或る実施形態は、大きな所定の検査空間上に制御され較正された磁界を生成するために用い得るコイル走査システムに関する。従って、或る実施形態は、アレイ状の磁界生成コイルの高精度の位置特定及び制御を用いる。
或る実施形態は、MRI又は較正設備によって扱われる容積より大幅に大きい容積に適用し得る。例えば、或る実施形態は、オートバイ、車、又はトラックの容積を走査し得る。例えば、或る実施形態は、50立方フィート乃至5000立方フィートの走査空間、特に100立方フィートから1000立方フィートの走査空間を有し得る。しかしながら、検査車両に適するいずれの容積も或る実施形態によって対応可能である。
ヘルムホルツ(Helmholtz)配置等の固定コイル構成は、或る実施形態では不要である。その代わり、1つの次元又は全次元における可動コイル配置を用いることができる。これによって、異なる磁界空間(field volumes)を扱うことができる。更に、或る実施形態では、コイルは、互いに独立に動かすことができ、これによって或る位置で磁界を形成し得る。
或る実施形態では、検査対象装置がコイルを通って動く必要がない。むしろ、或る実施形態では、車両等の検査対象装置を静止状態のシャーシ動力計又は昇降機等のプラットホーム上に置いて、1つ又は複数のコイルを動かすことができる。
更に、或る実施形態は、自由空間磁界検知を提供する。従って、或る実施形態は、自由空間又は負荷空間における磁界の独立したフィードバックを提供する。負荷空間は、検査対象装置が存在する空間を意味し得る。特に、或る実施形態は、アレイ状の自由空間磁界センサを実装するが、これは、検査プロセス中、磁界を正確にマッピングし得る。
様々な磁界が、車両に影響を及ぼし得る。例えば、電力線、車自体の電力システム、近くの車の電力システム、及び誘導ループ又は他の充電システムが、車両に著しい磁界を与え得る。これらの磁界は、車両の照明スイッチ、電磁リレー、配電器等、車両の様々な電子部品に影響を及ぼし得る。磁気耐性に対する1つの標準規格は、SAEJ551−17であり、その全体を本明細書に参照により援用する。従って、大きな空間を良好に作用し較正された磁界で照射することは、有益であり得る。
良好に作用し較正された磁界で大きな空間を照射するには、検査対象を収容するためのコイルサイズを単に大きくすること以上のことが必要になる。コイルサイズを大きくすると、与えられた電流に対して磁界強度が低下し、また、コイルの上端周波数性能が低下し得る。その代わり、位置合わせシステムと共に可動コイルシステムの組合せを用い得る。
一組の磁界生成コイルとモーションシステムを組合せることによって、大きな空間を走査することができる。コイルが動くにつれて、較正された磁界が、その空間を走査することができる。ここで、用語「走査する」は、任意の方向における様々な可能な運動を含むために一般的に用いられており、従って、特定の左から右又は右から左の運動に限定されない。
そのようなシステムは、大きな検査空間(例えば、数十、数百、数千、またはそれを以上の立方フィート)に良好な周波数応答及び適切な磁界要件を提供し得る。
更に、或る実施形態は、新規の給電システム及び高精度のフィードバックセンサを提供する。従って、或る実施形態は、大きな空間上に高精度の磁界が必要とされる多数の磁気耐性機能に用いることができる。
ここでの磁気耐性機能は、特定強度の磁界に対する構成要素又はシステムの抵抗を決定するために行われる検査を意味する。例えば、自動車の製造業者は、自社の電子機器回路が、安全性又は機能を損なうことなく高い強度の磁界環境を耐え抜くことを確認したい場合がある。高い磁気耐性を有するシステムは、高い強度の磁界を良好に耐え抜くものであり、他方、低い磁気耐性を有するシステムは、高い強度の磁界中で簡単に故障するものである。
