JP2015229389A - ハイブリッド車両用駆動装置の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガタ打ち音の発生を抑制するハイブリッド車両用駆動装置の制御装置を提供する。【解決手段】クラッチCL2を係合させた状態で、第1電動機MG1及び第2電動機MG2から出力されるトルクにより走行する走行モードにおいて、要求駆動力を第1電動機MG1と第2電動機MG2とで分担する際に、第1電動機MG1及び第2電動機MG2それぞれのトルクが、第1電動機MG1及び第2電動機MG2それぞれについて予め定められた低トルク領域外の値となるように、第1電動機MG1及び第2電動機MG2の分担トルクを設定するものであることから、第1電動機MG1及び第2電動機MG2の駆動に起因してガタ打ち音が発生する領域を避けつつ、それら第1電動機MG1及び第2電動機MG2により要求駆動力を実現できる。【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両用駆動装置の制御装置の改良に関する。
全体として4つの回転要素を有する第1差動機構及び第2差動機構と、前記4つの回転要素にそれぞれ連結されたエンジン、第1電動機、第2電動機、及び出力部材とを、備え、前記4つの回転要素のうちの1つは、前記第1差動機構の回転要素と前記第2差動機構の回転要素とがクラッチを介して選択的に連結されるハイブリッド車両用駆動装置が知られている。例えば、特許文献1に記載されたハイブリッド車両変速機がその一例である。この技術によれば、クラッチ及びブレーキの係合又は解放の組み合わせに応じて、前記ハイブリッド車両用駆動装置において複数の走行モードが選択的に成立させられる。
特開2011−098712号公報
前記従来の技術において、装置の小型化を図るために前記第1電動機及び前記第2電動機を小さくした場合、それら電動機のイナーシャもまた小さくなる。前記クラッチを係合させた状態で、前記第1電動機及び前記第2電動機から出力されるトルクにより走行する走行モードすなわち所謂EV走行モードにおいて、前記第1電動機及び前記第2電動機それぞれのトルクが比較的小さな値とされる低トルク領域では、それら電動機自身のトルクリプルにより回転変動が生じ、ガタ打ち音が発生するおそれがあった。このような課題は、ハイブリッド車両の性能向上を意図して本発明者が鋭意研究を続ける過程において新たに見出したものである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ガタ打ち音の発生を抑制するハイブリッド車両用駆動装置の制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、全体として4つの回転要素を有する第1差動機構及び第2差動機構と、前記4つの回転要素にそれぞれ連結されたエンジン、第1電動機、第2電動機、及び出力部材とを、備え、前記4つの回転要素のうちの1つは、前記第1差動機構の回転要素と前記第2差動機構の回転要素とがクラッチを介して選択的に連結されるハイブリッド車両用駆動装置において、前記クラッチを係合させた状態で、前記第1電動機及び前記第2電動機から出力されるトルクにより走行する走行モードにおいて、要求駆動力を前記第1電動機と前記第2電動機とで分担する際に、前記第1電動機及び前記第2電動機それぞれのトルクが、前記第1電動機及び前記第2電動機それぞれについて予め定められた低トルク領域外の値となるように、前記第1電動機及び前記第2電動機の分担トルクを設定することを特徴とする制御装置である。
このようにすれば、前記クラッチを係合させた状態で、前記第1電動機及び前記第2電動機から出力されるトルクにより走行する走行モードにおいて、要求駆動力を前記第1電動機と前記第2電動機とで分担する際に、前記第1電動機及び前記第2電動機それぞれのトルクが、前記第1電動機及び前記第2電動機それぞれについて予め定められた低トルク領域外の値となるように、前記第1電動機及び前記第2電動機の分担トルクを設定するものであることから、前記第1電動機及び前記第2電動機の駆動に起因してガタ打ち音が発生する領域を避けつつ、それら第1電動機及び第2電動機により要求駆動力を実現できる。すなわち、ガタ打ち音の発生を抑制するハイブリッド車両用駆動装置の制御装置を提供することができる。
本発明が好適に適用される駆動装置の構成の一例を説明する骨子図である。 図1の駆動装置の駆動を制御するために備えられた制御系統の要部を説明する図である。 図1の駆動装置において成立させられる4種類の走行モードそれぞれにおけるクラッチ及びブレーキの係合状態を示す係合表である。 図1の駆動装置の電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図1の駆動装置の電子制御装置による本実施例のトルク分担制御の一例の要部を説明するタイムチャートである。 図1の駆動装置の電子制御装置による本実施例のトルク分担制御の一例の要部を説明するフローチャートである。 本発明が好適に適用される駆動装置の構成の他の一例を説明する骨子図である。 図7の駆動装置において成立させられる4種類の走行モードそれぞれにおけるクラッチ及びブレーキの係合状態を示す係合表である。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明に用いる図面において、各部の寸法比等は必ずしも正確には描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用されるハイブリッド車両用駆動装置10(以下、単に駆動装置10という)の構成を説明する骨子図である。この図1に示すように、本実施例の駆動装置10は、例えばFF(前置エンジン前輪駆動)型車両等に好適に用いられる横置き用の装置であり、主動力源であるエンジン12、第1電動機MG1、第2電動機MG2、第1差動機構としての第1遊星歯車装置14、及び第2差動機構としての第2遊星歯車装置16を共通の中心軸CE上に備えて構成されている。以下の実施例において、特に区別しない場合には、この中心軸CEの軸心の方向を軸方向(軸心方向)という。前記駆動装置10は、中心軸CEに対して略対称的に構成されており、図1においては中心線の下半分を省略して図示している。以下の各実施例についても同様である。
前記エンジン12は、例えば、気筒内噴射されるガソリン等の燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン等の内燃機関である。前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、好適には、何れも駆動力を発生させるモータ(発動機)及び反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を有する所謂モータジェネレータであり、それぞれのステータ(固定子)18、22が非回転部材であるハウジング(ケース)26に固設されると共に、各ステータ18、22の内周側にロータ(回転子)20、24を備えて構成されている。
