JP2015225061A - 原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム - Google Patents
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Abstract
【課題】内部駆動系に対する外部駆動系の追従性を向上可能な原子炉の密閉型制御棒駆動システムを提供する。
【解決手段】キャンドパイプ16内で、回転駆動される第一のボールねじ2、外周部に差動トランスコア19aを有する第一のボールナット3、と第一のボ−ルナット3により制御棒を上下駆動する制御棒駆動軸9を有する内部駆動系と、一端が電磁石17に固定され他端が差動トランス19に固定される第二のボールねじ20、第二のボールナットの回転位置を検出するボールナット回転位置検出器23を有する駆動変換器21、外部駆動系モータ1b、外部駆動系モータ1bの回転子の位置を検出する回転位置検出器15、と外部駆動系モータ1bの回転駆動を駆動変換器21へ自在継手により伝達する回転伝達部22よりなる外部駆動系を有する。回転位置検出器15の出力とボールナット回転位置検出器23の出力との差分に基づいて外部駆動系モータ1bを制御する。
【選択図】図1
【解決手段】キャンドパイプ16内で、回転駆動される第一のボールねじ2、外周部に差動トランスコア19aを有する第一のボールナット3、と第一のボ−ルナット3により制御棒を上下駆動する制御棒駆動軸9を有する内部駆動系と、一端が電磁石17に固定され他端が差動トランス19に固定される第二のボールねじ20、第二のボールナットの回転位置を検出するボールナット回転位置検出器23を有する駆動変換器21、外部駆動系モータ1b、外部駆動系モータ1bの回転子の位置を検出する回転位置検出器15、と外部駆動系モータ1bの回転駆動を駆動変換器21へ自在継手により伝達する回転伝達部22よりなる外部駆動系を有する。回転位置検出器15の出力とボールナット回転位置検出器23の出力との差分に基づいて外部駆動系モータ1bを制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、原子炉内の制御棒を上下駆動することで原子炉出力を制御する制御棒駆動機構に係り、特に自在継手を用いた電動式密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムに関する。
キャンドリラクタンスモータを用いた電動式密閉型制御棒駆動機構として特許文献1がある。このキャンドリラクタンスモータを用いる方式では、原子炉の出力を制御する制御棒を原子炉下方から上方に押し上げることで制御棒を炉心から引き抜き、また、スクラム時には上方から自重落下により炉心に制御棒を挿入する。
特許文献1には、三相可変周波数電源よりキャンドリラクタンスモータへ供給される各相の位相差が120°であり、且つ、何れか一相が相電流零位となる位相状態を検出し、その検出タイミングの電流を保持し、制御棒を停止させる構成が開示されている。これにより、キャンドリラクタンスモータの固定子の発熱量を低減し、固定子コイルの焼損発生を防止可能としている。
上述のように、特許文献1は、内部駆動系であるキャンドリラクタンスモータを制御するものである。しかしながら、外部駆動系を構成する外部駆動モータと駆動変換器とを接続する自在継手において、主動軸の回転角速度と従動軸の回転角速度との差分を考慮することにより、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性の向上に関し改善の余地がある。
そこで本発明は、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性を向上可能な原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムは、(1)一端にキャンドリラクタンスモータを有し、他端が原子炉バウンダリの開口に連通する円筒状のキャンドパイプと、前記キャンドパイプ内で、前記キャンドリラクタンスモータにより回転駆動される第一のボールねじと、外周部に差動トランスコアを有し第一のボールねじの回転駆動を直線駆動に変換する第一のボールナットと、前記第一のボ−ルナットの直線駆動により前記キャンドパイプ内を上下駆動し先端に接続された制御棒を上下駆動する制御棒駆動軸を有する内部駆動系と、(2)前記キャンドパイプの外部にあって、一端が電磁石に固定され他端が差動トランスに固定される第二のボールねじと、第二のボールねじに上下動可能に取り付けられた第二のボールナットの回転位置を検出するボールナット回転位置検出器を有する駆動変換器と、外部駆動系モータと、前記外部駆動系モータの回転子の位置を検出する回転位置検出器と、前記外部駆動系モータの回転駆動を前記駆動変換器へ自在継手により伝達する回転伝達部よりなる外部駆動系を有し、(3)前記回転位置検出器の出力と前記ボールナット回転位置検出器の出力との差分に基づいて前記外部駆動系モータを制御することを特徴とする。
