例えば、血漿由来又は組換えのVWFは、例えばポリエチレングリコール若しくは他の生理学的に許容しうるポリマーと結合され得、アルブミンと若しくはIgGのFcフラグメントとの融合タンパク質として結合若しくは連結され得る。組換えVWFは、半減期延長部分との融合タンパク質として、例えばアルブミン融合物又はFc融合物として発現され得る。組換えVWFはまた、例えばその特性を改編するため又はそのインビボでの半減期を増加させるために導入されるアミノ酸の置換、欠失又は挿入を含む修飾されたVWFであり得る。
本発明の別の局面は、VWF及び未修飾のガラクトース、フコース若しくはN−アセチルガラクトサミン又はそれらの化学修飾された形態の1つ又はそれ以上を、単糖として又は1つ若しくはそれ以上のオリゴ糖若しくは糖ペプチドの接近可能な、例えば末端の残基として含む、VWD又は血友病Aの処置のおける使用のための組成物である。本発明の前述の局面について上で詳述されるものと同じ選択肢がここで適用される。
本発明のなおさらなる局面は、2つ又はそれ以上の単離された糖を含む組成物であり、ここで糖は未修飾のガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミン又はそれらの化学修飾された形態から選択される。2つ又はそれ以上の単離された糖は、単糖として、又は糖ペプチド若しくはオリゴ糖構造の接近可能な、例えば末端の糖でとして存在し得るが、天然のABO(H)血液型抗原ではない。
本発明の別の局面は、医学的用途のため、特にVWD又は血友病Aの処置における使用のための、上記の組成物である。
好ましくは、上で詳述した組成物のいずれかに含まれる糖は、VWFとクリアランス受容体との相互作用を阻害することにより、哺乳動物の血液中のVWFの残存を増加させる。既に述べたように、用語「糖」は広く解釈されることを意図される。これは未修飾の単糖若しくはそれらの化学修飾された形態であり得、又は接近可能な、例えば末端の糖に含まれ得る;オリゴ糖は直鎖でも分枝でもよい。これはまた、糖ペプチド上で露出された特定の炭水化物構造であり得る。オリゴ糖又は糖ペプチドの一部である場合、好ましくは血液型抗原と同じ種類の連結を通して結合される。
好ましくは、クリアランス受容体はC型レクチン様受容体であり、これはカルシウム依存性の様式で炭水化物に結合する動物(及びヒト)レクチンのクラスである。より好ましくは、クリアランス受容体はC型レクチン受容体の以下の下位群から選択される:アシアロ糖タンパク質及びDC受容体及びコレクチン。より好ましくは、C型レクチン様受容体は、ASGPR、CLEC4M、CLEC10A、CLEC4F、コレクチン−12から選択される。
別の好ましい実施態様において、クリアランス受容体は、スカベンジャー受容体A5(SCARA5)のようなクラスAスカベンジャー受容体である。
C型レクチン様受容体は、Zalensky & Gready (2005) FEBS-Journal 272, 6179-6217(参照によりその全体が本明細書に加入される)において概説されている。アシアロ糖タンパク質及びDC受容体は、C型レクチン様受容体の下位群である。これらは短い細胞質側末端、膜貫通ドメイン、細胞外茎(stalk)領域及びCa2+/炭水化物結合C型レクチンドメインを含有するII型膜貫通タンパク質である。オリゴマー化に関与する茎領域の長さは、この下位群の異なるメンバー間で大きく変化する。下位群のメンバーは、例えばアシアロ糖タンパク質受容体、マクロファージガラクトース結合レクチン(MGL)、樹状細胞特異的細胞間接着分子−3−結合(grabbing)ノンインテグリン(DC-SIGN)などである。アシアロ糖タンパク質受容体は、肝臓実質で発現され、2つの遺伝子(ASGR1及びASGR2)によりコードされるヘテロ三量体である。脱シアル化糖タンパク質のガラクトース末端オリゴ糖に結合して内部移行させる。酸性リソソームにおけるリガンド解離後に、
これは細胞表面へと再利用される。
コレクチンはC型レクチン様受容体の異なる下位群である。これらはコラーゲンドメインを含有し、そして最初の一連の(in line)自然免疫防御の一部として機能する。
CLEC4M、CLEC10A、及びCLEC4Fはまた、C型レクチンドメインファミリーメンバーでもある。
SCARA−5は、それらの主要機能として免疫反応の開始を有するスカベンジャー分子の群に属する。これは上皮細胞上に発現される。
