JP2015520174A - 眼疾患を治療するためのヒト極小胚様(vsel)幹細胞 - Google Patents

眼疾患を治療するためのヒト極小胚様(vsel)幹細胞 Download PDF

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Abstract

本発明は、網膜の変性または機能障害を伴う眼疾患の治療における極小胚様(VSEL)幹細胞の使用に関する。本発明はまた、網膜の疾患もしくは障害または幹細胞置換療法による利益があると見込まれる他の疾患や網膜傷害に起因する、喪失視力の回復あるいは視力喪失の軽減または停止に使用しうるVSELsを用いて作成した医薬組成物も含む。【選択図】図1

Description

本発明は、網膜の変性または機能障害を伴う眼疾患の治療における極小胚様(VSEL)幹細胞の使用に関する。本発明はまた、網膜の疾患もしくは障害または幹細胞置換療法による利益があると見込まれる他の疾患や網膜傷害に起因する、喪失視力の回復あるいは視力喪失の軽減または停止に使用しうるVSELsを用いて作成した医薬組成物も含む。
関連出願の相互参照
本出願は、2012年5月31日に出願した米国特許出願第61/654,002号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
加齢性黄斑変性症(AMD)は西欧諸国では不治の失明の主な原因の一つである。萎縮(乾燥)型AMDが、最も一般的なタイプで、症例の90%を占める。萎縮(乾燥)型AMDは、神経網膜外側にある光感受性の光受容体を支持および保護している高度に特殊化した組織である網膜色素上皮(RPE)下に堆積物が進行的に沈着することにより変性することを特徴とする。細胞移植(RPE、光受容体前駆体または神経保護能を持つ細胞)を利用して、網膜下の構造を補完し、RPEと光受容体との間の機能的連携を再確立することにより、進行AMDによる視力の回復ができる可能性がある。
網膜色素変性症としては、光受容体およびRPEが進行的に変性することを特徴とする遺伝性の網膜障害が挙げられる。現在、疾患の進行を停止または視力を回復する治療法は存在していない。他の遺伝性疾患であるシュタルガルト病は、主に6歳〜12歳の子供に影響し、急速かつ深刻な中心視力の喪失をもたらす。
幹細胞に基づく療法が、網膜変性疾患の治療に向けて進められている。網膜幹細胞は、ヒトを含むいくつかの哺乳動物種から単離されている。しかし、宿主の網膜に移動して統合する細胞の能力に限界があるため、これらの細胞移植の成功率は低い。骨髄由来幹細胞で代替することができるものの、骨髄には、造血幹細胞、間葉系幹細胞、および間葉組織、そして場合により他の種類の組織、に分化する非造血細胞の異種集団といった何種類かの多能性(pluripotent/multipotent)細胞が含まれる。また、骨髄には組織関連性の幹細胞が含まれることも報告されている。
極小胚様幹細胞(VSELs)は、ヒト骨髄および成人末梢血液中に見られる多能性細胞である。VSELsは、サイズが小さいlin-およびCD45-細胞であるが、CD133、CD34、CXCR4、そして、SSEA−4、Oct−4、Rev−1、およびNanogといった胚性幹細胞に特徴的な他の成分を発現する。
網膜におけるVSELsの再生能を実証するために、SCIDマウスの網膜剥離モデルの硝子体腔に細胞を注入および網膜下に細胞を注入することの両方によって、PKH26で標識した濃縮ヒトVSELsをマウスの眼に移植した。ヒトVSELsがマウス網膜において生着し、生存し、網膜または神経外胚葉細胞に分化する能力を評価した。移植から2および4週間後に、網膜下および硝子体内に注入したヒトVSELsは、網膜内で生着、生存し、そして移動可能であった。さらに、免疫組織化学解析により、網膜下に移植した細胞が分化し、ネスチンおよびPAX6といった網膜幹細胞および発生段階の前駆細胞のマーカー、MAP2およびβ3チューブリンといった神経外胚葉細胞のマーカー、および初期の光受容体マーカーであるリカバリンを発現することが明らかになった。これらの研究により、ヒトVSELsは、生着し、移動し、網膜系譜に従って分化できることが示される。
本発明は、眼組織の損傷または傷害を治療するための方法および組成物に関する。本発明によれば、有効量の極小胚様幹細胞(VSELs)を含む組成物を組織に投与し、そこでVSELsが網膜組織を修復または再生する。VSELsを動員、収集、および精製する方法を記載する。
したがって、本発明は、哺乳動物の網膜疾患を治療または改善する方法であって、哺乳動物の眼内に極小胚様幹細胞(VSELs)を含む組成物の有効量を投与することを含み、当該眼内でVSELsが網膜系譜に従って移動および分化する方法を提供する。特定の実施形態では、VSELsは、CD45-/lin-/CD34+、またはCD45-/lin-/CD133+、またはCD45-/lin-/CD34+/CD133+を含み、そしてSSEA−4、Oct−4、Rev−1、およびNanogの1つまたは複数を発現する。これについて、本明細書でさらに記載する。
本発明によれば、VSELsを、哺乳動物の網膜下または硝子体内を含む眼に投与するが、これらに限定されない。
本発明によって治療する眼の損傷または傷害には、これらに限定されないが黄斑変性および網膜色素変性症などの網膜疾患が含まれる。
本発明によって投与するVSELsには、自家VSELsおよび同種VSELsが含まれる。VSELsは、マウスなど任意の哺乳動物由来であり得る。好ましい実施形態では、VSELsはヒトVSELsである。また、本発明は、ヒトVSELsをヒト眼疾患を有する動物モデルへ移植する異種移植も含む。