本発明によれば、自在継手を有する回転伝達部での主動軸の回転角速度と従動軸の回転速度差を考慮することで、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性を向上することができる。
また、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性向上により、制御棒の位置検出や原子炉の運転に不具合を生じない高信頼性な制御棒駆動システムを実現できる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
まず、本発明の実施形態である制御棒駆動システムを構成する、キャンドリラクタンスモータを用いた密閉型制御棒駆動機構について説明する。図6に示すように、密閉型制御棒駆動機構は、通常駆動時おいて、キャンドリラクタンスモータ1aの回転によりボールねじ2を回転させ、その回転駆動をボールナット3により直線駆動に変換し、その直線駆動を制御棒12に伝達することにより制御棒12の上下駆動を行っている。
制御棒12への駆動伝達は、ボールナット3に連結され同時に駆動する下部制御棒駆動軸4、アーマチュア5、ヨーク18、上部制御棒駆動軸9、および制御棒ラッチ機構10等により行われる。また、制御棒12の駆動時においてボールねじ2の回転によって、制御棒12の駆動部が共廻りしないように廻り止めすべりキー8が取り付けられている。制御棒ラッチ機構10の下部に一体となっているアーマチュア5が外部駆動系の電磁石17の励磁によって、スクラムスプリング14のばね力に抗してヨーク18に吸着される。アーマチュア5がヨーク18に吸着されることにより、上部制御棒駆動軸9が上昇し、制御棒ラッチ機構10が外側に開き、制御棒12の下端に取り付けられたダッシュラム11に形成されたノッチに係合することで、制御棒12のラッチが行われる。なお、図6に示すように、制御棒ラッチ機構10は菱形形状のリンク機構により構成される。
上述のとおり、アーマチュア5は、スクラムスプリング14により常に下向きに力が加わっておりヨーク18へのアーマチュア5の吸着はこれに打ち勝って行われる。また、電磁石17に付加される荷重を軽減するために推力軽減リンク7を設置している。
スクラムは、電磁石17の励磁によりヨーク18に吸引していたアーマチュア5を電磁石17の励磁解除によって切離し、下方に移動させることにより、それと連結している制御棒ラッチ機構10を内側に収縮させて係合を解除させ、上方に引き抜かれている制御棒12を自重落下させることにより行う。スクラム終了時の衝撃力を緩和するため制御棒12下端にはダッシュラム11、キャンドパイプ16には緩衝器13が設けられている。アーマチュア5には、電磁石17、励磁解除時におけるヨーク18からの切離しを円滑に行うため、スクラムスプリング14により常に下向きに付勢されている。
外部駆動系は、内部駆動系に追従するために、電磁石17、外部駆動系ボールねじ20、差動トランス19、駆動変換器21、外部駆動系モータ1b、外部駆動系モータ1bの回転子の位置を検出する回転位置検出器15、及び、外部駆動系モータ1bの回転駆動を駆動変換器21へ自在継手により伝達する回転伝達部22より構成される。外部駆動系では、バウンダリ外側(キャンドパイプ16の外側)に位置する駆動変換器21と、バウンダリから離れた場所に設けた外部駆動系モータ1b及び回転位置検出器15の間に位置する回転伝達部22に自在継手を設けたことで、外部駆動系モータ1bと駆動変換器21の配置に水平ないし垂直のずれがあっても回転を伝達可能としている。外部駆動系の差動トランス19により、内部駆動系を構成するボールナット3の外周部に設けられた差動トランスコア19aとの相対位置偏差を検出し、その信号に応じて外部駆動系モータ1bを駆動することで、内部駆動系に対し外部駆動系を追従させている。なお、ここで、差動トランス19により検出される信号は電圧の変化(ΔV)として得られる。予めこの電圧の変化(ΔV)と外部駆動系ボールねじ20に沿う上下方向の相対位置偏差(Δx)との関係を保持することで、上記検出された相対位置偏差に応じて外部駆動系モータ1bを駆動することが可能となる。
