JP2015508331A - 有機廃水からのアンモニア性窒素除去方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は有機廃水からアンモニア性窒素を除去する方法に関する。この方法は、高濃度のアンモニアを含む廃水に有機合成イオン交換体を接触させる工程、イオン交換体にアンモニアを吸着させる工程、およびイオン交換体を極めて高い重量モル濃度の再生剤溶液によって再生する工程からなる。
Description
本発明は、有機廃水からアンモニア性窒素を除去する方法に関する。
世界各地において、産業革命以前には広く行われていた養分循環が大規模に阻害されてきている。特に、前世紀中、肥料やその他の化学製品を生産するためにハーバー・ボッシュ窒素固定法が一般的に行われるようになるにつれて環境中に蓄積されてきた窒素の過剰供給はすさまじいものである。実際、現代人の体内にあるタンパクに入る窒素の半分は上記の人為的プロセスを起源とするもので、残りがバクテリアや古細菌による自然の窒素固定によるものであると推定されている。
利用可能な窒素の供給量が増大したことで、農工業における空前の増産が可能になってきたが、同時に、相当量の窒素が、おもにアンモニア、アンモニウムおよび硝酸塩の形で環境中に意図せずに排出されてきた。
都市廃水、工業廃水および農業廃水中の窒素の大部分はアンモニアとして存在していることが多く、そのかなりの部分は動物の代謝を起源としている。哺乳類を別とすると、代謝老廃物中の窒素は、多くの場合、尿素の形態で存在している。しかし、尿素はすぐにアンモニウムと二酸化炭素の中性混合物になってしまい、次の段階で、二酸化炭素は気散し、pHが増加してアンモニアが蒸発し始めることになる。
アンモニアは、目、鼻および肺に刺激を与え、高濃度では病気や、場合によっては死をもたらすことさえある。大気中に大量に放出され、空気や雨によって湿地、原野あるいは荒地といった貧栄養生態系中に蓄積されると、母材植生を形成してきた植物種が好窒素のものにとって代わられる。また、蓄積された窒素の一部は、硝酸塩の形で地下水中に浸出したり、水路、淡水系、海に流れ込んだりして、さらなる環境汚染や富栄養化といった問題を引き起こす可能性もある。
従って、ここ数十年の間、有機廃水中の窒素を選択的に除去して、肥料としての用途や他の実用に供するために、より少ない窒素負荷地域に移送するのに適した形態で保持する方法の開発に、大きな関心が向けられてきた。
有機廃水中から窒素を除去しようとするとき、固形成分と液体成分にわける最初の分割は、通常、廃液の液体成分の窒素濃度が明らかになるような様々な手段で行われる。この分割で生じる固体廃棄成分は、例えば、リンを豊富に含む土壌改良剤、バイオマス燃料あるいはバイオガスプラントの原材料として利用できる。
液体廃棄成分からの窒素除去は、従来、公知の方法に従ってアンモニアを放散させることによって、および/または、他の一連の化学物質を加えることでアンモニウム塩を沈殿させて肥料として直接利用することなどによって行われてきた。
また、より少ないエネルギー消費で、かつ、複雑な工業設備に頼ることなく、有機廃水からアンモニア性窒素を除去するために、吸着によってアンモニウムイオンを除去する天然イオン交換体の利用が提案されてきた。例えば、国際特許出願WO92/12944には天然イオン交換体、特に、鉱物グルコナイトを用いて、水肥の水相からアンモニア性窒素を除去することが開示されている。ろ過、凝集そして沈殿工程を経た後に、適度な窒素含有量の水相をイオン交換体にかける。このイオン交換体は、好ましくはCaCl2水溶液で再生でき、溶離液は分離生成物として保存しても、あるいは、最初の下肥分離液から生じた濃厚スラリーと合わせて別の相にしてもよい。
この、天然イオン交換体を用いて有機廃水からアンモニア性窒素を除去するという従来の方法は大いなる期待を抱かせるものであった。しかし、残念なことに、この方法は大きな期待に沿うことが出来ず、商業規模で実用化することはほとんどできなかった。いくつかの問題のために、天然イオン交換体を機能的かつ持続的に大規模利用して有機廃水からアンモニウムを一掃しようとした試みは失敗してしまったのである。
上記した課題のために利用すると、天然イオン交換体のベッドは、自身による分離の結果生じた微細物質や有機廃水からの一部は有機的な性質をもつ固体物質粒子によって目詰りしてしまう。このため、処理すべき液体をろ過することが極めて困難になり、バルクのイオン交換体を通過する流量、すなわち、効率が一般的には3mm/分未満の不十分なレベルにまで低下してしまう。また、再生溶液によって天然イオン交換体のベッドを再生・処理するたびに、イオン交換物質の劣化が進行して、プラントの目詰り問題がさらに悪化し、その結果、イオン交換体ベッドの他の部分を通る、制約された不均一な流れのパターンが出来てしまう。
有機廃水からアンモニア性窒素を除去するのに用いる天然イオン交換体のもう一つの欠点は、天然イオン交換体は本質的に陽イオン交換容量が小さく、しばしば、リットル当たり1モル当量未満に低下することである。すなわち、イオン交換過程で十分なアンモニウム濃縮率を達成することは困難である。イオン交換体から吸着されたアンモニウムを再生溶液によって溶離させた後の液体の最終的な体積は、プロセス開始時点で処理した液体の体積と比べて、典型的には十分に小さいものではない。
