JP2015223107A - プロモーターアッセイ - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、信頼性の高いプロモーターアッセイを提供することにある。【解決手段】実施形態に係るプロモーターアッセイは、細胞を用意する工程と、発光強度を経時的に測定する工程と、発光強度の変化率を算出する工程とを含む。細胞を用意する工程では、プロモーターと、前記プロモーターの下流に位置し前記プロモーターによって発現が誘導されるルシフェラーゼ遺伝子とから成る組み合わせを2種以上有する細胞を用意する。ルシフェラーゼタンパク質のATPに対するKm値の各々は、最も高いKm値から20%以内の範囲に含まれる。発光強度の変化率を算出する工程では、測定対象とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質の変化率と、基準とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質の変化率とのずれを算出する。【選択図】図4

Description

本発明は、プロモーターアッセイに関する。
遺伝子発現の活性を測定する方法の1つとして、プロモーターアッセイが存在する。プロモーターアッセイでは、測定対象とする遺伝子を、蛍光タンパク質の遺伝子や発光タンパク質の遺伝子といったレポーターとなる遺伝子に置き換え、蛍光または発光を検出することにより、測定対象とする遺伝子の発現の状態を測定する。プロモーターアッセイは、レポーターアッセイとも呼ばれる。
プロモーターアッセイにおいて、レポーターとなる遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子が使用される。特に、甲虫から取得されたルシフェラーゼ遺伝子は、高い発光強度が得られるため、多用される。甲虫由来のルシフェラーゼは、ルシフェリン、ATPおよび酸素を基質として、発光反応を触媒する。
甲虫由来のルシフェラーゼのように、基質としてATPを含む場合、環境中のATP濃度の変動が、プロモーターアッセイに影響を与える可能性がある。例えば、低い発光強度が測定されたとしても、プロモーターの活性が低下したのではなく、ATPが不足したことにより発光反応の速度が低下し、その結果、発光強度が低下した可能性が残る。
ルシフェラーゼには、甲虫由来のルシフェラーゼの他に、海洋動物に由来するルシフェラーゼも存在する。このようなルシフェラーゼは、イミダゾピラジン骨格を有する化合物および酸素を基質とし、ATPを基質として含まない。そのため、このルシフェラーゼをプロモーターアッセイに使用すれば、ATP濃度に影響を受ける可能性が生じない。しかしながら、このようなルシフェラーゼは、一般的に、発光の減衰が極めて速く、経時的な測定には不向きである。
先行文献1は、複数のルシフェラーゼを使用するプロモーターアッセイを開示している。この方法では、測定対象のルシフェラーゼによる発光強度を定量的に測定する目的で、別のルシフェラーゼを内部標準として使用している。
本発明の目的は、信頼性の高いプロモーターアッセイを提供することにある。
実施形態に係るプロモーターアッセイは、細胞を用意する工程と、発光強度を経時的に測定する工程と、発光強度の変化率を算出する工程とを含む。細胞を用意する工程では、プロモーターと、前記プロモーターの下流に位置し前記プロモーターによって発現が誘導されるルシフェラーゼ遺伝子とから成る組み合わせを2種以上有する細胞を用意する。前記プロモーターの少なくとも1種は測定対象とするプロモーターである。前記プロモーターの少なくとも1種は基準とするプロモーターである。前記ルシフェラーゼ遺伝子から生じるルシフェラーゼタンパク質に起因する発光の最大発光波長の各々は、互いに区別可能である。前記ルシフェラーゼタンパク質のATPに対するK値の各々は、最も高いK値から20%以内の範囲に含まれる。発光強度を経時的に測定する工程では、前記発光の各々の発光強度を経時的に測定する。発光強度の変化率を算出する工程では、前記ルシフェラーゼタンパク質の各々について、任意の単位時間における発光強度の変化率を算出する。さらに、前記測定対象とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質の変化率と、前記基準とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質の変化率とのずれを算出する。前記ずれが所定の値以上である場合に、前記測定対象とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質により誘導される発光強度の変化を、前記測定対象とするプロモーターの活性の変化として採用する。
本発明のプロモーターアッセイによれば、レポーター遺伝子の発現の検出と同時に、ATP濃度の影響の有無を調べることができ、より信頼性の高い結果を得ることができる。
