JP2015213976A - ロボットマニピュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】リンクの自重によって関節にかかるトルクを補償する機械的な自重補償機構を簡易な構成で実現する。
【解決手段】第一関節2に支持部15に対し回転自在に設けられた原動プーリ10と、第二関節4に前腕リンク5の回転に応じて同じ回転角度で回転可能に設けられた従動プーリ8を設け、これら原動プーリ10と従動プーリ8とはタイミングベルト9によって同期回転する。第一関節2には、前腕リンク5の自重によって第二関節4にかかる負荷を打ち消す向きに前腕リンク5にトルクを付与するための、前腕補償用カム11及び前腕補償用ばね12が設けられる。前腕補償用カム11及び前腕補償用ばね12は、原動プーリ10及び従動プーリ8並びにタイミングベルト9を介して、前腕リンク5の回転角度に応じたトルクを前腕リンク5に付与する。このような機械的な自重補償機構は、従来と異なりリンク機構を用いておらず、簡易な構成で実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、リンクの自重によって関節に作用する負荷を補償する機械的な自重補償機構を備えた多関節のロボットマニピュレータに関する。
多関節のロボットマニピュレータは複数のリンク(又はアームとも呼ぶ)を有し、これらのリンクは関節を介して相互に接続されている。各リンクは、各関節を回転軸としてモータ等によって回転駆動される。一般的に、モータはリンク駆動のために用いられるだけでなく、姿勢維持のためにも用いられている。その場合、モータがリンクの自重によって関節に作用する負荷(関節トルク)を打ち消す向きにトルクを発生させることから、これによりリンクは支えられる。
ところで、リンクの自重を支えるのにモータトルクの大半が使われると、モータによってリンクを高速且つ高精度に駆動することが難しくなる。そこで、姿勢維持のためにモータにかかる負担を減らすため、リンクの自重を補償する機械的な自重補償機構を備えたマニピュレータが従来から知られている(特許文献1)。従来のマニピュレータでは、機械的な自重補償機構として四節リンク機構などのリンク機構が用いられている。
特開2009‐291843号公報
しかしながら、従来のマニピュレータには以下に示すような問題がある。すなわち、リンク機構による自重補償機構はリンク同士が構造的に干渉するので、可動領域を大きく確保することが難しい。また、リンク機構そのものはマニピュレータを小型化するのに適していない。さらに、リンク機構はリンクを駆動する動力伝達機構としても機能するが、リンク機構自体は剛性が低下しやすくまた遊び(ガタ)も発生しやすいことから、精度の高い位置決め制御を行うことが難しい。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、リンクの自重によって関節にかかる負荷を補償する機械的な自重補償機構を簡易な構成で実現したロボットマニピュレータの提供を目的とする。
本発明に係るロボットマニピュレータは、基台と、前記基台に設けられた支持部と、前記支持部に第一関節を介して回転可能に接続された第一リンクと、前記第一リンクに第二関節を介して回転可能に接続された第二リンクと、前記支持部に対し前記第一リンクを回転駆動する第一駆動手段と、前記第一リンクに対し前記第二リンクを回転駆動する第二駆動手段と、前記第一関節に、前記支持部に対し回転自在に設けられた第一回転体と、前記第二関節に、前記第一リンクに対して回転自在に且つ前記第二リンクに対して回転不能に設けられた第二回転体と、前記第一回転体と前記第二回転体とに巻き回されて、前記第二回転体と前記第一回転体とを駆動連結する巻回部材と、前記第一関節に設けられ、前記第一リンクの自重によって前記第一関節にかかる負荷を打ち消す向きに、前記第一リンクにトルクを付与する第一トルク付与手段と、前記第一関節に設けられ、前記第二リンクの自重によって前記第二関節にかかる負荷を打ち消す向きに、前記第一回転体、前記巻回部材、及び前記第二回転体を介して前記第二リンクにトルクを付与する第二トルク付与手段と、を備える。
