JP2015215950A - 有機発光素子及び光源装置 - Google Patents

有機発光素子及び光源装置 Download PDF

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正樹 松森
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広貴 佐久間
Hirotaka Sakuma
広貴 佐久間
譲 島崎
Yuzuru Shimazaki
譲 島崎
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Abstract

【課題】有機発光素子の信頼性と生産性の向上を実現する。【解決手段】有機発光素子を、基板と、前記基板上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された有機層と、前記有機層上に形成された上部電極と、前記上部電極の上に配置される封止基板と、前記基板と封止基板との間に形成される空間に充填される液体封止材とで構成する。ここで、前記有機層は有機発光膜および有機保護膜を含む少なくとも2層以上で形成され、前記有機保護膜は前記有機発光膜の全体を覆うように形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、有機発光素子と、有機発光素子を用いた光源装置に関する。
現在、有機発光素子(以下「有機EL素子」ともいう)は、ディスプレイや照明の光源として利用されている。有機EL(Electro-Luminescence)素子は、発光層を含む層状の構造体を基板上に形成した後、さらに構造体を取り囲むように封止基板を基板に張り合わせる構成を採用する。ところが、有機EL素子は水分に弱い。このため、封止基板と基板の貼り合わせの端部から侵入する水分等の影響を長期にわたり抑制できる技術が求められている。当該技術課題の解決を目的とする技術が特許文献1に記載されている。特許文献1の要約欄の「解決手段」には、「前記封止基板60の前記基板10に対向した表面に捕水剤層70を有し、前記基板10と前記封止基板60との空間に注入材80が充填されている」ことが記載されている。
特開2008−210788号公報
しかし、特許文献1に記載の技術によっても、時間の経過に伴い有機EL素子が点灯しなくなる現象が確認される。本発明は、以上の技術課題を考慮し、信頼性と生産性が一段と高い有機発光素子を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本明細書は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、基板と、前記基板上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された有機層と、前記有機層上に形成された上部電極と、前記上部電極の上に配置される封止基板と、前記基板と前記封止基板との間に形成される空間に充填される液体封止材とを有し、前記有機層は有機発光膜および有機保護膜を含む少なくとも2層以上で形成され、前記有機保護膜は、前記有機発光膜と前記液体封止材が接しないように、前記有機発光膜の全体を覆うように形成されている有機発光素子を特徴とする。
また、他の一例を挙げるならば、基板と、前記基板上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された有機層と、前記有機層上に形成された上部電極と、前記上部電極の上に配置される封止基板とを有し、前記上部電極と前記封止基板の距離が1μm以上50μm以下である有機発光素子を特徴とする。
本発明により、信頼性と生産性を高めた有機発光素子及び光源装置を実現できる。前述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
光源装置に実装した有機発光素子の断面構造例を示す図。 一実施形態に係る有機発光素子の断面構造例を示す図。 光源装置の分解構成例を示す斜視図。 別の実施形態に係る有機発光素子の断面構造例を示す図。
[発明の背景と概要]
有機発光素子は、ディスプレイや照明等の光源装置として有望な技術であり、その実用化に向けて、(1)低消費電力化のための発光効率の向上、(2)信頼性確保のための長寿命化、(3)コスト低減に向けての歩留り向上、(4)簡易プロセス技術の開発等が望まれている。
前述の特許文献1には、有機発光素子において、水分の浸透により寿命特性が低下するという課題に対し、発光層を含む層状の構造体の周囲に注入材を充填する技術が提案されているが、発明者らが鋭意検討した結果、提案されている注入材の使用によっては、以下に示す技術課題があることが明らかになった。
有機発光素子は、通常、高度に管理されたクリーンルーム内で製造されるが、異物を完全に排除することは不可能であり、ある一定量の異物が混入してしまうことは避けられない。有機発光素子の有機層に異物が混入した場合、その部分の有機層の厚みが薄くなり、有機層を挟んで形成される上下の電極間の距離が近くなることからリークパスとなって電流が集中してしまう。電流が集中すると、その部分に局所的に大きなジュール熱が発生し、その周囲の有機層や電極を溶融させてしまう。最悪の場合、この溶融の際の熱変形によって2枚の電極が接することでショートが発生し、その他の領域全面に電流が流れなくなるため、非点灯化してしまう。このように、有機発光素子における異物混入は、製造上の歩留りを低下させる大きな課題である。
発明者らの検討によれば、電極が熱変形する場合には、有機層の膨張により、上部電極が下部電極から離れる方向に変形する傾向が強いことが明らかになった。上部電極の上部空間に何らの注入材が充填されていない場合(引用文献1に記載された樹脂などの固体注入材や無機膜などの硬い保護膜が充填されていない場合)には、上部電極の上側への熱変形には何の障害もなく、2枚の電極が離れる方向に変形できる。なお、さらに電流を流し続けると、該当部分が、やがて焼き切れる。焼き切れた部分は、それ以上電流を流さなくなるため、点灯表示に大きな影響を与えることは無い。従って、注入材を充填しない場合には、ある種の自己修復的な作用によって、致命的な不良であるショートによる不点灯まで至りにくいことが分かった。
