JP2015215581A - 光アッテネータおよび多チャンネル光アッテネータ - Google Patents

光アッテネータおよび多チャンネル光アッテネータ Download PDF

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友弘 藤沢
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Abstract

【課題】低電圧駆動が可能で優れた光減衰特性を備えた光アッテネータをより安価に提供する。
【解決手段】前方から光軸50に沿って順に、偏光子10a、電圧が印加されていない状態で所定の残留位相差を有して前方からの直線偏光に上下方向の電圧に応じた所定の位相差を与えて後方から出射する電気光学素子20、検光子10bが光軸を法線方向として配置された基本構成に、検光子と電気光学素子との間に配置される1/4波長板30が追加された光アッテネータ100であって、偏光子と1/4波長板は光学軸(11a、31)が上下方向に対して所定の方向に45°傾き、1/4波長板から出射される直線偏光の振動方向と、検光子の光学軸11bの方向との交差角度を変化させる偏光方位回転手段を備え、遮光状態時の減衰量が、基本構成において偏光子と検光子の光学軸が左右方向に対して45°傾いているときよりも大きい。
【選択図】図4

Description

この発明は、物質の電気光学効果を利用して入射光の透過と遮断を制御したり、入射した光の減衰量を可変制御したりするための光アッテネータに関する。
光アッテネータとしては、例えば、PLZT(チタン酸ジルコン酸ランタン鉛)などの電気光学効果を有する物質(以下、電気光学物質あるいはEO物質と言う)を用いたものがある。このEO物質を用いた光アッテネータは、一般に、対向配置された一対のコリメータと、平板状のEO物質を互いに対面する二つの電極で狭持した構成の電気光学素子(以下、EO素子とも言う)、偏光子、検光子、および電極間に電界を印加するための駆動回路から構成され、光が入力される側の一方のコリメータから光が出力される側の他方のコリメータに向かって、偏光子、EO素子、検光子がこの順に光路に沿って配置された構造となっている。偏光子と検光子は、光学軸が互いに直交あるいは平行となるように対面して配置されている。また、EO物質を狭持する二つの電極間にできる電界の方向は、偏光子の光学軸に対して45゜傾いている。
そして、電極間に電界を印加していないときは、偏光子を透過してきた直線偏光がその振動方向を維持したまま検光子に入射する。このとき、検光子の光学軸が偏光子の光学軸に対して直交しているときは光が遮断され、平行であるときは光が透過する。一方、駆動回路により電極間に電界を印加すると、EO物質を透過する光に位相差(リタデーション)が生じ、入射した直線偏光の振動方向が最大で90゜回転する。その結果、入射光が検光子を透過、あるいは遮断される。また、電界強度に応じて振動方向の傾きを制御することで検光子を透過する光の強度減衰量を変化させることができる。
なお、上述したEO物質を用いた光アッテネータでは、原理的にEO物質内の電界強度を極めて高くする必要がある。すなわち、電極間の電圧を高くする必要がある。そこで、電極間の電圧(駆動電圧)を低くするために、EO物質を電極で挟持した構造を積層させた多層構造を採用し、70V程度の電圧でも有効に動作する光アッテネータが実用化された。そして、この光アッテネータは実際に市販品として提供されている(例えば、フルウチ化学株式会社製「PLZT高速光シャッター」:非特許文献1参照)。
しかし、上記市販の「PLZT高速光シャッター」では、多層構造の層間を光路としているため、回折、あるいは電極による光散乱や反射が生じ、透過損失が大きくなる、という問題があることから、以下の特許文献1では、EO物質を薄膜化しつつ、集光レンズを用いて、その焦点近傍にEO物質を配置することで、電極間距離を小さくして15V程度の低電圧での駆動を実現しつつ、上述の多層構造に由来する光学的な各種問題を解決している。
特開2011−118438号公報
フルウチ科学株式会社、"PLZT高速光シャッター"、[online]、[平成26年4月4日検索]、インターネット<URL:http://www.furuchi.co.jp/measurement/shutter.html>
光アッテネータとしては、EO物質の電気光学効果に基づくリタデーションを利用した形態に限らず、種々の原理や物質を利用した形態が存在する。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、ファラデー素子、液晶などの光学素子を用いたものである。ここで、光アッテネータの主要な利用分野である光通信での用途を考えると、MEMSや液晶を光学素子として用いた方式では応答速度が遅く、採用し難い。ファラデー素子を用いた方式では、磁界を印加するための構造が複雑であり、素子以外の周辺構成を含めると小型化が難しくなる。また、磁界を可変制御するために電磁石を用いており、その電磁石を駆動するために比較的大きな電流が必要となり省電力化が難しい。
一方、EO物質によるリタデーションを利用した光アッテネータでは、高速応答性に優れ、電界を印加するだけで駆動できるため、小型化し易く、また、電界強度によって制御するため、電流がほとんど流れず、省電力でもある。したがって、EO物質を光学素子として用いた光アッテネータは他の素子を用いた光アッテネータよりも省電力化と小型化に有利であると言える。
その一方で、上述した市販の光アッテネータではそれ以前の光アッテネータよりは低電圧で駆動できるものの、それでも70Vの高電圧で駆動する必要がある。上記特許文献1に記載の光アッテネータでは、駆動電圧を15Vまで下げるために、電極間の距離を極めて狭くしている。また、集光レンズも必要としている。そのため、EO物質の加工が難しく、部品点数もさらに多くなり製造コストが増加する。
そこで近年、タンタル酸ニオブ酸カリウム(KTa1−xNb、以下、KTN)に代表される一般式K1-yTa1-xNb(但し、Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される強誘電体をEO物質としたEO素子に注目が集まっている。このEO物質は、室温近辺に相転移点を有して巨大な誘電率を有して優れたEO効果を発現する。そのため簡素な構造でも低電圧駆動が可能となる。
しかしながら、上記の強誘電体ではEO素子に一度でも電界を印加してしまうと、電荷が残留して弱い電界が印加されたときと同じ状態となり、電界を印加していない初期状態でも複屈折効果による位相差が生じた状態になってしまう。また、十分に電界を印加した場合でも初期状態における複屈折の影響が残留し、入射した直線偏光が楕円偏光として出射される。そのため、暗状態が不完全となり、光減衰率を大きくすることができないという問題を有している。
そこで本発明は、EO素子に初期状態で複屈折効果を有するEO物質を用いた光アッテネータの光減衰特性を向上させることを主な目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、前後方向に延長する光軸に沿って前後に光の入出射面を有する複数の光学素子が配置されて、前方から入射された光の強度を減衰させて後方から出射する光アッテネータであって、
前記光軸に直交し、かつ互いに直交する2方向をそれぞれ上下方向、左右方向として、
前方から前記光軸に沿って、前記光学素子として、偏光子、電気光学素子、および検光子がこの順に配置されてなる基本構成に、前記偏光子と前記電気光学素子との間、あるいは前記電気光学素子と前記検光子との間のいずれかに配置された1/4波長板が光学素子として追加された構成を有し、
前記電気光学素子は、電気光学効果を有するとともに電気光学物質が上下方向で対面する電極によって挟持されて、外部の駆動回路により当該対面する電極間に電圧が印加されると前記電気光学物質に複屈折効果が発現し、前方から入射した直線偏光に前記電圧に応じた所定の位相差を与えて後方から出射し、
前記偏光子は、後方から前方を見たときに光学軸が左右方向に対して所定の方向に45°傾いており、
前記電気光学物質は、前記電気光学素子の前記対面する電極間に電圧が印加されていない状態において、所定の残留位相差による複屈折効果を有し、