特定の実施形態では、投与するVSELsの少なくとも一部が生着し、そして、ネスチン、PAX6、ロドプシン、リカバリン、β3チューブリン、およびMAP2などの神経または網膜分化のマーカーの1つまたは複数を発現する。
また、本発明は、VSELsを投与する際に上記VSELsの分化を刺激する薬剤を提供する。例えば、このような薬剤は、RPEs、光受容体細胞、又は神経細胞への分化を刺激することができる。
特定の実施形態では、VSELsは、修復部位で分化する。特定の実施形態では、VSELsは、所望の系譜に向かって分化するように処理または選択される。例えば、一実施形態では、VSELsは、哺乳動物に投与する前に、RPE細胞のマーカー、例えば、RPE65、ベストロフィン、CRALBP、およびPEDFの1つまたは複数を発現する細胞に分化させる。
特定の実施形態では、VSELsは、懸濁液の形態で投与されるか、あるいは生分解性であってもよいマトリックスまたは足場に取り込まれる。特定の実施形態では、マトリックスは、VSELsから所望の組織型への分化を誘発するように選択される。特定の実施形態では、VSELsは、所望の組織型への分化を促進する薬剤または成長因子とともに投与される。
使用する組成物におけるVSELsの数は、治療する眼の欠陥部の容積または表面積に関係し得る。本発明の一実施形態では、組成物は約50〜約50,000個のVSELsを含む。別の実施形態では組成物は、約200〜約10,000個のVSELsを含む。本発明の一実施形態では、組成物は約500〜約5,000個のVSELsを含む。別の実施形態では、組成物は20〜200個、または200〜1000個、または1000〜5,000個、または50,000〜50,000個のVSELsを含む。
特定の実施形態では、VSELsは、他の有核細胞を含む組成物中に設けられる。ある実施形態では、組成物の細胞は、少なくとも約50%がVSELsである。別の実施形態では、組成物の細胞の少なくとも約70%がVSELsである。追加の実施形態では、組成物の細胞の少なくとも約90%または少なくとも約95%がVSELsである。
硝子体腔または網膜下腔内への細胞の注入。VSELの投与の例示的な方法を示す。光受容体層は、外顆粒層(ONL)とも呼ばれる(K.Palczewski,FASEB J 2011;25:439−443から複製)。
硝子体内への注入から4週間後のPKH26+細胞のカウント。Cy3チャンネル(上)、FITCチャンネル(中央)、および統合(下)画像により、Cy3チャンネル内の陽性染色(矢印)はPKH26で標識された細胞によるものであり、自家蛍光によるものでないことが示される。 硝子体内への注入から4週間後のPKH26+細胞のカウント。PKH26+細胞のカウントを示す代表的な凍結切片。 硝子体内への注入から4週間後のPKH26+細胞のカウント。Cy3チャンネル(上)およびFITCチャンネル(神経線維層を染色するβIIIチューブリン)を統合したDAPI(中央)により、PKH26+細胞は内境界膜に沿って細胞核と共局在し、網膜内へ移動しない傾向にあることが示される。
網膜下へ注入した後のPKH26+細胞の網膜への移動。GCL:神経節細胞層、INL:内顆粒層、ONL:外顆粒層、RPE:網膜色素上皮。(A)網膜下腔への注入から2週間後に網膜の外顆粒層内で同定されたPKH26+細胞(矢印)。(B)網膜下腔、外顆粒層、および内顆粒層で同定されたPKH26+細胞。
移植細胞の一部は、網膜分化のマーカーを示す。GCL:神経節細胞層、INL:内顆粒層、ONL:外顆粒層、RPE:網膜色素上皮。(A)ヒトSRP14に対する抗体で染色すると、PKH26+細胞(矢印)、およびPKH26マーカーを失っている可能性のある別の細胞の2種類が染色される。ヒト核抗原(HuN)に対する抗体は、この実験では染色しなかった。(B)抗ネスチン抗体により、PHK26+/SRP14+/ネスチン+細胞(矢印)が同定される。 移植細胞の一部は、網膜分化のマーカーを示す。GCL:神経節細胞層、INL:内顆粒層、ONL:外顆粒層、RPE:網膜色素上皮。(C)抗PAX6抗体により、数少ないPHK26+/SRP14+/PAX6+細胞(矢印)が同定される。(D)抗リカバリン抗体より、PHK26+/リカバリン+細胞(矢印)が同定される。 移植細胞の一部は、網膜分化のマーカーを示す。GCL:神経節細胞層、INL:内顆粒層、ONL:外顆粒層、RPE:網膜色素上皮。(E)抗b3チューブリン抗体より、数少ないPHK26+/SRP14+/b3チューブリン+細胞(矢印)が同定される。(F)抗MAP2抗体より、PHK26+/SRP14+/MAP2+細胞(矢印)が同定される。
本発明は、網膜変性を治療または改善するための治療組成物および方法を提供する。本発明によれば、極小胚様幹細胞(VSELs)を、網膜の組織および機能を維持または回復する方法において使用する。より具体的には、VSELsを網膜組織内に導入し、そこでVSELsが移動して、例えば、これらに限定されないが、桿体および錐体といった網膜細胞、ならびにアマクリン細胞(網膜内の神経細胞)および網膜神経節細胞といった神経細胞などの眼細胞を回復させる。神経分化に特徴的なマーカーには、これらに限定されないが、ネスチンおよびMAP2(神経新生に不可欠なステップである微小管集合)などが挙げられる。光受容体のマーカーには、これらに限定されないが、リカバリン、ロドプシン、Crx、およびNrlが挙げられる。
