JP2015227495A - ルテニウム含有膜及びその作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下地であるバリアメタルの酸化を防止するため酸化性ガスを用いない条件下でもルテニウム含有膜を作製することができる作製方法。【解決手段】ルテニウム錯体(1)を材料としてルテニウム含有膜を作製する。(R1〜及びR5は各々独立に、H又はC1〜6のアルキル基;R6及びR7は各々独立にC1〜6のアルキル基)で示されるルテニウム錯体を気化させ、基板上で分解しルテニウム含有膜を作製する方法。【選択図】なし
Description
本発明は、半導体素子の構成部材として有用なルテニウム含有膜及びその作製方法に関する。
ルテニウムは、高い導電性、高い仕事関数、優れたエッチング特性、銅との格子整合性に優れることなどの特長を持つため、DRAMなどのメモリー電極、ゲート電極、銅配線シード層/ライナー層などの材料として注目を集めている。次世代の半導体デバイスには、記憶容量や応答性をさらに向上させる目的のため、高度に三次元化され、かつ高度に細密化されたデザインが採用されている。したがって次世代の半導体装置を構成する材料としてルテニウムを使用するためには、三次元化された基板上に数nm〜数十nm程度の厚みのルテニウム含有膜を均一に形成する技術の確立が必要とされている。三次元化された基板上に金属薄膜を作製するための技術としては、原子層蒸着法(ALD法)や化学気相蒸着法(CVD法)など、化学反応に基づく気相蒸着法の活用が有力視されている。次世代のDRAM下部電極や銅配線シード層/ライナー層としてルテニウムが使用される場合、下地にはバリアメタルとして窒化チタンや窒化タンタルなどが採用される見込みである。ルテニウム含有膜を作製する際にバリアメタルが酸化されると、バリア性能の劣化、抵抗値の上昇に起因するトランジスタとの導通不良、及び配線間容量の増加に起因する応答性の低下などの問題が生じる。これらの問題を回避するため、酸素やオゾンなどの酸化性ガスを用いない条件下でもルテニウム含有膜を作製する方法が求められている。
キャパシタのルテニウム電極を製造するための原料として、常温で液体であり、取扱い性、保存安定性、蒸気圧の観点から、(2,4−ジメチルペンタジエニル)(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(DER)が優れている(特許文献1)。また、低温でルテニウム含有膜を効率良く製造できる原料としてルテニウム錯体混合物が報告されている(特許文献2、3)。DER及び上述のルテニウム錯体混合物は段差被覆性という観点からも優れた原料であり、酸素やオゾン等の酸化性ガスを反応ガスとして用いるルテニウム上部電極製造プロセスに適合した秀逸な材料である。一方、アンモニアや水素等の還元性ガスを用いたルテニウム含有膜の具体的な製造方法については記載が無く、ルテニウム下部電極製造用の原料として適用可能であるかは不明であった。
本発明は、下地であるバリアメタルの酸化を防止するため、非酸化性ガス条件下においてルテニウム含有膜を作製する方法、及び該作製方法により作製したルテニウム含有膜を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、一般式(1)で示されるルテニウム錯体が酸化性ガス条件下に加えて非酸化性ガス条件下においてもルテニウム含有膜を作製するための材料として有用なことを見出し、該ルテニウム錯体を用いることによりルテニウム含有膜を非酸化性ガス条件下で作製可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一般式(1)
すなわち本発明は、一般式(1)
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。R6及びR7は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で示されるルテニウム錯体を気化させ、白金、ルテニウム、ケイ素、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、リン、硫黄、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、フランシウム、又はラジウムの少なくともいずれかを材質として含む基板上で分解するルテニウム含有膜の作製方法に関する。さらに本発明は、一般式(1)で示されるルテニウム錯体を材料として用いて作製されることを特徴とするルテニウム含有膜に関する。さらに本発明は、一般式(1)で示されるルテニウム錯体を材料として用いて作製されるルテニウム含有膜を電極部分又は配線部分の少なくとも一方に使用することを特徴とする半導体デバイスに関する。
