JP2015225043A - 高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置 - Google Patents

高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置 Download PDF

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長谷川  満
昌樹 鶴来
Masaki Tsuruki
昌樹 鶴来
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Abstract

【課題】長期に運転する高温機器において、損傷の初期段階から損傷の進行状態を把握し、機器の健全性や余寿命を適正に判定することができる高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置を提供する。【解決手段】第1測定装置1に電磁超音波共鳴装置を適用し、第2測定装置に電磁超音波共鳴装置とは異なる条件の非破壊測定方法により形状変化を測定可能な超音波探傷装置を適用し、評価装置3において、被測定物10の厚みのデータを用いて第1物理量を補正する。そしてこの補正後の第1物理量と予め損傷状況判定用データベース4に記憶されていた各物理量と損傷状態との相関データと照会・比較することで、被測定物10の測定領域における被測定物10内部の損傷の程度を評価する。【選択図】 図1

Description

本発明は、高温で使用される機器の損傷評価方法および評価装置に係り、特に、機器の構造部材の損傷の変化を非破壊的な方法で評価することが可能な損傷評価方法および評価装置に関する。
高温で使用される構造部材の損傷診断方法およびその装置として、特許文献1には、高温で使用される構造部材の使用状態を表わす使用状態量を検出して、構造部材の温度および作用応力を算出し、一方、構造部材の硬さとその変化を表わす材料状態量を計測して損傷の蓄積に関係する材料特性を算出し、機器の運転履歴に応じて構造部材が受けた損傷量を修正量として加算して損傷量を演算し、演算結果を許容値と比較して構造部材中にき裂が発生するまでの期間を予知診断する技術が開示されている。
特開昭60−67838号公報
一般に、発電プラントや化学プラントでは高温で長時間使用する機器が多数存在する。これらの機器では、温度変化とそれに伴って部材内部に生じる温度分布に起因する熱応力が繰返し生じるため、クリープやクリープ疲労などの高温で特徴的な損傷モードを評価することが機器の健全性維持のために重要となる。
例えば高温機器を構成する金属部材に、起動停止や負荷変動などの非定常運転による繰り返し負荷が加わる場合、結晶粒内の転位、すなわち微視的レベルでのすべりが発生、増加してすべり帯を形成する。さらにすべり帯が発達して結晶粒程度の微小き裂となる。
一方、定常運転時には、クリープによりボイドや微小き裂といった微視的な損傷が発生、成長し、これらが結合して粒界程度のき裂に成長する。
例えばステンレス鋼などの場合、600℃以上の高温ではクリープにより結晶粒内の転位が発生、成長する転位クリープが支配的であり、600℃以下では析出物やクリープボイドが発生、成長する拡散クリープが支配的とされている。クリープが進行して損傷が蓄積すると、これらのき裂はさらに成長して部材の強度を低下させ、最終的に部材の変形や破損などの破壊的現象を引き起こす。
このような破壊的現象を防ぐため、通常は、機器の負荷条件に応じたマスターカーブを作成し、そこから予測した寿命を基に、機器の構造設計がなされる。しかしながら、長期間に渡って運転する高温機器の損傷状態は、逐次変化する運転条件や負荷条件による損傷の累積に依存する。このため、損傷の程度をあらかじめ精度良く予測することは容易ではない。そこで、運用中の機器の部材における損傷状態から余寿命を評価する技術が求められている。
高温機器の健全性評価として、補修や交換の時期を予知するために余寿命を評価することが従来からよく行われている。
しかし、特許文献1に記載のような技術を用いて部材の寿命を予測しても、それ以降の運転状況により実際の余寿命が予測とずれる可能性がある。そのため、機器の健全性を維持できるよう、ずれを見越した余裕を持って部材の余寿命を短めに見積もる場合がある。ただし、これは部材をより短期間で補修、交換する必要があるということになり、運用コストの上昇に繋がる。
