JP2015515857A - タバコ基材 - Google Patents

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Abstract

【課題】タバコ基材の硬度(hardness)又は堅度を維持しながら、従来の喫煙物品に比べてタバコの量を減らしたタバコ基材を有する新規の喫煙物品を提供すること等。【解決手段】喫煙物品(10)が、約150mg/cm3又はそれ以下のタバコ密度及び60%又はそれ以上の硬度を有する、タバコを含むタバコ基材を組み込む。このタバコ基材は、タバコエアロゲル(20)を含むことができる。【選択図】図1

Description

本開示は、堅度(firmness)及び空気流特性がタバコの量と実質的に無関係なタバコ基材を含む喫煙物品に関する。
通常、喫煙物品はタバコ基材を含む。例えば、従来のシガレットは、タバコ基材としてのタバコロッドと、このタバコロッドと端部を合わせて接続されたフィルタとを含む。他の例では、喫煙物品が、燃焼ではなく加熱されるように構成されたタバコ基材を含む。さらに他の例では、喫煙物品が、加熱も燃焼もされないように構成されたタバコ基材を含む。このようないくつかの例では、喫煙物品を、喫煙物品内の空気通路、化学反応、又は空気通路と化学反応の組み合わせを用いて1種類又はそれ以上のタバコ成分を送達するように構成することができる。
従来の可燃性喫煙物品では、粒子状物質の送達が少ない(低タール送達量と呼ばれることもある)シガレットを好む消費者も存在する。例えば、このようなシガレットには、タール送達量が3mg未満、1mg未満、又は0.1mg未満のものある。この目的で膨張タバコを使用することが知られている。しかしながら、タバコ密度が一定レベル未満になると、タバコ基材の堅度及び完全性が受け入れ難いものになり得る。また、膨張タバコを形成すると、タバコ内の一部の予想香味成分が気化してしまう。
喫煙物品によっては、タバコ基材内を空気が流れることが望ましいものもある。タバコ基材内を流れる空気が、タバコ基材内のタバコと比較的高レベルで接触することも望ましいと考えられる。
また、場合によっては、タバコ基材に一定の機能材料を加えることも提案されてきた。例えば、タバコ基材内を移動する気体及び粒子状物質の1又はそれ以上の特性に影響を与えるために、触媒、溶媒、香味料又はこれらの組み合わせをタバコ基材に加えることが提案されてきた。
エアロゲルは、ゲルから抽出し、ゲル中の液体成分を気体に置換した高多孔性合成材料である。この結果、開細胞構造を有する低密度の固体が得られる。エアロゲルは、その名称にも関わらず、物理的特性がゲルとは全く異なる硬質の乾燥した材料であり、この名称は、ゲルから抽出されることに由来する。ゲルは、重量のほとんどが液体であるが、液体中の三次元架橋網状組織に起因して固体のように挙動する。一般に、ゲルは、連続相である固体内に分散相である液体分子が分散したものである。
多くの場合、エアロゲルはもろいが、一般に構造的には強固である。場合によっては、これらの優れた耐荷力を、平均サイズが約2〜5ナノメートルの球状粒子が塊状に融合した樹状微細構造までたどることもできる。これらの塊は、ほぼフラクタル鎖の高多孔性三次元構造を形成することができ、場合によっては、約100ナノメートル未満の細孔を有する。これらの細孔の平均サイズ及び密度は、製造工程中に制御することができる。
本出願では、簡略化のためにエアロゲルについて言及するが、当業者であれば、タバコ基材が、エアロゲルに加えて又はその代わりに、例えばキセロゲル及び冷却ゲルなどの、ゲルから変換されるいずれの開細孔構造を含むこともできると理解するであろう。従って、多くの実施形態では、以下で使用するエアロゲルの代わりにゲルから変換された開細孔構造を使用し、又はエアロゲルの代わりにキセロゲル及び冷却ゲルを使用することができる。
タバコ基材の硬度(hardness)又は堅度を維持しながら、従来の喫煙物品に比べてタバコの量を減らしたタバコ基材を有する新規の喫煙物品を提供することが望ましいであろう。タバコ基材を通過する空気流特性(例えば、吸引抵抗、すなわちRTD)を調整できることも望ましいであろう。
機能材料の効率を高めるために利用できる表面積が広いタバコ基材を有する新規の喫煙物品を提供することも望ましいであろう。タバコ基材内の機能材料の効率を高めると、この機能材料によってもたらされる所望の結果を維持しながら、タバコ基材内に組み込まれる機能材料の量を減らすことが可能になる。
