本発明は、通気性があり、身体になじみやすい保護用緩衝パッド、該パッドを含む物品、及び該パッドを製造し、使用するための方法を意図している。
本パッドは、様々な形状、サイズ、構造及び厚さの緩衝領域を含む。説明をわかりやすくするために、「緩衝領域(cushoning region)」及び「メダル部(medallion)」という用語は、全記載を通じて交互に用いられるものとする。先述のとおり、メダル部には様々な材料が使用されうる。メダル部は、メダル部の外周を定義し、柔軟性のある「ヒンジ」として機能する、様々な奥行き及び構造のチャネルによって隔てられている。本パッドは、1つ以上のメダル部、1つ以上のチャネル、又は1つ以上のメダル部及びチャネルに配置される、少なくとも1つの通気孔を含む。通気孔はパッドの反対側への空気、且つパッドの反対側からの空気の流れを可能とし、このことによりパッド、及びパッドを含む衣服に高い通気性の特徴をもたらし、同時にパッドの重量を軽減する。したがって、このような衣服は身体の水分や蒸気を放出させ、過熱又は不快感を起こさせることなく、スポーツウェアとして使用できる。
メダル部の表面は、メダル部の輪郭を部分的に定め、通気をもたらす、様々な奥行き及び構造のチャネル及び/又は溝を含みうる。ある例では、外周フランジはパッドの外周に隔てられてもよい。
メダル部、通気孔、チャネル、溝、フランジ、及びパッドが形成される材料、これらが共に、パッドに様々な機能的特性をもたらす。例えば、チャネルは溝よりも深く、且つ、重要な領域、例えば関節周りなどで、締め付けのない、制限を受けない可動域を提供するように構成されている。溝はヒンジよりも浅く、柔軟性を与え、一方で緩衝性及び/又は耐衝撃性を維持している。ただし、パッドの連結度を高めるチャネルと溝は、両方が「ヒンジ」として機能していることに留意すべきである。
本緩衝パッドは衣服に組み込むことができ、特定の機能的特徴を持つように設計することもできる。このような衣服は、身体の屈曲部分、特に関節部分を保護するための性能の面で優れている。パッドは全可動域において、装着者に常時、密着、又は直接接触するため、パッドは、衣服の素材がぴったりフィットしながら、身体、又は特定の関節形状に伸縮してなじみ、結果として他の製品よりも装着者を衝撃から保護する、一体化したパッドシステムとなるように、衣服の中に特有の方法で組み込むことができる。本発明のパッドを組み込んだ衣服は、パッドの基礎部分、またはパッドの基礎部分に充てる材料は、伸縮し、かつぴったりフィットする布に組み込まれると、使用時にユーザの身体に直接接触した状態が保たれるため、装着した時、怪我からの保護を向上させる。パッドの柔軟性により、ユーザの体型になじみ、それによりパッドがユーザの身体に接触した状態で維持される。つまり、運動時、本パッドのある程度の柔軟性がなければ、パッドがユーザの異なる体型になじむことは不可能である。説明をわかりやすくするために、ここで使用される「柔軟性(又は可撓性、flexible)」という用語は、折り曲げる、ねじる、屈曲する及び/または伸縮させるなどによりパッドが機能(又は変形)することを意味する。
メダル部の特定の形状、サイズ、構成、輪郭と方向、ヒンジ、溝及び/又は外周フランジと、特定のパッド及び服地とを組み合わせることにより、身体の特定の目的領域、特に関節部分を保護しながら、衣服はユーザの自由可動域を最大にするように設計されうる。このような衣服は見た目にも美しく、より耐久性があり、低コストであり、通気性及び快適性が高く、加えて、身体に対して顕著な可動域と的を絞った正確な保護とをもたらす。
同様に、本発明の緩衝パッドは、保護ケースなどの他の物品に組み込むことが可能である。例えば、パッドは、ラップトップコンピュータ又はメディア装置などの電子機器の形状やサイズに合わせたスリーブやケースに、ぴったりとフィットするように、且つケースの外面に沿って伸縮してなじむように、組み込むことができる。本発明のパッドを含むケースは軽量かつ耐衝撃性保護を備え、ケースに入れられた機器の熱を放出する。
切れ目なく接着された、複数層による構造を含む、ある例示の実施形態では、本発明のパッドと、該パッドを含む物品は、頑丈で耐久性があり、工業用及び/又は商業用洗浄で使用される温度、洗剤及び機械的動作に耐えうる物品を備えており、上記のような過酷な条件において劣化しがちな他のパッド入り衣服とは異なる。メダル部を適所に「ロック(固定、閉じ込め)」し、パッドからクッション材が脱出することを最小限に抑制もしくは防止し、又は、液体のような物質がパッド内に侵入することを最小限に抑制もしくは防止することから、ヒンジ上の層と層の間での切れ目のない接着には効果がある。したがって、ヒンジは、剥離を起こさせうる液体や他の物質のパッドへの浸透が起こらないように、パッド、特にクッション材を固定させる。間断なく接着されている通気孔の存在も、パッドの耐久性や耐水洗性を損ねることなく、パッドの通気性及び通風性を最大限に発揮させる。
図1から6は共に、本発明に準拠したクッション材のセクション(部位)100を図示している。説明をわかりやすくするために、セクション100は、以下「パッド100」と記す。図示されるとおり、パッド100は前面10、背面12及び外周14を含む。パッド100はさらに、複数のチャネル38で隔てられ、相互接続された複数の緩衝領域20を含み、それぞれのメダル部20の中央に位置する、少なくとも1つの通気孔30を含む。
記述全体の説明をわかりやすくするために、「緩衝領域」は以後、メダル部と記述される。複数のメダル部で図示されているが、当然のことながら、パッドは少なくとも1つの通気孔を有する1つのメダル部を含んでもよい。同様に、複数のメダル部のそれぞれに通気孔がついているように図示されているが、当然のことながら、必ずしも、それぞれのメダル部が通気孔を含む必要はない。本実施形態において、パッド100及び緩衝領域20は正方形だが、パッド100と緩衝領域20は、個別のデザイン又は利用において実用的又は望ましい、いかなる形状、サイズ又は構造を含んでもよいことを認識する必要がある。パッド、メダル部及び通気孔のサイズ、形状、厚さ、及び材料組成は、所望のパッドの柔軟性、耐衝撃性、通気性などの度合を含むがそれに限定されない要素の数によって可変であってもよい。さらに、メダル部の構造は可変であってもよく、1つ以上のタイプのメダル部の形状又は通気孔の形状がパッド上で使用されてもよい。
図6及び7に図示されるように、パッド100は任意の外層16と内層17との間に配置されたクッション材層15を含む。本実施形態において、クッション材層15は任意の外層16と任意の内層17との間に配置され、且つ任意の外層16と任意の内層17によって密閉される。外層16は、上面34と、上面34からチャネル38の下面10に対して下方に延びる外部側壁36を定めることにより、メダル部の外形を定める。同様に、外層16は、上面34から内層17へと下方に延びる通気孔側壁37を定める。必要に応じて、側壁36と37は上面34に垂直か、又は上面34に対して傾斜のついた外形を有してもよい。図示されるように、必要に応じて、上面34には、上面と側壁36、37との間の移行領域「TR」でアールが形成されてもよい。