前記第1遊星歯車装置14は、ギヤ比がρ1であるシングルピニオン型の遊星歯車装置であり、第1回転要素としてのリングギヤR1、ピニオンギヤP1を自転及び公転可能に支持する第2回転要素としてのキャリアC1、及びピニオンギヤP1を介してリングギヤR1と噛み合う第3回転要素としてのサンギヤS1を回転要素(要素)として備えている。前記第2遊星歯車装置16は、ギヤ比がρ2であるシングルピニオン型の遊星歯車装置であり、第1回転要素としてのリングギヤR2、ピニオンギヤP2を自転及び公転可能に支持する第2回転要素としてのキャリアC2、及びピニオンギヤP2を介してリングギヤR2と噛み合う第3回転要素としてのサンギヤS2を回転要素(要素)として備えている。
前記第1遊星歯車装置14のリングギヤR1は、前記第1電動機MG1のロータ20に連結されている。前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1は、クラッチCL0を介して前記エンジン12の出力軸であるクランク軸12aに連結されている。前記第1遊星歯車装置14のサンギヤS1は、前記第2遊星歯車装置16のサンギヤS2と相互に連結されると共に、前記第2電動機MG2のロータ24に連結されている。前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2は、出力部材(出力回転部材)である出力歯車28に連結されている。前記出力歯車28から出力された駆動力は、例えば、図示しない差動歯車装置及び車軸等を介して図示しない左右一対の駆動輪へ伝達される。一方、車両の走行路面から駆動輪に対して入力されるトルクは、前記差動歯車装置及び車軸等を介して前記出力歯車28から前記駆動装置10へ伝達(入力)される。
前記エンジン12のクランク軸12aと前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1との間には、それらクランク軸12aとキャリアC1との間を選択的に係合させる(クランク軸12aとキャリアC1との間を断接する)クラッチCL0が設けられている。前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1とリングギヤR1との間には、それらキャリアC1とリングギヤR1との間を選択的に係合させる(キャリアC1とリングギヤR1との間を断接する)クラッチCL1が設けられている。前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2との間には、それらキャリアC1とリングギヤR2との間を選択的に係合させる(キャリアC1とリングギヤR2との間を断接する)クラッチCL2が設けられている。前記第1遊星歯車装置14のリングギヤR1と非回転部材である前記ハウジング26との間には、そのハウジング26に対して前記リングギヤR1を選択的に係合(固定)させるブレーキBK1が設けられている。前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2と非回転部材である前記ハウジング26との間には、そのハウジング26に対して前記リングギヤR2を選択的に係合(固定)させるブレーキBK2が設けられている。
前記駆動装置10において、前記第1遊星歯車装置14及び第2遊星歯車装置16は、前記クラッチCL2が係合された状態において全体として4つの回転要素を構成するものである。換言すれば、横軸方向において前記第1遊星歯車装置14及び第2遊星歯車装置16のギヤ比の相対関係を示し、縦軸方向において相対的回転速度を示す二次元座標である共線図上において4つの回転要素として表される第1遊星歯車装置14及び第2遊星歯車装置16と、4つの回転要素にそれぞれ連結されたエンジン12、第1電動機MG1、第2電動機MG2、及び出力歯車28とを、備え、前記4つの回転要素のうちの1つは、前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2とがクラッチCL2を介して選択的に連結され、そのクラッチCL2による係合対象となる前記リングギヤR2が、前記ハウジング26に対してブレーキBK2を介して選択的に連結されるものである。
前記クラッチCL0、CL1、CL2及び前記ブレーキBK1、BK2は、好適には、何れも油圧制御回路54から供給される油圧に応じて係合状態が制御される(係合又は解放させられる)油圧式係合装置であり、例えば、湿式多板型の摩擦係合装置等が好適に用いられるが、噛合式の係合装置すなわち所謂ドグクラッチ(噛合クラッチ)であってもよい。更には、電磁式クラッチや磁粉式クラッチ等、電子制御装置30から供給される電気的な指令に応じて係合状態が制御される(係合又は解放させられる)ものであってもよい。本実施例においては、前記クラッチCL2が、前記第1遊星歯車装置14の回転要素(第2回転要素)であるキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16の回転要素(第1回転要素)であるリングギヤR2とを選択的に連結するクラッチに相当する。
前記駆動装置10において、前記クラッチCL0は必ずしも設けられなくともよい。すなわち、前記エンジン12のクランク軸12aと前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1とは、前記クラッチCL0を介することなくダンパ等を解して直接又は間接的に連結されたものであってもよい。前記クラッチCL0は、前記駆動装置10が適用された車両の走行状態に応じて適宜係合又は解放されるものであるが、本実施例においては、前記クラッチCL0が常時係合されているものとして以下の説明を行う。前記駆動装置10において、前記クラッチCL1及びブレーキBK1は必ずしも設けられなくともよい。
図2は、前記駆動装置10の駆動を制御するためにその駆動装置10に備えられた制御系統の要部を説明する図である。この図2に示す電子制御装置30は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェイス等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行する所謂マイクロコンピュータであり、前記エンジン12の駆動制御や、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2に関するハイブリッド駆動制御をはじめとする前記駆動装置10の駆動に係る各種制御を実行する。すなわち、本実施例においては、前記電子制御装置30が前記駆動装置10の制御装置に相当する。この電子制御装置30は、前記エンジン12の出力制御用や前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動制御用といったように、必要に応じて各制御毎に個別の制御装置として構成される。
図2に示すように、前記電子制御装置30には、前記駆動装置10の各部に設けられたセンサやスイッチ等から各種信号が供給されるように構成されている。すなわち、アクセル開度センサ32により運転者の出力要求量に対応する図示しないアクセルペダルの操作量であるアクセル開度ACCを表す信号、エンジン回転速度センサ34により前記エンジン12の回転速度であるエンジン回転速度NEを表す信号、第1電動機回転速度センサ36により前記第1電動機MG1の回転速度NMG1を表す信号、第2電動機回転速度センサ38により前記第2電動機MG2の回転速度NMG2を表す信号、車速検出部としての出力回転速度センサ40により車速Vに対応する前記出力歯車28の回転速度NOUTを表す信号、バッテリSOCセンサ42によりバッテリ48の充電容量(充電状態)SOCを表す信号等が、それぞれ前記電子制御装置30に供給される。