本開示によれば、タバコ密度が150mg/cm3又はそれ以下であり、堅度が4mm又はそれ以下(約60%又はそれ以上の硬度に等しい)のタバコ基材を有する喫煙物品が提供される。この喫煙物品は、タバコ基材内のタバコの量とは実質的に無関係な(吸引抵抗などの)空気流特性及び堅度又は硬度を有する。また、この禁煙物品は、タバコ基材の堅度とは実質的に無関係なタール送達量を示すこともできる。
多くの実施形態では、喫煙物品のタバコ基材の少なくとも一部がゲルから開細孔構造に変換されてタバコを含む。多くの実施形態では、喫煙物品のタバコ基材が、エアロゲル及びタバコを含む。エアロゲル中には機能材料を分散させることができ、この特定の機能材料及びその量は、機能材料によって得られる所望の結果に基づいて選択することができる。エアロゲル中にはタバコを分散させることができ、タバコの量は、タバコ基材の(タール送達量などの)所望の結果に基づいて選択することができる。エアロゲルを利用して、タバコ基材の構造的特性を提供することができる。例えば、エアロゲルを、タバコ基材の全部又は一部を形成する単体要素又は連続要素として形成することができる。他の例では、エアロゲルを、タバコ基材内に分散する複数の粒子としてタバコ基材に組み込むことができる。
本開示による喫煙物品は、エアロゲル内にタバコを組み込むことによるタバコ基材の効果的な改善方法を提供する。エアロゲルは、タバコ基材内のタバコ含有量を要望に応じて特異的に調整できるようにする。エアロゲルは、タバコ基材内を流れる粒子及び気体と接するタバコ基材の表面積を広げ、エアロゲル内に分散する機能材料の効率を高めることもできる。エアロゲルは、いずれの形状に形成することもでき、タバコ基材内のタバコの量とは実質的に無関係とすることができる物理的又は構造的特性をタバコ基材に与えることができる。
いくつかの実施形態では、本開示による喫煙物品が、開細孔構造を形成するエアロゲルを有するタバコ基材を含む。このタバコ基材は、エアロゲル内に分散したタバコを含む。エアロゲルは、タバコ基材の物理的構造の一部又は全部を形成することができ、又はタバコ基材内に分散した複数のエアロゲル粒子の形をとることができる。多くの実施形態では、エアロゲルが、タバコロッドの物理的構造を形成する。例えば、エアロゲルは、タバコロッドで見られる所望の形状又は堅度、或いは形状と堅度の両方をもたらす構造的特性を提供することができる。
「開細孔構造」という用語は、相互接続された空隙又は細孔を定める網状組織又はマトリックスを含む構造を意味する。開細孔構造では、エアロゲルの相互接続された空隙又は細孔を通じてエアロゾル、気体又は蒸気が通過することができる。多くの実施形態では、空隙又は細孔の平均サイズが、500マイクロメートル未満、又は250マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満である。空隙又は細孔のサイズは、開細孔構造の単体要素の粒子又は一部を切り開き、各空隙又は細孔の最大断面寸法を測定することによって求めることができる。空隙又は細孔の平均サイズは、これらの測定値の算術平均である。この開細孔構造により、エアロゲル構造内を気体が、また場合によっては気体に同伴する粒子状物質が流れるようになる。開細孔構造の細孔のサイズは、従来の喫煙物品のタバコロッドの吸引抵抗と同様の吸引抵抗を示すように選択することができる。多くの実施形態では、エアロゲル又は開細孔構造を含むタバコロッドの吸引抵抗が、約10〜約70mm H2O、又は約20〜約50mm H2Oである。多くの実施形態では、(エアロゲル又は開細孔構造を含むタバコロッドと、喫煙物品の他の要素とを含む)喫煙物品の吸引抵抗が、約50〜約140mm H2O、又は約60〜約120mm H2Oである。従って、本明細書で説明するいくつかの喫煙物品の喫煙体験は、従来の喫煙物品に匹敵することができる。
「堅度」という用語は、圧縮に対する抵抗を意味する。通常、堅度は、一定領域の台形シューを有するホルダー内に15本のタバコを6本、5本及び4本の3段に配置することによって求められる。このホルダーは、6本のシガレットが下段を占め、5本のシガレットが中段を占め、4本のシガレットが上段を占め、ホルダーの側面がこれらの周囲にぴったりと係合するように成形される。ホルダーの開いた頂部が、上段の4本のシガレットを圧縮板に曝す。一杯に詰まったシガレットホルダーを圧縮板の下に配置し、圧縮板に直接接触する4つのシガレットタバコ基材の中心の40mmの部分に接するように圧縮板を正しく配置する(この板は、上部の4本のシガレット全部に接触するほど十分に広く、その長さは、説明したように中心の40mmの部分に接触するために40mmである)。最初、これらのシガレットは、適所に安定するまで100gの板重量で圧縮される。その後、このサンプルに1400gの追加重量を30秒間加える。30秒の最後に、シガレット堅度の指標である圧縮値をmmで測定する。この試験は、摂氏22±2度の周囲温度で行われる。多くの実施形態では、喫煙物品の堅度が、約4mm又はそれ以下、或いは約3.5mm又はそれ以下、或いは約3mm又はそれ以下、或いは約2.5mm又はそれ以下である。いくつかの好ましい実施形態では、喫煙物品の堅度が、約3.5mm〜約2.5mmである。