上記のとおり、複数のメダル部20は分離され、且つ複数のチャネル38によって相互に連結されている。上記それぞれの説明のために、「チャネル」という用語は以降の説明においてヒンジと呼称される。図7に示されるように、ヒンジ38は、隣接するメダル部の境界の間の間隔によって定義される、幅「W1」と、メダル部の上面34とパッド100の上面10との間の間隔によって定義される、深さ「D1」と、内層と外層16、17及び当該層の間のクッション材15の厚さの合計によって定義される、厚さ「T1」を有する。ヒンジ38の幅W1は必要に応じて変更可能で、1ミリメートルから、約1000ミリメートルかそれ以上の狭さまで変動しうる。例えば、メダル部の保護機能を最大にする一方で、パッドの柔軟性を維持するために、ヒンジの幅「W1」ができるだけ狭いことが望ましい。このような使用には、最大限の保護が必要な使用、又はヒンジが角部分を覆うことを目的とする使用が含まれる。このような例では、幅「W1」は約1ミリメートルから約10ミリメートルの範囲、特に約3ミリメートルから約7ミリメートル、とりわけ約5ミリメートルの範囲でもよい。
保護機能があまり重要でない別の例示では、ヒンジの美的特徴を高めるために、ヒンジの幅「W1」はより大きいことが望ましく、メダル部との色の対比を可能にする。このような例では、幅「W1」はミリメータ又はセンチメータの範囲でもよく、必要に応じてさらに大きくてもよい。
ヒンジ38はメダル部の形状によって、直線状又は曲線状であってもよい。メダル部の間のヒンジの深さは同一又は異なり、深さはヒンジに沿って可変である。本実施形態に示されるように、曲線状及び直線状ヒンジは、いずれもパッドに混在して使用されうる。また、曲線状及び直線状のヒンジ領域の混在を含みうる。
本実施形態では、ヒンジ38の上層及び下層16、17の間に配置されたクッション材層15の厚さは、製造工程においては、ヒンジ38にて厚さがゼロに近づくように、最小化されうる。結果として、ヒンジ38のクッション材は肉眼では見えず、極めて精密な隙間ゲージを使用することによってのみ検知されうる。
該当する場合、層16、17の間に残る残留クッション材15は、ヒンジ38内に層16、17を接着させるための補助となる。使用される材料によって、層16、17での接着は、少なくともその一部が化学接合、熱接合、及び/又は機械的結合となりうる。例えば、クッション材として使用される材料が樹脂の場合、ヒンジ38の残留樹脂は層16、17を接着するための接着剤として機能できる。比較的薄いヒンジ領域での個別の接着の必要性をなくし、パッド全体に一貫して平均した柔軟性を保ち、それらによりパッドの耐久性を拡張することから、接着剤としての樹脂の使用は有効である。
その他にも、織物が層16、17の1つとして使用される場合、ヒンジ内の層の間の接着は、樹脂が織物の開口部又は孔へと圧搾されることにより、少なくとも一部が機械的に行われ、製造中に層16、17部分が接着し、結果として、接着された層16、17による「島(island)」の間に位置する、接着された層15、16、17による島ができる。
ヒンジ38の残留クッション材15を最小化する、又は除去することにより、ヒンジの柔軟性は最大化され、パッド100全体が様々な方向に屈曲し、折りたたみ、ねじることが可能となる。
上記のとおり、外層及び内層16、17は任意だが、多くの理由においてあることが望ましい。特にクッション材層15がセル状材料及び/又は形状を保持しにくい材料である場合に望ましい。
例えば、上記の実施形態において、外層及び内層16、17はパッド全体を通して、ヒンジ内も含め、クッション材層15に間断なく接着されている。パッドの構造によっては、ヒンジ内の材料の量が最小化され、又は除去される場合には、外層及び内層はクッション材15に接着され、又は互いに接着されうる。前面をクッション材層15に接着することの1つの有効性は、連続するとともに一体となった表面をクッション材層15の上部及び下部に施すこと、つまり、パッドの外周以外のクッション材15を密閉することである。連続する上層及び下層はヒンジと溝領域を強化し、ヒンジ及び/又は溝がメダル部よりも薄いことから、使用中のパッドの屈曲により起こりうるヒンジ及び/又は溝の破損を最小限に抑える。屈曲時、薄いヒンジ領域を保護するために、少なくとも1つの接着された層が使用されうる。熱可塑性ポリウレタンフィルムは、外層16として使用される場合、ヒンジ又は溝の層17のひび割れや破損を防ぐために望ましい。内層は、フォームに接着されている場合、ヒンジ又は溝に強度を与えうる。又は、多くの実施形態において、内層及び外層はフォームに接着される。ヒンジの厚さが極めて薄い場合、特にヒンジにクッション材がほとんどない、又は全くない場合、接着された内層及び外層はパッドの構造的完全性を保持することが望ましい。内層及び外層のための、TPEフィルムやスパンデックス(登録商標)素材といった、実質的に弾性の材料を使用することが望ましい。ポリウレタンフィルム薄板など、織物及びフィルムによる薄板の内層は、ヒンジの耐久性を最大化するために極めて望ましい。
随意に、及び、2011年8月11日に出願された、参照することによりすべて本書に含まれる、共同所有で同時係属の米国出願第13/208,229号で開示されるように、メダル部の上面34は、平面、曲面、及び平面と曲面の組み合わせを含む様々な形状を使用して形成されうる。あるいは、メダル部の上面34は、メダル部の外周方向に放射状に減少する厚さ、又はパッドの外周に向かって減少する厚さによって定められる面を含みうる。
本パッドは、参照することによりすべて本書に含まれる、米国特許第7,827,704、米国出願第2008/0034614及び米国出願第2009/0255625で開示される技術を使用して製造されうる。本パッドのモールドは、パッドの特定の実施形態のために、ヒンジ38、50、60のフォームを最小化又は除去するのに十分な条件のもと、層15、16、17が一緒に圧縮され、一方で化学接合、熱接合、及び/又は機械的結合により各層が接着されるように設計される。
図8及び9は共に、本発明に準拠した、典型的な緩衝パッド200の別の実施形態を図示している。パッド200はパッド100と同様の構造を有し、メダル部20の間のヒンジ38に配置される複数の通気孔40(以降、「ヒンジ通気孔」と呼ぶ)が加えられている。ヒンジ通気孔はメダル部の通気孔の変形版であり、パッドの通気性を最大化し、同時にパッドの重量を減らすための別の方法である。ヒンジ通気孔は単体で、又はメダル部通気孔30に追加して使用可能である。本実施形態において、ヒンジ通気孔40は円形であるが、上記のとおり、いかなるサイズ又は形状であっても使用できる。
