JP2015514776A - イヌにおけるライム病を治療するためのワクチンおよび方法 - Google Patents

イヌにおけるライム病を治療するためのワクチンおよび方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ライム病ボレリアのOspAタンパク質の抗原フラグメントおよびライム病ボレリアのOspCタンパク質の異なるファイロタイプの抗原フラグメントを含むキメラタンパク質を含む免疫原性組成物を提供する。また、本発明の免疫原性組成物を組み込むワクチン、並びに前記ワクチンを用いて、イヌにおけるライム病を防止するおよび/またはライム病からイヌを保護する方法が提供される。【選択図】図3A

Description

本発明は、獣医学の分野におけるものである。より具体的には、本発明は、イヌにおけるライム病を治療または防止するワクチンの分野におけるものである。
ライム病は、ボレリア属の病原性スピロヘータに起因するバクテリア感染である。感染は、ヒト、イヌ、シカ、マウス、および他の動物において発生し得、媒介節足動物、最も特にイクソデス属のダニにより伝染される。ライム病ボレリア、北アメリカにおけるもっとも一般的なライム病の原因は、1982年に最初に培養された。ボレリアは、ダニ咬傷の部位で宿主内に導入され、ここが、最初の特徴的な皮膚病変、慢性遊走性紅斑(ECM)の位置でもある。イヌにおいて、ライム病は、関節炎によって誘発された跛行、食欲不振、発熱、嗜眠、リンパ節腫脹、および場合によっては、致命的な糸球体腎炎となって現れる。近年の研究は、流行地で能動的に感染したイヌのパーセンテージは11%と同じくらい高くなり得るということを明らかにした。
感染は、ペニシリン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、およびセフトリアキソンのような抗生物質により、どんなときでも治療されるかもしれない。しかしながら、いったん感染が発生すると、薬物は、スピロヘータの宿主を一掃しないかもしれず、慢性型の疾病をコントロールするために作用するのみかもしれない。関節炎および倦怠のような合併症は、診断および治療後数年間継続するかもしれない。
イヌライム病ワクチンは、主にOspA殺ボレリア菌抗体を誘導することによる保護を提供するために開発された。ライム病ボレリアのOspCは、殺ボレリア菌抗体性免疫に関する他の標的候補である。このタンパク質は、殺ボレリア菌抗体を誘導する動因であるエピトープを有すると思われ、病原性ボレリア菌種間で保存されない。OspCタンパク質の具体的な機能は未知のままであるが、OspCの発現が哺乳類の感染に関しては必要とされるが、ダニの感染に関しては必要とされない、ということが示唆された。ボレリアは、ダニが摂食を開始後すぐにOspCを発現し、哺乳類における感染を確立するためにOspCを発現することを継続しなければならない。よって、OspC殺ボレリア菌抗体の「有効性のウインドウ(window of effectiveness)」は、OspA殺ボレリア菌抗体と比較して有意に増加した。
Callister et al.(本明細書で参照により組み込まれる、米国特許第6,210,676号および米国特許第6,464,985号)は、ライム病に対してヒトおよび他の哺乳類を保護するためのワクチンを調製するために、OspCの免疫原性ポリペプチドフラグメントを単体で、またはOspAポリペプチドと組み合わせて採用することを示唆した。また、Livey et al.(本明細書で参照により組み込まれる、米国特許第6,872,550号)は、組換えOspA、OspB、およびOspCタンパク質の組み合わせから調製される、ライム病に対して免疫するためのワクチンを提案した。
しかしながら、成功したワクチンが作製され得る前に、少なくとも2つの障害が克服される必要がある。第1に、20以上のOspCファイロタイプがあり、どのものがワクチンに含まれるべきなのかが不明である。第2に、殺ボレリア菌抗OspC抗体の開発のための適切なエピトープが決定される必要がある。
よって、哺乳類、特にイヌをライム病から保護するための改良されたワクチンに関する分野において、長年の必要性が残存している。
本発明は、一態様において、配列番号1(MDPNTVSSFQVDSFLWHVRKRVADQELGDAPFLDRLRRDQKSLRGRGSTLGLDIETATRAGKQIVERILKEESDEALKMTMGKQNVSSLDEKNSVSVDLPGEMNVLVSKEKNKDGKYDLIATVDKLELKGTSDKNNGSGVLEGVKADKSKVKLTISDDLGQTTLEVFKEDGKTLVSKKVTSKDKSSTEEKFNEKGEVSEKIITRADGTRLEYTEIKSDGSGKAKEVLKSYVLEGTLTAEKTTLVVKEGTVTLSKNISKSGEVSVELNDTDSSAATKKTAAWNSGTSTLTITVNSKKTKDLVFTKENTITVQQYDSNGTKLEGSAVEITKLDEIKNALK)と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む第1のタンパク質と;OspCファイロタイプFおよびNの免疫優性エピトープを含む第2のタンパク質とを含む、免疫原性組成物を提供することにより、これらにおよび他の必要性に取り組む。
1組の実施形態において、前記第2のタンパク質は、1つまたはそれ以上のOspCファイロタイプI、H、C、M、およびDのループ5(ループペプチド)およびアルファヘリックス5(ヘリックスペプチド)由来の免疫優性エピトープと少なくとも95%同一の複数のペプチドを含み、さらに、各ファイロタイプ由来の前記ループペプチドおよび前記ヘリックスペプチドが互いに隣接し、および前記ループペプチドと前記ヘリックスペプチドが連続的に配置され;互いに隣接している、OspCファイロタイプFのループペプチドおよびヘリックスペプチド、または配列番号32と95%同一のアミノ酸配列の少なくとも1つを含む。1組の実施形態において、配列番号32と95%同一の前記アミノ酸配列が存在する場合には、前記第2のタンパク質のカルボキシ末端においてである。
1組の実施形態において、前記第1のタンパク質は配列番号1である。他の組の実施形態において、ファイロタイプI、H、N、C、M、D、およびFの前記ループおよびヘリックスペプチドは、配列番号4〜17のそれぞれと少なくとも95%同一である。
また、他の組の実施形態において、免疫原性組成物は、いくつかの実施形態おいて配列番号16〜29とそれぞれ同一である、1つまたはそれ以上のOspCファイロタイプF、T、U、E、A、B、およびK由来の追加のループおよびヘリックスペプチドを含むこととしてもよい。
さらに他の組の実施形態において、免疫原性組成物は、イヌにおいて疾病を生じさせ得る微生物に対する少なくとも1つのさらなる抗原保護剤をさらに含むこととしてもよい。前記微生物は、イヌジステンパー(CD)ウイルス、イヌアデノウイルス2型(CAV−2)、イヌパラインフルエンザ(CPI)ウイルス、イヌパルボウイルス(CPV)、イヌコロナウイルス(CCV)、イヌヘルペスウイルス、および狂犬病ウイルスを含む群から選択されることとしてもよい。本発明のワクチン組成物における使用に関するこれらの病原体由来の抗原は、変更された生きているウイルス調製物または不活化されたウイルス調製物の形態におけるものであり得る。また、他の病原体は、レプトスピラ・ブラチスラバ(Leptospira bratislava)、レプトスピラ・キャニコーラ(Leptospira canicola)、レプトスピラ・グリポチフォサ(Leptospira grippotyphosa)、レプトスピラ・イクテラヘモラジエ(Leptospira icterohaemorrhagiae)、レプトスピラ・ポモナ(Leptospira pomona)、レプトスピラ・ハージョボビス(Leptospira hardjobovis)、ポルフィロモナス菌種(Porphyromonas spp.)、バクテロイデス菌種(Bacteriodes spp.)、リーシュマニア菌種(Leishmania spp.)、エーリキア菌種(Ehrlichia spp.)、マイコプラズマ菌種(Mycoplasma ssp.)、およびミクロスポラム・カニス(Microsporum canis)を含む。
