装飾、つまり印(indicia)は、通常、回転する「圧胴」を用いた缶装飾装置によって、缶に施される。圧胴、又は、より一般には、複数の圧胴は、大径回転ディスクの外周に設置され、当該ディスクは、缶装飾が施される缶ボディと比較して大きな径を持つ。1又は複数のインクステーションは、圧胴が缶に接触する前に、所望の模様でインクを圧胴に施す。複数の缶は、圧胴に対応する速度で回転させられ、次に、圧胴に接触させられる。圧胴が缶を略一回りする間、缶は圧胴と接触する。缶と圧胴が互いに接触している間、インクが圧胴から缶に写される。この缶は、次に、ニス塗りや乾燥などの更なる処理を受けて、インクがにじまないようにされる。
缶装飾処理の間、缶を支持して、操作するために用いる装置は、マンドレルタレット(mandrel turret)である。一般的に、マンドレルタレットは、回転軸を有するディスクを含む。このマンドレルタレットのディスクの回転軸は、圧胴ホイールの回転軸に対してほぼ平行である。複数の細長のマンドレルアセンブリは、マンドレルタレットのディスクに結合される。各マンドレルアセンブリの長軸は、一般的に、圧胴ホイールの回転軸とマンドレルタレットのディスクの回転軸とに対して平行である。しかしながら、マンドレルが、以下に説明するように、ある大きさで径方向の「トーイン(toe-in)」を有する必要があれば、マンドレルタレットのディスクの回転軸は、圧胴ホイールの軸に対して角度が付けられてよい。
上述したように、缶は、インクが付いた圧胴と接触する際に、回転しなければならない。この回転は、缶が取り付けられたマンドレルアセンブリによって実施される。まず、缶の製造時のこの時点で、缶は未完成であり、頭部を有していないことに留意すべきである。従って、缶は、基本的に、未処理の側壁を有する略平坦な基部を有するカップである。缶は、マンドレルアセンブリの遠位端に配置され、真空によって、正しい位置に保持される。即ち、マンドレルアセンブリは、真空によって、その遠位端にて引くように構成されて、それにより、缶が適切な位置に保持される。
缶の回転を生じさせるために、マンドレルアセンブリは、マンドレルとマンドレルシャフトを含む。マンドレルとマンドレルシャフトの両方は、概ね円筒状であるが、半径が異なる複数の部分がある。マンドレルシャフトは、真空を引くための通路を備える。マンドレルシャフトの一端、つまり、近位端は、マンドレルタレットのディスクと結合される。従って、マンドレルシャフトは、マンドレルタレットのディスクから片持ちにされる(cantilevered)ように作製される。マンドレルシャフトは、マンドレルタレットのディスクに対して回転しないことが好ましい(しかし、マンドレルタレットのディスクが回転する際に、マンドレルタレットのディスク軸の周りに回転する)。
マンドレルは、一般的に、円筒状のシェル構造であり、マンドレルシャフトを囲うように配置される。マンドレルの両端は、一般的に、開口している。マンドレルは、一般的に、マンドレルシャフト周りに同心状に回転する。ベアリングアセンブリは、マンドレルとマンドレルシャフトとの間に配置される。ベアリングアセンブリにより、マンドレルはマンドレルシャフトに対して回転できるようになる。回転装置は、典型的には、缶装飾装置の圧胴ホイールを1又は複数のマンドレルと接続させるベルト機構であって、缶がインクの付いた圧胴と接触する直前に、各マンドレルを適切な回転速度にするように構成されている。回転装置は、缶がインクの付いた圧胴と接触した際に、又はその直前に、マンドレルから切り離される。マンドレルは、缶とインクの付いた圧胴との間に適切な圧力を発生させるように、圧胴から特定の距離にある必要があり、これにより、インクが圧胴にゆがめて写されて、歪んだイメージが生じないように、又は、マンドレル、故に缶の回転速度の減少によっても、缶に歪んだイメージが生じないように、インクが写される。
