JP2015218745A - 電磁弁 - Google Patents

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松本 道雄
Michio Matsumoto
道雄 松本
仙道 功
Isao Sendo
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Abstract

【課題】ダイヤフラム等の圧力応動体を駆動要素として有する電磁弁において、その省電力を簡易な構成にて実現する。
【解決手段】電磁弁1は、弁孔14を有するボディ5と、弁孔14に接離して弁部を開閉する弁体24と、固定鉄心46と可動鉄心48とを同軸状に有し、可動鉄心48に作動連結部64が設けられたソレノイド3と、ボディ5とソレノイド3とに囲まれる空間を、弁体24が配置される弁室18と可動鉄心48が配置される作動室54とに仕切り、弁室18と作動室54との差圧に応じて軸線方向に変位可能なダイヤフラム22と、を備える。ダイヤフラム22は、高分子樹脂材料からなるフィルムを成形して得られ、軸線方向への変位を許容するための波状部分23を有する。作動連結部64と弁体24とが、ダイヤフラム22を貫通することなく挟むようにして軸線方向に作動連結される。
【選択図】図1

Description

本発明は流体の流れを制御する電磁弁に関する。
従来、種々の用途に電磁弁が採用されている。例えば特許文献1には、燃料電池システムに用いられ、酸素および水素ガスの流量を調整可能な電磁弁が開示されている。この電磁弁は、ソレノイドと連結される駆動部と弁体との間に弾性材料からなるダイヤフラムを介装して構成される。このダイヤフラムにより、ソレノイドが配置される空間と弁体が配置される空間との間のシール性を確保することができる。また、そのダイヤフラムに開弁方向の圧力を受圧させることで弁体に作用する閉弁方向の圧力の一部が相殺されるため、弁体の駆動に要するソレノイドの吸引力を小さく抑えることができ、省電力を図ることが可能となる。
特開2014−66340号公報
しかしながら、特許文献1に記載の電磁弁は、弁体と駆動部との接合のために、ダイヤフラムの中央に孔を設け、弁体から延びる軸部を貫通させて可動鉄心に固定するなど、構造が複雑化する点で改善の余地があった。
本発明の目的は、ダイヤフラム等の圧力応動体を駆動要素として有する電磁弁において、その省電力を簡易な構成にて実現することにある。
本発明のある態様は、常閉型の電磁弁である。この電磁弁は、流体を導入するための導入ポートと、流体を導出するための導出ポートと、導入ポートと導出ポートとをつなぐ内部通路に設けられた弁孔と、を有するボディと、弁孔に接離して弁部を開閉する弁体と、固定鉄心と可動鉄心とを同軸状に有し、固定鉄心がボディに対して固定され、可動鉄心には弁体に向けて延在する作動連結部が設けられたソレノイドと、ボディとソレノイドとに囲まれる空間を、弁体が配置される弁室と可動鉄心が配置される作動室とに仕切り、弁室と作動室との差圧に応じて軸線方向に変位可能な圧力応動体と、を備える。圧力応動体は、高分子樹脂材料からなるフィルムを成形して得られ、軸線方向への変位を許容するための波状部分を有する。作動連結部と弁体とが、圧力応動体を貫通することなく挟むようにして軸線方向に作動連結される。
この態様によると、導入ポートから導入された流体の圧力を、圧力応動体が開弁方向に受圧する。このため、開弁に要するソレノイドの吸引力を小さく抑えることができる。その結果、当該電磁弁における省電力を図ることができる。一方、作動連結部と弁体とが、圧力応動体を貫通することなく挟むように配置されるため、圧力応動体に孔を設ける必要もなく、簡易な構成にてそれらの作動連結を実現することができる。
本発明によれば、ダイヤフラム等の圧力応動体を駆動要素として有する電磁弁において、その省電力を簡易な構成にて実現することができる。
第1実施形態に係る電磁弁の具体的構成を表す断面図である。 ダイヤフラムおよびその周辺の構成を表す図である。 剥離板の構成を表す図である。 電磁弁の動作を表す図であり、ソレノイドへ通電がなされたときの状態を示す図である。 第2実施形態に係る電磁弁の構成を表す断面図である。 ダイヤフラムおよびその周辺の構成を表す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。
