JP2015509914A - 選択的gpcrリガンド - Google Patents
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Abstract
過去10年間にA−GPCR(Gタンパク質共役受容体)クラスに関する多量の構造情報が明らかになった。しかし、同じリガンドに対する応答において完全に異なる生物学的機能を示すアンジオテンシン受容体AT1aRおよびAT2Rなどの密接に関連する受容体サブタイプのリガンド選択性の構造的および電気的基礎は、ほとんど理解されていない。生物系における複雑な応答をモニターするために、選択性に関して勾配を示すリガンドを有することは有用である。本研究において本発明者らは、アンジオテンシンIIにおける芳香族−プロリル相互作用を芳香族電子の変更を通じて調節することによって、2つのアンジオテンシンII受容体サブタイプ、AT1aRおよびAT2Rのリガンド選択性を調整するための効率的な方法を示す。この戦略に基づいて、AT2R選択的で高親和性のアゴニストアナログ(Ki=3nM)が得られた。
Description
GPCRは、細胞外環境から細胞内空間へのシグナル伝達の重要な決定要素である1、2。それらは小さな神経伝達物質からホルモンに至る数々の細胞外リガンドによって活性化され得るが、ロドプシン様GPCRの重要な構造エレメントにおける配列保存3は共通の活性化機構を提案している。GPCRの近年のX−線構造1、4〜7はGPCR−ファミリーAの全体的構造を明確にし、リガンド−結合ポケットの構造を正確に示した。しかしこれらの構造は、密接に関連する受容体サブタイプへのリガンド選択性の機構についての疑問も生じさせた1、8。例えば、ヒトb1およびb2アドレナリン受容体のリガンド結合ポケットを直接囲む残基は同一であると考えられるが、リガンドは全く異なる特異性で2つの受容体サブタイプに結合する1、8。
したがって、GPCR分子認識は、受容体の分子構造だけに依存するありふれたプロセスではなく、リガンド構造に強く関連する。これは、シグナル伝達状態への移行が、その内在性リガンドであるレチナールのcisからtransへの異性体構造スイッチによって達成されるロドプシン活性化の機構9、10から明らかである。このcis/transスイッチの主な結果は、受容体活性化を引き起こす膜貫通らせん間の静電的制限の大部分を破壊する、かつ/または、弱めることである10。そのようなcisからtransへの異性化スイッチは、プロリンが中心的存在である多数の生物学的プロセスの決定的構成成分として新たに明らかになりつつある11〜14。
生理活性ホルモンであるアンジオテンシンII(AII:DRVYIHPF)は、異性体状態がAT1aおよびAT2受容体サブタイプの活性化において重要であり得るプロリン残基を、その一次構造中に有する。水性溶液中では、天然AIIの一般的な立体構造異性体は、trans(>95%)である15。興味深いことに、立体構造の可塑性を提供するAII中のPro7Gly変異は、AT2Rに対するその親和性をほとんど保持していた一方で、AT1aRに対しては150分の1の親和性を示した16。
生じる重要な疑問は、cis/trans相互変換のエネルギー障壁の低下が、2つのAII受容体サブタイプに対する結合親和性および特異性への影響を伴ってAIIが2つの異なる立体構造(cisおよびtrans)で同時に存在できるようにするかどうかである。受容体サブタイプ選択性におけるプロリン異性化の推定される役割は、AT2R活性化の効果(血管拡張、アポトーシスおよび抗増殖性)がAT1aRによって調節されるもの(AT1について細胞増殖および増殖)と対立することから非常に価値がある可能性がある17〜19。加えて、AT2R活性化が膵がん細胞の増殖を抑制することから、この受容体はこの種類のがんに対する化学療法の標的候補である20、21。したがって、制御リガンドの組み合わせ使用によるAT1aおよびAT2受容体のさまざまな機能的応答の微調整は、強力な治療用ツールである可能性がある22。
本明細書において本発明者らは、リガンド芳香族−プロリル相互作用の電子的調節を通じてAT1aRおよびAT2Rサブタイプのリガンド選択性を微調整するための新規戦略を開示する。AT2Rに対する新規の低nM親和性で選択的な新規アゴニストは、この戦略に基づいて確立された。
本発明の第一の態様では、アンジオテンシンII受容体の選択的リガンドを調製するための方法であって、
(i)cis−trans異性化に感受性である前記受容体のリガンドのモチーフを選択するステップと、
(ii)前記リガンドを、前記モチーフを含むデータベース中の配列と比較し、前記モチーフの中または近傍における置換のcisまたはtrans異性体の形成への影響を判定するステップと、
(iii)ステップ(ii)における比較に従って前記リガンド中の置換を生じさせ、それによって前記リガンド中においてcisまたはtrans異性体を選好するステップと
を含む、方法が提供される。
(i)cis−trans異性化に感受性である前記受容体のリガンドのモチーフを選択するステップと、
(ii)前記リガンドを、前記モチーフを含むデータベース中の配列と比較し、前記モチーフの中または近傍における置換のcisまたはtrans異性体の形成への影響を判定するステップと、
(iii)ステップ(ii)における比較に従って前記リガンド中の置換を生じさせ、それによって前記リガンド中においてcisまたはtrans異性体を選好するステップと
を含む、方法が提供される。
Gタンパク質共役受容体サブタイプに密接に関連する選択的リガンドの開発は、受容体病態生理学的反応を解読するために重要であるが、冗長で時間のかかる方法である。リガンド結合およびサブタイプ選択性の相互作用決定因子の理解がない場合は、試行錯誤およびセレンディピティーは選択的リガンドの順調な開発において重要な役割を演じる。選択的リガンド認識を達成するための原理を規定することは、受容体サブタイプが反対の機能を示す場合に特に重要である。これは2つのAII受容体サブタイプについて疑いもなく明らかである。AT1aRは、いくつかの例を挙げると心不全、粥状動脈硬化、網膜症、心肥大、血管平滑筋の増殖および高血圧などの多数の病態に関与している37。反対にAT2Rは抗増殖性、抗炎症、神経細胞分化、血管リモデリングおよび腫瘍抑制などのAT1Rのものとはかなり異なる機能を仲介する20、21、38〜40。したがってAT2Rは重要な医薬品標的になっている。リガンド−受容体認識相互作用の詳細な知識の欠如のため、AT2Rの選択的リガンドの同定は、長く細心の注意を要する努力の後にもたらされた41。
本発明者らは、ホルモンAIIによる親和性と同様の親和性で認識されるリガンドを用いて、2つの受容体サブタイプのリガンド−受容体選択性を調整するための戦略を開発した。
ポリペプチドがcis−trans異性化を示すためには、N−置換アミノ酸が必要である。例としては、サルコシンおよびプラリンを含む。好ましくは請求項1に記載の方法では、モチーフはプロリンを含む。配列Pro−X(式中Xは任意のアミノ酸)は、ポリペプチドにcisおよびtrans異性体の両方について同様のエネルギーを与え、これは両異性体が理論的に可能であることを意味する。Xの性質は、cisおよびtrans異性体の間の平衡に影響を及ぼす。
好ましい実施形態では、モチーフがX1−Pro−X2である(式中X1およびX2は同じまたは異なっており、任意のアミノ酸であってよい)本発明による方法が提供される。X1は、cisおよびtrans異性体の間のバランスにも影響を与える。これらそれぞれの位置に好適なアミノ酸を選択することによって、リガンドが一方または他方の異性体形態を選好するように、または場合によっては両方の異性体形態をとることができるように調整できる。
本発明の一実施形態ではX2はPheである。したがって、モチーフX−Pro−Pheを含むリガンドを、cisまたはtrans異性体形態を選好する能力について分析でき、cisまたはtrans異性体の占有率(prevalence)は、pdbなどのデータベースにおいて評価でき、そのような異性体形成の可能性はX−Pro−Pheモチーフ中のXの固有性に基づいて検査リガンドに与えられる。
そのような方法によってリガンドは、AT2RまたはAT1Rに選択的であるように設計できる。例えばAT2Rに選択的であるリガンドは、溶液中でcis−異性体化の増加を示すことができる。
本発明の方法における使用のための、すなわちリガンド候補に関する基礎としてのモチーフの供給源は、アンジオテンシンの種々の形態である。例えばリガンドは、アンジオテンシンI、II、IIIもしくはIVの変異体またはサララシンであってよい。サララシンは、N末端およびC末端アミノ酸がサルコシンおよびアラニンでそれぞれ置換されているアンジオテンシンIIの誘導体である。
一実施形態では、モチーフは、アンジオテンシンII(AII)中のHis6−Pro7−Phe8モチーフである。
一実施形態では、His6残基はTyrにより置換され、Tyr−Pro−PheモチーフおよびAIIのTyr6アナログを産生する。したがって第二の態様では、配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−Tyr−Pro−Pheを有するアンジオテンシンII受容体のリガンドが提供される。
代替的な実施形態では、4−置換Phe残基(この位置に電子供与性または電子求引性の基が導入されている)は、AIIの位置6に用いられる。したがって配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−Phe−Pro−Phe(式中Phe6は4位で置換されている、すなわちフェニルアラニン環のパラ位の水素を置換している)を有するアンジオテンシンII受容体のリガンドが提供される。
