JP2015227496A - 直接還元鉄の製造設備、及び直接還元鉄の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コークス炉ガスよりも窒素濃度が高い燃料ガスを有効に利用することによって、直接還元鉄の製造に用いるコークス炉ガスの使用量を低減することが可能な直接還元鉄の製造設備を提供すること。【解決手段】直接還元炉30で酸化鉄を含む原料32と一酸化炭素及び水素を含む還元性ガスとを接触させて酸化鉄を直接還元する直接還元鉄の製造設備100であって、直接還元炉30からの排出ガスを処理して得られる循環ガスを含む還元性ガスを、直接還元炉30に導入する循環部20と、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを精製して得られる、燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度を有する供給ガスを、循環部20に供給するガス供給部10と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、直接還元鉄の製造設備、及び直接還元鉄の製造方法に関する。
鉄鉱石に含まれる酸化鉄を、直接還元炉中で、一酸化炭素又は水素などの還元性ガスと接触させて還元し、直接還元鉄を製造する方法が知られている。このような方法に用いられる還元性ガスの原料としては、製鉄所で発生するコークス炉ガス(COG)が用いられる。
ところで、製鉄所で得られる燃料ガスのうち、コークス炉ガスは、高い熱量を有することから、直接還元鉄の製造以外に、製鉄所内で鋼片の加熱などの熱源として有効利用されており、余剰量が少ないのが通常である。一方、製鉄所で得られる燃料ガスとしては、コークス炉ガスの他に転炉ガス(BOFG)がある。この転炉ガスは、コークス炉ガスに比べて二酸化炭素及び窒素の濃度が高く熱量が低いため、コークス炉ガスよりも用途が限定される。特許文献1に示されているとおり、コークス炉ガスの二酸化炭素濃度及び窒素濃度は、それぞれ、1〜2%及び3〜7%であるのに対し、転炉ガスの二酸化炭素濃度及び窒素濃度は、それぞれ、13〜18%及び11〜20%である。
このような事情の下、特許文献1では、転炉ガスを直接還元炉に供給される還元性ガスの原料として用いることが提案されている。この特許文献1では、転炉ガスに対するコークス炉ガスの混合比を0.95〜1.25にして、燃料ガス成分を設備の外部に放出することなく、直接還元鉄を製造することが提案されている。
米国特許第8496730号明細書
上述のとおり、コークス炉ガス(COG)は、製鉄所で得られる他の燃料ガスよりも高い熱量を有する。このため、直接還元鉄の製造において、供給ガスとして用いられているコーク炉ガスをコークス炉ガスよりも低い熱量を有する他の燃料ガスに代替することができれば、コークス炉ガスを他の用途に有効利用することができる。他の燃料ガスとしては、転炉ガス(BOFG)及び高炉ガス(BFG)が挙げられる。しかしながら、これらは窒素濃度が高いことから、供給量を増やした場合に、直接還元炉の循環部の窒素濃度が上昇し、直接還元炉の排出ガスを循環して使用することが困難となって、排出ガスを外部に放出することが必要となる。
例えば、供給ガスの窒素濃度が10体積%を超えると、排出ガス中の窒素濃度が20体積%を超え、その結果、循環部を流通するガス中の窒素濃度が上昇して酸化鉄を十分に還元することが困難になる。一方、供給ガスの窒素濃度が例えば6体積%を下回ると、排出ガス中の窒素濃度を12体積%未満にすることもできる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、コークス炉ガスよりも窒素濃度が高い燃料ガスを有効に利用することによって、直接還元鉄の製造に用いるコークス炉ガスの使用量を低減することが可能な直接還元鉄の製造設備を提供することを目的とする。また、コークス炉ガスよりも窒素濃度が高い燃料ガスを有効に利用することによって、直接還元鉄の製造に用いるコークス炉ガスの使用量を低減することが可能な直接還元鉄の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、直接還元炉で酸化鉄を含む原料と一酸化炭素及び水素を含む還元性ガスとを接触させて前記酸化鉄を直接還元する直接還元鉄の製造設備であって、直接還元炉からの排出ガスを処理して得られる循環ガスを含む還元性ガスを、直接還元炉に導入する循環部と、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを精製して得られる、燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度を有する供給ガスを、循環部に供給するガス供給部と、を備える直接還元鉄の製造設備を提供する。
上記本発明によれば、ガス供給部において、高い窒素濃度を有する燃料ガスを精製して、燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度を有する供給ガスを調製し、該供給ガスを循環部に供給している。このため、燃料ガスとして、コークス炉ガスよりも高い窒素濃度を有する燃料ガスを用いても、排出ガス及び循環ガス中の窒素濃度の増加を抑制することができる。したがって、直接還元鉄の製造設備の外部への排出ガスの放出量を十分に低減することが可能となる。このように、本発明の直接還元鉄の製造設備によれば、窒素濃度が高い燃料ガスを有効に利用して、コークス炉ガスの使用量を低減することができる。
幾つかの実施形態において、上記供給ガスの窒素濃度は10体積%以下であってもよく、好ましくは6体積%以下であってもよい。このような窒素濃度であれば、排出ガス及び還元性ガス中の窒素濃度を一層低減することができる。したがって、直接還元炉からの排出ガスの放出を停止して、燃料ガスのより一層の有効利用を図ることができる。
幾つかの実施形態において、上記循環部は、還元性ガスを加熱する加熱装置を備えており、ガス供給部から排出される、窒素と、水素及び/又は一酸化炭素とを含むガスを加熱装置で燃焼させてもよい。これによって、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを、効率的に使用することができる。
幾つかの実施形態において、ガス供給部は、燃料ガスに含まれる一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を吸着及び脱着するガス精製装置を有し、主成分として一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する供給ガスを循環部に供給するように構成されていてもよい。このように、燃料ガスに含まれる一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を吸着及び脱着する精製部を有することによって、設備をコンパクトにすることができる。循環部は、脱CO装置を備え、脱CO装置の上流側で供給ガスと排出ガスとを合流させて脱CO装置に供給することによって、還元性ガス中のCO濃度を低減してもよい。
幾つかの実施形態において、ガス供給部は、燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸着又は吸収する第1ガス精製装置と、第1ガス精製装置からのガスに含まれる一酸化炭素を吸着及び脱着する第2ガス精製装置とを有し、主成分として一酸化炭素を含有する供給ガスを循環部に供給するように構成されていてもよい。このようなガス精製装置を有することによって、供給ガスにおける一酸化炭素と二酸化炭素の濃度を柔軟に調整することができる。