以下、本発明を更に詳細に説明する。なお、Me、Et、Pr、iPr、Bu、iBu、sBu、tBu、Pe、cPe及びHxは、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基及びヘキシル基を示す。
一般式(1)のR1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7の定義について説明する。R1、R2、R3、R4及びR5で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでも良く、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロブチルメチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、1−シクロブチルエチル基、2−シクロブチルエチル基などを例示することができる。
R6及びR7で表される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状、分岐状及び環状のいずれでも良く、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロブチルメチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、1−シクロブチルエチル基、2−シクロブチルエチル基などを例示することができる。
ルテニウム錯体(1)のうち、CVD材料やALD材料として好適な蒸気圧及び熱安定性を持つ点で(η5−シクロペンタジエニル)(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−プロピルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−イソプロピルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−ブチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−イソブチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−(sec−ブチル)シクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−(tert−ブチル)シクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−ペンチルシクロペンタジエニル)ルテニウム、(η5−(シクロペンチル)シクロペンタジエニル)(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)ルテニウム及び(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−ヘキシルシクロペンタジエニル)ルテニウムが好ましく、(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−メチルシクロペンタジエニル)ルテニウム及び(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムが更に好ましい。
ルテニウム錯体(1)を材料として用いることを特徴とする、ルテニウム含有膜の作製方法について詳細に説明する。本発明のルテニウム含有膜を作製する方法としては、一般式(1)で示されるルテニウム錯体を気化させ、白金、ルテニウム、ケイ素、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、リン、硫黄、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、フランシウム、又はラジウムの少なくともいずれかを材質として含む基板上で分解する方法であり、気化させ基板上に分解する方法としては当業者が金属含有膜を作製するのに用いる通常の技術手段を挙げることができる。具体的には、CVD法、ALD法など化学反応に基づく気相蒸着法、並びにディップコート法、スピンコート法又はインクジェット法などの溶液法などを例示することができる。本明細書中では、化学反応に基づく気相蒸着法とは熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法などのCVD法や、ALD法など当業者が通常用いる技術手段を含む。化学反応に基づく気相蒸着法によってルテニウム含有膜を作製する場合、三次元化された構造を持つ基板の表面にも均一に薄膜を形成しやすい点で、化学気相蒸着法が好ましく、CVD法又はALD法が更に好ましい。CVD法は成膜速度が良好な点で更に好ましく、またALD法は段差被覆性が良好な点で更に好ましい。例えばCVD法又はALD法によりルテニウム含有膜を作製する場合、ルテニウム錯体(1)を気化させて反応チャンバーに供給し、反応チャンバー内に備え付けた基板上でルテニウム錯体(1)を分解することにより、該基板上にルテニウム含有膜を作製することができる。