具体的な実施形態において、前記免疫原性組成物は、配列番号1および配列番号30または配列番号31のいずれかを含む。
他の態様において、本発明は、上記のような免疫原性組成物を含むワクチン組成物を提供する。また、前記ワクチンは、アジュバントおよび薬学的に許容可能な担体を含み得る。異なる実施形態では、アジュバントは、限定されることなく、岩塩、界面活性剤および微粒子、細菌産生物、サイトカインおよびホルモン、担体、水中油型乳剤および油中水型乳剤を含む。
また、さらに他の態様では、本発明は、免疫学的に効果のある投与量の前記ワクチン組成物を、それを必要とするイヌに投与することを含む、前記イヌにおけるライム病を防止する方法を提供する。
図1は、イヌから採取された皮膚生検サンプルからのクローニングにより確認される、OspCタイプのネイバージョイニングツリー(neighbor joining tree)を示す。 図2は、イヌから採取された皮膚生検から分離されたライム病ボレリアクローンをシーケンシングすることにより確認される、OspCタイプのネイバージョイニングツリーを示す。 図3Aおよび図3Bは、本明細書に記載される免疫原性組成物の第2のタンパク質として適切である、キメラ配列(chimeric sequence)A12CFおよびA10CF(それぞれ、配列番号31および30)を示す。 図3Aおよび図3Bは、本明細書に記載される免疫原性組成物の第2のタンパク質として適切である、キメラ配列(chimeric sequence)A12CFおよびA10CF(それぞれ、配列番号31および30)を示す。 図4は、OspCファイロタイプAストレインのB31および他のOspCファイロタイプについてのタンパク質配列を示す。 図4は、OspCファイロタイプAストレインのB31および他のOspCファイロタイプについてのタンパク質配列を示す。 図4は、OspCファイロタイプAストレインのB31および他のOspCファイロタイプについてのタンパク質配列を示す。
本出願をより理解するために、以下の非限定的な定義が提供される。
用語「少なくとも95%同一」は、95%および100%を含み、かつその間、例えば96%、97%、98%、99%等の全ての同一性のパーセンテージを含む。
用語「アルファヘリックス5領域」または「ヘリックス5領域」は、OspCファイロタイプAストレインのB31の残基160と200の間に位置するアミノ酸配列を指し、ループ6、アルファヘリックス5、および不定形のC末端ドメインの一部を含む二次構造要素を含む(Kumaran et al., 2001)。
用語「保存的置換」は、コードされたアミノ酸残基が変化しないように、または他の生物学的に類似の残基になるように、他の生物学的に類似の残基によるアミノ酸残基の置換、または核酸配列におけるヌクレオチドの置換を示す。保存的置換の例は、他の疎水性残基に関する、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンのような1つの疎水性残基の置換、またはリシンに関するアルギニン、アスパラギン酸に関するグルタミン酸、もしくはアスパラギンに関するグルタミン等の置換のような他の極性の残基に関する1つの極性の残基の置換を含む。また、用語「保存的置換」は、置換されたポリペプチドに対して生じる抗体が非置換のポリペプチドとも免疫反応することが提供される、非置換の親アミノ酸の代わりに置換されたアミノ酸の使用を含む。
参照タンパク質または参照核酸の用語「保存的変化」は、保存的置換(複数を含む)のみによる参照分子とは異なる、タンパク質または核酸をそれぞれ指す。
ファイロタイプ名により先行される用語「構造体」(例えば、N構造体またはI構造体)は、ループペプチドおよびヘリックスペプチドを含むアミノ酸配列を指す。
OspCのあるファイロタイプの用語「ヘリックスペプチド」または「アルファヘリックスペプチド」は、そのファイロタイプのOspCタンパク質のアルファヘリックス5領域由来の免疫優性エピトープと少なくとも95%同一であるペプチドを指す。このように、例えば、ヘリックスペプチドNは、OspCファイロタイプNのアルファヘリックス5領域由来の免疫優性エピトープと少なくとも95%同一であるペプチドを指す。
用語「免疫優性エピトープ」は、BおよびT細胞反応の1つまたは両方を含む、他のエピトープと比較したときに、優性なまたは著しい免疫応答を誘導する分子上のエピトープを指す。
用語「直鎖状エピトープ」は、ペプチドまたはポリペプチドを形成するためのペプチド結合により結合される、アミノ酸の単一の非中断の連続する鎖を含むエピトープを指す。このようなエピトープは、鎖における、その一次構造、つまり、アミノ酸の直鎖状配列により記載され得る。このようなエピトープは、OspCの組換えタンパク質サブユニットにおいて発現されるときに、野生型タンパク質の結合に類似する態様で、感染‐誘導抗体に結合する性能を保持する。
OspCのあるファイロタイプの用語「ループペプチド」は、そのファイロタイプのOspCタンパク質のループ5領域由来の免疫優性エピトープと少なくとも95%同一であるペプチドを指す。よって、例えば、ループペプチドNはOspCファイロタイプNの、ループ5領域由来の免疫優性エピトープと少なくとも95%同一であるペプチドを指す。
用語「ループ5領域」は、OspCファイロタイプAストレインのB31の残基131と159の間に一般的に配置されるアミノ酸配列を指し、アルファヘリックス3、ループ5、およびアルファヘリックス4の一部を含む、二次構造要素を含む。Kumaran et al., 2001参照。OspCファイロタイプAストレインのB31に関する配列は、配列番号35および図4において提供される。
本明細書で使用される用語「治療に有効な量」は、投与される対象における免疫応答を誘発するために十分な、微生物、またはサブユニット抗原、またはポリペプチド、またはポリヌクレオチド分子、およびその組み合わせの量を意味する。免疫応答は、限定されることなく、細胞性および/または体液性免疫の誘導を含み得る。
本明細書で使用される用語「ワクチン」および「ワクチン組成物」は、感染を防止または低減する、または1つまたはそれ以上の感染のサインまたは徴候を防止または低減する組成物を意味する。病原体に対するワクチン組成物の保護的効果は、通常、細胞性もしくは体液性免疫応答または両方の組み合わせのいずれかの免疫応答を、対象において誘導することにより達成される。概して、無効もしくは低減された感染の発生、サインもしくは徴候の寛解、または感染した対象からの微生物の排除の促進がワクチン組成物の保護的効果を暗示している。
広い態様では、本発明は、ライム病ボレリアのOspAおよびOspCタンパク質に対する抗体を誘導することを可能にする免疫原性組成物を提供する。よって、組成物は、2つのタンパク質:OspAまたはそのフラグメントを含む第1のタンパク質、およびOspCタンパク質またはそのフラグメントを含む第2のタンパク質を含むであろう。いくつかの実施形態では、第2のタンパク質は、異なるファイロタイプのOspCタンパクの複数のフラグメントを含むキメラタンパク質である。
いくつかの実施形態では、第1のタンパク質は、例えば、配列番号3(MDPNTVSSFQVDSFLWHVRKRVADQELGDAPFLDRLRRDQKSLRGRGSTLGLDIETATRAGKQIVERILKEESDEALKMT)であるインフルエンザウイルスNS1タンパク質のフラグメントのようなウイルスタンパク質のすぐ下流である、OspAタンパク質(配列番号2)(MGKQNVSSLDEKNSVSVDLPGEMNVLVSKEKNKDGKYDLIATVDKLELKGTSDKNNGSGVLEGVKADKSKVKLTISDDLGQTTLEVFKEDGKTLVSKKVTSKDKSSTEEKFNEKGEVSEKIITRADGTRLEYTEIKSDGSGKAKEVLKSYVLEGTLTAETTLVVKEGTVTLSKNISKSGEVSVELNDTDSSAATKKTAAWNSGTSTLTITVNSKKTKDLVFTKENTITVQQYDSNGTKLEGSAVEITKLDEIKNALK)のフラグメントを含む。第1のタンパク質に関する重要な要件は、ワクチン接種を受けた動物において抗OspA抗体を生成するための性能である。よって、OspAフラグメントの全長の配列は必要ではなく、配列番号2と100%同一でもない。