単離された糖の用量は、1kgあたり30mg〜10g、好ましくは1kgあたり50mg〜8g、より好ましくは1kgあたり100mg〜6gの単糖又はそのモル当量の範囲であり得、糖がオリゴ糖又は糖ペプチド中に含まれる場合、好ましくは1kgあたり200mg〜4g、より好ましくは1kgあたり250mg〜3gの範囲であり得る。当業者は、習慣的なこととして最適用量を決定することができるだろう。
用語「単離された糖」は、天然のABO(H)血液型抗原の一部ではない場合のそれぞれの糖を指すことを意図される。これは未修飾の単糖若しくはそれらの化学修飾された形態であり得、又はオリゴ糖(直鎖でも分枝でもよい)に含まれる接近可能な、例えば末端の糖であり得る。これは糖ペプチド上で露出された特定の炭水化物構造でもよい。オリゴ糖又は糖ペプチドの一部である場合、好ましくは、血液型抗原と同じ種類の連結を通して結合されている。
用語「オリゴ糖」は、2又はそれ以上の残基、好ましくは3又はそれ以上の残基を有する糖残基の鎖を指す。
用語「糖ペプチド」は、1つ又はそれ以上のグリカン構造と結合した(例えばO−連結又はN−連結された)ペプチド又はタンパク質を指す。グリカン構造は直鎖でも分枝でもよく、そして1つ又はそれ以上の糖残基を含み得る。
用語「半減期」は、インビボでの循環からそのタンパク質の半分を除去するためにかかる時間を指す。曲線下面積(AUC)を、主にクリアランス効果を評価するために決定した。クリアランスの減少は、より高いAUC値、及び半減期の増加をもたらす。
用語「ABO(H)血液型抗原」は、抗A又は抗B抗体により一般に認識される赤血球上に存在する炭水化物抗原を指す。ABO(H)血液型系は、ヒトの輸血において最も重要な血液型系である。H−抗原はABO(H)血液型抗原に対する本質的な前駆体であり、そして炭水化物構造は主にタンパク質に連結され、ごく一部はセラミドに結合している。これはβ−D−ガラクトース、β−D−N−アセチルグルコサミン、β−D−ガラクトース、及び2−連結α−L−フコースの鎖からなる。A−抗原は、H−抗原の末端のD−ガラクトースに結合したα−N−アセチルガラクトサミンを含むが、一方でB−抗原はH−抗原のD−ガラクトースに結合したα−D−ガラクトース残基を有する。従って、ABO(H)血液型系の末端糖残基は、ガラクトース、N−アセチルガラクトサミン及びフコースである。
用語「ヴォン・ヴィレブランド(von Willebrand)因子」(VWF)は、止血に関与する血液糖タンパク質を指す。これは内皮下コラーゲンマトリックスと血小板との間の分子架橋を形成することにより血管損傷の部位への血小板の接着を促進する。これはまた凝固FVIIIの担体でもあり、凝固FVIIIを分解及びクリアランスから保護する。この用語は天然VWFに関するものであり得るが、少なくとも1つの生物学的機能を維持しているそれらの変異形、例えば融合タンパク質若しくは複合体、又は1つ若しくはそれ以上の残基が挿入、欠失、若しくは置換されている配列変異体も含む。
用語「血友病A」は、凝固FVIIIにおける欠失を指し、これは通常遺伝する。
用語「ヴォン・ヴィレブランド病」(VWD)は、VWFの性質上又は量的な欠損に関連する凝固異常を指す。
用語「接近可能な糖残基」は、糖タンパク質又はオリゴ糖の表面上に露出されている糖残基を指し、特にこの用語は、vWFが結合する内皮又は他の構造へ結合し、それによりこれらの受容体に対するvWFの結合を競合的に遮断することができる糖残基を指す。
本発明の文脈において、用語「クリアランス受容体」は、VWFに結合して結合した分子の血流からの除去をもたらすいずれかの分子を指す。典型的には、クリアランスは受容体媒介エンドサイトーシスによるものであり、そして結合した分子はリソソーム区画において分解される。
実施例
本発明は、以下の図面を参照して、以下の非限定的実施例により例示される。
ラットにおける3つの糖の混合物によるVWFのクリアランスの減少(AUCの増加)を示す。 ラットにおけるVWFのクリアランスに対する各個々の糖の効果を示す。 VWF欠損マウスにおけるVWFのクリアランスに対する3つの糖の混合物の効果を示す。 様々な用量のアシアロフェツインによるVWF欠損マウスにおけるpdVWFのクリアランスの減少を示す。 様々な用量のアシアロフェツインによるVWF欠損マウスにおけるrFVIIIのクリアランスの減少を示す。 アシアロAGPによるVWF欠損マウスにおけるVWFのクリアランスの減少を示す。 フェツインを用いた対照群と比較した、ラットにおけるVWFのクリアランスに対するASFの延長効果を示す。 VWFのクリアランスが複数回用量のASFを投与することにより阻害されたことを示す。 対照タンパク質として使用されたフェツインと比較した、固定化クリアランス受容体タンパク質へのASFの増加した結合シグナルを示す。 