また、用語「極小胚様幹細胞」は、本明細書では「VSEL幹細胞」とも呼ばれ、多能性幹細胞のことを指す。いくつかの実施形態では、VSEL幹細胞(「VSELs」)は、ヒトVSELsであり、Lin-、CD45-、およびCD34+という特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、VSELsは、ヒトVSELsであり、Lin-、CD45-、およびCD133+という特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、VSELsは、ヒトVSELsであり、Lin-、CD45-、およびCXCR4+という特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、VSELsは、ヒトVSELsであり、Lin-、CD45-、CXCR4+、CD133+、およびCD34+という特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、VSELsは、ヒトVSELsであり、Lin-、CD45-、CD133+、およびCD34+という特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、ヒトVSELsは、SSEA−4、Oct−4、Rex−1、およびNanogの少なくとも1つを発現する。幹細胞マーカーについて、マウスVSELsは、SSEA−1、Oct−4、Rex−1、およびNanogの少なくとも1つを発現する。また、VSELsは、細胞質の細い縁に囲まれた大きな核を有し、胚型で組織化されていないクロマチンを含むという特徴を有してもよい。VSELsは、高いテロメラーゼ活性も有する。いくつかの実施形態では、VSELsは、ヒトVSELsであり、Lin-、CD45-、CXCR4+、CD133+、Oct4+、SSEA4+、およびCD34+という特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、ヒトVSELsは、あまり原始的ではなく、Lin-、CD45-、CXCR4+、CD133-、およびCD34+という特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、ヒトVSELは、例えば、Oct−4、Sox2、およびNanogなどの多能性胚性転写因子について濃縮することができる。いくつかの実施形態では、ヒトVSELsは、直径が4〜5μm、4〜6μm、4〜7μm、5〜6μm、5〜8μm、6〜9μm、または7〜10μmであってもよい。本発明によって投与したVSELsは、収集、そして濃縮または精製してから直接使用してもよく、または使用まで冷凍してもよい。本発明によって自家または同種VSELsを投与してもよい。さらに、VSELsを操作してもよい。
似たような表面マーカーを有するVSEL幹細胞および細胞外小胞は、種々の手順、例えば、それらのサイズ、密度、および染色特性(例えば、表面マーカー、核色素による染色の欠如)に基づいて取得、そして単離または精製できる。一実施形態では、VSELsは、アフェレーシスによって末梢血液から得られる。本発明の一実施形態では、VSELsは、動員後の末梢血液から得られる。別の実施形態では、VSELsは臍帯血から得られる。別の実施形態では、VSELsは骨髄から得られる。別の実施形態では、VSELsは脾臓から得られる。別の実施形態では、VSELsは脂肪組織から得られる。別の実施形態では、VSELs成体組織から得られる。いくつかの実施形態では、VSELsは使用前にC2C12フィーダー層と共培養する。いくつかの実施形態では、VSELsは、胚様体のような球として伝播する。
WO/2011/069117には、サイズに基づいた分離により末梢血液から幹細胞集団を単離する方法が記載されている。アフェレーシスした新鮮な細胞を、1×BD Pharm Lyseバッファーにより約1:10(体積/体積)の比率で溶解し、赤血球を除去する。洗浄後、細胞を計数し、2〜2.5×1010個の有核細胞を全て、1×108細胞/mlの濃度でELUTRA(登録商標)細胞分離システム(CaridianBCT)に載せる。次いで、細胞を様々な流量で900mlのPBS+0.5%HSA培地を含む各袋に収集する。典型的には、6個の分画を、2400rpmの遠心速度で収集する。最後に、すべての画分から細胞を試験管に移し、15分間、600×gでスピンダウンする。画分のサイズ特性は、SSCおよびFSCを評価することによって確認する。開示されているように、特定の画分はVSELsについて高度に濃縮され、臨床用途のVSELs集団を設けるのに使用できる。この手順は、他の機器に合わせることもできる。この集団を、さらにFACSによって精製してもよい。
差動遠心分離、パーコール勾配遠心分離、対流遠心エルトリエーションなど、サイズまたは密度に基づき細胞を分離する方法を使用して、Lin-CD45-CD34/133+の事象が、異なる物理的特性を持つ2つの別集団に分類されることが観察された。対象の主要な集団(Lin-CD45-CD34/133+事象の約98%)のほうは、サイズが非常に小さく(<4μm)、重量が非常に軽く、核色素DRAQ5による染色がネガティブであるかまたは薄い。主要でないほうの集団は、サイズが大きく(5〜10μm)、重量が重く、DRAQ5による染色が明るい。サイトスピンおよび迅速な差分染色の後で、2つの集団をFACSにより分離したところ、主要でないほうの集団は小核細胞で構成され、一方、主要な集団は細胞核を持たない膜結合物質で構成されていたことが示された。光学顕微鏡および透過型電子顕微鏡によると、これらの物質は、細胞外小胞の外観を有していた。大部分はおおよそ血小板サイズであるが、それらの形態学的な外観は、血小板とは全く異なる。Lin-CD45-CD34/133+事象の2つの集団は、臍帯血でも見られるが、その頻度が動員後の成人血液中におけるものとは異なる(DRAQ5-の事象の94%で、5個の造血前駆細胞あたり1個の頻度)。従って、VSELsをフローサイトメトリーにより単離または精製する場合、VSELマーカーまたはVSEL特性を有する他の細胞様物質の中から有核VSELsを定量化するのに、DRAQ5といった核マーカーが有用であり得る。DRAQ5+である有核VSELsと同様にVSELsのマーカーを発現する除核粒子を精製し、ヒト対象の損傷または傷害を受けた組織を修復する治療に使用してもよい。