一実施形態では、リガンドは、AT2受容体に選択的である。代替的な実施形態ではリガンドは、AT1受容体に選択的である。一般に、位置6における電子供与性の置換はAT2Rに対する選択性を選好し、電子求引性の置換はAT1Rに対する選択性を選好する。
リガンドのAII受容体サブタイプ選択性は、AII(4−x−Phe6)の位置6に導入されたフェニルアラニンのパラ位にある水素の単純置換の電子的特徴を調整することによって正確に整えることができる。具体的には、電子供与基(−OH)を含む[Y]6−AIIアナログは、AT2Rに対する選択的で高親和性の結合剤を生じる(Ki=3.4±0.8nM)一方で、電子求引基はこの受容体に対する高結合親和性および選択性を完全に消失させる(図5)。最も重要なことに、この受容体認識表現型は、この電子的調節によって誘導される4−x−Phe6−Pro7−Phe8モチーフのcis形質(character)のアーキテクチャおよび緻密度(compactness)に直接関連する。電子不足芳香族残基を位置6に含有するAIIアナログは、cisアミド結合に比較的不利であり、電子が豊富な芳香族残基とは対照的にAT2受容体への選択性および親和性の低下を示す。例えば、[4−NO2−F]6−AIIは、[Y]6−AIIと比較してAT2Rに対して300分の1の親和性を示したが、AT1aRに対しては高い親和性(nM)を示した(未発表データ)。同じ系において[F]6−AIIはAT1aRおよびAT2Rの両方に対して同様の親和性だが、[Y]6−AIIのAT2Rに対する親和性と比較して50分の1より低く低下した親和性を示した(未発表データ)。このcis−trans異性化調節は、Pro7と4−x−Phe6の芳香族環電子との間の相互作用の調整に基づいている27。したがってcis形態は、電子不足プロリルC−H結合と電子が豊富な芳香族環とにおいて発達するCH−π相互作用を通じて安定化される42。実際に本発明者らのNMRデータは、AT2選択的アナログ[Y]6−AIIにおいて、プロリン周辺(Y6−P7−F8、図2a)の2つの芳香族側鎖のcis形質および環のパッキングの両方の増強を示した。この残基のパッキングは、アミドプロトン温度係数研究および拡散配列実験(diffusion ordered experiments)によって判定されたとおり(図2c、d)、関連するペプチド結合の保護をもたらし、したがってAT2Rリガンド結合ポケットをさらに疎水性の環境へと移行させるコストを低下させる。
芳香族電子の精密な調整を介してリガンド受容体サブタイプ選択性を調節するための戦略が記載されるのは初めてである。この戦略の枠組みに由来する選択的で高親和性のAT2Rアナログ、[Y]6−AIIは、PC12細胞においてAT2Rの活性を刺激する(図4)。
さらなる態様では、本発明の前述の態様により選択されたリガンドが腫瘍治療における使用のために提供される。
AT2Rが腫瘍治療のための標的であることは周知である。詳細には、AT2Rノックアウトが膵臓腫瘍の進行を促進し20、AT2Rの過剰発現が肺腺がんにおける細胞死を誘導することが示されている21。したがってAT2Rを選択的に活性化する本発明によるリガンドは、抗腫瘍治療のための候補である。
好ましくは、リガンドは、配列Tyr−Pro−Pheを含むアンジオテンシンII受容体のリガンドである。
一実施形態では、リガンドは、配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−Tyr−Pro−Pheを有する。
さらなる実施形態では、柔軟な(lithe)リガンドは、電子供与性基または電子求引性基がフェニルアラニン環のパラ位の水素を置換するように導入されている4−置換Phe残基を有し得る。
例えばリガンドは、配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−Phe−Pro−Phe(式中Phe6は4位で置換されている)を有し得る。
一実施形態では、リガンドは、AT2Rシグナル伝達を介した膵がん細胞の増殖における負の制御因子としての使用のために提供される20。さらなる実施形態ではリガンドは、AT2Rシグナル伝達を通じた肺腺がん細胞の増殖における負の制御因子としての使用のために提供される21。
好ましい実施形態ではリガンドは、[Y]6−AIIリガンドである。
さらなる態様では、腫瘍治療を必要とする患者において腫瘍を治療するための方法であって、本発明の前述の態様において記載のリガンドの薬学的有効量を前記患者に投与するステップを含む方法が提供される。
さらなる態様では、本発明の前述の態様において記載のリガンドは、腫瘍の治療のためにアンジオテンシンIアンタゴニストとの組み合わせで提供される。一実施形態では、本発明の前述の態様によるリガンドおよびAT1アンタゴニストは、腫瘍の治療において同時、別々に同時または逐次使用のために提供される。
さらに本発明の前述の態様によるリガンドおよびAT1アンタゴニストを1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤または担体と共に含むキットが提供される。
例示的なAT1アンタゴニストはロサルタンである。
他に定義されない限り、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語は、ペプチド化学、細胞培養、核酸化学および生化学などの技術分野における当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。標準的技術は、分子生物学、遺伝学および生化学的方法のために用いられる(Sambrook et al.、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第3版.、2001、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Ausubel et al.、Short Protocols in Molecular Biology(1999)第4版、John Wiley & Sons,Inc.を参照されたい)。本明細書で引用するすべての刊行物は、本発明に関連して用いられる場合があり、刊行物で報告された方法、試薬およびツールを記載するおよび開示する目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
選択的リガンドは、タイプ2よりもタイプ1受容体に優先的に結合できるリガンドである。本発明の内容ではリガンドは、その形態に優先的に結合する場合(例えばリガンドはAT2RよりもAT1Rに優先的に結合できる)、アンジオテンシンII受容体の一方または他方の形態に選択的である。優先的結合は排他的結合を意味せず、受容体の一形態の他方を超える占有率は、低い(例えば、所望の受容体の55%から60%を占有)から高い(所望の受容体の95から100%占有など、の間の範囲で変動してよい。ほとんどの状況下ではリガンドは、受容体の両方の形態に分布しており、分布率は多数の要因に依存する。これらはリガンドの選択性だけでなく、受容体のリガンドの濃度および存在する受容体の相対的濃度も含む。
アンジオテンシンII受容体は、降圧剤のための十分に特徴付けられた標的である。アンジオテンシン受容体アンタゴニストは、心臓薬においておよび血圧の制御において広く用いられている。少なくとも4種類のアンジオテンシンII受容体が周知であり、AT1RからAT4Rに分類される。すべてがリガンドであるアンジオテンシンIIに結合する。本発明は、一方の受容体サブタイプに対して他方よりも選択的であるリガンドを作出する手段を提供する。これは、重要な生理学的影響を有することがあり、例えば上に記載のとおり、多数の状態がAT1RおよびAT2Rによってさまざまに影響されることが報告されている。
本発明の内容では、cis−trans異性化はポリペプチド中2つのアミノ酸の間のペプチド結合についてのcisまたはtrans異性体の形成である。主としてアミド水素は、後に続くCα原子へよりも先行するCα原子にあまり立体的反発を示さないことから、ほとんどのペプチド結合はtrans異性体をとっている(典型的には緩い条件下では99.9%)。対照的にX−Proペプチド結合(式中Xは任意のアミノ酸を表す)のcisおよびtrans異性体の両方は、近接する置換との立体的衝突を経験し、エネルギー的にほとんど等価である。一方、緩い条件下でのcis異性体におけるX−Proペプチド結合の割合は10〜40%の範囲であり、割合は(芳香族残基がcis異性体を支持して)先行するアミノ酸に依存する。Proは、サルコシンなどのN−置換アミノ酸によって置き換えられ得るが、天然アミノ酸内では唯一である。
cis−trans異性情報を含む構造情報を含むタンパク質データベースは、広く利用可能である。一例は、多種多様な生体分子の構造情報を含むタンパク質データバンク(pdb)データベースである。
アンジオテンシンII受容体リガンド中のモチーフは、配列X−Proを含むアミノ酸の任意の配列であってよい。モチーフが由来できる好ましいリガンドは、アンジオテンシンに基づく。しかしアンジオテンシンII受容体の他のポリペプチドリガンドも調査される場合があり、そこで配列X−Proを含むモチーフも同定でき、本発明の方法において用いられる場合がある。