ルテニウム錯体(1)を分解する方法としては、当業者が金属含有膜を作製するのに用いる通常の技術手段を挙げることができる。具体的にはルテニウム錯体(1)と反応ガスとを反応させる方法や、ルテニウム錯体(1)に熱、プラズマ、光などを作用させる方法などを例示することができる。これらの分解方法を適宜選択して用いることにより、ルテニウム含有膜を作製することができる。複数の分解方法を組み合わせて用いることもできる。反応チャンバーへのルテニウム錯体(1)の供給方法としては、例えばバブリング、液体気化供給システムなどが挙げられ、特に限定されるものではない。
CVD法又はALD法によりルテニウム含有膜を作製する際のキャリアガス及び希釈ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス又は窒素ガスの少なくともいずれか一つが好ましく、経済的な理由から窒素ガス又はアルゴンの少なくとも一方が特に好ましい。キャリアガス及び希釈ガスの流量は反応チャンバーの容量などに応じて適宜調節される。例えば反応チャンバーの容量が1〜10Lの場合、キャリアガスの流量は特に制限は無く、経済的な理由から1〜10000sccmが好ましい。なお、sccmとは気体の流量を表す単位であり、1sccmは理想気体に換算すると2.68mmol/hの速度で気体が移動していることを表す。
CVD法又はALD法によりルテニウム含有膜を作製する際の反応ガスとしては、例えばアンモニア、水素、モノシラン、ヒドラジンなどの非酸化性ガス、酸素、オゾン、水蒸気、過酸化水素、笑気ガス、塩化水素、硝酸ガス、ぎ酸、酢酸などの酸化性ガスを挙げることができる。成膜装置の仕様による制約が少なく、取扱いが容易である点でアンモニア、水素、酸素、オゾン、又は水蒸気の少なくともいずれか一つが好ましい。反応ガスとして酸化性ガスを用いずに非酸化性ガスを用いる条件下でルテニウム含有膜を作製する場合は、ルテニウム含有膜の成膜速度が良好な点でアンモニアが好ましい。反応ガスの流量は材料の反応性と反応チャンバーの容量に応じて適宜調節される。例えば反応チャンバーの容量が1〜10Lの場合、反応ガスの流量は特に制限は無く、経済的な理由から1〜10000sccmが好ましい。
CVD法又はALD法によりルテニウム含有膜を作製する際の基板温度は、熱、プラズマ、光などの使用の有無、反応ガスの種類などにより適宜選択される。例えば光やプラズマを併用することなく反応ガスとしてアンモニアを用いる場合には、基板温度に特に制限は無く、経済的な理由から300℃〜1000℃が好ましい。成膜速度が良好な点で特に350℃〜700℃が好ましい。また、光やプラズマ、オゾン、過酸化水素などを適宜使用することで300℃以下の温度域でルテニウム含有膜を作製することができる。
本発明の作製方法により得られるルテニウム含有膜としては、例えばルテニウム錯体を単独で用いた場合は、金属ルテニウム薄膜、酸化ルテニウム薄膜、窒化ルテニウム薄膜、酸窒化ルテニウム薄膜などが得られ、また他の金属材料と組み合わせて用いた場合は、ルテニウム含有複合薄膜が得られる。例えば、ストロンチウム材料と組み合わせて用いればSrRuO3薄膜を得ることができる。ストロンチウム材料としては、例えば、ビス(ジピバロイルメタナト)ストロンチウム、ジエトキシストロンチウム、ビス(1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオナト)ストロンチウムなどが挙げられる。また、CVD法又はALD法によりルテニウム含有複合薄膜を作製する場合において、ルテニウム錯体(1)と他の金属材料とを反応チャンバー内に別々に供給しても、混合してから供給しても良い。
本発明のルテニウム含有膜を構成部材として用いることで、記憶容量や応答性を向上させた高性能な半導体デバイスを作製することができる。半導体デバイスとしてはDRAM、FeRAM、PRAM、MRAM、ReRAM、フラッシュメモリーなどの半導体記憶装置や電界効果トランジスタなどを例示することができる。これらの構成部材としてはキャパシタ電極、ゲート電極、銅配線シード層/ライナー層などを例示することができる。
本発明のルテニウム錯体(1)を材料として用いることによって、酸化性ガスを用いる条件下に加えて酸化性ガスを用いない条件下でも特定の基板上にルテニウム含有膜を作製することができる。また、段差基板に対して均一なルテニウム含有膜を作製することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1〜22(成膜時間依存性)
(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有膜を熱CVD法により作製した。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。成膜時間は表1に示す通りであり、その他の条件は以下の通りである。