前記1/4波長板は、前後方向から見たときに光学軸が左右方向に対して45゜傾いており、前記検光子に直線偏光が入射されるように前記電気光学素子における前記残留位相差を補償し、
前後方向から見たときに、前記検光子に入射される直線偏光の振動方向と、前記検光子の光学軸の方向との交差角度を変化させる偏光方位回転手段を備え、
前記偏光方位回転手段は、前記基本構成において前記偏光子と検光子のそれぞれの光学軸の方向が前記左右方向に対して所定の方向に45°傾いているときよりも、光強度が最も小さくなるオフ状態での前記減衰量を大きくするとともに、光強度が最も大きくなるオン状態での前記減衰量を小さくする、
ことを特徴とする光アッテネータとしている。
前記偏光方位回転手段は、前後方向から見たときに、光学軸が前記偏光子の光学軸の方向と一致あるいは90°傾いた方向から角度αで前記光軸回りに回転させた方向に傾いている検光子で構成されていることを特徴とする光アッテネータとすることができる。さらに、前後方向から見たときに、前記1/4波長板から出射する前記直線偏光は、左右方向から45゜傾いた方向から前記角度αだけ傾いた方向に振動していることを特徴としている特徴とする光アッテネータとしてもよい。
前記1/4波長板と前記検光子との間に前記偏光方位回転手段を構成する光学素子として1/2波長板が配置され、
前後方向から見たときに、前記検光子の光学軸が前記偏光子の光学軸の方向と一致あるいは90゜傾いているとともに、前記1/2波長板の光学軸の方位に対して前記1/4波長板から出射する前記直線偏光の方位と前記検光子の光学軸の方位とが対称である、
ことを特徴とする光アッテネータとすることができる。
より好適には、前記光アッテネータにおいて、前記電気光学物質は一般式K1-yTa1-xNb(但し、Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される物質であることである。
上記いずれかの光アッテネータにおいて、
前記偏光子の前方に配置された第1のコリメートレンズと、当該コリメートレンズの前方に配置されるとともに後端が開口する第1の光ファイバと、前記検光子の後方に配置された第2のコリメートレンズと、当該第2のコリメートレンズの後方に配置されるとともに前端が開口する第2の光ファイバとを備え、
前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバの開口同士を結ぶ線を前記光軸として、 前記第1のコリメートレンズは、前記第1の光ファイバが後方に向けて出射した光を光軸に沿う平行光として後方に出射し、
前記第2のコリメートレンズは、前方から前記光軸に沿って入射した平行光を前記第2の光ファイバに結合させる、
ことを特徴とする光アッテネータとすることもできる。
さらに前記偏光子と前記検光子は、複屈折素子からなり、前方から無偏光状態の一つの平行光が入射されると常光と異常光に分離するとともに、後方から見たときの前記光学軸の方向に沿って離間する二つの平行光として後方に出射するように構成されているウォークオフプリズムであることを特徴とする光アッテネータとすることもできる。
前記光アッテネータを1チャンネル分の光アッテネータとして、当該1チャンネル分の左右に複数チャンネル分並べたものに相当する構成を一体的に備えたことを特徴とする多チャンネル光アッテネータも本発明の範囲としている。
上記の多チャンネル光アッテネータにおいて、前記複数チャンネル分の光アッテネータを構成する複数個の前記第1のコリメートレンズおよび複数個の第2のコリメートレンズは、マイクロレンズアレイとして左右に並べて配置された状態で一体化されている多チャンネル光アッテネータとすることもできる。
上記いずれかの多チャンネル光アッテネータにおいて、前記偏光子、前記電気光学素子、前記1/4波長板、前記検光子の少なくとも一つが、前記複数チャンネル分の光アッテネータによって形成される複数チャンネル分の光路を横断するように左右に延長して形成されていてもよい。
本発明の光アッテネータによれば、低電圧駆動が可能で減衰特性に優れている。また、製造の容易性を確保しつつ小型化が可能であり、安価に提供することも期待できる。
本発明の比較例に係る光アッテネータの構成を示す図である。 上記比較例の消光比特性を示す図である。 上記比較例の光減衰量特性を示す図である。 本発明の第1の実施例に係る光アッテネータの構成を示す図である。 上記第1の実施例に係る光アッテネータを構成する電気光学素子の残留位相差をパラメータとして、当該光アッテネータを構成する検光子の光軸周りの回転角度と光損失特性との関係を示す図である。 上記第1の実施例において、上記検光子の回転角度および上記残留位相差をパラメータとして、当該光アッテネータを構成する1/4波長板の光学軸方位と損失との関係を示す図である。 多チャンネル光アッテネータの要部を示す図である。 本発明の第2の実施例に係る光アッテネータを構成する光ファイバコリメータの光学特性を示す図である。 上記第2の実施例に係る光アッテネータの構造と概略動作を示す図である。 上記第2の実施例に係る光アッテネータを構成する偏光子と1/4波長板と検光子のそれぞれの光学軸方位を示す図である。 上記第2に係る光アッテネータの光損失特性を示す図である。 本発明の第3の実施例に係る光アッテネータの概念を説明するための図である。 上記第3の実施例に係る光アッテネータの光損失特性を示す図である。 本発明の第4の実施例に係る光アッテネータの構成を示す図である。 上記第4の実施例に係る光アッテネータを構成する1/2波長板の光学軸の方位の一例を示す図である。 上記第4の実施例に係る光アッテネータの概略動作を示す図である。 上記第4の実施例に係る光アッテネータを構成する上記1/2波長板を透過する光の状態変化を示す図である。 実用に供される一般的な光アッテネータに形成される光路の一例を示す図である。
本発明の実施例について、以下に添付図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明に用いた図面において、同一または類似の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略することがある。図面によっては説明に際して不要な符号を省略することもある。
===光アッテネータの動作原理===
本発明の実施例に係る光アッテネータは、まず、高速応答性、省電力化、小型化などの要求に応えるため、EO物質の電気光学効果に基づく位相差を動作原理として採用した。さらに簡素な構造で低電圧駆動を可能とするために、KTNなどの初期状態において複屈折効果に起因する位相差(以下、残留位相差とも言う)が発生してしまうEO物質を敢えて利用することとした。そして、残留位相差を相殺するための構成について鋭意研究を重ねることで本発明に想到した。
===残留位相差の相殺原理===
以下に、本発明の実施例に係る光アッテネータによる残留位相差の相殺原理について説明する。
<従来の光アッテネータの構造と特性>
まず、残留位相差の相殺原理を説明する前に、従来の光アッテネータの構造と動作、および問題点について詳しく説明する。図1は従来の光アッテネータ(以下、比較例とも言う)1の構造を示す図である。図1(A)は比較例1の構成を示す図であり、図1(B)は当該構成に含まれる偏光子10aと検光子10bの光学軸(11a、11b)の方向を示す図である。
図1(A)に示したように、比較例1には、前方から後方に向かって光B1が入射することとし、比較例1は、この前後方向に延長する光軸50に沿って偏光子10a、EO素子20、検光子10bがこの順に配置された構造となっている。EO素子20は、光軸50を法線方向とした前後の面を光の入出射面としたEO物質21を互いに対面する二つの電極(22−22)で挟持した構造である。二つの電極(22−22)は光に直交する方向に電界Eを印加するように配置されている。ここで、便宜的に電界Eの印加方向を上下方向とし、電界Eは上方から下方に印加されるものとして上と下の各方向を規定する。また、前後方向から見て上下方向と直交する方向を左右方向とし、後方から前方を見たときの方向によって左と右の各方向を規定することとする。