環境的および商業的関心の高まりを受けて、有機廃水からアンモニア性窒素を除去するのに天然イオン交換体を用いる方法の欠点を改善しようとして、多くの実験が行われてきた。例えば、国際特許出願WO2004/089833A2および合衆国特許出願US2008/053909A1には、合成イオン交換体を利用することが記載されている。しかしながら、説得力のある好適な濃縮率が得られていないので、上記した天然イオン交換体の重大な欠点は依然として残されたままである。
一般に、処理すべき液体に適当な化合物を加えることによってアンモニウム塩を直接沈殿させるほうが支持されており、有機廃水からアンモニウムを選択的に除去するイオン交換の方針は一般的に断念されているように見受けられる。
そこで本発明は、環境にやさしく、効率的で耐久性があり、エネルギーや他の化成品の消費が少ない、有機廃水からアンモニア性窒素を除去する方法を提供することを目的とするものである。
この目的に合致するために、提供するのは:
アンモニア性窒素含有量が2g/l未満の有機廃水を用意する工程、
前記有機廃水を、使用時の吸着量が1.2当量/l(リットル当たりモル当量)より大きい、好ましくは2.0当量/Lより大きい有機合成イオン交換体に接触させる工程、および、
アンモニア性窒素を前記有機廃水から前記イオン交換体に吸着させる工程、
からなる、有機廃水からアンモニア性窒素を除去する方法であって;
その後にイオン交換体を、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度3モル/kgから完全飽和までのNaNO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度1モル/kgから完全飽和までのNa2CO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度3モル/kgから完全飽和までのNaCl溶液、および/または、温度が30から40℃で濃度が重量モル濃度1モル/kgから完全飽和までのNa2SO4溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度4モル/kgから完全飽和までのK2CO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度4モル/kgから完全飽和までのK2HPO4溶液によって再生し;
前記有機廃水をイオン交換体に接触させるときの廃水中の有機物含有量が8%(w/w)未満であり;
前記有機物が溶解しているか、または、最大径25μmの粒子であることを特徴とする方法である。
アンモニア性窒素含有量が2g/l未満の有機廃水を用意する工程、
前記有機廃水を、使用時の吸着量が1.2当量/l(リットル当たりモル当量)より大きい、好ましくは2.0当量/Lより大きい有機合成イオン交換体に接触させる工程、および、
アンモニア性窒素を前記有機廃水から前記イオン交換体に吸着させる工程、
からなる、有機廃水からアンモニア性窒素を除去する方法であって;
その後にイオン交換体を、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度3モル/kgから完全飽和までのNaNO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度1モル/kgから完全飽和までのNa2CO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度3モル/kgから完全飽和までのNaCl溶液、および/または、温度が30から40℃で濃度が重量モル濃度1モル/kgから完全飽和までのNa2SO4溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度4モル/kgから完全飽和までのK2CO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度4モル/kgから完全飽和までのK2HPO4溶液によって再生し;
前記有機廃水をイオン交換体に接触させるときの廃水中の有機物含有量が8%(w/w)未満であり;
前記有機物が溶解しているか、または、最大径25μmの粒子であることを特徴とする方法である。
上記の高濃度再生溶液と有機合成イオン交換体とを組み合わせて用いることによって、アンモニア性窒素を高流量かつ高濃度係数で有機廃水から除去することが可能になり、これらの好ましい特性が、再生工程および処理すべき液体との接触工程を長期間、繰り返しても維持されるようになることを見出したのは驚くべきことである。天然イオン交換体を上記の課題のために使用する際にこれまで直面していた問題に対して、ビーズ状の有機合成イオン交換体が示す驚異的な耐久性と効果は、望まれていたものをはるかに凌ぐものである。驚くべきことに、本出願の有機合成イオン交換体は、過剰な浸透圧衝撃によってイオン交換体が破壊されないように、極めて薄い溶液の状態でのみ再生するよう、合成イオン交換体の製造元から使用上の注意を受けているにもかかわらず、強力な再生剤にも耐えることを発明者らは見出した。強力な再生剤が使用可能であることは、高い濃度係数を達成する大きな要因である。さらに、高濃度の塩溶液によって、ほとんどの種類の微生物群についてイオン交換体ベッド内に定着することを防止でき、その結果、処理すべき廃水を殺菌する前処理工程が省略可能になる場合すらしばしばある。
従って、水肥からアンモニア性窒素を除去する、丈夫で、簡単、効果的な方法を提供するものであり、この結果、有機廃水中の種々の窒素化合物を除去する際に生じる悪影響を制御することが可能になる。