この構成において、缶装飾装置の様々な構成要素とマンドレルタレットのディスクとは、正確に位置合わせがなされて、特定の速度で回転するように構成されて、印がにじんだり(smudging)、ぼけたり(blurring)、又は歪んで写すことなく、缶装飾が缶に対して施される。従って、マンドレルタレットのディスクの構成要素は、他の構成要素に対して、それらの位置を調整するために、従来から非常に強く固定されている。
構成部材が非常に強く固定されてもなお、誤った位置合わせの原因として、マンドレルアセンブリは、片持ちにされているということがある。この構成では、マンドレルアセンブリの遠位端は、イメージを缶に施すときに、圧胴によってマンドレルにかかる圧力によって、変形することが知られている。この撓みを補償するある方法は、マンドレルアセンブリに径方向の所定の変位を与えること、つまり、マンドレルアセンブリを「トーイン」に構成することがある。即ち、マンドレルタレットのディスクは、圧胴ホイールに対して径方向に傾斜する。これにより、マンドレルアセンブリの遠位端は、マンドレルアセンブリの近位端よりも、圧胴ホイールの回転軸の近くに配置されることになる。従って、圧胴が(マンドレル上の)缶と接触すると、圧胴が生じたバイアスが、マンドレルアセンブリを、わずかに内側に変形させることで、マンドレルアセンブリの長軸は、圧胴ホイールの回転軸とほぼ平行になる。
マンドレルアセンブリが強く固定された構成の一部として、図1に示されているように、マンドレル4とマンドレルシャフト5との間に、2組のベアリング2、3が配置されていることに留意すべきである。一般的に、マンドレルアセンブリの遠位端の近くに配置されているボールベアリングアセンブリ2と、マンドレルアセンブリの近位端の近くに配置されているニードルベアリングアセンブリ3とがある。マンドレルアセンブリの長軸に沿った2つの場所で、マンドレルを支持することによって、回転自在な状態で、マンドレルの向きはマンドレルシャフトに対して固定される。
従って、全ての缶に同じで高品質の缶装飾を提供するために、各マンドレルアセンブリは、圧胴ホイールの回転軸と略平行にされなければならない。マンドレルアセンブリの一部が平行状態から外れると、そのマンドレルアセンブリ上のどの缶も完全に印刷されないことになり得る。これが起こる場合、関連するマンドレルアセンブリのどの部分が仕様から外れているかを決定して、それを置き換える必要がある。これは、機械にかなりの休止時間をもたらす。そのような不整合を見つけることがあると、オペレーターは、適切なメンテナンスを実施するよりも、仕様外れのマンドレルアセンブリを適切に印刷させるために、単純に缶装飾装置の圧力を増加させるだろう。しかしながら、これは、残りのマンドレルアセンブリに必要以上の負荷をもたらすことになり、一般的に、マンドレルタレットのディスクアセンブリの寿命を縮める原因となる。
本明細書で使用されるように、「略平行」は、2つの回転軸を比較した場合に、2つの軸が、互いに約0.007度内に、及び/又は、マンドレルの長さ1インチ当たり、0.001度内にあることを意味する。
本明細書で使用されるように、「ほぼ平行」は、2つの回転軸を比較した場合に、2つの軸が、互いに約0.0035度内に、及び/又は、マンドレルの長さ1インチ当たり、0.005度内にあることを意味する。
本明細書で使用されるように、「仮想枢転中心(virtual pivot)」は、物理的な構成要素が枢転する中心であるが、構成要素が存在する場所ではない。「仮想枢転中心」から離れた、複数の物理的な枢転中心によって、「仮想枢転中心」が形成される。さらに、仮想枢転中心は、意図的に作られるものであり、製作交差(manufacturing tolerance)に起因して内在的に存在するものではない。即ち、例えば、内輪と外輪を有しており、その間にボールベアリングが配置されるボールベアリングユニットにおいて、製作交差は、径方向の隙間を許容して、2つの輪で規定される通路は、ボールベアリングの直径よりもわずかに大きい。そのような隙間は、一方の輪(race)を他方の輪に対して、枢転可能又は揺動可能にし得るが、そのようなわずかで、意図しない量の回転は、「仮想枢転中心」を構築しない。