アンジオテンシンは、アンジオテンシノーゲン(10−アミノ酸ポリペプチドアンジオテンシンIを遊離するレニンの作用によって切断される452アミノ酸ポリペプチド)の切断に由来するペプチドホルモンである。これは、2個のC−末端残基を切断除去することによってアンジオテンシンII(生物学的に活性なホルモン)を形成するようにさらに切断される。さらなる切断は、それぞれ1個のN−末端残基を切断除去することによってアンジオテンシンIIIおよびIVを産生する。
<AT2Rに選択的であるようにするためのホルモンAIIの操作>
受容体選択性におけるプロリンの役割を調査するために、本発明者らは、AII受容体の内部深くに結合するための変異導入研究を通じて位置付けられているAIIホルモン(His6−Pro7−Phe8)のC末端に重点を置いた23〜26。タンパク質構造データベース(www.pdb.org)は、顕著なcis形質を有するアミノ酸モチーフを同定するためにX−Pro−Pheモチーフ(式中Xは、任意のアミノ酸)についてサーチされた(表1)。そのようなモチーフでは、プロリンに先行するアミノ酸Xに応じて大きな構造的可塑性が示される場合があることが明らかであった(データ未記載)。AT1aRおよびAT2Rリガンド結合ポケットは、他のGPCRの周知のX−線構造での残基保存に基づいてモデル化され、利用可能な変異導入研究により調整された(図6)。このモデルにより、リガンド結合親和性およびAT2R/AT1aRそれぞれに対する選択性を決定するために主に関与している可能性がある残基は、次のとおりである:L124/V108、F308/Y292、L305/C289、F120/A104、T125/S109、F272/H256、G121/S105、F199/Y184、F129/Y113およびY189/N174。これらのアミノ酸の大部分は、位置付けられたAT2Rのリガンド結合部位の近くに(AT1aRと比較して)、さらに疎水性で大きな残基を導入し、それによってそれをさらに浅くする。同様の観察結果が、b1ARと比較したb2ARのリガンド選択性が極性残基の変更によると特定されたベータアドレナリン受容体サブタイプについて示された1。したがってAT2Rに選択的であるアナログに関しては、さらに疎水性で緻密なモチーフが求められるべきであることは理解できる。表1のX−Pro−Pheタンパク質データベースから、cis状態が多く存在し、このモチーフを含有する構造の大部分は、プロリン周辺にかさ高い芳香族側鎖の疎水性環のパッキングを表し、緻密さを生じることから、Tyr−Pro−Pheミニコアが理想的であると考えられた(図7)。本発明者らは、そのような残基のパッキングがミニコア内のペプチド結合の接触性を低下でき、それによりAT2Rリガンド結合ポケットのさらに疎水性の環境中にそれらを分ける高いコストを低下させると推論した。Tyr−Pro−Pheミニコア周辺の環境のX−Pro−Pheデータベース中での分析は、相同性モデル化AT2受容体のリガンド結合ポケット近くに存在する環境に酷似していることを示した(図8)。これは、具体的なミニコアがAT2Rに潜在的に組み合わされ、適応できたことを示唆している。したがってAIIアナログは、位置6のヒスチジンの代わりにチロシン残基を導入することによって合成された([Y]6−AII:Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−Tyr6−Pro7−Phe8)。追加的に、Tyr6置換は、これがC−H−πプロリル−芳香族相互作用をさらに安定化させるさらに高度に電子が豊富な形質を有し、cis状態のさらに緻密な立体構造を支持することから、Phe6より好ましかった27。
受容体選択性におけるプロリンの役割を調査するために、本発明者らは、AII受容体の内部深くに結合するための変異導入研究を通じて位置付けられているAIIホルモン(His6−Pro7−Phe8)のC末端に重点を置いた23〜26。タンパク質構造データベース(www.pdb.org)は、顕著なcis形質を有するアミノ酸モチーフを同定するためにX−Pro−Pheモチーフ(式中Xは、任意のアミノ酸)についてサーチされた(表1)。そのようなモチーフでは、プロリンに先行するアミノ酸Xに応じて大きな構造的可塑性が示される場合があることが明らかであった(データ未記載)。AT1aRおよびAT2Rリガンド結合ポケットは、他のGPCRの周知のX−線構造での残基保存に基づいてモデル化され、利用可能な変異導入研究により調整された(図6)。このモデルにより、リガンド結合親和性およびAT2R/AT1aRそれぞれに対する選択性を決定するために主に関与している可能性がある残基は、次のとおりである:L124/V108、F308/Y292、L305/C289、F120/A104、T125/S109、F272/H256、G121/S105、F199/Y184、F129/Y113およびY189/N174。これらのアミノ酸の大部分は、位置付けられたAT2Rのリガンド結合部位の近くに(AT1aRと比較して)、さらに疎水性で大きな残基を導入し、それによってそれをさらに浅くする。同様の観察結果が、b1ARと比較したb2ARのリガンド選択性が極性残基の変更によると特定されたベータアドレナリン受容体サブタイプについて示された1。したがってAT2Rに選択的であるアナログに関しては、さらに疎水性で緻密なモチーフが求められるべきであることは理解できる。表1のX−Pro−Pheタンパク質データベースから、cis状態が多く存在し、このモチーフを含有する構造の大部分は、プロリン周辺にかさ高い芳香族側鎖の疎水性環のパッキングを表し、緻密さを生じることから、Tyr−Pro−Pheミニコアが理想的であると考えられた(図7)。本発明者らは、そのような残基のパッキングがミニコア内のペプチド結合の接触性を低下でき、それによりAT2Rリガンド結合ポケットのさらに疎水性の環境中にそれらを分ける高いコストを低下させると推論した。Tyr−Pro−Pheミニコア周辺の環境のX−Pro−Pheデータベース中での分析は、相同性モデル化AT2受容体のリガンド結合ポケット近くに存在する環境に酷似していることを示した(図8)。これは、具体的なミニコアがAT2Rに潜在的に組み合わされ、適応できたことを示唆している。したがってAIIアナログは、位置6のヒスチジンの代わりにチロシン残基を導入することによって合成された([Y]6−AII:Asp1−Arg2−Val3−Tyr4−Ile5−Tyr6−Pro7−Phe8)。追加的に、Tyr6置換は、これがC−H−πプロリル−芳香族相互作用をさらに安定化させるさらに高度に電子が豊富な形質を有し、cis状態のさらに緻密な立体構造を支持することから、Phe6より好ましかった27。
<[Y]6−AIIは、溶液において増強されたcis異性化を示す>
NMRが溶液における[Y]6−AIIアナログ構造を探索するために用いられた。アナログの1H−1H 2D NOESYスペクトルの選択された領域が図1に示されている。興味深いことに[Y]6−AIIは、水性溶液中でcisおよびtransに分離している立体構造集団に対応するプロトン共鳴の2つの別々のセットを示す。これは、単一セットのピークが観察された天然AIIとは対照的に、単一の立体構造異性体(trans)を表している(図9)。
NMRが溶液における[Y]6−AIIアナログ構造を探索するために用いられた。アナログの1H−1H 2D NOESYスペクトルの選択された領域が図1に示されている。興味深いことに[Y]6−AIIは、水性溶液中でcisおよびtransに分離している立体構造集団に対応するプロトン共鳴の2つの別々のセットを示す。これは、単一セットのピークが観察された天然AIIとは対照的に、単一の立体構造異性体(trans)を表している(図9)。
cisおよびtrans立体構造異性体の共鳴の優れた分散によって、逆重畳積分および完全な共鳴帰属が達成された(表2および3)。次いでNOE制限は立体構造の集合体の関連するメンバーだけからの情報を含むように選択された。特徴的なcisおよびtrans異性体についての構造計算が実施され、関連する立体構造強度の安定化の構造的原因を位置付けた。[Y]6−AIIのcis異性体について、セグメントAsp1からIle5が伸長されている構造のファミリーが計算によりもたらされた。領域Tyr6からPhe8は、Pro環に対して積み重ねられたTyrおよびPheの芳香族環を含むVI型ターンを示した(図2a)。cis状態についてのTyr−Pro−Pheミニコアの構造的アーキテクチャは、X−Pro−Pheタンパク質データベースにおいて記録されている主なファミリーによって使用されている立体構造と非常によく似ている(図7)。したがって、短いペプチド配列での構造的可塑性をタンパク質モチーフからの情報を移行することによって制御できることは明らかである。cis異性体におけるVI型立体構造の存在は、NMRスペクトルのいくつかの特性によって示されている。例えば、cisプロリンのプロトン共鳴の顕著な高磁場シフト(表2および3);残基6(Tyr6Hα)から残基8(Phe8NH)への交差ターン(cross−turn)(i〜i+2)NOE;残基内NOEのパターンによるプロリン環についてのCβ−exo/Cγ−endo立体構造;立体構造集合体におけるcis形態のモル分率の増加(図11)。cis立体構造異性体中のこのモチーフの主な安定化因子は、芳香族およびプロリン環の積み重ねである。[Y]6−AIIのtrans立体構造異性体では、このモチーフの構造は、さらに伸長されている(図2b)。