上記の有機合成イオン交換体は、例えば、重合過程でジビニルベンゼンを加えて強い酸基によって架橋したスチレンのような樹脂から得られる陽イオン交換体である。このイオン交換体はゲル型でもマクロポーラス型でもよい。あるいはまた、イオン交換体は弱酸性陽イオン交換体で、カルボキシル基がアクリル樹脂上で機能化されているものでもよい。これについても形態はゲル型でもマクロポーラス型でもよい。
さらに、この陽イオン交換体を用いたプラントには、一つまたは複数の陰イオン交換体も組み込んでもよい。
再生に用いる溶液の溶媒は、好ましくは水であるが、他の好適な溶媒を用いることもできる。それぞれの塩の再生溶液は単独で用いても複数の組合せで用いてもよい。個々のアンモニウムイオン(NH4 +)は再生溶液中のナトリウムイオン(Na+)やカリウムイオン(K+)といった同じ一価のイオンの1つ1つと交換される。この点に注目すると、上記に列挙した、1分子当たり2原子のナトリウムまたはカリウムを有する塩はいずれも、上記した溶液の重量モル濃度の2倍のモル当量/kgでアンモニウムと交換されることが理解できる。
本発明の好ましい態様では、廃水に接触させるに先だって、イオン交換体をNa+型またはK+型にしておく。例えば、H+イオンが再担持されている場合、あるいは、全くの初使用の場合、塩化ナトリウム、硝酸ナトリウムあるいは硫酸ナトリウムの溶液で処理する。また、処理すべき液体からアンモニウムイオンを選択的に交換するのに、使用するイオン交換樹脂と好適に組み合わされる易溶性の陽イオンも、イオン交換体の前担持イオンを考慮して使用してもよい。さらに、アンモニアを多く含む、比較的時間のたった有機廃水は、H+型有機合成イオン交換体の分離床に接触させてもよい。
一つの態様においては、イオン交換体を温度が5℃で濃度が重量モル濃度5モル/kgより大きい、好ましくは6モル/kgより大きい、さらに好ましくは7モル/kgより大きいK2CO3溶液で再生する。最も好ましいのは、イオン交換体を温度が20℃で濃度が重量モル濃度8モル/kgのK2CO3溶液で再生することである。
イオン交換体は温度が5℃で濃度が重量モル濃度6モル/kgより大きい、好ましくは7モル/kgより大きい、さらに好ましくは8モル/kgより大きいNaNO3溶液で再生してもよい。また、温度が10℃で濃度が重量モル濃度9モル/kgのNaNO3溶液で再生してもよく、温度が20℃で濃度が重量モル濃度10モル/kgのNaNO3溶液で再生することが最も好ましい。NaNO3を再生剤として用いることは、硝酸アンモニウムを生成するので好都合である。硝酸アンモニウムは高窒素肥料として、あるいは、石炭や鉄鉱業、採石および建設業での爆薬として多くの需要がある。
同様に、イオン交換体は温度が20℃で濃度が重量モル濃度2モル/kg、好ましくは温度が30℃で濃度が重量モル濃度3モル/kg、さらに好ましくは温度が40℃で濃度が重量モル濃度4.5モル/kgのNa2CO3溶液で再生してもよい。Na2CO3を再生剤として用いると、溶離液に二酸化炭素を細かくバブリングして冷却することによって、中国で肥料としての需要が多い炭酸水素アンモニウムを得ることができるので有利である。
また、イオン交換体の再生は、温度が30℃で濃度が重量モル濃度2.5モル/kg、好ましくは温度が32℃で濃度が重量モル濃度3.5モル/kgのNa2SO4溶液で行うこともできる。この結果得られる硫酸アンモニウムはアルカリ土壌用肥料としての需要がり、また、食品添加物としてや選択的沈殿によってタンパクを精製するためにワクチンに用いられたりする。
イオン交換体は、また、温度が5℃、10℃、あるいは好ましくは20℃で濃度が重量モル濃度6モル/kgのNaCl溶液で再生してもよい。このようにして、本発明の方法によって、有機廃水からアンモニア性窒素を、明らかに多用途に利用できる形態で回収することができる。塩化アンモニウムは牛の飼料補助剤として好適に用いられ、また、公知の方法によって数多くの肥料製品にすることも可能であるが、そのもの自身の特性のため、多くの非農業用途も開発されている。例えば、繊維印刷、合板用接着剤、ヘアーシャンプー、清浄用製品、イースト菌の栄養培地、咳止め薬などに用いられ、さらには、スキーゲレンデで0℃より高い温度のとき融雪を遅らせるためや、リコリス菓子やウオッカの添加香料としても用いられる。
さらに、イオン交換体は温度が20℃で濃度が重量モル濃度5モル/kg、6モル/kg、7モル/kg、あるいは好ましくは8モル/kgのK2HPO4溶液で再生することもできる。
一般的に、イオン交換体を再生したときに生じるアンモニウム(およびナトリウム)塩は、再生剤の溶解度がアンモニウムおよびナトリウム塩の溶解度と異なるような特定の温度で再生剤の塩を加えることによって、イオン交換体から流出する溶離液から分離することができる。生成した塩の溶解度が低い場合は、結晶として回収される。もし溶解度が高い場合は、生成した塩は溶液から回収でき、再生剤は結晶として回収される。
好ましい態様としては、廃水をイオン交換体に接触させる工程とイオン交換体を再生する工程を、交互に、10回超、好ましくは25回超、より好ましくは50回超、さらに好ましくは500回超、最も好ましくは3000回超連続して繰り返し、その間、イオン交換体を取り換えないことが挙げられる。発明者らは、意外にも、イオン交換体はその性能にいかなる重大な悪影響を受けることもなく、このような取り扱いに耐えることを見出した。