偏光子10aと検光子10bは、光学軸(11a、11b)を光の透過軸として、当該光学軸(11a、11b)が図1(B)に示したように、EO素子20に印加される電界E方向に対して45゜傾いている。偏光子10aと検光子10bの光学軸(11a、11b)は互いに直交あるいは平行であり、ここでは直交している場合を示している。すなわち、図示した比較例1は、EO素子20に電界Eを印加していない状態(以下、初期状態とも言う)で暗状態となる、所謂ノーマリオフ型となっている。互いに平行である場合では、初期状態で明状態となり、ノーマリオン型となる。
EO素子20の電極間(22−22)に駆動回路60により電圧が印加されると、EO物質21内に電界Eが発生する。EO物質21は、この電界Eにもとづく複屈折効果により、入射した直線偏光B2を電界E方向に平行な方向に振動する光(以下、TE光)BTEと電界方向に垂直な方向に振動する光(以下、TM光)BTMに分離し、TE光BTEとTM光BTMとの間には印加した電界Eに応じた位相差が生じ、その位相差に応じた楕円偏光B3を後方に向けて出射する。TE光BTEとTM光BTMとの間でπ(rad)=180°の位相差が生じれば、入射した直線偏光B2が光軸50周りに90°回転した光B3として後方に出射することになる。
検光子10bは、EO素子20から光B3が入射されると、その光B3において、自身の光学軸11bと直交する方向の成分を遮断し、光学軸11bの方向と一致する成分の直線偏光B4を後方に出力する。それによって偏光子10aに入射した光B1の強度が減衰されてこの光アッテネータ1から出射される。
また、EO素子20のEO物質21に電界Eが印加されて180゜の位相差が生じた際には、入射した直線偏光B2が光軸50周りに90゜回転した直線偏光が検光子10bに入射される。ノーマリオフ型であればこの直線偏光が検光子10bの光学軸11bと一致して光透過率が最大となるオン状態となる。ノーマリオン型であれば光が遮断されてオフ状態となる。
ところで、図1に示した比較例1において、EO素子20を構成するEO物質21が残留位相差を有している場合、例えば、ノーマリオフ型であれば初期状態における暗状態における遮光が不完全であり、十分な光減衰量が得られない。ノーマリオン型であれば180゜に相当する位相差が発生するのに十分な電界Eを印加しても、残留位相差によりEO素子20から出射する光が直線偏光にならず、やはり不完全な遮光状態となる。
図2にEO素子20に直線偏光を入射したときの消光比特性を示した。この図には、EO物質21に残留位相差がある場合の消光比特性が示されており、初期状態(E=0)において、EO素子20に入射する直線偏光の回転角度と、そのEO素子20から出射する光の消光比との関係を示している。直線偏光の回転角度は上下方向に対する角度としている。なお、EO素子20は、図1に示した前後長Leoが2.55mm、上下方向の厚さdが94μmのKTNをEO物質21として用いている。
図2に示したように、入射した直線偏光の回転角度が上下方向、すなわち電界Eの印加方向と平行にあるとき、あるいは左右方向(電界Eと直交する)にあるときに消光比が最大となり、45°傾いているときに最小となる。しかし、残留位相差が存在するため消光比の最小値が約6dBとなり、EO素子20から出射する光B3は、必ず互いに直交する2成分を有する楕円偏光となる。したがって、図1に示した比較例1では十分に遮光することができない。
図3はEO素子20に残留位相差がある場合における比較例1の光減衰特性を示している。この図3では、先に図1に示した比較例1において、EO素子20の電極間(22−22)に印加する電圧と入射光B1に対する出射光B4の減衰量との関係を示しており、偏光子10aと検光子10bの光学軸(11a、11b)がノーマリオン型の場合と、ノーマリオフ型の場合のそれぞれについて示している。ここでもEO素子20は、EO物質21として、前後長Leo=2.55mm、厚さd=94μmのKTNを用いた。
ところで、光通信用途では−30dB程度の減衰量(30dBの損失)が必要とされるが、図3に示したように、EO素子20のEO物質21に電界Eをどのように印加しても十分な減衰量が得られない。とくにノーマリオン型では、電圧を印加したときに十分な減衰量が得られず、光減衰特性が大きく劣化している。また、ノーマリオフ型では、初期状態(0V)から電圧が増加するのに伴って減衰量が減少したのち極大値に向かって増加に転じており、所望の減衰量に制御するのが難しい。ノーマリオフ型でも、減衰量が横ばいから若干増加したのち、極小値に向かって減少に転じている。すなわち、比較例では、減衰量を精度よく制御することが難しい。光アッテネータには、優れた光減衰特性とともに、初期状態(0V)において、ノーマリオン型では最大減衰量となり、ノーマリオフ型では最小減衰量となるような特性であることが望まれる。
===第1の実施例===
本発明の第1の実施例として、EO素子20における残留位相差を相殺するための必要最小限の構成を備えた光アッテネータ挙げる。図4に第1の実施例に係る光アッテネータ(以下、第1実施例)100の概略構造を示した。図4(A)は当該第1実施例100を構成する各種光学素子(10a、20、30、10b)の配置を示す図であり、この図に示したように、第1実施例100は、図1に示した比較例1と同様の構成、すなわち偏光子10aと検光子10bの間にEO素子20を配置した基本的な構成に対し、EO素子20と検光子10bとの間に1/4波長板(以下、λ/4板とも言う)30が挿入されている点が異なっている。
図4(B)〜(D)は、EO素子20以外の各光学素子(10a、30、10b)における光学軸(11a、31、11b)を後方から見たときの方位を示しており、ここでは、便宜的に、方位の基準となる軸を左右方向とするとともに、後方から見て右方を0°とした回転角度(以下、方位角)で示している。また基準となる軸に対して反時計回りとなる方向を正の回転方向としている。第1実施例100は、図4(B)と図4(C)に示したように、後方から見たときの偏光子10aと検光子10bの光学軸(11a、11b)の方位角(θ、φ)は、互いに直交あるいは平行の関係になく、検光子10bの光学軸11bは、偏光子10aの光学軸11aと直交あるいは平行となる状態から光軸50回りに角度αだけ回転させた方位となっている。ここでは、直交する状態に対して後方から見て時計回りに角度αだけ回転させている。そして、その回転角αはEO素子20における残留位相差に応じて調整されている。なお、偏光子10aの光学軸11aは比較例1と同様にEO素子20における電界Eの印加方向に対して45゜傾いている(θ=45°)。したがって、検光子10bの光学軸11bの方位角φは、φ=θ±90°−αとなっている。また、λ/4板30の光学軸31は、当該電界Eの方向に対して45゜傾いており、図4に示した例では、その方位角ωは偏光子10aの光学軸11aと同じω=45°である。
図5は、第1実施例100がEO素子20に電界Eを印加していない初期状態にあるときの検光子10bの光学軸11bの方位角φと光損失(dB)との関係を示している。そして、残留位相差δ(deg)をパラメータとしている。この図5に示したように、残留位相差δがどのような値であっても検光子10bを光軸50周りに適宜に回転させることで、損失が0dBから30dBよりも十分に大きな値まで可変する。これは、初期状態において、ノーマリオン型で損失0dB、ノーマリオフ型で実用上十分な損失30dB以上となる方位角φが存在することを意味する。以上より、第1実施例100では残留位相差が相殺されていることが確認された。
次に、λ/4板30の光学軸31の方位角ωと光損失との関係を調べた。図6に当該関係を示した。図6(A)は残留位相差δ=50゜のときに、検光子10bにおける光学軸11bの方位角φをパラメータとしたときの関係であり、図6(B)は残留位相差δをパラメータとしたときの関係である。図6(A)、(B)に示したように、λ/4板30の光学軸31の方位角ωが45゜であるとき以外では、残留位相差δが0゜を含むどのような値であっても、そして検光子10bの光学軸11bの方位角φ(検光子10bの回転角度α)をどのように調整しても、実用的な遮光状態(損失30dB以上)や結合損失がない状態(損失0dB)を実現することができない。
以上から、上記第1実施例100では、EO素子20が残留位相差δに基づく楕円偏光を後方に出射したとしても、λ/4板30がその残留位相差δを相殺して楕円偏光の長軸方向を回転させるとともに入射した楕円偏光の消光比を増大させて直線偏光を出射しているように動作していると考えることができる。すなわち、EO素子20に電界Eが印加されていないとき、あるいは電界Eを十分に印加して電気光学効果による位相差が180゜であるときにλ/4板30から後方に出射する光は、EO素子20における残留位相差δによって45°方向から角度αだけ傾いている直線偏光として考えることができる。