図9−1の続き。 図9−2の続き。 チップ上に共有結合で固定化された様々なクリアランス受容体タンパク質を適用することによる、ASF及びフェツインと比較した様々な濃度のVWFモノマーの相対的SPR結合シグナルを示す。 図10−1の続き。 図10−2の続き。 図10−3の続き。 図10−4の続き。 図10−5の続き。 ガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミンの存在下での固定化rhASGPRに対するASFの減少した結合を示す。 固相結合アッセイを適用することによる、血漿由来VWF多量体のrhASGPRへの結合を示す。
実施例1: ラット及びマウスにおけるヒト血漿由来VWFのクリアランスに対する単糖の影響
血液型糖A、B及びO(H)は、3つの異なる単糖単位(Hについては2つのみ);すなわちガラクトース(Gal)、フコース(Fuc)及びN−アセチルガラクトサミン(GalNAc)からなる。pd−VWFのクリアランスに対するこれらの糖の効果を評価するために、Sigma Aldrich, St Louis, USAから得られたGal、Fuc及びGalNAcからなる「糖混合物(sugar−mix)」(それぞれ2g/kg)のボーラスを、Haemate(R)P(200IU/kg)O(H)型の注入15分前に静脈内注射した。あるいは、各糖を個別に2g/kgで使用した。血液型特異的抗体によるVWF上に存在する血液型抗原のマスキングを避けるために、血液型O(H)の個体から単離された材料を使用した。さらに、肝臓におけるASGPRのようなガラクトース受容体の遮断について記載されたリガンドのウシアシアロフェツイン(250mg/kg)をさらに使用した。さらに、グルコース(2g/kg)をネガティブコントロールとして研究に含めた。血液サンプルを集め、そしてヒトVWF抗原についてELISAにより分析した。
図1に示されるように、Gal、Fuc及びGalNAcを含有する溶液は、AUCを顕著に増加させ、そしてそれによりVWFのクリアランスを遅らせた。各個々の糖の効果を図2に示す。興味深いことに、Galは単独でVWFクリアランスに対して中程度の効果しか有していなかったが、一方でFuc及びGalNacは、VWFのクリアランスの阻害に対してより顕著な効果を有していた。
実施例2: VWF欠損マウスにおけるFuc、Gal及びGalNacの血漿由来VEFのクリアランスに対する効果
ヒト血漿由来(pd)VWFのクリアランスに対する糖の効果もまたVWF欠損マウスにおいて評価した。動物に、Gal、Fuc及びGalNAc(各2g/kg)からなる「糖混合物(sugar−mix)」を、Haemate(R)P(200IU/kg)O(H)型の注入の15分前に投与した。図3に示されるように、pd−VWFのクリアランスに対する糖混合物のラットにおいて以前に示された効果に匹敵する効果がVWF欠損マウスにおいて観察された。
実施例3: 糖用量の効果
上記のアプローチに関連する特定の糖用量を、インビボ適用に適切な濃度を見出すことを目的としたラット及び/又はVWF欠損マウスのような動物研究モデルにおいて評価した。様々な糖濃度を静脈内投与した。例えば、30mg/kg〜約6g/kgの範囲の糖濃度を使用することができ、そして糖は個別に、及び2つ又は全ての3つの糖を組み合わせて使用した。様々な糖濃度の経口投与もこの研究の一部である。記載した糖投与に付随して、血漿由来若しくは組換えVWF又はVWF及びFVIIIの両方を含有する製剤を同時投与する;あるいは、VWF又はVWF及びFVIIIの投与を、糖の投与後約5分間だけ遅らせる。投与後に、VWF抗原レベルを、標準化ELISAシステムを適用することにより連続的にモニタリングする。FVIII投与の場合、さらにFVIII抗原レベルを測定する。様々な糖用量はAUCの有意な増加を明らかにし、VWF(及びFVIII)クリアランスの減少を生じた。それぞれのアプローチを、適合性に関するインビボ毒性研究内でさらに調査した。
実施例4: オリゴ糖の効果
実施例1〜3に記載されるように、同等の実験アプローチを、オリゴ糖の投与に起因するVWF及びFVIIIの両方のクリアランス減少を評価するために適用した。例えば、血液型抗原に対応する三糖類を、単独で及び組み合わせて使用する。初期評価のために、1kgあたり約2gの用量を選択し得る;実施例3において単糖について記載された用量設定研究も行う。
VWF(及びFVIII)のクリアランスは、特定のオリゴ糖の存在下で顕著に減少する。
実施例5: 糖ペプチドの効果
