JP2015508878A - 内燃機関用のピストンリング - Google Patents

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Abstract

シリンダ壁をピストン本体にシールするためのピストンリングを提供する。ピストンリングは、軸の周りに実質的に円周方向に延在し、かつ軸の方を向く内面を有する弾性変形可能な材料からなるリング本体を含む。内面は、軸方向に間隔を空けられて径方向内向きに延在する複数の接触部を含む。リング本体は、接触部を付勢してピストン本体に係合させて、それらの間にシールを確立するように構成される。接触部の少なくとも1つは周囲に実質的に連続的に延在して、ピストン本体の周りに実質的に連続的なシールを確立し、接触部の少なくとも1つは非連続的であり、オイルおよびガスがそこを通過できるようにするための少なくとも1つの凹部領域を有する。

Description

関連出願との相互参照
本願は、2012年2月17日に出願された出願連続番号第61/600,285号の利益を主張する。
発明の背景
1.発明の分野
本発明は概して、シリンダの内部に少なくとも1つの往復ピストンを有する内燃機関に関し、特に、往復ピストンとシリンダ壁との間のシールに関する。
2.関連技術
典型的な内燃機関には、エンジンブロックのシリンダの内部を往復運動する少なくとも1つのピストン本体が設けられる。一般に、各ピストン本体は複数のリング溝を含み、リング溝の各々がピストンリングを受けて作動可能に支持する。作動時、ピストンリングはリング溝の中にとどまり、各自のピストン本体とともにエンジンブロックのシリンダの内部を往復運動する。とりわけ、ピストンリングは、ピストン本体の上方の燃焼室内に燃焼ガスをシールしてピストン本体からシリンダ壁に熱を伝達することによって、クランクケースから燃焼室へのオイルの通過を制限するように、かつ全体的に均一な油膜をシリンダ壁に提供するように機能する。そのようなピストンリングは、典型的に、ばね力によって径方向外向きにシリンダ壁に接して付勢されて、ピストン本体とシリンダ壁との間にシールを確立する。
発明の要約
本発明の一局面は、シリンダ壁をピストン本体にシールするためのピストンリングを提供する。ピストンリングは、軸の周りに実質的に円周方向に延在し、かつ軸の方を向く内面を有するリング本体を含む。内面は、軸方向に間隔を空けられて径方向内向きに延在する複数の接触部を含む。リング本体は、内面の接触部を付勢してピストン本体に係合させてそれらの間にシールを確立するための弾性変形可能な材料からなる。径方向内向きに延在する接触部の少なくとも1つは周囲に実質的に連続的に延在して、ピストン本体の周りに実質的に連続的なシールを確立し、径方向内向きに延在する接触部の少なくとも1つは非連続的であり、オイルおよびガスがそこを通過できるようにするための少なくとも1つの凹部領域を含む。
ピストンリングはシリンダ壁のチャネル内に着座して、シリンダ壁とピストン本体との間にシールを確立し得る。したがって、ピストンリングは、エンジンの作動時に通常は静止し続け、シリンダ壁に対して動かない。この位置によって、スカートの長さを損なうことなく、ピストン本体がエンジンのシリンダ内を往復運動する際にピストン本体の安定性を高めることができ、すなわち、スカートは、ピストン本体が下死点位置にある時、シリンダ壁を通り過ぎて下向きに延在し得る。ピストンリングは耐吹抜け性も有する。
本発明の別の局面によると、複数の接触部は、上側接触部および複数の下側接触部を含む少なくとも3つの接触部である。上側接触部は実質的に円周方向において連続的であり、下側接触部の各々は少なくとも1つの凹部領域を有する。下側接触部の凹部領域は、実質的に連続的な上側接触部によって収集される排油を増加させるように互いに回転整列している。