本発明によれば、リンク機構を用いずに機械的な自重補償機構を簡易な構成で実現したので、従来と異なりリンク同士の機構的干渉が生じない。したがって、リンクの可動域が制限されず、結果として従来よりも広範な動作範囲を持つロボットマニピュレータを提供できる。また、リンク機構に比べてコンパクトな構成であるので、ロボットマニピュレータを小型化するのに適している。さらに、ロボットマニピュレータの位置決め精度を向上させやすい。
本発明の実施形態に係るロボットマニピュレータの全体構成を示す斜視図である。 リンクの動作原理を説明する模式図である。 自重補償機構による力のつり合いを解析するための解析モデルを示す図である。 図3に示した解析モデルにおける位置ベクトルを示す図である。 図3に示した解析モデルにおいて、第二関節にかかる負荷を説明する図である。 図3に示した解析モデルにおいて、第一関節にかかる負荷を説明する図である 図3に示した解析モデルにおいて、タイミングベルトを介して第一関節にかかる負荷を説明する図である。 ダイレクトドライブ方式の駆動形態を採用したロボットマニピュレータを説明するための断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。まず、本発明の実施形態に係るロボットマニピュレータの概略構成について、図1を用いて説明する。説明を理解しやすくするために、ここではロボットマニュピュレータとして2自由度マニピュレータを示した。
[実施形態]
図1に示すように、ロボットマニュピュレータは、基台1と、支持部15と、第一リンクとしての上腕リンク3と、第二リンクとしての前腕リンク5とを備える。基台1には、基台1の接地面に対して垂直方向に延びる支持部15が突設されている。上腕リンク3は、支持部15の先端部に第一関節2を介して回転可能に接続されている。前腕リンク5は、上腕リンク3の他端側つまり支持部15に接続された側でない上腕リンク3の一端に第二関節4を介して回転可能に接続されている。
第一関節2及び第二関節4には、第一駆動手段としての上腕駆動アクチュエータ6、第二駆動手段としての前腕駆動アクチュエータ7がそれぞれ設けられている。すなわち、上腕駆動アクチュエータ6は上腕リンク3の第一関節2側に搭載されて、第一関節2を支点に支持部15に対し上腕リンク3を回転駆動し得る。前腕駆動アクチュエータ7は上腕リンク3の第二関節4側に搭載されて、第二関節4を支点に上腕リンク3に対し前腕リンク5を回転駆動し得る。これら上腕駆動アクチュエータ6及び前腕駆動アクチュエータ7は、図示を省略したが例えば電動モータなどの駆動源や波動歯車などの減速機構等を含んで構成されている。
上腕リンク3には、第一関節2に上腕補償用カム13が固定されている。すなわち、第一カム部材としての上腕補償用カム13は、上腕リンク3の回転に従って支持部15に対する上腕リンク3の回転角度と同じ角度で上腕リンク3と一緒に回転できるようになっている。上腕補償用カム13には、一端が基台1に接続されている上腕補償用ばね14の他端が接続されている。第一弾性部材としての上腕補償用ばね14は、上腕補償用カム13つまりは上腕リンク3の回転角度に応じて伸縮し、上腕リンク3の自重によって第一関節2にかかる負荷を打ち消す向きに、所定のトルク(反トルク)を上腕リンク3に対して付与する。このように、上腕補償用カム13及び上腕補償用ばね14により構成される機構は、上腕リンク3の自重を支える機械的な自重補償機構として機能する。
前腕リンク5には、第二関節4に前腕補償用従動プーリ8(以下、単に従動プーリと記す)が前腕リンク5の回転軸と同軸に固定されている。第二回転体としての従動プーリ8は、前腕リンク5の回転に伴って従動する。その際に、従動プーリ8は、上腕リンク3に対する前腕リンク5の回転角度と同じ角度で前腕リンク5と一緒に回転する。すなわち、従動プーリ8は、第二関節4に、上腕リンク3に対して回転自在に且つ前腕リンク5に対して回転不能に設けられている。支持部15には、前腕補償用原動プーリ10(以下、単に原動プーリと記す)が上腕リンク3の回転軸と同軸である第一関節2に回転自在に設けられている。従動プーリ8と原動プーリ10にはベルト部材としてのタイミングベルト9が巻き回されており、該タイミングベルト9によって従動プーリ8と原動プーリ10とは同期回転し得るように駆動連結されている。
