JP2015512268A - タンパク質、低分子量乳化剤及びヒドロキシプロピルデンプンを含むクリーマー組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、低い脂肪レベルであっても又は無脂肪クリーマー組成物としても、良好な物理的安定性及び口当たりを有する、例えばコーヒー飲料に加えるために使用する、クリーマー組成物に関する。クリーマーは、タンパク質、低分子量乳化剤、及びヒドロキシプロピルデンプンを含む。本発明はさらに、クリーマーの製造方法、クリーマーを含む飲料組成物、及び飲料組成物の製造方法に関する。【選択図】なし
Description
本発明は、例えばコーヒー、茶及びココア飲料に加えるために使用することのできる、クリーマー、並びにクリーマーの製造方法に関する。
クリーマーは、ホット飲料及びコールド飲料、例えば、コーヒー、ココア、茶などに添える白色化剤(whitening agent)として広く使用される。クリーマーは、乳及び/又は乳クリームの代わりに一般に使用される。クリーマーは、様々な異なる風味のものが売られ、口当たり、こく、及びより滑らかなテクスチャーをもたらし得る。クリーマーは、液体又は粉末の形態であり得る。液状クリーマーは、周囲温度又は冷蔵での貯蔵が意図され得、相分離、クリーム分離、ゲル化及び沈降なしに、貯蔵の間、安定性を有するべきである。クリーマーはまた、時間を経ても一定の粘度を保持すべきである。コーヒーや茶などのコールド飲料又はホット飲料に加えられたとき、クリーマーは、優秀な食味及び口当たりを提供しながらも、すばやく溶解し、良好な白色化能をもたらし、フェザーリング及び/又は沈降なしに安定しているべきである。濃厚さ、テクスチャー、又はクリーミー感とも表される口当たりは、通常は、クリーマー中に存在する油性エマルションによってもたらされる。しかし、消費者は、低脂肪又は無脂肪の低カロリー飲料を探し求めており、そのような製品では、消費者がクリーマーに期待する口当たりを得ることは難しい。液状クリーマー自体の粘度を向上させるための解決策でも、多くの場合、クリーマーが少量加えられる飲料において、所望の口当たりは得られない。クリーマー自体の過度の粘度又は安定性の喪失を伴うことなく、最終飲料において所望の口当たりを得ることは難題である。加工デンプンは、高い粘度及び高度なテクスチャーが望ましい製品、例えば、即席デザート、ピザのトッピング、冷凍食品、アイスクリーム、冷凍ケーキ、乾燥ミックス粉(dry mix)(カップケーキ、マフィン、ケーキ、クッキー、セルフソーシングプディング(self−saucing pudding))、風味付けされたトッピング及びソース、マヨネーズ、スナック及びミューズリーバー、及びグレイビーソースにおいて通常は使用される。
上述の議論を考慮すると、液状であり、流し込み可能であり、飲料に加えたとき所望の口当たりをもたらすことに加え、均質であり、保存性があり、良好な物理的安定性を有する、脂肪を含まない又は脂肪含量が低減された液状クリーマーの創出には、数多くの難題が立ちはだかる。
本発明者らは、意外にも、飲料に液状クリーマーを加えたときの口当たりを向上させ、過度の粘度を伴わずに良好な物理的安定性を得るためにヒドロキシプロピルデンプンを使用することができることを見出した。したがって、本発明は、タンパク質、ヒドロキシプロピルデンプン、及び低分子量乳化剤を含むクリーマー組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、本発明のクリーマー組成物の製造方法、並びに飲料組成物の調製方法に関する。
本発明によれば、良好な物理的安定性を有し、飲料に加えたとき心地よい口当たりをもたらすクリーマー組成物が提供される。物理安定性とは、油滴の凝集及び/又は合体、例えば、製品の上部にクリーム層を形成する油滴の凝集及び/又は合体により、組成物の上部に脂肪が結晶化すること及び/又は油に富んだ画分が形成することによる、相分離、詰まり形成、フロキュレーション、及び/又は脂肪の凝集に対する、安定性を意味する。
クリーマー組成物とは、食品組成物、例えばコーヒーや茶などに加えて、色(例えば、白色化効果)、風味、テクスチャー、口当たりなどの特定の特徴、及び/又は他の所望の特徴を付与することが意図された組成物を意味する。本発明のクリーマー組成物は、液体形態であることが好ましいが、粉末化された形態であってもよい。