前記電子制御装置30からは、前記駆動装置10の各部に作動指令が出力されるように構成されている。すなわち、前記エンジン12の出力を制御するエンジン出力制御指令として、燃料噴射装置による吸気配管等への燃料供給量を制御する燃料噴射量信号、点火装置による前記エンジン12の点火時期(点火タイミング)を指令する点火信号、及び電子スロットル弁のスロットル弁開度θTHを操作するためにスロットルアクチュエータへ供給される電子スロットル弁駆動信号等が、そのエンジン12の出力を制御するエンジン制御装置52へ出力される。前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動を指令する指令信号がインバータ50へ出力され、そのインバータ50を介して前記バッテリ48からその指令信号に応じた電気エネルギが前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2に供給されてそれら第1電動機MG1及び第2電動機MG2の出力(トルク)が制御される。前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2により発電された電気エネルギが前記インバータ50を介して前記バッテリ48に供給され、そのバッテリ48に蓄積されるようになっている。前記クラッチCL1、CL2等、及び前記ブレーキBK1、BK2の係合状態を制御する指令信号が油圧制御回路54に備えられたリニアソレノイド弁等の電磁制御弁へ供給され、それら電磁制御弁から出力される油圧が制御されることで前記クラッチCL1、CL2等、及び前記ブレーキBK1、BK2の係合状態が制御されるようになっている。
前記駆動装置10は、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2を介して運転状態が制御されることにより、入力回転速度と出力回転速度の差動状態が制御される電気式差動部として機能する。例えば、前記第1電動機MG1により発電された電気エネルギを前記インバータ50を介してバッテリ48や第2電動機MG2へ供給する。これにより、前記エンジン12の動力の主要部は機械的に前記出力歯車28へ伝達される一方、その動力の一部は前記第1電動機MG1の発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、前記インバータ50を通してその電気エネルギが前記第2電動機MG2へ供給される。そして、その第2電動機MG2が駆動されて第2電動機MG2から出力された動力が前記出力歯車28へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機MG2で消費されるまでに関連する機器により、前記エンジン12の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。
以上のように構成された駆動装置10が適用されたハイブリッド車両においては、前記エンジン12、第1電動機MG1、及び第2電動機MG2の駆動状態、及び前記クラッチCL2、ブレーキBK2等の係合状態等に応じて、複数の走行モード(駆動モード)の何れかが選択的に成立させられる。図3は、前記駆動装置10において成立させられる4種類の走行モードそれぞれにおける前記クラッチCL2及び前記ブレーキBK2の係合状態を示す係合表であり、係合を「○」で、解放を空欄でそれぞれ示している。この図3に示す走行モード「HV1」、「HV2」は、何れも前記エンジン12を例えば走行用の駆動源として駆動させると共に、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2により必要に応じて駆動又は発電等を行うハイブリッド走行モードである。このハイブリッド走行モードにおいて、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方により反力を発生させるものであってもよく、無負荷の状態で空転させるものであってもよい。走行モード「EV1」、「EV2」は、何れも前記エンジン12の運転が停止させられると共に、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方を走行用の駆動源として用いるEV走行モードである。
本実施例においては、前記駆動装置10において図3に示す4種類の走行モードが選択的に成立させられる例について説明するが、例えば前記クラッチCL1及びブレーキBK1の係合及び解放の組み合わせに応じて、前記エンジン12から前記出力歯車28までの動力伝達に係る変速比が固定変速比となる複数の固定変速比モードを選択的に成立させるものであってもよい。すなわち、前記駆動装置10において、前記クラッチCL1及びブレーキBK1は、前記駆動装置10が適用されたハイブリッド車両の走行状態に応じて適宜係合又は解放させられるものであるが、本実施例においては、前記クラッチCL1及びブレーキBK1が共に解放されているものとして、図3に示すように、前記クラッチCL2及びブレーキBK2の係合又は解放の組み合わせに応じた複数の走行モードに係る制御について説明する。
図3に示す走行モード「HV1」においては、前記クラッチCL2が解放されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2との相対回転が可能とされている。前記ブレーキBK2が係合されることで前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2が非回転部材である前記ハウジング26に対して連結(固定)され、その回転速度が零とされている。この走行モード「HV1」においては、前記エンジン12が駆動させられ、その出力トルクにより前記出力歯車28が回転させられる。この際、前記第1遊星歯車装置14において、前記第1電動機MG1により反力トルクを出力させることで、前記エンジン12からの出力の前記出力歯車28への伝達が可能とされる。前記第2遊星歯車装置16においては、前記ブレーキBK2が係合されていることで、前記第2電動機MG2により正のトルク(正の方向のトルク)が出力されると、そのトルクにより前記キャリアC2すなわち出力歯車28は正の方向に回転させられる。
図3に示す走行モード「HV2」においては、前記クラッチCL2が係合されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2との相対回転が不能とされており、前記キャリアC1及びリングギヤR2が一体的に回転させられる1つの回転要素として動作する。前記サンギヤS1及びS2は相互に連結されていることで、それらサンギヤS1及びS2は一体的に回転させられる1つの回転要素として動作する。すなわち、走行モード「HV2」において、前記駆動装置10における前記第1遊星歯車装置14及び第2遊星歯車装置16における回転要素は、全体として4つの回転要素すなわちリングギヤR1(第1電動機MG1)、相互に連結されたキャリアC1及びリングギヤR2(エンジン12)、キャリアC2(出力歯車28)、相互に連結されたサンギヤS1及びS2(第2電動機MG2)を備えた差動機構として機能する。
