JP2015233194A - アンテナ装置及び基地局装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】180度を超える広い角度に亘り存在する複数の無線局との間のチャネル情報の相関を抑制する。
【解決手段】アンテナ装置は、平面又は平面に近似可能な曲面である準平面上に行方向及び列方向に二次元配置された複数のアンテナ素子を有し、180度を超える広い角度に亘る範囲を通信可能範囲にするように配置された複数のアンテナと、少なくとも二つの異なるアンテナに備えられたアンテナ素子と接続され、接続されたアンテナ素子から一つのアンテナ素子を選択し、選択したアンテナ素子を基地局装置が備える信号処理回路に接続する複数の切替スイッチと、複数の切替スイッチに対して同じタイミングで選択を切り替えさせるタイミング管理回路とを備える。複数の切替スイッチで選択されるアンテナ素子を備えるアンテナは、一つであるか、二つ以上である場合にはアンテナの送受信可能な領域に重複がない。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンテナ装置及び基地局装置に関する。
現在、スマートフォンの爆発的な普及に伴って、利便性の高いマイクロ波帯の周波数資源が枯渇している。対策として、第3世代の携帯電話から第4世代の携帯電話への移行や、新しい周波数帯の割り当てが行われている。しかし、サービスの提供を望む事業者が多いことから、各事業者に割り当てられる周波数資源は限られている。
携帯電話のサービスにおいては、複数のアンテナ素子を利用したマルチアンテナ・システムによる周波数利用効率の向上を目指す検討が進められている。既に普及している無線標準規格IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)802.11nでは、送信と受信との双方に複数のアンテナ素子を用いるMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送技術を用いて空間多重伝送を行う。これにより、IEEE802.11nでは、伝送容量を高めて周波数利用効率を向上させている。なお、MIMOという用語は、一般には送信局及び受信局共に複数アンテナ素子を備えることを想定して使われる。受信側が単数アンテナ素子の場合には、MIMOではなく、MISO(Multiple Input Single Output)という用語が使われる。ただし、本明細書では、これらを全て包含する意味でMIMOという用語を用いる。
また、最近の通信技術としては、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式やSC−FDE(Single Carrier Frequency Domain Equalization)方式のように、複数の周波数成分(サブキャリア)に分割して周波数軸上で信号処理を行う方式が一般的である。以下の説明では、特にOFDMやSC−FDEの区別をせず、それらに共通する一般的な方式を前提として「サブキャリア」という用語を用いて説明する。
MIMO伝送技術においては、送信局と受信局との間の伝送路情報を知ることで、より効率的な伝送を行うことが可能となる。最も単純な例としては、送信側にN本のアンテナ素子を備え、受信側に1本のアンテナ素子のみを備える場合、N本のアンテナ素子から送信される信号が受信側のアンテナ素子において同位相合成されるように送信側で指向性制御を行う。これにより、回線利得を高めることができる。具体的には、第kサブキャリアにおける送信局の第jアンテナ素子から受信局のアンテナ素子までの間のチャネル情報をh (k)としたときに、そのアンテナ素子に対して下記の数式(1)の送信ウエイトw (k)を算出し、これを送信信号に乗算したものを各アンテナ素子から送信する。なお、上記チャネル情報は、厳密には、送信系及び受信系のRF(Radio Frequency)回路内のアンプ、フィルタ等の複素位相の回転及び振幅の変動情報を含む。
送信側の第1アンテナ素子から第Nアンテナ素子それぞれに対応するチャネル情報を成分とするベクトル(h (k),…,h (k),…,h (k))をチャネルベクトルh(k)と称する。また、送信側の第1アンテナ素子から第Nアンテナ素子に対応する送信ウエイトを成分とするベクトル(w (k),…,w (k),…,w (k)(Tは転置を表す。)を送信ウエイトベクトルw(k)と称する。なお、厳密には、ダウンリンクにおけるチャネルベクトル→h(k)(「h(k)」の前の記号「→」は、hの上に付与されてベクトルを表すための記号である)は行ベクトル、送信ウエイトベクトル→w(k)は列ベクトルとして表記されるべきである。しかし、本明細書では、簡単のために、記号「→」を省略すると共に行ベクトルと列ベクトルとを区別せずに表記する。また、以降の説明では受信信号Rx、送信信号Tx及びノイズnに関する表記も同様に「→」を付与してベクトルであることを明示すべきであるが、他に紛らわしい表記がないので「→」を省略して説明する。受信信号Rxは、送信信号Tx及びノイズnに対して下記の数式(2)で与えられる。
数式(1)を数式(2)に代入すると、チャネルベクトルh(k)の各成分h (k)の絶対値を全アンテナ成分に亘って加算した値がチャネル利得として得られる。N本アンテナ素子であれば、受信信号の振幅は1本のアンテナ素子で送信した場合のN倍になるものと期待される。受信信号強度は、振幅の2乗に比例するからN倍にまで改善される。この値が複数のアンテナ素子をアレーアンテナとして利用した場合の利得である。
一般的には、シャノンの定理により、SNR(Signal-Noise Ratio)の改善量に対する伝送容量の増加は、低SNR領域ほど大きく、高SNR領域ほど小さいことが知られている。そのため、回線利得の改善によって伝送容量の向上を目指すより、受信側にも複数のアンテナ素子を備え、空間多重によって伝送容量の向上を目指すことが多い。空間多重によって伝送容量のアップを目指すのがMIMO伝送技術である。複数の送信側のアンテナ素子と受信側のアンテナ素子との間のチャネル情報が既知の場合には、そのチャネル行列をSVD(Singular Value Decomposition)分解し、固有モードでの伝送を行うことで伝送容量を最大化する。
具体的には、下記の数式(3)のように、チャネル行列Hをユニタリー行列UとV及び特異値λを対角成分にもつ対角行列Dに分解する。
この際、送信ウエイト行列としてユニタリー行列Vを用いれば、受信信号ベクトルRxは、送信信号ベクトルTx、ノイズベクトルnに対して、下記の数式(4)で与えられる。
受信側では、ユニタリー行列Uのエルミート共役の行列Uを乗算することで、下記の数式(5)を得る。
数式(5)において、対角行列Dの非対角成分はゼロであるから、送信信号のクロスタームは既にキャンセルされ、信号分離された状態となる。各特異値λの絶対値の2乗値が個別の信号系列の回線利得に相当する。各特異値λは、信号系統ごとに異なる値となる。この固有モードの特異値に合わせた伝送モードを最適化することによって、伝送容量を最大化することができる。伝送モードは、変調多値数と誤り訂正の符号化率などの組み合わせで定まる信号伝送の具体的なモードである。
上記は、1台の基地局と1台の端末局とを想定したシングルユーザMIMO伝送技術に関する説明である。同様の説明は、1台の基地局と複数台の端末局との間において同時に同一周波数軸上で通信を行うマルチユーザMIMOにも拡張可能である。マルチユーザMIMOにおいては、一般に、各端末局は空間多重する合計の信号系統数よりも少ない本数のアンテナ素子で通信を行う。そのため、ダウンリンクにおいては、送信側で事前にユーザ間干渉を抑圧するための指向性制御を行う。具体的な式は若干異なるが、基本的には上記の固有モード伝送と同様に、チャネル行列を把握した上でそれに合わせた送信ウエイトを用いる。
また、上記の説明では、ダウンリンクを中心に説明を行ったが、アップリンクにおいても同様に事前にチャネル情報を把握した上で、そのチャネル情報を利用した通信を行うことができる。例えば、最初に説明したアレーアンテナとしての処理においては、数式(1)にて与えられる同位相合成のウエイトを受信ウエイトとして用いる他、最大比合成のウエイトとして、下記の数式(6)で与えられるものを用いることも可能である。
数式(6)の定数Cは適宜定められる係数である。ベクトルの各成分の中でh (k)の絶対値が大きいものは大きな重みで足し合わされ、また、小さな信号は小さな重みで足し合わされるようにCが決定される。これにより、SNRの大きな信号を重視し、SNRの小さな信号の雑音が過度に影響を与えないように調整が図られる。
以上のマルチユーザMIMO及びアレーアンテナの技術を更に発展させた新しい空間多重伝送技術として、大規模アンテナシステムの提案がなされている(例えば、非特許文献1から非特許文献4参照)。
図11は、大規模アンテナシステムの概要を示す図である。図11においては、基地局1、無線局2、見通し波3、構造物による安定反射波4、地上付近の多重反射波5〜6、構造物7が示されている。図11の大規模アンテナシステムにおいては、基地局1は、多数(例えば100本以上)のアンテナ素子を備え、ビルの屋上や高い鉄塔の上など高所に設置される。無線局2も同様に、ビルの屋上、家屋の屋根の上、電信柱や鉄塔の上など高所に設置される。そのため、基地局1と無線局2との間は概ね見通し環境にあり、その間には見通し波3のパスや大型の安定的な構造物7の安定反射波4のパスなどに加え、地上付近での車や人などの移動体などによる多重反射波5、6のパスが混在する。なお、指向性アンテナを用いる場合などは特に、地上付近の多重反射波5、6は、見通し波3及び安定反射波4などに比べて受信レベルが低くなる。
図12は、見通し環境及び見通し外環境におけるインパルス応答を表す図である。図12(a)は見通し外環境でのインパルス応答を、図12(b)は見通し環境でのインパルス応答をそれぞれ示している。図12(a)及び(b)において、横軸は遅延時間を表し、縦軸は各遅延波の受信レベルを表す。図12(a)に示した見通し外環境の場合、見通し区間の直接波成分は存在せず、様々な経路の多重反射波が数多く成分として存在し、各振幅及び複素位相は時間と共にランダムに激しく変動する。
これに対し、図11に示した大規模アンテナシステムのような見通し環境を想定する場合、見通し波3、構造物7による安定反射波4の安定パスはレベルが高い。見通し波3、構造物7による安定反射波4よりも一般的に遅延量が大きい時変動パスの多重反射波は、多重反射と経路長に伴う減衰により、図12(b)に示すように相対的にレベルが小さくなる。このようなチャネル情報を複数回取得して平均化すると、安定パスの成分は振幅及び複素位相ともに毎回安定して同様の値が得られる。しかし、時変動パスの成分は複素空間上でランダムに合成され平均化されて平均値0に近づく。そのため、平均化により安定成分のみを効果的に抽出することが可能になる。
このようにして得られる時変動のない安定パスのチャネル情報を基に、基地局1(図11参照)は送受信ウエイトを算出する。基地局1は、算出した送受信ウエイトを用いて多数のアンテナ素子で同位相合成を行うための指向性制御を行う。上記の送受信ウエイトを用いることで、基地局1は、指向性制御のターゲットとする通信相手の無線局への指向性利得をアンテナ本数Nの2乗倍に比例して高めることができる。
また、ターゲット以外の無線局への与干渉の指向性利得はN倍に留まるため、相対的に希望信号と干渉信号との間には単純計算でN倍のギャップが生じる。結果的にSIR(Signal to Interference Ratio)の期待値は10Log10(N)dBとなる。この期待値は、Nが100の場合には20dBとなる。更に相関の小さな無線局を選択的に空間多重する場合には、更なるSIR特性の改善が期待され、より高い空間多重が実現できる。
非特許文献3及び非特許文献4には、上記の送受信ウエイトでは抑圧しきれない干渉を更に抑圧するための技術や、チャネル情報の相関(チャネル相関)のより低い無線局の組み合わせを選択する技術が紹介されている。超高次の空間多重を実現するためには、チャネル情報の相関の小さな無線局を組み合わせることが重要である。基地局の多数のアンテナ素子と第j無線局との間の第kサブキャリアに関するチャネル情報を成分とするチャネル情報ベクトルh (k)(「h (k)」はベクトルであり、本来は記号「→」をhの上に付与してベクトルであることを明示すべきであるが省略する。以下、同様に説明の上では省略する。)と、別の第i無線局におけるチャネル情報ベクトルh (k)との間のチャネル相関は以下の数式(7)で与えられる。
見通し波のみで構成される仮想的なチャネルモデルを想定すると、上記のチャネル相関は、基地局を基準としたときの二つの異なる無線局の方位の角度差θに強く依存した振る舞いを示すと考えられる。図13は、基地局から角度θの方位差をもって存在する二つの無線局を示す図である。二つの無線局のチャネル情報ベクトルをh (k)及びh (k)とすると、チャネル相関の方位差角度θに対する依存性を計算することができる。
