JP2015229136A - 失活したメタン発酵槽の回復方法、メタン発酵方法、およびメタン発酵システム - Google Patents
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Abstract
【課題】メタン生成菌の働きが低下してバイオガスの生成が止まり、メタン発酵活性が失活した状態のメタン発酵槽の回復方法を提供すること。
【解決手段】有機性廃棄物をメタン発酵してバイオガスを生成するメタン発酵槽において、前記メタン発酵の活性が失活状態にあるメタン発酵槽の回復方法であって、前記失活状態にあるメタン発酵液に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物を添加して行う油脂分解工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】有機性廃棄物をメタン発酵してバイオガスを生成するメタン発酵槽において、前記メタン発酵の活性が失活状態にあるメタン発酵槽の回復方法であって、前記失活状態にあるメタン発酵液に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物を添加して行う油脂分解工程を含むことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、バイオガスの生成が止まったメタン発酵槽において、前記微生物の働きを再活性化し、バイオガスの生成を回復する方法に関するものである。
エネルギー資源を再生利用するという観点から、畜産廃棄物、有機性排水、生ごみ等の有機性廃棄物をメタン発酵槽においてメタン発酵処理(嫌気性消化)し、バイオガスを回収することが行われている。
前記メタン発酵処理では、有機性廃棄物(所謂、バイオマス)中の成分が多様な嫌気性微生物により分解され、最終的にメタン生成菌により、メタンを主成分とするガス、すなわち、バイオガスが生成される。
前記メタン発酵処理では、有機性廃棄物(所謂、バイオマス)中の成分が多様な嫌気性微生物により分解され、最終的にメタン生成菌により、メタンを主成分とするガス、すなわち、バイオガスが生成される。
一般的に、前記メタン発酵槽においては、経験や予備実験に基づき、当該メタン発酵槽の大きさと前記有機性廃棄物の種類や量、廃棄物の強熱減量値やCODcr値等に応じて、得られるバイオガス量を予測することができる。そして、その予測量に近いバイオガスが得られることをもって、メタン発酵の活性が保たれていると判断され、メタン発酵槽の運転が行われる。
ここで、前記メタン発酵槽の継続的な運転に伴い、前記バイオガスの発生量が低下してくる場合がある。この理由としては、処理される有機性廃棄物の投入量の増加に伴う過負荷や、メタン発酵槽の温度変化、メタン発酵槽内に酸素(空気)が入り込む等、絶対嫌気性が崩れてメタン生成菌にとってストレスとなる外的要因の他、メタン発酵が進む過程で生じる物質、例えば、遊離アンモニアや揮発性脂肪酸(以下、VFAと称する場合がある)の増加等が考えられる。アンモニアや揮発性脂肪酸が増加すると、メタン発酵液のpHが変化する。
特に、前記メタン発酵の過程(有機性廃棄物の分解過程)の中間生成物として、メタン生成菌の生育を阻害する物質である遊離アンモニアや、蓄積することによってpHの低下などの問題が生じる揮発性脂肪酸が生成することが重要視されている。
このため、メタン発酵槽の運転は、温度、酸素濃度、pHの変化の他、前記遊離アンモニアや揮発性脂肪酸の濃度を監視しながら行うことが好ましい。揮発性の脂肪酸はpHを低下させることから、結果として阻害物質となっている。
このため、メタン発酵槽の運転は、温度、酸素濃度、pHの変化の他、前記遊離アンモニアや揮発性脂肪酸の濃度を監視しながら行うことが好ましい。揮発性の脂肪酸はpHを低下させることから、結果として阻害物質となっている。
特許文献1には、処理される有機性廃棄物等に含まれるタンパク質やアミノ酸が分解されることによって生じる遊離アンモニア(特許文献1ではアンモニア性窒素と称されている)の濃度を監視しながらメタン発酵処理を行うことが開示されている。
また、特許文献2には、メタン発酵液中の揮発性脂肪酸の濃度をモニタリングして、メタン発酵の安定化を図ることが記載されている。
また、特許文献2には、メタン発酵液中の揮発性脂肪酸の濃度をモニタリングして、メタン発酵の安定化を図ることが記載されている。
ここで、バイオガスの発生量が低下し始めた場合には、通常、前記遊離アンモニア、前記揮発性脂肪酸等のメタン生成菌代謝阻害物質の濃度を低減する処理を施す、有機性廃棄物の投入量を減らす、pHの調整を行う、温度、酸素濃度、pHを適正範囲に調整する等の対処がなされ、メタン発酵を安定化するようにしていた。
しかし、前記メタン発酵の過程で生じるメタン生成菌代謝阻害物質(遊離アンモニア、揮発性脂肪酸)の濃度や、有機性廃棄物の投入量、メタン発酵槽における温度、酸素濃度、pH等を個々にコントロールしても、前記メタン発酵槽におけるメタン発酵の活性が徐々に低下し、該メタン発酵槽からのバイオガスの生成が止まってしまう、すなわち、メタン発酵の活性が失活してしまう場合がある。
このように、一旦、バイオガスの生成が止まってしまうと、反芻動物糞尿などを除いて負荷を十分に低減しても、そのメタン発酵液を再活性化してバイオガスの生成を回復させることは難しいとされ、当該バイオガスの生成が止まった状態のメタン発酵槽内の発酵液は廃棄し、新しい発酵液に入れ替えるというのが、一般的に行われている対処である。
このように、一旦、バイオガスの生成が止まってしまうと、反芻動物糞尿などを除いて負荷を十分に低減しても、そのメタン発酵液を再活性化してバイオガスの生成を回復させることは難しいとされ、当該バイオガスの生成が止まった状態のメタン発酵槽内の発酵液は廃棄し、新しい発酵液に入れ替えるというのが、一般的に行われている対処である。
本発明の目的は、メタン発酵の活性が失活した状態になった場合に行うメタン発酵槽の回復方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、メタン発酵槽における温度、酸素濃度、pH、前記メタン生成菌の代謝阻害物質である遊離アンモニアまたは揮発性脂肪酸の濃度をコントロールしても、メタン発酵活性が失活してしまったメタン発酵槽のメタン発酵液において、残存油脂がメタン発酵液の不活性化をもたらす一因であることを見出した。更に、前記失活したメタン発酵液に対し、油脂を分解する分解物質を作用させることによって、該メタン発酵液のメタン発酵活性が回復することを見出した。前記油脂は、メタン発酵の過程で生じる物質ではなく、メタン発酵処理される前記有機性廃棄物の成分である。
この知見に基き、本発明の第1の態様に係るメタン発酵槽の回復方法は、有機性廃棄物をメタン発酵してバイオガスを生成するメタン発酵槽において、前記メタン発酵の活性が失活状態にあるメタン発酵槽の回復方法であって、前記失活状態にあるメタン発酵液に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物を添加して行う油脂分解工程を含むことを特徴とするものである。