一方、樹脂などの固体注入材や無機膜などの硬い保護膜で上部電極の上部空間が充填されている場合、上部電極の上側には、上部電極が自由に変形できる空間が存在しない。この場合に上述した熱変形が生じると、注入材が充填されていない場合のように、上下電極が下部電極から離れる方向に変形できないため、結果的に上下電極の変形が下部電極の方向に進み、上部電極と下部電極が接触する可能性が高くなってしまう。このことから、固体の注入材を充填した場合は、致命的な不良であるショート不良まで至る頻度が高くなることが分かった。
そこで、発明者らは、1つの実施形態として、基板と、前記基板上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された有機層と、前記有機層上に形成された上部電極と、前記上部電極の上に配置される封止基板と、前記基板と封止基板との間に形成される空間に液体封止材を充填する構成を提案する。液体封止材は、前述した上部電極の上側への変形を妨げないので、上部電極の上方向への熱変形が可能となり、固体封止材を用いる場合に比してショート不良の可能性を低減することができる。
また、有機発光素子では、通電中のジュール熱によって温度が上昇してしまい、寿命が低下するという課題がある。注入材が充填されていない場合、静止空気の熱伝導率は、0.026 W/mKと非常に小さく、放熱性が悪い。このため、上部電極と封止基板との距離によっては放熱が進まず、有機発光素子の温度が上昇してしまう。このため、液体封止材の熱伝導率は、0.03 W/mKより大きいことが望ましく、更には0.05 W/mKより大きいことが望ましく、更には0.1 W/mKより大きいことが望ましく、更には0.2 W/mKより大きいことが望ましい。この条件を満たす液体封止材の使用により、有機発光素子の放熱性が向上し、温度上昇の抑制による長寿命化を実現することができる。
ここでの液体封止材は、例えばシリコンオイル、フッ素系液体(パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル)が望ましい。これら材料は、親油性材料に分類される。耐熱性が高いため、上述したようなジュール熱によって変質が起こりにくく、更には化学的に低活性であるため、信頼性向上に効果を発揮する。
なお、各実施形態で使用する液体封止材は、25℃における動粘度が50.0cSt以下であることが望ましい。更に望ましくは、30.0cSt以下であり、更には20.0cSt以下であることが望ましい。本明細書において、液体とは、気体と同様に流動的であり、かつ、容器の形に応じて形を変えることが出来るものをいう。この特性により、上部電極の熱変形時にも、上部電極はその上方(液体封止材や封止基板の側)への変形が可能となり、上部電極と下部電極の接触を回避できる。
また、液体封止材には、乾燥剤が含まれていることが望ましい。乾燥剤には、例えばシリカゲル、アルミナ、ゼオライト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。
さらに、発明者らは、前述の実施形態の構成に加え、前記有機層は、有機発光膜および有機保護膜を含む少なくとも2層以上で形成され、前記有機保護膜は、前記有機発光膜と前記液体封止材が接しないように、前記有機発光膜の全体を覆うように形成されている構成を別の実施形態として提案する。
この構成の採用により、液体封止材が有機発光膜を溶解または膨潤することを防ぐことが可能となり、有機発光素子の信頼性が一段と向上される。なお、液体封止材と有機発光膜が接する場合、長時間をかけて有機発光膜が液体封止材に溶解または膨潤し、点灯不良が生じるという技術課題がある。これに対し、有機保護膜が有機発光膜の全体を覆う構成では、液体封止材と有機発光膜が直接触れることが無い。結果的に、有機発光膜の溶解または膨潤が生じず、有機発光素子の信頼性が向上される。
ここでの有機保護膜は、電子輸送性または正孔輸送性を備えることが望ましい。これらの特性を有する層は有機発光素子に必ず含まれる層である。このため、既存の有機発光素子に存在しない新たな保護膜を設ける必要が無く、生産性を落とさずに製造することが可能である。
また、有機保護膜は、極性溶媒に可溶であり、かつ、非極性溶媒に不溶な親水性材料から成ることが好ましい。親水性材料を使用することにより、親油性材料である液体封止材に溶解することがなく、保護膜としての機能を持つことが可能となる。なお、極性溶媒とは、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどであり、非極性溶媒とは、シクロヘキサン、トルエン、ジクロロメタンなどである。
また、有機保護膜は、高分子材料から成ることが望ましい。高分子材料の分子量は、重量平均分子量で10000以上が望ましく、更に望ましくは30000以上であり、更には50000以上であることが望ましい。本構成とすることにより、有機保護膜が液体封止材に対して溶解し難くなり、有機発光素子の信頼性が向上される。具体的には、電子輸送性材料として、ポリオキサジアゾール系ポリマー、ポリキノリン系ポリマー、アルコールアミン系ポリマーなどが挙げられ、正孔輸送性材料として、ポリアニリン系ポリマー、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)系ポリマー、ポリスチレンスルホン酸(PSS)系ポリマーなどが挙げられる。これら高分子は、その構造中に水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基などの極性基を多量に含むことによって親水性が上がるため、有機発光素子の信頼性が向上される。
有機発光膜は、極性溶媒に不溶かつ非極性溶媒に可溶な親油性材料を塗布することによって形成されることが望ましい。当該構成の採用により、有機発光膜を塗布プロセスで形成した後に、更にその上層に有機保護膜を塗布プロセスで形成できる。すなわち、有機発光膜は極性溶媒に不溶であるため、その上層に極性溶媒からなる有機保護膜を含んだ溶液で塗布形成しても有機発光膜が溶解しない。また、非極性溶媒に不溶な親水性材料である有機保護膜は、非極性材料である液体封止材に溶解しないため、有機発光素子の信頼性が向上される。