本明細書で使用されるように、「結合された」は、2又は3以上の構成要素間での連結を意味し、連結するならば、直接又は間接でもよい。
本明細書で使用されるように、「直接結合された」は、2つの構成部材が、互いに直接的に接触していることを意味する。
本明細書で使用されるように、「固定して結合された」又は「固定された」は、2つの構成部材が、一体となって移動する一方で、互いに一定の姿勢を維持するように結合されることを意味する。
本明細書で使用されるように、「対応する」は、相補的形状を有する2つの構造的な要素が、少なくとも部分的に接触するように、最低限の摩擦で互いに係合する大きさであることを意味する。従って、部材に対応する開口は、ほぼ同様の形状をしており、部材よりもわずかに大きくされ、それにより構成部材が、最小限の摩擦で開口を通り抜けできる。
本明細書で使用されるように、「缶ボディ」は、一般的に、一方が閉端した円筒状の本体である。閉端の周辺部は、一般的に平面にされるが、閉端の中央部はアーチ状にされてよい。
缶ボディ1用の缶装飾装置10が、図2に示されている。缶装飾装置10は、缶ボディ送込み部12と、マンドレルタレットアセンブリ14と、複数のインクステーション16と、外周周りに配置された複数の圧胴20を備える圧胴ホイール18と、缶転送アセンブリ22とを含む。マンドレルタレットアセンブリ14は、図示したように、回転軸34を有するディスク32であるマンドレルキャリア30を含む。幾つかのマンドレルキャリア30は、互いに径方向にスライドする複数のプレートを含んでおり、それによって径が可変であるディスクアセンブリが作られることに留意のこと。この構成は、本発明とは関係なく、図示されないが、本明細書で開示された概念は、そのようなマンドレルキャリア30に適用できる。それによって、本明細書で使用されるように、「マンドレルキャリア」は、単純なディスク32に限定されるものではない。
以下に詳細に説明されるように、複数のマンドレルアセンブリ50が、マンドレルキャリア30と結合している。マンドレルアセンブリ50は、一般的に、細長く、その一端でマンドレルキャリア30と結合されている。各マンドレルアセンブリ50、更に具体的には、各マンドレルシャフト52は、マンドレルキャリアの回転軸34とほぼ平行に延びる。圧胴ホイール18も、マンドレルキャリアの回転軸34にほぼ平行に延びる軸19で回転するように構成されている。圧胴20は、圧胴ホイール18の外周面に配置されている。従って、圧胴20は、横方向、又は径方向にマンドレルアセンブリ50と係合するように配置されている。周知のように、各インクステーション16は、典型的には中間プレートシリンダー36を介して、圧胴20にインクを写す。インクステーション16は、一般的に、圧胴ホイールの回転軸19について、マンドレルキャリア30とは反対側に配置される。プレスピンアセンブリ38(概略的に示す)は、典型的には複数のベルト40とガイドホイール42を含んでおり、圧胴ホイール18と動作的に連結している。当該アセンブリは、マンドレル54(以下に記載する)と係合して、マンドレル54を回すように構成されたベルト40を有する。
動作中、缶ボディ1は、缶ボディ送込み部12にて、マンドレルアセンブリ50の遠位端に配置される。マンドレルキャリア30が回転するので、缶ボディ1を備えたマンドレルアセンブリ50は、圧胴ホイール18に向けて移動する。圧胴20と係合する前に、プレスピンアセンブリのベルト40は、マンドレル54と係合して、マンドレル54を、回転軸アセンブリの長軸周りで回転させる。マンドレルキャリア30が回転を続けると、缶ボディ1を備えたマンドレルアセンブリ50は、インクが付いた圧胴20と係合するように移動する一方で、圧胴20と係合している間に缶ボディが1回転するような速さで回転する。これによって、圧胴20上のインクが缶ボディ1に写る。その後、缶転送アセンブリ22は、マンドレルアセンブリ50から缶ボディ1を取り外し、そして缶ボディ1を、次の処理ステーション、例えば、これに限定されないが、硬化用オーブン(curing oven)24に移動させる。