図14は、方位差角度θの二つの無線局におけるチャネル相関の方位差角度θに対する依存性を示す図である。ここでのシミュレーション条件としては、基地局のアンテナ素子の数を128本とし、5.2GHzの周波数帯において、2波長間隔で128本のアンテナ素子を円形に配置することを想定した。基地局と無線局との間は3kmで固定し、基地局を中心とした円上で無線局を移動させながらチャネル相関を算出している。図14に示されるシミュレーション結果を読み取ると、方位差角度θが例えば5度程度以下であるとチャネル相関が大きな値になる場合があるが、所定の角度α度を越えるとチャネル相関は概ね0.2以下となる。非特許文献4に示されるスケジューリング法は、この角度差5度以上のチャネル相関の低さを積極的に利用したものである。
太田厚、黒崎聰、丸田一輝、新井拓人、飯塚正孝、「B−5−175 大規模アンテナ無線エントランスシステムの提案」、電子情報通信学会総合大会講演論文集2013年(通信_1)、2013年3月5日、p.585 新井拓人、太田厚、黒崎聰、丸田一輝、飯塚正孝、「B−5−176 大規模アンテナ無線エントランスシステムにおける送受信ウエイト算出法」、電子情報通信学会総合大会講演論文集2013年(通信_1)、2013年3月5日、p.586 丸田一輝、太田厚、黒崎聰、新井拓人、飯塚正孝、「B−5−177 大規模アンテナ無線エントランスシステムにおけるユーザ間干渉抑圧法」、電子情報通信学会総合大会講演論文集2013年(通信_1)、2013年3月5日、p.587 黒崎聰、太田厚、丸田一輝、新井拓人、飯塚正孝、「B−5−178 大規模アンテナ無線エントランスシステムにおける低相関スケジューリング法」、電子情報通信学会総合大会講演論文集2013年(通信_1)、2013年3月5日、p.588
図14に示されるシミュレーション結果を詳細に見たときに、概ね角度差が25度程度までは安定的にチャネル相関が低い。しかし、角度差が25度程度を超えるとチャネル相関はランダムに変動し、時折、チャネル相関が0.2を超える場合がある。0.2というチャネル相関自体は比較的低い値であるために良好な特性ということができるが、このチャネル相関のばらつきを抑えてより安定的に低い値に抑え込むことができれば、より高いSIR特性を実現可能である。SIR特性を向上させれば、変調多値数と誤り訂正の符号化率などの組み合わせで定まる伝送モードを維持したままで空間多重数を増加させることができる。
上記事情に鑑み、本発明は、180度を超える広い角度に亘り存在する複数の無線局との間のチャネル情報の相関を抑制できるアンテナ装置及び基地局装置を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、複数の無線局と通信を行う基地局装置に備えられるアンテナ装置であって、平面又は前記平面に近似可能な曲面である準平面上に行方向及び列方向に二次元配置された複数のアンテナ素子を有し、180度を超える広い角度に亘る範囲を通信可能範囲にするように配置された複数のアンテナと、少なくとも二つの異なる前記アンテナに備えられた前記アンテナ素子と接続され、接続された前記アンテナ素子から一つのアンテナ素子を選択し、選択したアンテナ素子を前記基地局装置が備える信号処理回路に接続する複数の切替スイッチと、前記複数の切替スイッチに対して同じタイミングで選択を切り替えさせるタイミング管理回路とを備え、前記複数の切替スイッチで選択される前記アンテナ素子を備える前記アンテナは、一つであるか、二つ以上である場合には前記アンテナの送受信可能な領域に重複がないことを特徴とするアンテナ装置である。
また、本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記アンテナそれぞれにおける前記複数のアンテナ素子は、前記アンテナを設置した際に当該アンテナの平面又は準平面と水平面とが交差する直線で表される射影軸に対して射影された場合に、前記射影軸上における各アンテナ素子の射影点が互いに重ならず略等間隔になる位置に配置されることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記アンテナそれぞれにおける前記複数のアンテナ素子の配置は、矩形格子の格子点に前記アンテナ素子を配置した状態に対して、前記矩形格子の行に含まれる前記アンテナ素子同士の間隔を二次元配置の行数で等分割した距離を第1のシフト量として列方向に隣り合う行ごとに、行に含まれる前記アンテナ素子の位置を行方向に前記第1のシフト量ずつずらした配置であることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記複数のアンテナは、辺の数が偶数の正多角形の辺に対応する位置に配置され、前記複数の切替スイッチで選択される前記アンテナ素子を備える二つの前記アンテナは、それぞれのアンテナの平面又は準平面が平行であり、前記アンテナ素子が配置されている面が互いに反する向きであることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記のアンテナ装置において、前記アンテナ素子は、指向性アンテナであり、前記アンテナが有する前記アンテナ素子それぞれは、前記アンテナごとに、最大利得を示す方向が同一であることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、上記のアンテナ装置と、前記切替スイッチで選択された前記アンテナ素子それぞれの信号に対する信号処理を並行して行う信号処理回路とを備えることを特徴とする基地局装置である。
本発明によれば、二次元配置された複数のアンテナ素子により通信対象の複数の無線局それぞれのチャネル情報の相関を抑圧できるアンテナを180度を超える広い角度に対応して複数配置した際に、送受信可能な領域を重複させずに複数のアンテナから送受信に用いるアンテナを少なくとも一つ選択するので、アンテナ間における信号の混在を抑えることができ、複数の無線局との間のチャネル情報の相関を抑制することが可能となる。これにより、より高いSIR特性を実現し、伝送モードに要求されるSIR値を実現する範囲で可能な空間多重数を増加させることができる。
第1の実施形態における基地局装置の構成例を示す図である。 第2の実施形態のアンテナ装置における切り替えと通信エリアとの関係を示す図である。 第2の実施形態のアンテナ装置による垂直平面アンテナの切り替えの一例を示す図である。 第3の実施形態のアンテナ装置における垂直平面アンテナと通信エリアとの関係を示す図である。 第3の実施形態のアンテナ装置による通信エリアの選択例を示す図である。 第3の実施形態のアンテナ装置による垂直平面アンテナの切り替えの一例を示す図である。 第3の実施形態のアンテナ装置における通信エリアを示す図である。 第3の実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す図である。 四つの垂直平面アンテナを用いた構成において異なる垂直平面アンテナ間で信号の混在がある場合とない場合との特性評価結果を示す図である。 第2の実施形態におけるアンテナ装置と第3の実施形態におけるアンテナ装置との特性評価結果を示す図である。 大規模アンテナシステムの概要を示す図である。 見通し環境及び見通し外環境におけるインパルス応答を表す図である。 基地局から角度θの方位差をもって存在する二つの無線局を示す図である。 方位差角度θの二つの無線局におけるチャネル相関の方位差角度θに対する依存性を示す図である。 基地局のアンテナ素子を水平面において円形に配置した場合に無線局から見えるアンテナ素子の位置関係の一例を示す図である。 本発明の関連技術を用いたアンテナ素子の配置の一例を示す図である。 本発明の関連技術を用いたアンテナの構成例を示す図である。 本発明の関連技術に係る第1のアンテナの構成例を示す図である。 本発明の関連技術に係る第2のアンテナの構成例を示す図である。 二つの平面アンテナ上に配置された各アンテナ素子を接続する分配結合器を備える基地局の構成例を示す図である。 複数のアンテナ素子が配置された二つの平面アンテナを組み合わせたアンテナの指向性ビームの概要を示す図である。
[本発明の関連技術]
大規模アンテナシステムでは、送受信される信号を多数のアンテナ素子で同位相合成することにより、指向性利得と空間多重時のSIR特性の改善を図ることができる。一般に、指向性制御に関与できるアンテナ素子の本数が多いほど、特性を向上できると考えられる。基地局の回路規模を同程度で比較するために、個別のRF回路、ベースバンド処理回路の系統数の総数が同じ条件で検討する。RF回路は、ハイパワーアンプ、ローノイズアンプ、フィルタ、TDD(Time Division Duplex)スイッチ、A/D(Analog/Digital)変換器、D/A(Digital/Analog)変換器等の部材を有する1系統分のアナログ回路である。より多くのアンテナ素子が関与することにより特性を改善することができるため、全方位に同一の指向性利得を示すオムニ指向性のアンテナ素子の適用が基本となる。更に、全方位に等方的な特性を示すために、このオムニ指向性のアンテナ素子を円形に配置する。
前述の通り、図14に示したチャネル相関の評価では、2波長間隔でアンテナ素子を円形に配置した場合を想定している。図14においては、方位差角度θが25度以上の領域で時折、チャネル相関が高くなっている箇所がある。方位差角度θが25度以上の領域においてチャネル相関が高くなっている箇所では、アンテナ素子による指向性の分解能が不足しているために、チャネル相関の低さを安定的に維持できない状態にあると考えることができる。一般的には、空間的な広がりをもった配置でアンテナ素子が設置されている場合ほど、指向性の分解能は高いと考えられる。しかし、空間的な広がりの幅(範囲)が同程度である場合には、アンテナ素子の分布に偏りがない場合ほど、分解能は高くなると期待される。
図15は、基地局のアンテナ素子を水平面において円形に配置した場合に無線局から見えるアンテナ素子の位置関係の一例を示す図である。無線局から見た各アンテナ素子の位置関係は、アンテナ素子を配置した円形の中心と無線局とを結ぶ直線に垂直な平面に各アンテナ素子を射影することで得られる。図15において、塗りつぶされた丸(●)はアンテナ素子の位置を示し、各アンテナ素子が射影(投影)される平面上の白抜きの丸(○)は無線局から見えるアンテナ素子の位置を示している。大きな矢印は無線局から基地局への方向を示している。つまり、図15は、アンテナ素子を円形に配置した水平面を天頂方向から見下ろした位置関係を示している。
図15(a)は、アンテナ素子を配置した円形の中心と配置されたアンテナ素子のうちいずれか一つのアンテナ素子とを結ぶ直線上に無線局が位置している場合におけるアンテナ素子の位置関係を示している。図15(a)に示した例では、アンテナ素子数は偶数で、図の上方に向いた座標軸上に無線局が位置している。図15(b)は、アンテナ素子を配置した円形の中心と配置されたアンテナ素子のうちいずれか二つのアンテナ素子とを結ぶ直線上に無線局が位置していない場合におけるアンテナ素子の位置関係を示している。
図15(a)に示すように、円形の中心といずれか一つのアンテナ素子とを結ぶ直線上に位置する無線局から基地局のアンテナ素子を見た場合には、アンテナ素子を射影した点の一部が重なる。そのため、12個のアンテナ素子が、無線局からは7個のアンテナ素子として見える。平面上にて重なる射影点に対応するアンテナ素子同士は、利得向上のために有効に機能するが、指向性を形成する上でのチャネル相関を低減するための分解能向上のために有効に機能しないことが予想される。
図15(b)に示すように、円形の中心といずれか一つのアンテナ素子とを結ぶ直線上に位置しない無線局から基地局のアンテナ素子を見た場合には、アンテナ素子を射影した点が一般には重ならない。射影点の間隔は、ある部分において狭く、またある部分において広くなっている。この間隔のばらつきにより、指向性を形成する上でのチャネル相関を低減するための分解能向上のために有効に機能することが予想される。すなわち、図15(a)に示した場合より図15(b)に示した場合の方が、指向性を形成する上で優位であることが予想される。
図15(b)に示した状態から無線局の位置が変わり、図15(a)に示した状態に近づくと平面上の射影点が重なり、分解能が低下すると考えられる。図15(b)に示した状態であっても、射影点の間隔が等間隔になる場合よりは、分解能が低くなっていると考えられる。例えば図15(a)に示した状態に近い場合などは、一部のアンテナ素子が無線局から重なって見えるため、チャネル相関が部分的に大きくなり、空間多重にあまり適さない状態になる。
アンテナ素子を設置する空間的な広がりは、大きい方が好ましい。しかし、空間的な広がりが大きいほどアンテナ素子を設置する台座部分が大掛かりになり、より大きな構造物が必要になる。アンテナ素子を狭いところに配置した方が、設置する構造物を簡易なものにすることができ、設置費用を低減できる。指向特性と設置費用とのバランスを考えれば、同程度の空間的な広がりの中で配置されたアンテナ素子において、チャネル相関を低く抑えることが求められる。
