JP2015232034A - 炎症性腸疾患用薬剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療用薬剤の提供。【解決手段】抗CD81抗体を有効成分として含む、難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療用薬剤。【選択図】なし

Description

本発明は、抗CD81抗体を有効成分とする、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;以下「IBD」と略する場合もある)の緩解維持用乃至難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療用薬剤に関する。更に、抗CD81抗体を用いた、炎症性腸疾患の緩解維持方法乃至難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療方法に関する。
腸は、生体の生命活動に必須である栄養分・水分を消化吸収する器官である。一方で病原体などの異物を排除するための免疫防御機能も備えており相反する性質をバランスよく制御することで生命の維持を担っている器官でもある。しかしこれら機能バランスに異常が生じると、この動的平衡状態が破綻し様々な腸疾患が引き起こされることが知られている。特に近年患者数が増加してきている炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBDと略される)は、腹痛・下痢・粘血便などの消化器異常が起こり、再燃と緩解を繰り返す病気である。IBDは、その病態から潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis;UCと略される)とクローン病(Crohn's disease;CDと略される)とに分類される。
UCは大腸に限局された、びまん性の腸粘膜の炎症が主体の疾患であり、炎症の繰り返しにより大腸癌の発症をもたらし、手術が必要となる場合も多い。また手術後も便回数の増加、漏便、嚢炎(pouchitis)の発症の問題がある。UCには、初回発作型、再燃緩解型、慢性持続型、急性激症型の症状が知られている。UCの重症例に対してはステロイド投与が行われているが、ステロイド投与による副作用発現(骨粗しょう症や易感染性)などへの、より強い配慮が必要で、いたずらに長期のステロイド投与にならないように留意すべきとされている。
CDは小腸から大腸にまたがる病変で、非連続性の粘膜下を中心に全層性の炎症が強い疾患であり、炎症を繰り返すことで腸管合併症(狭窄、ろう孔、膿瘍)を生じ手術を要するとされている(非特許文献1)。
緩解期とは病気が治ることではなく、症状がおさまっている期間をいい、IBDのような完治しにくい難病では症状がおさまっている時期がどれだけ長く維持出来るかが重要視される。現行の薬物療法では、薬の投薬を中止するだけでなく、薬を投薬していても、一定の患者数の割合で再燃しており、炎症因子の産生や作用を対症療法的に阻害しているのみである場合が多い。最近では、栄養療法や他の薬物療法(5−アミノサリチル酸製剤等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合のような難治性のIBDに対して、TNF−α抗体(レミケードまたはインフリキシマブ:Infliximab)が使用されることがある。しかしながら、TNF−α抗体は、単回投与後に再燃することや、投与を継続していても再燃する患者が認められることが報告されている(非特許文献2及び非特許文献3)。
他方、CD81は、広範な細胞に発現している26kDaの表面分子であり、B細胞上ではCD21、CD19、Leu13と複合体を形成してB細胞活性化の閾値を下げる作用がある。T細胞上ではCD4、CD8と会合し細胞内に刺激情報を伝達する。また、各種インテグリン類と生理的かつ機能的に関与しており、B細胞上のVLA−4(α4β1インテグリン)や、胸腺細胞上のLFA−1(αLβ2インテグリン)を活性化させる。
抗CD81抗体に関して、アレルギー疾患である受身皮膚アナフィラキシーモデルに生じる45時間の血管透過性反応を、抗CD81抗体の単回投与で抑えることが報告されている(特許文献1)。また、炎症性腸疾患の動物モデルであるマウス大腸炎モデルにおいて発症する5日間の単発性の腸炎症状が抗CD81抗体を投与することで抑えられることも報告されている(特許文献2)。
また、多発性硬化症のモデル動物である実験的自己免疫性脳脊髄炎マウスにおいて発症する単発性の神経麻痺症状が、抗CD81抗体の一つのクローンEat2を2日毎に、合計10回投与することで抑えられ、他の抗CD81抗体クローン2F7では抑えられなかったことも報告されている(非特許文献4)。
以上のように、2日毎に抗CD81抗体を投与することで改善する病態モデルは報告されており、抗CD81抗体の継続投与が薬効の発現に重要であることを示している。
国際公開第WO1998/025647号 国際公開第WO2005/021792号
Inflamm.Bowel.Dis.8,244-250,2002 New England Journal of Medicine.337,1029-1035,1997 Journal of Clinical Gastroenterology.41; 799-809,2007 Neurobiology of Disease 31,413-421,2008
緩解と再燃(再発)を繰り返すような難治性の炎症性腸疾患の症状を予防、治療、改善できる薬剤や緩解を維持できる薬剤の創製が待たれる。いいかえれば、長期予後を改善するための炎症性腸疾患の緩解維持用薬剤の開発は未だ進んでいないのが現状であり、長期予後改善、特に再発や手術を減少させる薬剤の創製が望まれる。
従って、本発明の課題は、緩解導入だけでなく長期間緩解維持効果を有する炎症性腸疾患の緩解維持用薬剤、並びに炎症性腸疾患の緩解維持方法を提供することにある。更に、本発明の課題は、難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療用薬剤、並びに難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を行っていたところ、抗CD81抗体が、緩解導入効果のみならず、長期間緩解維持効果も有することから、抗CD81抗体が炎症性腸疾患の緩解維持用薬剤として、また炎症性腸疾患の中でも難治性の炎症性腸疾患に対して予防、改善または治療用薬剤として有用であるとの知見を得た。
本発明はかかる知見を基礎にして完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、下記の[1]から[32]に関するものである:
[1].抗CD81抗体を有効成分として含む、炎症性腸疾患の緩解維持用薬剤;
[2].抗CD81抗体を有効成分として含む、難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療用薬剤:
[3].難治性の炎症性腸疾患が、再燃若しくは再発を繰り返す炎症性腸疾患または慢性に病勢が持続する炎症性腸疾患を意味する、上記[2]に記載の予防、改善または治療用薬剤。
[4].難治性の炎症性腸疾患が、ステロイド依存性またはステロイド抵抗性の炎症性疾患である、上記[2]または[3]に記載の予防、改善または治療用薬剤;
[5].難治性の炎症性腸疾患が、通常の治療に抵抗性または耐性の炎症性腸疾患を意味する、上記[2]〜[4]のいずれかに記載の予防、改善または治療用薬剤;
[6].通常の治療が、既存治療薬を投与することを意味する、上記[5]に記載の予防、改善または治療用薬剤;
[7].既存治療薬が、5−アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫抑制剤、TNF阻害剤またはインテグリン阻害剤である、上記[6]に記載の予防、改善または治療用薬剤;
[8].既存治療薬が、スルファサラジン、抗TNF抗体、サラゾスルファピリジン、メサラジン、ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、リン酸ベタメタゾン、プレドニゾロン、アザチオプリン、タクロリムス、6−メルカプトプリン、サイクロスポリン、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ペゴールまたはナタリズマブである、上記[7]に記載の予防、改善または治療用薬剤;
[9].単回投与で長期間緩解維持効果を有する、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の薬剤;
[10].緩解維持効果が、腸炎の再燃もしくは再発の繰り返しを抑制し、緩解状態を維持する効果である、上記[9]に記載の薬剤;