ここで、本発明において「メタン発酵の活性が失活状態にある」とは、メタン発酵が行われず、バイオガスが全く発生しない状態だけでなく、「メタン発酵の活性が漸次的に低下し、そのままメタン発酵を継続するとバイオガスの生成停止に至ると推定される状態」も含むものとする。
通常のメタン発酵槽では、バイオガスの生成量が、該メタン発酵槽における定格のバイオガス生成量(以下、定格生成量と称する)より、例えば2〜3%ずつ低下をはじめると、メタン発酵の活性低下(失活)の徴候とみなされる。
また、温度、pH、メタン生成菌の代謝阻害物質の濃度等をコントロールしてもバイオガスの生成量の低下が続き、例えば、定格生成量の50%以下になった場合には、一般的に、上述の処置によるメタン発酵の活性回復は難しく、しばらくすると、メタン発酵液槽内は失活状態になる。特に、定格生成量の30%以下になると短い期間のうちに確実に失活状態となると考えられる。このように、「そのままメタン発酵を継続するとバイオガスの生成が停止して失活に至る状態」は、メタン発酵の活性が「失活状態」にあるとみなすことができる。
通常のメタン発酵槽では、バイオガスの生成量が、該メタン発酵槽における定格のバイオガス生成量(以下、定格生成量と称する)より、例えば2〜3%ずつ低下をはじめると、メタン発酵の活性低下(失活)の徴候とみなされる。
また、温度、pH、メタン生成菌の代謝阻害物質の濃度等をコントロールしてもバイオガスの生成量の低下が続き、例えば、定格生成量の50%以下になった場合には、一般的に、上述の処置によるメタン発酵の活性回復は難しく、しばらくすると、メタン発酵液槽内は失活状態になる。特に、定格生成量の30%以下になると短い期間のうちに確実に失活状態となると考えられる。このように、「そのままメタン発酵を継続するとバイオガスの生成が停止して失活に至る状態」は、メタン発酵の活性が「失活状態」にあるとみなすことができる。
尚、メタン発酵槽におけるバイオガスの定格生成量は、メタン発酵槽の大きさ、処理される有機性廃棄物の種類や投入量、蒸留残留物(total solids, TS)、強熱減量(volatile solids, VS)、全有機炭素(total organic carbon, TOC)、メタン発酵液中のCODcrの値、BODの値等が影響するが、一般的に、VSもしくはCODcrから計算される、単位VS当たり、或いは単位CODcr当たりの生成量を用いることができる。
また、メタン発酵槽を定格運転している場合は、前記計算によって求められる値の他、定格運転時の該メタン発酵槽における実際の平均バイオガス生成量を定格生成量として用いてもよい。
また、メタン発酵槽を定格運転している場合は、前記計算によって求められる値の他、定格運転時の該メタン発酵槽における実際の平均バイオガス生成量を定格生成量として用いてもよい。
また、本発明において「油脂分解作用物」とは、油脂分解作用を奏する物質と、該油脂分解作用を奏する物質を生産する微生物を含む意味で用いられる。
メタン発酵処理される前記有機性廃棄物の成分中には炭水化物、タンパク質、油脂等が含まれている。このうち油脂は、微生物による分解が行われ難い、すなわち、難分解性であることが知られている。この理由は、以下のように考えられる。
前記油脂は、メタン発酵液中の嫌気性油脂分解菌の作用により分解されてグリセリンと長鎖脂肪酸を遊離する。尚、「長鎖脂肪酸」とは、炭素数が16程度以上の脂肪酸を表すものとする。
前記油脂は、メタン発酵液中の嫌気性油脂分解菌の作用により分解されてグリセリンと長鎖脂肪酸を遊離する。尚、「長鎖脂肪酸」とは、炭素数が16程度以上の脂肪酸を表すものとする。
前記長鎖脂肪酸は、主にβ酸化により炭素鎖2つ単位で分解されていく。したがって、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の短鎖脂肪酸(所謂、揮発性脂肪酸)よりもメタン生成菌が資化するまでに時間がかかる。長鎖脂肪酸が溜まると、プロピオン酸等の揮発性脂肪酸と同様にpH低下等の原因になるとともに、前記β酸化により蟻酸、酢酸、プロピオン酸等を生成するので、該長鎖脂肪酸が加わることによって更にメタン生成菌の代謝阻害を起こしやすい。
該長鎖脂肪酸が増えた場合には、揮発性脂肪酸の場合と同様に、pHの調整や希釈によって濃度を下げる対応が行われていた。
該長鎖脂肪酸が増えた場合には、揮発性脂肪酸の場合と同様に、pHの調整や希釈によって濃度を下げる対応が行われていた。
すなわち、前記油脂の難分解性は、前述のように長鎖脂肪酸の分解速度が大きく影響していると考えられているとともに、油脂が嫌気性油脂分解菌の作用により分解されて生成する長鎖脂肪酸がメタン生成菌の代謝を阻害する原因を作ると考えられていた。
また、メタン発酵槽における滞留時間は、55℃程度の高温発行においては、通常、10日〜18日程度と相当長い期間であるので、油脂のグリセリンと長鎖脂肪酸への分解は、時間はかかっても行われているというのが当業者の認識であった。
また、メタン発酵槽における滞留時間は、55℃程度の高温発行においては、通常、10日〜18日程度と相当長い期間であるので、油脂のグリセリンと長鎖脂肪酸への分解は、時間はかかっても行われているというのが当業者の認識であった。
そのため、メタン発酵の活性の失活原因は、前記メタン生成菌の代謝阻害物質である遊離アンモニア、揮発性脂肪酸、および、長鎖脂肪酸の濃度上昇や、pHの変化によるものであり、前記有機性廃棄物の成分である油脂が分解されずに残ってメタン発酵液中に次第に増えていき、それが前記失活の原因になるということは、想定されておらず、それに対する処置は全くとられていなかった。
尚、例えば工業用油や食用油を多く含む油系廃棄物のように、メタン発酵処理される有機性廃棄物に元々多く油脂が含まれていることが明らかである場合には、後述する[実施例1]において挙げる「本発明と関連する従来技術」のように、メタン発酵の前処理として、有機性廃棄物に含まれる油脂を分解することが行われている。
しかし、従来行われているこの前処理は、有機性廃棄物に通常より油脂が多く含まれる場合に行われるものであり、その油脂が多い場合のメタン発酵の効率化を目的とするものである。すなわち、繰り返しになるが、一般的には「油脂は時間がかかってもグリセリンと長鎖脂肪酸に分解される」と考えられており、特に油脂成分に対する処理を施す必要はなく、「油脂が分解されずメタン発酵液中に次第に増えて失活の原因になる」という認識はなかった。
しかし、従来行われているこの前処理は、有機性廃棄物に通常より油脂が多く含まれる場合に行われるものであり、その油脂が多い場合のメタン発酵の効率化を目的とするものである。すなわち、繰り返しになるが、一般的には「油脂は時間がかかってもグリセリンと長鎖脂肪酸に分解される」と考えられており、特に油脂成分に対する処理を施す必要はなく、「油脂が分解されずメタン発酵液中に次第に増えて失活の原因になる」という認識はなかった。