(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有膜を熱CVD法により作製した。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。成膜時間は表1に示す通りであり、その他の条件は以下の通りである。
材料容器温度:64℃、材料の蒸気圧:5.3Pa、材料容器内全圧:6.7kPa、キャリアガス流量:30sccm、材料供給速度:0.024sccm、アンモニア流量:70sccm、基板温度:400℃、成膜圧力:1.3kPa、基板:Pt(150nm)/Ta2O5(5nm)/SiO2(200nm)/Si、Ru(100nm)/Ti(50nm)/Si、Si、又はSiO2(100nm)/Si。キャリアガスとしてアルゴンを用いた。なお、反応チャンバーへの材料供給速度は、(キャリアガス流量×材料の蒸気圧÷材料容器内全圧)の計算式に基づいて求めることができる。
作製した薄膜を蛍光X線分析で確認したところ、実施例17を除き、ルテニウムに基づく特性X線が検出された。蛍光X線分析は理学電機社製3370Eを用いた。測定条件はX線源:Rh、出力:50kV 50mA、測定径:10mmとした。検出されたX線の強度から算出した膜厚を表1に示した。さらに、成膜時間に対する膜厚を図2に示した。作製したルテニウム含有膜の電気特性を四探針法で測定し、得られた抵抗率を表1に示した(ただし、基板表面の材質がPt又はRuである実施例1〜12は測定しなかった)。四探針法は三菱油化社製LORESTA HP MCP−T410を用いた。
(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有膜を熱CVD法により作製した。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。基板温度は表2に示す通りであり、その他の条件は以下の通りである。
材料容器温度:64℃、材料の蒸気圧:5.3Pa、材料容器内全圧:6.7kPa、キャリアガス流量:30sccm、材料供給速度:0.024sccm、アンモニア流量:70sccm、成膜圧力:1.3kPa、基板:Pt(150nm)/Ta2O5(5nm)/SiO2(200nm)/Si、Ru(100nm)/Ti(50nm)/Si、Si、又はSiO2(100nm)/Si。キャリアガスとしてアルゴンを用いた。
作製した薄膜を蛍光X線分析で確認したところ、実施例26、29、30を除き、ルテニウムに基づく特性X線が検出された。検出されたX線の強度から算出した膜厚を表2に示した。さらに、基板温度に対する成膜速度を図3に示した。作製したルテニウム含有膜の電気特性を四探針法で測定し、得られた抵抗率を表2に示した(ただし、基板表面の材質がPt又はRuである実施例23〜30は測定しなかった)。
また、実施例1〜22より、成膜時間を調節することにより、下地に対して選択的に成膜することが可能であることが分かる。さらに、実施例23〜34より、成膜温度を調節することにより、下地に対して選択的に成膜することが可能であることが分かる。つまり、下地選択性を積極的に用いることで、次世代半導体プロセスの工程数削減が期待できる。
評価例1〜4(膜中不純物量)
実施例1(評価例1)、7(評価例2)、13(評価例3)、18(評価例4)の条件で作製した膜の膜中不純物について、二次イオン質量分析法により定量し、結果を表3に示した。二次イオン質量分析法はPHI社製ADEPT1010を用いた。測定条件は一次イオン種:Cs+、一次イオン加速電圧:2kV、二次イオン極性:Positive、電荷補償:E−gunとした。
実施例1(評価例1)、7(評価例2)、13(評価例3)、18(評価例4)の条件で作製した膜の膜中不純物について、二次イオン質量分析法により定量し、結果を表3に示した。二次イオン質量分析法はPHI社製ADEPT1010を用いた。測定条件は一次イオン種:Cs+、一次イオン加速電圧:2kV、二次イオン極性:Positive、電荷補償:E−gunとした。
評価例5〜8、参考例1(結晶評価)
実施例1(評価例5)、実施例7(評価例6)、実施例13(評価例7)、実施例18(評価例8)の条件で作製した膜の結晶構造について、XRD法により評価し、結果を表4、図4〜7に示した。参考として、成膜前のRu基板についても同様に評価し、結果を図5に示した。XRDは理学電機社製RAD−Cを用いた。測定条件はX線源:CuKα(グラファイトモノクロメータ使用)、出力:50kV 200mA、θ−2θ連続スキャン、スキャン速度:0.4°/minとした。