「硬度」という用語も、圧縮に対する抵抗を意味する。通常、硬度は、10本のシガレットに2kgの負荷を20秒間加え、シガレットの窪んだ平均(中間)直径を測定することよって求められる。硬度=(窪んだ直径/窪んでいない公称直径)×100%。この試験は、摂氏22±2度の周囲温度で行われる。試験は、Densimeter DD60A(BorgwaldtKC社、ハンブルグ、ドイツ)という商品名で市販されている装置を用いて行うことができる。このような装置は、各シリンダの長さが160mm、直径が10mmの2対の平行金属シリンダを有する。2つのシリンダをシガレットの下方に16mm離して平行に配置してシガレットの支持体として作用させ、これらの2つのシリンダにタバコロッドが渡るように各シガレットを配置する(試験中、存在するフィルタはいずれもシリンダに接触しない)。第2のシリンダ対を第1のシリンダ対と位置合わせし、試験中に第1のシリンダ対と第2のシリンダ対がシガレットを挟んで互いに近付くようにする。試験中、シガレットを支持するシリンダ対は静止した状態を保つ。他方のシリンダ対を、10本のシガレットに向かって移動するように配置し、10本のシガレットのタバコロッドにわたって2kgの負荷を平行移動させる。20秒間にわたってシガレット上に負荷を保持し、圧縮寸法を測定した後に試験を完了する。また、試験中は、各シガレットを互いに接触しないように離して配置する。10本のシガレットの先端を支持するためにフレームを使用して、試験中に10本のシガレットが互いに平行に等間隔を開けた状態を確実に保つ支援とすることができる。
硬度は、タバコロッドのオーブン揮発(OV)に左右されることもあり、従ってこのようなOVを求めて補正すべきである。この補正硬度は、以下の数式を用いて計算することができる。補正硬度=測定硬度+(標準的オーブン揮発−測定されたオーブン揮発)*補正係数。通常、標準的オーブン揮発は12.5%とされるが、必要に応じて別の基準値を使用することもできる。補正係数は−3.3である。
堅度値は、硬度値に対応すると理解されたい。堅度に関しては、値が上がれば上がるほどシガレットは柔らかくなる。硬度値に関しては、値が上がれば上がるほどシガレットは硬くなる。標準直径のシガレット(すなわち、7.85mm直径)では、硬度を求めるためのおおよその方程式が、硬度=100−10×(堅度)である。例えば、いくつかの実施形態では、タバコ基材の堅度が、約4.0mm又はそれ以下(硬度が約60%又はそれ以上)、或いは約3.5mm又はそれ以下(硬度が約65%又はそれ以上)、或いは約3.0mm又はそれ以下(硬度が約70%又はそれ以上)、或いは約2.5mm又はそれ以下(硬度が約75%又はそれ以上)である。いくつかの実施形態では、タバコ基材の堅度が、約3.5mm(硬度が約65%)〜約2.5mm(硬度が約75%)である。
オーブン揮発の測定には、以下の試験を使用することができる。(摂氏22度における相対湿度が60%の)標準的大気条件下の密封容器にタバコ材料のサンプルを入れ、このサンプルの重量を容器と共に求める。次に、この容器を摂氏103度のオーブンに入れ、容器の蓋を動かしてサンプルをオーブンに曝す。これらのサンプルと開いた容器を、摂氏103度のオーブン内で100分間放置する。その後、サンプルと容器をオーブンから取り出し、蓋を交換して、密封容器とサンプルを冷やすためにオーブンの外部に20分間放置する。その後、再び容器とサンプルの合計重量を求め、以下の数式を用いて測定オーブン揮発を計算する。測定オーブン揮発=(第1の測定重量−第2の測定重量/第1の測定重量−容器の重量)*100。
「タバコ密度」という用語は、(cm3で表される)タバコ基材又はロッドの単位体積当たりの(グラムで測定した)タバコの質量を意味する。