基地局と無線局とが通信に5GHzの無線信号を用いる場合を想定すると、無線信号の波長は約6cmである。基地局が備える100本のアンテナ素子を2波長間隔で円形に配置した場合、アンテナ素子を配置する円の円周が12mになり、円の半径が約1.9m(直径3.8m)になる。アンテナ素子の間隔を2波長としているのは、アンテナ素子の間隔が波長に比べて短くなると、アンテナ素子ごとの独立性が損なわれるからである。近傍のアンテナ素子が結合した状態で動作すると、各アンテナ素子の独立な電波が重ね合わされて振幅がN倍になることで期待される効果が得られにくい。実際には、アンテナ素子の間隔に2波長の間隔が必要でない場合もある。しかし、アンテナ素子は、少なくとも互いに1/4波長以上離れていることが好ましい。また、アンテナ素子を1重の円ではなく、2重又は3重の同心円の円周上に配置することで狭い空間に配置することができ、設置部の台座部分の構造物の規模を抑えることができる。しかし、2重、3重の同心円の円周上にアンテナ素子を配置すると、無線局の位置によっては図15(a)に示したように図の横方向の座標軸上にアンテナ素子を射影した点が重なり合ったり、図15(b)に示したように横方向の座標軸上にアンテナ素子を射影した点の間隔が不均一になったりすることが予想される。
以上に説明したように、無線局から基地局を見た場合に、無線局と基地局とを結ぶ直線と直交する軸を定め、定めた軸上に基地局の各アンテナ素子を投影した際の投影点の間隔が不均一であったり、投影点が重複したりすることにより、チャネル相関が高くなり分解能が低くなるといった問題が生じていた。一つの水平面に各アンテナ素子を配置する場合、この問題は原理的に回避することができない。しかし、水平面に直交した平面上に2次元的に指向性を有するアンテナ素子を配置し、その平面と水平面とが交わる軸上にアンテナ素子を射影した際には射影点の均等化を図ることが可能である。なお、水平面に直交した平面に多少の傾斜をつけて、指向特性にチルト角を与えてもよい。以下、水平面に直交した平面上に2次元的にアンテナ素子を配置する構成について説明する。
図16は、本発明の関連技術を用いたアンテナ素子の配置の一例を示す図である。図16には、水平面21、垂直平面22、アンテナ素子23a〜23i、投影点24a〜24iが示されている。垂直平面22は、水平面21に対して直交する平面であり、アンテナ素子23a〜23iを配置する平面である。投影点24a〜24iは、水平面21と垂直平面22とが交差する直線(軸)にアンテナ素子23a〜23iそれぞれが投影された位置を示す点である。アンテナ素子23a〜23iは指向性アンテナである。アンテナ素子23a〜23iは、垂直平面22の片側方向(例えば、図中手前方向)に対して高い指向性利得を有し、その逆方向(例えば、図中奥行方向)に対して低い指向性利得を有するように設定されている。アンテナ素子23a〜23iの指向性利得のパターンは、特に限定されない。しかし、垂直平面22に配置されたアンテナ素子23a〜23iでカバーすべき通信エリアが、垂直平面22の法線方向に対して仮に左右60度の範囲を含む120度の範囲であれば、正面から左右60度の範囲で一様に安定的に高い指向性利得を示し、左右60度を超えた範囲では指向性利得が急速に下がることが好ましい。つまり、垂直平面22に配置されたアンテナ素子23a〜23iは、指向性アンテナであり、それぞれの最大利得を示す方向を共通にし、最大利得を示す方向を垂直平面22と垂直な方向とする。
各アンテナ素子23a〜23iは、独立に動作し、アンテナ素子間で結合した特性を示さない構成とするように十分な間隔を離して垂直平面22上に配置される。例えばアンテナ素子の間隔が1波長以上となるように、水平方向に沿って並ぶアンテナ素子23a〜23c、アンテナ素子23d〜23f及びアンテナ素子23g〜23iの垂直方向の間隔を1波長とし、アンテナ素子23a〜23c、アンテナ素子23d〜23f及びアンテナ素子23g〜23iそれぞれにおける水平方向の間隔を1波長とする。なお、垂直平面22は、基本的には水平面21に直交する平面であるが、基地局のアンテナ素子が高所に配置され、サービスエリア全体がアンテナ素子より下方に位置する場合、垂直平面22に若干下向きにチルト角を設け、垂直平面22の法線方向が下向きになるように設置してもよい。
上述のようにして設置される各アンテナ素子23a〜23iに対し、水平面21と垂直平面22とが交わる軸を定め、その軸上に各アンテナ素子23a〜23iを投影させた投影点24a〜24iの間隔が等間隔になるように、アンテナ素子23a〜23iを配置することにより、図15(a)及び(b)で示した問題を回避することができる。なお、各投影点24a〜24iは、各アンテナ素子23a〜23iの位置から軸に対して垂直方向に伸ばした線が軸と交わる位置である。
図17は、本発明の関連技術を用いたアンテナの構成例を示す図である。図17(a)は、アンテナの斜視図である。図17(b)は、アンテナを真上方向から見た図である。図17(a)及び(b)における塗りつぶされた四角は、アンテナ素子を表している。アンテナに備えられた各アンテナ素子は、指向性を有する。
図16に示した、アンテナ素子23a〜23iを垂直平面22上にマトリックス状に配置したアンテナは、アンテナ素子23a〜23iが指向性を有しているため、一つのアンテナでは360度の全方位に対して送受信を行うことができない。このアンテナを一つ備えた基地局では、360度の全方位に対してサービスを提供できない。したがって、360度の全方位に対してサービスの提供又は一つのアンテナでサービスを提供できないエリアへのサービスの提供を行うためには、垂直平面22を複数面設けてアンテナがカバーできるエリアを拡張する必要がある。
図17に示した3面の垂直平面22を設けたアンテナは、垂直平面22ごとに設けられたアンテナ素子が、概ね120度の領域を主にカバーする。図17(b)に示すように、三つの垂直平面22それぞれが120度の各範囲(第1〜第3セクタ領域)に対する送受信を行うことにより、アンテナが360度の全方位に対して送受信を行う構成になっている。また、各垂直平面22に設けられたアンテナ素子は、隣接するアンテナ素子との間に1波長以上の間隔が設けられている。なお、アンテナは、図17に示した3面の構成ではなく、2面の構成や4面以上の構成としてもよい。ここでは、垂直平面22の各アンテナ素子の関係を規定しないが、垂直平面22を複数面備えるアンテナは、様々な方向の無線局に対しても対応可能な状況を作り出すことができる。
図18は、本発明の関連技術に係る第1のアンテナの構成例を示す図である。以降の説明では、図16に示したように垂直平面22は水平面21に直交するものとする。また、垂直平面における、水平方向の軸と垂直方向の軸とを図示し、これらの軸を参照して垂直平面に配置されるアンテナ素子10について説明をする。ただし、上述のように、垂直平面に所定のチルト角を与えることにより水平面に対して垂直平面が直交しない場合がある。以下では、チルト角を与えた場合も含めた状態の一例として、垂直平面が水平面と直交する場合を説明する。しかし、本発明は、上述のように垂直平面にチルト角を与えた場合も含めた一般的な場合を全て包含するものとする。
図18に示す第1のアンテナは、100個のアンテナ素子10が垂直平面上に2次元配置された構成を有している。図18において、アンテナ素子10は塗りつぶされた四角(■)で示されている。100個のアンテナ素子10は、10行10列のマトリックス状に配置されている。この配置では、一行に10個のアンテナ素子10が水平方向に等間隔に配置されており、10個のアンテナ素子10を含む行が等間隔に垂直方向に10段重ねられている。各アンテナ素子10は、指向性を有しており、アンテナ素子10が配置される平面の法線方向に高い指向性利得を示す。また、図18に示す第1のアンテナの構成において、着目すべきアンテナ素子10を示すため、丸印のマーカ11a〜11kが示されている。
図18に示す垂直平面アンテナとしての第1のアンテナにおける複数のアンテナ素子の配置は、矩形格子の格子点にアンテナ素子を配置した状態に対して、矩形格子の行に含まれるアンテナ素子同士の間隔を二次元配置の行数で等分割した距離を水平方向のシフト量として列方向に隣り合う行ごとに、行に含まれるアンテナ素子の位置を水平方向にシフト量ずつずらした配置である。
以下、アンテナ素子10の水平方向の間隔が1波長間隔である場合を仮定して詳細に説明する。図18に示した構成では、最左列のアンテナ素子10の列において、アンテナ素子10間の間隔を10分割した間隔を示す補助線の点線が示されている。10分割とした理由は、アンテナ素子10を10個含む行が垂直方向に10段重ねられていることによる。
マーカ11aの箇所のアンテナ素子10とマーカ11kの箇所のアンテナ素子10との間隔を10等分する。下から2段目のマーカ11bの箇所のアンテナ素子10は、マーカ11aのアンテナ素子10の位置よりも間隔の(1/10)分だけ水平方向の右側に寄せて配置されている。下から2段目の行に含まれる10個のアンテナ素子10は、マーカ11bの箇所のアンテナ素子10を基準にして1波長間隔で配置されている。すなわち、下から2段目の行に含まれるアンテナ素子10は、最下段の行に含まれるアンテナ素子よりも、全体的に(1/10)波長分だけ右にずれた位置に配置されている。
同様に、下から3段目のマーカ11cの箇所のアンテナ素子10は、マーカ11aのアンテナ素子10の位置よりも間隔の(2/10)分だけ水平方向の右側に寄せて配置されている。下から3段目の行に含まれるアンテナ素子10は、マーカ11cの箇所のアンテナ素子10を基準にして1波長間隔で配置されている。すなわち、下から3段目の行に含まれるアンテナ素子10は、最下段の行に含まれるアンテナ素子よりも、全体的に(2/10)波長分だけ右にずれた位置に配置されている。
下から4段目から最上段までの各アンテナ素子10も同様に配置されている。最上段のマーカ11jのアンテナ素子10の位置から水平方向に間隔の(1/10)分だけ右にずれると、マーカ11kの箇所のアンテナ素子10の水平方向の位置と一致する。このため、100個のアンテナ素子10全てを水平方向の軸に投影(射影)すると、射影軸上の投影点の位置が均等な間隔になるように第1のアンテナが構成される。
この水平方向の軸は、アンテナ素子10をマトリックス状に配置する平面とアンテナを設置した際の水平面とが交差する直線で表される所定の射影軸である。なお、図17に示すように、アンテナがアンテナ素子10を配置する平面を複数有する場合には、平面ごとに射影軸が存在する。この射影軸に対して各アンテナ素子10を射影した場合に、射影軸上における射影点が互いに重ならずに略等間隔となるように各アンテナ素子10が配置される。
図18に示した構成では、射影軸上の射影点の間隔は、波長の(1/10)間隔になる。多くの場合、アンテナ素子は1波長以上離れているので、アンテナ素子の結合現象を回避することが可能であり、各アンテナ素子からの電波の重ね合わせとしてアンテナを動作させることができる。
図19は、本発明の関連技術に係る第2のアンテナの構成例を示す図である。図19に示す構成例では、図18に示した構成例と同様に、塗りつぶされた四角(■)でアンテナ素子10が示されている。また、着目すべきアンテナ素子10を示すため、丸印のマーカ12a〜12kが示されている。図19に示す第2のアンテナには、100個のアンテナ素子10が垂直平面上に2次元配置されている。100個のアンテナ素子10は、図18に示した第1のアンテナのアンテナ素子10と同様に、10行10列のマトリックス状に配置されている。この配置では、一行に10個のアンテナ素子10が水平方向に等間隔に配置されており、10個のアンテナ素子10を含む行が等間隔に垂直方向に10段重ねられている。
図19に示すアンテナ素子10の配置と図18に示したアンテナ素子10の配置とが異なる点は、各行における10個のアンテナ素子10が配置される高さが異なっていることである。図18に示した配置では、行それぞれにおける10個のアンテナ素子10が同じ高さに配置されているのに対して、図19に示した配置では行それぞれにおける10個のアンテナ素子10の高さが異なっていることである。なお、高さとは垂直方向の座標である。図19において、マーカ12a〜12kの箇所のアンテナ素子10は、同じ行に属しているが、配置されている垂直方向の位置が異なっている。
図19において、アンテナ素子10は、平面上に2次元配置されている。アンテナ素子10は、水平方向に10個並べられ、垂直方向に10段重ねられて、合計100個で構成されている。図19に示す配置では、各行における10個のアンテナ素子10の高さが、マーカ12a〜12kに示す同じ段に属するアンテナ素子10のように、異なっている。図18に示したアンテナ素子10の配置に対して、アンテナ素子10の間隔の(1/10)の距離ずつのオフセットを各列に水平方向に順に加えて、垂直方向の軸に対する射影点が等間隔になるようにずらすと、図19に示すアンテナ素子10の配置になる。