本発明の課題の解決にあたり、失活状態となったメタン発酵液の性状について精査したところ、該失活状態のメタン発酵液中に、前記メタン生成菌の代謝阻害物質であるプロピオン酸等の有機酸の濃度は低いことが明らかとなった。一方、分析の結果、失活状態となったメタン発酵液中には油脂が多く含まれていることが分かった。
このことから、本発明者らは、メタン発酵活性の失活の原因が、メタン発酵の過程で生じる物質ではなく、メタン発酵処理される前記有機性廃棄物に初めから含まれている成分である油脂の蓄積によるものであると考えた。
このことから、本発明者らは、メタン発酵活性の失活の原因が、メタン発酵の過程で生じる物質ではなく、メタン発酵処理される前記有機性廃棄物に初めから含まれている成分である油脂の蓄積によるものであると考えた。
本態様によれば、失活状態にあるメタン発酵液中に溜まっている油脂から脂肪酸を遊離させて分解することにより、該メタン発酵液中に含まれる、メタン生成菌の代謝阻害物質である油脂を減少させることができる。前記メタン生成菌の代謝阻害物質である油脂が少なくなることにより、メタン生成菌によるメタン発酵が行われるようになり、失活状態にあったメタン発酵液のメタン発酵活性が回復する。
本態様によれば、メタン発酵液のメタン発酵活性が失活してしまったメタン発酵槽について、該メタン発酵液を入れ替えることなく、そのメタン発酵活性を回復することができる。
本態様によれば、メタン発酵液のメタン発酵活性が失活してしまったメタン発酵槽について、該メタン発酵液を入れ替えることなく、そのメタン発酵活性を回復することができる。
本発明の第2の態様に係るメタン発酵槽の回復方法は、第1の態様において、前記油脂分解作用物は、酵素であることを特徴とするものである。
本態様によれば、酵素反応は、通常、常温、常圧で行うことができるので、メタン発酵液に対して温度や圧力等の変化を与えることなく、該油脂から脂肪酸を遊離させる分解反応を行うことができる。
油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する酵素としては、例えば、リパーゼ、エステラーゼ等が挙げられる。特に、高級脂肪酸のトリアシルグリセロールを加水分解する油脂分解酵素(リパーゼ)が好ましく、前記トリアシルグリセロールを加水分解することが可能な他の加水分解酵素を用いることも有効である。
油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する酵素としては、例えば、リパーゼ、エステラーゼ等が挙げられる。特に、高級脂肪酸のトリアシルグリセロールを加水分解する油脂分解酵素(リパーゼ)が好ましく、前記トリアシルグリセロールを加水分解することが可能な他の加水分解酵素を用いることも有効である。
本発明の第3の態様に係るメタン発酵槽の回復方法は、第1の態様または第2の態様において、前記油脂分解作用物は、リパーゼであることを特徴とするものである。
本態様によれば、前記油脂分解作用物としてリパーゼを用いることにより、効果的に油脂を分解し、高効率にメタン発酵槽におけるメタン発酵の活性を回復させることができる。
本発明の第4の態様に係るメタン発酵槽の回復方法は、第1の態様から第3の態様のいずれかにおいて、前記油脂分解工程を嫌気性条件下において行うことを特徴とするものである。
メタン発酵は嫌気性条件下において行うものなので、メタン発酵を行うメタン生成菌等の微生物は酸素ストレスを受け易い。本態様によれば、メタン生成菌等の微生物に対して酸素ストレスを与えずに油脂分解工程を行うことができる。
本発明の第5の態様に係るメタン発酵槽の回復方法は、第1の態様から第3の態様のいずれかにおいて、前記油脂分解工程は、好気性条件下において行う第1の分解工程と、前記第1の分解工程の後に嫌気性条件下において行う第2の分解工程と、によって行われることを特徴とするものである。
本態様によれば、油脂分解作用物として油脂分解作用を奏する酵素であるリパーゼを用いる場合、好気性条件下において油脂分解処理を行うと、その処理速度は嫌気性条件下における処理速度よりも大きく、効率よく油脂を分解することができる。
このとき、メタン発酵槽内の酸化還元状態の制御には特に留意することが望ましい。
このとき、メタン発酵槽内の酸化還元状態の制御には特に留意することが望ましい。
また、好気性条件下において前記油脂分解作用を奏する物質(以下、油脂分解物質と称する場合がある)を生産する微生物(以下、油脂分解菌と称する場合がある)を用い、油脂を分解させることができる。好気性油脂分解菌を用いる場合、第1の分解工程では、該好気性油脂分解菌によって油脂分解物質を生産させつつ油脂を分解する。その後、嫌気性条件下において第2の分解工程を行うことによって、前記第1の分解工程で生産された油脂分解物質による油脂の分解を行うとともに、メタン発酵液を嫌気性に戻すこともできる。
本発明の第6の態様に係るメタン発酵槽の回復方法は、第1の態様から第5の態様のいずれかにおいて、前記メタン発酵槽におけるメタン発酵の活性状態は、バイオガスの生成量によって判断されることを特徴とするものである。
本態様によれば、構成簡単にして、前記メタン発酵槽におけるメタン発酵の活性状態を知ることができる。
本発明の第7の態様に係るメタン発酵方法は、有機性廃棄物をメタン発酵してバイオガスを生成するメタン発酵方法であって、前記メタン発酵の開始後、メタン発酵液に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物として酵素を添加して行う油脂分解工程を含むことを特徴とするものである。
本態様によれば、前記油脂分解工程を行うことにより、前記メタン発酵を行っている間に前記有機性廃棄物に含まれる油脂が蓄積することを防止することができる。以って、前記油脂の蓄積によって前記メタン発酵液が失活状態になる虞を低減することができる。
また、前記油脂分解工程は酵素を用いて行うので、メタン発酵液に対して温度や圧力等の変化を与えることなく、油脂の分解反応を行うことができる。したがって、メタン発酵槽内はメタン生成菌に適した条件に設定したままで、油脂分解反応を行うことができる。
また、前記油脂分解工程は酵素を用いて行うので、メタン発酵液に対して温度や圧力等の変化を与えることなく、油脂の分解反応を行うことができる。したがって、メタン発酵槽内はメタン生成菌に適した条件に設定したままで、油脂分解反応を行うことができる。
本発明の第8の態様に係るメタン発酵槽のメタン発酵システムは、有機性廃棄物をメタン発酵してバイオガスを生成するメタン発酵槽と、該メタン発酵槽におけるメタン発酵の活性状態をモニターする活性モニター装置と、を備え、前記活性モニター装置によって、前記メタン発酵の活性が失活状態にあると判断されたときに、メタン発酵液に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物を添加して、前記メタン発酵液中の油脂を分解するように構成されている。
本態様によれば、メタン発酵槽におけるメタン発酵の活性が失活した場合に、速やかに第1の態様に記載のメタン発酵槽の回復方法を実施し、そのメタン発酵活性を回復することができる。