タバコ基材に有用なエアロゲルは、約0.35g/cm3未満、又は約0.1g/cm3未満、又は約0.05g/cm3未満の密度を有することができる。これらのエアロゲルは、水銀圧入ポリシメトリによって測定した時に、約500m2/gを上回る、又は約750m2/gを上回る、又は約1000m2/gを上回る表面積を有することができる。これらのエアロゲルは、少なくとも約50%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約90%の空隙空間(又は気体容積)を有することができる。
タバコ基材に有用なエアロゲルは、溶液中でゲルを生成した後に液体を注意深く除去してエアロゲル構造を無傷な状態で残すことにより形成することができる。ゲルは、例えばタバコをゲル化剤及び液体と組み合わせることによって形成される。多くの実施形態では、超臨界抽出又は超臨界乾燥を通じてゲルから液体を除去する。
超臨界抽出又は乾燥は、ゲルの温度及び圧力を上昇させ、(液相と気相が区別不可能になった)超臨界流体内に液体を強制的に導入することによって行われる。その後、圧力を落とすことにより液体を気化させて除去し、エアロゲルを形成する。
いくつかの実施形態では、圧力容器内にゲルを入れ、この圧力容器を液体二酸化炭素で満たす。液体二酸化炭素は、本質的に、ゲルの細孔内の(水又は溶媒などの)液体に取って代わることができる溶媒である。数日間にわたり、ゲルを液体二酸化炭素に浸す。ゲルの細孔内の液体は、二酸化炭素に取って代わられる。次に、この二酸化炭素を、その臨界温度(摂氏31度)及び臨界圧力(73atm)を越えて加熱する。その後、容器を等温的に減圧するとエアロゲルが生じる。
多くの実施形態では、タバコ、ゲル化剤及び水を組み合わせることによってゲルが生成される。タバコは、エアロゲルの開細孔構造の一部を成すとともに、開細孔構造を形成する開細胞又は空隙の少なくとも一部を定めることができる。タバコは、あらゆる有用な形で利用することができ、またゲル及びエアロゲル内に複数のタバコ粒子又は要素として存在することができる。
タバコ基材がエアロゲルを含む実施形態では、エアロゲルが有機エアロゲルであることが好ましい。「有機エアロゲル」という用語は、好ましくは少なくとも75重量%の、より好ましくは少なくとも90重量%の有機化合物を含み、さらに好ましくは基本的に有機化合物から成り、最も好ましくは有機化合物から成るエアロゲルを意味する。有機化合物は、例えば(一般に「ブルーブック(Blue Book)」と呼ばれる)有機化学のIUPAC命名法に該当する、一般に有機的と言われるいずれかの化合物を含む。一例として、天然又は合成ポリマー類、糖類、タンパク質類及びセルロース系材料などが挙げられる。
このことは、一般に有機化合物とは見なされない活性炭材料などの他の材料とは対照的である。例えば、活性炭構造を形成するために、(いくつかの有機化合物を含む)いくつかの材料を炭化、熱分解又は別様に加熱することができるが、これらは、材料が活性化された後にはもはや有機化合物とは見なされない。場合によっては、有機エアロゲルが炭化、熱分解、又は150℃を上回って別様に加熱されない。
また、開細孔構造を維持するために、エアロゲルの材料は交差結合されていないことが好ましい。
多くの実施形態では、タバコの平均粒子サイズが約25マイクロメートルを上回り、又は約50マイクロメートルを上回り、又は約100マイクロメートルを上回る。これとは別に又はこれに加えて、タバコの平均粒子サイズは、約1000マイクロメートル未満、又は約750マイクロメートル未満、又は約500マイクロメートル未満である。多くの実施形態では、タバコが、ゲル又はエアロゲル内に細断された形で存在し、少なくとも約3又は少なくとも約5の平均アスペクト比を有する。本発明では、「粒子サイズ」を、粒子状材料内の個々の粒子の最大断面寸法と考える。「平均」粒子サイズは、各粒子の算術平均粒子サイズを意味する。粒子状材料のサンプルの粒子サイズ分布は、既知のふるい試験を用いて求めることができる。
いくつかの実施形態では、微細タバコ粒子の平均粒子サイズが、50マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル未満、又は10マイクロメートル未満の範囲内、或いは約3〜約50マイクロメートル、又は約3〜約25マイクロメートルの範囲内である。いくつかの実施形態では、上述したように、タバコが、微細タバコ粒子と、より大きなタバコ粒子との混合である。
ゲル及び結果として得られるエアロゲルにタバコを特異的に含めて、タバコ基材内の所望のタバコ充填量を得ることができる。タバコを(ゲル化剤及び液体などの)エアロゲル前駆体材料と組み合わせ、これを利用してエアロゲル内に分散したタバコを形成することができる。タバコ含有量は、従来の喫煙物品における特定のタールレベルを達成するように調整することができる。