ところで、上部電極と封止基板との間の距離は、短いほど熱伝導性が向上し、外部に熱を逃がし易くなる。その一方で、この距離が短すぎると、上部電極と封止基板の間に異物が混入した場合に、上部電極と封止基板の間に挟まれた異物が上部電極の上方への変形を妨げ、上部電極を圧迫してしまう。この上部電極の圧迫は、点灯不良の原因となり好ましくない。このため、液体封止材を用いる場合における上部電極と封止基板の間の距離は、1μm以上500μm以下が望ましく、更には3μm以上100μm以下が望ましく、更には5μm以上50μm以下であることが望ましい。
また、発明者らの検討の結果、上部電極と封止基板の距離(最大値)を更に短くする場合には、液体封止剤に代えて不活性ガス等の気体封止材を封入しても、液体封止剤を封入する場合と同様の効果を得ることができることが明らかになった。ここでの不活性ガスは、例えば窒素ガス、アルゴンガスなどである。なお、不活性ガスに代えて乾燥空気を封入しても良いし、基板と封止基板の間の空間を真空状態(大気圧より低い圧力の気体で満たされた状態)としても良い。ただし、このように気体封止材を用いる場合には、熱伝導性の向上による温度上昇の抑制効果によって有機発光素子の寿命への悪影響を抑えることが可能な上限距離と、異物に起因したリークパスによる上部電極の熱変形への影響が少ない下限距離とで与えられる最適範囲を考慮する必要がある。例えば上部電極と封止基板の距離は、1μm以上50μm以下であることが望ましく、更には3μm以上30μm以下が望ましく、更には5μm以上15μm以下が望ましく、更には10μmであることが望ましい。
ただし、上部電極と封止基板の間に不活性ガス等の気体封止材を封入する場合には、基板と封止基板の間に乾燥剤を封入することが出来ないため、外部の水分などの影響を受け易くなることが課題となる。この課題に対し、発明者らは、以下の構成の併用を提供する。すなわち、基板と封止基板が乾燥剤入りのシール材で封止される構成を提供する。この構成を用いることにより、有機発光素子内部への水分の浸透を防ぐことができ、長寿命化に有効である。シール材に含まれる乾燥剤は、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムのうち少なくともいずれか1つを含むことが望ましい。なお、基板と封止基板は、低融点ガラスで封止されていることが望ましい。この構成を採用すれば、有機発光素子内部への水分の浸透を防ぐことができ、長寿命化に有効である。これらの封止技術は、液体封止材を用いる場合にも使用できる。
以下、図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。以下の説明は、発明の内容の具体例を示すものであり、本発明はこれらの説明に限定されるものではない。すなわち、後述する具体例は、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において、当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
[有機発光素子]
図1に、一実施形態に係る有機発光素子の断面構造を示す。因みに、図1に示す有機発光素子は、下部電極101の側から光を取出すボトムエミッション型の光源装置に使用される場合を想定している。光源装置は、図1に示す構成に加え、不図示の駆動回路及び筐体などを備えて構成される。なお、本明細書で提案する有機発光素子は、封止基板107の側から光を取出すトップエミッション型の光源装置にも使用できる。
図1の場合、基板100の上面側には、下部電極101、第1のバンク104、第2のバンク105、有機層103(有機発光膜109、有機保護膜110)、上部電極102、液体封止材106、封止基板107が配置され、基板100の下面側には、光取出し層108が配置される。有機層103の形成領域に限定すると、基板100の側から順番に、下部電極101、第1のバンク104、有機層103、上部電極102、封止基板107が配置される。
基板100、下部電極101、上部電極102、有機層103及び封止基板107により有機発光素子が形成される。以下の実施例において、下部電極101は陽極である。もっとも、下部電極101は陰極であっても良い。下部電極101は、ホトリソグラフィによりパターニングして形成される。下部電極101が陽極の場合、上部電極102は陰極となる。下部電極101が陰極の場合、上部電極102は陽極となる。
上部電極102がITOまたはIZOであるとき、ITOまたはIZOをスパッタ法で形成する際には、スパッタによるダメージを緩和するため、有機層103および上部電極102の間にバッファ層を設けることがある。バッファ層には、酸化モリブデン、酸化バナジウムなどの金属酸化物を用いる。上部電極102は隣接する発光部の下部電極101と接続される。これにより、発光部を直列接続することができる。
有機発光素子の側面に形成された第1のバンク104は順テーパ形状となっており、パターンニングされた下部電極101の端部を覆い、発光部の部分的なショート故障を防止する。バンク形成材料を塗布した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第1のバンク104が形成される。第1のバンク104の有機層103が存在する側の表面に撥水性処理を施してもよい。例えば、第1のバンク104の表面にフッ素系ガスのプラズマ処理を行い、第1のバンク104の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第1のバンク104の表面には撥水層が形成される。第1のバンク104には、感光性ポリイミドが好ましい。第1のバンク104として、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料などを用いることもできる。