本発明のクリーマー組成物は、ヒドロキシプロピルデンプンを含む。ヒドロキシプロピルデンプンは、天然デンプンの誘導体である。天然デンプン中の直鎖状及び分枝状炭水化物ポリマーは、各グルコース単位上に3つの反応性OH基を有する。ヒドロキシプロピルデンプンを製造する際、こうしたポリマーをプロピレンオキシドと反応させ、ヒドロキシプロピル(CH(OH)CH2CH3)基をOHの位置でエーテル結合によって付加する。修飾は、25%までの濃度のプロピレンオキシドによって行うのが普通であり、得られたデンプンは、多くの場合、エーテル化後に、軽く酸化させ、漂白し、又は酸で変性させる。置換は、25%のプロピレンオキシドを使用する場合、100グルコピラノース単位あたり最大40のエーテル結合になり、5%のプロピレンオキシドを使用する場合、100グルコピラノース単位あたり4〜6のエーテル結合になる。
ヒドロキシプロピルデンプンは、本発明のクリーマー組成物中に、約0.2%〜約2%(重量/重量)の間、例えば0.3%〜約1.5%の間、より好ましくは約0.4%〜約1%の間の量で存在することが好ましい。ヒドロキシプロピルデンプンの濃度が高すぎる場合では、相分離が起こることもある。
本発明のクリーマー組成物は、タンパク質、好ましくは約0.1%(重量/重量)〜約3%の間のタンパク質、例えば約0.2%(重量/重量)〜約2%の間のタンパク質、より好ましくは約0.5%(重量/重量)〜約1.5%のタンパク質を更に含む。タンパク質は、適切な任意のタンパク質、例えば、カゼイン、カゼイン塩、ホエータンパク質などの乳タンパク質、植物性タンパク質、例えば、大豆及び/若しくはエンドウ豆タンパク質、及び/又はこれらの組合せとすることができる。タンパク質は、カゼインナトリウムであることが好ましい。組成物中のタンパク質は、乳化剤として働き、テクスチャー及び/又は白色化効果を与え得る。タンパク質の濃度が少なすぎると、液状クリーマーの安定性が低下することもある。タンパク質濃度が高すぎると、製品の粘度は、所望されるより高くなり、液体加工には高くなりすぎる場合もある。
本発明のクリーマー組成物は、低分子量乳化剤を含む。低分子量乳化剤とは、分子量が1500g/mol未満である乳化剤を意味する。エマルションは、熱力学的に不安定であり、エマルションの相は、時と共に分離する。乳化剤とは、水中油型エマルションの2つの相の界面を安定化し、相分離の速度を減速する化合物を意味する。
低分子量乳化剤としては、限定はしないが、モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、トリオレイン酸ソルビタン、グリセロールジオレイン酸エステル、トリステアリン酸ソルビタン、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、グリセロールモノオレイン酸エステル及びモノステアリン酸エステル、モノオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、グリセロールソルビタンモノパルミチン酸エステル、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、レシチン、リゾレシチン、モノ及び/又はジグリセリドのコハク酸エステル、モノ及び/又はジグリセリドの乳酸エステル、レシチン、リゾレシチン、並びに脂肪酸のスクロースエステルが挙げられる。低分子乳化剤は、例えば、約0.05%〜1.0%(重量/重量)の間、好ましくは約0.1%〜0.8%の間の量で存在してもよい。低分子乳化剤のレベルが高すぎる又は低すぎると、例えばクリーム分離の形で、不安定になる場合もある。
一実施形態では、本発明によるクリーマー組成物は、モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、トリオレイン酸ソルビタン、グリセロールジオレイン酸エステル、トリステアリン酸ソルビタン、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、グリセロールモノオレイン酸エステル及びモノステアリン酸エステル、モノオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、グリセロールソルビタンモノパルミチン酸エステル、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、レシチン、リゾレシチン、モノ及び又はジグリセリドのコハク酸エステル、モノ及び/又はジグリセリドの乳酸エステル、レシチン、リゾレシチン、脂肪酸のスクロースエステル、レシチン(例えば、大豆レシチン、カノーラレシチン、ヒマワリレシチン、及び/又はベニバナレシチン)、リゾレシチン、並びにこれらの組合せの中から選択される低分子量乳化剤を含む。