エアロゲル内のタバコの量は、重量ベースで少なくとも約5%、又は少なくとも10%、又は少なくとも約25%とすることができる。これとは別に又はこれに加えて、エアロゲル内のタバコの量を、重量ベースで40%未満又は30%未満とすることもできる。本開示の喫煙物品は、従来のフィルタシガレットと比べて、タバコロッドの堅度を維持しながら、単位重量当たりのタバコを少なくとも約10%、又は少なくとも約20%、又は少なくとも約30%減少させることができる。多くの実施形態では、本開示のタバコ基材が、タバコロッドの堅度値を従来のタバコロッドの堅度値と同じ又はそれ以上に維持しながら、約300mg未満、又は225mg未満、又は150mg未満のタバコを含むことができる。従って、一般に、タバコロッドの堅度はタバコロッド内のタバコの量とは無関係である。
従来のタバコロッドは、タバコ密度が約240mg/cm3であり、堅度が約3.0mmである。多くの実施形態では、本明細書で説明するタバコ基材のタバコ密度が、約200mg/cm3未満、又は150mg/cm3未満、又は100mg/cm3未満、又は80mg/cm3未満である。タバコ基材のタバコ密度は、約25mg/cm3より高く、又は約40mg/cm3より高く、又は約60mg/cm3より高くすることもできる。タバコ基材のタバコ密度は、約25mg/cm3〜約200mg/cm3、又は約25mg/cm3〜約150mg/cm3とすることもできる。いくつかの実施形態では、タバコ基材が、約4.0mm又はそれ以下(硬度が60%又はそれ以上)、約3.5mm又はそれ以下(硬度が65%又はそれ以上)、或いは約3.0mm又はそれ以下(硬度が70%又はそれ以上)、或いは2.5mm又はそれ以下(硬度が75%又はそれ以上)の堅度を有する。多くの実施形態では、タバコ基材が、約3.5mm(硬度が65%)〜約2.5mm(硬度が75%)の堅度を有する。
本開示の従来の喫煙物品は、タバコ基材の堅度を維持しながら、特定のタールレベルを提供することができる。特定量のタバコをゲル化剤及び水と組み合わせて、結果として得られるタバコエアロゲルを含む喫煙物品において特定のタールレベルを達成することができる。タールレベルは、約0.1mg〜約10mg、又は約0.1mg〜約6mg、又は約0.1mg〜約3mgを選択することができる。タールレベルは、ISO条件(各々が2秒間の吸煙を60秒毎に35回)下で喫煙物品を喫煙した際に決定することができる。「タールレベル」という用語は、ISO条件下における喫煙物品のニコチンを除いた総乾燥粒子状物質(NFDPM)を意味するために使用するものである。
「ゲル化剤」という用語は、適当な比率及び処理条件でタバコ及び液体と混合された時に、これらのタバコ及び液体を、流動性のある液体から成形可能な固体、半固体又はゲルに変換する材料を意味する。ゲルは、液体媒質の容積に広がり、表面張力効果を通じてこれらを絡ませる固体三次元網状組織を含む。
多くの実施形態では、このゲル化剤が、多糖類又はタンパク質、或いは1種類又はそれ以上の多糖類と1種類又はそれ以上のタンパク質との組み合わせである。多糖類は、例えば、でんぷん、植物ガム、寒天、カラギナン又はペクチン、或いはこれらの組み合わせを含むことができる。ゲル化剤は、例えば、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウムなどのアルギン酸又はアルギン酸塩、或いはこれらの組み合わせを含むこともできる。タンパク質ゲル化剤は、例えばゼラチンを含むことができる。これらのゲル化剤は、タバコの燃焼と組み合わせて使用するのにふさわしい。例えば、喫煙物品が不燃性喫煙物品である場合、他のゲル化剤が適する場合もある。例えば、さらなるゲル化剤として、セルロースアセテート、ポリスチレン及びポリ乳酸などの合成又は天然ポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、ゲル化剤が紙又はセルロース系材料である。好ましいゲル化剤としては、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アラビアゴム、及びゼラチンなどのコラーゲンが挙げられる。