或る実施形態は、モーション・レール・システムに搭載された多数の大きなコイルを含み得る。これらのコイルは、移動磁界放射システムを形成し得る。複数のコイルの相互の配置及び各コイルに供給される電流量のおかげで、任意の数の磁界空間及び分極に対応することができる。コイルシステムは、所望の磁界の要件に依存して、任意の組合せのループサイズ及び形状に構成し得る。
図1は、或る実施形態による軌道に搭載されたコイルを示す。図1に示すように、一組のコイル、コイル110a及びコイル110bは、独立した可動軌道、軌道120a及び軌道120bに、図1に示すように搭載し得る。軌道自体は可動であってもよく、又は、軌道が固定であり、トロリー又はレールシステム等の他の手段を用いて、コイルが軌道上を移動してもよい。
磁気コイル放射システムは、固定構造の周囲の多数の巻線によって形成された1つ又は複数のコイルであってよい。従来、この構造及びコイルは、静止したままである。電流がコイルを通過すると、対応する磁界が生成される。アンペールの法則を用いて、時間と共に変動する電界が存在しないことを前提に、所与の電流に対応する磁界又は所与の磁界に対応する電流を決定することが可能である。従って、コイルは、電流が供給されると、磁界源としての役割を果たし、磁界源の軸は、コイルの軸である。
図1では、コイル対が、検査対象物体周囲の特定空間において磁界を生成させ得る可動軌道に置かれる。図1に示す事例では、最大磁界は、Y方向である。
上記特徴から多数の変形例を作成できる。例えば、各コイルは、独立に制御して、磁界を生成し得る。磁界の重ね合わせにより、コイル間の対象領域に複合磁界を生成することができる。上記複数のコイルは、検査空間内に磁界を生成するよう直列に駆動できるが、他の方法で駆動することも可能である。上記複数のコイルを駆動することにより、コイル間の中心におけるX−Z平面にある対称面を生成することができる。複数のコイルは、コイルの軸の方向すなわちY方向に最大の大きさで磁界を生成し得る。
上述したアレイ状の可動コイルは、主要な磁気成分が、X方向もしくはZ方向になるように、又はX、Y、及び/又はZ成分を備えた何らかの任意のベクトルになるように変形することができる。
コイルの数及び相対位置は、変更することができる。例えば、複数のコイルの代わりに、或る実施形態では、単一のコイルだけが用いられる。更に、或る実施形態では、アレイ状の可動コイルは、1つの軸に1つのコイル、そして、他の直交又は非直交軸に他のコイル等、軸の任意の組合せで構成し得る。更に、多数のコイルは、多数の直交又は非直交軸で構成し得る。
更に、或る実施形態によれば、3つ以上のコイルは、マックスウェル・コイル配置に配置し得るが、この場合、3つのコイルは、適切に大きさが調整され、仮想球体上で方向付けされ、2つの外側コイルは、大きな中心コイルの半径の(4/7)の平方根倍の半径を有し、また、中心コイルの面から大きな中心コイルの半径の(3/7)の平方根倍に置かれ、小さいコイルは、中心コイルのアンペア回数の49/64倍である。しかしながら、このことは、特定の実施形態のほんの一例である。
コイルの形状及び組成は、変更することができる。例えば、図に示したアレイのコイルは、軸方向に円形断面を有するが、正方形の断面もしくは楕円形の断面、又は実際、任意の所望の断面の実施形態も可能である。更に、或る実施形態では、各アレイのコイルは、再構成可能な又は分離可能なコイルであってよい。
図2は、或る実施形態による分割コイルを示す。図2に示すように、コイル210は、2つ以上のセグメント210a及び210bに分離することができ、これによって、簡単にコイルを収納したり又は取り外したりできる。
図1に示す軌道は、X方向に可能な運動を示すが、コイルは、他の方向に、例えば、X及びY双方向に、Z方向に、又はX、Y及びZ方向の任意の組合せに搬送されるように構成できる。そのような構成は、複数のコイルの離隔距離及びオフセット距離に関して、移動度を高め得る。例えば、複数のコイルが、コイルの半径分又は半径の整数倍分でも離間することは、要求されない。