図1は、ATPに対するK値が異なる2つのルシフェラーゼの、ATP濃度と発光強度との関係を示すグラフである。 図2は、Emerald Lucの発光スペクトルである。 図3は、Luciola SP1ルシフェラーゼの発光スペクトルである。 図4は、NFκB−ELucおよびCMV−SP1ルシフェラーゼを導入したHeLa細胞における、TNF−α刺激後の発光強度の経時変化を示すグラフである。 図5は、NFκB−ELucおよびCMV−SP1ルシフェラーゼを導入したHeLa細胞における、スタウロスポリン刺激後の発光強度の経時変化を示すグラフである。 図6は、NFκB−ELucおよびCMV−SP1ルシフェラーゼを導入したHeLa細胞における、薬剤による刺激を与えない場合の発光強度の経時変化を示すグラフである。
本発明の実施形態の1つは、プロモーターアッセイである。
実施形態に係るプロモーターアッセイは、細胞を用意する工程、発光を測定する工程および測定結果を処理する工程を含む。
細胞を用意する工程では、プロモーターと、このプロモーターの下流に位置し、このプロモーターによって発現が誘導されるルシフェラーゼ遺伝子とから成る組み合わせを2種以上有する細胞が用意される。
実施形態に係るプロモーターアッセイにおいて、細胞は、一般的なプロモーターアッセイにおいて使用される細胞であってよい。例えば、細胞は、動物細胞、植物細胞等の培養細胞、または大腸菌および酵母といった微生物の細胞であってよい。
細胞は、プロモーターとルシフェラーゼ遺伝子との組み合わせを、ゲノムに組み込んだ状態で含んでいてよく、または、そのような組み合わせを含むベクターを含んでいてよい。あるいは、細胞は、組み合わせの一部をゲノムに組み込んだ状態で含み、その他をベクターの状態で含んでいてよい。
プロモーターの少なくとも1種は、測定対象とするプロモーターである。測定対象とするプロモーターとは、本来、ある遺伝子の上流に位置し、その遺伝子の発現を制御するプロモーターを意味する。測定対象とするプロモーターは、アッセイの目的に応じて任意に選択される。
プロモーターの少なくとも1種は、基準とするプロモーターである。基準とするプロモーターとは、測定対象とするプロモーターの活性に対するATP濃度の影響を検出する上で基準として利用されるプロモーターである。基準とするプロモーターは、測定対象のプロモーターとは独立に遺伝子発現を制御する。基準とするプロモーターは、恒常的に発現を誘導するプロモーターであってよく、あるいは、刺激に応じて発現を誘導するプロモーターであってよい。基準とするプロモーターの具体例は、サイトメガロウィルス(CMV)プロモーター、simian virus 40(SV40)プロモーター、CMV early enhancer/chicken beta actin (CAG)プロモーター、ROSA26プロモーターおよびβ−actinプロモーターである。
プロモーターとルシフェラーゼ遺伝子との組み合わせが3種以上細胞に含まれる場合、少なくとも1種のプロモーターは測定対象であり、少なくとも1種のプロモーターは基準であり、残るプロモーターは、測定対象であっても、基準であってもよい。残るプロモーターが測定対象である場合、そのプロモーターは、先の測定対象と同じものであってよく、または異なる測定対象であってよい。また、残るプロモーターが基準である場合、そのプロモーターは、先の基準と同じものであってよく、または異なる基準であってよい。
ルシフェラーゼ遺伝子は、一般的なプロモーターアッセイにおいて使用されるルシフェラーゼ遺伝子であってよい。ただし、実施形態に係るプロモーターアッセイにおいて、ルシフェラーゼ遺伝子は、ATP濃度の影響を受け得るものである。すなわち、ルシフェラーゼ遺伝子は、ATPを基質とする発光反応を触媒するルシフェラーゼの遺伝子であることが好ましい。ルシフェラーゼ遺伝子の例は、甲虫に由来するルシフェラーゼ遺伝子である。
ルシフェラーゼ遺伝子から生じるルシフェラーゼタンパク質は、発光の測定によって区別可能である。すなわち、ルシフェラーゼタンパク質に起因する発光の最大発光波長の各々は、互いに区別可能である。ルシフェラーゼタンパク質に起因する発光は、個々の発光強度を同時に測定することが可能である。発光を測定する際、特定の波長の光を選択的に透過させる光学フィルターを利用することが可能であり、この場合、利用する光学フィルターの種類に応じて、区別可能な最大発光波長の数値は変わる。好ましくは、ルシフェラーゼタンパク質に起因する発光の最大発光波長は、互いに少なくとも20nm異なる。
実施形態に係るプロモーターアッセイでは、ATPに対する親和性が互いに近いルシフェラーゼタンパク質が使用される。例えば、ルシフェラーゼタンパク質のATPに対するミカエリス・メンテン定数(K)の値の各々は、最も高いK値から20%以内の範囲に含まれ、好ましくは10%以内の範囲に含まれ、最も好ましくは7%以内の範囲に含まれる。
以下の表1には、ルシフェラーゼタンパク質の例と、そのATPに対するK値が示される。斜体の表記は、ルシフェラーゼタンパク質の由来となる生物の学名であり、正体の表記は、ルシフェラーゼタンパク質の一般的な名称または市販される名称である。それぞれのルシフェラーゼについて、D−ルシフェリンに対するK値およびATPに対するK値が示される。
Figure 2015223107
表1中のルシフェラーゼから、ATPに対するK値が近い物を組み合わせて使用できる。例えば、ATPに対するK値が195μMであるLuciola sp1と、182μMであるEmerald Lucとを選択できる。