図10から12は共に、本発明に準拠した、典型的な緩衝パッド300の別の実施形態を図示している。パッド300はパッド100と同様の構造を有し、メダル部30の間のヒンジ38に配置される複数のヒンジ通気孔50が加えられている。本実施形態において、ヒンジ通気孔50は直線状であるが、上記のとおり、いかなるサイズ又は形状であっても使用できる。また、本実施形態では、ヒンジは他の実施形態と比較して比較的狭く、このことにより、特に、パッドが任意の内層及び外層を含む場合、ならびに、内層及び/又は外層が伸縮可能及び/又は弾性である場合に、パッドの柔軟性を高めることとなる。
図13から15は共に、本発明に準拠した、典型的なメダル部60の別の実施形態を図示している。メダル部60はメダル部30と同様の構造を有し、メダル部の上面34に形成され、各外部側壁36から通気孔側壁37へと延在する、複数の溝42が加えられている。溝42は、通気孔30との間の空気の流れを向上させ、同時にパッドの重量を軽減する通気孔へと流動可能に接続される。さらに、ヒンジ38のように、溝42はパッドの柔軟性を向上させ、溝42のクッション材層15の厚さが薄くなるにつれ、溝42とパッド100の柔軟性、及びパッドの通気性が向上する。
メダル部の上面34における溝42の幅、深さ、方向、及び位置は、望ましい方向や柔軟性の度合などを含むがそれに限定されない要素の数によって可変である。しかし、通気性を最大化するために、通気孔への流動式の連結が望ましい。また、溝42の幅、深さ、方向、及び位置は、溝が形成されるパッド及び/又はメダル部の、望ましい屈曲量や、パッドの望ましい通気性などを含むがそれに限定されない要素の数によって可変である。溝42は、メダル部の最も厚い部分において、ヒンジ領域よりも厚く、しかしメダル部よりも薄く設計されている。したがって、溝厚さはメダル部の約10%から95%の厚さであり、メダル部の厚さの約20%から約75%の厚さであり、とりわけ、メダル部の厚さの約50%に及ぶ。また、本発明に準拠したすべてのパッドにおいて、溝42は所望の領域でパッドを屈曲させることができ、さらに通気孔に流動可能に連結されている場合には空気の流れをもたらすことができるように設計されている。
ヒンジ38のように、溝42は、閉口軸及び/又は交差軸に沿って配置される、曲線状溝、又は直線状溝であってもよい。曲線状及び直線状溝はいずれも組み合わせて使用されることがあり、溝は曲線領域及び直線領域の両方を含みうる。パッド又はメダル部の溝の厚さは同一又は異なってもよい。厚さは溝の長さ、及び溝から溝への長さに従って可変である。
図16から18は共に、本発明に準拠した、典型的なメダル部70の別の実施形態を図示している。メダル部70はメダル部60と同様の構造を有しているが、正方形の構造ではなく六角形の構造である。さらにメダル部70はメダル部の上面34に形成され、各外部六角形側壁36から通気孔側壁37へと延在する複数の溝42が加えられている。
図19は、本発明に準拠した、典型的なメダル部80の別の実施形態を図示している。メダル部80はメダル部30と同様の構造を有しているが、正方形の構造ではなく八角形の構造である。
図20と21は共に、本発明に準拠した、典型的なメダル部80’の別の実施形態を図示している。メダル部80’はメダル部60、70と同様の構造を有しているが、正方形や六角形の構造ではなく八角形の構造である。さらにメダル部80’はメダル部の上面34に形成され、各外部八角形側壁36から通気孔側壁37へと延在する、複数の溝42が加えられている。
上記のとおり、本発明の別の様態は、身体の特定の箇所を保護するために、上記パッドを衣服、特に圧迫帯(compression garment)に一体化することである。先述のパッドの1つが、装着者にしっかりとフィットする圧迫スリーブ又は圧迫帯に一体化されると、ヒンジ及び又は溝のついた多層構造によるパッドは、スパンデックス(登録商標)織物、その他の伸縮素材に、保護すべき箇所にぴったり接触する形でヒンジパッドが保持されるように、縫合、接着、又は貼り付けられる。パッドは圧迫帯の内側でも外側でも縫合可能である。パッドはスリーブの全外周の一部分のみを覆うことが望ましい。これにより、スリーブは装着者にフィットするように伸縮できる。保護用パッドと圧縮帯の一体化は、衣服全体を変えることなく、身体の特定の部分に保護を加えるために、簡素かつ安価な方法である。
パッドが圧迫スリーブに一体化されると、動きのある関節部分を保護するための他の方法と比較して、特異的な特性と効果がもたらされる。パッドが圧迫スリーブに一体化されると、パッドは保護すべき関節部分にぴったりフィットして接触する、間断のない形状になりうる。適切なヒンジの選択は、保護用スリーブが自然に正しい位置と方向に維持されることが可能となることから、膝、肘、肩、足首などの柔軟な関節を保護する場合に望ましい。ヒンジ及び衣服のスリーブの位置の適切な選択により、保護用圧迫スリーブは手足と一体となって動き、従前のパッドよりもはるかに広範な動きを可能とする。
保護用スリーブがユーザの身体にぴったりフィットして接触する形で位置している時、パッドがユーザに当たることで生ずる衝撃によって、ユーザがさらに怪我をする可能性は最小限に抑えられる。硬いパッドは、十分な柔軟性がないため、ユーザの身体部分や関節に間断なくフィットして接触させるには向かない。パッドが密着しない場合、パッドは装着者に怪我を負わせる衝撃の一因となりうる。スリーブ構造におけるパッドは、放射状の幅広い範囲を包み、ある例では、関節全体を包むことにより、360度に渡り保護しうるため、動きのある関節部分にさらなる保護をもたらす。一般的には、スリーブが伸縮して腕になじむように、圧迫スリーブに、追加のパッド層を有さない、いくらかの領域を残すことが望ましい。
ある実施形態では、衣服を、皮膚層から水分を逃がすように設計されたウィッキング(芯材)織物で作ることが望ましい。
本パッドは、保護機能を著しく損ねることなく、空気透過及び/又は透湿を高めるように設計可能である。このような選択肢を他の保護用パッドは有しない。上記のとおり、ヒンジ、溝及び/又はメダル部における通気孔の使用は、透湿率及び/又は空気透過率を上昇させる。内層としてのスペーサ織物又はウィッキング織物の使用、又は内層としてのTPEフィルム層との組み合わせの使用により、付け心地のよさを向上させ、同時にヒンジを通じて水分を逃がすことができる。また、高水蒸気透過(「MVT」)フィルム層はさらに付け心地のよさを向上させることができる。このようなフィルムは化学吸収/脱着により機能する。これらのフィルムの事例として、製品名Sympatex(登録商標)又はOmniflex社のTX1540が使用可能である。また、Gore−tex(登録商標)又はPorelle(登録商標、Porvair社)といった、微小孔性の高MVTフィルム、あるいはその他の類似フィルムも使用可能である。