そして検光子10bの光学軸11bの方位角φは、45゜あるいは−45゜から角度αだけ回転させた角度に設定されているため、検光子10bの光学軸11bの方位角φがλ/4板30から出射された消光比の大きな楕円偏光の長軸方向に対して平行あるいは直交となる角度に一致し、光損失特性が劇的に改善されるのである。もちろんλ/4板30の光学軸31はEO素子20における電界Eの方向に対して45°傾いていればよく、その光学軸31の方位角ωは±45°とすることができる。いずれにしても、λ/4板30の光学軸31の方位角ω(=±45°)から角度αだけ傾いた直線偏光に対して直交あるいは平行となるように検光子10bの光学軸11bの方位角φを設定すれば残留位相差δを相殺することができる。なお偏光子10aと検光子10bのそれぞれの光学軸(11a、11b)の方位角(θ、φ)と残留位相差δとの関係は、EO素子20においてTM光の位相がTE光よりも進む場合を「+」とした場合、ノーマリオン型であれば、
φ=δ/2+θ、(ω=+45°のとき)
φ=−δ/2−θ、(ω=−45°のとき)
となる。ノーマリオフ型であれば、上記式の左辺と右辺がクロスニコルの関係となるように左辺あるいは右辺に90°を加算すればよい。そして、図5や図6に示した測定結果は、上記式にほぼ一致している。
===第2の実施例===
上述したように、第1実施例に係る光アッテネータ100は、巨大な誘電率を有するKTNをEO素子20に用いて低電圧駆動を可能としつつ、残留位相差δを確実に相殺して優れた光損失特性を有している。しかも、偏光子10a、EO素子20、λ/4板30、および検光子10bを光路上に配置するだけの簡素な構造であり、コストアップを招くことがない。
しかし、上記第1実施例100は、残留位相差δを相殺するための原理を確認するための構成のみを備えたものであった。そこで、つぎに、この第1実施例100と同じ動作原理を採用しつつ、実際に光通信網内に配置することを想定した光アッテネータを第2の実施例として挙げる。
第2の実施例に係る光アッテネータ(以下、第2実施例)は、光通信網のノードに設置されて、複数本の光ファイバからなる複数チャンネル分の光通信経路を伝搬する光信号を一括して減衰させる多チャンネル光アッテネータに適用することを想定したものである。多チャンネル光アッテネータは、例えば、前端と後端で対向配置される光ファイバコリメータの組を、例えば左右方向に複数組並べて配置するとともに、前後一組の光ファイバコリメータ間に図3に示した光アッテネータの構成を並べて配置したものと同様の構成を一体的に備えたものである。
<第2実施例の構成>
第2実施例では、左右方向に並ぶ複数の光ファイバコリメータを個別のコリメータで構成せず、図7に示したように、左右方向に並べられる複数本の光ファイバFのそれぞれに対応して複数個の微小なレンズCを左右方向にピッチPで並べて配置したマイクロレンズアレイMLAを用いた多チャンネル光アッテネータを想定している。具体的には、左右の幅が2cmで、8個のレンズCがピッチ127μmで左右に並んだマイクロレンアレイMLAを用いた8チャンネル光アッテネータを想定し、第2実施例では、その8チャンネルの内の1チャンネル分に相当する構成を備えている。
図8は、第2実施例を構成する光ファイバコリメータの光学特性を示す図である。ここでは、第2実施例における光ファイバとコリメートレンズ(Ca、Cb)のみを真空中に配置したときの位置関係やコリメート光の特性を示している。なお、実際に作製した第2実施例は、多チャンネル光アッテネータを構成する1チャンネル分の光アッテネータであり、図8に示した前後で対向する一対の光ファイバコリメータ間(40a―40b)に、屈折率nが1よりも大きな各種光学素子(図3、符号10a、10b、20、30)を配置した構成となる。
図8に示したように、第2実施例を構成する光ファイバ(Fa、Fb)は、モードフィールド径W0=5μmであり、コリメートレンズ(Ca、Cb)の光学特性やサイズなどは、図7に示したマイクロレンズアレイMLAを構成する個々のレンズCと同じものである。この例では、コリメートレンズ(Ca、Cb)は、焦点距離f=0.35mmであり、前方のコリメータ(以下、入射側コリメータ)40aの光ファイバ(以下、入射側光ファイバ)Faから波長λ=1550nmのレーザー光がある開口角βで後方に向かって出射されると、ビーム径W=35μmのコリメート光Bcを後方に向かって出射する。
なお、真空中では、前方のコリメートレンズ(以下、入射側レンズ)Caから出射したコリメート光Bcは、レーリー距離Zrの位置で最も収束し、以降は後方に向かって拡径していく。この例において、ビームが最も収束するビームウエストBwの位置でのビーム径(ビームウエスト径)Wは24μmである。もちろん、第2実施例では、入射側レンズCaと後方のコリメータ(以下、出射側コリメータ)40bのコリメートレンズ(以下、出射側レンズ)Cbとの間に真空中の屈折率n=1よりも大きな各種光学素子(10a、10b、20、30)が配置されることになり、入射側と出射側のレンズ間(Ca−Cb)は、図8に示した前後のコリメートレンズ間(Ca−Cb)の距離Lcよりも長くなる。
図9に第2実施例101の構成、およびオン状態とオフ状態のそれぞれにおける光路や光路の途上における光の偏光状態を示した。また図10に、第2実施例101を構成する各光学素子(10a、20、30、10b)の後面での光路の位置と各光路における光の偏向状態とを示した。図10(A)は偏光子10aの後面における光路(B21、B22)の位置と偏向状態を示しており、(B)(C)、および(D)はオン状態におけるEO素子20、λ/4板30、および検光子10bの後面での光路の位置と偏向状態を示している。図10(E)(F)、および(G)はオフ状態におけるEO素子20、λ/4板30、および検光子10bの後面での光路の位置と偏向状態を示している。また図10(A)、(C)〜(F)では後方から見たときの偏光子10a、λ/4板30、検光子10bの光学軸(11a、31、11b)の方位も示した。なお図10(D)、(G)は、図10(A)〜(C)、図10(E)、図10(F)によりも拡大して示している。そして図9、図10では、図1や図3と同様に前後上下左右の各方向を規定するとともに、上下方向にy軸、前後方向にz軸、左右方向にx軸を設定することとする。さらに入出射側コリメータ間(40a−40b)を通る直線を光軸50とし、この光軸50をz軸としている。以下では、まず、第2実施例101の具体的な構成を図9と図10に基づいて説明し、その上で、当該第2実施例101の動作について説明する。
図9に示したように、第2実施例101は、先に図7に示したマイクロレンズアレイMLAを構成する一つのレンズCと同じレンズをコリメータレンズ(Ca、Cb)として用いた入射側コリメータ40aと出射側コリメータ40bとの間に、前方から後方に向かって、偏光子10a、EO素子20、λ/4板30、検光子10bがこの順で配置された構成を有している。
また、図10(A)(C)(F)に示したように、偏光子10aとλ/4板30の光学軸(11a、31)の方位角(θ、ω)は、 x軸方向を基準として45゜に設定されている。検光子10bの光学軸11bは、EO素子20における残留位相差δをλ/4板30との組み合わせによって相殺するために、ノーマリオン型あるいはノーマリオフ型のそれぞれに対して偏光子10aと同じφ=45゜あるいはφ=−45゜の方向とした状態から、EO素子20における残留位相差δに応じて設定される角度αだけz軸周りに回転させている。なお、ここでは検光子10bの光学軸11bがノーマリオン型に対応した方位から後方から見て時計回りに角度α(≦45゜)だけ回転させることとしている。
第2実施例101における偏光子10aと検光子10bは、偏光板ではなく、光軸50を法線とした光の入出射面を有するルチル(以下、平板ルチル複屈折結晶)からなる複屈折素子である。そして偏光子10aは、前方から入射した光B1を光学軸11aと直交方向に振動する直線偏光(常光)oと、光学軸11aと平行方向に振動する直線偏光(異常光)eとに分離する、所謂「ウォークオフプリズム」として機能する。なお、偏光子10aと検光子10bは実質的に同じものである。