細胞を用意する工程に続き、発光を測定する工程が行われる。
発光を測定する工程では、発光の各々の発光強度が経時的に測定される。測定は、少なくとも2回行われる。好ましくは、一定の時間間隔で複数回測定される。ルシフェラーゼタンパク質の種類に応じて複数の発光が細胞から発せられるが、それらは同時にまたはほぼ同時に測定される。
また、測定は、一般的なプロモーターアッセイと同様に行うことができる。細胞は、発光が可能な環境におかれる。例えば、細胞を含む培地にルシフェリンが適量添加される。測定対象となる遺伝子の機能に応じて、細胞に対して適宜刺激を与えてもよい。発光は、ルミノメーターや発光顕微鏡により検出することができる。ルミノメーターや発光顕微鏡は、特定の波長の光を選択的に透過させる光学フィルターを備えていてもよい。
発光を測定する工程に続き、測定結果を処理する工程が行われる。
測定結果を処理する工程では、まず、ルシフェラーゼタンパク質ごとに、任意の単位時間における発光強度の変化率が算出される。この単位時間は、全てのルシフェラーゼタンパク質について同一の単位時間が選択される。例えば、0分の時点における発光強度、および30分の時点における発光強度が選択され、30分の時点における発光強度を0分における発光強度で割った値が変化率として算出される。変化率は、例えば、1以上の値として算出することができる。
その後、そのように算出した変化率のうち、測定対象とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質の変化率と、基準とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質の変化率とのずれが算出される。測定対象とするプロモーターが複数種存在する場合には、それぞれについて基準からのずれを算出することができる。また、基準とするプロモーターが複数種存在する場合には、それぞれについて測定対象からのずれを算出することができる。
ずれは、例えば、百分率により表すことができる。例えば、比較する2つの変化率の差をもとめ、その値を、2つの変化率の内の値の大きい方の変化率で割り、100倍することで、変化率のずれが算出される。
変化率のずれの算出に続いて、ずれが所定の値以上であるか否かが判断される。ずれが所定の値以上である場合、測定対象とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質により誘導される発光強度の変化を、測定対象とするプロモーターの活性の変化として採用する。一方、ずれが所定の値未満である場合、測定対象とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質により誘導される発光強度の変化は、ATP濃度の変動により生じた変化である可能性が高いとして、測定対象とするプロモーターの活性の変化としては採用しない。
所定の値は、プロモーターアッセイの条件に応じて、適宜設定可能である。より大きな値に設定するほど、測定結果の採用の条件は厳しくなり、より精度の高い結果が得られる。好ましくは、ずれの所定の値は5%である。
実施形態に係るプロモーターアッセイでは、上記のように、ATP濃度の変動を調べる目的で基準とするプロモーターとその下流のルシフェラーゼ遺伝子の組み合わせが利用されるが、先行技術文献1のように、定量性を向上させるために複数のルシフェラーゼを利用するプロモーターアッセイと組み合わせてもよい。例えば、定量するための基準となるプロモーターとルシフェラーゼとの組み合わせを更に利用してもよい。あるいは、ATP濃度の影響を調べるためのプロモーターとルシフェラーゼとの組み合わせを、定量するための組み合わせとして利用してもよい。
実施形態に係るプロモーターアッセイによれば、測定対象とする遺伝子の発現の検出と同時に、ATP濃度の影響の有無を調べることができる。この理由は以下の通りである。
図1は、仮想的なルシフェラーゼである、ルシフェラーゼA、ルシフェラーゼBおよびルシフェラーゼCの、ATP濃度と発光強度との関係を示すグラフである。横軸は基質であるATPの濃度を示し、縦軸は発光強度(すなわち反応速度)を示す。
ルシフェラーゼAおよびルシフェラーゼBでは、ATP濃度が無限大であるときの反応速度(Vmax)は同一であるものの、ATPに対するK値は異なる。そのため、図1のような基質と反応速度との関係を示す曲線を描いた場合、基質濃度が上昇したときの反応速度の立ち上がり方が異なる。例えば、ATP濃度がSからSに変化した場合、ルシフェラーゼAでは速度の変化量はΔV(縦軸3目盛分)であるのに対し、ルシフェラーゼBではΔV(縦軸2目盛分)である。
一方、ルシフェラーゼAとルシフェラーゼCとは、VmaxおよびK値が近い値となっており、これらのルシフェラーゼの曲線は非常に近い軌道を描いている。そして、ATP濃度の変化に対する速度の変化量ΔVもほぼ同じとなっている。
また、Vmaxが異なる場合であっても、Kが同一または近い値であれば、ATP濃度の変化に対する速度の「変化率」は、ほぼ同じとなる。このことは、ミカエリス・メンテン式から明らかである。