幾つかの実施形態において、循環部は、シフト反応器を備え、シフト反応器の上流側で供給ガスと排出ガスとを合流させてシフト反応器に供給し、水性ガスシフト反応によって供給ガス及び排出ガスよりも高い水素濃度を有する循環ガスを調製してもよい。このようにシフト反応器を備えることによって、還元性ガス中の水素濃度を高くすることができる。水素は一酸化炭素よりも、分子のサイズが小さいため、容易に鉄鉱石の内部まで浸透することができる。したがって、還元性ガスにおける水素濃度を高くすることは、直接還元炉における還元反応の反応速度を向上させるうえで有効である。また、シフト反応器よりも上流側で供給ガスと排出ガスとを合流させて、排出ガスと供給ガスの両方をシフト反応器に供給して還元性ガスを調製することによって、還元性ガスの水素濃度を一層高くすることができる。
幾つかの実施形態において、循環部は、直接還元炉とシフト反応器の間に、排出ガス及び供給ガスの少なくとも一方の温度及び湿度を調整する調整部を備えていてもよい。これによって、シフト反応器におけるシフト反応を高い反応効率で進行させることができる。
幾つかの実施形態において、上記調整部は、湿式集塵機と、湿式集塵機の入口側のガスと出口側のガスとを熱交換する自己熱交換型熱交換器と、を備えていてもよい。これによって、排出ガス及び供給ガスの集塵を行いつつ、これらのガスの温度及び湿度を、シフト反応に適した条件に調整することができる。したがって、シフト反応器の運転を、高効率で安定的に行うことができる。
幾つかの実施形態において、上記調整部は、上流側から、排出ガスを冷却して加湿する散水冷却塔と乾式集塵機とを備えていてもよい。これによって、排出ガス温度及び湿度を、シフト反応に適した条件に調整することができる。また、簡便な設備で排出ガスの集塵を行うことができる。したがって、シフト反応器の運転を、高効率で安定的に行うことができる。
本発明はまた、直接還元炉で酸化鉄を含む原料と一酸化炭素及び水素を含む還元性ガスとを接触させて酸化鉄を直接還元する直接還元鉄の製造方法であって、直接還元炉からの排出ガスを処理して得られる循環ガスを含む還元性ガスを、直接還元炉に導入する循環工程と、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを精製して、燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度とを有する供給ガスを、循環ガスに合流させる供給工程と、を有する、直接還元鉄の製造方法を提供する。
上記本発明によれば、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを精製して、燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度を有する供給ガスを調製し、該供給ガスを循環ガスに合流させている。このため、燃料ガスとして、コークス炉ガスよりも高い窒素濃度を有する燃料ガスを用いても、排出ガス及び還元性ガス中の窒素濃度の増加を抑制することができる。したがって、直接還元鉄の製造設備の外部への放出される排出ガスの量を十分に低減することが可能となる。このように、本発明の直接還元鉄の製造方法によれば、窒素濃度が高い燃料ガスを有効に利用して、コークス炉ガスの使用量を低減することができる。
幾つかの実施形態において、供給ガスの窒素濃度は6体積%以下であってもよい。これによって、排出ガス及び還元性ガス中の窒素濃度の増加を十分に抑制することができる。したがって、直接還元炉からの排出ガスの放出を停止して、燃料ガスのより一層の有効利用を図ることができる。
幾つかの実施形態では、供給工程の燃料ガスの精製によって得られる、燃料ガスよりも高い窒素濃度を有し、水素及び/又は一酸化炭素を含むガスを、還元性ガスを加熱する加熱装置で燃焼させてもよい。これによって、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを効率的に使用することができる。
幾つかの実施形態において、供給工程では、燃料ガスに含まれる一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を吸着及び脱着して、主成分として一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する供給ガスを得てもよい。このように、燃料ガスに含まれる一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を吸着及び脱着する精製部を有することによって、設備をコンパクトにすることができる。
幾つかの実施形態において、供給工程では、燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸着又は吸収して除去した後、二酸化炭素を除去したガスに含まれる一酸化炭素を吸着及び脱着して、主成分として一酸化炭素を含有する供給ガスを得てもよい。このような方法によって、一酸化炭素と二酸化炭素の濃度を柔軟に調整することができる。
幾つかの実施形態において、供給工程では、供給ガスを循環ガスに合流させた後、水性ガスシフト反応によって供給ガス及び排出ガスよりも高い水素濃度を有する還元性ガスを得てもよい。これによって、還元性ガスの水素濃度を一層高くすることができる。幾つかの実施形態において、水性ガスシフト反応の前に、排出ガス及び供給ガスの少なくとも一方の温度及び湿度を調整してもよい。これによって、シフト反応器におけるシフト反応を高い反応効率で進行させることができる。
本発明によれば、コークス炉ガスよりも窒素濃度が高い燃料ガスを有効に利用することによって、直接還元鉄の製造に用いるコークス炉ガスの使用量を低減することが可能な直接還元鉄の製造設備を提供することができる。また、コークス炉ガスよりも窒素濃度が高い燃料ガスを有効に利用することによって、直接還元鉄の製造に用いるコークス炉ガスの使用量を低減することが可能な直接還元鉄の製造方法を提供することができる。
本発明の直接還元鉄の製造設備の一実施形態を示す概略図である。 本発明の直接還元鉄の製造設備の別の実施形態を示す概略図である。 本発明の直接還元鉄の製造設備のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の直接還元鉄の製造設備のさらに別の実施形態を示す概略図である。 本発明の直接還元鉄の製造設備に備えられるガス精製装置の一例を示す概略図である。 本発明の直接還元鉄の製造設備に備えられるガス精製装置の別の例を示す概略図である。 本発明の直接還元鉄の製造設備に備えられるガス精製装置のさらに別の例を示す概略図である。
本発明の好適な実施形態を、場合により図面を参照しながら、以下に説明する。なお、各図面において、同一または同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態における直接還元鉄の製造設備100の概略図である。本実施形態の直接還元鉄の製造設備100は、コークス炉ガスとは異なる燃料ガス、及びコークス炉ガスを供給するガス供給部10と、酸化鉄を含む原料と還元性ガスとを接触させて酸化鉄を直接還元する直接還元炉30と、直接還元炉30から排出される排出ガスを処理して得られる還元性ガスを循環して直接還元炉30に導入する循環部20とを具備する。
ガス供給部10は、一酸化炭素、二酸化炭素、水素及び窒素を含み、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスと、コークス炉ガスとを別々に循環部20に供給可能なように構成されている。燃料ガスにおける窒素濃度は、例えば10〜60体積%であってもよい。このような燃料ガスとしては、例えば、転炉ガス(BOFG)、高炉ガス(BFG)及びこれらの混合ガスが挙げられる。燃料ガスは、上述の成分以外に、例えば、水素、メタンなどの炭化水素、及び水を含んでいてもよい。燃料ガスの組成は、例えば、窒素を10〜60体積%、一酸化炭素を20〜80体積%、二酸化炭素を5〜30体積%、水素を0〜10体積%、メタンを0〜5体積%、水を0〜5体積%含む。なお、本明細書におけるガスの体積%、及び体積比は、全て標準状態(0℃、1気圧)基準の値である。