偏光子10aと検光子10bを構成する複屈折結晶は、屈折率n=2.569で、光学軸(11a、11b)の前後方向への方位角(前後方位角)が所定の角度γとなるように切り出されている。ここでは、後方から見て45゜となる光学軸11aの方向に沿って異常光eが常光oに対して分離しつつ、この異常光eと常光oが最も離間した位置から出射するように、前後方位角γ=47゜で切り出されている。検光子10bは、偏光子10aに対して前後対称に配置されたのち、z軸周りに所定の角度αだけ回転させた状態で配置されている。
偏光子10aから出射した常光o1と異常光e1のそれぞれに対応する二つの光路間(B21−B22)の距離(以下、ウォークオフシフト量)Wfは、先に図8に示したように、入射側レンズCaからのコリメート光B1のビームウエスト径W2が24μmであること、および図7に示したマイクロレンズアレイMLAのピッチPが127μmであることなどを考慮して設定されている。ここでは、上記ビームウエスト径W2=24μmと同じビーム径を有する二つの光路間でのクロストークが30dB以上となるようにウォークオフシフト量Wfが設定されており、Wf=64μmとしている。そして、このウォークオフシフト量Wf=64μmのx軸方向へ投影距離は約45μmであり、マイクロレンズアレイMLAのピッチP=127μmに対して十分に短い。したがって、第2実施例101の構成を左右に127μmのピッチで配置したとしても隣接するチャンネル間で光路が交錯することがない。なお、ウォークオフシフト量Wfを64μmに設定するためには、当該ウォークシフト量Wfが光学軸11aの方位(γ=47°、θ=45°)と、偏光子10aおよび検光子10bの前後長Lpとによって決まることから、ここでは当該前後長Lpを0.64mmにしている。
EO素子20は、強誘電体であるKTNをEO物質21とし、そのEO物質21の上面と下面に白金(Pt)からなる薄膜電極22が形成されてなる。電極間(22−22)の距離(KTNの上下方向の厚さ)dは、EO素子20をビームウエストBwの位置に配置することとして、ビームウエスト径W2(=24μm)やウォークシフト量Wf(=64μm)を考慮してd=94μmに設定されている。具体的には、ビームウエスト径W2=24μmの2本のビーム(B2o、B2e)が45゜の方向にウォークシフト量Wf=64μmで離間してEO物質21を前後に透過する際に、EO物質21の前後の面でケラレが生じないように電極間距離dを設定している。そしてその電極間距離dは94μmであった。
EO素子20の前後長Leoについては、コリメートレンズ間(Ca−Cb)に挿入される偏光子10a、EO素子20におけるEO物質21、λ/4板30、検光子10bのそれぞれの屈折率nと、偏光子10aと検光子10bの前後長Lp、およびλ/4板30の前後長Lλとに基づいて設定することができ、ここでは、Leo=2.55mmとなった。なお、EO物質21は屈折率n=2.185であり、λ/4板30は屈折率n=1.5で前後長0.1mmである。偏光子10aと検光子10bは屈折率n=2.569で前後長Lp=0.64mmである。そして、前後長Leo=2.55mmのEO素子20における残留位相差δは50゜であった。なおEO物質21として用いたKTNは、比誘電率εr=20000、電気光学係数g11=0.0809m4/c2である。
<第2実施例の動作>
次に、第2実施例101の動作について説明する。まず、入射側コリメータ40aから偏光子10aに入射した無偏光状態の光B1は、当該偏光子10a内で振動方向が光学軸11aと直交する常光oおよび平行となる異常光eとに分離し、図10(A)に示したようにそれぞれの光(o、e)の出射光(o1、e1)が自身の振動方向を維持して光路B21および光路B22を通ってEO素子20に入射する。
EO素子20のEO物質21は残留位相差δを有し、EO素子20に電界Eが印加されていないときは、図10(B)に示したように、EO素子20に入射した常光o1および異常光e1のそれぞれが自身の振動方向を長軸としつつ残留位相差δに応じた消光比の楕円偏光(o21、およびe21)として、光路B31およびB32上に出射される。EO素子20に電界Eが印加されると、図10(E)に示したように、常光o1および異常光e1は、電界Eに応じた電気光学効果によりTE光とTM光との位相差に応じた楕円偏光(o22、およびe22)として光路B31およびB32上に出射される。そして電気光学効果に基づく位相差が180゜であるときは、図10(E)に示したように、電界Eが印加されていないときに出射される楕円偏光(o21、e21)に対してz軸周りに90゜回転した楕円偏光(o22、e22)が出射される。
λ/4板30は、EO素子20に電界Eが印加されていない場合光路B31を通る楕円偏光o21と光路B32を通る楕円偏光e21が入射されて、図10(C)に示したように、それぞれの楕円偏光(o21およびe21)の消光比に応じた長軸方向と短軸方向の合成ベクトル方向に振動する直線偏光(o31およびe31)を光路B41および光路B42上に出射する。そしてこの直線偏光(o31およびe31)のxy面での振動方向は、偏光子10aが出射した直線偏光(o1、e1)に対して角度αだけ傾いている。図示した例では、時計回りに角度αだけ傾いている。
EO素子20に電界Eが印加されているときは、光路B31を通る楕円偏光o22と光路B32を通る楕円偏光e22が入射されて、それぞれの楕円偏光の消光比に応じた長軸方向と短軸方向の合成ベクトル方向に振動する直線偏光(o32およびe32)を光路B41および光路B42上に出射する。EO素子20における電気光学効果に基づく位相差が180゜であるときは、図10(C)に示した二つの直線偏光(o31、o31)をそれぞれz軸周りに90゜回転させた方向に振動する二つの直線偏光(o32、e32)を出射する(図10(F)参照)。
検光子10bの光学軸11bの方位角φは、後方から見たときに45゜方向に対して時計回りに角度αだけ傾いた角度となっている。そして、EO素子20に電界Eが印加されていなければ、検光子10bには光路B41を通りつつ自身の光学軸11bと平行な方向に振動する直線偏光o31と、光路B42を通り光学軸11bと直交する方向に振動する直線偏光e31が入射する。そして図10(D)に示したように、光路B41を通る直線偏光o31はそのまま直進しz軸上の光路B5oに沿って後方に出射する。一方、光路B42を通る直線偏光e31は光学軸11bの方向に屈折し、z軸上にほぼ一致する位置から出射する。より詳しくは、xy面における光路B42の位置から光軸11bと平行に延長する線11c上でz軸に最も近接する位置からz軸と平行な光路B5eに沿って出射し、z軸を含む狭小な領域B5から振動方向が互いに直交する光(o4、e4)が出射し、それらの光が出射側光ファイバFbに結合する。
EO素子20に電界Eが印加されているときは、検光子10bに、光路B41を通りつつ自身の光学軸11bと直交する方向に振動する直線偏光o32と、光路B42を通り光学軸11bと平行な方向に振動する直線偏光e32が入射することになる。そして図10(G)に示したように、光路42を通る直線偏光e32は検光子10bの光学軸11bの方位角φと直交する方向に振動しているため、検光子10b中では常光として振る舞い、そのまま直進しz軸と平行となるように離間する光路B52上に出射する。一方、z軸上の光路B41を辿って検光子10bに入射した直線偏光o32は検光子10b内では異常光として振る舞い、他方の入射光e32に対してさらに離間するように屈折し、z軸に対して光路B52と対称となる光路B51上に出射する。したがって、出射側光ファイバFbに光が結合せず遮光状態となる。
<第2実施例の光減衰特性>
上述した構成と構造を備えた第2実施例101の光損失特性を評価するために、入射側光ファイバFaの前端側から光通信に用いられる波長λ=1550nmのレーザー光からなる光信号を入力するとともに、EO素子20の電極間(22−22)の電圧を変化させて出射側光ファイバFbの後端から出力させて、入出力の前後での光信号強度を測定した。図11は第2実施例101の光損失特性を示す図であり、EO素子20の電極間(22−22)に印加する電圧と、光信号の入出力前後での強度から計算される損失との関係を示している。