本発明によれば、VSELの亜集団を、所望の組織型への分化を示すマーカーの発現について選択してもよい。また、VSELsは、投与前に所望の組織型への分化を誘導するための処理および培養をしてもよい。
本発明は、網膜の疾患および機能障害に対する治療法を提供する。網膜の機能障害には、レシピエントの網膜に関する疾患や物理的もしくは化学的な傷害、または退行性もしくは病理学的なプロセスのいずれに起因するかにかかわらず正常な網膜機能の欠如または損失のいずれかが含まれる。VSELsは、当技術分野で公知の技術に従って、網膜部位、網膜下腔、硝子体腔(硝子体腔の硝子体内への注入もしくは他の導入を含む)、または視神経に注入するか他の方法により配置できる。これには生分解性基材をVSELsの担体として使用することが含まれる。
特定の実施形態では、本発明は、自家幹細胞の投与を提供する。特定の実施形態では、本発明は、同種幹細胞の投与を提供する。この点で、硝子体腔、色素上皮、網膜、および網膜下腔を含む眼の特定の組織について、同種組織の移植が可能であるという免疫的な恩恵がある。このような実施形態では、ドナーから収集したVSELsをレシピエントに投与できる。さらに、組織移植片の免疫拒絶を最小化または防止するために、ドナーおよびレシピエントを一致させてもよく、および/または免疫抑制剤を投与してもよい。特定の実施形態では、本発明は、眼疾患の動物モデルを含むがこれらに限定されない異種移植片を提供する。
ここで使用する用語「再生(regeneration)」とは、損失または傷害を受けた部分の再生成(reproduction)または再構成(reconstitution)を指す。
ここで使用する用語「修復(repair)」とは、治癒過程の自然な方法または人工的な方法により、疾患または損傷した組織を回復すること指す。
ここで使用する用語「治療的に有効な」とは、対象に投与した後に治療的または有益な効果をもたらすヒト極小胚様幹細胞(VSELs)を含む自家幹細胞生成物の量を指す。治療的効果は、疾患または障害を治癒する、最小限に抑える、予防する、または改善すること、あるいは任意の他の有益な効果を有することであってもよい。物質の濃度は、その治療効果を発揮するように選択されるが、医師の健全な判断の範囲内で重篤な副作用を回避できるほど十分に低い。有効量の自家幹細胞生成物は、治療する生物対象の年齢および身体状態、状態の重症度、治療期間、併用療法の性質、注入のタイミング、使用する特定の化合物、組成物、または他の有効成分、利用する特定の担体、および同様の要因によって変化し得る。
当業者は、所定の強さの効果を誘発する投与単位(使用の単位を意味する)で用量を決定することにより、ヒト極小胚様幹細胞(VSELs)を含む自己幹細胞生成物の治療的有効量を決定することができる。以下、上記投与単位のことを「単位用量」と呼ぶ。用語「用量−強度間の関係」とは、如何に個々のレシピエントにおける効果の強さが用量に関係するかを指す。一般に採用される効果の強さは、最大強度の50%である。対応する用量のことを、50%有効量または個別ED50(individual ED50)と呼ぶ。「個別(individual)」という用語の使用は、本明細書中で使用する効果の強さに基づくED50を、集団における応答データの頻度から決定され同じくED50と略される有効量の中央値から区別するものである。本明細書で使用する「効果」とは、所望の応答を達成するために使用する本発明の組成物の性質を指し、「最大効果」とは、達成可能な最大の効果を指す。特定の障害または状態の治療に有効であろう自己幹細胞生成物の量は、障害または状態の性質に依存するであろうし、標準的な臨床技術によって決定することができる。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれるGoodman and GilmanのTHE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS,Joel G.Harman,Lee E.Limbird,Eds.;McGraw Hill,New York,2001:THE PHYSICIAN’S DESK REFERENCE,Medical Economics Company,Inc.,Oradell,N.J.,1995;およびDRUG FACTS AND COMPARISONS,FACTS AND COMPARISONS,INC.,St.Louis,Mo.,1993参照。また、記載の本発明の製剤に使用する正確な用量は、投与経路および疾患または障害の重篤度に依存するであろうし、そして医師の判断および各対象の状況によって決定すべきである。