前記走行モード「HV2」においては、前記クラッチCL2が係合されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2とが連結されており、前記キャリアC1及びリングギヤR2が一体的に回転させられる。このため、前記エンジン12の出力に対して、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の何れによっても反力を受けることができる。すなわち、前記エンジン12の駆動に際して、その反力を前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の一方又は両方で分担して受けることが可能となり、効率の良い動作点で動作させたり、熱によるトルク制限等の制約を緩和する走行等が可能となる。
図3に示す走行モード「EV1」においては、前記クラッチCL2が解放されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2との相対回転が可能とされている。前記ブレーキBK2が係合されることで前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2が非回転部材である前記ハウジング26に対して連結(固定)され、その回転速度が零とされている。この走行モード「EV1」においては、前記第2遊星歯車装置16において、前記第2電動機MG2により正のトルク(正の方向のトルク)が出力されると、そのトルクにより前記キャリアC2すなわち出力歯車28は正の方向に回転させられる。すなわち、前記第2電動機MG2により正のトルクを出力させることにより、前記駆動装置10の適用されたハイブリッド車両を前進走行させることができる。この場合において、好適には、前記第1電動機MG1は空転させられる。
図3に示走行モード「EV2」においては、前記クラッチCL2が係合されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2との相対回転が不能とされている。更に、前記ブレーキBK2が係合されることで前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2及びそのリングギヤR2に係合された前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1が非回転部材である前記ハウジング26に対して連結(固定)され、その回転速度が零とされている。この走行モード「EV2」においては、前記第1遊星歯車装置14において、前記リングギヤR1の回転方向と前記サンギヤS1の回転方向とが逆方向となる。すなわち、前記第1電動機MG1により負のトルク(負の方向のトルク)が出力されると、そのトルクにより前記キャリアC2すなわち出力歯車28は正の方向に回転させられる。前記第2電動機MG2により正のトルク(正の方向のトルク)が出力されると、そのトルクにより前記キャリアC2すなわち出力歯車28は正の方向に回転させられる。すなわち、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方によりトルクを出力させることにより、前記駆動装置10の適用されたハイブリッド車両を前進走行させることができる。
前記走行モード「EV2」においては、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方により発電を行う形態を成立させることもできる。この形態においては、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の一方或いは両方により走行用の駆動力(トルク)を分担して発生させることが可能となり、各電動機を効率の良い動作点で動作させたり、熱によるトルク制限等の制約を緩和する走行等が可能となる。更に、前記バッテリ48の充電状態が満充電の場合等、回生による発電が許容されない場合に、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の一方或いは両方を空転させることも可能である。すなわち、前記走行モード「EV2」においては、幅広い走行条件においてEV走行を行うことや、長時間継続してEV走行を行うことが可能となる。従って、前記走行モード「EV2」は、プラグインハイブリッド車両等、EV走行を行う割合が高いハイブリッド車両において好適に採用される。
以上のように、本実施例においては、図3に示す走行モード「HV1」、「HV2」が、前記エンジン12の出力トルク及び前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の少なくとも一方の出力トルクを前記出力歯車28に伝達して走行するハイブリッド走行モードに相当する。図3に示す走行モード「EV1」が、前記エンジン12、前記第1電動機MG1、及び前記第2電動機MG2のうち、専ら前記第2電動機MG2の出力トルクを前記出力歯車28に伝達して走行する第1のEV走行モードに相当する。図3に示す走行モード「EV2」が、前記エンジン12、前記第1電動機MG1、及び前記第2電動機MG2のうち、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の出力トルクを前記出力歯車28に伝達して走行する第2のEV走行モードに相当する。すなわち、本実施例においては、図3に示す走行モード「EV2」が、前記クラッチCL2を係合させた状態で、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2から出力されるトルクにより走行する走行モードに相当する。
図4は、前記電子制御装置30に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図4に示す走行モード切替制御部60は、前記駆動装置10において成立させられる走行モードを判定する。すなわち、基本的には、予め定められた関係から、前記アクセル開度センサ34により検出されるアクセル開度ACC、前記出力回転速度センサ40により検出される出力回転速度に相当する車速V、及び前記バッテリSOCセンサ42により検出される前記バッテリ48の充電容量SOC等に基づいて、例えば前述した図3に示す走行モードの何れが成立させられるべき状態かを判定する。
前記走行モード切替制御部60は、前記判定の結果に応じて、図3に示す複数の走行モードを選択的に成立させる。すなわち、前記エンジン12の出力トルク及び前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の少なくとも一方の出力トルクを前記出力歯車28に伝達して走行するハイブリッド走行モード「HV1」、「HV2」と、前記エンジン12、前記第1電動機MG1、及び前記第2電動機MG2のうち、専ら前記第2電動機MG2の出力トルクを前記出力歯車28に伝達して走行するEV走行モード「EV1」と、前記エンジン12、前記第1電動機MG1、及び前記第2電動機MG2のうち、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の出力トルクを前記出力歯車28に伝達して走行するEV走行モード「EV2」とを、選択的に成立させる。