ガス供給部10の燃料ガスは、配管などで構成されるガス流路11を流通してガス精製装置12に導入される。ガス精製装置12としては、例えば、一酸化炭素及び/又は二酸化炭素を、吸着剤を用いて吸着する圧力スイング吸着装置、及び、吸収液としてアミンなどのアルカリ性水溶液を用いて、二酸化炭素を選択的に吸収する吸収塔などが挙げられる。ガス精製装置12は、一つ以上の圧力スイング吸着装置、及び/又は、一つ以上の吸収塔を備えていてもよい。例えば、複数の圧力スイング吸着装置を直列に配置して、燃料ガスを順次精製してもよい。この場合、複数の圧力スイング吸着装置は、互いに異なる吸着剤を備えていてもよい。
吸着剤及び吸収液は、公知のものを使用することが可能である。例えば、吸着剤としては、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、及びセリウム酸化物などの多孔質吸着体が挙げられる。吸収液としては、MEA(モノエタノールアミン)及びMDEA(メチルジエタノールアミン)などの有機系アルカリ性吸収液が挙げられる。ただし、吸着剤及び吸収液は上述のものに限定されず、他の吸着剤及び吸収液を用いてもよいことはいうまでもない。
燃料ガスは、ガス精製装置12において、高い窒素濃度を有する第1のガスと、第1のガスよりも低い窒素濃度を有し、且つ高い一酸化炭素濃度を有する第2のガスとに分離される。第1のガスは、窒素を主成分とするものであることから、ガス流路14から外部に放出してもよい。一方、第2のガスは、ガス圧縮機15で約0.4MPaに昇圧された後、ガス流路16を流通して、供給ガスとして循環部20に導入される。ガス流路16は、循環部20の脱CO装置28の上流側に接続されている。したがって、第2のガス(供給ガス)は、接続部で循環部20を循環する循環ガスと合流した後、脱CO装置28に導入される。脱CO装置28では、循環ガスに含まれる二酸化炭素の少なくとも一部が除去される。このように、供給ガスを、脱CO装置28の上流側に導入する構成としていることから、供給ガスは、相当量の二酸化炭素を含んでいてもよい。例えば、供給ガスの二酸化炭素濃度は10体積%を超えていてもよく、例えば11〜25体積%であってもよい。
ガス流路11には、燃料ガスの一部を加熱装置29で燃焼できるように、ガス流路17が接続されている。燃料ガスの一部は、ガス流路17を流通させて、加熱装置29で熱源として燃焼させてもよい。
コークス炉ガスは、燃料ガスとは別系統で、ガス供給部10から循環部20に導入される。コークス炉ガスは、ガス供給部10のガス流路40を流通してガス圧縮機42に導入される。コークス炉ガスは、ガス圧縮機42で約0.7MPaに昇圧された後、ガス流路44を流通して、循環部20に導入される。コークス炉ガスの二酸化炭素濃度は、通常1〜2体積%であり、燃料ガスよりも低い。このため、ガス流路44は循環部20の脱CO装置の下流側に連結されている。したがって、コークス炉ガスは、二酸化炭素が十分に低減された循環ガス(還元性ガス)と合流する。
本実施形態では、ガス供給部10にガス精製装置12を有していることから、燃料ガスの供給比率を十分に高くすることができる。コークス炉ガスと燃料ガスの合計に対する燃料ガスの比率は、低位発熱量基準で、例えば、40%以上にすることが可能であり、60%以上又は80%以上にすることも可能である。
循環部20は、直接還元炉30の炉頂から排出される排出ガスを処理して循環ガスとし、該循環ガスに供給ガスを合流させて得られる還元性ガスを直接還元炉30に導入する。排出ガスは、二酸化炭素、一酸化炭素、水素及び水を含んでおり、還元性を有する一酸化炭素及び水素が含まれている。したがって、循環部20は、排出ガスを処理して、還元に寄与しない二酸化炭素及び水などの成分を低減又は除去し、還元に寄与する成分を還元性ガスとして再利用することを可能にしている。
直接還元炉30から排出される排出ガスは、ガス流路22を経由して熱交換器23に導入される。この排出ガスは、酸化鉄の還元によって生じた二酸化炭素及び水、並びに、還元性ガスに由来する未反応の一酸化炭素及び水素を含有する。直接還元炉30の出口における排出ガスの温度は、例えば300〜500℃である。この排出ガスは、熱交換器23によって、例えば200〜350℃に冷却される。熱交換器23の下流側には、乾式集塵機24が設けられる。乾式集塵機24としては、電気集塵機やセラミックフィルターなどを用いることができる。この乾式集塵機24によって、排出ガスに含まれる固形分が除塵される。なお、乾式集塵機24の代わりに湿式集塵機(ベンチュリスクラバー)を設けてもよい。
乾式集塵機24の下流側にはガス冷却装置26、ガス圧縮機27及び脱CO装置28がこの順で設けられている。ガス冷却装置26では、排出ガスを冷却して排出ガスに含まれる水分を除去する。ガス冷却装置26及びガス圧縮機27によって、排出ガスの圧力及び温度を、脱CO装置28での処理に適した範囲に調整する。
ガス冷却装置26とガス圧縮機27との間のガス流路には、供給ガス(第2のガス)を供給するガス流路16が接続されている。これによって、供給ガスは循環ガスと合流して、循環部20を流通する。なお、供給ガスと排出ガスとの合流位置よりも上流側には、ガス流路18が接続されていてもよい。このガス流路18は、加熱装置29の燃料用のガス流路17に接続されている。このガス流路18を用いて、排出ガスの一部を加熱装置29で燃焼させてもよい。窒素を含む排出ガスの一部を循環部20の外部に排出して加熱装置29の燃料として消費することによって、循環部20を流通する循環ガスの窒素濃度の上昇を抑制することができる。
脱CO装置28としては、気液接触によって二酸化炭素を除去する通常の二酸化炭素除去用の設備を用いることができる。このような設備で用いる吸収液としては、例えばMEA(モノエタノールアミン)及びMDEA(メチルジエタノールアミン)などの有機系アルカリ性吸収液を用いることができる。この場合、脱CO装置28の入口におけるガスの温度は、例えば40℃前後である。
脱CO装置28の下流側には、ガス流路44が接続されている。コークス炉ガスは、このガス流路44を流通して循環部20に供給され、脱CO装置28によって二酸化炭素が除去されたガス(循環ガス)と合流する。コークス炉ガスは、通常、低い二酸化濃度を有する。このため、本実施形態のように、脱CO装置28の下流側に合流させることができる。
循環ガスは、コークス炉ガスと合流した後、加熱装置29で、例えば800〜1100℃に加熱される。加熱装置29としては、燃焼器と高温熱交換器とを組み合わせた加熱装置を用いることができる。循環ガスに、供給ガス及びコークス炉ガスを合流させて得られる還元性ガスは、加熱装置29で加熱された後、直接還元炉30に導入される。
直接還元炉30に導入される還元性ガスの温度は、直接還元炉30への供給時において、好ましくは800〜1100℃であり、より好ましくは850〜1050℃である。このような温度範囲とすることによって、直接還元炉30での還元反応を一層円滑に進行させることができる。
直接還元炉30には、ホッパから切り出された鉄鉱石などの原料32(鉄の含有率:60〜70質量%)が、直接還元炉30に連結された装入管を経由して供給される。原料32は、直接還元炉30において、750〜1050℃に加熱されつつ還元性ガスと接触する。これによって、酸化鉄は還元されて直接還元鉄が得られる。このようにして得られた直接還元鉄34は、直接還元炉30の底部から排出される。直接還元鉄34の鉄の含有率は、例えば、80〜95質量%である。
直接還元鉄の製造設備100は、燃料ガスを精製して得られる、燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度を有する供給ガスを、直接還元炉30に導入される還元性ガス又はその原料として用いている。このように、直接還元鉄の製造設備100は、燃料ガスを有効に利用することによって、コークス炉ガスの使用量を低減することができる。