[11].既存治療薬を単回もしくは複数回投与しても緩解維持しない炎症性腸疾患患者に対して処置される、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の薬剤;
[12].既存治療薬が上記[7]または[8]に記載の既存治療薬である、上記[11]に記載の薬剤;
[13].治療期間中は2〜30週間に1回投与される、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の薬剤;
[14].1回の投与量が0.01〜15mg/kgである、上記[13]に記載の薬剤;
[15].炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の薬剤;
[16].炎症性腸疾患が、クローン病である、上記[1]〜[14]のいずれかに記載の薬剤;
[17].抗CD81抗体を必要とする対象に投与することを含む、炎症性腸疾患の緩解を維持する方法;
[18].抗CD81抗体を必要とする対象に投与することを含む、難治性の炎症性腸疾患を予防、改善または治療する方法;
[19].難治性の炎症性腸疾患が、再燃若しくは再発を繰り返す炎症性腸疾患または慢性に病勢が持続する炎症性腸疾患を意味する、上記[18]に記載の方法;
[20].難治性の炎症性腸疾患が、ステロイド依存性またはステロイド抵抗性の炎症性腸疾患である、上記[18]または[19]に記載の方法;
[21].難治性の炎症性腸疾患が、通常の治療に抵抗性または耐性の炎症性腸疾患を意味する、上記[18]〜[20]のいずれかに記載の方法;
[22].通常の治療が、既存治療薬を投与することを意味する、上記[21]に記載の方法;
[23].既存治療薬が、5−アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫抑制剤、TNF阻害剤またはインテグリン阻害剤である、上記[22]に記載の方法;
[24].既存治療薬が、スルファサラジン、抗TNF抗体、サラゾスルファピリジン、メサラジン、ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、リン酸ベタメタゾン、プレドニゾロン、アザチオプリン、タクロリムス、6−メルカプトプリン、サイクロスポリン、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ぺゴールまたはナタリズマブである、上記[23]に記載の方法;
[25].単回投与で長期間緩解維持効果を発揮する上記[17]〜[24]のいずれかに記載の方法;
[26].緩解維持効果が、腸炎の再燃もしくは再発の繰り返しを抑制し、緩解状態を維持する効果である上記[25]に記載の方法;
[27].既存治療薬を単回もしくは複数回投与しても緩解維持しない炎症性腸疾患患者に対して抗CD81抗体を投与する、上記[17]〜[20]のいずれかに記載の方法;
[28].既存治療薬が上記[23]または[24]に記載の既存治療薬である、上記[27]に記載の方法;
[29].治療期間中は2〜30週間に1回投与される、上記[17]〜[28]のいずれかに記載の方法;
[30].1回の投与量が0.01〜15mg/kgである、上記[29]に記載の方法;
[31].炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、上記[17]〜[30]のいずれかに記載の方法;および
[32].炎症性腸疾患が、クローン病である、上記[17]〜[30]のいずれかに記載の方法。
本発明によって、抗CD81抗体が難治性の炎症性腸疾患を予防、改善、治療できること、単回の投与によっても長期間緩解維持効果を有することが明らかとなった。言い換えれば、既存の炎症性腸疾患(IBD)治療剤を単回、複数回投与しても緩解導入効果までしか発揮しない難治性の患者に対しても大きな効果を発揮することが明らかとなった。
従って、抗CD81抗体を有効成分とする薬剤は、単回投与により、炎症性腸疾患の緩解導入効果を示すのみならず、長期間緩解維持効果を示すことで緩解維持用薬剤として、また、難治性の炎症性腸疾患の予防、改善、治療用薬剤として利用することができる。更に、抗CD81抗体の単回投与により、炎症性腸疾患の緩解導入効果を発揮するのみならず、長期間緩解維持効果を示すことで緩解維持方法として、また、難治性の炎症性腸疾患の予防、改善、治療方法として利用することができる。
図1(a)は、実施例1の薬理試験において、マウス再燃緩解型潰瘍性大腸炎モデルに対してハムスターIgG抗体及び抗CD81抗体のそれぞれを単回投与した場合の大腸炎症状の経日変化を、図1(b)は、マウス再燃緩解型潰瘍性大腸炎モデルに対してラットIgG抗体及びラット抗TNF−α抗体のそれぞれを単回投与した場合、並びにスルファサラジンを毎日投与した場合の大腸炎症状の経日変化を示したグラフである。 図2は、実施例2の薬理試験において、マウス再燃緩解型炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)モデルに対してハムスターIgG抗体及び抗CD81抗体のそれぞれを単回投与した場合、並びにスルファサラジンを毎日投与した場合の大腸炎症状の経日変化を示したグラフである。 図3は、実施例3の薬理試験において、マウス再燃緩解型潰瘍性大腸炎モデルに対してハムスターIgG抗体及び抗CD81抗体のそれぞれを単回投与した場合の大腸炎症状の経日変化を示したグラフである。 図4は、実施例4の薬理試験において、マウス再燃緩解型潰瘍性大腸炎モデルに対してハムスターIgG抗体、抗CD81抗体クローン2F7及び抗CD81抗体クローンEat2のそれぞれを単回投与した場合の大腸炎症状の経日変化を示したグラフである。
以下の本発明を詳細に説明する。
(1)抗CD81抗体
本発明における抗CD81抗体は、CD81を特異的に認識する抗体であればよく、具体的には、CD81遺伝子の発現産物(タンパク質)(これを本明細書においては「CD81」ともいう)を特異的に認識することのできる抗体であればよい。
ここにおいて、CD81とは、ヒトCD81を示す特定のアミノ酸配列(配列番号2(NP_004347))で示される「タンパク質」または「(ポリ)ペプチド」だけでなく、これらと生物学的機能が同等であることを限度として、その同族体(ホモログやスプライスバリアント)、変異体、誘導体、成熟体及びアミノ酸修飾体などが包含される。ここでホモログとしては、ヒトのタンパク質に対応するマウスやラットなど他生物種のタンパク質が例示でき、これらはhttp://www.ncbi.nlm.nih.govに掲載された遺伝子の塩基配列(配列番号1(NM_004356))から演繹的に同定することができる。また変異体には、天然に存在するアレル変異体、天然に存在しない変異体、及び人為的に欠失、置換、付加または挿入されることによって改変されたアミノ酸配列を有する変異体が包含される。なお、上記変異体としては、変異のないタンパク質または(ポリ)ペプチドと、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%相同なものを挙げることができる。またアミノ酸修飾体には、天然に存在するアミノ酸修飾体、天然に存在しないアミノ酸修飾体が包含され、具体的にはアミノ酸のリン酸化体が挙げられる。
本発明で用いられる上記抗体には、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体が含まれる。重鎖の定常ドメインのタイプに依存して、抗体は、5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgMである。これらのうちのいくらかは、さらに、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのようなサブクラスまたはイソタイプに分けられる。
好ましくは、本発明の抗体はモノクローナル抗体である。これらにはヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、またはFabフラグメントやFab発現ライブラリーによって生成されるフラグメント、低分子化抗体(抗体断片も含む)、多特異性抗体等、さらに抗体修飾物が含まれる。また抗原結合性を有する上記抗体の一部が包含される。
「特異的に認識する」とは、CD81に結合することを意味する。
本発明で使用される抗CD81抗体は、例えば市販の抗CD81抗体(ファーミンジェン社製、サンタクルーズ社製、バイオレジェンド社製、サザンバイオテクノロジー社製、アンセル社製、モルフォシス社製、ケミコン社製、アブカム社製、イムノテック社製、R&D社製など)を使用することもできるし、公知の手段を用いて製造されるポリクローナル又はモノクローナル抗体であってもよい。