[第1実施形態]
本実施形態は、本発明の電磁弁を燃料電池車に搭載する制御弁として具体化したものである。この電磁弁は、反応ガスの供給源と燃料電池とをつなぐ反応ガス供給経路に設置される。そして、ソレノイドへの通電状態に応じて開閉され、燃料電池への反応ガスの供給量を調整する。
図1は、第1実施形態に係る電磁弁の具体的構成を表す断面図である。電磁弁1は、弁本体2とソレノイド3とを組み付けて構成される常閉型の弁(非通電時に閉弁状態となる弁)である。弁本体2は、ブロック状のボディ5を有し、そのボディ5の上端開口部を封止するようにソレノイド3が組み付けられている。
ボディ5の一側面には、上流側(供給源側)から反応ガス(水素ガス)を導入するための導入ポート10が設けられ、その反対側面には、下流側(燃料電池側)へ反応ガスを導出する導出ポート12が設けられている。導入ポート10と導出ポート12とをつなぐ内部通路の中途には弁孔14が設けられている。
ボディ5の上半部中央にはソレノイド3を取り付けるための取付孔16が設けられ、上方に開口している。取付孔16と弁孔14との間には弁室18が画成されている。取付孔16と弁室18とは、仕切板20およびダイヤフラム22により上下に仕切られている。弁室18には、弁孔14と対向するように弁体24が配設されている。
弁室18の底部中央には円ボス部26が隆起し、その円ボス部26を貫通するように弁孔14が形成されている。弁孔14は、ソレノイド3の軸線に沿って設けられ、連通路28を介して導出ポート12と連通している。円ボス部26の上端面には弁座30が形成されている。弁体24が弁座30に着脱することにより弁部が開閉される。弁体24の上端面は、ダイヤフラム22の下面中央に当接している。弁体24とボディ5との間には、弁体24を開弁方向に付勢するスプリング32(「第2スプリング」として機能する)が介装されている。また、導入ポート10と弁室18とを連通させる連通路34が形成されている。
ダイヤフラム22は、取付孔16の底部を覆うように配置され、上方から取付孔16に挿入された仕切板20により押さえられるようにして支持されている。取付孔16の底部とダイヤフラム22との間には、シール用のOリング36が介装されている。仕切板20およびダイヤフラム22は、ソレノイド3の軸線に対して直角方向に延在している。仕切板20の中央には挿通孔38が設けられ、ダイヤフラム22の中央部を上方に露出させている。ダイヤフラム22の中央部には、その軸線方向への変位を許容するための波状部分23が設けられている。
図2は、ダイヤフラム22およびその周辺の構成を表す図である。(A)はダイヤフラム22の平面図であり、(B)は(A)のB−B矢視断面図である。(C)は図1のA部拡大図である。図2(A)および(B)に示すように、ダイヤフラム22は、高分子樹脂材料からなる円形のフィルムに熱成形が施されることにより、その中央部に平面視環状で断面視波状の波状部分23が形成されている。この熱成形には、波状部分23を形成するための凹凸形状を有する金型とプレス機が用いられ、樹脂フィルムを加熱して軟化させつつ加圧するプレス成形により行われる。なお、高分子樹脂材料としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を採用することができる。ダイヤフラム22は、ゴムのような弾性を有しないが、中央部が波状部分23の変形により軸線方向にしなやかに変位することができる。
図2(C)にも示すように、ダイヤフラム22における波状部分23の基端部は、仕切板20の内周端縁および作動連結部64の先端縁に倣うR形状とされている。波状部分23の内方は、作動連結部64の先端部を受け入れる接続領域25とされている。ダイヤフラム22は、仕切板20の挿通孔38に対応する中央領域において軸線方向(弁部の開閉方向)に変位することができ、波状部分23の変形によりその中央領域の変位が吸収される。ダイヤフラム22は、弁室18と作動室54との差圧に応じて軸線方向に変位する。