図11では、図9に示したノーマリオン型に加え、ノーマリオフ型となるように検光子10bにおける光学軸11bの方位角φを設定したときの光減衰特性も示している。この図11に示したように、ノーマリオン型、ノーマリオフ型の双方で光通信の用途において十分と言われる30dBを遙かに超える40dB以上の損失を得た。そして、ノーマリオン型では、検光子10bの光学軸11bの方位角φをφ=18゜としたときに12.6Vで損失が最大となるオン状態になり、0Vで損失が0dBで結合損失の発生もなかった。ノーマリオフ型では、φ=108゜(=−72゜)としたときに電界を印加していない初期状態(0V)で損失が約40db以上となり、12.6Vで結合損失が生じることなくオン状態となった。
===第3の実施例===
上記第1および第2の実施例にかかる光アッテネータ(100、101)では、λ/4板30を用いつつ、検光子10bの角度αを調整することで、巨大な誘電率を有するKTNをEO素子20に用いて低電圧駆動を達成しつつ、KTNの残留位相差δを相殺することにも成功している。しかし、実用上問題がなければ、オン状態での特性をある程度犠牲にする代わりに、さらに低い電圧で駆動させたい,という要望がある。また、第1および第2実施例では、例えば、図11に示したように、ノーマリオン型では、EO素子20の電極間(22−22)に印加する電圧がある程度大きくならないと損失が変化しない。ノーマリオフ型においても、2V以下の電圧で実質的に十分な遮光状態が達成されている。すなわち、EO素子20の電極間(22−22)に印加する電圧値の変化に対して損失が過敏に変化する。そのため、電圧に対して損失が緩やかに変化するような特性、いわゆる「よりリニアな特性」にすることで、所望の損失を得るための駆動制御をより簡便にしたい、という要望もある。そこで、本発明の第3の実施例(以下、第3実施例)として、実用上問題のない光損失特性を有しつつ、より低電圧での駆動を達成し、さらには電圧と損失との関係(以下、電圧/損失特性とも言う)をよりリニアな特性にできる光アッテネータを挙げる。
上述したように、第3の実施例に係る光アッテネータでは、残留位相差を相殺させて結合損失を無くすのではなく、多少の結合損失を許した上で、低電圧駆動を可能にしたり、電圧と損失との関係をよりリニアな特性にしたりすることを目的としている。そこでまず、図9に示した構成の光アッテネータ101において、検光子10bの回転角度αを変えたときの電圧/損失特性について検討してみた。
図12(A)、(B)に検光子10bにおける方位角φをパラメータとしたときの電圧/損失特性を示した。ここでは、残留位相差δ=50゜とし、ノーマリオン型における特性を示した。なお図12(A)、(B)は、ともに横軸を電圧、縦軸を損失としたグラフであるが、図12(B)は、低電圧側での特性を拡大したグラフであり、縦軸を対数目盛にしている。
この図12に示したように、検光子10bを後方から見て時計回りに回転させて、方位角φを第2実施例101とほぼ同じ角度(この例では、φ≒20゜)に設定すると、2V程度の電圧よりも低いときは損失が0.01dB以下で結合損失がほとんどなくなく、徐々に電圧を上げていくと、損失が増大していく。この例では、約13Vでオフ状態となっている。そして、φ=+5゜にすると、電圧を印加していないときに結合損失が0.2〜0.3dB程度生じるものの、12V以下の電圧でオフ状態となった。また、電圧を0Vから徐々に上げていき、損失が最大となるオフ状態に至る過程では、その損失の増減傾向が反転することなく、電圧の上昇とともに徐々に損失が増大してオフ状態に至る。そして、φ=−7゜にすると、1dBの結合損失が生じるものの、約10Vでオフ状態となった。また損失の特性が反転することもなかった。すなわち、電圧を印加していない状態での結合損失を許容するならば、検光子10bの方位角φを適切に設定することでよりリニアな電圧/損失特性が得られる。
つぎに、図9に示した第2実施例101の構成を採用しつつ、検光子10bの方位角φのみをφ=−7゜に設定した光アッテネータを第3実施例として作製し、その第3実施例の電圧/損失特性を測定した。図13に第3実施例の電圧/損失特性を示した。ノーマリオン型およびノーマリオフ型の双方で30dB以上の損失が得られ、十分な遮光特性が得られることが確認できた。また、結合損失は1dBであった。そして、ノーマリオン型におけるオフ状態、ノーマリオフ型におけるオン状態となる電圧は、ともに第2実施例101の12.6Vに対して2V以上も低い10.5Vであった。従って第3実施例では、実用的な性能を備えつつ、より低電圧での駆動が可能となっている。
===第4の実施例===
第1〜第3実施例では、検光子10bを回転させることで優れた損失特性を得ていた。この検光子10bを回転させるという構成は、λ/4板30が残留位相差δに起因する楕円偏光を直線偏光に変換するとともに、その直線偏光の振動方向を回転させるという効果(以下、便宜的に旋光効果とも言う)を利用して残留位相差δを補償するものである。例えば、第1および第2実施例では、λ/4板30の旋光効果による直線偏光の振動方向に一致あるいは直交するように検光子10bの光学軸11bの方位角を設定することで残留位相差を相殺している。
しかしながら、第1および第2実施例では、偏光子10aと検光子10bとの光軸50周りの相対的な回転角度を精密に調整する必要がある。とくに偏光子10aと検光子10bに上述した平板ルチル複屈折結晶からなるウォークオフプリズムを用いる場合では、偏光子10aと検光子10bが直方体形状の立体的な形状を有し、その立体的な形状の検光子10bを偏光子10aに対して光軸50周りに回転させた状態で保持する必要がある。そのため、検光子10bを含めた各種光学素子を収納する筐体の構造が複雑となる。また検光子10bを偏光子10aに対して回転させることで、検光子10bの上下および左右方向のサイズが偏光子10aに対して実質的に大きくなる。これは、光アッテネータの小型化を阻む要因となる。もちろん、光学軸11bが上記αだけ傾くように複屈折結晶を切り出して検光子10bを作製することも考えられるが、使用するEO素子20の残留位相差δに個体差があれば、その個体差に応じた検光子10bを用意しなくてはならない。また偏光子と検光子の光学軸が互いに平行あるいは直交する以外の角度で配置されると、図9,図10に示したように、オン状態において、検光子10bの後端で常光と異常光とが完全に一致した位置から出射せず、原理的に結合損失が生じることになる。所謂偏光依存損失(PDL)と同じ現象が生じる。第1および第2の実施例では実用上問題はなかったが、入射光の強度が極めて大きな場合やオン状態での結合損失を極めて小さくしようとする場合では問題となる可能性がある。
そこで本発明の第4の実施例として、偏光子10aと検光子10bに、形状と光学軸(11a、11b)方向が同じ平板ルチル複屈折結晶を用いつつ、かつ偏光子10aと検光子10bの光学軸(11a、11b)が前後方向からみたときに互いに直交あるいは平行となるように配置しても、確実にEO素子20の残留位相差δを相殺してより優れた光減衰特性を有する光アッテネータを挙げる。
<第4の実施例の構成>
図14に第4の実施例に係る光アッテネータ(以下、第4実施例102とも言う)の概略構造を示した。図14(A)は当該第4実施例102を構成する各種光学素子(10a、20、30、70、10b)の配置を示す図であり、第4実施例102は、図9に示した第2実施例101の構成に対し、λ/4板30と検光子10bとの間に1/2波長板(以下、λ/2板70とも言う)が挿入されている点が異なっている。
図14(B)〜(E)は、それぞれ、後方から見たときの偏光子10a、λ/4板30、λ/2板70、検光子10bの光学軸(11a、31、71、11b)の方位を示している。そして、この例では、同一の複屈折素子からなる偏光子10aと検光子10bを用いつつ、双方の光学軸(11a、11b)を互いに直交させている。すなわち、検光子10bを光軸周りにαの角度で回転させていない。
周知のごとく、λ/2板70は、入射した直線偏光の振動方向を自身の光学軸71に対称となる方位となるように回転させて出射するため、EO素子20に電界Eが印加されていないとき、あるいはEO素子20に電界Eを印加して電気光学効果による位相差が180°になっているときに、λ/4板30から出射した直線偏光の振動方向と検光子10bの光学軸11bの方位とが直交あるいは平行となるようにλ/2板70の光学軸71の方位を設定すれば実質的に検光子10bを光軸50周りにαの角度で回転させたことと同じになる。