図22と図23は共に、典型的な肘用パッド500の別の実施形態を図示しており、先述の実施形態のいずれかと同一の構造、及び任意のフランジを有しうる。本実施形態では、パッドはチャネル、溝及びフランジに配置される、複数の円形通気孔30を含む。
図24と図25は共に、典型的な肘用パッド500の別の実施形態を図示しており、先述の実施形態のいずれかと同一の構造、及び任意のフランジを有しうる。本実施形態では、パッドはチャネル、溝及びフランジに配置される、複数の円形通気孔30を含む。本実施形態では、チャネル及びフランジのクッション材の厚さは最小化又は除去されている。
図26は、‘229の適用例にて開示されているように、典型的な肘用パッド600の別の実施形態を図示しており、複数の曲線を成す通気孔30を含む。本実施形態で図示される曲線を成す通気孔の形状は、曲線を成す通気孔領域により高い動作性と伸縮性をもたらし、一方で接着された多層構造によってもたらされる「密封されたメダル部(encapsulated medallion)」を保持する。
先述の実施形態のいずれか、又は全てにおいて、パッドは、メダル部をパッドの外周から隔てられた位置関係に維持するために、上面10によって定められた任意の外周フランジ40’(図22から図26を参照)を含みうる。任意のフランジ40’は、最外部のメダル部の外周と、パッドの外周14との間の間隔によって定められる幅「W2」を含みうる。フランジ40’の外周の幅W2は必要に応じて可変である。外周フランジ40’はメダル部よりも薄くてもよい。それにより、縫合、糊付け、溶接、接着、ヒートシールなど、様々な技術を用いて、パッドをフランジ領域に沿った衣服部分などのアイテムに取り付けることが可能となる。例えば、パッドが圧迫スリーブと一体化する場合、パッドはフランジ部分のスリーブ織物の外側に縫合、糊付け又は付着されうる。あるいは、スリーブの内面に縫合又は付着され、スリーブの該当する開口部から露出される。
当然のことながら、フランジはパッドに付随しているとは限らない。また、パッドは、縫合、糊付け、溶接、ヒートシール、接着などの他の手段を用いて、下層面に取り付けられうる。
先述の実施形態のいずれか、又は全てにおいて、クッション材層15は、モールドなどにより、あらかじめ決められた形状に形成されるのに十分な構造的完全性を有する材料、又は該材料の組み合わせ、及び、該材料が使用されようとする環境に、深刻な劣化を起こすことなく耐えうる材料又は該材料の組み合わせによる、1つ以上の層を含みうる。
材料の種類及び構成は、物品及び/又は物品の領域に所定の材料特性を提供するために選択されうる。材料の種類及び構成は、クッション性、耐衝撃性、耐摩耗性などの特定の適用に合わせて、パッドをカスタマイズするために使用されうる。適した材料の例には、ポリマー材料、複合材料などが含まれる。適したポリマー材料の例には、熱硬化性ポリマー材料、弾性ポリマー材料、熱可撓性材料、熱可撓性弾性材料、及び先述の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれるがこれに限定されない。使用可能なポリマー材料には、ポリウレタン、シリコン、及び/又はそれに類似するもの、及び先述の材料の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれるがこれに限定されない。
ある例示では、身体と接触した状態で使用される場合などに、柔らかくてしなりやすく、なじみやすい感触を与えるために、パッドがクッション性の特性を有することが望ましい。このような例示では、ポリマーゲルが適している。適したポリマーゲルの1つの例は、デュロメータでショア00硬さ約0.01からショアA硬さ約70以下又は約70、特にショア00硬さ70以下、とりわけショア00硬さ60以下を含むポリウレタンゲルである。材料は、ショア000硬さ約30からショアD硬さ88を含んでもよい。ポリマーのデュロメータは、デュロメータ又は透過度計といったツールを用いて、当業者が判定できる。ゲルの形成は、当業者に知られる様々な方法によって行われる。例えば、ポリウレタンゲルの形成は、適したポリマー前駆体物質を反応させること、例えば、ポリオールとイソシアン酸塩を触媒と反応させることを含みうる。
ある例示では、パッドは軽量であることが望ましく、このような例示では、クッション材15は低密度フォーム材料のようなフォーム材料を含みうる。適した低密度フォーム材料の例には、ポリエーテル及びポリエーテルウレタンフォームが含まれる。
ある例示では、パッドは耐衝撃性をもたらすことが望ましい。このような例示では、クッション材、具体的にはエネルギー吸収フォームとして様々なタイプの衝撃吸収材が適していることが判明されている。この適用では、フォームに約5ポンドから約35ポンド立方フィート(pcf)の密度を有しており、特に約10pcfから約30pcf、とりわけ約15pcfから約25pcfの密度を有する。適した比率依存のフォームは、Rogers Corporation社からPORON(登録商標)及びPORON XRD(登録商標)といったブランド名で利用可能であり、それらはオープンセル型で微小孔質のポリウレタンフォームである。
先述のすべての実施形態において、任意の外層16は、力が加えられたときに破れ及び/又は張りを防ぐのに十分な弾性、あらかじめ決められた形状に形成するのに十分な構造的完全性をもたらすことができ、さらに、使用される環境(例えば、ねじる、折れ曲がる、屈曲する、伸縮するなど)に耐えうる、深刻な劣化を伴わない、あらゆる材料を含みうる。外層16は、ある例示において粘着性の特性を含む層15の取り扱いを容易にするために選択されうる。従って、外層16は、モールド後、人間の感触に対して比較的粘着性が低く、滑らかな表面を実現させるために選択されうる。
外層16はいかなる厚さでもよく、該厚さは適用次第で可変である。特定の適用のための望ましい厚さは、当業者による所定の実験によって決定されうる。外層16は、約0.2ミリインチ(以下、mil)から約60milであり、とりわけ約0.5milから約30mil、とりわけ約1.0milから約15milである。
製品の手触りが重要な場合、外層の厚さを最小化することが望ましいことが判明している。したがって、このような製品では、耐久性を犠牲にすることなく、最も薄い外層を使用することが望ましい。例えば、比較的薄い外層16が望ましい適用において、約0.2milから約6mil、特に約0.5milから約3mil、とりわけ約0.6milから約2milの厚さを含みうる。
ある例示では、薄い外層と比較して、より高い耐久性を提供する、より厚い外層16を使用することが望ましい。例えば、本材料が振動抑制への適用に用いられる場合、外層16の厚さは約50milから約60milであることが望ましい。一方で、クッション材層が粘着性の場合には、より厚みのある層が望ましい。なぜなら、粘着性の材料は、外層16に穴が開いた場合に露出され、製品の取り扱いが困難となるからである。