本明細書において使用する用語「治療する(treat)」または「治療する(treating)」は、交換可能に使用され、状態の進行を無効にし、実質的に阻害し、遅延し、または逆転し、状態の臨床的または美的な症状を実質的に改善し、状態の臨床的または美的な症状の出現を実質的に予防し、そして有害または不快な刺激から保護することを含む。さらに、治療は、次の項目の1つまたは複数を達成することを指す:(a)障害の重症度を低減する;(b)治療する障害に特徴的な症状の発症を制限する;(c)治療する障害に特徴的な症状の悪化を制限する;(d)従前に障害を有していた患者の再発を制限する;ならびに、(e)従前に障害に対し無症状であった患者の症状の再発を制限する。
いくつかの実施形態では、網膜に機能障害が生じるのは、加齢黄斑変性、早期発症黄斑変性、アッシャー症候群、網膜色素変性症、先天性脈絡膜欠如、錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィー、杆体錐体ジストロフィー、レーバー先天性黒内障、先天性定常夜盲症、スティックラー症候群、コロボーマ、硝子体網膜異形成、色覚異常、または視神経低形成の結果である。
本方法は、光受容体細胞の機能の欠如または低下に患っている哺乳動物レシピエントを治療するために用いることができる。本発明の成体網膜幹細胞株および方法によって治療できる網膜の機能障害の例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:光受容体の変性(例えば、遺伝性または後天性網膜色素変性症、錐体ジストロフィー、錐体桿体ジストロフィーおよび/または杆体錐体ジストロフィー、および加齢性および早期発症型黄斑変性を含む黄斑変性で起こる);網膜剥離および網膜外傷;レーザーまたは日光によって引き起こされる透光層の病変;黄斑円孔;黄斑浮腫:夜盲症および色盲症;糖尿病又は血管閉塞によって引き起こされる虚血性網膜症;未熟児/早産に起因する網膜症;感染状態、例えば、CMV(サイトメガロウイルス)網膜炎、ヘルペスウイルス1型網膜炎、エプスタイン・バールウイルス網膜炎、トキソプラズマ症、風疹、およびポックスウイルス;炎症、例えば、ブドウ膜炎、多焦点脈絡膜炎、およびブドウ膜炎、散弾状網脈絡膜症、眼の後部に影響を与えるコラーゲン血管疾患、例えば、ウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデスに関連したブドウ膜炎、結節性多発動脈炎に関連したブドウ膜炎、末梢または中間部ブドウ膜炎、慢性中心性漿液性脈絡網膜症、および近視脈絡膜新生血管膜症とその傷跡。炎症性障害には、以下が含まれる:ベーチェット症候群、中間部ブドウ膜炎(扁平部炎)、仮面症候群、末梢ブドウ膜炎、眼の梅毒、眼の結核、ウイルス関連の脈絡網膜炎(AR)症候群、HIV−関連ブドウ膜炎、進行性の外側網膜壊死症候群、交感性眼炎、白点症候群、推定眼ヒストプラスマ症候群、急性黄斑視神経網膜症、広汎性片眼性亜急性視神経網膜炎、眼うじ病、匍行性脈絡膜症、全ブドウ膜炎、散弾状網脈絡膜症、および若年性関節リウマチ、川崎症候群、多発性硬化症、サルコイドーシス、トキソカラ症、トキソプラズマ症、フォークト−小柳−原田(VKH)、およびHLA−B27血清陽性の脊椎症症候群などの疾患に関連したブドウ膜炎。
他の障害としては、網膜芽細胞腫および眼黒色腫などの腫瘍が挙げられる。さらに、VSELsは、緑内障、外傷性視神経症、変性性視神経症、虚血性視神経症、多発性硬化症による視神経症、放射線視神経症、および網膜症などの眼の神経障害に影響される内網膜神経細胞の置換に使用できる。
また、当該方法は、視神経疾患を治療するために使用できる。視神経疾患には、以下が挙げられる:視神経萎縮、虚血性視神経症、糖尿病誘発性視神経萎縮、視神経低形成、朝顔症候群、グレーブス眼、視神経炎、サイトメガロウイルスの神経炎、動脈炎性視神経症、圧縮神経障害、糖尿病性神経障害、巨細胞性動脈炎、浸潤性神経障害、栄養障害、虚血性神経障害、球後視神経炎、眼球後部の虚血性神経障害、毒性神経障害、外傷性神経障害;梅毒、ライム病、トキソプラズマ症、ネコ引っ掻き病、全身性エリテマトーデス、腫瘍随伴症候群、多発性硬化症、および自己免疫疾患などの原因から生じる視神経疾患;加齢黄斑変性症、早期発症黄斑変性症、アッシャー症候群、網膜色素変性症、錐体桿体ジストロフィー、および先天性脈絡膜欠如などの退行性視神経疾患;レーバー先天性黒内障、先天性定常夜盲症、および視神経低形成などの先天性光学疾患。
本発明によれば、VSELsは、網膜部位、網膜下腔、視神経、または硝子体腔内へ、網膜疾患または機能障害を治療または改善するのに有効な量で導入される。VSEL組成物の量は、治療する疾患、およびVSELsの精製度に依存するであろう。上記の例として、サイズおよび表面マーカーに基づいて精製されるVSELsを含む組成物は、VSELsに加えて除核細胞様小胞を含みうる。このような無傷の細胞に由来する小胞は、生物学的に活性な成分を含有しうるが、移動または分化ができないであろう。一方、サイズおよび密度に基づいて細胞を分離する水簸手順により、除核細胞様小胞を含まない濃縮VSEL組成物を設けることが期待される。
特定の実施形態では、VSELsは、他の有核細胞を含む組成物中に設けられる。ある実施形態では、組成物の細胞は、少なくとも約50%がVSELsである。別の実施形態では、組成物の細胞の少なくとも約70%がVSELsである。追加の実施形態では、組成物の細胞の少なくとも約90%または少なくとも約95%がVSELsである。