第2のバンク105は第1のバンク104の上に形成される。第2のバンク105は逆テーパ形状となっており、隣接する発光部の上部電極102が下部電極101と導通しないようにするために用いられる。バンク形成材料を塗布した後、所定のフォトマスクを用いて現像露光することにより、第2のバンク105が形成される。第2のバンク105の有機層103が存在する側の表面には撥水性処理を施してもよい。例えば、第2のバンク105の表面をフッ素系ガスでプラズマ処理し、第2のバンク105の表面をフッ素化することで撥水性処理を行う。これにより、第2のバンク105の表面には撥水層が形成される。第2のバンク105として、ネガ型フォトレジストを用いることが好ましい。また、第2のバンク105として、アクリル樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、非感光性材料なども用いることができる。
液体封止材106は、基板100と封止基板107の間の空間に充填される。液体封止材106は、有機層103で発生するジュール熱を効率よく外部に逃がすためと、有機層の劣化の要因となるガスや水分の侵入を防ぐために用いられる。液体封止材106は乾燥剤を含有することも出来る。
封止基板107は、液体封止材106の上に形成される。封止基板107は、例えばガラス基板である。ただし、封止基板107には、ガラス基板以外でも、適切なガスバリア膜を有するプラスチック基板も用いることができる。
光取出し層108は、基板100の下面に形成される。光取出し層108は、有機層103で発光した光を効率よく取出すために用いられる。光取出し層108には、例えばマイクロレンズなどの構造体、散乱性や拡散反射性を有するフィルムが用いられる。
ここで用いる有機発光素子は、単一の素子でも、複数に分割された素子でも良い。複数の素子を接続する方法には、各素子を直列に接続する方法、並列に接続する方法又はそれらの方法を組み合わせた方法がある。また、有機発光素子を複数に分割した場合には、以下の態様が考えられる。なお、態様の説明に現れる第1のドーパント、第2のドーパント、第3のドーパントについては後述する。
(1)第1のドーパント、第2のドーパント及び第3のドーパントを含む単一の有機発光素子が複数存在する。
(2)第1のドーパント及び第2のドーパントを含む有機発光素子、第3のドーパントを含む有機発光素子が存在する。
(3)第1のドーパントを含む有機発光素子、第2のドーパントを含む有機発光素子、第3のドーパントを含む有機発光素子が存在する。
上記(2)の態様において、赤色ドーパント及び緑色ドーパントを含む有機発光素子と、青色ドーパントを含む有機発光素子とを組み合わせた場合、エネルギー移動の影響を最小限にでき、青色ドーパントを含む有機発光素子を効率的に光らせることができる。上記(3)の態様において、第1のドーパント、第2のドーパント及び第3のドーパントを赤色ドーパント、緑色ドーパント及び青色ドーパントとする場合、複数の有機発光素子からの発光が混じりあい、白色光が出射される。
図2に、一実施形態に係る有機発光素子の詳細構造を模式的に示す。有機層103は、有機発光膜303(図1の有機発光膜109)を含む2層以上の多層構造から形成される。有機発光膜303以外の層には、電子注入層305、電子輸送層304、正孔輸送層302および正孔注入層301などがあり、有機層103は、これらのうちいずれか1層以上を含む。電子注入層305及び電子輸送層304は、電子輸送性を持つ材料から形成される。このため、電子注入層を電子輸送層と呼ぶことも可能である。また、正孔注入層301及び正孔輸送層302は、正孔輸送性を持つ材料から形成される。このため、正孔注入層を正孔輸送層と呼ぶことも可能である。
有機層103は、下部電極101から順番に、正孔注入層301、正孔輸送層302、有機発光膜303、電子輸送層304、電子注入層305を積層した多層構造として形成される。最上層の電子注入層305は、上部電極102に接している。最上層の電子注入層305は、その下層に位置する他の全ての層を覆うように形成される。このため、図2の電子注入層305は、有機発光膜303と周囲に存在する液体封止材106とが接触しないようにする有機保護膜110としての役割を担う。
電子注入層305と電子輸送層304、電子輸送層304と有機発光膜303、有機発光膜303と正孔輸送層302、正孔輸送層302と正孔注入層301はそれぞれ互いに接していても良いが、各層の間に上述以外の層が介在してもよい。また、図2に示す層構成はあくまでも一例であり、例えば上下の序列を入れ替えた層構成とすることも可能である。すなわち、下部電極101から順番に、電子注入層305、電子輸送層304、有機発光膜303、正孔輸送層302、正孔注入層301とすることも可能である。この層構成の場合には、最上層に形成される正孔注入層301が、その下層に位置する他の全ての層を覆うように形成される。また、有機発光膜303は、ホスト分子(以下「ホスト」という)及びドーパント分子(以下「ドーパント」という)を含む。
[光源装置]
光源装置は、図1に示す構造の有機発光素子に駆動回路及び筐体などを付け加えることで構成される。図3に、一実施形態に係る光源装置の構造を示す。図3に示す光源装置の場合、第1の有機発光素子202と第2の有機発光素子203は、第2のバンク105により格子状に分割されている。
また、図3の光源装置の場合、第1の有機発光素子202及び第2の有機発光素子203から光が取り出される方向には、拡散板201が配置されている。上記(2)の構成を用いる場合には、第1の有機発光素子202が赤色ドーパント及び緑色ドーパントを含む有機発光素子となり、第2の有機発光素子203が青色ドーパントを含む有機発光素子となる。上記(3)の構成を用いる場合には、第1の有機発光素子202及び第2の有機発光素子203が、赤色ドーパントを含む有機発光素子、緑色ドーパントを含む有機発光素子、青色ドーパントを含む有機発光素子のいずれかとなる。各有機発光素子の配置は、図3に示すようなストライプ状に限らず、千鳥格子状でも構わない。