実施例1(評価例5)、実施例7(評価例6)、実施例13(評価例7)、実施例18(評価例8)の条件で作製した膜の結晶構造について、XRD法により評価し、結果を表4、図4〜7に示した。参考として、成膜前のRu基板についても同様に評価し、結果を図5に示した。XRDは理学電機社製RAD−Cを用いた。測定条件はX線源:CuKα(グラファイトモノクロメータ使用)、出力:50kV 200mA、θ−2θ連続スキャン、スキャン速度:0.4°/minとした。
評価例9〜14、参考例2〜3(表面平滑性、グレインサイズ)
実施例15〜17(評価例9〜11)、実施例20〜22(評価例12〜14)の条件で作製した膜の表面平滑性をAFMにより評価し、膜の二乗平均平方根粗さ(Rms)を表5、AFM像を図8〜10、12〜14に示した。参考として、成膜前の基板の表面平滑性について、同様にAFMにより評価し、結果を表5、図11、15に示した。AFMはBruker・AXS社製NanoScope IIIaを用いた。測定条件はタッピングモードとした。さらに、FE−SEM観察を実施し、FE−SEM像を図16〜23に示した。FE−SEMは日本電子製JSM−7600Fを用いた。測定条件は加速電圧:5kV、観察倍率:70,000倍とした。
実施例15〜17(評価例9〜11)、実施例20〜22(評価例12〜14)の条件で作製した膜の表面平滑性をAFMにより評価し、膜の二乗平均平方根粗さ(Rms)を表5、AFM像を図8〜10、12〜14に示した。参考として、成膜前の基板の表面平滑性について、同様にAFMにより評価し、結果を表5、図11、15に示した。AFMはBruker・AXS社製NanoScope IIIaを用いた。測定条件はタッピングモードとした。さらに、FE−SEM観察を実施し、FE−SEM像を図16〜23に示した。FE−SEMは日本電子製JSM−7600Fを用いた。測定条件は加速電圧:5kV、観察倍率:70,000倍とした。
実施例35(段差成膜)
(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有膜を熱CVD法により作製した。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。条件は以下の通りである。
(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有膜を熱CVD法により作製した。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。条件は以下の通りである。
材料容器温度:64℃、材料の蒸気圧:5.3Pa、材料容器内全圧:6.7kPa、キャリアガス流量:60sccm、材料供給速度:0.048sccm、アンモニア流量:140sccm、基板温度:400℃、成膜圧力:1.3kPa、成膜時間:6時間、基板:SiO2/Si(ホール径:350nm、ホール深さ:1000nm)。キャリアガスとしてアルゴンを用いた。
評価例15(段差被覆性)
実施例35で作製した膜の断面をFE−SEMにより観察したところ、ホール開口部の膜厚とホール底部の膜厚は同等であった(図24)。FE−SEMは日本電子製JSM−7600Fを用いた。測定条件は加速電圧:5kV、観察倍率:50,000倍、試料前処理:試料切断→樹脂包埋→断面イオンミリング加工とした。
実施例35で作製した膜の断面をFE−SEMにより観察したところ、ホール開口部の膜厚とホール底部の膜厚は同等であった(図24)。FE−SEMは日本電子製JSM−7600Fを用いた。測定条件は加速電圧:5kV、観察倍率:50,000倍、試料前処理:試料切断→樹脂包埋→断面イオンミリング加工とした。
実施例36(段差成膜)
(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有膜を熱CVD法により作製した。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。条件は以下の通りである。
(η5−2,4−ジメチル−1−オキサ−2,4−ペンタジエニル)(η5−エチルシクロペンタジエニル)ルテニウムを材料に用いてルテニウム含有膜を熱CVD法により作製した。薄膜作製のために使用した装置の概略を図1に示した。条件は以下の通りである。
材料容器温度:64℃、材料の蒸気圧:5.3Pa、材料容器内全圧:6.7kPa、キャリアガス流量:60sccm、材料供給速度:0.048sccm、アンモニア流量:140sccm、基板温度:400℃、成膜圧力:0.67kPa、成膜時間:6時間、基板:SiO2/Si(ホール径:125nm、ホール深さ:800nm)。キャリアガスとしてアルゴンを用いた。
評価例16(段差被覆性)
実施例36で作製した膜の断面をFE−SEMにより観察したところ、ホール開口部の膜厚とホール底部の膜厚は同等であった(図25)。FE−SEMは日本電子製JSM−7600Fを用いた。測定条件は加速電圧:5kV、観察倍率:50,000倍、試料前処理:試料切断→樹脂包埋→断面イオンミリング加工とした。