ここで例示するように、マウスの硝子体内に注入するために、FACSで精製した約2,000個のVSELsを硝子体腔に注入した。網膜下注入について研究するために、(純度が0.1%〜11%の調製物中の)約10,000個の細胞を、網膜下腔に注入した。VSELsは、注入部位の網膜下剥離を起こすのに十分な量であった。VSELsを本発明に従って投与する際に、注入するVSELsの容積を減らすことによって、または複数の注入部位に注入しVSELsを分散させることによってこのような網膜の損傷は回避することができることが理解されるであろう。治療する網膜障害に応じて、細胞数、細胞の純度、細胞の容積、および注入技術を調整することは、当業者の裁量の範囲内である。
従って、本発明の一実施形態では、注入可能なVSEL組成物は、約50〜約50,000個のVSELsを含む。別の実施形態では、組成物は、約200〜約10,000個のVSELsを含み得る。本発明のまた別の実施形態では、組成物は、約500〜約5,000個のVSELsを含み得る。
本発明のある実施形態では、投与するVSELの数は、20〜200個である。本発明の別の実施形態では、投与するVSELの数は、200〜1,000個である。本発明のまた別の実施形態では、投与するVSELの数は、1,000〜5,000個である。本発明のさらに別の実施形態では、投与するVSELの数は、5,000〜50,000個である。
細胞または組成物の投与は、単回投与、あるいは治療過程を通じて連続的または断続的に行うことができる。投与の最も有効な手段および用量を決定する方法は、当業者によく知られており、治療に用いられる組成物、治療の目的、および治療対象に応じて変化する。単回投与または複数回投与は、治療する医師が選択する用量のレベルおよびパターンで行うことができる。適切な投与製剤および薬剤を投与する方法は、当該分野で公知である。さらなる態様において、本発明の細胞および組成物は、他の治療と組み合わせて投与できる。
網膜の機能障害を治療するためにVSELsを使用する際、レシピエントの眼にVSELsを導入することと併用して、光受容体細胞または他の網膜細胞型(例えば、双極細胞、神経節細胞、水平細胞、アマクリン細胞、ミュラー細胞)への分化を刺激する物質を投与してもよい。また、眼の神経機能障害を治療するためにVSELsを導入する際、幹細胞から神経細胞または星状細胞への分化を刺激する物質(または物質の組み合わせ)を利用してもよい。
いくつかの実施形態では、本発明の治療方法は、VSELsからRPE細胞への分化を刺激する物質をレシピエントに投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、本発明の治療方法は、VSELsから光受容体細胞への分化を刺激する物質をレシピエントに投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、本発明の治療方法は、VSELsから神経細胞への分化を刺激する物質を哺乳動物レシピエントに投与することを更に含む。
本発明はまた、様々な眼疾患、障害、および傷害、特に網膜および神経網膜組織に関する疾患、障害、および傷害の治療について研究および開発するための手段を提供する。
網膜の細胞の源は外胚葉性であり、その網膜前駆細胞は、最終的に2層を形成する。外層はRPEsになり、内層は神経網膜になる。また、本開示の主題は、目的の細胞型に向けてVSEL幹細胞を分化するための方法を提供するものでもある。方法は、目的の細胞型が培養物内に出現するまで、VSEL幹細胞から目的の細胞型への分化を誘導する1つまたは複数の因子を、分化を誘導する量で含む培地中でVSELsを培養することを含む。
いくつかの実施形態では、目的の細胞型は、星状細胞、グリア細胞、またはニューロンなどの神経系の細胞またはその誘導体である。いくつかの実施形態では、神経系の細胞またはその誘導体は、GFAP、ネスチン、βIIIチューブリン、Oligl、およびOlig2の1つまたは複数を発現する。いくつかの実施形態では、VSELsは、約10ng/mlのrhEGF、約20ng/mlのFGF−2、および約20ng/mlのNGFを含む培養培地中で少なくとも約10日間培養する。
精製、濃縮、もしくは富化された細胞は、生理学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含む医薬的または生理学的に許容される製剤または組成物として投与してもよく、ヒトおよび非ヒト動物を含む対象のレシピエント器官の組織に投与してもよい。幹細胞を含有する組成物は、滅菌生理食塩水または他の生理学的に許容される注入可能な水性液などの適切な液体または溶液中に細胞を再懸濁することによって調製できる。このような組成物に使用する成分の量は、当技術分野の当業者によって日常的に決定できる。
VSELsまたはそれらの組成物は、吸収性または接着性の材料、すなわち、コラーゲンスポンジマトリックスに幹細胞懸濁液を載せることによって投与してもよいし、目的の部位の中または表面に、幹細胞を含む材料を挿入することによって投与してもよい。注入可能な投与のために、組成物を、滅菌溶液または懸濁液中に含んでもよいし、あるいは、保存剤、安定剤、および当該溶液または懸濁液をレシピエントの体液と等張にするための物質を含有し得る医薬的および生理学的に許容される水性または油性ビヒクル中に再懸濁してもよい。使用に適した賦形剤の非限定的な例としては、水、リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4の0.15M塩化ナトリウム水溶液、デキストロース、グリセロール、希エタノール、およびそれらの混合物などが挙げられる。例示的な安定剤としては、ポリエチレングリコール、タンパク質、糖類、アミノ酸、無機酸および有機酸が挙げられ、それらはそれ自体で、又は混合物として使用することができる。量(amountsまたはquantities)ならびに用いる投与経路は、個人ベースで決定し、当業者に公知の用途または適応と同種のもので使用する量に対応する。