ヒトpd VWFさらには組換えFVIIIの両方のクリアランスに対するアシアロ−糖ペプチドの効果をVWF欠損マウスにおいて評価した。動物に、アシアロ−アルファ−1−酸−糖タンパク質(アシアロ−AGP)又はアシアロ−フェツインのいずれかのボーラスを、組換えFVIIIと予め混合された高度に精製されたpd VWF(血漿FVIIIを除去した)の注入の5分前に投与した。VWF及び組換えFVIIIを200IU/kgの濃度で投与した。pd VWFは生化学的にHaemate(R)Pに相当する(グリコシル化、多量体分布など)。
図4に示されるように、100mg/kgに等しいかそれ以上のアシアロフェツイン濃度の存在下、減少したクリアランスがpd VWFについて観察された(破線)。さらに、VWFのクリアランスの減少は、図5に示されているように、FVIIIのクリアランスプロセスにも影響を及ぼす。アシアロフェツインにより引き起こされるVWFクリアランスの減少は、FVIIIクリアランスの減少も生じる。同じ効果が、アシアロ−AGP(250mg/kgのボーラス)を適用することにより観察された。それぞれの試験結果の概略を図6に示す。さらに、フェツイン及びアルファ−1−酸−糖タンパク質(AGP)を対照物質として使用した。これらの材料は、アシアロ−製剤に特徴的な末端ガラクトース残基の代わりに末端シアル酸を有する。期待されたように、対照物質はクリアランスの減少に関して有意な効果を示さなかった。
さらに、図7に示されるように、VWFのクリアランスは、ウシASF(末端シアル酸残基の除去後のフェツイン)の存在下で減少したが、一方でVWFのクリアランスに対するウシフェツインの効果はより低い有意性であったということが明確に示された。
さらに、VWFクリアランスに対するASFの延長効果を、図8に示されるように、ASFを頻繁に投与(体重1kgあたり100IU VWFの静脈内投与の5分、120分、240分及び360分後のラットにおけるASFの静脈内投与)することにより維持した。これらのデータを、単回投与として投与されたASFさらには対照群として使用された等張NaCl溶液の複数可投与の存在下でのVWFのクリアランスと比較した。
実施例6: 潜在的クリアランス受容体候補との相互作用
アシアロ−糖タンパク質さらには単糖類も興味深いことにVWF(及びFVIII)の延長された半減期をインビボでもたらしたという事実に起因して、それぞれの細胞受容体を、VWFとの相互作用に関して調べた。これらの研究をインビトロで行い、そしてASF及びVWFの両方との相互作用に起因してVWFクリアランスにおける重大な役割を果たし得る潜在的クリアランス受容体候補を同定した。
方法:
SPR技術(Biacore T200, GE Healthcare Biosciences, Uppsala, Sweden)を、VWFと、受容体遮断剤と、クリアランス受容体候補との間の実時間生体分子相互作用の機構を評価するために適用した。相互作用実験を、10mM HEPES、150mM NaCl、5mM CaCl2及び0.05% Tween−20を含有するランニングバッファ(これはサンプル希釈緩衝液としても使用した)をpH7.4で適用することにより+25℃のフローセル温度で行った。試薬及び緩衝液ストック溶液をGE Healthcare Biosciences (Uppsala, Sweden)から購入した。受容体タンパク質の細胞外ドメインをR&D Systems(Wiesbaden, Germany)から得た。リガンドを、製造者の指示に従って前処理したSeries S Sensor Chips C1上に捕捉した。受容体タンパク質を、製造者のプロトコルに従ってアミンカップリングキットを適用することによりカルボキシメチル化デキストランマトリックスに遊離アミン基を介して共有結合で固定化した。固定化されたタンパク質の無いブランクフローセルを、バルクシフト及び非特異的結合の変化についてのチップ上の参照表面として含めた。
10,240から10nMの範囲の増加する濃度のASF及びフェツインの両方を、ランニングバッファ中の2倍連続希釈系として調製し、そしてタンパク質−リガンド相互作用を特徴付けるために連続的に25μL/分でチップ表面にわたって注入する。精製されたVWFモノマー(ジチオスレイトール還元及びヨードアセトアミドを用いたカルボキシメチル化後のpd VWF)を用いて行った実験については、濃度は4,000と31.25nMとの間の範囲であった。 緩衝液組成の変化に対するSPRシステムの高感度のために、同様の緩衝液組成を含有するようにサンプルを設計した。物質移動限界に起因する可能性のある再結合を回避するために、比較的高い流量を選択した。相互作用分析サイクルは、5分間のサンプル注入期からなるものであった。この結合期に続いてランニングバッファ中17分の解離期であった。表面固定化受容体タンパク質から結合した検体を除去するために、各実行の間にチップ表面及び対照表面の両方を、10mM NaOHの10秒パルスで再生させた。