一方、機器によっては予寿命を評価したとしても容易に補修、交換できないものがある。例えば、高速増殖炉では冷却材として500℃以上の液体ナトリウムを用いるなど、高温、高放射線のエリアが広範囲に存在しており、このようなエリア内の機器は補修、交換が容易ではない。このような状況を鑑み、機器運用開始時からボイドや微小き裂といった微視的な損傷の発生、成長を精度良く把握し、設計時に想定した寿命、あるいはそれ以上の期間にわたる運用を可能にすることで、運用コストの上昇を抑制することが望まれている。
本発明は、長期に運転する高温機器において、損傷の初期段階から損傷の進行状態を把握し、機器の健全性や余寿命を適正に判定することができる高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置を提供する。
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、部材の物理量を測定して前記部材内部の損傷の程度を評価するための損傷評価方法であって、前記部材を破壊せずにその内部の物理量を測定することが可能な第1非破壊測定方法によって第1物理量を測定する第1測定工程と、この第1測定工程で前記第1物理量を測定した位置と同じ位置に対して、前記第1非破壊測定方法とは異なる条件の第2非破壊測定方法によって第2物理量を測定する第2測定工程と、この第2測定工程で測定された前記第2物理量を用いて前記第1測定工程で測定された前記第1物理量を補正し、この補正した第1物理量を用いて前記部材内部の損傷の程度を評価する演算工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、損傷初期段階から損傷の進行状況を精度良く把握し、設計時に想定した機器の寿命を満足して運用することができる。
本発明の高温機器損傷評価装置の実施形態の一例を示すブロック図である。 本発明の高温機器の損傷評価方法を含む一連の流れを説明するフローチャートである。 本発明の高温機器損傷評価装置の実施形態の他の一例を示すブロック図である。
以下に本発明の高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置の実施形態を、図面を用いて説明する。
<第1の実施形態>
本発明の高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置の第1の実施形態を、図1および図2を用いて説明する。図1は本発明の高温機器損傷評価装置の第1実施形態の構成のブロック図である。
図1において、高温機器損傷評価装置は、第1測定装置1、第2測定装置2、評価装置3、損傷状況判定用データベース4、出力装置7等により概略構成されている。
第1測定装置1は、被測定物(高温機器)10を破壊せずに、被測定物10内部の第1物理量を測定する測定方法(第1非破壊測定方法)を実行する内部損傷測定装置である。
第2測定装置2は、被測定物(高温機器)10を破壊せずに、第1測定装置1における内部損傷測定方法とは異なる条件によって被測定物10内部の第2物理量を測定する測定方法(第2非破壊測定方法)を実行する内部損傷測定装置である。
この第1測定装置1および第2測定装置2は、被測定物(高温機器)10内部の同一領域における損傷状態をそれぞれ計測できるように、同一領域における物理量を測定するように配置されている。
ここで、各測定装置1,2は、いずれも公知の非破壊による内部損傷測定装置とする。その種類としては、例えば、電磁超音波共鳴装置や超音波探傷装置、漏えい磁束密度測定装置などがある。
この第1測定装置1および第2測定装置2では、それぞれの測定方法に依存して測定した信号を評価し、測定方法毎に固有の物理量を測定し、後述する評価装置3に対して出力する。測定される物理量としては、例えば、電磁超音波共鳴装置では共鳴次数ごとの共鳴周波数、音速、減衰係数、音弾性あるいは音響非線形量などが挙げられる。超音波探傷装置では底面反射波の振幅強度比や音速あるいは後方散乱波のスペクトル強度などが挙げられる。漏えい磁束密度測定装置であれば、漏えい磁束密度等が挙げられる。
評価装置(演算部)3は、第1測定装置1で測定された第1物理量および第2測定装置2で測定された第2物理量の入力を受け、第2測定装置2で測定された第2物理量を用いて第1測定装置1で測定された第1物理量を補正する。また、この補正した第1物理量と、予め損傷状況判定用データベース4に記憶されていた各物理量と損傷状態との相関データと照会・比較することで、被測定物10の測定領域における被測定物10内部の損傷の程度を評価する。