液体をタバコ及びゲル化剤と組み合わせて、ゲル及び結果として得られるエアロゲルを形成することができる。液体は、溶媒又は水、或いは溶媒と水を含むことができる。有用な溶媒として、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、メチルエチルケトン、2−プロパノール、二酸化炭素、ヘキサン及びトルエンが挙げられる。
タバコエアロゲルは、あらゆる有用な又は所望の形状に形成することができる。タバコゲルをいずれかの有用な形状に成形した後に液体を除去すると、同様の形状のエアロゲル要素が得られる。多くの実施形態では、エアロゲル要素が、喫煙物品のタバコ基材又はタバコロッドの少なくとも一部を形成する連続要素である。このように、タバコエアロゲルは、タバコ基材に構造的特徴を与え、タバコ基材が従来のタバコロッドに比べて少ないタバコ量で所望の堅度を有することを可能にする。多くの実施形態では、タバコエアロゲル要素が、シガレットのタバコロッドを形成する単体構造要素又は連続構造要素である。
連続エアロゲル要素の長さにわたり、複数の開放チャネルが延びることができる。これらの開放チャネルは、いずれかの有用な方法で形成することができる。多くの実施形態では、これらの開放チャネルが成形過程中に形成される。側面及び底面によって定められる成形要素のキャビティ内にタバコゲルを配置することができる。いくつかの実施形態では、底面に複数の細長いチャネル形成部材が固定され、これらのチャネル形成部材がタバコエアロゲルの長さにわたって延びる。他の実施形態では、複数の細長いチャネル形成部材が、成形要素に対して移動可能な支持要素に固定される。タバコエアロゲルを形成して成形要素のキャビティから除去すると、細長いチャネル形成部材が、タバコエアロゲル内の空隙空間又はチャネルを定める。
細長いチャネル形成部材は、約25マイクロメートル又はそれ以下、或いは約15マイクロメートル又はそれ以下の有用な直径を有することができる。成形要素のキャビティ内には、少なくとも約10個又は少なくとも約20個などの、いずれかの有用な数のチャネル形成部材を配置することができる。チャネル形成部材は、タバコエアロゲルの全長に沿って、或いはタバコエアロゲルの長さの少なくとも約90%、又は少なくとも約75%に沿って延びることができる。いくつかの実施形態では、タバコエアロゲルが、いずれかの有用なサイズを有する複数の粒子として形成される。これらの実施形態では、タバコエアロゲル粒子が、少なくとも約50マイクロメートル、又は少なくとも約100マイクロメートル、又は少なくとも約250マイクロメートルの平均サイズを有する。これとは別に又はこれに加えて、タバコエアロゲル粒子は、約5000マイクロメートル未満の、又は約1000マイクロメートル未満の、又は約500マイクロメートル未満の平均サイズを有する。
エアロゲルは、任意に機能材料を含むことができる。この機能材料をゲル化剤、タバコ及び水又は溶媒と組み合わせて、ゲル及び結果として得られるエアロゲルを形成することができる。この機能材料は、エアロゲルの開細孔構造内に分散させることができる。エアロゲルは、機能材料の効率を高めることができる広い表面積を提供する。従って、エアロゲルの開放気孔構造と共に利用する機能材料の量を、従来の喫煙物品と比べて少なくすることができる。機能材料をエアロゲル構造内に組み込み、基本的にエアロゲルマトリックス又は構造内に機能材料を「ロック」することができる。機能材料は、香味材料、或いは煙成分を捕捉又は変換する材料を含むことができる。
香味材料は、液体香味料又は吸着剤、或いは液体香味料又はハーブ材料を含浸させたセルロース系材料の粒子を含む。香味料は、以下に限定されるわけではないが、天然又は合成メントール、ペパーミント、スペアミント、コーヒー、茶、(シナモン、クローブ及びショウガなどの)スパイス、ココア、バニラ、果物香味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リュウゼツラン、ネズミサシ、アネトール及びリナロールを含む。また、香味料は、精油、又は1種類又はそれ以上の精油の混合物も含む。「精油」とは、取得元の植物の特異臭及び香味を有する油のことである。好適な精油としては、限定ではないが、ペパーミント油及びスペアミント油が挙げられる。多くの実施形態では、香味料が、メントール、オイゲノール、又はメントールとオイゲノールの組み合わせを含む。