図3に示すように、マンドレルアセンブリ50は、細長のマンドレルシャフト52と、中空で細長のマンドレル54と、ベアリングアセンブリ56とを含む。細長のマンドレルシャフト52は、長軸60と、近位端62と、遠位端64とを有する。マンドレルシャフト52は、真空アセンブリ及び/又は加圧空気供給路(いずれも図示せず)と流体連結する1又は複数の通路66を規定していてよい。周知のように、マンドレルアセンブリ50を通じて引かれる真空は、缶装飾動作の間、缶ボディ1を適当な位置に保持するために用いられてよく、マンドレル54から缶ボディ1を取り外すために、加圧空気が用いられてよい。マンドレルシャフトの近位端62は、マンドレルキャリア30と結合するように構成されている。マンドレルシャフトの長軸60は、マンドレルキャリアの回転軸34とほぼ平行に延びている。更に、マンドレルシャフト52は、ベアリングアセンブリ用シート68を有しており、該ベアリングアセンブリ用シートは、マンドレルシャフトの遠位端64の近くに配置され、滑らかな外面を有しており、ベアリングアセンブリ56と係合するように構成される。マンドレルシャフト52はまた、マンドレルシャフトの近位端62とベアリングアセンブリ用シート68との間に配置された中間部70を有する。マンドレルシャフトの中間部70は、外側表面72を規定する第1半径を有する。更に、マンドレルシャフト52は、以下に説明するように、マンドレル54がマンドレルシャフト52に配置される場合に、マンドレルシャフトの近位端62の近くに配置されるフランジ74を有する(以下に説明する)。図示したように、マンドレル54は、マンドレルシャフト52と同じ長さを有している。しかしながら、これは必要な要件ではなく、マンドレル54はより短くされてもよい。以下に説明されるように、マンドレルシャフトのフランジ74は、マンドレルシャフト52とマンドレル54の間の間隙170にて、接触を妨げるように構成される。従って、マンドレルシャフトのフランジ74は、マンドレル54の長さに応じて、マンドレルシャフト52上に位置決めされる。
マンドレル54は、説明したように、長軸55を有する中空で細長の部材である。マンドレル54は、マンドレルシャフト52の周りを回転可能に配置されるように構成されている。マンドレル54は、更に、マンドレルシャフトの長軸60の周りを、同心状に回転するように構成されている。即ち、マンドレル54は、マンドレルシャフト52を中心に、その周りを回転する。マンドレル54は、近位端80と、遠位端82と、マンドレルの遠位端82の近くにあるベアリングアセンブリ用シート84と、マンドレルの近位端80とマンドレルのベアリングアセンブリ用シート84の間に配置される中間部86とを有する。マンドレルの中間部86は、マンドレルの内側表面88を規定する第2半径を有する。更に、マンドレルの外側表面90には、ベルト面92が存在する。ベルト面92は、プレスピンアセンブリベルト40と一時的に係合するように構成されている。即ち、先に説明したように、マンドレル54が、圧胴ホイール18の近くに移動すると、プレスピンアセンブリベルト40は、ベルト面92と係合する。プレスピンアセンブリベルト40が動くと、マンドレル54は、その長軸55の周りで自転する。
ベアリングアセンブリ56は、マンドレル54とマンドレルシャフト52の間に配置されるように構成されている。以下に説明するように、組み立てられると、ベアリングアセンブリ56は、マンドレルシャフト52に対してマンドレル54を回転自在に結合する。更に、ベアリングアセンブリ56は、マンドレルシャフトの長軸60上にほぼ配置される仮想枢転中心100を規定する。仮想枢転中心100は、マンドレル54が、マンドレルシャフト52に対して枢転できるように構成されている。即ち、仮想枢転中心100によって、マンドレルの長軸55は、マンドレルシャフトの長軸60に対して枢転可能とされている。更に具体的には、仮想枢転中心100は、マンドレルの長軸55が、マンドレルシャフトの長軸60に対して、0.00乃至+/−0.20度の間で回転可能であり、より好ましくは、約+/−0.018度で回転可能である。