図19に示す垂直平面アンテナとしての第2のアンテナにおける複数のアンテナ素子の配置は、矩形格子の格子点にアンテナ素子を配置した状態に対して、矩形格子の行に含まれるアンテナ素子同士の間隔を二次元配置の行数で等分割した距離を水平方向のシフト量として列方向に隣り合う行ごとに、行に含まれるアンテナ素子の位置を水平方向にシフト量ずつずらし、更に、矩形格子の列に含まれるアンテナ素子同士の間隔を二次元配置の列数で等分割した距離を垂直方向のシフト量として行方向に隣り合う列ごとに、列に含まれるアンテナ素子の位置を垂直方向にシフト量ずつずらした配置である。
図19における水平方向の軸は、無線局から基地局のアンテナへの方向に直交する所定の射影軸である。この射影軸に対してアンテナ素子10を射影した場合に射影軸上の射影点が互いに重ならずに略等間隔になるように、複数のアンテナ素子10が配置される。図19におけるアンテナ素子10の配置では、垂直方向の軸に対してアンテナ素子10を射影した射影点を求めると、100個のアンテナ素子10それぞれの射影点が垂直方向の軸上に等間隔に位置する。この結果、図19に示す配置は、水平方向に対する分解能を高めることに加えて、垂直方向に対する分解能を高めることができる。
例えば、基地局のアンテナが局舎ビルの屋上のような高所に設置されているとする。図16に示した垂直平面22に対して同一方向に位置する2台の無線局が存在し、一方の無線局が基地局の近くに位置し、他方の無線局が基地局から遠くに位置する場合を考える。基地局に近い無線局は、アンテナから下方に見下ろす方向に位置することになる。基地局から遠い無線局は、アンテナから比較的水平方向に位置することになる。このような場合、垂直方向の角度差に対する分解能が有効に機能し、2台の無線局に対応するチャネル情報の相関を下げることが可能になる。
ここで注意すべき点は、上述の関連技術を用いたアンテナは、基地局に対して適用された場合、高所に固定されるものである。したがって、上述した「アンテナ」とは、図18及び図19において例示された構成を部品としてのアンテナに加えて、正方格子や正六角形の最密充填などの格子点に配置されるアンテナを回転させることで図18ないし図19に示すような特徴を実現することは可能(偏波面は回転状態で所望の向きとなるように調整する)であり、このように回転させて設置した、固定状態ないしは運用システムとしてのアンテナの両方を含むこととする。また、アンテナ設置時の水平面とは、アンテナが固定的に設置されたときの水平面を意味する。固定前の流通時や運搬時においても、設置用に備えられた部品(取り付け部品など)の配置や大きさや種類や数、作業穴(ねじ穴など)の配置や大きさや種類や数又は取り付け説明書や設計図の記載、各種の案内情報によって、アンテナ設置時の水平面の面方向は明らかとなる。
また、図16に示したアンテナの構成を、図17に示したように3面を組み合わせた場合又は2面若しくは4面以上を組み合わせた場合、組み合わせる面数に応じてアンテナ素子数が増加する。大規模アンテナシステムでは、多くのアンテナ素子を実装することにより信号のSNR特性が改善するため、より多くのアンテナ素子が同位相合成に関与することが好ましい。しかし、図17に示した構成では、実際には全体のアンテナ素子の(1/3)である1面分のアンテナ素子しか同位相合成に関与できないため、各アンテナ素子に1対1に対応してRF回路を設けた場合に全てのRF回路の系統数分の大規模アンテナシステムの特性を出し切ることができない。なお、RF回路は、TDD(Time Division Duplex)スイッチ、HPA(High Power Amplifier)、LNA(Low Noise Amplifier)、周波数変換器、フィルタ、A/D変換器、D/A変換器等で構成される。
同時に使用するアンテナ素子の数と、RF回路の系統数とを同一にするために、図17(b)に示したような複数の垂直平面に複数のアンテナ素子を配置した垂直平面アンテナを組み合わせた構成において、第1〜第3セクタ領域をカバーする各垂直平面アンテナのアンテナ素子とRF回路とを分配結合器で接続する方法が考えられる。
図20は、二つの垂直平面アンテナ上に配置された各アンテナ素子を接続する分配結合器を備える基地局の構成例を示す図である。図20では、説明を簡単にするために、180度分の領域をカバーする二つのアンテナを組み合わせる構成例を示している。図20に示す構成例は、第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70とを組み合わせた構成である。第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70とは、各アンテナ素子を配置していない面を互いに対向させるように設置され、それぞれが異なる180度分の異なる領域をカバーする。第1垂直平面アンテナ50は、アンテナ素子51〜66を備えている。第2垂直平面アンテナ70は、アンテナ素子71〜86を備えている。
基地局は、第1垂直平面アンテナ50、第2垂直平面アンテナ70、分配結合器91a〜91p、RF回路92a〜92p及びベースバンド処理回路93を備えている。説明を簡単にするために、ベースバンド処理回路93を、各RF回路92a〜92pが入出力する信号を処理する回路として一つの処理ブロックとして記載している。また、RF回路92a〜92p及びベースバンド処理回路93は、各アンテナ素子51〜66及び71〜86を介して送信する信号に対する送信処理と、各アンテナ素子51〜66及び71〜86で受信した信号に対する受信処理とを行う。
基地局が信号を送信する場合、ベースバンド処理回路93は、送信すべき信号に対して指向性制御の符号化処理を行い、RF回路92a〜92pに対応した信号を出力する。RF回路92a〜92pそれぞれにおいて、D/A変換器が、ベースバンド処理回路93から出力されたベースバンド信号をアナログ信号に変換する。周波数変換器が、アナログ信号を無線周波数の信号にアップコンバートする。フィルタが、無線周波数の信号に含まれる帯域外信号を除去する。HPAが、帯域外信号が除去された信号を増幅し、TDDスイッチを経由して分配結合器91a〜91pに出力する。
分配結合器91a〜91pは、それぞれに接続されているRF回路92a〜92pから出力される信号を、複数系統の同一の信号に分岐し、接続されている第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子と第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子とに出力する。図20において、分配結合器91a〜91pと、第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子51〜66及び第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子71〜86との接続関係を、「a」〜「p」のアルファベットを用いて示している。例えば、第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子51と第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子71とは、分配結合器91aに接続されている。
分配結合器91a〜91pは、第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70とにおいて対応する位置に配置されているアンテナ素子と接続されている。換言すれば、各分配結合器91a〜91pからの接続は、第1垂直平面アンテナ50の各アンテナ素子51〜66と第2垂直平面アンテナ70の各アンテナ素子71〜86とで各々幾何学的に対応した位置のアンテナ素子に接続されている。
基地局が信号を受信する場合、第1垂直平面アンテナ50の各アンテナ素子51〜66で受信された信号と、第2垂直平面アンテナ70の各アンテナ素子71〜86で受信された信号とは、分配結合器91a〜91pに入力される。分配結合器91a〜91pそれぞれは、第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子から入力される信号と、第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子から入力される信号とをアナログ信号として単純合成する。分配結合器91a〜91pそれぞれは、対応するRF回路92a〜92pに合成して得られた信号を出力する。
RF回路92a〜92pそれぞれにおいて、LNAがTDDスイッチを経由して分配結合器91a〜91pから入力された信号を増幅して周波数変換器に出力する。周波数変換器がLNAから出力される信号に対して周波数変換を行い、周波数変換によりアナログベースバンド信号を生成する。フィルタがアナログベースバンド信号に含まれる帯域外信号を除去してA/D変換器に出力する。A/D変換器が、帯域外信号が除去されたアナログベースバンド信号をデジタルベースバンド信号に変換し、デジタルベースバンド信号をベースバンド処理回路93に出力する。
ベースバンド処理回路93は、RF回路92a〜92pから出力される信号系列に対して所定の信号処理を施し、信号分離の後に信号検出処理を行う。送受信に関する一連の信号処理は、一般的な信号処理であり、様々な通信方式のシステムに対しても共通の説明が可能である。
図21は、複数のアンテナ素子が配置された二つの平面アンテナを組み合わせたアンテナの指向性ビームの概要を示す図である。図21には、複数の平面アンテナを組み合わせたアンテナの一例として、二つの平面アンテナを組み合わせたアンテナが示されている。二つの平面アンテナは、それぞれのアンテナ素子が配置されていない面が対向する位置に設置されている。二つの平面アンテナのアンテナ素子それぞれが180度ずつの第1セクタ領域と第2セクタ領域とをカバーする。これにより、アンテナは360度の全方位をカバーしている。なお、図21に示した組み合わせ以外に、図17に示した組み合わせのように三つの垂直平面それぞれが120度の第1、第2及び第3セクタ領域をカバーする組み合わせにおいて、三つの平面アンテナのうち二つの平面アンテナを用いる場合も同様に説明可能である。また、四つ以上の垂直平面を組み合わせた構成のアンテナにおいても類似の説明が可能である。
アンテナ素子51〜66及びアンテナ素子71〜86と分配結合器91a〜91pとの間において入出力される信号の複素位相及び振幅の変化が同一であれば、二つの垂直平面上のアンテナ素子が形成するビームパターンは、各垂直平面に対して同一である。図21における第1セクタ領域に位置する無線局に対して指向性ビームを形成しようとすると、第2セクタ領域において第1セクタ領域の指向性ビームと対称的な方向に同様の指向性ビームが形成される。このとき、第2セクタの指向性ビームの方向に同時に空間多重を行う無線局が存在すると、第1セクタ領域の無線局のチャネル情報と第2セクタ領域の無線局のチャネル情報との相関は非常に高くなることがある。図14に示したチャネル相関のグラフに当てはめれば、方位差角度が180度の辺りにも高いチャネル相関を示す領域が生じることになる。
上記の説明において、図16に示したようなアンテナ素子の配置は、垂直平面などの平面において行われる場合について説明した。しかし、アンテナ素子を配置する面は、必ずしも平面である必要はなく、概ね平面に近似できる範囲で緩やかな曲面であってもよい。平面に近似できる緩やか曲面である準平面上にアンテナ素子の位置を投影した点を、アンテナ素子の位置として捉え直せば、平面上にアンテナ素子を配置した場合と同様の効果を得ることができる。なお、アンテナ素子を配置する準平面と水平面とが交わる部分が直線にならない場合がある。この場合には、準平面に近似可能な平面を定め、定めた平面と水平面とが交わる直線を射影軸とみなせば、上記と同様の説明が可能となる。
また、垂直平面におけるアンテナ素子の2次元的な配置は、正方格子や正三角形状に最密充填させた格子のような規則的な配置を基準とし、その配置の座標軸を歪めたり回転したりするなどの処理を施すことで、射影軸上の射影点の間隔を均等にしている。しかし、射影軸上の射影点の間隔を均等にできるならば、アンテナ素子の配置の設定手順や設定方法は、他の手順や方法であってもよい。
また、上記の説明では、垂直平面と水平面とが交わる直線である射影軸に各アンテナ素子を投影した投影点が等間隔である場合について説明した。しかし、全てのアンテナ素子の間隔が完全に均等になっている必要はない。ここで、水平方向の軸上への投影点の平均の間隔に対し、着目する垂直平面のアンテナ素子がカバーするエリアの範囲における投影を考える。例えば、図17に示したアンテナでは、垂直平面のアンテナ素子が配置されている面側の法線方向に対して±60度の合計120度の範囲における投影を考える。
このとき、上述の範囲において投影点の間隔のうち90%以上の間隔が、間隔の平均に対して±10%以内の範囲に収まっていれば概ね目的のチャネル相関特性を得ることが可能である。つまり、射影軸における射影点の各間隔が、平均に対して10%の範囲内に収まるように、複数のアンテナ素子を配置することが好ましい。この射影点の間隔の定義において、二つのアンテナ素子の射影点が一致する場合には、射影点の間隔がゼロであるものとみなす。