有機廃水中のアンモニア性窒素の濃度は1g/l超であることが好ましく、1.5g/l超であることがさらに好ましい。これらの濃度は下水処理で通常取り扱う有機廃水の濃度より高いものである。丈夫で高い交換容量、すなわち、リットル当たり1.2モル当量、好ましくはリットル当たり2.0モル当量の交換容量を有するイオン交換体を用いることで、処理すべき液体のアンモニウム含有量を予め減らしておくという、実用的でも有益でもなかった前処理をいかなるものも必要とせずに、イオン交換によって高アンモニウム濃度の廃水を好適に処理することが可能になった。
処理すべき有機廃水中のアンモニア性窒素濃度が1.9g/l以下であるような場合も、本発明の一態様である。
また、本発明の一態様においては、有機廃水をイオン交換体に接触させるときの廃水中の有機物含有量が1%(w/w)超、2%(w/w)超、3%(w/w)超あるいは5%(w/w)超であり、この有機物は溶解しているか、あるいは、最大径が25μmの粒子である。驚くべきことには、有機合成イオン交換体は、粒子や有機物を実質的に含まない液体の研究や工業処理に通常用いるために製造されるのにもかかわらず、このような高含有量の有機物に対しても有機合成イオン交換体のベッドは機能を維持しつつ高流量、高交換容量で親和することができる。
特に、処理すべき有機廃水が水肥を含むような態様もある。この本発明の態様で、処理すべき有機廃水内に存在する水肥はどのような動物由来のものであってもよいが、多くの場合、豚、牛あるいは家禽などの家畜由来のものである。イオン交換体に接触させるに先だって、水肥は都市下水などの他の種類の有機廃棄物と混ぜてもよい。
有機合成イオン交換体は、いくつかの外部発生源から下肥を含んだ廃水を受け入れる中央プラントに設置してもよいし、馬小屋、伝統的あるいはルースハウジングシステムの牛舎や豚舎に付属して農場の室内または屋外に設置してもよい。後者の場合は、新鮮な下肥が予測可能かつ安定的に確保される。
水肥は、粗固形物の発生を抑えるなどのため、下肥の分離物から得ることが好ましい。場合によっては、分離する前に、下肥を貯留槽に一時的に溜めておいてもよい。分離には、どのような種類の分離機を用いてもよいし、場合によっては、スクリーン振動分離機を用いてもよい。下肥はデカンターやスクリュープレスで分離してもよい。分離後の水肥は、イオン交換体に接触させる前に低温殺菌することが好ましい。これは微生物の繁茂を阻止し、イオン交換体のベッド中にバイオフィルムや微小コロニーが発生すること防ぐためである。
アンモニアの排出を抑制し、下肥がまだ比較的新鮮な状態で分離できるようにするために、根本的な原因である排便と排尿が終わってから、水肥を分離し、一つまたは複数のバッファー槽内に一時的に収容したのち、低温殺菌し、2日から5週間の期間、イオン交換体に接触させるのが有効的である。上記のような初期段階で下肥を処理することで、それぞれ炭酸ガスの21倍と289倍の温室ガス作用のある、メタンと笑気ガスの発生を大きく抑制できるという副次的効果も得ることができる。処理すべき液体が下肥を起源とするものでない場合は、上記の新鮮さの基準は異なったものとなり、上記が適用できないこともある。
イオン交換体に接触させようとする水肥中の固形粒子の最大径は、イオン交換体ベッドを通る液流を妨げてイオン交換容量を低下させないために、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。
好ましい態様においては、有機廃水をイオン交換体に接触させるときの廃水中のpHが6.5から8.0の範囲である。含まれる窒素の大部分がアンモニウムの形で存在している有機廃水を一つの過程で処理するためには、アルカリ性にしてしまってはいけない。存在するアンモニウムの実質部分がアンモニアになってしまうと、有機廃水をNa+型またはK+型のイオン交換体に接触させても効果は望めない。その代わり、長期間保存した結果、アンモニアを豊富に含むようになった有機廃水は、上述したように、H+型有機合成イオン交換体の分離床に接触させればよい。一方、含まれる窒素の大部分がアンモニウムの形で存在している新鮮な有機廃水は、たとえ、H+型が多くの市販イオン交換体で標準的に担持されているものだとしても、H+型有機合成イオン交換体に接触させてはならない。このような接触があると、二酸化炭素が爆発的に発泡してしまう。
イオン交換体のビーズの平均粒径が0.4から1.0mm、好ましくは0.6から0.7mmで、均等係数が1.2以下、好ましくは1.1以下であることも好ましい態様である。均等係数は、粒子の60%が通過する篩のメッシュに相当する粒径と粒子の10%が通過する篩のメッシュに相当する粒径との関係として定義される。もしビーズが大きすぎると、ビーズの接触可能表面積、すなわち、イオン交換体のベッドの総交換容量が不十分になるし、一方、小さ過ぎるビーズでは処理すべき液体が浸透するよりも、その上に浮かんでしまう。また、均等係数が小さいと、有機合成イオン交換体粒子が密に詰め込まれすぎないので、特に、天然イオン交換体と比べて目詰りの恐れが少ない。有機合成イオン交換体を用いることで、流量の大幅な増加も可能になる。天然イオン交換体のベッドにおいては、低流量ではチャネリング、高流量では細かい構成粒子の乱舞や流出が発生しがちであるのとは対照的に、これらの現象は有機合成イオン交換体ではほとんど問題にならないことを発明者らは見出した。さらに、好ましい態様として、イオン交換体ベッドの下から圧縮空気を送って、イオン交換樹脂のビーズを規則的な間隔でばらけさせてもよい。