本出願における他の箇所でも特筆されているように、95%の配列の同一性は、適切なレベルの抗体産生を提供するために十分なようである。異なるアミノ酸は、保存的置換であり得、および/またはOspAフラグメントの免疫優性エピトープ(複数を含む)の外側に配置される。
他の実施形態では、より短いOspAフラグメントが使用され得る。当業者は、どのOspAフラグメントが殺ボレリア菌抗体を生成することが可能な免疫優性エピトープを含むのかをどのように測定するのかを知っているであろう。
発明者は、驚くべきことに、そのシグナル配列が除去されたOspAタンパク質へと続く、インフルエンザウイルスNS−1タンパク質のフラグメントを、NからC末端にかけて含む第1のタンパク質が特に本発明の免疫原性組成物に適しているということを発見した。
先行技術の研究は、どのファイロタイプのOspCがイヌにおける侵襲的なライム病において流行しているのかについて沈黙している。ほとんどの研究は、ヒトのサンプルで行われてきた。Jones et alは、関節炎を有するヒト患者の関節滑液で発見された最も流行しているファイロタイプはKおよびAであり、典型的には、ファイロタイプA、B、C、D、H、K、Nが発見されたということを報告している。 Arthritis Rheum 2009 60(7) 2174。Earnhart et alは、血液および/またはCSFサンプルにおけるファイロタイプA、B、I、K、C、D、Nを発見した。Infect Immun. 2005 73(12): 7869。他の研究は、典型的に、ヒトにおけるライム病の侵襲的な形態を有するファイロタイプA、B、IおよびKと関連した。
しかしながら、驚くべきことに、イヌにおいて、最も流行しているファイロタイプは、ヒトにおいてかイヌにおいてかに関わらず、ライム病の侵襲的な形態とこれまで関連していなかったOspC Fであることが発見された。また、ヒトにおける侵襲的なライム病に関連するファイロタイプNは、イヌにおける侵襲的なライム病に関連した。さらに、発明者は、ヒトにおける侵襲的なライム病にこれまで関連していないファイロタイプTおよびUがイヌにおける侵襲的なライム病を引き起こしているかもしれないということを発見した。
いくつかの実施形態によれば、第2のタンパク質は、異なるOspCタンパク質ファイロタイプに対する免疫応答を生成することが可能な免疫優性エピトープを含む。より具体的には、本発明で請求されている免疫原性組成物の第2のタンパク質は、OspCファイロタイプFおよびNの免疫優性エピトープを含むキメラタンパク質である。免疫優性エピトープは以下に記載するようにループおよび/またはヘリックスペプチドの形態であることとしてもよく、またはそれらは標的OspCタンパク質のより長いフラグメント内に存在することとしてもよい。そのようなフラグメントの適切な非限定的例は、OspCファイロタイプFタンパク質のフラグメントである、配列番号32(NNSGKDGNTSANSADESVKGPNLTEISKKITESNAVVLAVKEIETLLSSIDELATKAIGQKIDANGLGVQANQNGSLLAGAYAISTLITQKLSALNSEDLKEKVAKVKKCSEDFTNKLKNGNAQLGLAAATDDNAKAAILKTNGTNDKGAKELKDLSDSVESLVKAAQVMLTNSVKELTSPVVAESPKKP)である。
これまでの研究は、OspCタンパク質の保存領域(つまり、異なるファイロタイプ間で保存されている)の含有が、イヌにおいてではなく、マウスおよびヒトにおいて、抗殺ボレリア菌の(anti‐borrelicidal)抗体の生成にとって重要であるということを論証する。Lovrich et al, Clin .and Vaccine Immunol. May 2007, p. 635‐637参照。それにもかかわらず、発明者は、驚くべきことに、1つのOspCファイロタイプ(例えば、ファイロタイプF)のより長いフラグメントの追加が発現レベルに関して有益であり、よって、第2のタンパク質の製造をより効率的にするということを発見した。
Buckles et alは、OspCタンパク質のループ5が表面に露出し、殺ボレリア菌抗体を生成することに関する適切な標的となるかもしれないということを論証した。Clin Vaccine Immunol. 2006 Oct;13(10):1162−5。また、国際公開第09135118号参照。しかしながら、OspCの少なくとも21のファイロタイプが発見された(Seinost et al., Infect Immun. 1999 Jul;67(7):3518−24 1999)ということを考慮すると、どの組み合わせがライム病に対して適切な保護を提供するのかは、まだ測定されていない。
よって、いくつかの実施形態では、第2のタンパク質が、異なるファイロタイプのOspCタンパク質のループ5領域(ループペプチド)およびヘリックス5領域(ヘリックス5ペプチド)由来の直鎖状エピトープを含む。現在考えられるファイロタイプは、T、U、E、A、B、K、I、H、N、C、M、D、およびFである。第2のタンパク質は、OspCの2〜13ファイロタイプ、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13ファイロタイプ由来のループおよびヘリックスペプチドを含むこととしてもよい。ペプチドの順序は重要ではない。いくつかの実施形態では、ループペプチドは、ヘリックスペプチドと間を置き、および逆もまた同様である。言い換えると、ループおよびヘリックスペプチドは、このような実施形態で連続的に配置されており、どの2つのループペプチドもそれらの間にヘリックスペプチドなく第2のタンパク質において存在すべきではなく、どの2つのヘリックスペプチドもそれらの間にループペプチドなく存在すべきではない。
当業者は、種々のOspCファイロタイプのループ領域およびヘリックス領域由来の免疫優性エピトープをどのように測定するのかを知っているであろう。例えば、異なるファイロタイプのライム病ボレリアに感染した対象由来の血清は、対応するファイロタイプのループ領域およびヘリックス領域由来の特定のペプチドと反応するかもしれず、ループペプチドおよび/またはヘリックスペプチドに対する血清に存在する抗体の結合が定量化され得(例えば、ELISA、免疫ブロット等)、よって、ペプチドが所与のOspCファイロタイプ由来の免疫優性の直鎖状エピトープを含むことに関する糸口を提供する。
同様に、抗体の殺ボレリア菌活性は、当該技術分野でよく知られる方法、例えば、一般的には、上述のような免疫優性の直鎖状エピトープによりチャレンジされた対象由来の血清とともに共インキュベート培養されたライム病ボレリア、ならびに生きているおよび死んでいるボレリアの定量化により測定されることとしてもよい。
いくつかの実施形態では、ループペプチドおよびヘリックスペプチドに関する配列は、以下の通りである:
ループペプチドIは、配列番号4と少なくとも95%同一であり
(AKLKGEHTDLGKEGVT);
ヘリックスペプチドIは、配列番号5と少なくとも95%同一であり
(KGADELEKLFESVKNLSKAAKEMLTNSVKE);
ループペプチドHは、配列番号6と少なくとも95%同一であり
(SEKFAGKLKNEHASLGKKDAT);
ヘリックスペプチドHは、配列番号7と少なくとも95%同一であり
(KGAKELKDLSDSVESLVKA);
ループペプチドNは、配列番号8と少なくとも95%同一であり
(SDDFTKKLQSSHAQLGVAGGATT);
ヘリックスペプチドNは、配列番号9と少なくとも95%同一であり
(ADELEKLFKSVESLAKAAQDALANSVNELTS);
ループペプチドCは、配列番号10と少なくとも95%同一であり
(KKLKEKHTDLGKKDAT);
ヘリックスペプチドCは、配列番号11と少なくとも95%同一であり
(AAELEKLFESVENLAKAAKEMLSNS);
ループペプチドMは、配列番号12と少なくとも95%同一であり
(NKAFTDKLKSSHAELGIANGAAT);
ヘリックスペプチドMは、配列番号13と少なくとも95%同一であり
(KGAQELEKLFESVKNLSKAAQETLNNSVKE);
ループペプチドDは、配列番号14と少なくとも95%同一であり
(SESFTKKLSDNQAELGIENAT);
ヘリックスペプチドDは、配列番号15と少なくとも95%同一であり