具体的には、図14(D)に示したように、λ/4板からは偏光子10aにて分離された常光と異常光に対応する互いに直交して方位角が±45゜となる二つの直線偏光を角度αだけ傾けた二つの直線偏光Pが出射する。この例では、二つの直線偏光Pは±45°の方位に対して時計回りに角度αだけ傾いている。すなわち二つの直線偏光Pの方位は、±45°−αとなっている。したがって、この二つの直線偏光Pと検光子10bの光学軸11bの方位角φあるいは当該方位角φと直交する方位角との等角二等分線上にλ/2板70の光学軸71の方位を一致させればよい。図14に示した構成では、λ/2板70の光学軸71の方位角ωをω=45゜−α/2に設定した例を示している。もちろん、図15に示したようにω=−45゜−α/2に設定してもよい。
<第4実施例の動作>
図16に第4実施例102の動作を示した。ここでは、第2実施例101と同様に前後で対向する一対の光ファイバコリメータ間(40a−40b)に各種光学素子(10a、20、30、70、10b)を配置した構成を示した。当該構成では、入射側コリメータ40aから偏光子10aに入射した無偏光状態の光B1が偏光子10a、EO素子20、およびλ/4板30を経て後方に出射するまでの光路(B1→B21→B31→B41、B1→B22→B32→B42)や各光路(B21、B22、B31、B32、B41、B42)のそれぞれにおける光(o1、e1、o21またはo22、e21またはe22、o31またはo32、e31またはe32)の偏光状態については図9に示した第2実施例101と同様である。そして第4実施例102では、λ/2板70が入射した直線偏光の振動方向の方位を自身の光学軸71に対称となる方位にまで回転させて出射する。すなわち、λ/2板70が、第2実施例101において検光子10bを光軸50周りに傾けることに相当する機能を担っている。
図17にλ/2板70を透過する光の状態変化を示した。図17(A)は後方から前方を見たときに、λ/2板70の前面に入射する光(o31またはo32、e31またはe32)の位置と偏光状態を示しており、図17(B)はλ/2板70の後面における光(o41またはo42、e41またはe42)の位置と偏光状態を示している。以下、第4実施例102の動作を図16と図17を参照しながら説明する。
図16、図17(A)に示したように、EO素子20に電界Eが印加されていないときは、λ/2板70は、光路B41を通る直線偏光o31と光路B42を通る直線偏光e31が入射される。これらの直線偏光(o31、e31)の方位はそれぞれ−45°−α、45°−αである。そして図17(B)に示したように、それぞれの直線偏光(o31、e31)の振動方向は、λ/2板70の光学軸71の方向を等角二等分線とした方位となるように回転する。すなわち、入射した直線偏光(o31およびe31)のそれぞれの振動方向が方位角−45°および45°となるように回転して出射する。そして、この±45°の方位角は検光子10bの光学軸11bの方位角と一致あるいは直交する角度となる。図16に示した例では、検光子10bの光学軸11bの方位角φは+45°であるので、この光学軸11bの方位に一致する光e41が検光子10b内で異常光として振る舞い、光学軸11b方向に屈折する。その結果、検光子10bに入射した二つの直線偏光(o41、e41)は検光子10bの後端で光軸50の位置(z軸上)から光路B160に沿って出射する。それによって出射側コリメータ40bの光ファイバFbに結合し、オン状態となる。
一方、EO素子20に電界Eが印加されて電気光学効果による位相差が180°である場合には、電界Eが印加されていないときの直線偏光(o31、e31)対して振動方向が90°回転した直線偏光(o32、e32)がλ/2板70に入射され、それぞれの直線偏光(o32およびe32)が−45°方向および+45°方向を振動方向とした直線偏光(o42、e42)として出射する。この場合、光路152を通る直線偏光e42が検光子10bの光学軸11bの方位角φと直交する方向に振動しているため、当該直線偏光e42は検光子10b中では常光として振る舞い、そのまま直進してz軸と離間する光路B162上に出射する。一方、光路B151を通る直線偏光o42は検光子10b内では異常光として振る舞い、他方の入射光e42に対してさらに離間するように屈折し、z軸に対して光路B162と対称となる光路B161上に出射する。したがって、出射側光ファイバFbに光が結合せず遮光状態(オフ状態)となる。
このように第4実施例102では、オン状態において、偏光子10aにて分離した光が検光子10bの後面の同じ位置から出射する光路が形成されるため、高強度の光を入射する場合にも対応して、低損失でその高強度の光を透過させることができる。また偏光子10aと検光子10bをそれぞれの光学軸(11a、11b)の方位が一致あるいは直交するように配置することができ、第2実施例101のように検光子10aを光軸50回りに回転させる必要がない。平板状のλ/2板70であれば、z軸方向を法線としてこのz軸周りに周りにλ/2板70を回転させるだけで容易に光学軸の方向を調整することができる。
そして偏光子10aと検光子10bを立体的な形状を有する複屈折素子で構成する場合には、双方の光学軸(11a、11b)の相対的な方位を厳密に調整する必要がなくなる。偏光子10aと検光子10bを実質的に同じ光学素子で構成することもでき部品の種類を少なくすることもできる。また光アッテネータの組み立ても容易になり、光学素子を保持する筐体の構造も簡素にすることができる。
===その他の実施例===
上記各実施例では、λ/4板30をEO素子20の後方に配置していたが、λ/4板30はEO素子20にて発生した残留位相差δを相殺するための光学素子である。そこで、EO素子20の前方にλ/4板30を配置しても同様に45゜の方位からαだけ傾いて直線偏光が検光子10bに入射させる構成に変更できると考えられる。すなわちEO素子20に45゜の方位に振動する直線偏光が入射される前にその直線偏光のTE成分、あるいはTM成分に相当する上下あるいは左右方向の振動成分にあらかじめ位相差を与えて楕円偏光にしておき、その楕円偏光をEO素子20にて発生する残留位相差δによって相殺させて直線偏光に戻すのである。
第3の実施例では、検光子10bの回転角度を調整することで、実用上問題のない光損失特性を確保しつつより低電圧での駆動を可能にしたり、電圧/損失特性がよりリニアな特性となるようにしたりしていた。その一方で、より大きな損失とよりリニアな電圧/損失特性をともに得たいという要望もある。そこで、損失が最大となる電圧よりも低い電圧領域ではEO素子20の電極間(22−22)にバイアス電圧を印加するようにしてもよい。例えば図12(A)に示したφ=+20゜の特性曲線では、約5Vの電圧で実質的にオン状態になっているが、5V程度のバイアス電圧をかければ電圧/損失特性がリニアな特性となる。もちろん、バイアス電圧は一定でなくてもよい。バイアス電圧を制御することで任意の電圧/特性に調整することが可能となる。
上記第2実施例101および第4実施例102では、多チャンネル光アッテネータの1チャンネル分を1組のコリメータ間(40a−40b)に各種光学素子(10a、20、30、10bまたは10a、20、30、70、10b)を配置することで再現していた。実際に多チャンネル光アッテネータを構成する場合には、複数本の光ファイバが並んだ状態で保持されているテープ心線とマイクロレンズアレイを用いることで実質的に複数個のコリメータと同じ構成とすることができる。また、偏光子、EO素子、λ/4板、検光子からなる光学素子群、あるいは光子、EO素子、λ/4板、λ/2板、検光子からなる光学素子群は、チャンネルと同じ数だけ左右に並べてもよいし、少なくとも一つの光学素子が複数チャンネル分の光路間に亘って介在するように、左右方向に延長する一体的な形状であってもよい。もちろん、光学素子の全てが複数チャンネル分の光路間に亘って介在する形状に形成されていてもよい。
光通信網内では、光アッテネータは、室内など温度変化が少ない場所に設置されることが多いため、上記第2、第4実施例では、周囲の温度変化を考慮した構成を備えていなかった。しかし、EO素子における残留位相差は、周囲の温度によって変化する可能性があることから、光アッテネータに温度調整機構を付加してもよい。あるいはEO素子の電極間にあらかじめバイアス電圧を印加しておき、EO物質に所定のリタデーションを発生させ、そのリタデーションを維持するようにしてもよい。