本発明で使用される抗CD81抗体として、特に哺乳動物由来のモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体が好ましい。モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体は当業者に公知の方法によって作製することができる。
哺乳動物由来のモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体としては、動物の血中に産生されるもの、ハイブリドーマによって産生されるもの、および遺伝子工学的手法により抗体遺伝子を含む発現ベクターで形質転換した宿主によって産生されるもの、ファージディスプレイにより1兆個の分子からなる莫大なクローンライブラリーから最適抗体がスクリーニングされ、その遺伝子をCHO細胞工場で大量生産されるもの、もしくは、ヒトの抗体を生産するトランスジェニックマウスを使い、直接ヒト抗体が得られるものなどが挙げられる。
ポリクローナル抗体の作製のために本発明の抗CD81抗体取得の感作抗原として使用されるタンパク質は、ヒト、マウス、ラットなど、その由来となる動物種に制限されない。しかし細胞融合に使用する親細胞との適合性を考慮して選択することが好ましく、一般的には、哺乳動物由来のタンパク質が好ましく、特にヒト由来のタンパク質が好ましい。例えば、CD81がヒトCD81の場合、ヒトCD81タンパク質やヒトCD81を発現する細胞、ヒトCD81の部分ペプチドなどを用いることができる。また、完全なタンパク質あるいはタンパク質の部分ペプチドであってもよい。タンパク質の部分ペプチドとしては、例えば、タンパク質のアミノ基(N)末端断片やカルボキシ(C)末端断片が挙げられる。本発明における抗CD81抗体とは、タンパク質の全長又は断片に結合する抗体を意味する。
例えば、ポリクローナル抗体は、次のようにして得ることができる。すなわち、天然のCD81タンパク質、あるいはGSTとの融合タンパク質として大腸菌等の微生物において発現させたリコンビナントCD81タンパク質、またはその部分ペプチドをウサギ等の小動物に免疫し血清を得る。これを、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、CD81タンパク質や合成ペプチドをカップリングしたアフィニティーカラム等により精製することにより調製する。
抗原の調製は、例えば、バキュロウイルスを用いた方法(例えば、国際公開第WO98/46777号など)などに準じて行うことができる。抗原の免疫原性が低い場合には、アルブミン等の免疫原性を有する巨大分子と結合させ、免疫を行えばよい。
モノクローナル抗体の製造方法としては、公知の方法にしたがって、感作抗原を動物に免疫する。一般的方法として、感作抗原を哺乳動物の腹腔内または皮下に注射することにより行われる。具体的には、感作抗原をPBS(Phosphate-Buffered Saline)や生理食塩水等で適当量に希釈、懸濁したものに所望により通常のアジュバント、例えばフロイント完全アジュバントを適量混合し、乳化後、哺乳動物に4−21日毎に数回投与する。また、感作抗原免疫時に適当な担体を使用することもできる。
このように哺乳動物を免疫し、血清中に所望の抗体レベルが上昇するのを確認した後に、哺乳動物から免疫細胞を採取し、細胞融合に付すが、好ましい免疫細胞としては、特に脾細胞が挙げられる。前記免疫細胞と融合される他方の親細胞として、哺乳動物のミエローマ細胞を用いる。このミエローマ細胞は、公知の種々の細胞株、例えば、P3U1(P3−X63Ag8U1)、P3(P3x63Ag8.653)(J.Immunol.(1979)123,1548-1550)、P3x63Ag8U.1(Current Topics in Microbiology and Immunology(1978)81,1-7)、NS−1(Kohler.G.and Milstein,C.,Eur.J.Immunol.(1976)6,511-519)、MPC−11(Margulies.D.H.et al.,Cell(1976)8,405-415)、SP2/0(Shulman,M.et al.,Nature(1978)276,269-270)、FO(de St.Groth,S.F.et al.,J.Immunol.Methods(1980)35,1-21)、S194(Trowbridge,I.S.,J.Exp.Med.(1978)148,313-323)、R210(Galfre,G.et al.,Nature(1979)277,131-133)等が好適に使用される。
前記免疫細胞とミエローマ細胞との細胞融合は、基本的には公知の方法、たとえば、ケーラーとミルステインらの方法(Kohler.G.and Milstein,C.、Methods Enzymol.(1981)73,3-46)等に準じて行うことができる。
より具体的には、前記細胞融合は、例えば細胞融合促進剤の存在下に通常の栄養培養液中で実施される。融合促進剤としては、例えばポリエチレングリコール(PEG)、センダイウイルス(HVJ)等が使用され、更に所望により融合効率を高めるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を添加使用することもできる。
免疫細胞とミエローマ細胞との使用割合は任意に設定することができる。例えば、ミエローマ細胞に対して免疫細胞を1−10倍とするのが好ましい。前記細胞融合に用いる培養液としては、例えば、前記ミエローマ細胞株の増殖に好適なRPMI1640培養液、MEM培養液、その他、この種の細胞培養に用いられる通常の培養液が使用可能であり、さらに、牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできる。
細胞融合は、前記免疫細胞とミエローマ細胞との所定量を前記培養液中でよく混合し、予め37℃程度に加温したPEG溶液(例えば平均分子量1000−6000程度)を通常30−60%(w/v)の濃度で添加し、混合することによって目的とするハイブリドーマを形成する。続いて、適当な培養液を逐次添加し、遠心して上清を除去する操作を繰り返すことによりハイブリドーマの生育に好ましくない細胞融合剤等を除去する。
このようにして得られたハイブリドーマは、通常の選択培養液、例えばHAT培養液(ヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジンを含む培養液)で培養することにより選択される。上記HAT培養液での培養は、目的とするハイブリドーマ以外の細胞(非融合細胞)が死滅するのに十分な時間(通常、数日〜数週間)継続する。ついで、通常の限界希釈法を実施し、目的とする抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングおよび単一クローニングを行う。
また、ヒト以外の動物に抗原を免疫して上記ハイブリドーマを得る他に、ヒトリンパ球、例えばEBウィルスに感染したヒトリンパ球をin vitroでタンパク質、タンパク質発現細胞又はその溶解物で感作し、感作リンパ球をヒト由来の永久分裂能を有するミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、所望の活性(例えば、細胞遊走抑制活性)を有するヒト抗体を産生するハイブリドーマを得ることもできる。
このようにして作製されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培養液中で継代培養することが可能であり、また、液体窒素中で長期保存することが可能である。すなわち、所望の抗原や所望の抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングすることによって作製できる。当該ハイブリドーマからモノクローナル抗体を取得するには、当該ハイブリドーマを通常の方法に従い培養し、その培養上清として得る方法、あるいはハイブリドーマをこれと適合性がある哺乳動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法などが採用される。前者の方法は、高純度の抗体を得るのに適しており、一方、後者の方法は、抗体の大量生産に適している。
ヒト抗体は、ヒト由来の抗体遺伝子の発現産物である抗体を意味する。ヒト抗体は、例えば、ヒト抗体遺伝子座を導入し、ヒト由来抗体を産生する能力を有するトランスジェニック動物に抗原を投与することにより得ることができる。該トランスジェニック動物としてマウスが挙げられ、ヒト抗体を産生し得るマウスの作出方法は、例えば、国際公開WO02/43478号に記載されている。