各コイルは、数多くの巻線を含み得る。コイルは、銅、アルミニウム又はいずれか他の所望の材料等の材料で形成してよく、また、リッツ線又はいずれか他の所望の構成を有することができる。同様に、給電部は、銅、アルミニウム又はいずれか他の所望の材料から同じように構築してよく、また、リッツ線又はいずれか他の所望の構成で用意してよい。例えば、銀又は金等の他の非鉄導体も許容される。編組タイプの線を用いてもよく、その場合、例えば、高い周波数での容量効果を低減するのに役立つ。
様々な実施形態では、周波数に適応性があってよい。従って、或る実施形態では、ある範囲の入力周波数に渡って、較正された磁界を生成可能であってよい。
図3は、或る実施形態による検査シナリオを示す正面図である。図3に示すように、コイル110a及び110bのコイル対は、磁気対称の2つの平面、すなわち、X−Y平面の対称性及びX−Z平面の対称性を呈し得る。従って、軌道120a及び120b間に置かれた車310は、その磁気耐性の検査を行うことができる。
コイルが、オフセットと対照的に、対称に位置合わせされる場合、全ての軸/面に沿って対称性が存在し得る。従って、図1の場合、Y軸に沿うY方向磁束密度は、By(y)と呼ぶことができるが、与えられた供給電流及びコイル設計に対して、次のように特徴付け得る。原点におけるコイル間の中心は0であってもよく、極大値は各コイルの中央であってもよく、また、コイル同士は3m離間している。この場合、磁束密度値は、z及びx変数が0に保持されると、y軸に沿って測定し得る。
図12は、或る実施形態によるy軸についてのy方向の磁束密度を示す。左側の数値は、By磁束密度についてy軸に沿ってガウスを単位として測定された磁気の磁束密度であり、これは磁界密度に比例する。
対照的に、図13は、或る実施形態による、y軸についてのx又はz方向の磁束密度を示す。x方向の磁束密度及びz方向の磁束密度は、双方共、本例では同じである。また、左側の数値は、By磁束密度についてx及びz軸に沿ってガウスを単位として測定された磁気の磁束密度であり、これは磁界密度に比例する。
実際には、接地への近接度の影響は、これらのコイルの内の1つの対称性をゆがめ得る。更に、磁気の磁束密度分布の形状は、コイルがオフセットされたときも変わり得る。従って、図12及び13は、特定の事例の単純な説明図を表しているに過ぎない。
特に、図3は、検査空間の正面から見た双対コイルのセットアップを示す。このコイルシステムは、検査対象装置、この場合は車310を、コイルシステムがその周囲を動く間静止状態にしておくことを許容する。また、このコイルシステムは、検査対象装置を稼働させることも許容する。例えば、車310の駆動輪を動力計上に置いて、車310それ自体はほぼ静止していても、車輪が回転する状態で車が高速で走行しているかのようにエンジンを動作させることができる。
図4は、或る実施形態による検査シナリオの上面図である。図4において、検査対象装置は、X軸に位置合わせされている。この図では、コイル110a及び110bが、軌道120a及び120bに沿って移動し得ることが容易に理解できる。従って、磁界の中心部は、選択的に磁気的に車310の特定部位の検査を行うことができる。
上述したように、座標軸に対して、コイルの他の方位が可能である。例えば、図5は、或る実施形態による、検査対象装置がY軸に沿って位置合わせされた状態の検査空間における双対コイルのセットアップを示す上面図である。従って、図5では、車310は、コイル110a及び110bによって生成された磁界と軸方向に位置合わせされる。更に、軌道120a及び120b上のコイル110a及び110bの運動は、車310の一部の検査を選択的に行うために、又は車310と正確に位置合わせするために用いることができる。
図6は、或る実施形態による、検査空間における単一コイルのセットアップを示す正面図である。図6に示すように、検査対象装置(この場合、車310)は、Y軸に沿って位置合わせすることができ、磁界生成は、軌道120c上のコイル110cを用いて、Z方向に発生し得る。コイルは、フレーム610によって支持することができ、これは、車310の一方側に示されているが、車310の両側にあってもよい。