動力学的データを、Biacore T200評価ソフトウエア バージョン1.0(GE Healthcare Biosciences, Uppsala, Sweden)を使用して解析した。リガンドとの検体の相互作用を、蓄積質量の増加により検出し、そして特異的結合を、記録された結合応答を対照表面から差し引いて、その後緩衝液ブランク注入の平均を差し引くことにより確認した。報告点をサンプル注入の終了後20秒に位置づけ、そして目的の安定なタンパク質−リガンド相互作用の代表として評価した。従って、この点を検体と潜在的クリアランス受容体候補との間の生体分子相互作用の評価及び計算のために使用た。さらに、応答を各場合にベースラインと比較して計算した。
結合結果並びにVWF及びASFと相互作用する(フェツインとはほとんど相互作用しない)含まれるクリアランス受容体候補の概略を図9及び10に示す。結論として、VWF及びASFは、rhASGPR、rhCLEC4M、rmCLEC4F、rhCLEC10A、rhCOLEC12及びrhSCARA5に効率的に結合する。従って、これらの受容体候補は、VWFクリアランスにおいて非常に重要な役割を果たすことが示唆される。
実施例7: 様々な単糖類を用いたASFのrhASGPRとの相互作用の阻害
RhASGPRをさらなる実験のために選択した。単糖類の存在下でのASF結合の阻害を調べるために同様のSPRアプローチを使用した。興味深いことに、ガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミンは結合を阻害し、以前に行われた動物研究からの所見と一致する現象である(図11を参照のこと)。さらに、ASFの結合はCa2+の不在下で阻害された。
実施例8:
実施例7に従って、pd VWF単量体の前述のクリアランス受容体との相互作用は、ガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミンのような単糖類の存在下で阻害される。
実施例9: 受容体−リガンド相互作用を調べるための固相結合アッセイ
単量体VWFを用いたSPRベースの相互作用分析に加えて、多量体VWF(ヒト血漿から精製)のrhASGPRとの相互作用を、固相結合アッセイを使用して調べた。さらに、アシアロ−VWF(α(2−3,6,8)−ノイラミニダーゼでの処理後の血漿由来VWF)を対照として使用した。
凍結乾燥したrhASGPR(R&D Systems, Wiesbaden, Germany)を、0.05M炭酸塩−炭酸水素塩緩衝液(pH9.6)中で再構成及び希釈し、室温で終夜、高吸着96マイクロウェルプレート上に吸着させ、その後洗浄緩衝液(50mM Tris、150mM NaCl、5mM CaCl2及び0.1%(質量/体積)Tween−20、pH 7.4)で洗浄した。その後、非特異的結合をブロックするためにウェルを1時間ブロッキング溶液(50mM Tris、150mM NaCl、5mM CaCl2及び2.5%(質量/体積) BSA、pH7.4)と共にインキュベートし、次いで洗浄緩衝液で再び洗浄した。サンプルを、希釈緩衝液(50mM Tris、150mM NaCl、5mM CaCl2、0.1%(質量/体積)Tween−20及び1%(質量/体積) BSA、pH7.4)で希釈して100から3μg/mLの範囲に及ぶVWF濃度とした。サンプルを1時間+37℃でインキュベートする間にVWFは固定化受容体タンパク質と相互作用した。ウェルを洗浄した後、結合したVWFは、予め希釈緩衝液で1:16,000に希釈したHRPと結合した市販のポリクローナルウサギ抗ヒトVWF抗体(DakoCytomation, Glostrup, Denmark)により検出された。ウェルをHRP結合抗体溶液と共に1.5時間室温でインキュベートし、そして洗浄した後、基質溶液(TMB基質緩衝液中1:11希釈された発色性TMB基質(Siemens Healthcare Diagnostics, Marburg, Germany))を加え、そして30分間室温で暗所にてインキュベートした。全ての洗浄工程を3回行った。停止溶液POD(Siemens Healthcare Diagnostics, Marburg, Germany)を用いて反応を止め、そして基質反応を450nm及び620nmで波長の差異を測定することにより測光学的にモニタリングした。