本製品が熱成形の工程で形成される場合、約1/8インチまでの厚さを有する外層を使用することが望ましい。また、ある例示においては、必要に応じて、それ以上の厚さが望ましい。熱形成の工程で熱及び/又は真空状態を適用することにより、6mil以上もの厚さを有する外層に、極めて高い柔軟性を維持することができることが分かっている。
また、外層16は、材料の取り扱いを補助する支持層(図示されず)を含む。あるいは、外層は、当業者に知られる様々な技術を用いて、モールド工程中、及び工程後に材料のコーティングとして適用されてもよい。
外層16に適した材料には、プラスチック、ゴム、熱可塑性エラストマー(「TPE」)及び/又は類似の材料といったエラストマー材料、及び先述の材料の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。外層に使用可能なプラスチックの例は、エチレン酢酸ビニル(「EVA」)、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリスチレン、四フッ化エチレン樹脂(「PTFE」)、ラテックス、シリコン、ビニル、及びそれらの組み合わせを含むがそれに限定されない。
外層16に使用可能なその他の材料には、紙、織物、スペーサ布、金属、金属化プラスチック、プラスチックフィルム、金属箔、及び/又は類似の材料、及び先述の少なくとも1つを含む合成物及び/又は組み合わせを含むがそれに限定されない、多様な合成材料及び/又は非合成材料が含まれる。ニット、織布、不織布、皮、ビニル又はその他の適当な材料を含む、他の耐久性のある材料が外層に使用されうる。外層にスペーサ布を使用すると、空気の流れを最大化することが可能である。
多少弾性のある材料を外層として使用することが望ましい。したがって、スパンデックス(登録商標)織物などの伸縮性の織物が望ましい。伸縮性の織物を外層として使用することは、ヒンジや溝の屈曲、及び外層の輪郭形状への形成を容易にするため、望ましい。一部の例では、より限られた伸縮性を有する材料の加熱、形成、事前の伸張によって最終製品が改良されることとなる。
外層16が織物層(ファブリック層)を含む場合、該織物はニット、織布、不織布、合成繊維、非合成繊維、及び先述の少なくとも1つを含む組み合わせであってよい。また、該織物層は例えばTPEフィルムに積層されてもよい。パッドの適用に伸縮性が必要な場合、伸張する外層の使用が望ましく、外層が薄板の場合には、薄板内の各層が伸張することが望ましい。
上記のとおり、多少弾性のある材料を外層として使用することが望ましい。TPE材料はフィルムとして使用可能であり、比較的厚みがないため、望ましい。いかなるフィルムの厚さも、モールド加工の方法と相性がよければ、また、意図する利用に適していれば、使用可能である。ただし、約1milから約10milの間のフィルム厚さが望ましい。厚いフィルムはより耐久性があるが、薄いフィルムはより安価で、手触りが柔らかい。厚いフィルムを選ぶ理由は他にもあり、例えばモールド工程を改良するために、深みのある形状を熱成形する場合などが当てはまる。外層として織物ではなくフィルムを使用することにより、製品の洗浄を容易にし、且つ、クッション材の破損や汚れからの保護が容易になる。フィルムは約100パーセント(%)から約1500%、特に約200%から約1000%、とりわけ300%から約700%の伸長率を含みうる。
使用可能なTPE材料は、スチレンブロック共重合体、ポリオレフィンブレンド、エラストマアロイ、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性共重合ポリエステル、熱可塑性ポリアミド、及びそれらの組み合わせを含む。商業利用が可能なエラストマアロイの例には、溶融加工可能なゴム及び熱可塑性加硫物が含まれる。適したTPEの例には、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)が含まれる。TPUフィルムは耐久性、弾性、柔らかさ、及び柔軟性の点で望ましい。適したフィルムの1つは“Bayer Material Science Company社”の“Deerfield Urethane”から入手可能な、製品名Dureflex(登録商標)PS5400のポリエステルウレタンである。ポリエーテルTPUフィルムよりもポリエステルTPUフィルムを使用することが望ましい。これは、ポリエステルTPUフィルムは、ポリエーテルTPUフィルムよりも高い耐摩耗性を有していることに加え、運動着やクリーニングといった、高湿度の条件において、予想外の性能を発揮するためである。
さらに、パッドと衣服はパッドの異なる部分に、織物とフィルムの両方で製造されうる。両方の材料を使用することで、全可動域とさらなる保護機能を可能とする。外層は織物とフィルムの複合材料が望ましいだろう。それにより、フィルムはヒンジが屈曲する時の保護を補助し、クッション材の防護壁として機能しうる。
先述の実施形態のいずれか、又は全てにおいて、内層17は外層16と同一の材料を含みうる。内層17が織物層を含む場合、該織物はニット、織布、不織布、合成繊維、非合成繊維、及び先述の少なくとも1つを含む組み合わせであってよい。また、該織物層は例えばTPEフィルムに積層されてもよい。パッドの適用に伸縮性が必要な場合、伸張する内層の使用が望ましく、内層が薄板の場合には、薄板内の各層が伸張することが望ましい。内層17として織物層を使用することは、層の中、又は層の間に形成される気泡を閉じ込め、消散させるために効果があり、結果として最終的なモールド製品としての見栄えがよくなる。
内層、外層及び/又はクッション材層に活性剤を使用することが望ましい。例えば、銀又は銅系の活性剤を加えることにより、材料に抗菌性又は抗真菌性の特性を与える。内層又は外層、又はフォームそのものに、抗菌剤又は抗真菌剤として効くように、銀又は銅系活性剤を加えるなどして、活性剤を使用することが望ましい。
内層及び外層16、17のうちの1つ又は両方は、色、グラフィックス、及び/又は文字を含むマーク(indicia)を含みうる。該層上に施される色、グラフィックス及び/又はマークは、別の層が無色及び/又は透明の材料で形成される層の場合、該別の層を介して透過させてもよい。これは、見た目の良さ、及びコストの理由から望ましい。さらに、必要な場合、内層及び外層16、17のうちの1つ又は両方は、通流性であってもよい。ここで使用される「通流性(fluid−permeable)」とは、層を形成する材料が、流体の流路又は入口に対して開放されていることを意味する。
パッド、メダル部、メダル部の輪郭、ヒンジ、溝及びフランジのサイズ、形状、構造、方向、寸法は、パッドの設計に望ましい特性を実現させるために、必要に応じて可変であってよい。先述の特徴の全て、単体、あるいは組み合わせは、ユーザの身体に対して、動作中