本発明におけるモノクローナル抗体には、抗体を構成する重鎖および/または軽鎖の各々のアミノ酸配列において一若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する重鎖および/または軽鎖からなるモノクローナル抗体も包含される。本発明による抗体のアミノ酸配列中への、このようなアミノ酸の部分的改変(欠失、置換、挿入、付加)は、そのアミノ酸配列をコードする塩基配列を部分的に改変することにより導入することができる。この塩基配列の部分的改変は、既知の部位特異的変異導入法(Site specific mutagenesis)を用いて常法により導入することができる(Proc.Natl.Acsd.Sci.USA.,1984 Vol81,5662; Sambrook et al.,Molecular Cloning A Laboratory Manual (1989) Second edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press)。
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体も使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。
キメラ型抗体は、異なる動物種に由来する2以上の部分の結合によって特徴づけられる免疫グロブリン分子である。一般に、キメラ型抗体の可変領域(V領域)は、ヒト以外の哺乳類抗体(例えばマウスモノクローナル抗体)に由来し、その免疫グロブリン定常領域(C領域)は、ヒト免疫グロブリン分子に由来する。好ましくは、低免疫原性を持つ可変領域を選択し、それを、やはり低免疫原性を持つヒト定常領域と組み合わせる。そして、その組み合わせもまた、低い免疫原性を持つことが好ましい。キメラ型抗体には、一価、二価又は多価免疫グロブリンが含まれる。一価のキメラ型抗体は、ジスルフィド橋を介してキメラL鎖と結合したキメラH鎖によって形成される二量体(HL)である。二価のキメラ型抗体は、少なくとも1つのジスルフィド橋を介して結合した2つのHL二量体によって形成される四量体(H2L2)である。
キメラ型抗体及びそれらの製造方法は、当該技術分野で既に記述されている(Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851〜6855(1984);Boulianne et al.,Nature 312:643〜646(1984);Liu et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84 :3439〜3443(1987);Sun et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:214〜218(1987);Better et al.,Science 240:1041〜1043(1988);及びHarlowとLane,ANTIBODIES: ALABORATORY MANUAL Cold Spring Harbor Laboratory(1988))。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、例えばマウス抗体の相補性決定領域(CDR)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている(欧州特許出願公開番号EP125023号明細書、国際公開第WO92−19759号参照)。ヒト化抗体の製造方法としては、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(FR;framework region)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAとヒト抗体C領域をコードするDNAとを連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP239400号明細書、国際公開第WO92−19759号参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のフレームワーク領域は、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するように選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato,K.et al.,Cancer Res.(1993) 53,851-856)。
キメラ抗体、ヒト化抗体には、ヒト抗体C領域が使用される。ヒト抗体C領域としては、Cγが挙げられ、例えば、Cγ1、Cγ2、Cγ3又はCγ4を使用することができる。また、抗体又はその産生の安定性を改善するために、ヒト抗体C領域を修飾してもよい。キメラ抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の可変領域とヒト抗体由来のC領域からなり、ヒト化抗体はヒト以外の哺乳動物由来抗体の相補性決定領域とヒト抗体由来のフレームワーク領域およびC領域からなり、ヒト体内における抗原性が低下しているため、本発明に使用される抗体として有用である。
本発明で使用される抗体は、本発明に好適に使用され得るかぎり、抗体の断片やその修飾物であってよい。例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)2、Fv又はH鎖とL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)ダイアボディ、低分子化抗体、一本鎖抗体等が挙げられる。
低分子化抗体は、全長抗体(whole antibody、例えばwhole IgG等)の一部分が欠損している抗体断片を含み、抗原(CD81タンパク質)への結合能を有していれば特に限定されない。抗体断片は、全長抗体の一部分であれば特に限定されないが、重鎖可変領域(VH)又は/及び軽鎖可変領域(VL)を含んでいることが好ましい。
一本鎖抗体とは、「単鎖Fv」すなわち「sFv」抗体フラグメントとも呼ばれ、抗体のVH及びVLドメインを含有し、これらのドメインはポリペプチド単鎖に存在する。「Fv」断片は最小の抗体断片であり、完全な抗原認識部位と結合部位を含む。一般的に「Fv」断片は1つのVHおよびVLが非共有結合により強く連結されたダイマー(VH−VLダイマー)である。各可変領域の3つの相補性決定領域(complementarity determining region;CDR)が相互作用し、VH−VLダイマーの表面に抗原結合部位を形成する。6つのCDRが抗体に抗原結合部位を付与している。しかしながら、1つの可変領域(または、抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)であっても、全結合部位よりも親和性は低いが、抗原を認識し、結合する能力を有する。Fvポリペプチドは、sFvが抗体結合のための所望の構造を形成できるように、VHとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含んでいる(Pluckthun,The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenberg and Moore eds.Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994))。
低分子抗体や一本鎖抗体の製造方法は、例えば、抗体を酵素、例えば、パパイン、ペプシンで処理し抗体断片を生成させるか、又は、これら抗体断片をコードする遺伝子を構築し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co,M.S.et al.,J.Immunol.(1994) 152,2968-2976、Better,M.& Horwitz,A.H.Methods in Enzymology (1989) 178,476-496、Plueckthun,A.& Skerra,A.Methods in Enzymology (1989) 178,497-515、Lamoyi,E.,Methods in Enzymology (1986) 121,652-663、Rousseaux,J.et al.,Methods in Enzymology (1986) 121,663-669、Bird,R.E.et al.,TIBTECH (1991) 9,132-137参照)。
scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域を連結することにより得られる。これらの領域は単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、FvポリペプチドはさらにVHおよびVLの間にポリペプチドリンカーを含んでおり、これによりscFvは、抗原結合のために必要な構造を形成することができる(scFvの総説については、Pluckthun“The Pharmacology of Monoclonal Antibodies”Vol.113(Rosenberg and Moore eds. (Springer Verlag,New York) pp.269-315,1994)を参照)。リンカーは、その両端に連結された抗体可変領域の発現を阻害するものでなければ特に限定されない。
このscFvにおいて、H鎖V領域とL鎖V領域はリンカー、好ましくは、ペプチドリンカーを介して連結される(Huston,J.S.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1988) 85,5879-5883)。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域は、上記抗体として記載されたもののいずれの由来であってもよい。V領域を連結するペプチドリンカーとしては、例えばアミノ酸12−19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。
scFvをコードするDNAは、前記抗体のH鎖又は、H鎖V領域をコードするDNA、およびL鎖又は、L鎖V領域をコードするDNAを鋳型とし、それらの配列のうちの所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNAおよびその両端を各々H鎖、L鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合せて増幅することにより得られる。また、一旦scFvをコードするDNAが作製されれば、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いて常法に従って、scFvを得ることができる。
ダイアボディは、遺伝子融合により構築された二価(bivalent)の抗体断片を指す(Holliger,P.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444-6448(1993)、欧州特許出願公開第404097号明細書、国際公開第WO93/11161号等)。ダイアボディは、2本のポリペプチド鎖から構成されるダイマーであり、通常、ポリペプチド鎖は各々、同じ鎖中でVL及びVHが、互いに結合できない位に短い、例えば、5残基程度のリンカーにより結合されている。同一ポリペプチド鎖上にコードされるVLとVHとは、その間のリンカーが短いため単鎖可変領域フラグメントを形成することが出来ず二量体を形成するため、ダイアボディは2つの抗原結合部位を有することとなる。
sc(Fv)2は、2つのVH及び2つのVLをリンカー等で結合して一本鎖にした低分子化抗体である(Hudson et al.,J Immunol.Methods 1999;231:177-189)。sc(Fv)2は、例えば、scFvをリンカーで結ぶことによって作製できる。
本発明において、抗体の可変領域を結合するリンカーとしては、遺伝子工学により導入し得る任意のペプチドリンカー、又は合成化合物リンカー(例えば、Protein Engineering,9(3),299-305,1996参照)に開示されるリンカー等を用いることができる。ペプチドリンカーを用いる場合、その長さは特に限定されず、目的に応じて当業者が適宜選択することが可能であるが、通常、1〜100アミノ酸、好ましくは3〜50アミノ酸、更に好ましくは5〜30アミノ酸、特に好ましくは12〜18アミノ酸(例えば、15アミノ酸)である。合成化学物リンカー(化学架橋剤)は、ペプチドの架橋に通常用いられている架橋剤、例えばN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、ジスクシンイミジルスベレート(DSS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベレート(BS3)、ジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)、ジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)、エチレングリコールビス(スクシンイミジルスクシネート)(EGS)エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシネート)(スルホ−EGS)、ジスクシンイミジル酒石酸塩(DST)、ジスルホスクシンイミジル酒石酸塩(スルホ−DST)、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(BSOCOES)、ビス[2−(スルホスクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン(スルホ−BSOCOES)などであり、これらの架橋剤は市販されている。
これら抗体の断片は、前記と同様にしてその遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。本願特許請求の範囲でいう「抗体」にはこれらの抗体の断片も包含される。
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。本願特許請求の範囲でいう「抗体」にはこれらの抗体修飾物も包含される。このような抗体修飾物を得るには、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。これらの方法はこの分野においてすでに確立されている。
前記のように産生、発現された抗体は、細胞内外、宿主から分離し均一にまで精製することができる。本発明で使用される抗体の分離、精製はアフィニティークロマトグラフィーにより行うことができる。アフィニティークロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、プロテインAカラム、プロテインGカラムが挙げられる。プロテインAカラムに用いる担体として、例えば、HyperD、POROS、SepharoseF.F.等が挙げられる。その他、通常のタンパク質で使用されている分離、精製方法を使用すればよく、何ら限定されるものではない。
例えば、上記アフィニティークロマトグラフィー以外のクロマトグラフィー、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせれば、本発明で使用される抗体を分離、精製することができる。クロマトグラフィーとしては、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらのクロマトグラフィーはHPLC(High performance liquid chromatography)に適用し得る。また、逆相HPLCを用いてもよい。
(2)炎症性腸疾患
炎症性腸疾患とは、腸が炎症を起こし、腹部の激しい痛みと下痢を繰り返し起こす状態の疾患であり、その病態から潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis;UCと略される)とクローン病(Crohn's disease;CDと略される)とに分類されるが、共に長期にわたり、多くが緩解、再燃を繰り返す疾患である。
現在、炎症性腸疾患の治療用医薬品の効能効果としては、例えば、免疫抑制剤であるアザチオプリン(azathioprine)は、日本においては、「ステロイド依存性のクローン病の緩解導入及び緩解維持並びにステロイド依存性の潰瘍性大腸炎の緩解維持」として承認され、免疫抑制剤であるタクロリムス(tacrolimus)は、日本においては、「難治性(ステロイド抵抗性、ステロイド依存性)の活動期潰瘍性大腸炎(中等症〜重症に限る)」として承認されている。また、抗TNF抗体であるインフリキシマブ(infliximab)は、日本においては、クローン病に対して「栄養療法、他の薬物療法(5−アミノサリチル酸製剤等)等の適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に本剤の投与を行うこと。」とされている。また、該医薬品は、米国においては、クローン病については、「通常の治療に抵抗性の中等度〜重症の成人あるいは若年性活動性クローン病患者における徴候と症状の抑制と緩解導入および維持。ろう孔を伴う成人クローン病患者の外腸瘻数および直腸膣瘻の減少とろう孔の閉塞の維持」として、潰瘍性大腸炎については、「通常の治療に抵抗性の中等度〜重症の活動性潰瘍性大腸炎患者における徴候と症状の抑制、臨床的緩解と粘膜治癒の導入および維持」として承認を受けている。