ここで、図2(a)に上腕リンク3と前腕リンク5とがなす角度が深い(急な)状態を概略的に示し、図2(b)に図2(a)に示した状態に比べて上腕リンク3と前腕リンク5とがなす角度が浅い状態を概略的に示す。図2(a)及び図2(b)に示すように、上腕リンク3と前腕リンク5がどのような姿勢であっても、従動プーリ8と原動プーリ10の相対角度は常に同じ角度であるように、従動プーリ8と原動プーリ10とは同期回転することができる。これは、本発明の実施形態に係るロボットマニピュレータでは、従動プーリ8と原動プーリ10とがタイミングベルト9によって同期回転するように設けられるからである。言い換えれば、同期回転するように従動プーリ8及び原動プーリ10、タイミングベルト9は構成される。具体的には、従動プーリ8と原動プーリ10は同一の半径を有する円形状に形成されている。また、従動プーリ8及び原動プーリ10とタイミングベルト9との間には、すべりが生じないようになっている。勿論、この構成に限られない。
図1に戻って、第一回転体としての原動プーリ10には、支持部15と反対側の側面に前腕補償用カム11が固定されている。すなわち、第二カム部材としての前腕補償用カム11は、原動プーリ10の回転に従って原動プーリ10の回転角度と同じ角度で原動プーリ10と一緒に回転する。前腕補償用カム11には、一端が基台1に接続されている前腕補償用ばね12の他端が接続されている。第二弾性部材としての前腕補償用ばね12は、前腕補償用カム11つまりは前腕リンク5の回転角度に応じて伸縮して、前腕リンク5の自重によって第二関節4にかかる負荷を打ち消す向きに、所定のトルク(反トルク)を前腕リンク5に対して付与する。このように、従動プーリ8、タイミングベルト9、原動プーリ10、前腕補償用カム11、前腕補償用ばね12により構成される機構は、前腕リンク5の自重を支える機械的な自重補償機構(前腕自重補償機構と呼ぶ)として機能する。
なお、第一トルク付与手段としての前腕補償用カム11及び前腕補償用ばね12からなる機構、第二トルク付与手段としての上腕補償用カム13及び上腕補償用ばね14からなる機構を、ここでは反力生成機構と呼ぶ。反力生成機構では、例えば補償用カム(11,13)にワイヤなどの被巻取部材を巻き取り可能に接続し、被巻取部材の巻き取りに伴って補償用ばね(12,14)を伸縮させて、当該カムの回転角度に応じた大きさのトルクを発生させる様に構成してもよい。また、上腕リンク3や前腕リンク5の回転角度に応じて第一関節2や第二関節4に発生する負荷を相殺するように、補償用カム(11,13)の輪郭形状は非円形の形状に形成するとよい。さらに、補償用ばね(12,14)の代わりに重りやアクチュエータなどを被巻取部材に接続してもよい。
ところで、ロボットマニピュレータの姿勢を維持するには、上腕リンク3及び前腕リンク5の自重によって第一関節2及び第二関節4にかかる負荷を相殺できればよい。そのためには、上記した各々の反力生成機構で、第一関節2及び第二関節4にかかる負荷に等しいトルク(反トルク)を上腕リンク3や前腕リンク5に付与する必要がある。各々の反力生成機構で付与すべきトルク(反トルク)の大きさは、前腕リンク5と支持部15との相対角度、上腕リンク3と支持部15との相対角度によってそれぞれ決定される。そこで、ロボットマニピュレータの姿勢を維持するために、各々の反力生成機構で付与するトルクについて図3乃至図7を用いて説明する。
各反力生成機構で付与するトルクは、上腕リンク3及び前腕リンク5の自重を保持するのに必要とされるトルクを解析的に計算して求められる。ここでは、図3及び図4に示す3自由度マニピュレータモデルを用いて求める。図3及び図4に示す3自由度マニピュレータモデルは、図1に示した2自由度のロボットマニピュレータに旋回軸として回転関節101を付加した構成のモデルである。3自由度マニピュレータは、製品の組立作業や部品搬送作業等に広く用いられている6軸ロボットの基本構成である。このような、3自由度マニピュレータモデルは、一般的なロボットマニピュレータの姿勢維持のために必要なトルクを求めるのに最適である。
図3及び図4に示す3自由度マニピュレータモデルは、重力方向(図中gで記す)と略平行な回転軸を有する回転関節101に対し、直列に二つの回転関節(102、103)が配置されている。これら回転関節101〜103は、リンク111(支持部15のモデル)、リンク112(上腕リンク3のモデル)、リンク113(前腕リンク5のモデル)を接続する。関節102(第一関節2のモデル)及び関節103(第二関節4のモデル)は、互いの回転軸が略平行に且つ関節101の回転軸と略垂直になるように配置されている。すなわち、関節102及び関節103の各回転軸は、重力方向にも略垂直となっている。この場合、支持部15は、関節102を介してリンク112と接続されるリンク111(第三リンク)と、基台1に設けられるリンク114(第四リンク)と、水平平面上でリンク111とリンク114とを回動自在にする関節101(第三関節)とを有する。