本発明のさらに別の局面は、パワーシリンダアセンブリを提供する。パワーシリンダアセンブリは、円周方向に延在するチャネルが形成されたシリンダ壁と、スカートを有するピストン本体とを含む。スカートの外面の少なくとも一部は、スカート直径を有して周囲に実質的に連続的に延在する。シリンダ壁のチャネルの内部にピストンリングが配置されるか着座して、シリンダ壁とピストン本体との間にシールを確立する。ピストンリングは、弾性変形可能な材料からなり、かつ軸の周りに実質的に円周方向に延在するリング本体を有する。リング本体は、軸の方を向き、かつ軸方向に間隔を空けられて径方向内向きに延在する複数の接触部を有する内面を有する。接触部の少なくとも1つは、実質的に円周方向において連続的であり、弛緩状態にある時、全体的に均一なリング直径を有する。リング直径はピストン本体のスカート直径よりも小さい。リング本体は、スカートの円周方向において連続的な部分を実質的に円周方向に囲み、内面の接触部は、ピストン本体のスカートに接して付勢されて、シリンダ壁とピストン本体との間に動的シールを確立する。
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、添付の図面と関連して考慮されると以下の詳細な説明を参照することによってより良く理解されるため、容易に認識されるであろう。
ピストンリングの例示的な実施形態の斜視図である。 図1のピストンリングを含むパワーシリンダアセンブリの例示的な実施形態の断面図であって、上死点位置にあるピストン本体を示す図である。 図1のピストンリングを含むパワーシリンダアセンブリの例示的な実施形態の別の断面図であって、下死点位置にあるピストン本体を示す図である。 シリンダ壁のチャネル内に配置されてピストン本体とシール係合している図1のピストンリングを示す横断面部分図である。 図1のピストンリングの横断面部分図である。 図5とは異なる位置で取られた、図1のピストンリングの別の横断面部分図である。 図1のピストンリングの断面斜視部分図である。 図1のピストンの上面図である。
実施可能な実施形態の説明
いくつかの図面全体にわたって同様の番号は対応する部分を示す図面を参照して、内燃機関のパワーシリンダアセンブリ26のシリンダ壁24にピストン本体22をシールするためのピストンリング20の例示的な実施形態を図1に全体的に示す。次に図2および図3の横断面図を参照して、例示的なピストンリング20は、エンジンブロック28と二片式シリンダライナ30とを有する内燃機関のパワーシリンダアセンブリ26内に取付けられた状態で示されており、二片式シリンダライナ30はともに、軸方向に延在するシリンダ壁24を提供し、シリンダ壁24は、シリンダ壁24の周りに実質的に円周方向に延在するチャネル32を有する。具体的には、例示的な実施形態では、ピストンリング20は、軸方向に互いに間隔を空けられて上述のチャネル32を提供するシリンダライナ30片の端同士の間に配置される。しかし、チャネル32はさまざまな異なる態様でシリンダ壁24に形成され得ることを認識すべきである。たとえば、チャネル32は、シリンダライナ30をまったく用いずにエンジンブロック28に直接形成されてもよい。例示的なピストンリング20はディーゼル燃料圧縮点火エンジン内に取付けられた状態で示されているが、ピストンリング20は代わりに、たとえばスパーク点火エンジンまたは水平対向2ピストン/シリンダエンジンを含む、さまざまな異なる種類の内燃機関において用いられ得ることを認識すべきである。
引続き図2および図3を参照して、例示的なパワーシリンダアセンブリ26のピストン本体22は、ピストン本体22の外壁に形成された関連のリング溝内に保持される1つ以上の上側ピストンリング34(例示的な実施形態では複数が示される)を含む。ピストン本体22はさらに、ピストンリング20領域から垂下し、かつエンジンの作動時のシリンダ内の往復運動の際にピストン本体22を導くのに有用なスカート36を有する。スカート36の少なくとも一部は全体的に円筒形状であり、周囲に連続的に延在する外面を有する。具体的には、スカートの円周方向において連続的な部分の外面はスカート直径Dを有する。スカート36のこの部分は、シリンダ壁24との間に作動ギャップ38が存在するように、シリンダ壁24の内径とほぼ同じであるが相対的により小さいようにサイズ決めされる。ピストン本体22はリストピン(図示せず)または同様の種類の接続装置によって接続ロッド40に結合され、接続ロッド40は次いでクランクシャフト(図示せず)または同様の機構に結合される。