cisおよびtrans形態でのペプチド結合の接触性を判定するために、本発明者らは両者のアミドプロトン温度係数(Δδ/ΔT)(図2c)およびそれらの溶液中での移動拡散をNMRによって測定した。拡散係数はパルスフィールド勾配(PFG)技術、拡散最適化分光法(Diffusion Optimised Spectroscopy)DOSY(拡散配列分光法(diffusion−ordered spectroscopy))28、29を用いて決定した。興味深いことに本発明者らは、温度係数および移動拡散の値の両方から判定されるとおり(すなわちTyr4に関して本発明者らは、cisについて1.9 10−10m2s−1、およびtransについて2.3 10−10m2s−1の拡散係数を決定した、図4dも参照されたい)、[Y]6−AIIのcis立体構造異性体がtrans立体構造異性体のものと比較してペプチド結合の接触性が低下していることを見出した。この低下は、trans形態とは反対にcis形態が、AT2Rリガンド結合ポケットの疎水性環境を分けるための高いコストを低くできるようにする。
<[Y]6−AIIアナログはAT2Rに選択的である:受容体選択性および親和性のためのcis形質の重要性>
[Y]6−AIIアナログはAT2Rに選択的であるための判断基準を実験的に満たしていることから、本発明者らはAT1aRおよびAT2Rへのその結合を測定した。興味深いことにアナログは、AT2Rに高親和性(Ki=3.4±0.8nM)で結合する一方で、本発明者らはアナログのミリモル以下の用いた濃度範囲でAT1aRへのいかなる飽和結合も観察できなかった。AT2Rに対する[Y]6−AII選択性が、リガンドのcis形質の増大および生じるTyr−Pro−Pheモチーフの緻密性に基づくかどうかを解明するために、AIIアナログのcis−trans異性化状態を調節するための電子的戦略27が採用された。具体的には芳香族−プロリル相互作用は、疎水性効果によってだけでなく、(芳香族環がピロリジン環の電子不足C−H結合に電子密度を供与する(π−電子ドナー)27)C−H−π相互作用によっても安定化できる。したがって電子が豊富な芳香族残基は、芳香族−プロリル相互作用を安定化でき、cis立体構造を促進する。対照的に電子不足芳香族残基は、trans立体構造を選好するはずであり、相互作用および緻密性をあまり導かない。したがって本発明者らは、電子豊富(−OH)、電子的に中性(−Hおよび−OPO3H2)ならびに電子不足(−NO2)の基を含む4−置換フェニルアラニンを位置6に導入したAIIアナログを合成した。電子不足芳香族残基(ハメットの置換定数値σp=0.78)である4−NO2−フェニルアラニンAIIアナログは、大部分はcis立体構造に不利であるはずである一方で、フェニルアラニンおよびホスホチロシン(σp≒0.00)は、中程度のcis立体構造を有するはずである。対照的に、チロシン(電子が豊富な芳香族残基(σp≒−0.37))は、NMRによって実験的に判定されたとおりリガンドcisアミド結合に有利であった。実際にNMRデータは、次の芳香族置換の序列:−OH>−H≒−OPO3H2>−NO2(%cisは、それぞれおよそ40、20、25および5であると見出された)を伴って電子が豊富な残基が芳香族−プロリル相互作用およびcisアミド結合に有利であることを示した。芳香族−プロリル相互作用の電子的調節を介するAIIでのcis−trans異性のこの調節に基づいて、本発明者らは次いでアナログのAT1aRおよびAT2Rへの結合実験を実施した。興味深いことに、すべてのAIIアナログの結合親和性および選択性は、上に記載のとおりアナログのcis−trans異性に直接関連した(AT2Rに対する親和性の順番は:[Y]6−AII>[4−OPO3H2−F]6−AII>[F]6−AII>[4−NO2−F]6−AIIである)。
[Y]6−AIIアナログはAT2Rに選択的であるための判断基準を実験的に満たしていることから、本発明者らはAT1aRおよびAT2Rへのその結合を測定した。興味深いことにアナログは、AT2Rに高親和性(Ki=3.4±0.8nM)で結合する一方で、本発明者らはアナログのミリモル以下の用いた濃度範囲でAT1aRへのいかなる飽和結合も観察できなかった。AT2Rに対する[Y]6−AII選択性が、リガンドのcis形質の増大および生じるTyr−Pro−Pheモチーフの緻密性に基づくかどうかを解明するために、AIIアナログのcis−trans異性化状態を調節するための電子的戦略27が採用された。具体的には芳香族−プロリル相互作用は、疎水性効果によってだけでなく、(芳香族環がピロリジン環の電子不足C−H結合に電子密度を供与する(π−電子ドナー)27)C−H−π相互作用によっても安定化できる。したがって電子が豊富な芳香族残基は、芳香族−プロリル相互作用を安定化でき、cis立体構造を促進する。対照的に電子不足芳香族残基は、trans立体構造を選好するはずであり、相互作用および緻密性をあまり導かない。したがって本発明者らは、電子豊富(−OH)、電子的に中性(−Hおよび−OPO3H2)ならびに電子不足(−NO2)の基を含む4−置換フェニルアラニンを位置6に導入したAIIアナログを合成した。電子不足芳香族残基(ハメットの置換定数値σp=0.78)である4−NO2−フェニルアラニンAIIアナログは、大部分はcis立体構造に不利であるはずである一方で、フェニルアラニンおよびホスホチロシン(σp≒0.00)は、中程度のcis立体構造を有するはずである。対照的に、チロシン(電子が豊富な芳香族残基(σp≒−0.37))は、NMRによって実験的に判定されたとおりリガンドcisアミド結合に有利であった。実際にNMRデータは、次の芳香族置換の序列:−OH>−H≒−OPO3H2>−NO2(%cisは、それぞれおよそ40、20、25および5であると見出された)を伴って電子が豊富な残基が芳香族−プロリル相互作用およびcisアミド結合に有利であることを示した。芳香族−プロリル相互作用の電子的調節を介するAIIでのcis−trans異性のこの調節に基づいて、本発明者らは次いでアナログのAT1aRおよびAT2Rへの結合実験を実施した。興味深いことに、すべてのAIIアナログの結合親和性および選択性は、上に記載のとおりアナログのcis−trans異性に直接関連した(AT2Rに対する親和性の順番は:[Y]6−AII>[4−OPO3H2−F]6−AII>[F]6−AII>[4−NO2−F]6−AIIである)。
<AT2受容体での[Y]6−AIIアナログの候補位置>
いくつかの変異導入研究は、AIIのC末端部分が、AT1aR23、26、30、31およびAT2R26、32、33の奥深くに位置付けられていることを示した。クラスA−GPCRのX線構造は、関連する受容体の現実的な構造モデルを構築するための貴重な鋳型を提供した34。本発明者らが上で述べたとおりAT2RおよびAT1aRの再構築モデルは、AIIのC−末端部分に対して、AT1aRと比較して、AT2Rに関してさらに浅くさらに疎水性のリガンド結合部位を示唆し、AIIについてさらに小型のC末端がAT2Rへの高親和性結合のために必要である可能性があることを示している。AT2R/AT1aRに対するアナログ[Y]6−AIIの親和性および選択性の決定に関与する残基を同定するために本発明者らは、AT2R変異体であるY189A、Y189N、F272AおよびF272Hを構築した。これらの変更は、極性残基または小さなサイズの残基をリガンド結合ポケット近くに導入し、AT1aRリガンド結合ポケット中のさらに極性な環境を模倣している。アナログ[Y]6−AIIおよび[4−OPO3H2−F]6−AIIの両方をAT2Rおよびその変異体の結合ポケットを探索するために用い、結果を図3および表4に要約する。[Y]6−AIIアナログは、AT2Rにおける最適な環の積み重ねのために位置189および272の両方に芳香族環を必要とすると考えられる。予測されるとおり、[4−OPO3H2−F]6−AIIの極性の増大は、[Y]6−AIIリガンドよりも一桁大きいKi値をAT2Rについて生じる。野生型AT2Rと比較してY189N変異体は、恐らく極性および/または側鎖のサイズの増大のために、[4−OPO3H2−F]6−AIIへの親和性の減少を示した。同じリガンドについて、位置189での非極性アミノ酸であるAlaによるTyrの置換は、アスパラギンの導入よりも良く許容される。変異体受容体F272Aは、F272H変種よりも低い親和性を示し、ファンデルワールス接触を通じた受容体変種のイミダゾール基とアナログのチロシンとの間の環の積み重ね相互作用の安定化を示唆している。全体としてこれらのデータは、AT2Rに対する[Y]6−AII選択性が、アナログのTyr6とAT2R結合ポケット内のY189/F272残基との間の芳香族環対合を安定化する(AT1aRへと比較して)さらに疎水性の結合ポケットに基づいているという初期の仮説を支持する。