本発明の第9の態様に係るメタン発酵槽のメタン発酵システムは、第8の態様において、前記活性モニター装置は、バイオガスの生成量の測定部を備えていることを特徴とするものである。
本態様によれば、バイオガスの生成量(例えば、単位時間当たりの生成量)に基いて、前記メタン発酵槽におけるメタン発酵の活性状態を判断することができる。以って、第7の態様と同様に、速やかに第1の態様に記載のメタン発酵槽の回復方法を実施し、そのメタン発酵活性を回復することができる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
[実施例1]
本発明に係るメタン発酵システムの一実施例を図1に基いて詳細に説明する。
図1のメタン発酵システム1は、有機性廃棄物2が送られて該有機性廃棄物2をメタン発酵させるメタン発酵槽4と、メタン発酵槽4内のメタン発酵の活性状態をモニターする活性モニター装置5を備えている
本発明に係るメタン発酵システムの一実施例を図1に基いて詳細に説明する。
図1のメタン発酵システム1は、有機性廃棄物2が送られて該有機性廃棄物2をメタン発酵させるメタン発酵槽4と、メタン発酵槽4内のメタン発酵の活性状態をモニターする活性モニター装置5を備えている
本発明で使用する有機性廃棄物2としては、例えば、生ごみ、排水処理汚泥、畜産廃棄物や緑農廃棄物などを挙げることができる。前記畜産廃棄物としては、家畜の糞尿や、屠体、その加工品が挙げられ、より具体的にはブタ、牛、羊、山羊、ニワトリなどの家畜の糞尿やこれらの屠体、そこから分離された骨、肉、脂肪、内臓、血液、脳、眼球、皮、蹄、角などのほか、例えば肉骨粉、肉粉、骨粉、血粉などに代表される家畜屠体の骨、肉等を破砕した破砕物や、血液などを乾燥した乾燥物も含まれる。その他の廃棄物としては、家庭の生ごみのほか、産業廃棄物生ごみとして農水産業廃棄物、食品加工廃棄物等が含まれる。
有機性廃棄物2はその状態に応じて、磨砕機(図示せず)によって、メタン生成菌による発酵が行われやすいように磨砕されることが望ましい。磨砕された有機性廃棄物2は、一旦受槽3に貯留された後にメタン発酵槽4内に供給され、メタン発酵槽4内においてメタン生成菌によるメタン発酵が行われる。
メタン発酵槽4内は所定の温度に設定され、一般的に、中温メタン発酵の場合には約37℃、高温メタン発酵の場合には約55℃に設定される。また、メタン発酵槽4内の温度は、メタン生成菌に温度ストレスを与えないように、例えば、±1℃程度に管理される。メタン発酵によって生成されたバイオガスは、メタン発酵槽4の上部のガス出口10から出され、前記活性モニター装置5に送られるように構成されている。
尚、活性モニター装置5を通過したバイオガスは、脱硫処理などの精製処理工程に送られる。
尚、活性モニター装置5を通過したバイオガスは、脱硫処理などの精製処理工程に送られる。
前記活性モニター装置5は、前記メタン発酵槽4内のメタン発酵液8のメタン発酵活性の状態をモニタリングする装置であり、ガス測定部(図示せず)を備えている。
前記活性モニター装置5は、前記メタン発酵槽4から出るバイオガスの量、すなわち、バイオガス生成量を測定し、単位時間または単位期間当たりの前記バイオガス生成量が、当該メタン発酵槽4におけるバイオガスの定格生成量に対してどの程度であるかをもって、該メタン発酵槽のメタン発酵活性の状態を判断するものである。
前記活性モニター装置5は、前記メタン発酵槽4から出るバイオガスの量、すなわち、バイオガス生成量を測定し、単位時間または単位期間当たりの前記バイオガス生成量が、当該メタン発酵槽4におけるバイオガスの定格生成量に対してどの程度であるかをもって、該メタン発酵槽のメタン発酵活性の状態を判断するものである。
メタン発酵活性の状態は、通常、メタン生成菌数と代謝量によって判断することができるが、前記メタン生成菌数と前記代謝量の増加は結果として発生するメタンガス生成量に対応するので、前記メタン発酵槽4から出るバイオガスの量(容量、圧力)をモニタリングすることにより前記メタン発酵活性の状態を判断することができる。尚、前記バイオガスの主成分はメタンガスである。
例えば、前記バイオガスの定格生成量が100m3/日のときに、実際のバイオガス生成量が80m3/日であったときに、メタン発酵活性は80%とする。
例えば、前記バイオガスの定格生成量が100m3/日のときに、実際のバイオガス生成量が80m3/日であったときに、メタン発酵活性は80%とする。
メタン発酵槽におけるバイオガスの定格生成量は、メタン発酵槽の大きさ、処理される有機性廃棄物2の種類や投入量、蒸留残留物(total solids, TS)、強熱減量(volatile solids, VS)、全有機炭素(total organic carbon, TOC)、メタン発酵液8中のCODcrの値、BODの値等から推定することができる。また、メタン発酵槽4を定格運転している場合は、定格運転時の該メタン発酵槽4における平均バイオガス生成量を定格生成量として用いることもできる。
尚、活性モニター装置5によるメタン発酵活性の状態のモニタリングは、メタン発酵槽4を運転している間、連続的に行うことが好ましいが、1日に1回のように断続的にモニタリングしてもよい。
尚、活性モニター装置5によるメタン発酵活性の状態のモニタリングは、メタン発酵槽4を運転している間、連続的に行うことが好ましいが、1日に1回のように断続的にモニタリングしてもよい。
更に、メタン発酵システム1は、メタン発酵槽4内のメタン発酵液8中に含まれる遊離アンモニアの濃度や揮発性脂肪酸(VFA)の濃度を測定するように構成されていることが好ましい。符号6は、アンモニア測定装置、符号7はVFA測定装置である。アンモニア測定装置6やVFA測定装置7を設けない場合には、メタン発酵槽4から適宜メタン発酵液8を採取して、遊離アンモニアの濃度やVFA濃度を測定してもよい。
更に、アンモニア測定装置6およびVFA測定装置7で測定される遊離アンモニア濃度とVFA濃度の情報は、前記活性モニター装置5に送られるように構成されていることが好ましい。遊離アンモニア濃度やVFA濃度等が所定値より少ないときに、メタン発酵活性が50%以下の失活状態になった場合、該メタン発酵活性の失活の原因が油脂である可能性が高いと判断される。
尚、メタン発酵液8のpH、温度、酸素濃度を測定する装置を適宜設け、その情報を活性モニター装置5に送るように構成することもできる。
尚、メタン発酵液8のpH、温度、酸素濃度を測定する装置を適宜設け、その情報を活性モニター装置5に送るように構成することもできる。
次に、本発明にかかるメタン発酵システム1において、メタン発酵槽4のメタン発酵活性が失活した場合に行う回復方法について説明する。
本メタン発酵システム1では、前記活性モニター装置5によってメタン発酵活性の状態をモニターしながらメタン発酵を行う。通常、メタン発酵活性の状態が約80%以上であれば、メタン発酵が良好な状態で行われている。メタン発酵活性の状態が80%より低くなったときに、遊離アンモニア濃度やVFA濃度が高くなっている場合には、有機性廃棄物2の投入量を少なくする、または投入を停止する、pHを調整する、メタン発酵液4を希釈する等の対処を行い、メタン発酵活性の状態が80%以上となるようにする。