このように、炎症性腸疾患の治療には、緩解導入と緩解維持という用途が認められ、さらに、軽症〜重症の概念、既存の薬剤に抵抗性のある、難治性等の疾患の状態の区別が認められている。ここにおいて、緩解導入とは、血便、腸管の潰瘍やびらん、QOLの低下などの活動期病変に緩解を導入することを意味する。また、緩解維持とは、活動期病変の再燃/再発の繰り返しを抑制し、出来るだけ長期に緩解状態を維持することを意味する。ここで、「緩解」とは、炎症性腸疾患の症状である下痢、下血、腹痛、発熱、体重減少、肛門痛等の病勢をCDAI(Crohn's disease activity index)、IOIBDアセスメントスコア、Dutch AI、潰瘍性大腸炎活動性指数などの活動指数として示し、活動指数が改善されることを意味する。
難治性とは、栄養療法や他の薬物療法等の通常の治療を適切に行っていても、再燃を繰り返したり、慢性に病勢が持続する等の疾患に起因する臨床症状が残る状態を意味する。「慢性に病勢が持続する」とは、治療開始後6ヶ月以上症状が持続している状態を意味し、ステロイド依存性またはステロイド抵抗性等の通常の治療に抵抗性又は耐性の状態(疾患)が含まれる。
通常の治療に使用される既存治療薬としては、5−アミノサリチル酸製剤(例えば、サラゾスルファピリジン、スルファサラジン、メサラジン)、ステロイド(例えば、ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、リン酸ベタメタゾン、プレドニゾロン)、免疫抑制剤(例えば、アザチオプリン、タクロリムス、6−メルカプトプリン、サイクロスポリン)、TNF阻害剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ぺゴール)、インテグリン阻害剤(例えば、ナタリズマブ)が例示できる。
本発明においては、IBDの中でも再燃緩解型の炎症性腸疾患(IBD)に対して、単回投与で、長期間に亘って緩解維持効果を有し、改善または治療に有効である抗CD81抗体を有効成分とする薬剤を提供する。本発明において、再燃とは、炎症性腸疾患の症状が治まった後の一定期間後に再度症状が現れることを意味し、再発も同様の意味を有する。
特許文献2(国際公開番号WO/2005/021792号)には、CD81がIBD惹起性細胞に高発現しており、抗CD81抗体が、初回発作型のマウス大腸炎モデルに対して治療効果を示すという新たな知見が示されている。しかしながら、国際公開番号WO/2005/021792号には、抗CD81抗体が、再燃(再発)と緩解を繰り返す再燃緩解型および慢性持続型の難治性炎症性腸疾患の予防、改善または治療にも有効であるということについてまでは、明らかにされていない。本発明者は、再燃緩解型症状の炎症性腸疾患を示す新たな動物モデルを作製し、この動物モデルに対して、抗CD81抗体を単回投与するだけで、長期間に亘って腸炎の持続と再燃(再発)を抑制できることを新たに見出した。本発明は、抗CD81抗体が再燃緩解型(再燃(再発)と緩解を繰り返す症状)および慢性持続型の難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療にも有効であるという新たな知見に基づくものである。
したがって、本発明が提供するIBDの緩解維持用薬剤乃至難治性のIBDの予防、改善および治療用薬剤は、既存の治療剤が有さない緩解維持効果を有する抗CD81抗体を有効成分とするものである。言い換えれば既存の治療剤では単回もしくは複数回投与しても再燃(再発)と緩解を繰り返す症状が予防、改善または治療されない患者に対して、単回の投与でも上記症状が予防、改善または治療できるものである。
抗CD81抗体を有効成分として含有する薬剤は、経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。投与量は、有効成分の種類、投与経路、投与対象または患者の年齢、体重、症状などによって異なり一概に規定できないが、通常、1回投与用量として、0.01〜15mg/kg、好ましくは1〜15mg/kg、より好ましくは、3〜5mg/kgを、または、好ましくは0.01〜5mg/kg、より好ましくは0.05〜5mg/kgを、投与間隔としては、その効果が続く限り次の投与は行わずともよい。例えば、治療期間中は2〜30週間、2〜15週間、2〜13週間、2〜10週間または2〜8週間に1回投与される、或いは、数週間もしくは数ヶ月に1回、1年若しくは数年に一回の頻度でよい場合もある。言い換えれば、抗CD81抗体は、通常、1回投与用量として、0.01〜15mg/kg、好ましくは1〜15mg/kg、より好ましくは、3〜5mg/kg、または、好ましくは0.01〜5mg/kg、より好ましくは0.05〜5mg/kgを投与することにより、2〜13週間、2〜10週間または2〜8週間の長期間に亘って緩解維持効果を発揮することができる。また薬効が十分に得られない、あるいは薬効が減弱した場合は、上記を1サイクルとして、複数回(例えば、2〜5回程度)投与を行い、薬効を達成・維持させることも可能である。
抗CD81抗体を有効成分として含有する薬剤自体は、公知の製剤学的方法により製剤化した薬剤として投与を行う。例えば、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で使用できる。また、例えば、薬理学上許容される担体もしくは媒体、具体的には、滅菌水や生理食塩水、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、ベヒクル、防腐剤などと適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することが考えられる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。
注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水溶液としては、例えば生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウムが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えばアルコール、具体的にはエタノール、ポリアルコール、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80TM、HCO−50と併用してもよい。
油性液としてはゴマ油、大豆油があげられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールと併用してもよい。また、緩衝剤、例えばリン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、無痛化剤、例えば、塩酸プロカイン、安定剤、例えばベンジルアルコール、フェノール、酸化防止剤と配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例1
抗CD81抗体単回投与によるDSS(デキストラン硫酸水溶液)誘発マウス大腸炎モデルに対する再燃抑制効果
マウスにDDS(デキストラン硫酸水溶液)を投与して再燃緩解型の潰瘍性大腸炎を誘発し、この再燃緩解型潰瘍性マウス大腸炎モデルに、抗CD81抗体を単回投与し、既存治療剤である抗TNF−α抗体の単回投与及びサルファサラジンの複数回投与と比較し、抗CD81抗体を単回投与した場合の潰瘍性大腸炎の再燃(再発)抑制効果について調べた。
1.方法
(1)DSSの調製
デキストラン硫酸(TdB consultancy AB社製、平均分子量47,000)を飲料水に溶解し、1%水溶液に調製した。
(2)投与液の調製
対象検体薬として、ハムスター抗CD81抗体、ラット抗TNF−α抗体およびスルファサラジンを用い、病態コントロール検体薬として、ラットIgG及びハムスターIgGを用いた。
ハムスター抗CD81抗体(Clone:2F7、Southernbiotech社製、マウスCD81に対するモノクローナル抗体)とラットIgGは原液を濃縮した液に、ラット抗TNF−α抗体とハムスターIgGは原液にリン酸バッファーを添加して、0.25mg/ml投与液とした。スルファサラジン(シグマ社製)は、メチルセルロース(ナカライテスク社製)を注射用蒸留水(大塚製薬社製)で、0.5%に溶解した水溶液に、20mg/mlでスルファサラジンを懸濁し投与液とした。
(3)群分け、DSS摂取および投薬
4週齢のマウス(BALB/cAnNCrj、♂、日本チャールズリバー社製)を購入し、6日間の検疫飼育後に異常の観察されなかったマウスの体重を測定し、1群10匹で6群に群分けした。群分け日から5日間、1%DSSを5群のマウスに自由摂取させ(1回目DSS摂取)、1群は正常マウス群として、通常飲料水を摂取させた。5日間、DSSを摂取させた後に、6群全てのマウスに通常飲料水を5日間、摂取させた。通常飲料水摂取後に、5日間、1%DSSを5群のマウスに自由摂取させ(2回目DSS摂取)、1群は正常マウス群として通常飲料水を摂取させた後に試験を終了とした。群分け日に、0.5mg/マウスで、ハムスターIgG、ラットIgG、抗CD81抗体、抗TNF抗体を腹腔内に1回投与した。群分け日から試験終了日の前日までに、1日1回、スルファサラジン投与液を200mg/kgで経口投与した。