アレイ状の可動コイルを軸及び位置合わせの任意の組合せで実装することにより、様々な利点が得られる。例えば、図7は、或る実施形態による、軸上にある追加の整形用コイルを含むコイルアレイを示す。
図7に示すように、2つの主コイル110a及び110bが存在し、更に、2つの整形用コイル710a及び710bが存在し得る。軸上及び非軸上へのコイル710a及び710b等のコイルの追加は、2つの主コイル110a,110b間の磁界の整形を支援するために用い得る。
このことがどのように行われ得るかを説明するのに、単純な二次元の図を示すことが役立つ。検査対象又は検査空間が大きくなるのに対応してコイル離隔距離が大きくなるほど、コイル間の磁界は、中心で落ち込む傾向を呈し得る。1つの目標は、出来るだけ多くの次元において、空間の中心を横切る磁界分布を平坦にすることである。これは、整形用コイルでその領域の磁界を適切に変えることによって近似し得る。コイル間の磁界の落ち込みは、コイルサイズを大きくすることによっても緩和し得る。しかしながら、コイルサイズを大きくすると、上限周波数が低くなり、より多くの材料が必要になり、また、同じ磁界レベルを生成するために、より高い電流が必要になる。
図8は、或る実施形態による追加のコイル実装に基づく磁界均一性改善の例を二次元的に示している。図8に示すように、(810における)コイル1及びコイル2への(820における)コイル3及び4の追加は、Z−Y平面全体にわたって磁界を「平坦化」するために用い得る。同様に、他の位置において複数のコイルを主コイルに対して離間配置して磁界をそれ相応に整形することができる。共に用いられるコイル群は、多コイルスキャナの一部として用い得る。すなわち、共に用いられるコイル群は、単一のシステムであってよい。
図9は、或る実施形態による、軸上及び非軸上にある追加の複数の整形用コイルを含むコイルアレイを示す。図9に示すように、2つの主コイル110a及び110bに加えて、軸上整形用コイル710a及び710b並びに非軸上整形用コイル910a、910b、910c、及び910dが存在し得る。
図10は、或る実施形態によるシステムを示す。図10に示すように、或る実施形態において、システムは、第1磁界を生成するように構成された第1コイルを含む複数のコイル1010を含み得る。第1コイルは、走査空間の第1側に配置し得る。複数の給電部1020も設けることができる。例えば、第1コイルは、第1コイルに電流を供給するための第1給電部を含み得る。同様に、第2コイルは、第2磁界を生成するように構成し得る。第2コイルは、第1側とは反対側の走査空間の第2側に第1コイルに対向して配置し得る。第2コイルは、第2コイルに電流を供給するための第2給電部を含み得る。第1磁界及び第2磁界は、合成されて合成磁界を形成し得る。
コイル1010は、所望通りに大きさを決定できる。しかしながら、コイル1010は、直径が、1メートル(以下)と10メートル(以上)との間であってよい。例えば、1メートルと10メートルとの間の直径は、円形又は他の所望の形状のコイルに用い得る。また、一辺当たり1メートル(以下)と10メートル(以上)との間の辺の長さは、正方形又は他の所望の形状のコイルに用い得る。
また、複数の運搬装置1030をシステムに設けることができる。例えば、第1運搬装置は、第1コイルを少なくとも1次元に平行移動させるように構成し得る。複数の運搬装置1030は、レール車、トロリー、又は複数のコイル1010を運搬するための実にあらゆる所望の構造体として様々に構成できる。複数の運搬装置1030は、互いに独立に動作し得る。従って、第2コイルを少なくとも1次元に平行移動させるように構成された第2運搬装置は、同調した動作もできるが、第1運搬装置とは独立して動作できる。