ある実施形態では、ベアリングアセンブリ56は、少なくとも1つの浮動ボールベアリングユニット110を含んでいる。ボールベアリングユニット110は、外輪112と、内輪114と、複数のボールベアリング116とを含んでいる。外輪112は、外側表面120と内側表面122を有するトーラス状の部材である。外輪の内側表面122は、ベアリング通路123を備えており、該ベアリング通路123は溝124である。外輪の溝124は、近位端126と遠位端128を有する弓状の断面形状を有している。弓状の外輪の溝124の曲率は、ほぼボールベアリング116の曲率、即ち半径とほぼ対応している。外輪の外側表面120は、マンドレル54と結合するように構成されている。内輪114も、外側表面130と内側表面132を有するトーラス状の部材である。内輪の外側表面130は、ベアリング通路134を備えており、該ベアリング通路134は溝136である。該内輪の溝136は、近位端138と遠位端140を有する弓状の断面形状を有する。弓状の内輪の溝136の曲率は、ほぼ、ボールベアリング116の曲率、即ち半径とほぼ対応している。内輪の内側表面132は、マンドレルシャフト52と結合されるように構成されている。内輪の外側表面130の半径は、外輪の内側表面122よりも小さい。
組み立てられると、ボールベアリングユニット110は、外輪112の内に配置される内輪114を含んでおり、各中心、即ち各トーラスの中心は、ほぼ揃っている。この構成では、内輪の外側表面130と外輪の内側表面122との間に間隙150が存在する。さらに、外輪の溝124と内輪の溝136が、通路152を形成して、ボールベアリング116が、その間に配置される。ボールベアリングユニットの通路152は、図4では必要以上に大きくされているが、これは、見やすくするために、誇張しているためである。即ち、ボールベアリングユニットの通路152は、意図的に、ボールベアリング116の直径よりも大きな径の空間を有している。従って、外輪112は内輪114に対して「浮遊しており」、数が制限された、つまり総数よりも少ないボールベアリング116が、(わずかな負荷を超えて耐える一方で)外輪112と内輪114の両方に効果的に係合する。
さらに、この構成によって、ボールベアリングユニット110は、仮想枢転中心100を形成する。即ち、通路152が大きく形成されているので、外輪112と内輪114は、仮想枢転中心100について、互いに相対的に枢転できる。仮想枢転中心100は、外輪112と内輪114の間のほぼ中央に配置されている。この場合、「ほぼ中央に配置された」は、仮想枢転中心100が、輪112、114の中央にあるか又は僅かに離れていることを意味する。輪112、114の中心は、マンドレルシャフトの長軸60に沿って配置されることに留意のこと。従って、仮想枢転中心100は、ほぼマンドレルシャフトの長軸60上に配置される。
開示された概念は、任意のサイズのボールベアリングユニット110に適用されるが、以下に記載の大きさは、直径約0.266インチのボールベアリング116を有するボールベアリングユニット110の実施例を表している。輪112、114が、互いに、−0.20乃至+0.20度の間で枢転できるように、ボールベアリングユニットの通路152は、略0.0002インチ乃至0.0008インチの間の径方向の隙間を有している。そのような構成では、輪112、114は、互いに相対的に径方向及び軸方向に移動できるので、それにより、輪112、114が、互いに相対的に枢転可能とされている。
ベアリングアセンブリ56は、マンドレルシャフト52とマンドレル54の間だけを結合している。さらに、ベアリングアセンブリ56は、マンドレルシャフトの長軸60に沿って、離れた(descrete)場所に配置されている。即ち、ベアリング、及び/又はマンドレルアセンブリの回転軸に沿って2又は3以上の位置に配置されている他の支持部材を有する、好ましくない従来のマンドレルアセンブリとは異なり、開示された概念は、1か所に配置されるベアリングアセンブリ56を提供する。ベアリングアセンブリ56は、1か所に配置されており、ベアリングアセンブリ56は、仮想枢転中心100を形成するので、マンドレル54は、マンドレルシャフト52に対して枢転できる。