クラッチ係合制御部62は、前記油圧制御回路54を介して前記クラッチCL2の係合状態を制御する。具体的には、前記油圧制御回路54に備えられた、前記クラッチCL2に対応する電磁制御弁からの出力圧を制御することで、前記クラッチCL2の係合状態(トルク容量)を定める油圧PCL2制御する。好適には、前記走行モード切替制御部60により判定される走行モードに応じて前記クラッチCL2の係合状態を制御する。すなわち、基本的には、前記駆動装置10において前記走行モード「HV2」、「EV2」が成立させられると判定された場合には、前記クラッチCL2を係合させるようにそのトルク容量を制御する。前記駆動装置10において前記走行モード「HV1」、「EV1」が成立させられると判定された場合には、前記クラッチCL2を解放させるようにそのトルク容量を制御する。
ブレーキ係合制御部64は、前記油圧制御回路54を介して前記ブレーキBK2の係合状態を制御する。具体的には、前記油圧制御回路54に備えられた、前記ブレーキBK2に対応する電磁制御弁からの出力圧を制御することで、前記ブレーキBK2の係合状態(トルク容量)を定める油圧PBK2を制御する。好適には、前記走行モード切替制御部60により判定される走行モードに応じて前記ブレーキBK2の係合状態を制御する。すなわち、基本的には、前記駆動装置10において前記走行モード「HV1」、「EV1」、「EV2」が成立させられると判定された場合には、前記ブレーキBK2を係合させるようにそのトルク容量を制御する。前記駆動装置10において前記走行モード「HV2」が成立させられると判定された場合には、前記ブレーキBK2を解放させるようにそのトルク容量を制御する。
エンジン駆動制御部66は、前記エンジン制御装置52を介して前記エンジン12の駆動を制御する。例えば、前記エンジン制御装置52を介して前記エンジン12の燃料噴射装置による吸気配管等への燃料供給量、点火装置による前記エンジン12の点火時期(点火タイミング)、及び電子スロットル弁のスロットル弁開度θTH等を制御することで、前記エンジン12により必要な出力すなわち目標トルク(目標エンジン出力)が得られるように制御する。
第1電動機駆動制御部68は、前記インバータ50を介して前記第1電動機MG1の駆動を制御する。例えば、前記インバータ50を介して前記バッテリ48から前記第1電動機MG1へ供給される電気エネルギ等を制御することで、前記第1電動機MG1により必要な出力すなわち目標トルク(目標第1電動機出力)が得られるように制御する。第2電動機駆動制御部70は、前記インバータ50を介して前記第2電動機MG2の駆動を制御する。例えば、前記インバータ50を介して前記バッテリ48から前記第2電動機MG2へ供給される電気エネルギ等を制御することで、前記第2電動機MG2により必要な出力すなわち目標トルク(目標第2電動機出力)が得られるように制御する。
要求駆動力算出部72は、前記駆動装置10が適用された車両における要求駆動力(駆動力要求値)を算出する。例えば、予め定められた関係から、前記アクセル開度センサ32により検出されるアクセル開度ACC及び前記出力回転速度センサ40により検出される出力回転速度NOUTに対応する車速V等に基づいて、前記駆動装置10(出力歯車28)から出力されるべき要求駆動力を算出する。すなわち、運転者が要求するユーザ要求駆動力を算出する。
前記エンジン12を駆動させると共に前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2を走行用の駆動源として用いるハイブリッド走行モードでは、前記要求駆動力算出部72により算出された要求駆動力が、前記エンジン12の出力トルク及び前記第1電動機MG1、第2電動機MG2の出力トルクにより実現されるように、前記第1電動機駆動制御部68及び第2電動機駆動制御部70を介して前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動が制御されると共に、前記エンジン駆動制御部66を介して前記エンジン12の駆動が制御される。前記エンジン12を停止させると共に前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2を走行用の駆動源として用いるEV走行モードでは、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の出力トルクにより、前記要求駆動力算出部72により算出された要求駆動力が実現されるように、前記第1電動機駆動制御部68及び第2電動機駆動制御部70を介して前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動が制御される。特に、前記クラッチCL2及び前記ブレーキBK2を係合させた状態で、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2から出力されるトルクにより走行する走行モードである「EV2」においては、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の一方或いは両方により走行用の駆動力を分担して発生させるように、前記第1電動機駆動制御部68及び第2電動機駆動制御部70を介して前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の作動が制御される。
トルク分担制御部74は、前記クラッチCL2及び前記ブレーキBK2を係合させた状態で、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2から出力されるトルクにより走行する走行モードすなわち図3に示す走行モード「EV2」において、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルクを設定する。換言すれば、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の出力トルクにより、前記要求駆動力算出部72により算出された要求駆動力を実現する上での、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれの出力トルク分担率を設定する。すなわち、前記第1電動機MG1の出力トルクにその第1電動機MG1から図示しない駆動輪までの動力伝達経路に係るギヤ比(変速比)を乗じた値と、前記第2電動機MG2の出力トルクにその第2電動機MG2から図示しない駆動輪までの動力伝達経路に係るギヤ比(変速比)を乗じた値との和が、前記要求駆動力算出部72により算出された要求駆動力と等しくなるように、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルクを設定する。