[第1の実施形態]
上記の関連技術の説明において、基地局装置が無線局と通信可能なエリアを360度全方位に対して広げる場合や180度を超える広い角度に亘る範囲に広げる場合に、図17に示したようにアンテナ素子を配置した複数の平面を組み合わせることを示した。図17に示したアンテナは、アンテナ素子を配置した三つの平面アンテナを組み合わせた構成であるが、図17(b)に示したように、平面アンテナがカバーする領域を直線的に厳密に重複なく第1、第2及び第3セクタ領域に分割することは難しい。一般に、図17(b)に示したように三つの平面アンテナを組み合わせたとしても、第1セクタ領域の平面アンテナからの信号は、第2セクタ領域及び第3セクタ領域にも無線信号として漏洩するためである。
平面アンテナの指向性に関し、平面アンテナの平面の法線方向におけるアンテナ素子を配置している向きを角度0度とした場合、電波吸収体や反射材などの構造物を組み合わせることにより、反射波などの影響を除けば放射特性を角度が±90度を超える平面の裏側方向における利得を急激に減少させることができる。しかし、±60度以内の範囲において十分な利得を確保しつつ、±60度を超えた範囲における利得を急激に減少させることは困難である。
このため、図17に示した構成のアンテナを用いる場合、基地局装置は、各垂直平面からの信号が合成された信号を用いて通信を行うことになる。しかし、詳細は後述するが、図18又は図19に示したアンテナ素子の配置は、数式(7)に示した相関を低減する配置になっているが、この配置が施された複数の垂直平面を角度差をつけて設置し、それらの複数の垂直平面のアンテナを同時に用いて通信を行うと全体の特性が劣化する。
更に、図20に示したように、異なる平面アンテナの複数のアンテナ素子を分配結合器で接続し、アンテナ素子の信号をアナログ合成すると、一つの平面アンテナで形成する指向性ビームの漏れ込みが、図21に示したように、他の平面アンテナにも現れることになる。上述のような構成は、同時に空間多重する無線局それぞれのチャネル情報の相関を高め、干渉量を増大させるため、特性の改善の観点からあまり好ましくない。
そこで、アンテナ素子を配置した複数の平面アンテナを組み合わせたアンテナ装置において、アンテナ素子の信号を平面アンテナごとに時分割で利用する。図1は、第1の実施形態における基地局装置の構成例を示す図である。図1に示すように、基地局装置は、アンテナ装置100a、RF回路92a〜92p及びベースバンド処理回路93を備えている。アンテナ装置100aは、第1垂直平面アンテナ50、第2垂直平面アンテナ70、切替スイッチ95a〜95p及びタイミング管理回路94を備えている。図1に示す構成例では、第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70との二つのアンテナを組み合わせた場合について説明するが、三つ以上のアンテナを組み合わせてもよい。第1垂直平面アンテナ50は、アンテナ素子51〜66を備えている。第2垂直平面アンテナ70は、アンテナ素子71〜86を備えている。アンテナ素子51〜66は、図18や図19に示した配置のように、垂直平面上に配置され、水平面に射影した際に各アンテナ素子の射影点が重ならないように配置されている。アンテナ素子71〜86も、同様に、垂直平面上に配置され、水平面に射影した際に各アンテナ素子が重ならないように配置されている。
図1に示す構成例において、ベースバンド処理回路93を、説明を簡単にするために、各RF回路92a〜92pが入出力する信号を処理する回路として一つの処理ブロックとして記載している。また、RF回路92a〜92p及びベースバンド処理回路93は、各アンテナ素子51〜66及びアンテナ素子71〜86を介して送信する信号に対する送信処理と、各アンテナ素子51〜66及びアンテナ素子71〜86で受信した信号に対する受信処理とを行う。本発明におけるアンテナ装置は、アンテナ装置100aに対応する。
図1において、切替スイッチ95a〜95pと、第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子51〜66及び第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子71〜86との接続関係を、「a」〜「p」のアルファベットを用いて示している。例えば、第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子51と第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子71とは、切替スイッチ95aに接続されている。
また、図1における構成例において、切替スイッチ95a〜95pそれぞれに接続されている第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70とのアンテナ素子は、図20に示した例と同様にそれぞれの垂直平面アンテナにおける相対的な位置が一致している。しかし、第1の実施形態における基地局装置においては、図20の場合と異なり、第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70とにおけるアンテナ素子の相対的な位置が一致している必要はなく、異なる位置のアンテナ素子が切替スイッチ95a〜95pに接続されていてもよい。また、第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70とにおけるアンテナ素子の配置が、左右反転した配置ないしは上下反転した配置などの異なる配置であってもよい。第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70とにおけるアンテナ素子の配置は、図18や図19などで示したような最適配置になっていれば構わない。
第1の実施形態の基地局装置が信号を送信する場合、ベースバンド処理回路93は、送信すべき信号に対して指向性制御の符号化処理を行い、RF回路92a〜92pに対応した信号を出力する。RF回路92a〜92pそれぞれにおいて、D/A変換器が、ベースバンド処理回路93から出力されたベースバンド信号をアナログ信号に変換する。周波数変換器が、アナログ信号を無線周波数の信号にアップコンバートする。フィルタが、無線周波数の信号に含まれる帯域外信号を除去する。HPAが、帯域外信号が除去された信号を増幅し、TDDスイッチを経由して切替スイッチ95a〜95pに出力する。
切替スイッチ95a〜95pそれぞれは、RF回路92a〜92pから出力される信号を、第1垂直平面アンテナ50へ出力するか、第2垂直平面アンテナ70へ出力するかを切り替える。切替スイッチ95a〜95pは、タイミング管理回路94の制御に応じて、出力先を切り替える。タイミング管理回路94は、切替スイッチ95a〜95pにおける切り替えを連動させて制御する。タイミング管理回路94は、切替スイッチ95a〜95pにおける出力先を、第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70とのいずれか一方にする制御を行う。
切替スイッチ95a〜95pにおける切り替えのタイミングは、タイミング管理回路94が管理する。例えば、タイミング管理回路94は、タイムスロットで送受信のタイミングを管理している無線通信システムにおいてはタイムスロットごとに切替スイッチ95a〜95pにおける切り替え行ってもよいし、複数のタイムスロット単位で切り替えを行ってもよい。
例えば、切替スイッチ95aが第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子51とRF回路92aとを接続する場合には、切替スイッチ95bは第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子52とRF回路92bとを接続する。また、切替スイッチ95cは第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子53とRF回路92cとを接続する。また、切替スイッチ95oは第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子65とRF回路92oとを接続する。また、切替スイッチ95pは第1垂直平面アンテナ50のアンテナ素子66とRF回路92pとを接続する。
一方、切替スイッチ95aが第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子71とRF回路92aとを接続する場合には、切替スイッチ95bは第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子72とRF回路92bとを接続する。また、切替スイッチ95cは第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子73とRF回路92cとを接続する。また、切替スイッチ95oは第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子85とRF回路92oとを接続する。また、切替スイッチ95pは第2垂直平面アンテナ70のアンテナ素子86とRF回路92pとを接続する。
無線局装置は、上述のように、タイミング管理回路94が切替スイッチ95a〜95pそれぞれの切り替えの同期をとって連動させて行うことにより、第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70との最適に配置されたアンテナ素子の配列を用いて、様々な方位の無線局に対してサービスを提供することが可能になる。
第1の実施形態の基地局装置が信号を受信する場合、第1垂直平面アンテナ50の各アンテナ素子51〜66及び第2垂直平面アンテナ70の各アンテナ素子71〜86で受信された信号は、切替スイッチ95a〜95pに入力される。切替スイッチ95a〜95pにおいて、タイミング管理回路94による管理の下で、切替スイッチ95a〜95pそれぞれに入力される二つの信号うち第1垂直平面アンテナ50又は第2垂直平面アンテナ70のいずれか一方の信号が選択される。切替スイッチ95a〜95pそれぞれは、選択された信号をRF回路92a〜92pに出力する。
RF回路92a〜92pにおいて、LNAがTDDスイッチを経由して切替スイッチ95a〜95pから入力された信号を増幅してフィルタに出力する。フィルタはLNAから出力された信号に含まれる帯域外信号を除去して周波数変換器に出力する。周波数変換器がフィルタから出力された信号に対して周波数変換を行い、当該信号をアナログベースバンド信号にダウンコンバートする。フィルタがアナログベースバンド信号に含まれる帯域外信号を除去してA/D変換器に出力する。A/D変換器がフィルタから出力される信号をデジタルベースバンド信号に変換してベースバンド処理回路93に出力する。
ベースバンド処理回路93は、RF回路92a〜92pから出力される信号系列に対して所定の信号処理を施し、信号分離の後に信号検出処理を行う。送受信に関する一連の信号処理は、一般的な信号処理であり、様々な通信方式のシステムに対しても共通の説明が可能である。
なお、タイミング管理回路94は、基地局装置における送受信信号処理と同期したタイミング又は送受信信号処理と共通のタイミングを管理する。タイミング管理回路94は、ベースバンド処理回路93内に存在する基地局装置のタイミング管理を行う回路からのフレームタイミングなどの制御の基本となる制御信号を基に、切替スイッチ95a〜95pを制御する。
図1においては、アンテナ装置100aの処理を明示するために、タイミング管理回路94をアンテナ装置100aにおける独立した構成要素として明記した。しかし、基地局装置内のタイミング管理を行う回路が出力する信号をアンテナ装置100aに引き込んで、切替スイッチ95a〜95pに入力して切り替えのタイミング指示を行うようにしても、基地局装置の動作としては等価である。したがって、タイミング管理回路94が行う動作は、アンテナ装置100aに備えられたタイミング管理回路94が行う場合に限ることなく、アンテナ装置100aの外部から切替スイッチ95a〜95pに入力される切り替えタイミングを示す制御信号を活用する場合も含む。
[第2の実施形態]
図2は、第2の実施形態のアンテナ装置における切り替えと通信エリアとの関係を示す図である。第2の実施形態における基地局装置に備えられるアンテナ装置は、第1垂直平面アンテナ101、第2垂直平面アンテナ102及び第3垂直平面アンテナ103を備えるアンテナ装置である。第1垂直平面アンテナ101、第2垂直平面アンテナ102及び第3垂直平面アンテナ103は、それぞれが正三角形の一辺に対応する位置に設けられており、それぞれが異なる通信エリアをカバーしている。