制御棒12の位置は、外部駆動系が内部駆動系に対し追従している場合、外部駆動系モータ1bの回転を回転位置検出器15により検出する。外部駆動系が内部駆動系に対し追従しない場合は、差動トランスコア19aの位置と差動トランス19の位置の相対位置偏差が所定の閾値を越えたことを検出し、スクラムとする。
ここで自在継手を有する回転伝達部について説明する。図4に、自在継手の主動軸と従動軸との関係を示す。上述のように、外部駆動系では、バウンダリ外側(キャンドパイプ16の外側)に位置する駆動変換器21と、バウンダリから離れた場所に設けた外部駆動系モータ1bの間にある回転伝達部22に自在継手を設けたことで、駆動変換器21と外部駆動系モータ1bとの配置に水平ないし垂直のずれがあっても回転駆動を伝達可能としている。自在継手の構造や形状については、例えばJIS B 1454に示されるものが知られている。以下の説明では、簡単のため、入力側の主動軸と出力側の従動軸とに各々設けられた2つのフォークを、十字形の中間リンクに交差させてピン留めし自在継手を構成する場合を例に説明する。外部駆動系モータ1bに接続される主動軸と駆動変換器21に接続される従動軸の為す角を作動角α、主動軸の回転角をθ、従動軸の回転角をφとしたとき、主動軸の回転角θ、従動軸の回転角φの間には式(1)の関係が成立する。
cosθ・sinφ+cosθ・sinφ・cosα=0 ・・・(1)
また、主動軸の回転角速度θ’、従動軸の回転角速度φ’の間には、式(1)を時間微分した式(2)の関係が成立する。
また、主動軸の回転角速度θ’、従動軸の回転角速度φ’の間には、式(1)を時間微分した式(2)の関係が成立する。
θ’=φ’・(1−sin2α・sin2θ)/cosα ・・・(2)
作動角αが零でない場合、主動軸の回転角速度θ’、従動軸の回転角速度φ’の間には式(2)で表わされる速度偏差が生じる。
作動角αが零でない場合、主動軸の回転角速度θ’、従動軸の回転角速度φ’の間には式(2)で表わされる速度偏差が生じる。
例えば、α=π/4(rad)、主動軸の回転角速度θ’=10π(rad/s)であれば、従動軸の回転角速度φ’=±13.7π(rad/s)の周期的な回転角速度差が生じる。この場合の回転伝達部22の動作の挙動を説明する。図5に、図4に示す主動軸回転角速度と従動軸回転角速度の時間変化を示す。横軸を時間、縦軸を回転角速度とし、主動軸を一定の回転角速度で駆動した場合を示している。図5より明らかなように、従動軸の回転角速度は正弦波状に周期的に変化している。従って、主動軸の回転角速度と従動軸の回転角速度の偏差は、周期的に変化することになる。このような回転角速度差の発生を抑制するために、従動軸の先に、更に第二の自在継手を、第一の自在継手と逆位相に接続することが考えられる。この際、第二の自在継手の作動角は第一の自在継手の作動角と同じになるように回転伝達部22を配置する必要がある。
上述のとおり、バウンダリ(キャンドパイプ16)の内部と外部に、各々独立して内部駆動系と外部駆動系を構成することにより、バウンダリに貫通部を設ける必要性がなく、密封型制御棒駆動機構を実現することができる。密封型にすることにより、バウンダリの単純化、原子炉冷却水の漏えい防止、更には被ばく低減を可能とすることから、高信頼性となり望ましい。
一方、原子炉にあって複数の制御棒駆動機構が設けられたバウンダリの周囲は狭く、そのため、外部駆動系モータ1bとバウンダリ外側に位置する駆動変換器21の間に水平ないし垂直のずれをなくすことが困難となり、回転伝達部22の自在継手の前後での回転角速度差が生じる要因となる。回転伝達部22で回転角速度差が生じると、外部駆動系の追従動作で差動トランスコア19aの位置と差動トランス19の位置の相対位置偏差が生じることになる。
そこで、本発明者等は、鋭意努力の結果、駆動変換器21内のボールナットの回転位置と外部駆動系モータ1bの回転子の位置との差分に基づき、外部駆動系モータ1bの駆動を制御することで、外部駆動系モータ1bと駆動変換器21を接続する回転伝達部22に設けられる自在継手による上記主動軸回転角速度と従動軸回転角速度との偏差の影響を回避できるという新たな知見を得たものである。