「ハーブ材料」という用語は、ハーブ性植物由来の材料を示すために使用するものである。「ハーブ性植物」は、葉又はその他の部分が医療、料理又は芳香目的で使用される芳香植物であり、喫煙物品により生成される煙中に香味を放出することができる。例えば、ハーブ材料は、以下に限定されるわけではないが、ペパーミント及びスペアミントなどのミント、レモンバーム、バジル、シナモン、レモンバジル、チャイブ、コリアンダー、ラベンダー、セージ、茶、タイム及びカーヴィ(carvi)を含むハーブ性植物からのハーブ葉又はその他のハーブ材料を含むことができる。「ミント」という用語は、ハッカ属の植物を示すために使用するものである。好適な種類のミント葉は、以下に限定されるわけではないが、セイヨウハッカ、ショウガ、エジプトミント、ベルガモットミント、スペアミント、カーリーミント、ケンタッキーカーネルミント、ホースミント、メグサハッカ、アップルミント及びパイナップルミントを含む植物種から採取することができる。
煙成分を捕捉又は変換する材料としては、活性炭、被覆炭素、活性アルミニウム、ゼオライト、海泡席、分子篩及びシリカゲルなどの吸着剤が挙げられる。煙成分を捕捉又は変換する材料としては、マンガン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、スズ、亜鉛、タングステン、チタン、モリブデン、バナジウム材料などの触媒も挙げられる。
「煙」及び「タバコの煙」という用語は、タバコ材料が燃焼、熱分解、加熱又は化学反応した時に生じるエアロゾル又は蒸気を意味するために使用するものである。
多くの実施形態では、喫煙物品の全長が、約70mm〜約128mm、又は約84mmである。喫煙物品の外径は、約5mm〜約8.5mm、又はスリムサイズの喫煙物品では約5mm〜約7.1mm、又はレギュラーサイズの喫煙物品では約7.1mm〜約8.5mmとすることができる。
本開示の喫煙物品の吸引抵抗(RTD)は、タバコ基材内におけるタバコエアロゲルの組み込み及び構造に基づいて変化することができる。RTDは、出力端における体積流量が毎秒17.5ミリリットルの定常条件下で試料内を空気流が横切った時の試料の両端間における静圧差を意味する。試料のRTDは、ISO標準6565:2002に示される方法を用いて測定することができる。
上記のあらゆるタバコ基材は、シガレットなどの従来の可燃性喫煙物品で使用することも、或いは、例えば熱、空気流又は化学反応を用いてタバコ成分を送達するように構成された喫煙物品などの不燃性喫煙物品で使用することもできる。
本発明による喫煙物品は、例えば内側ライナーを1種類又はそれ以上の香味料で被覆したソフトパック又はヒンジ蓋パックなどの容器に包装することができる。
以下の添付図面を参照しながら、本開示をほんの一例としてさらに説明する。
本開示による、タバコエアロゲルで形成されたタバコ基材を有する喫煙物品の概略断面図である。 本開示による、タバコロッド内に分散した複数のタバコエアロゲル粒子で形成されたタバコ基材を有する喫煙物品の概略断面図である。 成形要素の概略側面図である。 別の成形要素の概略側面図である。
図1及び図2に示す喫煙物品10は、軸方向に整列するフィルタ14に取り付けられたタバコ基材又はタバコロッド12を含む。フィルタ14は、プラグラップ18に包まれたセルロースアセテートで形成できるフィルタプラグ16を含む。軸方向に整列するフィルタ14は、チップペーパ19によってタバコロッド12に結合される。
タバコ基材は、シガレットラッパー13によって取り巻かれ、図1ではタバコエアロゲル20を、図2ではタバコカットフィルタ11及びタバコエアロゲル粒子20を含むことができる。図1には、タバコ基材12の構造を形成する単体タバコエアロゲル要素20を示している。図1に示す単体タバコエアロゲル要素20は、喫煙物品10のタバコ基材12を形成する円筒形要素である。
図2には、タバコ材料又はタバコカットフィラー11内に分散した複数のタバコエアロゲル粒子20で形成されたタバコ基材12を示している。
図3は、タバコエアロゲル20を形成する際に利用できる成形要素30の概略側面図である。この成形要素30のキャビティ36内にタバコゲルを配置することができる。キャビティ36は、側面32及び底面34によって定められる。底面34には、複数の細長いチャネル形成部材40が固定され、タバコエアロゲル20の長さにわたって延びる。タバコエアロゲル20を形成して成形要素30のキャビティ36から取り出すと、細長いチャネル形成部材40がタバコエアロゲル20内の空隙空間又はチャネルを定める。
細長いチャネル形成部材40は、約25マイクロメートル又はそれ以下、或いは約15マイクロメートル又はそれ以下などのいずれかの有用な直径を有することができる。成形要素30のキャビティ36内には、少なくとも約10個又は少なくとも約20個などのいずれかの有用な数のチャネル形成部材40を配置することができる。チャネル形成部材40は、タバコエアロゲル20の全長に沿って、或いはタバコエアロゲル20の長さの少なくとも約90%、又は少なくとも約75%に沿って延びることができる。