ルシフェラーゼのような酵素において、基質と反応速度との関係は、以下の式1に示されるミカエリス・メンテン式に従う。式中、「v」は反応速度であり、図1では縦軸に対応し、「[S]」はATP濃度であり、図1では横軸に対応する。
Figure 2015223107
あるルシフェラーゼについて、ATP濃度がSからSに変化したときの、反応速度の変化率(v/v)は以下の式2のように計算される。
Figure 2015223107
式2に示されるように、変化率(v/v)は、Vmaxに依存せず、S、SおよびKの値によって定まる。
したがって、Kが同一である2つのルシフェラーゼでは、ATP濃度がSからSに変化したときの、反応速度の変化率(v/v)は、同一の値となる。また、Kが同一でなくとも、近い値であれば、それに応じて変化率も近い値となる。
以上のように、同一の環境において、K値が近い2種以上のルシフェラーゼに発光反応を触媒させた場合、基質であるATP濃度が変動すると、それによって生じる発光強度(反応速度)の変化率はほぼ一致する。逆に、K値が近い2種以上のルシフェラーゼに由来する発光の単位時間当たりの変化率がほぼ一致する場合、その発光の変化はATP濃度の変動に起因する可能性があると推定することができる。
実施形態に係るプロモーターアッセイでは、以上のような原理を利用して、発光強度の変化が、真に測定対象とするプロモーターの活性の変化を表したものであるのか、ATP濃度の変化を表したものであるのかを判定することができる。
従来のプロモーターアッセイでは、一般的に、レポーターとして、ATPを基質として使用するルシフェラーゼが使用されるが、このようなアッセイでは、ATP濃度の変動による影響の可能性を排除できない。また、海洋性生物由来のルシフェラーゼのように、ATPを基質として使用しないルシフェラーゼを使用すれば、ATPの影響を排除することは可能であるが、海洋性生物由来のルシフェラーゼは、発光の減衰が極めて速く、経時的な測定が困難であり、レポーターとして役割を十分に果たせない。
これに対し、実施形態に係るプロモーターアッセイでは、レポーター遺伝子の発現の検出と同時に、ATP濃度の影響の有無を調べることができる。このため、得られた結果に対して、ATP濃度の影響を受けているか否かを判定することが可能となり、より信頼性の高い結果を得ることができる。
値の近い2種のルシフェラーゼを使用することで、ATP濃度の変動を調べることが可能なプロモーターアッセイを行うことができることを、以下の通り実証した。
<2種のルシフェラーゼの準備>
まず、Luciola SP1ルシフェラーゼおよびEmerald Luc(東洋紡株式会社製)の2種のルシフェラーゼについて、タンパク質の精製および速度論的解析を行った。
なお、Luciola SP1ルシフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号1)および塩基配列(配列番号2)は、それぞれ以下の通りである。
アミノ酸配列:
MNNMDDGEHIVVGPQPFYPVEEGSAGTQLLKYLKQYSKLGAIAFSNAHTKVDISYAEYLDTSVRLAQALINYGIPIDGRIALCSENCEEFYFPVLAGLYIGAGVAPTNEIYTLRELVHSLGISKPTIVFSSKKGLEKVITVQKTVTCIKTIVILDSKVDYQGYDCLETFIKKYLPAGFSVENFIPREVNRKEQVALVMNSSGSTGLPKGVQITHEGAVTRFSHARDPIYGNQVSPGTAILTIVPFHHGFGMFTNLGYLTCGYRIVMLTKFDEELFLKTLADYKCTSVILVPTLFAILSKSVLLEKYDLSNLVEIASGGAPLAKEVGEAVARRFNLPGIRQGYGLTETTSAIIITPEGDDKPGASGKIVPLFRAKVVDLDTQKTLGPNRRGEICVKGPMLMKGYVDDPVATSQIIDKDGWLHTGDIGYFDEDKHFFIVDRLKSLIKYKGYQVPPAELESVLLQHPDIFDAGVAGLPDPLAGELPGAVVVLEKGRHMTEQQVMDYVAGQVSNAKRLRGGVRFVDEVPKGLTGKIDSKAIREILKSPKAKM*(配列番号1)。
塩基配列:
ATGAATAATATGGATGACGGTGAACACATCGTGGTTGGGCCTCAACCATTTTACCCGGTTGAAGAAGGGTCCGCTGGCACGCAGCTGCTCAAGTACCTGAAGCAATATTCCAAACTTGGAGCGATTGCCTTTTCCAATGCTCATACTAAGGTGGACATCAGCTATGCAGAGTACTTGGACACCAGCGTTCGGTTGGCTCAGGCCCTGATCAACTACGGAATCCCTATTGATGGGCGGATAGCCCTGTGCTCAGAGAACTGTGAGGAGTTTTATTTTCCAGTCCTCGCTGGATTGTACATTGGTGCTGGGGTGGCTCCAACTAACGAAATCTACACACTCAGGGAGCTGGTGCACTCTCTGGGGATAAGTAAACCCACTATTGTGTTCTCCTCCAAAAAGGGACTGGAGAAGGTTATCACCGTTCAAAAGACAGTGACCTGCATCAAAACCATCGTGATCCTCGATAGCAAGGTCGATTATCAAGGTTACGACTGCTTGGAAACCTTTATAAAAAAATACCTGCCTGCCGGATTCAGCGTGGAGAACTTTATTCCGAGAGAGGTAAACAGGAAAGAACAGGTCGCACTGGTCATGAACAGCTCAGGTAGCACTGGGCTGCCGAAAGGCGTCCAAATTACTCATGAGGGCGCGGTCACGAGATTCTCACATGCTCGCGATCCTATCTATGGCAACCAGGTTTCACCAGGCACCGCTATTCTGACAATTGTCCCATTCCATCACGGCTTTGGGATGTTTACCAACCTGGGCTATCTGACCTGCGGATACCGCATCGTCATGTTGACAAAGTTCGATGAAGAACTGTTTCTCAAAACGCTGGCCGATTATAAGTGTACTTCTGTGATCCTGGTGCCAACCCTGTTTGCCATTCTTAGCAAATCCGTGTTGCTGGAGAAGTATGACCTTTCCAACCTTGTTGAAATCGCCAGCGGTGGGGCCCCTCTGGCCAAGGAAGTTGGCGAGGCCGTGGCACGAAGGTTTAACCTGCCAGGGATTCGCCAGGGGTATGGGCTGACCGAAACAACAAGTGCCATAATCATTACTCCCGAAGGGGACGATAAACCCGGAGCCTCAGGAAAGATCGTGCCTCTGTTCAGAGCGAAGGTGGTTGATCTGGACACTCAGAAGACTCTTGGACCTAATAGAAGGGGCGAGATCTGCGTGAAAGGACCCATGTTGATGAAGGGCTATGTCGATGATCCAGTCGCCACAAGTCAAATTATCGACAAGGACGGCTGGCTGCATACAGGGGATATAGGATATTTCGATGAGGATAAGCACTTCTTCATCGTCGACCGACTCAAGTCCCTGATTAAATACAAGGGATACCAGGTCCCACCTGCGGAACTCGAAAGCGTCCTCCTCCAGCATCCGGACATCTTTGATGCAGGTGTGGCCGGGCTTCCAGATCCATTGGCAGGCGAACTCCCAGGTGCCGTCGTTGTTTTGGAGAAAGGCCGACACATGACCGAACAGCAGGTCATGGACTACGTCGCAGGTCAAGTCAGCAATGCGAAGAGGCTTCGAGGCGGCGTGAGATTCGTGGATGAGGTGCCGAAGGGACTGACCGGCAAGATCGACAGTAAGGCCATACGCGAAATCCTGAAAAGCCCAAAAGCCAAGATGTAG(配列番号2)。
また、Emerald Lucのアミノ酸配列(配列番号3)および塩基配列(配列番号4)は、それぞれ以下の通りである。
アミノ酸配列:
MEREKNVVYGPEPKHPLGNFTAGEMLYNALHKHSHIPQAILDVMGNESLSYQEFFDTTVKLGQSLQNCGYKMNDVVSICAENNKRFFIPIISAWYIGMVVAPVNEDYIPDELCKVTGISKPILVFTTRKILPKVLEVKDRTNYIKRIIILDSEENLLGCESLHNFMSRYSDNNLQTFKPLHYDPVDQVAAILCSSGTTGLPKGVMQTHRNICVRLTHASDPRVGTQLIPGVSVLAYLPFFHAFGFSINLGYFMVGLRVVMLRRFNQEVFLKAIQDYEVRSVINVPSTILFLSKSPLVDKYDLSTLAELCCGAAPLAKEVAEIAVKRLNLPGIRCGYGLTESTSANIHTLHNEFKSGSLGKVTPYMAAKIIDRNTGEALGPNQVGELCIWGPMVTKGYVNNPQATKEAIDDDGWLHSGDFGYYDEDEYFYIVDRYKELIKYKGYQVAPVELEEILLQHPGIRDVAVVGIPDIEAGELPAGFVVKQPGAQLTAKEVYDFLAQRVSHSKYLRGGVRFVDSIPRNVTGKISRKELREALMEKASKL*(配列番号3)。
塩基配列:
ATGGAGAGAGAGAAGAACGTGGTGTACGGCCCCGAGCCCAAGCACCCTCTGGGCAACTTCACCGCCGGCGAGATGCTGTACAACGCTCTGCACAAGCACTCCCACATCCCCCAGGCCATCCTGGACGTGATGGGCAACGAGTCCCTTTCCTACCAGGAGTTCTTCGACACTACTGTGAAGCTGGGCCAGAGCCTCCAGAACTGTGGCTACAAGATGAACGATGTCGTGTCGATCTGTGCAGAGAACAACAAGAGATTCTTCATCCCCATCATCTCCGCCTGGTACATCGGCATGGTGGTGGCCCCTGTGAACGAGGACTATATCCCAGACGAGCTGTGTAAAGTGACCGGCATCTCCAAGCCGATCCTGGTCTTCACCACTAGGAAGATCCTGCCTAAGGTTTTGGAGGTTAAAGACAGAACCAACTACATAAAGAGGATCATCATACTGGACTCTGAAGAGAACCTGCTGGGCTGCGAGAGCCTGCACAACTTCATGTCCAGGTACTCCGACAACAACCTCCAAACATTCAAGCCTCTGCACTACGACCCTGTGGACCAGGTAGCCGCCATCCTGTGCTCCTCCGGCACAACCGGCCTGCCTAAAGGCGTGATGCAGACCCACAGGAACATCTGTGTGAGACTCACACACGCATCTGACCCCAGAGTGGGTACACAACTCATCCCCGGCGTATCCGTGCTGGCCTACCTGCCATTCTTCCACGCCTTCGGCTTCAGTATCAACCTGGGCTATTTCATGGTGGGCCTGAGAGTGGTGATGCTCCGAAGGTTTAACCAGGAGGTGTTCCTGAAGGCCATCCAGGACTACGAGGTGAGGAGCGTGATCAACGTTCCCTCCACAATCCTGTTCCTGTCCAAGAGCCCTCTGGTGGACAAGTACGACCTATCCACCCTGGCGGAGCTGTGCTGTGGAGCCGCTCCTCTGGCGAAGGAGGTGGCCGAGATCGCCGTGAAGAGGCTGAACCTGCCAGGGATACGGTGTGGCTACGGTCTAACAGAGTCTACCTCCGCCAACATCCATACTCTGCACAACGAGTTCAAGTCCGGCTCCCTGGGCAAGGTGACACCTTACATGGCCGCCAAGATCATCGACAGGAACACCGGCGAGGCCCTGGGTCCAAACCAGGTGGGCGAGCTGTGCATCTGGGGACCTATGGTAACAAAAGGCTATGTGAACAACCCACAGGCTACTAAGGAGGCCATCGACGACGACGGCTGGCTGCACTCTGGCGACTTCGGCTACTACGACGAGGACGAGTATTTCTACATCGTGGACCGGTACAAGGAGCTGATCAAATACAAGGGCTATCAGGTCGCCCCTGTGGAGCTGGAGGAGATCCTCCTTCAGCACCCAGGCATCAGGGACGTGGCCGTCGTGGGTATCCCTGACATCGAGGCCGGCGAGCTGCCAGCCGGCTTCGTGGTGAAGCAGCCCGGCGCCCAACTCACCGCTAAGGAGGTGTACGACTTCCTGGCCCAGAGGGTGTCTCACTCCAAGTACCTGAGGGGCGGCGTAAGGTTCGTGGACTCTATCCCCAGGAACGTGACAGGCAAGATTAGTCGAAAAGAGCTGAGGGAGGCCCTGATGGAGAAGGCTTCTAAGCTGTAA(配列番号4)。
[タンパク質の精製]
JM109(DE3)を含む大腸菌溶液50μlに対して、Luciola SP1ルシフェラーゼ用発現ベクターおよびEmerald Luc用発現ベクターをそれぞれ0.5μlずつ添加した後、氷上で10分、その後42℃で1分、最後に氷上で2分ずつインキュベートした。その後、その大腸菌溶液50μlをSOC培地200μlに加えた。その大腸菌/SOC培地混合溶液を37℃で20分間振とうしながらインキュベートした。インキュベート後のサンプル100μlをLB培地プレート(100μg/mlのAmpicillinを含む)にストリークし、37℃で一晩インキュベートした。翌日得られたコロニーをピックアップし、500mlスケールのLB培地で培養した。培養は37℃で24時間、18℃で24時間行った。
合計48時間の培養の後、遠心分離で菌体を回収し、0.1M Tris−HCl溶液(pH8.0)に再度懸濁して超音波破砕した。菌体破砕液を遠心分離(15000rpm、10分)し、沈査を除去して上清を回収した。
ベッドボリューム2mlのカラムにNi−Agar懸濁液500μlと0.1M Tris−HCl2mlを加え、カラムを平衡化した。回収した上清をカラムに添加し、自然落下させた。上清の全量がカラムを通過するまでの間の操作は全て4℃の条件で行った。25mMイミダゾール/0.1M Tris−HCl溶液2mlでカラムを洗浄した。洗浄後のカラムに500mMイミダゾール/0.1M Tris−HCl溶液を2ml加え、ルシフェラーゼを溶出した。溶出されたサンプルをゲルろ過カラムPD−10(GEヘルスケア)でろ過し、脱塩した。脱塩後のサンプルをVivaspin6(ザルトリウス)で限界ろ過し、濃縮されたサンプルにグリセリンを添加して、50%グリセリン溶液とした。保存は−20℃で行った。
[発光スペクトルの測定]
測定のための装置としてLumiFlSpectroCapture(ATTO)を用い、0.1Mクエン酸/0.1M NaHPO buffer(pH8.0)に1mM D−ルシフェリン、2mM ATPおよび4mM MgClを含む溶液に、精製で得られたLuciola SP1ルシフェラーゼおよびEmerald Lucを1μg/mlの最終濃度で添加し、酵素添加後15秒経過時点で発光スペクトルを測定した。Emerald Lucの発光スペクトルについては図1に、Luciola SP1ルシフェラーゼの発光スペクトルについては図2に示す。測定の結果、Emerald Lucの発光極大波長は545nmであり、Luciola SP1ルシフェラーゼの発光極大波長は586nmであることがわかった。