いくつかの変異導入研究は、AIIのC末端部分が、AT1aR23、26、30、31およびAT2R26、32、33の奥深くに位置付けられていることを示した。クラスA−GPCRのX線構造は、関連する受容体の現実的な構造モデルを構築するための貴重な鋳型を提供した34。本発明者らが上で述べたとおりAT2RおよびAT1aRの再構築モデルは、AIIのC−末端部分に対して、AT1aRと比較して、AT2Rに関してさらに浅くさらに疎水性のリガンド結合部位を示唆し、AIIについてさらに小型のC末端がAT2Rへの高親和性結合のために必要である可能性があることを示している。AT2R/AT1aRに対するアナログ[Y]6−AIIの親和性および選択性の決定に関与する残基を同定するために本発明者らは、AT2R変異体であるY189A、Y189N、F272AおよびF272Hを構築した。これらの変更は、極性残基または小さなサイズの残基をリガンド結合ポケット近くに導入し、AT1aRリガンド結合ポケット中のさらに極性な環境を模倣している。アナログ[Y]6−AIIおよび[4−OPO3H2−F]6−AIIの両方をAT2Rおよびその変異体の結合ポケットを探索するために用い、結果を図3および表4に要約する。[Y]6−AIIアナログは、AT2Rにおける最適な環の積み重ねのために位置189および272の両方に芳香族環を必要とすると考えられる。予測されるとおり、[4−OPO3H2−F]6−AIIの極性の増大は、[Y]6−AIIリガンドよりも一桁大きいKi値をAT2Rについて生じる。野生型AT2Rと比較してY189N変異体は、恐らく極性および/または側鎖のサイズの増大のために、[4−OPO3H2−F]6−AIIへの親和性の減少を示した。同じリガンドについて、位置189での非極性アミノ酸であるAlaによるTyrの置換は、アスパラギンの導入よりも良く許容される。変異体受容体F272Aは、F272H変種よりも低い親和性を示し、ファンデルワールス接触を通じた受容体変種のイミダゾール基とアナログのチロシンとの間の環の積み重ね相互作用の安定化を示唆している。全体としてこれらのデータは、AT2Rに対する[Y]6−AII選択性が、アナログのTyr6とAT2R結合ポケット内のY189/F272残基との間の芳香族環対合を安定化する(AT1aRへと比較して)さらに疎水性の結合ポケットに基づいているという初期の仮説を支持する。
<[Y]6−AIIアナログはAT2Rアゴニストであり、それは、AT2Rを過発現しているPC12W細胞において神経突起伸長を誘導する。>
[Y]6−AIIアナログの細胞分化(神経突起伸長)への効果を評価するために、PC12W細胞が用いられた。PC12Wラット副腎褐色細胞腫細胞は、円形の形状を有し、未分化状態で活発に分裂する。PC12W細胞は、長い無血清培養条件下でAT2Rを発現できることが示されており35、それらの神経突起伸長はAIIによって刺激される36。PC12W細胞は、リアルタイムPCRによって測定されるとおり現在のアッセイ条件ではAT1aRを発現しない(データ未記載)。図4に示すとおり、多数の細胞は刺激がないと短い神経突起を発達させる。しかし、AIIおよび[Y]6−AIIアナログの両方がAT2R形質導入細胞において神経突起伸長を顕著に刺激した(図4)。この表現型は、AIIおよび[Y]6−AIIの両方について1pM〜100nMの範囲でリガンド用量依存性であった。
[Y]6−AIIアナログの細胞分化(神経突起伸長)への効果を評価するために、PC12W細胞が用いられた。PC12Wラット副腎褐色細胞腫細胞は、円形の形状を有し、未分化状態で活発に分裂する。PC12W細胞は、長い無血清培養条件下でAT2Rを発現できることが示されており35、それらの神経突起伸長はAIIによって刺激される36。PC12W細胞は、リアルタイムPCRによって測定されるとおり現在のアッセイ条件ではAT1aRを発現しない(データ未記載)。図4に示すとおり、多数の細胞は刺激がないと短い神経突起を発達させる。しかし、AIIおよび[Y]6−AIIアナログの両方がAT2R形質導入細胞において神経突起伸長を顕著に刺激した(図4)。この表現型は、AIIおよび[Y]6−AIIの両方について1pM〜100nMの範囲でリガンド用量依存性であった。
<[Y]6−AIIアナログは腫瘍細胞増殖を阻害するが創傷治癒を促進する。>
腫瘍細胞増殖へのAIIアナログの効果を評価するために、3種のAIIアナログを細胞増殖アッセイにより検査した。用いられたアナログは、位置6にシステイン残基を有するA1(配列:DRVYICPF);位置6にD−Tyrを有するA2(配列:DRVYIdYPF)およびA3([Y]6−AIIアナログ)であった。増殖アッセイは、さまざまながん細胞において実施された。表5を参照されたい。A3は、研究したすべての細胞株において、nM範囲で優れたIC50値を表して、最良の結果を示した。
腫瘍細胞増殖へのAIIアナログの効果を評価するために、3種のAIIアナログを細胞増殖アッセイにより検査した。用いられたアナログは、位置6にシステイン残基を有するA1(配列:DRVYICPF);位置6にD−Tyrを有するA2(配列:DRVYIdYPF)およびA3([Y]6−AIIアナログ)であった。増殖アッセイは、さまざまながん細胞において実施された。表5を参照されたい。A3は、研究したすべての細胞株において、nM範囲で優れたIC50値を表して、最良の結果を示した。
ATR1発現が抑制されている細胞株で得られたデータは、ATR1発現の低減またはAT1(AI)拮抗作用が腫瘍細胞増殖の阻害において本発明のAIIアナログを補うように作用することを例示している。データは、AT1アンタゴニストロサルタンおよび本発明のAIIアナログが非常に有益な組み合わせ効果を有することを示している。
創傷治癒アッセイでの追加的検査も[Y]6アナログが優れたIC50値を示すことを示した(表5)。
表4.125−I AII飽和アッセイについての結果ならびに野生型および変異体AII受容体のアナログ競合的アッセイについての結果の要約
アッセイは、材料および方法に記載のとおり実行された。リガンドを含む試料のインキュベーションは氷上、2時間であった。競合結合アッセイにおいて用いられた[125I]−AIIの濃度は、2nMであった。KDデータをソフトウェアPrismの非線形回帰式を用いてミカエリスメンテン方程式にフィットさせた。Ki値を第一カラムでのKD値でチェン−プルソフ(Cheng and Prusoff)方程式に従って算出した。値は2〜3回の独立した実験の代表値である。各データ点は、3重にアッセイされた。
アッセイは、材料および方法に記載のとおり実行された。リガンドを含む試料のインキュベーションは氷上、2時間であった。競合結合アッセイにおいて用いられた[125I]−AIIの濃度は、2nMであった。KDデータをソフトウェアPrismの非線形回帰式を用いてミカエリスメンテン方程式にフィットさせた。Ki値を第一カラムでのKD値でチェン−プルソフ(Cheng and Prusoff)方程式に従って算出した。値は2〜3回の独立した実験の代表値である。各データ点は、3重にアッセイされた。
<医薬組成物>
好ましい実施形態では、上に記載のリガンドを含む、本発明の前述の態様において定義したアッセイ方法によって同定できる1つまたは複数の化合物を含む医薬組成物が提供される。
好ましい実施形態では、上に記載のリガンドを含む、本発明の前述の態様において定義したアッセイ方法によって同定できる1つまたは複数の化合物を含む医薬組成物が提供される。
本発明による医薬組成物は、活性成分としてAT2Rを特異的に活性化できる1つまたは複数の化合物を含む組成物である。典型的には化合物は、任意の薬学的に許容される塩の形態、または例えば必要に応じて、アナログ、遊離塩基形態、互変異性体、鏡像異性体ラセミ体もしくはこれらの組み合わせである。本発明による活性成分を含む医薬組成物の活性成分は、優れた治療活性を(例えば、具体的な場合に応じた量で投与される場合に膵臓がんおよび肺がんなどの腫瘍の治療において)示すことが期待されている。例示的化合物は、配列Tyr−Pro−Pheを含むAIIアナログである。
別の実施形態では、本発明の1つまたは複数の化合物は、任意の前述の状態を治療するために好適であることが周知の、当技術分野において認められた任意の化合物との組み合わせで用いることができる。したがって本発明の1つまたは複数の化合物は、前述の適応症を治療するために好適であることが周知の1つまたは複数の当技術分野で認められた化合物と、簡便で、単一の組成物が対象に投与できるように組み合わせることができる。投与計画は、最適な治療反応を提供するために調整できる。
例えば、いくつかに分割した用量を毎日投与できる、または用量は治療状況の要求によって示されるとおり比例的に減量できる。
活性成分は、経口、静脈内(水溶性である場合)、筋肉内、皮下、鼻腔内、皮内もしくは座薬経路またはインプラント(例えば、持続放出分子を用いる)などの簡便なやり方で投与されてよい。
投与の経路に応じて活性成分は、酵素、酸や、前記成分を不活性化し得る他の天然条件の作用から前記成分を保護するための材料中にコートされる必要がある場合がある。
非経口投与以外によって投与するために、活性成分は不活性化を防ぐ材料によってコートされるか、共に投与される。例えば活性成分は、アジュバント中で投与される場合があり、酵素阻害剤ととともに、またはリポソーム中にて同時投与される場合がある。本明細書において検討されるアジュバントは、レゾルシノール、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびnヘキサデシルポリエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤を含む。
リポソームは、従来のリポソームと同様に水中油中水CGF乳剤を含む。
活性成分は、非経口または腹腔内へも投与できる。
分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびこれらの組み合わせならびに油中にも調製できる。保存および使用の通常の条件下でこれらの調製物は、微生物の増殖を抑制するために保存剤を含有する。
注射可能な使用のために好適な医薬用形態は、滅菌水性溶液(水溶性である場合)または分散剤および、滅菌の注射可能な溶液または分散剤の即時調製ための滅菌粉剤を含む。すべての場合において形態は、滅菌されていなければならず、容易なシリンジ操作性(syringability)がある程度に流動性でなければならない。製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の夾雑作用に備えて保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)、これらの好適な混合物ならびに植物油を含有する溶媒または分散媒であってよい。適切な流動性は、例えばレシチンなどのコーティング剤の使用によって、分散剤の場合は所要の粒子サイズの維持によっておよびサーファクタントの使用によって維持できる。