親水性及び親油性は、乳化剤間で異なり、2つのバランスは、親水性−親油性バランスHLB値と呼ばれる。HLB値は、分子の異なる領域の親水性又は親油性の値を算出することにより求める。種々の参考文献がHLB値について論じている。例は、参照により本明細書に援用される、Griffin WC:「Classification of Surface−Active Agents by ‘HLB’」、Journal of the Society of Cosmetic Chemists 1(1949):311、又はGriffin WC:「Calculation of HLB Values of Non−Ionic Surfactants」、Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5(1954):259である。乳化剤のHLB値は通常、0〜20の範囲である。低いHLB値は、約1〜約5の範囲である。中程度のHLB値は、約5〜約10の範囲である。低HLB値の低分子量乳化剤としては、限定はしないが、単独又は組合せの、モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、トリオレイン酸ソルビタン、グリセロールジオレイン酸エステル、トリステアリン酸ソルビタン、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、グリセロールモノオレイン酸エステル及びモノステアリン酸エステルを挙げることができる。中HLB値の低分子量乳化剤としては、限定はしないが、単独又は組合せの、モノオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、カルシウムステアロキシル−2−ラクチレート、グリセロールソルビタンモノパルミチン酸エステル、大豆レシチン、カノーラレシチン、ヒマワリレシチン、ベニバナレシチン、及びモノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステルを挙げることができる。一実施形態では、クリーマー組成物は、低HLB値の低分子量乳化剤と中HLB値の低分子量乳化剤の両方を、例えば、低HLB値低分子量乳化剤と中HLB値低分子量乳化剤とで、約1:1〜約1:10の間、好ましくは1:2〜1:5の間の重量比で含む。好ましい実施形態では、低分子乳化剤は、モノグリセリドと、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステルとを、例えば、モノグリセリドと、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステルとで、約1:1〜約1:10の間、好ましくは1:2〜1:5の間の重量比で含む。
本発明の一実施形態では、低分子乳化剤のタンパク質に対する重量比は、約1:0.1〜約1:60の間である。本発明の別の実施形態では、低分子乳化剤のタンパク質、及びヒドロキシプロピルデンプンに対する重量比は、1対(0.1〜60)対(0.2〜40)である。
一実施形態では、本発明のクリーマー組成物は、油を含む。油は、液状クリーマーにおける使用に適する、任意の油、又は油の組合せにすることができる。油は、例えば、カノーラ、大豆、ヒマワリ、ベニバナ、綿実、パーム油、パーム核油、トウモロコシ、及び/又はヤシの油などの植物油であることが好ましい。油は、多くて約15%(重量/重量)の量で存在することが好ましく、クリーマー組成物中の油の量は、例えば、約1%〜約15%(重量/重量)の間、例えば約2%〜約10%の間にすることができる。別の実施形態では、本発明のクリーマー組成物は、油を含まない。
本発明のクリーマー組成物は、親水コロイドを含んでもよい。親水コロイドは、組成物の物理的安定性を向上させる助けとなり得る。適切な親水コロイドは、例えば、κ−カラゲナン、ι−カラゲナン、及び/又はλ−カラゲナンなどのカラゲナン;デンプン、例えば加工デンプン;セルロース、例えば、微結晶性セルロース、メチルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース;寒天、ゼラチン、ゲラン(例えば、高アシル、低アシル)、グアーガム、アラビアガム、コンニャク、ローカストビーンガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、マルトデキストリン、トラガカント、キサンタン、又はこれらの組合せとすることができる。