図2は、別の実施形態である直接還元鉄の製造設備101の概略図である。直接還元鉄の製造設備101は、ガス精製装置12で燃料ガスを精製して得られる供給ガス(第2のガス)のガス流路16の接続位置が、直接還元鉄の製造設備100と相違する。すなわち、直接還元鉄の製造設備101では、ガス流路16が、循環部20の脱CO装置28と加熱装置29との間のガス流路21に接続されている。このように、脱CO装置28の下流側において、供給ガスを循環ガスに合流させることによって、脱CO装置28の処理量を小さくすることができる。
直接還元鉄の製造設備101では、供給ガスが、脱CO装置28で処理されることなく循環部20から直接還元炉30に導入される。このため、ガス精製装置12において燃料ガスの二酸化炭素濃度を低減して、供給ガスの二酸化炭素濃度を低くすることが好ましい。ガス精製装置12として、例えば、一酸化炭素及び二酸化炭素を、吸着剤を用いて吸着する圧力スイング吸着装置、又は、吸収液として、例えばMEA(モノエタノールアミン)及びMDEA(メチルジエタノールアミン)などの有機系アルカリ性吸収液を用いて、二酸化炭素を選択的に吸収する吸収塔などを有することが好ましい。吸着剤及び吸収液は、公知のものを使用することが可能である。
直接還元鉄の製造設備101は、ガス精製装置12で得られる、第2のガスよりも高い窒素濃度を有する第1のガスの供給先も、直接還元鉄の製造設備100と相違する。すなわち、直接還元鉄の製造設備101では、第1のガスを搬送するガス流路14が、加熱装置29に燃料を供給するガス流路17に接続されている。ガス精製装置12で、第2のガスに含まれる二酸化炭素濃度を低減すると、第1のガスに含まれる一酸化炭素濃度が高くなる傾向にある。このため、第1のガスを加熱装置29の燃料として利用可能な構成とすることによって、一酸化炭素を含有する第1のガスを有効に利することができる。直接還元鉄の製造設備101の上記以外の構成は、直接還元鉄の製造設備100と同様である。
直接還元鉄の製造設備101では、第2のガスのガス流路16を、コークス炉ガスのガス流路44よりも循環部20の上流側に接続しているが、このような構成に限定されない。別の幾つかの実施形態では、第2のガスとコークス炉ガスと合流させた後に、循環部20を流通する循環ガスに合流するように構成されていてもよく、コークス炉ガスの方が第2のガスよりも上流側で循環ガスに合流してもよい。
図3は、さらに別の実施形態である直接還元鉄の製造設備102の概略図である。直接還元鉄の製造設備102は、直接還元炉30から排出された排出ガスを冷却する熱交換器23Bを備える。ここで、排出ガスは、ガス圧縮機27から出てきた排出ガスと熱交換して、例えば200〜350℃に冷却される。熱交換器23Bは、シフト反応器25におけるシフト反応に適した温度に調整する観点から、図3に示すように自己熱交換型熱交換器であることが好ましい。
直接還元鉄の製造設備102では、ガス精製装置12で燃料ガスを精製して得られる供給ガス(第2のガス)のガス流路16の接続位置が、直接還元鉄の製造設備100及び101と相違する。すなわち、直接還元鉄の製造設備102では、ガス流路16は、循環部20のガス圧縮機27と熱交換器23Bの間のガス流路に接続されている。
直接還元鉄の製造設備102は、湿式集塵機24Bを備える。熱交換器23Bで冷却された排出ガスは、湿式集塵機24Bに導入される。湿式集塵機24Bには、湿式集塵機24Bに水を供給する水供給部62と、湿式集塵機24Bからダストを含む水を排出する水排出部64が接続されている。
湿式集塵機24Bでダストが除去された排出ガスは、ガス圧縮機27に導入される。この排出ガスは、湿式集塵機24Bでダストが除去されるとともに加湿される。ガス流路22における排出ガスの水分(体積%)は、20%弱であるのに対し、湿式集塵機24Bの出口における水分(体積%)は、20〜30%である。このように、排出ガスは、シフト反応器25に導入される際に相当量の水分を含んでいることから、後述するシフト反応を十分に進行させることができる。
排出ガスは、ガス圧縮機27で、例えば約0.6から約0.9MPaに昇圧された後、熱交換器23Bに導入されて、直接還元炉30から排出された排出ガスと熱交換する。熱交換によって、ガス圧縮機27で昇圧された排出ガスは、例えば200〜350℃に昇温される。すなわち、排出ガスは、熱交換器23B、及び湿式集塵機24Bによって、シフト反応器25での処理に適した温度及び湿度に調整される。すなわち、熱交換器23B、及び湿式集塵機24Bは、排出ガスの調整部50を構成する。このような調整部50を備えるため、外部から水蒸気を注入したり、熱源を供給したりしなくても、水性ガスシフト反応を十分に進行させることができる。なお、排出ガスはガス圧縮機27で昇圧されていることから、直接還元鉄の製造設備101のように、ガス冷却装置26と脱CO装置28との間にガス圧縮機を設ける必要はない。
熱交換器23Bの下流側には、シフト反応器25が設けられる。シフト反応器25入口におけるガスの含塵濃度は、好ましくは5mg/m以下である。シフト反応器25では、触媒により、下記式(1)で示す水性ガスシフト反応が進行する。これによって、排出ガスに含まれる一酸化炭素及び水から、二酸化炭素及び水素が生成する。この反応によって、ガス中の一酸化炭素に対する水素の体積比を高めることができる。具体的には、シフト反応器25に導入される前の排出ガスの一酸化炭素に対する水素の体積比は約1であるのに対し、水性ガスシフト反応によって得られる、シフト反応器25の出口における反応ガスの一酸化炭素に対する水素の体積比は、1以上とすることが可能であり、例えば3〜6とすることも可能である。
CO+HO→CO+H (1)
シフト反応器25で得られる反応ガスは、直接還元炉30内の還元反応及び水性ガスシフト反応によって生じる二酸化炭素を含有する。このため、反応ガスの二酸化炭素濃度は、排出ガスの二酸化炭素濃度よりも高くなる。反応ガスに含まれる二酸化炭素の少なくとも一部は、シフト反応器25の下流側に設けられる脱CO装置28で除去される。このようにシフト反応器25の下流側に二酸化炭素を除去する脱CO装置28を設けていることから、効率的に二酸化炭素を除去することができる。
直接還元鉄の製造設備102は、ガス供給部10にガス精製装置12を備えるとともに、循環部20にシフト反応器25を備えることから、通常、高い水素濃度を有するコークス炉ガスを一層低減して、転炉ガス又は高炉ガスのような窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスの使用比率を十分に高くすることができる。コークス炉ガスを全く使用せず、転炉ガス又は高炉ガスのような燃料ガスのみで操業することも可能である。
コークス炉ガスとは異なる燃料ガスのみで操業しても、原料32の還元反応を十分に速く進行させることができる。還元性ガスの水素濃度は、還元反応を十分に速く進行させる観点から、好ましくは40体積%以上であり、より好ましくは45体積%以上である。同様の観点から、還元性ガスにおける一酸化炭素に対する水素の体積比は、好ましくは1以上である。
湿式集塵機24B及びガス圧縮機27の間と、加熱装置29の燃料ガス用のガス流路17とを接続するガス流路19を設けてもよい。これによって、排出ガスの一部を抜き出して、加熱装置29で燃料ガスとして燃焼させることができる。直接還元鉄の製造設備102の上記以外の構成は、直接還元鉄の製造設備100と同様である。なお、第2のガス(供給ガス)のガス流路16は、直接還元鉄の製造設備101と同様に、循環部20の脱CO装置28と加熱装置29との間のガス流路21に接続してもよい。