即ち、各マンドレルアセンブリ50は、次のように組み立てられる。各マンドレルシャフト52が、マンドレルキャリア30上に、直接に又は間接的に取り付けられる。各マンドレルシャフトの長軸60は、マンドレルキャリアの回転軸34に、ほぼ平行に延びている。ボールベアリングユニットの内輪114が、マンドレルシャフトのベアリングアセンブリ用シート68に配置される。ボールベアリングユニットの内輪114は、マンドレルシャフト52と結合して、好ましくは固定される。マンドレル54は、マンドレルシャフト52を覆って配置され、ボールベアリングユニットの外輪112は、マンドレルのベアリングアセンブリ用シート84に配置される。ボールベアリングユニットの外輪112が、マンドレル54と結合し、好ましくは固定される。この構成において、マンドレル54は、マンドレルシャフト52に回転可能に配置され、マンドレルシャフトの長軸60の周りを、同心状に回転するように構成される。
さらに、ベアリングアセンブリ56は、マンドレルシャフト52とマンドレル54との間だけを結合し、ベアリングアセンブリ56が仮想枢転中心100を形成するので、マンドレル54は、マンドレルシャフト52に対して枢転でき、言い換えれば、マンドレルの長軸55が、マンドレルシャフトの長軸60に対して枢転できる。好ましくは、マンドレルの長軸55は、0.0乃至0.20度の間、好ましくは、約0.18度で、マンドレルシャフトの長軸60に対して枢転できる。さらに、ベアリングアセンブリ56、及びそれによる仮想枢転中心100は、マンドレルシャフトの近位端62よりも、マンドレルシャフトの遠位端64の近くに配置される。さらに、ベアリングアセンブリ56は、離れた場所に配置されるので、ベアリングアセンブリ56は、マンドレルシャフトの遠位端64ではなく、マンドレルシャフトの近位端62の近くに配置されるベアリング、ボールベアリング、又は他のベアリングを含んでいない。従って、マンドレル54は、基本的に、マンドレルシャフトの長軸60に対して、略垂直に延びる1つの面にて支持される。
更に、ベアリングアセンブリ56は、マンドレルシャフトの近位端62ではなく、マンドレルシャフトの遠位端64に近い方が好ましい。即ち、缶ボディ1を支持するマンドレル54の端部は、マンドレルシャフト52に片持ちされないことが好ましい。従って、ベアリングアセンブリ56は、マンドレルの近位端80ではなく、マンドレルの遠位端82の近くに配置されることが好ましい。さらに、開示された概念は、マンドレル54が仮想枢転中心100について自由に枢転することを必要としており、故に、ベアリングアセンブリ56から離れたベアリングや、又は任意の他の支持構造や結合は存在しない。即ち、2点以上で支持された構成は、その中の1点に対して枢転できない。しかしながら、ベアリングアセンブリ56は、互いに隣接するように配置された2つのボールベアリングユニット110を備えている。この構成では、2つのボールベアリングユニット110内に大きめに形成された2つの通路152が、1つの仮想枢転中心100を形成するように構成されている。
更に、この構成では、マンドレルシャフトの中間部70の第1半径は、マンドレルの中間部86の第2の半径よりも小さく、図3に示すように、マンドレルシャフトの中間部70とマンドレルの中間部86との間に間隙170が存在する。この間隙170を通るゴミや他の破片を減少させ、ベアリングアセンブリ56への損傷を抑えることが望ましい。従って、マンドレルシャフトのフランジ74は、基本的に、マンドレルアセンブリ50の近位端80に十分に接近する半径を有する。即ち、マンドレルシャフトのフランジ74とマンドレルの内側表面88の間の隙間は、約0.030インチ未満である。マンドレルシャフトのフランジ74は、マンドレルの内側表面88と接触しないことに留意のこと。従って、マンドレル54は、マンドレルシャフトのフランジ74によっては支持されていない。