以下、本発明の実施例について図面を用いて詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施例に係る密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムの全体構成図を示す。図1では、図6にて説明したキャンドパイプ16内の詳細構成は省略し、内部駆動系として、その主要構成である、キャンドリラクタンスモータ1a、ボールねじ2、外周部に差動トランスコア19aが設けられたボールナット3及び上部制御棒駆動軸9を記載している。
図1に示すように、本実施例の制御棒駆動システム1は、一端にキャンドリラクタンスモータ1aを有し他端が原子炉バウンダリ6の開口に連通する円筒状のキャンドパイプ16、キャンドリラクタンスモータ1aの回転により回転駆動されるボールねじ2、外周部に差動トランスコア19aを有しボールねじ2の回転駆動を直線駆動に変換するボールナット3、及びボールナット3の直線駆動によりキャンドパイプ19内を上下駆動し制御棒12を上下駆動する上部制御棒駆動軸9よりなる内部駆動系を備える。
また、制御棒駆動システム1は、一端が電磁石17に固定され他端が差動トランス19に固定される外部駆動系ボールねじ20、外部駆動系ボールねじ20に上下動可能に取り付けられるボールナット21a(後述する)の回転位置を検出するボールナット回転位置検出器23を有する駆動変換器21、差動トランス19、外部駆動系モータ1b、外部駆動系モータ1bの回転子の位置を検出する回転位置検出器15、及び、外部駆動系モータ1bの回転駆動を駆動変換器21へ自在継手により伝達する回転伝達部22よりなる外部駆動系を備える。
また、本実施例の制御棒駆動システム1は、差動トランス19による相対位置偏差信号を入力し、外部駆動系の駆動モータ1bを駆動する差動トランス追従コントローラ61、キャンドリラクタンスモータ1aへ電源を供給する三相可変周波数電源60、制御棒12に連結している内部駆動系の動力源である三相可変周波数電源60に対して所期の周波数指令を与え、出力電流の周波数を調節し、キャンドリラクタンスモータ1aの回転数を制御する制御棒位置コントローラ62を有する。図1に示すように、制御棒位置コントローラ62には、外部駆動系モータ1bの回転子の位置を検出する回転位置検出器15より得られる回転角、すなわち、上記自在継手を構成する主動軸の回転角θを入力し、時間微分を行う第一の微分回路62a、詳細は後述する、外部駆動系ボールねじ20に上下動可能に取り付けられるボールナット21aの回転位置を検出するボールナット回転位置検出器23を有する駆動変換器21より得られる自在継手の従動軸の回転角φを入力し、時間微分を行う第二の微分回路62b、第一の微分回路62aより出力される自在継手の主動軸の回転角速度θ’と第二の微分回路62bより出力される自在継手の従動軸の回転角速度φ’の差分を求める差分回路を備えている。
差動トランス追従コントローラ61は、差動トランス19による相対位置偏差を零にするよう、駆動モータ1bの電流を調整して駆動速度を制御する。この際、差動トランス19より得られる内部駆動系のボールナット3の外周部に設けられた差動トランスコア19aとの相対位置偏差と、制御棒位置コントローラ62より得られる回転伝達部22を構成する自在継手の主動軸の回転角速度θ’と従動軸の回転角速度φ’の差分(θ’―φ’)に基づき、差動トランス追従コントローラ61が駆動モータ1bの電流を調整する。
これにより、自在継手を有する回転伝達部22の主動軸の回転角速度と従動軸の回転角速度との差分が考慮され、外部駆動系モータ1bの電流が調整され速度制御されるため、主動軸回転角速度と従動軸回転角速度との偏差の影響を回避でき、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性を向上できる。
また、上述のとおり、外部駆動系モータ1bの出力軸の回転は、回転位置検出器15によって監視される。外部駆動系が内部駆動系に追従できることから、外部駆動系の回転位置検出器15の信号が、制御棒位置コントローラ62に入力され、内部駆動系の位置を検出できるため、内部駆動系が連結する制御棒の位置を監視することができる。制御棒位置コントローラ62では、必要に応じて制御棒12の位置を上下駆動するよう、制御棒12に連結している内部駆動系の動力源である三相可変周波数電源60に対して所期の周波数指令を与え、出力電流の周波数を調節し、キャンドリラクタンスモータ1aに必要な電源を供給する。この回転の偏差を動的に速度偏差として、差動トランス追従コントローラ61において、この速度偏差を考慮して、差動トランス19による相対位置偏差が零となるよう、外部駆動系の駆動モータ1bの駆動速度が制御されることで、オンラインで追従性を向上でき望ましい。