本発明のクリーマー組成物は、緩衝剤を更に含んでもよい。緩衝剤は、コーヒーなどの熱い酸性環境に加えられた後の、クリーマーの望ましくないクリーム分離又は沈殿を防ぐことができる。緩衝剤は、例えば、一リン酸塩、二リン酸塩、炭酸ナトリウム(sodium monocarbonate)及び炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム(potassium monocarbonate)及び炭酸水素カリウム、又はこれらの組合せであってよい。好ましい緩衝剤は、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素カリウム(potassium hydrophosphate)、炭酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸水素ナトリウム(sodium hydrophosphate)、及びトリポリリン酸ナトリウムなどの塩である。緩衝剤は、例えば、液状クリーマーの約0.1〜約1重量%の量で存在してもよい。
本発明のクリーマー組成物は、風味料、甘味料、着色料、酸化防止剤(例えば、脂質酸化防止剤)、又はこれらの組合せなどの1種又は複数の追加の原材料を更に含んでもよい。甘味料としては、例えば、スクロース、フルクトース、デキストロース、マルトース、デキストリン、レブロース、タガトース、ガラクトース、固形コーンシロップ、及び他の天然及び合成甘味料を挙げることができる。シュガーレス甘味料としては、限定はしないが、単独又は組合せでの、糖アルコール、例えば、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、エリトリトール、マンニトール、イソマルト(isomalt)、ラクチトール、加水分解水添デンプンなどを挙げることができる。
風味料、甘味料、及び着色料の使用濃度は、非常に様々となり、甘味料の強さ、製品の所望の甘さ、使用する風味料の濃度及びタイプ、並びに費用の問題などの要素に応じて決まる。糖及び/又はシュガーレス甘味料の組合せを使用してもよい。一実施形態では、甘味料は、本発明のクリーマー組成物中に約5重量%〜約35重量%の範囲の濃度で存在する。別の実施形態では、甘味料濃度は、約10重量%〜約25重量%の範囲である。
本発明はさらに、本発明のクリーマー組成物の製造方法に関する。その方法は、水、タンパク質、ヒドロキシプロピルデンプン及び低分子量乳化剤、並びに任意選択で、本明細書で開示する追加の原材料を含む組成物を用意するステップと、組成物を均質化して、クリーマー組成物を製造するステップとを含む。均質化の前に、親水コロイド、緩衝剤、甘味料、及び/又は風味料などの任意選択の化合物は、かき混ぜながら(例えば、40℃〜90℃の間において)水で加水処理してもよく、所望であれば、融解させた油を加えながらでもよい。方法は、均質化の前に、例えば無菌熱処理によって、組成物を熱処理するステップを更に含んでもよい。無菌熱処理は、例えば、直接式又は間接式UHT処理を使用するものでもよい。UHT処理は、当業界で知られている。UHT処理の例として、UHT殺菌及びUHT低温殺菌が挙げられる。直接式熱処理は、エマルションに水蒸気を噴射して行うことができる。この場合では、過剰の水を例えばフラッシングによって除去する必要があることもある。間接式熱処理は、エマルションと接触した伝熱界面を用いて行うことができる。均質化は、熱処理の前及び/又は後に行うことができる。組成物中に油が存在する場合、エマルションにおける伝熱を改善し、そうして熱処理の向上を実現するために、熱処理の前に均質化を行うことが有利であるといえる。熱処理の後に均質化を行うことにより、通常、エマルション中の油滴は、確実に所望の寸法を有するようになる。熱処理後、製品は、適切な任意の包装に例えば無菌充填によって充填することができる。無菌充填については、種々の刊行物、例えば、参照により本明細書に援用される、L,Grimm、「Beverage Aseptic Cold Filling」(Fruit Processing、July 1998、p.262−265)、R.Nicolas、「Aseptic Filling of UHT Dairy Products in HDPE Bottles」(Food Tech.Europe、March/April 1995、p.52−58)の論文、又はTaggartの米国特許第6536188号に記載されている。