図4は、さらに別の実施形態である直接還元鉄の製造設備103の概略図である。直接還元鉄の製造設備103は、直接還元炉30から排出された排出ガスを冷却する散水冷却塔23Aを備える。ここで、排出ガスは、散水冷却塔23Aにおいて、例えば温度200〜350℃に冷却されるとともに、20〜30%の水分濃度(体積%)に加湿される。このように、散水冷却塔23Aは、下流側にあるシフト反応器25での処理に適した温度及び湿度に調整される。すなわち、散水冷却塔23Aは、排出ガスの調整部51を構成する。
散水冷却塔23Aの下流側には、乾式集塵機24が設けられる。これによって、下流側にあるシフト反応器25を長期間安定して運転することが可能となる。
乾式集塵機24の下流側には、シフト反応器25が設けられる。シフト反応器25では、直接還元鉄の製造設備102において説明したとおり、上記式(1)で示す水性ガスシフト反応が進行する。直接還元鉄の製造設備103では、シフト反応器25の上流側において、ガス精製装置12で得られる供給ガス(第2のガス)のガス流路16が接続されている。このように、供給ガスを、シフト反応器25の上流側で排出ガスと合流させることによって、供給ガス中に含まれる一酸化炭素及び水もシフト反応によって二酸化炭素と水素にすることができる。これによって、直接還元炉30に供給される還元性ガスにおける水素濃度を十分に高くすることができる。
供給ガスと排出ガスの合流位置よりも上流側に、排出ガスを加熱装置29の燃料として利用することが可能なようにガス流路18Aが設けられている。これによって、排出ガスの組成に応じて、排出ガスの一部を加熱装置29の燃料として用いることができる。直接還元鉄の製造設備103の上記以外の構成は、直接還元鉄の製造設備100と同様である。
次に、上述の各直接還元鉄の製造設備に備えられるガス精製装置の例を以下に説明する。図5は、ガス精製装置12の一例を示す概略図である。ガス精製装置12は、一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を、吸着剤を用いて吸着する圧力スイング吸着装置12Aである。一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスは、ガス流路11からブロア13Aによって、圧力スイング吸着装置12Aに供給される。圧力スイング吸着装置12Aは、一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を一つの装置で吸着すること、すなわち1段階で吸着することができるように構成されている。このため、一酸化炭素及び二酸化炭素を個別に吸着する装置、すなわち2段階で吸着する装置に比べて、コンパクトにすることができる。
圧力スイング吸着装置12Aで得られる一酸化炭素及び二酸化炭素を主成分とする低Nガスは、真空ポンプ13Cによって例えば図1のガス圧縮機15に搬送される。このガスは、供給ガスとして、ガス圧縮機15で昇圧された後、循環部20に供給される。この供給ガスは二酸化炭素を含有することから、直接還元鉄の製造設備100,102のように、脱CO装置28の上流側で、排出ガス(循環ガス)と合流させることが好ましい。これによって、供給ガスに含まれる二酸化炭素が脱CO装置28で除去され、二酸化炭素濃度が低減された還元性ガスを直接還元炉30に供給することができる。すなわち、循環部20が脱CO装置28を備えるとともに、その上流側において供給ガスを循環ガスと合流させる構成としていることから、ガス精製装置12を、圧力スイング吸着装置12Aのみの一段階で構成することができる。圧力スイング吸着装置12Aで得られる窒素を主成分とするガスは、一酸化炭素及び/又は水素を含む場合、ガス流路14を流通させて加熱装置29で燃焼させてもよい。また、当該ガスの熱量が低い場合には、廃棄してもよい。
図6は、ガス精製装置12の別の例を示す概略図である。ガス精製装置12は、ガス吸着を二段階で行う装置であり、二酸化炭素を、吸着剤を用いて吸着する第1の圧力スイング吸着装置12Bと、一酸化炭素を、吸着剤を用いて吸着する第2の圧力スイング吸着装置12Cとを有する。一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスは、ガス流路11からブロア13Aによって、第1の圧力スイング吸着装置12Bに導入される。第1の圧力スイング吸着装置12Bでは、吸着剤による二酸化炭素の吸着及び脱着によって、二酸化炭素濃度が高い高COガスと、二酸化炭素濃度が低い低COガスとに分離される。
低COガスは、ブロア13Bによって第2の圧力スイング吸着装置12Cに導入される。第2の圧力スイング吸着装置12Cでは、吸着剤による一酸化炭素の吸着及び脱着によって、一酸化炭素濃度が高く窒素濃度が低い低Nガスと、一酸化炭素濃度が低く窒素濃度が高い高Nガスとに分離される。低Nガスは、主成分として一酸化炭素を含有するとともに、二酸化炭素及び窒素濃度が十分に低減されている。この低Nガスは、真空ポンプ13Cによって、例えば図2のガス圧縮機15に搬送される。
第1の圧力スイング吸着装置12Bで用いられる吸着剤と、第2の圧力スイング吸着装置12Cで用いられる吸着剤は異なるものであってもよい。例えば、第1の圧力スイング吸着装置12B及び第2の圧力スイング吸着装置では、活性炭及びゼオライトをそれぞれ用いてもよい。これによって、低いコストで、主成分として一酸化炭素を含有するとともに、二酸化炭素及び窒素濃度が十分に低減された供給ガスを得ることができる。なお、ゼオライトは多量のCOと接触すると性能が低下する場合があるので、第2の圧力スイング吸着装置12Cに供給される低COガスのCO濃度は低い方が好ましく、例えば1体積%未満であることが好ましい。
第2の圧力スイング吸着装置12Cに供給される低COガスのCO濃度を低減する観点から、第1の圧力スイング吸着装置12Bの入口におけるガスの圧力は高い方が好ましい。第1の圧力スイング吸着装置12Bの入口におけるガスの圧力の下限は、例えば、0.3MPaであってもよく、0.4MPaであってもよい。当該圧力の上限は、特に制限はなく、実用上の観点から、例えば0.8MPaであってもよく、0.6MPaであってもよい。第2の圧力スイング吸着装置12Cの入口におけるガスの圧力は、第1の圧力スイング吸着装置12Bの入口におけるガスの圧力と同等にすることができる。
低Nガスは、供給ガスとして、ガス圧縮機15で昇圧された後、循環部20に供給される。この供給ガスは二酸化炭素濃度が低減されていることから、直接還元鉄の製造設備101のように、脱CO装置28の下流側で、排出ガス(循環ガス)と合流させることが好ましい。または、直接還元鉄の製造設備103のようにシフト反応器25の上流側で排出ガスと合流させてもよい。これによって、直接還元炉30に供給される還元性ガスの一酸化炭素に対する水素の比率を高くすることができる。一方、第1の圧力スイング吸着装置12Bで得られる二酸化炭素を主成分とする高COガス、及び第2の圧力スイング吸着装置12Cで得られる窒素を主成分とする高Nガスは、水素及び/又は一酸化炭素を含む場合、ガス流路14を流通させて、加熱装置29で燃焼させてもよい。また、当該ガスの熱量が低い場合には、廃棄してもよい。高COガスと高Nガスとは合流させずに別々の用途に用いてもよく、一方のガスのみを廃棄してもよい。
図7は、ガス精製装置12のさらに別の例を示す概略図である。図7のガス精製装置12は、燃料ガスと吸収液とを向流接触させて、燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸収する吸収塔12Dと、一酸化炭素を、吸着剤を用いて吸着及び脱着する第2の圧力スイング吸着装置12Cとを有する。一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスは、ガス流路11からブロア13Aによって、吸収塔12Dに導入される。吸収塔12Dでは、アミンなどの吸収液によって、二酸化炭素が吸収される。