以下に、図を参照しながら本発明の好ましい態様を説明するが、この図は本発明を限定するものではない。図には、本発明による方法を行うためのプラントの態様を模式的に示した。
図を参照しながら、図に示したプラントの主な特徴を下記の番号を用いて説明する。
すなわち、1は、処理すべき有機廃水に含まれる水肥や他の物質を受け入れる施設;2はバッファー槽;3は、さらに処理すべき液相から固相を分離するデカンター;4はバッファー槽;5は殺菌装置;6および7は、それぞれ有機合成イオン交換体のベッドを備えた容器であり、6は直列または並列に並べた複数のイオン交換体容器群であってもよい;8はバッファー槽;9は限外ろ過装置;10は逆浸透装置;11はバッファー槽;12はイオン交換体の再生剤溶液を入れた容器;13はバッファー槽;14は混合槽;15は窒素製剤溶液を入れた容器;16はリン製剤溶液を入れた容器;17はカリウム製剤溶液を入れた容器である。液流方向は図示した以外にも、簡単のために省略したが、12から6へ、および6から13への液流もある。
図のプラントで行われる、本発明による方法の好ましい態様を以下にのべる。
水肥は他の有機廃棄物とともに施設1から取り込まれ、そこからバッファー槽2へ必要に応じて注送もしくは搬送する。トラックによってプラント外部の発生源から運び込まれるとき、下肥は1日から30日の比較的新鮮な薄いスラリーである。このとき窒素の大部分はアンモニウムとして存在しており、pHは中性で、炭酸を多く含んでいる。バッファー槽2に最大でも数日間静置した後、有機廃棄混合物は一定の間隔でデカンター3に運ばれて2つの成分に分割される。一方の成分は固形成分であり、他方は実質的に25μm超の粒子を含まない液体成分である。液体成分はバッファー槽4で、下肥起源の尿素が実質的にすべてアンモニウムと二酸化炭素へと確実に分解されるまで、十分な期間貯留される。固形成分は外部の貯蔵施設へ搬送され、本発明の過程では使用されない。
液体成分はバッファー槽4から殺菌装置5へ注送され、2時間以上、少なくとも72℃で加熱して液内に存在する微生物を殺菌もしくは実質的に滅菌する。このようにすることで、イオン交換体のベッドにバクテリアや菌類のコロニーが発生することを防止もしくは、少なくとも難しくする。
殺菌に続いて、この段階ではアンモニア性窒素を濃度1g/l、有機物を2%(w/w)含んでいる液体成分を容器6および7に注送する。本実施例では、容器6および7は並列配置され、それぞれ内部に有機合成イオン交換体のベッドを備えている。大量の有機廃水を処理しようとする場合は、さらに容器を並列に追加配置することも可能である。イオン交換体はNa+型のゲル樹脂製で、母体スチレンはジビニルベンゼンの添加によって架橋されていて、官能基としてスルホン酸を有している。イオン交換体の総交換容量はリットル当たり約2モル当量であり、ビーズの平均粒径は約0.65mmで、均等係数は約1.1である。各容器内には体積約1.6m3のイオン交換体が収容されており、イオン交換体ベッドの上面の位置における容器内部の横断面積は約1.8m2である。
処理すべき液体を各容器の上部から汲み入れて、重力によって3から10cm/分の流量で有機合成イオン交換体のベッドに浸透させる。この流量は、天然イオン交換体で達成できる流量の6倍から10倍の速さである。この操作は常圧で行うが、ベッド全体の均一多孔質構造を維持するために、容器の底部から最大2.0バールの圧縮空気を一定の間隔で吹き込む。
浸出液はバッファー槽8へ導入するが、希釈液肥としての利用も可能である。あるいは、陰イオン交換体ベッドに通してリン酸イオンを除去してもよい。次に、浸出液は限外ろ過装置9および逆浸透装置10で規定された水質にされて、最後にバッファー槽11に送られ、それから排水されたり、あるいは地域の需要に応じて適切に利用されたりする。
有機廃水からアンモニア性窒素を除去するプラントを農場に設置する場合、下肥中の窒素がアンモニウムからアンモニアへと変化するのを抑制するために、浸出液を利用して牛舎や豚舎の床下から下肥を連続的または間欠的に水洗することは有効的である。この水洗に用いられた浸出液と流し出された下肥とは、場合によっては、以後に排出されたものとともに一時的に貯留槽に溜められてから、イオン交換体で処理される有機廃水のもととなる。このようなイオン交換体からの浸出液を用いた水洗によって生じる水肥の流れは、アンモニウムからアンモニアへの変化を抑制しながらも、下肥に含まれる尿素がアンモニウムと二酸化炭素へと分解するのを確認して適切に調節される。
このようにして、浸出液は多くの有効な方法で活用されるので、以後、下肥の流れはアンモニア性窒素の除去プロセスと本質的に一体のものであるとする。従って、下肥は通常の液流に流入し、イオン交換体に接触するときは、まだ新鮮なままであるとする。結果として、牛舎や豚舎の空気中へのアンモニアの放出は60%以上も低減され、さらに、処理すべき水肥中のアンモニアに対するアンモニウムの比は十分に大きくなって、存在する窒素の大部分はイオン交換体中でアンモニウムイオンとして除去される。反対に、肥溜めやラグーンに従来の方法で長期間貯留されていた下肥は、イオン交換体を用いて窒素をきれいにしようとしても、アンモニアが大勢になっているので、酸による前処理かH+−担持イオン交換体ベッドによる分離工程を行う必要がある。このH+−担持イオン交換体は、同じ効果を維持するために、リン酸または硫酸溶液で再生しなければならない。