有機発光素子の作製プロセスは塗布でも蒸着でもかまわないが、塗布で作製する場合、液体封止材に有機発光膜が溶解する可能性が高くなるため、本明細書で提案する構成が有効に作用する。有機発光膜を塗布で作製する場合、図3に示すように有機発光素子をストライプ状に配置した方が容易に作製できる。
異なる色の有機発光素子を組み合わせた場合には、良好な白色光を得るために、図3のように、有機発光素子の光取出し面の上部に拡散板201を取り付けてもかまわない。拡散板201としては、樹脂やガラス中に散乱体を分散させたものや、表面に凹凸構造を形成したものなどが考えられる。
[発光ドーパント]
青色ドーパントは、400nmから500nmの間に、室温(25℃)におけるPLスペクトルの最大強度を有する。緑色ドーパントは、500nmから590nmの間に、室温におけるPLスペクトルの最大強度を有する。赤色ドーパントは、590nmから780nmの間に、室温におけるPLスペクトルの最大強度を有する。
青色ドーパントの固形分の濃度は10wt%以上30wt%以下が望ましく、緑色ドーパントの固形分の濃度は10wt%未満が望ましく、赤色ドーパントの固形分の濃度は10wt%未満が望ましい。発光ドーパントの重量平均分子量は500以上3000以下が望ましい。
[ホスト]
ホストには、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体、又はアリールシラン誘導体などを用いることが好ましい。効率の良い発光を得るためには、青色ドーパントの励起エネルギーよりも、ホストの励起エネルギーが十分大きいことが好ましい。なお、励起エネルギーは発光スペクトルを用いて測定される。
[正孔注入層]
正孔注入層301とは、発光効率や寿命を改善する目的で使用される。正孔注入層301は必須ではないが、陽極の凹凸を緩和する目的で使用される。正孔注入層301を単層もしくは複数層設けてもよい。正孔注入層301には、ポリアニリン系ポリマー、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)系ポリマー、ポリスチレンスルホン酸(PSS)系ポリマー等の高分子が好ましい。その他にも、ポリピロール系やトリフェニルアミン系のポリマー材料を用いることができる。なお、低分子(重量平均分子量10000以下)材料系と組み合わせても良い。例えばフタロシアニン類化合物やスターバーストアミン系化合物も適用可能である。
[正孔輸送層]
正孔輸送層302は、正孔を輸送する機能を有する材料からなる層である。広い意味では、正孔注入層301、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層302は、単層もしくは複数層設けてもよい。正孔輸送層302の材料には、スターバーストアミン系化合物、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体、チオフェン誘導体などが好ましい。もっとも、これらの材料に限られるものではなく、正孔輸送層302は、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
[電子輸送層]
電子輸送層304は、有機発光膜303に電子を供給する層である。広い意味では、電子注入層305、正孔阻止層も電子輸送層304に含まれる。電子輸送層304は、単層もしくは複数層設けてもよい。電子輸送層304の材料には、ポリオキサジアゾール系ポリマー、ポリキノリン系ポリマー、ポリヒドロキシアミン系ポリマーなどの高分子が好ましい。その他の好適な材料には、例えばビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム(以下「BAlq」という)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下「Alq3」という)、Tris(2、4、6−trimethyl−3−(pyridin−3−yl)phenyl)borane(以下「3TPYMB」という)、1、4−Bis(triphenylsilyl)benzene(以下「UGH2」という)、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フラーレン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体などを用いることができる。
[電子注入層]
電子注入層305は、陰極から電子輸送層304への電子注入効率を向上させる目的で使用される。電子注入層305の材料には、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムが望ましい。もっとも、電子注入層305は、これらの材料に限られるわけではなく、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
[基板]
基板100には、ガラス基板、金属基板、SiO2、SiNx、Al23等の無機材料を形成したプラスチック基板等が挙げられる。金属基板材料には、ステンレス、42アロイなどの合金が挙げられる。プラスチック基板材料には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリカーボネート、ポリイミド等が挙げられる。
[陽極]
陽極材料には、透明性と高い仕事関数を有する材料であれば用いることができる。具体的には、ITO、IZOなどの導電性酸化物、薄いAgなどの仕事関数の大きい金属が挙げられる。電極のパターン形成は、一般的にはガラス等の基板上にホトリソグラフィなどを用いて行うことができる。
[陰極]
陰極材料は、有機発光膜303からの光を反射するための反射電極である。具体的には、LiFとAlの積層体やMg:Ag合金などが好適に用いられる。また、これらの材料に限定されるものではなく、例えばLiFの代わりとして、Cs化合物、Ba化合物、Ca化合物などを用いることができる。
[塗液]
塗液は、有機発光膜303を形成する材料を適切な溶媒に溶解させたものである。以下の説明では、有機発光膜303を形成する材料としてホスト、赤色ドーパント、緑色ドーパント及び青色ドーパントが含まれる場合について述べる。