引続き図2および図3を参照して、例示的なピストンリング20は、シリンダ壁24のチャネル32内の位置において、エンジンブロック28に対して固定装着され、ピストン本体22のスカート36の外面に接してシールされることによって、シリンダ壁24とピストン本体22との間に気密および液密シールを確立する。ピストンリング20は内面42(図4にもっとも良く示される)を有し、この内面は、エンジンの作動時にピストン本体22のスカート36と走行接触して、ピストン本体22の一方の側で燃焼室内に燃焼ガスをシールし、ピストン本体22の他方の側で、たとえばクランクケース(図示せず)または任意の他の油室内にオイルをシールする。エンジンの作動時、ピストン本体22は、シリンダ壁24の内部で、図2に示される上死点位置と図3に示される下死点位置との間を上下に動く。図示されるように、例示的なピストンリング20はスカート36の円周方向において連続的な部分とシール係合し続け、ピストン本体22の移動範囲全体にわたって気密および油密シールを維持する。シリンダ壁24のチャネル32内のピストンリング20の位置によって、スカート36の長さを損なうことなく、ピストン本体22がエンジンのシリンダ内を往復運動する際にピストン本体22の安定性を高めることができ、すなわち、スカート36は、ピストン本体22が下死点位置にある時、クランクケース(図示せず)内へ下向きに延在し得る。
再び図1を参照して、ピストンリング20は、軸の周りに実質的に円周方向に延在するリング本体42を含む。リング本体42は、軸の方を向き、かつ軸方向に間隔を空けられて径方向に延在する複数の接触部46,48を有する内面44を有する。具体的には、図5〜図7にもっとも良く示されるように、例示的な実施形態では、リング本体42は、上側接触部46および複数の下側接触部48(一対の下側接触部48として図示される)を含む3つの接触部46,48を有する。図8にもっとも良く示されるように、上側接触部46は、停止状態にある時、全体的に均一なリング直径Dを有して実質的に円周方向に連続的に延在する。リング直径Dはピストン本体22のスカート直径Dよりも小さい。次に図5および図6を参照して、下側接触部48は非連続的であり、凹部領域50を有する。図示されるように、下側接触部48の凹部領域50は、回転方向において互いに整列している。再び図1を参照して、リング本体42は、リングギャップ52によって互いに間隔を空けられた端を有し、当該端は少なくとも部分的に互いに重なる。この重なりは、たとえば、アングル継手、重ね継手、凸形ステップ継手、アングルステップ継手、フック継手等を用いてもよい。
リング本体42は、ばね鋼などの弾性変形可能な材料で作られる。リング本体42をピストン本体22のスカート36上に取付けるために、リング本体42を広げてリング直径を増加させてから、リング本体42をスカート36上に挿入する。リング本体42は、解放されると、相対的により大きなスカート36によって部分的に膨張したままであり、停止状態においてに向かって歪むことによって、ピストン本体22との間に動的シールを確立する。
次に図4を参照して、リング本体42はシリンダ壁24のチャネル32内に着座し、シリンダ壁24とピストン本体22との間に動的な気密および油密シールを確立する。リング本体42のこの位置では、3つの接触部46,48のすべてがピストン本体22とシール係合している。次に図5を参照して、下側接触部48の凹部領域の整列によって、上側接触部46によって収集される排油が増加する。
スカート36と係合している接触部46,48のエッジは、良好な接触およびオイル収集を促進するように鋭利であってもよいし(すなわちナイフエッジ、90度の角部または90度未満の角部)、丸み帯びていてもよいし、任意の好適な形状を有してもよい。
リング本体42は任意の所望の製造工程で形成されてもよく、たとえば、ばね鋼、他の種類の鋼、または鋳鉄を含む、弾性変形可能な任意の好適な材料で作られてもよい。リング本体42はさらに、コーティングされていなくてもよいし、耐摩耗性コーティング(クロム、酸化アルミニウムセラミックを含むクロム[CKS]、ミクロダイヤモンドを含むクロム[GDC]等)が内面44に塗布されていてもよい。リング本体42の材料および形状は、好ましくは、リング本体42とピストン本体22との間の摩擦を最小限にしつつシリンダ壁24とピストン本体22との間に気密および油密シールを提供するように選択される。