図4は、別の成形要素31の概略側面図である。この実施形態では、細長いチャネル形成部材40が、成形要素30のキャビティ36に対して移動可能である。細長いチャネル形成部材40は、成形要素30のキャビティ36に対して側面32の長さに沿って長手方向に移動可能な、底面34に向かって又はそこから離れて移動する支持要素42に固定される。細長いチャネル形成部材40は、タバコエアロゲル20の長さにわたって延び、上述したように構成される。タバコエアロゲル20を形成して成形要素30のキャビティ36及び細長いチャネル形成部材40から取り出すと、細長いチャネル形成部材40がタバコエアロゲル20内の空隙空間又はチャネルを定める。
10 喫煙物品
12 タバコロッド
13 シガレットラッパー
14 フィルタ
16 フィルタプラグ
18 プラグラップ
19 チップペーパ
20 タバコエアロゲル

Claims (15)

  1. タバコを含み、約150mg/cm3又はそれ以下のタバコ密度及び60%又はそれ以上の硬度を有するタバコ基材を備える、
    ことを特徴とする喫煙物品。
  2. 前記タバコ基材の少なくとも一部は、ゲルから開細孔構造に変換される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
  3. 前記タバコ基材は、エアロゲルを含む、
    ことを特徴とする請求項1に記載の喫煙物品。
  4. 前記エアロゲルは、少なくとも約5重量%のタバコを含む、
    ことを特徴とする請求項3に記載の喫煙物品。
  5. 前記エアロゲル又は前記開細孔構造は、多糖類又はタンパク質を含む、
    ことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の喫煙物品。
  6. 前記エアロゲル又は前記開細孔構造は、約0.35mg/cm3未満の密度を有する、
    ことを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の喫煙物品。
  7. 前記タバコ基材は、シガレットロッド要素である、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の喫煙物品。
  8. 前記エアロゲル又は前記開細孔構造は、前記タバコ基材を形成する連続要素である、
    ことを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の喫煙物品。
  9. 前記エアロゲル又は前記開細孔構造は、複数の粒子である、
    ことを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の喫煙物品。
  10. 前記エアロゲル又は前記開細孔構造は、煙成分を捕捉又は変換する機能材料を含む、
    ことを特徴とする請求項2から10のいずれかに記載の喫煙物品。
  11. タバコをゲル化剤及び溶媒と組み合わせてタバコゲルを形成するステップと、
    前記タバコゲルから前記溶媒を除去してタバコ基材を形成するステップと、
    を含み、前記タバコ基材は、約150mg/cm3又はそれ以下のタバコ密度及び60%又はそれ以上の硬度を有する、
    ことを特徴とする方法。
  12. 前記タバコゲルを成形要素内に配置するステップと、
    前記タバコゲルの長さにわたって複数の細長い部材を設けるステップと、
    前記タバコゲルから前記溶媒を除去することにより、前記成形要素内に前記タバコ基材を形成するステップと、
    を含み、前記タバコ基材は、該タバコ基材の全さにわたって延びる複数の開放チャネルを有する、
    ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. エアロゲル内に分散したタバコを含む、
    ことを特徴とするタバコ基材。
  14. 前記エアロゲルは、約0.35mg/cm3以下の密度を有する、
    ことを特徴とする請求項13に記載のタバコ基材。
  15. 前記エアロゲルは、少なくとも5重量%のタバコを含む、
    ことを特徴とする請求項13に記載のタバコ基材。
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