(KGAEELVKLSESVAGLLKAAQAILANSVKELTSPVVAESPKKP);
ループペプチドFは、配列番号16と少なくとも95%同一であり
(SEDFTNKLKNGNAQLGLAAAT);
ヘリックスペプチドFは、配列番号17と少なくとも95%同一であり
(KGAKELKDLSDSVESLVKAAQVMLTNS);
ループペプチドTは、配列番号18と少なくとも95%同一であり
(STGFTNKLKSGHAELGPVGGNAT);
ヘリックスペプチドTは、配列番号19と少なくとも95%同一であり
(KGAKELKDLSESVEALAKAAQAMLTNS);
ループペプチドUは、配列番号20と少なくとも95%同一であり
(SEKFTKKLSESHADIGIQAAT);
ヘリックスペプチドUは、配列番号21と少なくとも95%同一であり
(KGAEELDKLFKAVENLSK);
ループペプチドEは、配列番号22と少なくとも95%同一であり
(STEFTNKLKSEHAVLGLDNLT);
ヘリックスペプチドEは、配列番号23と少なくとも95%同一であり
(KGAAELEKLKAVENLSKAAQDTLKNAVKELTSPIVAESPKKP);
ループペプチドAは、配列番号24と少なくとも95%同一であり
(SETFTNKLKEKHTDLGKEGVT);
ヘリックスペプチドAは、配列番号25と少なくとも95%同一であり
(KGAEELGKLFESVEVLSKAAKEMLANSVKELTS);
ループペプチドBは、配列番号26と少なくとも95%同一であり
(SEEFSTKLKDNHAQLGIQGVT);
ヘリックスペプチドBは、配列番号27と少なくとも95%同一であり
(KGVEELEKLSGSLESLS);
ループペプチドKは、配列番号28と少なくとも95%同一であり
(SEDFTKKLEGEHAQLGIENVT);および
ヘリックスペプチドKは、配列番号29と少なくとも95%同一である
(AAELEKLFKAVENLAKAAKEM)。
いくつかの実施形態では、同じファイロタイプ由来のループおよびヘリックスペプチドは、ともに配置されており、つまり、互いに隣接している。例えば、OspCファイロタイプA由来のループペプチドおよびOspCファイロタイプAのヘリックスペプチドは、あらゆる他のOspCファイロタイプ由来のループまたはヘリックスペプチドのいずれかにより分離されるべきではない。
さらに、いくつかの実施形態では、同じOspCファイロタイプ由来のループおよびヘリックスペプチドは互いに隣接しているが、他の実施形態では、ループペプチドおよびヘリックスペプチドは、最終的なタンパク質の構造に影響を及ぼさないリンカー配列により分離されることとしてもよい。アミノ酸の特性およびタンパク質構造上のそれらの効果は当該技術分野でよく知られ、当業者は、どのアミノ酸がリンカーに適するのかを認識することができるであろう。
実施例において論証されるように、発明者は、驚くべきことに、FおよびNがイヌにおけるライム病に関連する最も流行しているOspCファイロタイプであるということを発見した。また、発明者は、ファイロタイプI、H、N、C、M、D、およびF由来のループおよびヘリックスペプチドの存在が、イヌにおけるライム病に対する保護の非常によいレベルを提供するということを発見した。異なるファイロタイプ由来のループおよびヘリックスペプチドの順序は重要ではないが、いくつかの実施形態では、第2のタンパク質は、OspCファイロタイプFタンパク質(例えば、配列番号32)のフラグメントと少なくとも95%同一であるアミノ酸配列へと続く、I構造体、H構造体、N構造体、C構造体、M構造体、D構造体を、NからC方向に含む。よって、いくつかの実施形態では、第2のタンパク質は、配列番号31(A12CF)と少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%、および好ましくは100%)同一のアミノ酸配列を含むであろう。
他の実施形態では、ファイロタイプF、T、U、E、A、B、K由来のループおよびヘリックスペプチドは、第2のタンパク質内に含まれる。いくつかの実施形態では、よって、第2のタンパク質は、NからC方向に、以下のT構造体、U構造体、E構造体、A構造体、B構造体、K構造体、I構造体、H構造体、N構造体、C構造体、M構造体、およびD構造体を含むであろう。また、任意に、第2のタンパク質は、いくつかの実施形態では、T構造体の上流にあるF構造体を含み得る。代替的に、または追加的に、第2のタンパク質は、OspCファイロタイプFタンパク質(配列番号32)のフラグメントと少なくとも95%(例えば、96%、97%、98%、99%)同一であるアミノ酸配列を含み得る。
第2のタンパク質の他の適切な実施例、並びにその製造および使用方法は、国際出願US2011/056854号(2011年10月19日に出願、発明者R. Marconi and C. Earnhart)において提供される。
ある実施形態では、免疫原性組成物は、配列番号1および配列番号30または配列番号31のいずれか1つを含むであろう。
本明細書に記載される配列は、当該技術分野でよく知られている方法により製造されることとしてもよい。ポリペプチドは、固相法を使用する直接のペプチド合成により産生されることとしてもよい(例えば、Stewart et al. (1969) Solid−Phase Peptide Synthesis, WH Freeman Co, San Francisco; Merrifield J. (1963) J Am Chem Soc 85:2149−2154参照。)。ペプチド合成は、手動の技術を用いてまたは自動化により行われることとしてもよい。自動化された合成は、例えば、製造業者により提供された指示に従って、アプライドバイオシステムズ431Aペプチドシンセサイザー(Perkin Elmer,Foster City,Calif.)を用いて達成されることとしてもよい。例えば、サブシーケンスは、全長のポリペプチドまたはそのフラグメントを提供するために、個々に化学的に合成され、および化学的方法を用いて組み合わされることとしてもよい。代替的に、このような配列は、ポリペプチドの産生を専門に扱ういくつもの組織から順序付けられることとしてもよい。最も一般的には、ポリペプチドは、以下に記載されるように、コードする核酸を発現させ、ポリペプチドを回収することにより産生されることとしてもよい。
また、例えば、ループペプチドおよびヘリックスペプチドが標的ファイロタイプのOspCタンパク質のフラグメントと100%同一である実施形態では、このようなループおよびヘリックスペプチドの核酸配列は公知であり、または一般的に利用可能なデータベース、例えば、Genbank(ジェンバンク)から容易にアクセスできる。選択されたループ/ヘリックスペプチドがOspCタンパク質の天然由来のフラグメントとはいくぶん異なる場合、コードする核酸配列は、よく知られる遺伝暗号を用いて容易に設計され得る。
多くの生物が、成長しているペプチド鎖における特定のアミノ酸の挿入に関してコードするための特定のコドンの使用に関するバイアスを表示する。コドンの選択またはコドンバイアス、生物間のコドンの使用における差異は、多くの生物間で十分に記述されている。コドンバイアスは、翻訳されるコドンの特性および特定のトランスファーRNA(tRNA)分子の利用率に順に依存すると考えられているメッセンジャーRNA(mRNA)翻訳の効率性と関連することが多い。細胞における選択されたtRNAの優位性は、一般的に、ペプチド合成において最も頻繁に使用されるコドンの反映である。従って、大半のアミノ酸は複数のコドンによりコードされるので(メチオニンは例外である)、核酸配列は、コドンの最適化に基づく所与の生物における最適な遺伝子発現に関して適合され得る。
組換えポリペプチドを産生する方法も含まれる。1つのこのような方法は、コードされたポリペプチドを産生するために有効な制御配列に操作的に結合される、上述のようなあらゆる核酸を細胞の個体群に導入することと、ポリペプチドを発現するための培地において、宿主細胞(例えば、酵母、昆虫、哺乳類の細胞、植物の細胞等)を培養することと、細胞からまたは培地からポリペプチドを分離することとを含む。核酸は、例えば、形質転換、遺伝子導入、インジェクション、遺伝子銃、受動的な取り込み等を含む、当該技術分野で知られているようなあらゆる送達方法によりこのような細胞内に導入される。当業者は、核酸が、DNAプラスミドベクター、または当該技術分野で知られるあらゆるベクターを含む、組換え発現ベクターのようなベクターの一部となるかもしれないことを認識するであろう。