二酸化炭素が低減された低COガスは、ブロア13Bによって圧力スイング吸着装置12Cに導入される。圧力スイング吸着装置12Cでは、吸着剤による一酸化炭素の吸着及び脱着によって、高い一酸化炭素濃度と低い窒素濃度を有する低Nガスと、低い一酸化炭素濃度と高い窒素濃度を有する高Nガスとに分離される。低Nガスは、主成分として一酸化炭素を含有するとともに、二酸化炭素及び窒素濃度が十分に低減されている。この低Nガスは、真空ポンプ13Cによって例えば図2のガス圧縮機15に搬送される。
低Nガスは、供給ガスとして、ガス圧縮機15で昇圧された後、循環部20に供給される。この供給ガスは二酸化炭素濃度が低減されていることから、直接還元鉄の製造設備101のように、脱CO装置28の下流側で、排出ガス(循環ガス)と合流させることが好ましい。または、直接還元鉄の製造設備103のようにシフト反応器25の上流側で排出ガスと合流させてもよい。これによって、直接還元炉30に供給される還元性ガスの一酸化炭素に対する水素の比率を高くすることができる。一方、吸収塔12Dでアミンなどの吸収液に吸収された二酸化炭素は、再生塔で、吸収液と分離されて、高濃度COとして様々な用途に再利用することができる。再生塔で再生されたアミンは、再び吸収塔で用いることができる。圧力スイング吸着装置12Cで得られる窒素を主成分とする高Nガスは、水素及び/又は一酸化炭素を含む場合、ガス流路14を流通させて、加熱装置29で燃焼させてもよい。また、当該ガスの熱量が低い場合には、廃棄してもよい。
本発明の直接還元鉄の製造方法の一実施形態は、上述の直接還元鉄の製造設備100〜103のいずれかを用いて行ってもよい。本実施形態の直接還元鉄の製造方法では、直接還元炉30で原料32と一酸化炭素及び水素を含む還元性ガスとを接触させて酸化鉄を直接還元して還元鉄34を得る。この製造方法は、直接還元炉30からの排出ガスを処理して得られた循環ガスを含む還元性ガスを直接還元炉30に導入する循環工程と、ガス供給部10において、一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを精製して、燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度とを有する供給ガスを、循環ガスに合流させる供給工程と、を有する。
ガス精製装置12で得られる供給ガスの窒素濃度は、例えば10体積%未満であってもよく、6体積%以下であってもよい。供給ガスの窒素濃度を低減することによって、コークス炉ガスの使用量を一層低減することができる。
供給工程では、燃料ガスに含まれる一酸化炭素及び二酸化炭素の両方の吸着及び脱着を同時に行って、主成分として一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する供給ガスを得てもよい。供給ガス中の一酸化炭素濃度及び二酸化炭素濃度は、それぞれ、例えば50〜80体積%及び0〜20体積%である。供給ガスの二酸化炭素濃度は、例えば11〜25体積%であってもよい。このように供給ガスが二酸化炭素を含んでいても、循環工程において、供給ガスを脱CO装置の上流側で排出ガスと合流させた後、脱CO装置で処理することによって、ガスに含まれるCO濃度を低減することができる。
供給ガスは、その他に水素、炭化水素、及び窒素を含んでいてもよい。また、供給工程では、燃料ガスに含まれる二酸化炭素及び一酸化炭素の吸着及び脱着を順次行って、主成分として一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する供給ガスを得てもよい。また、燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸着又は吸収して除去して得られる、二酸化炭素が1体積%未満に低減されたガスの一酸化炭素を吸着及び脱着して、主成分として一酸化炭素を含有する供給ガスを得てもよい。この場合、供給ガスの一酸化炭素濃度は80〜100体積%であってもよい。
本実施形態の直接還元鉄の製造方法は、直接還元鉄の製造設備100〜103の装置構成を用いて、上述の手順で実施することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、直接還元鉄の製造方法は、直接還元鉄の製造設備100〜103以外の設備を用いて行ってもよい。また、ガス精製装置12の構成は、図5〜図7の態様に限定されるものではなく、窒素濃度を低減できる各種の精製方法を提供することができる。
本発明の内容を、実施例及び比較例を参照してさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
燃料ガスとして転炉ガスを用い、図5に示す圧力スイング吸着装置12Aによって、ガス精製のシミュレーションを行った。圧力スイング吸着装置12Aの入口における転炉ガスの圧力は0.12MPaであり、温度は40℃である。圧力スイング吸着装置12Aの吸着剤としては、活性炭に塩化銅(I)を担持させたものとした。転炉ガスの組成と、該転炉ガスを圧力スイング吸着装置12Aで分離して得られる各ガスの組成、流量比を、シミュレーションによって求めた。その結果を表1に示す。なお、表1中の符号は、図5中の符号に対応する。また「流量比」は、転炉ガスを基準としたときの各ガスの体積比である。
Figure 2015227496
表1の結果から、圧力スイング吸着装置12Aによって得られる低Nガスは、直接還元鉄の製造設備及び直接還元鉄の製造方法における供給ガスとして、有用であることが確認された。一方、高Nガスは、熱量が低いことから、燃料ガスとして用いずに、廃棄ガスとしてもよい。表1中、「有効利用率」は、転炉ガスに含まれる一酸化炭素(水素)のうち、供給ガス又は燃料として用いられる一酸化炭素(水素)の体積比率である。実施例1では、高Nガスを廃棄していることから、供給ガスとして用いられる低Nガスのみ有効に利用されることとなる。本実施例では、一酸化炭素を十分に有効に利用することができる。
(実施例2)
燃料ガスとして転炉ガスを用い、図6に示す第1の圧力スイング吸着装置12B及び第2の圧力スイング吸着装置12Cによってガス精製を行う場合のシミュレーションを行った。各圧力スイング吸着装置の入口におけるガスの圧力は0.12MPaであり、温度は40℃である。第1の圧力スイング吸着装置12Bの吸着剤として活性炭を、第2の圧力スイング吸着装置12Cの吸着剤として活性炭に塩化銅(I)を担持させたものを用いた。転炉ガスの組成と、該転炉ガスを第1,第2の圧力スイング吸着装置12B,12Cで分離して得られる各ガスの組成、流量比を、シミュレーションによって求めた。その結果を表2に示す。なお、表2中の符号は、図6中の符号に対応する。また「流量比」は、転炉ガスを基準としたときの各ガスの体積比である。
Figure 2015227496
表2の結果から、第1,第2の圧力スイング吸着装置12B,12Cによって得られる低Nガスは、直接還元鉄の製造設備及び直接還元鉄の製造方法における供給ガスとして、有用である。一方、高COガス及び高Nガスは、熱量が低いことから、燃料ガスとして用いずに、廃棄ガスとしてもよい。表2中、「有効利用率」は、転炉ガスに含まれる一酸化炭素(水素)のうち、供給ガス又は燃料として用いられる一酸化炭素(水素)の体積比率である。実施例2では、高COガス及び高Nガスを廃棄していることから、供給ガスとして用いられる低Nガスのみ有効に利用されることとなる。
実施例2は、転炉ガスに含まれるCOの回収率を優先して運転を行う場合のシミュレーションの結果である。このようにCOの回収率を優先する場合、低Nガスの二酸化炭素濃度が高くなる傾向にある。このため、表2の低Nガスを供給ガスとして用いる場合、供給ガスは、図1のように脱CO装置28の上流側で排出ガス(循環ガス)に合流させることが好ましい。表2に示すとおり、実施例2でも、一酸化炭素を十分に有効に利用することができる。
(実施例3)