になじむよう、内側方向又は外側方向へのパッドの柔軟性を促進するように設計されている。しかし、先述の実施形態のそれぞれにおいて、及び、本発明に準拠したいかなるパッドにおいて、先述の寸法は、パッドの望ましい特性と設計によって可変である。例えば、パッドは、クッション材、通気性、換気、振動抑制、及び/又は衝撃吸収などを含むがこれに限定されない様々な特性を提供するように設計されている。パッドの特性は、メダル部のクッション材層15の厚さ及び/又は材料の種類の変更、通気孔のサイズ、形状、数、及び位置の変更、メダル部の間の間隔(すなわちヒンジの幅)の変更、及び/又は、メダル部の輪郭などの変更により変化しうる。例えば、クッション材層15にゲルを使用すればパッドにクッション性と振動抑制の特性がもたらされる、フォームを使用すればパッドの重量を軽減できる、衝撃速度依存性(rate dependent)又は衝撃吸収性フォームを使用すればパッドの衝撃吸収性が高まる、などが挙げられる。一般的には、メダル部のクッション材15の厚さを厚くすると、通常、先述の特性を高める。また、クッション材層15のための材料の組み合わせを使用すると、特性の組み合わせも可能となりうる。
先述の実施形態のいずれか、又は全てにおいて、及び、本発明に準拠したいかなるパッドにおいても、ヒンジは、柔軟性が望まれる、又は必要とされる目的の領域のパッドに柔軟性を与えるように設計されている。曲線状の、平行する、及び/又は交差するヒンジは、例えば動作中の関節を保護するなどの特定の機能に合わせた、パッドの柔軟性を可能にする。ヒンジの幅、深さ、方向及び位置は、パッドの柔軟性の必要な量及び位置を含むがそれに限定されない要素の数によって可変である。
ヒンジの柔軟性は、ヒンジ領域の材料の厚さを変更することによって変えることができる。例えば、ヒンジ内の材料の厚さを薄くすると、パッドの柔軟性が向上し、ヒンジ領域の材料の厚さを厚くすれば、柔軟性は低下する。内層及び外層16、17のうちの1つ又は両方を含む実施形態では、ヒンジ領域の材料の量を最小化、又は排除するために、ヒンジのクッション材15を「圧搾する」ことが可能である。このような実施形態では、ヒンジ内のクッション材15の厚さを最小化することによって、又は、パッドがヒンジ38内のクッション材層15を伴わずにモールドされる場合には、柔軟性が最大化又は改善されうる。例えば、約4milの厚さを有する内層及び外層16、17を使用する場合、モールド工程にてヒンジ領域からできる限りクッション材15を除去することによって、8milに近いヒンジ厚さ、又は内層及び外層16、17の合計の厚さに近いヒンジ厚さが可能となる。
積層構造における柔軟性を最大化するために、ヒンジ深さをメダル部厚さの約20%以下とすることが望ましく、特にメダル部厚さの約10%以下、とりわけメダル部厚さの約5%以下が望ましい。ヒンジ深さ0.020”、0.040”及び0.081”で良好なパーツが製造されている。
パッドが任意の内層及び/又は外層、又は両方の層を伴ってモールドされる時、ヒンジ厚さが層15以外の層の合計厚さに相当する厚さである場合、又はクッション材15の厚さが最小化され、ゼロに近い厚さである場合には、パッドの最大限の柔軟性が得られうる。
深いヒンジはフォームの厚さを有しうるものの、それでもなお高い可動性をもたらす。上記のとおり、本保護用パッドの1つの特徴は、外層及び/又は内層が繰り返し屈曲される際、比較的薄いヒンジ領域での破損からクッション材を保護でき、それゆえフォームが内層及び外層のいずれか、又は両方に接着されていれば、フォーム厚さはフォームの曲げ強度によって制限されない点である。
先述の各実施形態において、また、本発明に準拠するいかなるパッドにおいても、ヒンジの幅、又はメダル部の間の間隔はパッドが最大限に屈曲でき、一方でメダル部の保護特性が保持されるように設計されている。それゆえ、メダル部の間の間隔は、メダル部の間の隙間が衝撃を受けた際に怪我をするような、メダル部の間の間隔を空けすぎることなく、柔軟なヒンジに必要な距離によって決定されうる。このように、最大限の保護性能が、メダル部の約20%以下のヒンジ幅、特にメダル部の約10%以下のヒンジ幅、とりわけメダル部の約5%以下のヒンジ幅を用いて発揮される。上記のように、角度のついた、又はのこぎり状のヒンジ、及び/又は溝(図示されず)が、保護されない表面の露出量を減少させる。
先述の実施形態のいずれか、又は全てにおいて、パッドは、パッド全体に概して均一な密度を有するフォームで形成されうる。具体的には、ある例示では、圧縮はフォームの密度を高め、それにより可動域を狭め、フォームを除去することにより不均一なパッドとなる傾向があることから、モールド又は成型時、溝又はヒンジのフォームを圧縮することは最小限に抑えることが望ましい。成形されたメダル部とフォーム厚さの変化は、見た目に美しいパッドだけでなく、最も必要とされる箇所での保護を最大化し、それほど必要とされない箇所での保護を軽減する性能をもたらす。均一なフォーム密度と必要に応じて変化する厚さとによって、パッドの重量は軽減され、可動域は広がる。フォームを取り込み、形成すべき領域を圧縮するための熱成形又は圧縮は、それらの領域の密度を高め、重量を加え、不均一な保護とより狭い可動域を生じさせる。
本クッション材は他の材料よりも有効性を有している。本通気孔のついたクッション材は、通気性がよく、薄型で、なじみやすい保護用パッド及びアスリート向けの衣服を作成するために使用されうる。このようなパッド及び衣服は通気性がよく、それによって汗と空気を蒸発させることができる。さらに、ある実施形態では、パッドのそれぞれの気泡(cell)が互いに独立して移動できる。
本通気孔のついたクッション材で作られたパッドと衣服は洗濯可能で、耐久性があり、通気孔のないパッドと比較して通気性が高い。さらに、通気孔のあるメダル部及びパッドは壁の移動及び分解(又は崩壊)する性能のため、より多量のエネルギーを吸収することから、通気孔を含まない同じような構造と比較して、本パッドの保護性能は高まる。頻度依存材料がパッドを形成するために使用される場合、通気構造は、該頻度依存材料への衝撃又はエネルギー伝達のための領域を増大する。
内側及び外側のフィルム層がパッドに使用される場合、パッドの構造により、製造者は緩衝領域の間の間隔の幅を減らすことができる。必ずしもパッドを設置し、位置を合わせるために織物を使用しなくてもよいからである。また、製造者は、動作中に伸縮、フィットして適所に維持される一方で、全可動域において、ユーザを被覆し、保護するための溝とヒンジの形状に角度をつけ、設計できる。
ポケットに内包されるパッドを比較して、露出された、又は外骨格の保護用パッドの製造能力は、膝装具、足首補助具、背中補助具などの補助又は矯正装具を着用する個人にとって効果的である。ゆえに、パッドは適応可能な可動域のアスリートを、彼ら自身及び同様の装具を着用した他のアスリートから保護するための機械的補助に取り付けたり、接着したりできる。同様に、本発明に準拠したパッドの設計はカスタマイズでき、従前のアスリートが着用する装具に接着でき、装具の着用者だけでなく、矯正装具と接触する他のアスリートをも保護する。プロのフットボール選手が使用する膝装具上のパッドは1つの例である。