図3において、「r」は、リンク112のリンク長(関節102の回転中心から関節103の回転中心までの長さ)を表す。「r」は、リンク113のリンク長(関節103の回転中心からマニピュレータの出力点(前腕リンク5先端)までの長さ)を表す。「r2,g」は、関節102の回転中心からリンク112の重心位置までの距離を表す。「r3,g」は、関節103の回転中心からリンク113の重心位置までの距離を表す。
図4において、「R」は、関節102の回転中心から関節103の回転中心までの相対位置を示す位置ベクトル(リンクベクトル)を表す。「R」は、関節103の回転中心からマニピュレータの出力点(前腕リンク5先端)までの相対位置を示す位置ベクトルを表す。「R2,g」は、関節102の回転中心からリンク112の重心位置までの相対位置を示す位置ベクトルを表す。「R3,g」は、関節103の回転中心からリンク113の重心位置までの相対位置を示す位置ベクトルを表す。また、「m」はリンク112の質量を表し、「m」はリンク113の質量を表す。
ロボットマニピュレータの姿勢維持のために各関節101〜103で生成すべきトルクは、以下に示すようにして求められる。各トルクは各リンク111〜113における力とトルクとのつり合い関係を、葉先側つまり基台1に近い側とは反対側のリンク113から根本側のリンク111にむかって順に追っていくことで求められる。
まず、図5に示す自由体図を用いてリンク113における力の釣り合いを考える。リンク113の重心に作用する重力「f3,g」、関節103で支持すべき並進力「f」、プーリ123(従動プーリ8のモデル)で支持すべきトルク「T」は、以下に示す式1〜式3によって求められる。ここで、重力加速度ベクトルをg= [0,0,−g]、関節103の回転中心方向を示す単位ベクトルを「s」、関節103の回転変位(リンク111とリンク113の間の相対角度)を「φ」で表す。なお、以下では、正弦関数を「SIN」で表す。
3,g=mg = [0,0,−mg] ・・・ 式1
=−f3,g = [0,0,−mg] ・・・ 式2
=s・(R3,g×f3,g)=s・(R3,g×mg)
=−m・r3,g・gSIN(φ)・・・ 式3
同様に、図6に示す自由体図を用いてリンク112における力の釣り合いを考える。関節102で支持すべきトルク「T」は、式4によって求められる。ここで、関節102の回転中心方向を示す単位ベクトルを「s」、リンク112の重心に作用する重力を「f2,g」で表す。
=s・(R2,g×f2,g+R×(−f)) ・・・ 式4
ところで、リンク113の姿勢を維持するために必要な反力トルク(式3の「T」と等しい)は、プーリ123、プーリ122(原動プーリ10のモデル)、ベルト121(タイミングベルト9のモデル)によって支持される(図7参照)。つまり、トルク「T」はリンク112に直接作用しない。そこで、関節102の回転変位(リンク111とリンク112の間の相対角度)を「φ」で表したうえで式4を具体的に計算すると、式5に示すようになる。
=−m・r2,g・gSIN(φ)−m・r・gSIN(φ
=−(m2,g+m)gSIN(φ) ・・・ 式5
最後に、関節101は基台1に対して回転軸が垂直方向(つまり重力の働く向き)に配置されているため、リンク111の姿勢を維持するためのトルクは必要でない。したがって、リンク111の姿勢を維持するために必要なトルク「T」は、式6に示すように「0」である。
= 0 ・・・ 式6
以上のようにして、求めた各リンク111〜113の姿勢を維持するのに必要なトルク「T」、「T」、「T」を、式7にまとめて示す。
Figure 2015213976
式7から理解できるように、姿勢維持に必要なトルク「T」及び「T」(重力に対抗してロボットマニピュレータの姿勢を維持するために各々の反力生成機構が出力すべき姿勢維持トルク)は、それぞれφとφのみの関数となっている。このことから、関節(102,103)の一方がどのような角度をとっても、他方の関節(102,103)へ作用させるべき姿勢維持トルクは変化しないことがわかる。