作動連結部64と弁体24とがダイヤフラム22に対して互いに反対側から当接するようにして作動連結し、スプリング67(図1参照)の付勢力とスプリング32の付勢力とによりその作動連結状態が維持される。作動連結部64および弁体24は、それぞれダイヤフラム22に対して着脱可能に当接しているのみである。すなわち、作動連結部64と弁体24とは、ダイヤフラム22を間に挟んだ状態で上下のスプリングにより押しつけられる態様で組み付けられているに過ぎない。このため、仮に可動鉄心48の倒れにより作動連結部64と弁孔14との軸がずれたとしても、弁体24は、作動連結部64とは独立して弁座30に着座することができる。その結果、閉弁状態において弁体24の傾きによる流体の漏れを防止又は抑制することができる。
図1に戻り、ソレノイド3は、円筒状のボビン40と、ボビン40に巻回された電磁コイル42と、電磁コイル42を取り囲むヨーク44と、ボビン40の上半部に同軸状に固定された固定鉄心46と、ボビン40の内方にて固定鉄心46と軸線方向に対向配置される可動鉄心48とを含む。可動鉄心48は、ボビン40の下半部に挿通されている。
ヨーク44は、ボビン40を下方から支持する第1ヨーク50と、ソレノイド3の構成部品を上方から囲う第2ヨーク52とを組み付けて構成される。第1ヨーク50は有底円筒状をなし、その開口端を下にして取付孔16に嵌合されている。第1ヨーク50およびボビン40とダイヤフラム22との間には作動室54が形成されている。すなわち、弁室18と作動室54とが、ダイヤフラム22によって仕切られている。ボビン40は、第1ヨーク50の上面に設けられた嵌合溝に下端部が嵌合するようにして固定されている。
第2ヨーク52は、板状の磁性体を凸状に曲げ成形して得られたものであり、その両端部がそれぞれボディ5の上面にボルト56を介して固定されている。これにより、第2ヨーク52の下面が第1ヨーク50の上面を押さえる形となり、第1ヨーク50の脱落が防止されている。また、第2ヨーク52が上方から固定鉄心46の上面を押さえる形となり、ソレノイド3の構成部品の脱落が防止されている。
固定鉄心46は円筒状をなし、ボビン40の上半部に上方から挿入されている。固定鉄心46の上端には半径方向外向きに突出するフランジ部58が設けられ、そのフランジ部58が第2ヨーク52と当接している。固定鉄心46の下端部は、内径が下方に向かって拡径する段付形状とされている。
一方、可動鉄心48は、ボビン40の下半部に挿通される第1鉄心60(「第1鉄心部」として機能する)と、ボビン40の下方に配置される第2鉄心62(「第2鉄心部」として機能する)とを同心状に組み付けて構成される。第1鉄心60は段付円筒状をなし、その上端開口部が固定鉄心46の下端部と相補形状の段付形状とされている。第1鉄心60の下端部中央から下方に向けて長尺状の作動連結部64が設けられている。
この作動連結部64がダイヤフラム22を介して弁体24と連結されることにより、可動鉄心48と弁体24とが一体動作可能とされている。その場合、ダイヤフラム22は、作動連結部64の下端面と弁体24の上端面との間に挟持されつつ変位する。作動連結部64の外周面には、ナット65を螺合させるための雄ねじ部66が設けられている。第1鉄心60と固定鉄心46との間には、可動鉄心48を固定鉄心46から離間する方向に付勢するスプリング67(「第1スプリング」として機能する)が介装されている。
第2鉄心62は円板状をなし、その中央に挿通孔68が設けられている。第2鉄心62は、図示のように作動連結部64を挿通孔68に挿通させるようにして第1鉄心60に組み付けられ、下方からナット65を締結することにより固定される。第2鉄心62と第2ヨーク52との間には、剥離板70が介装されている。
図3は、剥離板70の構成を表す図である。(A)は正面図を示し、(B)は平面図を示している。剥離板70は、非磁性の金属板をプレス成形により図示の形状に打ち抜き、ばね性をもたせることにより得られる板ばねである。剥離板70は、中央に挿通孔74を有する円板状の本体72と、本体72の外周の3箇所からそれぞれ延設された脚部76を有する。この3つの脚部76は、本体72の外周縁部から周方向(一方向)に延在し、それらの外接円が挿通孔74と同心円となるようにされている。また、3つの脚部76を本体72に対して片側(上方)に延在させることで、ばね性がもたせられている。