また、本パッドは若者、成人、プロのサッカー選手が着用するすね当てにも使用されうる。衝撃吸収フォームパッドとぴったりフィットする衣服との組み合わせによる特性は、目的の身体部分に特有且つ極めて正確な保護を提供する。よって、本発明の1つの実施形態は柔軟性があり、密着し、通気性のある、サッカー選手用のすね及び足首用装具である。このようなすね及び足首用装具を使用することで、フォームの密着度、ウィッキング材による快適性、構造に使用される通気孔や貫通孔のおかげで、サッカー選手の保護を向上させる。また、例えば、紐、またはユーザのソックスとの摩擦により固定される、通気性のない硬質なプラスチックパッドと比べて、より耐久性の高い製品を提供できる。
先述のとおり、フォームパッド材層及び他の層は、最小限の劣化又は劣化のない衝撃保護具を考慮して、材料全体、又は溝又はヒンジ領域内のいずれかに貫通孔が設計されている。ある実施形態において、パッドの全ての層が間断なく接着されている、という事実は、パッドへの吸収ではなく、所定の経路を通じた水蒸気の蒸散を可能にする。水分が織物層に逃がされる時、表面が接着してあるため、パッドを介して外部へ導かれる。対照的に、他のパッドは1つ以上の浮遊(自由に動く)層を有し、着用を不快にさせる。
ある実施形態では、外面(織物又はフィルム)が(ある実施形態では)衣服又はスリーブの実際の外面であるとする事実は、重要な特徴である。接着されていない織物、又はパッドを覆う、外側に縫合された別のカバーを有するパッドは、衝撃を受ける際に、パッド全体の外層のずれを生じさせる。本発明に準拠した衣服を装着する際、装着者はぴったりフィットする衣服の外側にパットを有することになり、特定の身体部分又は関節を正確に保護できる。衣服又はスリーブの外部の層として、本発明のパッドの露出された外層を有することで(図12と13を参照)、ゆったりしたカバー(loose cover)のあらゆる形状にフォームを細かく切断するために改善された水分又は空気の流れのより良好な管理が可能となる。精度の高い通気孔と空気チャネルは、熱と水分の増加を抑える。さらに、露出されたパッドの外側の表面を含む実施形態では、パッドの内側の表面は通常平らであることから、ぴったりフィットする衣服の内側に、ユーザの肌に対して平らに配置される。弾性の織物の外部に取り付けられた場合、ユーザは、弾性織物又は他の材料でできた一体化された層を身に着けることができる。これにより、パッドは肌表面をしっかりと抱えることができ、肌に擦れたり、炎症を起こしたりすることのない、シームレスの内側表面を可能にする。
表面で露出するパッドの使用により、ヒンジ又は溝は強化され、及び/又は小型化される。これは、追加された外部材料が、ヒンジの間隔を埋めてヒンジの動作を妨げることによって、屈曲を阻止しうるためである。溝及びヒンジは、対象をより正確に覆い、且つ保護するように、傾斜が作られたり、特有のデザインに形成されうる。独自の、より空気力学的な形状は、本パッドを使用して、衣服表面に作成できる。保護機能が付加された空気力学的表面は、スキー競技などのスポーツに有効性がある。装着者は、例えばゲートでの衝撃から保護され、一方で耐風性が強化される。バイクレースなどの他のスポーツでも、改良された空気力学による恩恵がもたらされる。
衣服表面に露出されている本衝撃吸収パッドを使用すると、パッドと衝撃の間の層が存在しないことから、衝撃吸収フォームがより速く作用する。このことは、PORON XRD(登録商標)、又は衝撃で硬化する類似の材料といった、「衝撃速度依存性の」衝撃吸収フォームを使用する場合に、望ましい特徴である。さらに、接着されたフィルムの1枚の層のみを有する、露出された表面又はフォームとパッドに衝撃を与える対象物との間の別の材料の使用により、フォームがより速く作用する。
ある実施形態では、スリーブ又は衣服に取り付けられたパッドの外側の層として、フィルム、特にポリエステルポリウレタンフィルムを使用して、耐久性があり、より洗濯がしやすいパッドシステムを実現する。フィルムが露出した外部表面は耐久性があり、同時に汚れにも強い。縫合されるか付着された最上層の織物は、破損や汚れの可能性があり、洗浄が難しい。内層又は外層として連続的に接着された織物及び/又はフィルムは、ヒンジ領域で一緒に接着されるか、メダル部のクッション材に接着されており、多くのパッドで使用される、接着されずに縫合された織物よりも耐久性が高い。そのようなパッドは、破れた衣服の外面では装着者を保護するためのパッドが露出され、衣服から外れ、抜け落ちてしまう。織物層を内層又は外層として使用する本発明の実施形態において、織物内部のフィルム層は、フォームに浸透又は透過する汚れや液体を最小化及び/又は防止することができる。
多くの実施形態のパッドはフォームパッドの均一な密度で(つまり、圧縮フォームよりも高くない密度で)モールドされる、という事実は、保護を目的としたより正確なデザインと、圧縮によって生ずるばらつきのある密度のそれよりも、広範な可動域を可能にする。
本パッド、衣服、及び製造方法は多くの理由から有効性がある。例えば、多くの要素を有する、単一の連続するパッドは、たくさんの人手を要する切断や折り目付け(scoring)、あるいは最終的な衣服構造に必要な熱成形を排除することにより、従前のパッド構築技術と比べて、経済的な有効性をもたらす。
ある実施形態では、ヒンジ領域はゼロに近いが、別のヒンジ領域は0.010”(10 mil)、 0.020”(20 mil)、又は0.080”(80 mil)又は0.120”(120 mil)である。
緩衝パッドが伸縮性衣服に取り付けられるような、伸縮性が望ましい実施形態では、弾性の接着された内層と、弾性の接着された外層を使用することが望ましい。
ヒンジ領域の厚さがゼロに近い箇所、又は薄いヒンジ領域(0.100”(1 mil)以下のフォーム)において、パッド全体が間断なく接着された内層又は外層(あるいは両方)を有していることにより、間隔を維持し、ならびに保護されていない領域の分離を防ぐ。これは、切片は圧力や力によって分離する可能性があり、ユーザが無防備となり、怪我の原因となるため、分離された切片がパッド作成に使用されるパッドとは対照的である。
ある実施形態では、ヒンジの狭い間隔を用いることは関節がある一定の方法で屈曲する場合に、露出領域を防ぐ目的で望ましいことが判明した。本発明は極めて狭いヒンジ、又はメダル部の間の極めて狭い間隔を可能としており、使用中にヒンジが分離する危険を最小化する。
本パッドは軽量にも関わらず、特定の身体領域に、より高度な保護をもたらすように製造されることが可能であり、これはアスリートや活動的な個人にとって顕著な利点である。