微生物の作用の抑制は、種々の抗菌性および抗真菌性薬剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チルメロサールなどによってもたらされる。多くの場合、等張剤(例えば、糖または塩化ナトリウム)を含むことは好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)の組成物における使用によってもたらされ得る。
注射可能な滅菌溶液は、上に列挙した種々の他の成分を必要に応じて含む適切な溶媒中に所要量で活性成分を組み込み、続いてろ過滅菌することによって調製される。一般に分散剤は、滅菌活性成分を滅菌ビヒクル(基礎分散媒および上に列挙されたものから所要の他の成分を含有する)に組み込むことによって調製される。注射可能な滅菌溶液の調製のための滅菌粉剤の場合は好ましい調製方法は、活性成分に加えて任意の追加的な所望の成分の粉剤を(あらかじめろ過滅菌したその溶液から)産生する真空乾燥および凍結乾燥技術である。
上に記載のとおり活性成分が好適に保護される場合、それは例えば不活性希釈剤と共にもしくは吸収される食用の担体と共に経口的に投与できる、または硬いもしくは軟らかいシェルのゼラチンカプセル中に封入できる、または錠剤に圧縮できる、または食事の食物に直接組み込むことができる。経口治療用投与のために活性成分は、賦形剤と共に組み入れられてよく、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ、オブラートなどの形態で用いられてよい。そのような治療的に有用な組成物中の活性成分の量は、好適な投与量が得られる程度である。
錠剤、トローチ、丸剤、カプセルなどは、トラガカントゴム、アラビアゴム、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;ならびにショ糖、乳糖またはサッカリンなどの甘味剤も含有する場合があり、ペパーミント、冬緑油またはサクランボ香味剤などの香味剤が添加される場合もある。投与単位形態がカプセルである場合、上記の種類の材料に加えて液体担体を含有する場合もある。
種々の他の材料が、コーティング剤として、または、投与単位の物理的形態を変更するために存在する場合がある。例えば、錠剤、丸剤またはカプセルは、セラック、糖または両方でコートされる場合がある。シロップまたはエリキシル剤は、活性成分、甘味剤としてショ糖、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素ならびにサクランボまたはオレンジ香料などの香味料を含有する場合がある。当然のことながら、任意の投与単位形態の調製において用いられる任意の材料は、薬学的に純粋であり、使用される量で実質的に無毒性であるべきである。加えて、活性成分は、徐放性調製物および製剤に組み込まれてよい。
本明細書において使用される「薬学的に許容される担体および/または希釈剤」は、いかなるすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌性ならびに抗真菌性の薬剤、等張剤および吸収を遅らせる薬剤などを含む。医薬用活性物質のためのそのような媒体および薬剤の使用は、当技術分野において十分周知である。任意の従来の媒体または薬剤が活性成分と不適合性である場合を除いて、治療用組成物におけるそれらの使用は検討される。補助活性成分も組成物に組み込まれてよい。
投与の容易さおよび投与量の均一性のために非経口組成物を投与単位形態に製剤することは特に有利である。本明細書において用いられる投与単位形態は、治療される哺乳動物対象のための単一投与量として適するように物理的に分離された単位を指し、各単位は所望の治療効果を産生するように算出された活性材料のあらかじめ定められた量を所要の薬学的担体と共に含有している。本発明の新規投与単位形態について本明細書は(a)活性材料および達成される具体的な治療効果の特有の特徴、および(b)身体の健康が損なわれている疾患状態を有する生体対象における疾患の治療のための活性材料などを組み合わせる技術分野に由来する制限によって指示され、これに直接依存する。
主要な活性成分は、有効量での簡便で有効な投与のために好適な薬学的に許容される担体と投与単位形態で組み合わせられる。補助活性成分を含有する組成物の場合、投与量は前記成分の通常の用量および投与手段を参照して決定される。
さらなる態様では、本明細書前記で定義した本発明の活性成分が、疾患の治療における使用のために、単独または具体的な適応症の治療のために好適であることが周知の当技術分野で認められた化合物との組み合わせのいずれかで提供される。結果的に本発明の活性成分の使用が、がん(特に膵臓または肺がん)の治療のための医薬品の製造および同物に関連する治療の方法のために提供される。
<材料および方法>
[材料] AIIおよびAT2R受容体特異的遮断剤PD123319は、Sigma−Aldrich Chemical Co.(St.Louis、MO)から購入した。ヒトAGTR2 pcDNA3.1+は、the UMR cDNA Resource Centor(University of Missouri−Rolla、Rolla、MO)から得た。すべての他の化学物質は分析グレードであった。AT1aRおよびAT2R構築物は、Lazlo Hunyady(Semmelweis University、Budapest、Hungary;43)から贈られた物である。
[材料] AIIおよびAT2R受容体特異的遮断剤PD123319は、Sigma−Aldrich Chemical Co.(St.Louis、MO)から購入した。ヒトAGTR2 pcDNA3.1+は、the UMR cDNA Resource Centor(University of Missouri−Rolla、Rolla、MO)から得た。すべての他の化学物質は分析グレードであった。AT1aRおよびAT2R構築物は、Lazlo Hunyady(Semmelweis University、Budapest、Hungary;43)から贈られた物である。
[変異導入] AT2R変異体は他所に記載の通り生成した44。
[細胞培養および一過性形質移入] HEK293T細胞を10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)、2mMグルタミン、100U/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシンを補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、37℃で維持した。細胞を10cmディッシュに播種し、24時間後にAT1aR(pcDNA3.1)またはAT2R(pcDNAI/Amp)のいずれかでGeneJuice形質移入試薬を製造者の説明書に従って用いて形質移入した。細胞を形質移入の48時間後に回収した。形質移入したHEK293T細胞(細胞2x106個)の沈殿をプロテアーゼ阻害剤(Complete(商標)、Roche)を含有する氷冷結合緩衝液(50mMのTris−HCl(pH7.4)、100mMのNaCl、10mMのMgCl2、1mMのEDTA、0.2%BSAおよび0.025%バシトラシン)0.5mlに懸濁した。細胞を1.5ml微量遠心管に移し、2サイクルの凍結融解に供した。融解した細胞を26ゲージ針に7回通すことによって剪断し、粗製膜を超遠心分離法(60分間、120,000×g、4℃)によって沈殿させた。次いで粗製膜を、アミドブラックタンパク質アッセイ45によって決定したタンパク質濃度3.3μg/μlに対応するプロテアーゼ阻害剤を含有する氷冷結合緩衝液に最終容量0.2mlで再懸濁した。
[PC12W細胞] ラット副腎クロム親和性細胞腫瘍のクローン単離物由来の亜株を既に記載のとおり4610%FBS、100単位/mlペニシリンおよび100μg/mlストレプトマイシン(Invitrogen、Carlsbad、CA)を補充したDMEM中で培養した。細胞は5%CO2、加湿したインキュベーター中、37℃でインキュベートした。ヒトAT2Rコード領域を含有している組換え複製欠損アデノウイルスの調製をVECTOR BIOLABS(Philadelphia、PA)によって実行した。
アデノウイルスベクターでの遺伝子形質導入のために、細胞を1ウェルあたり細胞1.2x105個で6−ウェルプレートに播種した。24時間後、細胞をアデノウイルスベクター(Ad−AT2R 30感染効率(MOI))を含有している無血清DMEMで15分間ごとに軽く震盪して、37℃、6時間インキュベートした。6時間インキュベーション後、細胞を10%FBS含有DMEMで37℃、5%CO2で追加的に24時間培養した。次いで細胞をトリプシン処理し、1ウェルあたり細胞2x103個の密度で24−ウェルプレートで継代培養した。神経突起伸長への[Y]6−AIIアナログの効果の評価のために継代培養24時間後に、図4に示すとおり対照細胞およびAT2R過発現細胞を1nM AIIまたは[Y]6−AIIで処置した。