本システムは、更に、コントローラ1040を含み得る。コントローラは、運搬装置1030及び給電部1020を制御して、走査空間上に、制御され較正された磁界として、合成磁界を提供するように構成し得る。コントローラ1040は、中央処理装置(CPU)又は特定用途向け集積回路(ASIC)等の任意のコンピュータ処理装置であってよい。複数のコア又は複数のプロセッサは、単一のコントローラを形成することができ、また、複数のコントローラを連係して単一のコントローラとして用いることができる。
給電部1020は、第1側に1つの第1の二次コイルを又は第1側に第1の複数の二次コイルを含むことができ、また、第2側に1つの第2の二次コイルを又は第2側に第2の複数の二次コイルを含むことができる。
本システムは、更に、合成磁界を整形するように構成された複数の整形用コイル1015を含み得る。複数の整形用コイル1015の内の少なくとも1つは、合成磁界に関して軸上に設けることができ、また、複数の整形用コイルの内の少なくとも1つは、合成磁界に関して非軸上に設けることができる。
本システムは、更に、第1運搬装置を支持するように構成された第1レール及び第2運搬装置を支持するように構成された第2レールを含む、複数のレール1035を含み得る。複数のレール1035は、非鉄物質、又は一般的に非金属物質から形成し得る。例えば、複数のレール1035は、磁界を乱さない又は少なくともその外乱を制限する物質から形成し得る。
本システムの複数のコイル1010及び複数の整形用コイル1015は、非ヘルモルツ(non-Helmoltz)・コイル構成で構成することができるが、ヘルモルツ(Helmoltz)・コイル構成も可能である。
走査空間は、50乃至5000立方フィート又は特に100乃至1000立方フィートであってよい。具体的な容積は、検査対象に依存し得る。或る実施形態では、走査領域は、実効的には、水平の箱であってよく、その高さは複数のコイルの高さによって規定され、その幅は複数のコイルの間隔によって規定され、また、その長さは複数のレールの長さによって規定される。そのような実施形態において、箱の断面は、検査対象の断面を収容するように大きさを決定できるが、検査対象は、オートバイ、全地形走行車両(ATV)、車、トラック、飛行機、又はいずれか他の乗り物であってよい。乗り物以外の他の検査対象も可能である。
磁界の軸上の各コイル1010の断面は、円形、正方形、又は楕円形であってよい。他の形状も可能である。更に、複数のコイル1010は、各々、再構成可能なように又は分離可能なように構成できる。
複数の運搬装置1030は、各々、第1コイルを三次元に平行移動させるように、また、第1コイルを3軸で回転させるように構成できる。
本システムは、更に、プラットホーム1050を含み得るが、これは、走査空間内に検査対象を受け入れるように構成される。プラットホーム1050は、走査空間外(例えば、下方)又は走査空間内であってもよい。プラットホーム1050は、複数のレール1035に接続して示したが、これは必要条件ではない。
プラットホーム1050は、シャーシ動力計又は昇降機を含み得る。動力計は、車両が、走査空間内に留まりつつ走行できるように構成できる。
本システムは、更に、アレイ状の自由空間磁界センサ1060を含み得る。コントローラ1040は、センサ1060からのフィードバックに基づいて、磁界を制御するように構成できる。
更に、コントローラ1040は、磁界の極を制御するように構成し得る。更に、コントローラ1040は、第1コイル、第2コイル又はシステムによって用いられるいずれか他のコイルに供給される電流の検知に基づいて、磁界を制御するようにも構成できる。コントローラ1040は、複数のコイル1010又はシステムによって用いられるいずれか他の複数のコイルに、勾配信号とは対照的に連続波(CW)信号を提供するように構成できる。例えば、コントローラ1040は、複数のコイル1010又はシステムによって用いられるいずれか他の複数のコイルに、三角波信号よりもむしろ正弦波信号又はいずれか他の所望の信号パターンを提供できる。