本保護用パッドの1つの有効性は、屈曲領域全体が、切断された小さなパッドや、衣服に縫合された小片ではなく、身体の特定の部分のためにデザインされた1つのパッド又は複数のパッドによって保護されうる点である。間断なく接着された大型のパッドは、より経済的で、同時に、保護の際に隙間が生じうる、切断されたパッドや小片によるパッドのずれを防ぐ。従前の製品よりも改良され、より正確な保護を提供することに加え、本保護用パッドは、耐久性の高いパッド全体が表面に露出し、それにより見た目もよく、軽量で、より良い水分又は空気の伝達により、パッドをより快適にする。
当業者は他の取り付け方法が使用されうることを認識すると思われるが、縫合には明白な有効性があることが判明している。ヒートシールや溶接と比較して、外周フランジに沿って適所に緩衝パッドを縫合することで、パッドが衣服から分離することを防ぎ、又は最小化することが判明している。このことは、衣服内でだぶついているパッド(例えば、パッドを内包するようにデザインされたポケットに緩く固定されている)、あるいは縫合、接着、溶接、ヒートシールなどによって取り付けられたパッドと比べて効果的である。
先述のパッドは極めて耐久性が高く、繰り返しクリーニングで処理されても耐えうる。このようなパッドにおいて、衣服に合体させる場合、理論的には、外周フランジの厚さ(例えば、約20mil)により、縫合する際に頑丈な領域が備えられる。この領域は、20milの外周フランジによってサポートされていなければ、クッション材がなく、ほつれたり、擦り切れたりしかねない。さらに、外周フランジは、緩衝パッドの外周をフィルムで仕上げることで実現される、より柔らかい端部により、さらに魅力的な製品を可能にする。
パッド全体におけるヒンジがほぼゼロであることは、ヒンジ内のフォーム材料が極めて薄いため、セル状構造は存在しないことから、パッドが洗浄サイクル中にパッドの耐久性に役立つと考えられる。したがって、縫合された外周フランジは、パッドが度重なる洗浄で剥離すること、つまり、緩衝パッドの外周をロックダウン(lock down)することを防ぎ、又は最小化する。
さらに、内層及び外層のいずれかをメダル部領域のクッション材、又はヒンジ上で互いに間断なく接着することは、液体又はその他の物質がパッドに侵入する可能性や、クッション材がパッドから飛び出す可能性を防ぎ、又は最小化する。両方の特徴を組み合わせることにより、過酷な状況において多数のパッドの耐久性を高め、他の製品で発生するような相関剥離を完全に除去又は防止する。外周フランジ及び隣接するほぼゼロのヒンジは、液体及び/又は微粒子が外周フランジを超えてパッドに浸透することを防ぎ、又は最小化すると考えられる。なぜなら、フォームはヒンジ領域からほぼ完全に除去されており、ヒンジ領域にフォームのセル状構造が存在しないため、流体及び/又は微粒子は外周フランジへと浸透できないからである。したがって、外周ヒンジはパッドへの液体及び/又は微粒子の浸透に対する緩衝として作用する。
同様に、緩衝パッド全体のヒンジ「ネットワーク」は、特に、ヒンジが「ほぼゼロ」のヒンジである場合、パッドの耐久性をさらに高める。これはヒンジ領域のフォーム又は他のクッション材を除去及び/又は最小化し、ヒンジ内の接着強度を向上させるためである。ヒンジ領域に残るクッション材は、(フォームの場合には)フォーム構造を支持するには不十分であることから、接着強度は向上する。フォームがヒンジ内に残留すると、接着強度はフォーム引裂強度にのみ限定されうる。このように、フォーム又は他のクッション材の厚さが最小化されると、引裂かれうる薄いフォームセル状壁が存在しないため、ヒンジの接着が向上する。つまり、ヒンジにセル状構造がなければ、液体及び/又は微粒子が外周フランジを超えて侵入するためのスペースがない。結果として、1つのメダル部又はヒンジが損傷、劣化したとしても、損傷は隣接するパッド及び/又はヒンジにのみ拡大しうることから、パッド全体の損傷は最小化され、又は損傷の影響は区分化される。
本パッドの別の有効性は、保護領域に広範な可動域を維持しながら、深いヒンジとそれよりも浅い溝、又は多階層のヒンジの組み合わせが、衣服により高い保護機能を与えることである。連結された最上層、最下層、又は両方の層によって、ヒンジと溝をより正確に使用でき、個々のメダル部が互いに動き合うのを防ぐ。さらに、伸縮可能にぴったりフィットする衣服素材との一体化は、結果として保護すべき領域を充分に包み、さらに外部パッドを身体の特定の領域と間断なく接触させる。
ここに記述されている「第一の」や「第二の」といった用語は、順序や重要性を表すものではなく、1つの要素と別の要素とを区別するために用いられている。また、「a」や「an」といった用語は分量や数量を表すものではなく、少なくとも1つの参照物品が存在することを表す。同様に、ここで使用される「下部」及び「上部」といった用語は、注記されていない限り、便宜上の表記に過ぎず、ある特定の位置又は空間的定位に限定されない。さらに、分量や数量に関連して使用される修飾語句である「約」は、記載される値を包含し、文脈によって決定づけられる意図を有する(例えば、特定の分量や数量の計測に関連づいたエラーの度合を含む)。
ここでは、化合物は標準的な用語体系を用いて記載される。例えば、指定された基で置換されない、いかなる位置における結合価も、指定される結合は水素原子により満たされている理解される。2つの文字又は記号の間に位置しない「−(ダッシュ)」は、置換基の付着点を示すために使用される。例えば、−CHOはカルボニル基の炭素を通じて付着される。このような定義がない場合、すべてのパーセンテージは重量パーセント(「wt.%」)を意味する。さらに、ここに開示されるすべての範囲が包含され、化合できる(例えば、「約25重量パーセント(wt.%)以下で、望ましくは約5wt.%から約20wt.%、さらに好ましくは10wt.%から約15wt.%」という範囲は、該範囲のエンドポイントとすべての中間値を包含し、例えば、「約5wt.%から約25wt.%、約5wt.%から約15wt.%」となる)。「10±10%」という表記は、示された測定結果は、記載された値の10%を差し引いた量から、10%加算した量であってもよい。
最後に、特記されていない場合、ここで使用される技術的及び科学的用語は、本開示が属する分野の当業者が常識的に理解するのと同一の意味を有する。
該開示は模範的な実施形態に準拠して記述されているが、当業者は開示の範囲からかけ離れることなく様々な変更がなされ、そこに含まれる要素と同等なものがそれに置き換えられてもよいことを理解する。さらに、本質的な請求の範囲からかけ離れることなく特定の状況又は材料を開示されている教示に適応させるために、多くの修正がなされうる。従って、本開示は、本開示を実行するために熟考された最良の形態として開示された、特定の実施形態に限定されることを意図しておらず、本発明は添付する請求項の範囲内に含まれる、すべての実施形態を包含する。