前記トルク分担制御部74は、具体的には、前記走行モード「EV2」において、前記要求駆動力算出部72により算出される要求駆動力を前記第1電動機MG1と前記第2電動機MG2とで分担する際に、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれのトルクが、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれについて予め定められた低トルク領域外の値となるように、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルクを設定する。前記低トルク領域は、前記第1電動機MG1、第2電動機MG2の出力トルクが比較的小さいことで前記駆動装置10内のガタが詰まっておらず、電動機自身のトルクリプルにより回転変動が生じてガタ打ち音が発生する領域すなわちガタ打ち音発生領域に相当し、例えば、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれの仕様に応じて予め実験的に求められた数値範囲が用いられる。ここで、トルクリプルとは、例えば、電動機の出力トルク(出力トルクの時間平均)に対するトルク変動分の割合であり、この値が大きいと、軸振動や騒音が発生する。前記低トルク領域は、例えば、トルク零を含み、電動機の出力トルクの絶対値が規定の閾値未満となる範囲に相当する。具体的には、後述する図5に示すように、前記第1電動機MG1に関しては、零を中心とする±αの範囲内、前記第2電動機MG2に関しては、零を中心とする±βの範囲内である。すなわち、前記低トルク領域は、好適には、前記第1電動機MG1と前記第2電動機MG2とで異なる数値範囲とされるものであるが、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2に共通の数値範囲であってもよい。
図5は、前記駆動装置10において走行モード「EV2」が成立させられている場合における、本実施例のトルク分担制御の一例を説明するタイムチャートである。図5においては、前記第1電動機MG1に係る前記低トルク領域(0±αの範囲内)を一点鎖線で、前記第2電動機MG2に係る前記低トルク領域(0±βの範囲内)を二点鎖線で、それぞれ示している。図5に示す制御では、前記エンジン12は停止させられており、前記第1電動機MG1の出力トルク及び前記第2電動機MG2の出力トルクにより要求駆動力すなわち図5に示す駆動力要求値が実現される。前述のように、走行モード「EV2」においては、前記第1遊星歯車装置14において、前記リングギヤR1の回転方向と前記サンギヤS1の回転方向とが逆方向となる。すなわち、前記第1電動機MG1により負のトルク(負の方向のトルク)が出力されると、そのトルクにより前記キャリアC2すなわち出力歯車28は正の方向に回転させられるが、図5においては説明の便宜上、前記第1電動機MG1の出力トルクに係る正負を逆転させて表している。
図5に示す制御では、先ず、時点t0から時点t1までの間、前記第1電動機MG1の分担トルクが−αよりも小さい値とされている。すなわち、前記第1電動機MG1の分担トルクが低トルク領域である0±αの範囲に入らないように、−αよりも小さい値(絶対値がαより大きい値)に固定されている。時点t0から時点t1までの間、前記第2電動機MG2の分担トルク(×ギヤ比)は、要求駆動力から前記第1電動機MG1の分担トルク(×ギヤ比)を減算した値とされている。これにより、時点t0から時点t1までの間、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルク(×ギヤ比)の合計が要求駆動力と一致する。時点t1から時点t2までの間、前記要求駆動力の減少に応じて前記第2電動機MG2の分担トルクが低下させられており、時点t2において、その第2電動機MG2の分担トルクが低トルク領域である0±βの上限値である+βに達している。この時点t2から時点t3までの間、前記第2電動機MG2の分担トルクが低トルク領域である0±βの範囲に入らないように、+βよりも大きい値に固定されている。すなわち、時点t2から時点t3までの間における前記要求駆動力の減少分は、前記第1電動機MG1によりまかなわれ、その第1電動機MG1の分担トルクが減少させられることで、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルク(×ギヤ比)の合計が要求駆動力と一致するように制御される。時点t3から時点t5までの制御においても同様に、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれの分担トルクが前記低トルク領域外の値とされつつ、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルク(×ギヤ比)の合計が要求駆動力と一致するように、それら第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の駆動が制御される。
図6は、前記電子制御装置30による本実施例のトルク分担制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)ST1において、前記クラッチCL2及び前記ブレーキBK2を係合させた状態で、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2から出力されるトルクにより走行する走行モードである「EV2」が成立させられているか否かが判断される。このST1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、ST1の判断が肯定される場合には、ST2において、前記アクセル開度ACC等に応じて算出される要求駆動力を実現する、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルク(トルク分担率)が設定される。ここで、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれの分担トルクが、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれについて予め定められた零を含む低トルク領域外の値となるように、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルクが設定される。次に、ST3において、ST2にて設定された分担トルクを実現するように、前記インバータ50等を介して前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の駆動(出力トルク)が制御された後、それをもって本ルーチンが終了させられる。以上の制御において、ST2が前記トルク分配制御部74の動作に、ST3が前記第1電動機駆動制御部68及び前記第2電動機駆動制御部70の動作に、それぞれ対応する。
本実施例によれば、前記クラッチCL2を係合させた状態で、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2から出力されるトルクにより走行する走行モード「EV2」において、要求駆動力を前記第1電動機MG1と前記第2電動機MG2とで分担する際に、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれのトルクが、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれについて予め定められた低トルク領域外の値となるように、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルクを設定するものであることから、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の駆動に起因してガタ打ち音が発生する領域を避けつつ、それら第1電動機MG1及び第2電動機MG2により要求駆動力を実現できる。すなわち、ガタ打ち音の発生を抑制する駆動装置10の電子制御装置30を提供することができる。