[放射性リガンド結合アッセイ] 飽和曲線を0〜10nM(3連でデータ点8個)の範囲の濃度の[125I]−AII(Amersham)を用いて得た。非特異的結合を6μMコールドAIIの存在下で判定した。競合的アッセイを1nMの濃度の[125I]−AIIおよび種々の濃度の未標識リガンドを図3に示すとおり用いて実施した。試料は2時間、4℃でインキュベートした。受容体結合および遊離の放射性リガンドを0.3%ポリエチルアミンにあらかじめ浸漬したWhatman GF/Bフィルターを通すろ過によって分離した。フィルターを氷冷結合緩衝液5mlで洗浄し、シンチレーション管に移した。放射活性をBeckman LS6000液体シンチレーションカウンターで計測し、データをPrismソフトウェア(GraphPad)を用いる非線形回帰によって分析した。Ki値を[125I]−AIIについてのKD、1.8nM(AT1aR)および2.3nM(AT2R)でチェン−プルソフ方程式に従って算出した。
[ペプチド合成および試料調製] 次のペプチド:AII(D1−R2−V3−Y4−I5−H6−P7−F8)、[Y]6−AII(D1−R2−V3−Y4−I5−Y6−P7−F8)、[4−OPO3H2−F]6−AII、(D1−R2−V3−Y4−I5−(4−OPO3H2−F)6−P7−F8)、[F]6−AII、(D1−R2−V3−Y4−I5−F6−P7−F8)および[4−NO2−F]6−AII、(D1−R2−V3−Y4−I5−(4−NO2−F)6−P7−F8)の合成は、Fmoc/tBu法を用いて達成した。2−クロロトリチルクロリドレジンおよびNα−Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)アミノ酸を合成のために用いた。ペプチド純度は、分析用HPLC(Nucleosil−120 C18、逆相、250X4.0mm)、質量分析(FABMS、ESIMS)およびアミノ酸分析によって評価した。試料は、0.02MのKClを含有する0.01M KPi緩衝液(pH=4)にペプチドを溶解することによってNMR分光法用に調製した。2,2−ジメチル−2−シラ−ペンタンスルホン酸(DSS)を内部化学シフト基準として濃度1mMに添加した。ペプチド濃度は、通常90%1H2O/10%2H2O中に4mMであった。保存剤として痕跡量のNaN3を添加した。
[NMR分光法]
a)距離制限の決定。高磁場NMRスペクトルをthe University of IoanninaのNMR centerにあるBruker Avance500分光器を用いて500MHzで、およびUtrechtのBijvoet Center for Biomolecular ResearchにあるBruker Avance 750分光器を用いて750MHzで取得した。水抑制のために勾配と共に励起スカルプティングを用いた。すべてのプロトン2Dスペクトルを直交(quadrature)検出のためのStates−TPPI法を用いて、2Kx512複合データ点でインクリメントあたり2D TOCSY用には16スキャンおよび2D−NOESY実験用には64スキャンでそれぞれ取得した。TOCSYスペクトル用の混合時間は80msであった。NOESY実験のための混合時間はNOEビルドアップレート(build−up rate)を決定するために100、200、350および400msに設定した。350msの混合時間は、2D−NOESYにおいてスピン拡散効果を導入することなく十分なクロスピーク強度を提供した。位相敏感2D−NOESYを具体的な帰属およびプロトン−プロトン距離拘束の推定のために用いた。データは2Kx2K実データ点を示すためにt1でゼロ補填し、90o位相シフトしたコサイン2乗−ベル窓関数(90°phase shifted square cosine−bell window function)を両方の次元に適用した。すべてのスペクトルをNMRPipeソフトウェアパッケージを用いることによって処理し、NMRVIEWで分析した。
a)距離制限の決定。高磁場NMRスペクトルをthe University of IoanninaのNMR centerにあるBruker Avance500分光器を用いて500MHzで、およびUtrechtのBijvoet Center for Biomolecular ResearchにあるBruker Avance 750分光器を用いて750MHzで取得した。水抑制のために勾配と共に励起スカルプティングを用いた。すべてのプロトン2Dスペクトルを直交(quadrature)検出のためのStates−TPPI法を用いて、2Kx512複合データ点でインクリメントあたり2D TOCSY用には16スキャンおよび2D−NOESY実験用には64スキャンでそれぞれ取得した。TOCSYスペクトル用の混合時間は80msであった。NOESY実験のための混合時間はNOEビルドアップレート(build−up rate)を決定するために100、200、350および400msに設定した。350msの混合時間は、2D−NOESYにおいてスピン拡散効果を導入することなく十分なクロスピーク強度を提供した。位相敏感2D−NOESYを具体的な帰属およびプロトン−プロトン距離拘束の推定のために用いた。データは2Kx2K実データ点を示すためにt1でゼロ補填し、90o位相シフトしたコサイン2乗−ベル窓関数(90°phase shifted square cosine−bell window function)を両方の次元に適用した。すべてのスペクトルをNMRPipeソフトウェアパッケージを用いることによって処理し、NMRVIEWで分析した。
AIIについてのプロトン間距離をNOESYスペクトルでのクロスピーク強度を測定することから導いた。強度をNMRVIEWソフトウェアパッケージを用いて一連の距離拘束をもたらすように調整した。NOEクロスピークをそれらの強度によって3種の距離分類に分けた。強いNOEは、3.0Åの上位(upper)距離制限、4.0Åの中位(medium)NOE値および弱い(weak)NOE、5.5Åをもたらした。下限距離限界を1.8Åに設定した。cis異性体形態(Xcis)にあるペプチド分子のモル分率を1Dスペクトルでcisおよびtrans形態にある同じプロトン共鳴に対応する十分に分離されたピークの面積を測定することによって得た。
b)温度係数。アミドプロトンについての溶媒保護値を検討するために、アミドプロトン温度係数(Δδ/ΔT)を温度283Kから308Kの範囲で測定した。典型的には暴露されたNHが−6.0から−8.5p.p.b./Kの範囲で勾配を有する一方で、水素結合されたまたは保護されたNHは−2.0から±1.4p.p.b.・K−1のΔδ/ΔTを有すると考えられる47。283Kで測定されたアミドプロトン共鳴のΔδ/ΔT対化学シフト偏差(CSD)のプロット(図X)は、適切な無作為コイル化学シフト補正と共に48、可動性直鎖ペプチドの部分構造とより良い相関を提供する。破線(Δδ/ΔT=−7.8(CSD)−4.4)は、タンパク質の暴露されたNHと隔離されたNHとの間のΔδ/ΔTのカットオフを表す。破線より上の勾配は暴露されたNHを示し、一方、下は隔離されたNHを示す。図2において観察されるとおり、すべての骨格NH(Arg2を例外として)は破線より上であり、これらのペプチドプロトンがいくらか暴露されていることを示している。Arg2骨格NHは、恐らく分子内水素結合の形成に関与している(下の考察を参照されたい)。Arg2の骨格NHについての低いΔδ/ΔT値は、AIIの環状アナログに見出されており、溶媒からの遮蔽を示唆しているが、この効果の構造的起源について理由付けを有さない。
c)拡散配列NMR分光法。298Kでの拡散配列分光法(DOSY)スペクトルを得るためにBrukerマイクロプログラムstebpgp1s19を適用した。パルスプログラムは、拡散については双極性勾配パルス傾斜を、水抑制については勾配を有する3−9−19パルスを用いる刺激エコーを適用する。各FIDについて、緩和遅延3sおよび二項水抑制について20μs遅延で過渡応答512個を収集した。F2次元(20ppm)においてデータ点4096個およびF1次元においてデータ点16〜32個(勾配強度)をすべての実験について収集した。最終データサイズは4096×1024であった。指数乗算(Exponential multiplication)を1Hz線幅拡大でF2に適用した。拡散時間(Δ)および勾配長(δ)をそれぞれ100msおよび1msに設定し、勾配パルス後の回復遅延は200μsであった。2種類のデータ分析法を未加工実験データに適用した。自動化2D処理のために、標準的2D−DOSY処理プロトコールをF1(拡散係数)次元において指数スケーリングでXWINNMRソフトウェアに適用した。手作業での曲線適合のために、さまざまな勾配強度で測定した1Dプロトンスペクトルにおいて選択したピークの強度を見かけの拡散係数D*を得るために方程式I=I0exp(−Dγ2g2δ2(Δ−δ/3))[→sqrt(−ln(I/Io))=sqrt(D*)g](AR Waldeck、PW Kuchel、AJ Lennon、and BE Chapman、NMR Diffusion Measurements to Characterise Membrane Transport and Solute Binding.Prog.NMR Spectrosc.)を用いてフィットさせた。この理論的方程式では、次の物理量が表される:I、実際の(測定された)ピーク強度;I0、ゼロ勾配強度でのピーク強度;D、拡散係数;γ、(プロトンの)磁気回転比;g、勾配強度;δ、勾配長;およびΔ、拡散時間。理論的には勾配長および拡散時間も拡散実験において増加させることができるが、しかし大部分のパルススキームは、勾配強度(g)を変更する。D、γ、Δおよびδが一定であることから、Dγ2g2δ2(Δ−δ/3)では、それらは新たな定数の元に変換できる、D*(D*=cD、式中c=γ2δ2(Δ−δ/3)は一定)。元の方程式の数学的再構成および新たな定数(D*)の置換によって、一次方程式[sqrt(−ln(I/Io))=sqrt(D*)g]が推測され(上記を参照されたい)、拡散係数の決定に適用できる。これらのプロットでは、勾配強度は5%から95%の間の総勾配強度の線形的に変化するインクリメントとして表される(16または32インクリメントが適用された)。方程式で示すとおり、フィットした線の傾きは、D*の平方根に等しく、それによりD*は傾きの値から算出できる。したがって基準と比較した実際の分子量は、次の方程式、log(D1/D2)=1/3*log(MW2/MW1)(式中D1/D2=D1*/D2*(AR Waldeck、PW Kuchel、AJ Lennon、and BE Chapman、NMR Diffusion Measurements to Characterise Membrane Transport and Solute Binding.Prog.NMR Spectrosc.))によって決定できる。この方程式は、比較される分子が同様の全体的形状および緩和特性を有することを推測する。