燃料ガスとして転炉ガスを用い、実施例2と同様に、図6に示す第1の圧力スイング吸着装置12B及び第2の圧力スイング吸着装置12Cによってガス精製を行う場合のシミュレーションを行った。第2の圧力スイング吸着装置12Cの吸着剤としてゼオライトを用いたことと、各圧力スイング吸着装置の入口におけるガスの圧力を0.45MPaとしたこと以外は、実施例2と同様の条件とした。
Figure 2015227496
実施例3は、低Nガスに含まれる二酸化炭素濃度を低くすることを優先して運転を行う場合のシミュレーションの結果である。このように低Nガスの二酸化炭素濃度を低くすることを優先する場合、高COガス及び高Nガスに含まれる一酸化炭素濃度が高くなる傾向にある。このため、表3の高COガス及び高Nガスは、図2に示すように加熱装置29の燃料として用いることができる。表3の低Nガスは、二酸化炭素濃度が低いことから、供給ガスとして用いる場合、脱CO装置28の下流側で排出ガス(循環ガス)に合流させることが好ましい。
表3中、「有効利用率」は、転炉ガスに含まれる一酸化炭素(水素)のうち、供給ガス又は燃料として用いられる一酸化炭素(水素)の体積比率である。実施例3では、高COガス及び高Nガスを燃料ガスとして利用していることから、一酸化炭素と水素の有効利用率を100%とすることができる。なお、供給ガスへの回収率は、表3に示すとおりである。転炉ガスに含まれる一酸化炭素のうち、供給ガスとして循環部20に導入される一酸化炭素の体積比率は70%である。
(実施例4)
燃料ガスとして転炉ガスを用い、図7に示す吸収塔12D及び圧力スイング吸着装置12Cによって転炉ガスの精製を行う場合のシミュレーションを行った。吸収塔12Dの入口における転炉ガスの温度は40℃、圧力は大気圧とした。吸収塔12Dの吸収液としてはアミンを用いた。圧力スイング吸着装置12Cの入口における転炉ガスの圧力は0.12MPaであり、温度は40℃である。圧力スイング吸着装置12Cの吸着剤としては、活性炭を用いた。転炉ガスの組成と、該転炉ガスを吸収塔12D、及び圧力スイング吸着装置12Cで分離して得られる各ガスの組成、流量比を、シミュレーションによって求めた。その結果を表4に示す。なお、表4中の符号は、図7中の符号に対応する。また「流量比」は、転炉ガスを基準としたときの各ガスの体積比率である。
Figure 2015227496
表4の結果から、図7に示す吸収塔12D及び圧力スイング吸着装置12Cによって得られる低Nガスは、直接還元鉄の製造設備及び直接還元鉄の製造方法における供給ガスとして、有用である。一方、高Nガスは、熱量が低いことから、燃料ガスとして用いずに、廃棄ガスとしてもよい。表4中、「有効利用率」は、転炉ガスに含まれる一酸化炭素(水素)のうち、供給ガス又は燃料として用いられる一酸化炭素(水素)の体積比率である。実施例4では、COガス及び高Nガスを廃棄していることから、供給ガスとして用いられる低Nガスのみ有効に利用されることとなる。本実施例では、一酸化炭素を十分に有効に利用することができる。
(実施例5)
燃料ガスとして転炉ガスの代わりに高炉ガスを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてガス精製のシミュレーションを行った。圧力スイング吸着装置12Aの入口における高炉ガスの圧力は0.12MPaであり、温度は40℃である。高炉ガスの組成と、該高炉ガスを圧力スイング吸着装置12Aで分離して得られる各ガスの組成、流量比を、シミュレーションによって求めた。結果を表5に示す。表5の「流量比」は、高炉ガスを基準としたときの各ガスの体積比である。
Figure 2015227496
表5の結果から、圧力スイング吸着装置12Aによって得られる低Nガスは、直接還元鉄の製造設備及び直接還元鉄の製造方法における供給ガスとして、有用であることが確認された。一方、高Nガスは、熱量が低いことから、燃料ガスとして用いずに、廃棄ガスとしてもよい。表5中、「有効利用率」は、高炉ガスに含まれる一酸化炭素(水素)のうち、供給ガス又は燃料として用いられる一酸化炭素(水素)の体積比率である。実施例5では、高Nガスを廃棄していることから、供給ガスとして用いられる低Nガスのみ有効に利用されることとなる。本実施例では、一酸化炭素を十分に有効に利用することができる。
(実施例6)
燃料ガスとして転炉ガスの代わりに高炉ガスを用いたこと以外は、実施例3と同様にしてガス精製のシミュレーションを行った。ただし、第1の圧力スイング吸着装置12Bで得られる高COガス及び第2の圧力スイング吸着装置12Cで得られる高Nガスは、図6のように合流させずに、別々の用途に用いられるようにした。高COガスは加熱装置29の燃料、或いは、高炉ガスと同様に高炉熱風炉又はコークス炉の燃料として用いることができる。一方、高Nガスは廃棄ガスとしてもよい。表6の「流量比」は、高炉ガスを基準としたときの各ガスの体積比である。
Figure 2015227496
表6中、「有効利用率」は、高炉ガスに含まれる一酸化炭素(水素)のうち、供給ガス又は燃料として用いられる一酸化炭素(水素)の体積比率である。実施例7では、高COガスを燃料ガスとして利用していることから、一酸化炭素と水素の有効利用率を十分に高くすることができる。なお、供給ガスへの回収率は、表6に示すとおりである。高炉ガスに含まれる一酸化炭素のうち、供給ガスとして循環部20に導入される一酸化炭素の体積比率は55%である。
(実施例7)
燃料ガスとして転炉ガスの代わりに高炉ガスを用いたこと以外は、実施例4と同様にしてガス精製のシミュレーションを行った。吸収塔12Dの入口における高炉ガスの温度は40℃、圧力は大気圧とした。圧力スイング吸着装置12Cの入口における高炉ガスの圧力は0.12MPaであり、温度は40℃である。高炉ガスの組成と、該高炉ガスを吸収塔12D、及び圧力スイング吸着装置12Cで分離して得られる各ガスの組成、流量比を、シミュレーションによって求めた。その結果を表7に示す。なお、表7中の符号は、図7中の符号に対応する。また「流量比」は、高炉ガスを基準としたときの各ガスの体積比率である。
Figure 2015227496
表7の結果から、図7に示す吸収塔12D及び圧力スイング吸着装置12Cによって得られる低Nガスは、直接還元鉄の製造設備及び直接還元鉄の製造方法における供給ガスとして、有用である。一方、高Nガスは、熱量が低いことから、燃料ガスとして用いずに、廃棄ガスとしてもよい。表7中、「有効利用率」は、高炉ガスに含まれる一酸化炭素(水素)のうち、供給ガス又は燃料として用いられる一酸化炭素(水素)の体積比率である。実施例7では、COガス及び高Nガスを廃棄していることから、供給ガスとして用いられる低Nガスのみ有効に利用されることとなる。本実施例では、一酸化炭素を十分に有効に利用することができる。
(実施例8)
図1に示すような直接還元鉄の製造設備100を用いて、コークス炉ガス及び転炉ガスを供給する場合の運転のシミュレーションを行った。ガス精製装置12としては、図5に示すものを用いた。転炉ガスの組成は表1に示すとおりである。コークス炉ガスの組成は、表8に示すとおりである。原料32の鉄含有量は65質量%、直接還元鉄34の鉄含有量は89質量%とした。このような前提条件下、下記のシミュレーション条件を満たす範囲で、コークス炉ガスに対する転炉ガスの割合をどこまで増やせるかをシミュレーションした。シミュレーション結果を表9に示す。
<シミュレーション条件>
・直接還元炉30の排出ガスの窒素濃度:12体積%以下
・直接還元炉30に導入される還元性ガスのH/CO(体積比):1以上
Figure 2015227496
(実施例9)
図4に示すような、シフト反応器25を備える直接還元鉄の製造設備103を用いたこと以外は実施例8と同一の条件で運転のシミュレーションを行った。シミュレーション結果を表9に示す。
(比較例1)