前記駆動装置10のような構成において、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の駆動に起因するガタ打ち音の発生を抑制することを考えた場合、従来の技術においては、電動機のイナーシャを大きなものとする、或いは電動機の回転子の磁力を弱める等、車両性能の低下やコストの増加をもたらす対策をとるより他なかった。本実施例においては、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の駆動制御により、車両性能の低下やコストの増加といった弊害を生じさせることなく、走行モード「EV2」におけるガタ打ち音の発生を好適に抑制することができる。
続いて、本発明の他の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、実施例相互に共通する部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7は、本発明が好適に適用される他のハイブリッド車両用駆動装置100(以下、単に駆動装置100という)の構成を説明する骨子図である。本実施例の駆動装置100においては、前記第1遊星歯車装置14のサンギヤS1に前記第1電動機MG1のロータ20が連結されている。前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1に前記エンジン12のクランク軸12aが連結されている。前記第1遊星歯車装置14のリングギヤR1と前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2とが相互に連結されている。前記第2遊星歯車装置16のサンギヤS2が前記第2電動機MG2のロータ24に連結されている。前記リングギヤR1と連結された前記第2遊星歯車装置16のリングギヤR2が出力部材としての前記出力歯車28に連結されている。前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2とがクラッチCLを介して選択的に連結されている。前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2と非回転部材としての前記ハウジング26とがブレーキBKを介して選択的に連結される。
前記クラッチCL及び前記ブレーキBKは、好適には、何れも油圧制御回路54から供給される油圧に応じて係合状態が制御される(係合又は解放させられる)油圧式係合装置であり、例えば、湿式多板型の摩擦係合装置等が好適に用いられるが、噛合式の係合装置すなわち所謂ドグクラッチ(噛合クラッチ)であってもよい。更には、電磁式クラッチや磁粉式クラッチ等、電子制御装置30から供給される電気的な指令に応じて係合状態が制御される(係合又は解放させられる)ものであってもよい。本実施例においては、前記クラッチCLが、前記第1遊星歯車装置14の回転要素であるキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16の回転要素であるキャリアC2とを選択的に連結するクラッチに相当する。
以上のように構成された駆動装置100が適用されたハイブリッド車両においては、前記エンジン12、第1電動機MG1、及び第2電動機MG2の駆動状態、及び前記クラッチCL、ブレーキBKの係合状態等に応じて、複数の走行モードの何れかが選択的に成立させられる。図8は、前記駆動装置100において成立させられる4種類の走行モードそれぞれにおける前記クラッチCL、ブレーキBKの係合状態を示す係合表であり、係合を「○」で、解放を空欄でそれぞれ示している。この図8に示す走行モード「EV−1」、「EV−2」は、何れも前記エンジン12の運転が停止させられると共に、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方を走行用の駆動源として用いるEV走行モードである。「HV−1」、「HV−2」は、何れも前記エンジン12を例えば走行用の駆動源として駆動させると共に、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2により必要に応じて駆動又は発電等を行うハイブリッド走行モードである。このハイブリッド走行モードにおいて、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方により反力を発生させるものであってもよく、無負荷の状態で空転させるものであってもよい。
図8に示すように、前記駆動装置100においては、前記エンジン12の運転が停止させられると共に、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方を走行用の駆動源として用いるEV走行モードにおいて、前記ブレーキBKが係合されると共に前記クラッチCLが解放されることでモード1(走行モード1)である「EV−1」が、前記ブレーキBK及びクラッチCLが共に係合されることでモード2(走行モード2)である「EV−2」がそれぞれ成立させられる。前記エンジン12を例えば走行用の駆動源として駆動させると共に、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2により必要に応じて駆動又は発電等を行うハイブリッド走行モードにおいて、前記ブレーキBKが係合されると共に前記クラッチCLが解放されることでモード3(走行モード3)である「HV−1」が、前記ブレーキBKが解放されると共に前記クラッチCLが係合されることでモード4(走行モード4)である「HV−2」がそれぞれ成立させられる。
図8に示す走行モード「EV−1」においては、前記クラッチCLが解放されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2との相対回転が可能とされている。前記ブレーキBKが係合されることで前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2が非回転部材である前記ハウジング26に対して連結(固定)され、その回転速度が零とされている。この走行モード「EV−1」においては、前記第2遊星歯車装置16において、前記サンギヤS2の回転方向と前記リングギヤR2の回転方向とが逆方向となり、前記第2電動機MG2により負のトルク(負の方向のトルク)が出力されると、そのトルクにより前記リングギヤR2すなわち出力歯車28は正の方向に回転させられる。すなわち、前記第2電動機MG2により負のトルクを出力させることにより、前記駆動装置100の適用されたハイブリッド車両を前進走行させることができる。この場合において、好適には、前記第1電動機MG1は空転させられる。この走行モード「EV−1」では、前記キャリアC1及びC2の相対回転が許容されると共に、そのキャリアC2が非回転部材に連結された所謂THS(Toyota Hybrid System)を搭載した車両におけるEV走行と同様のEV走行制御を行うことができる。