一実施形態では、方法は、液状クリーマーを、容器に充填する前に熱処理するステップを含む。この方法はまた、液状クリーマーを均質化する前に、緩衝剤を約0.1重量%〜約1.0重量%の範囲の量で液状クリーマーに加えるステップも含んでよい。緩衝剤は、一リン酸ナトリウム及び二リン酸ナトリウム、一リン酸カリウム及び二リン酸カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム及び炭酸水素カリウム、又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数でよい。
クリーマーは、飲料に加えたとき、良好な口当たり及びこく、滑らかなテクスチャー、並びに不快な臭いを伴わない心地よい食味を有する、物理的に安定し、均質な、白色化した飲料をもたらす。本発明のクリーマーの使用は、コーヒーへの適用だけに限定されない。例えば、クリーマーは、茶やココアなどの他の飲料に使用してもよく、又はシリアル若しくはベリー類に添えて、スープ用のクリーマーとして、また多くの調理用途などにおいて使用してもよい。本発明の液状クリーマーは、物理安定性を有することが好ましく、冷蔵温度(例えば、約4℃)、室温(例えば、約20℃)、及び高温(例えば、約30〜38℃)での貯蔵中の相分離の問題(例えば、クリーム分離、詰まり形成、ゲル化、離液、沈降など)を克服している。安定した液状クリーマーは、4℃及び/又は20℃で少なくとも6か月、30℃で6か月、及び38℃で1か月などの保存安定性を有し得る。安定性は、貯蔵後の製品の目視検査によって評価することができる。
本発明は、更に別の態様において、上で論述したクリーマー組成物を含む飲料組成物に関する。飲料組成物は、例えば、コーヒー、茶、麦芽、シリアル又はココア飲料とすることができる。飲料組成物は、液体でもよいし、又は粉末形態にしてもよい。したがって、本発明は、a)本発明のクリーマー組成物と、b)コーヒー、茶、麦芽、シリアル又はココア製品、例えば、コーヒー、茶、麦芽又はココアの抽出物とを含む飲料組成物に関する。飲料組成物が液体形態である場合、例えば、缶、ガラス瓶、プラスチックボトル又は適切な他の任意の包装に包装することができる。飲料組成物は、無菌包装してもよい。飲料組成物は、a)飲料組成物ベースを用意するステップと、b)飲料組成物ベースに、本発明によるクリーマー組成物を加えるステップとを含む方法によって製造することができる。飲料組成物ベースとは、本発明のクリーマーを加えることによる飲料の製造に有用な組成物と理解される。飲料組成物ベースは、それ自体で、飲料としての消費に適する場合もある。飲料組成物ベースは、例えば、コーヒー、茶、麦芽又はココアの抽出物とすることができる。
以下の実施例は、限定でなく例として、本開示の種々の実施形態を例示するものである。
実施例1
100gのDimodan(モノグリセリド)と300gのPanodan(モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル)、0.5kgのヒドロキシプロピルデンプン、50gの風味料、1000gのカゼインナトリウム、400gのリン酸二カリウム、及び30kgのスクロースからなる乾燥ブレンドを、継続的に激しくかき混ぜながら、55kgの熱水(約65℃)に加えた。
100gのDimodan(モノグリセリド)と300gのPanodan(モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル)、0.5kgのヒドロキシプロピルデンプン、50gの風味料、1000gのカゼインナトリウム、400gのリン酸二カリウム、及び30kgのスクロースからなる乾燥ブレンドを、継続的に激しくかき混ぜながら、55kgの熱水(約65℃)に加えた。
約10分混合した後、激しくかき混ぜながら12kgのカノーラ油を加えた。追加の水少量を加えて、製品総量を100kgに調整した。
組成物を予熱し、143℃で5秒間UHT処理し、180/40バールで均質化し、冷却した。得られる液状クリーマーをボトルに無菌充填した。液状クリーマーを4℃で、また室温及び高温で7か月間貯蔵した。
クリーマー及び液状クリーマーが加えられたコーヒー飲料の官能特性が、知覚パネリストによって判断された。液状クリーマーは、ホットコーヒーに加えたとき、ヒドロキシプロピルデンプンを含まない対照サンプルより口当たりがよいと一貫して判断されたことが、パネルによって判明した。さらに、観察結果は、現物のまま及びホットコーヒーに加えたときの液状クリーマーの良好な物理的安定性を示していた。