代替的に、無細胞の原核生物または真核生物に基づく発現システムが用いられることとしてもよい。
いくつかの実施形態では、第1のおよび/または第2のタンパク質をコードする核酸配列は、第1のおよび/または第2のタンパク質と融合し、これにより融合タンパク質の精製を促進させるポリペプチドをコードする配列(「融合パートナー」)をさらに含むこととしてもよい。本発明の本態様のある実施形態においては、融合パートナーは、pQEベクター(Qiagen,Inc.)において提供される、ヘキサヒスチジンペプチド(配列番号47、HHHHHH)であり、Gentz et al., Proc Natl Acad Sci USA 86:821−824 (1989)に記載され、または、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応するHAタグであることとしてもよい(Wilson, I., et al., Cell 37:767, 1984)。また、ポリヌクレオチドは、転写された非翻訳配列、スプライシングおよびポリアデニレーションシグナル、mRNAを安定化させるリボソーム結合部位および配列のような、非翻訳領域の5’および3’配列を含むこととしてもよい。
本明細書に記載される免疫原性組成物は、イヌにおけるライム病の徴候の重症度を防止または減少させるために特に適する。よって、他の態様においては、本発明は、上記のあらゆる実施形態による免疫原性組成物を含むワクチン、および適切なアジュバントを提供する。
本発明の免疫原性組成物の第1および第2のタンパク質は、免疫学的に効果のある量で、つまり、イヌにおいて免疫応答を引き起こすために十分な量で存在すべきである。いくつかの実施形態では、第1のタンパク質の濃度は、1と100ug/mlの間(例えば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90ug/ml)であり、第2のタンパク質の濃度は、1と200ug/mlの間(例えば、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190ug/ml)である。いくつかの実施形態では、第1のタンパク質の量は約10と50ug/mlの間であり、第2のタンパク質の量は20と100ug/mlの間である。
本発明による使用に関して適切なアジュバントは、岩塩、例えば、ミョウバン、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムゲル(例えば、Rehydragel(登録商標))、リン酸アルミニウムおよびリン酸カルシウム;界面活性剤および微粒子、例えば、非イオンブロックポリマー型界面活性剤、コレステロール、ビロソーム、サポニン(例えば、QuilA、QS−21およびGPI−0100)、プロテオソーム、免疫刺激複合体、コクリエート(cochleates)、第4級アミン(ジメチルジオクタデシル(diocatadecyl)アンモニウムブロミド(DDA))、ピリジン、ビタミンA、ビタミンE;細菌産生物、例えば、RIBIアジュバントシステム(Ribi Inc.)、マイコバクテリウム・フレイ(Mycobacterum phlei)の細胞壁骨格(Detox(登録商標))、ムラミルジペプチド(MDP)およびトリペプチド(MTP)、モノホスホリルリピッドA、無菌化ウシ型結核菌(Bacillus Calmete−Guerin)、熱不安定性の大腸菌のエンテロトキシン、コレラトキシン、トレハロースジミコレート、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(oligodeoxnucleotide);サイトカインおよびホルモン、例えば、インターロイキン(IL−1、IL−2、IL−6、IL−12、IL−15、IL−18)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、デヒドロエピアンドロステロン、1,25‐ジヒドロキシビタミンD;ポリアニオン、例えば、デキストラン;ポリアクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート、Carbopol 934P);担体、例えば、破傷風トキソイド(tetanus toxid)、ジフテリア(diptheria)トキソイド、コレラトキシンBサブユニット(subnuit)、腸内毒素原性の大腸菌の(rmLT)変異した熱不安定性のエンテロトキシン、熱ショックタンパク質;水中油型乳剤、例えば、AMPHIGEN(登録商標)(Hydronics,USA);並びに油中水型乳剤、例えば、フロイント完全および不完全アジュバントのようないくつかのアジュバントのクラスを含むがこれらに限定されない。他の実施形態では、また、SPオイルが使用されることとしてもよい。本明細書で使用されるように、用語「SPオイル」は、ポリオキシエチレン‐ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、スクアラン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、および緩衝塩溶液を含むオイルエマルジョンを示す。一般的に、SPオイルエマルジョンは、約1〜3%vol/volのブロックコポリマー、約2〜6%vol/volのスクアラン、とりわけ約3〜6%のスクアラン、および約0.1〜0.5%vol/volのポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを、緩衝塩溶液となる残りとともに含むであろう。
本明細書に記載されるワクチンは、そのような他の病原体に起因する疾病に対してイヌにおける保護的な免疫応答を誘導することが可能な、他のイヌ病原体由来の少なくとも1つの抗原と組み合わされる、上記免疫原性組成物を含むコンビネーションワクチンとしてもよい。
このような他の病原体は、イヌジステンパー(CD)ウイルス、イヌアデノウイルス2型(CAV−2)、イヌパラインフルエンザ(CPI)ウイルス、イヌパルボウイルス(CPV)、イヌコロナウイルス(CCV)、イヌヘルペスウイルス、および狂犬病ウイルスを含むがこれらに限定されない。本発明のワクチン組成物における使用に関するこれらの病原体由来の抗原は、変更された生きているウイルス調製物、不活化されたウイルス調製物、またはサブユニットタンパク質調製物の形態におけるものであり得る。また、他の実施形態では、組換えCDV(イヌジステンパーウイルス)が使用されることとしてもよい。これらのウイルスの毒性株を弱毒化する方法、および不活化されたウイルス調製物を作製する方法は、当該技術分野で知られており、例えば、米国特許第4,567,042号および米国特許第4,567,043号に記載されている。
また、他の病原体は、レプトスピラ・ブラチスラバ(Leptospira bratislava)、レプトスピラ・キャニコーラ(Leptospira canicola)、レプトスピラ・グリポチフォサ(Leptospira grippotyphosa)、レプトスピラ・イクテラヘモラジエ(Leptospira icterohaemorrhagiae)、レプトスピラ・ポモナ(Leptospira pomona)、レプトスピラ・ハージョボビス(Leptospira hardjobovis)、ポルフィロモナス菌種(Porphyromonas spp.)、バクテロイデス菌種(Bacteriodes spp.)、リーシュマニア菌種(Leishmania spp.)、エーリキア菌種(Ehrlichia spp.)、マイコプラズマ菌種(Mycoplasma ssp.)、アナプラズマ菌種(Anaplasma ssp.)、およびミクロスポラム・カニス(Microsporum canis)を含む。本発明のワクチン組成物における使用に関するこれらの病原体由来の抗原は、当該技術分野において十分知られている方法を用いて、不活化された全体または部分的な細胞調製物の形態であり得る。