図1に戻り、この剥離板70は、作動連結部64を挿通孔74に挿通させるようにして第1鉄心60に組み付けられる。そして、剥離板70の内周縁部が第1鉄心60と第2鉄心62との間に挟まれるようにして固定される。一方、剥離板70の外周縁部は、第2ヨーク52の底部周縁(角隅部)に係止されるようにして支持されている。このような構成により、剥離板70は、ボビン40の外側にて可動鉄心48の軸線方向の動作をガイドする調心機構として機能することができる。剥離板70は、可動鉄心48に対して固定鉄心46から離間する方向の付勢力を作用させる。
なお、本実施形態では、剥離板70を調心機構として機能させるため、可動鉄心48を摺動可能に支持するスリーブは設けられていない。このため、可動鉄心48には摺動抵抗が作用せず、磁気吸引力のロスが抑制される。また、摺動による摩耗粉が発生することがないといったメリットも得られる。
可動鉄心48とボビン40との間には、比較的大きな隙間が形成される。また、固定鉄心46を軸線方向に貫通する貫通孔80が設けられ、第2ヨーク52の上部中央にも貫通孔82が設けられている。これらの貫通孔および隙間を介して作動室54に大気が導入されている。すなわち、作動室54には基準圧力として大気圧が満たされている。
本実施形態では、図2(C)に示したように、弁体24の弁部における有効受圧面積A(シール部の面積)よりも、ダイヤフラム22の有効受圧面積Bを大きく設定している(B>A)。それにより、弁部の上流側圧力P1がダイヤフラム22に対して開弁方向に比較的大きく作用するようにし、開弁に要するソレノイド3の吸引力を小さく抑えられるようにしている。ただし、常閉弁としての機能を確保するために、ソレノイド3の非通電時には基本的に弁部が開弁しないようにする必要がある。一方、本実施形態では、所定値以上の逆圧が作用したときには弁部を開放するという要求にも対応できるようにする。このような仕様および要求を満たすために、有効受圧面積A,Bが適切に設定されている。
すなわち、上流側圧力P1として電磁弁1の使用上想定される最大圧力として予め設定された正圧をP1max、弁部の下流側圧力P2として電磁弁1の使用上想定される最大圧力として設定された逆圧をP2maxとした場合に、下記式(1)の関係が成立する。なお、説明の便宜上、圧力P1,P2はゲージ圧とする。正圧は上流側圧力P1が下流側圧力P2以上となる圧力状態を示し(P1≧P2)、逆圧は上流側圧力P1が下流側圧力P2よりも低くなる圧力状態を示す(P1<P2)。また、P2maxは、逆圧が作用する場合の開弁圧に等しい。閉弁時における弁部の低圧側は大気圧であると仮定する。
P2max/P1max≧(B−A)/A ・・・(1)
これは以下の考えによる。すなわち、閉弁方向に作用するスプリング67の荷重をF1、開弁方向に作用するスプリング32の荷重をF2とすると、ソレノイド3の非通電時に閉弁状態を維持するためには、下記式(2)が成立する必要がある。なお、閉弁時において剥離板70の付勢力が閉弁方向に作用する場合には、その剥離板70を荷重をF1に含めてよい。
F1≧F2+P1max(B−A) ・・・(2)
また、弁体24がダイヤフラム22から離脱しないために、下記式(3)が成立する必要がある。
F2≧P1max・A ・・・(3)
一方、閉弁時の逆圧による開弁圧をP2maxとすると、下記式(4)が成立する。 F1=F2+P2max・A ・・・(4)
ここで、閉弁時における弁部の上流側圧力P1と下流側圧力P2との差圧が、電磁弁1の使用上想定される最大差圧として予め設定された使用限界差圧に達したとしても、ソレノイド3の起動により開弁できるようにする必要がある。そこで、ここでは上記式(3)においてF2が最小値とされても開弁できるようF2=P1max・Aと仮定し、これを上記式(2)および(4)の代入する。そしてさらに、上記式(4)を上記式(2)に代入すると、下記式(5)が得られる。
P2max・A≧P1max(B−A) ・・・(5)