(4)大腸炎症状スコア判定
群分け日から試験終了日までの大腸炎症状観察を行った。大腸炎症状は便の状態(正常便(スコア:0)、軟便(スコア:1)、下痢(スコア:2))でスコア判定した。
(5)潰瘍スコア判定
実験終了日に、全群のマウス尾静脈に0.1mlの2.5%ブリリアントブルー6B液を静注した。静注10分後に炭酸ガスで安楽死処分し、心臓採血にて脱血した。肛門の2cm上から4cmまでの大腸を摘出し、生理食塩水でよく洗い、ろ紙に挟み75%エタノールで30分間固定化し、5%過酸化水素含有生理食塩水で10分間浸した。その後、エタノール液でよく洗い、潰瘍の大きさを測定した。1平方ミリ以上の潰瘍があるマウスを潰瘍スコア「1」、1平方ミリ以上の潰瘍がないマウスを潰瘍スコア「0」とした。
2.結果
(1)大腸炎症状スコア判定による大腸炎症状の経日変化
図1(a)に、ハムスターIgG及びハムスター抗CD81抗体のそれぞれを単回投与した場合、並びに通常飲料水を摂取させた場合(正常群)の大腸炎症状スコア判定による大腸炎症状の経日変化を、図1(b)に、ラットIgG及びラット抗TNF−α抗体をそれぞれ単回投与した場合、並びにスルファサラジンを毎日投与した場合の大腸炎症状スコア判定による大腸炎症状の経日変化を示した。図1(a)及び図1(b)において、Day0が群分け日、Day0から4までが1回目DSS摂取期間、Day5から9までが通常飲料水摂取期間、Day10から14までが2回目DSS摂取期間に相当する。
図1(a)のハムスターIgG投与群及び図1(b)のラットIgG投与群から明らかなように、DSS1回目摂取時の大腸炎症状は、図1(a)及び図1(b)のDay5からDay9に1回目の症状ピーク(初回大腸炎)として認められ、2回目再燃時の腸炎症状(再燃大腸炎)は、図1(a)及び図1(b)のDay10からDay14に認められた。そして、スルファサラジンを毎日投与した場合及びラット抗TNF−α抗体を単回投与した場合の初回大腸炎及び再燃大腸炎の抑制効果に比べて、ハムスター抗CD81抗体を単回投与した場合には、初回大腸炎及び再燃大腸炎の強い抑制効果が認められた。
(2)大腸炎症状スコア判定および潰瘍スコア判定
図1(a)及び図1(b)の大腸炎症状の経日変化の結果に基づき、Day5からDay9の各マウスの平均した大腸炎スコアを初回大腸炎スコアとし、Day10からDay14の各マウスの平均した大腸炎スコアを再燃大腸炎スコアとした。そして、各群の大腸炎スコア(初回大腸炎スコア及び再燃大腸炎スコア)と潰瘍スコアを、Wilcoxonの検定で病態コントロール群(ハムスターIgG投与群)との2群比較を行った。それらの結果を表1と表2に示した。
表1および2の結果から明らかなように、抗CD81抗体の単回投与により、既存治療薬である抗TNF−α抗体の単回投与及びスルファサラジンの毎日投与に比べて、有意に、初回大腸炎及び再燃大腸炎の症状を強力に抑制することができ、また、初回大腸炎及び再燃大腸炎の後において、大腸潰瘍を強力に抑制することができた。従って、抗CD81抗体の単回投与により、潰瘍性大腸炎などの再燃緩解型の炎症性腸疾患に対して、長期間に亘って緩解維持効果が発揮されることが明らかとなった。
実施例2
抗CD81抗体のTNBS(2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸)誘発マウス大腸炎モデルに対する長期間緩解効果
マウスにTNBSを投与して得られる再燃緩解型炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎)モデルに、抗CD81抗体を単回投与し、既存治療剤であるサルファサラジンの複数回投与と比較し、抗CD81抗体を単回投与した場合の炎症性腸疾患の再燃(再発)抑制効果について調べた。
1.方法
(1)TNP−OVAの調製
卵白アルブミン(OVA:Sigma)0.5gとKCO(ナカライテスク)0.5gを25ml注射用蒸留水に溶解した(OVA溶液)。25mlの0.1MKCOに2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS:ナカライテスク)0.5gを溶解した(TNBS溶液)。OVA溶液とTNBS溶液を混合し、室温で一晩攪拌した。攪拌した溶液を透析膜(Spectra/Por Membrane MWCO:10,000、Spectrum Medical Industries Inc.)で0.01MNaHCO(ナカライテスク)に透析した。透析した溶液をBCAタンパクアッセイ試薬(Peirce)でタンパク定量した。
(2)群分け、感作、チャレンジ、再燃および投薬
5週齢のマウス(SJL/JorlIcoCrj、♂、日本チャールス.リバー)背部に完全フロイントアジュバント(CFA:Difco Laboratories)と2mg/mlTNP−OVAの1:1乳化液を0.1ml/headで皮下注射(感作)した。感作7日後に10mg/mlTNBS50%エタノール溶液をエーテル麻酔下で注腸(0.2ml/headを肛門より3cmまでゾンデを挿入して注入:チャレンジ)した。チャレンジ6日後の体重と症状スコアで1群7匹、4群で群分けした。群分け21日後に1日絶食させ、23日後に10mg/mlTNBS50%エタノール溶液をエーテル麻酔下で再度、注腸(0.2ml/headを肛門より3cmまでゾンデを挿入して注入:チャレンジ)した。群分け28日後に試験を終了した。
4群は、それぞれ、1mg(0.2ml)/head抗CD81抗体溶液(Clone:2F7、Southernbiotech社製)投与群、0.1mg(0.2ml)/head抗CD81抗体溶液(Clone:2F7、Southernbiotech社製)投与群、0.2ml/headコントロール抗体投与病態コントロール群、200mg/kgスルファサラジン(SSZ:Sigma)投与群を設定した。コントロール抗体として、ハムスターIgGを用いた。
投薬は抗体投与群と病態コントロール群には群分け日に単回、腹腔内投与し、SSZは群分け日から1日1回連日経口投与した。群分け28日後に実験を終了した。SSZ溶液は0.5%メチルセルロース(ナカライテスク)溶液に懸濁した。
(3)症状スコア判定
群分け(抗CD81抗体の単回投与後)15日目から28日目までの大腸炎症状観察を行い効果の持続を調べた。腸炎症状は便の状態(正常便(スコア:0)、軟便(スコア:1)、下痢(スコア:2))でスコア判定した。死亡個体は結果より除いた。統計処理はWilcoxon順位和検定で病態コントロール群と抗CD81抗体投与群あるいはSSZ投与群での2群比較を行った。
2.結果
群分け(抗CD81抗体の単回投与後)15日目から28日目までの大腸炎症状スコアの各群の平均値と標準誤差(SEM)を表3に示した。また、図2に、ハムスターIgG単回投与群、1mg(0.2ml)/head抗CD81抗体単回投与群、並びにスルファサラジン毎日投与群の大腸炎症状の経日変化を示した。
表3の結果から、抗CD81抗体(1mg/head)単回投与後の15日目から28日目までで、TNBS誘発大腸炎マウスの腸炎症状の改善効果が持続されていたことが判った。また、図2の結果から、抗CD81抗体を1回、炎症性腸疾患モデルに投与することで、長期間に亘って緩解維持効果を発揮することがわかった。
実施例3
抗CD81抗体単回投与によるDSS(デキストラン硫酸水溶液)誘発マウス大腸炎モデルに対する再燃抑制効果
マウスにDSS(デキストラン硫酸水溶液)を投与して得られる再燃緩解型潰瘍性大腸炎モデルに、抗CD81抗体を単回投与し、より長期間に亘って再燃緩解型潰瘍性大腸炎を誘発した場合の抗CD81抗体の再燃抑制効果について調べた。
1.方法
(1)DSSの調製
デキストラン硫酸(和光純薬社製、平均分子量5,000)を飲料水に溶解し、2%水溶液に調製した。
(2)投与液の調製
対象検体薬としてハムスター抗CD81抗体を、病態コントロール検体薬としてハムスターIgGを用いた。ハムスター抗CD81抗体(Clone:2F7、Southernbiotech社製)は原液を濃縮した液を投与液とし、ハムスターIgGは原液にリン酸バッファーを添加して0.25mg/ml投与液とした。
(3)群分け、DSS摂取および投薬