いずれにしても、λ/4板から後方に向けて出射する直線偏光の方位を実質的に回転させて、EO素子素子を偏光子と検光子で挟持した基本構成に係る光アッテネータに対して、より低電圧でより優れた光損失特性が得られるようにすればよい。そしてλ/4からの直線偏光を実質的に回転させるための構成が構成が第1〜第3実施例のように、検光子の光学軸の方位角を調整することであったり、第4実施例のようにλ/4板と検光子との間に挿入されるλ/2板であったりする。
なお、前後で対向する光ファイバコリメータ間に各種光学素子を配置した構成の光アッテネータでは、光ファイバに戻り光が入射するのを防止するために、普通、光ファイバの端面が一方向に研磨されている。すなわち端面が光軸に対して傾いている。したがって、実用に供する光アッテネータでは、前後で対向する光ファイバの端面同士を結ぶ線を光軸として設定したとき、入射側ファイバコリメータからの出射光は、光軸に対してわずかに傾いている。そこで一般的には、光路が前後対称となるようにEO素子の前後両面を光軸に対して傾くように研磨している。図18に、光ファイバ(Fa、Fb)の端面が研磨されているときの光アッテネータの構造を示した。なお、この図では、説明に不要な光学素子を省略し、光ファイバ(Fa、Fb)における端面の研磨方向と、EO素子20における光の入出射面の傾斜方向、および光ファイバ間(Fa−Fb)の光路のみを模式的に示した。図18に示したように、対向する光ファイバ(Fa、Fb)は、端面の研磨方向が互いに反対方向である。そしてEO素子20は左右方向から見ると台形状に形成されて、光の入出射面とそれに対向する光ファイバ(Fa、Fb)の端面が互いに反対方向に傾斜している。この図では、入射側光ファイバから光軸50に対して斜め上方に光が出射している。そしてこの光がEO素子内では光軸50と平行な光路を辿るように屈折し、EO素子から出射した光は斜め下方に向かう光路を経て後方の光ファイバに至る。したがって、光アッテネータ内にはEO素子に対して前後対称の光路が形成される。
1,100,101,102 光アッテネータ、10a 偏光子、10b 検光子、
11a、11b、31、71 光学軸、20 電気光学素子(EO素子)、
21 電気光学物質(EO物質、KTN)、22 電極(Pt薄膜電極)、
30 1/4波長板(λ/4板)、40a,40b 光ファイバコリメータ、
50 光軸、70 1/2波長板(λ/2板)、C レンズ、
Ca,Cb コリメートレンズ、
F,Fa,Fb 光ファイバ(シングルモード光ファイバ)、
MLA マイクロレンズアレイ

Claims (10)

  1. 前後方向に延長する光軸に沿って前後に光の入出射面を有する複数の光学素子が配置されて、前方から入射された光の強度を減衰させて後方から出射する光アッテネータであって、
    前記光軸に直交し、かつ互いに直交する2方向をそれぞれ上下方向、左右方向として、
    前方から前記光軸に沿って、前記光学素子として、偏光子、電気光学素子、および検光子がこの順に配置されてなる基本構成に、前記偏光子と前記電気光学素子との間、あるいは前記電気光学素子と前記検光子との間のいずれかに配置された1/4波長板が光学素子として追加された構成を有し、
    前記電気光学素子は、電気光学効果を有するとともに電気光学物質が上下方向で対面する電極によって挟持されて、外部の駆動回路により当該対面する電極間に電圧が印加されると前記電気光学物質に複屈折効果が発現し、前方から入射した直線偏光に前記電圧に応じた所定の位相差を与えて後方から出射し、
    前記偏光子は、後方から前方を見たときに光学軸が左右方向に対して所定の方向に45°傾いており、
    前記電気光学物質は、前記電気光学素子の前記対面する電極間に電圧が印加されていない状態において、所定の残留位相差による複屈折効果を有し、
    前記1/4波長板は、前後方向から見たときに光学軸が左右方向に対して45゜傾いており、前記検光子に直線偏光が入射されるように前記電気光学素子における前記残留位相差を補償し、
    前後方向から見たときに、前記検光子に入射される直線偏光の振動方向と、前記検光子の光学軸の方向との交差角度を変化させる偏光方位回転手段を備え、
    前記偏光方位回転手段は、前記基本構成において前記偏光子と検光子のそれぞれの光学軸の方向が前記左右方向に対して所定の方向に45°傾いているときよりも、光強度が最も小さくなるオフ状態での前記減衰量を大きくするとともに、光強度が最も大きくなるオン状態での前記減衰量を小さくする、
    ことを特徴とする光アッテネータ。
  2. 請求項1において、前記偏光方位回転手段は、前後方向から見たときに、光学軸が前記偏光子の光学軸の方向と一致あるいは90°傾いた方向から角度αで前記光軸回りに回転させた方向に傾いている検光子で構成されていることを特徴とする光アッテネータ。
  3. 請求項2において、前後方向から見たときに、前記1/4波長板から出射する前記直線偏光は、左右方向から45゜傾いた方向から前記角度αだけ傾いた方向に振動していることを特徴としている特徴とする光アッテネータ。
  4. 請求項1において、
    前記1/4波長板と前記検光子との間に前記偏光方位回転手段を構成する光学素子として1/2波長板が配置され、
    前後方向から見たときに、前記検光子の光学軸が前記偏光子の光学軸の方向と一致あるいは90゜傾いているとともに、前記1/2波長板の光学軸の方位に対して前記1/4波長板から出射する前記直線偏光の方位と前記検光子の光学軸の方位とが対称である、
    ことを特徴とする光アッテネータ。
  5. 請求項1〜4に記載の前記光アッテネータにおいて、前記電気光学物質は一般式K1-yTa1-xNb(但し、Mは1価の金属、0<x<1、0≦y<1)で表される物質であることを特徴とする光アッテネータ。
  6. 請求項1〜5に記載の前記光アッテネータにおいて、
    前記偏光子の前方に配置された第1のコリメートレンズと、当該コリメートレンズの前方に配置されるとともに後端が開口する第1の光ファイバと、前記検光子の後方に配置された第2のコリメートレンズと、当該第2のコリメートレンズの後方に配置されるとともに前端が開口する第2の光ファイバとを備え、
    前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバの開口同士を結ぶ線を前記光軸として、 前記第1のコリメートレンズは、前記第1の光ファイバが後方に向けて出射した光を光軸に沿う平行光として後方に出射し、
    前記第2のコリメートレンズは、前方から前記光軸に沿って入射した平行光を前記第2の光ファイバに結合させる、
    ことを特徴とする光アッテネータ。
  7. 請求項6に記載の前記光アッテネータおいて、前記偏光子と前記検光子は、複屈折素子からなり、前方から無偏光状態の一つの平行光が入射されると常光と異常光に分離するとともに、後方から見たときの前記光学軸の方向に沿って離間する二つの平行光として後方に出射するように構成されているウォークオフプリズムであることを特徴とする光アッテネータ。
  8. 請求項7に記載の前記光アッテネータを1チャンネル分の光アッテネータとして、当該1チャンネル分の左右に複数チャンネル分並べたものに相当する構成を一体的に備えたことを特徴とする多チャンネル光アッテネータ。
  9. 請求項8に記載の前記多チャンネル光アッテネータにおいて、
    前記複数チャンネル分の光アッテネータを構成する複数個の前記第1のコリメートレンズおよび複数個の第2のコリメートレンズは、マイクロレンズアレイとして左右に並べて配置された状態で一体化されていることを特徴とする多チャンネル光アッテネータ。
  10. 請求項8または請求項9に記載の前記多チャンネル光アッテネータにおいて、前記第1および第2のコリメータ間に配置される光学素子の少なくとも一つが、前記複数チャンネル分の光アッテネータによって形成される複数チャンネル分の光路を横断するように左右に延長して形成されていることを特徴とする多チャンネル光アッテネータ。
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