本メタン発酵システム1では、前記活性モニター装置5によってメタン発酵活性の状態をモニターしながらメタン発酵を行う。通常、メタン発酵活性の状態が約80%以上であれば、メタン発酵が良好な状態で行われている。メタン発酵活性の状態が80%より低くなったときに、遊離アンモニア濃度やVFA濃度が高くなっている場合には、有機性廃棄物2の投入量を少なくする、または投入を停止する、pHを調整する、メタン発酵液4を希釈する等の対処を行い、メタン発酵活性の状態が80%以上となるようにする。
ここで、pHやメタン生成菌の代謝阻害物質である遊離アンモニアやVFAの濃度等をコントロールする対処を行っても、バイオガスの生成量が徐々に低下してしまう場合がある。この場合、遊離アンモニアやVFAがメタン発酵活性の低下の原因ではないと考えられるとともに、前記メタン発酵活性の状態が50%以下になった場合には、前述の対処ではメタン発酵活性の回復は困難である。
前記メタン発酵活性の状態が50%以下になると、しばらくすると「メタン発酵液表面に気泡が生じない失活状態」になる。特に、30%以下になると短い期間のうちに確実に失活状態となる。したがって、本メタン発酵システム1では、前記活性モニター装置5で監視する前記メタン発酵活性の状態が50%以下のときは、「そのままメタン発酵を継続するとバイオガスの生成が停止して失活に至る状態」であるので、「メタン発酵の活性が失活状態にある」とみなし、その失活状態にあるメタン発酵液8に対して油脂分解工程を行う。
後述する[メタン発酵槽の回復試験]において示されるように、失活状態となったメタン発酵液8には、メタン生成菌の代謝阻害物質であるプロピオン酸等の有機酸は少なく、一方で油脂が多く含まれていることが分かった。このことから、前記メタン発酵液8のメタン発酵活性の失活原因は、有機性廃棄物2に元々含まれている油脂が溜まったことによるものであると考えられる。尚、油脂の蓄積は、化学分析値としてはn−ヘキサン抽出物質量が増加することをもって検出できる。
前記油脂分解工程は、失活状態にあるメタン発酵液8に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物9を加え、メタン発酵活性の失活原因となっている蓄積した油脂を分解させるものである。
前記油脂分解工程は、失活状態にあるメタン発酵液8に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物9を加え、メタン発酵活性の失活原因となっている蓄積した油脂を分解させるものである。
油脂分解作用物9としては、リパーゼ、エステラーゼ等の酵素を用いることができる。特に、リパーゼを用いることによって、効果的に油脂を分解し、高効率にメタン発酵槽におけるメタン発酵の活性を回復させることができる。
前記油脂分解作用物9の添加量は、培養液として、0.2重量%以上、直接酵素を用いる場合には、500ユニット/ml以上のものが好ましい。
前記油脂分解作用物9の添加量は、培養液として、0.2重量%以上、直接酵素を用いる場合には、500ユニット/ml以上のものが好ましい。
また、油脂分解作用物9として、リパーゼ、エステラーゼ等の油脂分解物質を生産する油脂分解菌(より具体的には前記油脂分解菌の培養液)を添加してもよい。その場合には、当該油脂分解菌の培養液を集積培養し、その集積培養液をメタン発酵液8に対して添加することが望ましい。前記油脂分解菌としては、例えば、リパーゼやホスホリパーゼを生産する各種属の菌、Candida属、Alcaligenes属、Pseudomonas属、Actinomadura属等が挙げられる。特に、Alcaligenes属は高いpH(pH8程度)での培養に適しているため好ましい。
前記油脂分解工程は、嫌気性条件下において行うことが好ましい。前記油脂分解作用物9を失活状態となったメタン発酵液8に添加した後、嫌気性条件下において静かに攪拌を行うこともよい。
以上のように、失活状態にあるメタン発酵液中に蓄積した油脂から脂肪酸を遊離させて分解することにより、該メタン発酵液中に含まれるメタン発酵の阻害物質である油脂を減少させることができる。前記メタン発酵の阻害物質である油脂が少なくなることにより、メタン生成菌によるメタン発酵が行われるようになり、失活状態にあったメタン発酵液のメタン発酵活性が回復する。
このことにより、メタン発酵液のメタン発酵活性が失活してしまったメタン発酵槽について、該メタン発酵液を入れ替えることなく、そのメタン発酵活性を回復することができる。
このことにより、メタン発酵液のメタン発酵活性が失活してしまったメタン発酵槽について、該メタン発酵液を入れ替えることなく、そのメタン発酵活性を回復することができる。
メタン発酵を行うメタン生成菌等の嫌気性微生物は酸素ストレスを受け易い。したがって、油脂分解工程を嫌気性条件下で行えば、メタン生成菌等の嫌気性微生物に対して酸素ストレスを与える虞が低減できる。
また、油脂分解工程は、好気性条件下において行うことも可能である。その場合には、好気性条件下において行う第1の分解工程と、前記第1の分解工程の後に嫌気性条件下において行う第2の分解工程とを行う。
油脂分解作用物9として酵素であるリパーゼを用いる場合、好気性条件下において第1の分解工程を行うと、その処理速度は嫌気性条件下における処理速度よりも大きく、効率よく油脂を分解することができる。その後、嫌気性条件下において第2の分解工程を行うことによって、メタン発酵液を嫌気性に戻すことができる。
油脂分解作用物9として酵素であるリパーゼを用いる場合、好気性条件下において第1の分解工程を行うと、その処理速度は嫌気性条件下における処理速度よりも大きく、効率よく油脂を分解することができる。その後、嫌気性条件下において第2の分解工程を行うことによって、メタン発酵液を嫌気性に戻すことができる。
また、好気性条件下において前記油脂分解物質を生産する油脂分解菌を用い、油脂を分解させることができる。好気性油脂分解菌を用いる場合、第1の分解工程では、該好気性油脂分解菌によって油脂分解物質を生産させつつ油脂を分解する。この場合も、前記第1の分解工程の後に嫌気性条件下における第2の分解工程を行うことによって、メタン発酵液を嫌気性に戻すことができる。
尚、油脂分解工程を行う際のメタン発酵液8は、メタン生成菌の生育に適したpHであることが望ましい。具体的には、pH5.5〜8.5、より好ましくはpH6〜8程度の範囲であることが好ましい。失活状態にあるメタン発酵液8の液性が、大幅に酸性側またはアルカリ性側に偏っている場合は、メタン発酵液8が上記好ましいpHの範囲になるように中和操作を行ってから、前記油脂分解工程を行うものとする。
また、本実施例では、メタン発酵槽4の運転中に活性モニター装置5によってメタン発酵活性をモニターし、そのメタン発酵活性が50%以下になったときに、前記油脂分解工程を行う場合について説明したが、メタン発酵槽4の運転を停止してしばらく放置したこと等により、バイオガスが全く発生しない状態になってしまったメタン発酵液8に対して油脂分解工程を行うこともできる。