実施形態の例示的な説明は説明的であることが意図されており、発明を限定することは意図されていない。開示された実施形態に対する変形および修正が当業者にとって明らかになり、発明の範囲内にあり得る。

Claims (10)

  1. シリンダ壁をピストン本体にシールするためのピストンリングであって、
    軸の周りに実質的に円周方向に延在するリング本体を備え、前記リング本体は、前記軸の方を向く内面を有し、前記内面は、軸方向に間隔を空けられて径方向内向きに延在する複数の接触部を含み、前記リング本体は、前記内面の前記接触部を付勢して上記ピストン本体に係合させるための弾性変形可能な材料からなり、径方向内向きに延在する前記接触部の少なくとも1つは周囲に実質的に連続的に延在して、上記ピストン本体の周りに実質的に連続的なシールを確立し、径方向内向きに延在する前記接触部の少なくとも1つは非連続的であり、オイルおよびガスがそこを通過できるようにするための少なくとも1つの凹部領域を含む、ピストンリング。
  2. 前記複数の接触部は、上側接触部および複数の下側接触部を含む少なくとも3つの接触部であり、前記上側接触部は実質的に円周方向において連続的であり、前記下側接触部の各々は凹部領域を含み、前記下側接触部の前記凹部領域は、排油を向上させるように互いに整列している、請求項1に記載のピストンリング。
  3. 前記リング本体は、リングギャップによって互いに間隔を空けられた端を有し、前記端は少なくとも部分的に互いに重なり、上記ピストン本体との間に円周方向において連続的なシールを確立する、請求項1に記載のピストンリング。
  4. 前記リング本体はばね鋼からなる、請求項1に記載のピストンリング。
  5. 前記リング本体はコーティングされていない、請求項1に記載のピストンリング。
  6. パワーシリンダアセンブリであって、
    チャネルが形成されたシリンダ壁を備え、前記チャネルは前記シリンダ壁の周りに円周方向に延在しており、前記パワーシリンダアセンブリはさらに、
    スカートを有するピストン本体を備え、前記スカートの外面の少なくとも一部は、スカート直径を有して周囲に実質的に連続的に延在しており、前記パワーシリンダアセンブリはさらに、
    前記シリンダ壁の前記チャネルの内部に配置されたピストンリングを備え、
    前記ピストンリングは、軸の周りに実質的に延在するリング本体を有し、前記リング本体は、前記軸の方を向く内面を有し、前記内面は、軸方向に間隔を空けられて径方向内向きに延在する複数の接触部を含み、前記接触部の少なくとも1つは、弛緩状態にある時、全体的に均一なリング直径を有して実質的に連続的であり、前記リング直径は前記ピストン本体の前記スカート直径よりも小さく、前記接触部の少なくとも1つは非連続的であり、少なくとも1つの凹部領域を含み、
    前記リング本体は、前記スカートの円周方向において連続的な上記部分を実質的に円周方向に囲み、前記接触部は、前記スカートに接して付勢されて前記シリンダ壁と前記ピストン本体との間に動的シールを確立する、パワーシリンダアセンブリ。
  7. 前記リング本体の前記複数の接触部は、上側接触部および複数の下側接触部を含む少なくとも3つの接触部であり、前記上側接触部は実質的に円周方向において連続的であり、前記下側接触部の各々は凹部領域を含み、前記下側接触部の前記凹部領域は、排油を向上させるように互いに整列している、請求項6に記載のパワーシリンダアセンブリ。
  8. 前記リング本体は、リングギャップによって互いに間隔を空けられた端を有し、前記端は少なくとも部分的に互いに重なり、前記ピストン本体との間に円周方向において連続的なシールを確立する、請求項6に記載のパワーシリンダアセンブリ。
  9. 前記リング本体はばね鋼からなる、請求項6に記載のパワーシリンダアセンブリ。
  10. 前記リング本体はコーティングされていない、請求項6に記載のパワーシリンダアセンブリ。
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