結果を図12に示す。アシアロ−VWF多量体がrhASGPRと相互作用しただけでなく、修飾を含まない天然グリコシル化構造を示す血漿由来VWF多量体も相互作用した。
実施例10:
実施例9に従って、pdVWF多量体は前述のクリアランス受容体候補と相互作用する。さらに、結合はASF又はガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミンのような単糖類の存在下で阻害される。

Claims (20)

  1. 血友病A及び/又はヴォン・ヴィレブランド病の処置における使用のための、単離された糖を含む組成物であって、糖は、ABO(H)血液型抗原由来の接近可能な糖残基である、上記組成物。
  2. ヴォン・ヴィレブランド因子のインビボクリアランスが減少する、請求項1に記載の組成物。
  3. ヴォン・ヴィレブランド因子のインビボクリアランスの減少が、第VIII因子濃度を表す曲線下面積の同時増加をもたらす、請求項2に記載の組成物。
  4. ヴォン・ヴィレブランド因子が内因的に産生されたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. ヴォン・ヴィレブランド因子が外因性起源のものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  6. ヴォン・ヴィレブランド因子が血漿由来である、請求項5に記載の組成物。
  7. ヴォン・ヴィレブランド因子が組換え体である、請求項5に記載の組成物。
  8. 単離された糖が、ガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミン並びにそれらの化学的誘導体の1つ又はそれ以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 糖がオリゴ糖又は糖ペプチド中に接近可能な残基として含まれる、請求項8に記載の組成物。
  10. 組成物が、それを必要とする被験体に、ヴォン・ヴィレブランド因子の投与前に投与される、請求項1及び5〜9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. ヴォン・ヴィレブランド病又は血友病Aの処置における同時、別々又は連続的な使用のための組み合わせ製剤として、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物及びヴォン・ヴィレブランド因子を含む組成物を含む医薬品。
  12. ヴォン・ヴィレブランド因子、及び未修飾のガラクトース、フコース若しくはN−アセチルガラクトサミン又はそれらの化学修飾された誘導体の1つ又はそれ以上を単糖又はオリゴ糖若しくは糖ペプチドの接近可能な残基として含む、ヴォン・ヴィレブランド病又は血友病Aの処置における使用のための組成物。
  13. 未修飾のガラクトース、フコース及びN−アセチルガラクトサミン並びにそれらの化学修飾された誘導体から選択される2つ又はそれ以上の単離された糖を含む組成物。
  14. 2つ又はそれ以上の単離された糖が、ABO(H)血液型抗原を天然で含まない糖ペプチド構造又はオリゴ糖構造の接近可能な糖である、請求項13に記載の組成物。
  15. 医学的用途のための、請求項13又は請求項14に記載の組成物。
  16. 糖が、ヴォン・ヴィレブランド因子とクリアランス受容体との相互作用を阻害することにより、哺乳動物の血液中のヴォン・ヴィレブランド因子の残存を増加させる、請求項1〜10又は12〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  17. クリアランス受容体がC型レクチン様受容体である、請求項16に記載の組成物。
  18. C型レクチン様受容体が、下位群のアシアロ糖タンパク質及びDC受容体及びコレクチンから選択される、請求項17に記載の組成物。
  19. C型レクチン様受容体が、ASGPR、CLEC4M、CLEC10A、CLEC4F、コレクチン−12から選択される、請求項17又は請求項18に記載の組成物。
  20. クリアランス受容体が、スカベンジャー受容体A5(SCARA5)のようなクラスAスカベンジャー受容体である、請求項16に記載の組成物。
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