また、活性モニター装置5としては、メタン発酵槽4内のメタン発酵液8を小型の容器に入れて、バイオガス発生による圧力上昇の速度比較から、定格時との差を求めるように構成することができる。
また、活性モニター装置5としては、メタン発酵槽4内のメタン発酵液8を小型の容器に入れて、バイオガス発生による圧力上昇の速度比較から、定格時との差を求めるように構成することができる。
また、本実施例において、油脂分解工程は、メタン発酵槽4内のメタン発酵液8に対して行ったが、他の油脂分解工程用の処理槽を別に設けることも可能である。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
ここで、本発明と関連する従来技術との違いについて説明する。
メタン発酵処理される有機性廃棄物に油脂類が多く含まれることが明らかである際には、有機性廃棄物に含まれる油脂類を積極的に分解する処理を行う場合がある。
メタン発酵処理される有機性廃棄物に油脂類が多く含まれることが明らかである際には、有機性廃棄物に含まれる油脂類を積極的に分解する処理を行う場合がある。
例えば、従来技術文献1(特開2006−247601号公報)では、油脂とタンパク質を含む有機性廃棄物(特に牛乳)に対し、メタン発酵を行う前に、嫌気性条件下で酸発酵させる前処理を行うことが開示されている。
牛乳に含まれる油脂が脱乳化されるとバター様物質が析出し、該バター様物質によってメタン発酵が阻害される。前記酸発酵による前処理を行うと、メタン発酵の阻害物質であるバター様物質が析出しなくなり、有機性廃棄物に含まれる難分解性の油脂類を、微生物が資化し易い低級脂肪酸(低分子の蟻酸、酢酸、プロピオン酸等)に分解することができるので、メタン発酵槽におけるメタン発酵の効率を高めることができる。
すなわち、従来技術文献1は、メタン発酵槽における処理物が油脂を含む有機性廃棄物(牛乳)であり、そのメタン発酵を効率よく行うため、メタン発酵槽に送る前の前記有機性廃棄物に対して前処理(酸発酵)を行うという技術である。
牛乳に含まれる油脂が脱乳化されるとバター様物質が析出し、該バター様物質によってメタン発酵が阻害される。前記酸発酵による前処理を行うと、メタン発酵の阻害物質であるバター様物質が析出しなくなり、有機性廃棄物に含まれる難分解性の油脂類を、微生物が資化し易い低級脂肪酸(低分子の蟻酸、酢酸、プロピオン酸等)に分解することができるので、メタン発酵槽におけるメタン発酵の効率を高めることができる。
すなわち、従来技術文献1は、メタン発酵槽における処理物が油脂を含む有機性廃棄物(牛乳)であり、そのメタン発酵を効率よく行うため、メタン発酵槽に送る前の前記有機性廃棄物に対して前処理(酸発酵)を行うという技術である。
また、従来技術文献2(特開平8−182998号公報)には、含油廃水を処理するため、メタン発酵槽から採取した消化汚泥(メタン発酵液)を分離培養し、該消化汚泥中に含まれる油脂分解菌を増殖させた後にメタン発酵槽に戻し、該メタン発酵槽内で更に前記油脂分解菌を増殖させつつ油脂を分解することが記載されている。
従来技術文献2もまた、メタン発酵槽における処理物が「含油廃水」であるので、該「含油廃水」に含まれる油脂を効率よく分解するために、メタン発酵液に含まれる油脂分解菌を集積培養するという技術である。
従来技術文献2もまた、メタン発酵槽における処理物が「含油廃水」であるので、該「含油廃水」に含まれる油脂を効率よく分解するために、メタン発酵液に含まれる油脂分解菌を集積培養するという技術である。
従来技術文献1および従来技術文献2はいずれも、処理される有機性廃棄物に油脂が多く含まれることが明らかであるため、予め油脂を効率よく分解させるようにする、という限りであり、「失活したメタン発酵液中に含まれる油脂を分解して、メタン発酵活性を回復する」という技術ではない。
また、「メタン発酵を行うと、処理される有機性廃棄物に含まれる成分である油脂が分解されずに次第に溜まっていく」という知見もない。
また、「メタン発酵を行うと、処理される有機性廃棄物に含まれる成分である油脂が分解されずに次第に溜まっていく」という知見もない。
[メタン発酵槽の回復試験]
メタン発酵槽の回復試験を、図2に示す試験装置11を用いて行った。試験装置11のメタン発酵には、1Lの試験用メタン発酵槽16を用いた。試料供給びん12から試験用メタン発酵槽16へ有機性廃棄物としての試料液が送られる。また、試験用メタン発酵槽16内のメタン発酵液は、発酵液捕集びん14に抜き取ることができるように構成されている。試験用メタン発酵槽16で生成したバイオガスは、アルカリトラップ17とバイオガス捕集メスシリンダー18(希硫酸)を通した後、テドラーバッグ19に捕集するように構成されている。符合13および符号15はチューブポンプである。
メタン発酵槽の回復試験を、図2に示す試験装置11を用いて行った。試験装置11のメタン発酵には、1Lの試験用メタン発酵槽16を用いた。試料供給びん12から試験用メタン発酵槽16へ有機性廃棄物としての試料液が送られる。また、試験用メタン発酵槽16内のメタン発酵液は、発酵液捕集びん14に抜き取ることができるように構成されている。試験用メタン発酵槽16で生成したバイオガスは、アルカリトラップ17とバイオガス捕集メスシリンダー18(希硫酸)を通した後、テドラーバッグ19に捕集するように構成されている。符合13および符号15はチューブポンプである。
まず、メタン発酵の活性が失活した状態のメタン発酵槽をつくるため、試験用メタン発酵槽16を用いて通常のメタン発酵を行った。試験用メタン発酵槽16に投入する有機性廃棄物としては、表1に示す性状の試料液20を用いた。
このときのメタン発酵槽の条件を以下に示す。
試験用メタン発酵槽: 1L完全混合型メタン発酵試験槽
メタン発酵温度 : 37℃(中温発酵)
試料液20の投入量: 12.5mL/日
メタン発酵液量 : 1L
試験用メタン発酵槽: 1L完全混合型メタン発酵試験槽
メタン発酵温度 : 37℃(中温発酵)
試料液20の投入量: 12.5mL/日
メタン発酵液量 : 1L
前記試験用メタン発酵槽16には、初めに他の生ごみ系中温発酵液を1L充填し、前記試料液20を12.5mL/日ずつ投入した。尚、試料液20の投入は、メタン発酵槽内の液を12.5mL抜き出した後に行った。
前記条件で試験用メタン発酵槽16を約5週間(立ち上げ期間:約1週間+定格運転期間:約1ヶ月)運転し、その後、該試験用メタン発酵槽16の運転を停止して約4ヶ月放置した。運転停止後すぐの試験用メタン発酵槽16内のメタン発酵液21(以下、「発酵液21」と称する場合がある)の性状についての分析結果を表2に示す。
前記条件で試験用メタン発酵槽16を約5週間(立ち上げ期間:約1週間+定格運転期間:約1ヶ月)運転し、その後、該試験用メタン発酵槽16の運転を停止して約4ヶ月放置した。運転停止後すぐの試験用メタン発酵槽16内のメタン発酵液21(以下、「発酵液21」と称する場合がある)の性状についての分析結果を表2に示す。
放置した試験用メタン発酵槽16内の発酵液21はpHが低下し、運転中はpH7.6程度であったものが、約4ヶ月後にはpH6.1まで低下した。そして、バイオガスの発生はなく、メタン発酵の活性が失活した状態となった。