或る実施形態は、CW(連続波)信号及び/又は変調された信号、例えば、振幅変調(AM)信号、パルス信号、又はいずれか他の変調された信号を供給することが可能である。しかしながら、或る実施形態では、例えば、時間領域で三角波に類似した勾配磁界を提供する必要がない場合がある。むしろ、或る実施形態では、空間に渡って、安定した均一な磁界を提供する場合がある。
複数のコイル1010は、第1コイルと第2コイルが直列に接続されるように構成し得る。他の接続構成も可能である。例えば、複数の平行な又は独立した供給構成を用い得る。これらは、所望の仕様によって磁界を整形するために制御し得る。更に、複数のコイル1010には、磁界を整形するために位相をずらして供給できる。そのような位相がずれた供給による整形は、空間中の接地近接度等の影響を打ち消す又は抑制することが可能である。
本システムは、更に、第1コイル又は第2コイルへの入力に設けられた増幅器1070を含み得る。増幅器1070は、外部電源によって電力供給でき、また、コントローラ1040によって制御できる。
コントローラ1040は、合成磁界の所定程度の平坦さを維持するように構成し得る。
図11は、或る実施形態による方法を示す。図11に示す方法は、1110において、車両又は他の検査対象を静止プラットホームに配置することを含み得る。静止プラットホームは一実施形態であるが、或る実施形態では、ターンテーブル等の可動プラットホームも用いてよい。
本方法は、更に、1120において、スキャナを用いて、車両を含む空間を走査することを含み得る。検査対象装置に磁界を提供するスキャナは、例えば、そのバリエーションのいずれかの内、図10のシステムであってよい。この走査は、スキャナの第1運搬装置、第2運搬装置、第1給電部及び第2給電部を制御して、走査空間上に、制御され較正された磁界として、合成磁界を提供することを含む。
本方法は、更に、1130において、走査中、車両及びプラットホームを静止状態に維持することを含み得る。
本方法は、更に、1140において、アレイ状の自由空間磁界センサからのフィードバックを受けることを含むことができるが、この場合、磁界を制御することは、このフィードバックに基づく。
本方法は、更に、1150において、第1コイル、第2コイル又はシステムによって用いられるいずれか他のコイルへの電流を監視することを含み得る。磁界を制御することは、監視された電流に基づいてよい。
本方法は、更に、1160において、走査が完了した後、又は走査の進行中、又はその両方において、検査対象の磁気耐性を評価することを含み得る。例えば、この評価は、車両の機能又は車両の1つ又は複数の構成要素もしくはシステムを監視することを含み得る。例えば、破壊検査の実施形態において、磁界の強度は、検査対象の構成要素又はシステムの故障が検出されるまで、徐々に大きくなる場合がある。
本方法は、ハードウェア又はハードウェア上で走るように構成されたソフトウェアで実現し得る。例えば、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体には、ハードウェア内で実行されると上述した方法の特徴を実施する命令で符号化入力し得る。
当業者は、上述した本発明は、異なる順番の段階で及び/又は開示されたものとは異なる構成のハードウェア要素で、実施し得ることを容易に理解されるであろう。従って、これらの好適な実施形態に基づき本発明について説明したが、本発明の精神及び範囲内にありながら、或る修正、変形例、及び他の選択肢としての構造が自明であることが、当業者には明らかである。例えば、複数のコイルは、トンネル構成(ここでは、検査対象の車両が、複数のコイルの各コイルによって形成された開口部を通過してコイルの軸方向に延在する)で提供でき、車両以外の他の品目の検査を行うことができ、また、他の修正を行うことができる。従って、本発明の確立された限界を決定するために、添付した請求項を参照されたい。