さらに、水の代わりに浸出液を水洗に再利用することで、実質的な節約ができるし、さらに、浸出液による水洗なら、水洗液がそれ自身下肥から得られたものなので、下肥の総量を増加させることがない。
本態様では、イオン交換体ベッドから漏出する液のアンモニウム濃度をオンラインで測定し、予め定められた濃度になったら、イオン交換体への廃水の供給を中止する。廃水のイオン交換中は代わりの新しい容器へ切り替えて、アンモニウムが飽和した容器の再生を開始する。このようにすることで、プラントの連続運転ができる。
しかし、再生の前に、イオン交換体の各ベッドをベッドの体積分の水で洗って、微粒子や有機物をイオン交換体から洗い流しておく。
再生は約10モル/kg水の濃度のNaNO3で行う。この塩の濃度はほぼ完全な飽和状態に相当する。再生溶液は容器12からイオン交換体容器の底部に約20℃で導入される。このような濃度では、バクテリアや真菌はイオン交換体ベッドに存在していたとしても、この場合、先行して行われる廃水殺菌工程を省略できる程度まで殺菌される。接触したナトリウムイオンの作用によって、吸着されていたカリウムイオン、続いて、アンモニウムイオンおよび数種のアミノ酸は置き換えられてイオン交換体から除去される。イオン交換体ベッドから流出した溶離液中のアンモニウム濃度が予め定めておいた低レベルに達するまで塩溶液の供給を維持する。塩溶液の供給を停止したら、すぐに水ですすいで硝酸ナトリウムを洗い流して清浄にする。このようにして、イオン交換体は再び有機廃水処理に用いられるようになる。
上記のすすぎ水と溶離液はNH4NO3およびKNO3の溶液としてバッファー槽13に導入される。次に、混合槽14に送られて、そこで最も一般的な微量栄養素溶液の配合に調製されて高級肥料が製造される。好適な成分である窒素、リン、カリウムは、それぞれ、容器15,16、17から供給され、他の栄養素も同様に加えられる。
上記の工程を行うと、約20ベッド体積分の有機廃水に含まれるアンモニムイオンが、極めて高い比率で有機合成イオン交換体の1ベッドに吸着され、1ベッド体積分以下の再生溶液中に放出されることもある。このように、得られる濃縮係数は天然イオン交換体および従来用いられてきた比較的弱い再生溶液によって達成可能な濃縮係数の何倍にもなる。
一般に、濃縮係数は様々な要因に依存している。すなわち、1)処理すべき液体中のアンモニウムイオン濃度、2)イオン交換樹脂のイオン交換容量、3)再生溶液の濃度(正電荷のモル当量)、そして4)イオン交換樹脂ベッド中での再生溶液のフローパターン、などである。
本発明の方法では1)の液体と3)の液体との間で濃度に大きな差があるので、溶離液の最後の部分(テール)を再利用して、再生過程から再生溶液の新しいバッチを作ることが可能である。このようにすることで、濃縮係数をさらに増加させることができる。これに応じて再生溶液のアンモニウム濃度を適度に押さえても、再生処理の収率を大きく減らすようなことなく利用できる。
再生溶液のフロ−パターンについては、高流量でのフローと休止とのサイクルを繰り返すパルス再生によって、より高い濃縮係数が得られることを見出した。これは溶離液と短いテール内にアンモニウム濃度の比較的高いピークがあるためである。パルス再生での再生剤フローのサイクルは、例えば、15ベッド体積/時間で6秒間流して、54秒間流量0にすることを繰り返して、結果として、平均1.5ベッド体積/時間のフローを行うようなものが挙げられる。この高流量フロー状態の時にイオン交換体ベッドでの半径方向の混合・接触が最適化され、一方、休止状態の時にイオン交換体ビーズへの拡散が最適化される。結果として終止フローでは、再生剤フローの前部および短いテールで高い濃度を示す。
以下の実施例によって本発明を説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
異なるタイプの有機合成イオン交換体のテスト
ゲル樹脂型とマクロポーラス型の2つの有機合成強酸性陽イオン交換体を、それぞれ、Na型にして、1時間当たり3ベッド体積の流量でアンモニム保持容量について比較した。
ゲル樹脂型とマクロポーラス型の2つの有機合成強酸性陽イオン交換体を、それぞれ、Na型にして、1時間当たり3ベッド体積の流量でアンモニム保持容量について比較した。
ゲル樹脂型のイオン交換体は最良の精製性能を示したが、マクロポーラス型イオン交換体も、また、本発明の目的のために十分有用であることが分かった。
同様に、2つの弱酸性イオン交換体についてもテストした。
上記のように、マクロポーラス陽イオン交換体は最良の結果を示し、本発明の目的のために有用であることが分かった。
選択した栄養素の分離効率
本発明の方法を実施するための本格的なプラントを、オランダ、ヴァーヘニンゲン大学、ステルクセル豚研究センターに作った。排泄されて1週間たった豚の糞尿を、搬入してすぐにデカンターを用いて固形成分と液体成分に分離した。液体成分をバッファー槽に一時的に貯留し、そこから有機合成イオン交換体に注送した。
本発明の方法を実施するための本格的なプラントを、オランダ、ヴァーヘニンゲン大学、ステルクセル豚研究センターに作った。排泄されて1週間たった豚の糞尿を、搬入してすぐにデカンターを用いて固形成分と液体成分に分離した。液体成分をバッファー槽に一時的に貯留し、そこから有機合成イオン交換体に注送した。