意外にも、液状クリーマーは、口当たりが改善されているだけでなく、良好な外観、滑らかなテクスチャー、及び「異」味のない良好な風味を有することも判明した。加えて、クリーマーは、コーヒーに加えたとき、高い白色化能を示した。
実施例2
100gのDimodanと300gのPanodan、0.5kgのヒドロキシプロピルデンプン、50gの風味料、1000gのカゼインナトリウム、400gのリン酸二カリウム、及び11kgの固形コーンシロップからなる乾燥ブレンドを、継続的に激しくかき混ぜながら、70kgの熱水(約65℃)に加えた。
100gのDimodanと300gのPanodan、0.5kgのヒドロキシプロピルデンプン、50gの風味料、1000gのカゼインナトリウム、400gのリン酸二カリウム、及び11kgの固形コーンシロップからなる乾燥ブレンドを、継続的に激しくかき混ぜながら、70kgの熱水(約65℃)に加えた。
約10分混合した後、激しく撹拌しながら7kgのカノーラ油を加えた。追加の水少量を加えて、製品総量を100kgに調整した。
組成物を予熱し、143℃で5秒間UHT処理し、180/40バールで均質化し、冷却した。得られる液状クリーマーをボトルに無菌充填した。液状クリーマーを4℃で、また室温及び高温で7か月間貯蔵した。
クリーマー及び液状クリーマーが加えられたコーヒー飲料の官能特性が、訓練を受けていない知覚パネリストによって判断された。液状クリーマーは、ホットコーヒーに加えたとき、ヒドロキシプロピルデンプンを含まない対照サンプルより口当たりがよいと一貫して判断されたことが、パネルによって判明した。さらに、観察結果は、現物のまま及びホットコーヒーに加えたときの液状クリーマーの良好な物理的安定性を示していた。
意外にも、液状クリーマーは、口当たりが改善されているだけでなく、良好な外観、滑らかなテクスチャー、及び「異」味のない良好な風味を有することも判明した。加えて、クリーマーは、コーヒーに加えたとき、高い白色化能を示した。
実施例3
100gのDimodan及び300gのPanodan、0.5kgのヒドロキシプロピルデンプン、50gの風味料、1000gのカゼインナトリウム、400gのリン酸二カリウム、及び30kgのスクロースからなる乾燥ブレンドを、継続的に激しくかき混ぜながら、55kgの熱水(約65℃)に加えた。
100gのDimodan及び300gのPanodan、0.5kgのヒドロキシプロピルデンプン、50gの風味料、1000gのカゼインナトリウム、400gのリン酸二カリウム、及び30kgのスクロースからなる乾燥ブレンドを、継続的に激しくかき混ぜながら、55kgの熱水(約65℃)に加えた。
約10分混合した後、激しく撹拌しながら2kgのカノーラ油を加えた。追加の水少量を加えて、製品総量を100kgに調整した。
組成物を予熱し、143℃で5秒間UHT処理し、180/40バールで均質化し、冷却した。得られる液状クリーマーをボトルに無菌充填した。液状クリーマーを4℃で、また室温及び高温で7か月間貯蔵した。
クリーマー及び液状クリーマーが加えられたコーヒー飲料の官能特性が、知覚パネリストによって判断された。液状クリーマーは、ホットコーヒーに加えたとき、ヒドロキシプロピルデンプンを含まない対照サンプルより口当たりがよいと一貫して判断されたことが、パネルによって判明した。さらに、観察結果は、現物のまま及びホットコーヒーに加えたときの、液状クリーマーの良好な物理的安定性を示していた。
意外にも、液状クリーマーは、口当たりが改善されているだけでなく、良好な外観、滑らかなテクスチャー、及び「異」味のない良好な風味を有することも判明した。加えて、クリーマーは、コーヒーに加えたとき、高い白色化能を示した。
実施例4
100gのDimodan及び300gのPanodan、0.5kgのヒドロキシプロピルデンプン、50gの風味料、1000gのカゼインナトリウム、400gのリン酸二カリウム、及び30kgのスクロースからなる乾燥ブレンドを、継続的に激しくかき混ぜながら、55kgの熱水(約65℃)に加えた。
100gのDimodan及び300gのPanodan、0.5kgのヒドロキシプロピルデンプン、50gの風味料、1000gのカゼインナトリウム、400gのリン酸二カリウム、及び30kgのスクロースからなる乾燥ブレンドを、継続的に激しくかき混ぜながら、55kgの熱水(約65℃)に加えた。
約10分混合した後、追加の水少量を加えて、合計製品量を100kgに調整した。