上記式(5)を整理すると、上記式(1)に一致する。
次に、電磁弁1の動作について説明する。図4は、電磁弁の動作を表す図であり、ソレノイド3へ通電がなされたときの状態を示す。既に説明した図1は、ソレノイド3の非通電状態を示す。電磁弁1への通電制御は、PWM制御(Pulse Width Modulation)によりなされる。このPWM制御は、図示しない制御部により実行される。この制御部は、指定したデューティ比のパルス信号を出力するPWM出力部を有するが、その構成自体には公知のものが採用されるため、詳細な説明を省略する。
図1に示すように、電磁弁1は、ソレノイド3がオフの状態(非通電状態)では、固定鉄心46と可動鉄心48との間に吸引力が作用しない。このため、スプリング67および剥離板70の付勢力により可動鉄心48が下方(閉弁方向)に付勢される。この付勢力が、作動連結部64およびダイヤフラム22を介して弁体24に伝達される。その結果、弁体24が弁座30に着座して弁部を閉じる。
一方、図4に示すように、ソレノイド3がオン(通電状態)にされると、固定鉄心46と可動鉄心48(第1鉄心60)との間に吸引力が作用する。また、可動鉄心48(第2鉄心62)と第1ヨーク50との間にも吸引力が作用する。このため、スプリング67および剥離板70の付勢力に抗して可動鉄心48が上方(開弁方向)に動作する。このとき、スプリング32の付勢力により弁体24が弁座30から離間して弁部を開く。これにより、導入ポート10から導入された反応ガスが弁部を通過し、導出ポート12から導出されるようになる。
このとき、図示のように、剥離板70が上下に押し縮められてその高さが板厚と同等になるが、固定鉄心46と可動鉄心48との隙間が維持される。このときの固定鉄心46と第1鉄心60との磁気ギャップは、第2鉄心62と第1ヨーク50との磁気ギャップよりも大きい。なお、剥離板70が非磁性であるため、このときの第2鉄心62と第1ヨーク50との磁気ギャップは剥離板70の厚みに等しい。すなわち、本実施形態では、固定鉄心46と可動鉄心48との磁気ギャップの最小値が、剥離板70の厚みよりも大きくなるように構成されている。
本実施形態では、磁気ギャップを形成する面積に関し、第2鉄心62と第1ヨーク50との対向面積を、第1鉄心60と固定鉄心46との対向面積よりも大きくしている。このため、第2鉄心62と第1ヨーク50との磁気ギャップを小さくするほうが磁気吸引力の向上につながる。そこで上述のように、第2鉄心62と第1ヨーク50との磁気ギャップを、固定鉄心46と第1鉄心60との磁気ギャップよりも小さくしている。
また、このようにして固定鉄心46と第1鉄心60との磁気ギャップを相対的に大きく確保することで、固定鉄心46と可動鉄心48との衝突が防止されている。なお、第2鉄心62が剥離板70を介在させる形で第1ヨーク50に突き当たることになるが、剥離板70が押し縮められるにつれて第2鉄心62に作用させる反力が大きくなるため、それらの間で大きな衝突音が発生することはない。
このような電磁弁1の開閉動作過程において、剥離板70により可動鉄心48が軸線に沿って安定にガイドされる。すなわち、剥離板70の外周縁が第2鉄心62の内周面にしっかりと支持されているため、剥離板70が押し縮められる変形過程でその軸線が変化することが防止又は抑制される。このため、可動鉄心48は、剥離板70の中央に支持される形で軸線に沿って安定にガイドされる。また、剥離板70が非磁性であるため、ソレノイド3をオンからオフにした際の残留磁気量を低減できるといったメリットも得られる。この剥離板70の板厚の選定により、弁部の全開時の余剰吸引力の大きさを調整することができる。
以上に説明したように、本実施形態では、導入ポート10から導入された流体の圧力を、ダイヤフラム22が開弁方向に受圧する。このため、開弁に要するソレノイド3の吸引力を小さく抑えることができ、省電力を図ることができる。一方、作動連結部64と弁体24とが、ダイヤフラム22を貫通することなく挟むように配置されるため、ダイヤフラム22に孔を設ける必要もなく、簡易な構成にてそれらの作動連結を実現することができる。また、ソレノイド3においては可動鉄心48に第2鉄心62を設けてボビン40の外側にてヨーク44と対向させたことにより、ソレノイド3への通電量に対する吸引力を大きくすることができる。この通電量と吸引力との関係を逆に利用することにより、定常時に必要な吸引力を確保しつつ、その保持電流の値を小さく抑える制御を行うことができる。それにより、省電力を促進することができる。