こうして、本発明の実施形態に係るロボットマニピュレータでは、上述した各々の反力生成機構によって生成されるトルク(反トルク)が上腕リンク3及び前腕リンク5それぞれの自重を補償するように自重補償機構を構成している。すなわち、上腕リンク3の自重を支えるために、上腕補償用カム13及び上腕補償用ばね14により機械的な自重補償機構を構成した。また、前腕リンク5の自重を支えるために、従動プーリ8、タイミングベルト9、原動プーリ10、前腕補償用カム11、前腕補償用ばね12により機械的な自重補償機構を構成した。これによれば、ロボットマニピュレータの全可動域にわたって上腕リンク3及び前腕リンク5の自重によって第一関節2及び第二関節4それぞれにかかる負荷を補償できるので、どのような姿勢でもロボットマニピュレータの姿勢を維持することができる。
以上のように、第一関節2に支持部15に対し回転自在に設けられた原動プーリ10と、第二関節4に前腕リンク5の回転に応じて同じ回転角度で回転可能に設けられた従動プーリ8とをそれぞれ設ける。これら原動プーリ10と従動プーリ8とは、タイミングベルト9によって同期回転する。そして、第一関節2には、前腕リンク5の自重によって第二関節4にかかる負荷を打ち消す向きに前腕リンク5にトルクを付与するための、前腕補償用カム11及び前腕補償用ばね12が設けられる。前腕補償用カム11及び前腕補償用ばね12は、原動プーリ10及び従動プーリ8並びにタイミングベルト9を介して、前腕リンク5の回転角度に応じたトルクを前腕リンク5に付与する。このような機械的な自重補償機構は、従来と異なりリンク機構を用いておらず、簡易な構成である。したがって、従来と異なりリンクの機構的干渉によって可動域が制限されることがないので、広範な動作範囲を持つロボットマニピュレータを提供できる。
また、従動プーリ8、タイミングベルト9、原動プーリ10、前腕補償用カム11、前腕補償用ばね12により構成される機械的な自重補償機構は、従来のリンク機構に比べてコンパクトな構成ですむので、ロボットマニピュレータを小型化するのに適している。
また、従来に比べてリンク数を減らせるのでロボットマニピュレータの軽量化を実現でき、これに伴いロボットマニピュレータの位置決め精度を向上させやすい。
さらに、ロボットマニピュレータの位置決め精度の向上に関連するが、第一関節2及び第二関節4に、上腕駆動アクチュエータ6、前腕駆動アクチュエータ7を直接接続することが容易である。すなわち、上腕リンク3や前腕リンク5を回転駆動するための駆動源として、減速機を介さずにアクチュエータを関節に直接接続するダイレクトドライブ方式の駆動形態を採用することが容易である。図8に、ダイレクトドライブ方式の駆動形態を採用したロボットマニピュレータを示す。
[実施例]
図8に示すロボットマニピュレータは、二つのアクチュエータ(上腕駆動アクチュエータ6と前腕駆動アクチュエータ7)が前腕リンク5、上腕リンク3それぞれに直接接続されている。この場合でも、上腕リンク3の自重を支える機械的な自重補償機構、前腕リンク5の自重を補償する前腕自重補償機構は、上述の構成であってよい。ただし、前腕自重補償機構は、アクチュエータ(6,7)とは別経路で第二関節4(図1参照)を支持する構成となる。
この実施例に示すロボットマニピュレータにおいて、前腕自重補償機構は第二関節4にかかる前腕リンク5の回転角度に応じた負荷を正確に伝達できればよい。そのため、前腕リンク5や上腕リンク3の剛性は高くなくてもよい。すなわち、ダイレクトドライブ方式のロボットマニピュレータの場合、各々の自重補償機構は関節駆動機能を有しない。つまり、関節駆動機能と自重補償機構とは分離されており、これらを並列化することが可能である。そのため、関節駆動機構によりリンクを直接駆動することができる。これによれば、従来のリンク機構で顕著であった遊び(ガタ)や剛性低下を防ぐことが可能である。また、精密な位置決め制御が可能である。
なお、前腕リンク5の自重を補償する前腕自重補償機構は、従動プーリ8、原動プーリ10、タイミングベルト9により構成されていなくてもよい。例えば、巻回部材としてタイミングベルト9の代わりにスチールチェーンを用い、従動プーリ8、原動プーリ10の代わりにスプロケットを用いてよい。この場合、姿勢維持のために大きなトルクが必要な場合であっても、スチールチェーンとスプロケットとの間にはすべりが生じ難いので、前腕自重補償機構は前腕リンク5の回転角度に応じた負荷を正確に伝達することができる。