組成物を予熱し、143℃で5秒間UHT処理し、180/40バールで均質化し、冷却した。得られる液状クリーマーをボトルに無菌充填した。液状クリーマーを4℃で、また室温及び高温で7か月間貯蔵した。
クリーマー及び液状クリーマーが加えられたコーヒー飲料の官能特性が、知覚パネリストによって判断された。液状クリーマーは、ホットコーヒーに加えたとき、ヒドロキシプロピルデンプンを含まない対照サンプルより口当たりがよいと一貫して判断されたことが、パネルによって判明した。さらに、観察結果は、現物のまま及びホットコーヒーに加えたときの、液状クリーマーの良好な物理的安定性を示していた。
意外にも、液状クリーマーは、口当たりが改善されているだけでなく、良好な外観、滑らかなテクスチャー、及び「異」味のない良好な風味を有することも判明した。加えて、クリーマーは、コーヒーに加えたとき、高い白色化能を示した。
実施例5
液状クリーマーを、2.2kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例2と同様にして調製した。クリーマーは、極度の相分離(乳清)のために許容されなかった。
液状クリーマーを、2.2kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例2と同様にして調製した。クリーマーは、極度の相分離(乳清)のために許容されなかった。
実施例6
液状クリーマーを、0.1kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例2のとおりに調製した。
液状クリーマーを、0.1kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例2のとおりに調製した。
クリーマー及び液状クリーマーが加えられたコーヒー飲料の官能特性が、知覚パネリストによって判断された。ヒドロキシプロピルデンプンを含まない対照サンプルと比べて、クリーマーが加えられたホットコーヒーの口当たりに改善は見出されなかった。
実施例7
液状クリーマーを、17%の脂肪及び2.0kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。
液状クリーマーを、17%の脂肪及び2.0kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。
粘度は、加工に許容されない高さとなり、製品は不安定になった。
実施例8
液状クリーマーを、0.05kgのカゼインナトリウム及び2.0kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。製品は安定ではなかった。
液状クリーマーを、0.05kgのカゼインナトリウム及び2.0kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。製品は安定ではなかった。
実施例9
液状クリーマーを、3.5kgのカゼインナトリウム及び2.0kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。粘度は、加工に許容されない高さとなった。
液状クリーマーを、3.5kgのカゼインナトリウム及び2.0kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。粘度は、加工に許容されない高さとなった。
実施例10
液状クリーマーを、45kgの砂糖及び2.0kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。粘度は、加工及び最終製品において許容されない高さとなった。
液状クリーマーを、45kgの砂糖及び2.0kgのヒドロキシプロピルデンプンを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。粘度は、加工及び最終製品において許容されない高さとなった。
実施例11
液状クリーマーを、10gのDimodanと30gのPanodanを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。サンプルは、クリーム分離などの安定性の問題のために許容されなかった。
液状クリーマーを、10gのDimodanと30gのPanodanを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。サンプルは、クリーム分離などの安定性の問題のために許容されなかった。