[第2実施形態]
本実施形態の電磁弁は、ダイヤフラムの中央部に作動連結部の先端部を嵌合させるガイド部が設けられる点で第1実施形態と相異する。以下では第1実施形態との相異点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付す等してその説明を省略する。図5は、第2実施形態に係る電磁弁の構成を表す断面図である。
本実施形態の電磁弁201は、弁本体202とソレノイド203とを組み付けて構成される。ダイヤフラム222の中央部には、作動連結部264の先端部を嵌合させるガイド部226が設けられている。このガイド部226が作動連結部264を支持することにより、その作動連結部264ひいては可動鉄心48が軸線方向にガイドされる。
図6は、ダイヤフラム222およびその周辺の構成を表す図である。(A)はダイヤフラム222の平面図であり、(B)は(A)のB−B矢視断面図である。(C)は図5のA部拡大図である。図6(A)および(B)に示すように、ダイヤフラム222における波状部分23の半径方向内側には、上方にやや隆起した環状のガイド部226が設けられている。ガイド部226は、ダイヤフラム222における残余の部分と比較して厚肉であり、剛性が高い。
図6(C)にも示すように、ガイド部226は断面凹形状を有する。一方、作動連結部264の先端部265は、ガイド部226と相補形状である断面凸形状を有する。ガイド部226は、作動連結部264の先端部265と嵌合し、その作動連結部264の先端部265を下方から支持しつつ軸線方向にガイドする。図示のように、ダイヤフラム222の波状部分23は、作動連結部264とは接触しない構成とされている。
実施形態においても導入ポート10から導入された流体の圧力を、ダイヤフラム222が開弁方向に受圧する。このため、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、ガイド部226により作動連結部264を軸線方向にガイドするようにしたため、可動鉄心48の倒れを防止又は抑制することができ、作動連結部264と弁体24とのダイヤフラム222を介した作動連結状態を安定に維持することが可能となる。その結果、第1実施形態にて示した剥離板70などの別途の調心機構が不要となる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
上記実施形態では、圧力応動体としてダイヤフラムを採用したが、ベローズを採用してもよい。作動連結部64および弁体24をダイヤフラム22に対して着脱可能に当接させ、スプリング32,67の付勢力によりそれらの作動連結状態を維持する構成を例示した。変形例においては、作動連結部64および弁体24の一方又は双方を、ダイヤフラム22に対して溶接や接着等の手段により固定してもよい。例えば弁体24をダイヤフラム22に対して固定することで、スプリング32を省略することが可能となる。その場合も、上記式(1)を満たすように設定すればよい。
上記実施形態では、圧力応動体としてダイヤフラムを採用したが、ベローズを採用してもよい。あるいは、ダイヤフラムのなかでも変位ストロークが大きいベロフラムを採用してもよい。その場合、高分子樹脂材料からなるフィルムを成形してベローズやベロフラムを得るようにしてもよい。
上記実施形態では、第1鉄心(第1鉄心部)と第2鉄心(第2鉄心部)とを別体にて作製し、それらを組み付けて可動鉄心を構成する例を示した。変形例においては、第1鉄心部と第2鉄心部とを一体成形することにより可動鉄心を構成してもよい。
上記第1実施形態では述べなかったが、剥離板70を省略してもよい。ただしその場合、可動鉄心48を軸線に沿ってガイド可能な他のガイド部材を設けるのが好ましい。