例えば、不活化された全体または部分的なレプトスピラ細胞調製物を作製する方法は、当該技術分野において知られており、例えば、Yan, K−T, 「Aspects of Immunity to Leptospira borgpetersenii serovar hardjo」, PhD Thesis, Appendix I, 1996. Faculty of Agriculture and Food Science, The Queen’s University of Belfast;Mackintosh et al.,「The use of a hardjo−pomona vaccine to prevent leptospiruria in cattle exposed to natural challenge with Leptospia interrogans serovarhardjo」, New Zealand Vet. J. 28:174−177, 1980;Bolin et. al., 「Effect of vaccination with a pentavalent leptopsiral vaccine on Leptospira interrogans serovar hardjo type hardjo−boivs infection of pregnant cattle」, Am. J. Vet. Res. 50:161−165, 1989に記載されている。
本発明によれば、少なくとも6週齢、または少なくとも7週齢、または少なくとも8もしくは9週齢のイヌにワクチンを投与することができる。投与は、経口、鼻腔内、粘膜局所、経皮、および非経口(例えば、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、または筋肉内)を含む、あらゆる公知のルートによりなされ得る。また、投与は、針を用いない送達装置を用いて達成され得る。また、投与は、例えば、非経口(parental)ルートを用いる最初の投与、および粘膜ルートを用いる後の投与のルートの組み合わせを用いて達成され得る。いくつかの実施形態では、投与のルートは皮下および筋肉内投与を含む。
本明細書に挙げられる全ての文献、特許文献および非特許文献はともに、本発明が属する当業者の技術のレベルを示す。これらの全ての文献は、参照により組み込まれる個々の文献がそれぞれ具体的におよび個別に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に十分に組み込まれる。
本発明の理解をより明確にするために、以下の実施例が以下に挙げられる。これらの実施例は、単に例示であって、いかなる方法においても、本発明の範囲または基礎原理を限定しないことが理解される。実際に、本明細書に示されかつ記載されるものに加えて、本発明の種々の変更が、以下に示される実施例および上述の記載から当業者にとってあきらかとなるであろう。また、このような変更は、付加された請求の範囲の範囲内に属することが意図される。
実施例1 イヌにおけるライム病に関するライム病ボレリアOspCファイロタイプの測定
成体のイクソデス・スカプラリス(Ixodes scapularis)マダニは、南ロードアイランドでフラッギング法(flagging)により採取された。ライム病ボレリアに感染したマダニのパーセンテージは、一般的な方法を用いて直接蛍光顕微鏡検査法を通じて測定され、抗ライム病ボレリア抗体を標識した。
全ての手順が動物保護法の規則に準じて行われ、イヌは農場犬の農業標準操作手順(Farm Canine Husbandry Standard Operating Procedure)に従って維持された。15の目的で育てられた両方の性別のイヌ(7匹の雄、8匹の雌;9〜10週齢;Marshall Bioresources)は、識別番号が与えられ、T01(n=4)、T02(n=4)、T03(n=4)およびT04(n=3)のように示される4つの研究グループに分けられた。イヌはエリザベスカラーを取り付けられ、1つの上に1つのコンドミニアムスタイルのケージに収容された。マダニ寄生の1日前に、各イヌから血清が採取された。研究グループT01、T02、T03、およびT04におけるイヌは、中央の胸部の両側に配置された固定寄生チャンバを用いて、0、25、50、または75の成体のイクソデス・スカプラリスマダニにそれぞれ寄生された。マダニは、満腹になるまで食べさせられて除去され、血清サンプルおよび皮膚生検が(寄生の開始に対して)49および90日目で採取された。抗体陽転がSNAP 4DXテスト(IDEXX)により評価された。スピロヘータを培養するために、各皮膚生検の一部が、BSK‐H培地(6%ウサギ血清;37EC、5%CO)中に配置された。クローンの個体群が、以前に記載したように、表面下のプレーティング(sub−surface plating)による培地から得られた。コロニーはプレートから採取され、培養のためにBSK‐H培地中に配置された。
サプライヤーにより指示されたようにQiagen DNeasy Kitを用いて皮膚生検からDNAを抽出した。さらに、以前に記載したように、ライム病ボレリアのクローンの個体群の培養物からDNAを抽出した。ospC遺伝子は、組織(100ng)から抽出されたDNAおよびボイルしたライム病ボレリア細胞溶解物(1:l上清;GoTaqポリメラーゼ)から得られたDNAを用いてPCR増幅された。全てのPCRは、標準的な条件を用いて実行された。各反応の一部は、アガロースゲル電気泳動およびエチジウムブロマイド染色により評価された。残りのPCR産物は、ゲルから切除され(Qiagen Gel Extraction Kit;QIAGEN)、pET46Kk/LICベクター(Novagen)によりアニールされた。プラスミドは、大腸菌NovaBlue細胞(Novagen)において増殖された。コロニーは、PCRによりospC遺伝子に関してスクリーニングされた。PCRに関するテンプレートは、各ospC陽性、大腸菌コロニーの一部をボイルすることにより生成された。また、コロニーの一部は、LB培地(2ml)内に播種され、一晩培養され、遠心分離により収穫され、Qiagen MiniPrep kit(QIAGEN)を用いてプラスミド抽出された。PCRに使用されたプライマーは以下のとおりである(5’から3’):
OspC−F1
GACGACGACAAGATTGAATACATTAAGTGCAATATTAATGAC(配列番号33)
OspC−R1
GAGGAGAAGCCCGGTTTACAAATTAATCTTATAATATTGATCTTAATTAAGG(配列番号34)
DNAシーケンシングがEurofinsのMWG Operonにより行われた。ネイバージョイニングツリーは、デフォルトセッティングによるマルチプルアライメントモードにおいて、ClustalX2.0.10ソフトウェアおよびGonnetマトリクスを用いて生成され、N−J Plotバージョン2.2を用いて視覚化された。
結果
ロードアイランドから採取されたマダニにおけるライム病ボレリアの罹患率の分析。直接蛍光顕微鏡検査法を用いて、南ロードアイランドにおいてフィールド採取されたイクソデス・スカプラリスマダニの約50%がライム病ボレリアに感染していることが測定された。このことは、これまでに報告されているこのエリアにおけるマダニ感染率と一貫性がある。
マダニの寄生を通じたライム病ボレリアによるイヌの感染。この研究の開始時に、全てのイヌが、免疫ブロット分析を通じておよびSNAP 4DX分析(IDEXX)を用いるライム病ボレリアの使用を通じて血清陰性であることが確認された。天然の伝染経路を介してライム病ボレリアにイヌを感染させるために、フィールド採取されたマダニはイヌを食糧にした。マダニにおける感染率は約50%であったため、増加させた数のマダニ(0、25、50、または75)がイヌに配置された。血清サンプルがマダニの寄生後49日で採取され、免疫学的なステータスが評価された。マダニに寄生されたイヌの11匹のうち10匹がライム病ボレリアに関して血清陽性であった。全ての陰性対照の(マダニにより寄生されていない)イヌは、血清陰性であった。トータルのDNAが各イヌから採取された皮膚生検から抽出され、ospCおよびflaBプライマーセットを用いたPCRにより、ライム病ボレリアに関して試験された。全ての血清陽性のイヌが予測されたサイズのospCおよびflaBアンプリコンをもたらした。全ての血清陰性イヌは、両方の遺伝子に関してPCR陰性であった。