図2(a)に示すように、第1垂直平面アンテナ101の通信エリアは第1エリア104である。第2垂直平面アンテナ102の通信エリアは第2エリア105である。第3垂直平面アンテナ103の通信エリアは第3エリア106である。図1に示したアンテナ装置100aでは、第1垂直平面アンテナ50と第2垂直平面アンテナ70との二つを組み合わせた構成を説明した。第2の実施形態におけるアンテナ装置では、第1垂直平面アンテナ101、第2垂直平面アンテナ102及び第3垂直平面アンテナ103を組み合わせた3面構成になっている。図2では図17(b)と同様にアンテナを真上方向から見た構成が示されている。
第2の実施形態における基地局装置は、図2(b)に示すように、第1垂直平面アンテナ101を用いることにより第1エリア104に位置する無線局との通信を行う。また、基地局装置は、第2垂直平面アンテナ102を用いることにより第2エリア105に位置する無線局との通信を行う。基地局装置は、第3垂直平面アンテナ103を用いることにより第3エリア106に位置する無線局との通信を行う。基地局装置は、無線局との通信を行う際に、第1垂直平面アンテナ101、第2垂直平面アンテナ102及び第3垂直平面アンテナ103のいずれか一つの垂直平面アンテナを選択する。すなわち、基地局装置は、同一時刻において通信する無線局が位置するエリアを、第1エリア104と第2エリア105と第3エリア106とのうち一つのエリアに限定する。
第2の実施形態におけるアンテナ装置は、第1垂直平面アンテナ101、第2垂直平面アンテナ102及び第3垂直平面アンテナ103からいずれか一つを選択する垂直平面アンテナの切り替えを、タイムスロットごとに行うようにしてもよい。図3は、第2の実施形態のアンテナ装置による垂直平面アンテナの切り替えの一例を示す図である。図3において、縦軸は時間を示し、タイムスロット単位で分割されている。図3に示す切り替えの例では、タイムスロット#1において、アンテナ装置が第1垂直平面アンテナ101を選択し、基地局装置が第1エリア104に位置する無線局と通信を行う。タイムスロット#2において、アンテナ装置が第2垂直平面アンテナ102を選択し、基地局装置が第2エリア105に位置する無線局と通信を行う。タイムスロット#3において、アンテナ装置が第3垂直平面アンテナ103を選択し、基地局装置が第3エリア106に位置する無線局と通信を行う。タイムスロット#4において、アンテナ装置が第1垂直平面アンテナ101を選択し、基地局装置が第1エリア104に位置する無線局と通信を行う。
以降、タイムスロット#1〜タイムスロット#3と同様に、アンテナ装置が選択する垂直平面アンテナを順に切り替えることにより通信対象となるエリアを変更して、基地局装置が当該エリアに位置する無線局と通信を行う。なお、アンテナ装置が行う切り替えは、必ずしも周期的に行う必要はない。例えば、アンテナ装置は、エリア間におけるトラヒックの偏りや位置する無線局の数の偏りに応じて特定のエリアを選択する期間を長くして、特定のエリアに通信を集中させてもよい。
なお、図2に示した第1エリア104、第2エリア105及び第3エリア106において、重複する領域がなく、境界が直線になっており、綺麗に領域が分けられている。しかし、各エリアの境界付近に位置する無線局は、当該境界に接する複数のエリアをカバーする垂直平面アンテナからの信号を同様に受信できるため、実質的にはエリアは相互にオーバーラップしているとみなすことができる。例えば、基地局装置は、第1エリア104と第2エリア105との境界付近の第1エリア104に位置する無線局と通信を行う際に、当該無線局が第2エリア105に位置するとみなして、第2垂直平面アンテナ102を用いて当該無線局と通信しても構わない。
また、図2では、三つの垂直平面アンテナを組み合わせた構成を示したが、四つの垂直平面アンテナ又は五つ以上の垂直平面アンテナを組み合わせた構成にしてもよい。第2の実施形態におけるアンテナ装置の特徴は、常に一つの垂直平面アンテナを選択し、当該アンテナ装置を備える基地局装置が同時に通信をする無線局の位置するエリアを一つのエリアに限定する点である。
[第3の実施形態]
図4は、第3の実施形態のアンテナ装置における垂直平面アンテナと通信エリアとの関係を示す図である。図4は、四つの垂直平面アンテナの配置を上方より見た図となっている。第3の実施形態における基地局装置に備えられるアンテナ装置は、第1垂直平面アンテナ111、第2垂直平面アンテナ112、第3垂直平面アンテナ113及び第4垂直平面アンテナ114を備えるアンテナ装置である。第1垂直平面アンテナ111、第2垂直平面アンテナ112、第3垂直平面アンテナ113及び第4垂直平面アンテナ114は、それぞれが正方形の一辺に対応する位置に設けられており、それぞれが異なる通信エリアをカバーしている。
図4に示すように、第1垂直平面アンテナ111の通信エリアは第1エリア115aである。第2垂直平面アンテナ112の通信エリアは第2エリア116aである。第3垂直平面アンテナ113の通信エリアは第3エリア117aである。第4垂直平面アンテナ114の通信エリアは第4エリア118aである。
図2では三つの垂直平面アンテナで構成されるアンテナを説明した。図4では偶数の四つの垂直平面アンテナで構成されるアンテナを説明する。図4に示す第3の実施形態におけるアンテナの構成は、垂直平面アンテナに二次元配置される各アンテナ素子の最大指向性方向が垂直平面の法線方向且つ上から見た際の正方形の外向きである。また、この正方形において平行な関係にある辺の位置に設けられた二つの垂直平面アンテナにおいては各垂直平面アンテナのアンテナ素子の最大指向性方向の向きが180度異なる状態になっている。また、平行な関係にある辺の位置に設けられた二つの垂直平面アンテナをペアにし、二組のペアそれぞれの垂直平面の法線方向が直交するように各垂直平面アンテナを配置した構成である。
具体的には、第1垂直平面アンテナ111と第3垂直平面アンテナ113とがペアになり、第2垂直平面アンテナ112と第4垂直平面アンテナ114とがペアになる。第3の実施形態におけるアンテナ装置は、基地局装置が通信を行う際に二つのペアのうちいずれか一つのペアを選択する。基地局装置が通信を行う際にアンテナ装置が一つのペアを選択することにより、ペアを構成する二つの垂直平面アンテナがカバーする二つのエリアに位置する無線局が基地局装置との通信の対象になる。すなわち、第3の実施形態における基地局装置は、ペアを構成する二つの垂直平面アンテナがカバーする二つのエリアに対して同時に通信を行うことができる。
図5は、第3の実施形態のアンテナ装置による通信エリアの選択例を示す図である。図5(a)に示すように、アンテナ装置が第1垂直平面アンテナ111及び第3垂直平面アンテナ113のペアを選択する場合、第1エリア115a及び第3エリア117aに位置する無線局と基地局装置とが通信可能になる。また、図5(b)に示すように、アンテナ装置が第2垂直平面アンテナ112及び第4垂直平面アンテナ114のペアを選択する場合、第2エリア116a及び第4エリア118aに位置する無線局と基地局装置とが通信可能になる。
第3の実施形態のアンテナ装置は、第1垂直平面アンテナ111及び第3垂直平面アンテナ113のペアと第2垂直平面アンテナ112及び第4垂直平面アンテナ114のペアとのいずれかを選択する垂直平面アンテナの切り替えを、タイムスロットごとに行うようにしてもよい。図6は、第3の実施形態のアンテナ装置による垂直平面アンテナの切り替えの一例を示す図である。図6において、縦軸は時間を示し、タイムスロット単位で分割されている。
図6に示す切り替えの例では、タイムスロット#1において、アンテナ装置が第1垂直平面アンテナ111及び第3垂直平面アンテナ113のペアを選択し、基地局装置が第1エリア115aに位置する無線局と第3エリア117aに位置する無線局との通信を行う。タイムスロット#2において、アンテナ装置が第2垂直平面アンテナ112及び第4垂直平面アンテナ114のペアを選択し、基地局装置が第2エリア116aに位置する無線局と第4エリア118aに位置する無線局との通信を行う。
以降、タイムスロット#1やタイムスロット#2と同様に、アンテナ装置が選択する垂直平面アンテナのペアを交互に切り替えることにより通信対象となるエリアを変更して、基地局装置が当該エリアに位置する無線局と通信を行う。なお、アンテナ装置が行う切り替えは、必ずしも周期的に行う必要はない。例えば、アンテナ装置は、エリア間におけるトラヒックの偏りや位置する無線局の数の偏りに応じて特定のエリアを選択する期間を長くして、特定のエリアに通信を集中させてもよい。
それぞれの垂直平面アンテナに備えられているアンテナ素子は、垂直平面の法線方向においてアンテナ素子が配置される側の向きに対して±90度を超える方向、すなわち垂直平面のアンテナ素子が配置されていない側に対する指向性利得は極端に低い。そのため、第3の実施形態における基地局装置は、複数のエリアを通信エリアとして選択するが、実質的にオーバーラップのない通信エリアを対象に同時の通信を行うことができる。
第3の実施形態のアンテナ装置によれば、反射波等の僅かな影響を除けば、第1垂直平面アンテナ111がカバーする第1エリア115aに位置する無線局との通信と、第3垂直平面アンテナ113がカバーする第3エリア117aに位置する無線局との通信とを相互にほぼ独立な通信とすることができる。同様に、第2垂直平面アンテナ112がカバーする第2エリア116aに位置する無線局との通信と、第4垂直平面アンテナ114がカバーする第4エリア118aに位置する無線局との通信とを相互にほぼ独立な通信とすることができる。したがって、第3の実施形態のアンテナ装置を用いることにより、図18や図19に示したように各垂直平面アンテナのアンテナ素子の配置が最適化されていれば、同時に通信に用いられる垂直平面アンテナの間でそれぞれの最適配置の関係を破ることなく複数の垂直平面アンテナを同時に用いることが可能となる。
なお、図4に示した四つの垂直平面アンテナによる4面構成のアンテナでは、通信エリアを分割した際の第1エリア115aから第4エリア118aそれぞれの範囲を90度とする構成を説明した。しかし、同時に選択する二つの垂直平面アンテナが同時にカバーする通信エリアが重複しない範囲であれば、90度より広い範囲を各垂直平面アンテナがカバーするエリアとしてもよい。図7は、第3の実施形態のアンテナ装置における通信エリアを示す図である。図7に示すように、第1垂直平面アンテナ111から第4垂直平面アンテナ114それぞれに対して、90度より広い第1エリア115bから第4エリア118bを割り当てるようにしてもよい。
この場合、図7における点線の付近に位置する無線局は、複数のエリアに含まれることになる。基地局装置は、このような無線局を便宜的にいずれかのエリアに所属する無線局として管理してもよいし、複数のエリアに位置する無線局とみなしていずれのエリアが選択された場合においても通信機会を得ることができる無線局として管理してもよい。
第3の実施形態におけるアンテナ装置の特徴は、第1エリア115aと第3エリア117aとが相互にオーバーラップなく独立に扱えること、及び第2エリア116bと第4エリア118bとが相互にオーバーラップなく独立に扱えることが担保されている点である。アンテナ装置が備える第1垂直平面アンテナ111から第4垂直平面アンテナ114それぞれに配置されているアンテナ素子が、配置されている側の片側方向のみに指向性利得を有していれば、概ね問題とはならない。
図8は、第3の実施形態におけるアンテナ装置の構成例を示す図である。図8に示すように、基地局装置は、アンテナ装置100b、RF回路92a〜92p及びベースバンド処理回路93を備えている。アンテナ装置100bは、第1垂直平面アンテナ50a、第2垂直平面アンテナ70a、第3垂直平面アンテナ50b、第4垂直平面アンテナ70b、切替スイッチ95a〜95p及びタイミング管理回路94を備えている。第1垂直平面アンテナ50aは、アンテナ素子51〜58を備えている。第2垂直平面アンテナ70aは、アンテナ素子71〜78を備えている。第3垂直平面アンテナ50bは、アンテナ素子59〜66を備えている。第4垂直平面アンテナ70bは、アンテナ素子79〜86を備えている。
図8に示す構成例において、ベースバンド処理回路93を、説明を簡単にするために、各RF回路92a〜92pが入出力する信号を処理する回路として一つの処理ブロックとして記載している。また、RF回路92a〜92p及びベースバンド処理回路93は、各アンテナ素子51〜66及びアンテナ素子71〜86を介して送信する信号に対する送信処理と、各アンテナ素子51〜66及びアンテナ素子71〜86で受信した信号に対する受信処理とを行う。説明の便宜上、図1に示した第1の実施形態と同数の16系統のRF回路92a〜92pを基地局装置が備える構成にしている。
また、第1垂直平面アンテナ50aと第3垂直平面アンテナ50bとが同時に通信に用いられ、第2垂直平面アンテナ70aと第4垂直平面アンテナ70bとが同時に通信に用いられる構成にしたので、各垂直平面アンテナが8個のアンテナ素子を備える構成とした。勿論、各垂直平面アンテナが備えるアンテナ素子の数は8個以外の数でもよい。各垂直平面アンテナは、9個以上のアンテナ素子を備えてもよい。また、アンテナ素子の数は、2次元的なマトリックス状の配列において行数と列数とを一致させる数でなくともよい。本発明におけるアンテナ装置は、アンテナ装置100bに対応する。