4週齢のマウス(BALB/cAnNCrlCrlj、♂、日本チャールズリバー社製)を購入し、7日間の検疫飼育後、7日間の通常飼育後にマウスの体重を測定し、1群6匹で2群に群分けした。群分け日に、0.5mg/マウスで、ハムスターIgGまたは抗CD81抗体を腹腔内に1回投与した。群分け日から5日間、2%DSSを全てのマウスに自由摂取させた後に(1回目DSS摂取)、通常飲料水を10日間摂取させた。次に5日間、2%DSSを全てのマウスに自由摂取させた後に(2回目DSS摂取)、通常飲料水を9日間摂取させた。次に5日間、2%DSSを全てのマウスに自由摂取させた後に(3回目DSS摂取)、通常飲料水を16日間摂取させた。次に7日間、2%DSSを全てのマウスに自由摂取させて(4回目DSS摂取)、試験を終了した。
(4)大腸炎症状スコア判定
群分け日から試験終了日までの大腸炎症状観察を行った。大腸炎症状は便の状態(正常便(スコア:0)、軟便(スコア:1)、下痢(スコア:2))でスコア判定した。
2.結果
図3に、ハムスターIgG及びハムスター抗CD81抗体のそれぞれを単回投与した場合の大腸炎症状スコア判定による大腸炎症状の経日変化を示した。図3において、Day0が群分け日、Day0からDay5までが1回目DSS摂取期間、Day15からDay20までが2回目DSS摂取期間、Day29からDay34までが3回目DSS摂取期間、Day50からDay56までが4回目DSS摂取期間に相当する。図3から明らかなように、抗CD81抗体はDay0に1回投与したのみで、初回DSS誘発大腸炎の抑制に加え、その後の3回のDSS誘発大腸炎の再発を抑制し改善する長期緩解維持効果が認められた。
実施例4
抗CD81抗体単回投与によるDSS(デキストラン硫酸水溶液)誘発マウス大腸炎モデルに対する再燃抑制効果
マウスにDSS(デキストラン硫酸水溶液)を投与して得られる再燃緩解型潰瘍性大腸炎モデルに、抗CD81抗体クローン2F7またはクローンEat2を単回投与し、再燃緩解型潰瘍性大腸炎を複数回誘発した場合の抗CD81抗体の各クローンの再燃抑制効果について調べた。
1.方法
(1)DSSの調製
デキストラン硫酸(和光純薬社製、平均分子量5,000)を飲料水に溶解し、2%水溶液に調製した。
(2)投与液の調製
対象検体薬として、2種類のハムスター抗CD81抗体を、病態コントロール検体薬として、ハムスターIgGを用いた。
ハムスター抗CD81抗体(共に抗マウスCD81モノクローナル抗体であるClone:2F7、Southernbiotech社製またはClone:Eat2、Biolegend社製)は原液を濃縮した液を投与液とし、ハムスターIgGは原液にリン酸バッファーを添加して、0.1mg/ml投与液とした。
(3)群分け、DSS摂取および投薬
4週齢のマウス(BALB/cAnNCrlCrlj、♂、日本チャールズリバー社製)を購入し、7日間の検疫飼育後にマウスの体重を測定し、1群15匹で4群に群分けした。群分け日に、0.2mg/マウスで、ハムスターIgG、抗CD81抗体クローン2F7または抗CD81抗体クローンEat2を腹腔内に1回投与した。群分け日から5日間、2%DSSをマウスに自由摂取させた後に(1回目DSS摂取)、通常飲料水を10日間摂取させた。次に5日間、2%DSSをマウスに自由摂取させた後に(2回目DSS摂取)、通常飲料水を10日間摂取させた。次に5日間、2%DSSをマウスに自由摂取させた後に(3回目DSS摂取)、通常飲料水を6日間摂取させた。正常群は、すべての実験期間中、通常飲料水を摂取させた。
(4)大腸炎症状スコア判定
群分け日から40日間の大腸炎症状観察を行った。大腸炎症状は便の状態(正常便(スコア:0)、軟便(スコア:1)、下痢(スコア:2))でスコア判定した。
2.結果
図4に、ハムスターIgG、ハムスター抗CD81抗体クローン2F7または抗CD81抗体クローンEat2のそれぞれを単回投与した場合の大腸炎症状スコア判定による大腸炎症状の経日変化を示した。図4から、抗CD81抗体クローン2F7または抗CD81抗体クローンEat2はDay0に1回投与したのみで、初回DSS誘発大腸炎を抑制し、その後の2回のDSS誘発大腸炎の再発を抑制し長期に亘って緩解維持効果が認められた。
図4の大腸炎症状の経日変化の結果に基づき、Day0からDay11の各マウスの平均した大腸炎スコアを初回大腸炎スコアとし、Day15からDay23の各マウスの平均した大腸炎スコアを再燃大腸炎スコアとし、Day30からDay38の各マウスの平均した大腸炎スコアを2回目再燃大腸炎スコアとした。そして、各群の大腸炎スコア(初回大腸炎スコア及び再燃大腸炎スコア及び2回目再燃大腸炎スコア)をWilcoxonの検定で病態コントロール群(ハムスターIgG投与群)との2群比較を行った。それらの結果を表4に示した。
表4の結果から、抗CD81抗体(0.2mg/head)単回投与後の初回大腸炎スコア、再燃大腸炎スコア、2回目再燃大腸炎スコアで腸炎症状の改善効果が持続されていたことが判った。
本発明によって、抗CD81抗体を投与することで、難治性の炎症性腸疾患を予防、改善、治療できること、単回の投与によっても長期間に亘って緩解維持効果を有することが明らかとなった。言い換えれば、既存の炎症性腸疾患(IBD)治療剤を単回、複数回投与しても緩解導入効果までしか発揮しない難治性の患者に対しても大きな効果を発揮することが明らかとなった。
従って、抗CD81抗体を有効成分とする薬剤は、単回の投与によっても、炎症性腸疾患の緩解導入効果を示すのみならず、長期間に亘って緩解維持効果を示すことで、炎症性腸疾患の緩解維持用薬剤として、また、炎症性腸疾患の予防、改善、治療用薬剤として利用することができる。

Claims (15)

  1. 抗CD81抗体を有効成分として含む、難治性の炎症性腸疾患の予防、改善または治療用薬剤。
  2. 難治性の炎症性腸疾患が、再燃若しくは再発を繰り返す炎症性腸疾患または慢性に病勢が持続する炎症性腸疾患を意味する、請求項1に記載の予防、改善または治療用薬剤。
  3. 難治性の炎症性腸疾患が、ステロイド依存性またはステロイド抵抗性の炎症性腸疾患である、請求項1または2に記載の予防、改善または治療用薬剤。
  4. 難治性の炎症性腸疾患が、薬物療法に抵抗性または耐性の炎症性腸疾患を意味する、請求項1〜3のいずれかに記載の予防、改善または治療用薬剤。
  5. 薬物療法に使用される治療薬が、5−アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫抑制剤、TNF阻害剤またはインテグリン阻害剤である、請求項4に記載の予防、改善または治療用薬剤。
  6. 薬物療法に使用される治療薬が、スルファサラジン、抗TNF抗体、サラゾスルファピリジン、メサラジン、ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、リン酸ベタメタゾン、プレドニゾロン、アザチオプリン、タクロリムス、6−メルカプトプリン、サイクロスポリン、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ぺゴールまたはナタリズマブである、請求項4に記載の予防、改善または治療用薬剤。
  7. 単回投与で長期間緩解維持効果を有する請求項1〜6のいずれかに記載の薬剤。
  8. 緩解維持効果が、腸炎の再燃もしくは再発の繰り返しを抑制し、緩解状態を維持する効果である請求項7に記載の薬剤。
  9. 5−アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫抑制剤、TNF阻害剤またはインテグリン阻害剤を単回もしくは複数回投与しても緩解維持しない炎症性腸疾患患者に対して処置される、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
  10. スルファサラジン、抗TNF抗体、サラゾスルファピリジン、メサラジン、ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、リン酸ベタメタゾン、プレドニゾロン、アザチオプリン、タクロリムス、6−メルカプトプリン、サイクロスポリン、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ぺゴールまたはナタリズマブを単回もしくは複数回投与しても緩解維持しない炎症性腸疾患患者に対して処置される、請求項1〜3のいずれかに記載の薬剤。
  11. 治療期間中は2〜30週間に1回投与される、請求項1〜10のいずれかに記載の薬剤。
  12. 1回の投与量が0.01〜15mg/kgである、請求項11に記載の薬剤。
  13. 炎症性腸疾患が、潰瘍性大腸炎である、請求項1〜12のいずれかに記載の薬剤。
  14. 炎症性腸疾患が、クローン病である、請求項1〜12のいずれかに記載の薬剤。
  15. 単回投与で長期間緩解維持効果を有する量の抗CD81抗体を含み、治療期間中は2〜30週間に1回の頻度で複数回投与される、請求項11〜14のいずれかに記載の薬剤。
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