該メタン発酵活性が失活した発酵液21に対し、水酸化ナトリウム溶液添加によるpH調整(pH7.7に調整)、および、生ごみ系の他のメタン発酵液の添加(植種)を行ったが、バイオガスの発生(メタン発酵活性の回復)は見られなかった。
該メタン発酵活性が失活した発酵液21に対し、水酸化ナトリウム溶液添加によるpH調整(pH7.7に調整)、および、生ごみ系の他のメタン発酵液の添加(植種)を行ったが、バイオガスの発生(メタン発酵活性の回復)は見られなかった。
また、前記失活した発酵液21について、プロピオン酸等の高濃度化を予想して、いくつかの有機酸について液体クロマトグラフを用いて定量したが、プロピオン酸をはじめ、有機酸の濃度は低かった。各種有機酸の分析結果を表3に示す。
尚、一般的なメタン発酵槽の運転中におけるプロピオン酸の濃度は、平均で数10〜数100mg/L程度、高くても2000mg/L程度、である。
尚、一般的なメタン発酵槽の運転中におけるプロピオン酸の濃度は、平均で数10〜数100mg/L程度、高くても2000mg/L程度、である。
一方、発酵液21中のn−ヘキサン抽出物質量(n−ヘキサン抽出による油分)は約11g/kg(表2)であった。試料液20に含まれていた油分の量は約15g/kg(表1を参照)である。尚、表に記載はしていないが、試料液20を投入する前に試験用メタン発酵槽16に充填されていた前記他の生ごみ系中温発酵液(1L)のn−ヘキサン抽出物質量も〜15g/kgであった。
試料液20と発酵液21の分析結果を比較すると、蒸留残留物(TS)や強熱減量(VS)は、発酵液21では試料液20の20〜30%の値に減っているのに対し、油分の量は、前記TSやVSの減り方に比して残っている量が多く、油脂があまり分解せずに蓄積していると言える。
試料液20と発酵液21の分析結果を比較すると、蒸留残留物(TS)や強熱減量(VS)は、発酵液21では試料液20の20〜30%の値に減っているのに対し、油分の量は、前記TSやVSの減り方に比して残っている量が多く、油脂があまり分解せずに蓄積していると言える。
続いて、このメタン発酵活性が失活した発酵液21を試験管に50mLずつ分取し、表4に示す物質をそれぞれ加えて発酵液21を発酵処理した。尚、リパーゼはLipase AK Amano, Pseudomonas fluorescence起源を用い、セルラーゼは和光純薬、Tricoderma vivid起源を用いた。
表4の試験例1〜試験例4について、発酵液21を入れた試験管を密閉し、バイオガス捕集管(水上置換法)を取り付けて振とう培養器内(100rpm、30℃)で発酵させ、1日目に発生するバイオガス量を測定した(嫌気性処理のみの試験)。
また、同様に試験例1〜試験例4に記載の添加物質を加えた発酵液21について、試験管を振とう培養器内(100rpm、30℃)で大気解放にして置いた後、1日目に前記試験管を密閉し、バイオガス捕集管を取り付けて発生するバイオガス量を測定した(好気性処理+嫌気性処理の試験)。これらの試験結果を表5に示す。
また、同様に試験例1〜試験例4に記載の添加物質を加えた発酵液21について、試験管を振とう培養器内(100rpm、30℃)で大気解放にして置いた後、1日目に前記試験管を密閉し、バイオガス捕集管を取り付けて発生するバイオガス量を測定した(好気性処理+嫌気性処理の試験)。これらの試験結果を表5に示す。
試験1〜4の結果、メタン発酵活性が失活した発酵液21に対し、油脂分解酵素であるリパーゼを加えることによって、発酵液21からのバイオガスの生成が回復した。リパーゼを添加(試験例1と試験例3)した後、嫌気性処理のみを行った場合に、特に良好な回復がみられた。
[実施例2]
一般生ごみ(別分回収)用の高温メタン発酵処理施設における例について説明する。メタン発酵処理施設としては、図1に示すメタン発酵システムと同様の構成を用いることができる。
前記高温メタン発酵処理施設(25t/日、メタン発酵槽4の容量400m3)では、前記一般生ごみの別分後、受槽3(50m3)における平均滞留時間2日後にメタン発酵処理される。
一般生ごみ(別分回収)用の高温メタン発酵処理施設における例について説明する。メタン発酵処理施設としては、図1に示すメタン発酵システムと同様の構成を用いることができる。
前記高温メタン発酵処理施設(25t/日、メタン発酵槽4の容量400m3)では、前記一般生ごみの別分後、受槽3(50m3)における平均滞留時間2日後にメタン発酵処理される。
このような高温メタン発酵処理施設における定格運転時には、バイオガス発生量は約1100m3/日、バイオガスのメタン濃度は約60%程度である。また、このときのメタン発酵液8の性状は、例えば、蒸留残留物(TS):5.8%、強熱減量(VS):1.2%、n−ヘキサン抽出物:0.7g/kg、T−N:5800mg/L、CODcr:39000mg/L、BOD:21000mg/L、VFA:1100mg/L、pH:7.8程度である。
尚、メタン発酵前の受槽3内のバイオマス(一般生ごみ)の性状は、例えば、蒸留残留物(TS):11.3%、強熱減量(VS):7.2%、n−ヘキサン抽出物:10.5g/kg、T−N:6100mg/L、CODcr:160000mg/L、BOD:100000mg/L、pH:4.9程度である。
尚、メタン発酵前の受槽3内のバイオマス(一般生ごみ)の性状は、例えば、蒸留残留物(TS):11.3%、強熱減量(VS):7.2%、n−ヘキサン抽出物:10.5g/kg、T−N:6100mg/L、CODcr:160000mg/L、BOD:100000mg/L、pH:4.9程度である。
メタン発酵液8が失活に至る場合、当初はpH、VFAに異常は検出できないが、バイオガスの発生量の低下が顕著になるに従って、pHが6程度まで低下して、バイオガスの発生が完全に停止する。VFAは、定格運転時より低い状態、例えば、1000mg/Lを超えていないときでも失活は発生する。n−ヘキサン抽出物濃度は2g/kg以上に増加した。
バイオガスの発生が停止し、メタン発酵液8が失活したと判断された場合、受槽3から新たなバイオマスをメタン発酵槽4に送ることを停止し、水酸化ナトリウムの添加等によってメタン発酵槽4内のpHを7.5以上に戻す。更に、新たなメタン発酵液を添加(植種)する。新たなメタン発酵液としては、例えば、他の生ごみ由来のメタン発酵液を用い、メタン発酵槽4に10m3投入して撹拌する。
それでもバイオガスの発生の回復が見られない場合には、本発明に係るメタン発酵槽の回復方法を行う。すなわち、リパーゼ若しくはリパーゼを生産する菌(油脂分解菌)の培養液を添加する。
それでもバイオガスの発生の回復が見られない場合には、本発明に係るメタン発酵槽の回復方法を行う。すなわち、リパーゼ若しくはリパーゼを生産する菌(油脂分解菌)の培養液を添加する。
添加するリパーゼは50ユニット/ml以上であることが好ましく、油脂分解菌の培養液としては、前記油脂分解菌の菌数として108/ml以上程度であることが好ましい。