第1垂直平面アンテナ50a、第2垂直平面アンテナ70a、第3垂直平面アンテナ50b及び第4垂直平面アンテナ70bそれぞれに備えられる各アンテナ素子は、図18や図19に示した配置のように、水平面に射影した際に各アンテナ素子の射影点が重ならないように配置されている。第3の実施形態では、アンテナ装置が四つの垂直平面アンテナを備える構成について説明するが、六つ以上の偶数面の垂直平面アンテナを組み合わせた構成に拡張することが可能である。偶数面とする意味は、全ての垂直平面アンテナのアンテナ素子が配列される垂直平面の法線方向においてアンテナ素子の指向特性が強い向きが180度異なる垂直平面アンテナがペアになる配置をするためである。
第3の実施形態の基地局装置において、第1垂直平面アンテナ50aと第3垂直平面アンテナ50bとのペアを用いて通信する際、第1エリア115aに位置する無線局への指向性制御は実質的には第1垂直平面アンテナ50aの各アンテナ素子に接続されたRF回路92a〜92hを介してベースバンド処理回路93が行う。また、第3エリア117aに位置する無線局への指向性制御は実質的には第3垂直平面アンテナ50bの各アンテナ素子に接続されたRF回路92i〜92pを介してベースバンド処理回路93が行う。
ここで、第1垂直平面アンテナ50aのアンテナ素子51は切替スイッチ95aと、アンテナ素子52は切替スイッチ95bと、アンテナ素子58は切替スイッチ95hと接続されている。第3垂直平面アンテナ50bのアンテナ素子59は切替スイッチ95iと、アンテナ素子65は切替スイッチ95oと、アンテナ素子66は切替スイッチ95pと接続されている。また、第2垂直平面アンテナ70aのアンテナ素子71は切替スイッチ95aと、アンテナ素子72は切替スイッチ95bと、アンテナ素子78は切替スイッチ95hと接続されている。第4垂直平面アンテナ70bのアンテナ素子79は切替スイッチ95iと、アンテナ素子85は切替スイッチ95oと、アンテナ素子86は切替スイッチ95pと接続されている。
このとき、ベースバンド処理回路93は、RF回路92a〜92hとRF回路92i〜92pとを区別することなく、全体のRF回路92a〜92pで一括して信号処理を行っても問題ない。ないしはベースバンド処理回路93を二つに分け、一方のベースバンド処理回路がRF回路92a〜92hに対応して信号処理を行い、他方のベースバンド処理回路がRF回路92i〜92pに対応して信号処理を行うことも可能である。これは、第1エリア115aに位置する無線局に対する指向性制御を行う際には、各無線局との間のチャネル推定結果を基に送受信ウエイトを決定するが、第3エリア117aに位置する無線局と第1垂直平面アンテナ50aのアンテナ素子51〜58との間のチャネル推定を行っても、逆向きの指向性故に殆ど信号は受信できないので第1エリア115aと第3エリア117aとの間にまたがる送受信ウエイトは無視可能(つまり、成分としてはゼロ)なためである。しかしごく希に、反射波の影響でエリア間にまたがる信号が漏洩する場合があるが、全体のRF回路92a〜92pで一括して信号処理を行う構成とすれば、垂直平面アンテナ50a、50bの間の信号の漏れ込みないしは垂直平面アンテナ70a、70bの間の信号の漏れ込を考慮した信号処理が可能であり、その中で干渉成分の影響を抑えることができる。
このように、第3の実施形態の基地局装置は、異なるエリアの信号を一括してベースバンド処理を行うことが可能である。また、基地局装置は、反射波による相互の信号の漏れ込みを無視すれば、実質的にはRF回路92a〜92hとRF回路92i〜92pとを用いて独立にベースバンドの信号処理を行うことができる。
第3の実施形態の基地局装置が信号を送信する場合、ベースバンド処理回路93は、送信すべき信号に対して指向性制御の符号化処理を行い、RF回路92a〜92pに対応した信号を出力する。この際、第3の実施形態では、ベースバンド処理回路93がRF回路92a〜92pに出力する信号系列に対して一括して信号処理を行う構成としてもよいし、RF回路92a〜92hとRF回路92i〜92pとに対応させて、それぞれ個別の信号処理を行う構成としてもよい。RF回路92a〜92pそれぞれにおいて、D/A変換器が、ベースバンド処理回路93から出力されたベースバンド信号をアナログ信号に変換する。周波数変換器が、アナログ信号を無線周波数の信号にアップコンバートする。フィルタが、無線周波数の信号に含まれる帯域外信号を除去する。HPAが、帯域外信号が除去された信号を増幅し、TDDスイッチを経由して切替スイッチ95a〜95pに出力する。
切替スイッチ95a〜95pそれぞれは、RF回路92a〜92pから出力される信号を、第1垂直平面アンテナ50a及び第3垂直平面アンテナ50bへ出力するか、第2垂直平面アンテナ70a及び第4垂直平面アンテナ70bへ出力するかを切り替える。切替スイッチ95a〜95pは、タイミング管理回路94の制御に応じて、出力先を切り替える。タイミング管理回路94は、切替スイッチ95a〜95pにおける切り替えを連動させて制御する。タイミング管理回路94は、切替スイッチ95a〜95pにおける出力先を、第1垂直平面アンテナ50a及び第3垂直平面アンテナ50bと第2垂直平面アンテナ70a及び第4垂直平面アンテナ70bとのいずれか一方にする切り替えを行わせる。
第3の実施形態の基地局装置が信号を受信する場合、第1垂直平面アンテナ50aが備える各アンテナ素子51〜58で受信された信号と、第2垂直平面アンテナ70aが備える各アンテナ素子71〜78で受信された信号とが切替スイッチ95a〜95hに入力される。第3垂直平面アンテナ50bが備える各アンテナ素子59〜66で受信された信号と、第4垂直平面アンテナ70bが備える各アンテナ素子79〜86で受信された信号とが切替スイッチ95i〜95pに入力される。
切替スイッチ95a〜95pは、タイミング管理回路94の制御に応じて、第1垂直平面アンテナ50aの各アンテナ素子で受信された信号と第3垂直平面アンテナ50bの各アンテナ素子で受信された信号との組み合わせと、第2垂直平面アンテナ70aの各アンテナ素子で受信された信号と第4垂直平面アンテナ70bの各アンテナ素子で受信された信号との組み合わせとのいずれか一方の信号の組み合わせを選択する。切替スイッチ95a〜95pは、選択した組み合わせの信号を対応するRF回路92a〜92pに出力する。
RF回路92a〜92pにおいて、LNAがTDDスイッチを経由して切替スイッチ95a〜95pから入力された信号を増幅してフィルタに出力する。フィルタはLNAから出力された信号に含まれる帯域外信号を除去して周波数変換器に出力する。周波数変換器がフィルタから出力された信号に対して周波数変換を行い、当該信号をアナログベースバンド信号にダウンコンバートする。フィルタがアナログベースバンド信号に含まれる帯域外信号を除去してA/D変換器に出力する。A/D変換器がフィルタから出力される信号をデジタルベースバンド信号に変換してベースバンド処理回路93に出力する。
ベースバンド処理回路93は、RF回路92a〜92pから出力される信号系列に対して所定の信号処理を施し、信号分離の後に信号検出処理を行う。送受信に関する一連の信号処理は、一般的な信号処理であり、様々な通信方式のシステムに対しても共通の説明が可能である。なおこの際、第3の実施形態では、ベースバンド処理回路93がRF回路92a〜92pから出力される信号系列に対して一括して信号処理を行う構成としてもよいし、RF回路92a〜92hとRF回路92i〜92pとに対応させて、それぞれ個別の信号処理を行う構成としてもよい。
なお、切替スイッチ95a〜95hそれぞれに接続されている第1垂直平面アンテナ50aと第2垂直平面アンテナ70aとのアンテナ素子は、図20に示した例と同様にそれぞれのアンテナにおける相対的な位置が一致している。しかし、第3の実施形態における基地局装置においては、図20の場合と異なり、第1垂直平面アンテナ50aと第2垂直平面アンテナ70aとにおけるアンテナ素子の相対的な位置が一致している必要はなく、異なる位置のアンテナ素子が切替スイッチ95a〜95hに接続されていてもよい。同様に、切替スイッチ95i〜95pそれぞれに接続されている第3垂直平面アンテナ50bと第4垂直平面アンテナ70bとのアンテナ素子の相対的な位置が異なっていてもよい。
各実施形態において説明したように、アンテナ装置は、複数の垂直平面アンテナ、複数の切替スイッチ及びタイミング管理回路を備える。各垂直平面アンテナは、平面又は平面に近似可能な曲面である準平面上に行方向及び列方向に二次元配置された複数のアンテナ素子を有し、180度を超える広い角度に亘る範囲を通信可能範囲にするように配置される。各切替スイッチは、少なくとも二つの異なる垂直平面アンテナが有するアンテナ素子と接続され、接続された前記アンテナ素子から一つのアンテナ素子を選択する。タイミング管理回路は、複数の切替スイッチに対して同じタイミングで選択を切り替えさせる。また、複数の切替スイッチで選択されるアンテナ素子を備える垂直平面アンテナは、一つであるか、ないしは二つ以上である場合には垂直平面アンテナの送受信可能な領域に重複がない。アンテナ装置は、上記の構成を有することにより、アンテナ間における信号の混在を抑えることができ、複数の無線局との間のチャネル情報の相関を抑制することが可能となる。これにより、より高いSIR特性を実現し、伝送モードに要求されるSIR値を実現する範囲で可能な空間多重数を増加させることができる。
[各実施形態の構成によるシミュレーション結果]
関連技術において説明したように、図18又は図19に示したようなアンテナ素子の配置を有する垂直平面アンテナを用いることにより、エリア内に位置し見通し環境に位置する無線局と垂直平面アンテナの各アンテナ素子との間のチャネル情報の相関を低減することができる。複数の垂直平面アンテナを同時に用いる場合、異なる垂直平面アンテナのアンテナ素子からの信号が高い受信レベルで相互に混信しないときに、チャネル相関の低減が効率的に機能する。この状況を、シミュレーション計算によって得られた結果を基に説明する。
図9は、四つの垂直平面アンテナを用いた構成において異なる垂直平面アンテナ間で信号の混在がある場合とない場合との特性評価結果を示す図である。図9(A)に示す特性評価結果を得た際における四つの垂直平面アンテナの配置は、第3の実施形態におけるアンテナ装置のように、四つの垂直平面アンテナを正方形の各辺の位置に配置し、お互いに背中合わせとなる二つの垂直平面上の各アンテナ素子の放射強度が最も強い向きがそれぞれの垂直平面の間で180度異なる配置である。また、垂直平面アンテナごとに、50個のアンテナ素子が備えられている。図9(A)は、16局の無線局に対して同時に同一周波数上で空間多重を行った場合の希望信号対干渉電力比(SIR:Signal to Interference power Ratio)の累積確率密度分布を評価したものである。
シミュレーション計算は二つの条件で行った。一つ目の条件「無相関2面独立制御」では、図9(B)に示すように、ペアとなる垂直平面アンテナ31と垂直平面アンテナ33とに備えられた合計100個のアンテナ素子で受信する信号に対して、100系統のRF信号処理とベースバンド信号処理とを独立に行う。ここでは、図5に示すように垂直平面アンテナ31〜34の各面が、360度を4分割した各90度のエリア内の対応するエリアのユーザと通信を行うものとし、無相関2面独立制御では16局の無線局を1面当たり8局ずつに分けて収容することとする。一つ目の条件では、通信に用いる複数の垂直平面アンテナそれぞれがカバーするエリアに重複が生じず、信号の混在がない無相関状態での通信を想定している。具体的には、図9(B)に示すように、無相関2面独立制御では、垂直平面アンテナ31と垂直平面アンテナ33とを同時に用いた通信を行い、次の時間(例えば、次のタイムスロット)で垂直平面アンテナ32と垂直平面アンテナ34とを同時に用いた通信を行う。
二つ目の条件「有相関4面独立制御」では、図9(C)に示すように、四つの垂直平面アンテナ31〜34に備えられた合計200個のアンテナ素子で受信する信号に対して、200系統のRF信号処理とベースバンド信号処理とを独立に行う。ここでは、図5に示す例とは異なり360度を一括して収容するため、有相関4面独立制御では360度を4分割した各90度のエリアにそれぞれ4局ずつを配置し、16局の無線局が概ね一様に配置されている状態で同時に通信を行うものとする。二つ目の条件では、通信に用いる複数の垂直平面アンテナそれぞれがカバーするエリアに重複が生じ、各垂直平面アンテナで受信する信号に混在がある有相関状態での通信を想定している。具体的には、図9(C)に示すように、有相関4面独立制御では、四つの垂直平面アンテナ31〜34を同時に用いた通信を行う。この条件においては、例えば垂直平面アンテナ31と垂直平面アンテナ32との双方から信号を送受信する無線局などは、反射波を想定せずとも複数の垂直平面アンテナからの信号を同時に送受信することになる。