ガス精製装置12を備えない従来の直接還元鉄の製造設備を用いたこと以外は、実施例8と同一の条件で運転のシミュレーションを行った。この直接還元鉄の製造設備は、ガス精製装置12を備えないこと以外は、図1の直接還元鉄の製造設備100と同様の装置構成を有する。シミュレーション結果を表9に示す。
Figure 2015227496
表9に示すとおり、ガス精製装置12を備える実施例8の直接還元鉄の製造設備100であれば、転炉ガスの使用比率を、熱量基準で40%にできることが確認された。さらに、ガス精製装置12とシフト反応器25とを併せて備える実施例9の直接還元鉄の製造設備であれば、転炉ガスのみで操業できることが確認された。一方、ガス精製装置12及びシフト反応器25を備えない比較例1の直接還元鉄の製造設備では、転炉ガスの使用比率は最大で23%(熱量基準)であった。
(実施例10,11、比較例2)
転炉ガスに代えて、高炉ガスを用いたこと以外は、実施例8,9及び比較例1と同様にして、実施例10,11及び比較例2のシミュレーションを行った。シミュレーションに用いた高炉ガスの組成は、表5に示すとおりである。シミュレーションの結果を表10に示す。
Figure 2015227496
表10に示すとおり、ガス精製装置12を備える実施例10の直接還元鉄の製造設備100であれば、高炉ガスの使用比率を、熱量基準で37%にできることが確認された。さらに、ガス精製装置12とシフト反応器25とを併せて備える実施例11の直接還元鉄の製造設備であれば、高炉ガスのみで操業できることが確認された。一方、ガス精製装置12及びシフト反応器25を備えない比較例2の直接還元鉄の製造設備では、高炉ガスの使用比率は最大で18%(熱量基準)であった。
本発明によれば、コークス炉ガスよりも窒素濃度が高い燃料ガスを有効に利用することによって、直接還元鉄の製造におけるコークス炉ガスの使用量を低減することが可能な直接還元鉄の製造設備、及び、直接還元鉄の製造方法を提供することができる。
10…ガス供給部、11,14,16,17,18,18A,21,22,40,44…ガス流路、12…ガス精製装置、12A…圧力スイング吸着装置、12B,12C…圧力スイング吸着装置、12D…吸収塔、13A,13B…ブロア、13C…真空ポンプ、15,27,42…ガス圧縮機、20…循環部、23…熱交換器、23A…散水冷却塔、23B…熱交換器、24…乾式集塵機、24B…湿式集塵機、25…シフト反応器、26…ガス冷却装置、28…脱CO装置、29…加熱装置、30…直接還元炉、32…原料、34…直接還元鉄、50,51…調整部,62…水供給部、64…水排出部、100,101,102,103…直接還元鉄の製造設備。

Claims (16)

  1. 直接還元炉で酸化鉄を含む原料と一酸化炭素及び水素を含む還元性ガスとを接触させて前記酸化鉄を直接還元する直接還元鉄の製造設備であって、
    前記直接還元炉からの排出ガスを処理して得られる循環ガスを含む前記還元性ガスを、前記直接還元炉に導入する循環部と、
    一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを精製して得られる、前記燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度を有する供給ガスを、前記循環部に供給するガス供給部と、を備える直接還元鉄の製造設備。
  2. 前記供給ガスの窒素濃度が6体積%以下である、請求項1に記載の直接還元鉄の製造設備。
  3. 前記循環部は、前記還元性ガスを加熱する加熱装置を備えており、前記ガス供給部から排出される、窒素と水素及び/又は一酸化炭素とを含むガスを前記加熱装置で燃焼させる、請求項1又は2に記載の直接還元鉄の製造設備。
  4. 前記ガス供給部は、前記燃料ガスに含まれる一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を吸着及び脱着するガス精製装置を有し、主成分として一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する前記供給ガスを前記循環部に供給する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の直接還元鉄の製造設備。
  5. 前記ガス供給部は、前記燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸着又は吸収する第1ガス精製装置と、前記第1ガス精製装置からのガスに含まれる一酸化炭素を吸着及び脱着する第2ガス精製装置とを有し、主成分として一酸化炭素を含有する前記供給ガスを前記循環部に供給する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の直接還元鉄の製造設備。
  6. 前記循環部は、シフト反応器を備え、前記シフト反応器の上流側で前記供給ガスと前記排出ガスとを合流させて前記シフト反応器に供給し、水性ガスシフト反応によって前記供給ガス及び前記排出ガスよりも高い水素濃度を有する前記循環ガスを調製する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の直接還元鉄の製造設備。
  7. 前記循環部は、前記直接還元炉と前記シフト反応器の間に、前記排出ガス及び前記供給ガスの少なくとも一方の温度及び湿度を調整する調整部を備える、請求項6に記載の直接還元鉄の製造設備。
  8. 前記調整部は、湿式集塵機と、前記湿式集塵機の入口側のガスと出口側のガスとを熱交換する自己熱交換型熱交換器と、を備える、請求項7に記載の直接還元鉄の製造設備。
  9. 前記調整部は、上流側から、排出ガスを冷却して加湿する散水冷却塔と、乾式集塵機と、を備える、請求項7に記載の直接還元鉄の製造設備。
  10. 直接還元炉で酸化鉄を含む原料と一酸化炭素及び水素を含む還元性ガスとを接触させて前記酸化鉄を直接還元する直接還元鉄の製造方法であって、
    前記直接還元炉からの排出ガスを処理して得られる循環ガスを含む前記還元性ガスを、前記直接還元炉に導入する循環工程と、
    一酸化炭素、二酸化炭素、及び窒素を含有し、窒素濃度が10体積%以上である燃料ガスを精製して、前記燃料ガスよりも低い窒素濃度と高い一酸化炭素濃度とを有する供給ガスを、前記循環ガスに合流させる供給工程と、を有する、直接還元鉄の製造方法。
  11. 前記供給ガスの窒素濃度が6体積%以下である、請求項10に記載の直接還元鉄の製造方法。
  12. 前記供給工程の前記燃料ガスの精製によって得られる、前記燃料ガスよりも高い窒素濃度を有し、水素及び/又は一酸化炭素を含むガスを、前記還元性ガスを加熱する加熱装置で燃焼させる、請求項10又は11に記載の直接還元鉄の製造方法。
  13. 前記供給工程では、前記燃料ガスに含まれる一酸化炭素及び二酸化炭素の両方を吸着及び脱着して、主成分として一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する前記供給ガスを得る、請求項10〜12のいずれか一項に記載の直接還元鉄の製造方法。
  14. 前記供給工程では、前記燃料ガスに含まれる二酸化炭素を吸着又は吸収によって除去した後、前記二酸化炭素を除去したガスに含まれる一酸化炭素を吸着及び脱着して、主成分として一酸化炭素を含有する前記供給ガスを得る、請求項10〜12のいずれか一項に記載の直接還元鉄の製造方法。
  15. 前記供給工程で前記供給ガスを前記循環ガスに合流させた後、水性ガスシフト反応によって前記供給ガス及び前記排出ガスよりも高い水素濃度を有する前記還元性ガスを得る、請求項10〜14のいずれか一項に記載の直接還元鉄の製造方法。
  16. 水性ガスシフト反応の前に、前記排出ガス及び前記供給ガスの少なくとも一方の温度及び湿度を調整する、請求項10〜15のいずれか一項に記載の直接還元鉄の製造方法。
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