次に、本実施例の駆動変換器21及び回転伝達部22の詳細構成について説明する。図2に、図1に示す駆動変換器21及び回転伝達部22の詳細構成を示す。駆動変換器21には、外部駆動系ボールねじ20を上下駆動するボールナット21aが回転自在に設けられており、ボールナット21aには一体で回転する傘歯車21bが取付けられている。また、駆動変換器21には、傘歯車21bに直交して傘歯車21cが回転自在に設けられており、傘歯車21cと回転一体となった回転軸、すなわち第二の自在継手22bの従動軸が、回転伝達部22の一部を構成し取付けられている。ここで、傘歯車21b、傘歯車21cのギヤ比は1:1としている。第二の自在継手22bの従動軸の回転駆動が傘歯車21cに伝達され、更に、傘歯車21c対し直交配置される傘歯車21bに伝達される。そして、傘歯車21bにより回転駆動が直線駆動に変換され、外部駆動系ボールねじ20に回転自在に取り付けられたボールナット21aを上下駆動する。このとき外部駆動系ボールねじ20を回転する傘歯車21b及びボールナット21aの回転角または回転角速度は同一となる。すなわち、第二の自在継手の従動軸の回転角速度φ’が、傘歯車21c及び傘歯車21bを介してボールナット21aに伝達される。
また、図2に示すように、ボールナット21aの回転を検出するため、本実施例の駆動変換器21内に、ボールナット回転位置検出器23を設けている。ボールナット回転位置検出器23として、例えば、傘歯車21bの歯にレーザ光を照射し、その反射光の強弱を検出して歯の近接を計数するエンコーダを用いることができる。この場合、上述のとおり、ボールナット21aと傘歯車21bの回転角または回転角速度は同一となるため、傘歯車21bの回転を検出することで、ボールナット21aの回転を検出することが可能となる。また、このようにエンコーダを駆動変換器21内に設置することにより、原子炉の狭隘部での作業に際しての干渉を避けることができる。また、水濡れや冠水による電気部品の不具合発生を避けることができる。
図2においては、傘歯車21bの回転角を測定する構成としたが、これに限られず、第二の自在継手22bの従動軸に接続される傘歯車21cの回転角を検出する構成としても良い。また、ボールナット回転位置検出器23として、光学的なスリット円盤を傘歯車22bまたは傘歯車22cに回転一体に設けても良い。さらに、ボールナット21aにギヤを設け、ギヤを介してギヤの回転位置を検出するエンコーダを設けても良い。なお、回転角速度を検出するには、エンコーダによる回転位置情報の時間当たりの差分で求めても良いし、エンコーダをポテンショメータに置換えても良い。
また、図2に示すように本実施例では、回転伝達部22を、第一の自在継手22a及び第二の自在継手22bにより構成し、第一の自在継手22aの主動軸が外部駆動系モータ1bと接続され、第二の自在継手22bの従動軸が上述のように駆動変換器21に接続されている。
図3に、本実施例の制御棒駆動システム1を構成する差動トランス追従コントローラ61の機能ブロック図を示す。図3では、外部駆動系モータ1bとしてACサーボモータを用いた場合を例に示している。図3に示すように、差動トランス追従コントローラ61は、位置制御部61a、速度制御部61b及び電流制御部61cより構成される。
位置制御部61aは、差動トランス19より出力される内部駆動系を構成するボールナット3の外周部に設けられた差動トランスコア19aとの相対位置偏差(ΔV)を入力する。ここで、相対位置偏差(ΔV)は、差動トランスコア19aと差動トランス19との外部駆動系ボールねじ20に沿う上下方向の相対位置偏差(Δx)を零とするよう外部駆動系モータ1bの周波数Δω(回転角速度)を出力する。
一方、制御棒位置コントローラ62は、外部駆動系モータ1bの回転子の位置を検出する回転位置検出器15より得られる回転角、すなわち、第一の自在継手22aの主動軸の回転角θを第一の微分回路62aに入力し回転角速度θ’を出力する。また、このとき、ボールナット回転位置検出器23より得られる傘歯車21bの回転角、すなわち、第二の自在継手22bの従動軸の回転角φを第二の微分回路62bに入力し回転角速度φ’を出力する。制御棒位置コントローラ62内の差分回路より出力される回転角速度差(θ’―φ’)が上記周波数Δωに加算され、周波数ωとして速度制御部61bへ入力される。
速度制御部61bは、入力される周波数ωを電流指令値Iに変換し、電流制御部61cへ出力する。電流制御部61cでは、三相電流Iu,Iv,Iwに変換し、外部駆動系モータ1bであるACサーボモータへ出力する。