[速度論的解析]
・D−ルシフェリンおよびATPの濃度の決定
上記2種のルシフェラーゼの速度論的解析に先立ち、使用するD−ルシフェリン溶液およびATP溶液における、D−ルシフェリン濃度およびATP濃度をそれぞれ以下の通りに決定した。
UV−Visible Spectrometer(Hitachi)を用いて、D−ルシフェリン溶液およびATP溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定し、この測定結果と以下のε値とから濃度を算出した。
D−ルシフェリン:λmax 328nm、ε18200、pH5.0
ATP:λmax 259nm、ε15400、pH7.0。
測定はそれぞれ10回ずつ行い、吸光度の平均値を濃度算出に用いた。このように濃度を決定したD−ルシフェリン溶液およびATP溶液を用いて、以下のKm値算出を行った。
・ATPに対するKm値の測定
様々なATP濃度の環境下において、2種のルシフェラーゼによる発光の強度を測定した。測定結果に基づいて、ATPに対する各ルシフェラーゼのKm値を決定した。
ATPを0.1M Tris−HCl(pH8.0)に添加して、それぞれ5、10、20、40、80、160、320、480、640、800、1280、1600および1920μMの濃度でATPを含む、12種類のATP溶液を作製した。これらのATP溶液をそれぞれ96穴マイクロプレートに50μlずつ分注した。各種精製ルシフェラーゼ、1mM D−ルシフェリンおよび8mM MgSOを含む0.1M Tris−HCl(pH8.0)溶液をLuminescensor(ATTO)の標準ポンプに接続し、この溶液をウェルに50μlずつ添加すると同時にフォトンカウント測定を行った。測定は室温で行い、各ATP濃度について3回ずつ実施した。得られたフォトンカウント値のピーク強度を初速度Vとして、ATP濃度Sに対してプロットした。このプロットにミカエリス・メンテン型のカーブフィッティングを行い、Km値を算出した。カーブフィッティングは非線形の最小二乗法で行い、パラメータの探索にはニュートン法を用いた。
このようにして決定されたLuciola SP1ルシフェラーゼおよびEmerald LucのATPに対するKm値を以下の表2に示す。
Figure 2015223107
表2に示されるように、Luciola SP1ルシフェラーゼおよびEmerald LucのATPに対するKm値の差は13μMであり、非常に近い値を持っていると言える。
次にATPに対するKm値が近しいこれら2種類のルシフェラーゼを用いて、HeLa細胞における薬剤刺激後の発光強度変化を経時的に測定した。
<HeLa細胞への薬剤刺激後の発光強度変化の計測>
コドンを哺乳細胞用に最適化したLuciola SP1ルシフェラーゼ遺伝子をpcDNA3.1ベクター(Invitorogen)のマルチクローニングサイトのBamHI−EcoRIサイト間に挿入し、CMVプロモーターの制御下でLuciola SP1ルシフェラーゼ遺伝子を発現するプラスミド(CMV::Luci5ベクター)を作製した。
さらに、NFκB結合配列の下流にEmerald Luc遺伝子を結合し、NFκBの活性化に伴いEmerald Luc遺伝子が発現するNFκBレポータープラスミド(NFkB::Elucベクター)を作製した。
これらのプラスミドを、35mmプラスチックディッシュに播種したHeLa細胞にリポフェクション法で遺伝子導入し、NFkB::ElucベクターおよびCMV::Luci5ベクターの両方を含むHeLa細胞を作製した。
24時間後、10%FBSを含むD−MEM培地を、10%FBSを含むCO2 Independent Medium(Invitrogen)に交換した。測定直前にD−luciferinを最終濃度1mMで添加した。さらに、細胞を3つに分け、それぞれを以下の条件においた。
サンプル1:10ng/mlのTNF−αを添加した。
サンプル2:4μMのスタウロスポリンを添加した。
サンプル3:薬剤を添加しなかった。
TNF−αはNFκBを活性化させることが知られている。また、スタウロスポリンはHeLa細胞にアポトーシスを誘導し、HeLa細胞内のATP量を約30分で上昇させることが知られている(参考文献Zamaraeva MV, et al. Cell Death and Differentiation 2005;12: 1390-97)。
これらの薬剤を添加した後、培養細胞用ルミノメーターKronos(ATTO)を用いて発光強度を経時的に測定した。上記の通り、Emerald LucおよびLuciola SP1ルシフェラーゼのそれぞれの発光極大波長は545nmおよび586nmであるため、F0(フィルターなし)、F1(560nmロングパスフィルター)およびF2(610nmロングパスフィルター)のフィルターをそれぞれ用いた3種類の測定を各サンプルについて経時的に実施した。発光色の各成分の分離は機器の取り扱い説明書に記載の方法で実施した。
測定結果を図4から6に示す。
図4は、サンプル1の結果、すなわちTNF−α刺激後の発光強度の経時変化を示すグラフである。図4に示されるように、TNF−α刺激後、Emerald Lucの発光強度が大きく上昇したのに対して、Luciola SP1ルシフェラーゼの発光強度はほぼ一定のまま上昇しないことがわかる。