実施例36で作製した膜の断面をFE−SEMにより観察したところ、ホール開口部の膜厚とホール底部の膜厚は同等であった(図25)。FE−SEMは日本電子製JSM−7600Fを用いた。測定条件は加速電圧:5kV、観察倍率:50,000倍、試料前処理:試料切断→樹脂包埋→断面イオンミリング加工とした。
評価例15、16より、ルテニウム錯体(1)を材料として用いることで、酸化性ガスを用いなくても段差基板に対して均一な金属ルテニウム膜が作製可能であることが分かる。
1 材料容器
2 恒温槽
3 反応チャンバー
4 基板
5 反応ガス
6 希釈ガス
7 キャリアガス
8 マスフローコントローラー
9 マスフローコントローラー
10 マスフローコントローラー
11 油回転式ポンプ
12 排気
2 恒温槽
3 反応チャンバー
4 基板
5 反応ガス
6 希釈ガス
7 キャリアガス
8 マスフローコントローラー
9 マスフローコントローラー
10 マスフローコントローラー
11 油回転式ポンプ
12 排気
Claims (9)
- 一般式(1)
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。R6及びR7は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。)で示されるルテニウム錯体を気化させ、白金、ルテニウム、ケイ素、リチウム、ベリリウム、炭素、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、リン、硫黄、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、タリウム、鉛、ビスマス、ポロニウム、フランシウム、又はラジウムの少なくともいずれかを材質として含む基板上で分解することを特徴とする、ルテニウム含有膜の作製方法。 - R1が炭素数1〜6のアルキル基であり、R2、R3、R4及びR5が水素原子であり、R6及びR7がメチル基である請求項1に記載のルテニウム含有膜の作製方法。
- R1がメチル基又はエチル基であり、R2、R3、R4及びR5が水素原子であり、R6及びR7がメチル基である請求項1に記載のルテニウム含有膜の作製方法。
- R1がエチル基であり、R2、R3、R4及びR5が水素原子であり、R6及びR7がメチル基である請求項1に記載のルテニウム含有膜の作製方法。
- 化学気相蒸着法によるルテニウム含有膜の作製方法であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の作製方法。
- 酸化性ガスを用いないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の作製方法。
- ルテニウム含有膜が金属ルテニウム薄膜である請求項1〜6のいずれかに記載の作製方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって作製されることを特徴とするルテニウム含有膜。
- 請求項8に記載のルテニウム含有膜を電極部分又は配線部分の少なくとも一方に使用することを特徴とする半導体デバイス。
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JP2014114273A JP2015227495A (ja) | 2014-06-02 | 2014-06-02 | ルテニウム含有膜及びその作製方法 |
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JP2014114273A Pending JP2015227495A (ja) | 2014-06-02 | 2014-06-02 | ルテニウム含有膜及びその作製方法 |
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JP (1) | JP2015227495A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20220165868A (ko) * | 2021-06-08 | 2022-12-16 | (주)원익머트리얼즈 | 루테늄 유기금속화합물 및 이의 제조방법 |
-
2014
- 2014-06-02 JP JP2014114273A patent/JP2015227495A/ja active Pending
Cited By (2)
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KR102578747B1 (ko) | 2021-06-08 | 2023-09-15 | (주)원익머트리얼즈 | 루테늄 유기금속화합물 및 이의 제조방법 |
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