これにより、差動トランス19により検出される内部駆動系を構成するボールナット3の外周部に設けられた差動トランスコア19aとの相対位置偏差のみならず、回転伝達部22を構成する第一の自在継手22aの主動軸と、第二の自在継手22bの従動軸における回転角速度差(θ’―φ’)分が吸収されることにより、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性を向上することが可能となる。
本実施例によれば、上述のとおり、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性の向上を図ることが可能となる。
また、本実施例によれば、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性が向上することにより、外部駆動系の回転位置検出器15の信号が、制御棒位置コントローラ62に入力され、内部駆動系の位置を検出できるため、内部駆動系が連結する制御棒の位置を監視することができる。
また、本実施例によれば、また、内部駆動系に対する外部駆動系の追従性向上により、制御棒の位置検出や原子炉の運転に不具合を生じない高信頼性な制御棒駆動システムを実現できる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の実施例の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1・・・制御棒駆動システム、1a・・・キャンドリラクタンスモータ(内部駆動系モータ)、1b・・・外部駆動系モータ、2・・・ボールねじ、3・・・ボールナット、4・・・下部制御棒駆動軸、5・・・アーマチュア、6・・・原子炉バウンダリ、7・・・推力軽減リンク、8・・・廻り止めキー、9・・・上部制御棒駆動軸、10・・・制御棒ラッチ機構、11・・・ダッシュラム、12・・・制御棒、13・・・緩衝器、14・・・スクラムスプリング、15・・・回転位置検出器、16・・・キャンドパイプ、17・・・電磁石、18・・・ヨーク、19・・・差動トランス、19a・・・差動トランスコア、20・・・外部駆動系ボールねじ、21・・・駆動変換器、21a・・・ボールナット、21b,21c・・・傘歯車、22・・・回転伝達部、22a・・・第一の自在継手、22b・・・第二の自在継手、23・・・ボールナット回転位置検出器、60・・・三相可変周波数電源、61・・・差動トランス追従コントローラ、61a・・・位置制御部、61b・・・速度制御部、61c・・・電流制御部、62・・・制御棒位置コントローラ、62a・・・第一の微分回路、62b・・・第二の微分回路
Claims (7)
- 一端にキャンドリラクタンスモータを有し、他端が原子炉バウンダリの開口に連通する円筒状のキャンドパイプと、前記キャンドパイプ内で、前記キャンドリラクタンスモータにより回転駆動される第一のボールねじと、外周部に差動トランスコアを有し第一のボールねじの回転駆動を直線駆動に変換する第一のボールナットと、前記第一のボ−ルナットの直線駆動により前記キャンドパイプ内を上下駆動し先端に接続された制御棒を上下駆動する制御棒駆動軸を有する内部駆動系と、
前記キャンドパイプの外部にあって、一端が電磁石に固定され他端が差動トランスに固定される第二のボールねじと、前記第二のボールねじに上下動可能に取り付けられた第二のボールナットの回転位置を検出するボールナット回転位置検出器を有する駆動変換器と、外部駆動系モータと、前記外部駆動系モータの回転子の位置を検出する回転位置検出器と、前記外部駆動系モータの回転駆動を前記駆動変換器へ自在継手により伝達する回転伝達部よりなる外部駆動系を有し、
前記回転位置検出器の出力と前記ボールナット回転位置検出器の出力との差分に基づいて前記外部駆動系モータを制御することを特徴とする原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム。 - 請求項1に記載の原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムにおいて、
差動トランス追従コントロ―ラを設け、前記差動トランス追従コントローラは、前記差動トランスと前記差動トランスコアとの相対位置偏差及び、前記回転位置検出器の出力と前記ボールナット回転位置検出器の出力との差分に基づいて前記外部駆動系モータを制御することを特徴とする原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム。 - 請求項2に記載の原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムにおいて、