実施例12
液状クリーマーを、300gのDimodanと900gのPanodanを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。サンプルは、乳清やクリーム分離などの安定性の問題のために許容されなかった。
液状クリーマーを、300gのDimodanと900gのPanodanを使用する以外は実施例1のとおりに調製した。サンプルは、乳清やクリーム分離などの安定性の問題のために許容されなかった。
実施例13
液状クリーマー組成物を、実施例1に示した量のヒドロキシプロピルデンプンに代えて、表1に示す原材料を使用したことを除き、実施例1のとおりに調製した。表1の各列は、1種類のクリーマー組成物に対応する。官能特性決定及び安定性評価からの知見を表1に示す。
液状クリーマー組成物を、実施例1に示した量のヒドロキシプロピルデンプンに代えて、表1に示す原材料を使用したことを除き、実施例1のとおりに調製した。表1の各列は、1種類のクリーマー組成物に対応する。官能特性決定及び安定性評価からの知見を表1に示す。
本明細書に記載の好ましい実施形態に対する種々の変更及び修正は、当業者には明白であると理解すべきである。そのような変更及び修正は、本主題の本質及び範囲から逸脱することなく、また意図されたその利点を減じることなく、加えることができる。したがって、そうした変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
Claims (15)
- タンパク質、ヒドロキシプロピルデンプン及び低分子量乳化剤を含む、クリーマー組成物。
- 約0.2%〜約2%のヒドロキシプロピルデンプンを含む、請求項1に記載のクリーマー組成物。
- 約0.1%〜約3%のタンパク質を含む、請求項1又は2に記載のクリーマー組成物。
- 約0.05%〜約1.0%の低分子量乳化剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
- 油を更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
- 約1%〜約15%の油を含む、請求項5に記載のクリーマー組成物。
- 砂糖を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
- 約5%〜約35%の砂糖を含む、請求項7に記載のクリーマー組成物。
- 前記低分子量乳化剤が、モノグリセリド、ジグリセリド、アセチル化モノグリセリド、トリオレイン酸ソルビタン、グリセロールジオレイン酸エステル、トリステアリン酸ソルビタン、プロピレングリコールモノステアリン酸エステル、グリセロールモノオレイン酸エステル及びモノステアリン酸エステル、モノオレイン酸ソルビタン、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、グリセロールソルビタンモノパルミチン酸エステル、モノグリセリドのジアセチル化酒石酸エステル、レシチン、リゾレシチン、モノ及び/又はジグリセリドのコハク酸エステル、モノ及び/又はジグリセリドの乳酸エステル、レシチン、リゾレシチン、並びに脂肪酸のスクロースエステル、レシチン、リゾレシチン、並びにこれらの組合せの中から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のクリーマー組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のクリーマー組成物を含む飲料組成物。
- コーヒー飲料組成物、茶飲料組成物、麦芽飲料組成物、シリアル飲料組成物、又はココア飲料組成物である、請求項10に記載の飲料組成物。
- a)水、タンパク質、ヒドロキシプロピルデンプン及び低分子量乳化剤を含む組成物を用意するステップと、
b)前記組成物を均質化して、クリーマー組成物を製造するステップと
を含む、クリーマー組成物の製造方法。 - a)飲料組成物ベースを用意するステップと、
b)前記飲料組成物ベースに、請求項1〜9のいずれか一項に記載のクリーマー組成物を加えるステップと
を含む、飲料組成物の調製方法。 - 前記飲料組成物が、コーヒー飲料、茶飲料、麦芽飲料、シリアル飲料又はココア飲料である、請求項13に記載の方法。
- 請求項13又は14に記載の方法によって得られうる飲料組成物。
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