イオン交換体は、Na+型のゲル樹脂で構成されていて、その母体スチレンはジビニルベンゼンの添加によって架橋されており、官能基としてスルホン酸を有していた。イオン交換体の総イオン交換容量はリットル当たり約2モル当量であり、ビーズの平均粒径は約0.65mmであった。イオン交換体ビーズのバルクの均等係数は約1.1であった。並列された容器群のそれぞれの容器には体積約1.6m3のイオン交換体が収容されており、イオン交換体ベッドの上面の位置における容器内部の横断面積は約1.8m2であった。
処理すべき液体を各容器の上部から汲み入れて、重力によって約7cm/分の流量で有機合成イオン交換体ベッドに浸透させた。漏出したアンモニウムが予め定めた閾値になって、各イオン交換体ベッドが飽和したら、温度が20℃、濃度が約10モル/kgのNaNO3溶液でベッドを再生し、イオン交換体に吸着していた栄養素を含む溶離液を得た。この溶離液中のアンモニウムが予め定めたレベルに低下するまで再生を続けた。
上記の手順で処理した後の、最終的に溶離液に含有される栄養素に対する投入量の比率が分離効率である。分離効率は、溶離液中の栄養素の質量を、その栄養素の投入質量で割ることによって計算した。
処理した液体成分は総量6476kgで、有機物含有量は1.0%(w/w)、アンモニア性窒素含有量は1.9g/lであった。
上記に示されたように、アンモニア性窒素と同様にカリウムについても極めて高い分離効率であった。しかしながら、上記のように予め定めておいたアンモニウムの閾値を参照して、飽和時の操作やイオン交換体の再生を行うので、必要に応じて、この閾値を調整することによって分離効率をさらに向上させて100%に近い値にすることも当然可能である。
吸着・再生サイクル反復時における異なるタイプのイオン交換体のアンモニム分離効率持続性
ゲル樹脂型とマクロポーラス型の2つの有機合成陽イオン交換体を、それぞれ、Na型にして、1時間当たり3ベッド体積の流量でアンモニム保持容量について比較した。イオン交換体にアンモニムが吸着したら、毎回、温度が20℃、濃度が約10モル/kgのNaNO3溶液でイオン交換体を再生した。上記2つのイオン交換体について、合計10回のテストを行った。
ゲル樹脂型とマクロポーラス型の2つの有機合成陽イオン交換体を、それぞれ、Na型にして、1時間当たり3ベッド体積の流量でアンモニム保持容量について比較した。イオン交換体にアンモニムが吸着したら、毎回、温度が20℃、濃度が約10モル/kgのNaNO3溶液でイオン交換体を再生した。上記2つのイオン交換体について、合計10回のテストを行った。
ゲル樹脂型イオン交換体は最良の精製性能を示すことが分かったが、マクロポーラス型イオン交換体も、また、有用な保持水準を維持することが分かった。
実施例1でテストした弱酸性イオン交換体についても、高濃度塩再生剤による再生を行った。Dowex MAC−3を10モル/kgのNaNO3で再生し、Amberlite IRC86は5モル/kgのNaNO3で再生した。特に後者については、アンモニウム吸着時にイオン交換体が実質的に膨潤していることを観察した。これはアンモニウム分離効率の長期的な維持に影響する。しかし、マクロポーラス型Dowex MAC−3については、結果および近接観察から、吸着・再生工程を連続して10回繰り返した後でも有用な保持水準を維持できると考えられる。
浸透圧衝撃に対するイオン交換体の耐久性
テストを行って、浸透圧衝撃を何回繰り返すと有機合成イオン交換体に影響が出るのかを調べた。4モル/kgのNaNO3溶液と1%(w/w)のNH4Cl溶液を交互に、それぞれ10分間有機合成イオン交換体に接触させ、このサイクルを50回繰り返した。すなわち、有機合成イオン交換体に100回の浸透圧衝撃となると思われる溶液交換を行った。その後、イオン交換体ビーズから無作為に試料を採取し、分析のため製造元に送った。その結果、約5%のビーズがひび割れしていることが分かった。しかし、出荷時のイオン交換体中にあるひび割れのないビーズの元々の割合は95%以上と保証されているにすぎない。従って、浸透圧衝撃を与えることによる重大な劣化は起こらなかった。
テストを行って、浸透圧衝撃を何回繰り返すと有機合成イオン交換体に影響が出るのかを調べた。4モル/kgのNaNO3溶液と1%(w/w)のNH4Cl溶液を交互に、それぞれ10分間有機合成イオン交換体に接触させ、このサイクルを50回繰り返した。すなわち、有機合成イオン交換体に100回の浸透圧衝撃となると思われる溶液交換を行った。その後、イオン交換体ビーズから無作為に試料を採取し、分析のため製造元に送った。その結果、約5%のビーズがひび割れしていることが分かった。しかし、出荷時のイオン交換体中にあるひび割れのないビーズの元々の割合は95%以上と保証されているにすぎない。従って、浸透圧衝撃を与えることによる重大な劣化は起こらなかった。
容量および流量の長期持続性
本発明の方法によって、プラントでイオン交換体を交換することなく12カ月連続して水肥を処理した後でも、イオン交換効率の減少、流量の低下、バクテリアの繁茂などに関する問題は一切発生しなかった。
本発明の方法によって、プラントでイオン交換体を交換することなく12カ月連続して水肥を処理した後でも、イオン交換効率の減少、流量の低下、バクテリアの繁茂などに関する問題は一切発生しなかった。
濃縮率