損傷状況判定用データベース4は、各物理量と損傷状態(ボイドや析出物の量)との相関データを記憶している。この記憶されている各物理量と損傷状態(ボイドや析出物の量)との相関データは、例えば被測定物と同じ材料であらかじめクリープ試験を行うことで求められたものである。例えば、クリープ試験の保持温度、保持応力、損傷時間を変えた試験体を作製し、各方法による測定を行って所望の物理量を算出する。次に、各試験体の断面を電子顕微鏡等で観察し、ボイドや析出物の発生量(大きさ、数)を計数すれば、先に算出した各物理量と損傷状態との相関データが得られる。
出力装置7は、評価装置3によって評価した被測定物10内部の損傷の程度や、評価結果の異常の有無など通知するためのモニタや警告灯などの装置である。
次に、第1測定装置1として電磁超音波共鳴装置を用い、減衰係数を測定する場合を例に説明する。
電磁超音波共鳴法とは、被測定物とは非接触の送受信コイルに高周波電流を流して、被測定物の表面に渦電流を生じさせ、励起された電磁超音波によって被測定物内部に生じる定在波の共鳴周波数を利用して材料を評価する方法である。
その原理から、電磁超音波共鳴法は、機器部材内部に生じる損傷状態を調べるという本発明の目的に適していると考えられる。更に、非接触での測定であるために、被測定物表面のさびや汚れの影響を受け難く、また簡便かつ迅速な測定が可能である。このため、前述した高速増殖炉のような高温、高放射線環境下におかれる機器の評価への適用にも適しているといえる。
ここでは、損傷時間と減衰係数の関係を求める方法の一例を示す。
例えば、使用温度が比較的低い高速増殖炉の場合には、ボイドや析出物が発生、成長する拡散クリープが支配的である。これら、ボイドや析出物による超音波の減衰はレーリー散乱となり、以下の式(1)で表わされる。
Figure 2015225043
ここで、α:減衰係数、n:散乱体の体積個数密度、γ:散乱体の散乱断面積である。
また、散乱体の半径をa、母材中の超音波の縦波および横波の波数をそれぞれk、Kとすると、Ka<<1ならば、レーリー近似を用いて、例えば電磁超音波共鳴装置で用いる横波に対する析出物あるいはボイドの散乱断面積γは式(2)あるいは式(3)で表わされる。式中のk、Kはそれぞれ散乱体中の超音波の縦波および横波の波数を示している。
Figure 2015225043
Figure 2015225043
以上の式をm個の径a(i=1〜m)でそれぞれの体積個数密度がnのボイドあるいは析出物によるレーリー散乱に拡張すると、減衰係数αは式(4)、式(5)あるいは式(6)のいずれかの式で表わされる。
Figure 2015225043
Figure 2015225043
Figure 2015225043
以上の関係から、ボイドや析出物の発生量(大きさ、数)が多いほど、減衰係数αは大きくなることがわかる。一方、クリープ試験では通常、試験体が破断に至るまでの時間経過とともに、ボイドや析出物の発生量(大きさ、数)は増加する傾向にある。このことは、減衰係数αを計測することで、損傷の進行状態を評価できることを示している。
ここで、前述したように、電磁超音波共鳴法は、被測定物の内部に生じる定在波の共鳴周波数を利用する評価方法であり、部材内の損傷状態を調べるのに好適といえる。ただし、被測定物10内部の損傷状態以外に被測定物の形状、特に定在波の進行方向の距離が変わってしまうと、共鳴周波数も変動してしまうという評価方法でもある。このことは、測定装置で測定した物理量に、被測定物10の変形の影響が重畳してしまう可能性があることを示唆しており、被測定物10に生じている損傷状態を正しく把握できない恐れがある。
このような形状変化が懸念されることから、本実施形態の被測定物の損傷評価装置においては、第1測定装置1での電磁超音波共鳴法によって測定した第1物理量を単独で損傷の評価に用いるのではなく、同タイミングで、第1測定装置1とは異なる条件である何らかの非破壊測定方法による被測定物10の該当箇所の形状変化を測定する第2測定装置2により第2物理量を測定し、この第2物理量を用いて第1物理量に対する補正を加えることで、損傷状態を正しく把握する。