前記回転位置検出器及び前記ボールナット回転位置検出器からの出力を入力し、これらの差分を前記差動トランス追従コントローラへ出力する制御棒位置コントローラを備えたことを特徴とする原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム。 - 請求項3に記載の原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムにおいて、
前記制御棒位置コントローラは、
前記回転位置検出器から出力される前記外部駆動系モータの回転子の回転角を回転角速度に変換する第一の微分回路と、
前記ボールナット位置検出器から出力される前記第二のボールナットの回転角を回転角速度に変換する第二の微分回路と、を有し、
前記第一の微分回路の出力と前記第二の微分回路の出力の差分を前記差動トランス追従コントローラへ出力することを特徴とする原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム。 - 請求項4に記載の原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムにおいて、
前記差動トランス追従コントローラは、
前記差動トランスより入力される前記差動トランスコアとの相対位置偏差を入力し、当該偏差を零とするよう前記外部駆動系モータの周波数を出力する位置制御部と、
前記位置制御部からの出力及び前記制御棒位置コントローラより入力される前記第一及び第二の微分回路の出力の差分に基づき電流指令値を出力する速度制御部と、
前記速度制御部からの電流指令値に基づき、三相電流に変換し前記外部駆動系モータへ出力する電流制御部を有することを特徴とする原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム。 - 請求項5に記載の原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムにおいて、
前記駆動変換器は、前記自在継手の従動軸の回転駆動を伝達する第一の傘歯車と、前記第一の傘歯車に直交するよう配置され前記第二のボールねじを上下動する第二の傘歯車を有することを特徴とする原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム。 - 請求項6に記載の原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システムにおいて、
前記第二の傘歯車にレーザ光を照射し、当該第二の傘歯車からの反射光を検出するエンコーダにより前記ボールナット回転位置検出器を構成することを特徴とする原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム。
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JP2014112140A JP2015225061A (ja) | 2014-05-30 | 2014-05-30 | 原子炉の密閉型制御棒駆動機構を有する制御棒駆動システム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101807638B1 (ko) | 2016-04-18 | 2017-12-14 | 한국원자력연구원 | 원자로용 이중화 제어봉 구동 장치 및 그 제어 방법 |
US11276504B2 (en) * | 2017-03-08 | 2022-03-15 | Ge-Hitachi Nuclear Energy Americas Llc | Digital systems and methods for high precision control in nuclear reactors |
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2014
- 2014-05-30 JP JP2014112140A patent/JP2015225061A/ja active Pending
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