高い濃縮率を示す極端な例の一つとして、G26イオン交換体の1ベッドに500ppmのアンモニウム溶液を吸着させた。再生剤は16重量モル濃度のK+を含むK2CO3で、溶離液は0.5ベッド体積でアンモニム濃度は50000ppmだった。濃縮率は200倍で、実質的にアンモニウム(アンモニア)のテーリングはなかった。テーリングがなかったのは、アンモニウムイオンからアンモニアへの化学変換が強アルカリ性再生溶液中で起こったためと考えられる。強アルカリ性再生溶液は、アンモニウムイオンがイオン交換体の陽イオン部位でカリウムイオンと競争することを防止する。この場合、再生剤は活性部位をそれ自身のイオンで非可逆的に置き換える。このことは、飽和K2HPO4再生剤がピーク時には等しい、あるいは、より大きい濃度のことさえあるのに、結局、ハッキリとしたテーリングを生じるという事実から明らかである。後者の場合、アンモニウムイオンは吸着時にカリウムイオンと競争するものと考えられる。
高い濃縮率を示す極端な例の一つとして、G26イオン交換体の1ベッドに500ppmのアンモニウム溶液を吸着させた。再生剤は16重量モル濃度のK+を含むK2CO3で、溶離液は0.5ベッド体積でアンモニム濃度は50000ppmだった。濃縮率は200倍で、実質的にアンモニウム(アンモニア)のテーリングはなかった。テーリングがなかったのは、アンモニウムイオンからアンモニアへの化学変換が強アルカリ性再生溶液中で起こったためと考えられる。強アルカリ性再生溶液は、アンモニウムイオンがイオン交換体の陽イオン部位でカリウムイオンと競争することを防止する。この場合、再生剤は活性部位をそれ自身のイオンで非可逆的に置き換える。このことは、飽和K2HPO4再生剤がピーク時には等しい、あるいは、より大きい濃度のことさえあるのに、結局、ハッキリとしたテーリングを生じるという事実から明らかである。後者の場合、アンモニウムイオンは吸着時にカリウムイオンと競争するものと考えられる。
Claims (14)
- (i)アンモニア性窒素含有量が2g/l未満の有機廃水を用意する工程、
(ii)前記有機廃水を、使用時の吸着量が1.2当量/lより大きい、好ましくは2.0当量/lより大きい有機合成イオン交換体に接触させる工程、および
(iii)アンモニア性窒素を前記有機廃水から前記イオン交換体に吸着させる工程
からなる、有機廃水からアンモニア性窒素を除去する方法であって;
工程(iii)の後に、イオン交換体を、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度3モル/kgから完全飽和までのNaNO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度1モル/kgから完全飽和までのNa2CO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度3モル/kgから完全飽和までのNaCl溶液、および/または、温度が30から40℃で濃度が重量モル濃度1モル/kgから完全飽和までのNa2SO4溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度4モル/kgから完全飽和までのK2CO3溶液、および/または、温度が5から40℃で濃度が重量モル濃度4モル/kgから完全飽和までのK2HPO4溶液によって再生し;
前記有機廃水をイオン交換体に接触させるときの廃水中の有機物含有量が8%(w/w)未満であり;
前記有機物が溶解しているか、または、最大径25μmの粒子であることを特徴とする方法。 - さらに、前記廃水をイオン交換体に接触させる前に、イオン交換体をNa+型またはK+型にする工程を含む請求項1に記載の方法。
- イオン交換体を、温度が20℃で濃度が重量モル濃度8モル/kgのK2CO3溶液で再生する請求項1または2に記載の方法。
- イオン交換体を、温度が20℃で濃度が重量モル濃度10モル/kgのNaNO3溶液で再生する請求項1または2に記載の方法。
- イオン交換体を、温度が40℃で濃度が重量モル濃度4.5モル/kgのNa2CO3溶液で再生する請求項1または2に記載の方法。
- イオン交換体を、温度が32℃で濃度が重量モル濃度3.5モル/kgのNa2SO4溶液で再生する請求項1または2に記載の方法。
- イオン交換体を、温度が20℃で濃度が重量モル濃度6モル/kgのNaCl溶液で再生する請求項1または2に記載の方法。
- イオン交換体を、温度が20℃で濃度が重量モル濃度8モル/kgのK2HPO4溶液で再生する請求項1または2に記載の方法。
- 工程(iii)と前記イオン交換体再生工程とを、交互に、10回超、好ましくは25回超、より好ましくは50回超、さらに好ましくは500回超、最も好ましくは3000回超連続して繰り返し、その間、イオン交換体を取り換えない、前記いずれかの請求項に記載の方法。
- 前記有機廃水中のアンモニア性窒素濃度が1g/l超、好ましくは1.5g/l超である、前記いずれかの請求項に記載の方法。
- 前記有機廃水をイオン交換体に接触させるときの廃水中の有機物含有量が1%(w/w)より大きい、前記いずれかの請求項に記載の方法。
- 前記有機廃水が水肥を含んでいる、前記いずれかの請求項に記載の方法。
- 前記有機廃水をイオン交換体に接触させるときの廃水中のpHが6.5から8.0の範囲である、前記いずれかの請求項に記載の方法。
- イオン交換体のビーズの平均粒径が0.4から1.0mm、好ましくは0.6から0.7mmであり、均等係数が1.2以下、好ましくは1.1以下である、前記いずれかの請求項に記載の方法。
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