感染したイヌ組織において発見されたストレインにおけるOspCの多様性の分析。マダニにさらされたイヌの皮膚において持続したストレインのospCの遺伝子型を測定するために、ospCは、皮膚生検から抽出されたDNAからPCR増幅された。結果として得られたアンプリコンはpET46 Ek/LIC内でクローン化され、プラスミドは大腸菌で増殖した。プラスミドは、その後、5以上の別個の大腸菌コロニーから分離され、ospC配列が測定された。配列アラインメントおよびデンドログラム(dendogram)構造(図1)は、10匹のうち6匹のイヌにおけるいくつかの異なるospCタイプを産生するストレインの持続性を論証した(表1)。複数のマダニが各イヌを感染させるために使用されたため、この観察は驚くべきことではない。OspCタイプA、B、F、I、およびNは、最も流行しているタイプFおよびN(それぞれ、5/10匹および7/10匹のイヌ)とともに確認された。
感染したイヌにおいて存在するospC遺伝子型の範囲をさらに定義するために、皮膚生検由来の培養物が、クローンの個体群を得るためにプレートに播かれた。このアプローチにより、バイオプシー(biospy)サンプルのPCRにより検出されなかったospCタイプを発現するストレインを確認することができる。個々のライム病ボレリアコロニーは、その後、PCRによりospCに関して試験された(図2)。追加のospCタイプは、6匹のうち3匹のイヌにおいて確認された。ともに同じイヌから発生した、2つの確認されたOspCタイプは、これまで確認されていなかった。これらの系統発生のタイプは、DRI85aおよびDRI85eとして示された。このアプローチによって確認される他のospCタイプは、タイプE、F、H、I、N、U、およびTを含んだ(表1)。まとめると、これらの分析において、合計で11の異なるOspCタイプが検出された。
Figure 2015514776
本研究では、発明者は、イヌにおいてうまく感染を確立して持続したライム病スピロヘータストレインのospC遺伝子型を決定した。ロードアイランド由来のフィールド採取されたイクソデス・スカプラリスマダニは、実験用のイヌを食糧にし、49日後に皮膚に存在するストレインのospC遺伝子型を測定した。合計で11の異なるOspCタイプが確認された。ヒトにおいてこれまで検出されなかったOspCタイプFは、最も頻繁に検出されたOspCタイプであった(感染したイヌの50%)。ヒトにおいて非常に低い頻度で発生するタイプB、N、およびUも検出された。これまで定義されなかった2つのospCタイプ(DRI85aおよびDRI85e)も回収された。本研究で観察された多様性は、ローカルのライム病ボレリア個体群内のいくつかのospC系統発生のタイプの持続を論証した早期の研究と一貫性がある。本研究で使用されるマダニが単一の地理的領域から採取されたという点で、ロードアイランドにおいて十分に現れない他のOspCタイプを発現するストレインはまた、イヌを感染させるための適格性があり得る。この注意にもかかわらず、本研究は、ヒト感染にこれまで関連のなかったOspCタイプがイヌに効率的に感染し得、これにより新たな生成イヌライム病ワクチンの合理的な設計を促進することを最初に論証する。
実施例2 イヌにおける、組換えキメラライム病ボレリア(borrelia burgdoferi)OspC/OspAワクチンの有効性
全て一般的に健康な、30匹のイヌが、研究のために選択された。血液サンプルが、最初のワクチン接種の前に採取された。イヌは、表2に記載されるような、以下のワクチンの1つを受けた。T01:PBS(対照製品);T02:20ug/ml OspA+30ug/ml A12CF(配列番号31);T03:20ug/ml OspA+30ug/ml A10CF(配列番号30)。(A12CFは、単一のポリペプチドを形成するために結合された複数のOspCファイロタイプ由来のエピトープからなる。また、A10CFは、複数のOspCファイロタイプ由来のエピトープからなり;その設計はA12CFのそれと類似している。)イヌは、8および11週齢で、2度のワクチン接種を受け、その後14週齢でチャレンジした。ワクチン接種後、イヌは、反応または異常に関して20分間観察された。注入部位は、腫脹、痛み、熱、膿瘍、排液等に関して、1、2、3、および22、23、24日目に観察された。各イヌは、マダニを配置する1日前に、エリザベス(E)カラーを取り付けられ、イヌは、決まった位置にEカラーを付けたままで移動し、食べて飲むためのそれらの能力に関してモニタリングされた。米国北東から採取された、イクソデス・スカプラリスの成体マダニの20から40のペア(雄、雌)が、各イヌの背部の中央に沿って配置され、7〜10日の期間、満腹になるまで食べさせた。血清サンプルおよび皮膚生検が所定の間隔で採取され、感染をモニタリングするために分析された。飽食しまたは付着していない、生育不能なマダニが採取され、4℃で保管された。チャレンジの最後に、残っているマダニが取り除かれて保存され、イヌは、ラベルに従って局所ダニ駆除剤で処理され、30日後に2回目の適用が続いた。イヌは、外見と行動の全体に関して毎日観察された。臨床的観察が行われ(跛行および運動失調)、いずれかが観察される場合には、臨床徴候が低下するまで、イヌの体温(鼓膜)が測定され/毎日記録された。血液採取および皮膚生検は、マダニの受け取りおよびその後の寄生に基づいて、スケジュール/タイミングのずれを除いて、プロトコールごとに行われた。パンチ皮膚生検は、背部の頚部領域上のマダニが付着している一般的な部位に近くで採取され、血液採取と同時となるように時間を定めた。最後の生検は、安楽死後で検死前にすぐに採取された。
Figure 2015514776
結果
ワクチン接種後にいずれのイヌにおいても反応または異常は観察されず、注入部位におけるあらゆる異常(腫脹、痛み、熱、膿瘍、排液等)もなかった。鼓膜プローブを用いて測定された体温は、明らかなまたは持続した上昇を示さなかった。断続的な跛行は、A12CF+OspA(T02)によるワクチン接種を受けた2匹のイヌにおいて発生し、ワクチン接種を受けていないグループ(T01)における1匹のイヌは、192〜193日目に足が不自由になった。運動失調は、研究中のいずれのイヌにおいても観察されなかった。皮症、咬傷、擦過傷、軟便、外耳炎等を含む異常な健康事象は、研究中の何匹かのイヌにおいて観察されたが、いずれもワクチンまたはワクチン接種に起因するものではなかった。
活性化したライム病ボレリア(borrelia burgdoferi)感染を示す血清学的応答が、146日目に、対照のイヌの10匹のうち8匹(T01)、およびT02における1匹のイヌにおいて観察された。9匹の対照のイヌ(T01)は血清学的に177日目で陽性であり、T01における全てのイヌが研究の結果において陽性であった。対照的に、研究の結果に対して、177日目から陽性であった各ワクチン接種を受けた群における1匹のイヌのみであった。
本研究において使用されるマダニは、ライム病ボレリア(B.burgdoferi)およびアナプラズマ(Anaplasma)により二重に感染されていた。血清学的分析の結果は、マダニがうまくイヌに対してアナプラズマを伝染させたことを示す。このことは、ライム病ボレリア(B.burgdoferi)に対するワクチン構造体(T02、T03)の特異性を支持する。
OspAおよびOspCのそれぞれに対する幾何平均力価として表されるELISA値が、全ての日におけるT01対T02、およびT01対T03を、146日目のOspCに関するT01対T02の比較の例外と比較したとき、有意に異なった(表3)。
Figure 2015514776
対照のイヌ(T01)およびT02におけるイヌ(A12CF+OspA)由来のチャレンジ後段階中に採取された血清サンプルは、生きているライム病ボレリア(B.burgdoferi)生物に特異的である、ELISAにおいて分析された。T01対T02に関する幾何平均力価は、146日目で90対6;177日目で116対7;および198日目で87対7であった。よって、これらの結果は、ライム病ボレリア(B.burgdoferi)に対するワクチンの保護的効果をサポートする。