この構成において、マンドレル54、及びより具体的には、マンドレルの長軸55は、マンドレルシャフトの長軸60に対して、0.00乃至0.20度の間で回転し、更に好ましくは、約0.18度回転する。従って、缶装飾操作の間、圧胴20が缶ボディ1に係合すると、缶ボディ1に対する回転の軸、即ちマンドレルの長軸55と、圧胴20の回転軸、即ち、圧胴ホイールの回転軸19とが略平行になるまで、マンドレル54は、仮想枢転中心100について枢転する。即ち、缶ボディ1に係合する圧胴20の圧力によって生じるバイアスは、マンドレル54を、圧胴ホイールの回転軸19(とマンドレルキャリアの回転軸34)にほぼ揃うように、自動的に移動させる。従って、この構成において、マンドレルシャフト52は、缶ボディ1に係合する圧胴20の圧力によって生じるバイアスに抗じるために予め設置されるトーインを備えることを要さない。
さらなる実施形態では、図5に示されているように、細長のマンドレルシャフト52Aは、径が異なるマンドレル54A、54B、54Cに適応するように構成されてよい。この実施形態は、より小さな浮動ボールベアリングユニット110A、110B、110C、と、径が異なるマンドレル54A、54B、54Cとを利用することを除いて、上述した実施形態とほぼ同様である。従って、特に明記しない限り、マンドレル54A、54B、54C及びその他の構成は、上述したものと同じ構成要素を有しており、同じ参照符号を用いていることが理解されるだろう。この実施形態では、ベアリングアセンブリ56Aは、互いに隣接して配置された3つの浮動ボールベアリングユニット110A、110B、110Cを含んでいる。従前の通り、3つのボールベアリングユニット110A、110B、110Cは、マンドレルシャフトの長軸60上にほぼ配置される1つの仮想枢転中心100を形成する。更に、前述の如く、仮想枢転中心100は、マンドレル54Aが、マンドレルシャフト52Aに対して、枢転できるように構成される。即ち、仮想枢転中心100によって、マンドレルの長軸55は、マンドレルシャフトの長軸60に対して、枢転できる。より詳細には、仮想枢転中心100は、マンドレルの長軸55が、マンドレルシャフトの長軸60に対して0.00と+/−0.20の間で、より好ましくは、0.00と約+/−0.015度の間で回転するように構成されている。
更に、ベアリングアセンブリ56Aは、マンドレルシャフト52Aと、マンドレル54A、54B、54Cとの間だけを結合する。さらに、ベアリングアセンブリ56Aは、マンドレルシャフトの長軸60に沿った離れた場所に配置されている。即ち、マンドレルアセンブリの回転軸に沿って2又は3以上の離間した場所に配置されているベアリング及び/又は他の支持部材を有する従来のマンドレルアセンブリとは異なり、開示された概念は、1ヶ所に配置されたベアリングアセンブリ56Aを提供する。つまり、3つの浮動ボールベアリングユニット110A、110B、110Cは、互いに隣接するように配置されており、離間していないので、ボールベアリングアセンブリ56Aは、1ヶ所に配置されている。ベアリングアセンブリ56Aが、1ヶ所に配置され、ベアリングアセンブリ56Aが、仮想枢転中心100を形成するので、マンドレル54A、54B、54Cは、マンドレルシャフト52Aに対して枢転できる。
マンドレル54A、54B、54Cは、好ましくは、約2.572インチの直径、約2.253インチの直径、及び約2.063インチの直径を含む群から選択される外径を有することが好ましい。前述のように、各マンドレル54A、54B、54Cは、マンドレル内側表面88を規定する中間部86の第2の半径を有する。マンドレルの中間部86の第2の半径は、マンドレルシャフトの中間部70の第1の半径より大きい。従って、マンドレルシャフトの中間部70とマンドレルの中間部86との間に、間隙170が存在する。通常、マンドレルの中間部86の厚さは、マンドレルのベアリングアセンブリ用シート84A、84B、84Cよりも薄い。