ここで用いる溶媒は非極性溶媒が好ましく、溶解させるドーパントも非極性溶媒に溶解する親油性のものが好ましい。非極性溶媒には、例えばトルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、フッ素系溶媒などが挙げられる。各材料の溶解度や乾燥速度の調整のために、前述の溶媒を複数混合した混合溶媒でもかまわない。例えば沸点の異なる溶媒を2種類(第1の溶媒及び第2の溶媒)用意し、そのうち高沸点である第2の溶媒を緑色または青色ドーパントに対し良溶媒とすることで、緑色ドーパントまたは青色ドーパントの膜表面への移動を促進できる。溶媒の溶解度は、液体クロマトグラム法によって測定される。
有機発光膜303の成膜法には、例えば乾式法としては真空蒸着法などがあり、湿式法(塗布法)としては、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、スロットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法などを挙げることができる。これらの方法のうち1つを用いて、有機発光膜303を形成する。塗布法は乾式法に比べて大面積の成膜が容易であり、材料の利用効率が高い等の利点がある。
以下では、本明細書で提案する発明の実施例を説明する。なお、以下の各実施例では、白色光源装置について説明する。
[実施例1−1]
本実施例の白色光源装置は、図2に示す断面構成を有する有機発光素子により構成した。なお、下部電極101にはITOを、正孔注入層301にはPEDOTをスピンコート法によって形成した。正孔輸送層302にはポリマー系の材料を用いた。有機発光膜303は、ホストとしてmCP(1、3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン)、青色ドーパントにはFIrPic(ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウム(III)))、緑色ドーパントにはIr(ppy)(acac)(ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III))、赤色ドーパントにはIr(piq)(acac)(ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III))を用いた。それぞれの材料の重量比は100:10:0.5:0.5とした。これらのホスト、青色、赤色、緑色ドーパントをトルエンに溶解させて塗液を作製した。この塗液を用いて、スロットダイコートした後、加熱により溶媒を乾燥させて有機発光膜303を形成した。
続いて、アルコールアミン系ポリマーであるポリ[9,9’−ビス(2−(2−(2−ジエタノールアミノエトキシ)エトキシ)エチル)フルオレン](PF−OH)に30wt%のLiCOをドープしたエタノール溶液を用いてスロットダイコートし、その後、加熱により溶媒を乾燥させて電子輸送層304を形成した。このとき、電子輸送層304が、有機発光膜303の全面を覆うように形成した。PF−OHの重量平均分子量は、重量平均分子量で10000であった。LiFとAlの積層体を上部電極102として形成し、発光位置は各色ドーパントとも上部電極から75nm近傍となるようにした。
基板100の周囲に乾燥剤として酸化カルシウムを含む光硬化性のエポキシ樹脂からなるシール材をディスペンサーで塗布した後、シール材の内部にフッ素系液体であるフロリナート(登録商標)に乾燥剤を混合した液体封止材106を滴下し、封止基板107を貼り合わせた。なお、用いたフロリナートの熱伝導率は0.06 W/mK、25℃における動粘度は2.8 cStであった。最後にシール材を紫外線硬化し、目的の有機発光素子を作製した。このとき、上部電極102の上面から封止基板107の下面までの距離は、50μmとなるように形成した。
前述したように、この実施例に係る構成の採用により、仮に上部電極102が熱変形する場合でも、上部空間の方向への変形が可能である。このため、本実施例の構成では、固体注入材や無機膜などの硬い保護膜で上部空間を充填する場合のようなショート不良は発生しない。また、本実施例の場合、有機発光膜303の全面を電子輸送層304が覆っており、有機発光膜303が液体封止材106に直接触れることが無い。このため、有機発光膜303の溶解または膨潤が生じず、信頼性の高い有機発光素子が実現される。
[実施例1−2]
次に、実施例1−2について説明する。本実施例に係る有機発光素子は、実施例1−1に係る有機発光素子から液体封止材106を除いた構成を有する。この場合、基板100と封止基板107との間に形成される空間には、乾燥空気や大気圧より低い空気を充填する。この場合、寿命は、以下の表に示すように、実施例1−1の50%になった。なお、作製した有機発光素子の寿命は、定電流駆動した際の輝度半減時間によって評価した。後述する他の実施例や比較例についても同様である。また、有機発光素子を点灯した際の温度上昇は50℃であった。なお、実施例1−1の温度上昇は10℃である。因みに、性能評価は同じ構造の有機発光素子を5台ずつ作製して行った。
[実施例2]
実施例2に係る有機発光素子では、液体封止材106を実施例1−1の構成に対して変更した。具体的には、液体封止材106としてシリコンオイルであるKF−54(信越シリコーン社製)を使用した。KF−54の熱伝導率は0.15 W/mKであり、25℃における動粘度は10.0 cStであった。本実施例に係る有機発光素子の特性を評価したところ、点灯時の温度上昇は5℃であり、その寿命は実施例1−1の120%に長寿命化した。
[実施例3−1]
実施例3−1に係る有機発光素子では、液体封止材106に使用するシリコンオイルの動粘度を実施例1−1の構成に対して変更した。本実施例の場合、動粘度が20.0cStのシリコンオイルを液体封止材106として使用した。有機発光素子に通電し、異物起因のショート不良を検証したところ、本実施例の場合、ショート不良率は0%であり、良好な発光特性が確認された。
[実施例3−2]