得られた実験結果により、ヒトVSELsをマウス網膜に移植すると、生着し、生存し、網膜または神経外胚葉細胞に分化することが実証された。
G−CSFは、ヒト末梢血液単核細胞を動員した。
健康なヒトドナーに、480μgのヒトG−CSF(Amgen,Thousand Oaks,CA)を3日間毎日皮下注射して動員した。動員後のドナーを、3〜4時間Cobeスペクトル血球分離装置にアフェレーシスして単核細胞を得た。
水簸によるサイズに基づくVSELの濃縮。
2〜2.5×1010個のアフェレーシスした新鮮な単核細胞を1×108個の細胞/mlの濃度でElutra(登録商標)細胞分離システム(Caridian BCT)に載せた。次いで、900mlのPBS+0.5%ヒト血清アルブミン(HSA)培地を含む袋に細胞を入れ、2400rpmの回転数および35ml/min〜>110ml/minの逆流速度で分離した。典型的には、5個の分画を収集した。50〜70ml/minの分画内でVSELsが小さい細胞とともに同時精製されていた。
免疫磁気選択によるCD34/133+VSELsの濃縮。
VSELsを含むElutra画分をさらに免疫磁気CD34及びCD133ビーズ(Miltenyi Biotec)を使用して濃縮した。1×108個の細胞を、製造業者の指示に従い50μlのCD133および100μlのCD34磁気ビーズで染色してから洗浄し、AutoMACS細胞分離装置(Miltenyi Biotec)に載せ、CD133+/CD34+VSEL集団を濃縮した。この段階では典型的に、1,000個の細胞につきおよそ1個の細胞がLin-CD45-CD133/34+VSELsであった。
フローサイトメトリーによるVSELsの精製および分析。
細胞は、以下のFITC結合マウス抗ヒト抗体を用いて、系譜マーカーについて染色した:抗CD2、CD3、CD14、CD66b、CD24、CD56、CD16、CD19、CD235a、およびCD41。また、細胞を、生細胞染色色素である7−AAD、および抗CD45−PE、およびCD133−APCとCD34−APCの組み合わせでも染色した。VSELsの分析および計数のために、核色素DRAQ5も染色カクテルに加えた。染色は氷上で30分間、0.5%HSAを含有するPBS中で行った。その後VSELsをGalliosフローサイトメーター(Beckman Coulter)で分析、またはMoFlo XDPセルソーター(Beckman Coulter)を用いてLin−CD45−CD133/CD34+の小さい細胞(5〜9μm)について分類することによって精製した。注入が必要になるまで、両方のFACS精製物またはMACS濃縮物を、5%ヒトアルブミンおよび5%DMSOを含むPBS中で凍結した。
SCIDマウス内へのVSELの移植。
我々は、SCIDマウスの2つの網膜疾患モデルについて調べた(図1):1つのモデルでは緑内障にみられるように網膜神経節細胞が死滅しており(毒素注入後に硝子体内注入を行った)、もう1つのモデルでは、黄斑変性症、網膜色素変性症、および網膜剥離で見られるように光受容体が死滅していた(網膜剥離後に網膜下腔注入を行った)。硝子体内への注入について研究するために、FACSで精製したVSELsを赤色蛍光染料PKH26で標識し、網膜神経節細胞毒素NMDAで前処理し麻酔したマウスの硝子体腔に注入した(マウスあたり約2,000個のVSELs)。網膜下への注入について研究するために、濃縮したVSELs(調製物は0.1%〜11%の純度)を赤色蛍光染料PKH26で標識し、網膜下腔に注入し(マウスあたり約10,000個の細胞)、注入部位に網膜剥離を引き起こした。
免疫蛍光顕微鏡による眼球切片の解析。
注入から4週間後、マウスを安楽死させて摘出を行った。眼を4%パラホルムアルデヒドで固定し、スクロースを含むリン酸緩衝液で凍結保護し、クライオスタット上で8μmにスライスした。組織切片を、Ki67、ネスチン、およびPAX6などの網膜幹細胞および発生段階の前駆細胞のマーカー、MAP2およびβ3チューブリンなどの神経外胚葉細胞のマーカー、および初期の光受容体マーカーであるリカバリン、ならびに光受容体マーカーであるロドプシンについて免疫染色した。また、切片の一部は、ヒト核マーカーSRP14について染色し、PKH26標識を欠くヒト細胞の存在を決定した。切片を従来の共焦点顕微鏡で観察した。
以下の細胞生存についての研究では、2種のSCIDマウス網膜疾患モデルについて調べた:1つは、網膜神経節細胞が死滅しており緑内障などの疾患をモデル化したもの(網膜毒素を注入後に硝子体内注入を行った)で、もう1つは、光受容体が死滅しており黄斑変性、網膜色素変性症、および網膜剥離などの状態をモデル化したもの(網膜剥離後に網膜下腔注入を行った)である。精製および濃縮したLin-CD45-CD34/CD133+ヒトVSELsの集団は、PHK26で容易に標識でき、移植後蛍光顕微鏡により特異的にトレースできる。移植細胞は、SCIDマウスにおいて4週間良い状態で生存した。硝子体内に移植した細胞は、内境界膜に付着する傾向があり網膜内には移動しなかった一方、網膜下腔に注入した細胞は、光受容体の外顆粒層まで移動した証拠が示された。網膜下腔に移植した細胞は、網膜系譜に従って分化するという証拠も示された。
ヒトVSELsは、硝子体内注入後のSCIDマウス眼球の微小環境で生存する。