図4において、30分経過時点におけるEmerald Lucの発光強度の変化率を算出すると、6795321(30分経過時点の発光強度)/5424682(0時間における発光強度)=1.25倍であった。また、30分経過時点におけるLuciola SP1ルシフェラーゼの発光強度の変化率を算出すると、3202377(30分経過時点の発光強度)/3181485(0時間における発光強度)=1.01倍であった。変化率のずれは、1.25−1.01=0.24ポイントとなり、変化率の値の大きい1.25倍を基準とすると、0.24/1.25×100=19.2%のずれとなった。
図5は、サンプル2の結果、すなわちスタウロスポリン刺激後の発光強度の経時変化を示すグラフである。図5に示されるように、スタウロスポリン刺激後、Luciola SP1ルシフェラーゼの発光強度が上昇し、Emerald Lucでは、全体的な発光強度は低いものの、同じタイミングで上昇したことがわかる。
図5において、30分経過時点におけるEmerald Lucの発光強度の変化率を算出すると、35140(30分経過時点の発光強度)/15537(0時間における発光強度)=2.26倍であった。また、30分経過時点におけるLuciola SP1ルシフェラーゼの発光強度の変化率を算出すると、491637(30分経過時点の発光強度)/222298(0時間における発光強度)=2.21倍であった。変化率のずれは、2.26−2.21=0.05ポイントとなり、変化率の値の大きい2.26倍を基準とすると、0.05/2.26×100=2.21%のずれとなった。
図6は、サンプル3の結果、すなわち薬剤による刺激を与えない場合の発光強度の経時変化を示すグラフである。刺激がない場合、2種のルシフェラーゼの発光強度の変動に、関連性が見られないことがわかる。
上記の通り、スタウロスポリンによってアポトーシスが誘導された場合、HeLa細胞内のATP量は約30分で上昇することが知られており、サンプル2において、2種のルシフェラーゼの発光強度の変化率がほぼ等しくなったのは、K値のほぼ等しいこれらのルシフェラーゼがHeLa細胞内のATP量の上昇に応じて、その発光強度を増大させたためだと考えられる。サンプル2の結果は、細胞内のATP量の上昇を正確に反映していることがわかる。
一方、サンプル1において、発光強度の変化率のずれが大きくなったことから、サンプル2のような細胞内ATP量の増大があったとは予想されず、NFκBのプロモーターの活性の増大により、発光強度が増大したと結論できる。サンプル1の結果は、TNF−α刺激によるNFκBのプロモーターの活性化を正確に反映していることがわかる。
以上より、ATPに対するK値の等しい2種類のルシフェラーゼを使用して、その発光強度の変化率を測定することによって、プロモーター活性の変動による発光強度の変化とATP濃度の変動による発光強度の変化とを区別することが可能であることが実証された。

Claims (5)

  1. プロモーターと、前記プロモーターの下流に位置し前記プロモーターによって発現が誘導されるルシフェラーゼ遺伝子とから成る組み合わせを2種以上有する細胞を用意する工程であって、前記プロモーターの少なくとも1種は測定対象とするプロモーターであり、前記プロモーターの少なくとも1種は基準とするプロモーターであり、前記ルシフェラーゼ遺伝子から生じるルシフェラーゼタンパク質に起因する発光の最大発光波長の各々は、互いに区別可能であり、前記ルシフェラーゼタンパク質のATPに対するK値の各々は、最も高いK値から20%以内の範囲に含まれる工程と、
    前記発光の各々の発光強度を経時的に測定する工程と、
    前記ルシフェラーゼタンパク質の各々について、任意の単位時間における発光強度の変化率を算出し、さらに、前記測定対象とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質の変化率と、前記基準とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質の変化率とのずれを算出し、前記ずれが所定の値以上である場合に、前記測定対象とするプロモーターに対応するルシフェラーゼタンパク質により誘導される発光強度の変化を、前記測定対象とするプロモーターの活性の変化として採用する工程と
    を含むプロモーターアッセイ。
  2. 前記ルシフェラーゼタンパク質のATPに対するK値の各々は、最も高いK値から10%以内の範囲に含まれる請求項1に記載のプロモーターアッセイ。
  3. 前記ルシフェラーゼタンパク質のATPに対するK値の各々は、最も高いK値から7%以内の範囲に含まれる請求項1に記載のプロモーターアッセイ。
  4. 前記発光の最大発光波長の各々は、互いに少なくとも20nm異なる請求項1から3の何れか1項に記載のプロモーターアッセイ。
  5. 前記ずれの所定の値は5%である請求項1から3の何れか1項に記載のプロモーターアッセイ。
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