皮膚パンチ生検サンプルは、生存に適したスピロヘータに関して培養された。グループT01において、146日目の4匹のイヌ、177日目の5匹のイヌは、培養陽性であった。T02およびT03のそれぞれにおける1匹のイヌは、177日目にスピロヘータ陽性皮膚培養を有していた。非陽性の培養は、研究の結果におけるいずれのグループからも得られなかった。また、皮膚パンチ生検は、146日目に、ライム病ボレリア(B.burgdoferi)の存在に関する、flaBおよびospC特異的プライマーを用いるPCRにより評価された。T01における5匹のイヌはflaBに関して陽性であり、一方、3匹はospCに関して陽性であった。T02またはT03におけるいずれのイヌも、PCR反応のいずれに関しても陽性ではなかった。
関節および皮膚部位の試験は、T02またはT03のいずれかによるワクチン接種は、感染に対してワクチン保護された(データは示されない)ということを微視的に論証した。ワクチン接種を受けたイヌは、ライム病の特徴であるような、それらの関節および皮膚においてほとんど変化がなかった。このような変化があった場合には、ワクチン接種を受けていない対照のイヌ由来の組織と比較したとき、ワクチン接種を受けたイヌにおいて、それらはより少ない重症度であった。関節における病変を有するイヌの数に基づいて、2つのワクチン(T02;T03)間でわずかに差があった(T02に関して6;T03に関して7)。しかしながら、どの構造体がよりよい保護を提供したのかについての最終的な結論を記載することはできない。
結論として、A12CF+OspA(T02)およびA10CF+OspA(T03)の両方が、イクソデス・スカプラリスマダニにより伝染される、ライム病ボレリア(B.burgdoferi)感染に対してイヌを保護するのに有効であった。

Claims (26)

  1. A)配列番号1と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む第1のタンパク質と、
    B)OspCファイロタイプFおよびNの免疫優性エピトープを含む第2のタンパク質と、
    を含む、免疫原性組成物。
  2. 前記第1のタンパク質が配列番号1を含む、請求項1の免疫原性組成物。
  3. 前記第2のタンパク質は、
    i)OspCファイロタイプI、H、C、M、およびDの、ループ5領域(ループペプチド)およびアルファヘリックス5領域(ヘリックスペプチド)由来の免疫優性エピトープと少なくとも95%同一の複数のペプチドと、
    ii)少なくとも1つの
    a)互いに隣り合う、OspCファイロタイプFのループペプチドおよびOspCファイロタイプFのヘリックスペプチド、または
    b)配列番号32と95%同一のアミノ酸配列、
    を含む、請求項1または2の免疫原性組成物。
  4. ループペプチドIは配列番号4であり;
    ヘリックスペプチドIは配列番号5であり;
    ループペプチドHは配列番号6であり;
    ヘリックスペプチドHは配列番号7であり;
    ループペプチドNは配列番号8であり;
    ヘリックスペプチドNは配列番号9であり;
    ループペプチドCは配列番号10であり;
    ヘリックスペプチドCは配列番号11であり;
    ループペプチドMは配列番号12であり;
    ヘリックスペプチドMは配列番号13であり;
    ループペプチドDは配列番号14であり;
    ヘリックスペプチドDは配列番号15である、請求項1および2のいずれか1つの免疫原性組成物。
  5. 前記第2のタンパク質は、該第2のタンパク質のカルボキシ末端で、配列番号32と95%同一のアミノ酸配列を含む、請求項1から3のいずれか1つの免疫原性組成物。
  6. 前記第2のタンパク質は、I構造体、H構造体、N構造体、C構造体、M構造体、D構造体を、NからC方向に含む、請求項1から5のいずれか1つの免疫原性組成物。
  7. 前記第2のタンパク質は、OspCファイロタイプT、U、Eの、ループ5領域(ループペプチド)およびアルファヘリックス5領域(ヘリックスペプチド)由来の免疫優性エピトープと95%同一の複数のペプチドをさらに含む、請求項1から6のいずれか1つの免疫原性組成物。
  8. 前記第2のタンパク質は、T構造体、U構造体、E構造体を、NからC方向に含む、請求項7の免疫原性組成物。
  9. ループペプチドTは配列番号18であり;
    ヘリックスペプチドTは配列番号19であり;
    ループペプチドUは配列番号20であり;
    ヘリックスペプチドUは配列番号21であり;
    ループペプチドEは配列番号22であり;
    ヘリックスペプチドEは配列番号23である;請求項7または8の免疫原性組成物。
  10. 前記第2のタンパク質は、OspCファイロタイプA、B、Kの、ループ5領域(ループペプチド)およびアルファヘリックス5領域(ヘリックスペプチド)由来の免疫優性エピトープと95%同一の複数のペプチドをさらに含む、請求項1から9のいずれか1つの免疫原性組成物。
  11. 前記第2のタンパク質は、A構造体、B構造体、K構造体を、NからC方向に含む、請求項10の免疫原性組成物。
  12. ループペプチドAは配列番号24であり;
    ヘリックスペプチドAは配列番号25であり;
    ループペプチドBは配列番号26であり;
    ヘリックスペプチドBは配列番号27であり;
    ループペプチドKは配列番号28であり;
    ヘリックスペプチドKは配列番号29である、請求項11の免疫原性組成物。
  13. 前記第2のタンパク質は、前記T構造体、前記U構造体、前記E構造体、前記A構造体、前記B構造体、前記K構造体を、NからC方向に含む、請求項10から12のいずれか1つの免疫原性組成物。
  14. 前記第2のタンパク質は、前記T構造体、前記U構造体、前記E構造体、前記A構造体、前記B構造体、前記K構造体、前記I構造体、前記H構造体、前記N構造体、前記C構造体、前記M構造体、前記D構造体を、NからC方向に含む、請求項13の免疫原性組成物。
  15. 前記F構造体は前記T構造体の上流であり、配列番号32と95%同一の前記アミノ酸配列は前記D構造体の下流である、請求項12の免疫原性組成物。
  16. ループペプチドFは配列番号16であり;
    ヘリックスペプチドFは配列番号17である、請求項15の免疫原性組成物。
  17. 各ファイロタイプ由来の前記ループペプチドと前記ヘリックスペプチドは互いに隣接している、請求項1から16のいずれか1つの免疫原性組成物。
  18. 各ファイロタイプについての前記ループペプチドおよび前記ヘリックスペプチドは連続的に配置されている、請求項1から17のいずれか1つの免疫原性組成物。
  19. 各ファイロタイプについての前記ループペプチドは、そのファイロタイプについての対応する前記ヘリックスペプチドの上流である、請求項1から18のいずれか1つの免疫原性組成物。
  20. a.前記第1のタンパク質は配列番号1であり;
    b.前記第2のタンパク質は配列番号30である、請求項1から19のいずれか1つの免疫原性組成物。
  21. a.前記第1のタンパク質は配列番号1であり;
    b.前記第2のタンパク質は配列番号31である、請求項1から19のいずれか1つの免疫原性組成物。
  22. イヌにおいて疾病を生じさせ得る微生物による感染の病理学的作用を防止または低減する、少なくとも1つのさらなる抗原をさらに含む、請求項1から21のいずれか1つの免疫原性組成物。
  23. 前記微生物は、イヌジステンパー(CD)ウイルス、イヌアデノウイルス2型(CAV−2)、イヌパラインフルエンザ(CPI)ウイルス、イヌパルボウイルス(CPV)、イヌコロナウイルス(CCV)、イヌヘルペスウイルス、および狂犬病ウイルスからなる群から選択される、請求項22の免疫原性組成物。
  24. 請求項1から23のいずれか1つの前記免疫原性組成物およびアジュバントを含む、ワクチン組成物。
  25. 前記アジュバントは、岩塩、界面活性剤および微粒子、細菌産生物、サイトカインおよびホルモン、担体、水中油型乳剤および油中水型乳剤からなる群から選択される、請求項24のワクチン組成物。
  26. 免疫学的に効果のある投与量の、請求項24および25のいずれか1つの前記ワクチン組成物を、それを必要とする前記イヌに投与することを含む、イヌにおけるライム病ボレリアによる感染の病理学的作用を防止または低減する、方法。
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