図8に示す走行モード「EV−2」においては、前記クラッチCLが係合されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2との相対回転が不能とされている。更に、前記ブレーキBKが係合されることで前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2及びそのキャリアC2に係合された前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1が非回転部材である前記ハウジング26に対して連結(固定)され、その回転速度が零とされている。この走行モード「EV−2」においては、前記第1遊星歯車装置14において、前記サンギヤS1の回転方向と前記リングギヤR1の回転方向とが逆方向となると共に、前記第2遊星歯車装置16において、前記サンギヤS2の回転方向と前記リングギヤR2の回転方向とが逆方向となる。すなわち、前記第1電動機MG1又は前記第2電動機MG2により負のトルク(負の方向のトルク)が出力されると、そのトルクにより前記リングギヤR1及びR2すなわち出力歯車28は正の方向に回転させられる。すなわち、前記第1電動機MG1及び第2電動機MG2の少なくとも一方により負のトルクを出力させることにより、前記駆動装置100の適用されたハイブリッド車両を前進走行させることができる。本実施例においては、この走行モード「EV−2」が、前記クラッチCLを係合させた状態で、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2から出力されるトルクにより走行する走行モードに相当する。
図8に示す走行モード「HV−1」においては、前記クラッチCLが解放されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2との相対回転が可能とされている。前記ブレーキBKが係合されることで前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2が非回転部材である前記ハウジング26に対して連結(固定)され、その回転速度が零とされている。この走行モード「HV−1」においては、前記エンジン12が駆動させられ、その出力トルクにより前記出力歯車28が回転させられる。この際、前記第1遊星歯車装置14において、前記第1電動機MG1により反力トルクを出力させることで、前記エンジン12からの出力の前記出力歯車28への伝達が可能とされる。前記第2遊星歯車装置16においては、前記ブレーキBKが係合されていることで、前記サンギヤS2の回転方向と前記リングギヤR2の回転方向とが逆方向となる。すなわち、前記第2電動機MG2により負のトルク(負の方向のトルク)が出力されると、そのトルクにより前記リングギヤR1及びR2すなわち出力歯車28は正の方向に回転させられる。
図8に示す走行モード「HV−2」においては、前記クラッチCLが係合されることで前記第1遊星歯車装置14のキャリアC1と前記第2遊星歯車装置16のキャリアC2との相対回転が不能とされており、前記キャリアC1及びC2が一体的に回転させられる1つの回転要素として動作する。前記リングギヤR1及びR2は相互に連結されていることで、それらリングギヤR1及びR2は一体的に回転させられる1つの回転要素として動作する。すなわち、この走行モード「HV−2」において、前記駆動装置100における前記第1遊星歯車装置14及び第2遊星歯車装置16における回転要素は、全体として4つの回転要素を備えた差動機構として機能する。
本実施例において、前記トルク分担制御部74は、前記走行モード「EV−2」において、前記要求駆動力算出部72により算出される要求駆動力を前記第1電動機MG1と前記第2電動機MG2とで分担する際に、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれのトルクが、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれについて予め定められた零を含む低トルク領域外の値となるように、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルクを設定する。
本実施例によれば、前記クラッチCLを係合させた状態で、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2から出力されるトルクにより走行する走行モード「EV−2」において、要求駆動力を前記第1電動機MG1と前記第2電動機MG2とで分担する際に、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれのトルクが、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2それぞれについて予め定められた低トルク領域外の値となるように、前記第1電動機MG1及び前記第2電動機MG2の分担トルクを設定するものであることから、前記第1電動機MG2及び前記第2電動機MG2の駆動に起因してガタ打ち音が発生する領域を避けつつ、それら第1電動機MG1及び第2電動機MG2により要求駆動力を実現できる。すなわち、ガタ打ち音の発生を抑制する駆動装置100の電子制御装置30を提供することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
10、100:ハイブリッド車両用駆動装置、12:エンジン、14:第1遊星歯車装置(第1差動機構)、16:第2遊星歯車装置(第2差動機構)、28:出力歯車(出力部材)、30:電子制御装置、C1:キャリア(回転要素)、C2:キャリア(回転要素)、CL:クラッチ、CL2:クラッチ、MG1:第1電動機、MG2:第2電動機、R1:リングギヤ(回転要素)、R2:リングギヤ(回転要素)、S1:サンギヤ(回転要素)、S2:サンギヤ(回転要素)

Claims (1)

  1. 全体として4つの回転要素を有する第1差動機構及び第2差動機構と、
    前記4つの回転要素にそれぞれ連結されたエンジン、第1電動機、第2電動機、及び出力部材と
    を、備え、
    前記4つの回転要素のうちの1つは、前記第1差動機構の回転要素と前記第2差動機構の回転要素とがクラッチを介して選択的に連結される
    ハイブリッド車両用駆動装置において、
    前記クラッチを係合させた状態で、前記第1電動機及び前記第2電動機から出力されるトルクにより走行する走行モードにおいて、要求駆動力を前記第1電動機と前記第2電動機とで分担する際に、前記第1電動機及び前記第2電動機それぞれのトルクが、前記第1電動機及び前記第2電動機それぞれについて予め定められた低トルク領域外の値となるように、前記第1電動機及び前記第2電動機の分担トルクを設定する
    ことを特徴とする制御装置。
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