この第2測定装置2での被測定物の形状を測定する方法には特に限定は無い。例えば、超音波探傷装置を用いて、探触子を配管表面に接触させて発信した超音波パルスが、対向する表面で反射して戻るまでの時間から、被測定部分の厚みを第2物理量として求めることができる。
この場合、前述したように、第1物理量には被測定物10内部の損傷状態によって生じる値に加えて被測定物10の形状変化による値が重畳されていることから、評価装置3では、第2測定装置2で測定した被測定物10の厚みのデータ(第2物理量)を被測定物10の形状変化による値として第1物理量から減算する。そしてこの減算後の物理量は、被測定物10内部の損傷状態によって生じる値だけとなるため、評価装置3は、この減算後の物理量を予め損傷状況判定用データベース4に記憶されていた各物理量と損傷状態との相関データと照会・比較することで、被測定物10の測定領域における被測定物10内部の損傷の程度を評価する。その上で、出力装置7により損傷の程度の評価結果を表示する。
次に、図1に示すような損傷評価装置を用いた、被測定物(高温機器)10内部の損傷の程度を評価するための高温機器の損傷評価方法の一例について、図2を用いて以下説明する。図2は本発明の高温機器の損傷評価方法を含む一連の流れを説明するフローチャートである。
まず、高温機器を含む装置の運転を開始する(ステップS11)。
次いで、被測定物(高温機器)10の損傷の程度を評価するために、損傷評価装置を起動し、第1測定装置1を用いて、被測定物(高温機器)10を破壊せずにその内部の物理量を測定することが可能な第1非破壊測定方法によって第1物理量を測定するとともに、第1物理量を測定した位置と同じ位置に対して、第2測定装置2を用いて第2非破壊測定方法によって第2物理量を測定する(ステップS12、第1測定工程および第2測定工程)。
次いで、評価装置3において、ステップS11で測定した第2物理量を用いて第1物理量を補正する(ステップS13、演算工程の一部)。
次いで、評価装置3において、先のステップS13で補正した第1物理量と、予め損傷状況判定用データベース4に記憶されていた各物理量と損傷状態との相関データとを照会・比較し、損傷の伸展状況を判定する(ステップS14、演算工程の一部)。
次いで、評価装置3において、先のステップS14で判定した損傷の伸展状況が、許容範囲内に収まっているか否かの判定を行う(ステップS15)。許容範囲内に収まっているとき(ステップS15のYes)は、高温機器を備えた装置の運転を継続する(ステップS16)。これに対し、許容範囲内に収まっていないとき(ステップS15のNo)は、損傷の伸展が進んでいる状態であることから、被測定物10に対する補修や交換、あるいは運転条件の見直し、装置の停止等の措置をとる(ステップS17)。措置の終了後、高温機器を備えた装置の運転を再開する。
上述した本発明の高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置の第1の実施形態では、第1測定装置1に電磁超音波共鳴装置を適用し、第2測定装置に電磁超音波共鳴装置とは異なる条件の非破壊測定方法により形状変化を測定可能な超音波探傷装置を適用し、評価装置3において、被測定物10の厚みのデータを用いて第1物理量を補正する。そしてこの補正後の第1物理量と予め損傷状況判定用データベース4に記憶されていた各物理量と損傷状態との相関データと照会・比較することで、被測定物10の測定領域における被測定物10内部の損傷の程度を評価する。
これによって、被測定物1の変形の影響が重畳している第1測定装置1で測定した第1物理量を被測定物10内部の損傷状態によって生じる値に正確に補正することができ、この正確に補正した物理量によって被測定物10の測定領域における被測定物10内部の損傷の程度を評価することができる。よって、機器や部材の破損を引き起こす予兆となる、微視的損傷の発生、成長に関わる複数の指標を、損傷初期段階から精度良く把握することができ、設計時に想定した機器の寿命を満足して運用することができる。すなわち、部材をより短期間で補修、交換する必要がなくなり、運用コストの低減を図ることができる。
なお、被測定物(高温機器)10の形状変化を測定する第2測定装置2として、被測定物10に組み付けた配管の厚みのように直接的に測定することが困難な箇所に適用する超音波探傷装置を用いる場合について説明したが、第2測定装置2は、被測定物(高温機器)10内部の損傷の程度を評価するのに必要な第1物理量を補正するのに有用な物理量を測定する装置であれば適用することができ、例えば、被測定物10の構造上直接その厚みを計測できるような場合は、ノギスやマイクロメータなどの外形寸法を直接測定可能な測定機器を適用することができる。