図9(C)に示す有相関4面独立制御で通信に用いるアンテナ素子の数は、無相関2面独立制御で通信に用いるアンテナ素子の数に対して2倍になる。通信に用いるアンテナ素子の数が増加することにより、本来であれば分解能が向上することが期待される。しかし、図9(A)に示すシミュレーション計算の結果を見ると、通信に用いるアンテナ素子の数が少ない無相関2面独立制御の方が有相関4面独立制御より良い特性評価結果を得ていることが分かる。
図9(A)に示したグラフにおいては、高SIR値ほど干渉は少ないため、全体的にグラフが右側に位置する方が特性は良好であり、(B)無相関独立2面制御の方が(C)有相関独立4面制御よりも全体的に右側に位置することが分かる。特に特性が劣悪な低SIR領域においてはその傾向が顕著である。この結果、実際に通信を行った際の符号誤り率などは更に大きな差となって表れることが予想される。すなわち、シミュレーション計算の結果より、アンテナ素子の配置を一つの平面上で最適化したとしても、別の異なる平面に配置されたアンテナ素子からの信号が混在して受信できる状態では、折角のアンテナ素子配置の最適化状態が破れてしまい、アンテナ素子配置の最適化の効果を存分に活用できていない状況になることが分かる。
図10は、第2の実施形態におけるアンテナ装置と第3の実施形態におけるアンテナ装置との特性評価結果を示す図である。第2の実施形態におけるアンテナ装置は、図10(C)に示すように、複数の垂直平面アンテナを備え、常にいずれか一つの垂直平面アンテナを選択して通信に用いる無相関1面独立制御を行う。第3の実施形態におけるアンテナ装置は、図10(B)に示すように、複数の垂直平面アンテナを備え、カバーするエリアに重複がない二つの垂直平面アンテナを同時に通信に用いる無相関2面独立制御を行う。無相関2面独立制御は、図9(B)において示した制御である。
第2の実施形態のアンテナ装置は、複数の垂直平面アンテナを備えるが、通信に用いる垂直平面アンテナを一つに限定している。ここでは、比較対象の第3の実施形態のアンテナ装置と同じ数のアンテナ素子を通信に用いるように、第2の実施形態のアンテナ装置の各垂直平面アンテナに備えられるアンテナ素子の数を倍にしている。すなわち、第2の実施形態のアンテナ装置においては各垂直平面アンテナに100個のアンテナ素子を配置し、第3の実施形態のアンテナ装置においては各垂直平面アンテナに50個のアンテナ素子を配置した場合のシミュレーション計算を行った。図10(B)では、図5に示すように垂直平面アンテナ31〜34の各面が、360度を4分割した各90度のエリア内の対応するエリアのユーザと通信を行うものとし、16局の無線局を1面当たり8局ずつに分けて収容することとする。一方、図10(C)では同時にサービスするのは1面のみなので、各垂直平面アンテナ31〜34に対応する一つのエリアに16局の無線局を配置して評価を行うことになる。
図10(A)に示すSIR特性によれば、累積確率密度分布の全領域で、大幅に「(B)無相関独立2面制御」の方が「(C)無相関独立1面制御」よりもグラフが右側に位置し、つまり特性的に優れていることが分かる。細かな評価条件により状況が異なりうるために常に同様のSIR特性が得られるとは限らないが、一般論として無相関独立1面制御より無相関独立2面制御の方が優れる可能性が高いことが分かる。
このように、本発明の特徴は、図18、図19に示したようなアンテナ素子の配置の最適化が施された垂直平面アンテナの運用において、異なる面の垂直平面アンテナからの信号が強い信号強度で混在する状況を回避し、図18、図19に示したようなアンテナ素子の配置の最適化状態を維持したままで通信を行う構成とした点にある。このため、他の垂直平面からの信号が混信することを回避するための構成として、タイミング管理回路94及び切替スイッチ95a〜95pを備えている。1面の垂直平面アンテナのみを単独で運用する場合(第1、第2の実施形態)には、当然の結果として他の垂直平面アンテナからの信号は混在しない。一方、同時に複数面の垂直平面アンテナを運用する場合(第3の実施形態)においては、同時に通信を行う垂直平面アンテナの最大指向性方向を180度相反する向きにすることで、それぞれの垂直平面アンテナ間における信号の漏れ込みを最小化する構成としている。
[実施形態全般に関する補足事項]
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計も含まれる。例えば、図1及び図8に示した切替スイッチ95a〜95pは、如何なる構成で実現してもかまない。切替スイッチ95a〜95pの切り替え時間に対する要求条件がそれほど厳しくなければ、機械的なスイッチで切り替えても構わない。また、高速な切り替えが必要であれば、PINダイオードなどの半導体で構成されるスイッチを用いても構わない。
また、第2の実施形態において示した基地局装置であれば、任意の複数面の垂直平面アンテナを組み合わせて構成することが可能である。また、アンテナ装置は、必ずしも360度の全方位を満遍なくカバーする必要はなく、例えば図2において示した3面構成のうち1面を省略した2面構成としても構わない。
また、第3の実施形態において示した基地局装置では、4面の垂直平面アンテナを組み合わせた構成を説明した。しかし、上述したように、第3の実施形態の基地局装置の特徴の一つは、指向性的に無相関になる複数面の垂直平面アンテナを同時に通信に用いて、各垂直平面アンテナの信号を独立のRF回路92a〜92p及びベースバンド処理回路93が並行して処理する構成である。この特徴を維持すれば、アンテナ装置を構成する垂直平面アンテナの面数は、6面や8面などの偶数面の垂直平面アンテナを組み合わせ、各垂直平面アンテナをペアにして用いてもよい。例えば、ペアにした垂直平面アンテナは、アンテナ素子を配置する平面が平行になり、アンテナ素子を配置する面がペアをなす垂直平面アンテナが外側を向くように、垂直平面アンテナを背中合わせに配置する。各垂直平面アンテナを配置した際の形状は、例えば図4に示した正方形、正六角形などの変数が偶数の正多角形としてもよい。
また、この第3の実施形態においても必ずしも360度の全てをカバーする必要はなく、例えば図4に示した四つの垂直平面アンテナの配置において、第4垂直平面アンテナ114を省略して3面相当の270度程度のエリアをカバーする構成で運用しても構わない。この場合、単純に第4垂直平面アンテナ114を省略する構成(この場合、切り替えスイッチ95i〜95pの片側を終端する)としてもよい。ないしは第4垂直平面アンテナ114を第2垂直平面アンテナ側に付け足して配置し、第2エリア116aの無線局に対して第1エリア115a及び第3エリア117aの無線局に比べて2倍のアンテナ素子数で制御を行う構成としてもよい。
また、本明細書の背景技術の記載において、アンテナ素子数の大規模化に伴い、基地局装置と無線局との間の送受信ウエイトの算出を簡易に処理するための技術として、非特許文献1〜4に記載の大規模アンテナシステムを紹介した。また、大規模アンテナシステムのような基地局装置と無線局との間で見通し環境が期待できるシステムの例について説明した。しかし、図18及び図19に示したようにアンテナ素子を配置したアンテナを用いることでチャネル相関を低減させることは、図11に示した大規模アンテナシステムのみで必要となる技術ではなく、一般的な無線通信システムにも適用可能である。例えば、無線局が移動するモバイル環境においても、基地局装置と無線局とが比較的近距離に位置する場合には、その近さ故に見通し環境となる可能性が高まる。図18及び図19に示したアンテナ素子の配置によるチャネル相関の低減効果は、基地局装置と無線局とが見通し環境にあることで、見通し波の受信電力が反射波の受信電力よりも十分に高く、受信信号における見通し波の影響が支配的である場合に得られる。このような条件が満たされれば、モバイル環境を含む広く一般的な無線通信システムにも適用可能である。
なお、当然ながら、上述した実施の形態及び複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態及び変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
180度を超える広い角度に亘り存在する複数の無線局との間のチャネル情報の相関を抑制することが不可欠な用途にも適用できる。
1…基地局
2…無線局
3…見通し波
4…構造物による安定反射波
5、6…多重反射波
7…構造物
10…アンテナ素子
11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11i、11j、11k…マーカ
12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12i、12j、12k…マーカ
21…水平面
22…垂直平面
23a、23b、23c、23d、23e、23f、23g、23h、23i…アンテナ素子
24a、24b、24c、24d、24e、24f、24g、24h、24i…射影点
31、32、33、34…垂直平面アンテナ
50、50a…第1垂直平面アンテナ
50b…第3垂直平面アンテナ
51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86…アンテナ素子
70,70a…第2垂直平面アンテナ
70b…第4垂直平面アンテナ
91a、91b、91c、91o、91p…分配結合器
92a、92b、92c、92h、92i、92o、92p…RF回路
93…ベースバンド処理回路
94…タイミング管理回路
95a、95b、95c、95h、95i、95o、95p…切替スイッチ
100a、100b…アンテナ装置
101、111…第1垂直平面アンテナ
102、112…第2垂直平面アンテナ
103、113…第3垂直平面アンテナ
104、115a、115b…第1エリア
105、116a、116b…第2エリア
106、117a、117b…第3エリア
114…第4垂直平面アンテナ
118a、118b…第4エリア

Claims (6)

  1. 複数の無線局と通信を行う基地局装置に備えられるアンテナ装置であって、
    平面又は前記平面に近似可能な曲面である準平面上に行方向及び列方向に二次元配置された複数のアンテナ素子を有し、180度を超える広い角度に亘る範囲を通信可能範囲にするように配置された複数のアンテナと、
    少なくとも二つの異なる前記アンテナに備えられた前記アンテナ素子と接続され、接続された前記アンテナ素子から一つのアンテナ素子を選択し、選択したアンテナ素子を前記基地局装置が備える信号処理回路に接続する複数の切替スイッチと、
    前記複数の切替スイッチに対して同じタイミングで選択を切り替えさせるタイミング管理回路と
    を備え、
    前記複数の切替スイッチで選択される前記アンテナ素子を備える前記アンテナは、一つであるか、二つ以上である場合には前記アンテナの送受信可能な領域に重複がない
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 請求項1に記載のアンテナ装置において、
    前記アンテナそれぞれにおける前記複数のアンテナ素子は、
    前記アンテナを設置した際に当該アンテナの平面又は準平面と水平面とが交差する直線で表される射影軸に対して射影された場合に、前記射影軸上における各アンテナ素子の射影点が互いに重ならず略等間隔になる位置に配置される
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載のアンテナ装置において、
    前記アンテナそれぞれにおける前記複数のアンテナ素子の配置は、
    矩形格子の格子点に前記アンテナ素子を配置した状態に対して、前記矩形格子の行に含まれる前記アンテナ素子同士の間隔を二次元配置の行数で等分割した距離を第1のシフト量として列方向に隣り合う行ごとに、行に含まれる前記アンテナ素子の位置を行方向に前記第1のシフト量ずつずらした配置である
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
    前記複数のアンテナは、
    辺の数が偶数の正多角形の辺に対応する位置に配置され、
    前記複数の切替スイッチで選択される前記アンテナ素子を備える二つの前記アンテナは、
    それぞれのアンテナの平面又は準平面が平行であり、前記アンテナ素子が配置されている面が互いに反する向きである
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアンテナ装置において、
    前記アンテナ素子は、指向性アンテナであり、
    前記アンテナが有する前記アンテナ素子それぞれは、前記アンテナごとに、最大利得を示す方向が同一である
    ことを特徴とするアンテナ装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のアンテナ装置と、
    前記切替スイッチで選択された前記アンテナ素子それぞれの信号に対する信号処理を並行して行う信号処理回路と
    を備えることを特徴とする基地局装置。
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