上述した実施形態では、ロボットマニピュレータとして2自由度マニピュレータを示したがこれに限らず、前腕リンク5の葉先側に1つ以上の関節及び1つ以上のリンクを備えたより自由度の高いマニピュレータであってよい。例えば、図1のロボットマニピュレータにおいて、支持部15が重力方向と略平行な回転軸(第三関節)を有した2つのリンクからなり、また前腕リンク5の葉先側にさらに3つのリンクを3つの関節により順に接続した6自由度マニピュレータであってよい。
1…基台、2…第一関節、3…上腕リンク、4…第二関節、5…前腕リンク、6…上腕駆動アクチュエータ、7…前腕駆動アクチュエータ、8…従動プーリ、9…タイミングベルト、10…原動プーリ、11…前腕補償用カム、12…前腕補償用ばね、13…上腕補償用カム、14…上腕補償用ばね、15…支持部

Claims (8)

  1. 基台と、
    前記基台に設けられた支持部と、
    前記支持部に第一関節を介して回転可能に接続された第一リンクと、
    前記第一リンクに第二関節を介して回転可能に接続された第二リンクと、
    前記支持部に対し前記第一リンクを回転駆動する第一駆動手段と、
    前記第一リンクに対し前記第二リンクを回転駆動する第二駆動手段と、
    前記第一関節に、前記支持部に対し回転自在に設けられた第一回転体と、
    前記第二関節に、前記第一リンクに対して回転自在に且つ前記第二リンクに対して回転不能に設けられた第二回転体と、
    前記第一回転体と前記第二回転体とに巻き回されて、前記第二回転体と前記第一回転体とを駆動連結する巻回部材と、
    前記第一関節に設けられ、前記第一リンクの自重によって前記第一関節にかかる負荷を打ち消す向きに、前記第一リンクにトルクを付与する第一トルク付与手段と、
    前記第一関節に設けられ、前記第二リンクの自重によって前記第二関節にかかる負荷を打ち消す向きに、前記第一回転体、前記巻回部材、及び前記第二回転体を介して前記第二リンクにトルクを付与する第二トルク付与手段と、
    を備えるロボットマニピュレータ。
  2. 前記第一駆動手段は前記第一関節に設けられ、前記第二駆動手段は前記第二関節に設けられることを特徴とする請求項1に記載のロボットマニピュレータ。
  3. 前記第一トルク付与手段は、前記基台に一端が接続された第一弾性部材と、前記第一関節に設けられて前記第一弾性部材の他端が接続された第一カム部材とを有し、
    前記第一トルク付与手段は、前記第一リンクの回転角度に応じて伸縮する前記第一弾性部材によって前記第一リンクにトルクを付与することを特徴とする請求項1又は2に記載のロボットマニピュレータ。
  4. 前記第二トルク付与手段は、前記基台に一端が接続された第二弾性部材と、前記第一関節に設けられて前記第二弾性部材の他端が接続された第二カム部材とを有し、
    前記第二トルク付与手段は、前記第二リンクの回転角度に応じて伸縮する前記第二弾性部材によって前記第二リンクにトルクを付与することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のロボットマニピュレータ。
  5. 前記巻回部材はベルト部材からなり、前記第一回転体及び前記第二回転体はプーリからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のロボットマニピュレータ。
  6. 前記巻回部材はチェーンからなり、前記第一回転体及び前記第二回転体はスプロケットからなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のロボットマニピュレータ。
  7. 前記支持部は、前記第一関節を介して前記第一リンクと接続される第三リンクと、前記基台に設けられる第四リンクと、水平平面上で前記第三リンクと前記第四リンクとを回動自在にする第三関節とを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のロボットマニピュレータ。
  8. 前記第二リンクの葉先側に、1つ以上の関節及び1つ以上のリンクを備えていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のロボットマニピュレータ。
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