実施例3−2に係る有機発光素子では、動粘度が30.0cStのシリコンオイルを液体封止材106として使用した。その他の構成は、実施例1−1の構成と同じである。有機発光素子に通電し、異物起因のショート不良を検証したところ、本実施例の場合、ショート不良率は5%になった。ただし、この値は、実用に十分に耐えるものである。
[実施例3−3]
実施例3−3に係る有機発光素子では、動粘度を50.0cStのシリコンオイルを液体封止材106として使用した。その他の構成は、実施例1−1の構成と同じである。有機発光素子に通電し、異物起因のショート不良を検証したところ、本実施例の場合、ショート不良率は10%になった。ただし、この値は、実用に十分に耐えるものである。
[実施例4−1]
本実施例も液体封止材106を用いる場合であるが、上部電極102から封止基板107までの距離を、実施例1−1の構成に対して変更した。具体的には、同距離を10μmとした。その他の構成は、実施例1−1の構成と同じである。本実施例に係る有機発光素子の特性を評価したところ、点灯時の温度上昇は2℃であり、その寿命は実施例1−1の150%に長寿命化した。
[実施例4−2]
本実施例も液体封止材106を用いる例である。この実施例では、上部電極102から封止基板107までの距離を20μmとした。その他の構成は、実施例1−1の構成と同じである。本実施例に係る有機発光素子の特性を評価したところ、点灯時の温度上昇は5℃であり、その寿命は実施例1−1の120%に長寿命化した。
[実施例4−3]
本実施例も液体封止材106を用いる例である。この実施例では、上部電極102から封止基板107までの距離を100μmとした。その他の構成は、実施例1−1の構成と同じである。本実施例に係る有機発光素子の特性を評価したところ、点灯時の温度上昇は40℃であり、その寿命は実施例1−1の60%になった。距離が長くなることで、実施例1−1に比べて性能(寿命や温度)の低下が認められるが、この値は、実用に十分に耐えるものである。
[実施例5−1]
本実施例では、実施例1−1、実施例2、実施例3−1〜3〜3とは異なり、封止材として気体封止材を使用する。図4に、本実施例に係る有機発光素子の断面構成例を示す。図4には、図2との対応部分に同一符号を付している。実施例1−1等との違いの1つは、不活性ガス111を封止に使用する点である。本実施例では、不活性ガス111として窒素ガスを使用した。もっとも、不活性ガス111は窒素ガスに限らず、他の不活性ガス(例えばアルゴンガス)を用いても良い。また、実施例1−2と同様、乾燥空気や大気圧より低い空気を充填しても良い。
この実施例の場合、有機発光膜303と液体封止材との接触を考慮しなくて良いため、図4では、電子輸送層304を有機発光膜303と同じ形状としている。この構成は、電子輸送層304で有機発光素子303の全体を覆う場合に比して層構造が単純になり、製造が容易になる。もっとも、実施例1−1と同様、電子輸送層304で有機発光素子303の全体を覆う構成としても良い。電子輸送層304で有機発光素子303の全体を覆うと、有機発光膜303を水分から隔離する性能が高くなり、一段と長寿命化が期待される。また、本実施例では、基板100と封止基板107を張り合わせる際、樹脂からなるシール材ではなく、ガラスを溶融させることで上下基板を張り合わせ、機密性の非常に高い封止を施した。これにより、シール材による封止よりも一段と気密性を高めることができる。もっとも、シール材によって封止しても良い。また、本実施例では、上部電極102の上面から封止基板107の下面までの距離を15μmとした。本実施例に係る有機発光素子の特性を評価したところ、点灯時の温度上昇は10℃であり、その寿命は実施例1−1と同じであった。
[実施例5−2]
本実施例では、実施例5−1の構成をベースに、上部電極102の上面から封止基板107の下面までの距離だけを変更した。具体的には、30μmとした。本実施例に係る有機発光素子の特性を評価したところ、点灯時の温度上昇は20℃であり、その寿命は実施例1−1の90%であった。
[実施例5−3]
本実施例も、実施例5−1の構成をベースに、上部電極102の上面から封止基板107の下面までの距離だけを変更した。具体的には、40μmとした。本実施例に係る有機発光素子の特性を評価したところ、点灯時の温度上昇は30℃であり、その寿命は実施例1−1の80%であった。
以下、各実施例に対する比較例を説明する。
[比較例1−1]
この比較例は、実施例1−1に対する比較例である。この比較例では、液体封止材106を用いる点では実施例1−1と同じであるが、電子輸送層304と有機発光膜303を同じ形状で形成した。このため、比較例1−1の構成の有機発光素子では、有機発光膜303が液体封止材106と直接触れてしまう。この場合、時間が経過するにつれて有機発光膜が液体封止材に溶解し、発光部周辺が点灯しなくなる現象が確認された。
[比較例1−2]
この比較例も、実施例1−1に対する比較例である。この比較例では、液体封止材106に代えて樹脂封止材(エポキシ系熱硬化性樹脂)を使用した。すなわち、上部電極102の上面から封止基板107の下面までの空間を硬い保護膜で充填した。この場合、評価のために作製した5台の有機発光素子の全てで通電中にショート不良が発生し、点灯しなくなった。
[比較例3−1]
この比較例は、実施例3−1に対する比較例である。この比較例では、動粘度が100.0cStのシリコンオイルを封止材に使用した。この場合も、評価のために作製した5台の有機発光素子の全てで通電中にショート不良が発生し、点灯しなくなった。
[比較例5−1]
この比較例は、実施例5−1に対する比較例である。この比較例では、上部電極102の上面から封止基板107の下面までの距離だけを変更した。具体的には、100μmとした。この比較例に係る有機発光素子の特性を評価したところ、点灯時の温度上昇は80℃であり、その寿命は実施例1−1の20%であった。
Figure 2015215950
[まとめ]