更に、ベアリングアセンブリ56A、つまり、3つの浮動ボールベアリングユニット110A、110B、110Cは、約0.777インチ乃至0.877インチの外半径を、好ましくは、約0.827インチの外半径を有している。マンドレル54A、54B、54Cの外径は異なっており、浮動ボールベアリングユニット110A、110B、110Cは、3つのマンドレル54A、54B、54C全てに使用できるので、マンドレルのベアリングアセンブリ用シート84A、84B、84Cの厚さは、各マンドレル54A、54B、54Cで異なる大きさにされており、マンドレルのベアリングアセンブリ用シート84A、84B、84Cの内面の半径は、浮動ボールベアリングユニット110A、11OB、110Cの外半径に対応する。例えば、マンドレル54Aの直径が、約2.572インチである場合、マンドレルベアリングアセンブリ用シート84Aの厚さ、約0.459インチである。即ち、その厚さは、マンドレル54Aの外面からマンドレルのベアリングアセンブリ用シート84Aの内面までで測定される。マンドレル54Bの直径、約2.253インチである場合、マンドレルベアリングアセンブリ用シート84Bの厚さは、約0.300インチである。即ち、その厚さは、マンドレル54Bの外面からマンドレルのベアリングアセンブリ用シート84Bの内面までで測定される。マンドレル54Cの直径が、約2.063インチである場合、マンドレルベアリングアセンブリ用シート84Cの厚さは、約0.2045インチである。即ち、その厚さは、マンドレル54Cの外面からマンドレルのベアリングアセンブリ用シート84Cの内面までで測定される。従って、各マンドレルベアリングアセンブリ用シート84A、84B、84Cの内面の半径は、ベアリングアセンブリ56Aの半径に対応する。
開示された概念は、任意の大きさのボールベアリングユニット110A、110B、110Cに適用されるが、以下の寸法は、約0.178インチの直径を有するボールベアリング116を有するボールベアリングユニット110A、110B、110Cの実施例に相当する。輪112、114が、互いに対して、−0.20と+0.20の間で枢転できるようにするために、ボールベアリングユニットの通路152(図4)は、約0.0002インチと0.0014インチの間、好ましくは、0.0008インチの径方向の隙間を有する。このような構成では、輪112、114はまた、互いに径方向及び軸方向に移動できるので、それにより、輪112、114は、互いに枢転可能とされている。
前述の通り、マンドレルシャフトのフランジ74は、基本的に、マンドレルアセンブリ50の近位端80に隣接するように構成されている。即ち、マンドレルシャフトフランジ74とマンドレルの内側表面88との間の隙間は、約0.030インチ未満である。従って、マンドレル54A、54B、54Cは、マンドレルシャフトのフランジ74によって支持されていない。マンドレルシャフトのフランジ74の半径は変わらないので、マンドレルシャフトのフランジ74は、最大径のマンドレル54Aの近位端80の内径よりも僅かに小さくなるように構成される。このマンドレル54Aでは、マンドレルの近位端80は、マンドレルシャフトのフランジ74を超えて、即ち、径方向に外側に延びてよい。より小さな径を有するマンドレル54B、54Cでは、マンドレルの近位端80は、マンドレルシャフトのフランジ74の軸方向の面に隣接するように配置される。即ち、より小さな直径を有するマンドレル54B、54Cの軸方向の長さは、最大径のマンドレル54Aよりわずかに短い。これら構成のいずれにおいても、マンドレルシャフトのフランジ74は、マンドレル54A、54B、54Cに接触しないことに留意のこと。図に示された隙間は、見やすくするために、誇張されている。
開示された概念の具体的な実施形態の詳細を説明したが、当該技術分野の通常の知識を有する者には、これらの詳細について様々な変更及び置換が、開示された技術を踏まえて行なわれてよい事を理解するであろう。従って、開示された具体的な構成は、あくまで説明の目的のものであって、特許請求の範囲とその任意のおよそ全ての均等物とに認められる本発明の技術的範囲を制限するものではない。