油脂分解菌の培養液の主要組成としては、リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、サラダ油、微量金属塩(Mg、Cu、Ca、Fe、Mn、Co、Ni等)が挙げられる。前記培養液のpHは約8.0である。振とう培養によって油脂分解菌の菌体濃度108/ml程度になった前記培養液を、メタン発酵槽4に1m3投入して撹拌する(メタン発酵槽4との容量比で1/400の投入量)。
メタン発酵槽4からバイオガスの発生が見られるようになったら、受槽3から新たなバイオマスを徐々に送り、定格運転に復帰させる。
油脂分解菌の培養液の主要組成としては、リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、サラダ油、微量金属塩(Mg、Cu、Ca、Fe、Mn、Co、Ni等)が挙げられる。前記培養液のpHは約8.0である。振とう培養によって油脂分解菌の菌体濃度108/ml程度になった前記培養液を、メタン発酵槽4に1m3投入して撹拌する(メタン発酵槽4との容量比で1/400の投入量)。
メタン発酵槽4からバイオガスの発生が見られるようになったら、受槽3から新たなバイオマスを徐々に送り、定格運転に復帰させる。
[他の実施例]
実施例1および実施例2のように、失活した状態のメタン発酵液8に対して油脂分解作用物9を添加する油脂分解工程を行うことによって、そのメタン発酵の活性を回復できるほか、メタン発酵槽4を定格運転している間に油脂分解作用物9として酵素を添加する油脂分解工程を行うことも可能である。
実施例1および実施例2のように、失活した状態のメタン発酵液8に対して油脂分解作用物9を添加する油脂分解工程を行うことによって、そのメタン発酵の活性を回復できるほか、メタン発酵槽4を定格運転している間に油脂分解作用物9として酵素を添加する油脂分解工程を行うことも可能である。
すなわち、メタン発酵槽4におけるメタン発酵の開始後、酵素を添加しながらメタン発酵を行う。
前記酵素は、所定時間毎に間欠的に添加してもよく、また連続的に添加してもよい。定期的な添加には限られず、例えば、メタン発酵活性が50%以下の失活状態には至らないが、発生するバイオガスの量が低下する徴候が見られたときに添加することもできる。
酵素としては、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ等が挙げられる。
前記酵素は、所定時間毎に間欠的に添加してもよく、また連続的に添加してもよい。定期的な添加には限られず、例えば、メタン発酵活性が50%以下の失活状態には至らないが、発生するバイオガスの量が低下する徴候が見られたときに添加することもできる。
酵素としては、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ等が挙げられる。
メタン発酵槽4におけるメタン発酵の開始後、前記酵素による油脂分解工程を行うことによって、定格運転中のメタン発酵槽4において、前記有機性廃棄物に含まれている油脂が分解されずに蓄積することを防止することができる。以って、前記油脂の蓄積によってメタン発酵液8が失活状態になる虞が低減し、失活予防の効果を奏する。
また、前記油脂分解工程には酵素を用いるので、メタン発酵液8に対して温度や圧力等の変化を与えることなく、油脂分解反応を行うことができる。したがって、メタン発酵槽4内はメタン生成菌に適した条件に設定したままで、油脂分解反応を行うことができる。
また、前記油脂分解工程には酵素を用いるので、メタン発酵液8に対して温度や圧力等の変化を与えることなく、油脂分解反応を行うことができる。したがって、メタン発酵槽4内はメタン生成菌に適した条件に設定したままで、油脂分解反応を行うことができる。
1 メタン発酵システム、 2 有機性廃棄物、 3 受槽、
4 メタン発酵槽、5 活性モニター装置、
6 アンモニア測定装置、 7 VFA測定装置、
8 メタン発酵液、 9 油脂分解作用物、 10 ガス出口、
11 メタン発酵槽の回復試験装置、 12 試料供給びん、
14 発酵液捕集びん、 16 試験用メタン発酵槽
4 メタン発酵槽、5 活性モニター装置、
6 アンモニア測定装置、 7 VFA測定装置、
8 メタン発酵液、 9 油脂分解作用物、 10 ガス出口、
11 メタン発酵槽の回復試験装置、 12 試料供給びん、
14 発酵液捕集びん、 16 試験用メタン発酵槽
Claims (9)
- 有機性廃棄物をメタン発酵してバイオガスを生成するメタン発酵槽において、前記メタン発酵の活性が失活状態にあるメタン発酵槽の回復方法であって、
前記失活状態にあるメタン発酵液に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物を添加して行う油脂分解工程を含むことを特徴とする、メタン発酵槽の回復方法。 - 請求項1に記載されたメタン発酵槽の回復方法において、
前記油脂分解作用物は、酵素であることを特徴とする、メタン発酵槽の回復方法。 - 請求項1または2に記載されたメタン発酵槽の回復方法において、
前記油脂分解作用物は、リパーゼであることを特徴とする、メタン発酵槽の回復方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載されたメタン発酵槽の回復方法において、
前記油脂分解工程を嫌気性条件下において行うことを特徴とする、メタン発酵槽の回復方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載されたメタン発酵槽の回復方法において、
前記油脂分解工程は、
好気性条件下において行う第1の分解工程と、
前記第1の分解工程の後に嫌気性条件下において行う第2の分解工程と、
によって行われることを特徴とする、メタン発酵槽の回復方法。 - 請求項1から5のいずれか一項に記載されたメタン発酵槽の回復方法において、
前記メタン発酵槽におけるメタン発酵の活性状態は、バイオガスの生成量によって判断されることを特徴とする、メタン発酵槽の回復方法。 - 有機性廃棄物をメタン発酵してバイオガスを生成するメタン発酵方法であって、
前記メタン発酵の開始後、メタン発酵液に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物として酵素を添加して行う油脂分解工程を含むことを特徴とする、メタン発酵方法。 - 有機性廃棄物をメタン発酵してバイオガスを生成するメタン発酵槽と、
該メタン発酵槽におけるメタン発酵の活性状態をモニターする活性モニター装置と、を備え、
前記活性モニター装置によって、前記メタン発酵の活性が失活状態にあると判断されたときに、
メタン発酵液に対し、油脂に作用して該油脂から脂肪酸を遊離させて分解する油脂分解作用物を添加して、前記メタン発酵液中の油脂を分解するように構成された、メタン発酵システム。 - 請求項8に記載されたメタン発酵システムにおいて、
前記活性モニター装置は、バイオガスの生成量の測定部を備えていることを特徴とする、メタン発酵システム。
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