凍結VSELsを解凍し、PKH26で標識し、その後、網膜神経節細胞毒素であるN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)で前処理したSCIDマウスの硝子体内に注入した。移植から4週間後、各眼を80〜100個の切片に切断して、合計約600個の切片(図2)について共焦点蛍光顕微鏡により計数した。PHK陽性細胞の平均数は切片あたり13個で、推定生存率は30%超であった。
網膜下腔に注入した濃縮VSELsは、網膜内で生存し移動する。
凍結した濃縮VSELsを解凍し、PKH26で標識し、その後、SCIDマウスの網膜下腔内に注入し、注入部位に網膜剥離を引き起こした。移植から2および4週間後、眼をスライスし、PKH26+細胞の存在について調べた(図3)。PKH26+細胞は、網膜下腔および網膜内の両方で見られ、これらの細胞は移動し始めていたことが示された。
移植細胞の一部は、網膜分化のマーカーを示す。
切片を、網膜幹細胞および発生段階の前駆細胞のマーカー(中間径フィラメントタンパク質であるネスチンおよび転写因子PAX6)、神経外胚葉細胞のマーカー(両者とも細胞骨格マーカーであるMAP2およびβ3チューブリン)、および初期の光受容体マーカーであるリカバリン(細胞質タンパク質)について染色することにより、移植細胞が網膜系譜に従って分化した証拠について検査した。また、切片を遍在性の核(HuN)および細胞質(SRP14)タンパク質に対するヒト特異的抗体で染色し、PKH26マーカーを欠いているであろう移植細胞を同定した。図4Aに見られるように、かなりの数の細胞で、PKH26およびSRP14染色が共局在していることが示される。他の細胞で、SRP14の単一染色、つまりPKH26染色されていないヒト細胞であることが示される。
移植細胞の一部は網膜分化のマーカーを示す。
切片を、網膜幹細胞および発生段階の前駆細胞のマーカー(中間径フィラメントタンパク質であるネスチンおよび転写因子PAX6)、神経外胚葉細胞のマーカー(両者とも細胞骨格マーカーであるMAP2およびβ3チューブリン)、および初期の光受容体マーカーであるリカバリン(細胞質タンパク質)について染色することにより、移植細胞が網膜系譜に従って分化した証拠について検査した。また、切片を遍在性の核(HuN)および細胞質(SRP14)タンパク質に対するヒト特異的抗体で染色し、PKH26マーカーを欠いているであろう移植細胞を同定した。図4Aに見られるように、かなりの数の細胞で、PKH26およびSRP14染色が共局在していることが示される。他の細胞で、SRP14の単一染色、つまりPKH26染色されていないヒト細胞であることが示される。

Claims (23)

  1. 哺乳動物の網膜疾患を治療または改善する方法であって、哺乳動物の眼内に極小胚様幹細胞(VSELs)を含む組成物の有効量を投与することを含む方法。
  2. VSELsは、CD45-/lin-/CD34+、またはCD45-/lin-/CD133+、またはCD45-/lin-/CD34+/CD133+を含む、請求項1に記載の方法。
  3. VSELsは、SSEA−4、Oct−4、Rev−1、およびNanogの1つまたは複数を発現する、請求項2に記載の方法。
  4. CXCR4を発現させるためにVSELsをさらに濃縮する、請求項1に記載の方法。
  5. 核色素により染色するためにVSELsをさらに濃縮する、請求項1に記載の方法。
  6. 核色素はDRAQ5である、請求項1に記載の方法。
  7. VSELsを網膜下に投与する、請求項1に記載の方法。
  8. VSELsを硝子体内に投与する、請求項1に記載の方法。
  9. VSELsを懸濁液またはマトリックスの形態で投与する、請求項1に記載の方法。
  10. 投与するVSELの数は、20〜200個である、請求項1に記載の方法。
  11. 投与するVSELの数は、200〜1,000個である、請求項1に記載の方法。
  12. 投与するVSELの数は、1,000〜5,000個である、請求項1に記載の方法。
  13. 投与するVSELの数は、5,000〜50,000個である、請求項1に記載の方法。
  14. 網膜疾患は、黄斑変性または網膜色素変性症である、請求項1に記載の方法。
  15. 哺乳動物はヒトである、請求項1に記載の方法。
  16. VSELsは自家VSELsである、請求項1に記載の方法。
  17. VSELsは同種VSELsである、請求項1に記載の方法。
  18. VSELsはヒトVSELsである、請求項1に記載の方法。
  19. 投与する細胞の少なくとも一部は、生着し、神経または網膜分化のマーカーの1つまたは複数を発現する、請求項1に記載の方法。
  20. 神経または網膜分化のマーカーは、ネスチン、PAX6、ロドプシン、リカバリン、β3チューブリン、およびMAP2である、請求項19に記載の方法。
  21. 前記VSELsから光受容体細胞への分化を刺激する物質を哺乳動物に投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  22. 前記VSELsから神経細胞への分化を刺激する物質を哺乳動物に投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  23. 組成物は、少なくとも約50%がVSELsである細胞を含む、請求項1に記載の方法。
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