また、第1物理量を測定した後に同一箇所で第2物理量を測定する例について説明したが、第2物理量を測定した後に同一箇所で第1物理量を測定することも可能である。
<第2の実施形態>
本発明の高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置の第2の実施形態を説明する。
高温機器では、結晶粒内の転位やクリープボイド、微小き裂の発生によって部材の組織構造が変化して部材中の音速が変動する可能性がある。この場合、前述の超音波探傷装置で求めた距離による補正が正確でない懸念がある。
そこで、電磁超音波共鳴法による測定値に対し、形状変化ではない補正を行うことも考えられる。以下、形状変化でない補正を行う第2の実施形態について説明する。
本実施形態の損傷評価装置は、第1測定装置1および第2測定装置2の両方の測定装置に電磁超音波共鳴装置が適用されている。
このうち、第2測定装置2は、第1測定装置1による減衰係数α1(第1物理量)測定用の超音波よりも波長が長い低周波数域での減衰係数α2(第2物理量)測定用の超音波によって減衰係数α2を測定するよう構成されている。これは、ボイドや析出物などの大きさと比べて超音波の波長が充分に長ければ、超音波が散乱され難いことを利用することを目的としている。
ここで、高温機器の初期状態では損傷が無いため、減衰係数α1、減衰係数α2とも最小であり、α1とα2の差分も最小となる。その後、高温機器が稼動開始して損傷が増加するとともに減衰係数α1,α2は共に増加するが、前述したように損傷の影響を受け難いα2の増加量はα1の増加量に比べて小さく、α1との差分が大きくなる。
そこで、本実施形態のように第1測定装置1および第2測定装置2の両方の測定装置を電磁超音波共鳴装置とした場合、損傷状況判定用データベース4には、あらかじめ損傷量とこの減衰係数α1と減衰係数α2との差分との相関データを格納しておく。
また、評価時には、評価装置3において、減衰係数α1を減衰係数α2との差分である差分値を用いて損傷の進行状態を評価する。言い換えると、減衰係数α1と減衰係数α2との差分値を補正値として損傷の進行状態を評価することになる。
本発明の高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置の第2の実施形態においても、前述した高温機器の損傷評価方法および高温機器損傷評価装置の第1の実施形態とほぼ同様な効果が得られる。
なお、第2測定装置2に、第1測定装置1による減衰係数α1測定用の超音波よりも波長が長い低周波数域での減衰係数α2測定用の超音波によって減衰係数α2を測定する構成について説明したが、第2測定装置2には、第1測定装置1による減衰係数α1測定用の超音波よりも波長が短い高周波数域での減衰係数α2測定用の超音波によって減衰係数α2を測定する構成とすることも可能である。
<その他>
なお、本発明は上記の実施形態に限られず、種々の変形、応用が可能なものである。上述の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
例えば、上述した実施形態では測定装置が2つの場合を説明したが、さらに他の測定装置を追加して組み合わせることも可能である。この場合、第2測定装置2は、第2物理量に加えて、第1測定装置1や第2物理量の測定とは異なる条件の非破壊測定方法によりさらに物理量を測定する。そして評価装置3では、第2測定装置2で測定された第2物理量と更なる物理量とを用いて第1測定装置1で測定された第1物理量を補正し、補正後の第1物理量と予め損傷状況判定用データベース4に記憶されていた各物理量と損傷状態との相関データと照会・比較することで、被測定物10の測定領域における被測定物10内部の損傷の程度を評価する。
また、図3に示すように、損傷評価装置は、評価装置3の評価結果に応じて、制御装置5を介して所定の制御対象機器6をコントロールするよう構成されることができる。ここで制御対象機器6は、損傷評価装置による被測定物10を含む機器であってもよいし、別に存在する機器、機構であってもよい。