上記第1実施形態では述べなかったが、固定鉄心46と可動鉄心48との磁気ギャップの最小値が、剥離板70の厚みより小さくなるように構成してもよい。ただし、ソレノイド3への通電により固定鉄心46と第1鉄心60とが衝突しないように両者の磁気ギャップを設定するのが好ましい。
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
1 電磁弁、 2 弁本体、 3 ソレノイド、 5 ボディ、 10 導入ポート、 12 導出ポート、 14 弁孔、 18 弁室、 22 ダイヤフラム、 23 波状部分、 24 弁体、 30 弁座、 32 スプリング、 46 固定鉄心、 48 可動鉄心、 54 作動室、 64 作動連結部、 67 スプリング、 70 剥離板、 201 電磁弁、 202 弁本体、 203 ソレノイド、 222 ダイヤフラム、 226 ガイド部、 264 作動連結部。

Claims (6)

  1. 常閉型の電磁弁であって、
    流体を導入するための導入ポートと、流体を導出するための導出ポートと、前記導入ポートと前記導出ポートとをつなぐ内部通路に設けられた弁孔と、を有するボディと、
    前記弁孔に接離して弁部を開閉する弁体と、
    固定鉄心と可動鉄心とを同軸状に有し、前記固定鉄心が前記ボディに対して固定され、前記可動鉄心には前記弁体に向けて延在する作動連結部が設けられたソレノイドと、
    前記ボディと前記ソレノイドとに囲まれる空間を、前記弁体が配置される弁室と前記可動鉄心が配置される作動室とに仕切り、前記弁室と前記作動室との差圧に応じて軸線方向に変位可能な圧力応動体と、
    を備え、
    前記圧力応動体は、高分子樹脂材料からなるフィルムを成形して得られ、軸線方向への変位を許容するための波状部分を有し、
    前記作動連結部と前記弁体とが、前記圧力応動体を貫通することなく挟むようにして軸線方向に作動連結されることを特徴とする電磁弁。
  2. 前記可動鉄心に対して閉弁方向の付勢力を付与する第1スプリングと、
    前記弁体に対して開弁方向の付勢力を付与する第2スプリングと、
    を備え、
    閉弁時における前記弁部の上流側圧力と下流側圧力との差圧が、当該電磁弁の使用上想定される最大差圧として予め設定された使用限界差圧に達したとしても、前記ソレノイドの起動により開弁できるよう、前記第2スプリングの荷重が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁。
  3. 前記作動連結部と前記弁体とが前記圧力応動体に対して互いに反対側から当接するようにして作動連結し、前記第1スプリングの付勢力と前記第2スプリングの付勢力とによりその作動連結状態が維持されることを特徴とする請求項2に記載の電磁弁。
  4. 閉弁時における前記弁部の上流側圧力として当該電磁弁の使用上想定される最大圧力として予め設定された正圧をP1max、閉弁時における前記弁部の下流側圧力として当該電磁弁の使用上想定される最大圧力であり開弁圧として設定された逆圧をP2max、前記弁体の有効受圧面積をA、前記圧力応動体の有効受圧面積をBとした場合に、下記式(1)の関係が成立するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁弁。
    P2max/P1max≧(B−A)/A ・・・(1)
  5. 下記式(2)の関係が成立するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の電磁弁。
    B>A ・・・(2)
  6. 前記圧力応動体は、前記波状部分の半径方向内側に前記作動連結部の先端部を支持しつつ軸線方向にガイドするガイド部を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電磁弁。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021120580A (ja) * 2020-01-30 2021-08-19 株式会社不二工機 ばね及びこれを用いた弁装置

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