[構造計算] 構造計算は、Bonvin et al.に記載のとおりARIAセットアップおよびプロトコールを用いるCNSで実施された。
[X−Pro−Phe配列モチーフ(X=任意のアミノ酸)を有する構造タンパク質データセットの構築および分析] <90%配列同一性閾値、解像度≦3.0Å、およびR因子≦0.3を有するタンパク質データバンク[ref](PDB)由来のタンパク質構造のデータセットをPISCESサーバーから得た49。12736個のタンパク質構造のプロリル残基を検討した(材料および方法を参照されたい)各プロリル残基について、回旋角オメガ(ω)を算出した。−50°から+50°の間の角度を有する結合をcisプロリル結合とした。データベースを重複性(すなわち、同じpdb中の異なる鎖に存在するが同じ配列を有する残基は、それらの回旋角における差異が50°より大きい場合だけ保持された)、および目的のプロリンの近隣残基の欠損を回避するためにさらに処理した。C++で記述された自家製スクリプト(Tsoulos I.、Tzakos A.G.、et al.準備中)を、(i)プロリン残基に対する回旋角ωを算出する;(ii)X−Pro−Pheモチーフ(式中Xは任意のアミノ酸)を有する残基のデータセットを構築する;(iii)X−Pro−Pheモチーフ中のすべてのアミノ酸中でのcisプロリンアミド結合の発生率に関する統計を算出する(表1);(iv)X−Pro−Phe配列モチーフのcisの場合での構造的可塑性を位置付ける(表2)ために用いた。ファミリーへのクラスター形成を平均2乗偏差フィッテイングによって実施した。
[腫瘍細胞増殖アッセイ]
増殖をMTTアッセイを用いて評価した。初期対数期細胞をマイクロタイタープレートに播種し、一晩増殖させた。次いでAIIアナログを系列希釈で添加した。新鮮な薬物を24時間ごとに添加した。MTTアッセイを製造者のプロトコールに従って用いて増殖を24時間間隔で評価した。IC50値を、未処置対照および/または薬物ビヒクルだけで処置した対照と比較して増殖における50%低下を生じるために必要な薬剤の濃度として算出した。各研究は、少なくとも2回、6について2重に(in duplicates of 6)行った。
増殖をMTTアッセイを用いて評価した。初期対数期細胞をマイクロタイタープレートに播種し、一晩増殖させた。次いでAIIアナログを系列希釈で添加した。新鮮な薬物を24時間ごとに添加した。MTTアッセイを製造者のプロトコールに従って用いて増殖を24時間間隔で評価した。IC50値を、未処置対照および/または薬物ビヒクルだけで処置した対照と比較して増殖における50%低下を生じるために必要な薬剤の濃度として算出した。各研究は、少なくとも2回、6について2重に(in duplicates of 6)行った。
[創傷治癒アッセイ]
細胞移動へのAIIアナログの効果を、スクラッチプロトコールを用いて実施した創傷治癒アッセイで評価した。サブコンフルエントな細胞を用いた(アッセイは35mmディッシュで行った)。細胞を低血清培地で一晩増殖させ、次いで標準的プロトコールを用いて滅菌ピペットチップでスクラッチすることによって傷をつけた。傷をつけた直後に細胞をAIIアナログの系列希釈物に暴露した。傷をつけた細胞の先端でのギャップを顕微鏡でモニターした。
細胞移動へのAIIアナログの効果を、スクラッチプロトコールを用いて実施した創傷治癒アッセイで評価した。サブコンフルエントな細胞を用いた(アッセイは35mmディッシュで行った)。細胞を低血清培地で一晩増殖させ、次いで標準的プロトコールを用いて滅菌ピペットチップでスクラッチすることによって傷をつけた。傷をつけた直後に細胞をAIIアナログの系列希釈物に暴露した。傷をつけた細胞の先端でのギャップを顕微鏡でモニターした。
他に述べない限り、本明細書に記載のものに類似のまたは等価な任意の方法および材料は、本発明の実施または検査において用いることができる。そのような使用のために好適な方法、デバイスおよび材料は、上に記載されている。本明細書で引用するすべての刊行物は、本発明と関連して用いられる場合があり、刊行物において報告された方法、試薬およびツールを記載するおよび開示する目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
Claims (24)
- アンジオテンシンII受容体の選択的リガンドを調製するための方法であって、
(i)cis−trans異性化に感受性である、前記受容体のリガンドのモチーフを選択するステップと、
(ii)前記リガンドを、前記モチーフを含むデータベース中の配列と比較し、前記モチーフの中または近傍における置換の、cisまたはtrans異性体の形成への影響を判定するステップと、
(iii)ステップ(ii)における比較に従って前記リガンド中の置換を生じさせ、それによって前記リガンド中でcisまたはtrans異性体を選好するステップと
を含む、方法。 - 前記モチーフがプロリンを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記モチーフがX1−Pro−X2であり、式中X1およびX2が同じまたは異なっており、かつ、いかなるアミノ酸であってよい、請求項2に記載の方法。
- X2がPheである、請求項3に記載の方法。
- 前記リガンドがAT2Rに選択的である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リガンドがAT1Rに選択的である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記リガンドがAT2Rに選択的であり、溶液中においてcis−異性体化の増大を示す、請求項5に記載の方法。
- 前記リガンドがアンジオテンシンI、II、IIIもしくはIVまたはサララシンの変異体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記モチーフがHis6−Pro7−Phe8である、請求項5に記載の方法。
- 前記His6残基がTyrにより置換されて、Tyr−Pro−PheモチーフおよびAIIのTyr6アナログを産生する、請求項9に記載の方法。
- 電子供与性基または電子求引性基がフェニルアラニン環のパラ位の水素を置換するように導入されている4−置換Phe残基、請求項9に記載の方法。
- 配列Tyr−Pro−Pheを含む、アンジオテンシンII受容体のリガンド。
- 配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−Tyr−Pro−Pheを有する、請求項12に記載のリガンド。
- 電子供与性基または電子求引性基が、フェニルアラニン環のパラ位の水素を置換するように導入されている4−置換Phe残基を有する、アンジオテンシンII受容体のリガンド。
- 配列Asp−Arg−Val−Tyr−Ile−Phe−Pro−Pheを有するアンジオテンシンII受容体のリガンドであって、Phe6が4位で置換されているリガンド。
- 野生型アンジオテンシンIIと比較して、1つまたは複数のcisまたはtrans異性体の形成が選好される、アンジオテンシンIIの変異体。
- 腫瘍治療における使用のための、請求項1〜11のいずれか1項により選択されるリガンド。
- 腫瘍治療における使用のための、請求項12〜16のいずれか1項に記載のリガンド。
- AT2Rシグナル伝達を介した膵がん細胞の増殖における負の制御因子としての使用のための、または、AT2Rシグナル伝達を通じた肺腺がん細胞の増殖における負の制御因子としての使用のための、請求項17または請求項18に記載のリガンド。
- 腫瘍治療における、AT1アンタゴニストとの同時、別々に同時または逐次の使用のための、請求項12〜19のいずれか1項に記載のリガンド。
- 脊髄損傷の治療における使用のための、請求項1〜11のいずれか1項により選択されるリガンド、または請求項12〜16のいずれか1項に記載のリガンド。
- [Y]6−AIIリガンドである、請求項17〜21のいずれか1項に記載のリガンド。
- 腫瘍治療の必要がある患者において腫瘍を治療するための方法であって、請求項17〜19、21または22のいずれか1項に記載のリガンドの薬学的有効量を前記患者に投与するステップを含む、方法。
- 脊髄治療の必要がある患者において腫瘍を治療するための方法であって、請求項20に記載のリガンドの薬学的有効量を前記患者に投与するステップを含む、方法。
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