また、第1の実施形態における図2の説明では、運転開始した状態で損傷評価を行うことを述べたが、例えば高温機器を一定期間毎に停止した状態で定期点検を行う場合に、他の点検と併せて本発明の損傷評価を実施してもよい。この場合、損傷の進展が許容範囲内と判定されれば運転を再開可能とし、そうでなければ部材の補修や交換、運転条件の見直し後に運転を再開するという手順であってもよい。
1…第1測定装置、
2…第2測定装置、
3…評価装置、
4…損傷状況判定用データベース、
5…制御装置、
6…制御対象機器、
7…出力装置、
10…被測定物(高温機器)。

Claims (10)

  1. 部材の物理量を測定して前記部材内部の損傷の程度を評価するための損傷評価方法であって、
    前記部材を破壊せずにその内部の物理量を測定することが可能な第1非破壊測定方法によって第1物理量を測定する第1測定工程と、
    この第1測定工程で前記第1物理量を測定した位置と同じ位置に対して、前記第1非破壊測定方法とは異なる条件の第2非破壊測定方法によって第2物理量を測定する第2測定工程と、
    この第2測定工程で測定された前記第2物理量を用いて前記第1測定工程で測定された前記第1物理量を補正し、この補正した第1物理量を用いて前記部材内部の損傷の程度を評価する演算工程とを有する
    ことを特徴とする損傷評価方法。
  2. 請求項1に記載の損傷評価方法において、
    前記第1測定工程における前記第1非破壊測定方法と前記第2測定工程における前記第2非破壊測定方法のうち少なくともいずれか一方を電磁超音波共鳴法とする
    ことを特徴とする損傷評価方法。
  3. 請求項2に記載の損傷評価方法において、
    前記電磁超音波共鳴法で測定する前記第1物理量または前記第2物理量が、共鳴波の減衰係数、共鳴周波数、音速、音弾性、音響非線形量のうち少なくともいずれか1つを含む
    ことを特徴とする損傷評価方法。
  4. 請求項1に記載の損傷評価方法において、
    前記第1測定工程における前記第1非破壊測定方法と前記第2測定工程における前記第2非破壊測定方法とはいずれも電磁超音波共鳴法であり、前記第2非破壊測定方法は、前記第1非破壊測定方法に比べて波長が長い低周波数域での測定とする
    ことを特徴とする損傷評価方法。
  5. 請求項1に記載の損傷評価方法において、
    前記第1非破壊測定方法が電磁超音波共鳴法であり、前記第2非破壊測定方法が前記部材の形状変化を測定する方法である
    ことを特徴とする損傷評価方法。
  6. 請求項1に記載の損傷評価方法において、
    前記第2測定工程では、前記第2物理量に加えて、前記第1非破壊測定方法および前記第2非破壊測定方法とは異なる条件の少なくとも1つ以上の非破壊測定方法により少なくとも1以上の物理量を測定し、
    前記演算工程では、前記前記第2測定工程で測定された前記第2物理量および前記少なくとも1以上の物理量を用いて前記第1測定工程で測定された前記第1物理量を補正する
    ことを特徴とする損傷評価方法。
  7. 部材の物理量を測定して前記部材内部の損傷の程度を評価するための損傷評価装置であって、
    前記部材を破壊せずにその内部の物理量を測定することが可能な第1非破壊測定方法によって第1物理量を測定する第1測定部と、
    この第1測定部で前記第1物理量を測定した位置と同じ位置に対して、前記第1測定部とは異なる条件の第2非破壊測定方法によって第2物理量を測定する第2測定部と、
    この第2測定部で測定された前記第2物理量を用いて前記第1測定部で測定された前記第1物理量を補正し、この補正した第1物理量を用いて前記部材内部の損傷の程度を評価する演算部とを有する
    ことを特徴とする損傷評価装置。
  8. 請求項7に記載の損傷評価装置において、
    前記第1測定部と前記第2測定部のうち少なくともいずれか一方が電磁超音波共鳴装置である
    ことを特徴とする損傷評価装置。
  9. 請求項8に記載の損傷評価装置において、
    前記電磁超音波共鳴装置で測定する前記第1物理量または前記第2物理量が、共鳴波の減衰係数、共鳴周波数、音速、音弾性、音響非線形量のうち少なくともいずれか1つを含む
    ことを特徴とする損傷評価装置。
  10. 請求項7に記載の損傷評価装置において、
    前記演算部で評価した前記部材内部の損傷の程度を表示する表示部を更に備えた
    ことを特徴とする損傷評価装置。
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