以上のように、基板100と、基板上に形成された下部電極101と、下部電極上に形成された有機層103と、有機層上に形成された上部電極102と、上部電極の上に配置される封止基板107とを有する有機発光素子において、有機層103が有機発光膜109および有機保護膜110を含む少なくとも2層以上で形成されるとき、有機保護膜110は、有機発光膜109と液体封止材106が接しないように、有機発光膜109の全体を覆うように形成することにより、信頼性と生産性を高めた有機発光素子及び光源装置を実現できる。なお、基板と封止基板との間に形成される空間には液体封止材106又は気体封止材を充填することが望ましい。
また、基板100と、基板上に形成された下部電極101と、下部電極上に形成された有機層103と、有機層上に形成された上部電極102と、上部電極の上に配置される封止基板107とを有する有機発光素子において、上部電極102と封止基板107の距離が1μm以上、50μm以下に形成し、かつ、基板100と封止基板107との間に形成される空間に気体封止材を充填することにより、信頼性と生産性を高めた有機発光素子及び光源装置を実現できる。
100 基板
101 下部電極
102 上部電極
103 有機層
104 第1のバンク
105 第2のバンク
106 液体封止材
107 封止基板
108 光取出し層
109 有機発光膜
110 有機保護膜
111 不活性ガス
201 拡散板
202 第1の有機発光素子
203 第2の有機発光素子
301 正孔注入層
302 正孔輸送層
303 有機発光膜
304 電子輸送層
305 電子注入層

Claims (19)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された下部電極と、
    前記下部電極上に形成された有機層と、
    前記有機層上に形成された上部電極と、
    前記上部電極の上に配置される封止基板と、
    前記基板と封止基板との間に形成される空間に充填される液体封止材と
    を有し、
    前記有機層は有機発光膜および有機保護膜を含む少なくとも2層以上で形成され、前記有機保護膜は、前記有機発光膜の全体を覆って形成されている
    ことを特徴とする有機発光素子。
  2. 請求項1に記載の有機発光素子において、
    前記液体封止材は、シリコンオイル、パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル、ポリテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテルのうち少なくとも一つを含む
    ことを特徴とする有機発光素子。
  3. 請求項1に記載の有機発光素子において、
    前記液体封止材は乾燥剤を含む
    ことを特徴とする有機発光素子。
  4. 請求項3に記載の有機発光素子において、
    前記乾燥剤は、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムのうち少なくともいずれか1つを含む
    ことを特徴とする有機発光素子。
  5. 請求項1に記載の有機発光素子において、
    前記液体封止材の熱伝導率は、0.03W/mK以上である
    ことを特徴とする有機発光素子。
  6. 請求項1に記載の有機発光素子において、
    前記液体封止材の25℃における動粘度は50.0cSt以下である
    ことを特徴とする有機発光素子。
  7. 請求項1に記載の有機発光素子において、
    前記有機保護膜は電子輸送性または正孔輸送性を有する
    ことを特徴とする有機発光素子。
  8. 請求項1に記載の有機発光素子において、
    前記有機保護膜は高分子からなる
    こと特徴とする有機発光素子。
  9. 請求項8に記載の有機発光素子において、
    前記高分子は重量平均分子量が10000以上である
    ことを特徴とする有機発光素子。
  10. 請求項8に記載の有機発光素子において、
    前記高分子は、分子構造中に、水酸基、カルボン酸基、又は、スルホン酸基を含有する
    ことを特徴とする有機発光素子。
  11. 請求項1に記載の有機発光素子において、
    前記上部電極から前記封止基板までの距離は500μm以下である
    ことを特徴とする有機発光素子。
  12. 基板と、
    前記基板上に形成された下部電極と、
    前記下部電極上に形成された有機層と、
    前記有機層上に形成された上部電極と、
    前記上部電極の上に配置される封止基板と
    を有し、
    前記上部電極と前記封止基板の距離が1μm以上50μm以下である
    ことを特徴とする有機発光素子。
  13. 請求項12に記載の有機発光素子において、
    前記有機層は有機発光膜および有機保護膜を含む少なくとも2層以上で形成され、前記有機保護膜は、前記有機発光膜の全体を覆って形成されている
    ことを特徴とする有機発光素子。
  14. 請求項12に記載の有機発光素子において、
    前記基板と封止基板との間に形成される空間に気体封止材が充填される
    ことを特徴とする有機発光素子。
  15. 請求項14に記載の有機発光素子において、
    前記有機層は有機発光膜および有機保護膜を含む少なくとも2層以上で形成され、前記有機保護膜は前記有機発光膜の全体を覆わない
    ことを特徴とする有機発光素子。
  16. 請求項1又は11に記載の有機発光素子において、
    前記基板と前記封止基板を貼り合わせるためのシール材中に乾燥剤が分散されている
    ことを特徴とする有機発光素子。
  17. 請求項16に記載の有機発光素子において、
    前記乾燥剤は、シリカゲル、アルミナ、ゼオライト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウムのうち少なくともいずれか1つを含む
    ことを特徴とする有機発光素子。
  18. 請求項1又は11に記載の有機発光素子において、
    前記基板と前記封止基板は、ガラスを溶融することにより封止されている
    ことを特徴とする有機発光素子。
  19. 請求項1又は11に記載の有機発光素子を用いた光源装置。
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